説明

蒸着装置および蒸着方法

【課題】蒸着膜の膜厚を均一化することができる蒸着装置および蒸着方法を提供する。
【解決手段】蒸着装置30は、前面基板2を収納する蒸着室31と、蒸着室内を真空排気する真空排気装置32と、を備えている。蒸着室31内には、前面基板2の被蒸着面2aと対向したるつぼ37と、前面基板およびるつぼの間に位置し、複数のスリット41を構成した複数の棒40が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被蒸着面に蒸着材を蒸着する蒸着装置およびこの蒸着装置を用いた蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄型の表示装置や半導体装置等の製造プロセスでは、蒸着装置が用いられる。例えば、薄型の表示装置として、電界放出型の電子放出素子から放出された電子ビームにより蛍光体を発光させるフィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDと称する)や、FEDの一種として表面伝導型電子放出素子の電子ビームにより蛍光体を発光させる表面伝導電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)等が知られている。
【0003】
SEDは、一般に、所定の隙間を置いて対向配置された前面基板および背面基板を有し、これらの基板は、矩形枠状の側壁を介して周縁部同士を互いに接合することにより真空外囲器を構成している。真空外囲器の内部は、真空度が10−4Pa程度以下の高真空に維持されている。また、背面基板および前面基板に加わる大気圧荷重を支えるために、これらの基板の間には複数の支持部材が配設されている。
【0004】
前面基板の内面には、赤、緑、青の複数の蛍光体層を含む蛍光面が形成され、蛍光面に重なってメタルバックおよびゲッター膜が形成されている。ゲッター膜は蒸着装置を用いて形成されている。背面基板の内側には、これらの蛍光体層を励起して発光させる電子を放出する多数の電子放出素子が設けられている。また、多数の走査線および信号線がマトリクス状に形成され、各電子放出素子に接続されている。蛍光面にはアノード電圧が印加され、電子放出素子から出た電子ビームがアノード電圧により加速されて蛍光面に衝突することにより、蛍光体層が発光し映像が表示される。
【0005】
上記したゲッター膜は、真空外囲器内の真空度を維持するために設けられ、真空外囲器内のガスを吸着する重要な役割を果たしている。このため、蒸着装置を用いてゲッター膜を形成する際は、真空室内でゲッター材を前面基板内面に蒸着して形成する(例えば、特許文献1参照)。より詳しくは、蒸着装置の真空室内にはゲッター材の入った容器が配置され、前面基板を容器の開口部と対向させてゲッター材を気化させて基板内面にゲッター膜を形成している。
【特許文献1】特開2004−31276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記した従来の蒸着装置を用いて基板内面にゲッター膜を形成すると、ゲッター膜の膜厚は、基板周辺部よりも中央部が厚くなる。このように、前面基板の面内でゲッター膜の膜厚が不均一となると、輝度特性が不均一となり、表示品位が低下してしまう。 このため、ゲッター膜の膜厚を均一にする方法として、前面基板と容器との間隔を大きくしてゲッター材を蒸着する方法が考えられる。しかしながら、前面基板と容器との間隔を大きくしただけではゲッター膜の膜厚を満足のいく程度に均一化することは困難である。例えば、前面基板と容器との間隔を800mmとした場合では、ゲッター膜の膜厚に20%ないし30%のムラが生じてしまう。前面基板と容器との間隔を大きくするほど蒸着装置にゲッター材が多く付着するため、メンテナンスが大変である。また、前面基板と容器との間隔を大きくするほど蒸着装置が大型化してしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、蒸着膜の膜厚を均一化することができる蒸着装置および蒸着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る蒸着装置は、蒸着対象部材の被蒸着面上に蒸着膜を形成する蒸着装置において、前記蒸着対象部材を収納する蒸着室と、前記蒸着室内を真空排気する真空排気装置と、前記蒸着室内で、前記被蒸着面と離間して対向した蒸着材容器と、前記蒸着対象部材および蒸着材容器の間に位置し、複数のスリットを構成した複数の遮断部