説明

芯ズレ修正装置

【課題】他方体が安価に製造できるばかりでなく、装置全体としての製造コストの削減を可能にする芯ズレ修正装置を提供する。
【解決手段】上方柱体P2に連設のエレクションピースE2に連繋される一方体1と、下方柱体P1に連設のエレクションピースE1に連繋される他方体2と、一方体と他方体との間における水平方向の相対位置を変更する相対移動機構3とを有し、一方体が上方柱体に連設のエレクションピースE2の上端部に引掛け部11を引掛けてエレクションピースE2に吊持される一方で、他方体がエレクションピースE1の上端部に係止部22を係止させ、他方体の係止部から延設する軸部21が一方体の引掛け部から垂設される本体部12に開穿の透孔12aを貫通した状態で一方体および他方体に相対移動機構が連繋されてなる芯ズレ修正装置において、係止部および軸部をそれぞれ別部材で形成し、軸部を断面円形状のロッド体で形成して係止部に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芯ズレ修正装置に関し、特に、鉄骨製の柱体を建込む際に上下の柱体における水平方向の芯ズレを修正する芯ズレ修正装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の芯ズレ修正装置としては、たとえば、特許文献1に示すものを例示でき、この芯ズレ修正装置は、図6に示すように、一方体1と他方体2とを有すると共に、一方体1と他方体2の相対位置を相対移動機構3の作動で修正するとし、一方体1が上方柱体P2の下端部に配在のエレクションピースE2に連繋されるとし、他方体2が下方柱体P1の上端部に配在のエレクションピースE1に連繋されるとする。
【0003】
上記の一方体1は、エレクションピースE2の上端部に引掛けられる引掛け部11を有すると共に、この引掛け部11から垂下されてエレクションピースE2の下端側に端面が当接される本体部12を有し、さらには、この本体部12に他方体2の軸部21を貫通させる透孔12aを有している。
【0004】
上記の引掛け部11は、エレクションピースE2の上端部を内側に臨在させる下向きU字状に形成され、このとき、エレクションピースE2の肉厚が区々となっても対応できるように、エレクションピースE2の上端部を臨在させる、すなわち、遊嵌させる空部Aが余裕を持った大きさに形成されている。
【0005】
また、一方体1は、本体部12に繋ぎ部材13が連結されてなり、この繋ぎ部材13の軸芯部に開穿の透孔13a内にも上記した他方体2における軸部21を挿通させる。
【0006】
上記の他方体2は、上記の一方体1がいわゆる板状に形成されることに比較して、いわゆる棒状に形成され、先端部にエレクションピースE1の上端部に係止される係止部22を有する。
【0007】
このとき、この係止部22は、エレクションピースE1の上端部に係止されるべく、アングル状に形成されているのみで、上記した一方体1における引掛け部11のごとくに、エレクションピースE2の上端部を遊嵌させるべく、下向きU字状に形成されてはいない。
【0008】
上記の他方体2にあっては、後述するように、他方体2の軸部21が一方体1における本体部12に開穿の透孔12aを貫通して連繋状態におかれるときに、他方体2の係止部22とこの係止部22が対向する一方体1の本体部12との間にエレクションピースE1の上端部を遊嵌させる空隙Sが形成される。
【0009】
そして、この芯ズレ修正装置にあっては、一方体1に他方体2を連繋させ、さらに、一方体1および他方体2に相対移動機構3を連繋させたいわゆる組み上げ状態で、図7中に仮想線図で示すように、上下のエレクションピースE2,E1の突出端に向けてエレクションピースE2,E1の突出方向上からこの芯ズレ修正装置を接近させ、連繋させることを可能にする。
【0010】
一方、上記した他方体2にあっては、軸部21の基端側をロッド状に形成された連結部23としており、この連結部23を相対移動機構3における軸芯部を挿通するようにしてこの相対移動機構3に連結し、この相対移動機構3は、油圧利用のジャッキからなる。
【0011】
それゆえ、この連結部23、すなわち、他方体2がこの相対移動機構3に引き寄せられるようになると、この他方体2が一方体1に対して相対移動する。
【0012】
