説明

荷昇降移送装置の制御装置

【課題】非常停止用電磁開閉器の容量が小さくて済み、電機チェーンブロックを電気トロリーに組合せて使用する場合と単独で使用する場合とで同じ構成の電気チェーブロックを使用することができ、且つ制御電源用のトランスが1台で済みコストの安価な荷昇降移送装置の制御装置を提供すること。
【解決手段】電気トロリー及び電気チェーンブロックを備えた荷昇降移送装置の制御装置であって、電気トロリーの横行用モータ37に電力を供給するトロリー電力供給回路21と、電気チェーンブロックの昇降モータに電力を供給する昇降モータ電力供給回路41に、非常停止用電磁開閉器50、51を設け、非常停止用操作用スイッチ10の操作によりトロリー電力供給回路21の非常停止用電磁開閉器を開動作させる共に、非常停止用電磁開閉器50の補助接点50aで非常停止用電磁開閉器51を開動作させる回路を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気(電動)トロリー及び該電気トロリーに搭載された電気(電動)荷昇降機(電気チェーンブロックや電気ホイスト等)備え、荷の横行及び昇降を行う荷昇降移送装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、横行する電気トロリーと該電気トロリーに搭載された電気チェーンブロック等の電気荷昇降機を備え、荷の横行及び昇降を行う荷昇降移送装置がある。図1はこの種の荷昇降移送装置の構成例を示す図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は側面図である。荷昇降移送装置100は、電気(電動)トロリー101と電気(電動)荷昇降機としての電気チェーンブロック102を備えている。電気トロリー101は横行モータ37と制御ボックス104を備え、横行モータ37の正転・逆転により車輪105を駆動することにより、横行レール106に沿って左右方向に横行するようになっている。
【0003】
電気チェーンブロック102は、昇降(巻上下)モータ40と制御ボックス107を備えている。昇降モータ40の正転・逆転によりロードチェーン108の下端に連結されたフック109が上昇・下降して、該フック109に吊り下げた荷(図示せず)が上昇・下降する。上記電気トロリー101の左右方向への横行、電気チェーンブロック102のフック109の上昇・下降は操作スイッチボックス110の各操作スイッチ(押しボタンスイッチ)の操作により行う。なお、111は巻き取ったロードチェーン108を収容するチェーンバケットである。
【0004】
図2は上記荷昇降移送装置100の制御装置の回路構成例を示す図である。本制御装置は、図2に示すように、操作スイッチボックス110内に収納されている操作ボックス回路部1、電気トロリー101の制御ボックス104内に収納されているトロリー回路部2、横行モータ37を具備するトロリーモータ回路部3、電気チェーンブロック102の制御ボックス107内に収納されている電気チェーンブロック回路部4を備えている。操作ボックス回路部1は、非常停止用操作スイッチ(常閉の押ボタンスイッチ)10、右横行用操作スイッチ(常開の押ボタンスイッチ)11、左横行用操作スイッチ(常開の押ボタンスイッチ)12、下降用操作スイッチ(常開の押ボタンスイッチ)13、上昇用操作スイッチ(常開の押ボタンスイッチ)14を備えている。操作ボックス回路部1に接続された多芯(ここでは7芯)ケーブル29はプラグソケット30を介してトロリー回路部2に接続されている。
【0005】
トロリー回路部2は、トロリーモータ回路部3の横行モータ37に電力を供給するためのトロリー電力供給回路21を備え、該トロリー電力供給回路21は3相(R相、S相、T相)配線22を備えている。3相ケーブル15のR相、S相、T相がそれぞれ3相配線22のR相、S相、T相に接続され、3相電源(図示せず)から3相電力を供給されるようになっている。3相配線22の3相電力は右横行用電磁開閉器23及び左横行用電磁開閉器24の並列回路及び3相ケーブル36を介してトロリーモータ回路部3の横行モータ37に供給されるようになっている。また、トロリー電力供給回路21の3相配線22には非常停止用電磁開閉器26が直列に接続され、該非常停止用電磁開閉器26の開動作(不動作)により、供給電力が遮断(開放)されるようになっている。
【0006】
また、トロリー回路部2はトランス25を備え、該トランス25の1次側は3相配線22のS相及びT相に接続されている。該トランス25の2次側には、操作ボックス回路部1の非常停止用操作スイッチ10と前記非常停止用電磁開閉器26の励磁コイル26aが直列に接続され、非常停止用電磁開閉器制御回路31が構成されている。なお、F1はヒューズである。
