説明

蓄電システム

【課題】低コストで信頼性の高い蓄電システムの提供を課題とする。
【解決手段】上記課題は、電圧伝達回路337を介して電気的に接続された第1集積回路330aの一方側に対応する単電池群が有する複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極の電圧(電位)を、電圧伝達回路337を介して電気的に接続された第1集積回路330aの他方側及び第2集積回路330bが取り込んで、第1集積回路330aの一方側と第1集積回路330aの他方側及び第2集積回路330bとの両方において、第1集積回路330aの一方側に対応する単電池群が有する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出するようにして、電圧検出系の二重化による冗長化を図ることにより、解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1には、電気的に直列に接続された複数の単位セルを有する複数のブロックが電気的に直列に接続されてなる高圧バッテリを備え、複数のブロック毎に対応して電圧検出回路を設け、対応するブロックが有する複数の単位セルのそれぞれの電圧を検出し、この検出された電圧に関する信号を、絶縁インターフェースが設けられた通信ラインを介して、低圧系マイコンにパラレルに出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−17663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化や、化石燃料の枯渇が懸念されており、二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下が求められている。二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下を図るためには、化石燃料で駆動する駆動システムの電動化や、風力や太陽光などの自然から得られる再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入などの促進が考えられる。駆動システムの電動化にあたっては、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムを駆動電源として備える必要がある。また、再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入にあたっては、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムを、気象条件に左右される再生可能エネルギーの変動に伴う電力変動を抑制する、すなわち電力の余剰時に余剰電力を貯蔵し、電力の不足時に不足電力を補うために併設する必要がある。このように、いずれのシステムにおいても蓄電システムが必要不可欠である。
【0006】
蓄電システムは、例えば、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電器を複数、直列或いは並列若しくは直並列に電気的に接続して構成した組蓄電器と、複数の蓄電器のそれぞれの状態を検出し、この検出した状態に基づいて、組蓄電器の状態を監視制御する制御装置とを備えている。複数の蓄電器のそれぞれの状態を検出する場合には、例えば特許文献1に開示された技術のように、組蓄電器を、電気的に直列に接続された複数の蓄電器群に分け、複数の蓄電器群のそれぞれに状態検出回路を設けて、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態を検出し、通信によってその検出結果をマイクロコンピュータなどの演算処理装置に出力し、その検出結果から組蓄電器の状態を求める。
【0007】
状態検出回路は、半導体素子を用いて構成した回路、例えば複数の半導体素子が集積された集積回路によって構成されている。一方、蓄電システムには安全性が求められており、蓄電システムが充放電している間、蓄電器が過充放電にならないように、複数の蓄電器のそれぞれの状態を監視する必要がある。しかし、状態検出回路(集積回路)の一つが故障した場合、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態を監視することができなくなる。
【0008】
状態検出回路の故障対応としては、状態検出回路の二重化による冗長化などが考えられる。しかし、状態検出回路の二重化による冗長化では、蓄電器群から複数の蓄電器のそれぞれの物理量を状態検出回路に取り込むための配線、状態検出回路と演算処理装置との間の通信線が単純に倍増し、状態検出回路の総数の増加、配線数の増加、配線経路の複雑化、組立コストの増大などが課題となる。しかも、蓄電システムに要求される出力電圧や蓄電容量の大きさに応じて蓄電器の個数が増えれば増えるほど、上記課題は顕著になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願が解決すべき代表課題は、低コストで信頼性の高い蓄電システムを提供することにある。
【0010】
上記代表課題を解決する本願の代表的な解決手段は、電気的に直列に接続された複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられ、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器に電気的に接続された複数の第1状態検出回路と、第2状態検出回路とを備え、電位的に隣接する蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路同士を、伝達回路を介して電気的に接続すると共に、最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路と第2状態検出回路とを、伝達回路を介して電気的に接続し、伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の一方側が、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出し、かつ伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の他方側或いは第2状態検出回路に、取り込んだ複数の蓄電器のそれぞれの物理量を伝達するようにし、伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の他方側及び第2状態検出回路が、伝達回路を介して伝達された物理量を取り込んで、第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願の代表的な解決手段によれば、伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を、伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の他方側及び第2状態検出回路が取り込んで、第1状態検出回路の一方側と第1状態検出回路の他方側及び第2状態検出回路との両方において、第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているので、状態検出回路の個数増加を最低限に抑えて、単純二重化による冗長化と同様の機能を備えることができる。
【0012】
従って、本願の代表的な解決手段によれば、信頼性の高い蓄電システムを低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】再生可能エネルギーを用いた発電装置に電池システムを併設した発電システムの構成を示す図。
【図2】図1の電池システムを構成するサブ電池システムの構成を示す図。
【図3】図2のサブ電池システムを構成する電池モジュールの構成を示す図。
【図4】図3の電池モジュールを構成する制御装置の構成を示す図であり、最下位電位のセルコントローラ集積回路とこれよりも電位が高いセルコントローラ集積回路との間の電圧検出二重系の構成を示す。
【図5】図3の電池モジュールを構成する制御装置の構成を示す図であり、最下位電位のセルコントローラ集積回路と最上位電位のセルコントローラ集積回路との間の電位にある二つのセルコントローラ集積回路の間の電圧検出二重系の構成を示す。
