芝刈機の集草装置
【課題】芝刈機の集草装置に関し、車体後部に装着するコレクタを横開きに構成して清掃等のメンテナンス性を向上させる。
【解決手段】モーアデッキ13から後方に延出するダクト22を設け該ダクト22の後端を車体後部に装着するコレクタ16に接続する芝刈機において、車体後部にコレクタ取付フレーム84を固定し、このコレクタ取付フレーム84の一側には回動枠81を縦軸芯周りに回動する縦支軸80を設け、コレクタ取付フレームと回動枠81との間であって前記縦支軸80とは反対側に回動枠81の前記回動を規制する回動規制手段Lを構成した。
【解決手段】モーアデッキ13から後方に延出するダクト22を設け該ダクト22の後端を車体後部に装着するコレクタ16に接続する芝刈機において、車体後部にコレクタ取付フレーム84を固定し、このコレクタ取付フレーム84の一側には回動枠81を縦軸芯周りに回動する縦支軸80を設け、コレクタ取付フレームと回動枠81との間であって前記縦支軸80とは反対側に回動枠81の前記回動を規制する回動規制手段Lを構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芝刈機の集草装置に関し、車体後部に装着するコレクタを横開きに構成して清掃等のメンテナンス性を向上させる。
【背景技術】
【0002】
車体に対して縦軸芯回りに前後方向へ開閉回動可能に支持されて、この車体に装着されたモーアから刈取集送される芝草の収容を受けるコレクタに、このコレクタの該車体側への閉回動によって、車体側の動力取出装置と連動される伝動装置と、該モーア側のシュータと連通して該伝動装置の伝動によって芝草を吸引収容する吸引ファンとを設けた構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−038219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コレクタを取付けるには、コレクタフレームの取付軸を、車体側の連結フレームの支持ボスに嵌合支持し、このコレクタフレームの係止部を連結フレームの係合部へ押込んで係合させることによって、取付状態を維持する構成とし、シュータ先端のダクトをコレクタと一体に設けるファンケースの吸引口に連結する構成であるから、コレクタが不安定となり易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記技術的課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
【0006】
即ち、請求項1に記載の発明は、モーアデッキ13から後方に延出するダクト22を設け該ダクト22の後端を車体後部に装着するコレクタ16に接続する芝刈機において、車体後部にコレクタ取付フレーム84を固定し、このコレクタ取付フレーム84の一側には回動枠81を縦軸芯P周りに回動する縦支軸80を設け、コレクタ取付フレームと回動枠81との間であって前記縦支軸80,80とは反対側に回動枠81の前記回動を規制する回動規制手段Lを構成したことを特徴とする。
【0007】
このように構成すると、回動支軸となる縦支軸80,80をコレクタ取付フレーム84の一側に設け、回動枠81を装着し、回動枠81とコレクタ取付フレーム84の間には回動規制手段Lを設ける構成であるから、回動枠81を回動操作して車体1後方を広く開放することによりダクト22内の清掃等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、コレクタ16を反転支軸65回りに昇降操作する反転レバー69を回動枠81の一側に設けるブラケット部材89に支持させてなる。このように構成すると、回動枠81に対してコレクタ16を反転回動させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、コレクタ取付フレーム84の一側に、ダクト22の底部に設けるクリーナ板87をリンク機構88を介して連動することで起立姿勢に変更して底部に溜まる芝草をコレクタ16内に移行させるクリーナ用レバー86を設け、回動枠81側にはこのクリーナ用レバー86とは反対他側に前記反転レバー69を設ける。このように構成すると、反転レバー69がコレクタ16と一体的に回動枠81と共に開放されることとなってダクト後端のメンテナンスが一層容易となる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、伸縮シリンダ機構100によりコレクタ16を反転させる構成とし、前記伸縮シリンダ機構100を、前記縦支軸80の存在する側に配設させる。このように構成すると、伸縮シリンダ機構100へ油圧配管、ハーネス類を配索する際、他側は横回動により大きく移動するが当該縦支軸80側はほとんど移動しないため油圧配管、ハーネス類の回動のための余裕代を少なくし、回動時における配索上のトラブルを解消できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、回動支軸となる縦支軸80,80をコレクタ取付フレーム84の一側に設け、回動枠81を装着し、回動枠81とコレクタ取付フレーム84の間には回動規制手段Lを設ける構成であるから、回動枠81を回動操作して車体1後方を広く開放することによりダクト22内の清掃作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、回動枠81に対してコレクタ16を反転回動させることができ、回動枠81を残すため反転するコレクタ16部が嵩張らない。
【0013】
請求項3に記載の発明は、反転レバー69がコレクタ16と一体的に回動枠81と共に開放されることとなってダクト後端のメンテナンスが一層容易となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、伸縮シリンダ機構100へ油圧配管、ハーネス類を配索する際、他側は横回動により大きく移動するが当該縦支軸80側はほとんど移動しないため油圧配管、ハーネス類の回動のための余裕代を少なくでき、配索された油圧配管、ハーネス取扱い時のトラブルを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】全体側面図。
【図2】全体平面図。
【図3】一部の拡大側面図。
【図4】一部の拡大平面図。
【図5】リヤアクスルハウジング部の背面図。
【図6】前支持枠部の斜視図
【図7】要部の展開斜視図(A)と、その一部側面図(B)。
【図8】別実施例のコレクタ部側面図(A)と、平面図(B)。
【図9】反転レバーの改良例を示す側面図(A)、(B)。
【図10】反転レバーの更に改良例を示す側面図(A)、(B)。
【図11】ロック機構の改良例を示す側面図(A)、(B)。
【図12】コレクタ反転手段の異なる例を示す側面図(A)、(B)。
【図13】コレクタ上昇補助手段の例を示す側面図。
【図14】コレクタ上昇補助手段の他の例を示す側面図。