【0007】
また、トロリー回路部2は右横行用電磁開閉器23及び左横行用電磁開閉器24を制御したり、電気チェーンブロック回路部4の電磁開閉器(後に詳述)を制御する電磁開閉器制御回路27を備えている。該電磁開閉器制御回路27には右横行用電磁開閉器23の励磁コイル23a、左横行用電磁開閉器24の励磁コイル24aが配置され、それぞれ右横行用操作スイッチ11、左横行用操作スイッチ12に直列に接続されている。操作ボックス回路部1は多芯(ここでは7芯)のケーブル29を介してプラグソケット30によりトロリー回路部2の非常停止用電磁開閉器制御回路31や電磁開閉器制御回路27に接続されるようになっている。
【0008】
電気チェーンブロック回路部4は、昇降モータ40、昇降モータ電力供給回路41、電磁開閉器制御回路42、トランス43を備えている。トロリー回路部2の電磁開閉器制御回路27に接続された多芯(ここでは5芯)のケーブル32はプラグソケット34を介して前記電磁開閉器制御回路42に接続されている。また、トロリー電力供給回路21の3相配線22に接続された3相ケーブル33はプラグソケット35を介して昇降モータ電力供給回路41に接続されている。また、昇降モータ電力供給回路41と昇降モータ40の間には上昇用電磁開閉器44と下降用電磁開閉器45が並列に接続されている。また、トランス43の1次側は昇降モータ電力供給回路41のS相とT相に接続されている。
【0009】
電気チェーンブロック回路部4の電磁開閉器制御回路42には、上限リミットスイッチ(常閉リミットスイッチ)46、下限リミットスイッチ(常閉リミットスイッチ)47、上昇用電磁開閉器44の励磁コイル44a、下降用電磁開閉器45の励磁コイル45aが配置されている。トロリー回路部2の電磁開閉器制御回路27と電気チェーンブロック回路部4の電磁開閉器制御回路42はトランス43の2次側に接続され、該トランス43から電力を供給されるようになっている。操作ボックス回路部1の下降用操作スイッチ13と下限リミットスイッチ47と下降用電磁開閉器45の励磁コイル45aは直列に接続され、トランス43の2次側に接続されている。また、操作ボックス回路部1の上昇用操作スイッチ14と上限リミットスイッチ46と上昇用電磁開閉器44の励磁コイル44aは直列に接続され、トランス43の2次側に接続されている。
【0010】
上記構成の荷昇降移送装置の制御装置において、3相ケーブル15からの電源を投入した状態では、常閉の非常停止用操作スイッチ10を通してトランス25の2次側電流が非常停止用電磁開閉器26の励磁コイル26aに流れ、非常停止用電磁開閉器26は閉動作する。これによりトロリー電力供給回路21から横行モータ37、昇降モータ40に電力供給が可能な状態になる。
【0011】
この状態で、操作ボックス回路部1の右横行用操作スイッチ11を閉じると、右横行用電磁開閉器23の励磁コイル23aにトランス43の2次側電流が流れ、右横行用電磁開閉器23が閉動作する。右横行用電磁開閉器23が閉じると横行モータ37にトロリー電力供給回路21から右横行(正転)の起動電流が流れ、電気トロリー101は右方向に横行する。また、左横行用操作スイッチ12を閉じると、左横行用電磁開閉器24の励磁コイル24aにトランス43の2次側電流が流れ、左横行用電磁開閉器24が閉動作する。左横行用電磁開閉器24が閉じると横行モータ37に左横行の起動電流が流れ電気トロリー101は左方向に横行する。
【0012】
また、下降用操作スイッチ13を閉じると、下限リミットスイッチ47を通ってトランス43の2次側電流が下降用電磁開閉器45の励磁コイル45aに流れ、下降用電磁開閉器45が閉動作し、昇降モータ電力供給回路41から昇降モータ40に下降の起動電流が流れ、フック109を下降させる方向(逆回転)に回転する。そして下限リミットスイッチ47が開くと励磁コイル45aの励磁電流が遮断され、下降用電磁開閉器45が開動作し(不動作)、昇降モータ40の下降動作は停止する。また、上昇用操作スイッチ14を閉じると、上限リミットスイッチ46を通してトランス43の2次側電流が上昇用電磁開閉器44の励磁コイル44aに流れ、上昇用電磁開閉器44が閉動作し、昇降モータ電力供給回路41から昇降モータ40に上昇用起動電流が供給され、フック109を昇降させる方向(正回転)に回転する。そして上限リミットスイッチ46が開くと励磁コイル44aの励磁電流が遮断され、上昇用電磁開閉器44が開動作(不動作)し、昇降モータ40の上昇動作は停止する。
