説明

荷電粒子ビーム発生装置、荷電粒子ビーム照射装置及びそれらの運転方法

【課題】直線加速器の運転周期に対する最短周期制限を維持したまま円形加速器に対する荷電粒子ビームの入射を任意のタイミングで行うことを可能として照射時間を短縮し、治療時間を短くする荷電粒子ビーム発生装置、荷電粒子ビーム照射装置及びそれらの運転方法を提供する。
【解決手段】加速器機器制御装置210はビーム利用系制御装置400からのビーム出射要求信号によりシンクロトロン200の運転を制御する。制御装置400はシンクロトロン200の出射完了後に次の運転サイクルの入射タイミングを知らせるタイミング信号を発生し、直線加速器111の運転タイミングを変更して入射タイミングに合致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子ビーム発生装置、荷電粒子ビーム照射装置及びそれらの運転方法に係わり、特に円形加速器とその入射用直線加速器を備えた荷電粒子ビーム発生装置、この荷電粒子ビーム発生装置とその運転方法、荷電粒子ビーム発生装置から出射した荷電粒子ビームを腫瘍等の患部(照射対象)に照射する照射装置とを備え、荷電粒子ビームの照射により患部を治療する荷電粒子ビーム照射装置とその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シンクロトロンなどの円形加速器にはその前段として入射用の直線加速器が用いられる。直線加速器はイオン源で発生した荷電粒子を加速し所定のエネルギーまで加速し円形加速器に入射するもので、円形加速器でさらに高いエネルギーまで加速された粒子は例えばがんなどの患者の患部に荷電粒子ビームを照射する粒子線治療に用いられる。
【0003】
粒子線治療用円形加速器の入射用直線加速器の運転は加速用に高周波の電圧を用いることが知られており、それを発生する高周波電源装置が備わっている。また荷電粒子発生用イオン源についてもイオンを発生させるための高周波が必要で、それを発生させるイオン源用の高周波電源も備わっている。したがって直線加速器の運転周期はこれら高周波電源の運転周期で定まり、その周期の最小値は0.5秒、すなわち周波数2Hz(非特許文献1 367頁)や0.2秒、すなわち周波数5Hz(非特許文献2 2734頁)となっている。
【0004】
直線加速器の運転周期が固定になっている、または最短周期に制限がある理由として、高周波電源の運転周期を大きく、例えば固定周期や最短周期の3、4倍まで大きくした場合にその動作や高周波特性に定常的な動作から逸脱した不安定性が生じてビーム特性に影響を与えること、また高周波電源の周期を小さく、例えば固定周期や最短周期の数分の1まで小さくした場合に高周波電源や高周波機器の熱負荷等が大きくなり不安定性が生じてビーム特性に影響を与えることなどが知られている。運転周期を小さくした場合の熱負荷については、その熱による機器の故障もあり得るので、機器を保護するために運転間時間(運転周期)を長く取る、すなわち最短周期に制限を加えざるを得ない。
【0005】
なお加速用高周波電源とイオン源用高周波電源を備えた直線加速器についてそれぞれがおおむね固定周期で運転されている場合に、必要なタイミングに入射器からの荷電粒子ビームを供給させる方法として、荷電粒子が不要な場合にはこれら2つのタイミングの一方に運転周期からは十分小さい遅延を加えて荷電粒子が加速されないようにし、必要な場合はその遅延を加えず加速用高周波とイオン源用高周波を一致させて、必要な場合にのみ荷電粒子ビームを加速する方法が知られている(非特許文献3 I-17,18頁)。
【0006】
一方、円形加速器で加速された荷電粒子ビームを粒子線治療に用いる場合には、患者の呼吸や心拍などによって患部の位置が変化することがあり、患部が設定位置にあるときのみ荷電粒子ビームを出射するような円形加速器の制御がある(特許文献1)。しかしながら、特許文献1記載の通り任意のタイミングで円形加速器への入射を試みた場合、その前段加速器である入射器の運転周期が固定あるいは最短周期に制限があった場合、入射を試みたタイミングより最長でその1運転周期分に相当する待ち時間が必要となり、所望の円形加速器の運転が不可能になること、またその待ち時間分だけ照射時間が長くなり患者への負担が大きくなることが考えられる。
【0007】
また、荷電粒子ビームを粒子線治療に用いる場合、患部を深さ方向の層状に分割しその層内を患部形状に合致させて荷電粒子ビームを走査し、層内の照射を完了後円形加速器から出射される荷電粒子ビームのエネルギーを変更しながら照射する方法がある(特許文献1及び2)。特許文献2の図8に示されている通りこの照射では円形加速器において照射対象の層を変更する場合には前段加速器へのビーム出射信号を送り荷電粒子を加速するが、前段加速器の運転周期が固定あるいは最短周期に制限があった場合、入射を試みたタイミングより最長でその1運転周期分に相当する待ち時間が必要となり、所望の円形加速器の運転が不可能になること、またその待ち時間分だけ照射時間が長くなり患者への負担が大きくなることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許3518270号
【特許文献2】特許2833602号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kenji SAWADA, et al. “Design, Manufacture, and Performance Test of the Injector for Hyogo Hadrontherapy Center” Proc. of The 12th Symposium on Accelerator Science and Technology, Wako Japan 1999
【非特許文献2】M.Maier et.al “Commissioning of the Linac for the Heidelberg Heavy Ion Cancer Therapy Center(HIT)” Proc. of Particle Accelerator Conference 2007
【非特許文献3】高木 昭 OHO’96 高エネルギー加速器セミナー 大型ハドロン計画の第強度陽子加速器(1996年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の入射用直線加速器では上記のように運転周期が固定あるいは最短周期に制限があることから円形加速器からのビーム要求タイミングに対して最長でその1運転周期分に相当する待ち時間が必要となっていた。したがって、円形加速器で生成される高エネルギーの荷電粒子ビームを粒子線治療に用いる場合において患者の動きに同期した運転のため、あるいは患部を複数の層や領域に分割した照射に対する運転のための円形加速器の運転に制限が生じる、また患者に対する照射時間が長くなってしまい患者の負担が大きくなる、治療設備における単位時間当たりの治療可能患者数が減少してしまうという問題点があった。一方、入射用直線加速器において任意のタイミングでビームを利用可能とするためには、その運転周期を可変とする、特に高周波電源の運転間時間、すなわち運転周期を短縮化する必要が出てくるが、その影響で直線加速器の動作やビーム特性に不安定性が発生すること、また高周波電源や高周波機器の熱負荷等により機器が正常に動作しなくなることが予想され、その対策として高周波電源の高性能化、直線加速器の大型化が必要となるという問題点があった。
