説明

草本系バイオマスの酵素加水分解処理の前処理方法及び草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法

【課題】草本系バイオマスを酵素加水分解する前に行う前処理方法であって、エネルギー消費が少なく、短時間で収率よく処理でき、低コストである草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法、そして、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度が10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物を調製し、該高濃度混合物中の草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕する第一の細粉砕工程と、第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度が1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物を調製し、該低濃度混合物中の草本系バイオマスをさらに細粉砕する第二の細粉砕工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物由来の有機性資源であるバイオマスは、生物が太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素から生成するものなので、持続的に再生可能な資源である。該バイオマスから製造されるバイオマスエタノールは、再生可能な自然エネルギーであること、および、その燃焼によって大気中の二酸化炭素量を増やさない点から、エネルギー源としての将来性が期待されている。
【0003】
バイオマスからエタノールを製造し、燃料や化学原料として利用する試みが内外で進められており、原料としては種々のバイオマスが検討されている。バイオマスは林業系(製材廃棄物、間伐材、製紙廃棄物等)、農業系(稲わら、麦わら、サトウキビ糠、米糠、ヤシ殻、草木等)、畜産系(家畜廃棄物等)、水産系(水産加工残滓等)、廃棄物系(生ごみ、庭木、建築廃材、下水汚泥等)等に分類される。
【0004】
木質バイオマスや草本系バイオマスのようなリグノセルロースバイオマスは、これまでそのままで燃料として用いられるか、廃棄されていたが、有用な資源として利用可能な資源として注目されている。リグノセルロースは、植物の茎葉等の主成分であり、主にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンから構成されており、セルロース及びヘミセルロースを主成分とする繊維細胞がリグニンを主成分とする細胞間層によって結合されている。セルロースは、グルコースなど単糖が多数直鎖状に結合した比較的安定な高分子であり強い結晶性を有している。ヘミセルロースも単糖が多数直鎖状に結合した高分子であるが、その結合がセルロースのように規則的でなく、分解しやすい。リグニンは主にベンゼン核を有する不定形の高分子である。
【0005】
リグノセルロースから単糖を生成しこれを発酵させてエタノールを製造するには、セルロース、ヘミセルロースを単糖まで分解(糖化)する必要がある。セルロース、ヘミセルロースはリグニンなど強固な構造に囲まれており、またセルロースの結晶性が強いため、リグノセルロースを分解するのは容易でなく、分解糖化方法が種々検討されている。
【0006】
リグノセルロースの分解糖化方法として酵素加水分解法がある。これは、温和な条件でセルロースなどをセルラーゼなどの酵素で加水分解糖化する方法であって、単糖の過分解を抑制できる。酵素加水分解法では酵素とセルロースやヘミセルロースを有効に反応させるために前処理が必要である。すなわち、セルロース及びヘミセルロースを結合しているリグニンをリグノセルロースから分解除去し、また、セルロースの結晶性を弱くする前処理を行う必要がある。
【0007】
酵素加水分解の前処理方法としては、粉砕法が挙げられる。(特許文献1〜4参照)特許文献1では、木質材料を粗粉砕した後、特定の水分含量に調整しながら微粉砕する振動ボールミルによる多段粉砕処理方法が開示されている。特許文献2では、木材をボールミル粉砕機により粉砕、糖化の後、固液分離した固体(糖化処理残渣)を再度粉砕する方法が開示されている。特許文献3では、木質資源を粉砕した後、分級し、分級残渣をさらに粉砕する分級糖化法が開示されている。特許文献4では木質系のリグノセルロース系バイオマスを加圧熱水で処理し、機械的粉砕してから酵素分解する方法が開示されている。いずれの粉砕法も木質系のリグノセルロースを粉砕処理により、単線維化、繊維の切断が行われ、セルロースの結晶性を弱くすることができ、粉砕処理は酵素加水分解の前処理として有効であるとされている。
【0008】
酵素加水分解の前処理の他方法としては、アルカリ法(特許文献5参照)、加圧熱水法(特許文献6参照)が挙げられる。特許文献5では、アルカリ法として、木材オガ粉を主とするキノコ廃菌床を濃度1%以上のアルカリ溶液で前処理することが開示されている。特許文献6では、加圧熱水法として、廃建材を蒸煮又はスチーミングする前処理が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−127000