【0013】
また、操作ボックス回路部1の非常停止用操作スイッチ10を開くと、非常停止用電磁開閉器26の励磁コイル26aに流れているトランス25の2次電流が遮断され、非常停止用電磁開閉器26が開動作(不動作)となる。これにより、電気トロリー101の横行モータ37及び電気チェーンブロック102の昇降モータ40に電力を供給するトロリー電力供給回路21を遮断する。
【特許文献1】実開平5−86982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記従来の荷昇降移送装置の制御装置においては、電気トロリー101の横行モータ37及び電気チェーンブロック102の昇降モータ40に電力を供給するトロリー回路部2のトロリー電力供給回路21に1台の非常停止用電磁開閉器26を設けているため、この非常停止用電磁開閉器26に大容量のものを用いる必要があり、コストが高くなるという問題がある。特に1台の電気トロリー101に複数台の電気チェーンブロック102を搭載する場合は、非常停止用電磁開閉器26に更に大容量なものが必要となる。
【0015】
また、トロリー回路部2に非常停止用電磁開閉器26を駆動するためのトランス25を設けると共に、電気チェーンブロック回路部4にも電磁開閉器制御回路27の電源用トランス43を設けているため、トランスが多くなりその分コスト高になるという問題があった。
【0016】
また、電気チェーンブロック102を単体で使用する場合は、電気チェーンブロック回路部4に非常停止用電磁開閉器26が設けられていないため、例えば図3に示すように、電気チェーンブロック回路部4の昇降モータ電力供給回路41に非常停止用電磁開閉器48を設けると共に、電磁開閉器制御回路42にその励磁コイル48aを設ける。この電磁開閉器制御回路42に、電気チェーンブロック102を単独で使用する場合の操作スイッチボックス110’の操作ボックス回路部1をケーブル49を介してプラグソケット34で接続し、非常停止用スイッチ10を開くことにより、該励磁コイル48aに流れる電流を遮断する必要があった。つまり、電気チェーンブロック102を単独で使用する場合と、電気トロリー101に搭載して使用する場合とで電気チェーンブロック回路部4を別構成とした電気チェーンブロックを準備しておく必要があり、その分コスト高になるという問題がある。特にレンタル業者においては、電気チェーンブロックを2種類準備しておく必要があり、経費高となるという問題があった。
【0017】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、非常停止用電磁開閉器の容量が小さくて済み、電機チェーンブロックを電気トロリーに組合せて使用する場合と単独で使用する場合とで同じ構成のものを使用することができ、且つ制御電源用のトランスが1台で済みコストの安価な荷昇降移送装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、電気トロリー及び該電気トロリーに搭載された電気荷昇降機を備え、前記電気トロリーに横行用電磁開閉器を設けると共に、該横行用電磁開閉器を制御する電磁開閉器制御回路を設け、前記電気荷昇降機に昇降用電磁開閉器を設けると共に、該昇降用電磁開閉器を制御する電磁開閉器制御回路を設け、荷の横行及び巻上下げを行う荷昇降移送装置の制御装置であって、前記電気トロリーの横行モータに電力を供給するトロリー電力供給回路と、前記電気荷昇降機の昇降モータに電力を供給する昇降モータ電力供給回路に、それぞれの回路を遮断して電力供給を停止する非常停止用電磁開閉器を設け、前記電気トロリーの電磁開閉器制御回路に操作スイッチボックスの非常停止用操作用スイッチの操作により前記トロリー電力供給回路の非常停止用電磁開閉器を開動作させる回路を設けると共に、前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路に前記トロリー電力供給回路の非常停止用電磁開閉器の補助接点で前記昇降モータ電力供給回路の非常停止用電磁開閉器を開動作させる回路を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の荷昇降移送装置の制御装置において、前記電気トロリーの電磁開閉器制御回路及び前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路の電源に前記昇降モータ電力供給回路に設けたトランスの二次側出力を用いることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