説明

茶葉の加工方法およびそれによって得られた茶葉加工品

【課題】茶葉に含まれる各種の栄養値を向上させることができる茶葉の加工方法を提供する。
【解決手段】所定の水分を含む茶葉を過熱水蒸気で加熱処理した後、ストレーナを通過させることにより破砕加工を行う。このように、水分を含む茶葉を過熱水蒸気で水分が乾燥しないように加熱処理することにより、茶葉に含まれる栄養価であるグルタミン酸およびポリフェノールが増加する。その茶葉を、乾燥させないままストレーナを通過させて破砕加工を行ったピューレ状もしくはペースト状の茶葉加工品は、わざわざ急須を使用する手間をかけないでも、そのままお湯で薄めるだけで飲用に供することができ、そのまま食用に供することもできるうえ、お菓子等への添加用にそのまま使用することもできる。そして、保存性が極めて良好で、酸化防止剤の添加等をする必要性が低くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉の栄養値を向上させることができる茶葉の加工方法およびそれによって得られた茶葉加工品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲用等に供する茶葉は、摘んできた生茶葉を、蒸し器で蒸す蒸し工程を経た後、揉み上げを行ない、その後乾燥させることで製造する(例えば下記の特許文献1)。このような茶葉は、収穫する時期によってシーズンの最初に摘まれる一番茶に始まり、その後順次、二番茶、三番茶等が製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−123107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、早い時期に摘んだ一番茶は、葉も柔らかいが、収穫が遅くなるほど葉が硬くなる傾向にある。加えて、収穫時期によって茶葉に含まれる栄養価も変化する。このため、収穫時期の遅い茶葉ほど、それだけ商品価値も低下したものとなっているのが実情である。しかしながら、加工方法等の工夫により、茶葉の栄養価を向上させたり、収穫時期の遅い茶葉の商品価値を向上させたりするような試みは、現在までのところほとんど行われていなかったのが実情である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、茶葉に含まれる各種の栄養値を向上させることができる茶葉の加工方法およびそれによって得られた茶葉加工品の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の茶葉の加工方法は、所定の水分を含む茶葉を、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理した後、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行うことを要旨とする。
【0007】
また、本発明の茶葉加工品は、所定の水分を含む茶葉が、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理され、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明は、所定の水分を含む茶葉を、過熱水蒸気で水分が乾燥しないように加熱処理した後、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行う。
このように、水分を含む茶葉を過熱水蒸気で水分が乾燥しないように加熱処理することにより、茶葉に含まれる栄養価であるグルタミン酸およびポリフェノールが増加する。その茶葉を、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行う。このような水分を含んだピューレ状もしくはペースト状の茶葉加工品は、わざわざ急須を使用する手間をかけないでも、そのままお湯で薄めるだけで飲用に供することができる。また、そのまま食用に供することもできるうえ、お菓子等への添加用にそのまま使用することもできる。また、過熱水蒸気による殺菌効果で茶葉表面のほとんどの一般生菌等を死滅させることができる。したがって、柔らかくて流動性が高いピューレ状もしくはペースト状の破砕後の茶葉加工品でも、保存性が極めて良好で、酸化防止剤の添加等をする必要性が極めて低くなり、十分な品質保持期限が確保できるようになる。さらに、過熱水蒸気は、通常の水蒸気よりエネルギー量が多く短時間で加熱殺菌が可能となるうえ、無酸素状態で加熱殺菌ができるので、色、香り、味等の茶葉の品質の変化が極めて少ない。
【0009】
