説明

蒸留塔及び蒸留装置

【課題】計装機器接続用配管内における固形物の付着を抑制でき、計装機器の誤指示を防止し、長期安定運転が可能な蒸留塔及び蒸留装置を提供する。
【解決手段】本発明の蒸留塔10は、被蒸留液の蒸留の際に塔底部に溜まった塔底液を、リボイラを介して循環させる蒸留塔10において、蒸留塔10の側面に、リボイラにて加熱された塔底液を蒸留塔10内部に導入する塔底液導入用配管11と、計装機器に接続される計装機器接続用配管12とが、蒸留塔10内部と連通するように設けられ、計装機器接続用配管12の一方の端部は、蒸留塔10内部に配置されていると共に、端部の開口部12bが蒸留塔10の中心軸に向かないように屈曲または分岐している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルなどの易重合性物質等を含む液を蒸留する蒸留塔及び蒸留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、易重合性物質の一種であるメタクリル酸は、イソブチレン、ターシャリーブタノール、メタクロレイン等の気相酸化反応により製造されている。該反応によりメタクリル酸を生成する場合、テレフタル酸、水、酢酸、アクリル酸等の多くの副生成物が不純物として生成される。また、主生成物であるメタクリル酸やエステル化反応により生成されるメタクリル酸エステルの一部も、重合してオリゴマー等の不純物となり得る。
合成した易重合性物質は、蒸留塔にて分離・精製することが一般的である。しかしながら、易重合性物質を蒸留する蒸留塔では、副生成物や合成した易重合性物質の重合体が蒸留塔やこれに接続される配管等に付着し、連続運転に支障をきたすことがあった。
例えば、特許文献1には、本願明細書の図4に示すように、蒸留塔110の塔底部110aの、塔底液Aの液面Aと最下段トレイ又は規則充填物の最下部113との間に、側面110bに開口部112bが形成されるように、圧力計等の計装機器(図示せず)に接続される計装機器接続用配管112が取り付けられていた。
【0003】
ところが、従来の蒸留塔においては、塔底液導入用配管111を介して、リボイラにより加熱された塔底液を蒸留塔110内に導入した場合、液面Aから飛び跳ねた塔底液Aが計装機器接続用配管112の内部に付着することがあった。
しかも、メタクリル酸製造の副生成物であるテレフタル酸や、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸エステル等の易重合性物質の重合体は、メタクリル酸よりも高沸点であるため、蒸留塔の塔底部で濃縮される。そのため、塔底液中には、テレフタル酸や、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸エステルの重合体が高濃度に含まれ、過飽和状態となり、析出しやすくなっている。そのような状態では、塔底液の冷却や蒸発が僅かでも進行すると飽和溶解度が低下して、テレフタル酸、メタクリル酸及び/又はメタクリル酸エステルの重合体が容易に析出した。したがって、計装機器接続用配管の内部に副生成物や易重合性物質の重合体が付着しやすく、閉塞を招くことがあった。
【0004】
また、メタクリル酸を精製する蒸留塔では、塔底液温度が外気温より高くなるような条件で運転されるため、塔底液の液面より高い位置に設けられる計装機器接続用配管は塔底液より温度が低く、しかも外気との伝熱の影響を受けやすい。そのため、計装機器接続用配管内では付着した塔底液が冷却されやすく、副生成物や重合体が析出して固形物が付着しやすかった。
その上、計装機器接続用配管の内部に固形物が存在すると、計装機器接続用配管内に入り込んだ易重合性物質が長時間滞留するため、重合して新たに固形物を生成し、閉塞を促進させていた。しかも、温度の低い計装機器接続用配管内は、易重合性物質含有ガスが凝縮されやすく、該塔底液は重合防止剤を含まないため、重合が起こりやすい環境にあった。
そして、計装機器接続用配管の内部に固形物が付着・堆積すると、計装機器が誤指示を起こすことがあるため、長期連続運転に支障をきたすおそれがあった。
そこで、計装機器接続用配管の内部の固形物の付着を防止するために、計装機器接続用配管の内部に非凝縮性ガスを導入したり、計装機器接続用配管を装置内部に向かって3°〜70°の下方勾配をつけて設ける対策を採ることがあった。(特許文献2、3参照)
しかしながら、かかる対策を講じても、計装機器接続用配管内部の固形物の付着を充分に防止することが難しかった。そのため、付着した固形物を化学的手段及び/又は物理的手段により高頻度で除去しなければならず、その除去作業に多大な労力と時間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−177633号公報
【特許文献2】特開2003−311101号公報