【0011】
本発明の目的は、直線加速器の運転周期に対する最短周期制限を維持したまま円形加速器に対する荷電粒子ビームの入射を任意のタイミングで行うことを可能として照射時間を短縮し、治療時間を短くする荷電粒子ビーム発生装置、荷電粒子ビーム照射装置及びそれらの運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するための本発明の特徴は、円形加速器の入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期において、荷電粒子ビームの出射工程完了後に、直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう直線加速器の運転タイミングを変更して、直線加速器の運転タイミングを円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させることである。また、そのために、円形加速器の入射、加速、出射、減速工程を制御するタイミング制御に対し、出射工程完了後に直線加速器に対して事前に入射要求のタイミングを知らせるプレトリガタイミングを設けることである。
【0013】
これにより直線加速器の運転周期に対する最短周期制限を維持したまま円形加速器に対する荷電粒子ビームの入射を任意のタイミングで行うことが可能となり、直線加速器の運転周期、すなわち直線加速器の有する高周波電源のパルス発生間の時間を短縮化することなく、円形加速器の入射要求タイミングに合わせて直線加速器からの入射ビームを得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転周期の最短周期に制限のある入射用直線加速器を用いた円形加速器において、任意のタイミングで円形加速器へ荷電粒子ビームを入射することが可能となり、直線加速器の運転周期を短縮化することなく、円形加速器の入射要求タイミングに合わせて直線加速器からの入射ビームを得ることが可能となる。その結果、円形加速器で加速された荷電粒子ビームを用いる荷電粒子ビーム照射装置において、患者へ照射時間を短縮して治療時間を短くし、システムの効率的な運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の全体概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置のシンクロトロンの運転パターンの詳細を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の加速器制御装置の詳細を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置のシンクロトロンの運転パターンにおいて、出射時の励磁レベルによる動作の相違を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の動作を定める判定を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の全体概略構成を表す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の照射装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の照射対象である患部の深さ方向の特定層に設定された線量区画及びビームの走査経路を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の全体概略構成を表す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態である荷電粒子ビーム照射装置の患部移動検出信号とビーム照射可能信号の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を用いて説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における荷電粒子ビーム照射装置の全体構成を示す概略図である。
【0017】
本実施の形態における荷電粒子ビーム照射装置は、荷電粒子ビームを発生してシンクロトロン(円形加速器)200への入射に必要なエネルギーまで加速する入射器システム100、入射器システム100にて生成した荷電粒子ビームをシンクロトロン200まで輸送する入射輸送系130、入射した荷電粒子ビームを所望のエネルギーまで加速する前記のシンクロトロン(円形加速器)200、シンクロトロン200で加速した荷電粒子ビームを利用するビーム利用系500、加速器機器制御装置(制御装置又は第2制御装置)210及びビーム利用系制御装置(第1制御装置)400で構成される。
【0018】
入射器システム100は、荷電粒子を発生させるイオン源101とその電源102、発生した荷電粒子を加速する直線加速器111とその加速用パルス電圧を生成する高周波電源112、入射器制御装置120から構成される。シンクロトロン200は、偏向電磁石201、高周波加速空胴202、ビーム出射用機器203,205、入射に用いられる入射機器204などから構成される。入射器システム100やシンクロトロン200は加速器機器制御装置210で制御され、ビーム利用系500の制御装置400からのビーム出射要求信号、シンクロトロンの運転パターンの移行を要求する次パターン移行要求信号、シンクロトロンから出射されるエネルギーを変更させるエネルギー切り替え要求信号などに基づき動作する。入射器システム100とシンクロトロン200と加速器機器制御装置210は荷電粒子ビーム発生装置を構成する。
【0019】
図2に典型的な動作のタイミングチャートを示す。図2(a)はビーム利用系制御装置400から生じるビーム利用系出射要求信号を示し、ビーム利用系で必要な条件の荷電粒子ビームを要求する。図2(b)はシンクロトロン200の運転パターンである電磁石励磁パターンの代表として偏向電磁石201の励磁パターンを示し、入射工程、加速工程、出射工程、減速工程からなる。シンクロトロン200はこれらの工程の各期間を含む時間を1運転周期(1運転サイクル)として動作する。
【0020】
このシンクロトロンの電磁石励磁パターンについての詳細を図3に示す。図3において、入射タイミングは、直線加速器111で加速した荷電粒子ビームをシンクロトロン200に入射するタイミングであり、この入射タイミング以降、入射工程、加速工程を経て出射工程が開始されるまでの間、及び出射工程が完了してから、減速工程を経て次サイクルの入射タイミングに至るまでの間は電磁石励磁パターンとそれに対応した高周波加速や減速の制御が同期している。入射タイミング、入射工程、加速工程、減速工程中のパターンや時間はパターン作成時に予め定めておくものである。
【0021】
