説明

荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法

【課題】多重描画する場合の描画時間の低減を図る電子ビーム描画装置を提供する。
【解決手段】描画装置100は、少なくとも2種以上の多重度の1つが設定された複数の多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度に合うように、複数の図形パターンが配置されるチップ領域が仮想分割された複数の小領域で構成される複数の層を作成するレイヤ作成部50と、多重回数目毎に層が分かれるように、各層の複数の小領域に当該小領域内の図形パターンをそれぞれ配置する図形配置部52と、電子ビームを用いて、多重度に応じて複数の小領域に当該小領域内の図形パターンを描画する描画部150と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム描画装置及び荷電粒子ビーム描画方法に係り、例えば、電子ビームを用いて多重描画する際の描画方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展を担うリソグラフィ技術は半導体製造プロセスのなかでも唯一パターンを生成する極めて重要なプロセスである。近年、LSIの高集積化に伴い、半導体デバイスに要求される回路線幅は年々微細化されてきている。これらの半導体デバイスへ所望の回路パターンを形成するためには、高精度の原画パターン(レチクル或いはマスクともいう。)が必要となる。ここで、電子線(電子ビーム)描画技術は本質的に優れた解像性を有しており、高精度の原画パターンの生産に用いられる。
【0003】
図12は、従来の可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
可変成形型電子線(EB:Electron beam)描画装置は、以下のように動作する。第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形例えば長方形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向され、第2のアパーチャ420の可変成形開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340に照射される。すなわち、第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、X方向に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式(VSB方式)という。
【0004】
かかる電子ビーム描画では、描画パターンを複数回重ねて描画を行う多重描画方式が一般に採用されている。多重描画方式では、チップ領域が仮想分割されたストライプ領域の領域間の境界などでのパターンのつなぎ精度の向上や、描画時のヒーティング(帯電)効果の軽減に効果がある。そのため、従来、描画対象となるチップ毎に描画の重ね回数(多重度)を設定して、設定された多重度で描画が行われる。
【0005】
また、電子ビーム描画では、近接効果等による寸法変動を照射量の増減で補正することが行われている。よって、描画される位置によって照射量が異なる場合が多い。そのため、最大の照射量でも上述したヒーティング(帯電)効果を軽減ができ、つなぎ精度が満足するように、チップ毎に多重度が予め決められて描画装置に入力されている。
【0006】
試料の1つとなるマスク上には、複数のチップのパターンを描画することが一般的に行なわれており、また、チップによって描画条件が異なっている場合も多い。例えば、あるチップは1回描画(多重度=1)で描画される。また、他のあるチップは多重描画(例えば多重度=2)で描画される(例えば、特許文献1参照)。従来、電子ビーム描画装置では、複数のチップのパターンをマスク上に描画する際、ある範囲内にレイアウトされる描画条件が同一のチップ同士をまとめて描画グループを構成し、描画グループ毎に描画していた。これにより、1つの描画グループ内を描画している間は同じ描画条件(多重度)で描画されることになる。
【0007】
多重度が大きくなるとその分描画時間が長くかかることになる。昨今のパターンの微細化に伴い、描画時間の短縮化が望まれている。そのため、かかる多重描画を行なう際の描画時間も短縮化することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−274036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、描画時間の短縮化が望まれている中、多重描画を行なう際でもかかる問題点を解決することが望ましい。しかし、従来、かかる問題を十分に解決するための手法が確立されていなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、多重描画する場合の描画時間の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画装置は、
少なくとも2種以上の多重度の1つが設定された複数の多重度設定領域情報を記憶する記憶部と、
複数の多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度に合うように、複数の図形パターンが配置されるチップ領域が仮想分割された複数の小領域で構成される複数の層を作成する作成部と、
多重回数目毎に層が分かれるように、各層の複数の小領域に当該小領域内の図形パターンをそれぞれ配置する配置部と、