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の他の態様に係る蒸着方法は、蒸着対象部材の被蒸着面上に蒸着膜を形成する蒸着方法において、真空雰囲気中に前記蒸着対象部材と、この蒸着対象部材に対向した蒸着材容器と、これら蒸着対象部材および蒸着材容器の間に位置し、複数のスリットを構成した複数の遮断部と、を配置し、前記蒸着材容器内の蒸着材を気化させて前記スリットを通して前記被蒸着面上に蒸着させ、前記蒸着膜を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、蒸着膜の膜厚を均一化することができる蒸着装置および蒸着方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明の蒸着装置および蒸着方法をSEDのゲッター膜を形成するための蒸着装置および蒸着方法に適用した実施の形態について詳細に説明する。始めに、SEDの構成を説明する。
【0011】
図1および図2に示すように、このSEDは、それぞれ矩形状のガラスからなる前面基板2、および背面基板1を備え、これらの基板は1〜2mmの隙間を置いて対向配置されている。そして、前面基板2および背面基板1は、矩形枠状の側壁3を介して周縁部同士が接合され、内部が10−4Pa程度以下の高真空に維持された偏平な矩形状の真空外囲器4を構成している。
【0012】
前面基板2の内面には蛍光体スクリーン6が形成されている。この蛍光体スクリーン6は、赤、緑、青に発光する蛍光体層7およびマトリクス状の遮光部8で構成されている。これらの遮光部8はストライプ状あるいはドット状に形成しても良い。この蛍光体スクリーン6上には、アノード電極として機能するメタルバック9が形成され、更に、メタルバックに重ねてゲッター膜10が形成されている。表示動作時、メタルバック9には所定のアノード電圧が印加される。
【0013】
背面基板1の内面上には、蛍光体層7を励起する電子ビームを放出する多数の電子放出素子11が設けられている。これらの電子放出素子11は、画素毎に対応して複数列および複数行に配列されている。電子放出素子11はマトリクス配線12により駆動される。
【0014】
また、背面基板1および前面基板2の間には、耐大気圧のため、板状あるいは柱状に形成された多数のスペーサ13が配置されている。
蛍光体スクリーン6にはメタルバック9を介してアノード電圧が印加され、電子放出素子11から放出された電子ビームはアノード電圧により加速され蛍光体スクリーン6に衝突する。これにより、対応する蛍光体層7が発光し映像が表示される。
【0015】
次に、上記のように構成されたSEDのゲッター膜10を形成するための蒸着装置について説明する。
図3に示すように、蒸着装置30は、真空処理槽として機能する蒸着室31と、この蒸着室内を真空排気する真空排気装置32と、を備えている。
【0016】
蒸着室31内には、蒸着対象部材としての前面基板2を支持搬送する搬送機構として機能する第1ステージ33が配設され、この第1ステージにより前面基板が懸垂支持されている。また、第1ステージ33には傾斜機構34が設けられ、前面基板2を傾けることができる。
【0017】
さらに、蒸着室31内には、蒸着材としてのゲッター材38を収容するとともに上端が開口した蒸着材容器としてのるつぼ37を所望する位置に移動させる移動機構として機能する第2ステージ35が設けられている。すなわち、ゲッター材38はるつぼ37に収容され、このるつぼは支持治具36上に保持されている。そして、この第2ステージ35により支持治具36が移動可能に、かつ、高さ調整可能に支持されている。言い換えると、るつぼ37の開口部37a、すなわち、ゲッター材38の表面は、前面基板2の被蒸着面2aと対向するよう設けられている。ここで言う被蒸着面2aとは、前面基板2上に蛍光体スクリーン6およびメタルバック9が形成された面である。
【0018】
ゲッター材38を構成する材料には、例えばバリウムを含有した金属材料が用いられる。また、支持治具36を包囲するように、ゲッター材38を加熱する加熱部39が設けられている。
【0019】
蒸着室31内には、複数の遮断部として、例えば複数の棒40が設けられ、これらの棒は前面基板2の被蒸着面2aおよびるつぼ37の間に位置している架空面内に並設されている。言い換えると、棒40は架空面内で間隔を置いて互いに略平行に並べられ、複数のスリット41を構成している。なお、棒40の並んだ架空面(スリット41が並んだ面)および被蒸着面2aは平行にされている。
【0020】
