荷電粒子ビームリソグラフィを用いて表面上にパターンを形成するための方法およびシステム
成形荷電粒子ビームリソグラフィを用いた半導体生産の分野では、トラックを形成する単一の拡張ショットにおいて表面を横切る荷電粒子ビーム(140)を引き込むことにより、表面(130)にパターンを形成する。いくつかの実施形態では、トラックは直線パス、湾曲パス、または曲線形状の外周(850,852,854,856,858,860,862)を形成できる。他の実施形態では、引き込まれたビーム(140)の速度を変化させることにより、トラックの幅を変更できる。この技術は集積回路を製造するために利用され、パターンをウェハに転写するために、レジスト被覆されたウェハを横切る荷電粒子ビームを引き込むか、後に光リソグラフィプロセスを用いてパターンをウェハに転写するのに用いられるフォトマスクを製造するために用いられるレチクルを横切る荷電粒子ビームを引き込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年10月21日に出願された「Method and System For Manufacturing A Surface By Dragging Characters Using Shaped Charged Particle Beam Lithography」と題された米国仮特許出願整理番号第61/253847号に基づく優先権を主張し、それらのすべては、すべての目的のために、参照により組み込まれる。
【0002】
本開示はリソグラフィに関し、より特定的には、成形ビーム荷電粒子ビーム書込装置の設計、および成形ビーム荷電粒子ビーム書込装置を用いた、レチクル、ウェハ、またはいかなる表面であり得る表面を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
集積回路などの半導体装置の生産または製造では、半導体装置を製造するために光リソグラフィを用いられ得る。光リソグラフィは、レチクルから製造されたリソグラフィマスクまたはフォトマスクを用いて、半導体またはシリコンウェハなどの基板にパターンを転写して集積回路を作る印刷工程である。他の基板として、フラットパネルディスプレイまたは他のレチクルも含まれ得る。さらに、極紫外(EUV)またはX線リソグラフィも光リソグラフィの一種であると考えられる。一枚のレチクルまたは複数のレチクルは、集積回路の個々の層に対応する回路パターンを含み得、このパターンの像が、フォトレジストまたはレジストとして公知の放射性感受性材料の層で被覆された基板上の一定の区域に作られ得る。パターニング層が転写されると、この層はエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、および研磨などのさまざまな他の工程にかけられ得る。これらの工程は、基板の個々の層を完成させるために使用される。いくつかの層が必要である場合は、新たな層の各々について全工程またはその変形例が繰り返される。最終的に、複数の素子または集積回路の組合せが基板上に現れる。これらの集積回路は次にダイシングまたはソーイングによって互いに分離され得、その後、個々のパッケージに搭載され得る。より一般的な場合は、基板上のパターンを用いて、表示画素、ホログラム、または磁気記録ヘッドなどの加工品が規定され得る。
【0004】
集積回路などの半導体素子の生産または製造では、半導体素子を製造するためにマスクレス直接書込も用いられ得る。マスクレス直接書込は、荷電粒子ビームリソグラフィを用いて、半導体またはシリコンウェハなどの基板にパターンを転写して集積回路を作成する印刷工程である。他の基板として、フラットパネルディスプレイ、ナノインプリント用インプリントマスク、またはレチクルも含まれ得る。層の所望パターンが、この場合は基板でもある表面に直接的に書き込まれる。パターニング層が転写されると、この層はエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、および研磨などのさまざまな他の工程にかけられ得る。これらの工程は、基板の個々の層を完成させるために使用される。いくつかの層が必要である場合は、新たな層の各々について全工程またはその変形例が繰り返される。光リソグラフィを用いて書き込まれる層もあれば、同一基板を製造するのにマスクレス直接書込を用いて書き込まれる層もある。最終的に、複数の素子または集積回路の組合せが基板上に現れる。これらの集積回路は次にダイシングまたはソーイングによって互いに分離され、その後、個々のパッケージに搭載される。より一般的な場合は、基板上のパターンを用いて、表示画素、ホログラム、または磁気記録ヘッドなどの加工品が規定され得る。
【0005】
荷電粒子ビームリソグラフィの2つの一般的な種類は、可変成形ビーム(VSB)およびキャラクタプロジェクション(CP)である。これらは両者とも成形ビーム荷電粒子ビームリソグラフィの下位区分であり、高精度の電子ビームが成形され、方向付けられて、ウェハの表面またはレチクルの表面などのレジスト被覆面を露光する。VSBでは、これらの形状は単純な形状であり、通常、一定の最小および最大サイズであってデカルト座標面の軸と平行な辺を有する矩形(すなわち、「マンハッタン」方向)と、一定の最小および最大サイズの45度の直角三角形(すなわち、3つの内角が45度、45度および90度)とに限定される。予め定められた位置で、これらの単純な形状によってレジストにある量の電子が打ち込まれる。この種類の装置についての全書込時間は、ショット数とともに長くなる。キャラクタプロジェクション(CP)では、装置内にステンシルがあり、ステンシルは、直線、任意角線形、円形、略円形、環状、略環状、楕円形、略楕円形、一部円形、一部略円形、一部環状、一部略環状、一部略楕円形、または任意曲線形状であり得、かつ接続された複雑な形状セットもしくは接続された複雑な形状セットのばらばらなセットの群であり得る、さまざまなアパーチャまたは特徴を有する。ステンシル上のキャラクタを介して電子ビームを打ち込んで、レチクル上にさらに複雑なパターンを効率的に生成することができる。理論上では、このような装置は、毎回時間のかかるショットによってさらに複雑な形状を打ち込むことが可能であるため、VSB装置よりも速いことがある。したがって、VSB装置を用いたE字型パターンショットには4ショットが必要であるが、同じE字型パターンはキャラクタプロジェクション装置では単一のショットで打ち込むことができる。なお、VSB装置は、キャラクタが通常は矩形または45−45−90度の三角形である単純なキャラクタにすぎない、キャラクタプロジェクションの特別な(単純な)場合であると考えることができる。キャラクタを部分的に露光することも可能である。これは例えば、粒子ビームの一部を遮ることによって達成される。例えば、前述のE字型パターンは、ビームの異なる部分がアパーチャによって遮断されることによって、F字型パターンまたはI字型パターンとして部分的に露光され得る。これは、さまざまなサイズの矩形がVSBを用いて打ち込まれ得るのと同一のメカニズムである。本開示では、局部投影はキャラクタプロジェクションおよびVSBプロジェクションの両者を意味するものとして用いられる。
【0006】
前述のように、光リソグラフィでは、リソグラフィマスクまたはレチクルは、基板上に集積される回路部品に対応する形状パターンを含む。レチクルを製造するために用いるパターンは、コンピュータ援用設計(CAD)ソフトウェアまたはプログラムを用いて生成され得る。パターンを設計する際、CADプログラムは、レチクルを製造するための一連の予め定められた設計ルールに従い得る。これらのルールは加工、設計、および最終用途制限事項によって設定される。最終用途制限事項の一例は、トランジスタの形状を、トランジスタが所要供給電圧で十分に動作することができないように規定することである。特に、設計ルールは、回路素子同士または相互接続配線同士の間の空間公差を規定し得る。設計ルールを用いて、例えば、回路素子同士または配線同士が望ましくない態様で互いに相互作用しないようにする。例えば、設計ルールを用いて、配線同士が短絡を生じ得るように互いに近づきすぎないようにする。設計ルールへの制限は中でも、確実に製造可能な最小寸法を反映する。これらの小さな寸法が言及される場合、通常は限界寸法の概念が導入される。これらは例えば配線の最小幅または2本の配線同士の間の最小空間として規定され、それらの寸法には精巧な制御が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光リソグラフィによる集積回路製造の1つの目的は、レチクルを使用することによって当初の回路設計を基板上に再現することである。集積回路製造者は、半導体ウェハ面積をできる限り効率的に使用することを常に試みている。技術者は、回路を小型化し続けることによって、集積回路がより小さい同数の回路要素を含みつつ、より少ない電力で使用されるか、より多くの回路要素を含むが同サイズで製造されることを可能にしている。集積回路限界寸法のサイズが小さくなり、その回路密度が増すにつれて、回路パターンまたは物理的設計の限界寸法は、光リソグラフィに用いられる光学露光ツールの解像限界に近づく。回路パターンの限界寸法が小さくなって露光ツールの解像値に近づくにつれて、レジスト層上に現像される実際の回路パターンに物理的設計を正確に転写することが困難になる。光リソグラフィステップに用いられる光波長よりも小さい特徴を有するパターンを転写するための光リソグラフィの使用を促進するため、光学近接効果補正(OPC)として公知のステップが開発されている。OPCは物理的設計を変更して、特徴の光回折および光学的相互作用などの効果によって生じる歪みを、近接特徴で補正する。OPCは、レチクルを用いて実行されるすべての解像度向上技術を含む。
【0008】
OPCはサブ解像度リソグラフィ特徴をマスクパターンに追加して、当初の物理的設計パターン、すなわち設計と、基板上の最終転写回路パターンとの差を小さくし得る。サブ解像度リソグラフィ特徴は、物理的設計における当初のパターンと互いに相互作用し、近接効果を補正して最終転写回路パターンを向上させる。パターンの転写を向上させるために用いられる1つの特徴は、サブ解像度補助特徴(SRAF)である。パターン転写を向上させるために追加される別の特徴は、「セリフ」と称される。セリフは、パターンの角に位置決めされて最終転写像の角を鋭くすることが可能な小さな特徴である。SRAFのための表面製造ステップに要求される精度は、しばしば主要特徴と称される、基板上への印刷が意図されるパターンの精度よりも低いことが多い。セリフは主要特徴の一部である。光リソグラフィの限界が波長未満領域まで拡大するにつれて、さらに微細な相互作用および効果を補正するためにOPC特徴をますます複雑にする必要がある。撮像装置が装置の限界に追い込まれるにつれて、十分微細なOPC特徴を有するレチクルを生産する能力が極めて重要になる。セリフまたは他のOPC特徴をマスクパターンに追加することは有利であるが、これによってマスクパターンの全特徴数も実質的に増える。例えば、従来技術を用いて正方形の角の各々にセリフを追加すると、マスクまたはレチクルパターンに8つのさらなる矩形が追加される。OPC特徴の追加は非常に手間のかかる作業であり、費用のかかる演算時間が必要となり、より高価なレチクルとなってしまう。OPCパターンは複雑であるだけでなく、光学近接効果は最小配線および空間寸法と比べて長距離であるため、所与の位置における正確なOPCパターンは、近傍にどのような他の形状があるかに大きく依存する。したがって例えば、配線端は、レチクル上で何が近くにあるかに依存して異なるサイズのセリフを有する。これは、ウェハ上に全く同じ形状を生産することが目的であり得る場合も同様である。レチクル上に書き込まれるOPC装飾パターンは従来、主要特徴、すなわちOPC装飾前の設計を反映する特徴、並びにOPC特徴がセリフ、ジョグ、およびSRAFを含み得るOPC特徴として論じられる。軽微なばらつきが意味するものを定量化すると、近傍から近傍へのOPC装飾の典型的な軽微なばらつきは、主要特徴サイズの5%〜80%であり得る。なお、明確にするためにここで言及するのは、OPCの設計におけるばらつきである。配線端縁粗度および角取りなどの製造上のばらつきも、実際の表面パターンに現れる。これらのOPCのばらつきがウェハ上に実質的に同じパターンを形成する場合、ウェハ上の形状は、例えばトランジスタまたは配線などの、形状が実行するように設計される機能の詳細に依存する所定誤差内で同一であることが目標とされることを意味する。しかし、典型的な仕様は主要特徴範囲の2%〜50%である。このほかにもばらつきの原因となる多数の製造上の要因があるが、その総合誤差のOPC成分はしばしば上記範囲内にある。サブ解像度補助特徴などのOPC形状は、光リソグラフィを用いてウェハに転写され得る最小特徴のサイズに基づくルールなどの、さまざまな設計ルールに従う。他の設計ルールはマスク製造ステップによって、またはキャラクタプロジェクション荷電粒子ビーム書込装置を用いてレチクル上にパターンを形成する場合は、ステンシル製造ステップによってもたらされ得る。なおまた、マスク上のSRAF特徴の精度要件は、マスク上の主要特徴に対する精度要件よりも低いことがある。 逆リソグラフィ技術(ILT)はOPC技術の一種である。ILTは、レチクルに形成されるパターンが、シリコンウェハなどの基板上に形成されることが望まれるパターンから直接的に演算されるステップである。これは、表面上の所望パターンを入力として用いて、光リソグラフィステップを逆方向にシミュレートすることを含み得る。ILT演算レチクルパターンは純粋に曲線、すなわち完全に非直線であり得、円形、略円形、環状、略環状、楕円形および/または略楕円形のパターンを含み得る。曲線パターンは従来技術を用いてレチクルに形成することが困難で高価であるため、曲線パターンの直線近似が用いられ得る。本開示では、ILT、OPC、ソースマスク最適化(SMO)、および演算リソグラフィは同じ意味で用いられる用語である。
【0009】
レチクル上にパターンを形成するために用いられる技術は、光リソグラフィまたは荷電粒子ビーム装置の使用など多数ある。最先端技術のノードに対するレチクル書込は、マルチパス露光と称されるステップである、複数回の成形荷電粒子ビーム書込を典型的に含み、これによってレチクル上に所与の形状が書き込まれ、上書きされる。典型的に、2〜4回の露光を用いてレチクルを書込んで荷電粒子ビーム装置の精度誤差を平均化することによって、より高精度のフォトマスクを作成することができる。この種類の装置についての全書込時間は、ショット数とともに長くなる。レチクル上にパターンを形成するために用いられ得る第2の種類の装置は、前述のキャラクタプロジェクション装置である。
【0010】
VSBおよびCP成形ビーム装置の以前は、ガウスビームまたはスポットビーム、荷電粒子ビーム技術が用いられていた。これらの比較的に安価な装置が、調査および他の目的のために用いられている。VSB装置は、ガウスビーム装置よりも2段階速い速度で、半導体レチクルおよびウェハを書込む。ガウスビーム技術では、レジストを露光するために、表面に無形ビームが投影される。ガウスビームの書き込みは、ビームがある位置から別の位置に移動する間に線を描くベクトル書き込み手法により実行される。ガウスビーム技術では、ビームの速度を制御することにより線量を制御する。表面を被覆するレジストにより記録されるような線の濃さは、それ故、ガウスビームの動作速度に応じたものになる。当業界で公知のVSBおよびCPプロジェクション機械では、成形された電子ビーム140(図1参照)は、各露光期間または「ショット」中に書き込まれる、基板132の表面130と相対的には静止する。書込ステップ中に表面130が連続的に動き、電子ビーム140も表面130の連続的な移動と同じ速度で、同じ方向に動き、これにより、ショット中、電子ビーム140が表面130のみに対して静止したままであるように、一部のVSBおよびCPプロジェクション機械が設計されることに留意されたい。
【0011】
成形ビーム荷電粒子ビームリソグラフィの費用は、レチクルまたはウェハなどの表面上にパターンを露光するのに要求される時間に直接関連する。従来から、露光時間はパターンの製造に要求されるショット数に関連する。最も複雑な集積回路デザインでは、レチクルセットへの層パターンセットの形成は、高価かつ時間のかかるプロセスである。したがって、レチクルおよび他の表面への、曲線パターンなどの複雑なパターンの形成に要求される時間を短縮することが利点となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