【特許文献3】特開2001−081050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、計装機器接続用配管内における固形物の付着を抑制でき、計装機器の誤指示を防止し、長期安定運転が可能な蒸留塔及び蒸留装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、蒸留塔110内にてリボイラにより加熱された加熱塔底液を蒸留塔内に導入し、液面Aから飛び跳ねた塔底液Aが計装機器接続用配管112の内部に付着する様子を調べたところ、蒸留塔の中心軸方向から飛来する飛沫が多いことを見出した。その知見に基づき、計装機器接続用配管内における固形物の付着抑制するための手段について検討し、以下の蒸留塔及び蒸留装置を発明した。
【0008】
本発明の蒸留塔は、被蒸留液を蒸留する際に塔底部に溜まった塔底液を、リボイラを介して循環させる蒸留塔において、該蒸留塔の側面に、リボイラにて加熱された塔底液を蒸留塔内部に導入する塔底液導入用配管と、計装機器に接続される計装機器接続用配管とが、蒸留塔内部と連通するように設けられ、前記計装機器接続用配管の一方の端部は、蒸留塔内部に配置されていると共に、該端部の開口部が蒸留塔の中心軸に向かないように屈曲または分岐していることを特徴とする。
本発明の蒸留塔においては、前記計装機器接続用配管の前記端部が、エルボ状配管もしくはチーズ状配管であることが好ましい。
本発明の蒸留装置は、上記蒸留塔と、該蒸留塔の塔底部に接続されたリボイラとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の蒸留塔及び蒸留装置によれば、計装機器接続用配管内の固形物の付着を抑制でき、計装機器の誤指示を防止し、長期安定運転が可能になる。また、計装機器接続用配管内部に付着した固形物の除去作業を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の蒸留塔の一実施形態例における塔底部を示す縦断面図である。
【図2】本発明の蒸留装置の一実施形態例を示す模式図である。
【図3】本発明の蒸留塔の他の実施形態例における塔底部を示す縦断面図である。
【図4】従来の蒸留塔の塔底部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<蒸留塔>
本発明の蒸留塔の一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の蒸留塔を示す。本実施形態例の蒸留塔10は、被蒸留液を蒸留する際に塔底部10aに溜まった塔底液Aを、リボイラ(図示せず)を介して循環させるものであり、蒸留塔10の側面に、リボイラにて加熱された塔底液を蒸留塔10の内部に導入する塔底液導入用配管11と、計装機器(図示せず)に接続される計装機器接続用配管12とが、蒸留塔10の内部と連通するように設けられている。
塔底液導入用配管11及び計装機器接続用配管12の高さ方向の位置はいずれも、塔底液Aの液面Aと、最下段トレイ又は規則充填物の最下部13との間にされている。
なお、実際の蒸留塔10では、塔底液導入用配管11と計装機器接続用配管12とは必ずしも同一断面上に存在しないが、図1では、これらの高さ方向の位置を明確に示すため、便宜上、同一断面上に図示している(後述の図3も同様)。
【0012】
本実施形態例における計装機器接続用配管12は、蒸留塔10の側壁10bを貫通し、一方の端部12aが蒸留塔10の内部に配置されている。また、計装機器接続用配管12の端部12aは、開口部12bが鉛直方向の下方に向くようにされたエルボ状配管からなっている。ここで、エルボ状配管とは90°屈曲した配管のことである。
計装機器接続用配管12の端部12aがエルボ状配管からなっていることで、計装機器接続用配管12の開口部12bが蒸留塔10の中心軸10cに向かないようにされている。
計装機器接続用配管12に接続される計装機器としては、例えば、塔底部10a内の圧力を測定する圧力計、塔底液Aの液面Aを測定する液面計、差圧計等が挙げられる。
【0013】
蒸留塔10で蒸留される被蒸留液としては、計装機器接続用配管12の内部の固形物付着防止の効果がより発揮されることから、易重合性物質(a)を主成分として含み、固形物及び/又は易析出物質(b)を副成分として含む液が好ましい。ここで、主成分とは、含有量が30質量%以上の成分のことであり、副成分とは、含有量が30質量%未満の成分のことである。
固形物及び/又は易析出物質(b)は、易重合性物質(a)の合成時に生成された副生成物や、易重合性物質(a)の重合体等である。なお、易析出物質とは、被蒸留液に対する飽和溶解度が小さい物質のことである。
【0014】
易重合性物質(a)としては、重合しやすい物質であれば特に限定されないが、例えば重合性ビニル化合物等が挙げられる。
