説明

芯材を有する押出し成形品

【課題】自動車のドア、トランク、バックドア、スライドドア等の車体の開口部周縁のフランジに装着する芯材を有する押出し成形品である。
【解決手段】押出し成形品1は、断面略U字状の芯材3の対向する側部7を連設する軟質の熱可塑性エラストマー組成物からなる受圧部4によって中空室5を形成し、該受圧部4の一部に薄い厚みの密封部9を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドア、トランク、バックドア、スライドドア等の車体の開口部周縁のフランジに装着するウェザーストリップ、トリム等の芯材を有する押出し成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア、トランク、バックドア、スライドドア等の車体の開口部周縁のフランジに装着するウェザーストリップ、トリム等の芯材を有する押出し成形品(1)は、図11のように長手方向に断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)外側に中空状シール部(2)を有する被覆層(8)とを一体成形し、該芯材(3)の内側には中空室(5)を形成した厚みが均一の受圧部(4)によって、水浸入防止や走行中の騒音等の防止の密封性の向上をはかっているが、図12のように押出し成形品(1)をフランジ端部(15)に弾性圧接して装着すると、受圧部(4)の厚みが均一のために受圧部(4)の全体が伸びて、受圧部(4)とフランジ側面部(16)に隙間(17)が生じ、フランジ端部(15)が完全な密封ができずに水が浸入する不具合が発生し、さらにフランジ先端部に錆が発生する問題点が発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平10−001002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献に開示された例では、図11のように受圧部(4)の厚みが均一のため、図12のように押出し成形品(1)をフランジ端部(15)に弾性圧接して装着すると受圧部(4)の全体が弾性変化して伸びて、受圧部(4)とフランジ側面部(16)に隙間(17)が生じるため、受圧部(4)がフランジ端部(15)およびフランジ側面部(16)を密封することが要望されている現状がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
芯材を有する押出し成形品(1)は、対向する側部(7)(7)および基部(6)からなる断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)の外側に被覆層(8)を形成し、該芯材(3)の内側には、対向する該側部(7)(7)を連設する軟質の熱可塑性エラストマー組成物からなる受圧部(4)によって上部に中空室(5)を形成し、該受圧部(4)には、中央または一部に該受圧部(4)の厚さより薄い厚みの密封部(9)を形成するものである。
【0006】
該受圧部(4)には、左右の一方に該受圧部(4)の厚さより薄い厚みの密封部(9)を形成するものである。
【0007】
該受圧部(4)には、両端を上方の該側部(7)(7)に沿って延長して、補助層(12)(12)を一体形成するものである。
【0008】
該芯材(3)には、内側の一部または全体に被覆層(8)を形成するものである。
【0009】
該受圧部(4)を形成する軟質の熱可塑性エラストマー組成物が、
(a)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/または、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその20〜80重量%が1,4−結合、及びその80〜20重量%が3,4−結合を有する所のブロック共重合体、又は該ブロック共重合体のイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されているところの水添ブロック共重合体。)
(b)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/または、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその70〜100重量%が1,4−結合を有する所のブロック共重合体、又は該イソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されている水添ブロック共重合体)45〜660重量部。
(c)曲げ弾性率が50〜1000MPaの結晶性オレフィン系樹脂10〜35重量部。
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤 220〜450重量部。
(e)水添石油樹脂 10〜180重量部。
からなることを特徴とする組成物である。
【0010】
受圧部(4)の軟質の熱可塑性エラストマー組成物が粘着性を有するものである。さらに、該受圧部(4)を形成する軟質の熱可塑性エラストマー組成物は、タイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が1〜20からなるものである。
また、受圧部(4)の一部にタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が20〜80の補強部(10)を形成するものである。
【発明の効果】
【0011】
