説明

蒸発燃料処理装置

【課題】2種類の分離膜を使用して良好な蒸発燃料の回収効率を確保しながら、キャニスタへ返流するパージ用のガス中の蒸発燃料濃度が的確に低減された蒸発燃料処理装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク1から発生する蒸発燃料を吸着捕集するキャニスタ2と、キャニスタ2から分離膜モジュールへ蒸発燃料含有ガスを圧送するポンプ5と、濃縮膜3を備える濃縮膜モジュール30と、希釈膜4を備える希釈膜モジュール40とを有する。濃縮膜モジュール30と希釈膜モジュール40とは直列に連通され、濃縮膜モジュール30の透過室32が燃料タンク1へ連通され、希釈膜モジュール40の透過室41がキャニスタ2へ連通されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内で発生する蒸発燃料を、高濃度で蒸発燃料を含む高濃度ガスと低濃度で蒸発燃料を含む低濃度ガスとに分離する分離手段を備え、蒸発燃料を高濃度で燃料タンクへ回収する内燃機関の蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蒸発燃料処理装置として、特許文献1乃至特許文献3がある。特許文献1では、燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸着捕集するキャニスタと、キャニスタから脱離された蒸発燃料を含む蒸発燃料含有ガスを、蒸発燃料を高濃度で含む高濃度ガスと蒸発燃料を低濃度で含む低濃度ガスとに分離する分離膜と、キャニスタから分離膜へ蒸発燃料含有ガスを圧送するポンプとを有する。特許文献1における分離膜としては、溶解拡散係数の相違により燃料成分は優先的に透過するが、空気成分は透過し難い分離膜を使用している。当該分離膜は、蒸発燃料含有ガスを透過側の高濃度ガス(濃縮ガス)と非透過側の低濃度ガス(希釈ガス)とに分離するものであって、蒸発燃料濃縮膜ということもできる。分離膜を透過した高濃度ガスは燃料タンクへ回収され、分離膜を透過しなかった低濃度ガスはキャニスタへ返流される。
【0003】
一方、特許文献2及び特許文献3では、蒸発燃料の回収効率を向上させるため、蒸発燃料濃縮膜を直列に2つ設けて、蒸発燃料含有ガスを二段階で濃縮している。具体的には、第1の蒸発燃料濃縮膜を透過した高濃度ガスを燃料タンクへ回収し、第1の蒸発燃料濃縮膜を透過しなかった中濃度ガスは、第2の蒸発燃料濃縮膜へ供給している。第2の蒸発燃料濃縮膜を透過した二次濃縮ガスは再度第1の蒸発燃料濃縮膜へ還流させる一方、第2の蒸発燃料濃縮膜を透過しなかった低濃度ガスをキャニスタへ返流している。
【0004】
また、自動車の燃料タンクから発生する蒸発燃料を直接対象とするものではないが、ナフサ軽質留分などの、石油由来の蒸発成分を3成分以上含有する混合ガスから、イソプレンガスなどの特定成分とその他の成分とを分離回収するに際して、膜に対する特定成分の透過係数が高い特定成分濃縮膜と、膜に対する特性成分の透過係数が低い特定成分希釈膜との、2種類の分離膜を直列に設けて多段分離するガス分離方法が、特許文献4に開示されている。特許文献4には、大きく分けて、特定成分希釈膜を上流に、特定成分濃縮膜を下流に設けた第1の形態と、第1の形態とは逆に、特定成分濃縮膜を上流に、特定成分希釈膜を下流に設けた第2の形態が開示されている。第1の形態では、第1の分離膜としての特定成分希釈膜を透過した低濃度ガスは再度特定成分希釈膜へ還流される。一方、特定成分希釈膜を透過しなかった高濃度ガスは、第2の分離膜としての特定成分濃縮膜へ供給され、当該特定成分濃縮膜を透してさらに濃縮された状態で分離回収される。特定成分濃縮膜を透過しなかったその他の成分は、低濃度ガス(希釈ガス)として回収される。第2の形態では、第1の分離膜としての特定成分濃縮膜を透過しなかったガスは、特定成分希釈ガスとして回収される。一方、特定成分濃縮膜を透過した高濃度ガスは、第2の分離膜としての特定成分希釈膜へ供給される。当該特定成分希釈膜を透過した低濃度ガスは、再度特定成分希釈膜へ還流され、特定成分希釈膜を透過したガスが、高濃度ガスとして回収される。
【0005】
【特許文献1】特開平10−274106号公報
【特許文献2】特開2004−332694号公報
【特許文献3】特開2003−314381号公報