荷電粒子ビームを用いて、多重度に応じて複数の小領域に当該小領域内の図形パターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度だけ多重度を設定する領域層を作成する。そして、多重回数目毎に層が分かれるように、各層の複数の小領域に当該小領域内の図形パターンをそれぞれ配置する。かかる構成により、多重回数目に応じて描画処理を行なうことができる。1つのチップ内でも領域によって異なる多重度を設定することで、従来のように一律に同じ多重度にしないので、多重度の低い領域では、描画回数が減る分の描画時間を短縮できる。
【0013】
また、図形パターンが配置された各小領域のデータをデータ処理する各小領域を分割した処理領域毎に多重度情報を定義する情報定義部をさらに備え、
描画部は、定義された多重度情報に沿った多重度で当該小領域内の図形パターンを描画すると好適である。
【0014】
或いは、多重回数目毎に、当該小領域よりも小さいサイズの複数のサブフィールド領域に当該小領域内の図形パターンを展開するサブフィールド展開部と、
各サブフィールド領域に多重度情報を定義する情報定義部と、
をさらに備え、
描画部は、定義された多重度情報に沿った多重度で当該小領域内の図形パターンを描画するように構成しても好適である。
【0015】
また、図形パターンが配置された各小領域のデータをデータ処理する各小領域を分割した処理領域毎に多重度種に応じて図形パターンが配置されると好適である。
【0016】
本発明の一態様の荷電粒子ビーム描画方法は、
少なくとも2種以上の多重度の1つが設定された複数の多重度設定領域情報を記憶する記憶装置から複数の多重度設定領域情報を読み出し、複数の多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度に合うように、複数の図形パターンが配置されるチップ領域が仮想分割された複数の小領域で構成される複数の層を作成する工程と、
多重回数目毎に層が分かれるように、各層の複数の小領域に当該小領域内の図形パターンをそれぞれ配置する工程と、
荷電粒子ビームを用いて、多重度に応じて前記複数の小領域に当該小領域内の図形パターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、チップを多重描画する場合でも描画時間の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図3】実施の形態1における描画手順を説明するための概念図である。
【図4】実施の形態1における異なる多重度設定領域が内部で設定されたストライプ内に描画されるパターンの一例を示す概念図である。
【図5】図4のストライプ領域において、ストライプ領域を増やす場合の一例を示す図である。
【図6】図5の処理領域の1つに多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。
【図7】図4のストライプについてSFで多重描画する場合の多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。
【図8】実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
【図9】実施の形態2におけるSF領域に多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。
【図10】実施の形態2におけるSFで多重描画する場合の多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。
【図11】実施の形態3における描画装置の構成を示す概念図である。
【図12】従来の可変成形型電子線描画装置の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。また、荷電粒子ビーム装置の一例として、可変成形型の描画装置について説明する。
【0020】
上述したように、従来、描画されるチップでは、一律に同じ多重度が設定されてきた。しかし、ヒーティング効果削減のためには、照射量の大きい領域のみ描画多重度を上げればよい。そこで、以下、実施の形態では、描画されるチップ内において、異なる多重度の領域を設定する。これにより、多重度の低い領域では、描画回数が減る分の描画時間を短縮できる。
【0021】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画部150と制御部160を備えている。描画装置100は、荷電粒子ビーム描画装置の一例である。特に、可変成形型の描画装置の一例である。描画部150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、主偏向器208及び副偏向器209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時には描画対象となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスクが含まれる。また、試料101には、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。
【0022】
制御部160は、制御計算機ユニット110、メモリ111、制御回路120、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142,144を有している。制御計算機ユニット110、メモリ111、制御回路120、及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142,144は、図示しないバスを介して互いに接続されている。