【図6】図3の電池モジュールを構成する制御装置の構成を示す図であり、最上位電位のセルコントローラ集積回路とこれに対応して設けられた同電位のセルコントローラ集積回路との間の電圧検出二重系の構成を示す。
【図7】図4乃至図6に示す複数のセルコントローラ集積回路のうち、四つのセルコントローラ集積回路(最低電位のセルコントローラ集積回路、中間電位のセルコントローラ集積回路、最高電位のセルコントローラ集積回路、及び電池セル群の接続が無い(最高電位と同電位)のセルコントローラ集積回路)を用いてセル制御装置を構成したときの各セルコントローラ集積回路の電圧検出動作タイミングを示すタイミングチャート。
【図8】図4乃至図6のセルコントローラ集積回路のマルチプレクサの異常状態時における電圧検出状態を示す図であり、電池セル1の正極側に対応するスイッチがオンに固着した異常状態におけるアナログ・デジタルコンバータの電圧検出結果を示す。
【図9】図4乃至図6のセルコントローラ集積回路のマルチプレクサの異常状態時における電圧検出状態を示す図であり、電池セル1の負極側に対応するスイッチがオンに固着した異常状態におけるアナログ・デジタルコンバータの電圧検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
《発明の適用アプリケーションの概略説明》
本発明は、電気的に接続された複数の蓄電器の状態を複数の状態検出回路によって検出する態様の蓄電システムに適用されることが特に好ましい。
【0016】
そこで、以下に説明する実施の形態では、本発明を、再生可能エネルギーを利用した発電システム、例えば太陽光や風力などを用いた発電システムに、発電出力変動抑制用として設置された定置用蓄電システムに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0017】
再生可能エネルギーを利用した発電システムは、自然環境に及ぼす負荷が少ないという利点がある反面、天候などの自然環境に発電能力が左右され、電力系統に対する出力が変動する。定置用蓄電システムは、発電システムの上記出力変動の抑制(緩和)を図るために設けられている。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の出力電力に対して不足状態にある場合には、定置用蓄電システムは放電し、発電システムの不足分の電力を補う。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の電力に対して余剰状態にある場合には、定置用蓄電システムは、発電システムの余剰分の電力を受けて充電する。
【0018】
《発明の他の適用アプリケーションの概略説明》
以下に説明する実施形態の構成は、電気自動車の駆動用電動機の駆動用電源として用いられる車載用蓄電システムにも適用できる。
【0019】
電気自動車としては、エンジンと電動機とを車両の駆動源として備えると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を持たない(車両の減速時の回生によって得られた電力及び/又は原動機によって駆動される発電機から得られた電力により蓄電システムを充電する)ハイブリッド電気自動車(HEV)がある。
【0020】
車載蓄電システムに充電された電気エネルギーは、電動力(回転動力)によってハイブリッド電気自動車を駆動する場合(力行時)、直流電力として放電される。車載蓄電システムから放電された直流電力は、インバータ装置(電力変換装置)によって交流電力に変換された後、モータとして機能してハイブリッド電気自動車を駆動するための電動力を発生するモータジェネレータ(回転電機)に供給される。また、車載蓄電システムに充電された電気エネルギーは、内燃機関であるエンジンを始動する場合、ラジオなどのカーオーディオ、カーナビゲーション装置、ライトなどの電装品を駆動する場合、直流電力として放電されることもある。この場合、バッテリ装置から放電された直流電力は、電力変換装置によって、交流電力或いは電圧が制御(昇降圧)された所定の直流電力に変換された後、各電気負荷や他の蓄電装置に供給される。
【0021】
車載蓄電システムに充電される電気エネルギーは、ハイブリッド電気自動車の減速時或いは制動時の回生エネルギーから得られた交流電力及び/又は原動機によって駆動される発電機から出力された交流電力がインバータ装置によって直流電力に変換され、その直流電力が車載蓄電システムに供給されることにより得られる。回生エネルギーから得られる交流電力は、車両側から供給された回転動力によってモータジェネレータが発電機として駆動されることにより、その発電機から出力される。
【0022】
また、以下に説明する実施形態の構成は、ハイブリッド電気自動車以外の電気自動車、例えば内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源(原動機)として備えると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を搭載したプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)や、車両の駆動源としてエンジンを持たない(電動力を発生する電動機を車両の唯一の駆動源とする)とすると共に、商用電源及び電気スタンドなどの外部電源から供給された交流電力を蓄電システムに充電するための充電器を搭載した純粋な電気自動車(EV)などの車載用蓄電システムにも適用できる。
【0023】
さらに、以下に説明する実施形態の構成は、電動バイク、電動自転車などの二輪車、ハイブリッド電車などの鉄道車両、ハイブリッドトラックなどの貨物自動車、ハイブリッドバスなどの乗合自動車、建設機械やフォークリフトトラックなどの産業用車両、電動福祉機器など、他の移動体の電源を構成する車載用蓄電システムにも適用できる。
【0024】
さらにまた、以下に説明する実施形態の構成は、データセンタのサーバーシステムや通信設備などの無停電用電源(バックアップ用電源)として設置される定置用蓄電システム、需要家に配置され、夜間電力を貯蔵し、この貯蔵された電力を昼間に放出して電力負荷の平準化を図る電力貯蔵システムとして設置される定置用蓄電システム、送配電系統の途中に電気的に接続され、送配電系統において送配電される電力の変動対策、余剰電力対策、周波数対策、逆潮流対策などとして用いられる定置用蓄電システムにも適用できる。
【0025】
《蓄電システムの概略説明》
定置用蓄電システムは、出力電圧や設備の規模によって構成は異なるが、基本的には、複数の蓄電器(二次電池又は容量性を有する受動素子)を備え、複数の蓄電器の電気化学的作用や電荷蓄積構造によって電気エネルギーを蓄積(充電)及び放出(放電)するシステムである。複数の蓄電器は、蓄電システムに要求される出力電圧、蓄電容量などの仕様に応じて、電気的に直列或いは並列若しくは直並列に接続されている。
【0026】
以下に説明する実施形態では、蓄電器としてリチウムイオン二次電池を用いたリチウムイオン電池システムを例に挙げて説明する。蓄電器としては、鉛電池、ニッケル水素電池などの他の二次電池を用いてもよい。また、二種類の蓄電器、例えばリチウムイオン二次電池とニッケル水素電池とを組み合わせて用いるようにしてもよい。容量性を有する受動素子としては、キャパシタ、例えば電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどを用いることができる。
【0027】
《代表的な技術課題》
二次電池は、可逆な状態遷移過程を通じて電荷を保持、放出することによって充放電するので、常に、充電状態を監視する必要がある。特にリチウムイオン電池は、化学変化によって遷移過程を実現しているので、過充電時には保持しきれない電荷が熱に変換される。このため、複数のリチウムイオン電池セルを用いて構築した電池システムでは、複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの端子間電圧を検出し、この検出した端子間電圧に基づいて、複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの充電状態を求めている。
【0028】
