蒸気タービンノズル及び蒸気タービン
【課題】コンパクトな形状を有するとともに、耐久性の高い蒸気タービンノズルを提供すること。
【解決手段】本発明の蒸気タービンノズル1は、内径側に案内溝11を有する円形状の外輪2と、複数のノズル3と、前記ノズル3のノズル植え込み部33の溝41に挿着される複数の円弧状のパッキンリング4とを備えている。前記ノズル3は、前記外輪2の案内溝11に挿着されるノズル挿着部31と、ノズル挿着部31に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板32と、このノズル板32の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝41を設けたノズル植え込み部33とを有している。前記ノズル3間の繋ぎ目51と、前記パッキンリング4間の繋ぎ目52とは、互いにずれて配置されている。
【解決手段】本発明の蒸気タービンノズル1は、内径側に案内溝11を有する円形状の外輪2と、複数のノズル3と、前記ノズル3のノズル植え込み部33の溝41に挿着される複数の円弧状のパッキンリング4とを備えている。前記ノズル3は、前記外輪2の案内溝11に挿着されるノズル挿着部31と、ノズル挿着部31に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板32と、このノズル板32の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝41を設けたノズル植え込み部33とを有している。前記ノズル3間の繋ぎ目51と、前記パッキンリング4間の繋ぎ目52とは、互いにずれて配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性の高い蒸気タービンノズル及び蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸気タービンノズルは、外輪、ノズル板、内輪及びパッキンリングを組み合わせた形状が主流であったが、蒸気タービンノズルをコンパクトにするために、内輪の無い形状のものも提案されている。内輪の無い形式の蒸気タービンノズルにおいては、ノズルの根本側(ロータ側)に、パッキンリングを設ける発明がなされている。(例えば、特許文献1乃至3)。
【特許文献1】特開平7−324601
【特許文献2】特開平11−200801
【特許文献3】特開2000−97350
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
内輪の無い形状の蒸気タービンノズルを図13に示す。図13において、このような内輪のない蒸気タービンノズル1には、ノズルの根本側をしめる強度部材(内輪)が無いため、剛性が低く耐久性が低かった。またノズルの根本側にパッキンリングを配置していたとしても、図13に示すように、ノズル3間の繋ぎ目51と、パッキンリング4間の繋ぎ目52とは、互いに対向して配置されていたため、その強度は十分ではなかった。
【0004】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、コンパクトな形状を有するとともに、耐久性の高い蒸気タービンノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、ノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、前記ノズル間の繋ぎ目と、前記パッキンリング間の繋ぎ目とは、互いにずれて配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0006】
本発明は、少なくとも2以上の部分に分離自在であるとともに、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、前記外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはこのノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはこのノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、前記外輪の部分間の繋ぎ目は、ノズル間の繋ぎ目及びパッキンリング間の繋ぎ目に対応して配置され、外輪の部分間の繋ぎ目に対応しないノズル間の繋ぎ目は、パッキンリング間の繋ぎ目と互いにずれて、配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0007】
本発明は、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、ノズルのノズル植え込み部は、ノズル植え込み部の溝を形成するとともに、パッキンリングと嵌合するノズル凸部を有し、パッキンリングは、ノズルのノズル植え込み部のノズル凸部と嵌合するパッキンリング凹部と、当該パッキンリング凹部のノズル板側に配置されたパッキンリング凸部とを有し、ノズル植え込み部の溝の深さT2の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T2/T1)が0.85以下であり、かつノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T4/T1)が0.3以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0008】
本発明は、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5に対する比率(T4/T5)が0.8以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0009】
本発明は、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5と、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4との差(T5−T4)が2mm以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0010】
本発明は、パッキンリングは、パッキンリング凸部の幅T7の、ノズル植え込み部の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.5以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0011】
本発明は、パッキンリング凹部の幅T8の、パッキンリング凸部の幅T7に対する比率(T8/T7)が0.7以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0012】
本発明は、パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間にコイルバネを配置したことを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0013】
本発明は、パッキンリングの繋ぎ目に、外輪、ノズル板及びパッキンリングの各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材を設けたことを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0014】
本発明は、パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間に、ずれ防止コーキング部材を配置したことを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0015】
本発明は、上述の蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービンである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンパクトな形状を有するとともに、耐久性の高い蒸気タービンノズルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る蒸気タービンノズル1の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の蒸気タービンノズル1は、外輪2が部分2a,2b間の繋ぎ目53を介して上半部タービンノズル部分2aと下半部タービンノズル部分2bとに分離自在となっており、その内径側に案内溝11を有するとともに、この案内溝11に挿着される複数のノズル3と、ノズル3に挿着される複数の円弧状のパッキンリング4とを備えている
