説明

苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムのスラリー製造方法

【課題】粉砕後の苛性化軽質炭酸カルシウムを安価に効率良く湿式粉砕する方法を提供すること。
【解決手段】連続式の媒体撹拌型湿式粉砕機であって、筒状をなすとともに両端が閉塞された粉砕容器2と、粉砕容器2の内部に回転可能に設けられるとともに、粉砕容器2の内部に位置する処理物と粉砕媒体とを撹拌する撹拌部材18と、粉砕容器2の内部に設けられるとともに粉砕容器2の内部の処理物と粉砕媒体とを分離する筒状のセパレータ13とから構成されている粉砕機1に、パルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムを含有するスラリーを供給して粉砕処理することを特徴とするスラリー製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は粉砕機に関し、特に、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で製造されたカルサイト結晶構造を有する塊状の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕する際等に有効なL/D比が0.6より大きく1.2以下の媒体撹拌型湿式粉砕機を用いた粉砕方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高白色、高不透明度、高光沢度を有する高品位な軽量塗工紙の需要が高い。これらの要求に応えるために高品質軽量塗工紙の塗工顔料には、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの無機顔料以外に、高価な二酸化チタンやプラスチックピグメントなどが配合される。
【0003】
塗工用顔料に用いられる炭酸カルシウムは非常に安価であり、塗料中の配合率を高くすることで塗工紙の白色度や不透明度を向上できるが、白紙光沢度が著しく低下する。このため、高配合化するためには、白紙光沢度発現性を向上させるために、湿式粉砕により微粒化するのが一般的である。しかし、微粒化するには分散剤の添加量を増やし、長時間粉砕しなくてはならないため、顔料製造コストが高くなる。
一般的な重質炭酸カルシウムの粉砕方法として、粉砕容器内部に粉砕媒体(ビーズ)と、被粉砕物を液体に混ぜたスラリーを充填し、粉砕容器中央の回転軸を回転させることによりビーズと被粉砕物を衝突させることによって微粉砕を行う装置(ビーズミル)がある。従来はビーズミルで処理されたスラリーを別のタンクで受けるパス方式の横型ビーズミルを用いていたが、粗粒子及び過粉砕による超微粒子が多くなり粉砕後の粒度分布がシャープにならなかった。
【0004】
このため現在は、ビーズミルと循環タンクの間でスラリーを循環させるマルチパス方式のビーズミルが多く使用されている。マルチパス方式の粉砕機のメリットとして、粗粒子が少なくなり粒度分布がシャープになる特徴を持つ。なかでも、特にL/D比が0.5以下とするマルチパス方式の媒体撹拌型湿式粉砕機(特許文献1)は、粉砕室を工夫しビーズの充填率を低く抑えることが出来るため、大流量循環運転が可能となる特徴を持つ。
【0005】
前述のパス方式とマルチパス方式の粉砕方法について粉砕性能を比較するため、両方法にて重質炭酸カルシウムを同一条件下で粉砕したところ、マルチパス方式の粉砕方法は粒度分布がシャープになり、良好な結果が得られた。
【0006】
一方、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で、生石灰を水または弱液で消和した後、緑液で苛性化反応することによって製造(苛性化法)される苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウム(以下、苛性化軽質炭酸カルシウムという。)がある。この炭酸カルシウムは主産物である白液を製造する際の副産物であるため、従来の石灰乳と炭酸ガスとの反応による方法で得られる軽質炭酸カルシウムに比べて既にある設備を利用でき、設備投資額が最小ですむ利点がある。しかし、苛性化軽質炭酸カルシウムを塗工用顔料として高配合すると、前述のとおり白紙光沢度が著しく低下するため、粉砕によって微粒化する必要がある。
【0007】
これらのことから、前述のL/D比が0.5以下となるマルチパス方式の媒体撹拌型湿式粉砕機を用いて、苛性化軽質炭酸カルシウムのスラリーの粉砕を行った。しかし、粉砕後のスラリーの粘度が高くなり高価な分散剤の使用量が増加し、また、重質炭酸カルシウムの粉砕時と比較して動力原単位も高くなり、コスト高となった。
【0008】
したがって、電力コストが安価となり、高価な分散剤使用量の使用を抑えることが出来る高品質な苛性化軽質炭酸カルシウムのスラリー製造技術を開発できれば、その苛性化軽質炭酸カルシウムを塗料中に高配合化することで、白紙光沢度が劣ることなく、高品質塗工紙を製造できる。
