説明

芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断装置および同切断方法

【課題】 多数のコアを、コア間に設けた連結部によって一定間隔で連結して形成した芯金をゴム様弾性体に埋設した長尺物を、正確に、一定長さに切断して製品とする、経済性および生産性に優れた装置および方法を提供する。
【解決手段】 多数のコアを、コア間に設けた連結部によって一定間隔で連結して形成した芯金をゴム様弾性体に埋設した長尺物10を、一定長さに切断して製品20とする。切断装置1は、少なくとも、長尺物10を搬送する第一搬送装置3と、長尺物10のコア間13の数を数えることによって製品20の長さを求めるセンサー2と、長尺物10を、コア間13で切断して求められた長さの製品20とするカッター4とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のコアを、コア間に設けた連結部によって等間隔で連結した芯金をゴム様弾性体に埋設して形成した長尺物を、一定の長さに切断して製品(自動車用のトリムやウエザーストリップなど)とする切断装置および切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のウエザーストリップには、ゴム様弾性体(ゴム又は熱可塑性エラストマーによる弾性体を言う)製で断面U字状の取付部に芯金を埋設して剛性を高め、ボディパネルなどに形成したフランジ部に強固に組付けることができるようにしたものが多く使用されている。この芯金は、多数のコアを、コア間に設けた連結部によって一定間隔で連結したもの(フィッシュボーンタイプなど)が一般的である。
【0003】
こうした芯金を埋設したウエザーストリップは、長尺状に押出し成形された加工物を、所定の寸法に切断して形成される。また、この切断は、例えば、次のようにして行われている(特許文献1参照)。
【0004】
すなわち、まず、芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物を所定の長さのウエザーストリップとするために、コンベアで搬送し、その先端が寸法感知センサーによって感知されたところで停止させる。この状態で、切断箇所が第一カッターの直下に位置するように設定する。
【0005】
次に、近接センサーによって、切断箇所にコアあるいはコア間のいずれが位置しているかを感知させ、コアが位置している場合は、長尺物(または第一カッター)を微動させて、第一カッターの直下にコア間(連結部)を位置させる。
【0006】
続いて、第一カッターをコア間に下降移動させて連結部を切断し、芯金を分断する。最後に、長尺物をクランプで掴んで前後方向に引っ張って切断箇所を広げ、この状態で、切断箇所に第二カッターを進入させて加工物の全体を切断する。これにより、所定長さのウエザーストリップ(製品)とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−006243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した従来の切断方法は、寸法感知センサーの他に近接センサーも必要とするなど、装置が大掛かりであり、経済性に欠けるといった問題がある。また、芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断箇所を第一カッターの下に位置させた後に、コア間を探すために長尺物を移動させる必要がある。
【0009】
また、第一カッターでコア間(連結部)を切断する際にも、なるべくその中間点で切断したい場合(切断時にカッターがコアに接触するのを避けたいなど)にはその中間点を探すために芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物を微動させる必要がある。従って、切断作業に多くの時間を要し、生産性が悪いといった問題もある。
【0010】
さらに、芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物を切断して形成したウエザーストリップ(製品)の長さに寸法誤差が生じてしまうといった成形性の問題もある。これは、長尺物の長さに基づいてウエザーストリップの長さを求めていることによるものである。長尺物は、ゴム様弾性体に芯金を埋設したものであるため、ゴム様弾性体の影響によってうねりなどの変形が生じ易い。したがって、変形が生じた長尺物から正確な長さを求めるのは困難であることによるものである。
【0011】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、多数のコアを、コア間に設けた連結部によって一定間隔で連結して形成した芯金をゴム様弾性体に埋設した長尺物を、正確に、一定長さに切断して製品(自動車用のトリムやウエザーストリップなど)とする、経済性および生産性に優れた装置および方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
用語の定義:ゴム様弾性体とは、ゴム又は熱可塑性エラストマーによる弾性体を言う。