【特許文献2】特開昭63−137692
【特許文献3】特開平2−156894
【特許文献4】特開2006−136263
【特許文献5】特開2006−20603
【特許文献6】特開2004−89016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
リグノセルロース系バイオマスは、木質系バイオマスと草本系バイオマスに分けられ、構成成分が異なる。木材チップや廃木材など木質系バイオマスは、その構成成分がセルロース50%程度、ヘミセルロース15%程度、リグニン30%程度であり、リグニンの比率が大きいので、リグニンをどのように分解除去するかが酵素加水分解の前処理のポイントとなる。これに対し、バガス、稲わら、籾殻、アブラヤシ空果房など草本系バイオマスは、その構成成分がセルロース50%程度、ヘミセルロース30%程度、リグニン15%程度であり、リグニンが少なくヘミセルロース含有量が高いので、セルロースの結晶性を弱くするとともにヘミセルロースを効率的に利用できるようにすることが酵素加水分解の前処理のポイントとなる。
【0011】
特許文献1〜4の粉砕による前処理方法は木質系バイオマスの前処理方法であって、そのまま草本系バイオマスの前処理に適用しても、草本系バイオマスは木質系バイオマスに比べてヘミセルロースの比率が高いため、酵素加水分解後の糖収率が低くなり、効率的な前処理を実現できないことがある。また、粉砕に要するエネルギー消費を低減することや、短時間で処理できること及び処理コストを低減することが要望されている。
【0012】
また、特許文献5のアルカリ法、特許文献6の加圧熱水法による前処理方法も、木質系バイオマスの前処理方法であって、草本系バイオマスに適用すると次のような問題が生じる。
【0013】
パームヤシ空果房、稲わら、バガスなど草本系バイオマスから酵素加水分解により糖を生成する場合には、上述したように、含有率が30%にものぼるヘミセルロースを有効に利用することが重要である。ヘミセルロースは、セルロースに比べて結晶性が弱く分解性が異なり、セルロースより分解されやすいヘミセルロースは、特許文献5の木質系バイオマスを濃度1%以上のアルカリ溶液で分解する前処理条件では、ヘミセルロースの分解により生成した糖が過分解されてしまうため全体としての糖の回収率が低くなってしまう。さりとて、前処理条件が緩やか過ぎると、リグニンの分解やセルロースの結晶性を脆化することが不十分なままになるため、前処理後の酵素加水分解糖化が進まないという問題がある。
【0014】
また、特許文献6の蒸煮又はスチーミングする前処理では、高温・高圧で処理するために高圧装置が必要であり、前処理のための設備費用、運転費用が嵩むという問題がある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、草本系バイオマスを酵素加水分解する前に行う前処理方法であって、エネルギー消費が少なく、短時間で収率よく処理でき、低コストである草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法、特に粉砕方法を提供すること、そして、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
また、粉砕処理にアルカリ法、熱水法を組み合わせる場合であっても、前処理によりヘミセルロースから生成した糖の過分解を抑え、高圧装置が不要で、かつ低コストで収率よく糖を得ることができる草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、上記課題は、草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法に関し、次のように達成される。
【0018】
<草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法>
本発明によれば、上記課題は、草本系バイオマスの酵素加水分解処理前に行う前処理方法に関しては、草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度が10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物を調製し、該高濃度混合物中の草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕する第一の細粉砕工程と、第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度が1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物を調製し、該低濃度混合物中の草本系バイオマスをさらに細粉砕する第二の細粉砕工程とを有することにより達成される。
【0019】