複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの端子間電圧は、例えばマルチプレクサ、差動増幅器、アナログ・デジタルコンバータなどを用いて構成した電圧検出回路(それらの半導体素子が集積された集積回路)を、所定数のリチウムイオン電池セルを有する電池セル群毎に設け、リチウムイオン電池セルのそれぞれから正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)を取り込むことにより検出している。しかし、電圧検出回路の一つが故障した場合、対応する電池セル群が有する複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの状態を監視することができなくなり、対応する電池セル群が有する複数のリチウムイオン電池セルが過充電或いは過放電に至る可能性がある。
【0029】
電圧検出回路の故障対応としては、電圧検出回路を二重化して冗長化を図り、同じリチウムイオン電池セルの端子間電圧を異なる電圧検出回路によって検出したり、異なる電圧検出回路によって検出された端子間電圧を比較して電圧検出回路の異常を診断したりすることが考えられる。しかし、電圧検出回路の二重化による冗長化は、電圧検出回路と電池セル群とを電気的に接続し、複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)を電圧検出回路に取り込む電圧検出用配線、電圧検出回路によって検出された端子間電圧に基づいて、組電池の充電状態を求めるバッテリコントローラと電圧検出回路との間の通信線が単純倍増し、電圧検出回路の総数の増加、電圧検出用配線の数の増加、電圧検出用配線経路の複雑化、組立コストの増大などが課題となる。
【0030】
しかも、電池システムに要求される出力電圧や蓄電容量の大きさに応じてリチウムイオン電池セルの個数が増えれば増えるほど、上記課題は顕著になる。
【0031】
例えば100個のリチウムイオン電池を有する電池システムにおいて、一つの電圧検出回路で10個のリチウムイオン電池の電圧を検出する場合には、電圧検出回路の二重化による冗長化によって、電圧検出回路の数が20個(一重化による冗長レスの場合は10個)、電圧検出用配線の数が220本(一重化による冗長レスの場合は110本)、信号線の数(パラレル場合)が40本(一重化による冗長レスの場合は20本)になる。
【0032】
《代表的な技術課題を解決するための代表的な解決手段》
そこで、以下に説明する実施形態では、電気的に直列に接続された複数の単電池群のそれぞれに対応して設けられ、対応する単電池群が有する複数のリチウムイオン電池セルに電気的に接続された複数の第1電圧検出回路(第1集積回路)と、第2電圧検出回路(第2集積回路)とを備え、電位的に隣接する単電池群に対応して設けられた第1電圧検出回路(第1集積回路)同士を、伝達回路を介して電気的に接続すると共に、最高電位或いは最低電位の単電池群に対応して設けられた第1電圧検出回路(第1集積回路)と第2電圧検出回路(第2集積回路)とを、伝達回路を介して電気的に接続し、伝達回路を介して電気的に接続された第1電圧検出回路(第1集積回路)の一方側が、対応する単電池群が有する複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極及び負極の電圧(電位)を取り込んで、対応する単電池群が有する複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極と負極との端子間電圧を検出し、かつ伝達回路を介して電気的に接続された第1電圧検出回路(第1集積回路)の他方側或いは第2電圧検出回路(第2集積回路)に、取り込んだ複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極及び負極の電圧(電位)を伝達するようにし、伝達回路を介して電気的に接続された第1電圧検出回路(第1集積回路)の他方側及び第2電圧検出回路(第2集積回路)が、伝達回路を介して伝達されたリチウムイオン電池セルの正極及び負極の電圧(電位)を取り込んで、第1電圧検出回路(第1集積回路)の一方側に対応する単電池群が有する複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出するようにしている。
【0033】
《代表的な解決手段による作用効果》
以下に説明する実施形態によれば、伝達回路を介して電気的に接続された第1電圧検出回路(第1集積回路)の一方側に対応する単電池群が有する複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極及び負極の電圧(電位)を、伝達回路を介して電気的に接続された第1電圧検出回路(第1集積回路)の他方側及び第2電圧検出回路(第2集積回路)が取り込んで、第1電圧検出回路(第1集積回路)の一方側と第1電圧検出回路(第1集積回路)の他方側及び第2電圧検出回路(第2集積回路)との両方において、第1電圧検出回路(第1集積回路)の一方側に対応する単電池群が有する複数のリチウムイオン電池セルのそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているので、電圧検出回路(集積回路)の個数増加を最低限に抑えて、単純二重化による冗長化と同様の機能を備えることができる。
【0034】
従って、以下に説明する実施形態によれば、低コストで信頼性の高い電池システムを提供することができる。
【0035】
尚、この他にも解決すべき課題及びその解決手段はある。それらについては、これ以降の各実施形態の中において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
【0036】
以下、図面を用いて、実施形態を具体的に説明する。
【0037】
《具体的な実施形態の説明》
具体的な実施形態を図1乃至図9に基づいて説明する。
【0038】
《発電システムの構成》
まず、図1を用いて、発電システム1の構成について説明する。
【0039】
発電システム1は、電力を消費する電気負荷(需要家)が電気的に接続された送配電網からなる電力系統2に電気的に接続され、発電装置3によって、電力系統2において必要な電力の一部を発電し、その電力を交流電力として電力系統2に出力している。
【0040】
発電装置3は、一次エネルギーに基づいて、二次エネルギーである電力を発生させるエネルギー変換設備であり、本実施形態では、自然界のエネルギー、すなわち再生可能エネルギーを一次エネルギーとして利用し、二次エネルギーである電力を発生させるエネルギー変換設備を採用している。再生可能エネルギーを利用した発電装置としては、例えば風の力を利用して風車を回すことにより得られた動力によって発電機を駆動して発電する風力発電装置、水の力を利用して水車を回すことにより得られた動力によって発電機を駆動して発電する水力発電装置、太陽光を太陽電池に当て、太陽電池の光起電力効果によって発電する太陽光発電装置などがある。
【0041】
ここでは、再生可能エネルギーを利用した発電装置の形態を特定はしないが、前述した風力発電装置、水力発電装置、太陽光発電装置のいずれを用いて構わないし、それ以外の発電装置を用いても構わない。
【0042】
再生可能エネルギーを利用した発電装置は、自然環境への負荷が少なく、自然環境にやさしいという有利な面がある反面、発電能力が自然界の状態に左右され、必要とされる電力に発電能力が対応し難いという不利な面もある。
【0043】
このため、本実施形態では、発電装置3が発電した電力を一旦、電池システム100に蓄え、電力負荷の要求に応じて、電池システム100に蓄えていた電力を、電力系統2に供給するように、発電システム1を構成している。
【0044】
電池システム100は直流電力を充放電する。電池システム100と発電装置3との間には、発電装置3において発電され出力された交流電力を直流電力に変換し、この変換された直流電力を電池システム100に充電するための交流直流電力変換装置4(コンバータ)が設けられている。電池システム100と電力系統2との間には、電池システム100から直流電力を放電させ、この放電した直流電力を交流電力に変換して電力系統2に供給するための直流交流電力変換装置5(インバータ)が設けられている。
【0045】
尚、本実施形態では、電池システム100に対して二つの電力変換装置を設け、充電と放電とで使い分ける場合を図示しているが、実際には、発電装置3と電力系統2との間に一つの電力変換装置(インバータ)を介して電池システム100が電気的に並列に接続され、その一つの電力変換装置が二つの電力変換装置の役目を担う。
【0046】
《電池システムの構成》
電池システム100は複数のサブ電池システム110を備えている。複数のサブ電池システム110は電気的に並列に接続されている。
【0047】