図1乃至図4を参照して説明する。請求項1に記載の芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断装置1は、多数のコア12を、コア間13に設けた連結部14によって一定間隔で連結して形成した芯金11をゴム様弾性体15に埋設した長尺物10を、一定長さに切断して製品20とするものである。
【0013】
この切断装置1は、少なくとも、前記長尺物10を搬送する第一搬送装置3と、前記長尺物10のコア間13の数を数えることによって前記製品20の長さを求めるセンサー2と、前記長尺物10を、コア間13で切断して求められた長さの製品20とするカッター4と、を備える。
【0014】
請求項2に記載の芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断方法は、多数のコア12を、コア間13に設けた連結部14によって一定間隔で連結して形成した芯金11をゴム様弾性体15に埋設した長尺物10を、一定長さに切断して製品20とするものである。
【0015】
この切断方法は、前記長尺物10のコア間13の数をセンサー2によって数えることによって、前記製品20の長さを求めた後、コア間13を切断して、一定長さの製品20とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断装置1は、一定長さの製品20を求めるために従来使用していた寸法感知センサーが不用となり、センサー2を一つのみとすることができるので、当該装置1を簡素化することができ、経済的である。
【0017】
また、カッター4でコア間13を切断する際に、当該コア間13を基準として長さを求めるため、カッター4を常に正確にコア間13の直上に位置させることができる。従って、従来技術のようにカッター4や長尺物10を微動させる必要がないため、切断作業を短縮することができ、これにより、生産性を高めることができる。
【0018】
さらに、コア間13の数を数えることによって製品20の長さを求めるので、製品20の長さに誤差が生じない。芯金10は剛性が高く、変形が生じ難いからである。
【0019】
請求項2に記載の芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断方法は、コア間13の数をセンサー2によって数えることによって製品20の長さを求めて、コア間13を切断するので、長さが均等の製品20を正確に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る切断装置の実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る切断装置によって切断される製品(トリム)を示す斜視図である。
【図3】図2に示す製品に埋設された芯金を示す平面図である(折曲げ前の状態)。
【図4】本発明に係る切断装置によって切断される他の製品(ウエザーストリップ)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断装置1および切断方法の実施形態を、図1乃至図3に示す。この切断装置1は、多数のコア12を、コア間13に設けた連結部14によって一定間隔で連結して形成した芯金11をゴム様弾性体15に埋設した長尺物10を、一定長さに切断して製品(自動車用のトリム)20とするものであり、第一搬送装置3、センサー2、カッター4および第二搬送装置5を備える。
【0022】
第一搬送装置3は、長尺物10を上下から挟持して搬送する上側ベルトコンベア3aと下側ベルトコンベア3bで構成している。なお、この第一搬送装置3はこうした構成に限定されるものではなく、例えば、下側ベルトコンベア3bのみで構成できるし、また、上下一対のローラーによって構成することもできる。また、後述する第二搬送装置5が長尺物10を挟持する場合には、第一搬送装置を省略することもできる。
【0023】
センサー2は、第一搬送装置3の下流側の近傍に設けられた渦電流式であり、長尺物10のコア間13を検知する機能を備える。なお、このセンサー2には、検知したコア間13の数を数え、その数が所定数になると第一搬送装置3を停止させるカウンター2aを具備する。
【0024】
カッター4は、長尺物10の直上に上下動自在に設けられ、長尺物10をそのコア間13の中間点で切断するように設定されている。
【0025】
第二搬送装置5は、ベルトコンベア式であり、カッター4の下流側に配置され、切断された製品10をさらに下流側に搬送する。この第二搬送装置も切断された製品を人手で取るなどすれば、省略できるし、他の形態も考えられる。
【0026】
本実施形態に係る芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断装置1は、次のように作動する。まず、長尺物10を第一搬送装置3によって前進移動させる。この際、センサー2によって移動する長尺物10に埋設された芯金11のコア間13を検知させ、その数をカウンター2aで数える。続いて、その数が所定数に達したら、カウンター2aからの信号によって第一搬送装置3を停止させる。
【0027】