このような構成の本発明によると、各工程は次のようになされる。なお、本発明において平均粒径とは、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器等の粒度分布測定器により測定した粒度分布から求める平均粒径である。
【0020】
(1)粗粉砕工程
草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粗粉砕する。粗粉砕することにより後工程での細粉砕を効率的に行うことができる。
【0021】
(2)第一の細粉砕工程
粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度が10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物を調製し、高濃度混合物として水に多量の粗粉砕された草本系バイオマスを分散させた状態で草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕することにより、草本系バイオマスを微細化してセルロースやヘミセルロースの結晶度を低下して酵素加水分解反応を促進させることができる。その際、混合物を高濃度とすることにより粉砕に要する時間を短時間にすることができ、そのため粉砕のためのエネルギー消費(粉砕機の電力消費量)を少なくできる。
【0022】
(3)第二の細粉砕工程
しかし、第一の細粉砕工程で粉砕処理しただけでは、酵素加水分解反応による糖化収率を大幅に向上させるには、十分ではないことがある。第一の細粉砕工程で粉砕された草本系バイオマスは、リグニンがセルロースから分離されていたり、セルロースの結晶が分離されているが、高濃度であるため分離したものが再凝集して凝集体が生成されている。また、微粉末のレベルまで粉砕されていない草本系バイオマスが残存する。このような凝集体や微粉砕されていない草本系バイオマスが多く存在すると、酵素加水分解反応による糖化収率を大幅に向上させることができない原因となる。そこで、第一の細粉砕工程の後、第二の細粉砕工程を設け、高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマスの低濃度混合物を調製し、この低濃度混合物をさらに細粉砕処理することにより、凝集体を破壊して微粉末とし、微粉砕されていない草本系バイオマスを粉砕して微粉末とすることができ、糖化収率を大幅に向上させることができる。また、低濃度混合物とすることにより、粉砕機の負荷を小さくでき、粉砕のためのエネルギー消費(粉砕機の電力消費量)を少なくできる。
【0023】
このように、高濃度での細粉砕と、希釈して低濃度にしての細粉砕とを組み合わせることにより、エネルギー消費が少なく、短時間で効率よく処理でき、低コストであり、酵素加水分解反応による糖化収率を大幅に向上できる草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法を実現できる。
【0024】
このような本発明では、上記粉砕による前処理時に、アルカリ処理、あるいは、加熱処理を併せて行なうこともできる。
【0025】
(i)アルカリ処理
水酸化物イオン濃度が0.1重量%以上0.5重量%未満である水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムのうちいずれか一つの水酸化物水溶液に草本系バイオマスを接触させるアルカリ処理を下記(1)乃至(5)のいずれかにおいて行う。
(1)粗粉砕工程と第一の細粉砕工程の間
(2)第一の細粉砕工程
(3)第一の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の間
(4)第二の細粉砕工程
(5)第二の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の反応物を固液分離する固液分離工程の間
【0026】
(ii)加熱処理
草本系バイオマスを60〜100℃に加熱する熱処理を下記(1)乃至(6)のいずれかにおいて行う。
(1)粗粉砕工程の前
(2)粗粉砕工程と第一の細粉砕工程の間
(3)第一の細粉砕工程
(4)第一の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の間
(5)第二の細粉砕工程
(6)第二の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の反応物を固液分離する固液分離工程の間
【0027】
<草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法>
