説明

苗移植機

【課題】苗植付部の昇降時にロータの昇降の態様を変化させて苗植付部がロータの昇降で干渉を受けないようにする。
【解決手段】苗植付部4とロータ27a,bを昇降リンク装置40〜43で連結し、植付部4側にバネ95付きのロックケーブル90を、苗植付部4とロータ27a,bとの間にリンク部材76,77,バネ78をロータ27a,bの駆動用のチェーンケース73にスイングアーム92を設ける。苗植付部4の下降しているときにはケーブル90がバネ95に付勢されて、その先端がアーム92の穴92aに挿入され、ロータ27bが苗植付部4に固定され、ロータ27bが苗植付部4の下降動作に連動して圃場面に衝突するおそれがない。また苗植付部4が上昇するとケーブル90が上リンク40などの機体の動きに連動してバネ95の付勢力に抗してケーブル90の先端がアーム92の穴92aから外れて機体に対してロータ27bがフリーとなりバネ78により自由に上下動ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整地装置を備えた苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
フロート付きの苗植付装置を備えた苗移植機(例えば田植機)において、苗植付装置による苗植付の直前に圃場を均平化するための整地装置(ロータ)を備えた構成が知られている。
なお、本明細書では苗移植機の前進方向を前側、後退方向を後側といい、前進方向に向いて左右方向をそれぞれ左側、右側ということにする。
【特許文献1】特開平6−125617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に開示された苗移植機に設けられた整地装置は、苗植付装置を油圧シリンダにより昇降させる構成であり、該整地装置は苗植付装置の前方に単に取り付けているだけである。
【0004】
そこで、本発明の課題は、整地装置を苗植付装置の昇降に連動させると共に、苗植付装置の上昇時と下降時での整地装置の昇降の態様を変化させて苗植付装置が整地装置の昇降で干渉を受けないようにした苗移植機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(2)の後部に昇降自在に設けた苗植付部(4)と、該苗植付部(4)と共に昇降する整地装置(27)と、該走行車体(2)に取り付けられ、該苗植付部(4)と該整地装置(27)とを連結して共に昇降させる昇降リンク装置(40〜43)と、該植付部(4)と該整地装置(27)の間を融通性を保って連結する融通機構(67〜78)と、該苗植付部(4)の上昇時に該整地装置(27)は該融通機構(67〜78)で連結されたままで該整地装置(27)と該昇降リンク装置(40〜43)の係止を解除し、該苗植付部(4)の下降時に該整地装置(27)が該昇降リンク装置(40〜43)と係止させて該整地装置(27)が昇降しないように規制する規制機構(90,92,93,95)とを備えた苗移植機である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、苗植付部(4)の下降時における整地装置(27)による整地作業において、整地装置(27)がむやみに昇降せず、整地作業を適正に行うことができる。一方、苗植付部(4)の上昇時には整地装置(27)の融通性が確保され、整地装置(27)が昇降リンク装置(40〜43)側から逃げて昇降リンク装置(40〜43)の作動を阻害しないとの利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0008】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0009】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0010】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0011】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0012】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0013】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0014】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0015】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0016】
図3の側面図と図4の背面図にロータ支持構造の要部を示し、図5にロータ27a,27bとフロート55,56と苗植付装置52部分の要部平面図を示す。
ロータ支持構造には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(27a,27b)の駆動軸部70(70a,70b)が取り付けられている。また、該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