の荷昇降移送装置の制御装置において、前記電気トロリーの電磁開閉器制御回路と前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路はケーブルを介してプラグソケット結合により接続できるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の荷昇降移送装置の制御装置において、前記電気荷昇降機を単独で使用するときは、前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路に非常停止用操作用スイッチを具備する操作スイッチボックスをケーブルを介してプラグソケット結合により接続できるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、トロリー電力供給回路と昇降モータ電力供給回路にそれぞれの回路を遮断して電力供給を停止する非常停止用電磁開閉器を設けたので、非常停止用電磁開閉器の容量は小さく済み、その分コストが安価となる。また、電気荷昇降機を電気トロリーに搭載して使用する場合と単独で使用する場合に同じ電気荷昇降機で済むため、特にレンタル業者においては、一種類の電気荷昇降機を備えておけばよく、費用が少なくて済む。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、電気トロリーの電磁開閉器制御回路及び電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路の電源に昇降モータ電力供給回路に設けたトランスの二次側出力を用いるので、電気トロリーに制御電源用のトランスを設ける必要がなく、その分コストが安価となる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、電気トロリーの電磁開閉器制御回路と電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路はプラグソケット結合により接続できるように構成されているので、両者の接続が極めて容易となる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、電気荷昇降機を単独で使用するときは、電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路に非常停止用操作用スイッチを具備する操作ボックスからの操作信号用ケーブルをプラグ結合により接続できるように構成されているので、電気荷昇降機を単独で使用するための作業が極めて容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図4は本発明に係る荷昇降移送装置の制御装置の回路構成を示す図である。図4において、図2及び図3と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。図4に示すように、本制御装置は、トロリー回路部2の横行モータ37に電力を供給するトロリー電力供給回路21と、電気チェーンブロック回路部4の昇降モータ40に電力を供給する昇降モータ電力供給回路41に、それぞれ非常停止用電磁開閉器50、非常停止用電磁開閉器51を設けている。
【0027】
トロリー回路部2の電磁開閉器制御回路27に非常停止用電磁開閉器50の励磁コイル50aと補助接点50bを配置している。非常停止用電磁開閉器50の励磁コイル50aには操作ボックス回路部1の非常停止用操作スイッチ10を通して電気チェーンブロック回路部4に設けたトランス43の2次電流を通電するようにしている。また、電気チェーンブロック回路部4の電磁開閉器制御回路42に非常停止用電磁開閉器51の励磁コイル51aを配置している。そして非常停止用電磁開閉器50の補助接点(常開接点)50bと非常停止用電磁開閉器51の励磁コイル51aを直列に接続し、該直列回路にトランス43の2次電流を通電するようにしている。
【0028】
図4に示す構成の荷昇降移送装置の制御装置において、操作ボックス回路部1の各スイッチを操作しない状態では、非常停止用電磁開閉器50の励磁コイル50aには非常停止用操作スイッチ(常閉スイッチ)10を介してトランス43の2次電流が流れ、非常停止用電磁開閉器50は閉動作となる。これによりトロリー電力供給回路21から横行モータ37に電力供給可能な状態となる。また、非常停止用電磁開閉器50の閉動作により、その補助接点50bも閉じるから、非常停止用電磁開閉器51の励磁コイル51aにトランス43の2次電流が流れ、非常停止用電磁開閉器51は閉動作となる。これによりトロリー電力供給回路21から昇降モータ40に電力供給可能な状態となる。
