説明

荷の保管処理設備

【課題】物品が収納されたコンテナを保管専用棚に一時的にストックしておいてから手作業処理棚に移し替え、手作業処理棚で出荷用箱に詰め替えるようになっている保管処理設備において、処理能力を向上させる。
【解決手段】多数段の棚は、上寄りに位置した保管専用棚12と下寄りに位置した手作業処理棚11とに区分されている。各棚11,12の段ごとに移動台車27が配置されている。移動台車27は、棚11,12の内部に進退動して荷Wを押し引きするピッキング装置31を備えている。各段間の荷Wの移し替えはリフト装置36を中継して行われる。保管専用棚12への補充入庫と保管専用棚から手作業処理棚11への供給とを同時並行的に行えるため、処理能力を飛躍的に向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動移載装置を有すると共に外部への荷の取り出し作業(ピッキング,小分け)又は外部からの入庫作業が人手で行われるようになっている保管処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流合理化のため自動倉庫を有する配送センターが活用されているが、配送の一態様として、多くの種類の物品(或いは商品)を少量ずつ小分けしたり詰め替えたりして配送せねばならない場合がある。このような場合、一般に、物品を同一種類ごとに保管用コンテナに収納して保管しておき、人手によって物品を保管用コンテナから出荷用箱に詰め替え(小分け)している。出荷用箱は、配送センターと顧客との間を環流するトレー状やコンテナ状の通い箱である場合もあるし、顧客が処分するワンウエイ方式のダンボール箱である場合もある。
【0003】
そして、特許文献1には、物品の小分け取り出しを能率的に行うことを目的とした設備が開示されている。すなわちこの特許文献1の設備は、多段の棚を有する棚装置と、棚装置の任意の部位に荷を移載できるスタッカクレーンとを備えており、棚装置は、スタッカクレーンの走行通路と反対側に荷を引き出しできるピッキング棚と、荷の出し入れがスタッカクレーンで行われる補充棚とに区分されている。
【0004】
そして、外部の格納設備に格納された荷は、コンベヤを介して棚装置まで運ばれてからスタッカクレーンでいったん補充用棚に仮置きされ、次いで、ピッキング棚に移し替えられ、このピッキング棚で物品の取り出しが行われる。この特許文献1では、荷をピッキング棚に移しかえるにおいて、荷は、その種類ごとに、ピッキング棚のうち空いている部分に新たに割り付けられる。
【0005】
この特許文献1の構成では、1つの棚装置が補充棚とピッキング棚とに区分されているため、例えば保管エリアから搬送された荷をコンベヤ上で小分けする場合に比べたら作業能率を向上でき、かつ、補充棚とピッキング棚とは上下に重なっているためスペースを有効利用できると言える。
【特許文献1】特許第2632422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
物品・商品の発送は短い時間に集中することが多いが、近年の配送業務では一層の迅速出荷が求められている一方、設備のスペースは限られていて容積には限りがあるため、ピッキング棚からの取り出し量に応じて荷を格納設備から補充棚にどんどん補充したり、補充棚からピッキング棚に荷をどんどん供給(補給)したりする必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1のものは補充棚とピッキング棚との間での荷の移し替えを1台のスタッカクレーンで行うものであるため、a.補充棚からピッキング棚に荷を移し替えているときには補充棚に新規に荷を補給することができない、b.コンベヤから荷を補充棚に移し替えているときには荷を補充棚からピッキング棚に移し替えることができない、c.補充棚の複数の段の棚から補充要請があるときに迅速に応えることができない、d.ピッキング棚の複数の場所から補給要請がある時に迅速に応えることができない、というように、ピッキング棚又は補充棚からの補充(補給)要求にスタッカクレーンが迅速に応えることができず、結果として、ピッキング棚に荷をタイムリーに供給できず作業ロスが発生する虞があった。
【0008】