【特許文献4】特開平9−66217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような特定成分に対する透過係数の相違を利用した分離膜は、複数種の成分を透過ガスと非透過ガスとに分離することで比較的容易に分離できるが、その分離精度は100%ではない。例えば、燃料成分に対する透過係数の高い蒸発燃料濃縮膜を使用しても、透過ガス(高濃度ガス)中にある程度の空気成分が混在することは避けられず、非透過ガス(低濃度ガス)中には透過しきれなかった蒸発燃料も残存している。したがって、特許文献1では1つの蒸発燃料濃縮膜を使用しているだけなので、蒸発燃料の回収効率に課題が残る。
【0007】
これに対し特許文献2や特許文献3では、蒸発燃料濃縮膜を2つ設けて二段階で濃縮しているので、特許文献1と比べて蒸発燃料の回収効率は向上する。しかし、特許文献2や特許文献3では、一種類の分離膜を使用しているのみである。これでは、第2の蒸発燃料濃縮膜を透過しなかった低濃度ガス中の蒸発燃料濃度の低減に課題が残る。ここで、分離膜による分離精度は、ガス中の分離対象成分濃度に大きく影響を受ける。例えば、蒸発燃料含有ガス中の蒸発燃料濃度が高い場合は、蒸発燃料濃縮膜を透した分離精度は比較的高いが、蒸発燃料含有ガス中の蒸発燃料濃度がさほど高くない場合は、その分蒸発燃料濃縮膜を透した分離精度も下がる。これを踏まえて特許文献2や特許文献3では、第1の蒸発燃料濃縮膜によってある程度蒸発燃料濃度が下がった中濃度ガスを第2の蒸発燃料濃縮膜によって再度分離し、第2の蒸発燃料濃縮膜を透過しなかった低濃度ガスをキャニスタへ返流している。したがって、第2の蒸発燃料濃縮膜では、第1の蒸発燃料濃縮膜と比べて蒸発燃料分離精度が劣ってしまい、キャニスタへ返流する低濃度ガス中の蒸発燃料濃度を確実に低減できているとまでは言い難い。低濃度ガスは、キャニスタ内に吸着捕集されている蒸発燃料を脱離(パージ)させるパージガスとしてキャニスタに戻されるものであるが、当該低濃度ガス中に蒸発燃料が含まれていると、その分蒸発得燃料の脱離効率(脱離量)が低下してしまう。
【0008】
これに対し特許文献4では、複数の成分を含有する混合ガスを2種類の分離膜を透して分離している。しかしながら、特許文献4は混合ガスから単に特性成分ガスと非特定成分ガスとをそれぞれ分離回収するための機構であって、これを自動車の蒸発燃料処理装置へ適用する場合の具体的な構成は把握できない。しかも、特許文献4では特定成分希釈膜を透過した低濃度ガスを再度特定成分希釈膜へ還流しているが、これでは非特定成分の行き場が無く、実質的に特定成分希釈膜が機能していない。
【0009】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、2種類の分離膜を使用して良好な蒸発燃料の回収効率を確保しながら、キャニスタへ返流するパージ用のガス中の蒸発燃料濃度が的確に低減された蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸着捕集するキャニスタと、前記キャニスタから脱離された蒸発燃料を含む蒸発燃料含有ガスを、蒸発燃料を高濃度で含む高濃度ガスと蒸発燃料を低濃度で含む低濃度ガスとに分離する分離膜と、前記キャニスタから前記分離膜へ蒸発燃料含有ガスを圧送する圧送手段とを有する蒸発燃料処理装置において、前記分離膜として、膜に対する蒸発燃料の透過係数が高い蒸発燃料濃縮膜と、膜に対する蒸発燃料の透過係数が空気成分より低い蒸発燃料希釈膜とを有し、前記蒸発燃料濃縮膜の非透過側と前記蒸発燃料希釈膜の非透過側とが直列に連通され、前記蒸発燃料濃縮膜の透過側は前記燃料タンクへ連通又は大気に開放され、前記蒸発燃料希釈膜の透過側は前記キャニスタへ連通されていることを特徴とする。
【0011】
蒸発燃料濃縮膜では、蒸発燃料濃度を基準とすれば、透過側に相対的に濃度が高いガスが生じ、非透過側に相対的に濃度が低いガスが生じる。逆に言えば、透過側に相対的に空気濃度が低いガスが生じ、非透過側に相対的に空気濃度が高いガスが生じることになる。したがって、蒸発燃料濃縮膜は、空気希釈膜ということもできる。一方、蒸発燃料希釈膜では、蒸発燃料濃度を基準とすれば、透過側に相対的に濃度が低いガスが生じ、非透過側に相対的に濃度が高いガスが生じる。逆に言えば、透過側に相対的に空気濃度が高いガスが生じ、非透過側に相対的に空気濃度が低いガスが生じることになる。したがって、蒸発燃料希釈膜は、空気濃縮膜ということもできる。本発明において濃縮ガス・希釈ガスとは、特に言及しない限り、基本的には蒸発燃料濃度を基準とする。なお、用語の便宜上、蒸発燃料希釈膜という表現を用いているが、当該蒸発燃料希釈膜でも非透過側に相対的に高濃度ガスが生じるので、当該蒸発燃料希釈膜でも非透過側において蒸発燃料が濃縮されていることになる。透過係数とは、透過機構を問わず透過速度ないし透過量の大きさを意味する。例えば、溶解、拡散、脱溶解を経て膜を透過する場合は、溶解拡散係数が透過係数に相当する。
