説明

蒸気タービン用の熱作動式クリアランス減少

【課題】蒸気タービンの回転部品と静止部品の間のシールに多用されるラビリンスシール歯のクリアランスはシールに悪影響を及ぼす。蒸気タービンが停止状態から定常状態に移行する際に、蒸気漏れ経路が温度差により作動するシールで閉鎖される機構が必要である。
【解決手段】蒸気タービンに適用される熱作動式流路クリアランスシールは、温度差によって作動し、回転部品と静止部品との間にある蒸気流路の半径方向クリアランスをシール又は縮小するものである。蒸気タービンの温度が定常状態に達すると、熱作動式アクチュエータ235は、ダイヤフラム外側リング210の温度差に応じて、ピストン220をダイヤフラム外側リング210からバケットカバー200のシール歯205に向かって移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、蒸気タービンの回転部品と静止部品の間のシールに関し、特に、タービンが停止状態から定常状態運転に移行する際に静止部品で形成される温度差によって作動するシール即ちクリアランスリデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンでは、回転部品と静止部品の間のシールは、蒸気タービン性能の重要な部材である。蒸気漏れ経路の数及び規模が大きいほど、蒸気タービンの効率の損失が増すことは明らかであろう。例えば、静止部品のダイアフラムとロータの間又は回転部品のロータバケット先端と静止シュラウドの間のシールに多用されるラビリンスシール歯は、蒸気タービンの始動又は運転停止などの過渡運転時に半径方向及び周方向に移動できるようにかなりのクリアランスを維持しておく必要がある。勿論、これらのクリアランスはシールに悪影響を及ぼす。また、複数の独立したシール表面、半径方向クリアランスの公差累積及び複数のシールの組立てに関するクリアランスの問題があり、いずれも蒸気タービン効率に悪影響を低下させるおそれがある。さらに、蒸気タービンの効率を向上させるだけでなく、タービンの各種部品を修理及び補修できる能力及びかかる部品について既知の反復境界条件を作成する能力を向上させるシールを生成のは多くの場合困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6926495号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様では、蒸気タービンを提供する。蒸気タービンは、複数の軸方向位置に離隔しかつ周方向に離隔した複数のバケットを含む回転部品を備える。複数のバケットの各々は、1以上のシール歯を含む隣接カバーを備える先端を有する。蒸気タービンはさらに、ダイヤフラム外側リングを各々有する複数のダイヤフラムを含む静止部品を備える。複数のダイヤフラムは、軸方向に、複数のバケットの隣り合った列の間に配置される。各列は、タービンを通る蒸気流路の一部を画成するタービン段を形成する。各ダイヤフラム外側リングは、その内部に形成された1以上の溝を有する。蒸気タービンはさらに、回転部品及び静止部品の周辺に配置され、蒸気漏れ経路の一部をシールする隙間閉鎖部品を備える。隙間閉鎖部品は、複数の隙間閉鎖具を含む。複数の隙間閉鎖具の各々は、それぞれのダイヤフラム外側リングの1以上の溝内で、タービン段の各バケットカバーの1以上のシール歯の周囲に位置する。複数の隙間閉鎖具の各々は、タービンが停止状態から定常状態運転に移行する際にダイヤフラム外側リングに形成される温度差によって作動する。複数の隙間閉鎖具の各々が作動すると、バケットカバーの1以上のシール歯及びダイヤフラム外側リング内の蒸気漏れ経路がシールされる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】従来の各種シールを例示する、蒸気タービンの部分断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による隙間閉鎖具の概略断面図である。
【図3】温度差の存在下で熱作動状態にある図2の隙間閉鎖具を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態による隙間閉鎖具の概略断面図である。
【図5】温度差の存在下で熱作動状態にある図4の隙間閉鎖具の概略断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による隙間閉鎖具の概略断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による隙間閉鎖具の概略断面図である。