そして、所定数に達したとして検知されたコア間13の中間点へカッター4を下降移動させて長尺物10を切断する。これによって、一定寸法の製品(トリム)20を得る。なお、所定数に達したとして検知されたコア間13と、切断するコア間13とは同一でなくても良く、両者が異なるように設定することもできる。
【0028】
本実施形態に係る切断装置1は、一つのセンサー2によって製品20の寸法を求めることができるので、装置の簡素化を図ることができ、経済的である。また、コア間13を検知して、そのコア間13の中間点(製品に必要なコア間又はコアの数をカウントした後に特定される最後尾のコアよりもコア間の半分の距離だけ移動した位置)にカッター4を下降移動させて切断するので、カッター4をコア間13に正確に移動させることができる。従って、コア間13を切断する際に例えば微調整が不要であり、切断時間を短縮でき生産性の向上を図ることができる。
【0029】
さらに、芯金11のコア間13又はコア12の数を数えることによって製品20の長さを求めるので、寸法の誤差が生じない。芯金11はステンレスなどの硬質金属製であるため寸法精度が極めて高い。発明者らは、例えば、長さが1メートルのフィッシュボーンタイプ(コア間の連結部が一箇所)の芯金11は、その成形誤差が0.1mm未満であることを確認している。従って、この芯金11のコア間13の数を基準に製品20の長さを求めることによって、誤差をなくすことができる。
【0030】
例えば、図3に示す寸法のフィッシュボーンタイプの芯金11(コア3mm、コア間2mm)を埋設した長尺物10の場合、そこから得る製品20の長さを、下記(1)式、(2)式のように、997mmあるいは1002mmに統一することができる。(1)式は、コア間の数を199個とした場合であり、(2)式は、その数を200個とした場合である。
【0031】
(1)5mm(1ピッチ分)×199個+1mm(コア間の中心)×2(両端)=997mm
(2)5mm(1ピッチ分)×200個+1mm(コア間の中心)×2(両端)=1002mm
【0032】
なお、本実施形態に係る切断装置1は、コア間13に存在する多数の連結部14を折曲げ工程等によるその他一般的な手段によって切断する前に使用することが望ましいが、切断後に使用することもできる。切断後においても、コア間13の距離に大きな変動はないからである。
【0033】
また、この切断装置1によって切断される芯金11のコア間13は広いほど、センサー2によって正確に検知されるが、発明者らはコア間13が1.1mm以上あれば、正確な長さに切断できることを確認した。ちなみに、図3に示す芯金11(コア間が2mm)の場合は、コア間を極めて正確に検知することができ、よって、常に正確な長さに切断することができた。しかし、コア間又はコアの数を数える精度はセンサーの機能によるため、より精度の高い機能を持つセンサーが登場すれば、コア間が微小であっても可能である。
【0034】
なお、本発明による切断装置1によって切断されて形成される製品10は、図2に示すトリムに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、中空シール部20aを備えたウエザーストリップを含む。また、製品10に埋設される芯金11は、図3に示すフィッシュボーンタイプ以外のタイプ(例えば、井桁タイプのようにコア間の連結部が2箇所以上)を含む。
【符号の説明】
【0035】
1 切断装置
2 センサー
2a カウンター
3 第一搬送装置
3a 上側ベルトコンベア
3b 下側ベルトコンベア
4 カッター
5 第二搬送装置
10 長尺物
11 芯金
12 コア
13 コア間
14 連結部
15 ゴム様弾性体
20 製品
20a 中空シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のコア(12)を,コア間(13)に設けた連結部(14)によって一定間隔で連結して形成した芯金(11)をゴム様弾性体(15)に埋設した長尺物(10)を,一定長さに切断して製品(20)とする装置であって、前記長尺物を搬送する第一搬送装置(3)と、前記長尺物のコア間又はコアの数を数えることによって前記製品の長さを求めるセンサー(2)と、前記長尺物を,コア間で切断して求められた長さの製品とするカッター(4)と、を備えることを特徴とする芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断装置。
【請求項2】
多数のコア(12)を,コア間(13)に設けた連結部(14)によって一定間隔で連結して形成した芯金(11)をゴム様弾性体(15)に埋設した長尺物(10)を,一定長さに切断して製品(20)とする方法であって、前記長尺物のコア間又はコアの数をセンサー(2)によって数えることによって,前記製品の長さを求めた後,コア間を切断して,一定長さの製品とすることを特徴とする芯材入りゴム様弾性体被覆長尺物の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−139794(P2012−139794A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−383(P2011−383)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】