重合性ビニル化合物の中でも、本発明の効果が特に発揮されることから、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクロレインが好適である。これらの具体例としては、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸類、メチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの脂環・芳香環・複素環及びビニル基含有(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシルまたはアルコキシル基含有(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類、フタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−(メタ)アクロイルオキシエチルなどのカルボン酸含有(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートベンジルクロライド塩、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート類、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクロレインなどの不飽和アルデヒド類等が挙げられる。被蒸留液は、これら易重合性物質の1種を単独で含んでもよいし、複数種を含んでもよい。
易重合性物質(a)が例示した化合物である場合には、固形物及び/又は易析出物質(b)としては、テレフタル酸、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルの重合体等が挙げられる。
【0015】
上記のように、本実施形態例の蒸留塔10では、計装機器接続用配管12の端部12aがエルボ状配管からなっており、開口部12bが、飛沫飛来の多い蒸留塔10の中心軸10c方向に向かないようにされている。そのため、リボイラにより加熱された加熱塔底液を、塔底液導入用配管11を介して蒸留塔10内に導入した際に、液面から飛び跳ね、飛沫となった塔底液が計装機器接続用配管12の内部に付着しにくい。しかも、本実施形態例では、開口部12bが鉛直方向下向きにされているため、仮に塔底液が付着した場合でも容易に落下する。そのため、塔底液A内で生成した析出物が計装機器接続用配管12の内部に付着しにくく、また、計装機器接続用配管12の内部にて滞留しにくく、新たな固形物が生成しにくい。
したがって、計装機器接続用配管12の内部の固形物付着による計装機器の誤指示が防止されており、長期にわたって安定的に蒸留塔10を運転することができる。また、計装機器接続用配管12の内部の固形物を除去する作業を削減できる。
【0016】
<蒸留装置>
上記蒸留塔10を用いた蒸留装置の一実施形態例について説明する。
図2に、本実施形態例の蒸留装置を示す。この蒸留装置1は、蒸留塔10と、蒸留塔10の中央部に接続され、被蒸留液を供給する被蒸留液供給管20と、蒸留塔10の最底部10dに接続され、塔底液Aを抜き出す塔底液抜き出し用配管30と、塔底液抜き出し用配管30にリボイラ還流管41を介して接続され、塔底液Aの一部を加熱するリボイラ40とを具備する。リボイラ40で加熱された加熱塔底液は、塔底液導入用配管11を介して、蒸留塔10に返送されるようになっている。
【0017】
蒸留装置1を用いた蒸留では、まず、被蒸留液供給管20を介して蒸留塔10に被蒸留液を供給し、蒸留塔10にて蒸留する。蒸留により蒸留塔10の塔底部10aに溜まった塔底液Aは、塔底液抜き出し用配管30を介して蒸留塔10から抜き出され、一部は次工程に移送され、残部はリボイラ還流管41を介してリボイラ40に送られる。リボイラ40にて加熱された加熱塔底液は、塔底液導入用配管11を介して、蒸留塔10の塔底部10aに再び導入される。このように、加熱塔底液を蒸留塔10の塔底部10aに戻して循環させることにより、蒸留が継続するようになっている。
【0018】
蒸留装置1においては、上述した蒸留塔10を具備するため、蒸留の際に計装機器接続用配管12の内部の固形物の付着を防止できる。したがって、計装機器の誤指示を防止でき、長期にわたって安定に運転できる。
本発明は、塔底液Aの温度が外気温より高くなるような条件で蒸留される場合にとりわけ有効である。
【0019】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されない。
例えば、図3に示すように、計装機器接続用配管12の端部12aを、T字状に3方に分岐した配管であるチーズ状配管としてもよい。チーズ状配管を用いた場合には、開口部12b,12bが鉛直方向の上向きおよび下向きになるように配置することが好ましい。開口部12b,12bが鉛直方向の上向きおよび下向きのチーズ状配管を用いた場合には、飛沫を含んだガスが一方の開口部12bから入り込んだ場合でも、その殆どは、圧力損失の低い他方の開口部12bから抜け出るようになる。したがって、計装機器接続用配管12への塔底液の付着をより防止できる。
また、計装機器接続用配管12の端部12aにおいて、Y字状に3方に分岐した配管を用いてもよい。
