説明

蒸気洗浄装置

【課題】外部への蒸気の漏れを防止した蒸気洗浄装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る蒸気洗浄装置200は、表示パネル10を載置するテーブルと、洗浄用の蒸気を生成する蒸気生成器222と、蒸気生成器222により生成された蒸気を表示パネルの端子部17に噴射するノズル220と、ノズル220を収容し、表示パネルの端子部17が挿入される開口部を有する筐体210と、筐体210の開口部の外側に設置され、開口部と表示パネル10との間隙を遮蔽する遮蔽板230とを備え、遮蔽板230は、筐体210と対向する主面上に、主面に近接する遮蔽板230の一方の側面から他方の側面に至り略平行に延設された複数の第1の凸部232を備えていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気洗浄装置に関し、特に、表示パネルの端子部の洗浄を行う蒸気洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルや有機EL(Electroluminescence)表示パネルなどの表示パネルの端子部には、パネル内の表示電極に電気的に接続された端子が形成されている。その端子にフレキシブル基板などからなる外部制御基板が接続される。また、機種によっては表示駆動用のICチップが直接実装される。
【0003】
上記外部制御基板の接続やICチップの実装に先立ち、上記表示パネルの端子部の汚れを除去する必要がある。この端子部の汚れを除去するための洗浄装置として、特許文献1には、端子部に対して蒸気を噴射することにより汚れを除去する蒸気洗浄装置が開示されている。これにより、低コストで効果的に端子部の汚れを除去することができる。
【0004】
図3に、洗浄に供する液晶表示パネル10を載置した従来の蒸気洗浄装置20の模式的断面図を示す。蒸気洗浄装置20は、筐体21、ノズル22、遮蔽板23及び液晶表示パネル10を載置するテーブル(不図示)を備える。また、液晶表示パネル10は、内面に第1の電極13が形成された第1の基板11及び内面に第2の電極14が形成された第2の基板12の内面間に、液晶層15が挟持された構成を有する。さらに、液晶表示パネル10の前面及び背面には、偏光板16が貼着されている。そして、第2の基板12の端子部には第2の電極14から延設された端子部17が外部に露出して形成されている。
【0005】
液晶表示パネル10における端子部17が形成された領域を蒸気洗浄装置20の内部へ配置する。そして、ノズル22から端子部17の形成領域に向け蒸気を噴射し、端子部17表面の汚れを除去する。ここで、蒸気洗浄装置20の筐体21には、遮蔽板23が設けられており、偏光板16が貼着された液晶表示パネル10の表示領域に、蒸気が直接飛散するのを防止することができる。
【特許文献1】特開2006−205108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3に示すように、筐体21と遮蔽板23との間には隙間が存在する。そのため、この隙間から蒸気が筐体21の外部へ漏れ、水滴となって偏光板16上に付着し、汚染する問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、外部への蒸気の漏れを防止した蒸気洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る蒸気洗浄装置は、表示パネルを載置するテーブルと、洗浄用の蒸気を生成する蒸気生成器と、前記蒸気生成器により生成された蒸気を前記表示パネルの端子部に噴射するノズルと、前記ノズルを収容し、前記表示パネルの端子部が挿入される開口部を有する筐体と、前記筐体の開口部の外側に設置され、前記開口部と前記表示パネルとの間隙を遮蔽する遮蔽板とを備え、前記遮蔽板は、前記筐体と対向する主面上に、当該主面に近接する一方の側面から他方の側面に至り略平行に延設された複数の第1の凸部を備えていることを特徴とするものである。これにより、外部への蒸気の漏れを防止することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る蒸気洗浄装置は、上記の蒸気洗浄装置において、前記遮蔽板は、近接する前記第1の凸部同士の間に、第1の凸部と交差して形成されている第2の凸部を備えていることを特徴とするものである。これにより、確実に外部への蒸気の漏れを防止することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る蒸気洗浄装置は、上記の蒸気洗浄装置において、前記第1の凸部が3本以上形成されていることを特徴とするものである。これにより、確実に外部への蒸気の漏れを防止することができる。
【0011】
本発明の第4の態様に係る蒸気洗浄装置は、上記の蒸気洗浄装置において、前記第2の凸部が遮蔽板の前記両側面上に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第5の態様に係る蒸気洗浄装置は、上記の蒸気洗浄装置において、前記第1の凸部の高さが1.0mm以上であり、かつ、前記筐体と第1の凸部との間隔が0.1〜1.0mmであることを特徴とするものである。これにより、効果的に外部への蒸気の漏れを防止することができる。
【0013】
本発明の第6の態様に係る蒸気洗浄装置は、上記の蒸気洗浄装置において、前記遮蔽板、第1の凸部及び第2の凸部が同一材料からなることを特徴とするものである。これにより、第1の凸部及び第2の凸部を備えた遮蔽板を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、外部への蒸気の漏れを防止した蒸気洗浄装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0016】
発明の実施の形態.