【0009】
苛性化法によって製造された苛性化軽質炭酸カルシウムの粉砕においては、前記粉砕機を用いても良好な結果を得ることが出来ない。軽質炭酸カルシウムを粉砕する既存技術としては、特許文献2、特許文献3、特許文献4などが挙げられる。しかし、特許文献2は炭酸ガス法で得られる軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合粉砕、特許文献3は軽質炭酸カルシウムとカオリンの混合粉砕であり、苛性化軽質炭酸カルシウム単独の粉砕および苛性化軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合粉砕には適応できない。また、特許文献4は軽質炭酸カルシウムの粉砕時にスラリーpHが8〜12になるよう炭酸ガスを直接吹き込むことで高効率な軽質炭酸カルシウムの粉砕方法を提案している。一般に苛性化軽質炭酸カルシウムの粉砕後に得られるスラリーpHは13以上あり、しかもスラリー濃度が高いため、炭酸ガスでpH12以下まで中和するには長時間を要する。従って、スラリー粉砕機と循環タンクの間でスラリーを大流量循環させながら目的粒子径まで粉砕するマルチパスの粉砕方式では、炭酸ガス中和が不十分あるいは不可能となり、期待する効果を発揮できない。
【特許文献1】特開平10−230182
【特許文献2】特開平6−41463
【特許文献3】特開2000−110096
【特許文献4】特開2000−239017
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は上記のごとき課題を解決し、粉砕後の苛性化軽質炭酸カルシウムを安価に効率良く湿式粉砕する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、筒状をなすとともに両端が閉塞した粉砕容器と、該粉砕容器の内部に、軸線をほぼ一致させた状態で設けられ、内部を径方向に2区画して内側室と外側室とを形成するとともに、両室間を連通する複数のスリットが周面の少なくとも一部に設けられている筒状のセパレータと、前記内側室の内部に粉砕容器と軸線をほぼ一致させた状態で回転可能に設けられた撹拌部材と、前記内側室に処理物を供給させるための供給口とを具えたことを特徴とし、前記粉砕容器の軸線方向の長さ(L)と直径(D)との比(L/D比)が0.6より大きく1.2以下のダブルローターとなるように構成した媒体撹拌型粉砕装置を使用することで、苛性化軽質炭酸カルシウムのスラリー製造時において動力原単位を下げることが出来、流動性が良好な状態で効率良く微粒化できる事を可能にする。前記L/D比は、好ましくは、0.8より大きく1.0以下である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、苛性化軽質炭酸カルシウム高濃度スラリーを微粒化する際に、ダブルローターにすることによって、従来技術と比較して粉砕媒体の動きが良くなり、低速回転でも粉砕効率の高い処理を行うことが可能となるために、動力原単位を少なくする事が出来る。また、粉砕後の苛性化軽質炭酸カルシウムの物性についても、比表面積が小さくなり、粘度が下がるために高価な分散剤の使用量を減らすことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の方法を具体的に説明する。本発明の軽質炭酸カルシウムは、硫酸塩法ま
たはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で製造されたものを使用する。
[軽質炭酸カルシウムの製造方法]
軽質炭酸カルシウムの製造方法としては、(1)石灰の焼成装置その他から得られる二酸化炭素を含有したガスと石灰乳との反応、(2)アンモニアソーダ法における炭酸アンモニウムと塩化カルシウムとの反応、(3)炭酸ナトリウムの苛性化によって水酸化ナトリウムを製造する石灰乳と炭酸ナトリウムとの反応等が知られている。これらの方法のうち、(2)(3)においては、その主生産物を得る製造法が新たな方法に転換されたり、炭酸カルシウムが副産物であることから不純物含量が多いなど、その利用方法についてはあまり検討されていない。
[炭酸ガス法]
一方(1)は、反応系が比較的単純(水、消石灰、炭酸ガス)であり、様々な用途毎に目的に合った炭酸カルシウムを製造する方法等について広く研究が進み、石灰メーカーから市販されている商品もいくつか見られる。しかしながら、メーカーからの直接購入では輸送費コストがかさみ、トータルコストが高くなる欠点がある。また、オンサイト炭酸ガス法ではキルン排ガスを利用すれば、安価に高品質な炭酸カルシウムを製造できるが、設備投資に巨額の費用がかかる問題がある。
[苛性化法]