すなわち、他方体2は、言わば固定側となる下方柱体P1におけるエレクションピースE1に連繋しているから、上記の相対移動で言わば可動側となる上方柱体P2におけるエレクションピースE2に連繋している一方体1が移動する。
【0013】
以上のように形成された芯ズレ修正装置は、たとえば、図7に示すように、図示しない下方柱体の上端部と上方柱体P2の下端部とからなる連結部において、二基をいわゆる同一方向にセットすると共に、他方体2を図中に矢印aで示すように移動させると、同じく図中に矢印bで示すように上方柱体P2が反対方向に移動し、位置ズレ、すなわち、芯ズレを修正する。
【0014】
そして、図8に示すように、図示しない下方柱体の上端部と上方柱体P2の下端部とからなる連結部において、二基をいわゆる反対方向にセットすると共に、図示しない他方体2を図中に矢印aで示すように移動させると、同じく図中に矢印cで示すように上方柱体P2が軸芯を中心にして回転し、回転方向の位置ズレを修正する。
【0015】
したがって、この芯ズレ修正装置によれば、一方体1および他方体2をそれぞれの相応するエレクションピースE1、E2に連繋させた状態で相対移動機構3を作動させることで、上方柱体P2の下方柱体P1に対する水平方向の芯ズレを修正することが可能になり、このとき、一方体1の引掛け部11は、上方柱体P2のエレクションピースE2の上端部に引掛けられ、他方体2の係止部22は、下方柱体P1のエレクションピースE1の上端部に係止され、さらに、相対移動機構3は、一方体1および他方体2に連繋されるから、この芯ズレ修正装置を所定位置に連繋する作業を容易にできると言う優れた効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004‐360443公報(明細書中の段落番号0034から同0070,図1から図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記した芯ズレ修正装置にあっては、特に、問題がある訳ではないが、以下に示す課題が生じる場合がある。
【0018】
すなわち、上記した構成では、他方体2が下方柱体P1のエレクションピースE1の上端部に係止される係止部22と、一方体1の本体部12に開穿された透孔12aを貫通する軸部21とからなるL字状に形成されているので、構造上、芯ズレ修正作業時には偏芯による曲げモーメントを受ける。
【0019】
このため、長年の使用等によって他方体2が曲がったり、壊れたりしないように他方体2自体の強度を向上させる必要があり、角材を切削して形成するのが一般的である。
【0020】
したがって、上記の他方体2は、断面が矩形状の板材となると共に、本体部12に開穿される透孔12aも当然、断面矩形状や長孔となるので、切削コストが大変嵩む。
【0021】
また、他方体2を大型化したり、焼入れ加工を施したりすることでも、他方体2自体の強度を上げているので、さらに製造コストが嵩む。
【0022】
特に、上記の相対移動機構3として、油圧利用のジャッキや、ネジ構造のジャッキを使用する場合には、他方体2の上記軸部21を断面真円状に加工しなければならないので、さらに製造コストが嵩む。
【0023】
以上より、上記他方体2に製造コストが嵩むことで、芯ズレ修正装置自体の製造コストも嵩むと言う問題点が発生する。
【0024】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、他方体が安価に製造できるばかりでなく、装置全体としての製造コストを削減でき、その汎用性の向上を期待するのに最適となる芯ズレ修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記した目的を達成するために、この発明による芯ズレ修正装置の構成を、基本的には、上方柱体に連設のエレクションピースに連繋される一方体と、下方柱体に連設のエレクションピースに連繋される他方体と、一方体および他方体に連繋されて一方体と他方体との間における水平方向の相対位置を変更する相対移動機構とを有し、上記一方体が上方柱体連設のエレクションピースにおける上端部に引掛け部を引掛ける状態にしてこのエレクションピースに吊持される一方で、上記他方体が下方柱体に連設のエレクションピースにおける上端部に係止部を係止させると共に、他方体における係止部から延設される軸部が一方体における引掛け部から垂設される本体部に開穿の透孔を貫通した状態で一方体および他方体に相対移動機構が連繋されてなる芯ズレ修正装置において、上記係止部および軸部をそれぞれ別部材で形成すると共に、上記軸部を断面円形状のロッド体で形成して上記係止部に取付けてなるとする。