【図15】コレクタ上昇補助手段のさらに他の例を示す側面図(A)と、断面図(B)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
車体1の前部下側に左右一対の前輪23,23を有したフロントアクスル24をセンタピボット25周りに揺動自在にして支架し、後部下側に左右一対の後輪26を有したリヤアクスルハウジング4を支架する。車体1の前端上に搭載したエンジン27のエンジン軸3の駆動回転によって、このエンジン軸3の後側に連結の主伝動軸6を伝動して、後輪26を駆動連動して走行することができる。このエンジン軸3はエンジンボディの下部で左右幅方向の中央部で、車体1幅中央部の前後方向に沿うセンタラインL上部に沿って設ける。このエンジン軸3の前端部にはフライホイル28を取付け、エンジン27の後側にはラジエータ29や、ラジエータファン30等を配置し、上部をボンネット31で被覆し、これらの後側にオイルタンク32を設けて、ステアリングポスト33上にハンドル34を設けて、前記前輪23を操向連動する構成としている。
【0018】
前記リヤアクスルハウジング4は、前記センタラインLに対してトレッドの左側寄り位置に後輪デフギヤ機構を内装するデフケース35を形成し、このデフケース35の側部にHST(油圧無段変速装置)ケース8を一体構成し、HST入力軸9をこのケース8から直上方に向けて突出させて、プーリ36や、冷却ファン37等を一体回転する構成とし、このHST入力軸9の後側にHST制御のトラニオン軸機構38を配置している。
【0019】
前記リヤアクスルハウジング4に内装の後車軸39の両端部に後輪26を軸装している。前記リヤアクスルハウジング4の左右両側部から立設のリヤブラケット40上端部間を連結フレーム41で連結し、この連結フレーム41の上側にエンジン27用の燃料タンク42を搭載し、更にこの上側にシート43を設けている。
【0020】
又、前記車体1、及び主伝動軸6の上側部にはステップフロア2を敷設し、このステップフロア2の後部に上方に屈曲するシートフロア44を連設して、後端部を該連結フレーム41上に固定し、左右両側にはフェンダ45を形成する。
【0021】
ここにおいて、この車体1に装着するミッドモーアに伝動装置は、車体1のステップフロア2の下側を前後方向に沿って、前部搭載のエンジン軸3からリヤアクスルハウジング4上を経て後部一側上のリヤケース5にわたる主伝動軸6を設け、このリヤケース5から垂下のリヤ出力軸7と、前記リヤアクスルハウジング14の後部一側に配置のHSTケース8上の入力軸9との間にベルト10掛け連動すると共に、前記主伝動軸6の後部中間部と、前記リヤアクスルハウジング4の前側に軸受のPTO軸11との間をベルト12掛け連動して、ミッドモーアデッキ13の同側ブレード軸14上の入力軸15を連動するモーアの伝動装置の構成とする。
【0022】
なお、主伝動軸6は、前半の自在継手軸形態の伝動軸6aと、これにスプライン嵌合によって直接連結された後半伝動軸6bとからなり、後半伝動軸6bの前部に後記のプーリ53を固定して設け、後端をリヤケース5内に延長しベベルギヤを装着する構成である。
【0023】
こうしてエンジン軸3の回転によって、この後端に連結の主伝動軸6を介して、リヤケース5のリヤ出力軸7を連動する。主伝動軸6の途中部からはベルト12を介してモーアデッキ13の入力軸15を伝動し、リヤ出力軸7からはベルト10を介してリヤアクスルハウジング4後部のHSTケース8の入力軸9を伝動する。
【0024】
又、前記車体1の後端部に装着してモーアデッキ13から送込まれる芝草を収容するコレクタ16の前壁を形成する前支持枠17に、前記リヤケース5を接近嵌合させる凹部18を形成している。具体的には、図に示すように、前支持枠17に形成したL型開口17aの右側にはダクト22の後端を嵌合して供給口21を形成し、L型開口17aの左側に、膨出形成した蓋体17bをボルト17c,17c…にて着脱自在に取り付けて、この蓋体17bの取り付けによって17a後方空間に凹部18が形成されることとなる。車体1の後端部にコレクタ16を取付ける場合には、このコレクタ16前壁部の前支持枠17に形成の上記凹部18を、車体1後部のリヤケース5周りに嵌合させる。前記リヤアクスルハウジング4の後部に位置して配置のHSTケース8の入力軸9は、このリヤケース5のリヤ出力軸7からベルト10伝動される。又、モーアデッキ13からコレクタ16内へ搬入される芝草は、この前支持枠17の凹部18横側に形成の供給口(L型開口17a右半部)から供給される。
【0025】
更には、前記モーアデッキ12の排出口20と後方のコレクタ16の供給口21との間を連通するダクト22を、車体1のセンタラインLに対して一側寄り位置に偏倚して設けると共に、前記エンジン軸3からリヤケース5にわたって連動の主伝動軸6と前記PTO軸11からこの前方のモーアデッキ13上の入力軸15にわたって連動のモーア伝動軸19とを、このダクト22側とは反対側寄り位置に配置することを特徴とする。前方のエンジン軸3の駆動回転は、車体1のセンタラインLの一側部に偏倚する主伝動軸6を経て、後端部のリヤ出力軸7、ベルト10等を伝動し、HST入力軸9を伝動すると共に、この主伝動軸6の途中部からPTO軸11をベルト12伝動する。具体的には前記後半伝動軸6bの前部と、このベルト12にはテンションクラッチプーリを設けてPTOクラッチKを構成する。
【0026】
モーアデッキ13で刈取られた芝草は、排出口20から前記主伝動軸6やPTO軸11の前側に連結のモーア伝動軸19等と反対側に配置のダクト22を経て、コレクタ16に搬入収容される。
【0027】
前記リヤブラケット40に連結の連結ブラケット46、47に、前記主伝動軸6の後端を連結する入力軸48のリヤケース5を取付支持し、又、この主伝動軸6の中間部を軸受するメタル49を取付支持する。この主伝動軸6は、前記エンジン軸3の後端に自在継手や伸縮軸継手等を介して複数本連結して構成し、前記センタラインLから左側寄り位置に偏倚して配置されるメタル49に軸受けさせ、後端をリヤケース5の入力軸48に連結する。
【0028】
このリヤケース5にはベベルギヤを介して連動の上下方向のリヤ出力軸7を軸装して、下方に突出させてプーリ50を固定する。このプーリ50は前記HSTの入力軸9のプーリ36後側の同高さ位置に配置されてベルト10を掛け渡して伝動する。又、前記PTO軸11は、リヤアクスルハウジング4の左端前部に突出するメタル51に軸受けする。この下側のPTO軸11に固定のプーリ52と前記上側の主伝動軸6に固定のプーリ53との間にベルト12を掛け渡して、PTO軸11を伝動回転する。このPTO軸11は上側の主伝動軸6よりも左外側下部に位置して設け、前方のモーアデッキ14上の入力軸15の略直後方部に対向させるように配置している。
【0029】