計装機器接続用配管12の開口部12bは蒸留塔10の中心軸10cに向かないようにされていれば、飛沫が計装機器接続用配管12の内部に入り込みにくくなるため、本発明において開口部12bは鉛直方向の下方を向いていなくても構わない。例えば、斜め下方向を向いていてもよいし、水平方向を向いていていもよいし、鉛直方向の上方もしくは斜め上方向を向いていても構わない。ただし、開口部12bを水平方向もしくは鉛直方向の上方もしくは斜め上方向に向ける場合には、計装機器接続用配管12の下部、特にエルボ状配管またはチーズ状配管の下部にウイープホール等を設置することが好ましい。
また、塔底液導入用配管11は計装機器接続用配管12よりも高い位置に設けられても構わない。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
(実施例1)
図1に示すような、圧力計が接続された計装機器接続用配管12の端部12aがエルボ状配管(内径78mm)からなっており、開口部12bが鉛直方向下向きとされた蒸留塔10(内径1900mm)を具備する減圧式蒸留装置を用いて、連続的にメタクリル酸を蒸留した。
定常状態となった後の塔底液Aのメタクリル酸濃度は98質量%であり、同液中にはテレフタル酸及びメタクリル酸のオリゴマーがいずれも700ppm程度含まれていた。また、塔底液の温度は95℃であった。
本実施例では、計装機器接続用配管12の内部に、テレフタル酸及びメタクリル酸のオリゴマーが析出して付着することがなかった。そのため、計装機器接続用配管12の内部に付着した固形物に起因する圧力計の誤指示はなく、洗浄等を行わなくても、約1年間安定して連続運転できた。
【0021】
(実施例2)
図3に示すような、圧力計が接続された計装機器接続用配管12の端部12aがチーズ状配管(内径78mm)からなっており、開口部12bが鉛直方向上向き及び下向きとされた蒸留塔50(内径1900mm)を具備する蒸留装置を用いた以外は実施例1と同様にして、連続的にメタクリル酸を蒸留した。
定常状態となった後の塔底液Aのメタクリル酸濃度は98質量%であり、同液中にはテレフタル酸及びメタクリル酸のオリゴマーがいずれも800ppm程度含まれていた。また、塔底液の温度は95℃であった。
本実施例では、計装機器接続用配管12の内部には、テレフタル酸及びメタクリル酸のオリゴマーが析出して付着することがなかった。そのため、計装機器接続用配管12の内部に付着した固形物に起因する圧力計の誤指示はなく、洗浄等を行わなくても、約1年間安定して連続運転できた。
【0022】
(比較例1)
図4に示すような、圧力計が接続された計装機器接続用配管112(内径78mm)の開口部112bが蒸留塔110の側面に形成された蒸留塔110(内径1900mm)を具備する蒸留装置を用いた以外は実施例1と同様にして、連続的にメタクリル酸を蒸留した。
定常状態となった後の塔底液Aのメタクリル酸濃度は98質量%であり、同液中にはテレフタル酸及びメタクリル酸のオリゴマーがいずれも700ppm程度含まれていた。また、塔底液の温度は95℃であった。本比較例では、蒸留塔110の運転開始から約1ヶ月で、計装機器接続用配管112の内部にテレフタル酸及びメタクリル酸のオリゴマーが析出して計装機器接続用配管112が閉塞し、運転の停止及び除去洗浄作業を余儀なくされた。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の蒸留塔及び蒸留装置は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクロレイン等の易重合性物質を含む被蒸留液の蒸留に好適に使用される。
【符号の説明】
【0024】
1 蒸留装置
10,50 蒸留塔
10a 塔底部
10b 側壁
10c 中心軸
10d 最底部
11 塔底液導入用配管
12 計装機器接続用配管
12a 端部
12b 開口部
20 被蒸留液供給管
30 塔底液抜き出し用配管
40 リボイラ
A 塔底液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被蒸留液を蒸留する際に塔底部に溜まった塔底液を、リボイラを介して循環させる蒸留塔において、
該蒸留塔の側面に、リボイラにて加熱された塔底液を蒸留塔内部に導入する塔底液導入用配管と、計装機器に接続される計装機器接続用配管とが、蒸留塔内部と連通するように設けられ、
前記計装機器接続用配管の一方の端部は、蒸留塔内部に配置されていると共に、該端部の開口部が蒸留塔の中心軸に向かないように屈曲または分岐していることを特徴とする蒸留塔。
【請求項2】
前記計装機器接続用配管の前記端部は、エルボ状配管もしくはチーズ状配管であることを特徴とする請求項1に記載の蒸留塔。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蒸留塔と、該蒸留塔の塔底部に接続されたリボイラとを具備することを特徴とする蒸留装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−218307(P2011−218307A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91377(P2010−91377)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】