そこで考えられるのが、硫酸塩法又はソーダ法によるパルプ製造工程において、蒸解薬品を回収・再生する苛性化工程で白液を製造する際に副生する炭酸カルシウムを製紙用原料として使用する方法である。この方法であれば、既にある設備を利用でき、設備投資額が最小ですむ利点がある。
[苛性化工程]
硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程においては、木材の繊維素を単離するために水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとを混合した薬液を用いて高温、高圧下で蒸解する。そして、繊維素は固層として分離精製されてパルプとなり、薬液および木材からの繊維素以外の溶出成分はパルプ廃液(黒液)として回収され、回収ボイラーで燃焼可能な濃度まで濃縮される。さらに、一連の過程で失われたナトリウム分と硫黄分を補給するために硫酸ナトリウムが添加された後、回収ボイラーで燃焼される。その際、黒液中の有機物質は熱源として、無機物質は主として炭酸ナトリウムおよび硫化ナトリウムとして回収されるが、これらの無機物はスメルトと呼ばれ溶融状態で回収ボイラーから取り出される。回収ボイラーから取り出されたスメルトは、水または弱液(炭酸カルシウムを水洗浄した後に得られる、白液成分を微量含んだ液)で溶解されて緑液となる。
[苛性化反応]
苛性化工程とは、緑液中の炭酸ナトリウムを蒸解薬品である水酸化ナトリウムに変えるための工程であり、生石灰を消石灰に変える消和反応(1)と、消石灰と緑液を混合し水酸化ナトリウムと炭酸カルシウムを生成する苛性化反応(2)よりなる。苛性化反応によって得られた液は白液と呼ばれ、炭酸カルシウムと分離、清澄化されて蒸解工程へ送られる。本発明では分離回収し、十分洗浄された炭酸カルシウムを使用する。
【0014】
CaO + H2O → Ca(OH)2 (1):消和反応
Ca(OH)2+ Na2CO3 → CaCO3+ 2NaOH (2):苛性化反応
[苛性化反応の特徴]
この炭酸カルシウムは主産物である白液を製造する際の副産物であるため、従来の石灰乳と炭酸ガスとの反応による方法で得られる軽質炭酸カルシウムに比べて既にある設備を利用でき、設備投資額が最小ですむ利点がある。また、従来閉鎖系にある苛性化工程のカルシウム(生石灰、消石灰、炭酸カルシウム)循環サイクルから炭酸カルシウムを系外に抜き取ることによって、系内の清浄および循環石灰の高純度化が達成され、上記(1)(2)の反応性向上や白液の清澄性の向上、さらには廃棄物の低減が期待できる。
[脱水濃縮、平均粒子径]
本発明で使用される軽質炭酸カルシウムは圧搾、吸引、遠心分離方式などの脱水装置に
よって脱水濃縮されたケーキ状、スラッジ状のものが使用される。また、苛性化工程で得られる塊状の軽質炭酸カルシウムの平均粒子径は、顔料用途で使用できる73%濃度以上まで濃縮できれば特に限定されないが、レーザー透過式粒度分布測定装置(マスターサイザー2000、マルバーン社製)の値で10〜30μmが好ましく、更に好ましくは10〜20μmが好ましい。
[スラリー化]
このようにして得られた苛性化軽質炭酸カルシウム湿り粉体をスラリー化する方法として、円筒形の容器と棒状の攪拌アームからなり、3〜10ミリのボールを充填、攪拌して分散と粉砕を同時に行えるアトライターや高速攪拌羽根を装備した高濃度分散装置等を適宜使用できる。
[分散剤]
また、分散剤と希釈水は一括または分割しながら添加することで、スラリー粘度や濃度を調整できる。顔料分散液中に使用する分散剤としては、一般に製紙用として使用されているポリアクリル酸塩、リグニンスルホン酸塩等が挙げられ、これらのうち1種類以上を必要に応じて選択して使用する。このスラリー化での軽質炭酸カルシウムの平均粒子径はビーズ径、処理時間などで任意に調整でき、この粗粉砕後の平均粒子径は、レーザー透過式粒度分布測定装置(マスターサイザー2000、マルバーン社製)の値で1〜30μmが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmが好ましい。粗粉砕後のスラリー濃度は65〜80%が好ましい。
【0015】
また、不定形状の苛性化軽質炭酸カルシム以外、例えば針状や柱状の苛性化軽質炭酸カルシウムに対しても、粉砕処理を必要とする場合には本発明を適用することが出来る。
また、顔料分散液中に使用する分散剤としては、一般に製紙用として使用されるポリアクリル酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダ、リン酸塩およびそれらの変性物等が挙げられ、これらのうち一種類以上を必要に応じて選択して使用することができ、分散剤の使用量は、顔料100重量部に対して0.7〜2.0重量部が好ましく、さらに好ましくは顔料100重量部に対して0.9〜1.8重量部が好ましい。苛性化軽質炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムと比較して高アルカリ性であり、凝集性、疎水性が極めて高いために顔料分散液の粘度が非常に高く、粉砕時の粉砕機負荷が大きくなり過ぎるばかりか、場合によっては粉砕機中に充填されている媒体の割れや磨耗が著しくなるなどの問題を生じてしまう。また、粉砕が進行するに従って顔料分散液粘度が急上昇するため、重質炭酸カルシウム粉砕時と比較してより多くの分散剤使用量が必要となる。
