説明

荷役車両に搭載されるコンテナ及びそのコンテナに粉粒体を回収する方法

【課題】コンテナを内圧の変化により損傷させることなく、ボイラ等で発生した飛灰を効率よく回収して運搬できるようにする。
【解決手段】コンテナ5の投入口70に投入用ダクト80を接続し、該投入用ダクト80から飛灰(粉粒体)をコンテナ5内部に落下させて投入する。このとき、安全弁74により、コンテナ5内の圧力が所定の範囲を超えるのを防ぐ。また、吸排気管71に吸気ブロワ81に連結された吸出用ダクト82を接続し、コンテナ5内部に飛散した飛灰を吸入用ダクト82から吸入する。このときも、安全弁74により、コンテナ5内の圧力が所定の範囲よりも下回るのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役フレームを有する荷役車両に搭載されるコンテナ及びそのコンテナに粉粒体を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、石炭、ごみなどを焼却した際に発生する灰のうち、排ガス出口の集塵装置によって集められた煤塵と、ボイラ等に付着して払い落とされた煤塵のことを飛灰(フライアッシュ)という。特にボイラ等に付着した飛灰を放置しておくと燃焼効率が悪くなるため、定期的に排出させる必要がある。
【0003】
このような粉粒体を集めて搬送するタンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
なお、特許文献2のような気密性ターポリンからなり安全弁を有するフレキシブルコンテナが知られている。この安全弁はゴム状シートで構成され、フレキシブルコンテナの壁面の適所に接着され、微細な貫通孔が少なくとも1つ穿設可能とされている。
【0005】
一方、例えば、特許文献3のような車体枠上にコンテナが搭載されたコンテナ荷役車両が知られている。このコンテナ荷役車両は、車体枠上において前後方向に回動する荷役フレームを備え、この荷役フレームの回動により、コンテナを車体枠と地上との間で積み降し可能となっている。
【特許文献1】特開2002−225975号公報
【特許文献2】特開2001−199498号公報
【特許文献3】特開平8−127280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のような内部の圧力変化にも耐えうる強度を有するタンクは、粉粒体を一気に投入しても内圧の変化により損傷することはない。しかし、通常、密閉性を優先して排出用の大きなゲートを有さず、貯留した粉粒体を吸い出す必要があり、その作業が繁雑である。
【0007】
一方、貯留物を排出するゲートを設けたり、上記特許文献3のように車体枠上に搭載したりするには、直方体状に形成されたコンテナが適している。このようなコンテナは、通常、薄板を溶接した薄板製缶物で構成される。このような薄型製缶物であれば、内部圧力の変化により、変形して損傷するおそれがある。
【0008】
ところが、特許文献2のフレキシブルコンテナは、柔軟性を有するために強度が不足し、大量の粉粒体を運搬するのには向いていない。また、容易に変形するので、荷役車両の車体枠上に搭載するのには向いていない。
【0009】
さらに、コンテナ内に粉粒体を貯留させるときに飛散した粉粒体を吸い出して大気が汚染されるのを防止したいというニーズもある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンテナを内圧の変化により損傷させることなく、粉粒体を効率よく回収して運搬できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、荷役フレームを備えた荷役車両に対して該荷役フレームによって車体枠と地上との間で積み降し可能に搭載されるコンテナを対象とし、
このコンテナは、
上面に設けられ、粉粒体を落下させて投入するための投入口と、
内部のエアーを吸気又は排気するための吸排気管と、
上記粉粒体の投入時及び上記吸気又は排気時に作用する安全弁とを備えている。
【0012】