茶葉を過熱水蒸気で加熱処理する際、過熱水蒸気が直接茶葉に接触しないよう、布状シートで茶葉を覆う場合には、加熱処理中の水分の乾燥を確実に抑え、その後の破砕加工で確実にピューレ状もしくはペースト状にすることができる。
【0010】
上記所定の水分を含む茶葉として、生茶葉を使用する場合には、生茶葉に含まれる水分をそのまま利用してピューレ状もしくはペースト状の茶葉加工品を得る。このようにすることにより、茶葉のもつ風味が損なわれず、もともとの茶葉が有する色、香り、味等の質をそのまま備えたピューレ状もしくはペースト状の加工品とすることができる。
【0011】
上記所定の水分を含む茶葉として、揉み上げ乾燥した茶葉を水に浸漬して戻した茶葉を使用する場合には、揉み上げ乾燥した茶葉をピューレ状もしくはペースト状の加工品にすることができる。この際、例えば、従来ではほとんど商品価値のなかった四番茶、五番茶等のような硬い茶葉でも、色、香り、味等の十分な風味を備えたピューレ状もしくはペースト状の加工品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の茶葉加工品の製造方法の工程を示す図である。
【図2】加熱処理工程を行う加熱装置の構成を示す図である。
【図3】ストレーナ・ミルの構造を示す図である。
【図4】ストレーナ・ミルの構造を示す図である。
【図5】実施例の外観状態を示す。
【図6】実施例の外観状態を示す。
【図7】栄養成分の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の茶葉の加工方法を示す工程図である。この方法は、所定の水分を含む茶葉を、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理した後、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行うものである。
【0015】
(A)は第1例であり、上記所定の水分を含む茶葉として、生茶葉を使用するものである。生茶葉は、収穫した状態のものをそのまま使用することができる。
【0016】
まず、上記生茶葉について、荒洗浄を行って付着した塵埃やゴミなどの除去を行う。
【0017】
ついで、上記所定の水分を含む生茶葉を、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理する加熱処理を行う。この生茶葉を過熱水蒸気で加熱処理する際、過熱水蒸気が直接茶葉に接触しないよう、布状シートで茶葉を覆うことが行われる。
【0018】
つぎに、加熱処理した生茶葉を、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行う(破砕処理)。
【0019】
その後、ピューレ状もしくはペースト状に破砕された生茶葉を、袋詰め、冷却、冷凍を行う。
【0020】
(B)は第2例であり、上記所定の水分を含む茶葉として、揉み上げ乾燥した茶葉を水に浸漬して戻した茶葉を使用するものである。
【0021】
まず、揉み上げ乾燥した茶葉について、荒洗浄を行って付着した塵埃やゴミなどの除去を行う。
【0022】
つぎに、上記茶葉を水に浸漬して膨潤させ、所定量の水分を含んだ状態にする。
【0023】
ついで、膨潤により所定の水分を含んだ茶葉を、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理する加熱処理を行う。この茶葉を過熱水蒸気で加熱処理する際、過熱水蒸気が直接茶葉に接触しないよう、布状シートで茶葉を覆うことが行われる。
【0024】
つぎに、加熱処理した茶葉を、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行う(破砕処理)。
【0025】
その後、ピューレ状もしくはペースト状に破砕した茶葉を、袋詰め、冷却、冷凍を行う。
【0026】
以下、上記各工程について詳しく説明する。
【0027】
上記荒洗浄工程は、生茶葉もしくは乾燥茶葉を水洗いしたのち、バスケットに入れて回転させるスピニングやエアシャワーを行って、茶葉を乾燥させないで粗方の水分を飛ばすことが行われる。これにより、茶葉に水分を残した状態で茶葉に付着した塵埃やゴミを除去する。
【0028】
荒洗浄工程の後、生茶葉の場合はある程度水分を含んでいるのでそのまま加熱処理工程に送る。一方、揉み上げ乾燥茶葉の場合は、水に浸漬処理をして膨潤させて所定の水分を含ませて、膨潤した戻し茶葉について、バスケットに入れて回転させるスピニングやエアシャワーを行って、戻し茶葉を乾燥させないで粗方の水分を飛ばしてから加熱処理工程に送る。
【0029】