従来のこの種の自動車の開口部周縁に装着する芯材を有する押出し成形品(1)のように、断面略U字状の芯材(3)の内側に中空室(5)を形成した厚みが均一の受圧部(4)が一体成形され、該受圧部(4)をフランジ端部(15)に弾性圧接して装着し、水浸入防止や走行中の騒音等の防止の密封性の向上をはかっているが、受圧部(4)の厚みが均一のため、受圧部(4)の全体が伸びてしまい、図12のように受圧部(4)とフランジ側面部(16)に隙間(17)が生じ、フランジ端部(15)が完全な密封ができずに水が浸入する不具合が発生し、さらにフランジ先端部に錆が発生する問題点が生じている。
本発明の押出し成形品(1)は、該芯材(3)の対向する側部(7)(7)を連設する受圧部(4)によって中空室(5)を形成し、該受圧部(4)の中央に薄い厚みの密封部(9)を形成することで、該押出し成形品(1)をフランジ端部(15)に弾性圧接して装着したとき、両端の厚い受圧部(4)より薄い厚みの該密封部(9)が柔軟に大きく伸びて、該密封部(9)がフランジ端部(15)およびフランジ側面部(16)を挟持し、フランジ側面部(16)の一部を密封することが可能になり、受圧部(4)とフランジ端部(15)との間が完全に密封され、水が浸入することがない効果と、フランジ先端部に錆が発生しない等の効果がある。
【0012】
該受圧部(4)の左右の一方に薄い厚みの密封部(9)を形成することで、フランジの先端位置が左右の片側寄りの設計にも充分に対応できる効果がある。
【0013】
該受圧部(4)には、両端を上方の該側部(7)(7)に沿って延長して、補助層(12)(12)を一体形成することで、受圧部(4)と芯材(3)の熱融着する面積が増えるので、該受圧部(4)を強固に一体成形する効果がある。
【0014】
さらに、該芯材(3)の内側の一部または全体に被覆層(8)を形成することで、芯材(3)と被覆層(8)の熱融着する面積が増えて強固に一体成形する効果がある。
【0015】
また、受圧部(4)の軟質の熱可塑性エラストマー組成物が粘着性を有することで、密封部(9)がフランジ端部(15)およびフランジ側面部(16)の一部を粘着して、水浸入防止や走行中の騒音等の浸入防止の密封性の効果が高められる。
【0016】
さらに受圧部(4)を形成する軟質の熱可塑性エラストマー組成物は、タイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が1〜20からなり、該密封部(9)が柔軟性に優れているため簡単に伸びると云う効果がある。
また、該密封部(9)を除く受圧部(4)の少なくとも一緒にタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が20〜80の熱可塑性エラストマーからなる補強部(10)を形成することで、薄い厚みの該密封部(9)の部分だけがさらに簡単に伸びると云う効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の芯材を有する押出し成形品の縦断側面図である。
【図2】 同じく本発明の押出し成形品を車体開口部周縁のフランジに装着した状態を示す縦断側面図である。
【図3】 本発明の受圧部の一方に薄い厚みの密封部を形成した縦断側面図である。
【図4】 本発明の受圧部の両端を上方の側部に沿って補助層を延長した縦断側面図である。
【図5】 本発明の芯材の内側全体に被覆層を形成した縦断側面図である。
【図6】 本発明の芯材を有する押出し成形品のその他の実施例の縦断側面図である。
【図7】 本発明の芯材の基部と側部に切除部を形成した斜面図である。
【図8】 同じく本発明の芯材の基部と側部に切除部を互い違いに形成した斜面図である。
【図9】 本発明の芯材を有する押出し成形品を使用した水漏れ試験をした状態の縦断側面図である。
【図10】 本発明の押出し成形品の製造工程を示す側面図である。
【図11】 従来品の押出し成形品の縦断側面図である。
【図12】 同じく従来品の押出し成形品をフランジに装着した状態の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態として図面について説明すると、図1に示すものは、自動車のドア、トランク、バックドア、スライドドア等の車体の開口部周縁のフランジに装着するフランジに装着する芯材を有する押出し成形品(1)の請求項1で述べている断面図を示すもので、押出し成形品(1)は、対向する側部(7)(7)および基部(6)からなる断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)の外側に被覆層(8)を形成し、該芯材(3)の内側には、対向する該側部(7)(7)を連設する軟質の熱可塑性エラストマー組成物からなる受圧部(4)によって上部に中空室(5)を形成し、該受圧部(4)には、中央に該受圧部(4)の厚さより薄い厚みの密封部(9)が形成されている。また、密封部(9)の厚みは受圧部(4)の厚みの2/3以下が好ましい。より好ましくは密封部(9)の厚みは受圧部(4)の厚みの1/2以下が好ましい。
さらに、図6に示すように、受圧部(4)の中央の下側を除去して薄い厚みの密封部(9)を形成することもある。
また、押出し成形品(1)をフランジ(14)に装着するために、芯材(3)の側部(7)(7)の内側には対向する保持片(11)(11)が形成され、該保持片(11)(11)は必要に応じて非対称または対称の数量や、形状の大小に設計することができる。
さらに、中空状シール部(2)は該芯材(3)の基部(6)または側部(7)の外側の所望する位置に形成され、中空状シール部(2)の形状は必要に応じて角形、円形、楕円形等のさまざまな各種の形状によって形成されている。
【0019】