【発明の効果】
【0026】
それゆえ、この発明によれば、他方体を構成する係止部および軸部を、それぞれ別部材で形成すると共に、上記の軸部を断面円形状のロッド体で形成して上記の係止部に取付けたので、軸部をたとえば、市販の寸切ボルトを使用することができて安価に製造可能となる。
【0027】
また、上記の軸部を断面円状のロッド体としたことで、一方体における引掛け部から垂設される本体部に開穿の透孔や、相対移動機構との連携部も断面円形状の孔部にすることができるので、通常のボール盤等を使った孔加工で済み、その分、製造コストをさらに削減することができる。
【0028】
さらには、芯ズレ修正作業時には、上記の軸部は、軸力のみを負担することになるので、従来例で示したような焼入れ加工や、大型化が不要となり、その分、製造コストをさらに削減することができる。
【0029】
したがって、他方体自体が安価に製造できるばかりでなく、芯ズレ修正装置全体としての製造コストを削減することができ、ひいては、安価に芯ズレ修正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態による芯ズレ修正装置を上方柱体に連設のエレクションピースと、下方柱体に連設のエレクションピースとに連繋させた状態を示す正面図である。
【図2】図1における側面図である。
【図3】図1における平面図である。
【図4】この発明による芯ズレ修正装置の一利用状態を柱体の横断面越しに原理的に示す図である。
【図5】この発明による芯ズレ修正装置の他の利用態様を図4と同様に示す図である。
【図6】従来例の芯ズレ修正装置を上方柱体と下方示とに連繋した状態を示す正面図である。
【図7】図6の芯ズレ修正装置における一利用状態を柱体の横断面越しに原理的に示す図である。
【図8】図6の芯ズレ修正装置における他の利用態様を図7と同様に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、図示するところでは、この発明が、下方柱体の上端部と、この下方柱体に上方から継がれる上方柱体の下端部とに連繋されて上方柱体の下方柱体に対する芯ズレ、すなわち、水平方向の芯ズレを修正する芯ズレ修正装置に具体化される。
【0032】
すなわち、この発明による芯ズレ修正装置は、図1に示すように、上方柱体P2に連設のエレクションピースE2に連繋される一方体1と、下方柱体P1に連設のエレクションピースE1に連繋される他方体2と、一方体1および他方体2に連繋されて一方体1と他方体2との間における水平方向の相対位置を変更する相対移動機構3とを有してなる。
【0033】
そして、上記の一方体1が上方柱体P2に連設のエレクションピースE2における上端部に引掛け部11を引掛ける状態にしてこのエレクションピースE2に吊持される一方で、上記の他方体2が下方柱体P1に連設のエレクションピースE1における上端部に係止部22を係止させる。
【0034】
そしてまた、他方体2における係止部22から延設される軸部21が一方体1における引掛け部11から垂設される本体部12に開穿の透孔12aを貫通した状態で一方体1および他方体2に相対移動機構3が連繋されてなる。
【0035】
その一方で、この芯ズレ修正装置は、上記の係止部22および軸部21をそれぞれ別部材で形成すると共に、上記軸部21を断面円形状のロッド体で形成して上記係止部22に取付けている。
【0036】
以下、さらに詳述すると、上記の下方柱体P1および上方柱体P2は、多くの場合に、上下方向に延びる軸線を横切る方向の断面が、たとえば、図4中および図5中に実線図で示すように、H形となる型鋼や、あるいは、同じく断面が、図4中および図5中に仮想線図で示すように、矩形となる型鋼からなる。
【0037】
そして、下方柱体P1の上端部および上方柱体P2の下端部における対向する二方(図4中および図5中の実線図参照)あるいはいわゆる四方(図4中および図5中の仮想線図参照)にはそれぞれ一枚の板状体からなるエレクションピースE1,E2が溶接などで一体に連設されている。