【0023】
制御計算機ユニット110内には、レイヤ作成部50、図形配置部52、(サブフィールド)SF展開部54、多重度情報付加部56、合成部58、及び描画データ処理部51が配置されている。レイヤ作成部50、図形配置部52、SF展開部54、多重度情報付加部56、合成部58、及び描画データ処理部51は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。レイヤ作成部50、図形配置部52、SF展開部54、多重度情報付加部56、合成部58、及び描画データ処理部51に入出力される情報および演算中の情報はメモリ111にその都度格納される。特に、描画データ処理部51は、データ処理量が膨大となり得るため、図示しない複数のCPUと複数のメモリ等で構成されると好適である。
【0024】
記憶装置140には、レイアウトデータ(描画データ)となるチップデータが装置外部から入力され、格納される。チップは複数の図形パターンにより構成される。
【0025】
記憶装置142には、多重度設定領域毎に多重度が設定された多重度設定領域情報が格納される。多重度設定領域としては、例えば、チップ領域を短冊状に仮想分割した描画処理単位となるストライプ領域が挙げられる。また、各ストライプ領域よりもサイズが小さいサブフィールド(SF)領域が挙げられる。その他、SF内でショットされるショット領域でもよい。記憶装置142には、少なくとも2種以上の多重度のいずれか1つが設定された複数の多重度設定領域情報が記憶される。1つの多重度設定領域情報には、例えば、多重度N=1の領域が示されている。また、他の多重度設定領域情報には、例えば、多重度N=2の領域が示されている。このように、描画される同じチップ内において、異なる多重度の領域が設定される。多重描画は、例えば、ストライプ領域とSF領域とで行われ、多重度Nは、ストライプ領域の描画回数aとSF領域の描画回数bとの積(N=a×b)で示される。よって、多重度設定領域情報には、ストライプ領域の描画回数aとSF領域の描画回数bが定義される。
【0026】
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。例えば、位置偏向用には、主偏向器208と副偏向器209の主副2段の偏向器を用いているが、1段の偏向器によって位置偏向を行なう場合であってもよい。
【0027】
図2は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図2において、実施の形態1における描画方法は、ストライプレイヤ、SFレイヤ作成工程(S102)と、層毎の領域への図形データ配置工程(S104)と、多重度情報付加工程(S108)と、データ処理工程(S114)と、描画工程(S116)といった一連の工程を実施する。
【0028】
図3は、実施の形態1における描画手順を説明するための概念図である。描画装置100では、試料101の描画領域が短冊状の複数のストライプ領域20に仮想分割される。図3では、例えば、1つのチップ10が試料101上に描画される場合を示している。もちろん、複数のチップが試料101上に描画される場合であっても構わない。かかるストライプ領域20の幅は、主偏向器208で偏向可能な幅で分割される。試料101に描画する場合には、XYステージ105を例えばx方向に連続移動させる。このように連続移動させながら、1つのストライプ領域20上を電子ビーム200が照射する。XYステージ105のX方向の移動は、連続移動とし、同時に主偏向器208で電子ビーム200のショット位置もステージ移動に追従させる。また、連続移動させることで描画時間を短縮させることができる。そして、1つのストライプ領域20を描画し終わったら、XYステージ105をy方向にステップ送りしてx方向(今度は逆向き)に次のストライプ領域20の描画動作を行なう。各ストライプ領域20の描画動作を蛇行させるように進めることでXYステージ105の移動時間を短縮することができる。
【0029】
図4は、実施の形態1における異なる多重度設定領域が内部で設定されたストライプ内に描画されるパターンの一例を示す概念図である。図4では、あるストライプ領域20内に、例えば、複数のセル30,32,34,36が配置される場合を示している。各セル30,32,34,36は、少なくとも1つの図形パターンから構成される。ここで、図4では、セル34の一部の領域12の多重度が、その他のストライプ領域20内の領域14の多重度とは異なる値に設定されている。例えば、領域14では、ストライプ領域でもSF領域でも1回描画(多重度N=1)で描画する。他方、領域12では、ストライプ領域を1回描画し、ストライプ内のSF領域を2回描画する。多重描画は、例えば、ストライプ領域とSF領域とで行われ、多重度Nは、ストライプ領域の描画回数aとSF領域の描画回数bとの積(N=a×b)で示される。すなわち、ストライプ領域を1回描画し、ストライプ内のSF領域を2回描画する領域12の多重度は、N=2となる。
【0030】
