説明

茶園用薬剤散布機

【課題】 薬液の使用量を抑えつつ防除効果を向上できる茶園用薬剤散布機を提供すること。
【解決手段】 この茶園用薬剤散布機は、送風機と、この送風機に接続される送風ダクト24と、この送風ダクト24に取り付けられる薬液導管14とを備える。上記送風ダクト24の複数の送風吹出口25と、上記薬液導管14の複数のノズル15とは、接近しており、上記ノズル15から噴出された薬液は、上記送風吹出口25から強制的に送り出された風によって、茶木の内部に確実に到達させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、茶木に農薬等の薬剤を散布する乗用型の茶園用薬剤散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の茶園用薬剤散布機は、略門型の本体フレームと、この本体フレームの後部に取り付けられるブームと、このブームに取り付けられると共に複数のノズルを有する薬液導管とを備え、このノズルから薬液を噴出して、茶木の上面および裾部に薬液を散布していた(特開平11−299409号公報:特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来の茶園用薬剤散布機では、薬液を上記ノズルからの噴出のみで散布していたので、薬液が茶木の内部にまで効率よく到達せず、しかも、茶木全体に対する薬剤の散布ムラが発生して、防除効果が低下する欠点があった。また、上記ノズルから噴出された霧状の薬液の一部は、茶木にかからずに、風によって飛散するおそれがあり、薬剤の使用量が無駄に多くなる欠点があった。
【特許文献1】特開平11−299409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明の課題は、薬液を茶木の内部に確実に到達させ、薬液の散布ムラを軽減して、薬液の使用量を抑えつつ防除効果を向上できる茶園用薬剤散布機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明の茶園用薬剤散布機は、
略門型の本体フレームと、
この本体フレームに取り付けられる送風機と、
この送風機に接続され上記本体フレームに取り付けられると共に複数の送風吹出口を有する送風ダクトと、
上記本体フレームに取り付けられると共に上記複数の送風吹出口の近傍に開口している複数の薬液吐出口を有する薬液導管と
を備えることを特徴としている。
【0006】
この発明の茶園用薬剤散布機によれば、上記送風ダクトの上記複数の送風吹出口と上記薬液導管の上記複数の薬液吐出口とは、近傍に開口しているので、上記薬液吐出口から噴出された薬液は、上記送風機により上記送風吹出口から強制的に送り出された強い風(圧力風)によって、茶木へ勢いよく吹き付けられて、茶木の内部まで入り込んで、茶木全体(枝幹、葉表および葉裏等)に広がる。
【0007】
したがって、茶木への薬液の付着度が向上すると共に散布ムラが軽減されて、防除効果が向上する。また、薬液の散布量を減少できて、経済的となり、しかも、作業時間を短縮できて、作業能率を向上できる。また、構造が簡単であるので、例えば、上記送風機および上記送風ダクトを既存の茶園用薬剤散布機に取り付けて使用することで、既存の茶園用薬剤散布機を有効に利用できる。
【0008】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、
上記複数の送風吹出口は、上記送風ダクトの長手方向に沿って略一直線に並んでおり、
上記複数の薬液吐出口は、上記薬液導管の長手方向に沿って略一直線に並んでおり、
上記複数の送風吹出口の各々と上記複数の薬液吐出口の各々とは、接近している。
【0009】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記複数の送風吹出口の各々と上記複数の薬液吐出口の各々とは、接近しているので、上記各薬液吐出口から噴出された薬液は、上記各送風吹出口から送り出された風によって、無駄なく確実に、茶木全体に散布できる。
【0010】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記複数の送風吹出口が並んで形成する略一直線(上記送風ダクトの長手方向)と、上記複数の薬液吐出口が並んで形成する略一直線(上記薬液導管の長手方向)とは、平行であり、上記複数の送風吹出口の各々と上記複数の薬液吐出口の各々とは、上記略一直線(上記送風ダクトおよび上記薬液導管の長手方向)に対して略垂直な方向に、配置されている。