図2に示すものは、図1の押出し成形品(1)を車体開口部周縁の車体パネル(13)のフランジ(14)に装着した状態を示し、該密封部(9)が大きく伸びてフランジ端部(15)およびフランジ側面部(16)を挟み込んでいる。
【0020】
図3に示すものは、請求項2で述べている断面図を示すもので、該受圧部(4)の左右の一方に薄い厚みの密封部(9)を形成されている。
【0021】
図4に示すものは、請求項3で述べている断面図を示すもので、該受圧部(4)には、両端を上方の該側部(7)(7)に沿って延長して補助層(12)(12)を一体形成されている。補助層(12)(12)は中空室(5)の周囲の一部または全体に形成されている。
【0022】
図5に示すものは、請求項4で述べている断面図を示すもので、該芯材(3)の内側の全体に被覆層を形成するもので、該芯材(3)の内側の一部だけに被覆層(8)を形成することもある。さらに、請求項8で述べている補強部(10)が受圧部(4)に形成している。また、図6の如くに被覆層(8)を側部(7)に熱融着せず非熱融着部(19)を形成することもある。
【0023】
図7、図8に示すものは、本発明の押出し成形品(1)の芯材(3)の実施例を示すもので、図7は芯材(3)の左右側部(7)(7)および基部(6)に切除部(18)(18)を相対向する位置に形成し、図8に示すものは、本発明の芯材(3)の基部(6)および側部(7)(7)に切除部(18)(18)を互い違いの位置に形成される。
【0024】
また、図9は、本発明の押出し成形品(1)を使用した水漏れ試験の試験方法の断面の概略を示し、押出し成形品(1)を金属製の実験用水槽(33)に組みつけて、受圧部(4)が押圧され、水(32)を実験用水槽(33)の内側および中空状シール部(2)の高さの途中までに満たした断面を示しているものである。符号(34)は水槽外部を示すものである。
【0025】
図10に示すものは、本発明の硬質合成樹脂からなる芯材(3)の押出し成形と熱可塑性エラストマーからなる被覆層(8)と受圧部(4)の押出し成形を連続した製造方法の実施例を示したもので、第1押出し成形機(21)に硬質合成樹脂を注入し、第1金型ダイス(22)によって断面略U字状の芯材(3)を形成し、その後、第1冷却水槽(23)を通過後に引取ローラー(24)を経て、切除機(25)によって断面略U字状の芯材(3)の側部(7)(7)および基部(6)の一部に図7、図8に示す如く各種形状の切除部(18)(18)を所望する形状に切除される。
その後、第2金型ダイス(29)の内部に注入管(30)により進入し、第2押出し成形機(26)に注入した被覆層(8)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマーと、第3押出し成形機(27)に注入した中空状シール部(2)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマーと第4押出し成形機(28)に注入した受圧部(4)を形成する溶融状態の熱可塑性エラストマー組成物が該第2金型ダイス(29)の内部で、熱融着によって一体成形される。その後第2冷却槽(31)を通過する。
【0026】
さらに、図11に示すものは、従来の芯材を有する押出し成形品(1)の断面を示し、受圧部(4)の厚みが均一に形成され、図12に示すものは、図11の芯材を有する押出し成形品(1)がフランジ(14)に装着し、受圧部(4)の厚みが均一のために、受圧部(4)とフランジ側面部(16)に隙間(17)が発生している状態を示したものである。
【0027】
そして、受圧部(4)を形成する軟質の熱可塑性エラストマー組成物の成分が、成分(a):芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/または、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその20〜80重量%が1,4−結合、及びその80〜20重量%が3,4−結合を有する所のブロック共重合体、または該ブロック共重合体のイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されているところの水添ブロック共重合体。)
成分(b):芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/または、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその70〜100重量%が1,4−結合を有する所のブロック共重合体、又はイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されている水添ブロック共重合体)45〜660重量部。
成分(c):曲げ弾性率が50〜1000MPa、好ましくは50〜700MPaの結晶性オレフィン系樹脂 10〜35重量部。
成分(d):非芳香族系ゴム用軟化剤 220〜450重量部。
成分(e):水添石油樹脂 10〜180重量部。
からなる熱可塑性エラストマー組成物によって形成される。
【0028】
また、受圧部(4)が粘着性を有する熱可塑性エラストマーによって形成される。
【0029】
さらに、受圧部(4)がタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が1〜20の軟質の熱可塑性エラストマー組成物によって形成される。
【0030】