【0019】
このうち各々のノズル3は、図2に示すように、外輪2の案内溝11に挿着されるノズル挿着部31と、ノズル挿着部31に連結もしくは一体成形された一端32aを有するノズル板32と、ノズル板32の他端32bに連結もしくは一体成形され、その内径側に溝41を設けたノズル植え込み部33とを有している。なお、ここでいう一体成形とは、1つの材料片からNC加工等により一括して切削加工により形成されたものを意味しており、部品毎に加工した後に溶接等の機械的接続により形成されたものではないものである。
【0020】
また、図2に示すように、パッキンリング4は、ノズル3のノズル植え込み部33の溝41に装着されている。なお、図1及び図2に示す蒸気タービンノズル1において、6個の円弧状のパッキンリング4が配置されているが、ノズル3のノズル植え込み部33の溝41に挿入しやすくするためには、4〜8個の円弧状のパッキンリング4を用いることが好ましい。
【0021】
また図1及び図2に示すように、上半部タービンノズル部分2aと下半部タービンノズル部分2bとの間の繋ぎ目(以下、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目)53は、ノズル3間の繋ぎ目51及びパッキンリング4間の繋ぎ目52に対応して配置され、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51は、パッキンリング4間の繋ぎ目52と互いにずれて配置されている
【0022】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0023】
図1及び図2に示すように、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51と、パッキンリング4間の繋ぎ目52とは、互いにずれて配置されている。すなわち、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51の外輪2の中心方向には、パッキンリング4が跨って配置されている。
【0024】
このため、ノズル3に図1の矢印に示した力F1、F2がかかったとしても、外輪2の中心方向に跨って配置されているパッキンリング4によってノズル3の動きが抑制され、ノズル3が力F1、F2の方向にずれることがない。このため、蒸気タービンノズル1の耐久性を向上させることができる。
【0025】
次に図3を用いて、本実施の形態の変形例について説明する。
【0026】
図3に示に示した本実施の形態の変形例に示すように、蒸気タービンノズル1は、各ノズル3間の繋ぎ目51と、各パッキンリング4間の繋ぎ目52とが、互いにずれて配置されてもよい。
【0027】
図3において、他の構成は図1及び図2に示す実施の形態と略同一である。図3において、図1及び図2に示す実施の形態と同一部分には同一符号を伏して詳細な説明は省略する。
【0028】
このように全てのノズル3間の繋ぎ目51が、パッキンリング4間の繋ぎ目52と互いにずれて配置されることにより、蒸気タービンノズル1は耐久性を更に向上させることができる。
【0029】
第2の実施の形態
次に図4乃至図7により本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、図4乃至図7において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を伏して詳細な説明は省略する。
【0030】
図4乃至図7に示す第2の実施の形態は、ノズル3及びパッキンリング4が特定の構成を有するものであり、他の構成は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0031】
図4乃至図7に示す第2の実施の形態は、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53を介して上半部タービンノズル部分2aと下半部タービンノズル部分2bとに分離自在であり、その内径側に案内溝11を有するとともに、この案内溝11に挿着される複数のノズル3と、ノズル3に挿着される複数の円弧状のパッキンリング4とを備えている(図1乃至図3参照)。
【0032】
このうち複数のノズル3は、ノズル挿着部31と、ノズル挿着部31に連結もしくは一体成形された一端32aを有するノズル板32と、ノズル板32の他端32bに連結もしくは一体成形され、その内径側に溝41を設けたノズル植え込み部33とを有している(図2参照)。
【0033】
図4は、本実施の形態における蒸気タービンノズル1の部分断面を示したものである。図4に示すように、ノズル3のノズル植え込み部33は、ノズル植え込み部33の溝41を形成するとともに、パッキンリング4と嵌合するノズル凸部34を有している。また、パッキンリング4は、ノズル3のノズル植え込み部33のノズル凸部34と嵌合するパッキンリング凹部42と、当該パッキンリング凹部42のノズル板32側に配置されたパッキンリング凸部43とを有している。
【0034】
ここで、ノズル植え込み部33の溝41の深さT2の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T2/T1)は、0.85以下となっている。また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4のパッキンリング凸部43の高さT4の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T4/T1)は、0.3以上となっている(図4参照)。
【0035】
また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4のパッキンリング凸部43の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)は、0.8以上となっている(図4参照)。
【0036】
また、図7に示すように、パッキンリング4に、コイルバネ収納部6を設け、当該コイルバネ収納部6内に一端5aがコイルバネ収納部6内に連結または単に載置され、他端5bがノズル植え込み部33のノズル植え込み部上部壁33aに連結または当接されたコイルバネ5が収納配置しても良い。
【0037】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0038】
蒸気タービン動翼(図示せず)が長くなると、蒸気タービン動翼にかかる遠心力が大きくなり、蒸気タービン動翼特にその植え込み部に負荷がかかりすぎてしまう。このため、蒸気タービン動翼を短くする必要があるが、この蒸気タービン動翼の長さは、一般にノズル3とパッキンリング4の高さの合計値に対応している。
【0039】
このため、蒸気タービン動翼の長さを短くするためには、ノズル3とパッキンリング4の高さの合計を小さくすればよく、ノズル植え込み部33の高さT1を小さくすることは、蒸気タービン動翼にかかる負荷を軽減するためには有益である。
【0040】
また、蒸気タービンノズル1の耐久性を向上させるためには、断面二次モーメントを大きくさせるようノズル3のノズル植え込み部33に挿入されるパッキンリング4の断面積を大きくすることが好ましい。このため、パッキンリング4の挿入されるノズル植え込み部33内に形成される溝41をできるだけ大きくすることが好ましい。
【0041】
一方、ノズル板32とノズル植え込み部33の溝41との間のノズル植え込み部上部壁33aの幅T3の厚みが薄くなりすぎると、図5(b)に示すように、ノズル植え込み部上部壁33aは変形してしまい、ノズル植え込み部33のA部とB部に同程度の剪断応力が発生する。このため、ノズル植え込み部33の耐久性が著しく低下してしまう。
【0042】
ここで、ノズル植え込み部33の溝41の深さT2の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T2/T1)が、0.85より大きくなると、図5(b)に示すように変形してしまう。これに対して本発明によれば、蒸気タービンノズル1のノズル植え込み部33の溝41の深さT2の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T2/T1)が、0.85以下となっているので、図5(a)に示すように正常なノズル植え込み部上部壁33aを維持することができる。
【0043】