表面上にパターンを形成するための方法が開示されており、この方法は、1つの拡張ショットで複雑なパターンを形成するために、ショット中に、表面を横切る成形荷電粒子ビームを引き込むことを含む。いくつかの実施形態では、この方法は集積回路の製造に利用され、例えば、光リソグラフィプロセスにマスクまたはレチクルを用いる方法では、マスクまたはレチクルの表面を横切る荷電粒子ビームを引き込んで製造する。成形ビーム荷電粒子ビームを引き込むためのパスを画定する方法がさらに開示される。いくつかの実施形態では、パスはパターンの外周を形成できる。他の実施形態は、局部投影、様々な引き込み速度の使用、および引き込みショットと従来のショットとの組み合わせを含む。
【0013】
また、表面上にパターンを形成する成形荷電粒子ビーム書込装置が開示されており、この装置は、ショット中に、2つの位置間の規定のパスに沿って成形荷電粒子ビームを引き込み可能な偏向器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】キャラクタプロジェクション荷電粒子ビーム装置を示す図である。
【図2A】楕円形CPキャラクタにより形成されたパターンを示す図である。
【図2B】図2Aの楕円形CPキャラクタを用いて、引き込みショットにより形成されたパターンを示す図である。
【図3A】円形パスにおいてCPキャラクタを引き込むことにより形成された環状パターンを示す図である。
【図3B】引き込みショット1つと、従来の正方形ショット1つとにより形成された円形パターンを示す図である。
【図4】曲線トラックにおけるキャラクタを引き込むことにより成され得る曲線パターンの外周を示す図である。
【図5A】正方形VSBショットにより、従来から形成されているパターンを示す図である。
【図5B】正方形VSBショットを引き込むことにより矩形パターンを形成する方法を説明する図である。
【図5C】正方形VSBショットを引き込んで、登録パターンの全ての部分がほぼ一定量を吸収する矩形パターンを形成する代替方法を説明する図である。
【図6】トラック幅における粒子ビームの速度を変化させた効果を示す図である。
【図7A】楕円形キャラクタを引き込むことにより形成されたパターンを示す図である。
【図7B】図7Aに類似する形成されたパターンであるが、パターン端部を局部投影した図である。
【図8A】OPC前の、2つの正方形を備えているパターンを示す図である。
【図8B】図8AのパターンをOPC処理することにより形成され得る曲線パターンを示す図である。
【図8C】円形CPキャラクタを引き込むことにより形成され得る図8Bのパターンの大部分の例を示す図である。
【図9】引き込まれた円形キャラクタの線量と、引き込まれた環状キャラクタとの線量を比較する図である。
【図10A】2つの正方形パターンを備えたCPキャラクタを用いて従来から形成されているパターンの例を示す図である。
【図10B】引き込みショットと共に、2つの正方形パターンを備えたCPキャラクタを用いて形成され得るパターンの例を示す図である。
【図11】本開示の例示的な方法を用いてレチクルおよびフォトマスクを製造するための概念フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、規定のパス全体においてショット中にビームが動くか、引き込まれ得る成形ビーム荷電粒子ビーム書込装置の使用、さらには、引き込みショットの形成において荷電粒子ビーム書込装置を制御するための情報を含むショットリストの生成および使用を説明する。
【0016】
ここで、同じ参照符号が同じ部材を指す図面を参照すると、図1は、荷電粒子ビーム書込装置などの従来のリソグラフィ装置100の実施形態であって、この場合は、キャラクタプロジェクションを用いて表面130を製造する電子ビーム書込装置を示す。電子ビーム書込装置100は、電子ビーム114をアパーチャ板116に向けて投影する電子ビーム源112を有する。板116には、電子ビーム114が通過可能なアパーチャ118が形成されている。電子ビーム114はアパーチャ118を通過すると、レンズ装置(不図示)によって電子ビーム120として、別の矩形のアパーチャ板またはステンシルマスク122に向けて方向付けられるか、偏向される。ステンシル122には、種々の種類のキャラクタ126を規定する多数の開口またはアパーチャ、さらにはVSBアパーチャ124が形成されている。ステンシル122に形成された各キャラクタ126を用いて、シリコンウェハ、レチクルまたは他の基板などの基板132の表面130上にパターン148が形成され得る。局部露光、局部投影、局部キャラクタプロジェクション、または可変キャラクタプロジェクションでは、電子ビーム120は、1つのキャラクタ126の一部のみに当たるか、照らすことによって、キャラクタ126のサブセットであるパターン148を形成するように位置決めされ得る。アパーチャ118によって規定される電子ビーム120のサイズよりも小さい各キャラクタ126については、アパーチャを含まないブランキング区域136が当該キャラクタ126に隣接するように設計されており、電子ビーム120がステンシル122上の望ましくないキャラクタを照らさないようになっている。同様に、VSBアパーチャ124にもブランキング区域152が隣接する。電子ビーム134はキャラクタ126のうちの1つから出て来て、キャラクタ126からのパターンのサイズを縮小する電磁または静電縮小レンズ138を通過する。一般に利用可能な荷電粒子ビーム書込装置では、縮小係数は10〜60の範囲である。縮小された電子ビーム140は縮小レンズ138から出て来て、一連の偏向器142によって、キャラクタ126aに対応する文字「H」の形状に描かれたパターン148として、表面130上に方向付けられる。パターン148は縮小レンズ138の効果によりキャラクタ126aと比べて小さい。パターン148は電子ビーム装置100の単一のショットにより描かれる。これにより、可変成形ビーム(VSB)プロジェクション装置またはそれを用いた方法と比べて、パターン148を完成させる全書込時間が短くなる。1つのアパーチャ118が形成された板116が示されているが、板116には2つ以上のアパーチャが形成されてもよい。本例では2枚の板116および122が示されているが、1枚のみまたは各板が1つ以上のアパーチャを有する3枚以上の板が存在してもよい。
【0017】
従来の荷電粒子ビーム書込装置では、縮小レンズ138は固定縮小係数を与えるように較正される。縮小レンズ138および/または偏向器142はまた、ビームの焦点を表面130の平面上に合わせる。表面130のサイズは、偏向器142の最大ビーム偏向能力よりもはるかに大きくてもよい。このため、パターンは通常、一連のストライプとして表面上に書き込まれる。各ストライプは複数のサブフィールドを含み、サブフィールドは偏向器142のビーム偏向能力内にある。電子ビーム書込装置100は、ストライプおよびサブフィールドの各々に対して基板132を位置決め可能な位置決め機構150を含む。従来の荷電粒子ビーム書込装置の1つの変形例では、サブフィールドが露光される間、基板132は固定保持され、その後位置決め機構150が基板132を次のサブフィールド位置に動かす。従来の荷電粒子ビーム書込装置の別の変形例では、基板132は書込ステップ時に連続的に移動する。連続的な移動を含むこの変形例では、偏向器142に加えて、基板132の移動と同じ速度および方向にビームを動かす別の偏向器セット(不図示)を備えてもよい。
【0018】
表面130上に合理的な精度で投影可能な最小サイズパターンは、電子ビーム書込装置100と、基板132上のレジスト被膜を通常含む表面130とに関連付けられるさまざまな短距離物理的効果によって制限される。これらの効果には、前方散乱、クーロン効果、およびレジスト拡散が含まれる。ビームぼけという用語は、これらの短距離効果のすべてを含むものとして用いられる。最先端の電子ビーム書込装置は、20nm〜30nmの範囲の有効なビームぼけを達成することができる。前方散乱は、全ビームぼけの4分の1から2分の1を占め得る。現在の電子ビーム書込装置は、各構成部分のビームぼけを最小限まで減らすための多数の機構を含む。電子ビーム書込装置の中には、ビームぼけを、電子ビーム書込装置上で利用可能な最小値から1つ以上のより大きな値に、書込ステップ時に変化させ得るものもある。
【0019】
従来の成形ビーム装置では、ショット中、表面130上の電子ビーム140の位置が表面130と相対的に静止するように、偏向器142が調節される。本発明では、ショット中、偏向器142が表面130と相対的に電子ビーム140を移動または「引き込み」可能なように、成形された電子ビーム書込装置は新しい方法で制御され得る。この引き込みでは、電子ビームが通る所望のパスは特定のショットのデータにより制御される。一実施形態では、電子ビーム140が表面130を横切って移動する速度もまた、ショットのデータにより制御される。
【0020】
図2Aは、楕円形キャラクタを用いた従来のCPショットによって表面130上に形成され得るパターン202の例を示す。図2Bと共に用いるために、パターン202の基準点として点204が指定される。本開示に従う、ショット中に表面130を横切る電子ビーム140を引き込んで形成されるパターン202と同じ楕円形キャラクタを用いて形成され得るトラック210の一例を図2Bに示す。ショット開始時の投影像の輪郭を破線212に示す。投影像の基準点は、ショット開始時は位置214であり、直線を横切ってショット中に位置214から位置216まで移動する。この例では、通過速度は一定である。トラック210内における表面130が受ける線量は、ショットが引き込まれる方向である、縦方向に左から右に、そして底面から上端に断面的に、変化する。表面130がレジスト被覆面である場合には、レジストにより記録されたパターンは、トラック210の全ての部分がレジストの閾値よりも多い線量を受けるか否か次第では、トラック210の輪郭に一致しない。位置216から位置214への反対方向に、パターンの基準点を引き込むことによっても、同じトラック210が形成され得る。露光の半分が各々のパスで伝達される、2パス露光などのマルチパス露光手段が用いられる場合には、電子ビームは半分のパスで一方向、残り半分のパスで反対方向に引き込まれ得る。
【0021】
図3Aは、円形キャラクタの引き込みショットを用いて、レジスト被覆面に形成され得る環状パターン308の一例を示す。ショット開始時に表面に投影された円形キャラクタの像を、輪郭を示す破線302に示す。この例では、円形の投影像の中心が、粒子ビームの基準点として指定される。円形像の中心は、ショット開始時では位置304である。ショットの引き込み中、投影された円形像の中心が曲線矢印306に示す方向に動き、位置304に戻って来るように完全に円内を移動するように、偏向器142は電子ビーム140を制御する。表面130上にパターン308を形成するのに適した線量をレジストが受ける通過速度に制御される。例示のように、本開示の引き込み技術は、ステンシルに余分なスペースが必要となる環状CPキャラクタを形成しなくても、環状パターン308を形成できる。さらに、引き込みショットの使用により、単一の従来のCPショットを使用するよりも大きな環状パターンを形成できる。
【0022】
図3Bは引き込みショットと、引き込まれてないショットとを組み合わせて形成された閉鎖円312の例を示す。図3Bは完全な円内に円形キャラクタの像302を引き込むことにより形成され得るのと同じ環状パターン308を示す。さらに、図3BはVSBショットなどの正方形ショット310を示し、このショット310によりレジストは、パターン308の穴を完全に覆うパターンを記録する。図3Bでは、平行線模様で正方形ショット310を示す。ショット310と引き込みショット308との融合により、輪郭312を有する円形パターンが形成される。この例は、引き込みショット1つと従来のショット1つとを用いて、比較的小さい円形キャラクタと共に形成され得る比較的大きい円形パターンを示す。
【0023】
図4は引き込みショットを用いて形成され得るCPキャラクタの曲線パターンの外周の例を示す。曲線パターン402は表面に形成される所望パターンである。円輪郭の破線404は、引き込みショット開始時における、円形CPキャラクタの投影像である。円形パターン410の中心は、粒子ビームに関して指定された基準点である。404に加えて406および408を含む一連の円輪郭の破線は、第2の端点が第1の端点410に一致する閉じた曲線パス内に粒子ビームが引き込まれている間、経時的に移動する異なる点における投影像の位置を示すために用いられる。この例では、ショット情報は、ショット中に粒子ビームがたどる曲線パスの描写を含む。パスは、線形スプライン、三次スプライン、基本スプライン、または不規則な有理基本スプラインなどの数式により示され得る。さらに、数式の種類および次数は、フラクチャリング、マスクデータ作成、およびPECソフトウェア、並びに荷電粒子ビーム書込装置入力ソフトウェアにより明確には特定されないものとして想定され得る。例えば、スプラインに関しては、スプラインの種類および次数は推測され得、ノットベクトルまたは拡張ノットベクトルのみは、適切な場合には、制御点および重みづけが特定され得る。一実施形態では、線形スプラインが想定され得、一連の接続線分を表す点である、ノットベクトルである一連の点としてトラックは表され得る。一実施形態では、曲線パターン402の外周は、最小よりも大きいビームぼけを有する1つ以上の引き込みショットを用いて形成され得る。最小よりも大きいビームぼけを使用することにより、従来の最小化が可能なビームぼけを用いたショットよりも短時間で、ショットを用いて外周パターンを形成できる。別の実施形態では、曲線パターン402の外周は、最小のビームぼけを有する引き込みショットを用いて形成され得、パターン402の内側は、最小よりも大きい種々のビームぼけ有するショットを用いて形成され得る。図4に示すように、円形キャラクタを有する引き込みショットは、複雑な曲線パターンの外周を効率的に形成するために用いられ得る。
【0024】
図5A〜図5Cは、引き込みショットを用いた引き込みによりレジスト被覆面に形成され得る矩形パターンの例を示す図である。VSBショットまたは正方形CPキャラクタのショットのいずれでもよい正方形ショットにより従来から形成されているパターン502を図5Aに示す。引き込みショットを用いて、パターン502の形成と同じ正方形アパーチャにより、集積回路上の配線用のパターンなどの矩形パターン504を形成する一方法を図5Bに示す。図5Bにおいて、ショット初期の投影像を、幅514を有する破線で輪郭を示す領域506に示す。正方形506の中心である点508は、指定された基準点である。点508付近の矢印が示すように、点508から点510に基準点が引き込まれる。ショットの終わりの投影像は、514と等しい幅516を有する破線で輪郭を示す領域512により示される。線量グラフ520の縦方向に、この例では水平方向である引き込む方向におけるショット期間に沿う線量である、結果生じた線量データ522を示す。示すように、x座標「a」と「b」との間において、線量はゼロから全量または通常の線量まで上昇する。同様にx座標「c」と「d」との間において、線量は全量からゼロに下降する。これは投影像506と投影像512との間において種々の表面領域についての種々の露光時間に起因する。「b」と「c」との間のみ最大線量が維持される。線量グラフ520はさらに、レジストの閾値524を破線で示す。レジストの閾値よりも高い線量を受ける表面領域は、表面上にパターンを記録し、レジストの閾値よりも低い線量を受ける領域は、いずれのパターンも記録しない。「e」と「f」との間のみ、レジストの閾値524を超える線量である。レジストに記録されるパターン504のx次元における長さは、それ故528である。
【0025】