【0038】
このため、上記の芯ズレ修正装置は、具体的には、上記のエレクションピースE1,E2に連繋されることで、下方柱体P1の上端部と上方柱体P2の下端部とに連繋される。
【0039】
ちなみに、このエレクションピースE1,E2は、各柱体P1,P2におけるいわゆる平坦面に対して垂直になるように、また、このとき、軸線方向が各柱体P1,P2における軸線方向に沿う状態に配在される。
【0040】
なお、このエレクションピースE1,E2は、図示しないが、建入れ調整装置を利用するときにも利用され、また、このエレクションピースE1,E2は、その後に溶接などで下方柱体P1と上方柱体P2との一体性を保障する工法の場合には撤去されることもある。
【0041】
上記の一方体1は、エレクションピースE2の上端部に引掛けられる上端部たる引掛け部11を有すると共に、この引掛け部11から垂下されてエレクションピースE2の下端側に端面が当接される本体部12を有している。
【0042】
また、上記の本体部12には他方体2の軸部21を貫通させる断面真円状の透孔12aが穿設されている。
【0043】
そして、引掛け部11は、エレクションピースE2の上端部を内側に臨在させる下向きU字状に形成されており、このとき、エレクションピースE2の肉厚が区々となっても対応できるように、エレクションピースE2の上端部を臨在させる、すなわち、遊嵌させる空部Aが余裕を持った大きさに形成されている。
【0044】
ちなみに、この一方体1にあって、引掛け部11をエレクションピースE2の上端部に引掛けた状態のときに、本体部12の端面が対向するエレクションピースE2の下端側に当接されるとする設定によって、上記の本体部12に開穿の透孔12aをいわゆる水平状態に維持して、他方体2の軸部21をこの透孔12aに貫通する作業を容易にし得る点で利便性を増すことになる。
【0045】
なお、上記の引掛け部11については、図示するところでは、エレクションピースE2の上端部を遊嵌させる空部Aが余裕を持った大きさに形成されるとしているが、これによってエレクションピースE2との間にガタを生じることが危惧される場合には、図1に示すように、ボルト4を螺入させてその先端部を上記のエレクションピースE2に当接させることで、上記したガタをなくしたり、図示はしないが、ピンや楔を利用してガタをなくしたりしても良いことはもちろんである。
【0046】
ところで、この一方体1にあっては、図示するところでは、本体部12に繋ぎ部材13がボルト14止めによって連結されており、この繋ぎ部材13の軸芯部に開穿の断面真円状の透孔13a内にも上記した他方体2における軸部21を挿通させている。
【0047】
上記の他方体2は、上記の一方体1がいわゆる板状に形成されていることに比較して、上記したように係止部22および軸部21がそれぞれ別部材で形成されている。
【0048】
すなわち、上記の係止部22は、軸部21が貫通する貫通孔22aを備えると共に、軸部21は、先端にネジ部21aを有する断面真円状のロッド体にて形成されており、この係止部22の貫通孔22a内に軸部21を挿入して先端をナット21b止めすることで、軸部21を係止部22に取付ける。
【0049】
上記の係止部22は、その軸部21側に下方に延びる挟持部22bを備えた断面略U字状に形成されると共に、この挟持部22bには先端が上記下方柱体P1側のエレクションピースE1に圧接して上記係止部22とでこのエレクションピースE1を挟持する固定ボルト22cが螺入される。
【0050】
それゆえ、この他方体2にあっては、係止部22と軸部21が別部材で形成されることで、予めエレクションピースE1の上端部に配置した係止部22に対してその貫通孔22aを介して軸部21を挿入すると共に、その軸部21を一方体1の本体部12に開穿の透孔12aに挿通する作業によって、上記の係止部22をエレクションピースE1の上端部に係止させることが可能になる。
【0051】
ところで、この他方体2にあっては、他方体2の軸部21が一方体1における本体部12に開穿の透孔12aを貫通して連繋状態におかれるときに、図1に示すように、他方体2の係止部22とこの係止部22が対向する一方体1の本体部12との間にエレクションピースE1の上端部を遊嵌させる空隙Sが形成されている。