また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4のパッキンリングの凸部の高さT4が小さくなりすぎると、図6(a)に示すように、蒸気タービンノズル1が大きく変形してしまう。
【0044】
そして、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T4/T1)が、0.3より小さくなると、図6(a)に示すように、蒸気タービンノズル1が大きく変形してしまう。
【0045】
これに対して本発明によれば、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T4/T1)が、0.3以上となっているため、図6(b)に示すように蒸気タービンノズル1の変形量を小さく維持することができる。
【0046】
また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)は、0.8以上になっている。このため、ノズル植え込み部33内に挿入されるパッキンリング4の断面の断面積が大きくなり、パッキンリング4の断面二次モーメントを大きくすることができるので、パッキンリング4の耐久性を向上させることができる。
【0047】
なお、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)を、0.8以上とする代わりに、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5と、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4との差(T5−T4)を、2mm以上にしても同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、図7に示すように、パッキンリング4にコイルバネ収納部6を設け、コイルバネ5を設けることにより、蒸気タービンノズル1の内径側に配置されたロータ(図示せず)とのラビングを防止することもできる。
【0049】
また、コイルバネ5は、板ばねなどのように大きなスペースをなくても取り付けることができる。このため、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング凸部43の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)を0.8以上になるよう調整することができる。また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5と、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング凸部43の高さT4との差(T5−T4)を2mm以上になるよう調整することもできる。
【0050】
なお、ノズル3とパッキンリング4との間にバランス良く弾性力が働くよう、コイルバネ5及びコイルバネ収納部6を設ける場合には、各パッキンリング4に対して、少なくとも2カ所設けられることが好ましい。
【0051】
第3の実施の形態
次に図8及び図9により本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、各図において図4乃至図7に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図8及び図9に示す第3の実施の形態は、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率が0.5以上であり、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率が0.7以上であるパッキンリング4を用いたものであり、他は図4乃至図7に示す第2の実施の形態と略同一である。
【0052】
ノズル植え込み部33内に配置されるパッキンリング4の断面の断面積を大きくすることにより、パッキンリング4の断面二次モーメントを大きくすることができるため、パッキンリング4の耐久性を向上させることができる。
【0053】
次にパッキンリング4の断面形状と剛性の関係について述べる。
【0054】
パッキンリング4の剛性は、パッキンリング4の断面二次モーメントにより変化する。また、この断面二次モーメントは、パッキンリング凸部43の幅T7、ノズル植え込み部33の幅T6及びパッキンリング凹部42の幅T8により変化する。
【0055】
図9は、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)の変化と、断面二次モーメントの変化量との関係を示し、かつパッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)の変化と、断面二次モーメントの変化量との関係を示している。
【0056】
図9に示すように、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)を増加させることにより、断面二次モーメントを大きく変化させることができ、これにより、パッキンリング4の剛性を大きくすることができる。一方、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)を増加させても、断面二次モーメントはあまり変化しない。このため、パッキンリング4の剛性は大きく変化しない。
【0057】
パッキンリング凸部43の幅T7を変化させて、パッキンリング4の撓み量をシミュレーションにより数値計算すると、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)の変化と、パッキンリング4の撓み量の変化との関係は図10に示したようになる。このため、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)が、0.4の値よりも大きくなると、パッキンリング4の撓み量は、5mm以下となりほとんど変化しなくなるため、ロバスト性の高い安全な設計を行うことができる。
【0058】
なお、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.4以上の値をとったとき、パッキンリング4の撓み量は、一般的に蒸気タービンが正常に運転できるために許容される値を下回っている。
【0059】
また、安全で信頼性の高い蒸気タービンノズル1を得るためには、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.4以上になることが好ましい。
【0060】
また図8において、パッキンリング凹部42の幅T8を小さくし、パッキンリング凸部43とパッキンリング凹部42との段差T9を大きくすると、パッキンリング4がノズル植え込み部33と嵌合するパッキンリング凹部42で発生するモーメントが大きくなり、パッキンリング4のC部に発生する応力が大きくなる。
【0061】
このため、パッキンリング凸部43とパッキンリング凹部42との段差T9が小さくなるように、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)は、できるだけ大きいほうが耐久性の高いパッキンリング4を得ることができる。
【0062】
パッキンリング凹部42の幅T8を変化させてC部にかかる応力をシミュレーションして数値計算すると、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)が0.7より小さな値になったとき、パッキンリング4のC部の応力は、一般的に蒸気タービン(図示せず)が正常に運転できるために許容される応力値を上回ってしまう。これに対して本発明によれば、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)は0.7以上になっている。このため、パッキンリング4のC部に発生する応力が大きくなりすぎることを防止することができ、蒸気タービンを正常に運転することができる。
【0063】
第4の実施の形態
次に図11及び図12より本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、図11及び図12において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図11に示す第4の実施の形態は、パッキンリング4間の繋ぎ目52に、外輪2、ノズル板32及びパッキンリング4の各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材44を設ける、もしくはパッキンリング4と、ノズル3のノズル植え込み部33との間にずれ防止コーキング部材45を配置、あるいは両者を併用したものであり、他は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0064】