図5Cはパターンの端部がパターンの中央よりも線量が小さいパターンを形成する代替方法の例を示す。この方法はパターン504と同じサイズのパターン530を形成するために、種々のサイズの投影されたVSBパターンを用いる。ショットの初期に、VSBアパーチャ124aに直接隣接するブランキングスペース152aを照らすように粒子ビーム120は調節され、表面に高さ「h」および幅ゼロのパターンを投影する。つまり、ショットのまさに開始時には、VSBアパーチャ124aは照らされない。ショットの初期にはさらに、x座標「e」に粒子ビーム140を配置するように、偏向器142は調節される。ただし、粒子ビーム140はショットのまさに開始時には幅がゼロであるため存在しないことに留意されたい。また、ショットの開始直後、1)粒子ビーム140の位置はx座標「e」から+x方向に動き、2)粒子ビーム120の位置は投影されたVSBパターンの幅を増大するように、換言すれば、表面に投影された粒子ビーム140の幅を増大するように動き、ここで、表面を横切る粒子ビーム140の前縁の速度は、粒子ビーム140の幅が増大するのと同じ速度である。投影されたVSBパターンの幅は、像の中心基準点が点534であり、ビームの幅が542になった時点で、幅「h」に到達するまで増大する。粒子ビームの位置は、投影像の幅が544になり、粒子ビーム140の立ち下がり区間が表面を横切って動くのと同じ速度で、粒子ビーム120が粒子ビーム140の幅を減少するように動き始めた時点で、中心基準点が点536に到達するまで+x方向に動き続ける。粒子ビーム140の立ち下がり区間がx座標「f」に到達すると、粒子ビーム140の幅はゼロに減少し、ショットは終了する。線量グラフ550の縦方向は結果生じた線量データ552を示す。示すように、図5Cに示す点「e」および点「f」付近の線量データ552の傾斜は、図5Bの点「e」および点「f」付近の線量データ552の傾斜よりも大きい。一般的な場合では、正方形などのVSBパターンに投影された「ターゲット」を適切に照射するために、ショット開始時の粒子ビーム120および粒子ビーム140は、投影されたVSBパターンが書き込まれるパターンの端部に隣接し、投影されたVSBパターンが、粒子ビーム140が移動する方向ではゼロサイズであるように位置することは言うまでもない。次に、粒子ビーム140が動くにつれて、粒子ビーム140が表面を横切るのと同じ速度で、投影されたVSBパターンのサイズは増大する。同様に、投影されたVSBパターンが所望パターンの境界に到達したときに書き込まれるパターンの他の辺においては、粒子ビーム140が移動するのと同じ速度で投影されたVSBパターンのサイズは縮小する。図5Cに示す方法では、登録パターン領域が受ける線量は図5Bよりも一定であり、隣接する非パターン領域が受ける線量は著しく小さい。図5Cの方法は、正方形CPキャラクタを有する局部投影を用いるのと同等の方法である。図5Cの局部投影方法は、下記の図7Aおよび図7Bに示すようなより複雑なCPキャラクタを使用する場合にも用いられる。
【0026】
図6は、粒子ビームの速度がレジスト被覆面に伝達される線量と、結果生じたパターンの幅にどのように影響を及ぼすかの一例を示す図である。この例では、通常の線量である従来からのショットに用いられるキャラクタが、表面上に楕円形パターン602を形成する。トラック604は、速度「v1」の粒子ビーム140の移動結果を示し、繰り返しの破線パターンは粒子ビームの動きを表す。トラック604はショットの中央部分から形成される。開始時のショットおよび終了時のショットは示さない。グラフ608はトラック604を通る任意の垂直線または断面に沿う線量620を示す。グラフ608には、レジストの閾値622も示される。閾値622よりも線量が大きいと、表面上にパターンが記録され、一方、閾値よりも線量が小さいと、いかなるパターンも記録されない。この例では、線量曲線620は、移動量612から離れる時点で閾値622と交わる。レジストに記録されるトラック604の幅は、それ故、示す612である。対照的に、トラック606は、速度「v1」よりも遅い「v2」で移動する、同じサイズパターン602を有する粒子ビームの移動結果を示す。トラック604と同様に、ショットの中央部分のみを示す。トラック606における繰り返しの破線パターンの間隔は、トラック604における繰り返しの破線パターンの間隔よりも小さく、トラック606の粒子ビーム速度「v2」は、トラック604の速度「v1」よりも遅いことが示される。グラフ610はトラック606を通る任意の垂直線に沿う線量624を示す。グラフ610にも、レジストの閾値622と等しいレジストの閾値626を示す。示すように、線量曲線624は、移動量616から離れる時点で閾値626と交わる。レジストに記録されるトラック606の幅は、それ故、示す616である。トラック606の幅616はトラック604の幅612よりも大きい。これは、トラック606の速度「v2」により、速度「v1」のトラック604の断面612よりも広い断面であり、閾値よりも大きい線量を吸収する断面616がパターン606では形成されるためである。グラフ608および610に示すように、ショットが引き込まれる方向、この例では「x」方向における非均一の幅を有するキャラクタの引き込みにより、種々の線量を有する断面が形成される。この断面は、ショットが引き込まれる方向と垂直の方向、この例では「y」方向の断面である。円または略円、長円または略長円、および楕円または略楕円などのキャラクタにより、引き込み方向に関連する、いかなるキャラクタの方向に関する種々の線量の断面が形成される。様々な線量はレジストにより記録されるパターンの幅に影響する。それ故、荷電粒子ビームの速度を変えることにより、登録パターンの幅を変更できる。荷電粒子ビームの速度を変えることにより、レジストの閾値を超える露光を受ける領域の幅を変更できる。
【0027】
図6の下の図面に示すように、トラックが露光される間の粒子ビームの速度を変えることにより、種々の幅を有するトラックが形成され得る。トラック634は、速度が一定でない引き込みショットを用いてレジストに記録されるパターンの一例を示す。トラック634の部分640は、幅612と等しい幅636のトラックを記録する速度「v1」でショットを引き込むことにより形成される。トラック634の部分642は、幅616と等しい幅638のトラックを記録する速度「v2」でショットを引き込むことにより形成される。示すように、ショットの部分642におけるより遅い速度の荷電粒子ビームにより、ショットの部分640に記録されるよりも広いパターンが形成される。速度が一定でないショットが所望される場合、荷電粒子ビーム書込装置に与えられるショット情報の一部として速度情報が特定される。速度は表の様式、または何らかの他の方法により数式で表され得る。一実施形態では、ショットのパスを特定するために線形スプラインが用いられ得、パス内の各線分、すなわちノットベクトル内の各点に関する個々の速度が特定され得る。別の実施形態では、速度は、引き込みショットが通るパスに関する第三次元と考慮され得る。速度を含む三次元パスは、スプラインなどの数式により記載される。さらなる別の実施形態では、パスのx座標もしくはy座標、期間、または他の変数に表内の各速度が対応する速度表が特定され得る。
【0028】
図7Aは、キャラクタ126bなどの楕円形キャラクタの引き込みにより形成され得るパターンの一例を示す。通常の線量である従来のキャラクタプロジェクションショットにより、レジスト被覆面に楕円形パターン702が形成される。この場合では楕円形の中心であるパターンの基準点が、位置710から位置712まで一定速度で引き込まれるときに、湾曲した端部および一定幅の中心部を有するトラックであるパターン704がレジストに記録され得る。線量グラフ714は測定線706に沿った線量であり、レジスト被覆面が受けた線量716を示す。示すように、線量はショット初期には上昇し、ショット終了時には下降する。この傾斜は、正方形VSBショットを用いた図5Bのグラフ520と同様に、ショット開始時および終了時における領域が、より短時間、荷電粒子ビームにより露光されることに起因する。グラフ714にも、レジストの閾値718を示す。示すように、点722と724との間においてレジストに記録されたパターンは、登録パターンの輪郭704が測定線706に交わり、線量がレジストの閾値を超える線量グラフ716の一部に対応する。
【0029】
図7Bは、図7Aのパターンなどのパターンを描く場合に、略正方形のパターン端部の形成にどのように局部投影を用いるかを示す図である。図7Bでは、図7Aの例に用いられるのと同じ楕円形キャラクタプロジェクションキャラクタ126bの中心に関連して、荷電粒子ビームは位置740から位置742に動く。ただし、ショット開始時では、楕円形キャラクタの境界におけるブランキングスペース136bを照らすが、楕円形キャラクタを全く照らさないように荷電粒子ビーム120は配置される。引き込みショットの開始直後、荷電粒子ビーム120は、表面像のスケールにおいて、粒子ビーム140が表面130を横切るのと同じ速度でキャラクタステンシル122を横切り、キャラクタ126bを次第に照らし、点750を含む垂直線分に沿って伝達される線量を与える。繰り返しの破線の楕円形パターンは、粒子ビームの動きを示す。局部投影により、ステンシル122上のキャラクタ部分が照らされない。このため、点線部760および762は線量を受けない領域を示す。線量グラフ744は、測定線736に沿ってレジスト被覆面が受ける線量746を示す。線量グラフ744に示すように、局部投影の使用により、記録されたトラックの開始時および終了時において、局部投影を使用しない線量グラフ714よりもはるかに大きく線量が変化する。局部投影の使用により、レジスト被覆面に矩形パターン734が記録される。レジスト被覆面が受ける線量は、点750と点752との間ではほぼ一定(すなわち、X方向では)であるが、前述の図6(グラフ608および610)に示すように、登録パターンの底面から上端まで(すなわち、Y方向では)一定ではないことに留意されたい。図7Bに示す局部投影の使用は、前述の図5Cの例に示すような、種々のサイズのVSBアパーチャの使用に類似する。
【0030】
図8Aは集積回路デザインの層に接触、またはそれを経て生じ得るような、2つの正方形804および806を備えているパターンを示す。図8Bは、図8Aのパターンの進歩的なOPC処理から生じ得る曲線パターン810を示す。パターン810はレチクルに形成される所望パターンであり、基板上に804および806に類似するパターンを形成するために、光リソグラフィプロセスにおいてレチクルが用いられる。パターン810は2つの主な形状、すなわち形状812および形状814と、7つのSRAF形状、すなわち形状820、形状822、形状824、形状826、形状828、形状830、および形状832とから構成される。従来のVSBまたはCPショットを用いた、表面へのパターン810などの曲線パターンの形成には、多くのショット数が必要となる。図8Cは図8Bのパターン810の大部分の形成にどのように引き込みショットが用いられ得るかの例を示す図である。図8Cのパターン840は、円形CPキャラクタの9つの引き込みショットと、2つの矩形のVSBショットとからなる。各引き込みショットは、繰り返しの円形の破線パターンにより示される。各VSBショットはその内側が「X」で示される。主要な形状である形状842および形状844は、それぞれ、外周形状と、内側を形成する単一の矩形VSB形状とを規定する引き込みショットにより形成される。7つのSRAF形状は、形状850、形状852、形状854、形状856、形状858、形状860、および形状862であり、その各々が単一の引き込みショットから形成される。ショット中、粒子ビームの速度を変化させることにより、小さく幅が変化した各SRAF形状が形成され得る。パターン840の露光に用いられる円形CPキャラクタの直径は、主要な形状842および844の外周を描くよりも、SRAFを描くためにより重要である。CPキャラクタのサイズは、それ故、SRAF特徴の幅の範囲により最適なものが選択される。パターン840を形成するショットセットは、どのように効率的に引き込むかを示し、曲線パターンの形成に用いられ得る。
【0031】
図9は円形および環状キャラクタを用いた線量の比較例を示す図である。示すような垂直方向への円形または略円形キャラクタの投影像902の引き込みにより、切断面の線量、すなわち線量曲線904に示すような、引き込まれた投影像により形成されたトラックおける任意の水平線に沿った線量が達成される。示すような垂直方向への環状または略環状キャラクタ912の投影像912の引き込みにより、切断面の線量曲線914が形成され得る。円形プロジェクション像902の直径「d」は、環状の投影像912の外径「d」と等しい。円形キャラクタのショットと、環状キャラクタのショットとは同じ速度のショットが用いられる。環状の引き込みショットに関する曲線914の最大線量は、円形の引き込みショットに関する曲線904の最大線量よりも小さい。レジスト被覆面が吸収し得る全線量に最大限度が存在する状況においては、最大線量がより低いことが望ましい。さらに、環状キャラクタ912の使用により、同じ外径の円形キャラクタを用いるよりもクーロン効果が小さくなる。同様に、楕円環状、略楕円環状、長円環状、または略長円環状キャラクタの引き込みにより、切断面の最大線量がより小さくなり、楕円形、略楕円形、長円、または略長円各々の引き込みよりもクーロン効果が小さくなり得る。環状キャラクタ912の使用はまた、表面が受ける全線量を低減することにより、後方散乱を減少する。
【0032】
図10Aおよび図10Bは、複数のばらばらのパターンを備えたCPキャラクタを用いた引き込みショットの一例を示す図である。図10Aは2つのばらばらの正方形パターンを含む、CPキャラクタを用いた単一の従来のショットにより、表面に形成され得るパターン1002の一例を示す。パターン1002は正方形1004および正方形1006を備える。このパターンの基準点は点1008である。図10Bはパターン1002に用いられるのと同じキャラクタを用いた引き込みショットにより形成され得るパターン1022を示す。パターン1022は矩形1024および矩形1026を備える。引き込みショットは、直線パスにおいて第1の端点1030から矢印1034の方向に第2の端点1032に基準点1008を引き込むことを含む。図7Bに示すように、端点1030および1032の位置は、パターン1022を形成するための局部投影の使用に反映した位置である。図10Bの例では、ばらばらの正方形パターンを備えたCPキャラクタを引き込みショットに用いたが、ばらばらの矩形もしくは曲線パターン、またはそれらの組み合わせを含むCPキャラクタを用いてもよい。図10Bに示すように、複数のばらばらのパターンを含むキャラクタを用いた、直線または略直線パスを有する引き込みショットの使用は、例えば、集積回路デザインの書込層に存在し得る複数の平行パターンを表面に形成する効果的な方法でもある。複数のばらばらのパターンを有するキャラクタはまた、トラックの一部または全てが交差し得る場合に、平行でない複数のトラックを形成するために、曲線パスを有する引き込みショットを用いてもよい。
【0033】
1つ以上のショット群に対して表面が受ける線量が計算され得、グリフと呼ばれる二次元(XおよびY)の線量マップとして保存される。二次元線量マップまたはグリフは、グリフを含む、ショット周辺の計算された線量値の二次元グリッドである。この線量マップまたはグリフは、グリフライブラリに保存され得る。グリフライブラリは、設計においてパターンのフラクチャリング中に入力され得る。例えば、再度図3Bを参照するように、線量マップは引き込まれた円形CPショットおよびVSBショットから計算され得、グリフライブラリに保存される。フラクチャリング中、入力パターンの1つが円形パターン312と同じサイズの円である場合には、円形パターン312に関するグリフ、およびグリフを含む2つのショットがライブラリから読み出され得るため、円形の入力パターンを形成するための適切なショットセットを決定する計算労力が回避され得る。一連のグリフはまた、パラメータ化グリフを作成するために組み合わされ得る。パラメータは個々のパラメータでもよく、連続的なパラメータでもよい。例えば、複数のパターン直径に関する、円形パターン312などの円形パターンを形成するためのショットおよび線量マップが計算され得、個々のパラメータ化グリフを形成するために、複数の結果生じたグリフが組み合わされ得る。別の例では、パターン幅が、引き込みショット速度の関数としてパラメータ化され得る。
【0034】