【0011】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、薬液を無駄なく、茶木全体に確実に送り込むことができる。
【0012】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記複数の送風吹出口が並んで形成する略一直線(上記送風ダクトの長手方向)と、上記複数の薬液吐出口が並んで形成する略一直線(上記薬液導管の長手方向)とは、平行であり、上記複数の送風吹出口と上記複数の薬液吐出口とは、上記略一直線(上記送風ダクトおよび上記薬液導管の長手方向)に沿って、千鳥状に配置されている。
【0013】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの後方に位置している。
【0014】
ここで、前方とは、上記茶園用薬剤散布機の走行方向をいい、後方とは、上記茶園用薬剤散布機の走行方向と逆方向をいう。左右方向とは、上記本体フレームを前後方向からみたときの左右の方向をいう。
【0015】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの後方に位置しているので、上記茶園用薬剤散布機の走行方向と逆側で薬剤を散布できて、オペレータに薬剤がかかることを抑制できる。
【0016】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、
上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの左右脚部のそれぞれの後方に位置し、
上記送風ダクトの長手方向の一方側は、下側でかつ後方に位置する一方、上記送風ダクトの長手方向の他方側は、上側でかつ前方に位置し、
上記薬液導管の長手方向の一方側は、下側でかつ後方に位置する一方、上記薬液導管の長手方向の他方側は、上側でかつ前方に位置している。
【0017】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの左右脚部のそれぞれの後方に位置し、上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、それぞれの上方が前方に倒れるように、傾斜しているので、上記送風ダクトおよび上記薬液導管を茶木の側方に位置できて、茶木の側方から薬液を散布できる。また、散布を終了した茶うねから次の茶うねへ移動(旋回)する際、上記茶園用薬剤散布機の本体が確実に茶うねを越えなくても、茶木に接触することなく、スムーズに旋回できる。
【0018】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、それぞれ、二つあり、
上記送風機と上記二つの送風ダクトの間に設けられると共に、上記送風機に接続される一つの吸入口と上記二つの送風ダクトのそれぞれに接続される二つの吐出口とを有する分岐部を備えている。
【0019】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記送風機と上記二つの送風ダクトの間に上記分岐部を備えているので、上記送風機からの風の流路を少なくできて、部品数の減少および小型化を図ることができる。
【0020】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの左右のそれぞれに位置し、
上記分岐部は、上記本体フレームの左右幅方向の略中央に位置している。
【0021】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記分岐部は、上記本体フレームの左右幅方向の略中央に位置するので、上記送風機から上記左右の送風ダクトへ略均等に風を分配できて、上記左右の送風ダクトから略同じ風量および風圧の風を吹き出すことができる。このように、簡単な構成で、この茶園用薬剤散布機の左右からの薬剤の散布状態を略同じにすることができる。
【0022】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記分岐部の内部に上記二つの吐出口への分配量を調節する流量調節弁を設けている。
【0023】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記分岐部の内部に上記二つの吐出口への分配量を調節する流量調節弁を設けているので、上記左右の送風ダクトへのそれぞれの風量を所望の量に調節できて、上記左右の送風ダクトから所望の状態の風を吹き出すことができる。このように、簡単な構成で、この茶園用薬剤散布機の左右からの薬剤の散布状態を所望に変化させることができる。