【0012】
このような蒸発燃料処理装置においては、前記蒸発燃料濃縮膜の非透過側と前記キャニスタとを連通して、前記蒸発燃料希釈膜を蒸発燃料濃縮膜の下流に設けたり、前記蒸発燃料希釈膜の非透過側と前記キャニスタとを連通して、前記蒸発燃料濃縮膜を前記蒸発燃料希釈膜の下流に設けたりできる。
【0013】
前記蒸発燃料濃縮膜及び/又は前記蒸発燃料希釈膜は、複数個設けることが好ましい。この場合、前記燃料タンクへ連通された蒸発燃料濃縮膜の透過側及び前記キャニスタへ連通された蒸発燃料希釈膜の透過側以外で生じるガスのうち少なくとも1つを、最上流に設けられた蒸発燃料濃縮膜又は蒸発燃料希釈膜の上流へ還流させることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蒸発燃料濃縮膜と蒸発燃料希釈膜の2種類の分離膜を使用していることで、良好な蒸発燃料の回収効率を確保しながら、キャニスタへ返流するガス中の蒸発燃料濃度を的確に低減することができる。具体的には、蒸発燃料濃縮膜と蒸発燃料希釈膜とを直列に設けることで、少なくとも二段階で蒸発燃料が濃縮される。そのうえで、蒸発燃料濃縮膜の透過側を燃料タンクへ連通していることで、蒸発燃料が的確に濃縮された状態で回収され、良好な蒸発燃料の回収効率を確保できる。一方、蒸発燃料希釈膜の透過側をキャニスタへ連通していることで、確実に蒸発燃料が希釈された状態、換言すれば確実に空気成分が濃縮された状態でパージ用の返流ガスとして返流できるので、キャニスタに吸着された蒸発燃料の脱離効率の低下を避けられる。
【0015】
蒸発燃料濃縮膜を蒸発燃料希釈膜よりも上流(キャニスタ側)へ設けていれば、パージ用の返流ガス中の蒸発燃料濃度低減効果において特に有利である。蒸発燃料希釈膜を蒸発燃料濃縮膜よりも上流に設けていれば、蒸発燃料の回収効率において特に有利である。
【0016】
また、蒸発燃料濃縮膜及び/又は蒸発燃料希釈膜を複数個設けておけば、二段階複数段階で蒸発燃料が濃縮及び/又は希釈されるので、蒸発燃料の回収効率及び返流ガス中の蒸発燃料低減効果がより向上する。このとき、中流域で生じたガスのうち少なくとも1つを再度最上流に設けられた第1の分離手段又は第2の分離手段へ還流すれば、さらに分離回収効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、これに限られず本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の蒸発燃料処理装置は、キャニスタに吸着された蒸発燃料(ベーパ)を、エンジン駆動時の吸気管負圧を利用して脱離(パージ)させる方法とは異なり、ポンプによってパージさせて分離膜に加圧供給し、当該分離膜によって分離された蒸発燃料を高濃度で回収するパージレスエバポシステムとして構成されており、アイドリング停止システム、ハイブリッドシステム、又は直噴式エンジンなどを採用した車両に搭載される。
【0018】
(実施例1)
図1に、本発明の実施例1に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。図1に示されるように、本実施例1の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク1から発生する蒸発燃料を吸着捕集するキャニスタ2と、キャニスタ2から脱離された蒸発燃料を含む蒸発燃料含有ガスを、蒸発燃料を高濃度で含む高濃度ガスと蒸発燃料を低濃度で含む低濃度ガスとに分離する分離膜と、キャニスタ2から分離膜モジュールへ蒸発燃料含有ガスを圧送するポンプ5とを有する。分離膜としては、膜に対する蒸発燃料の透過係数が高い蒸発燃料濃縮膜3(以下、単に濃縮膜3と称す)と、膜に対する蒸発燃料の透過係数が空気成分より低い蒸発燃料希釈膜4(以下、単に希釈膜4と称す)の2種類が使用されている。濃縮膜3及び希釈膜4は、それぞれモジュール化ないしユニット化されている。実施例1では、それぞれ内部に濃縮膜3を備える第1・第2の濃縮膜モジュール30・31が直列に2つ設けられ、その下流に内部に希釈膜4を備える希釈膜モジュール40が直列に設けられている。なお、ポンプ5が、本発明の圧送手段に相当する。
【0019】