ロータ昇降用モータ63が梁部材66の軸方向延長線上に設けられている。
【0017】
図5に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にあるロータ(センタロータということがある)27bはサイドフロート56の前方にあるロータ(サイドロータということがある)27aより前方に配置されている。そのため、左側のロータ27aの駆動軸部70aへの動力は後輪11のギアケース18内のギアからロータ駆動ケース87内のギアに伝達され、該ロータ駆動ケース87から自在継手72等を介して伝達され、ロータ27bの駆動軸部70bは左側のロータ27aの駆動軸部70aの車体内側の端部から動力が伝達されるチェーンケース73内のチェーン89(図7参照)から動力伝達される。また、右側のロータ27aの駆動軸部70aはロータ27bの駆動軸部70bから右側のチェーン(図示せず)を介して動力伝達される。
【0018】
ロータ27bの駆動軸部70bは左右一対のチェーンケース73,73を介して支持されているだけなので、チェーンケース73,73の補強のために左右一対のチェーンケース73,73を橋渡しする補強部材74が設けられている。
【0019】
また、ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
該一対のリンク部材76,77は梁部材66に一端部が固着支持された第一リンク部材76と該第一リンク76の他端部に一端が回動自在に連結した第二リンク部材77からなり、該第二リンク部材77の他端部と補強部材74に回動自在に支持された取付片74aとの間に前記スプリング78が接続している。
【0020】
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向(図4の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該突出部66aの前記回動により第一リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ27bを上方に上げることができる。ロータ27bを上方に移動させると、駆動軸部70bと駆動軸部70aを介してロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
【0021】
また、梁部材66にはクラッチレバーを兼ねるロータ収納用レバー84が固着しており、該レバー84を矢印T方向(図3)に回動すると梁部材66の回動に連動して支持アーム67が同じく矢印T方向に回動する。該支持アーム67の矢印T方向への回動で該ロータ支持フレーム68が上方に移動するので、ロータ27a,27bを収納位置、すなわち苗載台51の裏面側に収納状態となるように移動させることができる。
【0022】
本実施例ではロータ上下位置調節レバー81の標準位置で圃場面より40mmの高さにあるロータ27a,27bを図4の矢印S方向への回動で標準位置より最大15mm高くでき、図4の矢印S方向の反対方向への回動で標準位置より最大15mm低くできるように設定している。
【0023】
図4に示すように、上記ロータ27a,27bをロータ昇降用モータ63で上下動ができる構成にしているので、ロータ27a,27bで畦際を整地しながら苗の植付を行う場合に、梁部材66の軸を回動可能にしたロータ27a,27bの作業状態からロータ27a,27bの収納状態への切替えを苗植付部4の上昇に連動させてロータ昇降用モータ63で自動的に行う構成とすることができる。
【0024】
苗植付部4の上昇時にロータ27bが昇降リンク装置3の下リンク41,41から逃げるように苗植付部4に対してスプリング78などを介して支持されているので、ロータ27aが融通性をもって苗植付部4に支持される。
【0025】
また、操縦座席31近傍に設ける図示しないメータパネル上に設けたロータ高さ調節ダイヤルによりロータ27a,27bを設定高さに調整する構成にしても良い。
【0026】
こうして、手動でロータ高さを設定する場合にはロータ27a,27bを収納位置に移動したままで次の苗植付作業時にロータ27a,27bを使用できないことがあるが、自動的にロータ27a,27bを設定高さに調整する構成にすると、そのような不具合を防ぐことができる。
【0027】
また、図1に示すように、ロータ27a,27bの後ろ上方には、ロータカバー37を設け、フロート55,56上に泥がかからないようにしている。
【0028】
前述のように苗植付部4をリフトさせたとき、フロート55の前方にあるセンタロータ27bが下方に下がる構成において、苗植付部4を上昇させた時にのみ、ロータ27bを可動可能とし、苗植付部4を下げたときはロータ27bを機体側にロックさせる構成とすることで機体側に固定する。
【0029】