ストライプレイヤ、SFレイヤ作成工程(S102)として、レイヤ作成部50は、記憶装置142から複数の多重度設定領域情報を読み出し、複数の多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度(ストライプ領域とSF領域でのそれぞれの最大描画回数)に合うように、複数の図形パターンが配置されるチップ領域が仮想分割されたストライプ領域とSF領域(複数の小領域)で構成されるストライプレイヤ及びSFレイヤ(複数の層)を作成する。例えば、ストライプ領域毎にのみ多重描画を行う場合には、最大多重度分の複数のストライプレイヤを作成する。その場合、SFレイヤは1層分あればよい。逆に、SF領域毎にのみ多重描画を行う場合には、最大多重度分の複数のSFレイヤを作成する。その場合、ストライプレイヤは1層分あればよい。例えば、ストライプ領域で最大2回描画し、SF領域で最大1回描画する場合には、2層のストライプレイヤと1層のSFレイヤを作成する。例えば、ストライプ領域で最大1回描画し、SF領域で最大2回描画する場合には、1層のストライプレイヤと2層のSFレイヤを作成する。例えば、ストライプ領域で最大4回描画し、SF領域で最大2回描画する場合には、4層のストライプレイヤと2層のSFレイヤを作成する。
【0031】
層毎の領域への図形データ配置工程(S104)として、図形配置部52は、多重回数目毎に層が分かれるように、各層の複数のストライプ領域(小領域)に当該ストライプ領域内のセル(図形パターン)をそれぞれ配置する。図形配置部52は、配置部の一例である。
【0032】
図5は、図4のストライプ領域において、ストライプ領域を増やす場合の一例を示す図である。領域12は、多重度N=2で設定されているため、ストライプ領域或いはSF領域で2回描画する必要がある。図5の例では、ストライプ領域で2回描画する場合を示している。そのために、図5の例では、各ストライプレイヤのストライプ領域20に対応する2つのストライプ領域20a,20bを示している。1層目のストライプ領域20aには、セル30,32,34,36が配置される。2層目のストライプ領域20bには、セル34の一部である部分セル33が配置される。かかる2層のストライプ領域20a,20bを順に描画すれば、セル34の一部である部分セル33が1層目と2層目でそれぞれ描画されるので、多重度N=2で描画できる。
【0033】
ここで、ストライプ領域20は、データ処理単位としては大きいため、各ストライプ領域を複数の処理領域(DPB)に分割して、処理領域毎にデータ処理を行う。図5の例では、1層目のストライプ領域20aの下半分が、処理領域40(DPB1)と処理領域42(DPB2)に分割される。ここでは、ストライプ領域20aの上半分についての処理領域の図示を省略している。また、2層目のストライプ領域20bの下半分が、処理領域41(DPB3)に分割される。2層目のストライプ領域20bでは、セル34のうち、部分セル33しか無いので、下半分が、1つの処理領域41(DPB3)で処理可能である場合を示している。また、2層目のストライプ領域20bの上半分にはセルが配置されないので処理領域が不要である。
【0034】
多重度情報付加工程(S108)として、多重度情報付加部56は、図形パターンが配置された各ストライプ領域20(小領域)のデータをデータ処理する各小領域を分割した処理領域毎に多重度情報を定義する。多重度情報付加部56は、情報定義部の一例である。
【0035】
図6は、図5の処理領域の1つに多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。図6では、図5で示した処理領域40(DPB1)について示している。処理領域40には、一部が多重度N=2になる領域12を含むセル34が配置されている。まず、図形配置部52は、処理領域40を多重度種類数だけ複写して、処理領域40a,40bを作成する。そして、処理領域40aに1回描画(多重度N=1)の領域14だけの図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル32とセル34のうちの領域12以外の部分セル35が配置される。処理領域40bに2回描画(多重度N=2)の領域12に相当する図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル34のうちの領域12に位置する部分セル33が配置される。このように、図形パターンが配置された各ストライプ領域20(小領域)のデータをデータ処理する各ストライプ領域20(小領域)を分割した処理領域毎に多重度種に応じてセル(図形パターン)が配置される。そして、多重度情報付加部56は、処理領域40a,40bにそれぞれ多重度情報を定義する。処理領域40aには、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=1と情報を付加する。処理領域40bには、ストライプレイヤ(STL)数=2,SFレイヤ(SFL)数=1と情報を付加する。かかる多重度情報により、部分セル33がストライプ領域で2回、SF領域で1回描画されることがわかる。図示していないが、図5の処理領域41にもストライプレイヤ(STL)数=2,SFレイヤ(SFL)数=1と情報が付加される。
【0036】