燃料タンク1とキャニスタ2とは、エバポライン10を介して連通されている。キャニスタ2と第1の濃縮膜モジュール30の非透過室(低濃度ガス室)32とは、パージライン11を介して連通されている。パージライン11上に、ポンプ5が配されている。第1の濃縮膜モジュール30の透過室(濃縮ガス室)33と燃料タンク1とは、回収ライン12を介して連通されている。第1の濃縮膜モジュール30の非透過室32と第2の濃縮膜モジュール31の非透過室(低濃度ガス室)34とは直列に連通される。第2の濃縮膜モジュール31の透過室(濃縮ガス室)35には、パージライン11におけるポンプ5の上流に至る循環ライン13が連接されている。第2の濃縮膜モジュール31の非透過室34と希釈膜モジュール40の非透過室(濃縮ガス室)41とが、直列に連通されている。希釈膜モジュール40の非透過室41には、パージライン11におけるポンプ5の上流に至る循環ライン14が連接されている。なお、第2の濃縮膜モジュール31からの循環ライン13と、希釈膜モジュール40からの循環ライン14とは、パージライン11へ至る前に合流している。希釈膜モジュール40の透過室(希釈ガス室)42とキャニタ2とは、返流ライン15を介して連通されている。キャニスタ2には、その先端が大気に連通する大気ライン16も連接されている。また、エバポライン10上に調圧弁20が、希釈膜モジュール40からの循環ライン14上に調圧弁21が、返流ライン15上に調圧弁22が、大気ライン16上に電磁弁23が、それぞれ設けられている。
【0020】
キャニスタ2内には、燃料タンク1内で発生した蒸発燃料が吸着捕集され、燃料成分より分子径の小さい空気は吸着されずに透過する多孔体からなる吸着材が内蔵されている。本実施例1では、吸着材として活性炭を使用した。キャニスタ2内には、当該キャニスタ2内を加熱する,ピエゾ素子などの加熱素子デバイスにより構成されたヒータを設けておくことも好ましい。ポンプ5は電動式であり、キャニスタ2内に吸着された蒸発燃料を脱離させ、当該脱離された蒸発燃料と空気とを含む蒸発燃料含有ガスを、第1の濃縮膜モジュール30側へ圧送する。なお、ポンプ5や電磁弁23は、図示していない電子制御装置(ECU)によって制御されている。ECUは、中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などを有する。ROMに所定の制御プログラムが予め記憶されており、CPUが、制御プログラムに基づいてポンプ5などを所定のタイミングで制御操作する。また、燃料タンク1と連通された分離膜モジュールである第1の濃縮膜モジュール30の透過室33内には、濃縮膜3を透過した濃縮ガスを冷却液化するための、ペルチェ素子等の冷却素子デバイスからなるクーラを内設することも好ましい。
【0021】
濃縮膜3は、燃料成分の透過係数が高く、燃料成分以外の空気成分の透過係数が低い素材が使用された炭化水素分離膜であり、蒸発燃料含有ガスが濃縮膜3に供給されることで、燃料成分が優先的に透過し、空気成分は透過し難い。これにより、濃縮膜モジュール30・31の透過室33・35内には、供給された蒸発燃料含有ガスよりも高濃度で蒸発燃料を含む高濃度ガス(濃縮ガス)が精製分離され、非透過室32・34内には、供給された蒸発燃料含有ガスよりも低濃度で蒸発燃料を含む低濃度ガスが残存分離される。濃縮膜3は、燃料成分の溶解拡散係数が高く、溶解、拡散、脱溶解により燃料成分を優先的に透過させる非多孔質型の薄膜層と、該薄膜層を支持する多孔質支持膜層とを有する。ポリエステル等の不織布が積層された3層構造からなることもある。薄膜層が濃縮膜3の主体的機能を果たし、一般的には炭化水素に対して高い選択性及び透過性を有する、架橋されて3次元不溶化されたシリコーン系高分子材料が用いられる。薄膜層の膜厚は、0.5〜3μm程度とされる。一方、多孔質支持膜層には高い耐溶剤性が要求され、例えばポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、又はポリビニリデンフルオライド(PVDF)などの合成樹脂のほか、セラミックも使用さる。濃縮膜3の構造としては、平板状、中空糸状、ハニカム状、渦巻状等にすることができる。
【0022】
希釈膜4は、燃料成分の透過係数が低く、燃料成分以外の空気成分の透過係数が高い素材が使用された空気(主に窒素)分離膜であり、蒸発燃料含有ガスが希釈膜4に供給されることで、空気成分が優先的に透過し、燃料成分は透過し難い。これにより、希釈膜モジュール40の透過室42内には、供給された蒸発燃料含有ガスよりも低濃度で蒸発燃料を含む(高濃度で空気成分を含む)低濃度ガス(希釈ガス)が精製分離され、非透過室41内には、供給された蒸発燃料含有ガスよりも高濃度で蒸発燃料を含む高濃度ガスが残存分離される。希釈膜4は、空気成分を優先的に選択透過させる非多孔質型の薄膜層と、該薄膜層を支持する多孔質支持膜層とによって構成できる。薄膜層には、空気成分に対して選択性及び透過性を有する、フッ素系の高分子材料を使用できる。多孔質支持膜層は濃縮膜3と同じでよい。または、希釈膜4として、分子篩作用を有するゼオライト等の多孔質膜を使用することもできる。分子篩作用を有する多孔質膜とした場合、分子径の大きい炭化水素からなる蒸発燃料は多孔質膜を透過し難いが、分子径が小さい空気成分は多孔質膜の細孔を容易に透過できることで、空気と蒸発燃料とが分離される。希釈膜4も、平板状、中空糸状、ハニカム状、渦巻状等にすることができる。