尚、本実施形態では、電池システム100を、複数のサブ電池システム110を電気的に並列に接続した接続体から構成した場合を例に挙げて説明するが、一つのサブ電池システム110から電池システム100を構成してもよい。
【0048】
サブ電池システム110は、電池システム100を構成する最大の基本単位である。
【0049】
サブ電池システム100の数をいくつかにするかは、電池システム100に必要とされる蓄電容量に基づいて決定すればよい。
【0050】
このように、電池システム100に必要とされる蓄電容量に基づいて、使用するサブ電池システム110の数を決定すれば、色々なニーズに対応した電池システム100を実現できると共に、電池システム100の生産性が向上し、さらには、サブ電池システム110の基本構成を共通化することができ、これによって、安全性を向上させることができる。
【0051】
電力の供給は社会生活に大きくかかわっているので、電池システム100全体の動作を停止させることは好ましくない。このため、本実施形態のように、サブ電池システム110を、電池システム100を構成する最大の基本単位として電池システム100を構成すれば、電池システム100を保守点検或いは修理するとき、電池システム100全体の動作を停止させて全ての蓄電機能を停止させることはなく、その対象となる一部のサブ電池システム110の動作のみを停止させて一部の蓄電機能のみを停止させるということができ、機能性を向上させることができる。
【0052】
《サブ電池システムの構成》
次に、図2を用いて、サブ電池システム110の構成を具体的に説明する。
【0053】
尚、図2では、図1に示す複数のサブ電池システム110のうちの一つの構成を図示しているが、その他のサブ電池システム110も基本的に図2と同じ構成になっている。
【0054】
サブ電池システム110は複数の電池ブロック120を備えている。複数の電池ブロッ120は電気的に並列に接続されている。
【0055】
電池ブロック120は、サブ電池システム110を構成する最大の基本単位である。
【0056】
電池ブロック120の数をいくつかにするかは、サブ電池システム110に必要とされる蓄電容量に基づいて決定すればよい。
【0057】
複数の電池ブロック120は、基本的にはいずれも同じ構成で、同じ動作をするように共通化させている。このように、複数の電池ブロック120の構成及び動作を共通化すれば、サブ電池システム110自身の蓄電容量を、利用しやすい容量に設定可能となり、利便性が向上すると共に、生産性や安全性が向上する。
【0058】
サブ電池システム110の正極出力端114には遮断機113を介して正側結線111が電気的に接続されている。サブ電池システム110の負極出力端115には断路器115を介して負側結線112が電気的に接続されている。遮断機113は、短絡電流が流れたとき、その電流がサブ電池システム110に流れ込まないようにその電流を遮断する機能を有する開閉器であり、システム制御装置500によって接点の投入、遮断が制御されている。また、遮断機113は、サブ電池システム110と他のサブ電池システム110との電気的な接続を制御するとき、断路器115と共に操作される。従って、サブ電池システム110全体の動作を停止させて保守点検或いは修理する場合には遮断機113及び断路器115が開放される。これにより、特定のサブ電池システム110を他のサブ電池システム110から電気的に分離させることができ、電池システム100全体の動作を停止させることなく、特定のサブ電池システム110を保守点検或いは修理することができる。断路器115はサブ電池システム110を他のサブ電池システム110から電気的に切り離すときに使われる開閉器であり、遮断機113のように、短絡電流を遮断するような機能は持たない。
【0059】
複数の電池ブロック120のそれぞれの正端部121は断路器123を介して正側結線111に電気的に並列に接続されている。複数の電池ブロック120のそれぞれの負端部122は断路器124を介して負側結線112に電気的に並列に接続されている。断路器123,124は、対応する電池ブロック120を他の電池ブロック120から電気的に切り離すときに使われる開閉器であり、遮断機113のように、短絡電流を遮断するような機能は持たない。このように、電池ブロック120のそれぞれに断路器123,124を対応させて設けておくことにより、サブ電池システム110全体の運転を停止させることなく、特定の電池ブロック120を他の電池ブロック120から電気的に切り離して、特定の電池ブロック120を保守点検或いは修理することができる。このようなシステム構成によれば、安全性と利便性の両立ができる。
【0060】
《電池ブロックの構成》
複数の電池ブロック120はそれぞれ第1及び第2電池ユニット130,131を備えている。第1及び第2電池ユニット130,131は統合ユニット132を介して電気的に並列に接続されている。本実施形態では、保守点検或いは修理の作業における安全性の確保がし易いように、第1及び第2電池ユニット130,131を電気的に並列に接続し、電池ブロック120内の電圧を、千ボルト以下、特に650ボルト以下の比較的安全な電圧に維持しているが、充放電電圧の大きさによってはそれらを電気的に直列に接続してもよい。
【0061】
第1及び第2電池ユニット130,131を電気的に並列に接続し、電池ブロック120内の電圧を比較的安全な電圧とすることは、保守点検或いは修理の作業における安全性の確保がし易いだけでなく、設備の設置基準を緩和できるという効果もある。
【0062】
また、第1及び第2電池ユニット130,131を電気的に並列に接続することは、蓄電容量を大きくできるという効果もある。もし、高電圧が必要な場合には、電池システム100と直流交流電力変換装置5との間に昇圧装置を設け、電池システム100から出力された直流電力を昇圧して直流交流電力変換装置5に出力すればよい。
【0063】
尚、本実施形態では、電池ブロック120が有する電池ユニットの並列数を二つとした場合を例に挙げて説明するが、それ以外の並列数としてもよい。その並列数としては、電池システム100の使用目的や使用条件などから決めればよく、一つ或いは三つ以上であってもよい。保守点検或いは修理などの利便性を考えると、本実施形態のように、電池ユニットの並列数を二つとすることが、より望ましい効果が得られる。
【0064】
《電池ユニットの構成》
第1及び第2電池ユニット130,131はそれぞれ、複数の電池パック140を備えている。本実施形態では、複数の電池パック140として、三つの電池パック140を備えた場合を例に挙げて説明するが、それ以外の個数であってもよい。
【0065】
複数の電池パック140のそれぞれは、基本的な構成は同じであり、電気的に直列に接続された複数のリチウムイオン電池セル(以下、単に「電池セル」と記述する)201を備えている。第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれでは、複数の電池パック140のそれぞれが有する複数の電池セル201の電気的な直列接続が、さらに電気的に直列に接続されている。
【0066】
複数の電池パック140のそれぞれにはバッテリ制御装置400が設けられている。
【0067】
《統合ユニットの構成》
複数の電池ブロック120のそれぞれには、対応する第1及び第2電池ユニット130,131を管理及び制御する統合ユニット132が設けられている。
【0068】
複数の統合ユニット132のそれぞれは、統合制御装置600と、対応する第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれに対応して設けられ、対応する第1及び第2電池ユニット130,131と他の電池ブロック120との電気的な接続を制御する開閉器である継電器135,136と、電流を制限する電流制限器137と、第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれに入出力される電流を検出するための電流検出器134と、第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの端子間電圧を検出するための電圧検出器133とを備えている。
【0069】
《開閉機構(リレー機構)の構成》
継電器135,136は、対応する第1及び第2電池ユニット130,131を構成する最高電位の電池パック140の正極用電力コネクタ141と電池ブロック120の正端部121との間の電気的な接続を制御する開閉機構(リレー機構)を構成している。開閉機構は、継電器135と電流制限器137とを電気的に直列に接続した直列回路(サブ回路)と、継電器136を有する直列回路(メイン回路)とが電気的に並列に接続されて構成されている。継電器135,136の接点の遮断、投入は統合制御装置600によって制御されている。