【0016】
なお、重質炭酸カルシウムと苛性化軽質炭酸カルシウムの混合顔料分散液中の苛性化軽質炭酸カルシウム含有率が50重量%以下であれば、本発明の粉砕機を使用しなくても粉砕可能である。本発明では、前記パルプ製造工程の苛性化工程で製造された顔料としての軽質炭酸カルシウムであって媒体撹拌型粉砕装置に供給される前の前記軽質炭酸カルシウムが、全顔料の重量基準で50重量%以上含有することができる。
[粉砕機]
本発明に用いる粉砕機1は、連続式の媒体撹拌型湿式粉砕機であって、筒状をなすとともに両端が閉塞された粉砕容器2と、粉砕容器2の内部に回転可能に設けられるとともに、粉砕容器2の内部に位置する処理物と粉砕媒体とを撹拌する撹拌部材18a及び撹拌部材18bと、粉砕容器2の内部に設けられるとともに粉砕容器2の内部の処理物と粉砕媒体とを分離する筒状のセパレータ13とから構成されている。
[粉砕容器]
粉砕容器2は、一端が閉塞された筒状の容器本体3と、この容器本体3の他端開口部を閉塞する円盤状の蓋6とを有している。
【0017】
容器本体3の閉塞されている一端の中央部には容器本体3の内外部を連通する筒状のボス4が一体に設けられ、このボス4の内部に軸受け8を介して前記撹拌部材18a及び撹拌部材18bが回転可能に支持されている。
【0018】
容器本体3の内部には、図示していないが内周面に沿って環状の溝が設けられているとともに、この溝に対応する前記蓋6の部分にも図示していないが環状の溝が設けられている。そして、容器本体3の図示していない溝に前記セパレータ13の一端を位置し、また、前記蓋6の図示していない溝に前記セパレータ13の軸方向の他端を位置し、蓋6を容器本体3に図示していないがボルト等によって固定して、前記セパレータ13を粉砕容器2の内部に固定する。なお、容器本体3および蓋6に溝を設けずに、他の手段、たとえばボルト等によってセパレータ13を粉砕容器2内に固定してもよい。
【0019】
粉砕容器2の内部は前記セパレータ13によって径方向に2室に区画されて円形状の内側室9と環状の外側室10とが形成されている。前記蓋6の中央部には前記内側室9の内外部を連通する筒状の供給口11が一体に設けられ、この供給口11によって前記内側室9の内部に処理物が供給される。前記容器本体3には前記外側室10の内外部を連通する筒状の排出口12が一体に設けられ、この排出口12から前記セパレータ13を通過した処理物が粉砕容器2の外部に排出される。
処理物を苛性化軽質炭酸カルシウムとする場合は、粉砕容器2のL/D比が0.6より大きく1.2以下となるものを選定する。なお、Lは軸方向の長さ、Dは直径である。L/D比を1.2以下とすることにより、媒体の偏析現象を抑制する傾向となる。また、0.6よりも大きくすることにより、撹拌部材18の作用範囲を確保できるようになる。好ましくは、L/D比が0.8より大きく1.0以下とすることにより、さらに上記のそれぞれの効果は顕著となる。
[セパレータ]
セパレータ13は、筒状の内側リング14と、筒状の外側リング15と、両リング14、15間に設けられる断面が楔状の複数の棒鋼16、16…とから構成されている。棒鋼16は、内径側が大径となっていて、外側リング15と内側リング14との間に所定の間隔で設けられている。内側リング14と外側リング15との間に複数の棒鋼16、16…を設けることで、隣接する棒鋼16、16間で内径側から外径側にかけて間隔が順次大きくなるような楔状のスリット17、17…が形成され、これらのスリット17、17…を介して内側室9と外側室10との間が相互に連通するものである。なお、内側リング14および外側リング15には各スリット17に通じる複数の孔が設けられている。
【0020】
そして、上記のように内側リング14、外側リング15、および棒鋼16を組合わせて複数のスリット17、17……を形成することで、大流量の処理物を通過させるのに十分な有効面積を確保することができる。また、各スリット17は内径側から外径側にかけて間隔が順次大きくなる楔状に形成されているので、目詰まりを起こすことなく処理物を外側室10側に流動させることができる。さらに、運転時における強度も十分に確保することができる。
【0021】
なお、セパレータ13は、上記のものに限定することなく、(1)「大流量の処理物を通過させるのに十分な有効面積を確保できる。」、(2)「目詰まりを起こすことがない。」、(3)「運転時の強度を十分に確保できる。」の3つの条件を満たす構造のものであればよい。
[撹拌部材]