一方、直線加速器111の高周波運転は図2(c)に示す周期(ここで運転周期をTcycとする)で行われる。図2(c)において「入射器高周波運転」は直線加速器111の高周波運転周期を意味する。以下の説明で「入射器高周波運転」という場合も同様である。シンクロトロン200の運転周期がこの入射器運転周期Tcycと一致、もしくはTcycの整数倍となっていれば、シンクロトロン200の入射タイミングと直線加速器111からビームを供給可能なタイミング(線形加速器111の運転タイミング)が一致し、問題なく入射可能となるが、図2(a)に示した通りビーム利用系500からの出射要求信号の時間が不定期な場合や、その時間が定期的であってもシンクロトロン200の運転周期が入射器運転周期Tcycの整数倍となっていない場合は、シンクロトロン200の運転上必要な入射タイミングに入射器運転周期が合致せず、入射工程でシンクロトロン側が待機する待ち時間が発生する。
【0022】
しかし、本実施の形態では、シンクロトロン200の運転中、出射完了以降の特定のタイミングに入射器システム100に対してシンクロトロン200の次の運転周期のビームの入射タイミングを知らせる入射プレトリガ信号を発生させ、この入射プレトリガ信号に基づいて直線加速器111の高周波運転タイミングを変更して入射器運転周期を一時的に大きくし、シンクロトロン200の入射タイミングと直線加速器111からビームを供給可能なタイミング(直線加速器111の運転タイミング)を一致させる。図2(d)に実際のビーム入射タイミングを示す。入射プレトリガ信号の発生タイミングは出射完了後から次の運転サイクルの入射タイミングに至るまでの間のうち、図3の減速工程終了までの間に設定する。
【0023】
シンクロトロン200運転中に発生させる入射プレトリガ信号から次のシンクロトロン運転周期の入射タイミングまでの時間を図2に示す通りTpreとする。入射プレトリガ信号の発生タイミングは次のシンクロトロン運転周期の入射タイミング(既知)からTpre前の時点に設定される。図2に示した例は直線加速器111の運転周期Tcycと入射プレトリガ信号発生から入射までの時間Tpreが等しい、すなわちTpre=Tcycのケースである。この場合、入射プレトリガ信号の発生時点を基準に新たな入射器高周波運転周期を開始する、すなわち入射プレトリガ信号の発生タイミングから直線加速器111の運転周期Tcyc経過後に直線加速器111の高周波運転タイミング信号を発生させることで、そのときの直線加速器111の実際の周期はT’cycと一時的に大きくなり、入射器運転周期を短縮することなくシンクロトロン200の入射タイミングに合致して直線加速器111からビームを供給することが可能となる。
【0024】
また、この運転方法により大きくなる運転周期T’cycはもともとの基本周期Tcycの2倍を超えることはない、すなわちT’cyc<2・Tcycの関係となり、基本周期から大きく変化せず安定な運転が可能となる。
【0025】
加速器機器制御装置210は、ビーム利用系500(照射装置)から要求された期間にのみ荷電粒子ビームを出射するようシンクロトロン200の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程においてシンクロトロン200の出射用機器203,205を制御する第1制御装置、及び出射用機器203,205の制御によるシンクとトロン200の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、直線加速器111の運転周期を一時的に大きくするよう直線加速器111の運転タイミングを変更して、直線加速器111の運転タイミングをシンクロトロン200の次の運転周期の入射タイミングに一致させる第2制御装置を構成する。
【0026】
図2に示した本実施例の運転方法を実現する加速器制御装置210の詳細を、図4を用いて説明する。加速器制御装置210は、図3に示したようなシンクロトロン200の電磁石励磁パターンや、それに付随する加速や出射準備のタイミング、減速のタイミング、そして入射プレトリガ信号の発生タイミングといったタイミングを含む各種の制御パラメータを記憶する制御パターン・タイミング記憶部211を備える。ここで、入射プレトリガ信号の発生タイミングは、シンクロトロン運転周期の入射タイミングよりもTpreだけ前の時間というようにTpreを入射タイミングに関連付けて記憶される。制御パターン・タイミング記憶部211は電磁石電源制御部213に接続され、シンクロトロン200内の機器である偏向電磁石201や入射機器204、出射機器205を制御する。制御パターン・タイミング記憶部211に記憶されているタイミングはタイミング制御装置212を介して他の機器を制御する。すなわち、タイミング制御装置212は高周波加速制御部214を介して高周波加速空胴202を、また出射機器制御部215を介して出射機器203を制御する。このタイミング制御装置212はビーム利用系制御装置400に備えられたビーム要求タイミング発生部401から出射要求信号や次パターン移行信号、あるいはエネルギー切り替え要求を受け取り、出射要求に対しては出射機器制御部215を介して出射機器203を動作させビームを出射させる。
【0027】
直線加速器111の高周波機器運転の基本周期(一定周期)Tcycは入射器用一定周期発生部216より発生させる。直線加速器111に対して高周波機器運転タイミングを発生させる入射用高周波機器タイミング発生部217は入射器用一定周期発生部216からの一定の基本周期をタイミング制御装置212から発生する入射プレトリガ信号に従い調整して入射器制御装置120に対し高周波機器動作タイミングとして供給する。
【0028】
入射器制御装置120は図1に示した高周波電源112とイオン源電源102を高周波機器動作タイミングと同期させて立ち上げる運転を図2(c)に記載の通り繰り返す。ただしこの高周波運転の全回数においてビームが必要ではないため、例えば非特許文献3に記載された方法によってビームを加速されないようにして、図2(d)に記載したような入射タイミングにのみビームを加速させる。すなわち、直線加速器111の高周波運転は図2(c)に示すようなタイミングで行われるが、その運転タイミングのうち図2(d)のビーム入射タイミングに一致しないタイミングでは、イオン源101で発生した荷電粒子は加速されず、直線加速器111は空動作し、図2(d)のビーム入射タイミングに一致するタイミングでは、イオン源101で発生した荷電粒子は加速され、シンクロトロン200に入射される。
【0029】
なおこの説明では入射器用一定周期発生部216や入射器高周波機器タイミング発生部217を加速器制御装置210の一部として記載したが、これら両方あるいはどちらか一方が入射器制御装置120の一部としてもこの動作は実現可能である。
【0030】