図7は、図4のストライプについてSFで多重描画する場合の多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。上述した例では、ストライプ数を増やす場合を示したが、これに限るものではない。ストライプレイヤ数は1つで、SF領域で多重描画する場合もある。図7では、SF領域で多重描画する場合の多重度情報を付加する手法を示している。ストライプ数は増えないので、ここでは、図5のストライプ領域20bは作成せずにストライプ領域20aだけ作成する。ストライプ領域20aのうち、処理領域40には、多重度=1の領域14と多重度=2の領域12が混在する。多重度情報付加部56は、処理領域40を多重度種類数だけ複写して、処理領域40a,40bを作成する。そして、処理領域40aに1回描画(多重度N=1)の領域14だけの図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル32とセル34のうちの領域12以外の部分セル35が配置される。処理領域40bに2回描画(多重度N=2)の領域12に相当する図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル34のうちの領域12に位置する部分セル33が配置される。そして、多重度情報付加部56は、処理領域40a,40bにそれぞれ多重度情報を定義する。処理領域40aには、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=1と情報を付加する。処理領域40bには、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=2と情報を付加する。かかる多重度情報により、部分セル33がストライプ領域で1回、SF領域で2回描画されることがわかる。
【0037】
データ処理工程(S114)として、描画データ処理部51は、記憶装置140から描画データを入力し、各処理領域(DPB)に定義された多重度情報を用いて、処理領域毎に複数段のデータ変換処理を行って、描画回数目毎のショットデータを作成する。描画データ処理部51は、上述した処理領域(DPB)単位でデータ処理を行い、複数の処理領域におけるデータ処理が、並列処理される。そして、描画回数目毎のショットデータは記憶装置144に格納される。
【0038】
描画工程(S116)として、制御回路120は、設定された多重度で構成されたショットデータを記憶装置144から読み出し、描画部150を制御して、パターンを描画する。描画部150は、電子ビーム200を用いて、多重度に応じて複数のストライプ領域(小領域)に当該ストライプ領域内の図形パターンを描画する。言い換えれば、描画部150は、定義された多重度情報に沿った多重度で当該ストライプ領域内の図形パターンを描画する。描画部150は、具体的には以下のように動作する。
【0039】
電子銃201(放出部)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202により矩形例えば長方形の穴を持つ第1のアパーチャ203全体を照明する。ここで、電子ビーム200をまず矩形例えば長方形に成形する。そして、第1のアパーチャ203を通過した第1のアパーチャ像の電子ビーム200は、投影レンズ204により第2のアパーチャ206上に投影される。偏向器205によって、かかる第2のアパーチャ206上での第1のアパーチャ像は偏向制御され、ビーム形状と寸法を変化させることができる。そして、第2のアパーチャ206を通過した第2のアパーチャ像の電子ビーム200は、対物レンズ207により焦点を合わせ、主偏向器208及び副偏向器209によって偏向され、連続的に移動するXYステージ105に配置された試料101の所望する位置に照射される。図1では、位置偏向に、主副2段の多段偏向を用いた場合を示している。かかる場合には、主偏向器208でストライプ領域を仮想分割した小領域となるサブフィールド(SF)の基準位置にステージ移動に追従しながら電子ビーム200を偏向し、副偏向器209でSF内の各照射位置にかかるビームを偏向すればよい。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、1つのチップ内に複数の多重度が設定された場合に、処理領域毎に多重度情報を定義することで、多重度に応じた図形パターンの配置が可能となる。そのため、多重度に応じたデータ処理ができる。そして、不要な領域について多重度を減らし、逆に必要な領域について多重度を増やすように多重度領域情報を設定することで、ストライプ間或いはSF間でのつなぎ精度を保ち、かつヒーティング効果削減を達成できつつ描画時間を短縮できる。よって、従来のように最大多重度ですべて描画する場合に比べて、描画時間の低減を図ることができる。よって、チップを多重描画する場合でも描画時間の低減を図ることができる。
【0041】
実施の形態2.
実施の形態1では、処理領域単位で多重度情報が付加されたがこれに限るものではない。実施の形態2では、SF領域単位で多重度情報が付加される場合について説明する。描画装置100の構成は図1と同様である。また、以下、特に説明しない内容については実施の形態1と同様である。
【0042】
図8は、実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図8において、多重度情報付加工程(S108)の代わりに、SF展開工程(S106)と、多重度情報付加工程(S110)と、DPB合成工程(S112)が配置された点以外は、図2と同様である。
【0043】
図9は、実施の形態2におけるSF領域に多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。図9では、ストライプ領域で2回描画し、SF領域で1回描画する例を示している。例えば、ストライプ領域で2回描画し、SF領域で1回描画する場合、図5で示したように2つのストライプ領域20a,20bが作成される。そして、ストライプ領域20a内の処理領域40(DPB1)には、セル32と一部が多重度N=2になる領域12を含むセル34とが配置されている。そのため、図6で示したように、2つの処理領域40a,40bが作成される。そして、処理領域40aに1回描画(多重度N=1)の領域14だけの図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル32とセル34のうちの領域12以外の部分セル35が配置される。処理領域40bに2回描画(多重度N=2)の領域12に相当する図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル34のうちの領域12に位置する部分セル33が配置される。しかし、実施の形態2では、これら処理領域40a,40bに多重度情報を付加しないでSF展開する。層毎の領域への図形データ配置工程(S104)までの各工程は実施の形態1と同様である。