撹拌部材18は、一端が閉塞された筒状で、粉砕容器2の内側室9内に回転可能にまた軸方向に二個、撹拌部材18a及び撹拌部材18bが設けられ、撹拌部材18の筒状の部分の外周側には、全周に渡って凹部19、凸部20が交互に設けられている。各凹部19には貫通孔21が設けられ、この貫通孔21を介して撹拌部材18の径方向の内外間において処理物および粉砕媒体が相互に流動する。撹拌部材18の閉塞されている一端には複数の貫通孔22が設けられている。この貫通孔22は、撹拌部材18の軸心を中心とする同心円状に所定の間隔で位置し、この貫通孔22を介して撹拌部材18a及び撹拌部材18bの内外部間において処理物および粉砕媒体が相互に流動する。
【0022】
供給口11側の撹拌部材18aの内部には駆動軸24の先端に螺合する分散部材25が位置し、この分散部材25はロックナットを兼用している。
分散部材25の頭部には全周に渡って凹部、凸部が交互に設けられ(図示せず。)、この凹部、凸部によって前記供給口11から粉砕容器2の内側室9に供給された処理物、および内側室9に位置する粉砕媒体が径方向の外方に分散される。
【0023】
次に、前記に示すものの作用について説明する。まず、駆動源を作動して駆動軸24が回転すると、駆動軸24に連結されている撹拌部材18a及び撹拌部材18bが回転するとともに、撹拌部材18aの中心部に位置している分散部材25も回転する。
【0024】
そして、処理物を供給口11から粉砕容器2の内側室9の内部に供給すると、処理物は分散部材25及び撹拌部材18aによって粉砕媒体とともに径方向の外方向に分散されるとともに、撹拌部材18a及び撹拌部材18bによって撹拌される。
【0025】
この場合、撹拌部材18a及び撹拌部材18bの筒状の部分には貫通孔21が設けられているので、この貫通孔21によって処理物および粉砕媒体には強力な遠心力が作用し、処理物および粉砕媒体は貫通孔21から撹拌部材18a及び撹拌部材18bの外周側に流動する。
【0026】
そして、撹拌部材18a及び撹拌部材18bの外周側に流動した処理物および粉砕媒体は、撹拌部材18a及び撹拌部材18bの外周側において撹拌部材18a及び撹拌部材18bの凹部19、凸部20によって強力な剪断力が加えられて、撹拌部材18a及び撹拌部材18bの軸方向の一端方向又は他端方向に流動し、蓋6と撹拌部材18aとの間の間隙を介して撹拌部材18aの内側に流動する。また一部は撹拌部材18bと容器本体3との間の間隙を通って貫通孔22から撹拌部材18bの内側に流動し、このような一連の流れに沿って撹拌部材18a及び撹拌部材18b間に循環流を発生させる。
【0027】
そして、このように処理物および粉砕媒体が内側室9の内部を循環することで、両者は全体が完全な混合状態となり、処理物は徐々に細かく粉砕されて所定の粒度に達する。そして、所定の粒度に達した処理物は、撹拌部材18の外周側に流動した際にセパレータ13によって粉砕媒体と分離され、セパレータの各スリット17内に流れ込み、そこを流れて外側室10の内部に達し、外側室10から排出口12を介して粉砕容器2の外部に排出される。
【0028】
上記のように構成したこの実施の形態による粉砕機1にあっては、粉砕容器2のL/D比を0.6より大きく1.2以下に、好ましくは、0.8より大きく1.0以下に形成してあり、内側室9(粉砕領域)の容積を十分に確保している。したがって、従来のシングルローター以上の粉砕効率が得られることになる。
【0029】
また、処理物と粉砕媒体とを分離するセパレータ13を筒状に形成して複数のスリット17を形成し、軸線をほぼ一致させた状態でセパレータ13を粉砕容器2の内部に設けたので、大流量の処理物を処理するのに十分な有効面積を確保することができる。したがって、処理物の流れがセパレータ13によって制限されるようなことはなく、大流量の処理物の処理にも十分に対応できる。
【0030】
さらに、セパレータ13は、内側リング14と外側リング15との間に複数の棒鋼16を設けた構成なため、大流量の処理物を処理しても十分に強度を確保することができる。したがって、長期的に安定した性能を発揮することができることになる。
【0031】
そして、撹拌部材18aの中央部に分散部材25を設けるとともに、撹拌部材18a及び撹拌部材18bの筒状の部分に内外を貫通する貫通孔21、撹拌部材18a及び撹拌部材18bの閉塞されている一端に内外部を貫通する貫通孔22をそれぞれ設けたので、内側室9の全体を使って処理物および粉砕媒体を循環させることができる。したがって、粉砕媒体および処理物が粉砕容器2の内部の一部に片寄って運転に影響を与えたり、運転が困難となったりするようなことはなく、長期的に良好な運転特性が得られる。
[処理システム]
この媒体攪拌型湿式分散機は、図2に示すような処理システムで使用されている。すなわち、処理システム140は、分散機110と処理物のサービスタンク141及び循環ポンプ142を、循環ライン143で接続したものである。サービスタンク141に投入された処理物は、循環ポンプ142によって循環ライン143を循環し、分散機110によって繰り返し分散処理を受けることになる。この結果、系内の処理物全体について分散処理が進行することになる。