図2では、本実施例の動作の一例として、直線加速器111の運転周期Tcycと入射プレトリガ信号の発生からシンクロトロン200へのビームの入射までの時間Tpreが等しい、Tcyc=Tpreとなる場合を示したが、シンクロトロン200で加速し出射するエネルギーの工程によってTpreの設定可能範囲が異なりTcyc=Tpreとできない場合もありうる。例えば図5に示す通り出射時のエネルギーが異なる、すなわちパターン電磁石励磁パターンの励磁レベルが図5(a),(b),(c)のように異なり、また減速工程中の電流変化率を一定として場合、減速工程の時間がエネルギーによって異なるため、入射プレトリガ信号の取り得るタイミングが入射プレトリガ(a),(b),(c)と示したように異なり、入射プレトリガ信号の発生から入射までの時間TpreもTpre(a), Tpre(b),Tpre(c)と異なる可能性がある。また、直線加速器111の運転周期Tcycも加速対象となる粒子の核種(例えば陽子、炭素)や加速後のエネルギーに応じて高周波電源の容量も異なるため、TcycとTpreの関係は常に等しくはできない。したがってTcyc=Tpreではないケースについても考慮しなくてはいけない。
【0031】
直線加速器111の運転周期Tcycと入射プレトリガ信号の発生から入射までの時間Tpreの関係について、Tcyc<Tpreとなるケースについては、可能であればTcyc=Tpreとなるタイミングを生成するか、もしくはTcyc × N =Tpre (Nは整数)としておくのが望ましい(図2,図6)ため、シンクロトロンの運転パターンを作成しパターンタイミングとしてTpreを設定する場合にはこの望ましい条件となるようにする。この場合は入射プレトリガ信号の発生後Tcyc経過後に新たに入射器用高周波を発生させ、その後Tcyc一定周期運転にしておくことで、シンクロトロン200の入射タイミングと直線加速器111のビーム供給可能タイミングを合致させることができる。
【0032】
直線加速器111の運転周期Tcycと入射プレトリガ信号の発生から入射までの時間Tpreの関係について、Tcyc<Tpreとなるケースについて、Tcyc=TpreもしくはTcyc ×N= Tpre (Nは整数)とできない場合は、Tpre = Tcyc ×M + Tres(Mは整数)となるTres、言い換えればTpreをTcycの整数倍で除した余り分の時間Tresを求めておく。入射プレトリガ信号の発生寸前の高周波運転タイミングからの経過時間とTresとの和がTcycより大きい場合は、入射プレトリガ信号の発生からTres経過後に高周波運転タイミングを発生させる(図7)。入射プレトリガ信号の発生寸前の高周波運転タイミングからの経過時間とTresとの和がTcycより小さい場合は、プレトリガからTres+Tcyc経過後に高周波運転タイミングを発生させる(図8)。いずれの場合も新たに入射器用高周波を発生させその後Tcyc一定周期運転にしておくことで、シンクロトロン200の入射タイミングと直線加速器111のビーム供給可能タイミングを合致させることができる。
【0033】
直線加速器111の運転周期Tcycと入射プレトリガ信号の発生から入射までの時間Tpreの関係について、Tcyc > Tpreとなるケースについては、入射プレトリガ信号の発生寸前の高周波運転タイミングからの経過時間とTpreとの和がTcycより大きい場合は、入射プレトリガ信号の発生からTpre経過後に高周波運転タイミングを発生させる(図9)。入射プレトリガ信号の発生寸前の高周波運転タイミングからの経過時間とTpreとの和がTcycより小さい場合は、もとの入射器高周波運転タイミングを維持して入射タイミングを待つ(図10)。この図10の動作については本発明の効果がなくなるが、図9の動作と組み合わせることで待ち時間の短縮化が図れる。しかし効果は小さいため図9,10の動作にならないように直線加速器111の運転周期Tcycとプレトリガ発生から入射までの時間Tpreの関係について、Tcyc<TpreとなるようなTcyc、Tpreとなるようなタイミングを設定することが望ましい。TcycとTpreの最適な関係は図2に示したようなTcyc=Tpreとなる運転、あるいは図6のようなTcyc × N=Tpre (Nは整数)であって、これらが実現できない場合は図7のようなTcyc<Tpreの関係となる。
【0034】
以上図2及び図6から図10まで記載の直線加速器111の運転周期Tcycと入射プレトリガ信号の発生から入射までの時間Tpreの関係に関する判定について、図11にフローチャートを示す。フローチャートの判定の流れについて制御装置210の構成を示す図4を用いて説明する。ビーム利用系500で利用する荷電粒子ビーム照射の条件はビーム利用系制御装置400から設定され(S100)、加速器機器制御装置210にある制御パターン・タイミング記憶部211から該当パターンが選択される(S110)。Tcycは荷電粒子ビーム照射装置用入射器130の特性値として予めわかっているため、タイミング制御装置212はTpreとTcycの関係を把握できる。タイミング制御装置212はTpre≧TcycでTcyc × N=Tpre かどうかの判定を行い(S120,S130)、Tpre≧TcycでTcyc × N=Tpre (Nは整数)となる場合にはそのまま照射を開始し、入射器高周波機器タイミング発生部217は入射プレトリガ信号の発生後Tcyc経過後に直線加速器111の高周波運転タイミングを発生させ、入射器高周波機器を動作させる(S140)。
【0035】
ステップS130において、Tcyc × N=Tpre (Nは整数)とならない場合にはTpre= Tcyc × M+Tres(Mは整数)となるTresをタイミング制御装置212で予め求め(S150)、照射を開始する。照射開始後はタイミング制御装置212は、ビーム利用系400からの出射要求信号や次パターン移行信号、あるいはエネルギー切り替え要求などに基づいて定まるそのときのシンクロトロン200の運転パターンに応じて入射プレトリガ信号のタイミングを発生させる。入射器高周波機器タイミング発生部217は、シンクロトロン200の運転サイクル毎に、入射プレトリガ信号の発生タイミングと入射器用一定周期発生部216から発生される基本周期(一定タイミング)との関係から、入射プレトリガ信号の発生寸前の高周波運転タイミングからの経過時間とTresとの和がTcycより大きかどうかの判定を行い(S160)、その判定結果に応じて直線加速器111の高周波運転タイミングを発生させ、入射器高周波機器を動作させる(S170,S180)。
【0036】
ステップS120において、Tpre<Tcycと判定された場合はそのまま照射を開始し、照射開始後はタイミング制御装置212は、ステップS130でTcyc × N=Tpre (Nは整数)とならなかった場合と同様入射プレトリガ信号のタイミングを発生させ、入射器高周波機器タイミング発生部217は、入射プレトリガ信号の発生寸前の高周波運転タイミングからの経過時間とTresとの和がTcycより大きかどうかの判定を行い(S190)、その判定結果に応じて直線加速器111の高周波運転タイミングを発生させ、入射器高周波機器を動作させる(S200,S210)。
【0037】
なお、図6から図10の(b)シンクロトロン電磁石励磁パターン、(c)入射器高周波運転、(d)ビーム入射タイミングの関係を成立させるものであれば、上述のような判定方法に限るものではなく、別の判定方法で実現してもよい。
【0038】