【0024】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記薬液導管は、上記送風ダクトの外側(外面)に取り付けられている。
【0025】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記薬液導管を上記送風ダクトに簡単に取り付けることができて、組み立てが簡単になる。
【0026】
また、一実施形態の茶園用薬剤散布機では、上記薬液導管は、上記送風ダクトの内側(内部)に取り付けられている。
【0027】
この一実施形態の茶園用薬剤散布機によれば、上記送風ダクトの内部のデッドスペースを有効に利用できて、小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明の茶園用薬剤散布機によれば、上記送風ダクトの上記複数の送風吹出口と上記薬液導管の上記複数の薬液吐出口とは、近傍に開口しているので、茶木への薬液の付着度が向上すると共に散布ムラが軽減されて、経済的でかつ作業時間の短縮につながり、より高い防除効果を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の茶園用薬剤散布機の一実施形態である背面図を示している。図2は、この発明の茶園用薬剤散布機の側面図を示している。図1と図2に示すように、この茶園用薬剤散布機は、略門型の本体フレーム1と、この本体フレーム1の左右の脚部1a,1aの下端にそれぞれ取り付けられた走行部2,2と、上記本体フレーム1に取り付けられた薬剤散布部3とを備える。
【0031】
上記本体フレーム1は、茶うね50を跨ぐ大きさに設定されている。この茶うね50は、略直線状に配置された複数の茶木51にて構成されている。
【0032】
上記走行部2は、前後の車輪と、前後の車輪を取り巻くように取り付けられた無限軌道とを有する。なお、上記走行部2は、無限軌道に限定されず、タイヤ付の車輪のみの構成であってもよい。
【0033】
上記薬剤散布部3は、上記本体フレーム1の後方で、茶うね50の側面に薬剤を散布し、例えば、クワシロカイガラムシ等の茶木幹内に生息する病害虫に対して効果的な薬剤を散布する。なお、図示しないが、薬剤を散布するとき、茶うね50に上方から接近する一方、薬剤を散布しないとき、茶うね50から上方へ離間するように構成してもよい。
【0034】
そして、オペレータは、上記本体フレーム1の上面の運転部4にて、茶園用薬剤散布機を操作することで、茶園用薬剤散布機は、茶うね50を跨いで走行しながら、走行方向と逆側で薬剤を散布する。
【0035】
上記運転部4は、座席41と、走行操作のためのハンドル42と、各種装置の制御基盤とを有する。上記本体フレーム1上には、上記走行部2および上記薬剤散布部3の駆動のための原動機5が搭載されている。
【0036】
上記薬剤散布部3は、薬液供給部10と送風部20とを備え、上記薬液供給部10から噴出された霧状の薬液を、上記送風部20からの送風によって運んで、茶木51の内部に到達させる。
【0037】
上記薬液供給部10は、上記本体フレーム1上の左右両側に配置された薬液タンク11,11と、この薬液タンク6内の薬液を送り出す(ポンプ等の)動力噴霧機12と、この動力噴霧機12にホース13を介して接続される薬液導管14とを備える。上記ホース13は、二つあり、上記薬液導管14は、二つある。
【0038】
上記送風部20は、上記本体フレーム1上に配置された送風機21と、この送風機21に中間ダクト22を介して接続される送風ダクト24とを備える。上記中間ダクト22は、上記送風機21に連結される上流側ダクト22aと、この上流側ダクト22aに連結されるY字管22bと、このY字管22bの二股部(二つの吐出口)のそれぞれに連結される下流側ダクト22c,22cとを備え、この二つの下流側ダクト22c,22cのそれぞれに上記送風ダクト24が連結される。すなわち、上記送風ダクト24は、二つある。
【0039】
上記Y字管22bは、上記本体フレーム1の左右幅方向の略中央に位置し、上記二つの下流側ダクト22c,22cは、略同一の大きさおよび長さである。また、上記Y字管22bは、上記上流側ダクト22a(上記送風機21)に接続される一つの吸入口と上記左右の下流側ダクト22c,22c(上記左右の送風ダクト24,24)のそれぞれに接続される二つの吐出口とを有する分岐部の一実施形態であり、上記Y字管22bの代わりに、例えば、T字管等を用いてもよい。
【0040】