本願発明は、このような問題を改善することを契機としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、少なくとも移載通路に向けて開口した棚が多段に配置された棚装置を備えており、前記棚装置の一部は荷の取り出し又は入庫若しくは両方が前記移載通路と反対側から人手で行われる手作業処理棚と成し、前記棚装置の他の部分は荷の出し入れを移載通路から行う保管専用棚と成しており、保管専用棚への荷の出し入れ及び保管専用棚と手作業処理棚との間の荷の移し替えが自動移載装置によって自動的に行われる保管処理設備に関する。
【0010】
そして、請求項1の発明では、前記自動移載装置は、各段の棚ごと又は複数の段の棚ごとに水平走行自在に配置された移動台車と、各段の棚の間に荷を移し替えるリフト装置とを備えており、前記移動台車には、棚の奥行き方向に移動して荷を移動台車と棚との間に押し引きするピッキング装置を設けている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、前記棚装置における保管専用棚は、間口方向に沿って飛び飛びに配置された多数本の支柱で棚板を支持した平棚方式になっており、このため、各段の棚は間口方向に沿って隣り合った支柱で挟まれた部分が単位載置部となっており、各単位載置部に幅寸法が異なる複数の荷を並べて載置できるようになっている一方、前記手作業処理棚は、ローラ群又はシュート板から成るフローラック方式になっていて荷は棚の奥行き方向に移動するようになっていると共に、保管専用棚の単位載置部に対応した部分を単位処理部と成しており、手作業処理棚の各単位処理部を、当該単位処理部の任意の部位に荷を載せ得るように仕切りが設けられていない構成としている。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1又は2において、前記荷は、上向きに開口した箱状のコンテナに複数の物品を入れた形態になっている一方、前記保管処理設備は物品の小分けや詰め替えを行うための出荷専用に供されており、この保管処理設備において、荷は、保管エリアからコンベヤで搬送されてきて前記自動移載装置でいったん保管専用棚に仮置きされ、次いで、自動移載装置で手作業処理棚に移し替えられ、次いで、この手作業処理棚でコンテナごと外部に取り出されるか、又は、物品ごとに取り出されてから空になったコンテナは外部に取り出されるようになっている。
【0013】
そして、前記手作業処理棚の各単位処理部に、当該単位処理部に設けた在荷センサーからの信号に基づいて荷が保管専用棚から自動的に補給されるか、又は、人がボタンを押して発せられる信号に基づいて保管専用棚から荷が補給されるように制御される。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では、棚装置には複数の移動台車が配置されているため、保管専用棚から手作業処理棚への荷の供給(補給)、外部から保管専用棚への荷の補充、保管専用棚の複数の場所への荷の補充、或いは、手作業処理棚の複数の場所への荷の供給、といったことを同時並行的に行うことが可能となり、その結果、荷の処理能力(すなわち、単位時間当たりに受け入れできる荷の量と出荷できる荷の量)を格段に向上させることができる。
【0015】
ところで、特許文献1には、一定の大きさのコンテナ(箱)を扱うことしか開示されておらず、ピッキング棚は、1つのコンテナをスライドさせ得るように仕切られている。しかし、コンテナに収納する物品の大きさは様々であり、例えば小物の場合は、小さいコンテナであることが好ましい場合がある。或いは、小さい物品の場合、一々コンテナに収納せずに例えばダンボールの荷姿のままで格納したり出荷したりすることが便利な場合もある。
【0016】
この点に対しては、大きさの異なる複数種類のコンテナを用意して、コンテナの大きさに応じてピッキング棚(手作業処理棚)の配置場所を特定しておけば良いと考えられるが、特許文献1ではコンテナの配置場所を変更することが難しいため、作業員は大きく移動しないと目的の物品を取り出せない場合があるというように融通が利かない問題がある。
【0017】
これに対して本願請求項2の発明では、手作業処理棚の各単位の場所にそれぞれ任意の幅寸法の荷を載せることができるため、例えば、手作業処理棚の1単位の場所に幅寸法が異なる複数種類の荷を載せたり、近接した複数単位を1グループとしてここに様々の横幅の荷を載せたりというように、多種の物品の取り出し場所を狭いエリアにまとめることができるため、作業員があちこち大きく移動しなくても目的の物品を取り出しできるように手作業処理棚を効率的に使用することが可能になる。
【0018】