本実施の形態の効果の例を具体的な数値を挙げて説明する。入射器高周波運転の周期Tcyc を0.5秒とし、シンクロトロン200の運転周期を例えば2.2秒周期とし、Tpre=Tcycとなるプレトリガを設定して一定周期運転して20サイクル分運転した場合、本発明を適用しない場合は2.2秒周期でシンクロトロンを運転した後入射器の運転周期との合致を待つため0.3秒の待ち時間が発生し実質的な周期が2.5秒となり運転時間が2.5秒×20サイクル=50秒を要するのに対し、本発明を適用すればシンクロトロンの実質運転周期が2.2秒となり2.2秒×20サイクル=44秒の運転時間となるため、12%の運転時間短縮効果が得られる。
【0039】
以上のように本実施の形態においては、シンクロトロン200の入射、加速、出射、減速工程を制御するタイミング制御に対し、出射工程完了後に直線加速器111に対して事前に入射要求のタイミングを知らせるプレトリガタイミング(入射プレトリガ信号)を設けることにより、荷電粒子ビームの出射工程完了後に、直線加速器111の運転周期を一時的に大きくするよう直線加速器111の運転タイミングを変更して直線加速器111の運転周期に対する最短周期制限を維持したままシンクロトロン200に対する荷電粒子ビームの入射を任意のタイミングで行うことが可能となり、直線加速器111の運転周期を短縮化することなく、シンクロトロン200の入射要求タイミングに合わせて直線加速器111からの入射ビームを得ることが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、シンクロトロン200の入射要求タイミングに合わせて直線加速器111からの入射ビームを得ることが可能となるため、シンクロトロン200で加速された荷電粒子ビームを用いる荷電粒子ビーム照射装置において、患者へ照射時間を短縮して治療時間を短くし、システムの効率的な運用が可能となる。
<第2の実施の形態>
次に、図12以降を用いて本発明の第2の実施形態による荷電粒子ビーム照射システムについて説明する。本実施の形態では第1の実施形態のビーム利用系500として癌などの患者の患部に陽子および炭素イオン等のいずれかの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を照射する治療方法を実現する照射装置を備えたものである。
【0041】
本実施の形態では、シンクロトロン200より得られた荷電粒子を、ビーム輸送系300を通じて照射装置600へ輸送する。照射装置600について図13を用いて説明する。照射装置600はビーム輸送系300で導かれた荷電粒子ビームを水平(図中X方向)、垂直(紙面に垂直方向)に走査し、患者610の患部611の形状に合致させるためのX方向走査電磁石601AとY方向走査電磁石601Bを有する。走査電磁石601A,601Bにより偏向された荷電粒子ビームはビーム位置計測装置602と照射線量計測装置603を通過し、患部611に照射される。ビーム位置計測装置602は荷電粒子ビームの位置及び幅(広がり)を計測し、照射線量計測装置603は荷電粒子ビームの照射量を計測する。
【0042】
ここで、図13及び図14を用いてビーム走査法による照射について説明する。図14は、荷電粒子ビームの上流側から患部611を見た説明図である。
【0043】
図13に示したように患者610の患部611に対して、その患部形状を3次元的な複数の深さ方向(図中Z方向)の層に分割し、各層をさらに図14に示すように2次元的に分割して複数の線量区画612(以下照射スポット)を設定する。深さ方向は荷電粒子ビームの到達進度に対応し、シンクロトロン200から出射される荷電粒子ビームのエネルギー変更により変更されて各層を選択的に照射する。各層内では図3に示す例えば613のような経路に沿って走査電磁石601A,601Bで荷電粒子ビームを2次元的に走査して各照射スポットに所定の線量を与える。各照射スポットに照射される荷電粒子ビームの量は照射線量計測装置603で計測され、位置やその広がりはビーム位置計測装置602で計測される。
【0044】
本実施の形態の照射方式において、シンクロトロン200に対して次パターンへの移行要求が発生するのは図14に示した層内のスポットを照射中にシンクロトロン200に蓄積された荷電粒子が枯渇した場合、或いはシンクロトロン200で1サイクル当りに照射可能な時間が枯渇した場合である。これらの場合そのサイクル内での出射を停止し次パターンへ移行するタイミングは不定期となりうる。
【0045】
また図14に示した層内のスポットを全て照射し終えた場合には、図13の611に示した深さ方向(Z方向)の変更が必要となり、シンクロトロン200のエネルギーを変更する。この場合についても、層内の照射時間は患部611の形状によって異なるためシンクロトロンの運転サイクル内で出射が完了するタイミングは不定期になりうる。
【0046】
上述の通り本実施の形態の照射装置600ではシンクロトロン200の運転周期及び出射のタイミングは不定期になるため、直線加速器111の高周波運転の周期が固定となっている場合はシンクロトロン200の所望の入射タイミングに荷電粒子ビームが入射できず、照射時間が延びる可能性がある。
【0047】
本実施の形態においては、加速器制御装置210は、図14に示した層内のスポットを照射中にシンクロトロン200に蓄積された荷電粒子が枯渇した場合、或いはシンクロトロン200で1サイクル当りに照射可能な時間が枯渇した場合に、シンクロトロン200の運転パターンの移行を要求する次パターン移行要求信号を生成して出力する(第1制御装置)。また、照射制御装置620は、図14に示した層内のスポットを全て照射し終えた場合に、シンクロトロン200のエネルギーの変更を要求するエネルギー切り替え要求信号を出力する(第1制御装置)。加速器制御装置210は、それらの信号を受け取り、図2に示したような本発明の運転方法を実施し、プレトリガタイミング(入射プレトリガ信号)に基づいて直線加速器111の運転周期を一時的に大きくするよう直線加速器111の運転タイミングを変更する(制御装置、第2制御装置)。これにより入射タイミングを所望のものとできるので照射時間は延びず、治療時間を短縮化でき、システムの効率的な運用が可能となる。
【0048】
本実施の形態の効果の例を具体的な数値を挙げて示す。照射対象を例えば10cm四方の体積1リットルの立方体としその照射に必要な照射スポット数を10,000、深さ方向(Z方向)の層の分割数を30とし、その照射間に必要なシンクロトロン200のサイクル変更、エネルギー変更回数の総数で40回必要と仮定する。ここで層の分割数と総数が一致していないのは、層あたりに照射する荷電粒子の量が大きい場合にシンクロトロン1サイクルで出射可能な荷電粒子の量では不足し複数回のサイクルで1層を照射することを考慮したものである。入射器高周波運転の周期Tcyc を0.5秒とした場合、本発明を適用した場合はその周期を待つ時間は発生しないが、本発明を適用しない場合においては最大で0.5秒の待ち時間が発生する。一方で偶然待ち時間が発生しないタイミングとなる可能性もありうるので中間値を取り、1サイクル当りの入射器高周波運転時間待ち時間を0.25秒とすると、40回のサイクル変更で合計10秒の照射時間伸長がある。本発明を適用しない場合の照射時間を例えば100秒程度とすれば10秒の照射時間短縮は10%短縮の効果となる。