【0070】
通常、第1及び第2電池ユニット130,131が充放電している状態では、継電器136が投入され、メイン回路を介して充放電されている。サブ回路は、継電器136を投入し、メイン回路を介して、第1及び第2電池ユニット130,131の充放電を開始する前に使われる。この場合、継電器135が最初に投入され、これにより、第1及び第2電池ユニット130,131から電流が、電流制限器137によって制限されながらサブ回路を介して流れる。この後、継電器136が投入され、これにより、第1及び第2電池ユニット130,131から電流がメイン回路を介して流れる。この時、サブ回路によって電流が流されているので、メイン回路に流れる電流が制限される。これにより、継電器136が投入された時、第1及び第2電池ユニット130,131からメイン回路に流れる突入電流の大きさを低くでき、継電器136の接点の溶着などを防止することができる。第1及び第2電池ユニット130,131からメイン回路に流れる電流が安定した後、継電器135は遮断される。
【0071】
第1及び第2電池ユニット130,131はそれぞれ毎に保守点検が可能である。保守点検中は充放電を停止する。このため、充放電を停止した電池ユニットと充放電を継続していた電池ユニットとの間では充電状態が異なってくる。充電状態が異なる状態で二つの電池ユニットを電気的に並列に接続すると、充電状態の大きい電池ユニットから充電状態の小さい電池ユニットに対して大きな電流が流れる。このようなことから、前述のように、最初に継電器135を投入し、サブ回路に電流を流す。これにより、充電状態の大きい電池ユニットから充電状態の小さい電池ユニットに対して流れる電流は、サブ回路の電流制限器137によって制限される。サブ回路に流れる電流は電流検出器134によって計測できるので、サブ回路に流れる電流が予め定めた閾値以下になったら継電器136を投入して、メイン回路に電流を流し、この後、継電器135を開放する。このようにすれば、電池セル201の充放電電流値を安全な値に維持することができる。
【0072】
電池セル201の端子電圧はSOCに基づいて変化するので、電圧検出器133の測定値を用いることによって、継電器136の投入時の電流を予測することができる。従って、前述の電流検出器134の測定値に基づく継電器136の投入制御の代わりに、電圧検出器133の測定値に基づく継電器136の投入制御を用いてもよい。また、電圧検出器133の測定値が他の電池ユニットの端子間電圧に対して規定の範囲内の場合には、継電器135の投入を省略して、いきなり継電器136を投入するようにしてもよい。
【0073】
《統合制御装置の機能》
複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140の充電状態を管理している。このため、複数の統合制御装置600のそれぞれには、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400において演算されて出力された、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれを構成する複数の電池セル201のそれぞれの充電状態が、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400から入力されている。複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120複数の電池セル210の充電状態の平均値を求め、その平均値を電池ブロック120の充電状態としてシステム制御装置500に出力している。
【0074】
また、複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120の複数の電池セル210の充電状態の平均値を、対応する電池ブロック120の複数の電池セル210の充電状態の調整用の目標パラメータとして、対応する電池ブロック120の複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400に出力している。
【0075】
さらに、複数の統合制御装置600のそれぞれには、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流に関する計測情報が電流検出器134から、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの端子間電圧に関する計測情報が電圧検出器133から、それぞれ入力されている。複数の統合制御装置600のそれぞれは、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧に関する計測情報に基づいて、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧をそれぞれ検出し、この検出された充放電電流及び端子間電圧に関する情報をシステム制御装置500に出力している。
【0076】
《システム制御装置の機能》
システム制御装置500は、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から送られてきた情報に基づいて、或いは、情報入出力端510を介して、電池システム100の管理装置(図示省略)から送られてきた情報或いは指令に基づいて、サブ電池システム110を電池システム100から電気的に切り離す条件が成立した場合に、或いは、サブ電池システム110を電池システム100に電気的に接続する条件が成立した場合に、遮断機113を遮断、或いは、投入するように、遮断機113に開閉指令を出力している。
【0077】
また、システム制御装置500は、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から送られてきた、対応する電池ブロック120の充電状態に関する情報、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流及び端子間電圧に関する情報に基づいて、サブ電池システム110の充電状態、充放電電流及び端子間電圧のそれぞれを演算し、この演算によって得られた情報を、情報入出力端510を介して、電池システム100の管理装置(図示省略)に出力している。
【0078】
さらに、システム制御装置500は、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から送られてきた、対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140のそれぞれの異常検出のための診断の結果に関する情報を、情報入出力端510を介して、電池システム100の管理装置(図示省略)に出力している。
【0079】
《サブ電池システム内の通信回路の構成》
複数の電池ブロック120のそれぞれに設けられた統合制御装置600とシステム制御装置500との間、及び複数の電池ブロック120のそれぞれにおける統合制御装置600と複数の電池パック140のそれぞれに設けられたバッテリ制御装置400との間は、それぞれ、情報バス610を介して、同時並行的(パラレル)に通信できるように構成されている。
【0080】
複数の電池ブロック120のそれぞれにおいて、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれによって演算された、対応する複数の電池セル201のそれぞれの充電状態に関する情報や、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれにおいて実施された或いは複数のバッテリ制御装置400のそれぞれに集められた異常検出のための診断の結果に関する情報などは、情報バス610を介して、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれから同時並行的に、統合制御装置600に伝送される。また、複数の電池ブロック120のそれぞれにおいて、統合制御装置600によって演算された充電状態調整用の目標パラメータに関する情報は、情報バス610を介して、統合制御装置600から同時並行的に、複数のバッテリ制御装置400のそれぞれに伝送される。
【0081】