図3および図4に示すように、隣合う棒40の間隔s1は、るつぼ37から離れるほど広い。棒40の太さtはるつぼ37から離れるほど細い。すなわち、るつぼ37の開口部37aと対向した領域の棒40の間隔s1を狭く、この領域の棒の太さtを太くすることにより、るつぼ37の開口部37aと対向した領域の被蒸着面2aへのゲッター材38の蒸着を抑制することができ、膜厚の均一なゲッター膜10を形成することが可能になる。
【0021】
この実施の形態では、前面基板2は800mm×500mmであり、棒40が並んだ方向の前面基板の幅w1は500mm、るつぼ37の開口面積saは314mm(棒が並んだ方向のるつぼの幅w2は20mm)である。棒40の形状は円柱形状であり、その太さtは5mmないし3mm、棒の間隔s1は10mmないし12mmである。また、るつぼ37−棒40間の間隔s2は120mm、棒−被蒸着面2a間の間隔s3は600mmに設定した。なお、第2ステージ35は、るつぼ37をスリット41の長手方向d1に移動させることができ、第1ステージ33は、前面基板2を、同じく長手方向d1に移動させることができる。これにより、1つのるつぼ37を用いて蒸着する場合であっても、前面基板2の被蒸着面2aに膜厚の均一なゲッター膜10を形成することができる。
【0022】
次に、図5に示すように、蒸着装置30は上述した他、制御部50および間隔・高さ調整機構51を有している。真空排気装置32、第1ステージ33、傾斜機構34、第2ステージ35、加熱部39、および間隔・高さ調整機構51は、制御部50の制御の基で稼動されている。このため、棒40の間隔s1や高さ(間隔s2や間隔s3)は間隔・高さ調整機構51により調節することができる。
【0023】
次に、上記のように構成された蒸着装置30を用いて前面基板2にゲッター膜10を形成する蒸着方法について説明する。なお、ゲッター膜10を形成する工程は、前面基板2にメタルバック9を形成した後から前面基板と背面基板1とを貼り合せる前までの間に行なわれる。
【0024】
まず、ゲッター材38の入ったるつぼ37を支持治具36の上面に設置し、前面基板2を蒸着室31内に搬入する。その後、蒸着室31内を真空排気装置32により真空状態にする。
【0025】
るつぼ37、棒40、および前面基板2の位置決めを行なった後、加熱部39によりゲッター材38をその融点以上の温度まで加熱する。そして、ゲッター材38をスリット41を通して被蒸着面2a上に蒸着させる。蒸着させる際は、第1ステージ33により前面基板2をスリット41の長手方向d1に移動させて行なう。これにより、前面基板2の被蒸着面2a上には全域に渡って均一な膜厚のゲッター膜10が形成され、蒸着工程は終了する。
【0026】
上記のように構成された蒸着装置30および蒸着方法によれば、前面基板2およびゲッター材38の間に複数の棒40が位置した状態でゲッター材を蒸着させている。棒40はゲッター材38から飛散する粒子を遮断している。棒40の間隔s1や棒の太さt等を調整することにより、ゲッター膜10の膜厚を調整することが可能となるため、前面基板2の被蒸着面2a全域に渡って均一な膜厚を有したゲッター膜を形成することができる。
【0027】
棒40を設けない場合は、るつぼ37と前面基板2との距離を短くするほどるつぼの開口部37aと対向した領域のゲッター膜10の膜厚が厚くなるが、この実施の形態では棒を設けているため、るつぼと前面基板との距離が短い場合であっても膜厚の均一なゲッター膜を形成することができる。上記したように、棒40を設けた場合は、棒を設けない場合と比べてるつぼ37と前面基板2との距離を短くすることができるため、蒸着装置30の装置寸法も小さくすることができる。また、るつぼ37と前面基板2との距離を短くすることにより、蒸着室31内に付着するゲッター材38の付着量も少なくなるため、平易なメンテナンスが可能になる。
【0028】
蒸着装置30は、前面基板2をスリット41の長手方向d1に移動させる第1ステージ33(るつぼ37をスリットの長手方向に移動させる第2ステージ35)を有しているため、複数個所にるつぼを設けることなく、ゲッター膜10を形成することができる。
【0029】
棒40の間隔s1および棒の太さtを含む棒の配置条件は、ゲッター膜10を形成する領域、るつぼ37の開口面積sa、ゲッター材−棒間の間隔s2、および棒−被蒸着面2a間の間隔s3に応じて調整すれば良い。
【0030】
上記したことから、ゲッター膜10の膜厚を均一化することができる蒸着装置30および蒸着方法を提供することができる。これにより、輝度特性が均一であり、長時間に渡って高い表示性能を維持することが可能なSEDを得ることができる。