上記送風ダクト24および上記薬液導管14は、上記本体フレーム1の左右の脚部1a,1aのそれぞれの後方に位置している。上記送風ダクト24は、上記脚部1aに取付部材7にて固定され、上記薬液導管14は、上記送風ダクト24の外側に、(図示しない)固定具にて取り付けられている。
【0041】
上記送風ダクト24の長手方向の一方側は、下側でかつ後方に位置する一方、上記送風ダクト24の長手方向の他方側は、上側でかつ前方に位置して、上記送風ダクト24は、前方に傾斜している。
【0042】
上記薬液導管14の長手方向の一方側は、下側でかつ後方に位置する一方、上記薬液導管14の長手方向の他方側は、上側でかつ前方に位置して、上記薬液導管14は、前方に傾斜している。
【0043】
図1、図2および図3に示すように、上記薬液導管14は、上記本体フレーム1の内側を向いている複数のノズル15を有し、このノズル15は、上記本体フレーム1の内側に開口している薬液吐出口16を有する。この複数の薬液吐出口16は、上記薬液導管14の長手方向に沿って略一直線に並んでいる。上記送風ダクト24は、上記本体フレーム1の内側に開口している複数の送風吹出口25を有し、この複数の送風吹出口25は、上記送風ダクト24の長手方向に沿って略一直線に並んでいる。
【0044】
上記複数の送風吹出口25の各々と上記複数の薬液吐出口16の各々とは、接近している(近傍に開口している)。上記複数の送風吹出口25が並んで形成する略一直線(上記送風ダクト24の長手方向)と、上記複数の薬液吐出口16が並んで形成する略一直線(上記薬液導管14の長手方向)とは、平行であり、上記複数の送風吹出口25の各々と上記複数の薬液吐出口16の各々とは、上記略一直線(上記送風ダクト24および上記薬液導管14の長手方向)に対して略垂直な方向に、配置されている。
【0045】
次に、この茶園用薬剤散布機の使用方法、作用および効果について説明する。
【0046】
まず、茶うね50に薬剤を散布する場合、図1と図2に示すように、二組の上記薬液導管14および上記送風ダクト24を、それぞれ、茶うね50の両側面に略接触させる。このとき、上記複数の薬液吐出口16および上記複数の送風吹出口25は、茶うね50の側面(茶木51の裾部)に対向する。
【0047】
その後、図示しない操作コックを開けて、上記薬液タンク11の薬液を、上記動力噴霧機12を介して、上記二つの薬液導管14,14に流入し、白抜きの矢印Aに示すように、上記ノズル15の上記薬液吐出口16から薬剤を霧状に噴出する。同時に、上記運転部4に設けられた送風機作動レバー43を操作し、上記送風機21を動かして、上記送風機21の風を、上記中間ダクト22を介して、上記二つの送風ダクト24,24に流入し、黒塗りの矢印Bに示すように、上記送風吹出口25から吹き出す。なお、上記ノズル15の上記薬液吐出口16から薬剤を線状や点状等に噴出してもよい。
【0048】
このとき、上記送風ダクト24の上記複数の送風吹出口25と上記薬液導管14の上記複数の薬液吐出口16とは、近傍に開口しているので、上記薬液吐出口16から噴出された薬液は、上記送風吹出口25から強制的に送り出された強い風(圧力風)によって、茶木51の両側面に勢いよく吹き付けられて、茶木51の内部に入り込んで、茶木全体(枝幹、葉表および葉裏等)に広がる。
【0049】
したがって、茶木51への薬液の付着度が向上すると共に散布ムラが軽減されて、防除効果が向上する。また、薬液の散布量を減少できて、経済的となり、しかも、作業時間を短縮できて、作業能率を向上できる。また、構造が簡単であるので、例えば、上記送風機21および上記送風ダクト24を既存の茶園用薬剤散布機に取り付けて使用することで、既存の茶園用薬剤散布機を有効に利用できる。
【0050】
具体的に述べると、クワシロカイガラムシの防除適期は、ふ化最盛日から一週間程度であり、その短期間に薬液を散布する必要があるので、効率がよく、効果の高い茶園用薬剤散布機が望まれる。そこで、この発明の茶園用薬剤散布機を使用することにより、薬液が、茶木51の内側まで入り込んで茶木全体に広がることから、茶木51への薬液の付着度が向上し、散布ムラが軽減される。このため、茶木51の枝幹部に生息しているクワシロカイガラムシの防除効果が向上する。また、この茶園用薬剤散布機の走行速度を上げることが可能になって、作業能率が向上すると共に、薬液の散布量も従来と比べて減少して経済的になる。
【0051】
また、上記複数の送風吹出口25の各々と上記複数の薬液吐出口16の各々とは、長手方向に対して略垂直な方向に、配置されていて、上記複数の送風吹出口25の各々と上記複数の薬液吐出口16の各々とは、一対一に対応しているので、薬液を無駄なく、茶木51の全体に確実に送り込むことができる。
【0052】