図11は本開示に従う、フォトマスクを製造するための方法の例示の概念フロー図1100である。この実施形態では、プロセスに関する3種類の入力データがある。これらはすなわち、荷電粒子ビーム装置のステンシル上のCPキャラクタに関する情報であるステンシル情報1118と、それを上回るとレジストがパターンを記録するレジスト線量閾値などの情報を含むプロセス情報1136と、レチクルに形成される所望パターン1116のコンピュータ表現とである。さらに、最初の任意のステップ1102〜1112は、グリフライブラリの生成を含む。グリフライブラリ作成の選択的な第1のステップは、1つ以上のVSBまたはCPショットからのVSB/CPショット選択1102であり、特定の線量を有する各ショットがショットセット1104を作成するために組み合わされる。ショットセット1104は重複VSBショットおよび/または重複CPショットを含んでもよい。ショットセット1104は引き込まれたVSBおよび/またはCPショットをさらに含んでもよい。引き込みショットに関するショットパスが特定されてもよい。さらに、引き込みショットに関する線量は、荷電粒子ビーム速度として表現され得る。ショットセットのうちのショットはさらに、ビームぼけが特定されている場合がある。VSB/CPショット選択ステップ1102では、ステンシル上で利用可能なCPキャラクタに関する情報を含むステンシル情報1118を用いる。ショットセット1104はステップ1106において、荷電粒子ビームシミュレーションを用いてシミュレートされて、ショットセットの線量マップ1108が作成される。ステップ1106は前方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、エッチング、フォギング、ローディング、レジスト帯電、および後方散乱を含む種々の物理現象のシミュレーションを含み得る。ステップ1106により、二次元線量マップ1108が作成され、これは、マップ内の各グリッド位置におけるショットセット1104からの組み合わせ線量を表す。線量マップ1108はグリフと呼ばれる。ステップ1110では、ショットセットの各ショット、および追加的なグリフの線量マップ1108に関する情報がグリフライブラリ1112に保存される。一実施形態では、グリフセットは、パラメータ化グリフと呼ばれる一種のグリフに組み合わされ得る。
【0035】
フロー1100の必須部分には、フォトマスクの生成ステップが含まれる。ステップ1120では、レチクルまたはレチクル部に関する組み合わせの線量マップが計算される。ステップ1120では、レチクルに形成される所望パターン1116、プロセス情報1136、ステンシル情報1118、およびグリフライブラリが作成されている場合は、グリフライブラリ1112を入力として用いる。ステップ1120では、レチクル線量マップが作成され得、これにショット線量マップなどのショット線量情報が組み合わされる。一実施形態では、レチクル線量マップはゼロに初期化される。別の実施形態では、レチクル線量マップのグリッド正方形は、後方散乱、フォギング、またはローディングなどの、局部レジストの現像液が減少する期間における長期にわたる効果に関する概算の補正を用いて初期化され得る。別の実施形態では、1つ以上のグリフ、または線量マップを用いないで決定された1つ以上のショットからの線量情報を用いてレチクル線量マップが初期化され得る。ステップ1120はVSB/CPショット選択1122、グリフ選択1134、またはそれらの両方を含み得る。引き込まれたVSBおよび/またはCPショットは、ショット選択1122において選択され得る。VSBまたはCPショットが選択されると、そのショットはステップ1124において荷電粒子ビームシミュレーションを用いてシミュレートされ、ショットの線量マップ1126が作成される。荷電粒子ビームシミュレーションは、形状をガウス分布でコンボリューションすることを含み得る。コンボリューションは形状の二次関数を用い得、二次関数が、点が形状の内側か、外側かを決定する。この形状はアパーチャ形状、複数のアパーチャ形状、またはそれらがわずかに変形した形状でもよい。一実施形態では、このシミュレーションは、一時的なショット線量マップキャッシュを用いるときのように、同一ショットの以前のシミュレーションの結果を検索することを含み得る。別の実施形態では、線量マップ以外の何らかの方法でショット線量情報が表現され得る。この他の表現では、ショット線量情報がレチクル線量マップに組み合わされる。最小よりも大きいビームぼけがVSBまたはCPショットに関して特定され得る。引き込みショットに関するショットパスが特定され得る。さらに、引き込みショットに関する線量は、荷電粒子ビーム速度として表現され得る。VSBおよびCPショットの両方は重複し得、互いに関連する様々な線量を有してもよい。グリフが選択された場合には、グリフの線量マップがグリフライブラリ1122から入力される。ステップ1120では、種々のグリフ線量マップおよびショット線量マップなどのショット情報が、レチクル線量マップに組み合わされる。一実施形態では、線量を加えることにより組み合わせが達成される。結果生じた組み合わせの線量マップ、およびレジスト特性を含むプロセス情報1136の使用により、レチクルパターンが計算され得る。レチクル像が所定の許容範囲内で所望パターン1116に一致する場合には、次に、決定されたVSB/CPショットおよび選択されたグリフを構成するショットを含む、組み合わせのショットリスト1138が出力される。計算されたレチクル像が、ステップ1120で計算された所定の許容範囲内のターゲット像1116に一致しない場合には、選択されたCPショット、VSBショット、および/またはグリフのセットが修正され、線量マップおよびレチクルパターンが再計算される。一実施形態では、初期のショットセットおよび/またはグリフは、ショットまたはグリフを変形する必要のない、コレクト・バイ・コンストラクション方式により決定されてもよい。別の実施形態では、ステップ1120は、選択されたVSB/CPショットおよびグリフにより表される全ショット数、全荷電粒子ビーム書込時間、または何らかの他のパラメータのいずれかを最小化するのに最適な技術を含む。さらなる別の実施形態では、複数のショットセットを生成するために、VSB/CPショット選択1122およびグリフ選択1134が実行され、この各々は、マルチパス書込を支持するために、通常よりも低い線量で所望パターン1116に一致するレチクル像を形成できる。
【0036】
組み合わせのショットリスト1138は、選択されたVSBショット、選択されたCPショット、および選択されたグリフを構成するショットの決定されたリストを備える。最終ショットリスト1138内の全てのショットは線量情報を含む。引き込みショットに関する線量は速度として表現され得る。最終ショットリスト内の全ての引き込みショットは、パス情報をさらに含む。ショットはさらに、ビームぼけ特定も含み得る。ステップ1140では、近接効果補正(PEC)および/または他の補正が実行され得るか、または補正が以前の推定から精密化され得る。引き込みショットに関するPECは、表面上の線量を調節する、引き込みショット速度の調節を含んでもよい。それ故、ステップ1140では、組み合わせのショットリスト1138を入力として用いて、引き込みショットに関するショット速度を含むショット線量を調節した最終ショットリスト1142が生成される。ステップ1120からステップ1142までのステップ群、またはこのステップ群のサブセットは、まとめてフラクチャリングまたはマスクデータ作成と呼ばれる。最終ショットリスト1142は、ステップ1144で荷電粒子ビーム装置によって用いられて、レチクルを被覆しているレジストを露光して、レジスト上にパターン1146を形成する。ステップ1148では、レジストが現像される。さらなる処理ステップ1150において、レチクルがフォトマスク1152に変形される。
【0037】
本開示において説明されるフラクチャリング、マスクデータ作成、近接効果補正、およびグリフ生成フローは、演算素子などの適切なコンピュータソフトウェアを有する汎用コンピュータを用いて実施され得る。大量の計算が要求される場合には、複数のコンピュータまたはプロセッサコアが並行して用いられ得る。一実施形態では、演算は、フロー中の1つ以上の演算集約ステップのための複数の二次元形状領域に下位区分されて並列処理をサポートし得る。別の実施例では、単一または複数で用いられる専用ハードウェア素子が用いられて、汎用コンピュータまたはプロセッサコアを用いる場合よりも高速で1つ以上のステップの演算が実行され得る。一実施形態では、本発明において説明される最適化およびシミュレーション工程は、全ショット数、または全荷電粒子ビーム書込時間、または何らかの他のパラメータを最小化するために、可能性のある解決策を修正および再計算する反復処理を含み得る。別の実施例では、ショット変更が不要であるように、ショットの初期セットがコレクト・バイ・コンストラクション方式によって決定され得る。
【0038】
前述の説明のように、引き込みショットの粒子ビームが通過するパスは、ショットリストにおいて数式として表現され得る。フラクチャリング演算、および荷電粒子ビーム装置の演算の両方に関する数式は、直接値を求められてもよい。代替的に、テーブル索引技術などのコンピュータ技術が用いられてもよい。これらの技術は、直接計算よりも速く値を求めることができる。
【0039】
本明細書は特定の実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者であれば、上記の説明を理解すれば、これらの実施例の変形例、変更例または均等物を容易に想到し得ることが認識されるであろう。フラクチャリング、グリフ作成、表面製造、および集積回路製造のための本発明の方法に対するこれらおよび他の修正例および変更例は、添付の請求項においてより特定的に記載される本願の主題の思想および範囲から逸脱することなく当業者によって実践され得る。さらに、当業者であれば、上記説明が例示的なものに過ぎず、限定的であることを意図しないことを認識するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書中のステップに対してステップを追加、削除または変更してもよい。一般的に、提示されるいずれのフローチャートも、機能を達成するための1つの可能性のある一連の基本的動作を示すことを意図しており、多くの変形例が可能である。したがって、本願の主題は、添付の請求項およびその均等物の範囲内にあるような、それらの修正例および変形例を含むことが意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年10月21日に出願された「Method and System For Manufacturing A Surface By Dragging Characters Using Shaped Charged Particle Beam Lithography」と題された米国仮特許出願整理番号第61/253847号に基づく優先権を主張し、それらのすべては、すべての目的のために、参照により組み込まれる。
【0002】
本開示はリソグラフィに関し、より特定的には、成形ビーム荷電粒子ビーム書込装置の設計、および成形ビーム荷電粒子ビーム書込装置を用いた、レチクル、ウェハ、またはいかなる表面であり得る表面を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
集積回路などの半導体装置の生産または製造では、半導体装置を製造するために光リソグラフィを用いられ得る。光リソグラフィは、レチクルから製造されたリソグラフィマスクまたはフォトマスクを用いて、半導体またはシリコンウェハなどの基板にパターンを転写して集積回路を作る印刷工程である。他の基板として、フラットパネルディスプレイまたは他のレチクルも含まれ得る。さらに、極紫外(EUV)またはX線リソグラフィも光リソグラフィの一種であると考えられる。一枚のレチクルまたは複数のレチクルは、集積回路の個々の層に対応する回路パターンを含み得、このパターンの像が、フォトレジストまたはレジストとして公知の放射性感受性材料の層で被覆された基板上の一定の区域に作られ得る。パターニング層が転写されると、この層はエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、および研磨などのさまざまな他の工程にかけられ得る。これらの工程は、基板の個々の層を完成させるために使用される。いくつかの層が必要である場合は、新たな層の各々について全工程またはその変形例が繰り返される。最終的に、複数の素子または集積回路の組合せが基板上に現れる。これらの集積回路は次にダイシングまたはソーイングによって互いに分離され得、その後、個々のパッケージに搭載され得る。より一般的な場合は、基板上のパターンを用いて、表示画素、ホログラム、または磁気記録ヘッドなどの加工品が規定され得る。
【0004】
集積回路などの半導体素子の生産または製造では、半導体素子を製造するためにマスクレス直接書込も用いられ得る。マスクレス直接書込は、荷電粒子ビームリソグラフィを用いて、半導体またはシリコンウェハなどの基板にパターンを転写して集積回路を作成する印刷工程である。他の基板として、フラットパネルディスプレイ、ナノインプリント用インプリントマスク、またはレチクルも含まれ得る。層の所望パターンが、この場合は基板でもある表面に直接的に書き込まれる。パターニング層が転写されると、この層はエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、および研磨などのさまざまな他の工程にかけられ得る。これらの工程は、基板の個々の層を完成させるために使用される。いくつかの層が必要である場合は、新たな層の各々について全工程またはその変形例が繰り返される。光リソグラフィを用いて書き込まれる層もあれば、同一基板を製造するのにマスクレス直接書込を用いて書き込まれる層もある。最終的に、複数の素子または集積回路の組合せが基板上に現れる。これらの集積回路は次にダイシングまたはソーイングによって互いに分離され、その後、個々のパッケージに搭載される。より一般的な場合は、基板上のパターンを用いて、表示画素、ホログラム、または磁気記録ヘッドなどの加工品が規定され得る。
【0005】
荷電粒子ビームリソグラフィの2つの一般的な種類は、可変成形ビーム(VSB)およびキャラクタプロジェクション(CP)である。これらは両者とも成形ビーム荷電粒子ビームリソグラフィの下位区分であり、高精度の電子ビームが成形され、方向付けられて、ウェハの表面またはレチクルの表面などのレジスト被覆面を露光する。VSBでは、これらの形状は単純な形状であり、通常、一定の最小および最大サイズであってデカルト座標面の軸と平行な辺を有する矩形(すなわち、「マンハッタン」方向)と、一定の最小および最大サイズの45度の直角三角形(すなわち、3つの内角が45度、45度および90度)とに限定される。予め定められた位置で、これらの単純な形状によってレジストにある量の電子が打ち込まれる。この種類の装置についての全書込時間は、ショット数とともに長くなる。キャラクタプロジェクション(CP)では、装置内にステンシルがあり、ステンシルは、直線、任意角線形、円形、略円形、環状、略環状、楕円形、略楕円形、一部円形、一部略円形、一部環状、一部略環状、一部略楕円形、または任意曲線形状であり得、かつ接続された複雑な形状セットもしくは接続された複雑な形状セットのばらばらなセットの群であり得る、さまざまなアパーチャまたは特徴を有する。ステンシル上のキャラクタを介して電子ビームを打ち込んで、レチクル上にさらに複雑なパターンを効率的に生成することができる。理論上では、このような装置は、毎回時間のかかるショットによってさらに複雑な形状を打ち込むことが可能であるため、VSB装置よりも速いことがある。したがって、VSB装置を用いたE字型パターンショットには4ショットが必要であるが、同じE字型パターンはキャラクタプロジェクション装置では単一のショットで打ち込むことができる。なお、VSB装置は、キャラクタが通常は矩形または45−45−90度の三角形である単純なキャラクタにすぎない、キャラクタプロジェクションの特別な(単純な)場合であると考えることができる。キャラクタを部分的に露光することも可能である。これは例えば、粒子ビームの一部を遮ることによって達成される。例えば、前述のE字型パターンは、ビームの異なる部分がアパーチャによって遮断されることによって、F字型パターンまたはI字型パターンとして部分的に露光され得る。これは、さまざまなサイズの矩形がVSBを用いて打ち込まれ得るのと同一のメカニズムである。本開示では、局部投影はキャラクタプロジェクションおよびVSBプロジェクションの両者を意味するものとして用いられる。
【0006】
