説明

芳香族化合物のトランスアルキル化用の高活性触媒を用いるプロセス

本発明は、トランスアルキル化触媒の存在下、トランスアルキル化条件におけるアルキル化可能な芳香族化合物をポリアルキル化芳香族化合物と接触させる工程を含む、ジアルキル化芳香族化合物およびトリアルキル化芳香族化合物を有するポリアルキル化芳香族化合物からアルキル化芳香族化合物を生産するためのプロセスに関する。前記トランスアルキル化触媒は、約0.5〜約2.5の範囲においてトリアルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を生じるのに十分な条件下に維持される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、芳香族化合物のトランスアルキル化、特にクメンを生産するためのポリイソプロピルベンゼン(PIPB)とベンゼンとのトランスアルキル化、およびエチルベンゼンを生産するためのポリエチルベンゼン(PEB)とベンゼンとのトランスアルキル化のプロセスに関する。エチルベンゼンは有益な化学製品であり、スチレンモノマーの生産に用いられる。クメン(イソプロピルベンゼン)もまた、有益な化学製品であり、フェノールおよびアセトンの生産に用いられる。
【0002】
現在多くの場合、エチルベンゼンは、アルキル化触媒の存在下で、ベンゼンおよびエチレンからの液相アルキル化プロセスにより生産される。前記液相プロセスは対応する気相プロセスよりも低い温度で操作される。液相アルキル化の一つの利点は、好ましくない副成物であるポリアルキル化芳香族化合物の産生が低いことである。ゼライト触媒を採用する芳香族炭化水素化合物のアルキル化は既知であり、当該技術分野で認められている。米国特許5,334,795号は、エチルベンゼンを生産するためのMCM−22の存在下におけるエチレンによるベンゼンの液相アルキル化を記述しており、また米国特許4,891,458号は、ゼオライトベータを用いた液相アルキル化およびトランスアルキル化プロセスを開示している。
【0003】
ゼオライトベースの触媒は、クメンを生産するためのプロピレンによるベンゼンのアルキル化に利用される。米国特許4,992,606号は、液相におけるMCM−22を用いるクメンの調製プロセスを開示している。
【0004】
エチルベンゼンおよびクメンの生産のための市販アルキル化プロセスは典型的に、エチルベンゼンおよびクメンに加えて、特定のポリアルキル化副成物を産生する。上述のポリアルキル芳香族化合物は、エチルベンゼンまたはクメンを生産するために、ベンゼンまたはその他のアルキル化可能な芳香族化合物をトランスアルキル化することが可能である。このトランスアルキル化反応は、好適な条件下、およびトランスアルキル化触媒の存在下で操作されるトランスアルキル化反応容器を通してポリアルキル化芳香族化合物を供給することによって行うことができる。また、ポリアルキル化芳香族化合物は、トランスアルキル化反応を行うことができるアルキル化触媒の存在下で、アルキル化反応容器へ再循環されることができる。前記ポリアルキル化芳香族化合物には、典型的にジアルキル化ベンゼン(例えば、ジエチルベンゼンまたはジイソプロプルベンゼン)およびトリ−アルキル化ベンゼン(例えば、トリ−エチルベンゼンまたはトリ−イソプロプルベンゼン)が含まれる。市販トランスアルキル化触媒は典型的に、約50重量%〜90重量%のジアルキル化ベンゼン変換率を有するが、同一の条件下で、トリアルキル化ベンゼン変換率は低い(例えば、20重量%未満の)。米国特許5,557,024号は、MCM−56を用いた短鎖アルキル芳香族の調製用のプロセス、およびポリアルキル化芳香族化合物のトランスアルキル化用のMCM−22、ゼオライトX、ゼオライトYおよびゼオライトベータのようなゼオライト触媒の使用を開示している。
【0005】
しかしながらこれらの文献はいずれも、300℃未満の温度でトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を約0.5〜約2.5の範囲で維持するために十分な条件下で、トランスアルキル化触媒を用いるトランスアルキル化プロセスを考慮してない。
【発明の要約】
【0006】
一つの態様において、本発明は、トランスアルキル化触媒の存在下、トランスアルキル化条件においてアルキル化可能な芳香族化合物をポリアルキル化芳香族化合物と接触させる工程を含む、ジアルキル化芳香族化合物およびトリアルキル化芳香族化合物を含むポリアルキル化芳香族化合物からアルキル化芳香族化合物を生産するプロセスに関する。ここで、前記トランスアルキル化触媒は、トリアルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を約0.5〜約2.5、好ましくは約0.5〜約1.5、更に好ましくは約0.5〜約1、更により好ましくは約0.75〜約1.25、及びもっとも好ましくは約0.9〜約1.2の範囲に限定するために十分な条件下に維持される。もう一つの態様において、前記アルキル化芳香族化合物はクメンであり、ここでトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率は、約0.5〜約1、好ましくは約0.5〜約0.9、及びもっとも好ましくは約0.6〜約0.9の範囲である。
【0007】
もう一つの態様において、本発明は以下の工程を含むアルキル化芳香族化合物生産用のプロセスに関する。すなわち、
アルキル化芳香族化合物、およびジアルキル化芳香族化合物およびトリアルキル化芳香族化合物を含むポリアルキル化芳香族化合物を有するアルキル化流出物を生産するために、アルキル化触媒の存在下、アルキル化条件の下で、アルキル化剤とアルキル化可能な芳香族化合物とを接触させる工程、および
前記トランスアルキル化触媒がトリアルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を約0.5〜約2.5の範囲とするのに十分な条件下で維持されるようにし、該トランスアルキル化触媒の存在下において前記アルキル化可能な芳香族化合物を有する原料とポリアルキル化芳香族化合物を接触させることにより、追加的アルキル化芳香族化合物を含むトランスアルキル化流出物を得る工程、