本発明によれば、上記課題は、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法に関しては、上述した前処理方法で行う前処理工程と、該前処理工程の反応物を固液分離する固液分離工程と、該固液分離工程で固液分離により分離された固形物を酵素加水分解して糖を生成する酵素加水分解工程と、該酵素加水分解工程で酵素加水分解により生成された糖を発酵してエタノールを製造する発酵工程とを有することにより達成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加して高濃度混合物の状態で草本系バイオマスを細粉砕した後に、さらに水を添加して低濃度混合物の状態で細粉砕するようにして、異なる濃度で二段階に分けて細粉砕を行なうようにしたので、細粉砕に要するエネルギー消費が少なく、短時間で効率よく処理でき、低コストであり、酵素加水分解反応による糖化収率を大幅に向上できる草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法、特に粉砕方法を提供することができ、そして、草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法を提供することができるという効果を得る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法>
草本系バイオマスの酵素加水分解処理前に行う前処理方法は、草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粗粉砕する粗粉砕工程と、粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度が10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物を調製し、該高濃度混合物中の草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕する第一の細粉砕工程と、第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度が1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物を調製し、該低濃度混合物中の草本系バイオマスをさらに細粉砕する第二の細粉砕工程とを経て行なわれる。
【0030】
草本系バイオマスのリグノセルロースは、セルロース及びヘミセルロースを主成分とする繊維細胞がリグニンを主成分とする細胞間層によって結合されている。草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粉砕する粗粉砕工程の後に、粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度が10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物を調製し、該高濃度混合物中の草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕する第一の細粉砕工程と、第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度が1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物を調製し、該低濃度混合物中の草本系バイオマスをさらに細粉砕する第二の細粉砕工程とを経て粉砕を行うことにより、低消費エネルギーで、短時間のもとにセルロースを微細化して結晶性を低下させ、リグニンを分離させる。
【0031】
粉砕の手段としては、機械的粉砕処理が有効であり、具体的には、グランダ、カッタミル、振動ボールミル、回転ボールミル、遊星型ボールミル、ロールミル、ディスクミル、ホモミキサーなどがあげられ、いずれを用いてもよい。以下、各粉砕工程について、さらに詳述する。
【0032】
(a)粗粉砕工程
粗粉砕工程では草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粉砕する。上述したいずれの粉砕機を用いても良いが、繊維系が柔らかな草本系バイオマス原料にはカッタミルが好ましい。草本系バイオマス原料の組成、形状、大きさ、含水率などに応じて、粉砕機の種類と最適運転条件を適合させる。
【0033】
(b)細粉砕工程
細粉砕工程では粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し、湿式で草本系バイオマスを細粉砕する。草本系バイオマスを細粉砕することにより、セルロースを微細化して結晶性を低下させることができ、リグニンを分離させることができ、その結果、草本系バイオマス原料を糖化する酵素加水分解反応を促進して、糖の収率を向上させることができる。
【0034】
本願発明ではこの細粉砕工程を、草本系バイオマス濃度を10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物として調整した後、粉砕する第一の細粉砕工程と、第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度を1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物に調整した後、粉砕する第二の細粉砕工程との二段階の細粉砕工程に分けて行なうことにより、効率的に細粉砕することができ、粉砕に必要なエネルギーを大幅に低減することができる。
【0035】