<第3の実施の形態>
次に、図15以降を用いて本発明の第3の実施形態による荷電粒子ビーム照射システムについて説明する。本実施の形態では第1の実施形態のビーム利用系500として癌などの患者の患部に陽子および炭素イオン等のいずれかの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を照射する治療方法を実現する照射装置を備え、かつ患者の呼吸に伴う患部の移動やその他の移動を検出する手段を備えたものである。
【0049】
本実施の形態では、シンクロトロン200より得られた荷電粒子を、ビーム輸送系300を通じて照射装置700へ輸送する。照射装置700について図13を用いて説明する。照射装置700における照射野の形成方法については荷電粒子ビームの散乱を用いる散乱体法や上述したビーム走査法など任意の照射野形成方法でよい。患者610に対し患部の移動検出手段710を設ける。患部へのより高精度な照射を実現するために、こういった患部の移動を検出しその移動量が所望の範囲内にある場合にのみ照射する方法が提唱されており、検出手段710としては呼吸性移動を検出するために体表の移動を監視する方法、患者の呼吸に伴う呼気、吸気の流れを患者の口元で監視する方法、X線透視画像を用いて直接患部の位置もしくはそれを示すマーカを監視する方法などが考えられる。
【0050】
図16を用いて患部の移動検出とビーム照射の関係について説明する。図16(a)は患部の移動を検出した信号で、その信号に対し患部が所望の位置にある、あるいは所望の位置からある範囲内にあることを担保するためのしきい値を設定する。そしてそのしきい値内に患部位置検出信号がある場合にのみビームを照射する。この場合の本実施の形態における照射装置700で照射可能なタイミングは図16(b)のようになり、この信号は患者の移動に伴う移動であることからそのタイミングは不定期になり得る。
【0051】
上述の通り本実施の形態の照射装置700ではシンクロトロン200の運転周期及び出射のタイミングは不定期になるため、直線加速器111の高周波運転の周期が固定となっている場合はシンクロトロン200の所望の入射タイミングに荷電粒子ビームが入射できず、照射時間が延びる可能性がある。
【0052】
本実施の形態においては、照射制御装置720は、図16(b)に示した照射対象の移動を検出して得られる信号から照射対象への照射可能な時間帯のタイミングを設定し、その時間帯の間にのみビーム出射を要求するビーム要求信号を出力する(第1制御装置)。加速器制御装置210は、その信号を受け取り、図2に示したような本発明の運転方法を実施し、プレトリガタイミング(入射プレトリガ信号)に基づいて直線加速器111の運転周期を一時的に大きくするよう直線加速器111の運転タイミングを変更する(制御装置、第2制御装置)。これにより入射タイミングを所望のものとできるので照射時間は延びず、治療時間を短縮化でき、システムの効率的な運用が可能となる。
【符号の説明】
【0053】
100 入射器システム
101 イオン源
102 イオン源電源
111 線形加速器
112 入射器用高周波電源
120 入射器制御装置
130 入射輸送系
200 シンクロトロン
201 偏向電磁石
202 高周波加速空胴
203 ビーム出射用機器
204 入射機器
205 ビーム出射用機器
210 加速器機器制御装置(制御装置、第1制御装置、第2制御装置)
211 制御パターン・タイミング記憶部
212 タイミング制御装置
213 電磁石電源制御部
214 高周波加速制御部
215 出射機器制御部
216 入射器用一定周期発生部
217 入射器高周波機器タイミング発生部
300 ビーム輸送系
400 ビーム利用系制御装置(第1制御装置)
401 ビーム要求タイミング発生部
500 ビーム利用系
600 照射装置
601A,601B 走査電磁石
602 ビーム位置計測装置
603 照射線量計測装置
610 患者
611 患部
612 線量区画(照射スポット)
613 照射経路
620 照射制御装置(第1制御装置)
700 制御装置
710 患部移動検出手段
720 照射制御装置(第1制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器とを備えた荷電粒子ビーム発生装置の運転方法において、
前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させることを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置の運転方法。
【請求項2】
請求項1記載の荷電粒子ビーム発生装置の運転方法において、
前記円形加速器の運転周期における前記荷電粒子ビームの出射工程完了後に、次の運転周期の入射タイミングを知らせるタイミング信号を発生し、このタイミング信号に基づいて前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更することを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置の運転方法。
【請求項3】
請求項2記載の荷電粒子ビーム発生装置の運転方法において、
前記タイミング信号を、前記タイミング信号から前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングまでの時間が前記直線加速器の運転周期の整数倍となるよう設定し、前記タイミング信号の発生から前記直線加速器の1運転周期の時間経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させることを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置の運転方法。
【請求項4】
請求項2記載の荷電粒子ビーム発生装置の運転方法において、
前記タイミング信号を、前記タイミング信号から前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングまでの時間が前記直線加速器の運転周期の整数倍と前記直線加速器の運転周期より小さい余りの時間との和となるよう設定し、
前記タイミング信号の発生直前の前記直線加速器の運転タイミングから前記タイミング信号の発生タイミングまでの経過時間と前記余りの時間との和が前記直線加速器の1運転周期の時間よりも大きいときは、前記タイミング信号の発生から前記余りの時間の経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させ、
前記タイミング信号の発生直前の前記直線加速器の運転タイミングから前記タイミング信号の発生タイミングまでの経過時間と前記余りの時間との和が前記直線加速器の1運転周期の時間よりも大きくないときは、前記タイミング信号の発生から、前記直線加速器の1運転周期の時間と前記余りの時間の和の時間経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させることを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置の運転方法。