[媒体充填率]
なお、粉砕媒体の充填率は出来る限り高いほうが好ましいが、充填率が高すぎる場合は粉砕室内での媒体の動きが制限されるため粉砕効率を低下させることがある。そのため、粉砕媒体の充填率は70〜90%が好ましく、さらに好ましくは、75〜85%が好ましい。
[ローター回転数]
また、ローター(撹拌部材)回転数についても出来る限り高いほうが好ましいが、ローター回転数が高すぎる場合は粉砕機の粉砕機負荷が大きくなり過ぎるばかりか、場合によっては粉砕機中に充填されている媒体の割れや磨耗が著しくなることがある。よってローター回転数は、ローター外径が196mmの場合、700〜1200min−1が好ましく、さらに好ましくは800〜1000min−1が好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、もちろん本発明はそれらに限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0033】
日本製紙株式会社A工場の苛性化工程で製造された固形分濃度73%の塊状軽質炭酸カ
ルシウムを用いた。この湿り粉体50部と重質炭酸カルシウム50部を混合した顔料分散液、または塊状軽質炭酸カルシウム100部の顔料分散液に、それぞれポリアクリル酸系分散剤を1.6〜3.6部と水を一括添加し、アトライター(三井鉱山社製)にて濃度73%、平均粒子径7μmなるよう粗粉砕した。この処理で得られた粗スラリーを7.4Lの粉砕室を有するダブルローター型SCミルLSC220(三井鉱山社製)に定量ポンプで一定量送液し湿式粉砕した。
【0034】
媒体として直径0.5ミリのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)を使用し、ビーズ充填率(粉砕室中の空隙容積に対する、最密充填した時の粉砕媒体の容積)は70〜90%、ローター回転数を800〜1000min−1とし、本発明の粉砕機または横型ビーズミル粉砕機(三井鉱山社製)を用いて平均粒子径が0.4〜1.0μmとなるまで粉砕した。粉砕後、スラリー濃度を70%にして25℃でのB型粘度(60rpm、東京計器社製)を測
定した。また、マスターサイザー2000(マルバーン社製)を用いて、重量累積分布の50%点を平均粒子径として算出し、また、セディグラフ(マイクロメリテックス製)を用いて粒度分布についても測定した。また、マイクロメリティックス・ジェミニ2360(島津社製)を用いてBET比表面積を測定した。
〔実施例1〕
苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウム(以下、苛性化軽カルという。)を50部、重質炭酸カルシウム(三共精粉、平均粒子径13μm)を50部配合した顔料分散液に
ポリアクリル酸系分散剤を1.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、ダブルローター型SCミルLSC220でビーズ充填率90%、ローター回転数800min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は165kW・h/tであり、B型粘度は3900mPa・sであり、比表面積は15.7m
gであった。
〔実施例2〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を1.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、ダブルローター型SCミルLSC220でビーズ充填率85%、ローター回転数800min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は171kW・h/tであり、B型粘度は4600
mPa・sであり、比表面積は11.1m/gであった。
〔実施例3〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を1.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、ダブルローター型SCミルLSC220でビーズ充填率80%、ローター回転数900min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は171kW・h/tであり、B型粘度は4900
mPa・sであり、比表面積は11.2m/gであった。
〔実施例4〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を1.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、ダブルローター型SCミルLSC220でビーズ充填率70%、ローター回転数1000min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は193kW・h/tであり、B型粘度は500