複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600に集められた情報、すなわち対応する電池ブロック120の充電状態に関する情報、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの充放電電流に関す情報、対応する電池ブロック120の第1及び第2電池ユニット130,131のそれぞれの端子間電圧に関する情報、及び対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140のそれぞれのバッテリ制御装置400から出力された、対応する電池ブロック120を構成する複数の電池パック140のそれぞれの異常検出のための診断の結果に関する情報などは、情報バス610を介して、複数の電池ブロック120のそれぞれの統合制御装置600から同時並行的にシステム制御装置500に伝送される。
【0082】
《制御装置の電源構成》
複数のバッテリ制御装置400、統合制御装置600及びシステム制御装置500は、それぞれ、前述した機能を実行するために、マイクロコントローラなどの演算処理装置を備えている。それらの演算処理装置を動作させるためには、例えば5ボルトの低圧の動作電圧を電源からそれぞれの演算処理装置に供給する必要がある。その電源としては、電池セル201とすることも考えられるが、電池パック140の保守点検をスムーズに行う観点や、電池パック140の構成を規格化することで電池システム100の生産性を向上する観点などからすると、電池セル201とは異なる電源を用いることが望ましい。そこで、本実施形態では、サブ電池システム110の外部の商用電源を演算処理装置の電源とし、その商用電源から交流電力(単相)の供給を受けている。
【0083】
商用電源から供給された交流電力(単相)は、制御用電源入力端720を介して入力され、制御用電源入力端720から無停電電源装置710に供給される。通常、制御用電源入力端720を介して供給された交流電力から制御用の直流電力が作られる。しかし、商用電源からの交流電力の供給が停止した場合には必要な電力を得ることができず、電池システム100を動作させることができなくなる。そこで、本実施形態では、制御装置の電源系統に無停電電源装置710を設け、商用電源からの交流電力の入力が断たれても、交流電力の供給が断たれないように構成している。無停電電源装置710は、商用電源から供給された交流電力を整流器で直流電力に変換し、この変換された直流電力を二次電池に充電しながら常時、その直流電力から、商用電源に同期した交流電力を定電圧定周波数制御インバータで発生させて出力するように構成されている。
【0084】
無停電電源装置710から供給された交流電力は電源ユニット700に入力される。電源ユニット700は、交流電力から低電圧の直流電力を生成し、この生成された直流電力を制御用電源ライン730を介して、複数のバッテリ制御装置400、統合制御装置600及びシステム制御装置500のそれぞれに同時平行的(パラレル)に供給している。
【0085】
《開閉器の動作手順》
遮断機113、断路器115,123,124、継電器135が全て投入され、図6に示すサブ電池システム110が正極出力端114及び負極出力端115を介して、図5に示す他のサブ電池システム110に電気的に並列に接続されている接続状態において、図6に示すサブ電池システム110を、図5に示す他のサブ電池システム110から電気的に切り離す場合には、まず、システム制御装置500からの指令によって遮断機113を遮断して、サブ電池システム110を無負荷状態(充放電電流が流れない状態)とし、この後、断路器115、断路器123,124の順に遮断する。これにより、図5に示す他のサブ電池システム110から、図6に示すサブ電池システム110を電気的に切り離すことができ、かつ正極出力端114及び負極出力端115に電圧が印加されない安全な状態とすることができる。さらに、第1及び第2電池ユニット130,131の間を電気的に切り離す場合には継電器135を遮断する。これにより、第1及び第2電池ユニット130,131の一方から他方を電気的に切り離すことができる。
【0086】
逆に、図6に示すサブ電池システム110を、図5に示す他のサブ電池システム110に電気的に接続する場合には、まず、断路器123,124、断路器115の順に投入し、この後、システム制御装置500からの指令によって遮断機113を投入する。第1及び第2電池ユニット130,131の間が電気的に切り離されている場合には、まず、継電器136を投入し、電流が所定の値以下になった後、継電器135を投入し、この後、継電器136を遮断するという手順で継電器135,136の開閉制御を行った後、断路器123,124、断路器115、遮断機113の順に投入する。
【0087】
サブ電池システム110を構成する複数の電池ブロック120のうちの一つの充放電を停止してその電池ブロック120を保守点検或いは修理する場合には、一担、遮断機113、断路器115、断路器123,124の順に遮断した後、当該電池ブロック120に対応する断路器123,124を遮断状態にしておき、この状態で他の電池ブロック120に対応する断路器123,124、断路器115、遮断機113の順に投入する。このようにすることにより、当該電池ブロック120を他の電池ブロック120から電気的に切り離し、他の電池ブロック120が充放電している最中に当該電池ブロック120を保守点検或いは修理することができる。
【0088】
また、サブ電池システム110を構成する複数の電池ブロック120のうちの一つの第1及び第2電池ユニット130,131のいずれか一方の充放電を停止してその電池ユニットを保守点検或いは修理する場合には、一担、遮断機113、断路器115、断路器123,124、継電器135の順に遮断した後、当該電池ユニットに対応する継電器135,136を遮断状態にしておき、この状態で当該電池ユニットと対をなす電池ユニットの継電器135,136を、まず、継電器136を投入し、電流が所定の値以下になった後、継電器135を投入し、この後、継電器136を遮断するという手順で開閉制御を行った後、断路器123,124、断路器115、遮断機113の順に投入する。このようにすることにより、当該電池ユニットを、当該電池ユニットと対をなす電池ユニットから電気的に切り離し、当該電池ユニットと対をなす電池ユニット、他の電池ブロック120が充放電している最中に当該電池ユニットを保守点検或いは修理することができる。
【0089】
《電池パックの構成》
図3は、電池パック140の構成を示す。
【0090】
複数の電池パック140は、それぞれ、図3に示すように、電気的に直列に接続された複数の電池モジュール200及び制御装置を備えている。
【0091】
本実施形態では、一つの電池パック140に対する電池モジュール200の個数を四つとし、この四つの電池モジュール200を電気的に直列に接続している。電池モジュール200の数としては、それ以外の個数であってもよい。
【0092】
制御装置は、複数の電子回路部品から構成された電子回路であり、機能上、2つの階層に分かれて構成されている。具体的には、電池パック140において上位(親)に相当するバッテリ制御装置400、及びバッテリ制御装置400に対して下位(子)に相当するセル制御装置300から構成されている。バッテリ制御装置400及びセル制御装置300の両者は、電気的な絶縁部品であるフォトカプラ310が設けられた信号伝送回路307に電気的に接続されており、その信号伝送路307を介して信号を伝送して通信している。
【0093】
《電池モジュールの構成》
複数の電池モジュール200は、それぞれ、図3に示すように、電気的に直列に接続された複数の単電池群を備えている。本実施形態では、複数の単電池群として、第1単電池群240及び第2単電池群241を備え、第1単電池群240及び第2単電池群241を電気的に直列に接続している。単電池群の数としては、それ以外の個数であってもよい。
【0094】
第1単電池群240及び第2単電池群241は、それぞれ、図3に示すように、電気的に直列に接続された複数の電池セル201を備えている。本実施形態では、複数の電池セル201として、四つの電池セル201を備え、四つの電池セル201を電気的に直列に接続している。電池セル201の数としては、それ以外の個数であってもよい。電池セル201は、電池モジュール200における最小の構成単位であり、単電池と呼ばれる場合もある。電池セル201の公称出力電圧は3.0〜4.2ボルト(平均公称出力電圧が3.6ボルト)である。