前記モーアデッキ13は、車体1腹部に装着するミッドマウント形態で、センタラインLに対して左右両側部に偏倚して左、右一対のブレード軸14を軸装し、各ブレード軸14の下端部に芝草を刈取るブレード54を有する。このモーアデッキ13は、前後下端部にゲージホイル55、56を配置し、中央上部には刈取芝草を中央後部の排出口20へ案内する排出筒77を形成する。モーアデッキ13は、上部に左右一対の平行状の前リンク57と、後リンク58を配置して、車体1に対して吊下げ、リフト機構によって水平状態を維持して昇降するように構成している。又、このモーアデッキ13上の左、右ブレード軸14上部には、ブレードケース59、60を設け、左側ブレードケース59に、前記入力軸15を軸支して、ベベルギヤを介してこの直下のブレード軸14を噛合連動する。
【0030】
この入力軸15は、後方のPTO軸11との間を、モーア伝動軸61、及び自在継手や、伸縮軸継手等を介して連結して伝動することができる。左右のブレード軸14間は、各ブレードケース59、60間にわたるブレード伝動軸62を設けてベベルギヤで噛合連動し、左右のブレード軸14を前側から内側後方へ向けて回転するように連動構成する。
【0031】
前記コレクタ16は、車体の後端に装着する。車体1の後端部に着脱可能の取付フレーム63が前記ダクト22後端の供給口21や、リヤケース5部等の外周部を囲繞する形態に形成して、この取付フレーム63に沿って前支持枠17を取付ける。そして、この前支持枠17に前記供給口21や、凹部18等を形成する。又、この取付フレーム63の後側上部に支持アーム64を突出させて、反転支軸65周りに後方上部へ開閉回動可能に支持するコレクタバッグ66、乃至コレクタケースを取付ける。
【0032】
このコレクタバッグ66は前面にバッグ口67を形成して、前支持枠17後面に接圧させて閉鎖させることができる。前記モーアデッキ13の排出口20とこの前支持枠17の右側部に形成の供給口21との間を、前記リヤアクスルハウジング4の右側上部を経るダクト22で連結して、排出口20から放出される芝草を搬送案内して供給口21からコレクタバッグ66内へ収容させる。コレクタバッグ66は、外周角部に沿ってバッグ枠68を形成し、このバッグ枠68の外周を通風網布で被覆して構成し、バッグ口67を前支持枠17に接当させて閉口した状態で、搬送風は網布のメッシュ部から排出させて搬入芝草を収容することができる。又、収容芝草は、コレクタバッグ66の上方に突出のハンドルレバー69を操作して反転支軸65周りに後方上部へ回動することにより、このバッグ口67を下向きに開いて、収容している芝草を落下排出することができる。70は、このコレクタバッグ66の上側を覆うカバーである。
【0033】
前記コレクタバッグ66を芝草収容姿勢位置にして、供給口21からコレクタバッグ66内に搬入される芝草は、前支持枠17の凹部18面で仕切られているため、この凹部18前側のリヤケース5部等への芝草の漏出接触はなく、直接の塵埃飛散を防止する。この前支持枠17の凹部18は、前記リヤケース5と、この下側のプーリ50部をも嵌合して広く覆う形態としている。そして、できるだけ深く嵌合することによって、コレクタ16を車体1に接近させて、コレクタ16の後方への突出を小さくすることができる。又、この凹部18のコレクタバッグ66内上側面71は下り傾斜面に形成して、排出作用時に残留芝草のないように形成することができる。
【0034】
前記コレクタ16は、前支持枠17に対して縦支軸80,80回りに横方向に回動すべく構成する回動枠81に設けている。即ち、車体1の後部に補強構造の後部枠82を装着し、この後部枠82は側面視において上方が下方に対して前側にやや変位した傾斜姿勢に設け、ボルト等で左右の主フレーム83,83に対して着脱自在に設ける。そして後部枠82に沿ってコレクタ取付フレーム84を取り付ける。このコレクタ取付フレーム84の一側には支持筒80a,80aを上下2段に設け、前記縦支軸80,80を貫通して支持できる構成である。こうして、回動枠81は上下の縦支軸80,80の共通軸芯P回りに回動できる構成である。なお、この回動枠81に、前記支持アーム67の基部を固着してバッグ枠68を装着する構成である。
【0035】
前記コレクタ取付フレーム84と回動枠81との間であって、前記縦支軸80とは反対側には回動規制手段Lを設ける。該回動規制手段Lは、コレクタ取付フレーム84側の規制プレート84a,84aと、回動枠81側の規制プレート81a,81aとを接近状態で重合可能に設け、この重合状態時に上方から貫通するロック棒85を両規制プレート81a,84aに嵌合することによって回動枠81が縦支軸80周りに回動するのをロックする構成である。
【0036】
前記回動枠81にはコレクタ61へのダクト22の後端部に対向する矩形の開口部81aを備えて、縦支軸80回りに回動枠81が接近するとこの開口部81aのダクト22後端部が嵌入し、離反回動するとダクト22後端部は開口部81aから離脱する構成である。
【0037】
このように、回動支軸となる縦支軸80をコレクタ取付フレーム84の一側に設け、回動枠81を装着し、回動枠81とコレクタ取付フレーム84の間には回動規制手段Lを設ける構成であるから、回動枠81を回動操作して車体1後方を広く開放することによりダクト22内の清掃作業を容易に行うことができる。
【0038】
86はダクト22の底部に設けるクリーナ板87をリンク機構88を介して連動することで起立姿勢に変更して底部に溜まる芝草をコレクタ16内に移行させるクリーナ用レバーであり、その回動支軸部86aはコレクタ取付フレーム84の上部枠部にブラケットを介して装着する構成である。
【0039】
また、コレクタ16を反転支軸65回りに昇降操作する反転レバー69を回動枠81の一側に設けるブラケット部材89に設けている。90は反転支軸65と一体的な回動部材と回動枠81との間に介在するコレクタ16上昇補助用ダンパーである。
【0040】
上記のように、コレクタ取付フレーム84の一側(図例では左側)にはクリーナ用レバー86を設け、回動枠81側にはこのクリーナ用レバー86とは反対側(同右側)に反転レバー69を設けることにより、反転レバー69がコレクタ16と一体的に回動枠81と共に開放されることとなってダクト後端のメンテナンスが容易となる。
【0041】
図8に示す構成は、回動規制手段Lの代替構成を示し、縦支軸80とは反対側にU字状の固定金具93を脚の長い側93aを車体1フレームにバネ94を介してその長手方向に摺動自在に装着し、脚の短い側93bを前記回動枠81に形成した係止凹部81cに係脱させてロックし、または非ロック状態とする構成である。
【0042】
上記のように構成した回動規制手段とすると、固定金具93の連結部93cを把持してバネ94に抗して引き操作することによって回動枠81は回動可能になり手を離すとバネ94によって係止凹部81cに合致させ係合することによって回動を規制するため、操作が容易である。
【0043】