蒸気タービンノズル1は、使用されると温度が上昇する。このため、蒸気タービンノズル1の各構成部材が熱膨張し、パッキンリング4間の繋ぎ目52に隙間が生じることがある。
【0065】
このため図11に示すように、パッキンリング4間の繋ぎ目52に、外輪2、ノズル板32及びパッキンリング4の各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材44を設けることにより、蒸気タービンノズル1の温度が上昇しても、パッキンリング4間に発生する隙間が、コーキング部材44によって覆われた状態を保つことができる。このため、蒸気タービンノズル1の耐久性を向上させることができる。
【0066】
また、蒸気タービンノズル1が使用され、温度が上昇することによって、ノズル3と、パッキンリング4との間にすき間が生じ、蒸気タービンを駆動することによる振動等によってパッキンリング4が周方向に回転することがある。
【0067】
このようにパッキンリング4が周方向への回転した場合、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51が、パッキンリング4間の繋ぎ目52に一致してしまったり、各ノズル3間の繋ぎ目51と、各パッキンリング4間の繋ぎ目52とが、一致しまったりすることがある。
【0068】
これに対して本発明によれば、図12に示したように、パッキンリング4と、ノズル3のノズル植え込み部33との間にずれ防止コーキング部材45を配置することにより、パッキンリング4が周方向に回転することを防止することができ、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51が、パッキンリング4間の繋ぎ目52に一致することはなく、また各ノズル3間の繋ぎ目51と、各パッキンリング4間の繋ぎ目52とが、一致することはない。
【0069】
ところで、上述した各実施の形態で示した蒸気タービンノズル1を用いて蒸気タービンを製造することにより、動翼の高さが小さくコンパクトで、かつ耐久性の高い蒸気タービンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による蒸気タービンノズルの第1の実施の形態を示す概略図。
【図2】本発明による蒸気タービンノズルの第1の実施の形態を示す構成図。
【図3】本発明による蒸気タービンノズルの第1の実施の形態の変形例を示す概略図。
【図4】本発明による蒸気タービンノズルの第2の実施の形態における各領域の比率を示す断面図。
【図5】ノズルのノズル植え込み部の変形の様子を示す断面図。
【図6】ノズル及びパッキンリングの柔軟性の変形の様子を示す断面図。
【図7】本発明による蒸気タービンノズルの第2の実施の形態におけるコイルバネを示す断面図。
【図8】本発明による蒸気タービンノズルの第3の実施の形態における各領域の比率を示す断面図。
【図9】本発明による蒸気タービンノズルの第3の実施の形態におけるパッキンリングに発生する断面二次モーメントの変化を示すグラフ。
【図10】本発明による蒸気タービンノズルの第3の実施の形態におけるT7/T6に対する撓み量の変化を示すグラフ。
【図11】本発明による蒸気タービンノズルの第4の実施の形態を示す概略図。
【図12】本発明による蒸気タービンノズルの第4の実施の形態を示す断面図。
【図13】従来の蒸気タービンノズルを示す概略図。
【符号の説明】
【0071】
1 蒸気タービンノズル
2 外輪
2a、2b 部分
3 ノズル
4 パッキンリング
5 コイルバネ
11 案内溝
31 ノズル挿着部
32 ノズル板
33 ノズル植え込み部
34 ノズル凸部
41 溝
42 パッキンリング凹部
43 パッキンリング凸部
44 コーキング部材
45 ずれ防止コーキング部材
51 ノズル間の繋ぎ目
52 パッキンリング間の繋ぎ目
53 外輪の部分間の繋ぎ目
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性の高い蒸気タービンノズル及び蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸気タービンノズルは、外輪、ノズル板、内輪及びパッキンリングを組み合わせた形状が主流であったが、蒸気タービンノズルをコンパクトにするために、内輪の無い形状のものも提案されている。内輪の無い形式の蒸気タービンノズルにおいては、ノズルの根本側(ロータ側)に、パッキンリングを設ける発明がなされている。(例えば、特許文献1乃至3)。
【特許文献1】特開平7−324601
【特許文献2】特開平11−200801
【特許文献3】特開2000−97350
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
内輪の無い形状の蒸気タービンノズルを図13に示す。図13において、このような内輪のない蒸気タービンノズル1には、ノズルの根本側をしめる強度部材(内輪)が無いため、剛性が低く耐久性が低かった。またノズルの根本側にパッキンリングを配置していたとしても、図13に示すように、ノズル3間の繋ぎ目51と、パッキンリング4間の繋ぎ目52とは、互いに対向して配置されていたため、その強度は十分ではなかった。
【0004】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、コンパクトな形状を有するとともに、耐久性の高い蒸気タービンノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、ノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、前記ノズル間の繋ぎ目と、前記パッキンリング間の繋ぎ目とは、互いにずれて配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0006】
本発明は、少なくとも2以上の部分に分離自在であるとともに、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、前記外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはこのノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはこのノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、前記外輪の部分間の繋ぎ目は、ノズル間の繋ぎ目及びパッキンリング間の繋ぎ目に対応して配置され、外輪の部分間の繋ぎ目に対応しないノズル間の繋ぎ目は、パッキンリング間の繋ぎ目と互いにずれて、配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0007】
本発明は、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、ノズルのノズル植え込み部は、ノズル植え込み部の溝を形成するとともに、パッキンリングと嵌合するノズル凸部を有し、パッキンリングは、ノズルのノズル植え込み部のノズル凸部と嵌合するパッキンリング凹部と、当該パッキンリング凹部のノズル板側に配置されたパッキンリング凸部とを有し、ノズル植え込み部の溝の深さT2の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T2/T1)が0.85以下であり、かつノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T4/T1)が0.3以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0008】
本発明は、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5に対する比率(T4/T5)が0.8以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0009】
本発明は、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5と、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4との差(T5−T4)が2mm以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0010】