である。
【0008】
上記態様の一つの側面において、前記トランスアルキル化触媒は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ゼオライトベータ、フォージャサイト(faujasite)、モルデナイト、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY、希土類交換Y(REY)、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20、およびこれらの任意の組み合わせの少なくとも一つを含む。
【0009】
本発明の好ましい形態において、前記トランスアルキル化触媒はゼオライトYである。本発明のもう一つの好ましい態様において、前記トランスアルキル化触媒はFAUゼオライト型を有するゼオライトである。
【0010】
一つの態様において、前記アルキル化化合物はクメンであり、前記アルキル化可能な芳香族化合物はベンゼンを含み、前記ポリアルキル化化合物はポリイソプロピルベンゼンを含む。もう一つの態様において、前記アルキル化芳香族化合物はエチルベンゼンであり、前記アルキル化可能な芳香族化合物はベンゼンを含み、前記ポリアルキル化芳香族化合物はポリエチルベンゼンを含む。
【0011】
任意の上記態様の一つの側面において、前記トランスアルキル化条件には、150℃〜260℃の温度および696〜4137kPa−a(101〜600psia)の圧力、ポリアルキル化芳香族化合物の重量に基づき約0.5〜100hr−1のWHSV、ポリアルキル化芳香族化合物に対するアルキル化可能な芳香族化合物のモル比1:1〜10:1が含まれる。
【0012】
任意の上記態様のもう一つの側面において、前記ジアルキル化芳香族化合物変換率は、約25重量%〜約95重量%の範囲である。任意の上記態様の更にもう一つの側面において、ジアルキル化芳香族化合物変換率は、約45重量%〜約75重量%の範囲である。
【0013】
任意の上記態様の一つの側面において、前記アルキル化触媒は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、および任意のそれらの組み合わせのうち少なくとも一つを含む。
【0014】
一つの好ましい態様において、前記アルキル化芳香族化合物はエチルベンゼンであり、前記アルキル化可能な芳香族化合物はベンゼンを含み、前記アルキル化剤は10モル%以上のエチレンを含み、前記ポリアルキル化芳香族化合物はポリエチルベンゼンを含む。もう一つの好ましい態様において、前記アルキル化芳香族化合物はクメンであり、前記アルキル化可能な芳香族化合物はベンゼンを含み、前記アルキル化剤はプロピレンを含み、前記ポリアルキル化芳香族化合物はポリイソプロピルベンゼンを含む。
【0015】
本発明の一つの態様において、前記アルキル化剤は、濃縮アルケン原料、希釈アルケン原料、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含む。
【0016】
もう一つの態様において本発明は、エチルベンゼンまたはクメンを生産するための既存のエチルベンゼンまたはクメンプラントを改造する方法に関する。
【0017】
もう一つの態様において本発明は、エチルベンゼンまたはクメンを生産するためのアルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器の間の熱統合を有する既存のエチルベンゼンまたはクメンプラントを改造する方法に関する。もう一つの態様において本発明は、エチルベンゼンまたはクメンを生産するためのアルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器の間の分離型熱統合を有する既存のエチルベンゼンまたはクメンプラントを改造する方法に関する。
【0018】
一つの態様において本発明は、アルキル化工程およびトランスアルキル化工程を有するプロセス用のアルキル化触媒の選択方法に関する。この方法は以下の工程を含む。すなわち、
(a)FAU、BEA、MWW、MTW型のゼオライト構造型、およびそれらの任意の組合わせを有するゼオライトの少なくとも一つを有するトランスアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記トランスアルキル化は、約0.5〜約2.5の範囲においてトリアルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を生じることを保証する温度および圧力を含む条件下に維持されるように行われ、および、
(b)MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびこれらの任意の組合わせの少なくとも一つを有するアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記アルキル化触媒は、工程(a)の温度より約50℃下から工程(a)の温度より約100℃上の温度範囲において90モル%以上のアルケン変換率を維持するのに十分に活性であるように設けられる。
【0019】
更にもう一つの態様において、本発明はアルキル化工程およびトランスアルキル化工程を有するプロセス用のトランスアルキル化触媒の選択方法に関する。前記方法は以下の工程を含む。すなわち、
(a)MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびこれらの任意の組合わせの少なくとも一つを有するアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記アルキル化触媒は、90モル%以上のアルケン変換率を保証する温度及び圧力を含む条件下で維持されるものとし、および、