0mPa・sであり、比表面積は12.4m/gであった。
〔実施例5〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を1.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、ダブルローター型SCミルLSC220でビーズ充填率85%、ローター回転数800min−1で平均粒子径が1.0μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は111kW・h/tであり、B型粘度は900m
Pa・sであり、比表面積は7.9m/gであった。
〔比較例1〕
苛性化軽カルを50部、重質炭酸カルシウム(三共精粉、平均粒子径13μm)を50部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を2.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、シングルローター型SCミルSC220でビーズ充填率90%、
ローター回転数800min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は226kW・h/tであり、B型粘度は7500mPa・sであり、比
表面積は18.6m/gであった。
〔比較例2〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を2.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、シングルローター型SCミルSC220
でビーズ充填率85%、ローター回転数800min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は238kW・h/tであり、B型粘度は870
0mPa・sであり、比表面積は13.1m/gであった。
〔比較例3〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を2.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、シングルローター型SCミルSC220
でビーズ充填率80%、ローター回転数900min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は237kW・h/tであり、B型粘度は820
0mPa・sあり、比表面積は13.8m/gであった。
〔比較例4〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を2.6部添加
したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、シングルローター型SCミルSC220
でビーズ充填率70%、ローター回転数1000min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は285kW・h/tであり、B型粘度は89
00mPa・sであり、比表面積は13.5m/gであった。
〔比較例5〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を2.6部(表は1.6部)添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、シングルローター型SCミルSC220でビーズ充填率85%、ローター回転数1000min−1で平均粒子径が
0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は247kW・h/tであり、B型粘度は10000mPa・s以上(測定不能)であり、比表面積は13.7m
/gであった。
〔比較例6〕
苛性化軽カルを100部配合した顔料分散液にポリアクリル酸系分散剤を3.6部添加したものを平均粒子径7μmまで粗スラリー化した後、横型サンドグラインダー(三井鉱山社製)でビーズ充填率90%、ローター回転数800min−1で平均粒子径が0.4μmとなるまで湿式粉砕した。そのときの動力原単位は350kW・h/tであり、B型粘度
は7100mPa・sであり、比表面積は17.1m/gであった。
〔試験結果〕
1.B型粘度について
表1の実施例1〜4から、本発明の粉砕機(L/D比が0.9のダブルローター)によれば、苛性化軽カルを50重量%以上配合して、平均粒子径を0.4μmとなるまで湿式粉砕しても、スラリーのB型粘度は3900〜5000mPa・sの範囲となります。
【0035】