本発明は、パッキンリングは、パッキンリング凸部の幅T7の、ノズル植え込み部の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.5以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0011】
本発明は、パッキンリング凹部の幅T8の、パッキンリング凸部の幅T7に対する比率(T8/T7)が0.7以上であることを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0012】
本発明は、パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間にコイルバネを配置したことを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0013】
本発明は、パッキンリングの繋ぎ目に、外輪、ノズル板及びパッキンリングの各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材を設けたことを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0014】
本発明は、パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間に、ずれ防止コーキング部材を配置したことを特徴とする蒸気タービンノズルである。
【0015】
本発明は、上述の蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービンである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンパクトな形状を有するとともに、耐久性の高い蒸気タービンノズルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る蒸気タービンノズル1の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施の形態の蒸気タービンノズル1は、外輪2が部分2a,2b間の繋ぎ目53を介して上半部タービンノズル部分2aと下半部タービンノズル部分2bとに分離自在となっており、その内径側に案内溝11を有するとともに、この案内溝11に挿着される複数のノズル3と、ノズル3に挿着される複数の円弧状のパッキンリング4とを備えている
【0019】
このうち各々のノズル3は、図2に示すように、外輪2の案内溝11に挿着されるノズル挿着部31と、ノズル挿着部31に連結もしくは一体成形された一端32aを有するノズル板32と、ノズル板32の他端32bに連結もしくは一体成形され、その内径側に溝41を設けたノズル植え込み部33とを有している。なお、ここでいう一体成形とは、1つの材料片からNC加工等により一括して切削加工により形成されたものを意味しており、部品毎に加工した後に溶接等の機械的接続により形成されたものではないものである。
【0020】
また、図2に示すように、パッキンリング4は、ノズル3のノズル植え込み部33の溝41に装着されている。なお、図1及び図2に示す蒸気タービンノズル1において、6個の円弧状のパッキンリング4が配置されているが、ノズル3のノズル植え込み部33の溝41に挿入しやすくするためには、4〜8個の円弧状のパッキンリング4を用いることが好ましい。
【0021】
また図1及び図2に示すように、上半部タービンノズル部分2aと下半部タービンノズル部分2bとの間の繋ぎ目(以下、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目)53は、ノズル3間の繋ぎ目51及びパッキンリング4間の繋ぎ目52に対応して配置され、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51は、パッキンリング4間の繋ぎ目52と互いにずれて配置されている
【0022】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0023】
図1及び図2に示すように、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51と、パッキンリング4間の繋ぎ目52とは、互いにずれて配置されている。すなわち、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51の外輪2の中心方向には、パッキンリング4が跨って配置されている。
【0024】
このため、ノズル3に図1の矢印に示した力F1、F2がかかったとしても、外輪2の中心方向に跨って配置されているパッキンリング4によってノズル3の動きが抑制され、ノズル3が力F1、F2の方向にずれることがない。このため、蒸気タービンノズル1の耐久性を向上させることができる。
【0025】
次に図3を用いて、本実施の形態の変形例について説明する。
【0026】
図3に示に示した本実施の形態の変形例に示すように、蒸気タービンノズル1は、各ノズル3間の繋ぎ目51と、各パッキンリング4間の繋ぎ目52とが、互いにずれて配置されてもよい。
【0027】
図3において、他の構成は図1及び図2に示す実施の形態と略同一である。図3において、図1及び図2に示す実施の形態と同一部分には同一符号を伏して詳細な説明は省略する。
【0028】
このように全てのノズル3間の繋ぎ目51が、パッキンリング4間の繋ぎ目52と互いにずれて配置されることにより、蒸気タービンノズル1は耐久性を更に向上させることができる。
【0029】
第2の実施の形態
次に図4乃至図7により本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、図4乃至図7において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を伏して詳細な説明は省略する。
【0030】
図4乃至図7に示す第2の実施の形態は、ノズル3及びパッキンリング4が特定の構成を有するものであり、他の構成は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0031】
図4乃至図7に示す第2の実施の形態は、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53を介して上半部タービンノズル部分2aと下半部タービンノズル部分2bとに分離自在であり、その内径側に案内溝11を有するとともに、この案内溝11に挿着される複数のノズル3と、ノズル3に挿着される複数の円弧状のパッキンリング4とを備えている(図1乃至図3参照)。
【0032】
このうち複数のノズル3は、ノズル挿着部31と、ノズル挿着部31に連結もしくは一体成形された一端32aを有するノズル板32と、ノズル板32の他端32bに連結もしくは一体成形され、その内径側に溝41を設けたノズル植え込み部33とを有している(図2参照)。
【0033】
図4は、本実施の形態における蒸気タービンノズル1の部分断面を示したものである。図4に示すように、ノズル3のノズル植え込み部33は、ノズル植え込み部33の溝41を形成するとともに、パッキンリング4と嵌合するノズル凸部34を有している。また、パッキンリング4は、ノズル3のノズル植え込み部33のノズル凸部34と嵌合するパッキンリング凹部42と、当該パッキンリング凹部42のノズル板32側に配置されたパッキンリング凸部43とを有している。
【0034】
ここで、ノズル植え込み部33の溝41の深さT2の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T2/T1)は、0.85以下となっている。また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4のパッキンリング凸部43の高さT4の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T4/T1)は、0.3以上となっている(図4参照)。
【0035】
また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4のパッキンリング凸部43の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)は、0.8以上となっている(図4参照)。
【0036】