高濃度の草本系バイオマスを一回の細粉砕工程で長時間粉砕すると、過粉砕となり、酵素加水分解に供給する原料のロスが高くなる。また、粉砕のためのエネルギー消費が過大になる。また、低濃度の草本系バイオマスを一回の細粉砕工程で粉砕すると、所望の大きさの微粉末になるまで長時間を要し、所望の粉砕目標レベルに達するまでのエネルギー消費が過大になる。
【0036】
これに対して、本発明において、草本系バイオマス濃度が比較的高濃度である第一の細粉砕工程では、粉砕機の負荷が大きく単位時間あたりのエネルギー消費が高いが、この第一の細粉砕工程を短時間で行うことにより、消費エネルギーを大幅に低減することができる。さらに、第二の細粉砕工程では第一の細粉砕工程によりすでに分離状態のリグニンとセルロースが凝集している凝集体の破壊と、粉砕されていない部分の粉砕とが行われ、所望の粉砕目標レベルに効率的に達することができ、過粉砕も防止できる。また、第二の細粉砕工程では草本系バイオマス濃度が比較的低濃度であるので、粉砕機の負荷が小さくエネルギー消費が小さい。
【0037】
このように、草本系バイオマス濃度が比較的高濃度である第一の細粉砕工程と、草本系バイオマス濃度が比較的低濃度である第二の細粉砕工程とからなる二段階の細粉砕工程とすることにより、効率的に細粉砕することができ、粉砕に必要な全エネルギーを大幅に低減することができる。
【0038】
また、第二の細粉砕工程において、草本系バイオマス濃度を比較的低濃度に調整することにより、粉砕機からの粉砕処理物の排出が容易に行うことができ。さらに、後の酵素加水分解処理プロセスに必要な濃度調整をかねることができ、濃度調整工程を省略することができるという効果もある。
【0039】
第一の細粉砕工程では、粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度を10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物に調整した後、草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕する。草本系バイオマス濃度が10重量%以下では粉砕効率が低くなり、粉砕処理完了までの時間が長くなり必要なエネルギーが大きくなり好ましくない。草本系バイオマス濃度が40重量%より高いと、粉砕機の負荷が大きくなり好ましくない。粗粉砕処理された草本系バイオマスの大きさが小さいほど、高濃度とすることがエネルギー消費を小さくできるので望ましい。
【0040】
第一の細粉砕工程の粉砕時間は、10分から60分が好ましい。10分より短時間では粉砕が不十分で、後工程としての酵素加水分解工程での糖化が進行しない。また、60分より長時間粉砕を行っても、リグニンの分解やセルロースの結晶性脆化の程度は変わらないうえ、60分より長時間粉砕するとかえってエネルギー消費が多くなるので不適である。
【0041】
第二の細粉砕工程では、第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度を1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物に調整した後、第一の細粉砕工程で細粉砕された草本系バイオマスを粉砕し、凝集体を破壊して微粉末とし、微粉砕されていない草本系バイオマスを粉砕して微粉末とする。草本系バイオマス濃度が1重量%以下では粉砕効率が低くなり、粉砕処理完了までの時間が長くなり必要なエネルギーが大きくなり好ましくない。草本系バイオマス濃度が10重量%より高いと、後の酵素加水分解処理プロセスの前に濃度調整が必要となるため好ましくない。草本系バイオマス濃度を2重量%以上5重量%以下に調整することがより好ましい。
【0042】
第二の細粉砕工程の粉砕時間は、15分から5時間が好ましい。15分より短時間では粉砕が不十分であるので好ましくない。また、5時間より長時間粉砕を行っても、リグニンの分解やセルロースの結晶性脆化の程度は変わらないうえ、5時間より長時間粉砕するとかえってエネルギー消費が多くなるので不適である。
【0043】
(c)粉砕処理にアルカリ処理を併用
本発明では、上述の粉砕による前処理時に、アルカリ処理を併せて行なうことができる。
【0044】
水酸化物イオン濃度が0.1重量%以上0.5重量%未満である水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムのうちいずれか一つの水酸化物水溶液に草本系バイオマスを接触させるアルカリ処理を下記(1)乃至(5)のいずれかにおいて行う。
(1)粗粉砕工程と第一の細粉砕工程の間
(2)第一の細粉砕工程
(3)第一の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の間
(4)第二の細粉砕工程
(5)第二の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の反応物を固液分離する固液分離工程の間
【0045】