【0095】
《セル制御装置の構成》
セル制御装置300は、バッテリ制御装置400から出力された指令信号に基づいて、バッテリ制御装置400の手足となって動作し、複数の電池セル201のそれぞれの状態を管理及び制御する電子回路装置であり、複数のセルコントローラ集積回路(以下、単に「セルコンIC」と記述する)330を備えている。
【0096】
複数のセルコンIC330は、複数の電池モジュール200のそれぞれの第1単電池群240及び第2単電池群241のそれぞれに対応して設けられた複数の第1セルコンIC330a、複数の第1セルコンIC330aのうち、最高電位の単電池群に対応する第1セルコンIC330aに対応して設けられた一つの第2セルコンIC330bから構成されている。
【0097】
複数の第1セルコンIC330aは、それぞれ、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出すると共に、この検出結果に基づいて、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)を検出している。また、複数の第1セルコンIC330aは、それぞれ、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のうち、充電状態(SOC)の調整が必要な電池セル201がある場合には、バッテリ制御装置400からの指令信号に基づいて、対象の電池セル201に対して放電抵抗を所定時間、電気的に接続し、対象の電池セル201を所定時間、放電させる。
【0098】
第2セルコンIC330bは、基本的には、第1セルコンIC330aと同じIC(構成が全く同じ)により構成されているが、第1セルコンIC330aのように、単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれには電気的に接続されておらず、最高電位の単電池群に対応する第1セルコンIC330aに対応して設けられている。
【0099】
最低電位の単電池群に対応する最低電位の第1セルコンIC330aは、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出するように、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極に複数の電圧検出線250を介して電気的に接続されている。
【0100】
その他の電位の第1セルコンIC330aは、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出するように、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極及び負極に複数の電圧検出用配線を介して電気的に接続されていると共に、電位的に一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出するように、電位的に隣接する一つ下の電位の第1セルコンIC330aに伝達回路337を介して電気的に接続されている。
【0101】
第2セルコンIC330bは、最高電位の単電池群に対応する最高電位の第1セルコンIC330bと同電位であり、最高電位の単電池群に対応する最高電位の第1セルコンIC330bに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出するように、最高電位の第1セルコンIC330bに伝達回路337を介して電気的に接続されている。
【0102】
《バッテリ制御装置の構成》
バッテリ制御装置400は、電池パック140の状態を管理及び制御する電子回路装置である。具体的には、バッテリ制御装置400は、演算処理装置であるマイクロコントローラ410を備え、電池パック140の充電状態(SOC:State Of Charge)、劣化状態(SOH:State Of Health)を推定演算している。
【0103】
また、バッテリ制御装置400は、統合制御装置600から送信されてきた充電状態の調整パラメータと複数の電池セル201のそれぞれとの比較に基づいて、複数の電池セル201のそれぞれの充電状態の調整の要否を判断し、充電状態の調整が必要な電池セル201がある場合には、その電池セル201の充電状態調整時間(放電抵抗による放電時間)を演算し、この演算された時間を指令値として、充電状態の調整が必要な電池セル201に対応する第1セルコンIC330aに指令値に関する信号を送信している。
【0104】
さらに、バッテリ制御装置400は、電池パック140の各種異常を検出するための診断を実施したり、電池パック140において実施された、各種異常を検出するための診断の結果を収集したりし、その情報を統合制御装置600に送信している。
【0105】
バッテリ制御装置400には記憶装置440が設けられている。記憶装置440には、SOCやSOHなどの演算処理を実行するためのプログラム、電池セル201の初期特性、予め実験などにより構築したSOCと温度と内部抵抗との関係を示すマップなどの特性データなどを格納(記憶)されている。記憶装置440としては、消去や再書き込みが可能な不揮発性の読み出し専用メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いている。この他にもバッテリ制御装置400は記憶装置を備えている。例えば読み書き可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)が設けられている。
【0106】
《電池パック内の通信回路の構成》
バッテリ制御装置400とセル制御装置300との間には通信回路307が設けられている。通信回路307は、バッテリ制御装置400のマイクロコントローラ410とセル制御装置300の複数の第1セルコンIC330aのそれぞれ及び第2セルコンICとがお互いに同時並行的(パラレル)に通信できるように構成されている。
【0107】
マイクロコントローラ410、複数の第1セルコンIC330a、及び第2セルコンIC330bは動作電源が異なり、お互いに基準電位が異なる。すなわち複数の第1セルコンIC330aは、対応する電池群を電源とし、第2セルコンIC330bは、対応する第1セルコンIC330aと同電位であるのに対して、マイクロコントローラ410は電源ユニット700を電源としている。このため、マイクロコントローラ410と、複数の第1セルコンIC330aそれぞれ、及び第2セルコンIC330bとの間の通信回路307の途中には、複数の第1セルコンIC330aのそれぞれ、及び第2セルコンIC330bに対応して、絶縁素子であるフォトカプラ310が設けられており、マイクロコントローラ410と、複数の第1セルコンIC330aのそれぞれ、及び第2セルコンIC330bとの間が電気的に絶縁されている。これにより、バッテリ制御装置400とセル制御装置300との間において、基準電位の異なる電気信号によって通信することができる。
【0108】
フォトカプラ310は、電気信号を発光側において光信号に変換して受光側に伝送し、受光側路において光信号を電気信号に変換する光学素子である。
【0109】
本実施形態では、絶縁素子として、フォトカプラ310を設けた場合を例に挙げて説明するが、カップリングコンデンサ,変圧器などの他の絶縁素子を用いても構わない。カップリングコンデンサは直流電流の流れを阻止し、交流電流(電気信号)を流す容量性結合素子である。変圧器は電気信号を一次側において磁気信号に変換して二次側に伝送し、二次側において磁気信号を電気信号に変換する磁気素子である。
【0110】
尚、本実施形態では、マイクロコントローラ410と、複数の第1セルコンIC330aのそれぞれ及び第2セルコンIC330bとがお互いに同時並行的(パラレル)に通信できるように、通信回路307を構成した場合を例に挙げて説明するが、複数の第1セルコンIC330a及び第2セルコンICの間において電気信号が直列に伝送されるように、複数の第1セルコンIC330a及び第2セルコンICをディジーチェーン方式によって直列に接続し、マイクロコントローラ410との間ではフォトカプラ310を介して電気信号を伝送するように構成した通信回路(シリアル通信回路)を用いても構わない。
【0111】
《セルコンICの構成》
次に、図4乃至図6を用いて、第1及び第2セルコンIC330a,330bの回路構成について説明する。
【0112】
第1及び第2セルコンIC330a,330bは、セル制御装置300を構成する他の電子回路部品と共にセルコントローラ回路基板に実装されている。第1及び第2セルコンIC330a,330bは同じ構成のICであるが、使われ方が異なっている。