【図8】温度差の存在下で熱作動状態にある図7の隙間閉鎖具を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面、特に図1に、回転部品105及び静止部品110を有する蒸気タービン100の一部を示す。回転部品105は、例えば、周方向に離隔した複数のバケット120がタービンの複数の軸方向位置に離隔して各タービン段の部分をなすように装着されたロータ115を含む。静止部品110は、各バケットと共に蒸気タービン100の様々な段を形成するノズルを画成する隔壁130を取り付けた複数のダイヤフラム125を含む。図1に示すように、ダイヤフラム125の外側リング135は、バケット120の先端に隣接するシュラウド又はカバー145をシールするための1列以上のシール歯140を担持する。同様に、ダイヤフラム125の内側リング150は、弧状シールセグメント155を備える。このシールセグメントは、ロータ115をシールするための半径方向内方に突出する高低歯160を有する。図示のように、同様のシールが蒸気タービン100の様々な段に設置されている。蒸気流路の方向を、矢印165により示す。
【0007】
図2は、本発明の第1実施形態による隙間閉鎖部品の概略断面図である。図2には、図3〜図8も同様、図1に示す蒸気タービンの回転部品及び静止部品の一部であって、本明細書に記載の各種隙間閉鎖具の動作を説明するのに必要な部分のみを示す。特に、図2には、蒸気タービンの回転部品としてシール歯205を備えるバケット先端及びカバー200と、蒸気タービンの静止部品として溝215を備えるダイヤフラム外側リング210とを示す。
【0008】
図2の実施形態の隙間閉鎖部品は、ダイヤフラム外側リング210の溝215に配置されたピストン220を含む。図2に示すように、ピストン220は、第1ピストン225及び第2ピストン230を備える。第1ピストン225の幅は、第2ピストン230の幅よりも大きい。図2の隙間閉鎖部品は、ピストン220に隣接するダイヤフラム外側リング210の溝215に位置する熱作動式アクチュエータ235も包含する。熱作動式アクチュエータ235は、ピストン220の第1ピストン225に隣接するダイヤフラム外側リング210の溝215に位置する。図2の隙間閉鎖部品は、ピストン220に隣接するダイヤフラム外側リング210の溝215に位置するディアクティベータ240も包含する。ディアクティベータ240は、ピストン220の第2ピストン230に隣接するダイヤフラム外側リング210の溝215に位置する。
【0009】
本発明の一実施形態では、熱作動式アクチュエータ235は、1以上の任意の熱作動式作動素子を包含しており、これにより、温度差に応じてピストン220を蒸気タービンの蒸気漏れ経路内でダイヤフラム外側リング210の溝215からバケットカバー200のシール歯205に向かって移動させることができる。この用途に好適な熱作動式作動素子として、例えば、ストリップ、ディスク、ワッシャ又はその他の態様のバイメタル素子が挙げられるが、これらに限定されない。本開示においては、熱作動式アクチュエータ235をバイメタル素子としているが、当業者には明らかなように、異なる熱膨張特性を有する材料を含むその他の素子も適用可能である。
【0010】
本発明の一実施形態では、ディアクティベータ240は、タービンが定常状態運転から停止状態に移行する際に、バケットカバー200のシール歯205からダイヤフラム外側リング210へ向かうピストン220の戻りを促進する任意の戻り機構を備える。ディアクティベータとしてこの用途に好適な部品としては、例えば、スプリング部品及びエラストマー部品が挙げられるが、これらに限定されない。図2に示すように、ディアクティベータ240はスプリング部品である。当業者に明らかなように、バケットカバー200のシール歯205から外側のダイヤフラム外側リングへ向かうピストン220の戻りを促進するためのスプリング部品として、様々な異なる寸法及び形状のものを使用することができる。当業者には、1つのスプリング部品でもディアクティベータ240として使用可能であることが理解できよう。さらに、別の実施形態では、スプリング部品を利用しない隙間閉鎖部品を具備することも可能である。この実施形態では、重力によりタービンの下半分にあるピストンが初期位置へ戻るので、戻り機構を必要としない。
【0011】
図2において、蒸気タービンは停止状態であるため、ダイヤフラム外側リング210は低温である。蒸気タービンの温度が定常状態に達すると、熱作動式アクチュエータ235は、ダイヤフラム外側リング210の温度差に応じて、ピストン220をダイヤフラム外側リング210からバケットカバー200のシール歯205に向かって移動させる。
【0012】
図3は、定常状態運転モードにおける蒸気タービンを示す。即ち、ダイヤフラム外側リング210がその定常状態温度に達して、熱作動式アクチュエータ235がピストン220を変形及び移動させることになり、ディアクティベータ(即ち、スプリング部品)240のスプリング荷重の不均衡が生じる。これにより、ダイヤフラム外側リング210からシール歯205に向かってピストン220が蒸気漏れ経路内に押し込まれ、それらの間のクリアランスを閉鎖する。
【0013】