【0023】
次に、蒸発燃料処理装置の作用について説明する。燃料タンク1から蒸発燃料が発生すると、当該蒸発燃料はエバポライン10を通してキャニスタ2内に吸着捕集され、余分な空気成分はキャニスタ2を通って大気ライン16から排出される。電磁弁23は、常時は開弁されている。そして、イグニッションスイッチ(IGスイッチ)やスタータなどの内燃機関始動用のスイッチを入れると、ポンプ5が駆動されて、キャニスタ2から第1の濃縮膜モジュール30側へ至る気流が発生する。すると、大気ライン16から空気(外気)が導入されることでキャニスタ2内に吸着された蒸発燃料が脱離(パージ)される。キャニスタ2からパージされた蒸発燃料は、大気ライン16から吸入された空気成分と共に蒸発燃料含有ガスとして、ポンプ5によってパージライン11を通して第1の濃縮膜モジュール30の非透過室32へ圧送供給される。すると、濃縮膜3によって蒸発燃料含有ガス中から燃料成分が優先的に透過分離されて、透過室33内に蒸発燃料を高濃度で含有する濃縮ガスが精製される。第1の濃縮膜モジュール30には蒸発燃料濃度の高いガスが供給されるので、当該第1の濃縮膜モジュール30の濃縮膜3における分離効率は高い。濃縮ガスは、回収ライン12を通して燃料タンク1へ回収される。
【0024】
一方、第1の濃縮膜モジュール30の非透過室32内には、濃縮膜3で分離されなかった空気と、濃縮膜3で分離されずに残った蒸発燃料とが混在する中濃度ガスが残る。この中濃度ガスは、さらにポンプ5によって第2の濃縮膜モジュール31の非透過室34へ供給される。すると、濃縮膜3によって中濃度ガス中から燃料成分が優先的に透過分離され、透過室35内には供給された中濃度ガスよりも蒸発燃料濃度が高められた二次濃縮ガスが精製される。第2の濃縮膜モジュール31には、第1の濃縮膜モジュール30によってある程度蒸発燃料濃度が下げられた中濃度ガスが供給されるので、その分蒸発燃料の分離効率は劣る。そこで、第2の濃縮膜モジュール31に内設する濃縮膜3は、第1の濃縮膜モジュール30に内設する濃縮膜3よりも有効膜面積を大きくしている。第2の濃縮膜モジュール31の透過室35に精製された二次濃縮ガスは、循環ライン13を通してポンプ5の上流に還流され、再度第1の濃縮膜モジュール30へ供給される。なお、循環ライン13をポンプ5の上流に連通させているのは、ポンプ5の下流は加圧されているので、循環ライン13をポンプ5の下流に連通すると、二次濃縮ガスを第1の濃縮膜モジュール30へ還流できなくなるからである。第1の濃縮膜モジュール30へ還流された二次濃縮ガスは、再度第1の濃縮膜モジュール30によって蒸発燃料が分離されるので、蒸発燃料の回収効率が向上する。
【0025】
第2の濃縮膜モジュール31の非透過室34には、濃縮膜3で分離されなかった空気と、濃縮膜3で分離されずに残った僅かな蒸発燃料とが混在する低濃度ガスが残存する。当該低濃度ガスは、さらに希釈膜モジュール40の非透過室41へ供給される。すると、希釈膜4によって低濃度ガス中から空気成分が優先的に透過分離され、透過室42内に供給された低濃度ガスよりも蒸発燃料成分が低い希釈ガス(空気濃縮ガス)が精製される。希釈ガスは、返流ライン15を通してキャニスタ2へ返流される。希釈膜モジュール40には、第1の濃縮膜モジュール30と第2の濃縮膜モジュール31とによって二段階で蒸発燃料濃度が下げられて空気成分濃度が良好に高められた低濃度ガスが供給されるので、希釈膜4による空気成分分離効率は高い。これにより、希釈ガス中の蒸発燃料濃度は確実に低下する。したがって、希釈ガスがキャニスタ2へ返流されてパージ用ガスとして使用されても、キャニスタ2からの蒸発燃料脱離効率が低下することが避けられる。希釈ガスがキャニスタ2へ返流され始めると、電磁弁23が閉弁され、希釈ガスのみによってパージされるようになる。希釈膜モジュール40の非透過室41には、希釈膜4を透過しなかった蒸発燃料を含む三次濃縮ガスが残存する。当該三次濃縮ガスは、循環ライン14を通してポンプ5の上流に還流される。ポンプ5の上流へ還流された三次濃縮ガスのその後は、二次濃縮ガスと同様である。これにより、さらに蒸発燃料の回収効率が向上する。
【0026】