(b)FAU、BEA、MWW、MTW型のゼオライト構造型、およびそれらの任意の組合わせを有するゼオライトの少なくとも一つを有するトランスアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記トランスアルキル化は、工程(a)の温度より約100℃下から工程(a)の温度より約50℃上の温度範囲において、範囲のトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を約0.5〜約2.5とするのに十分な活性を有するように設けられる。
【0020】
任意の上記態様の一つの側面において、前記トランスアルキル化触媒は、トリアルキル化芳香族化合物速度定数に対するジアルキル化芳香族化合物速度定数の比率を約0.5〜約4の範囲とするために十分な条件下に維持される。
【発明の詳細な説明】
【0021】
本発明は、従来のトランスアルキル化触媒と比較して予想外に高い触媒活性を示す触媒を用いたプロセスに関する。前記触媒は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ゼオライトベータ、フォージャサイト、モルデナイト、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY、希土類交換Y(REY)、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20、およびこれらの任意の組合わせの少なくとも一つを含む。前記トランスアルキル化触媒は、トリアルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を約0.5〜約2.5、好ましくは約0.5〜約1.5、更により好ましくは約0.5〜約1、なお好ましくは約0.75〜約1.25、およびもっとも好ましくは約0.9〜約1.2の範囲とするのに十分な条件下に維持される。
【0022】
モレキュラーシーブは、典型的にシリカ、アルミニウム、リン、ゲルマニウム、ガリウム、およびチタンからなる、もっとも好ましくはシリカ、アルミニウム、およびチタンからなる群より選択される少なくとも二つの元素を含む。トランスアルキル化に有用な具体的なモレキュラーシーブは、FAU、BEA、MTW、MWW型の構造型、およびそれらの任意の組合わせを有する。『ゼオライト構造型アトラス』W.H.マイヤー、D.H.オルソン、C.H.Baerlocher著、エルゼヴィエ社、第4版、1996年発行を参照されたい。この本の開示は参照により本発明に組み込まれる。特に好適なモレキュラーシーブには、ゼオライトベータ、ゼオライトY、MCM−22、およびZXM−12が含まれる。
【0023】
また本発明は、モノアルキル化芳香族化合物の生産プロセスに関する。ここでアルキル化工程は少なくとも部分的に液相の条件下で行われ、アルキル化可能な化合物は、アルキル化剤と反応し、ポリアルキル化化合物とともにモノアルキル化芳香族最終生成物を生産する。ポリアルキル化合物は分離され、トランスアルキル化プロセスへ供給される。トランスアルキル化工程において、この工程もまた好ましくは少なくとも部分的液相条件化で実施されるのであるが、前記ポリアルキル化最終生産物は、モノアルキル化化合物を生産するためのトランスアルキル化触媒の存在下で、トランスアルキル化反応容器においてアルキル化可能な芳香族化合物と接触する。前記アルキル化および前記トランスアルキル化触媒は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ゼオライトベータ、フォージャサイト、モルデナイト、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY、希土類交換Y(REY)、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20、およびこれらの任意の組合わせの少なくとも一つを含む。
【0024】
本発明において有用であるアルキル化可能な化合物に関して用いられる「芳香族」の用語は、アルキル置換及び未置換の単一および多核化合物を含む当分野で認められている範囲のものとして理解されるべきである。ヘテロ原子を有する芳香族性の化合物もまた、選択された反応条件下で触媒毒として作用しない場合には、有用である。
【0025】
アルキル化可能な芳香族化合物のように本発明においてアルキル化可能な置換芳香族化合物は、芳香核に直接結合された少なくとも一つの水素原子を有しなければならない。前記芳香環は一つ以上のアルキル、アリール、アルキルアリール、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロゲン、および/またはアルキル化反応を妨げないその他の基で置換することができる。
【0026】
好適な芳香族炭化水素には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、およびフェナントレンが含まれ、好ましくはベンゼンである。
【0027】
通常、芳香族化合物上に置換基として存在できるアルキル基は、1〜約22炭素原子、一般的に約1〜8炭素原子、および最も一般的に約1〜4炭素原子を含む。
【0028】