また、特許文献1では、補充棚(本願発明では保管専用棚に相当)からピッキング棚(本願発明では手作業処理棚に相当)に荷を移し替えるにおいて移し替え先を新たに割り付けているが、これでは荷の割り付け先が一定しないため、作業員が戸惑ったり取り出し忘れが生じたりする虞がある。これに対して請求項3のように構成すると、荷はその種類に応じて手作業処理棚の供給場所が予め決められているため、作業員の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図6は第1実施形態を示しており、まず、この第1実施形態について述べる。
【0020】
(1).配送センターの概略
図1(A)は配送センターの部分的な概略平面図であり、配送センターは、多数の荷を保管する格納エリア(保管エリア)1と、格納エリア1から出庫された荷を小分けして出荷する保管処理設備2とを備えている。格納エリア1は多数の倉庫ユニット3の群から成っており、倉庫ユニット3は、相対向して配置された一対の格納庫4と、両格納庫4の間の移載通路に配置されたスタッカクレーン5とを備えている。
【0021】
倉庫ユニット3を構成する各格納庫4は、平棚方式又はラック方式に構成されており、いずれにしても多段に構成されている。各格納庫4の端部には入庫用又は出庫用若しくは両方併用式の枝搬送コンベヤ6aが接続されており、各枝配送コンベヤ6aは主搬送コンベヤ7に接続されている。主搬送コンベヤ6は1本のみでも良いが、処理能力アップの点からは入庫用と出庫用のような複数本を設けるのが好ましく、かつ、スペースの有効活用のためには、入庫用搬送コンベヤと出庫用搬送コンベヤとは上下に配置するのが好ましい。
【0022】
言うまでもないが、倉庫ユニット3は、スタッカクレーン方式に代えて、格段の棚ごとに移動台車を配置すると共に格納庫の端部にリフトを配置した台車方式とすることも可能である。
【0023】
保管処理設備2は2基並設されており、倉庫ユニット3と平行に延びるように配置されている。保管処理設備2は、移載通路7を挟んだ両側に棚装置8が配置されており、各棚装置8には符号6bで代表して示す枝搬送コンベヤが接続されている。また、保管処理設備2を挟んだ両側には、出荷用コンベヤ10が平面視で保管処理設備2と平行に延びるように配置されている。
【0024】
図1(B)では荷Wの一例を示している。すなわち、上向きに開口したコンテナ(箱)Cに物品Gを入れることで荷が構成されており、コンテナCの外周面のうち一部には、当該コンテナC又は収納物品若しくは両方を特定するデータが保持された識別手段R1が設けられている。識別手段としては、バーコードや二次元コードを印刷したラベル、ICチップを内蔵したカード(或いはICタグ)など種々のものを採用できる。コンテナCの外周面のうち他の部分に、収納している物品の種類を文字で表示した表示ラベルR2を設けることも可能である。
【0025】
(2).保管処理設備
次に、図2以下の図面も参照して保管処理設備2を説明する。図2は保管処理設備2の側面図、図3は保管処理設備2の正面図、図4は保管処理設備2の一部破断概略平面図、図5も保管処理設備2の部分的な一部破断平面図、図6は保管処理設備2の部分的な正断面図である。なお、以下の説明で前後左右の文言を使用するが、図1の矢印a方向から見た方向(すなわち保管処理設備2への入庫方向)を前方としている。
【0026】
既述のとおり、保管処理設備2は、移載通路7を挟んだ両側に配置された一対の棚装置8を備えている。各棚装置8は多段(図示の例では8段)の棚を備えているが、下4段の棚を手作業処理棚11と成し、上4段の棚を保管専用棚12と成している(図4及び図5では、一対の棚装置8のうち一方では保管専用棚12を表示して他方の棚装置8では手作業処理棚11を表示している)。この点を更に説明する。
【0027】
棚装置8は、移載通路7の長手方向に沿って飛び飛びで配置された多数のフロント支柱14及びリア支柱15の群と、隣り合ったフロント支柱14の相互間に連結された走行レール16の群とを備えており、各走行レール16ごとに棚が形成されているのであるが、上4段の箇所では、隣り合ったリア支柱15に水平状のリアフレーム17を連結して、リアフレーム17と走行レール16とで棚板18を支持することで保管専用棚12と成している。
【0028】
この保管専用棚12では、荷Wの出し入れは移載通路7から行われる。従って、保管専用棚12は少なくとも移載通路7に向けて開口している。また、隣り合った支柱14,15の間の部分が単位載置部12aとなっており、この単位載置部12aの任意の部分に荷Wを載せることができる。なお、棚板18は1枚板である必要はなく、単位載置部12aが間口方向に沿って分離した複数枚の棚板18で構成されていても良い。