アルカリ処理を併用すると、細粉砕工程において、草本系バイオマスが粉砕されることによるとともに、水酸化物水溶液により、草本系バイオマスのリグノセルロースのうちセルロースやヘミセルロースを結合しているリグニンが分解され、また、セルロースの結晶性が脆化される。このリグニンの分解とセルロースの結晶性脆化によって、後の酵素加水分解工程でセルロースやヘミセルロースが加水分解されやすくなる。
【0046】
水酸化物水溶液の水酸化物イオン濃度が0.1重量%未満ではリグニンの分解とセルロースの結晶性脆化が進まず、0.5重量%以上ではヘミセルロースの分解により生成した糖が過分解されるので好ましくない。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムのほかに、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を用いてもよく、また、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物を用いてもよい。また、アルカリ剤として水酸化物の代わりにアンモニア水や四級アンモニウム塩、炭酸アンモニウムなどのアンモニウム塩を用いてもよい。この場合には好ましい濃度範囲は水酸化物に比べて高くなる。
【0047】
(d)粉砕処理に熱処理を併用
本発明では、上述の粉砕による前処理時に、加熱処理を併せて行なうことができる。
草本系バイオマスを60〜100℃に加熱する熱処理を下記(1)乃至(6)のいずれかにおいて行う。
(1)粗粉砕工程の前
(2)粗粉砕工程と第一の細粉砕工程の間
(3)第一の細粉砕工程
(4)第一の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の間
(5)第二の細粉砕工程
(6)第二の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の反応物を固液分離する固液分離工程の間
【0048】
細粉砕工程もしくはその前後の処理時の草本系バイオマスの温度は、リグニンの分解反応やセルロースの結晶性脆化反応を進行させるという点では常温でもよいが、さらに分解反応や脆化反応を促進させるためには草本系バイオマスを60℃〜100℃の温度範囲に加熱処理することが好ましい。粉砕処理時の草本系バイオマス温度が60℃以上であると、60℃未満の場合に比べてリグニン分解反応やセルロース結晶性脆化反応が格段に進むことが確認されている。また、草本系バイオマスの温度が100℃を超えた状態で粉砕処理を行うためには、高温・高圧処理装置が必要となり、設備費用、運転費用が嵩むので好ましくない。
【0049】
<草本系バイオマスを原料とするエタノールの製造方法>
本実施形態では、草本系バイオマスを原料とするエタノールの製造方法を説明する。該製造方法は、上述した粉砕処理、あるいはアルカリ処理を併用する粉砕処理や熱処理を併用する粉砕処理のいずれか一つの前処理方法で行う前処理工程と、該前処理工程の反応物を固液分離する固液分離工程と、該固液分離工程で固液分離により分離された固形物を酵素加水分解して糖を生成する酵素加水分解工程と、該酵素加水分解工程で酵素加水分解により生成された糖を発酵してエタノールを製造する。
【0050】
次に、本実施形態の各工程を説明する。
【0051】
先ず、前処理工程を行なうが、詳細は既に(a)〜(d)において説明しているので、省略する。
【0052】
(e)固液分離工程
草本系バイオマスを前処理した後、固液分離して、結晶性が脆化されたセルロースやヘミセルロースを含む固形物とリグニン分解物を含む液体とに分離する。これにより、リグニン分解物などの不純物を除去し、糖の原料となる結晶性が脆化されたセルロースならびにヘミセルロースを取り出すことができる。固液分離の手段としては、自然ろ過、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過などのろ過法や、遠心分離法があげられ、いずれの手段を用いてもよい。アルカリ処理を併用する前処理を行う場合には、固液分離工程の後に酵素加水分解工程を実施する前に、固形物を洗浄し、pHを酵素加水分解反応に適した弱酸性にしておくことが好ましい。水酸化物イオン濃度が0.1重量%以上0.5重量%未満と比較的低濃度である水酸化物水溶液に草本系バイオマスを接触させるアルカリ処理を行う前処理を行うことが好ましいが、この前処理を行った場合でも、pHは比較的低く保たれているため、特に中和処理は必要ではなく、洗浄によりpHを酵素加水分解反応に適した弱酸性にすることができる。
【0053】
(f)酵素加水分解・糖化工程
固液分離工程で得られた固形物が懸濁した液に酵素を添加し、セルロースやヘミセルロースを含む固形物を酵素加水分解して糖化する。前処理によりリグニンが分解され、さらに固液分離によりリグニン分解物が除去され、また、前処理によりセルロースの結晶性が脆化されているので、固形物中のセルロースとヘミセルロースは酵素により加水分解されやすくなっている。酵素加水分解による糖化工程には、セルラーゼやヘミセルラーゼといった分離生成された酵素を用いてもよいし、酵素を生産するカビなどの微生物を用いてもよい。具体的には、固形物を懸濁した液に、例えばセルラーゼを添加し、攪拌しながら、例えばpH4〜6、30〜60℃で、10〜120時間反応させる。セルラーゼによって加水分解された液にはセルロースが分解された糖であるグルコースと、ヘミセルロースが分解された糖であるグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース等が含まれることとなる。