【0031】
次に、他の実施の形態に係るゲッター膜を形成するための蒸着装置および蒸着方法について説明する。この実施の形態において、他の構成は上述した実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0032】
図6および図7に示すように、前面基板2の内面に設けられた蛍光体スクリーン6は、遮光部8を有している。この遮光部8は、例えば、所定の隙間を置いて平行に多数のストライプ部8aおよび蛍光体スクリーン6の周縁に沿って延びた矩形枠部8bで構成されている。各ストライプ部8a間には、蛍光体層7が形成されている。
【0033】
蛍光体スクリーン6上に重なって設けられたメタルバック9は、複数の分割部9aおよび複数の分断部9bを有している。各分割部9aは分断部9bによって電気的に分断されている。より詳しくは、分割部9aはそれぞれ細長いストライプ状に形成され、所定の隙間を置いて互いに平行に延びているとともに蛍光体層7に重なって位置している。
【0034】
分断部9bはストライプ状に形成され、分割部9a間に位置している。分断部9bはストライプ部8a上に設けられている。なお、分断部9bは蛍光体層7と対向した領域からはみ出さないようにすることが望ましく、マージンを取るために、分割部9aの一部もストライプ部8aに重ねて形成するのが好適である。この実施の形態において、分断部9bはメタルバック9を複数の分割部9aに分割するため、そのメタルバックを部分的に酸化させて高抵抗にしている。
【0035】
各分割部9aは接続抵抗15を介して、共通電極16に接続されている。共通電極16の一部には高圧供給部17が形成され、高圧が印加されるようになっている。各分割部9a上にはゲッター膜10がそれぞれ形成されている。ゲッター膜10はそれぞれ細長いストライプ状に形成されている。
【0036】
次に、上記のように構成された前面基板2のゲッター膜10を形成する方法について説明する。
まず、図8に示すように、蛍光体スクリーン6、メタルバック9、およびゲッターカット19を形成した前面基板2を用意する。ここで、ゲッターカット19は、分断部9bに重なって形成されている。ゲッター膜10を形成する際は、上述した実施の形態と同様の蒸着装置および蒸着方法を用いて行なう。但し、この際は、前面基板2の被蒸着面2aを傾斜機構34によりスリット41が並んだ面方向から傾けて行なう。つまり、スリット41が並んだ架空面の法線方向から傾いた第1方向d2または第2方向d3からゲッター材38を蒸着する。
【0037】
これにより、図7に示すように、前面基板2の被蒸着面2a上には、分割部9aに重なっているとともに、被蒸着面全域に渡って均一な膜厚のゲッター膜10が形成される。なお、ゲッターカット19はゲッター膜10形成後除去される。
【0038】
上記のように構成された蒸着装置および蒸着方法によれば、メタルバック9を複数の分割部9aに分割した場合でも、分割部に重なっているとともに、被蒸着面2a全域に渡って均一な膜厚のゲッター膜10を形成することができる。ゲッター膜10は分割部9a間に電気的に影響を与えることはないため、分割部本来の機能、すなわち、放電の規模の拡大を抑制する機能を損なうことはなく、電子放出素子11や蛍光体スクリーン6の破壊および劣化を抑制することができる。
【0039】
上記したことから、ゲッター膜10の膜厚を均一化することができる蒸着装置30および蒸着方法を提供することができる。これにより、輝度特性が均一であり、長時間に渡って高い表示性能を維持することが可能なSEDを得ることができる。
【0040】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、蒸着装置30はスリット41の長手方向d1に並んだ複数のるつぼ37を有していても良い。蒸着装置30は棒40を有したが、これに限らず、スリット41を構成する遮断部であればいかなる構造物であっても良い。
この発明はゲッター膜10を形成する蒸着装置30および蒸着方法に限定されることなく、FEDや半導体装置等、他の製品を形成する用途に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係るSEDの斜視図。
【図2】図1に示したA−A断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る蒸着装置の概略断面図。
【図4】図3に示した蒸着装置の一部を拡大して更に詳細に示した図。