図4は、本発明の第2実施形態による隙間閉鎖部品の概略断面図である。図4において、図2〜図3で用いた部品と同様のものには、その参照番号が図4で用いることを示す数字4で始まること以外は、同様の参照番号が付与されている。図4の実施形態では、エラストマー部品475はダイヤフラム外側リング410の溝415内に位置し、ピストン420の第1ピストン425及び溝415の上部に当接する。図4に示すように、2つのエラストマー部品475が存在しており、ピストン420の荷重の均衡を保つために各々がピストン420の第2ピストン430の両側にある。当業者に明らかなように、ピストン420の第2ピストン430の両側で3以上のエラストマー部品475を使用してもよく、又は、場合によっては1つのエラストマー部品のみを使用してもよい。さらに、当業者には明らかなように、バケットカバー400のシール歯405からダイヤフラム外側リング410へ向かうピストン420の戻りを促進するエラストマー部品として、様々に異なる寸法及び形状のものを使用することができる。例えば、エラストマー部品は、中実であっても中空であってもよい。蒸気タービンの低温段においてエラストマー部品475として適用可能なエラストマー材料として、例えば、デュポン・ダウ・エラストマーズ社(DuPont Dow Elastomers)の登録商標であるVITON(華氏400度)及びダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporatoin)の登録商標であるSILASTIC(華氏600度)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
図4において、蒸気タービンは停止状態であるため、ダイヤフラム外側リング410は低温である。蒸気タービンがその定常状態温度に達すると、熱作動式アクチュエータ435は、ダイヤフラム外側リング410内の温度差に応じて、ピストン420をダイヤフラム外側リング410からバケットカバー400のシール歯405に向かって移動させる。
【0015】
スプリング部品をディアクティベータ240として用いる図2及び図3に示す実施形態と同様に、ダイヤフラム外側リング410内の温度変化により、熱作動式アクチュエータ435が変形し、エラストマー部品(即ち、ディアクティベータ475)の荷重が不均衡になり、ピストン420が蒸気漏れ経路に押し込まれる。図5には、定常状態運転モードにある蒸気タービンを示す。この時、ダイヤフラム外側リング410の温度が定常状態に達して、熱作動式アクチュエータ435がピストン420を変形及び移動させることになり、ディアクティベータ(即ち、エラストマー部品)475の荷重の不均衡が生じる。これにより、ピストン420がダイヤフラム外側リング410からシール歯405に向かって蒸気漏れ経路に押し込まれ、それらの間のクリアランスを閉鎖する。蒸気タービンの運転状態が定常状態から低温状態に移行した後、熱作動式アクチュエータ435はその休止位置の原型(即ち、停止状態)に戻り、ピストン430が蒸気漏れ経路及びシール歯405からダイヤフラム外側リング410の溝415内に戻ることになる。この休止位置では、この位置でピストン430の均衡を保つために、エラストマー部品475に荷重がかる。スプリング部品を利用する実施形態に関して上述したように、エラストマー部品を利用しない隙間閉鎖部品を具備することも可能である。この実施形態では、ピストンは重力によりその初期位置に戻ることになる。この場合、重力により、ピストン430がタービンの下半分の元の位置に戻る。
【0016】
図6は、本発明の第3実施形態による隙間閉鎖具の概略断面図である。図6は蒸気タービンの概略図のみを示される点で図2〜図5と同様であるが、図6には、蒸気タービンの回転部品及び静止部品が詳細に示されている。図6には特に、シール歯610を備える先端カバー605と、ダブテール615と、先端カバー605とダブテール615の間の翼形620とを有する回転部品としてのバケット600を示す。静止部品は、ダイヤフラム外側リング625と、ダイヤフラム外側リング625とダイヤフラム内側リング640の間に位置する取付隔壁635とを含む。図6の実施形態に示す追加部品には、ダイヤフラム外側リング625の溝655内に位置する1以上のシール歯650を有するシールキャリア645がある。シールキャリア645は、バケットカバー605の1以上のシール歯610に対して半径方向にある。シールキャリア645は、蒸気タービンの回転部品及び静止部品を流れるシール経路をシールする役目を果たす。
【0017】