【0029】
図6に簡単に示すように、各単位載置部12aには、荷Wの有無を下方から検知する在荷センサー19の群が配置されている。在荷センサー19は本例では反射式のものを使用しているが、リミットスイッチのような接触式センサー、或いは、受光器と投光器とがセットになっている光電スイッチ等の他のセンサーを採用することも可能である。
【0030】
手作業処理棚11の箇所には走行レール16を配置しているが、リアフレーム17は備えていない。そして、例えば図3や図6から理解できるように、平面視で走行レール16と直交した方向に延びる前後一対の支持フレーム20が配置されており、前後支持フレーム20に多数のローラ21を回転自在に取り付けることでフローラック方式の手作業処理棚11が構成されている。走行レール16は走行レール16から遠ざかるに従って低くなるように緩い角度で傾斜しており、従って、荷Wは自重によって走行レール16から遠ざかる方向に移動する。
【0031】
手作業処理棚11は、平面視で保管専用棚12の外側にはみ出ている。従って、奥行き寸法が最も大きい荷Wであっても、複数個(例えば3個)を並べて載置できるようになっている。
【0032】
図6に示すように、各手作業処理棚11の終端部には荷Wを停止させるストッパー22が配置されている。また、図3に示すように、支持フレーム20は左右複数本の縦フレーム23で支持されており、前後支持フレーム20の上面はローラ21の群の上面よりも上方に位置している。前後支持フレーム20の間に、図6に一点鎖線で示すように、ローラ21の上面よりも高さが低い中間フレーム24を適宜本数配置して、隣り合ったフレーム20,24でローラ21を回転自在に支持することも可能である。
【0033】
各段の手作業処理棚11は、前後に隣り合った支柱14,15で挟まれた部分ごとに独立しており、前後に隣り合った支柱14,15で挟まれた部分を単位処理部11aとして、多数の単位処理部11aが飛び飛びに配置されることで1段の手作業処理棚11が構成されている。各単位処理部11aは隣の単位棚から独立しているが、単位処理部11aの前後幅寸法(荷Wが載る有効載置面の前後幅寸法)は前後支柱14,15の間の間隔寸法よりも若干小さくなっている。
【0034】
本実施形態では、前後に隣り合った単位処理部11aの間に空間を空けているが、隣り合った単位処理部11aで縦フレーム23又は支持フレーム20を共用することも可能である。但し、本実施形態のように各単位処理部11aを独立させると、単位処理部11aを基準にして配達先等を区分するにおいて、エリアが明確になるため間違いにくい利点がある。手作業処理棚11はローラを使用したフローラック方式とする必要はなく、荷Wを平板上で滑らせるシュート方式でもよい。また、手作業処理棚11は必ずしも下向きに傾斜させる必要はなく、水平状に配置して、人が荷Wを外側に引き出す方式とすることも可能である。
【0035】
図2や図3に簡単に示すように、移載通路7のうち最上段の手作業処理棚11と最下段の保管専用棚12との境界部には、人が歩行できるメンテナンスデッキ(歩廊)25を設けている。また、最上段の保管専用棚12はメンテナンスデッキ25に立った人の手が届く高さに設定している。
【0036】
(3).移動台車及び移載機構
移載通路7の各棚段に対応した部位には移動台車27が水平走行自在に配置されている。例えば図5に示すように、移動台車27は、フレーム構造の本体28を備えており、本体28に、走行レール16を走行する前後の車輪29と、荷載置部30と、荷Wを押し引きして棚11,12等に出し入れする前後一対のピッキング装置31とを備えている。
【0037】
ピッキング装置31は、走行方向と直交した方向に延びる複動式のスライドアーム32を備えており、スライドアーム32の両端に水平回動式のピッカー33を設けており、ピッカー33を荷Wに当ててスライドアーム32を移動させることにより、荷Wを押したり引いたりして荷載置部30と棚11,12等との間に移し替えることができる。前後のピッキング装置31の間隔は調節することができる。また、詳細は省略するが、ピッキング装置31には荷Wの奥行き寸法を測定するための検知手段や、荷Wに設けた識別手段R1を読み取るセンサーを設けている。
【0038】