本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る蒸気洗浄装置200の模式的断面図を示す。図1に示すように、蒸気洗浄装置200は、筐体210、ノズル220、配管221、蒸気生成器222、遮蔽板230、クッション材231、凸部232、局所排気装置240及び表示パネルを載置するテーブル(不図示)を備えている。また、図1には、被洗浄物である液晶表示パネル10も合わせて示した。
【0017】
まず、被洗浄物である液晶表示パネル10について簡単に説明する。図1に示すように、液晶表示パネル10は、内面に第1の電極13が形成された第1の基板11及び内面に第2の電極14が形成された第2の基板12の内面間に、液晶層15が挟持された構成を有する。さらに、液晶表示パネル10の前面及び背面には、偏光板16が貼着されている。そして、第2の基板12の端子部には第2の電極14から延設された端子部17が外部に露出して形成されている。
【0018】
本実施形態に係る蒸気洗浄装置200の筐体210内には、ノズル220、配管221、蒸気生成器222が設置されている。蒸気生成器222は、供給された純水などの洗浄液を加熱して気化することにより、洗浄用蒸気を生成する。蒸気生成器222により生成された蒸気は、配管221を経由してノズル220から被洗浄物に対して噴射される。なお、蒸気生成器222は筐体210外に設置されていても良い。
【0019】
洗浄する場合、図1に示すように、液晶表示パネル10における端子が形成された領域である端子部17のみを、筐体210の開口部から蒸気洗浄装置200の内部へ挿入し、配置する。そして、ノズル220から端子部17の形成領域に向け蒸気を噴射し、端子部17表面の汚れを除去する。通常、端子部17の表面はアルミニウムなどの金属膜やITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる。
【0020】
ノズル220、配管221、蒸気生成器222は図示しない保持装置により保持されており、その材料としては、耐食性に優れるステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316)やチタンなどを用いることができる。
【0021】
また、図1に示すように、遮蔽板230が、筐体210開口部の外側に設けられている。遮蔽板230はシャッターとして機能し、偏光板16が貼着された液晶表示パネル10の表示領域に、蒸気が直接飛散するのを防止することができる。なお、液晶表示パネル10の側面にも、ゴム状部材(不図示)を密着させて蒸気の漏れを防止している。遮蔽板230は駆動装置(不図示)に接続されており、図面上下方向に移動可能であり、筐体210の開口部と液晶表示パネル10との間隙を遮蔽することができる。遮蔽板230の材料としては、耐食性、耐久性、加工性に優れるものであれば特に限定されないが、アルミニウムが好適である。
【0022】
また、被洗浄物である液晶表示パネル10と接触する遮蔽板230の下端には、液晶表示パネル10の傷つき防止及び遮蔽板230と液晶表示パネル10とのシーリング性、遮蔽板の耐久性を考慮して、ゴム材及びスポンジ材からなるクッション材231が配置されている。
【0023】
従来の蒸気洗浄装置では、遮蔽板230と筐体210との隙間から、蒸気が筐体210の外部へ漏れ、水滴となって偏光板16上に付着し、汚染する問題があった。そのため、本実施形態に係る蒸気洗浄装置200では、遮蔽板230に、蒸気を遮るための第1の凸部232が、水平方向に複数延設されている。これにより、蒸気圧が減衰し、蒸気が筐体210の外部へ漏れることを防止することができる。第1の凸部232は遮蔽板230と同一材料であることが好ましい。ここで、蒸気が筐体210の外部へ漏れることを効果的に防止するためには、第1の凸部232の高さは1.0mm以上であることが好ましい。また、詳細には後述するとおり、第1の凸部232が1つだけでは、蒸気を遮断する効果が少ないため、複数形成する必要がある。
【0024】
筐体210と第1の凸部232との間隔すなわちクリアランスは、0.1〜1.0mmであることが好ましい。0.1mm未満では、クリアランスの制御が難しくなり、筐体210と第1の凸部232とが接触する恐れがある。他方、1.0mmを越えると、蒸気の漏れを効果的に防止することができなくなる。
【0025】
図2を用いて、遮蔽板230についてさらに詳細に説明する。図2(a)は遮蔽板230の第1の凸部232が形成された面(前面)から見た図、図2(b)は遮蔽板230の上面から見た図、図2(c)は遮蔽板230の側面から見た図である。
【0026】
図2(a)及び(b)に示すように、平板状の遮蔽板230の一方の主面上に複数の第1の凸部232が、水平方向に延設されている。蒸気を効果的に遮るために、各第1の凸部232は、少なくとも筐体230と対向する範囲では、連続して形成されている必要がある。遮蔽板230の左右両端にはガイド233が配置されている。遮蔽板230は、このガイド233に沿って、上下に移動することができる。
【0027】