また、図7に示すように、パッキンリング4に、コイルバネ収納部6を設け、当該コイルバネ収納部6内に一端5aがコイルバネ収納部6内に連結または単に載置され、他端5bがノズル植え込み部33のノズル植え込み部上部壁33aに連結または当接されたコイルバネ5が収納配置しても良い。
【0037】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。
【0038】
蒸気タービン動翼(図示せず)が長くなると、蒸気タービン動翼にかかる遠心力が大きくなり、蒸気タービン動翼特にその植え込み部に負荷がかかりすぎてしまう。このため、蒸気タービン動翼を短くする必要があるが、この蒸気タービン動翼の長さは、一般にノズル3とパッキンリング4の高さの合計値に対応している。
【0039】
このため、蒸気タービン動翼の長さを短くするためには、ノズル3とパッキンリング4の高さの合計を小さくすればよく、ノズル植え込み部33の高さT1を小さくすることは、蒸気タービン動翼にかかる負荷を軽減するためには有益である。
【0040】
また、蒸気タービンノズル1の耐久性を向上させるためには、断面二次モーメントを大きくさせるようノズル3のノズル植え込み部33に挿入されるパッキンリング4の断面積を大きくすることが好ましい。このため、パッキンリング4の挿入されるノズル植え込み部33内に形成される溝41をできるだけ大きくすることが好ましい。
【0041】
一方、ノズル板32とノズル植え込み部33の溝41との間のノズル植え込み部上部壁33aの幅T3の厚みが薄くなりすぎると、図5(b)に示すように、ノズル植え込み部上部壁33aは変形してしまい、ノズル植え込み部33のA部とB部に同程度の剪断応力が発生する。このため、ノズル植え込み部33の耐久性が著しく低下してしまう。
【0042】
ここで、ノズル植え込み部33の溝41の深さT2の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T2/T1)が、0.85より大きくなると、図5(b)に示すように変形してしまう。これに対して本発明によれば、蒸気タービンノズル1のノズル植え込み部33の溝41の深さT2の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T2/T1)が、0.85以下となっているので、図5(a)に示すように正常なノズル植え込み部上部壁33aを維持することができる。
【0043】
また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4のパッキンリングの凸部の高さT4が小さくなりすぎると、図6(a)に示すように、蒸気タービンノズル1が大きく変形してしまう。
【0044】
そして、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T4/T1)が、0.3より小さくなると、図6(a)に示すように、蒸気タービンノズル1が大きく変形してしまう。
【0045】
これに対して本発明によれば、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33の高さT1に対する比率(T4/T1)が、0.3以上となっているため、図6(b)に示すように蒸気タービンノズル1の変形量を小さく維持することができる。
【0046】
また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)は、0.8以上になっている。このため、ノズル植え込み部33内に挿入されるパッキンリング4の断面の断面積が大きくなり、パッキンリング4の断面二次モーメントを大きくすることができるので、パッキンリング4の耐久性を向上させることができる。
【0047】
なお、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)を、0.8以上とする代わりに、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5と、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング4の高さT4との差(T5−T4)を、2mm以上にしても同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、図7に示すように、パッキンリング4にコイルバネ収納部6を設け、コイルバネ5を設けることにより、蒸気タービンノズル1の内径側に配置されたロータ(図示せず)とのラビングを防止することもできる。
【0049】
また、コイルバネ5は、板ばねなどのように大きなスペースをなくても取り付けることができる。このため、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング凸部43の高さT4の、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5に対する比率(T4/T5)を0.8以上になるよう調整することができる。また、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側の溝41の深さT5と、ノズル植え込み部33のノズル凸部34よりノズル板32側に配置されたパッキンリング凸部43の高さT4との差(T5−T4)を2mm以上になるよう調整することもできる。
【0050】
なお、ノズル3とパッキンリング4との間にバランス良く弾性力が働くよう、コイルバネ5及びコイルバネ収納部6を設ける場合には、各パッキンリング4に対して、少なくとも2カ所設けられることが好ましい。
【0051】
第3の実施の形態
次に図8及び図9により本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、各図において図4乃至図7に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図8及び図9に示す第3の実施の形態は、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率が0.5以上であり、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率が0.7以上であるパッキンリング4を用いたものであり、他は図4乃至図7に示す第2の実施の形態と略同一である。
【0052】
ノズル植え込み部33内に配置されるパッキンリング4の断面の断面積を大きくすることにより、パッキンリング4の断面二次モーメントを大きくすることができるため、パッキンリング4の耐久性を向上させることができる。
【0053】
次にパッキンリング4の断面形状と剛性の関係について述べる。
【0054】
パッキンリング4の剛性は、パッキンリング4の断面二次モーメントにより変化する。また、この断面二次モーメントは、パッキンリング凸部43の幅T7、ノズル植え込み部33の幅T6及びパッキンリング凹部42の幅T8により変化する。
【0055】
図9は、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)の変化と、断面二次モーメントの変化量との関係を示し、かつパッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)の変化と、断面二次モーメントの変化量との関係を示している。
【0056】
図9に示すように、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)を増加させることにより、断面二次モーメントを大きく変化させることができ、これにより、パッキンリング4の剛性を大きくすることができる。一方、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)を増加させても、断面二次モーメントはあまり変化しない。このため、パッキンリング4の剛性は大きく変化しない。
【0057】
パッキンリング凸部43の幅T7を変化させて、パッキンリング4の撓み量をシミュレーションにより数値計算すると、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)の変化と、パッキンリング4の撓み量の変化との関係は図10に示したようになる。このため、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)が、0.4の値よりも大きくなると、パッキンリング4の撓み量は、5mm以下となりほとんど変化しなくなるため、ロバスト性の高い安全な設計を行うことができる。
【0058】