この実施形態では、図6に示す実施形態の隙間閉鎖部品には、ダイヤフラム外側リング625の溝655内に位置する第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665が含まれる。第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665は互いに対向しており、バケットカバー605のシール歯610及びシールキャリア645のシール歯650の軸方向に位置する。第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665は、蒸気タービン内の温度差に応じて、バケットカバー605のシール歯610及びシールキャリア645のシール歯650に向かって移動する。一実施形態では、第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665は、バイメタル板を含み得る1以上の熱作動素子を含む。当業者には明らかなように、異なる熱膨張特性を有する材料を含む素子など、その他の熱作動素子も使用することができる。さらに別の実施形態では、1つの熱作動素子のみからなる隙間閉鎖部品を具備することも可能である。或いは、図6に示す熱作動素子を3以上使用することも可能である。
【0018】
図6において、蒸気タービンは停止状態にあるため、ダイヤフラム外側リング625は低温である。蒸気タービンの温度がその定常状態に達すると、第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665は、温度差に応じてバケットカバー605のシール歯610及びシールキャリア645のシール歯650に向かって移動する。特に、第1熱作動素子660は蒸気漏れ経路の下流に向かって曲がり、第2熱作動素子665は蒸気漏れ経路の上流に向かって曲がる。第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665はいずれも、バケット600の先端の蒸気漏れを制限するように作用する。蒸気タービンの運転が定常状態から低温状態に移行した後、第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665は、その休止位置の原型(即ち、停止状態)に戻る。特に、第1熱作動素子660は再び曲がって蒸気流路の上流の休止位置に戻り、第2熱作動素子665は再び曲がって蒸気流路の下流の休止位置に戻る。
【0019】
当業者に明らかなように、第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665を蒸気タービン内のその他の位置においても、漏れを制限するために使用することができる。例えば、第1熱作動素子660及び第2熱作動素子665を内側根元シールに適用し、漏れを制限することができる。
【0020】
図7〜図8は、本発明の第4実施形態による隙間閉鎖具の概略断面図である。図7〜図8は蒸気タービンの概略図のみを示す点で図6と同様であるが、図7〜図8には蒸気タービンの回転部品及び静止部品が詳細に示されていない。図7〜図8には特に、回転部品としてのシール歯710を備える先端カバー705を有するバケット700と、静止部品としてのダイヤフラム外側リング715及び取付隔壁720を示す。1以上のシール歯730を有するシールキャリア725は、ダイヤフラム外側リング715の延長部740の溝735内に位置する。
【0021】
図7〜図8に示す実施形態の隙間閉鎖部品には、ダイヤフラム外側リング715の溝750内に位置するピストン745が含まれており、このピストンは、バケットカバー705のシール歯710の軸方向にある。ピストン745は、第1部分755及び第2部分760を有する。第1部分755の幅は、第2部分760よりも大きい。さらに、第2部分760からは、軸方向外方に突出するシール歯765がある。シール歯765は、ピストン745の第2部分760から軸方向外方に突出し、温度差に応じてダイヤフラム外側リング715からバケットカバー705のシール歯710に向かって蒸気漏れ経路に押し込まれる。
【0022】
さらに、図7〜図8の実施形態の隙間閉鎖部品には、ピストン745に隣接するダイヤフラム外側リング715の溝750内に位置する熱作動式アクチュエータ770が含まれている。熱作動式アクチュエータ770は、ピストン745の第1ピストン755に隣接するダイヤフラム外側リング715の溝750内に位置する。熱作動式アクチュエータ770は、温度差に応じてピストン745を蒸気漏れ経路内のダイヤフラム外側リング715からバケットカバー705のシール歯710に向かって移動させる。上述の実施形態と同様、熱作動式アクチュエータ770として、例えば、ストリップ、ディスク、ワッシャ又はその他の形状の形態をとり得るバイメタル素子を用いることができる。同様に、異なる熱膨張特性を有する材料を含むその他の素子も使用することができる。
【0023】