【0044】
SF展開工程(S106)として、SF展開部54は、多重回数目毎に、ストライプ領域よりも小さいサイズの複数のSF領域に当該ストライプ領域内の図形パターンを展開する。ここでは、SF展開部54は、処理領域毎に、SF展開して、各層のSFレイヤの対応する各SF領域に図形パターンを配置する。図9において、1層目のSFレイヤのうちの1層目の処理領域40aに対応する複数のSF領域60aの各SF領域60a内には、セル32と部分セル35を構成する図形パターンのうちの当該SF領域内に位置する図形パターンが配置される。1層目のSFレイヤのうちの1層目の処理領域40bに対応する複数のSF領域60bの各SF領域60b内には、部分セル33を構成する図形パターンのうちの当該SF領域内に位置する図形パターンが配置される。図示していないが、2層目のストライプ領域20bでもSF展開され、図5で示した処理領域41に対応する2層目のSFレイヤの対応する各SF領域に部分セル33を構成する図形パターンのうちの当該SF領域内に位置する図形パターンが配置されることは言うまでもない。
【0045】
多重度情報付加工程(S110)として、多重度情報付加部56は、各サブフィールド領域に多重度情報を定義する。各SF領域60aには、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=1と情報を付加する。各SF領域60bには、ストライプレイヤ(STL)数=2,SFレイヤ(SFL)数=1と情報を付加する。かかる多重度情報により、部分セル33がストライプ領域で2回、SF領域で1回描画されることがわかる。図示していないが、図5の処理領域41に対応する2層目のSFレイヤの対応する各SF領域にもストライプレイヤ(STL)数=2,SFレイヤ(SFL)数=1と情報が付加される。
【0046】
DPB合成工程(S112)として、合成部58は、描画回数目毎に複写した処理領域を合成する。図9の例では、2つの処理領域40a,40bが合成され、1つの処理領域40となる。そして、合成後の処理領域40には、多重度情報が異なるSF領域60aのグループのデータとSF領域60bのグループのデータとが混在する。
【0047】
図10は、実施の形態2におけるSFで多重描画する場合の多重度情報を付加する手法を説明するための概念図である。上述した例では、ストライプ数を増やす場合を示したが、これに限るものではない。ストライプレイヤ数は1つで、SF領域で多重描画する場合もある。図10では、SF領域で多重描画する場合の多重度情報を付加する手法を示している。ストライプ数は増えないので、ここでは、図5のストライプ領域20bは作成せずにストライプ領域20aだけ作成する。ストライプ領域20a内の処理領域40(DPB1)には、セル32と一部が多重度N=2になる領域12を含むセル34とが配置されている。そのため、図10で示したように、2つの処理領域40a,40bが作成される。そして、処理領域40aに1回描画(多重度N=1)の領域14だけの図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル32とセル34のうちの領域12以外の部分セル35が配置される。処理領域40bに2回描画(多重度N=2)の領域12に相当する図形パターンを配置する。すなわち、ここでは、セル34のうちの領域12に位置する部分セル33が配置される。
【0048】
そして、SF展開工程(S106)として、SF展開部54は、多重回数目毎に、複数のSF領域に当該ストライプ領域内の図形パターンを展開する。ここでは、SF展開部54は、処理領域毎に、SF展開して、各層のSFレイヤの対応する各SF領域に図形パターンを配置する。図10において、1層目のSFレイヤのうちの処理領域40aに対応する複数のSF領域60aの各SF領域60a内には、セル32と部分セル35を構成する図形パターンのうちの当該SF領域内に位置する図形パターンが配置される。1層目のSFレイヤのうちの処理領域40bに対応する複数のSF領域60bの各SF領域60b内には、部分セル33を構成する図形パターンのうちの当該SF領域内に位置する図形パターンが配置される。2層目のSFレイヤのうちの処理領域40bに対応する複数のSF領域62の各SF領域62内には、部分セル33を構成する図形パターンのうちの当該SF領域内に位置する図形パターンが配置される。
【0049】
多重度情報付加工程(S110)として、多重度情報付加部56は、各サブフィールド領域に多重度情報を定義する。各SF領域60aには、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=1と情報を付加する。各SF領域60bには、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=2と情報を付加する。各SF領域62には、ストライプレイヤ(STL)数=1,SFレイヤ(SFL)数=2と情報を付加する。かかる多重度情報により、部分セル33がストライプ領域で1回、SF領域で2回描画されることがわかる。