前述のように、光リソグラフィでは、リソグラフィマスクまたはレチクルは、基板上に集積される回路部品に対応する形状パターンを含む。レチクルを製造するために用いるパターンは、コンピュータ援用設計(CAD)ソフトウェアまたはプログラムを用いて生成され得る。パターンを設計する際、CADプログラムは、レチクルを製造するための一連の予め定められた設計ルールに従い得る。これらのルールは加工、設計、および最終用途制限事項によって設定される。最終用途制限事項の一例は、トランジスタの形状を、トランジスタが所要供給電圧で十分に動作することができないように規定することである。特に、設計ルールは、回路素子同士または相互接続配線同士の間の空間公差を規定し得る。設計ルールを用いて、例えば、回路素子同士または配線同士が望ましくない態様で互いに相互作用しないようにする。例えば、設計ルールを用いて、配線同士が短絡を生じ得るように互いに近づきすぎないようにする。設計ルールへの制限は中でも、確実に製造可能な最小寸法を反映する。これらの小さな寸法が言及される場合、通常は限界寸法の概念が導入される。これらは例えば配線の最小幅または2本の配線同士の間の最小空間として規定され、それらの寸法には精巧な制御が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光リソグラフィによる集積回路製造の1つの目的は、レチクルを使用することによって当初の回路設計を基板上に再現することである。集積回路製造者は、半導体ウェハ面積をできる限り効率的に使用することを常に試みている。技術者は、回路を小型化し続けることによって、集積回路がより小さい同数の回路要素を含みつつ、より少ない電力で使用されるか、より多くの回路要素を含むが同サイズで製造されることを可能にしている。集積回路限界寸法のサイズが小さくなり、その回路密度が増すにつれて、回路パターンまたは物理的設計の限界寸法は、光リソグラフィに用いられる光学露光ツールの解像限界に近づく。回路パターンの限界寸法が小さくなって露光ツールの解像値に近づくにつれて、レジスト層上に現像される実際の回路パターンに物理的設計を正確に転写することが困難になる。光リソグラフィステップに用いられる光波長よりも小さい特徴を有するパターンを転写するための光リソグラフィの使用を促進するため、光学近接効果補正(OPC)として公知のステップが開発されている。OPCは物理的設計を変更して、特徴の光回折および光学的相互作用などの効果によって生じる歪みを、近接特徴で補正する。OPCは、レチクルを用いて実行されるすべての解像度向上技術を含む。
【0008】
OPCはサブ解像度リソグラフィ特徴をマスクパターンに追加して、当初の物理的設計パターン、すなわち設計と、基板上の最終転写回路パターンとの差を小さくし得る。サブ解像度リソグラフィ特徴は、物理的設計における当初のパターンと互いに相互作用し、近接効果を補正して最終転写回路パターンを向上させる。パターンの転写を向上させるために用いられる1つの特徴は、サブ解像度補助特徴(SRAF)である。パターン転写を向上させるために追加される別の特徴は、「セリフ」と称される。セリフは、パターンの角に位置決めされて最終転写像の角を鋭くすることが可能な小さな特徴である。SRAFのための表面製造ステップに要求される精度は、しばしば主要特徴と称される、基板上への印刷が意図されるパターンの精度よりも低いことが多い。セリフは主要特徴の一部である。光リソグラフィの限界が波長未満領域まで拡大するにつれて、さらに微細な相互作用および効果を補正するためにOPC特徴をますます複雑にする必要がある。撮像装置が装置の限界に追い込まれるにつれて、十分微細なOPC特徴を有するレチクルを生産する能力が極めて重要になる。セリフまたは他のOPC特徴をマスクパターンに追加することは有利であるが、これによってマスクパターンの全特徴数も実質的に増える。例えば、従来技術を用いて正方形の角の各々にセリフを追加すると、マスクまたはレチクルパターンに8つのさらなる矩形が追加される。OPC特徴の追加は非常に手間のかかる作業であり、費用のかかる演算時間が必要となり、より高価なレチクルとなってしまう。OPCパターンは複雑であるだけでなく、光学近接効果は最小配線および空間寸法と比べて長距離であるため、所与の位置における正確なOPCパターンは、近傍にどのような他の形状があるかに大きく依存する。したがって例えば、配線端は、レチクル上で何が近くにあるかに依存して異なるサイズのセリフを有する。これは、ウェハ上に全く同じ形状を生産することが目的であり得る場合も同様である。レチクル上に書き込まれるOPC装飾パターンは従来、主要特徴、すなわちOPC装飾前の設計を反映する特徴、並びにOPC特徴がセリフ、ジョグ、およびSRAFを含み得るOPC特徴として論じられる。軽微なばらつきが意味するものを定量化すると、近傍から近傍へのOPC装飾の典型的な軽微なばらつきは、主要特徴サイズの5%〜80%であり得る。なお、明確にするためにここで言及するのは、OPCの設計におけるばらつきである。配線端縁粗度および角取りなどの製造上のばらつきも、実際の表面パターンに現れる。これらのOPCのばらつきがウェハ上に実質的に同じパターンを形成する場合、ウェハ上の形状は、例えばトランジスタまたは配線などの、形状が実行するように設計される機能の詳細に依存する所定誤差内で同一であることが目標とされることを意味する。しかし、典型的な仕様は主要特徴範囲の2%〜50%である。このほかにもばらつきの原因となる多数の製造上の要因があるが、その総合誤差のOPC成分はしばしば上記範囲内にある。サブ解像度補助特徴などのOPC形状は、光リソグラフィを用いてウェハに転写され得る最小特徴のサイズに基づくルールなどの、さまざまな設計ルールに従う。他の設計ルールはマスク製造ステップによって、またはキャラクタプロジェクション荷電粒子ビーム書込装置を用いてレチクル上にパターンを形成する場合は、ステンシル製造ステップによってもたらされ得る。なおまた、マスク上のSRAF特徴の精度要件は、マスク上の主要特徴に対する精度要件よりも低いことがある。 逆リソグラフィ技術(ILT)はOPC技術の一種である。ILTは、レチクルに形成されるパターンが、シリコンウェハなどの基板上に形成されることが望まれるパターンから直接的に演算されるステップである。これは、表面上の所望パターンを入力として用いて、光リソグラフィステップを逆方向にシミュレートすることを含み得る。ILT演算レチクルパターンは純粋に曲線、すなわち完全に非直線であり得、円形、略円形、環状、略環状、楕円形および/または略楕円形のパターンを含み得る。曲線パターンは従来技術を用いてレチクルに形成することが困難で高価であるため、曲線パターンの直線近似が用いられ得る。本開示では、ILT、OPC、ソースマスク最適化(SMO)、および演算リソグラフィは同じ意味で用いられる用語である。
【0009】
レチクル上にパターンを形成するために用いられる技術は、光リソグラフィまたは荷電粒子ビーム装置の使用など多数ある。最先端技術のノードに対するレチクル書込は、マルチパス露光と称されるステップである、複数回の成形荷電粒子ビーム書込を典型的に含み、これによってレチクル上に所与の形状が書き込まれ、上書きされる。典型的に、2〜4回の露光を用いてレチクルを書込んで荷電粒子ビーム装置の精度誤差を平均化することによって、より高精度のフォトマスクを作成することができる。この種類の装置についての全書込時間は、ショット数とともに長くなる。レチクル上にパターンを形成するために用いられ得る第2の種類の装置は、前述のキャラクタプロジェクション装置である。
【0010】
VSBおよびCP成形ビーム装置の以前は、ガウスビームまたはスポットビーム、荷電粒子ビーム技術が用いられていた。これらの比較的に安価な装置が、調査および他の目的のために用いられている。VSB装置は、ガウスビーム装置よりも2段階速い速度で、半導体レチクルおよびウェハを書込む。ガウスビーム技術では、レジストを露光するために、表面に無形ビームが投影される。ガウスビームの書き込みは、ビームがある位置から別の位置に移動する間に線を描くベクトル書き込み手法により実行される。ガウスビーム技術では、ビームの速度を制御することにより線量を制御する。表面を被覆するレジストにより記録されるような線の濃さは、それ故、ガウスビームの動作速度に応じたものになる。当業界で公知のVSBおよびCPプロジェクション機械では、成形された電子ビーム140(図1参照)は、各露光期間または「ショット」中に書き込まれる、基板132の表面130と相対的には静止する。書込ステップ中に表面130が連続的に動き、電子ビーム140も表面130の連続的な移動と同じ速度で、同じ方向に動き、これにより、ショット中、電子ビーム140が表面130のみに対して静止したままであるように、一部のVSBおよびCPプロジェクション機械が設計されることに留意されたい。
【0011】
成形ビーム荷電粒子ビームリソグラフィの費用は、レチクルまたはウェハなどの表面上にパターンを露光するのに要求される時間に直接関連する。従来から、露光時間はパターンの製造に要求されるショット数に関連する。最も複雑な集積回路デザインでは、レチクルセットへの層パターンセットの形成は、高価かつ時間のかかるプロセスである。したがって、レチクルおよび他の表面への、曲線パターンなどの複雑なパターンの形成に要求される時間を短縮することが利点となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
表面上にパターンを形成するための方法が開示されており、この方法は、1つの拡張ショットで複雑なパターンを形成するために、ショット中に、表面を横切る成形荷電粒子ビームを引き込むことを含む。いくつかの実施形態では、この方法は集積回路の製造に利用され、例えば、光リソグラフィプロセスにマスクまたはレチクルを用いる方法では、マスクまたはレチクルの表面を横切る荷電粒子ビームを引き込んで製造する。成形ビーム荷電粒子ビームを引き込むためのパスを画定する方法がさらに開示される。いくつかの実施形態では、パスはパターンの外周を形成できる。他の実施形態は、局部投影、様々な引き込み速度の使用、および引き込みショットと従来のショットとの組み合わせを含む。
【0013】
また、表面上にパターンを形成する成形荷電粒子ビーム書込装置が開示されており、この装置は、ショット中に、2つの位置間の規定のパスに沿って成形荷電粒子ビームを引き込み可能な偏向器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】キャラクタプロジェクション荷電粒子ビーム装置を示す図である。
【図2A】楕円形CPキャラクタにより形成されたパターンを示す図である。
【図2B】図2Aの楕円形CPキャラクタを用いて、引き込みショットにより形成されたパターンを示す図である。
【図3A】円形パスにおいてCPキャラクタを引き込むことにより形成された環状パターンを示す図である。
【図3B】引き込みショット1つと、従来の正方形ショット1つとにより形成された円形パターンを示す図である。
【図4】曲線トラックにおけるキャラクタを引き込むことにより成され得る曲線パターンの外周を示す図である。
【図5A】正方形VSBショットにより、従来から形成されているパターンを示す図である。
【図5B】正方形VSBショットを引き込むことにより矩形パターンを形成する方法を説明する図である。
【図5C】正方形VSBショットを引き込んで、登録パターンの全ての部分がほぼ一定量を吸収する矩形パターンを形成する代替方法を説明する図である。
【図6】トラック幅における粒子ビームの速度を変化させた効果を示す図である。
【図7A】楕円形キャラクタを引き込むことにより形成されたパターンを示す図である。
【図7B】図7Aに類似する形成されたパターンであるが、パターン端部を局部投影した図である。
【図8A】OPC前の、2つの正方形を備えているパターンを示す図である。
【図8B】図8AのパターンをOPC処理することにより形成され得る曲線パターンを示す図である。
【図8C】円形CPキャラクタを引き込むことにより形成され得る図8Bのパターンの大部分の例を示す図である。
【図9】引き込まれた円形キャラクタの線量と、引き込まれた環状キャラクタとの線量を比較する図である。
【図10A】2つの正方形パターンを備えたCPキャラクタを用いて従来から形成されているパターンの例を示す図である。
【図10B】引き込みショットと共に、2つの正方形パターンを備えたCPキャラクタを用いて形成され得るパターンの例を示す図である。
【図11】本開示の例示的な方法を用いてレチクルおよびフォトマスクを製造するための概念フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、規定のパス全体においてショット中にビームが動くか、引き込まれ得る成形ビーム荷電粒子ビーム書込装置の使用、さらには、引き込みショットの形成において荷電粒子ビーム書込装置を制御するための情報を含むショットリストの生成および使用を説明する。
【0016】
ここで、同じ参照符号が同じ部材を指す図面を参照すると、図1は、荷電粒子ビーム書込装置などの従来のリソグラフィ装置100の実施形態であって、この場合は、キャラクタプロジェクションを用いて表面130を製造する電子ビーム書込装置を示す。電子ビーム書込装置100は、電子ビーム114をアパーチャ板116に向けて投影する電子ビーム源112を有する。板116には、電子ビーム114が通過可能なアパーチャ118が形成されている。電子ビーム114はアパーチャ118を通過すると、レンズ装置(不図示)によって電子ビーム120として、別の矩形のアパーチャ板またはステンシルマスク122に向けて方向付けられるか、偏向される。ステンシル122には、種々の種類のキャラクタ126を規定する多数の開口またはアパーチャ、さらにはVSBアパーチャ124が形成されている。ステンシル122に形成された各キャラクタ126を用いて、シリコンウェハ、レチクルまたは他の基板などの基板132の表面130上にパターン148が形成され得る。局部露光、局部投影、局部キャラクタプロジェクション、または可変キャラクタプロジェクションでは、電子ビーム120は、1つのキャラクタ126の一部のみに当たるか、照らすことによって、キャラクタ126のサブセットであるパターン148を形成するように位置決めされ得る。アパーチャ118によって規定される電子ビーム120のサイズよりも小さい各キャラクタ126については、アパーチャを含まないブランキング区域136が当該キャラクタ126に隣接するように設計されており、電子ビーム120がステンシル122上の望ましくないキャラクタを照らさないようになっている。同様に、VSBアパーチャ124にもブランキング区域152が隣接する。電子ビーム134はキャラクタ126のうちの1つから出て来て、キャラクタ126からのパターンのサイズを縮小する電磁または静電縮小レンズ138を通過する。一般に利用可能な荷電粒子ビーム書込装置では、縮小係数は10〜60の範囲である。縮小された電子ビーム140は縮小レンズ138から出て来て、一連の偏向器142によって、キャラクタ126aに対応する文字「H」の形状に描かれたパターン148として、表面130上に方向付けられる。パターン148は縮小レンズ138の効果によりキャラクタ126aと比べて小さい。パターン148は電子ビーム装置100の単一のショットにより描かれる。これにより、可変成形ビーム(VSB)プロジェクション装置またはそれを用いた方法と比べて、パターン148を完成させる全書込時間が短くなる。1つのアパーチャ118が形成された板116が示されているが、板116には2つ以上のアパーチャが形成されてもよい。本例では2枚の板116および122が示されているが、1枚のみまたは各板が1つ以上のアパーチャを有する3枚以上の板が存在してもよい。
【0017】
従来の荷電粒子ビーム書込装置では、縮小レンズ138は固定縮小係数を与えるように較正される。縮小レンズ138および/または偏向器142はまた、ビームの焦点を表面130の平面上に合わせる。表面130のサイズは、偏向器142の最大ビーム偏向能力よりもはるかに大きくてもよい。このため、パターンは通常、一連のストライプとして表面上に書き込まれる。各ストライプは複数のサブフィールドを含み、サブフィールドは偏向器142のビーム偏向能力内にある。電子ビーム書込装置100は、ストライプおよびサブフィールドの各々に対して基板132を位置決め可能な位置決め機構150を含む。従来の荷電粒子ビーム書込装置の1つの変形例では、サブフィールドが露光される間、基板132は固定保持され、その後位置決め機構150が基板132を次のサブフィールド位置に動かす。従来の荷電粒子ビーム書込装置の別の変形例では、基板132は書込ステップ時に連続的に移動する。連続的な移動を含むこの変形例では、偏向器142に加えて、基板132の移動と同じ速度および方向にビームを動かす別の偏向器セット(不図示)を備えてもよい。
【0018】