上記の構成によると、コンテナの投入口にボイラ等で発生した飛灰(フライアッシュ)等の粉粒体を投入してコンテナに粉粒体が貯留される。このとき、一気に粉粒体がコンテナ内に流れ込んでコンテナ内の気圧が変動しても安全弁からエアーが吹き出して気圧の変動が緩和されるので、コンテナが内圧により損傷することはない。また、吸排気管に接続した吸出用ダクトを吸気ブロワにつなぎ、コンテナ内のエアーを吸い込むことで、コンテナ内に飛散した粉粒体が回収されるので、粉塵により大気が汚染されることはない。このとき、コンテナ内の気圧が低下しても安全弁からエアーを吸い込んで圧力の変動が緩和されるので、コンテナが内圧により損傷することはない。
【0013】
また、コンテナは、荷役車両の荷役フレームにより、容易に車体枠上と地上との間で積み降ろされるので、粉粒体の回収及び運搬がスムーズに行われる。
【0014】
第2の発明では、第1の発明において、
上記コンテナは、薄板製缶物よりなる。
【0015】
上記の構成によると、直方体状の薄板製缶物であれば、成形が容易であると共に、運搬が容易で容積も大きいが、内圧の変化に弱い。しかし、安全弁により、内圧の変化が緩和されるので、損傷は防止される。
【0016】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記吸排気管は、前後にそれぞれ設けられている。
【0017】
上記の構成によると、前後の吸排気管にそれぞれダクトをつなぎ、一方の吸排気管側のダクトを吸気ブロワにつないでコンテナ内のエアーを吸い込むと共に、そのことで内部に発生した負圧により、他方の吸排気管側のダクトの先端から粉粒体を吸入することもできる。このことで、ボイラや配管等を清掃しながら、コンテナ内に粉粒体を貯留することができる。このとき、吸排気管を前後にそれぞれ設け、互いに距離をあけることにより、吸引した粉粒体のうち、質量の大きいものがコンテナ内に貯留されやすい。
【0018】
第4の発明では、第1乃至3のいずれか1つの発明において、
上記安全弁は、前後にそれぞれ設けられている。
【0019】
上記の構成によると、コンテナの前後の離れた位置に安全弁をそれぞれ設けることで、コンテナ内の圧力変動が効果的に緩和される。
【0020】
第5の発明では、第1乃至4のいずれか1つの発明において、
上記コンテナの後面は、開閉自在なテールゲートに形成されている。
【0021】
上記の構成によると、コンテナ内に貯留された粉粒体は、ホースでコンテナ外へ吸い出さなくても、テールゲートから一気に排出される。
【0022】
第6の発明では、コンテナに粉粒体を回収する方法であって、
上記コンテナの投入口に投入用ダクトを接続し、該投入用ダクトから粉粒体を上記コンテナ内部に落下させて投入する投入工程と、
上記吸排気管に吸気ブロワに連結された吸出用ダクトを接続し、コンテナ内部に飛散した粉粒体を該吸出用ダクトから吸入する吸入工程とを備え、
上記投入工程において、上記安全弁により、上記コンテナ内の圧力が所定の範囲を超えるのを防ぐと共に、
上記吸入工程において、上記安全弁により、上記コンテナ内の圧力が所定の範囲よりも下回るのを防ぐ構成とする。
【0023】
上記の構成によると、投入工程において、コンテナの投入口にボイラ等で発生した飛灰等の粉粒体を投入してコンテナに粉粒体が貯留される。このとき、一気に粉粒体がコンテナ内に流れ込んでコンテナ内の気圧が変動しても安全弁からエアーが吹き出して気圧の変動が緩和されるので、コンテナが内圧により損傷することはない。また、吸入工程において、吸排気管に接続した吸出用ダクトを吸気ブロワにつなぎ、コンテナ内のエアーを吸い込むことで、コンテナ内に飛散した粉粒体が回収されるので、粉塵により大気が汚染されることはない。このとき、コンテナ内の気圧が低下しても安全弁からエアーを吸い込んで圧力の変動が緩和されるので、コンテナが内圧により損傷することはない。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、コンテナの投入口に粉粒体を投入してコンテナに貯留したり、吸排気管に吸出用ダクトをつないでコンテナ内の飛灰を吸入したりするときに、安全弁により、コンテナ内の気圧の変動を緩和するようにしている。このため、コンテナを損傷させることなく、ボイラ等で発生した粉粒体を効率よく回収して運搬することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1乃至図4は本発明の実施形態にかかるコンテナ荷役車両1の構成を示す。図5乃至図7にコンテナ5を示す。