図6にはそのための構成を示すが、リンクベースフレーム42に固定されたロックケーブル支持部42aにロックケーブル90の端部側が支持され、ロックケーブル90は上下リンク40,41に沿って配置され、その先端部はスイングアーム92に設けた穴92aに挿脱自在になっている。前記スイングアーム92はロータ27a,27bのチェーンケース73の苗載台側の端部に立設されている。ロックケーブル90の先端部側は縦リンク43に支持されたステー93の穴93aを貫通して取り付けられており、ステー93より先端部側のロックケーブル90部分には常時ケーブル90をその先端側に付勢するスプリング95を取り付けている。
【0030】
上記構成からなるロック機構は、苗植付部4の下降しているときにはロックケーブル90が、前記スプリング95にも付勢されて、その先端方向に伸び、スイングアーム92の穴92aに挿入され、ロータ27bが苗植付部4に固定される。こうしてスイングアーム92の穴92aからロックケーブル90が外れてフリーとなったロータ27bが苗植付部4の下降動作に連動して圃場面に衝突することで破損する可能性が無くなる。
【0031】
また、苗植付部4が上昇するとロックケーブル90が上リンク40などの機体の動きに連動して、前記スプリング95の付勢力に抗してロックケーブル先端がスイングアーム92の穴92aから外れて機体に対してロータ27bがフリーとなり、ロータ27bが自由にリンク部材76,77及びスプリング78により上下動ができる。
【0032】
図5に示すように、ロータ駆動ケース87のクラッチシフター97及び該シフター97作動用のクラッチケーブル99を後輪ギアケース18の内側で、かつ機体中央部へ配置している。
【0033】
このような配置でロータ駆動ケース87とクラッチシフター97とクラッチケーブル99には後輪11と補助車輪(図示せず)から泥が飛散することが無くなり、これらの部品の泥飛散によるトラブルが防止できる。また、機体中央部にロータ駆動ケース87とクラッチシフター97とクラッチケーブル99が配置されているので、これらの部品が機体側面から干渉を受けることが無い。
【0034】
図7にロータ部分の水平断面図を示すようにロータ27aの駆動軸部70aは、断面多角形の駆動軸70a1と該駆動軸70a1を内部に装着する断面多角形のロータ支持パイプ70a2の接続部をノブボルト85で組み付ける。前記接続部は、隣接した2つのロータ27a,27aの間の中央部に隙間があるので、この隙間にノブボルト85を組み付けることができ。従って一番端のロータ27aを駆動軸部70aの軸端まで寄せることができ、更に隣接するロータ27a,27aを軸方向に隙間無く配置できる。そのため、ロータ27aで整地できない圃場領域が減少するので圃場の整地性が従来より向上する。なお、全ロータ27aの中央には、該中央部を貫通するロータ支持パイプ70a2が設けられている。
【0035】
また、図7にはチェーンケース73からロータ27aへの動力伝達用の駆動軸部部分を示したが、ロータ27bの駆動軸部部分も同様に、駆動軸とロータ支持パイプを接続した構成を備えている。
【0036】
図8に別実施例のロータ部分の平面図を示すが、これは隣接する2つのロータ27a,27a同士をボス爪27a3を噛み合わせることで動力伝動する構成である。
【0037】
チェーンケース73からロータ27aへの動力伝達用の駆動軸70a1は爪カップリング方式により端部のロータ27aと係合し、また2つのロータ27a,27a同士のボス爪27a3を噛み合わせることで全てのロータ27aに駆動力を伝動することができる。なお、全ロータ27aの中央には、該中央部を貫通するロータ支持パイプ70a2が設けられている。また、図示していないが、駆動軸70a1とロータ支持パイプ70a2とは、図7に示すノブボルト85と同様の方式で係止する。
【0038】
この構成の場合には、ロータ支持パイプ70a2として断面多角形のパイプ又は断面丸形のパイプなどの自在な断面形状のパイプを用いることができ、また駆動軸としての強度保持は主にロータ27aが受け持つので、該ロータ支持パイプ70a2を薄肉化でき、パイプ70a2の軽量化が可能である。さらに、ロータ支持パイプ70a2が丸パイプであると、その接続部やメクラキャップの製造が容易になる。
【0039】
なお、図8にはチェーンケース73からロータ27aへの動力伝達用の駆動軸部部分を示したが、ロータ27bの駆動軸部部分も同様に、駆動軸とロータ支持パイプを接続した構成を備えている。
【0040】
図9に別実施例のロータ部分の平面図を示すが、これは隣接する2つのロータ27a,27a同士の羽根部を重ね合わせることで動力伝動する構成である。この構成では、ロータ27aの羽根部を重ね合わせているのでロータ27a内に夾雑物が巻き付かず、また、重ね合わせた羽根部は羽根自体の剛性を従来より上げるため、ロータ27aを従来より薄肉化できる。なお、図示していないが、駆動軸70a1とロータ支持パイプ70a2とは、図7に示すのと同様の方式でノブボルト85で係止する。
【0041】
また、図9にはチェーンケース73からロータ27aへの動力伝達用の駆動軸部部分を示したが、ロータ27bの駆動軸部部分も同様に、駆動軸とロータ支持パイプを接続した構成を備えている。
【0042】