【0052】
このとき、上記の空隙Sの幅は、多くの場合に、前記した空部Aの幅より大きくなり、これによって、この空隙Sに下方のエレクションピースE1の上端部を臨在させる、すなわち、遊嵌させる作業を容易にする。
【0053】
そして、一方体1に対する他方体2の連繋ストロークが選択されることで、上記の空隙Sの幅を大きくできるから、上下のエレクションピースE2,E1における位置ズレの度合いが大きくても、この位置ズレ修正装置の配設を確実に具現化できる。
【0054】
以上からして、すなわち、前記した空部Aを有すること、および、上記の空隙Sを有することからして、この芯ズレ修正装置にあっては、一方体1に他方体2を連繋させ、さらに、一方体1および他方体2に相対移動機構3を連繋させたいわゆる組み上がり状態で、図4中に仮想線図で示すように、上下のエレクションピースE2,E1の突出端に向けてエレクションピースE2,E1の突出方向上からこの芯ズレ修正装置を接近させ、連繋させることが可能になる。
【0055】
一方、上記した他方体2にあっては、軸部21の基端側が連結部23とされており、この連結部23を相対移動機構3における軸芯部を挿通するようにして相対移動機構3に連結するようになっている。
【0056】
それゆえ、この連結部23、すなわち、他方体2がこの相対移動機構3に引き寄せられるようになると、この他方体2が一方体1に対して相対移動することになる。
【0057】
すなわち、他方体2は、言わば固定側となる下方柱体P1におけるエレクションピースE1に連繋しているから、上記の相対移動で言わば可動側となる上方柱体P2におけるエレクションピースE2に連繋している一方体1が移動することになる。
【0058】
このとき、本実施の形態では、一方体1および他方体2を相応するエレクションピースE1,E2に連繋するについて、引掛けや係止、すなわち、吊持させたり係止させたりする操作のみで足りるから、操作性に優れて迅速な段取りを実現し得ることになる。
【0059】
また、一方体1と他方体2との間における相対移動を可能にする相対移動機構3は、油圧利用のジャッキを使用しており、この油圧利用のジャッキは、外部に配在されてこのジャッキに接続されるハンドポンプ31からの油圧作用で伸縮するように設定されており、伸長作動時に他方体2を引き寄せるように移動させるとしている。
【0060】
上記のジャッキの先端部(図における右端を言う)には、丸ナット32が取付けられており、この丸ナット32と、上記本体部12の端部とにはこの芯ズレ修正装置の運搬を容易にするための運搬ひも33が取付けられている。
【0061】
なお、図示した実施形態では、この相対移動機構3として上記した油圧利用のジャッキを使用したが、これに代えて、作業者によるハンドル操作で伸縮されるネジ構造のジャッキや、ボルトナット構造等が使用されても良いことはもちろんである。
【0062】
ちなみに、相対移動機構3が作業者によるハンドル操作で伸縮するネジ構造のジャッキからなる場合には、この相対移動機構3が油圧利用のジャッキからなる場合に比較して、この芯ズレ修正装置におけるいたずらな嵩張りを回避できると共にこの芯ズレ修正装置を搬送する際の搬送性を向上させ易くなる点で有利となる。
【0063】
また、上記したボルトナット構造を採用する場合には、下方柱体P1および上方柱体P2が、本実施の形態とは異なる軽量鉄骨からなる場合に最適となる。
【0064】
上記のように構成された図示する実施形態の芯ズレ修正装置の作用を説明すると、たとえば、図4に示すように、図示しない下方柱体の上端部と上方柱体P2の下端部とからなる連結部において、二基をいわゆる同一方向にセットすると共に、他方体2を図中に矢印aで示すように移動させると、同じく図中に矢印bで示すように上方柱体P2が反対方向に移動し、位置ズレ、すなわち、芯ズレが修正される。
【0065】
そして、図5に示すように、図示しない下方柱体の上端部と上方柱体P2の下端部とからなる連結部において、二基をいわゆる反対方向にセットすると共に、図示しない他方体2を図中に矢印aで示すように移動させると、同じく図中に矢印cで示すように上方柱体P2が軸芯を中心にして回転し、回転方向の位置ズレを修正し得る。
【0066】