【0027】
コンテナ荷役車両1は、運転席3を備え、この運転席3の後方に枠状の車体枠2が連設されている。車体枠2上には、サブフレーム4が設けられている。このサブフレーム4上には、そのサブフレーム4上と地上との間でコンテナ5を積み降し可能とする積み降し装置6が設けられている。
【0028】
図5乃至図7にも示すように、上記コンテナ5は、密閉型船底式の直方体状製缶構造よりなり、コンテナ5の後面は、上部枢軸9により上端が枢支されて後方へ下開き可能な、油圧開閉式テールゲート7に形成されている。コンテナ5の下面には、車体前後方向に延びる左右一対の主桁8が設けられている。コンテナ5の前端上部には、コンテナ5を吊り上げるために左右に伸びる係合ピン5aが設けられ、後端下部には、コンテナ5を移動させるための、左右一対のローラ部材5bが設けられている。また、前側下部には、左右一対の脚部5cが設けられている。
【0029】
上記積み降し装置6は、上記サブフレーム4の後端部において枢軸11回りに後方へ傾動自在に枢支され、サブフレーム4後部上に位置する傾動フレーム12と、該傾動フレーム12の前部の支持部13回りに起伏可能に連結された略L字状の荷役フレーム14とで構成されている。詳しくは図示しないが、車両1には、エンジンに駆動される車体側油圧ポンプが設けられている。この車体側油圧ポンプは、エンジンに接続されたパワーテイクオフにより、駆動されるようになっている。
【0030】
上記荷役フレーム14は、案内部材16と、この案内部材16内に基端側が挿入された略L字状のL字アーム17とを備え、このL字アーム17がスライドシリンダ18の伸縮操作により、案内部材16内を伸縮するように構成されている。L字アーム17の先端には、上記コンテナ5の係合ピン5aと係合可能な係合フック15が設けられている。案内部材16と、上記サブフレーム4の前側位置との間には、枢軸(図示せず)を介して傾動シリンダ19が回動自在に支持されている。この傾動シリンダ19及びスライドシリンダ18には、上記車体側油圧ポンプからの圧油が供給されるようにしている。サブフレーム4後端の枢軸11外周には、コンテナ5を前後方向にスライド移動させるための案内ローラ20が支持されている。
【0031】
図5に示すように、上記コンテナ5の後側には、上記テールゲート7を開閉する左右一対のリフトシリンダ31が設けられている。各リフトシリンダ31は、下端がコンテナ5後端の下側に枢支されたシリンダチューブ31aと、先端がテールゲート7の左右位置上端にブラケット32を介して枢支されたピストンロッド31bとを備えている。
【0032】
図8及び図9に示すように、上記コンテナ5の後端下部位置には、上記テールゲート7を閉塞状態でロックする左右一対のロック装置33が設けられている。ロック装置33は、コンテナ5の後端下部位置に車幅方向へ延びるシャフト35を介して枢支されている。テールゲート7の下端部左右両位置より、二又ブラケット7aが下方へそれぞれ突出している。ロック装置33は、この二又ブラケット7aを左右につなぐ係止用ピン7bに対して係脱可能に係合する係合部43aを有するテールゲート固縛部材43と、上記係止用ピン7bとの係合を固縛する方向にテールゲート固縛部材43を付勢するスプリング42とを備えている。
【0033】
車体前後方向へ長尺ロッド34が延び、その前端は、手動ハンドル39の基端側に支持されている。上記シャフト35には、前端部36aと後端部36bとを有する二又クランク36の基部が回動自在に支持されている。この二又クランク36の後側の後端部36bには、上記長尺ロッド34の後端が回動自在に支持されている。二又クランク36の前側の前端部36aには、車体側面視で略半円弧形状を呈するC型リンク部材37の前端が回動自在に支持されている。二又クランク36とC型リンク部材37とによりトグル機構38が構成されている。C型リンク部材37の後端には、車体前後方向に延びる短尺ロッド41の前端が固着されている。テールゲート固縛部材43は、短尺ロッド41の後端に前後回りに回動自在に支持されている。
【0034】