さらに、図7〜図8の実施形態の隙間閉鎖部品には、ピストン745に隣接するダイヤフラム外側リング715の溝750内に位置するディアクティベータ775が含まれている。具体的には、ディアクティベータ775は、ピストン745の第2ピストン760に隣接するダイヤフラム外側リング715の溝750内に位置する。ディアクティベータ775は、タービンの運転が定常状態から停止状態に移行する際に、バケットカバー705のシール歯710からダイヤフラム外側リング715に向かって蒸気漏れ経路からピストン745を戻す。図7〜図8の実施形態では、ディアクティベータ775としてスプリング部品を含むが、当業者には明らかなように、図4〜図5の実施形態に示すエラストマー部品などのピストン745の荷重の均衡を保つためのその他の部品を使用することもできる。かかる実施形態に関して上述したように、ディアクティベータ775(例えば、スプリング部品、エラストマー部品)を必ずしも利用しなくてもよい。この実施形態では、ピストン745がロータに接触するまでその作動位置にとどまり、そこで軽い摩擦が生じることにより、ピストン745が初期位置に押し戻される。
【0024】
図7において、蒸気タービンが停止状態であるため、ダイヤフラム外側リング715は低温である。蒸気タービンの温度が定常状態に達すると、熱作動式アクチュエータ770は、ダイヤフラム外側リング715内の温度差に応じて、ピストン745及び1以上のシール歯765をダイヤフラム外側リング715からバケットカバー705のシール歯710に向かって移動させる。図8はその定常状態運転モードにある蒸気タービンを示しており、熱作動式アクチュエータ770がピストン745を変形及び移動させ、ディアクティベータ(即ち、スプリング部品)775のスプリング荷重の不均衡が生じる。これにより、ダイヤフラム外側リング715からシール歯710に向かって蒸気漏れ経路にピストン745及びそのシール歯765が押し込まれる。この実施形態では、ピストン745と共にシール歯765が用いられているが、当業者には明らかなように、単一のシール歯のみを有する、又は、シール歯を全く持たないピストン745を用いた実施形態も可能である。
【0025】
以上、本発明を好適な実施形態を用いて例証的に示し、説明してきたが、明らかなように、本発明には当業者に想起可能な様々な改変形態及び修正形態が存在する。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の教示内容が包含するかかる改変及び修正のすべてを網羅していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0026】
100 蒸気タービン
105 回転部品
110 静止部品
115 ロータ
120 バケット
125 複数のダイヤフラム
130 取付隔壁
135 外側リング
140 シール歯
145 シュラウド又はカバー
150 内側リング
155 弧状シールセグメント
160 高低歯
165 蒸気流路
200 バケット先端及びカバー
205 シール歯
210 ダイヤフラム外側リング
215 溝
220 ピストン
225 ピストンの第1ピストン
230 ピストンの第2ピストン
235 熱作動式アクチュエータ
240 ディアクティベータ
245 蒸気流路
400 バケットカバー
405 シール歯
410 ダイヤフラム外側リング
415 溝
420 ピストン
425 ピストンの第1ピストン
430 ピストンの第2ピストン
435 熱作動式アクチュエータ
445 蒸気流路
475 エラストマー部品
600 バケット
605 先端カバー
610 シール歯
615 ダブテール
620 翼形
625 ダイヤフラム外側リング
635 隔壁
640 ダイヤフラム内側リング
645 シールキャリア
650 シール歯
655 ダイヤフラム外側リング625の溝
660 第1熱作動素子
665 第2熱作動素子
700 バケット
705 先端カバー
710 シール歯
715 ダイヤフラム外側リング
720 隔壁
725 シールキャリア
730 シール歯
735 溝
740 ダイヤフラム外側リング715の延長部
745 ピストン
750 ダイヤフラム外側リング715の溝
755 ピストン745の第1ピストン
760 ピストン745の第2ピストン
765 シール歯
770 熱作動式アクチュエータ
775 ディアクティベータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン(100)であって、
複数の軸方向位置に離隔しかつ周方向に離隔した複数のバケットであって、各々が1以上のシール歯を含む隣接カバーを備える先端を有する複数のバケットを含む回転部品(105)と、
各々その内部に1以上の溝を有するダイヤフラム外側リングを有する複数のダイヤフラムであって、軸方向に複数のバケットの隣り合った列の間に配置され、かつ、各々の列がタービン(100)内の蒸気流路の一部を画成するタービン段を形成する複数のダイヤフラムを含む静止部品(110)と、
回転部品(105)と静止部品(110)の間に位置し、蒸気漏れ経路の一部をシールする隙間閉鎖部品であって、各々が各ダイヤフラム外側リングの1以上の溝内でタービン段における各バケットカバーの1以上のシール歯の周辺に配置され、かつ、タービンが停止状態から定常状態運転に移行する際にダイヤフラム外側リング内に形成される温度差によって作動し、該作動に応じてバケットカバーの1以上のシール歯及びダイヤフラム外側リング内の蒸気漏れ経路をシールする複数の隙間閉鎖具を含む隙間閉鎖部品と