【0029】
上記状態で、操作ボックス回路部1の右横行用操作スイッチ11を閉じると、右横行用電磁開閉器23の励磁コイル23aにトランス43の2次側電流が流れ、右横行用電磁開閉器23が閉じ、横行モータ37に右横行の起動電流が流れ、電気トロリー101は右方向に横行する。また、左横行用操作スイッチ12を閉じると、左横行用電磁開閉器24の励磁コイル24aにトランス43の2次側電流が流れ、左横行用電磁開閉器24が閉じ、横行モータ37に左横行の起動電流が流れ、電気トロリー101は左方向に横行する。
【0030】
また、下降用操作スイッチ13を閉じると、下限リミットスイッチ47を通してトランス43の2次側電流が下降用電磁開閉器45の励磁コイル45aに流れ、下降用電磁開閉器45が閉じ、昇降モータ40に下降の起動電流が流れ、下降方向に回転(逆回転)する。そして下限リミットスイッチ47が開くと励磁コイル45aの励磁電流が遮断され、下降用電磁開閉器45が開動作(不動作)し、昇降モータ40の下降動作は停止する。また、上昇用操作スイッチ14を閉じると、上限リミットスイッチ46を通してトランス43の2次側電流が上昇用電磁開閉器44の励磁コイル44aに流れ、上昇用電磁開閉器44が閉じ、昇降モータ電力供給回路41から昇降モータ40に上昇の起動電流が流れ、上昇方向に回転(正回転)する。そして上限リミットスイッチ46が開くと励磁コイル44aの励磁電流が遮断され、上昇用電磁開閉器44が開動作(不動作)し、昇降モータ40の上昇動作は停止する。
【0031】
操作ボックス回路部1の非常停止用操作スイッチ10を開くと、励磁コイル50aの通電が遮断され、非常停止用電磁開閉器50は開動作(不動作)となり、トロリー電力供給回路21を開く、これによりトロリー電力供給回路21から横行モータ37に電力を供給できない状態となる。また、非常停止用電磁開閉器50の開動作(不動作)により、その補助接点50bが開くから、非常停止用電磁開閉器51の励磁コイル51aの通電が遮断され、非常停止用電磁開閉器51は開動作(不動作)となる。これにより昇降モータ電力供給回路41から昇降モータ40に電力を供給できない状態となる。
【0032】
上記のようにトロリー回路部2のトロリー電力供給回路21と、電気チェーンブロック回路部4の昇降モータ電力供給回路41に、それぞれ非常停止用電磁開閉器50、非常停止用電磁開閉器51を設けることにより、非常停止用電磁開閉器50及び51はそれぞれ電気トロリーの横行モータ37、昇降モータ40に電力を供給するのみとなるから、容量の小さい電磁開閉器で賄うことができる。また、トロリー回路部2に制御用電源を供給するトランスを設ける必要がないから、その分コストを低減できる。
【0033】
また、電気チェーンブロックを単独で使用する場合は、図5に示すように、図4の電気チェーンブロック回路部4と同一構成の電気チェーンブロック回路部4を備えた、電気チェーンブロックを用いる。そしてその電気チェーンブロック回路部4に電気チェーンブロック単独操作用の操作ボックス110’の操作ボックス回路部60をケーブル61を介してプラグソケット34で接続する。これにより荷の昇降を行うことができる。即ち、電気チェーンブロックを電気トロリーに搭載して使用する場合も、単独で使用する場合も同じ回路構成の電気チェーンブロック回路部4で済むから、1種類の電気チェーンブロックで単独でも、電気トロリー101に搭載しても使用できるから設備費用を軽減できる。特にレンタル業者においては、2種類の電気チェーンブロックを容易しておく必要がないから経費を節減できる。
【0034】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの構成であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態例では電気荷昇降機として電気チェーンブロックの例を説明したが、電気荷昇降機としては電気チェーンブロックに限定されるものではなく、例えば電気ホイストでもよいことは当然である。また、荷昇降移送装置100を用いて天井走行クレーンとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電気トロリーと電気チェーンブロックを備えた荷昇降移送装置の構成を示す図で、図1(a)は正面図、図1(b)は側面図である。
【図2】従来の荷昇降移送装置の制御装置の回路構成例を示す図である。