棚装置8のうち枝搬送コンベヤ6bに面した部分には、各段の棚11,12と同じ高さの仮置き台34が多段に配置されており、走行レール16は仮置き台34の箇所まで延びている。そして、仮置き台34と枝搬送コンベヤ6bとの間には、リフト装置36が配置されている。仮置き台34は多数のローラを配置したローラ方式になっており、ローラはモータで駆動される(仮置き台34はベルト式としてもよい)。
【0039】
リフト装置36はコラム37に昇降台38を昇降自在に取り付けた構造になっており、昇降台38は、多数のローラを設けたローラ方式になっている。ローラは動力的に駆動される。荷Wは、枝搬送コンベヤ6b→リフト装置36→仮置き台38→移動台車27→保管専用棚12という経路を経て入庫され、また、保管専用棚→移動台車27→仮置き台38→リフト装置→仮置き台38→移動台車27→手作業処理棚11という経路で出庫される。
【0040】
なお、一対の棚装置8のうち片方のみに手作業処理棚11を設けて他方の棚装置8は全体を保管専用棚12とすることも可能であり、すると、同じ高さの段の保管専用棚12から手作業処理棚11に荷Wを移載することがあるが、この場合は、荷Wは移動台車27のみを中継して手作業処理棚11に移し替えられる。
【0041】
本実施形態のように移載通路7にメンテナンスデッキ25を設けると、停電や移動台車27の故障によって自動的な移し替えができなくなっても、人手で荷Wを取り出す緊急処理を行える利点がある。
【0042】
倉庫ユニット3及び保管処理設備2はそれぞれローカル制御装置を備えており、また、搬送コンベヤ6a,6,6bもローカル制御装置で制御され、更に、これらローカル制御装置の群は中央制御装置の指令下にある(各制御装置は1台のコンピュータに組み込まれていてもよい)。次に、配送センターでの荷Wの動きの例を説明する。
【0043】
(4).運用例
本実施形態では、保管処理設備2は出荷専用として運用されており、また、出荷に際しては例えば図4に示す出荷用箱Bが使用されており、ワゴン39に出荷用箱Bを載せて、予め支持されたリストに基づいて配送先ごとに物品Gが詰められて、物品が入れられた出荷用箱Bは出荷用コンベヤ10から出荷バース(図示せず)に搬送される。
【0044】
出荷用箱Bに詰められる物品Gの種類と個数は様々であり、1種類の物品しか詰められない場合もあるし、多種類の物品が混載される場合もある。また、格納エリア1にコンテナCを使用した荷Wとダンボール箱のままの荷とを混合して格納して、ダンボール箱の荷はそのまま出荷することも可能である。
【0045】
格納エリア1に保管されていた荷Wは、搬送コンベヤ6a,6,6b、リフト装置36、移動台車27を経由していずれかの棚装置8の保管専用棚12のいずれかの箇所に搬入される。保管専用棚12には1個の荷Wを載置できるスペースを1単位として予め番地が割り付けられており、制御装置の記憶部には、各番地ごとに使用中か未使用(空き)か否かのデータが記憶されている(勿論、使用・未使用のデータは更新される)。そして、どの番地に入庫するかは予め順序が決められており、格納エリア1から搬入された荷Wの載置場所が順序式に基づいて割り当てられて、空いている番地に搬送載置される。
【0046】
荷Wの入庫場所を割りつける方法は様々であり、例えば、一対の棚装置8のいずれかの選択、棚12の段の選択、各段の棚12のうちの番地の選択、といった多くの選択枝を組み合わせたらよい。一つの方法としては、収納位置をリフト装置36に近い順に割り付けていく方法がある。荷Wの種類ごとにまとめて特定グループの番地に載置する、荷の大きさごとにまとめて特定グループの番地に載置する、出荷量が多い荷はリフト装置36に近い場所に割り付けて出荷量が少ない荷Wはリフト装置36から遠い奥部に割り付ける、といった制御方法も可能である。
【0047】
手作業処理棚11からの所定の物品Gを取り出して出荷用箱Bに詰め替える(小分けする)ことは作業員が行うものであるため、作業員の移動距離はできるだけ少ないのが好ましい。他方、荷Wには多くの種類がある。そこで、本実施形態では、同一間口に位置した4段の単位処理部11aを1ユニットとして、1ユニットのみ又は隣り合った複数のユニット(2〜3ユニット)を1エリアに設定し、1エリアに全ての種類の物品Gが供給されるように設定しておくことにより、作業員があまり移動しなくても詰め替え作業を行えように配慮している。
【0048】
このようなエリアを作業員が視認しやすくするため、図3に一点鎖線で示すように、棚装置8のうち最上段の各単位処理部11aの上方の部分に表示器(表示手段)40を設けたり、図6に一点鎖線で示すように、各単位処理部11aの前面部又は最上段の単位処理部11aの前面部に表示器40を設けたたりすると好適である。表示器40は液晶ディスプレイのように表示内容を遠隔的に変更できるものでもよいが、カード方式とすることも可能である。顧客ごとの物品の種類と量とのリストを表示器に表示することも可能である。