を備える蒸気タービン(100)。
【請求項2】
複数の隙間閉鎖具の各々が、ダイヤフラム外側リング(210)の溝(215)内に位置するピストン(220)であって、温度差に応じてダイヤフラム外側リング(210)からバケットカバー(200)の1以上のシール歯(205)に向かって蒸気漏れ経路に押し込まれ、第1ピストン(225)及び第2ピストン(230)を有しており、第1ピストン(225)の幅は第2ピストン(230)の幅よりも大きいピストン(220)を備える、請求項1記載の蒸気タービン(100)。
【請求項3】
複数の隙間閉鎖具が、
ピストン(220)に隣接するダイヤフラム外側リング(210)の溝(215)内に位置し、かつ、ピストン(220)の第1ピストン(225)に隣接するダイヤフラム外側リング(210)の溝(215)内に位置し、かつ、温度差に応じてピストン(220)を蒸気漏れ経路内のダイヤフラム外側リング(210)からバケットカバー(200)の1以上のシール歯(205)に向かって移動させる熱作動式アクチュエータ(235)を備える、請求項2記載の蒸気タービン(100)。
【請求項4】
熱作動式アクチュエータ(235)が1以上のバイメタル素子を含む、請求項3記載の蒸気タービン(100)。
【請求項5】
複数の隙間閉鎖具の各々が、
ピストン(220)に隣接するダイヤフラム外側リング(210)の溝(215)内に位置し、かつ、ピストン(220)の第2ピストン(230)に隣接するダイヤフラム外側リング(210)の溝(215)内に位置し、かつ、タービン(100)が定常状態運転から停止状態に移行する際に、バケットカバー(200)の1以上のシール歯(205)からダイヤフラム外側リング(210)に向かって蒸気漏れ経路からピストン(220)を戻すディアクティベータ(240又は475)を備える、請求項2記載の蒸気タービン(100)。
【請求項6】
ディアクティベータ(240又は475)が、1以上のスプリング部品(240)及び1以上のエラストマー部品(475)からなる群から選択される、請求項5記載の蒸気タービン(100)。
【請求項7】
複数の隙間閉鎖具の各々が、ダイヤフラム外側リング(715)の溝(735)内に位置しかつバケットカバー(705)の1以上のシール歯(710)に対して軸方向にあるピストン(745)を包含しており、
ピストン(745)が第1ピストン(755)及び第2ピストン(760)を有し、
第1ピストン(755)の幅は、第2ピストン(760)の幅よりも大きく、
第2ピストン(760)は、該第2ピストン(760)から軸方向外方に突出する1以上のシール歯(765)を有し、
ピストン(745)の第2ピストン(760)から軸方向外方に突出する1以上のシール歯(765)は、ダイヤフラム外側リング(715)からバケットカバー(705)の1以上のシール歯(710)に向かって蒸気漏れ経路に押し込まれる、請求項1記載の蒸気タービン(100)。
【請求項8】
複数の隙間閉鎖具の各々が、
ピストン(745)に隣接するダイヤフラム外側リング(715)の溝(750)内に位置し、かつ、ピストン(745)の第1ピストン(755)に隣接するダイヤフラム外側リング(715)の溝(750)内に位置し、かつ、タービンが停止状態から定常状態運転に移行する際にダイヤフラム外側リング(715)内に形成される温度差に応じて、ピストン(745)を蒸気漏れ経路内のダイヤフラム外側リング(715)からバケットカバー(705)の1以上のシール歯(710)に向かって移動させる熱作動式アクチュエータ(770)を備える、請求項7記載の蒸気タービン(100)。
【請求項9】
熱作動式アクチュエータ(770)として、1以上のバイメタル素子又は異なる熱膨張特性を有する素子を含む、請求項8記載の蒸気タービン(100)。
【請求項10】
複数の隙間閉鎖具の各々が、
ピストン(745)に隣接するダイヤフラム外側リング(715)の溝(750)内に位置し、かつ、ピストン(745)の第2ピストン(760)に隣接するダイヤフラム外側リング(715)の溝(750)内に位置し、かつ、タービンが定常状態運転から停止状態に移行する際にバケットカバー(705)の1以上のシール歯(710)からダイヤフラム外側リング(715)に向かって蒸気漏れ経路からピストン(745)を戻すディアクティベータ(775)を備える、請求項7記載の蒸気タービン(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−106834(P2010−106834A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246001(P2009−246001)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】