ついで、上記生茶葉もしくは戻し茶葉を、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理する加熱処理を行う。
【0030】
図2は、加熱処理工程に用いる加熱処理装置の一例を示す図である。
【0031】
この加熱処理装置は、加熱槽2と、上記加熱槽2に送り込む過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生装置1とを備えている。上記加熱槽2は、長方形の箱状で、一端側(この図では左側)に加熱対象物である茶葉の入口が設けられ、他端側(この図では右側)に茶葉の出口が設けられ、上記入口から出口にわたってコンベア3が設けられ、入口から出たコンベア3に茶葉を載せると、加熱槽2内を通過して出口から排出されるようになっている。
【0032】
この加熱処理の際に、茶葉を過熱水蒸気で加熱処理する際、過熱水蒸気が直接茶葉に接触しないよう、布状シートで茶葉を覆うことが行われる。具体的には、細かい金属メッシュトレイや金属トレイに茶葉を載せ、水で濡れた布や不織布を茶葉にかぶせて乾燥を防止することが行われる。
【0033】
上記加熱槽2には、過熱水蒸気発生装置1から過熱水蒸気が導入され、槽内が所定温度の加熱雰囲気にされる。また、上記コンベア3はメッシュ状のコンベア3が用いられるとともに、加熱槽2内には、上記コンベア3の上下に過熱水蒸気の噴射ノズルが設けられ、コンベア3上に載置された茶葉に対して上下から過熱水蒸気を噴射して加熱するようになっている。なお、過熱水蒸気とは、100℃の飽和水蒸気をさらに加熱した水蒸気をいい、茶葉の特性(生茶葉か戻し茶葉かなど)や種類、投入量等の条件によって適切な温度に設定される。加熱の手法に関しては、例えば高周波加熱等が用いられるが、特に限定するものではない。
【0034】
上記加熱処理工程において、茶葉に噴射する過熱水蒸気は、120℃〜500℃程度の温度範囲のものを使用するのが好ましく、より好ましいのは230℃〜280℃である。120℃以下では、加熱に対する過熱水蒸気の十分な効果がえられず、500℃を超えると茶葉を加熱しすぎて変質させるおそれが生じるからである。
【0035】
上記加熱処理工程において、上記過熱水蒸気による茶葉の加熱時間は、加熱に対する過熱水蒸気の十分な効果をえるとともに、茶葉を加熱しすぎて変質させないという観点から、30秒〜240秒程度の時間に設定されるが、処理する茶葉の投入量や茶葉の特性(生茶葉か戻し茶葉かなど)によって適宜設定される。この時間調節はコンベア速度を調節することにより行われる。
【0036】
上記加熱処理した生茶葉もしくは戻し茶葉を、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行う破砕処理を行う。
【0037】
図3および図4は、破砕処理を行うための破砕装置の一例を示す図である。
【0038】
この破砕装置は、公転テーブル4上に複数(この例では2つ)の自転ケース5が等間隔で配置されている。
【0039】
図3に示すように、上記公転テーブル4は円盤状で、基台6内の回転駆動装置(図示せず)により、公転テーブル4自体が基台6上で回転するとともに、2つの自転シャフト9がそれぞれ自転するようになっている。したがって、上記破砕装置では、自転ケース5が公転しながら自転するようになっている。上記自転シャフト9は、一般の遠心分離機で採用されているように、内側に45度傾斜した状態で回転駆動されるようになっている。
【0040】
図4に示すように、上記自転ケース5は有底筒状であり、円筒状の缶13が収容されるようになっている。自転ケース5の底部には、複数(この例では2つ)の嵌合凹部11が形成されるとともに、缶13の底部にも上記嵌合凹部11に嵌合する突部12が形成されている。このように、缶13を自転ケース5に収容した状態で、嵌合凹部11に突部12が嵌合させることにより、自転ケース5が自転および公転したときに、缶13が自転ケース内で空転するのを防止するようになっている。
【0041】
上記缶13には、ストレーナ14が収容されている。上記ストレーナ14は、有底筒状で上縁部に水平方向に延びるフランジ17が設けられ、上記フランジ17が缶13の開口縁に係止されてストレーナ14の位置決めが行われるようになっている。この状態で、ストレーナ14は、缶13と略同心状で、ストレーナ14の底部が缶13の低部から所定距離隔たった状態に配置され、ストレーナ14が缶13の内部空間の中央部に位置するようになっている。図において、ストレーナ14がセットされた缶13の上部開口は蓋15で蓋され、この蓋15はストッパ16で固定される。
【0042】