表面130上に合理的な精度で投影可能な最小サイズパターンは、電子ビーム書込装置100と、基板132上のレジスト被膜を通常含む表面130とに関連付けられるさまざまな短距離物理的効果によって制限される。これらの効果には、前方散乱、クーロン効果、およびレジスト拡散が含まれる。ビームぼけという用語は、これらの短距離効果のすべてを含むものとして用いられる。最先端の電子ビーム書込装置は、20nm〜30nmの範囲の有効なビームぼけを達成することができる。前方散乱は、全ビームぼけの4分の1から2分の1を占め得る。現在の電子ビーム書込装置は、各構成部分のビームぼけを最小限まで減らすための多数の機構を含む。電子ビーム書込装置の中には、ビームぼけを、電子ビーム書込装置上で利用可能な最小値から1つ以上のより大きな値に、書込ステップ時に変化させ得るものもある。
【0019】
従来の成形ビーム装置では、ショット中、表面130上の電子ビーム140の位置が表面130と相対的に静止するように、偏向器142が調節される。本発明では、ショット中、偏向器142が表面130と相対的に電子ビーム140を移動または「引き込み」可能なように、成形された電子ビーム書込装置は新しい方法で制御され得る。この引き込みでは、電子ビームが通る所望のパスは特定のショットのデータにより制御される。一実施形態では、電子ビーム140が表面130を横切って移動する速度もまた、ショットのデータにより制御される。
【0020】
図2Aは、楕円形キャラクタを用いた従来のCPショットによって表面130上に形成され得るパターン202の例を示す。図2Bと共に用いるために、パターン202の基準点として点204が指定される。本開示に従う、ショット中に表面130を横切る電子ビーム140を引き込んで形成されるパターン202と同じ楕円形キャラクタを用いて形成され得るトラック210の一例を図2Bに示す。ショット開始時の投影像の輪郭を破線212に示す。投影像の基準点は、ショット開始時は位置214であり、直線を横切ってショット中に位置214から位置216まで移動する。この例では、通過速度は一定である。トラック210内における表面130が受ける線量は、ショットが引き込まれる方向である、縦方向に左から右に、そして底面から上端に断面的に、変化する。表面130がレジスト被覆面である場合には、レジストにより記録されたパターンは、トラック210の全ての部分がレジストの閾値よりも多い線量を受けるか否か次第では、トラック210の輪郭に一致しない。位置216から位置214への反対方向に、パターンの基準点を引き込むことによっても、同じトラック210が形成され得る。露光の半分が各々のパスで伝達される、2パス露光などのマルチパス露光手段が用いられる場合には、電子ビームは半分のパスで一方向、残り半分のパスで反対方向に引き込まれ得る。
【0021】
図3Aは、円形キャラクタの引き込みショットを用いて、レジスト被覆面に形成され得る環状パターン308の一例を示す。ショット開始時に表面に投影された円形キャラクタの像を、輪郭を示す破線302に示す。この例では、円形の投影像の中心が、粒子ビームの基準点として指定される。円形像の中心は、ショット開始時では位置304である。ショットの引き込み中、投影された円形像の中心が曲線矢印306に示す方向に動き、位置304に戻って来るように完全に円内を移動するように、偏向器142は電子ビーム140を制御する。表面130上にパターン308を形成するのに適した線量をレジストが受ける通過速度に制御される。例示のように、本開示の引き込み技術は、ステンシルに余分なスペースが必要となる環状CPキャラクタを形成しなくても、環状パターン308を形成できる。さらに、引き込みショットの使用により、単一の従来のCPショットを使用するよりも大きな環状パターンを形成できる。
【0022】
図3Bは引き込みショットと、引き込まれてないショットとを組み合わせて形成された閉鎖円312の例を示す。図3Bは完全な円内に円形キャラクタの像302を引き込むことにより形成され得るのと同じ環状パターン308を示す。さらに、図3BはVSBショットなどの正方形ショット310を示し、このショット310によりレジストは、パターン308の穴を完全に覆うパターンを記録する。図3Bでは、平行線模様で正方形ショット310を示す。ショット310と引き込みショット308との融合により、輪郭312を有する円形パターンが形成される。この例は、引き込みショット1つと従来のショット1つとを用いて、比較的小さい円形キャラクタと共に形成され得る比較的大きい円形パターンを示す。
【0023】
図4は引き込みショットを用いて形成され得るCPキャラクタの曲線パターンの外周の例を示す。曲線パターン402は表面に形成される所望パターンである。円輪郭の破線404は、引き込みショット開始時における、円形CPキャラクタの投影像である。円形パターン410の中心は、粒子ビームに関して指定された基準点である。404に加えて406および408を含む一連の円輪郭の破線は、第2の端点が第1の端点410に一致する閉じた曲線パス内に粒子ビームが引き込まれている間、経時的に移動する異なる点における投影像の位置を示すために用いられる。この例では、ショット情報は、ショット中に粒子ビームがたどる曲線パスの描写を含む。パスは、線形スプライン、三次スプライン、基本スプライン、または不規則な有理基本スプラインなどの数式により示され得る。さらに、数式の種類および次数は、フラクチャリング、マスクデータ作成、およびPECソフトウェア、並びに荷電粒子ビーム書込装置入力ソフトウェアにより明確には特定されないものとして想定され得る。例えば、スプラインに関しては、スプラインの種類および次数は推測され得、ノットベクトルまたは拡張ノットベクトルのみは、適切な場合には、制御点および重みづけが特定され得る。一実施形態では、線形スプラインが想定され得、一連の接続線分を表す点である、ノットベクトルである一連の点としてトラックは表され得る。一実施形態では、曲線パターン402の外周は、最小よりも大きいビームぼけを有する1つ以上の引き込みショットを用いて形成され得る。最小よりも大きいビームぼけを使用することにより、従来の最小化が可能なビームぼけを用いたショットよりも短時間で、ショットを用いて外周パターンを形成できる。別の実施形態では、曲線パターン402の外周は、最小のビームぼけを有する引き込みショットを用いて形成され得、パターン402の内側は、最小よりも大きい種々のビームぼけ有するショットを用いて形成され得る。図4に示すように、円形キャラクタを有する引き込みショットは、複雑な曲線パターンの外周を効率的に形成するために用いられ得る。
【0024】
図5A〜図5Cは、引き込みショットを用いた引き込みによりレジスト被覆面に形成され得る矩形パターンの例を示す図である。VSBショットまたは正方形CPキャラクタのショットのいずれでもよい正方形ショットにより従来から形成されているパターン502を図5Aに示す。引き込みショットを用いて、パターン502の形成と同じ正方形アパーチャにより、集積回路上の配線用のパターンなどの矩形パターン504を形成する一方法を図5Bに示す。図5Bにおいて、ショット初期の投影像を、幅514を有する破線で輪郭を示す領域506に示す。正方形506の中心である点508は、指定された基準点である。点508付近の矢印が示すように、点508から点510に基準点が引き込まれる。ショットの終わりの投影像は、514と等しい幅516を有する破線で輪郭を示す領域512により示される。線量グラフ520の縦方向に、この例では水平方向である引き込む方向におけるショット期間に沿う線量である、結果生じた線量データ522を示す。示すように、x座標「a」と「b」との間において、線量はゼロから全量または通常の線量まで上昇する。同様にx座標「c」と「d」との間において、線量は全量からゼロに下降する。これは投影像506と投影像512との間において種々の表面領域についての種々の露光時間に起因する。「b」と「c」との間のみ最大線量が維持される。線量グラフ520はさらに、レジストの閾値524を破線で示す。レジストの閾値よりも高い線量を受ける表面領域は、表面上にパターンを記録し、レジストの閾値よりも低い線量を受ける領域は、いずれのパターンも記録しない。「e」と「f」との間のみ、レジストの閾値524を超える線量である。レジストに記録されるパターン504のx次元における長さは、それ故528である。
【0025】
図5Cはパターンの端部がパターンの中央よりも線量が小さいパターンを形成する代替方法の例を示す。この方法はパターン504と同じサイズのパターン530を形成するために、種々のサイズの投影されたVSBパターンを用いる。ショットの初期に、VSBアパーチャ124aに直接隣接するブランキングスペース152aを照らすように粒子ビーム120は調節され、表面に高さ「h」および幅ゼロのパターンを投影する。つまり、ショットのまさに開始時には、VSBアパーチャ124aは照らされない。ショットの初期にはさらに、x座標「e」に粒子ビーム140を配置するように、偏向器142は調節される。ただし、粒子ビーム140はショットのまさに開始時には幅がゼロであるため存在しないことに留意されたい。また、ショットの開始直後、1)粒子ビーム140の位置はx座標「e」から+x方向に動き、2)粒子ビーム120の位置は投影されたVSBパターンの幅を増大するように、換言すれば、表面に投影された粒子ビーム140の幅を増大するように動き、ここで、表面を横切る粒子ビーム140の前縁の速度は、粒子ビーム140の幅が増大するのと同じ速度である。投影されたVSBパターンの幅は、像の中心基準点が点534であり、ビームの幅が542になった時点で、幅「h」に到達するまで増大する。粒子ビームの位置は、投影像の幅が544になり、粒子ビーム140の立ち下がり区間が表面を横切って動くのと同じ速度で、粒子ビーム120が粒子ビーム140の幅を減少するように動き始めた時点で、中心基準点が点536に到達するまで+x方向に動き続ける。粒子ビーム140の立ち下がり区間がx座標「f」に到達すると、粒子ビーム140の幅はゼロに減少し、ショットは終了する。線量グラフ550の縦方向は結果生じた線量データ552を示す。示すように、図5Cに示す点「e」および点「f」付近の線量データ552の傾斜は、図5Bの点「e」および点「f」付近の線量データ552の傾斜よりも大きい。一般的な場合では、正方形などのVSBパターンに投影された「ターゲット」を適切に照射するために、ショット開始時の粒子ビーム120および粒子ビーム140は、投影されたVSBパターンが書き込まれるパターンの端部に隣接し、投影されたVSBパターンが、粒子ビーム140が移動する方向ではゼロサイズであるように位置することは言うまでもない。次に、粒子ビーム140が動くにつれて、粒子ビーム140が表面を横切るのと同じ速度で、投影されたVSBパターンのサイズは増大する。同様に、投影されたVSBパターンが所望パターンの境界に到達したときに書き込まれるパターンの他の辺においては、粒子ビーム140が移動するのと同じ速度で投影されたVSBパターンのサイズは縮小する。図5Cに示す方法では、登録パターン領域が受ける線量は図5Bよりも一定であり、隣接する非パターン領域が受ける線量は著しく小さい。図5Cの方法は、正方形CPキャラクタを有する局部投影を用いるのと同等の方法である。図5Cの局部投影方法は、下記の図7Aおよび図7Bに示すようなより複雑なCPキャラクタを使用する場合にも用いられる。
【0026】
図6は、粒子ビームの速度がレジスト被覆面に伝達される線量と、結果生じたパターンの幅にどのように影響を及ぼすかの一例を示す図である。この例では、通常の線量である従来からのショットに用いられるキャラクタが、表面上に楕円形パターン602を形成する。トラック604は、速度「v1」の粒子ビーム140の移動結果を示し、繰り返しの破線パターンは粒子ビームの動きを表す。トラック604はショットの中央部分から形成される。開始時のショットおよび終了時のショットは示さない。グラフ608はトラック604を通る任意の垂直線または断面に沿う線量620を示す。グラフ608には、レジストの閾値622も示される。閾値622よりも線量が大きいと、表面上にパターンが記録され、一方、閾値よりも線量が小さいと、いかなるパターンも記録されない。この例では、線量曲線620は、移動量612から離れる時点で閾値622と交わる。レジストに記録されるトラック604の幅は、それ故、示す612である。対照的に、トラック606は、速度「v1」よりも遅い「v2」で移動する、同じサイズパターン602を有する粒子ビームの移動結果を示す。トラック604と同様に、ショットの中央部分のみを示す。トラック606における繰り返しの破線パターンの間隔は、トラック604における繰り返しの破線パターンの間隔よりも小さく、トラック606の粒子ビーム速度「v2」は、トラック604の速度「v1」よりも遅いことが示される。グラフ610はトラック606を通る任意の垂直線に沿う線量624を示す。グラフ610にも、レジストの閾値622と等しいレジストの閾値626を示す。示すように、線量曲線624は、移動量616から離れる時点で閾値626と交わる。レジストに記録されるトラック606の幅は、それ故、示す616である。トラック606の幅616はトラック604の幅612よりも大きい。これは、トラック606の速度「v2」により、速度「v1」のトラック604の断面612よりも広い断面であり、閾値よりも大きい線量を吸収する断面616がパターン606では形成されるためである。グラフ608および610に示すように、ショットが引き込まれる方向、この例では「x」方向における非均一の幅を有するキャラクタの引き込みにより、種々の線量を有する断面が形成される。この断面は、ショットが引き込まれる方向と垂直の方向、この例では「y」方向の断面である。円または略円、長円または略長円、および楕円または略楕円などのキャラクタにより、引き込み方向に関連する、いかなるキャラクタの方向に関する種々の線量の断面が形成される。様々な線量はレジストにより記録されるパターンの幅に影響する。それ故、荷電粒子ビームの速度を変えることにより、登録パターンの幅を変更できる。荷電粒子ビームの速度を変えることにより、レジストの閾値を超える露光を受ける領域の幅を変更できる。
【0027】
図6の下の図面に示すように、トラックが露光される間の粒子ビームの速度を変えることにより、種々の幅を有するトラックが形成され得る。トラック634は、速度が一定でない引き込みショットを用いてレジストに記録されるパターンの一例を示す。トラック634の部分640は、幅612と等しい幅636のトラックを記録する速度「v1」でショットを引き込むことにより形成される。トラック634の部分642は、幅616と等しい幅638のトラックを記録する速度「v2」でショットを引き込むことにより形成される。示すように、ショットの部分642におけるより遅い速度の荷電粒子ビームにより、ショットの部分640に記録されるよりも広いパターンが形成される。速度が一定でないショットが所望される場合、荷電粒子ビーム書込装置に与えられるショット情報の一部として速度情報が特定される。速度は表の様式、または何らかの他の方法により数式で表され得る。一実施形態では、ショットのパスを特定するために線形スプラインが用いられ得、パス内の各線分、すなわちノットベクトル内の各点に関する個々の速度が特定され得る。別の実施形態では、速度は、引き込みショットが通るパスに関する第三次元と考慮され得る。速度を含む三次元パスは、スプラインなどの数式により記載される。さらなる別の実施形態では、パスのx座標もしくはy座標、期間、または他の変数に表内の各速度が対応する速度表が特定され得る。
【0028】
図7Aは、キャラクタ126bなどの楕円形キャラクタの引き込みにより形成され得るパターンの一例を示す。通常の線量である従来のキャラクタプロジェクションショットにより、レジスト被覆面に楕円形パターン702が形成される。この場合では楕円形の中心であるパターンの基準点が、位置710から位置712まで一定速度で引き込まれるときに、湾曲した端部および一定幅の中心部を有するトラックであるパターン704がレジストに記録され得る。線量グラフ714は測定線706に沿った線量であり、レジスト被覆面が受けた線量716を示す。示すように、線量はショット初期には上昇し、ショット終了時には下降する。この傾斜は、正方形VSBショットを用いた図5Bのグラフ520と同様に、ショット開始時および終了時における領域が、より短時間、荷電粒子ビームにより露光されることに起因する。グラフ714にも、レジストの閾値718を示す。示すように、点722と724との間においてレジストに記録されたパターンは、登録パターンの輪郭704が測定線706に交わり、線量がレジストの閾値を超える線量グラフ716の一部に対応する。
【0029】