【請求項5】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを利用する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置の運転方法において、
前記照射装置から要求された期間にのみ前記荷電粒子ビームを出射するよう前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程において前記円形加速器の出射用機器を制御し、
前記出射用機器の制御による前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置の運転方法。
【請求項6】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを偏向して走査する走査電磁石を有し、この査電磁石を通過した荷電粒子ビームを照射対象に照射する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置の運転方法において、
前記荷電粒子ビームの照射対象を深さ方向に分割した複数の層の1つの層に対して、前記走査電磁石の励磁電流を制御して前記荷電粒子ビームを走査し、前記1つの層の荷電粒子ビームの走査完了後に、別の層に対して前記荷電粒子ビームを走査するために前記円形加速器から出射される荷電粒子ビームのエネルギーの変更を要求するエネルギー切換要求を出力し、
前記エネルギー切換要求に応じて前記円形加速器の運転周期を次の運転周期に移行させるとき、前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置の運転方法。
【請求項7】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを偏向して走査する走査電磁石を有し、この査電磁石を通過した荷電粒子ビームを照射対象に照射する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置の運転方法において、
前記荷電粒子ビームの照射対象に対して、前記走査電磁石の励磁電流を制御して前記荷電粒子ビームを走査し、前記荷電粒子ビームを走査している途中で前記円形加速器に蓄積された前記荷電粒子ビームが枯渇した場合、或いは前記荷電粒子ビームを走査している途中で前記円形加速器で1運転周期当りに照射可能な時間が枯渇した場合に、前記円形加速器のそのときの運転周期での出射工程を中止し、次の運転周期での運転パターンへの移行を要求する運転パターン移行要求を出力し、
前記運転パターン移行要求に応じて前記円形加速器の運転周期を次の運転周期に移行させるとき、前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置の運転方法。
【請求項8】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを時間的あるいは空間的に成形して照射対象の形状に一致するよう照射する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置の運転方法において、
前記照射対象の移動を検出して得られる信号から前記照射対象への照射可能な時間帯のタイミングを設定し、その時間帯の間にのみビーム出射を要求するビーム要求を出力し、
前記ビーム要求に応じて前記円形加速器の運転周期を次の運転周期に移行させるとき、前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置の運転方法。
【請求項9】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器とを備えた荷電粒子ビーム発生装置において、
前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させる制御装置を備えることを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置。
【請求項10】
請求項9記載の荷電粒子ビーム発生装置において、
前記制御装置は、前記円形加速器の運転周期における前記荷電粒子ビームの出射工程完了後に、次の運転周期の入射タイミングを知らせるタイミング信号を発生し、このタイミング信号に基づいて前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更することを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置。
【請求項11】
請求項10記載の荷電粒子ビーム発生装置において、
前記制御装置は、前記タイミング信号を、前記タイミング信号から前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングまでの時間が前記直線加速器の運転周期の整数倍となるよう設定し、前記タイミング信号の発生から前記直線加速器の1運転周期の時間経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させることを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置。
【請求項12】
請求項10記載の荷電粒子ビーム発生装置において、
前記制御装置は、前記タイミング信号を、前記タイミング信号から前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングまでの時間が前記直線加速器の運転周期の整数倍と前記直線加速器の運転周期より小さい余りの時間との和となるよう設定し、
前記タイミング信号の発生直前の前記直線加速器の運転タイミングから前記タイミング信号の発生タイミングまでの経過時間と前記余りの時間との和が前記直線加速器の1運転周期の時間よりも大きいときは、前記タイミング信号の発生から前記余りの時間の経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させ、
前記タイミング信号の発生直前の前記直線加速器の運転タイミングから前記タイミング信号の発生タイミングまでの経過時間と前記余りの時間との和が前記直線加速器の1運転周期の時間よりも大きくないときは、前記タイミング信号の発生から、前記直線加速器の1運転周期の時間と前記余りの時間の和の時間経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させることを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置。
【請求項13】
請求項8記載の荷電粒子ビーム発生装置において、
前記制御装置は、
前記円形加速器の荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速の各工程を含む運転パターンに係わる各種タイミング及び次の運転周期の入射タイミングを知らせる入射プリトリガ信号のタイミングを記憶した記憶装置と、
前記運転パターンの更新要求と前記記憶装置に記憶したタイミング情報を受け取るタイミング制御装置と、