なお、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.4以上の値をとったとき、パッキンリング4の撓み量は、一般的に蒸気タービンが正常に運転できるために許容される値を下回っている。
【0059】
また、安全で信頼性の高い蒸気タービンノズル1を得るためには、パッキンリング凸部43の幅T7の、ノズル植え込み部33の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.4以上になることが好ましい。
【0060】
また図8において、パッキンリング凹部42の幅T8を小さくし、パッキンリング凸部43とパッキンリング凹部42との段差T9を大きくすると、パッキンリング4がノズル植え込み部33と嵌合するパッキンリング凹部42で発生するモーメントが大きくなり、パッキンリング4のC部に発生する応力が大きくなる。
【0061】
このため、パッキンリング凸部43とパッキンリング凹部42との段差T9が小さくなるように、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)は、できるだけ大きいほうが耐久性の高いパッキンリング4を得ることができる。
【0062】
パッキンリング凹部42の幅T8を変化させてC部にかかる応力をシミュレーションして数値計算すると、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)が0.7より小さな値になったとき、パッキンリング4のC部の応力は、一般的に蒸気タービン(図示せず)が正常に運転できるために許容される応力値を上回ってしまう。これに対して本発明によれば、パッキンリング凹部42の幅T8の、パッキンリング凸部43の幅T7に対する比率(T8/T7)は0.7以上になっている。このため、パッキンリング4のC部に発生する応力が大きくなりすぎることを防止することができ、蒸気タービンを正常に運転することができる。
【0063】
第4の実施の形態
次に図11及び図12より本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、図11及び図12において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。図11に示す第4の実施の形態は、パッキンリング4間の繋ぎ目52に、外輪2、ノズル板32及びパッキンリング4の各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材44を設ける、もしくはパッキンリング4と、ノズル3のノズル植え込み部33との間にずれ防止コーキング部材45を配置、あるいは両者を併用したものであり、他は図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0064】
蒸気タービンノズル1は、使用されると温度が上昇する。このため、蒸気タービンノズル1の各構成部材が熱膨張し、パッキンリング4間の繋ぎ目52に隙間が生じることがある。
【0065】
このため図11に示すように、パッキンリング4間の繋ぎ目52に、外輪2、ノズル板32及びパッキンリング4の各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材44を設けることにより、蒸気タービンノズル1の温度が上昇しても、パッキンリング4間に発生する隙間が、コーキング部材44によって覆われた状態を保つことができる。このため、蒸気タービンノズル1の耐久性を向上させることができる。
【0066】
また、蒸気タービンノズル1が使用され、温度が上昇することによって、ノズル3と、パッキンリング4との間にすき間が生じ、蒸気タービンを駆動することによる振動等によってパッキンリング4が周方向に回転することがある。
【0067】
このようにパッキンリング4が周方向への回転した場合、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51が、パッキンリング4間の繋ぎ目52に一致してしまったり、各ノズル3間の繋ぎ目51と、各パッキンリング4間の繋ぎ目52とが、一致しまったりすることがある。
【0068】
これに対して本発明によれば、図12に示したように、パッキンリング4と、ノズル3のノズル植え込み部33との間にずれ防止コーキング部材45を配置することにより、パッキンリング4が周方向に回転することを防止することができ、外輪2の部分2a,2b間の繋ぎ目53に対応しないノズル3間の繋ぎ目51が、パッキンリング4間の繋ぎ目52に一致することはなく、また各ノズル3間の繋ぎ目51と、各パッキンリング4間の繋ぎ目52とが、一致することはない。
【0069】
ところで、上述した各実施の形態で示した蒸気タービンノズル1を用いて蒸気タービンを製造することにより、動翼の高さが小さくコンパクトで、かつ耐久性の高い蒸気タービンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による蒸気タービンノズルの第1の実施の形態を示す概略図。
【図2】本発明による蒸気タービンノズルの第1の実施の形態を示す構成図。
【図3】本発明による蒸気タービンノズルの第1の実施の形態の変形例を示す概略図。
【図4】本発明による蒸気タービンノズルの第2の実施の形態における各領域の比率を示す断面図。
【図5】ノズルのノズル植え込み部の変形の様子を示す断面図。
【図6】ノズル及びパッキンリングの柔軟性の変形の様子を示す断面図。
【図7】本発明による蒸気タービンノズルの第2の実施の形態におけるコイルバネを示す断面図。
【図8】本発明による蒸気タービンノズルの第3の実施の形態における各領域の比率を示す断面図。
【図9】本発明による蒸気タービンノズルの第3の実施の形態におけるパッキンリングに発生する断面二次モーメントの変化を示すグラフ。
【図10】本発明による蒸気タービンノズルの第3の実施の形態におけるT7/T6に対する撓み量の変化を示すグラフ。
【図11】本発明による蒸気タービンノズルの第4の実施の形態を示す概略図。
【図12】本発明による蒸気タービンノズルの第4の実施の形態を示す断面図。
【図13】従来の蒸気タービンノズルを示す概略図。
【符号の説明】
【0071】
1 蒸気タービンノズル
2 外輪
2a、2b 部分
3 ノズル
4 パッキンリング
5 コイルバネ
11 案内溝
31 ノズル挿着部
32 ノズル板
33 ノズル植え込み部
34 ノズル凸部
41 溝
42 パッキンリング凹部
43 パッキンリング凸部
44 コーキング部材
45 ずれ防止コーキング部材
51 ノズル間の繋ぎ目
52 パッキンリング間の繋ぎ目
53 外輪の部分間の繋ぎ目
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、
この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、ノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、
前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、
前記ノズル間の繋ぎ目と、前記パッキンリング間の繋ぎ目とは、互いにずれて配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズル。
【請求項2】
少なくとも2以上の部分に分離自在であるとともに、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、
前記外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはこのノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはこのノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、
前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、
前記外輪の部分間の繋ぎ目は、ノズル間の繋ぎ目及びパッキンリング間の繋ぎ目に対応して配置され、
外輪の部分間の繋ぎ目に対応しないノズル間の繋ぎ目は、パッキンリング間の繋ぎ目と互いにずれて、配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズル。
【請求項3】
内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、
この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、
ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、
ノズルのノズル植え込み部は、ノズル植え込み部の溝を形成するとともに、パッキンリングと嵌合するノズル凸部を有し、
パッキンリングは、ノズルのノズル植え込み部のノズル凸部と嵌合するパッキンリング凹部と、当該パッキンリング凹部のノズル板側に配置されたパッキンリング凸部とを有し、
ノズル植え込み部の溝の深さT2の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T2/T1)が0.85以下であり、かつノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T4/T1)が0.3以上であることを特徴とする蒸気タービンノズル。
【請求項4】
ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5に対する比率(T4/T5)が0.8以上であることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービンノズル。
【請求項5】
ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5と、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4との差(T5−T4)が2mm以上であることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービンノズル。
【請求項6】
パッキンリングは、パッキンリング凸部の幅T7の、ノズル植え込み部の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.5以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項7】
パッキンリング凹部の幅T8の、パッキンリング凸部の幅T7に対する比率(T8/T7)が0.7以上であることを特徴とする請求項6記載の蒸気タービンノズル。
【請求項8】
パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間にコイルバネを配置したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項9】
パッキンリングの繋ぎ目に、外輪、ノズル板及びパッキンリングの各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項10】
パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間に、ずれ防止コーキング部材を配置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン。
【請求項1】
内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、
この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、ノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、
前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、
前記ノズル間の繋ぎ目と、前記パッキンリング間の繋ぎ目とは、互いにずれて配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズル。
【請求項2】
少なくとも2以上の部分に分離自在であるとともに、内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、
前記外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはこのノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはこのノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、
前記ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、
前記外輪の部分間の繋ぎ目は、ノズル間の繋ぎ目及びパッキンリング間の繋ぎ目に対応して配置され、
外輪の部分間の繋ぎ目に対応しないノズル間の繋ぎ目は、パッキンリング間の繋ぎ目と互いにずれて、配置されていることを特徴とする蒸気タービンノズル。
【請求項3】
内径側に案内溝を有する円形状の外輪と、
この外輪の案内溝に挿着されるノズル挿着部と、このノズル挿着部に連結もしくはノズル挿着部と一体成形された一端を有するノズル板と、このノズル板の他端に連結もしくはノズル板と一体成形され、内径側に溝を設けたノズル植え込み部とを有する複数のノズルと、
ノズルのノズル植え込み部の溝に挿着される複数の円弧状のパッキンリングとを備え、
ノズルのノズル植え込み部は、ノズル植え込み部の溝を形成するとともに、パッキンリングと嵌合するノズル凸部を有し、
パッキンリングは、ノズルのノズル植え込み部のノズル凸部と嵌合するパッキンリング凹部と、当該パッキンリング凹部のノズル板側に配置されたパッキンリング凸部とを有し、
ノズル植え込み部の溝の深さT2の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T2/T1)が0.85以下であり、かつノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部の高さT1に対する比率(T4/T1)が0.3以上であることを特徴とする蒸気タービンノズル。
【請求項4】
ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4の、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5に対する比率(T4/T5)が0.8以上であることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービンノズル。
【請求項5】
ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側の溝の深さT5と、ノズル植え込み部のノズル凸部よりノズル板側に配置されたパッキンリングに設けた凸部の高さT4との差(T5−T4)が2mm以上であることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービンノズル。
【請求項6】
パッキンリングは、パッキンリング凸部の幅T7の、ノズル植え込み部の幅T6に対する比率(T7/T6)が0.5以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項7】
パッキンリング凹部の幅T8の、パッキンリング凸部の幅T7に対する比率(T8/T7)が0.7以上であることを特徴とする請求項6記載の蒸気タービンノズル。
【請求項8】
パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間にコイルバネを配置したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項9】
パッキンリングの繋ぎ目に、外輪、ノズル板及びパッキンリングの各材料よりも線膨張係数の大きなコーキング部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項10】
パッキンリングと、ノズルのノズル植え込み部との間に、ずれ防止コーキング部材を配置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の蒸気タービンノズル。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の蒸気タービンノズルを用いた蒸気タービン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−120321(P2007−120321A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309800(P2005−309800)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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