図7Bは、図7Aのパターンなどのパターンを描く場合に、略正方形のパターン端部の形成にどのように局部投影を用いるかを示す図である。図7Bでは、図7Aの例に用いられるのと同じ楕円形キャラクタプロジェクションキャラクタ126bの中心に関連して、荷電粒子ビームは位置740から位置742に動く。ただし、ショット開始時では、楕円形キャラクタの境界におけるブランキングスペース136bを照らすが、楕円形キャラクタを全く照らさないように荷電粒子ビーム120は配置される。引き込みショットの開始直後、荷電粒子ビーム120は、表面像のスケールにおいて、粒子ビーム140が表面130を横切るのと同じ速度でキャラクタステンシル122を横切り、キャラクタ126bを次第に照らし、点750を含む垂直線分に沿って伝達される線量を与える。繰り返しの破線の楕円形パターンは、粒子ビームの動きを示す。局部投影により、ステンシル122上のキャラクタ部分が照らされない。このため、点線部760および762は線量を受けない領域を示す。線量グラフ744は、測定線736に沿ってレジスト被覆面が受ける線量746を示す。線量グラフ744に示すように、局部投影の使用により、記録されたトラックの開始時および終了時において、局部投影を使用しない線量グラフ714よりもはるかに大きく線量が変化する。局部投影の使用により、レジスト被覆面に矩形パターン734が記録される。レジスト被覆面が受ける線量は、点750と点752との間ではほぼ一定(すなわち、X方向では)であるが、前述の図6(グラフ608および610)に示すように、登録パターンの底面から上端まで(すなわち、Y方向では)一定ではないことに留意されたい。図7Bに示す局部投影の使用は、前述の図5Cの例に示すような、種々のサイズのVSBアパーチャの使用に類似する。
【0030】
図8Aは集積回路デザインの層に接触、またはそれを経て生じ得るような、2つの正方形804および806を備えているパターンを示す。図8Bは、図8Aのパターンの進歩的なOPC処理から生じ得る曲線パターン810を示す。パターン810はレチクルに形成される所望パターンであり、基板上に804および806に類似するパターンを形成するために、光リソグラフィプロセスにおいてレチクルが用いられる。パターン810は2つの主な形状、すなわち形状812および形状814と、7つのSRAF形状、すなわち形状820、形状822、形状824、形状826、形状828、形状830、および形状832とから構成される。従来のVSBまたはCPショットを用いた、表面へのパターン810などの曲線パターンの形成には、多くのショット数が必要となる。図8Cは図8Bのパターン810の大部分の形成にどのように引き込みショットが用いられ得るかの例を示す図である。図8Cのパターン840は、円形CPキャラクタの9つの引き込みショットと、2つの矩形のVSBショットとからなる。各引き込みショットは、繰り返しの円形の破線パターンにより示される。各VSBショットはその内側が「X」で示される。主要な形状である形状842および形状844は、それぞれ、外周形状と、内側を形成する単一の矩形VSB形状とを規定する引き込みショットにより形成される。7つのSRAF形状は、形状850、形状852、形状854、形状856、形状858、形状860、および形状862であり、その各々が単一の引き込みショットから形成される。ショット中、粒子ビームの速度を変化させることにより、小さく幅が変化した各SRAF形状が形成され得る。パターン840の露光に用いられる円形CPキャラクタの直径は、主要な形状842および844の外周を描くよりも、SRAFを描くためにより重要である。CPキャラクタのサイズは、それ故、SRAF特徴の幅の範囲により最適なものが選択される。パターン840を形成するショットセットは、どのように効率的に引き込むかを示し、曲線パターンの形成に用いられ得る。
【0031】
図9は円形および環状キャラクタを用いた線量の比較例を示す図である。示すような垂直方向への円形または略円形キャラクタの投影像902の引き込みにより、切断面の線量、すなわち線量曲線904に示すような、引き込まれた投影像により形成されたトラックおける任意の水平線に沿った線量が達成される。示すような垂直方向への環状または略環状キャラクタ912の投影像912の引き込みにより、切断面の線量曲線914が形成され得る。円形プロジェクション像902の直径「d」は、環状の投影像912の外径「d」と等しい。円形キャラクタのショットと、環状キャラクタのショットとは同じ速度のショットが用いられる。環状の引き込みショットに関する曲線914の最大線量は、円形の引き込みショットに関する曲線904の最大線量よりも小さい。レジスト被覆面が吸収し得る全線量に最大限度が存在する状況においては、最大線量がより低いことが望ましい。さらに、環状キャラクタ912の使用により、同じ外径の円形キャラクタを用いるよりもクーロン効果が小さくなる。同様に、楕円環状、略楕円環状、長円環状、または略長円環状キャラクタの引き込みにより、切断面の最大線量がより小さくなり、楕円形、略楕円形、長円、または略長円各々の引き込みよりもクーロン効果が小さくなり得る。環状キャラクタ912の使用はまた、表面が受ける全線量を低減することにより、後方散乱を減少する。
【0032】
図10Aおよび図10Bは、複数のばらばらのパターンを備えたCPキャラクタを用いた引き込みショットの一例を示す図である。図10Aは2つのばらばらの正方形パターンを含む、CPキャラクタを用いた単一の従来のショットにより、表面に形成され得るパターン1002の一例を示す。パターン1002は正方形1004および正方形1006を備える。このパターンの基準点は点1008である。図10Bはパターン1002に用いられるのと同じキャラクタを用いた引き込みショットにより形成され得るパターン1022を示す。パターン1022は矩形1024および矩形1026を備える。引き込みショットは、直線パスにおいて第1の端点1030から矢印1034の方向に第2の端点1032に基準点1008を引き込むことを含む。図7Bに示すように、端点1030および1032の位置は、パターン1022を形成するための局部投影の使用に反映した位置である。図10Bの例では、ばらばらの正方形パターンを備えたCPキャラクタを引き込みショットに用いたが、ばらばらの矩形もしくは曲線パターン、またはそれらの組み合わせを含むCPキャラクタを用いてもよい。図10Bに示すように、複数のばらばらのパターンを含むキャラクタを用いた、直線または略直線パスを有する引き込みショットの使用は、例えば、集積回路デザインの書込層に存在し得る複数の平行パターンを表面に形成する効果的な方法でもある。複数のばらばらのパターンを有するキャラクタはまた、トラックの一部または全てが交差し得る場合に、平行でない複数のトラックを形成するために、曲線パスを有する引き込みショットを用いてもよい。
【0033】
1つ以上のショット群に対して表面が受ける線量が計算され得、グリフと呼ばれる二次元(XおよびY)の線量マップとして保存される。二次元線量マップまたはグリフは、グリフを含む、ショット周辺の計算された線量値の二次元グリッドである。この線量マップまたはグリフは、グリフライブラリに保存され得る。グリフライブラリは、設計においてパターンのフラクチャリング中に入力され得る。例えば、再度図3Bを参照するように、線量マップは引き込まれた円形CPショットおよびVSBショットから計算され得、グリフライブラリに保存される。フラクチャリング中、入力パターンの1つが円形パターン312と同じサイズの円である場合には、円形パターン312に関するグリフ、およびグリフを含む2つのショットがライブラリから読み出され得るため、円形の入力パターンを形成するための適切なショットセットを決定する計算労力が回避され得る。一連のグリフはまた、パラメータ化グリフを作成するために組み合わされ得る。パラメータは個々のパラメータでもよく、連続的なパラメータでもよい。例えば、複数のパターン直径に関する、円形パターン312などの円形パターンを形成するためのショットおよび線量マップが計算され得、個々のパラメータ化グリフを形成するために、複数の結果生じたグリフが組み合わされ得る。別の例では、パターン幅が、引き込みショット速度の関数としてパラメータ化され得る。
【0034】
図11は本開示に従う、フォトマスクを製造するための方法の例示の概念フロー図1100である。この実施形態では、プロセスに関する3種類の入力データがある。これらはすなわち、荷電粒子ビーム装置のステンシル上のCPキャラクタに関する情報であるステンシル情報1118と、それを上回るとレジストがパターンを記録するレジスト線量閾値などの情報を含むプロセス情報1136と、レチクルに形成される所望パターン1116のコンピュータ表現とである。さらに、最初の任意のステップ1102〜1112は、グリフライブラリの生成を含む。グリフライブラリ作成の選択的な第1のステップは、1つ以上のVSBまたはCPショットからのVSB/CPショット選択1102であり、特定の線量を有する各ショットがショットセット1104を作成するために組み合わされる。ショットセット1104は重複VSBショットおよび/または重複CPショットを含んでもよい。ショットセット1104は引き込まれたVSBおよび/またはCPショットをさらに含んでもよい。引き込みショットに関するショットパスが特定されてもよい。さらに、引き込みショットに関する線量は、荷電粒子ビーム速度として表現され得る。ショットセットのうちのショットはさらに、ビームぼけが特定されている場合がある。VSB/CPショット選択ステップ1102では、ステンシル上で利用可能なCPキャラクタに関する情報を含むステンシル情報1118を用いる。ショットセット1104はステップ1106において、荷電粒子ビームシミュレーションを用いてシミュレートされて、ショットセットの線量マップ1108が作成される。ステップ1106は前方散乱、レジスト拡散、クーロン効果、エッチング、フォギング、ローディング、レジスト帯電、および後方散乱を含む種々の物理現象のシミュレーションを含み得る。ステップ1106により、二次元線量マップ1108が作成され、これは、マップ内の各グリッド位置におけるショットセット1104からの組み合わせ線量を表す。線量マップ1108はグリフと呼ばれる。ステップ1110では、ショットセットの各ショット、および追加的なグリフの線量マップ1108に関する情報がグリフライブラリ1112に保存される。一実施形態では、グリフセットは、パラメータ化グリフと呼ばれる一種のグリフに組み合わされ得る。
【0035】
フロー1100の必須部分には、フォトマスクの生成ステップが含まれる。ステップ1120では、レチクルまたはレチクル部に関する組み合わせの線量マップが計算される。ステップ1120では、レチクルに形成される所望パターン1116、プロセス情報1136、ステンシル情報1118、およびグリフライブラリが作成されている場合は、グリフライブラリ1112を入力として用いる。ステップ1120では、レチクル線量マップが作成され得、これにショット線量マップなどのショット線量情報が組み合わされる。一実施形態では、レチクル線量マップはゼロに初期化される。別の実施形態では、レチクル線量マップのグリッド正方形は、後方散乱、フォギング、またはローディングなどの、局部レジストの現像液が減少する期間における長期にわたる効果に関する概算の補正を用いて初期化され得る。別の実施形態では、1つ以上のグリフ、または線量マップを用いないで決定された1つ以上のショットからの線量情報を用いてレチクル線量マップが初期化され得る。ステップ1120はVSB/CPショット選択1122、グリフ選択1134、またはそれらの両方を含み得る。引き込まれたVSBおよび/またはCPショットは、ショット選択1122において選択され得る。VSBまたはCPショットが選択されると、そのショットはステップ1124において荷電粒子ビームシミュレーションを用いてシミュレートされ、ショットの線量マップ1126が作成される。荷電粒子ビームシミュレーションは、形状をガウス分布でコンボリューションすることを含み得る。コンボリューションは形状の二次関数を用い得、二次関数が、点が形状の内側か、外側かを決定する。この形状はアパーチャ形状、複数のアパーチャ形状、またはそれらがわずかに変形した形状でもよい。一実施形態では、このシミュレーションは、一時的なショット線量マップキャッシュを用いるときのように、同一ショットの以前のシミュレーションの結果を検索することを含み得る。別の実施形態では、線量マップ以外の何らかの方法でショット線量情報が表現され得る。この他の表現では、ショット線量情報がレチクル線量マップに組み合わされる。最小よりも大きいビームぼけがVSBまたはCPショットに関して特定され得る。引き込みショットに関するショットパスが特定され得る。さらに、引き込みショットに関する線量は、荷電粒子ビーム速度として表現され得る。VSBおよびCPショットの両方は重複し得、互いに関連する様々な線量を有してもよい。グリフが選択された場合には、グリフの線量マップがグリフライブラリ1122から入力される。ステップ1120では、種々のグリフ線量マップおよびショット線量マップなどのショット情報が、レチクル線量マップに組み合わされる。一実施形態では、線量を加えることにより組み合わせが達成される。結果生じた組み合わせの線量マップ、およびレジスト特性を含むプロセス情報1136の使用により、レチクルパターンが計算され得る。レチクル像が所定の許容範囲内で所望パターン1116に一致する場合には、次に、決定されたVSB/CPショットおよび選択されたグリフを構成するショットを含む、組み合わせのショットリスト1138が出力される。計算されたレチクル像が、ステップ1120で計算された所定の許容範囲内のターゲット像1116に一致しない場合には、選択されたCPショット、VSBショット、および/またはグリフのセットが修正され、線量マップおよびレチクルパターンが再計算される。一実施形態では、初期のショットセットおよび/またはグリフは、ショットまたはグリフを変形する必要のない、コレクト・バイ・コンストラクション方式により決定されてもよい。別の実施形態では、ステップ1120は、選択されたVSB/CPショットおよびグリフにより表される全ショット数、全荷電粒子ビーム書込時間、または何らかの他のパラメータのいずれかを最小化するのに最適な技術を含む。さらなる別の実施形態では、複数のショットセットを生成するために、VSB/CPショット選択1122およびグリフ選択1134が実行され、この各々は、マルチパス書込を支持するために、通常よりも低い線量で所望パターン1116に一致するレチクル像を形成できる。
【0036】
組み合わせのショットリスト1138は、選択されたVSBショット、選択されたCPショット、および選択されたグリフを構成するショットの決定されたリストを備える。最終ショットリスト1138内の全てのショットは線量情報を含む。引き込みショットに関する線量は速度として表現され得る。最終ショットリスト内の全ての引き込みショットは、パス情報をさらに含む。ショットはさらに、ビームぼけ特定も含み得る。ステップ1140では、近接効果補正(PEC)および/または他の補正が実行され得るか、または補正が以前の推定から精密化され得る。引き込みショットに関するPECは、表面上の線量を調節する、引き込みショット速度の調節を含んでもよい。それ故、ステップ1140では、組み合わせのショットリスト1138を入力として用いて、引き込みショットに関するショット速度を含むショット線量を調節した最終ショットリスト1142が生成される。ステップ1120からステップ1142までのステップ群、またはこのステップ群のサブセットは、まとめてフラクチャリングまたはマスクデータ作成と呼ばれる。最終ショットリスト1142は、ステップ1144で荷電粒子ビーム装置によって用いられて、レチクルを被覆しているレジストを露光して、レジスト上にパターン1146を形成する。ステップ1148では、レジストが現像される。さらなる処理ステップ1150において、レチクルがフォトマスク1152に変形される。
【0037】
本開示において説明されるフラクチャリング、マスクデータ作成、近接効果補正、およびグリフ生成フローは、演算素子などの適切なコンピュータソフトウェアを有する汎用コンピュータを用いて実施され得る。大量の計算が要求される場合には、複数のコンピュータまたはプロセッサコアが並行して用いられ得る。一実施形態では、演算は、フロー中の1つ以上の演算集約ステップのための複数の二次元形状領域に下位区分されて並列処理をサポートし得る。別の実施例では、単一または複数で用いられる専用ハードウェア素子が用いられて、汎用コンピュータまたはプロセッサコアを用いる場合よりも高速で1つ以上のステップの演算が実行され得る。一実施形態では、本発明において説明される最適化およびシミュレーション工程は、全ショット数、または全荷電粒子ビーム書込時間、または何らかの他のパラメータを最小化するために、可能性のある解決策を修正および再計算する反復処理を含み得る。別の実施例では、ショット変更が不要であるように、ショットの初期セットがコレクト・バイ・コンストラクション方式によって決定され得る。