また、上記送風ダクト24および上記薬液導管14は、上記本体フレーム1の左右の脚部1a,1aのそれぞれの後方に位置しているので、上記茶園用薬剤散布機の走行方向と逆側で薬剤を散布できて、オペレータに薬剤がかかることを抑制できる。
【0053】
また、上記送風ダクト24および上記薬液導管14は、前方に傾斜しているので、散布を終了した茶うね50から次の茶うね50へ移動(旋回)する際、上記茶園用薬剤散布機の本体が確実に茶うね50を越えなくても、茶木51に接触することなく、スムーズに旋回できて、作業能率が向上する。すなわち、上記送風ダクト24および上記薬液導管14を地面に対して垂直に固定すると、薬剤散布が終了した茶うね50から他の茶うね50に移動する際に、上記茶園用薬剤散布機の本体が、確実に茶うね50を越えて旋回しないと、茶木51に接触する欠点がある。
【0054】
また、茶園内で送風によって薬液を散布するので、茶園表面への散布と比較して、自然風による飛散が少なく、隣接する他の茶園、人間および動植物への被爆が回避される。
【0055】
また、上記Y字管22bは、上記本体フレーム1の左右幅方向の略中央に位置するので、上記送風機21から上記左右の送風ダクト24,24へ略均等に風を分配できて、上記左右の送風ダクト24,24から略同じ風量および風圧の風を吹き出すことができる。このように、簡単な構成で、この茶園用薬剤散布機の左右からの薬剤の散布状態を略同じにすることができる。また、上記Y字管22bは、上記送風機21と上記左右の送風ダクト24,24の間にあるので、上記送風機21からの風の流路を少なくできて、部品数の減少および小型化を図ることができる。
【0056】
また、上記薬液導管14は、上記送風ダクト24の外側(外面)に取り付けられているので、上記薬液導管14を上記送風ダクト24に簡単に取り付けることができて、組み立てが簡単になる。
【0057】
(第2の実施形態)
図4は、この発明の他の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、上記薬液導管14は、上記送風ダクト24の内側(内部)に取り付けられている。具体的に述べると、上記薬液導管14の上記ノズル15は、上記送風ダクト24の上記送風吹出口25に対向している。なお、上記ノズル15は、上記送風ダクト24の内側にあるが、上記送風吹出口25から外側に突出していてもよい。
【0058】
この構成の茶園用薬剤散布機によれば、上記ノズル15から薬液が、矢印Aに示すように、上記送風吹出口25を通って、上記送風ダクト24の外側に噴出されると共に、上記送風ダクト24の内側から風が、矢印Bに示すように、上記送風吹出口25を通って、上記送風ダクト24の外側に吹き出される。このように、薬液を、強制して吹き出された風によって、茶木51の内部に勢いよく吹き付けることができる。
【0059】
また、上記送風ダクト24の内部のデッドスペースを有効に利用できて、小型化を図ることができる。
【0060】
(第3の実施形態)
図5Aおよび図5Bは、この発明の別の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、上記Y字管22bの内部に、このY字管22bの二つの吐出口への分配量を調節する流量調節弁としてのバタフライ弁31を設けている。
【0061】
そして、外側から上記バタフライ弁31のハンドル31aを操作して、点線の矢印に示す方向に、上記バタフライ弁31の羽根31bを回転させることで、上記上流側ダクト22aから上記左右の下流側ダクト22c,22cへのそれぞれの風量を所望の量に調節することができる。
【0062】
この構成の茶園用薬剤散布機によれば、上記Y字管22bの内部に上記二つの吐出口への分配量を調節する上記バタフライ弁31を設けているので、上記左右の送風ダクト24,24へのそれぞれの風量を所望の量に調節できて、上記左右の送風ダクト24,24から所望の状態の風を吹き出すことができる。このように、簡単な構成で、この茶園用薬剤散布機の左右からの薬剤の散布状態を所望に変化させることができる。
【0063】
なお、上記バタフライ弁31の代わりに、例えば、ゲート弁等を用いてもよい。また、上記バタフライ弁31を、上記Y字管22bの二つの吐出口のそれぞれに、一つずつ設けてもよい。