また、薄い厚みの密封部(9)をより効果的に伸ばすために、該密封部(9)を除いた受圧部(4)の少なくとも一部にタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が20〜80の熱可塑性エラストマーからなる補強部(10)が形成され、例えば、被覆層(8)の熱可塑性エラストマーによって補強部(10)が形成される。
【0031】
そして、押出し成形品を構成する材料の例としては、断面略U字状の芯材(3)は硬質合成樹脂からなり、硬質合成樹脂としてはタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が85以上のオレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂にタルク等の粉体を20〜50重量%混合した混合合成樹脂によって形成される。
さらに、被覆層(8)はタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が40〜85のオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはその発泡体、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはその発泡体によって形成され、また中空状シール部(2)はタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が20〜60のオレフィン系熱可塑性エラストマーまたはその発泡体によって形成される。
【実施例】
【0032】
以下に本発明の請求項5による受圧部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物の実施例および比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例および比較例で使用した材料および試験方法は以下の通りである。
【0033】
材料
成分(a):
水添SIS:ハイブラー7125(クラレ株式会社製)
スチレン含有量:20重量% , イソプレン含有量;80%
水素添加率0%
成分(b):
SEEPS:セプトン4077(クラレ株式会社製)
スチレン含有量:30重量% , イソプレン含有量:70%
水素添加率90%以上
数平均分子量 260,000
重量平均分子量320,000
成分(c):
PP:実施例 FX4E(日本ポリプロ株式会社製)
ポリプロピレン,MFR 5.3g/10min,曲げ弾性率 650MPa
比較例 EA9(日本ポリプロ株式会社製)
ポリプロピレン,MFR 0.5g/10min,曲げ弾性率 1800MPa
成分(d):
パラフィンオイル:PW−90(商品名、出光興産社製)、n−パラフィン系オイル、重量平均分子量540、40℃における動的粘度95.54cSt、100℃における動的粘度11.25cSt、流動点−15℃、引火点(COC)270℃
成分(e):
水添石油樹脂:アイマープ P140(出光石油化学株式会社製)
C5−芳香族系共重合水素添加樹脂
上記実施例は、各成分を一括で溶融混練した。溶融混練条件は、次の通りであった。2軸系押出機(L/D=47)を使用し、混練温度160℃〜240℃及びスクリュー回転数100rpm。得られた樹脂組成物について上記した試験を行い、その結果を表1に示す。
比較例10
TPS:スチレン系樹脂
リケンテクノス株式会社製 レオストマー LJ−1040N
比較例11
TPO:オレフィン系樹脂
リケンテクノス株式会社製 マルチューズレオストマー LE−3140N
【0034】
試験方法
(1)硬さ:JIS K6253(15秒後値)に準拠し、6mm厚のプレスシートを試験用として用い、タイプAデュロメータ硬さにて測定を行った。
(2)圧縮永久ひずみ(%):JIS K6262に準拠し、プレス成形によって得られた直径:13mm、厚さ:6.3mmの円柱状の試験片を使用した。試験条件は、圧縮率26%、70℃×22時間とした。
(3)粘着力(N/100mm幅):塗装板(板厚3mm×100mm長さ)に1mm厚のプレスシートをセットし、荷重500gを加える。23℃×24時間後に引張試験機(引張速度10mm/分)で測定する。
(4)水漏れ試験:図9に示す如く本発明の押出し成形品(1)を実験用水槽(33)に組み付けて水(32)を満たし、水(32)が23℃×48時間後に水槽外部(34)に漏れるのを測定した。尚、比較例1、2、4、5、7は押出し成形性に問題があり、水漏れ試験に使用する押出し成形品が得られないため、水漏れ試験は不可とする。
○:漏れない
×:漏れる
不可:押出し成形が不可
(5)押出し成形性:図10の如く押出し成形においての押出し成形性を確認して判断する。
◎:非常に良い
○:良い
×:悪い
【0035】
実施例1〜10及び比較例1〜10
表1〜表4に示す各成分を一括で溶融混練した。溶融混練条件は、次の通りであった。2軸系押出機(L/D=47)を使用し、混練温度160℃〜240℃及びスクリュー回転数100rpm。得られた樹脂組成物について上記した(1)硬さと(2)圧縮永久ひずみと(3)粘着力の試験を行い、その結果を表1〜表4に示す。次に、(4)水漏れ試験と(5)押出し成形性の確認は、該樹脂組成物を図10の如く押出し成形によって、図1の如く押出し成形品を成形し、評価結果を表1〜表4に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
表1及び表2より明らかなように、実施例1〜9は、請求項5に記載された本発明の受圧部(4)を形成する熱可塑性エラストマー組成物である。水漏れ試験で優れていた。
【0041】