アルキル化剤のような、好適なアルキル置換芳香族化合物には、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、ノルマル−プロピルベンゼン(n−プロピルベンゼン)、α−メチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン、デュレン、クメン、ブチルベンゼン、シュードクメン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、イソアミルベンゼン、イソヘキルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、m−ブチルトルエン、p−ブチルトルエン、3,5−ジエチルトルエン、o−エチルトルエン、p−エチルトルエン、m−プロピルトルエン、4−エチル−m−キシレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、2,3−ジメチルアントラセン、9−エチルアントラセン、2−メチルアントラセン、o−メチルアントラセン、9,10−ジメチルフェナントレン、および3−メチル−フェナントレンが含まれる。高分子量アルキル芳香族炭化水素もまた、出発物質として用いることができ、芳香族炭化水素をオレフィン・オリゴマーでアルキル化することにより生産される芳香族炭化水素を含む。そのような生産物は、しばしばアルキレートとして当該技術分野で言及され、ヘキルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。非常にしばしばアルキレートは、アルキル基が約Cから約C12の大きさで変動する芳香核に結合した高フッ点留分として得られる。
【0029】
大量のベンゼン、トルエン、および/またはキシレンを含むリフォーメイトは、本発明のアルキル化プロセスに特に有用な原料となる。
【0030】
本発明のプロセスにおいて有用であり得る前記アルキル化剤には通常、アルキル化可能な芳香族化合物と反応できる一つ以上の有効なアルキル化脂肪族基を有する任意の脂肪族化合物または芳香族有機化合物が含まれる。
【0031】
好ましくは本発明で用いられる前記アルキル化剤は、1〜5炭素原子を有する一つ以上のアルキル化脂肪族基を有する。そのようなアルキル化剤の具体例は、エチレン、プロピレン、ブテン類、およびペンテン類のようなオレフィン類、メタノール、エタノール、プロパノール類、ブタノール類、およびペンタノール類のようなアルコール類(モノアルコール、ジアルコール、およびトリアルコールを含めた)、フォームアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、およびn−バレルアルデヒドのようなアルデヒド類、およびメチルクロリド、エチルクロリド、プロピルクロリド類、ブチルクロリド類、およびペンチルクロリド類のようなハロゲン化アルキル類である。
【0032】
軽質オレフィンの混合物は、本発明のアルキル化プロセスにおけるアルキル化剤として特に有用である。80モル%以上のアルケンを有する濃縮アルケン流および約10モル%〜80モル%のアルケンを有する希釈アルケン流の混合物は、本発明に用いることができる。従って例えば、石油ガス、エチレン、プロピレン等を含むガスプラント排気ガス、軽質オレフィン類を含むナフサ破砕器排気ガス、および精製FCCプロパン/プロピレン流のような、さまざまな精製流の主要な要素であるエチレン、プロピレン、ブテン類および/またはペンテン類は、本発明における有用なアルキル化剤である。例えば、典型的なFCC軽質オレフィン流は以下の組成を有する。
【0033】
【表1】

【0034】
本発明のプロセスから得られる反応生成物には、ベンゼンとエチレンとの反応からのエチルベンゼン、ベンゼンとプロピレンとの反応からのクメン、トルエンとエチレンとの反応からのエチルトルエン、トルエンとプロピレンとの反応からのシメン類、およびベンゼンとn−ブテン類との反応からのsec−ブチルベンゼンが含まれる。好ましくは本発明のプロセスは、エチルでベンゼンをアルキル化することによるエチルベンゼンの生成、次に副生物であるジエチルベンゼンの追加的ベンゼンによるトランスアルキル化、およびプロピレンでベンゼンをアルキル化することによるクメンの生成、次に副生物であるジイソプロピルベンゼンによる追加的ベンゼンのトランスアルキル化に関する。
【0035】
本発明の一つの態様において、本発明のアルキル化プロセスは、前記有機反応物、すなわち前記アルキル化可能な芳香族化合物およびアルキル化剤が、例えば効果的なアルキル化条件下で触媒組成物の固定床を含む流通反応容器におけるような、好適なアルキル化またはトランスアルキル化反応ゾーンにおいて、アルキル化またはトランスアルキル化触媒に接触するようにして行われる。そのような条件には、約0℃〜約500℃(32°F〜932°F)、および好ましくは約50℃〜約300℃(122°F〜約572°F)、より好ましくは約100℃〜約285℃(212°F〜545°F)の温度、689〜4601kPa−a(100〜667psia)、好ましくは1500〜3500kPa−a(218〜508psia)の圧力、0.1〜10hr−1、好ましくは0.2〜2hr−1、より好ましくは0.5〜1hr−1の全反応容器のアルケンに基づくWHSV、または10〜100hr−1、好ましくは20〜50hr−1の全反応容器のアルケンおよびベンゼンの両方に基づくWHSV、約0、1:1〜約50:1、好ましくは約0.5:1〜10:1であり得るアルキル化剤に対するアルキル化可能な芳香族化合物のモル比が含まれる。
【0036】
前記反応物は気相、または部分的または完全に液相においても存在でき、およびニートであり得、すなわち他の原料と意図的に混合され、または希釈されることなく、またはそれらは、例えば水素および窒素のような担体ガスまたは希釈剤の助けによりゼオライト触媒組成物と接触させることができる。
【0037】
本発明のもう一つの態様において、ベンゼンがエチルでアルキル化されてアルキル化反応容器流出物を生産するときは、その流出物はエチルベンゼンを含有する。前記アルキル化反応は、300°F〜600°F(約150℃〜約316℃)、より好ましくは400°F〜500°F(約205℃〜約260℃)の温度、約3000psia(20865kPa)以下の、より好ましくは約400および800psg(2869および5600kPa)間の圧力、エチレン供給に基づいて重量時間当たり約0.1および20hr−1、より好ましくは0.5hr−1および6hr−1の空間速度(WHSV)、およびアルキル化反応容器におけるエチレンに対するベンゼンの比率1:1〜30:1モル、より好ましくは約1:1〜10:1モルを含む条件下、好ましくは液相において行われる。