図4に示すように梁部材66の一端にロータ昇降用モータ63を取り付けておき、苗植付部4が上昇するとロータ27a,27bは下降するようにし、また苗植付部4が下降するとロータ27a,27bは上昇するような構成としても良い。これにより、畦際旋回時にロータ27a,27bを下降させて、旋回跡のみを整地することができる。この場合は図10に示すように苗植付部4の上下リンク40,41の昇降リンクセンサ94(図3)とロータ連動入切スイッチ96(図2)のオンにより制御装置100がロータ昇降用モータ63を図11に示すフローに従って駆動制御を行う。この様な構成の場合はロータ昇降用モータ63を手動でオンオフできるので、ロータ27a,27bの上下移動をマニュアルで容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は田植機の苗植付部を簡易な構成とすることができて利用可能性が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例の乗用型田植機の側面図である。
【図2】図1の乗用型田植機の平面図である。
【図3】図1の苗植付部の要部側面図である。
【図4】図1の苗載台の支持構造の要部背面図である。
【図5】図1の苗植付部の要部平面図である。
【図6】図1の苗植付部のロータの上下移動を規制する構成を説明する図である。
【図7】図1の苗植付部のロータ部分の取付部の詳細断面図である。
【図8】図1の苗植付部の他の実施例のロータ部分の取付部の詳細断面図である。
【図9】図1の苗植付部の他の実施例のロータ部分の取付部の詳細断面図である。
【図10】図1の苗植付部のロータの昇降制御ブロック図である。
【図11】図1の苗植付部のロータの昇降制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 施肥装置付き乗用型田植機 2 走行車体
3 昇降リンク装置 4 苗植付部
5 粉粒体繰出し装置(施肥装置) 10 前輪
11 後輪 12 ミッションケース
13 前輪ファイナルケース 15 メインフレーム
18 後輪ギヤケース 20 エンジン
21 ベルト伝動装置 23 HST
25 植付クラッチケース 26 植付伝動軸
27(27a,27b) ロータ 27a3 ボス爪
28 施肥伝動機構 30 エンジンカバー
31 座席 32 フロントカバー
34 ハンドル 35 フロアステップ
36 リヤステップ 37 ロータカバー
38 予備苗載台 40 上リンク
41 下リンク 42 リンクベースフレーム
42a ロックケーブル支持部 43 縦リンク
44 連結軸 46 昇降油圧シリンダ
50 伝動ケース 51 苗載台
51a 苗取出口 51b 苗送りベルト
52 苗植付装置 52a 苗植付具
53 ブロア用電動モータ 55 センターフロート
56 サイドフロート
58 ブロア 59 エアチャンバ
60 肥料ホッパ 61 繰出部
62 施肥ホース 63 ロータ昇降用モータ
65 苗植付部支持枠体 65a 支持ローラ
65b 両側辺部材 66 梁部材
66a 突出部 67 支持アーム
68 ロータ支持フレーム 70(70a,70b) 駆動軸部
70a1 駆動軸 70a2 ロータ支持パイプ
71 連結部材 72 自在継手
73 チェーンケース 74 補強部材
74a 取付片
76 第一リンク部材 77 第二リンク部材
78 スプリング 81 ロータ上下位置調節レバー
82 折曲片 83 ロータ上下位置調節板
84 ロータ収納用レバー 85 ノブボルト
87 ロータ駆動ケース 89 チェーン
90 ロックケーブル
92 スイングアーム 92a 穴
93 ステー 93a 穴
94 昇降リンクセンサ 95 スプリング
96 ロータ連動入切スイッチ 97 クラッチシフター
99 クラッチケーブル 100 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の後部に昇降自在に設けた苗植付部(4)と、
該苗植付部(4)と共に昇降する整地装置(27)と、
該走行車体(2)に取り付けられ、該苗植付部(4)と該整地装置(27)とを連結して共に昇降させる昇降リンク装置(40〜43)と、
該植付部(4)と該整地装置(27)の間を融通性を保って連結する融通機構(67〜78)と、
該苗植付部(4)の上昇時に該整地装置(27)は該融通機構(67〜78)で連結されたままで該整地装置(27)と該昇降リンク装置(40〜43)の係止を解除し、該苗植付部(4)の下降時に該整地装置(27)が該昇降リンク装置(40〜43)と係止させて該整地装置(27)が昇降しないように規制する規制機構(90,92,93,95)と
を備えたことを特徴とする苗移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−330199(P2007−330199A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167686(P2006−167686)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】