【0050】
そして、DPB合成工程(S112)として、合成部58は、描画回数目毎に複写した処理領域を合成する。図10の例では、2つの処理領域40a,40bが合成され、1つの処理領域40となる。そして、合成後の処理領域40には、多重度情報が異なるSF領域60aのグループのデータとSF領域60bのグループのデータとSF領域62のグループのデータとが混在する。
【0051】
データ処理工程(S114)として、描画データ処理部51は、記憶装置140から描画データを入力し、各SF領域に定義された多重度情報を用いて、処理領域毎に複数段のデータ変換処理を行って、描画回数目毎のショットデータを作成する。描画データ処理部51は、上述した処理領域(DPB)単位でデータ処理を行う点は実施の形態1と同様である。そして、描画回数目毎のショットデータは記憶装置144に格納される。以下の工程は実施の形態1と同様である。
【0052】
以上のように、実施の形態2によれば、1つのチップ内に複数の多重度が設定された場合に、SF毎に多重度情報を定義することで、多重度に応じた図形パターンの配置が可能となる。そのため、多重度に応じたデータ処理ができる。そして、不要な領域について多重度を減らし、逆に必要な領域について多重度を増やすように多重度領域情報を設定することで、ストライプ間或いはSF間でのつなぎ精度を保ち、かつヒーティング効果削減を達成できつつ描画時間を短縮できる。よって、従来のように最大多重度ですべて描画する場合に比べて、描画時間の低減を図ることができる。よって、チップを多重描画する場合でも描画時間の低減を図ることができる。
【0053】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、チップ内で複数の多重度領域が設定された多重度設定領域情報を外部から入力していたが、これに限るものではない。
【0054】
図11は、実施の形態3における描画装置の構成を示す概念図である。図11において、制御計算機ユニット110内に多重度領域設定部61が追加された点以外は図1と同様である。多重度領域設定部61、レイヤ作成部50、図形配置部52、SF展開部54、多重度情報付加部56、合成部58、及び描画データ処理部51は、電気回路等のハードウェアで構成されてもよいし、これらの機能を実行するプログラム等のソフトウェアで構成されてもよい。或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより構成されてもよい。多重度領域設定部61、レイヤ作成部50、図形配置部52、SF展開部54、多重度情報付加部56、合成部58、及び描画データ処理部51に入出力される情報および演算中の情報はメモリ111にその都度格納される。特に、描画データ処理部51は、データ処理量が膨大となり得るため、図示しない複数のCPUと複数のメモリ等で構成されると好適である。
【0055】
記憶装置142には、実施の形態3における多重度設定に必要な情報が装置外部から入力され、格納される。例えば、ストライプ間、サブフィールド(SF)間、或いは、ショット間の必要なつなぎ精度を維持するために必要な多重度Nを示す多重度情報が格納される。さらに、必要な多重度の判定に必要な照射量しきい値Aが格納される。さらに、必要な多重度の判定を行う判定領域を示す判定領域情報が格納される。さらに、多重度を可変に設定する際の単位領域となる多重度可変領域を示す多重度可変領域情報が格納される。さらに、描画1回あたりの照射量が照射量しきい値Aより大きくならない範囲で、多重度情報に定義された多重度よりも低い多重度に減らすことを許可するか不許可にするかを示す可否フラグが格納される。
【0056】
多重度領域設定部61は、チップ領域が仮想分割された複数のストライプ領域およびSF領域の少なくとも一部に他とは異なる多重度が設定されるように、多重度を設定する。また、多重度領域設定部61は、判定領域情報に示す判定領域毎に、描画1回あたりの照射量Dが照射量しきい値Aより大きくならない範囲での最小多重度となる多重度N’(但し、N’は1以上)を算出する。そして、多重度可変領域情報に示された多重度可変領域毎に、多重度可変領域内に位置する、或いは多重度可変領域と重なる判定領域で算出された多重度N’の最大値N”を算出する。そして、多重度最大値N”と多重度情報が示す多重度Nを比較する。多重度最大値N”が多重度Nより小さい場合、可否フラグに基づいて多重度を低くしてよい場合には当該多重度可変領域の多重度をN”と設定する。可否フラグにより、若しくはフラグが定義されておらず多重度を低くすることが許可されていない場合には当該多重度可変領域の多重度をNと設定する。また、多重度最大値N”が多重度Nより小さくない場合、当該多重度可変領域の多重度をN”と設定する。
【0057】
以上のように構成することで、多重度最大値N”が多重度Nより小さい場合で可否フラグに基づいて多重度を低くしてよい場合には、当該多重度可変領域の多重度を入力された多重度Nよりも低くできる。その結果、低くしたストライプ領域およびSF領域の描画回数が減るので描画時間を短縮できる。逆に、D>Aの場合で多重度最大値N”が多重度Nより小さくない場合、局所的に多重度を増やすことができ、ヒーティング効果による寸法変動を抑制できる。以上のようにして、多重度設定領域毎に多重度が設定された多重度領域が設定される。以下、実施の形態1或いは実施の形態2と同様である。
【0058】
以上のように、描画装置100内で多重度を可変に設定することで、不要な領域について多重度を減らし、逆に必要な領域について多重度を増やすように多重度領域情報を設定することで、ストライプ間或いはSF間でのつなぎ精度を保ち、かつヒーティング効果削減を達成できつつ描画時間を短縮できる。