ロック装置33によるテールゲート7の固縛状態では、たとえ短尺ロッド41に軸線方向の力が作用しても、上記トグル機構38での位置関係が崩れることなく確実に保たれてロック装置33によるテールゲート7の固縛が解除されず、上記手動ハンドル39が車体後方に回動されて長尺ロッド34にその軸線方向後方への力が作用しない限りロック装置33によるテールゲート7の固縛が解除されないようにしている。
【0035】
スプリング42の車体後方への付勢力は、トグル機構38の位置関係が保たれている際には二又クランク36を後方へ付勢するように作用し、テールゲート固縛部材43の係合状態を維持するようになっている。一方、トグル機構38の位置関係が崩れている際には二又クランク36を後方へ付勢するように作用し、テールゲート固縛部材43を係合解除方向に付勢するようになっている。なお、コンテナ5の下端には、テールゲート7を密閉するためのツノハンドル62が例えば3個設けられている。
【0036】
図8及び図10に示すように、上記ロック装置33には、手動開閉リミットスイッチ46が設けられている。上記シャフト35の外周には、当接部35aが突出して形成され、この当接部35aに手動開閉リミットスイッチ46から伸びる検知部46aが当接するようになっている。このことで、手動ハンドル39を前方へ回動させて操作してロック装置33を閉状態から開状態へ切り換えると、二又クランク36が後方へ押されてシャフト35が回転し、当接部35aが検知部46aを押すように構成されている。
【0037】
図2及び図6に示すように、上記コンテナ5の前面右側(右舷側)上端位置には、パワーユニット50が設けられている。図13に示すように、このパワーユニット50には、リフトシリンダ31を駆動する油圧源を発生させる油圧ポンプ51と、この油圧ポンプ51を駆動する電動モータ52とオイルリザーバタンク53とが設けられている。油圧ポンプ51には、三位置切換電磁弁54が接続され、その三位置切換電磁弁54を制御することで上記左右のリフトシリンダ31が伸縮作動するようになっている。
【0038】
図5,図11及び図12に示すように、コンテナ5の前側及び後側には、電動モータ52と後述するバッテリー23とを接続するための前側給電用電極を収納した前側ボックス60及び後側給電用電極を収納した後側ボックス61がそれぞれ設けられている。前側ボックス60及び後側ボックス61には、それぞれ開閉式のカバー60a,61aが設けられている。
【0039】
図14に示すように、上記車両1には、上記電動モータ52を駆動するための電力を供給する、車体側の電源としてのバッテリー23が設けられている。バッテリー23は、例えば、直流24Vとする。このバッテリー23には、電気ケーブル63が接続され、その先端にテールゲート用電極25が設けられている。このテールゲート用電極25(電気ケーブル63)には、コンテナ降ろし操作禁止機構26が接続されている。
【0040】
上記コンテナ5が上記車体枠2上にあるときには、電気ケーブル63のテールゲート用電極25が後側ボックス61の給電用電極に接続され、上記コンテナ5が上記車体枠2から地上に降ろされたときには、テールゲート用電極25と前側ボックス60の給電用電極とが接続されるように構成されている。例えば、この電気ケーブル63は、コンテナ5の制御を行うための制御ケーブルと共に束ねたもので構成され、その長さは2〜3mとする。不使用時には、電気ケーブル63は、車体枠2に設けたボックス(図示せず)内に収納されている。なお、図11には、コンテナ5の清掃や点検用のステップ5d及び開閉自在なドレーン孔5eが示されている。
【0041】
上記コンテナ降ろし操作禁止機構26により、テールゲート用電極25と前側ボックス60の給電用電極又は後側ボックス61の給電用電極とが接続されているときには、リレー26aが働いてスライドシリンダ18の操作が行えないようになっている。このように構成することで、電気ケーブル63が引っ張られて切断されるのを防止している。
【0042】
図15にシーケンスダイアグラムを示すように、ロック装置33を操作してロックを解除すると、手動開閉リミットスイッチ46が開の位置になり、リレーR2が働き、そして、テールゲート開閉スイッチ47を開にすると、リレーR1が働いてパワーユニット50へ電流が流れ、電動モータ52が駆動されることで油圧ポンプ51により、油圧が発生するようになっている。
【0043】