【図3】電気チェーンブロックを単独で使用する場合の制御装置の回路構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る荷昇降移送装置の制御装置の回路構成例を示す図である。
【図5】電気チェーンブロックを単独で使用する場合の制御装置の回路構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 操作ボックス回路部
2 トロリー回路部
3 トロリーモータ回路部
4 電気チェーンブロック回路部
10 非常停止用操作スイッチ
11 右横行用操作スイッチ
12 左横行用操作スイッチ
13 下降用操作スイッチ
14 上昇用操作スイッチ
15 3相ケーブル
21 トロリー電力供給回路
22 3相配線
23 右横行用電磁開閉器
24 左横行用電磁開閉器
25 トランス
26 非常停止用電磁開閉器
27 電磁開閉器制御回路
29 3相ケーブル
30 プラグソケット
31 非常停止用電磁開閉器制御回路
32 ケーブル
33 3相ケーブル
34 プラグソケット
35 プラグソケット
36 3相ケーブル
37 横行モータ
40 昇降モータ
41 昇降モータ電力供給回路
42 電磁開閉器制御回路
43 トランス
44 上昇用電磁開閉器
45 下降用電磁開閉器
46 上限リミットスイッチ
47 下限リミットスイッチ
48 非常停止用電磁開閉器
49 ケーブル
50 非常停止用電磁開閉器
51 非常停止用電磁開閉器
60 操作ボックス回路部
61 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気トロリー及び該電気トロリーに搭載された電気荷昇降機を備え、前記電気トロリーに横行用電磁開閉器を設けると共に、該横行用電磁開閉器を制御する電磁開閉器制御回路を設け、前記電気荷昇降機に昇降用電磁開閉器を設けると共に、該昇降用電磁開閉器を制御する電磁開閉器制御回路を設け、荷の横行及び昇降を行う荷昇降移送装置の制御装置であって、
前記電気トロリーの横行モータに電力を供給するトロリー電力供給回路と、前記電気荷昇降機の昇降モータに電力を供給する昇降モータ電力供給回路に、それぞれの回路を遮断して電力供給を停止する非常停止用電磁開閉器を設け、
前記電気トロリーの電磁開閉器制御回路に操作スイッチボックスの非常停止用操作用スイッチの操作により前記トロリー電力供給回路の非常停止用電磁開閉器を開動作させる回路を設けると共に、前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路に前記トロリー電力供給回路の非常停止用電磁開閉器の補助接点で前記昇降モータ電力供給回路の非常停止用電磁開閉器を開動作させる回路を備えたことを特徴とする荷昇降移送装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷昇降移送装置の制御装置において、
前記電気トロリーの電磁開閉器制御回路及び前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路の電源に前記昇降モータ電力供給回路に設けたトランスの二次側出力を用いることを特徴とする荷昇降移送装置の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の荷昇降移送装置の制御装置において、
前記電気トロリーの電磁開閉器制御回路と前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路はケーブルを介してプラグソケット結合により接続できるように構成されていることを特徴とする荷昇降移送装置の制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の荷昇降移送装置の制御装置において、
前記電気荷昇降機を単独で使用するときは、前記電気荷昇降機の電磁開閉器制御回路に非常停止用操作用スイッチを具備する操作スイッチボックスをケーブルを介してプラグソケット結合により接続できるように構成されていることを特徴とする荷昇降移送装置の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−133072(P2008−133072A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319168(P2006−319168)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【Fターム(参考)】