この装置により、茶葉の破砕はつぎのようにして行われる。加熱処理工程を経た茶葉は、缶13内にセットされたストレーナ14内に投入され、蓋15で蓋されてストッパ16で固定される。この状態で、回転駆動装置を駆動することにより、上記缶13は自転ケース5とともに、公転テーブル4の回転に伴い公転するとともに、自転ケース5の自転に伴い自転する。このとき、上記公転と自転の作用によって公転による加速度と自転による加速度が茶葉に加わり、強力な遠心力が働いてストレーナ14を通過して破砕されるのである。上記ストレーナ14を通過した茶葉は、ストレーナ14と缶13との間の隙間に到達するが、ここでも、上記公転と自転の作用を受けることにより、強い混練作用を受け、ストレーナ14を通過することにより適度な大きさに破砕された茶葉同士の混練が行われる。
【0043】
上記破砕装置による破砕加工で茶葉を破砕する場合、茶葉だけが破砕されてペースト状となり、機械収穫等の際に混入した枝等の異物はストレーナ14を通過せずに残るため、得られたペーストには異物がほとんど混入しない。また、内側に45度傾斜させた状態で自転・公転するようになっているため、ストレーナ14を通過したペーストが、自転ケース5の底部に溜まり、破砕後のペーストを取出しやすいようになっている。
【0044】
上記破砕装置では、ストレーナ14のメッシュの開口大きさを変えることにより、破砕する茶葉の粒の大きさを適宜設定することができ、茶葉の種類や用途に応じて適宜の大きさに破砕することができる。これにより、食感に変化を持たせたり、破砕茶葉の新たな用途に適用したりすることが容易に行えるようになる。なお、上記ストレーナ14としては、メッシュ状のものやパンチングメタル状のもの等、茶葉の種類や用途に応じて各種の態様のものを用いることができる。
【0045】
ストレーナ14を通過させることにより茶葉を破砕するので、茶葉の破砕片は、細胞が破壊されずに一定の塊で残り、その大きさもそろっており、高品質な破砕茶葉を得ることができる。また、良好な混練効果も得られるため、複数の茶葉をストレーナ14内に投入して破砕するだけで、複数種類の茶葉が適度な大きさに破砕され均一にブレンドされた茶葉ペーストを得ることができる。破砕された茶葉ペーストは、蓋15とストレーナ14を外して缶13内から取り出される。
【0046】
その後、ピューレ状もしくはペースト状に破砕された生茶葉を、袋詰めして冷却し、必要に応じて冷凍を行う。
【0047】
上記のようにして得られた破砕加工食品は、水分を含む茶葉を過熱水蒸気で水分が乾燥しないように加熱処理することにより、茶葉に含まれる栄養価であるグルタミン酸およびポリフェノールが増加する。その茶葉を、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行う。このような水分を含んだピューレ状もしくはペースト状の茶葉加工品は、わざわざ急須を使用する手間をかけないでも、そのままお湯で薄めるだけで飲用に供することができる。また、そのまま食用に供することもできるうえ、お菓子等への添加用にそのまま使用することもできる。また、過熱水蒸気による殺菌効果で茶葉表面のほとんどの一般生菌等を死滅させることができる。したがって、柔らかくて流動性が高いピューレ状もしくはペースト状の破砕後の茶葉加工品でも、保存性が極めて良好で、酸化防止剤の添加等をする必要性が極めて低くなり、十分な品質保持期限が確保できるようになる。さらに、過熱水蒸気は、通常の水蒸気よりエネルギー量が多く短時間で加熱殺菌が可能となるうえ、無酸素状態で加熱殺菌ができるので、色、香り、味等の茶葉の品質の変化が極めて少ない。
【0048】
茶葉を過熱水蒸気で加熱処理する際、過熱水蒸気が直接茶葉に接触しないよう、布状シートで茶葉を覆う場合には、加熱処理中の水分の乾燥を確実に抑え、その後の破砕加工で確実にピューレ状もしくはペースト状にすることができる。
【0049】
上記所定の水分を含む茶葉として、生茶葉を使用する場合には、生茶葉に含まれる水分をそのまま利用してピューレ状もしくはペースト状の茶葉加工品を得る。このようにすることにより、茶葉のもつ風味が損なわれず、もともとの茶葉が有する色、香り、味等の質をそのまま備えたピューレ状もしくはペースト状の加工品とすることができる。
【0050】
上記所定の水分を含む茶葉として、揉み上げ乾燥した茶葉を水に浸漬して戻した茶葉を使用する場合には、揉み上げ乾燥した茶葉をピューレ状もしくはペースト状の加工品にすることができる。この際、例えば、従来ではほとんど商品価値のなかった四番茶、五番茶等のような硬い茶葉でも、色、香り、味等の十分な風味を備えたピューレ状もしくはペースト状の加工品とすることができる。
【実施例1】
【0051】
つぎに、実施例について説明する。