【0054】
(g)発酵工程
加水分解後の糖液に窒素、リンを含む栄養源とエタノール発酵微生物を添加し、糖をエタノールに変換する。エタノール発酵微生物としては、酵母および細菌のいずれを用いてもよい。酵母としては、Saccharomyces cereviciae、Shizosaccharomyces pombe、Zygosaccharomyces rouxii、Pichia stipitisなど、細菌としては、Zymomonas mobilisなどが挙げられる。
【0055】
前処理工程の後、(e)の固液分離工程を経ることなく、(f)糖化工程と(g)発酵工程を同時に進める同時糖化発酵工程を行ってもよい。
【0056】
このように本実施形態に係る草本系バイオマスの前処理方法を用いると、草本系バイオマスを粉砕するために要するエネルギーを小さくできるとともに、草本系バイオマスに多く含有されるヘミセルロースの分解により生成した糖の過分解を回避して、酵素加水分解後の糖の収率を高くすることができる。従って、草本系バイオマスを原料とする酵素加水分解による糖化における合計糖収量が増加し、これによって、糖を発酵させて製造するエタノールの収率をも向上させることができる。
【0057】
<実施例>
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0058】
本実施例では、草本系バイオマス原料として稲わらを用い、ボールミルにより乾式で平均粒径を1mm以下に粗粉砕した後、ボールミルにより湿式で平均粒径を100μm以下に細粉砕する第一の細粉砕と第二の細粉砕を行う前処理を行い、前処理した反応物を吸引ろ過し、ろ過した残渣の前処理固形物を酵素加水分解工程に供した。酵素加水分解処理はセルラーゼ酵素としてメイセラーゼ溶液を使用し、0.1M酢酸バッファー(pH4.5)中40℃で24時間処理した。そして、酵素加水分解処理物を吸引ろ過し、ろ液中の糖をソモジーネルソン法で分析し、稲わら原料1gあたりの糖収量を求めた。
【0059】
実施例1では、第一の細粉砕工程として粗粉砕された稲わら原料重量に対し6倍の重量の水を稲わらに添加し、稲わら原料濃度が14重量%の高濃度混合物を調製し、ボールミルでポット回転数400rpmで30分間粉砕し、さらに、第二の細粉砕工程として原料重量に対し20倍の重量の水を添加し、稲わら原料濃度3.7重量%の低濃度混合物を調製し、ボールミルでポット回転数200rpmで2時間粉砕した。
【0060】
実施例2では、粗粉砕された稲わら原料に水と水酸化ナトリウムを添加し、稲わら原料濃度が14重量%、水酸化物イオン濃度が0.4重量%の高濃度混合物を調製し、第一の細粉砕工程にアルカリ処理を併用して行い、さらに実施例1と同様の二段階の細粉砕処理を行った。
【0061】
実施例3、5では、粗粉砕された稲わら原料を加熱する熱処理を行った後、実施例1と同様の二段階の細粉砕処理を行った。実施例3では熱処理温度80℃、実施例5では熱処理温度100℃である。
【0062】
実施例4、6では、粗粉砕された稲わら原料を加熱する熱処理を行った後、粗粉砕された稲わら原料に水と水酸化ナトリウムを添加し、稲わら原料濃度が14重量%、水酸化物イオン濃度が0.4重量%の高濃度混合物を調製し、第一の細粉砕工程にアルカリ処理を併用して行い、さらに、実施例1と同様の二段階の細粉砕処理を行った。実施例4では熱処理温度80℃、実施例6では熱処理温度100℃である。
【0063】
実施例との比較のため、細粉砕処理を一段階で行う比較例を行った。
【0064】
比較例1では粗粉砕された稲わら原料重量に対し6倍の重量の水を稲わらに添加し、稲わら原料濃度が14重量%の高濃度混合物を調製し、ボールミルでポット回転数400rpmで30分間粉砕する一段階の粉砕処理を行った。
【0065】
比較例2では稲わら原料濃度が10重量%の高濃度混合物を調製し、糖収量を高めることを図って長時間粉砕を行うように、ボールミルでポット回転数400rpmで5時間粉砕した。
【0066】
比較例3では、粗粉砕された稲わら原料に水と水酸化ナトリウムを添加し、稲わら原料濃度が14重量%、水酸化物イオン濃度が0.4重量%の高濃度混合物を調製し、第一の細粉砕工程にアルカリ処理を併用して行い、さらに、比較例1と同様の一段階の粉砕処理を行った。
【0067】
各実施例と比較例の稲わら原料1gあたりの糖収量(収率という)の測定結果を表1に示す。
【0068】
表1に示すように、二段階で細粉砕処理した実施例1では、一段階で細粉砕処理した比較例1に比べて各段に高い収率で糖化できる。
【0069】
また、一段階で細粉砕処理して0.4以上の収率で糖化させるには比較例2のように粉砕時間が5時間必要であることで示されるように長時間の粉砕処理が必要になる。実施例1と比較例2について、粉砕に要する電力総消費量を測定した。比較例2の場合の粉砕に要する電力総消費量に対して、実施例1では、その1/2以下の電力総消費量であった。このように本発明により粉砕のためのエネルギーを大幅に低減できる。