【0049】
物品Gを取り出して空になったコンテナCは手作業処理棚11から取り出される。従って、手作業処理棚11には新たに荷Wを供給(補充)する必要がある。この補充方法には、各単位処理部11aに設けた在荷センサー19からの信号に基づいて自動的に行う方法と、各段の単位処理部11aに設けたボタン(図示せず)を作業員が押して行う方法とがあり、コスト面では後者が有利であると言える。
【0050】
作業員が押したボタンに基づいて補充を行うシステムの場合、1エリアに存在する単位処理部11aの数を物品Gの種類の2倍以上に設定しておくと共に、1つの単位処理部11aには1種類のみの物品Gのみが載置されるように設定しておき、更に、1つの単位処理部11aから荷Wを取り出し切ってから次の単位処理部11aから荷Wを取り出すように作業順序を規定しておき、1つの単位処理部11aに載置されていた荷Wを取り出し切ったらその単位処理部11aに設けたボタンを押すことで補充指令を行うように設定すると、作業の途切れを無くすことができる。
【0051】
保管専用棚12から荷Wが排出されたら、空き信号に基づいて、格納エリア1から新たに荷Wが補充される。格納エリア1から保管専用棚12への荷Wの新規補充や保管専用棚12から手作業処理棚11への荷の供給は移動台車27とリフト装置36とを使用して行われるが、各棚段ごとに移動台車27が配置されているため、新規補充と手作業処理棚11への供給とを同時並行的に行うことが可能となり、このため、格納エリア1から搬出された荷Wが棚装置8に移行できずに滞留することや、手作業処理棚11に荷Wが供給されずに詰め替え作業ができなくなる事態は生ぜず、このため、高い処理能力を確保できるのである。
【0052】
既述のように詰め替えが終了した出荷用箱Bは出荷用コンベヤ10で排出されるが、その場合、配達先や収納物品の種類及び量等の各種上方が表示されたラベルを出荷用箱Bの所定部位に貼り付けるようにするのが好ましい。ラベルの発行は、手作業処理棚11やワゴン39に固定的に設けたプリンタで行ってもよいし、可搬式のハンドプリンタで行ってもよい。ラベルには、人が目視で判読できる文字情報と機械的に読み取り得る二次元データとを併記するのが好ましい。
【0053】
(5).第2実施形態(図7)
図7では第2実施形態を示している。この実施形態は、保管専用棚12の箇所では各棚段ごとに昇降機能無しの通常の移動台車27を配置する一方、手作業処理棚11の箇所には昇降台付き移動台車27′を配置している。保管処理設備2の他の構造は第1実施形態と同様であり、図示していないがリフト装置や仮置き台38を設けている。
【0054】
昇降台付き移動台車27′は、本体28と前後一対のコラム42とを備えており、前後のコラム42に、ピッキング装置31を備えた昇降台43が上下動自在に取り付けられている。本体28には、第1実施形態と同様に走行レール16を走行する車輪が設けられており、また、前後コラム42の上端間を天フレーム44で連結して、その上端にガイドローラ(図示せず)を設けている。ガイドローラは、メンテナンスデッキ25の下面部に配置したレールに横ずれ不能に保持されている。
【0055】
この実施形態では、保管専用棚12におかれた荷Wは、当該保管専用棚12に配置したいずれかの移動台車27を中継してリフト装置に移送されて、次いで、昇降台付き移動台車27′によって任意の手作業処理棚11に移し替えられる。本実施形態では、手作業処理棚11の全ての段に仮置き台38を設ける必要はなく、手作業処理棚11に対応した仮置き台は少なくとも1段あったらよい。
【0056】
本実施形態及び第1実施形態とも一対の棚装置8にそれぞれ手作業処理棚11を設けているが、片方の棚装置8のみに手作業処理棚11を設けたり、両方の棚装置8に手作業処理棚11を設けるにおいて手作業処理棚11の段数を変えることも可能である。
【0057】
(6).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、棚装置に手作業処理棚を設けるにおいて、1つの段のうちのある範囲の長さを手作業処理棚として他の部分は保管専用棚と成すことも可能であり、また、手作業処理棚の高さ位置や段数は任意に設定できる。
【0058】