【0038】
更に本発明のもう一つの態様において、ベンゼンはプロピレンを用いてアルキル化され、クメンを含むアルキル化反応容器流出物を生産する。前記アルキル化反応もまた、約482°F(250℃)以下の、たとえば約302°F(150℃)以下、例えば約50°F〜約257°F(10℃〜約125℃)の温度、約250気圧(25,000kPa)以下、例えば約1〜約30気圧(100kPa〜3000kPa)の圧力、および5hr−1〜約250hr−1、好ましくは5hr−1〜50hr−1の芳香族炭化水素の重量時間当たりの空間速度(WHSV)を含む液相条件下で行うことができる。
【0039】
本発明において有用であり得る前記アルキル化またはトランスアルキル化触媒は、好ましくはMCM−22(米国特許4,954,325号において詳述されている)、MCM−36(米国特許5,250,277号において詳述される)、MCM−49(米国特許5,236,575号において詳述される)、MCM−56(米国特許5,362,697号において詳述される)、およびゼオライトベータ(米国特許3,308,069号において詳述される)から選択される結晶性モレキュラーシーブである。
【0040】
本発明の一つの態様は、アルキル化触媒の選択に基づいてトランスアルキル化触媒を選択し、またはトランスアルキル化触媒の選択に基づいてアルキル化触媒を選択する方法である。これら二つの相互に関連した反応(アルキル化およびトランスアルキル化)の一つの触媒の選択により、好ましい反応条件および対応する生成物組成が決定される。これら二つの反応からの一つの選択に基づき、もう一つのの反応のための触媒の選択は、得られるべき結果に基づき決定することができる。
【0041】
一つの態様において、本発明はアルキル化工程およびトランスアルキル化工程を有するプロセス用のアルキル化触媒の選択方法に関する。前記方法は以下の工程を含む。すなわち、
(a)FAU、BEA、MWW、MTWのゼオライト構造型、およびそれらの任意の組合わせを有するゼオライトの少なくとも一つを有するトランスアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記トランスアルキル化は、約0.5〜約2.5の範囲においてトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を生じるのを保証する温度および圧力を含む条件下で維持され、および、
(b)MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびこれらの任意の組合わせの少なくとも一つを有するアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記アルキル化触媒は、工程(a)の温度より約50℃下から工程(a)の温度より約100℃上の温度範囲において、90モル%以上、好ましくは95モル%、更により好ましくは99モル%のアルケン変換率を維持するのに十分に活性であるように設けられる。
【0042】
更にもう一つの態様において、本発明はアルキル化工程およびトランスアルキル化工程を有するプロセス用のトランスアルキル化触媒の選択方法に関する。前記方法は以下の工程を含む。すなわち、
(a)MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびこれらの任意の組合わせの少なくとも一つを有するアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記アルキル化触媒は、90モル%以上、好ましくは95モル%、更により好ましくは99モル%のアルケン変換率を確保する温度および圧力を含む条件下で維持され、および、
(b)FAU、BEA、MWW、MTWのゼオライト構造型、およびそれらの任意の組合わせを有するゼオライトの少なくとも一つを有するトランスアルキル化触媒を選択する工程であり、ここで前記トランスアルキル化は、工程(a)の温度より約100℃下から工程(a)の温度より約50℃上の温度範囲において、約0.5〜約2.5の範囲においてトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を生じるのに十分に活性であるように設けられる。
【0043】
前記アルキル化反応容器流出物は、過剰な芳香族原料、エチレンベンゼンまたはクメンのようなモノアルキル化芳香族化合物、ポリエチルベンゼンまたはポリイソプロピルベンゼンのようなポリアルキル化芳香族化合物、および様々な不純物を含む。前記芳香族原料は蒸留によって回収され、アルキル化反応容器へ再循環される。通常少量のブリード(bleed)が、ループから不活性な不純物を除去するために、再循環流から採取される。ベンゼン蒸留からの残留油は、ポリアルキル化生成物およびその他の重い生成物からモノアルキル化生成物を分離するために、更に蒸留される。
【0044】
本発明において有用であるポリアルキル化芳香族化合物に関する「ポリエチルベンゼン」(PEB)の用語は、限定ではなく例示のために、ジエチルベンゼン(DEB)およびトリエチルベンゼン(TEB)を含む技術分野で認められている範囲に従って理解されるべきである。
【0045】
本発明において有用であるポリアルキル化芳香族化合物に関す「ポリイソプロピルベンゼン」(PIPB)の用語は、限定ではなく例示のために、ジイソプロピルベンゼン(DIPB)およびトリイソプロピルベンゼン(TIPB)を含む技術分野で認められている範囲に従って理解されるべきである。
【0046】