前記直線加速器の運転基本周期を発生させる一定周期発生装置と、
前記一定周期発生装置からの前記運転基本周期を前記タイミング制御装置からの前記入射プレトリガ信号のタイミングに従い調整して前記直線加速器の運転タイミングを発生する高周波機器タイミング発生装置とを有することを特徴とする荷電粒子ビーム発生装置。
【請求項14】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを利用する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置において、
前記照射装置から要求された期間にのみ前記荷電粒子ビームを出射するよう前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程において前記円形加速器の出射用機器を制御する第1制御装置と、
前記出射用機器の制御による前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させる第2制御装置とを備えることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項15】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを偏向して走査する走査電磁石を有し、この査電磁石を通過した荷電粒子ビームを照射対象に照射する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置において、
前記荷電粒子ビームの照射対象を深さ方向に分割した複数の層の1つの層に対して、前記走査電磁石の励磁電流を制御して前記荷電粒子ビームを走査し、前記1つの層の荷電粒子ビームの走査完了後に、別の層に対して前記荷電粒子ビームを走査するために前記円形加速器から出射される荷電粒子ビームのエネルギーの変更を要求するエネルギー切換要求を出力する第1制御装置と、
前記エネルギー切換要求に応じて前記円形加速器の運転周期を次の運転周期に移行させるとき、前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させる第2制御装置とを備えることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項16】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを偏向して走査する走査電磁石を有し、この査電磁石を通過した荷電粒子ビームを照射対象に照射する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置において、
前記荷電粒子ビームの照射対象に対して、前記走査電磁石の励磁電流を制御して前記荷電粒子ビームを走査し、前記荷電粒子ビームを走査している途中で前記円形加速器に蓄積された前記荷電粒子ビームが枯渇した場合、或いは前記荷電粒子ビームを走査している途中で前記円形加速器で1運転周期当りに照射可能な時間が枯渇した場合に、前記円形加速器のそのときの運転周期での出射工程を中止し、次の運転周期での運転パターンへの移行を要求する運転パターン移行要求を出力する第1制御装置と、
前記運転パターン移行要求に応じて前記円形加速器の運転周期を次の運転周期に移行させるとき、前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させる第2制御装置とを備えることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項17】
加速用パルス電圧を印加する高周波電源に基づいて所定の運転周期で動作し、この運転周期に基づく運転タイミングで、イオン源から出射される荷電粒子を加速して荷電粒子ビームを出射する直線加速器と、
荷電粒子ビームの入射、加速、出射、減速工程の各期間を含む運転周期で動作し、前記直線加速器で加速した前記荷電粒子ビームを予め定めたタイミングで入射し、加速後に出射する円形加速器と、
この円形加速器から出射された前記荷電粒子ビームを時間的あるいは空間的に成形して照射対象の形状に一致するよう照射する照射装置とを備えた荷電粒子ビーム照射装置において、
前記照射対象の移動を検出して得られる信号から前記照射対象への照射可能な時間帯のタイミングを設定し、その時間帯の間にのみビーム出射を要求するビーム要求を出力する第1制御装置と、
前記ビーム要求に応じて前記円形加速器の運転周期を次の運転周期に移行させるとき、前記円形加速器の運転周期における荷電粒子ビームの出射工程完了後に、前記直線加速器の運転周期を一時的に大きくするよう前記直線加速器の運転タイミングを変更して、前記直線加速器の運転タイミングを前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングに一致させる第2制御装置とを備えることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか1項記載の荷電粒子ビーム照射装置において、
前記第2制御装置は、前記タイミング信号を、前記タイミング信号から前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングまでの時間が前記直線加速器の運転周期の整数倍となるよう設定し、前記タイミング信号の発生から前記直線加速器の1運転周期の時間経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。
【請求項19】
請求項14〜17のいずれか1項記載の荷電粒子ビーム照射装置において、
前記第2制御装置は、前記タイミング信号を、前記タイミング信号から前記円形加速器の次の運転周期の入射タイミングまでの時間が前記直線加速器の運転周期の整数倍と前記直線加速器の運転周期より小さい余りの時間との和となるよう設定し、
前記タイミング信号の発生直前の前記直線加速器の運転タイミングから前記タイミング信号の発生タイミングまでの経過時間と前記余りの時間との和が前記直線加速器の1運転周期の時間よりも大きいときは、前記タイミング信号の発生から前記余りの時間の経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させ、
前記タイミング信号の発生直前の前記直線加速器の運転タイミングから前記タイミング信号の発生タイミングまでの経過時間と前記余りの時間との和が前記直線加速器の1運転周期の時間よりも大きくないときは、前記タイミング信号の発生から、前記直線加速器の1運転周期の時間と前記余りの時間の和の時間経過後に前記直線加速器の運転タイミングを発生させることを特徴とする荷電粒子ビーム照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−233478(P2011−233478A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105522(P2010−105522)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】