図9に示す構成は、前記反転レバー69の改良に関する。回動枠81と一体の支持アーム64に対して上下に間隔をおいて保持挿通孔64a,64aを形成し、通常は押し下げて把持部を低く押し下げ、反転操作を行うときは把持部を引き上げ得る反転レバー69とするが、該反転レバー69を上下に分割構成し、上側部69aを下側部69bに対して引き抜き得る構成とし、該上側部69aを下側部69bに対して取り外しておくことにより、カバー70側部を貫通する反転レバー69がなく、カバー70の開閉に支障がない効果を有する。
【0044】
なお、図10に示すように、反転レバー69を上下に分割し、下側部69cに対して上側部69dを押し下げることによって二重構造の収容状態とし、上側部69dを引き上げることで伸長状態として反転操作を行うことができる。このように構成することによっても、カバー70の側部を貫通する反転レバー69が邪魔になることなく上方に開けることができる。また、図9、図10のように構成すると、反転レバー69をコレクタ頂部以下に収納した状態でバッグ枠68を何等張り出し物がない状態で、取り外すことができる。
【0045】
95はコレクタ16の上昇を規制するロック機構で、前記回動枠81に設けたフック96をバッグ枠68側のロックピン97に係脱させることによってロック状態または非ロック状態に切り替える。フック96の作動は手動操作によるか、あるいは反転レバー69の操作に連動させる形態でもよい。
【0046】
図11は左右にロック機構を構成する場合の改良例を示し、左右のフック96L,96Rを連結する連結ロッド98を設けるに、該連結ロッド98がコレクタ16のバッグ枠68の下方を迂回して連動連結しあう構成としている。このように構成すると、バッグ枠68の下方を迂回するものであるから、前記回動枠81が縦支軸80回りに回動する際、この連結ロッド98を共に連れて回動移動させることができ、回動の際、連結ロッド98を着脱する必要がなく迅速に行うことができる。
【0047】
なお、図11には、前記反転レバー69に代替して、伸縮シリンダ機構100によりコレクタ16を反転させる構成としている。伸縮シリンダ機構100は、油圧シリンダ機構、電動シリンダ機構等によるが、ピストン100a側がバッグ枠68に、シリンダ100b基部側が回動枠81と一体の部材に連結されている。したがって、伸縮シリンダ機構100の伸出作動によってコレクタ16を反転姿勢とする。また、伸縮シリンダ機構100の短縮側作動によって作業状態に復帰できる。なお、伸縮シリンダ機構100の伸縮作動はフェンダ上面のスイッチ(図示せず)で行われる。
【0048】
前記伸縮シリンダ機構100は、図11におけるように左右両側に設けてもよいが、左右一方に設けてもよい。この場合には、縦支軸80の存在する一側(図例では進行方向左側)に伸縮シリンダ機構100を配設している。このように構成すると、伸縮シリンダ機構100への油圧配管、ハーネス類を配索する際、他側は横回動により大きく移動するが当該縦支軸80側はほとんど移動しないためこれら油圧配管、ハーネス類の余裕代を少なくし、回動時における配索上のトラブルを解消できる(図12)。
【0049】
図13〜図15は、反転回動時、コレクタ16のバッグ枠68を更に上昇させて後方からのメンテナンスの容易化を図るものであり、図13の構成は、バッグ枠68を反転姿勢で保持するダンパー90の回動枠81側取付下端に、調整レバー101を備えることにより、高さ変更手段Mを構成したものである。即ち、回動枠81側の支軸中心に上下に回動自在な調整レバー101にダンパー90下端を枢着する。この調整レバー101は、中間のピン挿通孔102を備え、回動枠81側ブラケット103の複数の調整孔への係合によって上下位置を変更できる構成としている。このため標準位置では通常の反転及び復帰動作を行ない、バッグ枠68の反転時に調整レバー101の係合位置を上げて固定することにより、図13の高さh分上昇する。これによって、反転時の全体高さはh1からh2にかさ上げでき、後方からのメンテナンスが容易となる。
【0050】
図14は高さ変更手段Mの別構成を示す。即ち、ダンパー90の下端側取付基部に屈折リンク104を構成し、該屈折リンク104のダンパー90下端との枢着点において、この枢着部を前後に案内してダンパー90と屈折リンク104とが屈折姿勢(イ)から支点越えして略直線状(ロ)となるようカム部材105を設ける。106は支点越え用バネである。通常は屈折姿勢(イ)に設定しておき、反転時にはダンパー90自体を後方から前方に押すなどして直線状(ロ)に変更する。このようにして追加の高さhを確保できる。この例の場合には、手動操作で容易に屈折姿勢(イ)から略直線状(ロ)になることができる。
【0051】
図15は、ダンパー90の上部側に改良を加えている。即ち、ダンパー90と上部の屈折リンク107とを屈折状態又は略直線状態に構成するものである。屈折リンク107一端はバッグ枠68と一体のブラケット108に枢着され、他端はダンパー90上端に回動自在に枢着連結されている。また、屈折リンク107の中間部にはバネ109で付勢された係止ピン110が設けられ、前記ブラケット108に設けた複数の係止孔に係脱することにより、屈折リンク107がダンパー90に対して屈折する標準状態と略直線状となる展開状態とに切り替わる構成である。
【0052】
したがって、標準状態で反転レバー69によって反転又は復帰動させると共に、反転状態において、展開させることにより追加高さhを確保できる。この構成では、ダンパー90の上部に構成するものであるから、屈折リンク107の係止ピン110の着脱操作が行い易い。
【符号の説明】
【0053】
13 モーアデッキ
16 コレクタ
22 ダクト
65 反転支軸
69 反転レバー
80 縦支軸
81 回動枠
84 コレクタ取付フレーム
86 クリーナ用レバー
87 クリーナ板
88 リンク機構
89 ブラケット部材
100 伸縮シリンダ機構
【技術分野】
【0001】
この発明は、芝刈機の集草装置に関し、車体後部に装着するコレクタを横開きに構成して清掃等のメンテナンス性を向上させる。
【背景技術】
【0002】
車体に対して縦軸芯回りに前後方向へ開閉回動可能に支持されて、この車体に装着されたモーアから刈取集送される芝草の収容を受けるコレクタに、このコレクタの該車体側への閉回動によって、車体側の動力取出装置と連動される伝動装置と、該モーア側のシュータと連通して該伝動装置の伝動によって芝草を吸引収容する吸引ファンとを設けた構成がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−038219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コレクタを取付けるには、コレクタフレームの取付軸を、車体側の連結フレームの支持ボスに嵌合支持し、このコレクタフレームの係止部を連結フレームの係合部へ押込んで係合させることによって、取付状態を維持する構成とし、シュータ先端のダクトをコレクタと一体に設けるファンケースの吸引口に連結する構成であるから、コレクタが不安定となり易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記技術的課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