【0064】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、上記送風ダクト24および上記薬液導管14を、上記本体フレーム1の前方に配置してもよい。また、上記送風ダクト24および上記薬液導管14を、上記本体フレーム1の略高さ方向に延在するように取り付けてもよく、または、上記本体フレーム1の略幅方向に延在するように取り付けてもよい。また、三列の茶うね50の上面に対応するように、三組の上記送風ダクト24および上記薬液導管14を、上記本体フレーム1の略幅方向に略直線状に延在するように取り付けてもよく、このとき、全ての上記送風吹出口25および上記薬液吐出口16は、下方向に開口している。また、上記薬液導管14を、上記送風ダクト24を介さずに、上記本体フレーム1に直接に取り付けてもよい。また、上記複数の送風吹出口25と上記複数の薬液吐出口16とは、上記送風ダクト24および上記薬液導管14の長手方向に沿って、千鳥状に配置してもよい。また、上記薬液導管14において、上記ノズルを設けずに、この導管に直接に孔を設けて、薬液吐出口を形成するようにしてもよい。また、上記Y字管22bを、上記本体フレーム1の左右幅方向の右側または左側に配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の茶園用薬剤散布機の一実施形態を示す背面図である。
【図2】この茶園用薬剤散布機の側面図である。
【図3】この茶園用薬剤散布機の要部拡大側面図である。
【図4】この茶園用薬剤散布機の他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図5A】この茶園用薬剤散布機の別の実施形態を示す要部拡大正面図である。
【図5B】この茶園用薬剤散布機の別の実施形態を示す要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 本体フレーム
1a 脚部
14 薬液導管
15 ノズル
16 薬液吐出口
21 送風機
22b Y字管(分岐部)
24 送風ダクト
25 送風吹出口
31 バタフライ弁(流量調節弁)
50 茶うね
51 茶木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略門型の本体フレームと、
この本体フレームに取り付けられる送風機と、
この送風機に接続され上記本体フレームに取り付けられると共に複数の送風吹出口を有する送風ダクトと、
上記本体フレームに取り付けられると共に上記複数の送風吹出口の近傍に開口している複数の薬液吐出口を有する薬液導管と
を備えることを特徴とする茶園用薬剤散布機。
【請求項2】
請求項1に記載の茶園用薬剤散布機において、
上記複数の送風吹出口は、上記送風ダクトの長手方向に沿って略一直線に並んでおり、
上記複数の薬液吐出口は、上記薬液導管の長手方向に沿って略一直線に並んでおり、
上記複数の送風吹出口の各々と上記複数の薬液吐出口の各々とは、接近していることを特徴とする茶園用薬剤散布機。
【請求項3】
請求項1に記載の茶園用薬剤散布機において、
上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの後方に位置していることを特徴とする茶園用薬剤散布機。
【請求項4】
請求項3に記載の茶園用薬剤散布機において、
上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、上記本体フレームの左右脚部のそれぞれの後方に位置し、
上記送風ダクトの長手方向の一方側は、下側でかつ後方に位置する一方、上記送風ダクトの長手方向の他方側は、上側でかつ前方に位置し、
上記薬液導管の長手方向の一方側は、下側でかつ後方に位置する一方、上記薬液導管の長手方向の他方側は、上側でかつ前方に位置することを特徴とする茶園用薬剤散布機。
【請求項5】
請求項1に記載の茶園用薬剤散布機において、
上記送風ダクトおよび上記薬液導管は、それぞれ、二つあり、
上記送風機と上記二つの送風ダクトの間に設けられると共に、上記送風機に接続される一つの吸入口と上記二つの送風ダクトのそれぞれに接続される二つの吐出口とを有する分岐部を備えることを特徴とする茶園用薬剤散布機。
【請求項6】
請求項5に記載の茶園用薬剤散布機において、
上記分岐部の内部に上記二つの吐出口への分配量を調節する流量調節弁を設けていることを特徴とする茶園用薬剤散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2006−20537(P2006−20537A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199587(P2004−199587)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(592264237)松元機工株式会社 (16)
【出願人】(591155242)鹿児島県 (56)
【Fターム(参考)】