【図5】図3に示した蒸着装置の概略構成図。
【図6】本発明の他の実施の形態に係るSEDの前面基板の蛍光体スクリーン、メタルバック、およびゲッター膜を示す平面図。
【図7】図6に示したB−B断面図。
【図8】図6および図7に示した前面基板を形成するための製造方法を示した図。
【符号の説明】
【0042】
1…背面基板、2…前面基板、2a…被蒸着面、4…真空外囲器、6…蛍光体スクリーン、7…蛍光体層、8…遮光部、8a…ストライプ部、8b…矩形枠部、9…メタルバック、9a…分割部、9b…分断部、10…ゲッター膜、11…電子放出素子、19…ゲッターカット、30…蒸着装置、31…蒸着室、32…真空排気装置、33…第1ステージ、34…傾斜機構、35…第2ステージ、36…支持治具、37…るつぼ、37a…開口部、38…ゲッター材、39…加熱部、40…棒、41…スリット、d1…長手方向、s1、s2、s3…間隔、sa…開口面積、t…太さ、w…幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着対象部材の被蒸着面上に蒸着膜を形成する蒸着装置において、
前記蒸着対象部材を収納する蒸着室と、
前記蒸着室内を真空排気する真空排気装置と、
前記蒸着室内で、前記被蒸着面と離間して対向した蒸着材容器と、
前記蒸着対象部材および蒸着材容器の間に位置し、複数のスリットを構成した複数の遮断部と、
を備えていることを特徴とする蒸着装置。
【請求項2】
前記遮断部は間隔を置いて並べられた複数の棒で構成され、
隣合う前記棒間の間隔は、前記蒸着材容器から離れるほど広くなることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記遮断部は間隔を置いて並べられた複数の棒で構成され、
前記棒の太さは、前記蒸着材容器から離れるほど細くなることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記スリットの長手方向に並んで設けられた他の蒸着材容器を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記蒸着材容器を前記スリットの長手方向に移動させる移動機構を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記蒸着対象部材を前記スリットの長手方向に移動させる搬送機構を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記被蒸着面を傾ける傾斜機構を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記遮断部は間隔を置いて並べられた複数の棒で構成され、
前記棒の間隔および太さ、蒸着材容器および棒の間隔、並びに棒および蒸着対象部材の間隔は、前記蒸着膜の膜厚が均一になる値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項9】
蒸着対象部材の被蒸着面上に蒸着膜を形成する蒸着方法において、
真空雰囲気中に前記蒸着対象部材と、この蒸着対象部材に対向した蒸着材容器と、これら蒸着対象部材および蒸着材容器の間に位置し、複数のスリットを構成した複数の遮断部と、を配置し、
前記蒸着材容器内の蒸着材を気化させて前記スリットを通して前記被蒸着面上に蒸着させ、前記蒸着膜を形成することを特徴とする蒸着方法。
【請求項10】
前記真空雰囲気中に前記蒸着材容器に並べて他の蒸着材容器を配置し、
前記蒸着材容器および他の蒸着材容器内の蒸着材を気化させて、前記スリットを通して前記被蒸着面上に蒸着させ、前記蒸着膜を形成することを特徴とする請求項9に記載の蒸着方法。
【請求項11】
前記蒸着材容器を前記スリットの長手方向に移動させて前記蒸着膜を形成することを特徴とする請求項9に記載の蒸着方法。
【請求項12】
前記蒸着対象部材を前記スリットの長手方向に移動させて前記蒸着膜を形成することを特徴とする請求項9に記載の蒸着方法。
【請求項13】
前記被蒸着面を傾けて前記蒸着膜を形成することを特徴とする請求項9に記載の蒸着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−70351(P2006−70351A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258587(P2004−258587)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】