図2(c)に示すように、遮蔽板230の両側面上に第1の凸部232と交差する第2の凸部234が形成さている。図2(c)では、片側の側面において、近接する第1の凸部232間に、1本の第2の凸部234が形成されているが、複数であってもよい。また、この第2の凸部234は遮蔽板230の両側面上でなく、主面上の両端近傍に形成されていてもよい。近接する第1の凸部232と両者の間に形成された第2の凸部234により四方を囲まれた空間が形成される。この空間に蒸気が滞留し、蒸気が蒸気洗浄装置200外に漏れるのを防止することができるものと考えられる。そのため、第1の凸部232は複数必要となる。さらに、上記空間を複数設けることにより、効果をさらに高めることができる。すなわち、第1の凸部232を3本以上とすることが好ましい。
【0028】
局所排気装置240は、筐体210に設置されており、筐体210内に充満した水蒸気を排気し、遮蔽板230と筐体210との隙間から水蒸気が漏れるのを抑制している。
【実施例】
【0029】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
横357mm×縦40.6mm×厚さ8.5mmのアルミニウム製の遮蔽板230の主面上に、長さ360mm×幅2mm×高さ1.5mmの第1の凸部232を6本、遮蔽板230の主面上端から2mm間隔で形成した。ここで、第1の凸部232の長さ方向が遮蔽板230の横方向に相当する。すなわち、遮蔽板230の両側面にも高さ1.5mmの第1の凸部232を主面から連続して形成した。
【0030】
この遮蔽板230の両側面の近接する第1の凸部232の間に、長さ2mm×幅2.0mm×高さ1.5mmの第2の凸部234を2本、2.0mm間隔で形成した。第2の凸部234の長さは近接する第1の凸部232の間隔に一致する。第1の凸部232及び第2の凸部234はいずれもアルミニウムからなる。筐体210と第1の凸部232との間隔すなわちクリアランスは0.5mmとした。
【0031】
第1の凸部232及び第2の凸部234を有さない、従来の平坦な遮蔽板230では、筐体210と第1の凸部232との間隔すなわちクリアランスが1.5mmであり、この遮蔽板230と筐体210との間から蒸気が漏れていた。本実施例に係る蒸気洗浄装置200では、蒸気の漏れが確認されず、第1の凸部232及び第2の凸部234を形成したことにより、蒸気の漏れを効果的に防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施の形態に係る蒸気洗浄装置を示す模式図である。
【図2】遮蔽板の詳細な構成を示す模式図である。
【図3】従来の蒸気洗浄装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0033】
10 液晶表示パネル
11 第1の基板
12 第2の基板
13 第1の電極
14 第2の電極
15 液晶
16 偏光板
17 端子
20、200 蒸気洗浄装置
21、210 筐体
22、220 ノズル
23、230 遮蔽板
221 配管
222 蒸気生成器
231 クッション材
232 第1の凸部
233 ガイド
234 第2の凸部
240 局所排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルを載置するテーブルと、
洗浄用の蒸気を生成する蒸気生成器と、
前記蒸気生成器により生成された蒸気を前記表示パネルの端子部に噴射するノズルと、
前記ノズルを収容し、前記表示パネルの端子部が挿入される開口部を有する筐体と、
前記筐体の開口部の外側に設置され、前記開口部と前記表示パネルとの間隙を遮蔽する遮蔽板とを備え、
前記遮蔽板は、前記筐体と対向する主面上に、当該主面に近接する一方の側面から他方の側面に至り略平行に延設された複数の第1の凸部を備えていることを特徴とする蒸気洗浄装置。
【請求項2】
前記第1の凸部が3本以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気洗浄装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、近接する前記第1の凸部同士の間に、第1の凸部と交差して形成されている第2の凸部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気洗浄装置。
【請求項4】
前記第2の凸部が遮蔽板の前記両側面上に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蒸気洗浄装置。
【請求項5】
前記第1の凸部の高さが1.0mm以上であり、かつ、前記筐体と第1の凸部との間隔が0.1〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸気洗浄装置。
【請求項6】
前記遮蔽板、第1の凸部及び第2の凸部が同一材料からなることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の蒸気洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−238052(P2008−238052A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82019(P2007−82019)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】