以上、詳述したように、図示する実施形態の芯ズレ修正装置においては、上記の他方体2を構成する係止部22および軸部21を、それぞれ別部材で形成すると共に、上記の軸部21を先端にネジ部21aを有する断面真円状のロッド体で形成し、その先端を上記の係止部22の貫通孔を貫通させてナット21b止めすることで、この軸部21を係止部22に取付けたので、軸部21をたとえば、市販の寸切ボルトを使用することができて安価に製造可能となる。
【0067】
また、上記の断面真円状のロッド体としたことで、本体部12に開穿の透孔12a、上記の繋ぎ部材13の軸芯部に開穿の透孔13aおよび上記の油圧ジャッキとの連携部も断面円形状の孔部にすることができるので、通常のボール盤等を使った孔加工で済み、その分、製造コストをさらに削減できる。
【0068】
また、芯ズレ修正作業時には上記軸部21は軸力のみを負担することになるので、従来例で示したような焼入れ加工や、大型化が不要となり、その分、製造コストをさらに削減することができる。
【0069】
したがって、他方体2自体が安価に製造できるばかりでなく、芯ズレ修正装置全体としての製造コストを削減することができ、ひいては、安価に芯ズレ修正装置を提供することができる。
【0070】
また、上記の丸ナット32と、上記の本体部12の端部との間に運搬ひも33を取付けたので、この芯ズレ修正装置を持ち運ぶ際にはこの運搬ひも33を持って運ぶことができ、運搬性が大変良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
芯ズレ修正装置における他方体が安価に製造できるばかりでなく、装置全体としての製造コストを削減するのに向く。
【符号の説明】
【0072】
1 一方体
2 他方体
3 相対移動機構
11 引掛け部
12 本体部
12a 透孔
21 軸部
21a ネジ部
22 係止部
22a 貫通孔
22b 挟持部
22c 固定ボルト
E1,E2 エレクションピース
P1 下方柱体
P2 上方柱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方柱体に連設のエレクションピースに連繋される一方体と、下方柱体に連設のエレクションピースに連繋される他方体と、一方体および他方体に連繋されて一方体と他方体との間における水平方向の相対位置を変更する相対移動機構とを有し、上記一方体が上方柱体連設のエレクションピースにおける上端部に引掛け部を引掛ける状態にしてこのエレクションピースに吊持される一方で、上記他方体が下方柱体に連設のエレクションピースにおける上端部に係止部を係止させると共に、他方体における係止部から延設される軸部が一方体における引掛け部から垂設される本体部に開穿の透孔を貫通した状態で一方体および他方体に相対移動機構が連繋されてなる芯ズレ修正装置において、上記係止部および軸部をそれぞれ別部材で形成すると共に、上記軸部を断面円形状のロッド体で形成して上記係止部に取付けたことを特徴とする芯ズレ修正装置。
【請求項2】
上記の係止部の上記軸部が貫通する貫通孔を備えてなる請求項1記載の芯ズレ修正装置。
【請求項3】
上記の軸部が先端にネジ部を有する断面真円状のロッド体からなる請求項1記載の芯ズレ修正装置。
【請求項4】
上記の係止部がその軸部側に下方に延びる挟持部を備えた断面略U字状に形成されると共に、この挟持部には先端が上記下方柱体側のエレクションピースに圧接して上記係止部とでこのエレクションピースを挟持する固定ボルトが螺入されてなる請求項1記載の芯ズレ修正装置。
【請求項5】
上記の相対移動機構が油圧利用のジャッキ、あるいは、ネジ構造のジャッキからなり、このジャッキの伸長作動時に一方体と他方体との間における相対移動を実現させてな請求項1に記載の芯ズレ修正装置。
【請求項6】
上記の本体部と、上記の相対移動機構との間に繋ぎ部材を介在させると共に、係止部に取付けられた軸部を、本体部に開穿の透孔と、繋ぎ部材に開穿の透孔とを貫通した状態で一方体および他方体に上記相対移動機構が連繋されてなる請求項1に記載の芯ズレ修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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