【0070】
実施例2の結果から明らかなように、細粉砕工程にアルカリ処理を併用することにより、収率を高めることができる。また、細粉砕工程にアルカリ処理を併用する場合に、二段階で細粉砕処理した実施例2では、一段階で細粉砕処理した比較例3に比べて各段に高い収率で糖化できる。
【0071】
実施例3、5の結果から明らかなように、粉砕処理前に熱処理を行うことにより、収率を高めることができ、熱処理温度が高いほど収率を高めることができる。実施例4、6の結果から明らかなように、細粉砕処理前に熱処理を行い、さらに細粉砕工程にアルカリ処理を併用することにより、収率をさらに高めることができ、熱処理温度が高いほど収率を高めることができる。
【0072】
実施例2における高濃度混合物の水酸化物イオン濃度を0.05〜1重量%の範囲で変えて、高濃度混合物を調製し、第一の細粉砕工程にアルカリ処理を併用して行い、実施例1と同様の二段階の粉砕処理を行った。水酸化物イオンの濃度が0.1重量%以上0.5重量%未満の範囲において、糖収率が0.35以上となり工業的に効率のよいプロセスになった。また、水酸化物イオンの濃度が0.1重量%未満ではリグニンの分解とセルロースの結晶性脆化が進まず、0.5重量%以上の濃度ではヘミセルロースの分解により生成した糖が過分解され、酵素加水分解処理後の糖収量が低くなることが確認された。このように二段階の細粉砕処理にアルカリ処理を併用する場合に、水酸化物イオンの濃度を0.1重量%以上0.5重量%未満の範囲とすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、バイオマスを原料としてエタノールを製造する産業分野で利用可能である。
【0074】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
草本系バイオマスの酵素加水分解処理前に行う前処理方法であって、
草本系バイオマス原料を乾式で平均粒径を1mm以下に粗粉砕する粗粉砕工程と、
粗粉砕された草本系バイオマスに水を添加し草本系バイオマス濃度が10重量%より高く40重量%以下の高濃度混合物を調製し、該高濃度混合物中の草本系バイオマスの平均粒径を100μm以下に細粉砕する第一の細粉砕工程と、
第一の細粉砕工程で細粉砕された高濃度混合物に水を添加し草本系バイオマス濃度が1重量%以上10重量%以下の低濃度混合物を調製し、該低濃度混合物中の草本系バイオマスをさらに細粉砕する第二の細粉砕工程とを有することを特徴とする草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法。
【請求項2】
水酸化物イオン濃度が0.1重量%以上0.5重量%未満である水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムのうちいずれか一つの水酸化物水溶液に草本系バイオマスを接触させるアルカリ処理を下記(1)乃至(5)のいずれかにおいて行うこととする請求項1に記載の草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法。
(1)粗粉砕工程と第一の細粉砕工程の間
(2)第一の細粉砕工程
(3)第一の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の間
(4)第二の細粉砕工程
(5)第二の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の反応物を固液分離する固液分離工程の間
【請求項3】
草本系バイオマスを60〜100℃に加熱する熱処理を下記(1)乃至(6)のいずれかにおいて行うこととする請求項1又は2に記載の草本系バイオマスの酵素加水分解の前処理方法。
(1)粗粉砕工程の前
(2)粗粉砕工程と第一の細粉砕工程の間
(3)第一の細粉砕工程
(4)第一の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の間
(5)第二の細粉砕工程
(6)第二の細粉砕工程と第二の細粉砕工程の反応物を固液分離する固液分離工程の間
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか一つの前処理方法で行う前処理工程と、
該前処理工程の反応物を固液分離する固液分離工程と、
該固液分離工程で固液分離により分離された固形物を酵素加水分解して糖を生成する酵素加水分解工程と、
該酵素加水分解工程で酵素加水分解により生成された糖を発酵してエタノールを製造する発酵工程と、
を有することを特徴とする草本系バイオマスを原料とするエタノール製造方法。

【公開番号】特開2010−220512(P2010−220512A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69840(P2009−69840)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】