移動台車は、例えば、載置部とピッキング装置を複数段(例えば2段)設けたものを採用することも可能である。また、ピッキング装置を複数並設したタイプを採用することも可能である。
【0059】
また、保管処理設備は入庫用として運用することも可能である。つまり、例えばダンボールに包装された物品を保管用コンテナに詰め替えて保管するに際しての詰め替え及び仮置き装置として使用するのであり、この場合は、荷は上記した実施形態と逆の経路を経て保管エリアに搬送されることになる。1つの保管処理設備に出荷処理機能と入荷処理機能とを合わせて持たせることも可能である。配送センターに出荷処理用の保管処理設備と入庫処理用の保管処理設備とを並設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(A)は本願発明の実施形態の保管処理設備を備えた配送センターの部分的な平面図、(B)は荷の一例を示す斜視図である。
【図2】保管処理設備の部分側面図である。
【図3】保管処理設備の正面図である。
【図4】保管処理設備の一部破断概略平面図である。
【図5】保管処理設備の部分的な一部破断平面図である。
【図6】保管処理設備の部分的な正断面図である。
【図7】第2実施形態の正面図である。
【符号の説明】
【0061】
2 保管処理設備
7 移載通路
9 棚装置
10 出荷用コンベヤ
11 手作業処理棚
11 単位処理部
12 保管専用棚
12a 単位載置部
14,15 支柱
16 走行レール
18 棚板
27 移動台車
31 ピッキング装置
32 スライドアーム
36 仮置き台
36 リフト装置
37 コラム
38 昇降台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも移載通路に向けて開口した棚が多段に配置された棚装置を備えており、前記棚装置の一部は荷の取り出し又は入庫若しくは両方が前記移載通路と反対側から人手で行われる手作業処理棚と成し、前記棚装置の他の部分は荷の出し入れを移載通路から行う保管専用棚と成しており、保管専用棚への荷の出し入れ及び保管専用棚と手作業処理棚との間の荷の移し替えが自動移載装置によって自動的に行われる保管処理設備であって、
前記自動移載装置は、各段の棚ごと又は複数の段の棚ごとに水平走行自在に配置された移動台車と、各段の棚の間に荷を移し替えるリフト装置とを備えており、前記移動台車には、棚の奥行き方向に移動して荷を移動台車と棚との間に押し引きするピッキング装置を設けている、
荷の保管処理設備。
【請求項2】
前記棚装置における保管専用棚は、間口方向に沿って飛び飛びに配置された多数本の支柱で棚板を支持した平棚方式になっており、このため、各段の棚は間口方向に沿って隣り合った支柱で挟まれた部分が単位載置部となっており、各単位載置部に幅寸法が異なる複数の荷を並べて載置できるようになっている一方、
前記手作業処理棚は、ローラ群又はシュート板から成るフローラック方式になっていて荷は棚の奥行き方向に移動するようになっていると共に、保管専用棚の単位載置部に対応した部分を単位処理部と成しており、手作業処理棚の各単位処理部を、当該単位処理部の任意の部位に荷を載せ得るように仕切りが設けられていない構成としている、
請求項1に記載した荷の保管処理設備。
【請求項3】
前記荷は、上向きに開口した箱状のコンテナに複数の物品を入れた形態になっている一方、
前記保管処理設備は物品の小分けや詰め替えを行うための出荷専用に供されており、この保管処理設備において、荷は、保管エリアからコンベヤで搬送されてきて前記自動移載装置でいったん保管専用棚に仮置きされ、次いで、自動移載装置で手作業処理棚に移し替えられ、次いで、この手作業処理棚でコンテナごと外部に取り出されるか、又は、物品ごとに取り出されてから空になったコンテナは外部に取り出されるようになっており、
更に、前記手作業処理棚の各単位処理部に、当該単位処理部に設けた在荷センサーからの信号に基づいて荷が保管専用棚から自動的に補給されるか、又は、人がボタンを押して発せられる信号に基づいて保管専用棚から荷が補給されるように制御される、
請求項1又は請求項2に記載した荷の保管処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−210773(P2007−210773A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34265(P2006−34265)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】