一方、表3の比較例1〜6及び表4の比較例7〜9は、請求項5における成分の範囲外にした熱可塑性エラストマー組成物である。比較例3、6、8、9は水漏れ試験に問題がある。また、比較例1、2、4、5、7は押出し成形性に問題があり、水漏れ試験に使用する押出し成形品が得られないため、水漏れ試験は不可とする。
【0042】
また、表4の比較例10と比較例11は従来の熱可塑性エラストマー組成物でタイプAデュロメータ硬さ(JIS K6253 15秒後)が20以上を使用するものである。粘着力がなく、水漏れ試験も問題がある。
【符号の説明】
【0043】
1 押出し成形品
2 中空状シール部
3 芯材
4 受圧部
5 中空室
6 基部
7 側部
8 被覆層
9 密封部
10 補強部
11 保持片
12 補助層
13 車体パネル
14 フランジ
15 フランジ端部
16 フランジ側面部
17 隙間
18 切除部
19 非熱融着部
21 第1押出し成形機
22 第1金型ダイス
23 第1冷却水槽
24 引取ローラー
25 切除機
26 第2押出し成形機
27 第3押出し成形機
28 第4押出し成形機
29 第2金型ダイス
30 注入管
31 第2冷却槽
32 水
33 実験用水槽
34 水槽外部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部周縁のフランジに装着する芯材を有する押出し成形品(1)は、対向する側部(7)(7)および基部(6)からなる断面略U字状の芯材(3)と該芯材(3)の外側に被覆層(8)を形成し、該芯材(3)の内側には対向する該側部(7)(7)を連設する軟質の熱可塑性エラストマー組成物からなる受圧部(4)によって上部に中空室(5)を形成し、該受圧部(4)には、中央に該受圧部(4)の厚さより薄い厚みの密封部(9)を形成したことを特徴とする芯材を有する押出し成形品。
【請求項2】
該受圧部(4)には、左右の一方に該受圧部(4)の厚さより薄い厚みの密封部(9)を形成したことを特徴とする請求項1に記載する芯材を有する押出し成形品。
【請求項3】
該受圧部(4)には、両端を上方の該側部(7)(7)に沿って延長して補助層(12)(12)を一体形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項4】
該芯材(3)には、内側の一部または内側全体に被覆層(8)を形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項5】
該受圧部(4)の軟質の熱可塑性エラストマー組成物が、
(a)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/または、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその20〜80重量%が1,4−結合、及びその80〜20重量%が3,4−結合を有する所のブロック共重合体、または該ブロック共重合体のイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも80%が水素添加されているところの水添ブロック共重合体。)100重量部。
(b)芳香族ビニル化合物から主として作られる少なくとも2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる少なくとも1つの重合体ブロックBとからなるブロック共重合体及び/または、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体。(但し、重合体ブロックBがポリイソプレンブロックを含み、イソプレンはその70〜100重量%が1,4−結合を有する所のブロック共重合体、または、イソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されている水添ブロック共重合体)45〜660重量部。
(c)曲げ弾性率が50〜1000MPaの結晶性オレフィン系樹脂10〜35重量部。
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤 220〜450重量部。
(e)水添石油樹脂 10〜180重量部。
からなることを特徴とした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項6】
該受圧部(4)の軟質の熱可塑性エラストマー組成物が粘着性のあることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項7】
該受圧部(4)を形成する軟質の熱可塑性エラストマー組成物は、タイプAデュロメータ硬さが1〜20からなることを特徴とした請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の芯材を有する押出し成形品。
【請求項8】
該受圧部(4)には、薄い厚みの密封部(9)を除いた該受圧部(4)の少なくとも一部にタイプAデュロメータ硬さが20〜80の熱可塑性エラストマーの補強部(10)を形成したことを特徴とした請求項7に記載の芯材を有する押出し成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−189922(P2011−189922A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85521(P2010−85521)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000110103)トキワケミカル工業株式会社 (27)
【出願人】(591029688)株式会社システムテクニカル (22)
【Fターム(参考)】