【0059】
ここで、上述した各実施の形態において、ストライプ領域単位で多重描画する場合、描画順序は、1層目のすべてのストライプ領域を描画した後で、2層目のストライプ領域を描画しても良いし、下から順にストライプ領域を描画していき、多重度=2のストライプ領域について1層目分の描画の後、続けて2層目分の描画を行なっても良い。
【0060】
また、SF領域単位で多重描画する場合、描画順序は、ストライプ領域の左側の列から右の列に向かって順に描画され、各列では例えば下から上に向かって順に描画される。例えば1列目の下側のSFから上側に向かって(y方向に向かって)順に描画され、1列目の1層目の描画が終了した後に、1列目の2層目の描画がおこなわれる。そして、1列目が終了後、2列目のSFを同様に順に描画していく。
【0061】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0062】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
【0063】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての荷電粒子ビーム描画装置及び方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0064】
10 チップ領域
12,14 領域
20 ストライプ領域
30,32,34,36 セル
33,35 部分セル
40,41,42 処理領域
50 レイヤ作成部
51 描画データ処理部
52 図形配置部
54 SF展開部
56 多重度情報付加部
58 合成部
60,62 SF領域
61 多重度領域設定部
100 描画装置
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機ユニット
111 メモリ
120 制御回路
140,142,144 記憶装置
150 描画部
160 制御部
200 電子ビーム
201 電子銃
202 照明レンズ
203,410 第1のアパーチャ
204 投影レンズ
205 偏向器
206,420 第2のアパーチャ
207 対物レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
330 電子線
411 開口
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種以上の多重度の1つが設定された複数の多重度設定領域情報を記憶する記憶部と、
前記複数の多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度に合うように、複数の図形パターンが配置されるチップ領域が仮想分割された複数の小領域で構成される複数の層を作成する作成部と、
多重回数目毎に層が分かれるように、各層の前記複数の小領域に当該小領域内の図形パターンをそれぞれ配置する配置部と、
荷電粒子ビームを用いて、多重度に応じて前記複数の小領域に当該小領域内の図形パターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項2】
前記図形パターンが配置された各小領域のデータをデータ処理する各小領域を分割した処理領域毎に多重度情報を定義する情報定義部をさらに備え、
前記描画部は、定義された多重度情報に沿った多重度で当該小領域内の図形パターンを描画することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項3】
多重回数目毎に、当該小領域よりも小さいサイズの複数のサブフィールド領域に当該小領域内の図形パターンを展開するサブフィールド展開部と、
各サブフィールド領域に多重度情報を定義する情報定義部と、
をさらに備え、
前記描画部は、定義された多重度情報に沿った多重度で当該小領域内の図形パターンを描画することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項4】
前記図形パターンが配置された各小領域のデータをデータ処理する各小領域を分割した処理領域毎に多重度種に応じて図形パターンが配置されることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の荷電粒子ビーム描画装置。
【請求項5】
少なくとも2種以上の多重度の1つが設定された複数の多重度設定領域情報を記憶する記憶装置から前記複数の多重度設定領域情報を読み出し、前記複数の多重度設定領域情報に設定された多重度のうち、最大多重度に合うように、複数の図形パターンが配置されるチップ領域が仮想分割された複数の小領域で構成される複数の層を作成する工程と、
多重回数目毎に層が分かれるように、各層の前記複数の小領域に当該小領域内の図形パターンをそれぞれ配置する工程と、
荷電粒子ビームを用いて、多重度に応じて前記複数の小領域に当該小領域内の図形パターンを描画する工程と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−15245(P2012−15245A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148842(P2010−148842)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(504162958)株式会社ニューフレアテクノロジー (669)
【Fターム(参考)】