なお、上記ガスの流動及び各分離膜(濃縮膜3や希釈膜4)による分離は、ポンプ5の駆動と共に、各所に設けられた調圧弁20・21・22によって、各ラインが的確に減圧ないし加圧状態に保持され、且つこれにより各分離膜の透過側と非透過側とに差圧が生じていることで、達成されている。具体的には、ポンプ5の駆動中、調圧弁20によってエバポライン10は減圧状態にある。パージライン11のポンプ5より上流(キャニスタ2側)は減圧状態にあるので、キャニスタ2内に吸着捕集されている蒸発燃料が的確に吸引脱離される。パージライン11のポンプ5より下流(第1の濃縮膜モジュール30側)は加圧状態にある。これに対し回収ライン12は大気圧相当なので、第1の濃縮膜モジュール30の非透過室32と透過室33との間には、濃縮膜3を介して有効な差圧が生じているので、濃縮膜3による効果的な分離が生じる。第1の濃縮膜モジュール30の非透過室32と直列に連通された第2の濃縮膜モジュール31の非透過室34は加圧状態にある。一方、循環ライン13はパージライン11のポンプ5より上流に連接されていることで、減圧状態にある。これにより、第2の濃縮膜モジュール31の非透過室34と透過室35との間には、濃縮膜3を介して有効な差圧が生じているので、濃縮膜3による効果的な分離が生じる。また、二次濃縮ガスは第1の濃縮膜モジュール30へ的確に還流される。第2の濃縮膜モジュール31の非透過室34と直列に連通された希釈膜モジュール40の非透過室41から、循環ライン14の調圧弁21までは、加圧状態にある。一方、返流ライン15における調圧弁22より上流(希釈膜モジュール40側)は大気圧相当である。これにより、希釈膜モジュール40の非透過室41と透過室42との間には、希釈膜4を介して有効な差圧が生じているので、希釈膜4による効果的な分離が生じる。循環ライン14における調圧弁21より下流は、パージライン11におけるポンプ5の上流に連接されていることで、減圧状態にある。これにより、三次濃縮ガスは第1の濃縮膜モジュール30へ的確に還流される。返流ライン15における調圧弁22より下流(キャニスタ2側)は、キャニスタ2を介してパージライン11と連通しているので、減圧状態にある。これにより、パージ用の希釈ガスはキャニスタ2へ的確に返流される。大気ライン16もキャニスタ2を介してパージライン11と連通しているので減圧状態であり、大気が大気ライン16を通して的確に吸引される。このように、実施例1では、エバポライン10上に設けた調圧弁20、希釈膜モジュール40からの循環ライン14上に設けた調圧弁21、及び返流ライン15上に設けた調圧弁22によって、1つのポンプ5を駆動させるだけで系内の適所を的確な圧力に保持して的確なガスの流動及び分離膜による効果的な分離が可能となっている。
【0027】
(実施例2)
図2に、本発明の実施例2に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。実施例2は、濃縮膜3を備える濃縮膜モジュール30と希釈膜4を備える希釈膜モジュール40とをそれぞれ1つずつ有し、希釈膜モジュール40を上流(キャニスタ2側)に設け、これの下流に濃縮膜モジュール30を直列に設けている。具体的には、図2に示すように、燃料タンク1とキャニスタ2とが、エバポライン10を介して連通されている。キャニスタ2と希釈膜モジュール40の非透過室41とが、パージライン11を介して連通されている。パージライン11上には、ポンプ5が設けられている。希釈膜モジュール40の透過室42とキャニスタ2とが、返流ライン15を介して連通されている。希釈膜モジュール40の非透過室41に、濃縮膜モジュール30の非透過室32が直列に連通される。濃縮膜モジュール30の透過室33と燃料タンク1とが、回収ライン12を介して連通されている。濃縮膜モジュール30の非透過室32には、パージライン11におけるポンプ5の上流に至る循環ライン13が連接されている。キャニスタ2には、大気ライン16が連接されている。エバポライン10上に調圧弁20が、循環ライン13上に調圧弁21が、返流ライン15上に調圧弁22が、大気ライン16上に電磁弁23が設けられている。濃縮膜3及び希釈膜4には、実施例1における濃縮膜3及び希釈膜4を使用でき、それぞれのモジュール形態も同様にできる。
【0028】