テールゲート開閉スイッチ47が開のときには、第1ソレノイド48が作動し、左右一対のリフトシリンダ31が伸びてテールゲート7が開き、テールゲート開閉スイッチ47が閉のときには、第2ソレノイド49が作動し、左右一対のリフトシリンダ31が縮んでテールゲート7が閉じるようになっている。
【0044】
そして、本発明の特徴として、上記コンテナ5の上面には、円形の投入口70が前後に2つ形成されている。この投入口70は、円板状の蓋部材70aを備え、この蓋部材70aにより、コンテナ5内を密閉して閉じることができると共に、適宜開くことができるように構成されている。この投入口70の内径は、人が出入り可能なサイズであり、投入口70がコンテナ5内の点検及び清掃用のマンホールの役目を果たすこともできる。
【0045】
上記コンテナ5の上面対角には、一対の吸排気管71,72が形成されている。吸排気管71,72はフランジ73をそれぞれ備え、このフランジ73には、開閉バルブとしてのボールバルブ84が接続可能となっている。ボールバルブ84は、コンテナ5を設置する現場に設置され、開閉ハンドル84aを備えている。この開閉ハンドル84aを操作することで、コンテナ5内部と外部とを連通可能となっている。
【0046】
上記コンテナ5の別の対角には、安全弁74がそれぞれ設けられている。図16に示すように、この安全弁74は、円筒状の安全弁本体75を備えている。安全弁本体75の上部は、蓋部75aで覆われ、下部内面には、段差部75bが形成されている。段差部75bの近傍には、安全弁本体75の内部と外部とを連通させる通気口75cが形成されている。安全弁74は、さらに、この安全弁本体75の下部を密閉状に覆う、円環状の上限弁76及びこの上限弁76の下部を密閉状に覆う下限弁77を備えている。上限弁76は、中心孔76aを有する円環状のもので、上限用圧縮バネ78によって上記安全弁本体75の段差部75bに対して下方へ押圧されている。下限弁77は、円板状のもので、上限弁76の中心孔76aを覆うように、下限用引張バネ79によって上方へ引っ張られている。
【0047】
例えば、この安全弁74は、コンテナ5内を−2.0KPa〜20KPaに保つように構成されている。すなわち、上限用圧縮バネ78の張力を超える圧力(20KPaを超える圧力)がコンテナ5内に発生すると、外側の上限弁76を押し上げてコンテナ5内のエアーを排出すると共に、コンテナ5内の圧力が−2.0KPaよりも低くなると、下限用引張バネ79を引っ張って下限弁77が下方に開いて外部のエアーを取り込むようになっている。
【0048】
−コンテナ荷役車両の作動−
次に、本実施形態にかかるコンテナ荷役車両1の作動について説明する。
【0049】
コンテナ荷役車両1による、サブフレーム4上のコンテナ5を傾動させる傾倒手順及びコンテナ5をサブフレーム4上と地上との間で積み降す作動手順を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0050】
まず、テールゲート開閉スイッチ47を操作し、油圧ポンプ51で発生した圧力を利用してリフトシリンダ31を伸ばしてテールゲート7を開放させる。次に、図1に示す状態からコンテナ5を傾倒させる場合には、傾動フレーム12に対する荷役フレーム14の支持部13回りの回動を禁止した状態で、傾動シリンダ19を伸長させ、図1に二点鎖線で示すように、傾動フレーム12及び荷役フレーム14を傾動させ、コンテナ5を車体枠2上で傾動させることで、コンテナ5内の内容物が排出される。
【0051】
一方、図1に示す搭載状態からコンテナ5を地上に降す場合には、まず、スライドシリンダ18を縮めてL字アーム17を案内部材16内に収納し、さらに傾動シリンダ19を伸長作動させて荷役フレーム14を後退移動させる。このことで、傾動フレーム12に対して荷役フレーム14が支持部13回りに回動(傾動)し、図3に示すように、コンテナ5がその自重により案内ローラ20上にて滑動し、図4に示すように、地上に降される。この状態でも、テールゲート開閉スイッチ47を操作し、油圧ポンプ51で発生した圧力を利用してリフトシリンダ31を伸ばしてテールゲート7の開放させることで、コンテナ5内の清掃や点検が行われる。
【0052】
また、サブフレーム4上にコンテナ5を搭載するには上記操作と逆の操作を行うことによりなされる。
【0053】