【0038】
前述の説明のように、引き込みショットの粒子ビームが通過するパスは、ショットリストにおいて数式として表現され得る。フラクチャリング演算、および荷電粒子ビーム装置の演算の両方に関する数式は、直接値を求められてもよい。代替的に、テーブル索引技術などのコンピュータ技術が用いられてもよい。これらの技術は、直接計算よりも速く値を求めることができる。
【0039】
本明細書は特定の実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者であれば、上記の説明を理解すれば、これらの実施例の変形例、変更例または均等物を容易に想到し得ることが認識されるであろう。フラクチャリング、グリフ作成、表面製造、および集積回路製造のための本発明の方法に対するこれらおよび他の修正例および変更例は、添付の請求項においてより特定的に記載される本願の主題の思想および範囲から逸脱することなく当業者によって実践され得る。さらに、当業者であれば、上記説明が例示的なものに過ぎず、限定的であることを意図しないことを認識するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書中のステップに対してステップを追加、削除または変更してもよい。一般的に、提示されるいずれのフローチャートも、機能を達成するための1つの可能性のある一連の基本的動作を示すことを意図しており、多くの変形例が可能である。したがって、本願の主題は、添付の請求項およびその均等物の範囲内にあるような、それらの修正例および変形例を含むことが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上にパターンを形成するための方法であって、
荷電粒子ビーム源を供給することと、
1つ以上のアパーチャにより前記荷電粒子ビームを成形することと、
前記表面上の第1の位置に前記成形荷電粒子ビームを露光することと、を含み、
前記表面は前記成形荷電粒子ビームにより露光され、前記成形荷電粒子ビームは所定パスを通り前記表面上の前記1の位置から第2の位置に移動し、前記表面上に前記パターンの一部を形成する引き込みショットを生成する、方法。
【請求項2】
前記パターンは曲線である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記荷電粒子ビームを成形する前記アパーチャの1つとして1つ以上のキャラクタプロジェクション(CP)キャラクタを含むステンシルを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記荷電粒子ビームを成形する前記CPキャラクタは、円形または略円形パターンの1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記荷電粒子ビームを成形する前記CPキャラクタは、長円形、略長円形、楕円形、略楕円形、環状、略環状、楕円環状、略楕円環状、長円環状、または略長円環状パターンの1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記荷電粒子ビームを成形する前記CPキャラクタが複数のばらばらのパターンを含むことにより、前記引き込みショットは前記表面に複数のトラックを形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記所定パスが直線または略直線であるため、前記ショットは前記表面に複数の平行または略平行のトラックを形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定パスは閉鎖形状を形成し、前記第2の位置は前記第1の位置と同じ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記引き込みショットは、前記パターンの外周または前記外周の一部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記引き込みショットはビームぼけ半径を含み、前記方法は、前記引き込みショットに用いられる前記ビームぼけ半径とは異なるビームぼけ半径を用いて、前記パターンの他の部分を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記所定パスは数式で表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記所定パスは一連の接続線分を表す一連の点で表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
追加的な引き込みショットおよび/または従来のショット、必要に応じてそれらの組み合わせの使用をさらに含み、前記完全なパターンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記引き込みショットは縦方向の線量データを含み、第1および第2の端点近辺の前記縦方向の線量データの傾斜を増大するために局部投影が用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
マルチパス露光技術を用いて前記表面に前記パターンを形成するために、第2の書き込みパスにおいて前記第2の端点から前記第1の端点に前記粒子ビームを引き込むことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記引き込みショットは線量を含み、前記引き込みショットの前記線量は、前記引き込まれた荷電粒子ビームの速度として表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記速度は直線速度であり、前記引き込まれた荷電粒子ビームの前記直線速度はショット中に変化する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面はウェハであり、前記方法は、前記ウェハ上に前記パターンセットを用いて、集積回路を製造することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
基板上に半導体デバイスを製造するための方法であって、前記方法はパターンセットを含むフォトマスクを提供することを含み、前記フォトマスクは、所定パスを通じてレチクル上の第1の位置から前記レチクル上の第2の位置まで成形ビーム荷電粒子ビームを移動することにより製造され、前記レチクルは前記成形荷電粒子ビームにより露光されて、パターンが形成され、
光リソグラフィを用いて、前記フォトマスクのパターンにより、前記基板に複数のパターンを形成する、方法。
【請求項20】
表面上にパターンを形成するためのシステムであって、
荷電粒子ビームショット情報を受取り可能な入力素子と、
ショットを作成するために、一定期間、荷電粒子ビームを放射可能な荷電粒子ビーム源と、
前記荷電粒子ビームを成形可能な1つ以上のアパーチャと、
前記表面上に前記荷電粒子ビームの焦点を合わせる1つ以上のレンズと、
前記ショット中、前記表面上の第1の位置と第2の位置との間に前記荷電粒子ビームを引き込み可能な偏向器と、を備えており、前記引き込みは前記ショット情報に特定されたパスをたどる、システム。
【請求項21】
前記荷電粒子ビーム源および前記レンズは最小特性のビームぼけ半径を有し、前記ビームぼけ半径は、前記ショット情報に基づいて、前記最小特性値よりも大きく調節され得る、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記偏向器は前記ショット情報において特定された速度において前記荷電粒子ビームを引き込む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記ショット情報において特定された前記速度は、前記表面上の前記第1の位置と前記第2の位置との間で変化する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記パスは数式で表される、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記パスは一連の接続線分を表す一連の点で表現される、請求項20に記載のシステム。
【請求項1】
表面上にパターンを形成するための方法であって、
荷電粒子ビーム源を供給することと、
1つ以上のアパーチャにより前記荷電粒子ビームを成形することと、
前記表面上の第1の位置に前記成形荷電粒子ビームを露光することと、を含み、
前記表面は前記成形荷電粒子ビームにより露光され、前記成形荷電粒子ビームは所定パスを通り前記表面上の前記1の位置から第2の位置に移動し、前記表面上に前記パターンの一部を形成する引き込みショットを生成する、方法。
【請求項2】
前記パターンは曲線である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記荷電粒子ビームを成形する前記アパーチャの1つとして1つ以上のキャラクタプロジェクション(CP)キャラクタを含むステンシルを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記荷電粒子ビームを成形する前記CPキャラクタは、円形または略円形パターンの1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記荷電粒子ビームを成形する前記CPキャラクタは、長円形、略長円形、楕円形、略楕円形、環状、略環状、楕円環状、略楕円環状、長円環状、または略長円環状パターンの1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記荷電粒子ビームを成形する前記CPキャラクタが複数のばらばらのパターンを含むことにより、前記引き込みショットは前記表面に複数のトラックを形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記所定パスが直線または略直線であるため、前記ショットは前記表面に複数の平行または略平行のトラックを形成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定パスは閉鎖形状を形成し、前記第2の位置は前記第1の位置と同じ位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記引き込みショットは、前記パターンの外周または前記外周の一部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記引き込みショットはビームぼけ半径を含み、前記方法は、前記引き込みショットに用いられる前記ビームぼけ半径とは異なるビームぼけ半径を用いて、前記パターンの他の部分を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記所定パスは数式で表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記所定パスは一連の接続線分を表す一連の点で表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
追加的な引き込みショットおよび/または従来のショット、必要に応じてそれらの組み合わせの使用をさらに含み、前記完全なパターンを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記引き込みショットは縦方向の線量データを含み、第1および第2の端点近辺の前記縦方向の線量データの傾斜を増大するために局部投影が用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
マルチパス露光技術を用いて前記表面に前記パターンを形成するために、第2の書き込みパスにおいて前記第2の端点から前記第1の端点に前記粒子ビームを引き込むことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記引き込みショットは線量を含み、前記引き込みショットの前記線量は、前記引き込まれた荷電粒子ビームの速度として表現される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記速度は直線速度であり、前記引き込まれた荷電粒子ビームの前記直線速度はショット中に変化する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面はウェハであり、前記方法は、前記ウェハ上に前記パターンセットを用いて、集積回路を製造することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
基板上に半導体デバイスを製造するための方法であって、前記方法はパターンセットを含むフォトマスクを提供することを含み、前記フォトマスクは、所定パスを通じてレチクル上の第1の位置から前記レチクル上の第2の位置まで成形ビーム荷電粒子ビームを移動することにより製造され、前記レチクルは前記成形荷電粒子ビームにより露光されて、パターンが形成され、
光リソグラフィを用いて、前記フォトマスクのパターンにより、前記基板に複数のパターンを形成する、方法。
【請求項20】
表面上にパターンを形成するためのシステムであって、
荷電粒子ビームショット情報を受取り可能な入力素子と、
ショットを作成するために、一定期間、荷電粒子ビームを放射可能な荷電粒子ビーム源と、
前記荷電粒子ビームを成形可能な1つ以上のアパーチャと、
前記表面上に前記荷電粒子ビームの焦点を合わせる1つ以上のレンズと、
前記ショット中、前記表面上の第1の位置と第2の位置との間に前記荷電粒子ビームを引き込み可能な偏向器と、を備えており、前記引き込みは前記ショット情報に特定されたパスをたどる、システム。
【請求項21】
前記荷電粒子ビーム源および前記レンズは最小特性のビームぼけ半径を有し、前記ビームぼけ半径は、前記ショット情報に基づいて、前記最小特性値よりも大きく調節され得る、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記偏向器は前記ショット情報において特定された速度において前記荷電粒子ビームを引き込む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記ショット情報において特定された前記速度は、前記表面上の前記第1の位置と前記第2の位置との間で変化する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記パスは数式で表される、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記パスは一連の接続線分を表す一連の点で表現される、請求項20に記載のシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【公表番号】特表2013−508973(P2013−508973A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535223(P2012−535223)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/051534
【国際公開番号】WO2011/049740
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(509142184)ディー・ツー・エス・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】D2S, INC.
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/051534
【国際公開番号】WO2011/049740
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(509142184)ディー・ツー・エス・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】D2S, INC.
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]