アルキル化反応容器流出物から分離されたポリアルキル化生成物は、好適なトランスアルキル化触媒を用いて、アルキル化反応容器から分離された、または一体の、トランスアルキル化反応容器におけるアルキル化可能な芳香族原料と反応する。本発明において、前記トランスアルキル化触媒は、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ゼオライトベータ、フォージャサイト、モルデナイト、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY、希土類交換Y(REY)、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20、およびこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも一つを含む。
【0047】
本発明のトランスアルキル化反応は、前記ポリアルキル化芳香族が追加的アルキル化可能な芳香族化合物と反応して追加的モノアルキル化生成物を生産するように、少なくとも部分的に液相条件下で行われる。好適なトランスアルキル化の条件には、100℃〜260℃(212°F〜500°F)の温度、696〜5100kPa−a(101〜740psia)の圧力、約0.5〜200hr−1のポリアルキル化芳香族化合物の重量に基づくWHSV、および0.5:1〜20:1のアルキル化可能な芳香族化合物のポリアルキル化ベンゼンに対する重量比が含まれる。好ましくは、150〜260℃の温度、696〜4137kPa−a(101〜600psia)の圧力、約0.5〜100hr−1のポリアルキル化芳香族化合物の重量に基づくWHSV、1:1〜10:1のアルキル化可能な芳香族化合物のポリアルキル化芳香族化合物に対するモル比である。
【0048】
本発明の一つの態様において、アルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器間には熱統合がある。例えば、アルキル化反応容器からの前記流出物は、トランスアルキル化反応容器の原料流を加熱するために用いることができる。アルキル化反応容器からの流出物は、蒸気を発生させるために用いることができる。本発明のもう一つの態様において、アルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器間の熱統合は分離することができる。アルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器間の熱統合を分離することの利点は、アルキル化反応容器の条件を、トランスアルキル化反応容器の条件と独立に決定することができることである。それ故これら二つの反応容器の最適結果を、それぞれ独立に得ることが可能である。
【0049】
反応速度定数は、当業者に知られている方法を用いて計算された。『不均一触媒の原理と実際』(J.M.トーマス、W.J.トーマス著、VCH社、第1版、1997年発行)を参照されたい。この本の開示は、参照により本発明に組み込まれる。反応速度定数は、反応条件(温度、圧力、およびWHSV)下でDEBおよびTEB双方について計算され、これら反応速度定数の比率は、次にDEBおよびTEB変換率の相対的比率を検討するために計算された。前記反応は、DEBおよびTEBに関して1次であり、ベンゼンは過剰であるからベンゼンに関して0次であると推定された。
【0050】
本発明のもう一つの態様において、本発明のプロセスは既存のエチルベンゼンまたはクメンプラントの改良のために用いることができる。更に本発明のもう一つの態様において、本発明のプロセスは既存のAlClまたはBFプラントの改良に用いることができる。前記改良は、既存のプロセスおよび触媒を、本発明のプロセスおよび触媒に置き替えることによって行うことができる。既存プラント改良の利点は低コストである。
【0051】
本発明の一つの態様において、前記トランスアルキル化触媒は、約0.5〜約4、好ましくは約0.5〜約1.5、更により好ましくは約0.5〜約1、なおより好ましくは約0.75〜約1.25、および最も好ましくは約0.9〜約1.2の範囲のトリ−アルキル化芳香族化合物速度定数に対するジアルキル化芳香族化合物速度定数の比率を生じるために十分な条件下に維持される。もう一つの態様において、前記アルキル化芳香族化合物はクメンであり、そのトリアルキル化芳香族化合物変換率に対するジアルキル化芳香族化合物変換率の比率は約0.5〜約1、好ましくは約0.5〜約0.9、および最も好ましくは約0.6〜約0.9の範囲である。
【0052】
前記ポリアルキル化芳香族がポリイソプロピレンベンゼンであり、トランスアルキル化反応容器においてクメンを産生するためにベンゼンと接触させる場合、前記トランスアルキル化条件は、好ましくは、50°F〜約100°F(100℃〜200℃)の温度、20〜30barg(2100〜3100kPa)の圧力、全原料で10〜72hr−1の重量時間当たりの空間速度(WHSV)、1:1〜6:1のベンゼンPIPB重量比を含む。
【0053】
ポリアルキル化芳香族がポリエチルベンゼンであり、トランスアルキル化反応容器においてエチルベンゼンを産生するためベンゼンと接触させる場合、前記トランスアルキル化条件は、好ましくは、428°F〜約500°F(220℃〜260℃)の温度、20〜30barg(2100〜3100kPa)の圧力、全原料で
2〜6hr−1の重量時間当たりの空間速度(WHSV)、2:1〜6:1のベンゼンPEB重量比を含む。
【0054】
トランスアルキル化反応容器からの流出物はアルキル化反応容器流出物と混合され、前記混合流は所望のモノアルキル化生成物を分離するために蒸留される。
【0055】
本発明を以下の実施例において記述する。
【実施例】
【0056】
PEBからEBのトランスアルキル化
実施例において用いられるトランスアルキル化原料を、以下のように調製した。化学グレードのベンゼン並びにパラ−およびメタ−ジイソプロピルベンゼンを活性アルミナを通した濾過により精製した。前記精製したジイソプロピルベンゼンを重量比(para:meta)2:1で混合した。前記精製したベンゼンおよびポリイソプロピルベンゼンを2:1の重量比で混合し、窒素雰囲気下で保存した。原料のガスクロマトグラフィー(GC)分析により表1に示される重量比の組成物を得た。
【0057】