【0006】
即ち、請求項1に記載の発明は、モーアデッキ13から後方に延出するダクト22を設け該ダクト22の後端を車体後部に装着するコレクタ16に接続する芝刈機において、車体後部にコレクタ取付フレーム84を固定し、このコレクタ取付フレーム84の一側には回動枠81を縦軸芯P周りに回動する縦支軸80を設け、コレクタ取付フレームと回動枠81との間であって前記縦支軸80,80とは反対側に回動枠81の前記回動を規制する回動規制手段Lを構成したことを特徴とする。
【0007】
このように構成すると、回動支軸となる縦支軸80,80をコレクタ取付フレーム84の一側に設け、回動枠81を装着し、回動枠81とコレクタ取付フレーム84の間には回動規制手段Lを設ける構成であるから、回動枠81を回動操作して車体1後方を広く開放することによりダクト22内の清掃等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、コレクタ16を反転支軸65回りに昇降操作する反転レバー69を回動枠81の一側に設けるブラケット部材89に支持させてなる。このように構成すると、回動枠81に対してコレクタ16を反転回動させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、コレクタ取付フレーム84の一側に、ダクト22の底部に設けるクリーナ板87をリンク機構88を介して連動することで起立姿勢に変更して底部に溜まる芝草をコレクタ16内に移行させるクリーナ用レバー86を設け、回動枠81側にはこのクリーナ用レバー86とは反対他側に前記反転レバー69を設ける。このように構成すると、反転レバー69がコレクタ16と一体的に回動枠81と共に開放されることとなってダクト後端のメンテナンスが一層容易となる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、伸縮シリンダ機構100によりコレクタ16を反転させる構成とし、前記伸縮シリンダ機構100を、前記縦支軸80の存在する側に配設させる。このように構成すると、伸縮シリンダ機構100へ油圧配管、ハーネス類を配索する際、他側は横回動により大きく移動するが当該縦支軸80側はほとんど移動しないため油圧配管、ハーネス類の回動のための余裕代を少なくし、回動時における配索上のトラブルを解消できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明は、回動支軸となる縦支軸80,80をコレクタ取付フレーム84の一側に設け、回動枠81を装着し、回動枠81とコレクタ取付フレーム84の間には回動規制手段Lを設ける構成であるから、回動枠81を回動操作して車体1後方を広く開放することによりダクト22内の清掃作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、回動枠81に対してコレクタ16を反転回動させることができ、回動枠81を残すため反転するコレクタ16部が嵩張らない。
【0013】
請求項3に記載の発明は、反転レバー69がコレクタ16と一体的に回動枠81と共に開放されることとなってダクト後端のメンテナンスが一層容易となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、伸縮シリンダ機構100へ油圧配管、ハーネス類を配索する際、他側は横回動により大きく移動するが当該縦支軸80側はほとんど移動しないため油圧配管、ハーネス類の回動のための余裕代を少なくでき、配索された油圧配管、ハーネス取扱い時のトラブルを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】全体側面図。
【図2】全体平面図。
【図3】一部の拡大側面図。
【図4】一部の拡大平面図。
【図5】リヤアクスルハウジング部の背面図。
【図6】前支持枠部の斜視図
【図7】要部の展開斜視図(A)と、その一部側面図(B)。
【図8】別実施例のコレクタ部側面図(A)と、平面図(B)。
【図9】反転レバーの改良例を示す側面図(A)、(B)。
【図10】反転レバーの更に改良例を示す側面図(A)、(B)。
【図11】ロック機構の改良例を示す側面図(A)、(B)。
【図12】コレクタ反転手段の異なる例を示す側面図(A)、(B)。
【図13】コレクタ上昇補助手段の例を示す側面図。
【図14】コレクタ上昇補助手段の他の例を示す側面図。
【図15】コレクタ上昇補助手段のさらに他の例を示す側面図(A)と、断面図(B)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
車体1の前部下側に左右一対の前輪23,23を有したフロントアクスル24をセンタピボット25周りに揺動自在にして支架し、後部下側に左右一対の後輪26を有したリヤアクスルハウジング4を支架する。車体1の前端上に搭載したエンジン27のエンジン軸3の駆動回転によって、このエンジン軸3の後側に連結の主伝動軸6を伝動して、後輪26を駆動連動して走行することができる。このエンジン軸3はエンジンボディの下部で左右幅方向の中央部で、車体1幅中央部の前後方向に沿うセンタラインL上部に沿って設ける。このエンジン軸3の前端部にはフライホイル28を取付け、エンジン27の後側にはラジエータ29や、ラジエータファン30等を配置し、上部をボンネット31で被覆し、これらの後側にオイルタンク32を設けて、ステアリングポスト33上にハンドル34を設けて、前記前輪23を操向連動する構成としている。
【0018】
前記リヤアクスルハウジング4は、前記センタラインLに対してトレッドの左側寄り位置に後輪デフギヤ機構を内装するデフケース35を形成し、このデフケース35の側部にHST(油圧無段変速装置)ケース8を一体構成し、HST入力軸9をこのケース8から直上方に向けて突出させて、プーリ36や、冷却ファン37等を一体回転する構成とし、このHST入力軸9の後側にHST制御のトラニオン軸機構38を配置している。
【0019】
前記リヤアクスルハウジング4に内装の後車軸39の両端部に後輪26を軸装している。前記リヤアクスルハウジング4の左右両側部から立設のリヤブラケット40上端部間を連結フレーム41で連結し、この連結フレーム41の上側にエンジン27用の燃料タンク42を搭載し、更にこの上側にシート43を設けている。
【0020】
又、前記車体1、及び主伝動軸6の上側部にはステップフロア2を敷設し、このステップフロア2の後部に上方に屈曲するシートフロア44を連設して、後端部を該連結フレーム41上に固定し、左右両側にはフェンダ45を形成する。
【0021】