比較例1〜5から、従来型の粉砕機(L/D比が0.3のシングルローター)では、苛性化軽カルを50重量%以上配合して、平均粒子径を0.4μmとなるまで湿式粉砕すると、スラリーのB型粘度は7500〜8900mPa・sの範囲となります。
【0036】
以上から、本発明の粉砕機によるスラリーのB型粘度は、従来型の粉砕機によるものと
比較すると、約半減しており操業性に優れる。当然のことながら、粘度が上昇しないため、動力原単位も小さくなっている。
2.粒子径分布について
図3から、実施例2の本発明の粉砕機によるスラリーの固形分の粒子径分布は、同じ平均粒子径であっても、従来型の粉砕機によるものと比較すると、狭い粒子範囲(いわゆるシャープな粒子分布で粒子径が揃った状態)になっており、微細粒のものや粒子径大のものが少なく、塗工顔料に使用するに当って良好である。
【0037】
このようになる要因としては、実施例2の本発明の粉砕機では、衝撃力の作用が粒子に伝わり易いため、粒子全体が粉砕される(いわゆる体積粉砕)傾向となり、一方、比較例2や6の従来型の粉砕機では、衝撃力の作用が粒子に上手く伝わらず、摩擦力の作用が進み、過粉砕粒子が生じてしまう(いわゆる表面粉砕)傾向となるためと考えられる。
【0038】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の媒体攪拌型湿式分散機の実施の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の処理システムを示す概略説明図である。
【図3】本発明の実施例2と比較例2及び6における、粒子径(μm)と粒子の存在比率(%)の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0040】
1 粉砕機
2 粉砕容器
3 容器本体
4 ボス
6 蓋
8 軸受け
9 内側室
10 外側室
11 供給口
12 排出口
13 セパレータ
14 内側リング
15 外側リング
16 棒鋼
17 スリット
18 撹拌部材
18a 撹拌部材
18b 撹拌部材
19 凹部
20 凸部
21 貫通孔
22 貫通孔
24 駆動軸
25 分散部材
110 媒体攪拌型湿式分散機
140 処理システム
141 サービスタンク
142 循環ポンプ
143 循環ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕して塗工用顔料を得るためのスラリー製造方法であって、
筒状をなすとともに両端が閉塞した粉砕容器と、該粉砕容器の内部に、軸線をほぼ一致させた状態で設けられ、内部を径方向に2区画して内側室と外側室とを形成するとともに、両室間を連通する複数のスリットが周面の少なくとも一部に設けられている筒状のセパレータと、前記内側室の内部に粉砕容器と軸線をほぼ一致させた状態で回転可能に設けられた撹拌部材と、前記内側室に処理物を供給させるための供給口とを具えたことを特徴とし、前記粉砕容器の軸線方向の長さ(L)と直径(D)との比(L/D比)が0.6より大きく1.2以下のダブルローターとなるように構成された媒体撹拌型粉砕装置にパルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムを含有するスラリーを供給して粉砕処理することを特徴とする、パルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムのスラリー製造方法。
【請求項2】
前記パルプ製造工程の苛性化工程で製造された顔料としての軽質炭酸カルシウムであって媒体撹拌型粉砕装置に供給される前の前記軽質炭酸カルシウムが、全顔料の重量基準で50重量%以上含有されていることを特徴とする請求項1に記載のパルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムのスラリー製造方法。
【請求項3】
前記パルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムが、塊状でカルサイト結晶構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のパルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムのスラリー製造方法。
【請求項4】
前記L/D比が、0.8より大きく1.0以下である請求項1記載のパルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウムのスラリー製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−144312(P2009−144312A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291694(P2008−291694)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】