二つの触媒をトランスアルキル化反応用に試験し、従来の市販トランスアルキル化触媒(低活性の触媒)を、MOR構造型、約35のSi/Al、約390m/gの表面積を有するゼオライトを用いて調製し、20重量%のアルミナを用いて押し出し、直径1/16”の円筒押出物を形成した。高活性のトランスアルキル化触媒を、FAU構造型、約30のSi/Al比率、約780m/gの表面積を有するゼオライトを用いて調製し、20重量%のアルミナを用いて押し出し、直径1/16”の円筒押出物を形成した。
【0058】
表1に示される組成を有する液体原料を、目盛り付ダイヤフラムポンプを用いて導入した。12.7mm(1/2”)パイプを反応容器として用い、等温モードにおいて下流配置で操作される30−35gの触媒を含ませた。全ての実験用の操作圧力は3204KPa−a(465psia)であった。温度、重量時間当たりの空間速度(WHSV)およびベンゼン対ポリエチルベンゼン(B:PEB)比率を、対応するジエチルベンゼン(DEB)およびトリエチルベンゼン(TEB)変換率、およびそれらの対応する1次反応速度定数(k)と共に表に示す。全生成物を冷却し、炎イオン化検出器を装備した非直結ガスクロマトグラフィーを用いて分析した。結果を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
本発明の高活性トランスアルキル触媒は、3のTEB変換率に対するDEB変換率の比を有する従来のトランスアルキル触媒と比べて、0.9〜1.18の範囲にあるTEB変換率に対するDEB変換率の驚くべき低い比率を有する。
【0062】
本発明の高活性トランスアルキル触媒は、4.5のTEB速度定数に対するDEB速度定数の比を有する従来のトランスアルキル触媒と比べて、0.875〜1.2の範囲にあるTEB速度定数に対するDEB速度定数の驚くべき低い比率を有する。
【0063】
全特許、特許出願、試験操作、優先権書類、物品、出版物、使用説明書、および本発明において引用されるその他の文書は、そのような開示が本発明と一致する範囲で、そのような取り込みが許容されるような法制度を有する国において、参照により本発明に完全に取り込まれる。
【0064】
数値の下限および数値の上限が本発明に記載される場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が意図されている。
【0065】
本発明の具体的態様が特定を含んで記述されていても、種々のその他の変更が本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、当業者にとって明らかであり、容易になされるものと理解されるであろう。従って、本書に添付した特許請求の範囲は、本書の実施例および記述に限定されることを意図しておらず、むしろ前記請求は、本発明の関連分野の当業者により等価物として扱われる全特徴を含めて本発明に属する特許性のある新規性の全特徴を含むものとして解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンゼンを含む1または複数のアルキル化可能な芳香族化合物、1または複数のジアルキル化芳香族化合物および1または複数のトリアルキル化芳香族化合物を含む1または複数のポリアルキル化芳香族化合物と接触させる工程を含む、エチルベンゼン又はクメンを生産するためのプロセスであって、
前記1または複数のジアルキル化芳香族化合物がトリエチルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンからなる群より選択され、前記1または複数のトリアルキル化芳香族化合物がジエチルベンゼンおよびジイソプロピルベンゼンからなる群より選択され、前記エチルベンゼンまたはクメンを含むトランスアルキル化流出物を生産するためのトランスアルキル化触媒の存在下におけるトランスアルキル化条件において、トリエチルベンゼン変換率に対するジエチルベンゼン変換率の比率が約0.5〜約2.5の範囲にあり、トリイソプロピルベンゼン変換率に対するジイソプロピルベンゼン変換率の比率が約0.5〜約1.0の範囲にあることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記トランスアルキル化触媒が、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、ゼオライトベータ、フォージャサイト、モルデナイト、PSH−3、SSZ−25、ERB−1、ITQ−1、ITQ−2、ゼオライトY、超安定Y(USY)、脱アルミニウムY、希土類交換Y(REY)、ZSM−3、ZSM−4、ZSM−18、ZSM−20、およびこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記トランスアルキル化触媒がFAUゼオライト型を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記トランスアルキル化触媒がゼオライトYであることを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記トランスアルキル化条件が、150℃〜260℃の温度、696〜4137kPa−a(101〜600psia)の圧力、約0.5〜100hr−1の前記ポリアルキル化芳香族化合物の重量に基づいたWHSV、および1:1〜10:1の前記ポリアルキル化芳香族化合物に対する前記アルキル化可能な芳香族化合物のモル比を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
ジエチルベンゼンまたはジイソプロピルベンゼンの変換率が、約25重量%〜約95重量%の範囲にある請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