ここにおいて、この車体1に装着するミッドモーアに伝動装置は、車体1のステップフロア2の下側を前後方向に沿って、前部搭載のエンジン軸3からリヤアクスルハウジング4上を経て後部一側上のリヤケース5にわたる主伝動軸6を設け、このリヤケース5から垂下のリヤ出力軸7と、前記リヤアクスルハウジング14の後部一側に配置のHSTケース8上の入力軸9との間にベルト10掛け連動すると共に、前記主伝動軸6の後部中間部と、前記リヤアクスルハウジング4の前側に軸受のPTO軸11との間をベルト12掛け連動して、ミッドモーアデッキ13の同側ブレード軸14上の入力軸15を連動するモーアの伝動装置の構成とする。
【0022】
なお、主伝動軸6は、前半の自在継手軸形態の伝動軸6aと、これにスプライン嵌合によって直接連結された後半伝動軸6bとからなり、後半伝動軸6bの前部に後記のプーリ53を固定して設け、後端をリヤケース5内に延長しベベルギヤを装着する構成である。
【0023】
こうしてエンジン軸3の回転によって、この後端に連結の主伝動軸6を介して、リヤケース5のリヤ出力軸7を連動する。主伝動軸6の途中部からはベルト12を介してモーアデッキ13の入力軸15を伝動し、リヤ出力軸7からはベルト10を介してリヤアクスルハウジング4後部のHSTケース8の入力軸9を伝動する。
【0024】
又、前記車体1の後端部に装着してモーアデッキ13から送込まれる芝草を収容するコレクタ16の前壁を形成する前支持枠17に、前記リヤケース5を接近嵌合させる凹部18を形成している。具体的には、図に示すように、前支持枠17に形成したL型開口17aの右側にはダクト22の後端を嵌合して供給口21を形成し、L型開口17aの左側に、膨出形成した蓋体17bをボルト17c,17c…にて着脱自在に取り付けて、この蓋体17bの取り付けによって17a後方空間に凹部18が形成されることとなる。車体1の後端部にコレクタ16を取付ける場合には、このコレクタ16前壁部の前支持枠17に形成の上記凹部18を、車体1後部のリヤケース5周りに嵌合させる。前記リヤアクスルハウジング4の後部に位置して配置のHSTケース8の入力軸9は、このリヤケース5のリヤ出力軸7からベルト10伝動される。又、モーアデッキ13からコレクタ16内へ搬入される芝草は、この前支持枠17の凹部18横側に形成の供給口(L型開口17a右半部)から供給される。
【0025】
更には、前記モーアデッキ12の排出口20と後方のコレクタ16の供給口21との間を連通するダクト22を、車体1のセンタラインLに対して一側寄り位置に偏倚して設けると共に、前記エンジン軸3からリヤケース5にわたって連動の主伝動軸6と前記PTO軸11からこの前方のモーアデッキ13上の入力軸15にわたって連動のモーア伝動軸19とを、このダクト22側とは反対側寄り位置に配置することを特徴とする。前方のエンジン軸3の駆動回転は、車体1のセンタラインLの一側部に偏倚する主伝動軸6を経て、後端部のリヤ出力軸7、ベルト10等を伝動し、HST入力軸9を伝動すると共に、この主伝動軸6の途中部からPTO軸11をベルト12伝動する。具体的には前記後半伝動軸6bの前部と、このベルト12にはテンションクラッチプーリを設けてPTOクラッチKを構成する。
【0026】
モーアデッキ13で刈取られた芝草は、排出口20から前記主伝動軸6やPTO軸11の前側に連結のモーア伝動軸19等と反対側に配置のダクト22を経て、コレクタ16に搬入収容される。
【0027】
前記リヤブラケット40に連結の連結ブラケット46、47に、前記主伝動軸6の後端を連結する入力軸48のリヤケース5を取付支持し、又、この主伝動軸6の中間部を軸受するメタル49を取付支持する。この主伝動軸6は、前記エンジン軸3の後端に自在継手や伸縮軸継手等を介して複数本連結して構成し、前記センタラインLから左側寄り位置に偏倚して配置されるメタル49に軸受けさせ、後端をリヤケース5の入力軸48に連結する。
【0028】
このリヤケース5にはベベルギヤを介して連動の上下方向のリヤ出力軸7を軸装して、下方に突出させてプーリ50を固定する。このプーリ50は前記HSTの入力軸9のプーリ36後側の同高さ位置に配置されてベルト10を掛け渡して伝動する。又、前記PTO軸11は、リヤアクスルハウジング4の左端前部に突出するメタル51に軸受けする。この下側のPTO軸11に固定のプーリ52と前記上側の主伝動軸6に固定のプーリ53との間にベルト12を掛け渡して、PTO軸11を伝動回転する。このPTO軸11は上側の主伝動軸6よりも左外側下部に位置して設け、前方のモーアデッキ14上の入力軸15の略直後方部に対向させるように配置している。
【0029】
前記モーアデッキ13は、車体1腹部に装着するミッドマウント形態で、センタラインLに対して左右両側部に偏倚して左、右一対のブレード軸14を軸装し、各ブレード軸14の下端部に芝草を刈取るブレード54を有する。このモーアデッキ13は、前後下端部にゲージホイル55、56を配置し、中央上部には刈取芝草を中央後部の排出口20へ案内する排出筒77を形成する。モーアデッキ13は、上部に左右一対の平行状の前リンク57と、後リンク58を配置して、車体1に対して吊下げ、リフト機構によって水平状態を維持して昇降するように構成している。又、このモーアデッキ13上の左、右ブレード軸14上部には、ブレードケース59、60を設け、左側ブレードケース59に、前記入力軸15を軸支して、ベベルギヤを介してこの直下のブレード軸14を噛合連動する。
【0030】
この入力軸15は、後方のPTO軸11との間を、モーア伝動軸61、及び自在継手や、伸縮軸継手等を介して連結して伝動することができる。左右のブレード軸14間は、各ブレードケース59、60間にわたるブレード伝動軸62を設けてベベルギヤで噛合連動し、左右のブレード軸14を前側から内側後方へ向けて回転するように連動構成する。
【0031】
前記コレクタ16は、車体の後端に装着する。車体1の後端部に着脱可能の取付フレーム63が前記ダクト22後端の供給口21や、リヤケース5部等の外周部を囲繞する形態に形成して、この取付フレーム63に沿って前支持枠17を取付ける。そして、この前支持枠17に前記供給口21や、凹部18等を形成する。又、この取付フレーム63の後側上部に支持アーム64を突出させて、反転支軸65周りに後方上部へ開閉回動可能に支持するコレクタバッグ66、乃至コレクタケースを取付ける。
【0032】
このコレクタバッグ66は前面にバッグ口67を形成して、前支持枠17後面に接圧させて閉鎖させることができる。前記モーアデッキ13の排出口20とこの前支持枠17の右側部に形成の供給口21との間を、前記リヤアクスルハウジング4の右側上部を経るダクト22で連結して、排出口20から放出される芝草を搬送案内して供給口21からコレクタバッグ66内へ収容させる。コレクタバッグ66は、外周角部に沿ってバッグ枠68を形成し、このバッグ枠68の外周を通風網布で被覆して構成し、バッグ口67を前支持枠17に接当させて閉口した状態で、搬送風は網布のメッシュ部から排出させて搬入芝草を収容することができる。又、収容芝草は、コレクタバッグ66の上方に突出のハンドルレバー69を操作して反転支軸65周りに後方上部へ回動することにより、このバッグ口67を下向きに開いて、収容している芝草を落下排出することができる。70は、このコレクタバッグ66の上側を覆うカバーである。