【0052】
まず、原料として22.3kgの生茶葉(八女茶)を準備し、荒洗浄ののち、250℃の過熱水蒸気で7分間の加熱処理を行った。この加熱処理により、茶葉の重量は14.68kgに減量した。
【0053】
その後、図3および図4に示す破砕装置により破砕処理を行った。破砕処理条件は、1100rpm×180秒とした。破砕処理によりストレーナ14を通過してピューレ状もしくはペースト状に破砕された茶葉の重量は、8.72kgであり、ストレーナ14を通過しなかった残渣は5.50kgであった。
【0054】
原料の生茶葉からの歩留まりは、39.1%、加熱処理後の茶葉からの歩留まりは59.4%であった。
【0055】
図5は、上述のようにピューレ状もしくはペースト状に破砕した茶葉(図示の左側)および、残渣である。
図6は、ピューレ状もしくはペースト状に破砕した茶葉を袋詰めにした状態である。
【実施例2】
【0056】
まず、原料として1kgの揉み上げ乾燥した茶葉(緑茶)を準備し、荒洗浄ののち、水温15℃の浸漬水4リットル(4000g)に15分浸漬処理を行い、膨潤させた。ついで、かごに布を敷いた上に膨潤させた茶葉を載せ、さらに布をかぶせ、250℃の過熱水蒸気で7分間の加熱処理を行った。その後、図3および図4に示す破砕装置により破砕処理を行った。破砕処理条件は、1100rpm×180秒とした。
【0057】
実施例1について、その栄養成分について測定した。
【0058】
図7は、実施例1について、ポリフェノール、グルタミン酸、糖分、アスコルビン酸(ビタミンC)の含有量を測定した結果を示す。比較例1として無処理の生茶葉、比較例2として加熱処理を行わないでピューレにした茶葉について、同様の測定を行った。
【0059】
ポリフェノールは無処理の比較例1に比べて約2.5倍、グルタミン酸は無処理の比較例1に比べて約2.7倍の含有が認められ、これらの栄養成分が過熱水蒸気による加熱処理ならびに破砕処理によって2倍以上に濃縮されていることがわかる。また、糖分の含有量は無処理の比較例1には劣るものの、加熱処理を行わなかった比較例2に比べると1.8倍の含有が認められ、加熱処理を行わないより行った方が糖分が濃縮していると認められた。アスコルビン酸(ビタミンC)については、一般に加熱や加工等で失われる栄養素であることが知られているが、無処理(非加熱)の比較例1には劣るものの、加熱処理を行わなかった比較例2に比べると多くの含有が認められた。総アスコルビン酸で2.2倍、還元型アスコルビン酸で1.7倍であった。
【符号の説明】
【0060】
1 過熱水蒸気発生装置
2 加熱槽
3 コンベア
4 公転テーブル
5 自転ケース
6 基台
9 自転シャフト
11 嵌合凹部
12 突部
13 缶
14 ストレーナ
15 蓋
16 ストッパ
17 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の水分を含む茶葉を、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理した後、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕加工を行うことを特徴とする茶葉の加工方法。
【請求項2】
茶葉を過熱水蒸気で加熱処理する際、過熱水蒸気が直接茶葉に接触しないよう、布状シートで茶葉を覆う請求項1記載の茶葉の加工方法。
【請求項3】
上記所定の水分を含む茶葉として、生茶葉を使用する請求項1または2記載の茶葉の加工方法。
【請求項4】
上記所定の水分を含む茶葉として、揉み上げ乾燥した茶葉を水に浸漬して戻した茶葉を使用する請求項1または2記載の茶葉の加工方法。
【請求項5】
所定の水分を含む茶葉が、水分が乾燥しないように過熱水蒸気で加熱処理され、乾燥させないままストレーナを通過させることによりピューレ状もしくはペースト状に破砕されたことを特徴とする茶葉加工品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−217641(P2011−217641A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88485(P2010−88485)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成21年10月14日〜16日 CMPジャパン株式会社主催の「食品開発展2009 Hi/S‐tec Japan2009」に出品
【出願人】(302067903)ネピュレ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】