ポンプ5が駆動されてキャニスタ2から蒸発燃料が脱離されると、パージライン11を通して蒸発燃料含有ガスが希釈膜モジュール40の非透過室41へ圧送供給される。すると、希釈膜4によって透過室42に蒸発燃料が希釈(空気が濃縮)された希釈ガス(低濃度ガス)が精製され、当該蒸発燃料濃度が的確に低減された希釈ガスが、返流ライン15を通してパージ用ガスとしてキャニスタ2へ返流される。希釈膜モジュール40の非透過室41に残存した一次濃縮ガスは、濃縮膜モジュール30の非透過室32へ供給される。濃縮膜モジュール30へ一次濃縮ガスが供給されると、濃縮膜3によって透過室33に蒸発燃料が濃縮された二次濃縮ガスが精製される。このとき、濃縮膜3にはキャニスタ2から発生した蒸発燃料含有ガスよりも希釈膜4によって蒸発燃料濃度が高められた一次濃縮ガスが供給されるので、濃縮膜3における蒸発燃料分離効率は高まる。また、濃縮膜3の有効膜面積は希釈膜4より大きくされており、これにより濃縮膜3における蒸発燃料分離効率とも相俟って回収効率が良好になっている。濃縮膜3によって精製された二次濃縮ガスは、回収ライン12を通して燃料タンク1へ回収される。濃縮膜モジュール30の非透過室32に残存する中濃度ガスは、循環ライン13を通してポンプ5の上流へ還流され、再度希釈膜モジュール40へ供給される。
【0029】
エバポライン10、パージライン11におけるポンプ5より上流、循環ライン13における調圧弁21より下流、返流ライン15における調圧弁22より下流、及び大気ライン16が、それぞれ減圧状態にある。パージライン11におけるポンプ5より下流から、希釈膜モジュール40の非透過室41及び濃縮膜モジュール30の非透過室32を経て、循環ライン13における調圧弁21の上流までが、加圧状態にある。回収ライン12及び返流ライン15における調圧弁22の上流が、それぞれ大気圧相当となっている。その他の作用効果などを含めて細かな点は実施例1と同様なので、実施例1における説明を実施例2の構成に読み替えてその説明を省略する。
【0030】
(実施例3)
図3に、本発明の実施例3に係る蒸発燃料処理装置の概略構成図を示す。実施例3は、濃縮膜3を備える濃縮膜モジュール30を1つ有し、それぞれ希釈膜4を備える第1・第2の希釈膜モジュール40・43を有する。希釈膜モジュール40・43を上流(キャニスタ2側)に設け、これの下流に濃縮膜モジュール30を直列に設けている。具体的には、図3に示すように、燃料タンク1とキャニスタ2とが、エバポライン10を介して連通されている。キャニスタ2と第1の希釈膜モジュール40の非透過室41とが、パージライン11を介して連通されている。パージライン11上には、ポンプ5が設けられている。第1の希釈膜モジュール40の透過室42とキャニスタ2とが、返流ライン15を介して連通されている。第1の希釈膜モジュール40の非透過室41に、第2の希釈膜モジュール43の非透過室44が直列に連通される。第2の希釈膜モジュール43の透過室45には、パージライン11におけるポンプ5の上流に至る循環ライン13が連接されている。第2の希釈膜モジュール43の非透過室44に、濃縮膜モジュール30の非透過室32が直列に連通される。濃縮膜モジュール30の透過室33と燃料タンク1とが、回収ライン12を介して連通されている。濃縮膜モジュール30の非透過室32には、パージライン11におけるポンプ5の上流に至る循環ライン14が連接されている。キャニスタ2には、大気ライン16が連接されている。エバポライン10上に調圧弁20が、循環ライン14上に調圧弁21が、返流ライン15上に調圧弁22が、大気ライン16上に電磁弁23が設けられている。濃縮膜3及び希釈膜4には、実施例1における濃縮膜3及び希釈膜4を使用でき、それぞれのモジュール形態も同様にできる。
【0031】
ポンプ5が駆動されてキャニスタ2から蒸発燃料が脱離されると、パージライン11を通して蒸発燃料含有ガスが第1の希釈膜モジュール40の非透過室41へ圧送供給され、希釈膜4によって的確に蒸発燃料が希釈(空気が濃縮)された一次希釈ガス(低濃度ガス)が、透過室42から返流ライン15を通してパージ用ガスとしてキャニスタ2へ返流される。第1の希釈膜モジュール40の非透過室41に残存した一次濃縮ガスは、第2の希釈膜モジュール43の非透過室44へ供給される。すると、第2の希釈膜4によって分離された二次希釈ガスが、透過室45から循環ライン13を通してポンプ5の上流へ還流され、再度第1の希釈膜モジュール40へ供給される。第2の希釈膜モジュール43の非透過室44からは、希釈膜4を透過しなかった二次濃縮ガスが濃縮膜モジュール30の非透過室32へ供給される。濃縮膜モジュール30へ二次濃縮ガスが供給されると、濃縮膜3によって透過室33に蒸発燃料が濃縮された三次濃縮ガスが精製され、回収ライン12を通して燃料タンク1へ回収される。このように、キャニスタ2から発生した蒸発燃料含有ガスが三段階で濃縮されて回収されるので、濃縮膜3における分離効率、及び蒸発燃料の回収効率が高い。濃縮膜モジュール30の非透過室32に残存する中濃度ガスは、循環ライン14を通してポンプ5の上流へ還流され、再度希釈膜モジュール40へ供給される。
【0032】