ジエチルベンゼンまたはジイソプロピルベンゼンの変換率が、約45重量%〜約75重量%の範囲にある請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記1または複数の前記ポリアルキル化芳香族化合物を含むアルキル化流出物を生産するためアルキル化触媒の存在下およびアルキル化条件下で、前記アルキル化可能な芳香族化合物をアルキル化剤と接触させる工程をさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記1または複数のポリアルキル化芳香族化合物を回収するために、前記アルキル化流出物を分離する工程をさらに含む請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記アルキル化芳香族化合物を回収するために、前記アルキル化流出物または前記トランスアルキル化流出物を分離する工程をさらに含む請求項1または8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記アルキル化触媒が、MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む請求項8〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記アルキル化剤がエチレンまたはプロピレン原料ストックを含む請求項8〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記アルキル化剤が、濃縮エチレン又はプロピレン原料ストック、10モル%以上のエチレンまたはプロピレンの希釈エチレンまたはプロピレン原料ストックまたはそれらの任意の組み合わせの少なくとも一つを含む請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
エチルベンゼンまたはクメンを生産するための1または複数の既存のエチルベンゼンまたはクメンプラントを改良する方法であって、前記方法が、既存のトランスアルキル化プロセスを請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセスで置き換える工程を含み、前記1または複数のエチルベンゼンまたはクメンプラントが、アルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器の間の熱統合を有する方法。
【請求項15】
エチルベンゼンまたはクメンを生産するための1または複数の既存のエチルベンゼンまたはクメンプラントを改良する方法であって、前記方法が、既存のトランスアルキル化プロセスを請求項1〜14のいずれか1項に記載のプロセスで置き換える工程を含み、前記1または複数のエチルベンゼンまたはクメンプラントが、アルキル化反応容器およびトランスアルキル化反応容器の間の分離熱統合を有する方法。
【請求項16】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセスのためのアルキル化触媒の選択方法であって、前記方法が、
(a)FAU、BEA、MWW、MTWおよびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるゼオライト構造型を有する一つ以上のゼオライトを含むトランスアルキル化触媒を選択する工程であって、ここで温度および圧力のトランスアルキル化条件が、約0.5〜約2.5の範囲の1または複数のトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対する1または複数のジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を生じる工程、および
(b)MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびこれらの任意の組合わせからなる群から選択されるゼオライト構造型を有する一つ以上のゼオライトを含むアルキル化触媒を選択する工程であって、ここで90モル%以上のアルケンが、前記工程(a)の温度より約50℃下から前記工程(a)の温度より約100℃上の温度において変換される工程、
を含む方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のプロセスのためのトランスアルキル化触媒の選択方法であって、前記方法が、
(a)MCM−22、MCM−36、MCM−49、MCM−56、およびこれらの任意の組合わせからなる群から選択されるゼオライト構造型を有する一つ以上のゼオライトを含むアルキル化触媒を選択する工程であって、90モル%以上のアルケンが、温度および圧力のアルキル化条件下で変換される工程、および
(b)FAU、BEA、MWW、MTWおよびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択されるゼオライト構造型を有する一つ以上のゼオライトを含むトランスアルキル化触媒を選択する工程であって、ここで温度および圧力のトランスアルキル化条件が、前記工程(a)の温度より約100℃下から前記工程(a)の温度より約50℃上の温度で、約0.5〜約2.5の範囲の1または複数のトリ−アルキル化芳香族化合物変換率に対する1または複数のジアルキル化芳香族化合物変換率の比率を生じる工程、
を含む方法。

【公表番号】特表2008−534587(P2008−534587A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504057(P2008−504057)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/006539
【国際公開番号】WO2006/107452
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【出願人】(507322344)バジャー・ライセンシング・エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】