−コンテナに粉粒体を回収する方法−
次に、例えば、火力発電所でボイラ内に発生した粉粒体としての飛灰(フライアッシュ)をコンテナ5に回収する方法について説明する。
【0054】
まず、投入工程において、図17に実線で示すように、一方の蓋部材70aを開いて、その投入口70にボイラ等に連結された投入用ダクト80を接続する。この投入用ダクト80から飛灰をコンテナ5内部へ自重により落下させて投入することで、コンテナ5に飛灰が貯留される。このとき、吸排気管71,72のフランジ73に発電所側のボールバルブ84が連結された配管85,85がそれぞれ接続され、コンテナ5内で飛散する飛灰は、ボールバルブ84を開くことにより、これら配管85,85から集塵機で回収される。なお、一方の投入口70から一定量飛灰が貯留されると、他方の投入口70より飛灰を投入するようにすれば、コンテナ5全体に飛灰が行き渡りやすい。
【0055】
このとき、一気に飛灰がコンテナ5内に流れ込んでコンテナ5内の気圧が変動しても、上限用圧縮バネ78の押圧力に抗して安全弁74の上限弁76が押し上げられ、通気口75cからコンテナ5内のエアーが排出されて気圧の変動が緩和される。また、配管85,85を接続することでコンテナ5内に負圧が発生しても、下限用引張バネ79の引張力に抗して安全弁74の下限弁77が下方に開き、通気口75cから外部のエアーを取り込んで圧力の変動が緩和される。このため、コンテナ5が内圧により損傷することはない。また、コンテナ5の離れた位置に安全弁74がそれぞれ設けられているので、コンテナ5内の圧力変動が効果的に緩和される。
【0056】
さらに、図17に二点鎖線で示すように、吸入工程において、コンテナ5の吸排気管71に吸気ブロワ81に連結された吸出用ダクト82を接続すると共に、吸排気管72に吸入用ダクト83を接続する。次いで、ボールバルブ84を開き、吸気ブロワ81を駆動してコンテナ5内のエアーを吸い出すと共に、内部に発生した負圧により、吸入用ダクト83からエアーを吸入する。このことで、吸入用ダクト83の先端をボイラやその周辺の配管等の飛灰が残留した箇所に持って行き、飛灰を吸入する。このことで、ボイラや配管等を清掃しながら、コンテナ5内に飛灰を貯留することができる。なお、吸出用ダクト82の途中に集塵装置を接続すれば、吸気ブロワ81の故障を防止することができると共に、吸気ブロワ81の吐出口81aから粉塵が飛び散るのを防止することもできる。
【0057】
このとき、コンテナ5内の気圧が低下しても、下限用引張バネ79の引張力に抗して安全弁74の下限弁77が下方に開き、通気口75cから外部のエアーを取り込んで圧力の変動が緩和されるので、コンテナ5が内圧により損傷することはない。また、コンテナ5の離れた位置に安全弁74がそれぞれ設けられているので、コンテナ5内の圧力変動が効果的に緩和される。
【0058】
本実施形態のコンテナ5のような直方体状の薄板製缶物であれば、成形が容易であると共に、運搬が容易で容積も大きいが、内圧の変化に弱い。しかし、安全弁74により、内圧の変化が緩和されるので、損傷は防止される。また、吸排気管71と吸排気管72とを対角にそれぞれ設けて前後に互いに距離をあけることにより、吸引した飛灰のうち、質量の大きいものがコンテナ5内に貯留されやすい。また、コンテナ5の後面を開閉自在なテールゲート7に形成したことにより、コンテナ5内に貯留された飛灰は、テールゲート7から容易に排出される。さらに、コンテナ5を上記荷役フレーム14の回動により車体枠2と地上との間で積み降し可能に搭載したことにより、飛灰を回収したコンテナ5を容易に車体枠2上と地上との間で積み降ろすことができ、飛灰の回収及び運搬がスムーズに行われる。
【0059】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態によると、コンテナ5の投入口70に飛灰を投入してコンテナ5に貯留したり、吸排気管71,72にそれぞれ配管85,85又はダクト82,83をつなぎ、吸排気管71,72側からコンテナ5内の飛灰を吸入したりするするときに、安全弁74により、コンテナ5内の気圧の変動を緩和するようにしている。このため、コンテナ5を損傷させることなく、ボイラ等で発生した飛灰を効率よく回収して運搬することができる。