エバポライン10、パージライン11におけるポンプ5より上流、循環ライン13における調圧弁21より下流、返流ライン15における調圧弁22より下流、大気ライン16が、それぞれ減圧状態にある。パージライン11におけるポンプ5より下流から、希釈膜モジュール40の非透過室41及び濃縮膜モジュール30の非透過室32を経て、循環ライン13における調圧弁21の上流までが、加圧状態にある。回収ライン12及び返流ライン15における調圧弁22の上流が、それぞれ大気圧相当となっている。その他の作用効果などを含めて細かな点は実施例1と同様なので、実施例1における説明を実施例3の構成に読み替えてその説明を省略する。
【0033】
(変形例)
上記各実施例では、ポンプ5をパージライン11上に設けて、各分離膜モジュールより上流においてキャにスタ2から分離膜へ蒸発燃料含有ガスを加圧供給させているが、他にも、例えばポンプ5を返流ライン15に設けるなどして、各分離膜モジュールよりも下流においてキャニスタ2から分離膜へ蒸発燃料含有ガスを減圧供給させることもできる。
【0034】
蒸発燃料処理装置の作動は、IGスイッチやスタータなどの内燃機関の始動用スイッチを入れるとポンプの駆動により作動することとしたが、IGスイッチオフの内燃機関の停止中に作動させてもよい。
【0035】
希釈膜4の透過側に連接されている返流ライン15は、キャニスタ2へ連通させるのみならず、直接大気に開放させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1の蒸発燃料処理装置の概略構成図である。
【図2】実施例2の蒸発燃料処理装置の概略構成図である。
【図3】実施例3の蒸発燃料処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0037】
1 燃料タンク
2 キャニスタ
3 蒸発燃料濃縮膜
4 蒸発燃料希釈膜
5 ポンプ
10 エバポライン
11 パージライン
12 回収ライン
13・14 循環ライン
15 返流ライン
16 大気ライン
30 (第1の)濃縮膜モジュール
31 第2の濃縮膜モジュール
32・34 非透過室
33・35 透過室
40 (第1の)希釈膜モジュール
41・44 非透過室
42・45 透過室
43 第2の希釈膜モジュール



【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸着捕集するキャニスタと、前記キャニスタから脱離された蒸発燃料を含む蒸発燃料含有ガスを、蒸発燃料を高濃度で含む高濃度ガスと蒸発燃料を低濃度で含む低濃度ガスとに分離する分離膜と、前記キャニスタから前記分離膜へ蒸発燃料含有ガスを圧送する圧送手段とを有する蒸発燃料処理装置であって、
前記分離膜として、膜に対する蒸発燃料の透過係数が高い蒸発燃料濃縮膜と、膜に対する蒸発燃料の透過係数が低い蒸発燃料希釈膜とを有し、
前記蒸発燃料濃縮膜の非透過側と前記蒸発燃料希釈膜の非透過側とが直列に連通され、
前記蒸発燃料濃縮膜の透過側は前記燃料タンクへ連通され、
前記蒸発燃料希釈膜の透過側は前記キャニスタへ連通又は大気に開放されていることを特徴とする、蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記蒸発燃料濃縮膜の非透過側が前記キャニスタと連通され、
前記蒸発燃料希釈膜が前記蒸発燃料濃縮膜の下流に設けられている、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記蒸発燃料希釈膜の非透過側が前記キャニスタと連通され、
前記蒸発燃料濃縮膜が前記蒸発燃料希釈膜の下流に設けられている、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記蒸発燃料濃縮膜及び/又は前記蒸発燃料希釈膜は複数個設けられており、
前記燃料タンクへ連通された蒸発燃料濃縮膜の透過側及び前記キャニスタへ連通された蒸発燃料希釈膜の透過側以外で生じるガスのうち少なくとも1つが、最上流に設けられた蒸発燃料濃縮膜又は蒸発燃料希釈膜の上流へ還流される、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の蒸発燃料処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−116872(P2010−116872A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291399(P2008−291399)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】