【0033】
前記コレクタバッグ66を芝草収容姿勢位置にして、供給口21からコレクタバッグ66内に搬入される芝草は、前支持枠17の凹部18面で仕切られているため、この凹部18前側のリヤケース5部等への芝草の漏出接触はなく、直接の塵埃飛散を防止する。この前支持枠17の凹部18は、前記リヤケース5と、この下側のプーリ50部をも嵌合して広く覆う形態としている。そして、できるだけ深く嵌合することによって、コレクタ16を車体1に接近させて、コレクタ16の後方への突出を小さくすることができる。又、この凹部18のコレクタバッグ66内上側面71は下り傾斜面に形成して、排出作用時に残留芝草のないように形成することができる。
【0034】
前記コレクタ16は、前支持枠17に対して縦支軸80,80回りに横方向に回動すべく構成する回動枠81に設けている。即ち、車体1の後部に補強構造の後部枠82を装着し、この後部枠82は側面視において上方が下方に対して前側にやや変位した傾斜姿勢に設け、ボルト等で左右の主フレーム83,83に対して着脱自在に設ける。そして後部枠82に沿ってコレクタ取付フレーム84を取り付ける。このコレクタ取付フレーム84の一側には支持筒80a,80aを上下2段に設け、前記縦支軸80,80を貫通して支持できる構成である。こうして、回動枠81は上下の縦支軸80,80の共通軸芯P回りに回動できる構成である。なお、この回動枠81に、前記支持アーム67の基部を固着してバッグ枠68を装着する構成である。
【0035】
前記コレクタ取付フレーム84と回動枠81との間であって、前記縦支軸80とは反対側には回動規制手段Lを設ける。該回動規制手段Lは、コレクタ取付フレーム84側の規制プレート84a,84aと、回動枠81側の規制プレート81a,81aとを接近状態で重合可能に設け、この重合状態時に上方から貫通するロック棒85を両規制プレート81a,84aに嵌合することによって回動枠81が縦支軸80周りに回動するのをロックする構成である。
【0036】
前記回動枠81にはコレクタ61へのダクト22の後端部に対向する矩形の開口部81aを備えて、縦支軸80回りに回動枠81が接近するとこの開口部81aのダクト22後端部が嵌入し、離反回動するとダクト22後端部は開口部81aから離脱する構成である。
【0037】
このように、回動支軸となる縦支軸80をコレクタ取付フレーム84の一側に設け、回動枠81を装着し、回動枠81とコレクタ取付フレーム84の間には回動規制手段Lを設ける構成であるから、回動枠81を回動操作して車体1後方を広く開放することによりダクト22内の清掃作業を容易に行うことができる。
【0038】
86はダクト22の底部に設けるクリーナ板87をリンク機構88を介して連動することで起立姿勢に変更して底部に溜まる芝草をコレクタ16内に移行させるクリーナ用レバーであり、その回動支軸部86aはコレクタ取付フレーム84の上部枠部にブラケットを介して装着する構成である。
【0039】
また、コレクタ16を反転支軸65回りに昇降操作する反転レバー69を回動枠81の一側に設けるブラケット部材89に設けている。90は反転支軸65と一体的な回動部材と回動枠81との間に介在するコレクタ16上昇補助用ダンパーである。
【0040】
上記のように、コレクタ取付フレーム84の一側(図例では左側)にはクリーナ用レバー86を設け、回動枠81側にはこのクリーナ用レバー86とは反対側(同右側)に反転レバー69を設けることにより、反転レバー69がコレクタ16と一体的に回動枠81と共に開放されることとなってダクト後端のメンテナンスが容易となる。
【0041】
図8に示す構成は、回動規制手段Lの代替構成を示し、縦支軸80とは反対側にU字状の固定金具93を脚の長い側93aを車体1フレームにバネ94を介してその長手方向に摺動自在に装着し、脚の短い側93bを前記回動枠81に形成した係止凹部81cに係脱させてロックし、または非ロック状態とする構成である。
【0042】
上記のように構成した回動規制手段とすると、固定金具93の連結部93cを把持してバネ94に抗して引き操作することによって回動枠81は回動可能になり手を離すとバネ94によって係止凹部81cに合致させ係合することによって回動を規制するため、操作が容易である。
【0043】
図9に示す構成は、前記反転レバー69の改良に関する。回動枠81と一体の支持アーム64に対して上下に間隔をおいて保持挿通孔64a,64aを形成し、通常は押し下げて把持部を低く押し下げ、反転操作を行うときは把持部を引き上げ得る反転レバー69とするが、該反転レバー69を上下に分割構成し、上側部69aを下側部69bに対して引き抜き得る構成とし、該上側部69aを下側部69bに対して取り外しておくことにより、カバー70側部を貫通する反転レバー69がなく、カバー70の開閉に支障がない効果を有する。
【0044】
なお、図10に示すように、反転レバー69を上下に分割し、下側部69cに対して上側部69dを押し下げることによって二重構造の収容状態とし、上側部69dを引き上げることで伸長状態として反転操作を行うことができる。このように構成することによっても、カバー70の側部を貫通する反転レバー69が邪魔になることなく上方に開けることができる。また、図9、図10のように構成すると、反転レバー69をコレクタ頂部以下に収納した状態でバッグ枠68を何等張り出し物がない状態で、取り外すことができる。
【0045】
95はコレクタ16の上昇を規制するロック機構で、前記回動枠81に設けたフック96をバッグ枠68側のロックピン97に係脱させることによってロック状態または非ロック状態に切り替える。フック96の作動は手動操作によるか、あるいは反転レバー69の操作に連動させる形態でもよい。
【0046】
図11は左右にロック機構を構成する場合の改良例を示し、左右のフック96L,96Rを連結する連結ロッド98を設けるに、該連結ロッド98がコレクタ16のバッグ枠68の下方を迂回して連動連結しあう構成としている。このように構成すると、バッグ枠68の下方を迂回するものであるから、前記回動枠81が縦支軸80回りに回動する際、この連結ロッド98を共に連れて回動移動させることができ、回動の際、連結ロッド98を着脱する必要がなく迅速に行うことができる。
【0047】
なお、図11には、前記反転レバー69に代替して、伸縮シリンダ機構100によりコレクタ16を反転させる構成としている。伸縮シリンダ機構100は、油圧シリンダ機構、電動シリンダ機構等によるが、ピストン100a側がバッグ枠68に、シリンダ100b基部側が回動枠81と一体の部材に連結されている。したがって、伸縮シリンダ機構100の伸出作動によってコレクタ16を反転姿勢とする。また、伸縮シリンダ機構100の短縮側作動によって作業状態に復帰できる。なお、伸縮シリンダ機構100の伸縮作動はフェンダ上面のスイッチ(図示せず)で行われる。