【0060】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0061】
例えば、粉粒体としては、セメント、小麦粉、化成品等でもよく、飛灰に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態にかかるコンテナ荷役車両の側面図である。
【図2】コンテナ荷役車両の平面図である。
【図3】コンテナを地上に降ろす途中のコンテナ荷役車両を示す側面図である。
【図4】コンテナを地上に降ろした状態のコンテナ荷役車両を示す側面図である。
【図5】コンテナの側面図である。
【図6】コンテナの平面図である。
【図7】コンテナの背面図である。
【図8】ロック装置及び手動開閉リミットスイッチを示す側面図である。
【図9】ロック装置を示す平面図である。
【図10】ロック装置及び手動開閉リミットスイッチを示す背面図である。
【図11】前側ボックスに収納した給電用電極及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図12】後側ボックスに収納した給電用電極及びその周辺を拡大して示す側面図である。
【図13】コンテナの油圧回路図である。
【図14】車両側の電源を示す電気回路図である。
【図15】手動開閉リミットスイッチに関するシーケンスダイアグラムである。
【図16】安全弁の側方拡大断面図である。
【図17】コンテナに飛灰を回収する様子を示す側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 コンテナ荷役車両
2 車体枠
5 コンテナ
7 テールゲート
14 荷役フレーム
70 投入口
71 吸排気管
72 吸排気管
73 フランジ
74 安全弁
80 投入用ダクト
81 吸気ブロワ
82 吸出用ダクト
83 吸入用ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役フレームを備えた荷役車両に対して該荷役フレームによって車体枠と地上との間で積み降し可能に搭載されるコンテナであって、
上面に設けられ、粉粒体を落下させて投入するための投入口と、
内部のエアーを吸気又は排気するための吸排気管と、
上記粉粒体の投入時及び上記吸気又は排気時に作用する安全弁とを備えている
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナにおいて、
直方体状の薄板製缶物よりなる
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンテナにおいて、
上記吸排気管は、前後にそれぞれ設けられている
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載のコンテナにおいて、
上記安全弁は、前後にそれぞれ設けられている
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載のコンテナにおいて、
上記コンテナの後面は、開閉自在なテールゲートに形成されている
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項6】
コンテナに粉粒体を回収する方法であって、
上記コンテナの投入口に投入用ダクトを接続し、該投入用ダクトから粉粒体を上記コンテナ内部に落下させて投入する投入工程と、
上記吸排気管に吸気ブロワに連結された吸出用ダクトを接続し、コンテナ内部に飛散した粉粒体を該吸出用ダクトから吸入する吸入工程とを備え、
上記投入工程において、上記安全弁により、上記コンテナ内の圧力が所定の範囲を超えるのを防ぐと共に、
上記吸入工程において、上記安全弁により、上記コンテナ内の圧力が所定の範囲よりも下回るのを防ぐ
ことを特徴とするコンテナに粉粒体を回収する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−239240(P2008−239240A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86859(P2007−86859)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】