【0048】
前記伸縮シリンダ機構100は、図11におけるように左右両側に設けてもよいが、左右一方に設けてもよい。この場合には、縦支軸80の存在する一側(図例では進行方向左側)に伸縮シリンダ機構100を配設している。このように構成すると、伸縮シリンダ機構100への油圧配管、ハーネス類を配索する際、他側は横回動により大きく移動するが当該縦支軸80側はほとんど移動しないためこれら油圧配管、ハーネス類の余裕代を少なくし、回動時における配索上のトラブルを解消できる(図12)。
【0049】
図13〜図15は、反転回動時、コレクタ16のバッグ枠68を更に上昇させて後方からのメンテナンスの容易化を図るものであり、図13の構成は、バッグ枠68を反転姿勢で保持するダンパー90の回動枠81側取付下端に、調整レバー101を備えることにより、高さ変更手段Mを構成したものである。即ち、回動枠81側の支軸中心に上下に回動自在な調整レバー101にダンパー90下端を枢着する。この調整レバー101は、中間のピン挿通孔102を備え、回動枠81側ブラケット103の複数の調整孔への係合によって上下位置を変更できる構成としている。このため標準位置では通常の反転及び復帰動作を行ない、バッグ枠68の反転時に調整レバー101の係合位置を上げて固定することにより、図13の高さh分上昇する。これによって、反転時の全体高さはh1からh2にかさ上げでき、後方からのメンテナンスが容易となる。
【0050】
図14は高さ変更手段Mの別構成を示す。即ち、ダンパー90の下端側取付基部に屈折リンク104を構成し、該屈折リンク104のダンパー90下端との枢着点において、この枢着部を前後に案内してダンパー90と屈折リンク104とが屈折姿勢(イ)から支点越えして略直線状(ロ)となるようカム部材105を設ける。106は支点越え用バネである。通常は屈折姿勢(イ)に設定しておき、反転時にはダンパー90自体を後方から前方に押すなどして直線状(ロ)に変更する。このようにして追加の高さhを確保できる。この例の場合には、手動操作で容易に屈折姿勢(イ)から略直線状(ロ)になることができる。
【0051】
図15は、ダンパー90の上部側に改良を加えている。即ち、ダンパー90と上部の屈折リンク107とを屈折状態又は略直線状態に構成するものである。屈折リンク107一端はバッグ枠68と一体のブラケット108に枢着され、他端はダンパー90上端に回動自在に枢着連結されている。また、屈折リンク107の中間部にはバネ109で付勢された係止ピン110が設けられ、前記ブラケット108に設けた複数の係止孔に係脱することにより、屈折リンク107がダンパー90に対して屈折する標準状態と略直線状となる展開状態とに切り替わる構成である。
【0052】
したがって、標準状態で反転レバー69によって反転又は復帰動させると共に、反転状態において、展開させることにより追加高さhを確保できる。この構成では、ダンパー90の上部に構成するものであるから、屈折リンク107の係止ピン110の着脱操作が行い易い。
【符号の説明】
【0053】
13 モーアデッキ
16 コレクタ
22 ダクト
65 反転支軸
69 反転レバー
80 縦支軸
81 回動枠
84 コレクタ取付フレーム
86 クリーナ用レバー
87 クリーナ板
88 リンク機構
89 ブラケット部材
100 伸縮シリンダ機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーアデッキ(13)から後方に延出するダクト(22)を設け該ダクト(22)の後端を車体後部に装着するコレクタ(16)に接続する芝刈機において、車体後部にコレクタ取付フレーム(84)を固定し、このコレクタ取付フレーム(84)の一側には回動枠(81)を縦軸芯(P)周りに回動する縦支軸(80,80)を設け、コレクタ取付フレーム(84)と回動枠(81)との間であって前記縦支軸(80,80)とは反対側に回動枠(81)の前記回動を規制する回動規制手段(L)を構成したことを特徴とする芝刈機の集草装置。
【請求項2】
コレクタ(16)を反転支軸(65)回りに昇降操作する反転レバー(69)を回動枠(81)の一側に設けるブラケット部材(89)に支持させてなる請求項1記載の芝刈機の集草装置。
【請求項3】
コレクタ取付フレーム(84)の一側に、ダクト(22)の底部に設けるクリーナ板(87)をリンク機構(88)を介して連動することで起立姿勢に変更して底部に溜まる芝草をコレクタ(16)内に移行させるクリーナ用レバー(86)を設け、回動枠(81)側にはこのクリーナ用レバー(86)とは反対他側に前記反転レバー(69)を設けてなる請求項1記載の芝刈機の集草装置。
【請求項4】
伸縮シリンダ機構(100)によりコレクタ(16)を反転させる構成とし、前記伸縮シリンダ機構(100)を、前記縦支軸(80)の存在する側に配設させた請求項1記載の芝刈機の集草装置。
【請求項1】
モーアデッキ(13)から後方に延出するダクト(22)を設け該ダクト(22)の後端を車体後部に装着するコレクタ(16)に接続する芝刈機において、車体後部にコレクタ取付フレーム(84)を固定し、このコレクタ取付フレーム(84)の一側には回動枠(81)を縦軸芯(P)周りに回動する縦支軸(80,80)を設け、コレクタ取付フレーム(84)と回動枠(81)との間であって前記縦支軸(80,80)とは反対側に回動枠(81)の前記回動を規制する回動規制手段(L)を構成したことを特徴とする芝刈機の集草装置。
【請求項2】
コレクタ(16)を反転支軸(65)回りに昇降操作する反転レバー(69)を回動枠(81)の一側に設けるブラケット部材(89)に支持させてなる請求項1記載の芝刈機の集草装置。
【請求項3】
コレクタ取付フレーム(84)の一側に、ダクト(22)の底部に設けるクリーナ板(87)をリンク機構(88)を介して連動することで起立姿勢に変更して底部に溜まる芝草をコレクタ(16)内に移行させるクリーナ用レバー(86)を設け、回動枠(81)側にはこのクリーナ用レバー(86)とは反対他側に前記反転レバー(69)を設けてなる請求項1記載の芝刈機の集草装置。
【請求項4】
伸縮シリンダ機構(100)によりコレクタ(16)を反転させる構成とし、前記伸縮シリンダ機構(100)を、前記縦支軸(80)の存在する側に配設させた請求項1記載の芝刈機の集草装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−177038(P2011−177038A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42017(P2010−42017)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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