【0113】
最低電位の第1セルコンIC330は、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出して、この検出された端子間電圧を記憶し、さらには、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)を診断して、この診断結果を記憶し、バッテリ制御装置400からデータ要求に関する指令信号が伝送されてきた場合には、記憶された端子間電圧及び異常診断結果に関するデータを書き込んだ信号をバッテリ制御装置400に伝送する。
【0114】
最低電位の第1セルコンIC330を除く他の第1セルコンIC330aは、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出して、この検出された端子間電圧を記憶すると共に、電位的に隣接する一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出して、この検出された端子間電圧を記憶し、さらには、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)、及び電位的に隣接する一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)を診断して、この診断結果を記憶し、バッテリ制御装置400からデータ要求に関する指令信号が伝送されてきた場合には、記憶された端子間電圧及び異常診断結果に関するデータを書き込んだ信号をバッテリ制御装置400に伝送する。
【0115】
第2セルコンIC330bは、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出して、この検出された端子間電圧を記憶し、さらには、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)を診断して、この診断結果を記憶し、バッテリ制御装置400からデータ要求に関する指令信号が伝送されてきた場合には、記憶された端子間電圧及び異常診断結果に関するデータを書き込んだ信号をバッテリ制御装置400に伝送する。
【0116】
このため、第1及び第2セルコンIC330a,330bは、複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子電圧を検出するための電圧検出回路370と、複数の電池セル201のそれぞれの異常(過充放電)を診断するための診断回路360とを備えている。
【0117】
第1セルコンIC330aは、バッテリ制御装置400から伝送されてきたバランシング(充電状態の調整)に関する指令信号に基づいて、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のうち、バランシングが必要な電池セル201を放電抵抗に電気的に接続させて電池セル201を放電させ、その電池セル201の充電状態を、基準となる充電状態に近づいて揃うように調整している。
【0118】
このため、第1セルコンIC330aは、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のうち、充電状態の調整が必要な電池セル201を放電させるためのバランシング制御回路(図示省略)を備えている。バランシング制御回路は、対応する単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれに対応して設けられた放電抵抗(図示省略)に対応して設けられ、充電状態の調整が必要なとき、放電抵抗を、対応する電池セル201に電気的に接続させる半導体スイッチ(図示省略)のスイッチング動作(オン、オフ)を制御する。
【0119】
尚、第2セルコンIC330bは、単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれに接続されていないので、バランシング制御回路を備える必要は無い。しかし、前述のように、第2セルコンIC330bは、第1セルコンIC330aと同じ構成になっているので、第2セルコンIC330bもバランシング制御回路を備えている。
【0120】
第1及び第2セルコンIC330a,330bは、バッテリ制御装置400から出力された指令信号を信号端子391を介して入力し、端子間電圧や診断結果などのデータを書き込んだ信号を、信号端子391を介して出力している。
【0121】
このため、第1及び第2セルコンIC330a,330bは信号伝送回路390を備えている。
【0122】
第1及び第2セルコンIC330a,330bは、電圧検出回路370及び診断回路360の動作タイミング、バランシング制御回路の駆動、電圧検出回路370によって検出された端子間電圧のデータ及び診断回路360の診断結果によって設定されるフラグの保持、信号伝送回路390に入力された指令信号の解読、端子間電圧や診断結果などのデータを書き込んだ信号の出力などを制御するIC制御回路350を備えている。
【0123】
この他、第1及び第2セルコンIC330a,330bは、第1及び第2セルコンIC330a,330bを起動させるための起動回路や、電圧検出回路370、診断回路360、信号伝送回路390、IC制御回路350に動作電源を供給する電源回路などが設けられている。
【0124】
《電圧検出回路の構成》
複数の第1セルコンIC330aのそれぞれには、電圧検出回路370に対応して、複数の電圧検出用端子331、電源端子Vccを兼ねる電圧検出用端子333、及びグランド端子GNDを兼ねる電圧検出用端子334が設けられており、電圧検出用端子333、複数の電圧検出用端子331、電圧検出用端子334の順(入力される電圧(電位)の大きさの順)に並んで、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0125】
また、複数の第1セルコンIC330aのそれぞれには、他の第1セルコンIC330aから出力された、他の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)を入力するための二つの電圧入力端子335と、他の第1セルコンIC330aに、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)を出力するための二つの電圧出力端子336が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0126】
尚、最低電位の第1セルコンIC330aは、他の第1セルコンIC330aから、他の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)が入力されることが無く、電圧入力端子335を設ける必要は無い。しかし、第1セルコンIC330aの構成を全て同じ構成としてセルコンICの共通化を図っていることから、最低電位の第1セルコンIC330aにも二つの電圧入力端子335が設けられている。
【0127】
第2セルコンIC330bは、電気的に接続される単電池群が無く、しかも、他のセルコンICに対して、単電池群の複数の電池セルのそれぞれの正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)を出力することが無く、電圧検出用端子333、複数の電圧検出用端子331、電圧検出用端子334及び電圧出力端子336を設ける必要は無い。しかし、第1セルコンIC330aと第2セルコンIC330bとを同じ構成としてセルコンICの共通化を図っていることから、第2セルコンIC330bには、第1セルコンIC330aと同様に、電圧検出用端子333、複数の電圧検出用端子331、電圧検出用端子334、二つの電圧入力端子335及び二つの電圧出力端子336が設けられている。
【0128】
複数の第1セルコンIC330aのそれぞれの電圧検出用端子333には、対応する単電池群の複数の電池セル201のうち、最高電位の電池セル201の正極側が電圧検出線250を介して電気的に接続されている。複数の第1セルコンIC330aのそれぞれの電圧検出用端子334には、対応する単電池群の複数の電池セル201のうち、最低電位の電池セル201の負極側が電圧検出線250を介して電気的に接続されている。複数の第1セルコンIC330aのそれぞれの複数の電圧検出用端子331には、上から順(入力される電圧(電位)の大きさの順)に、対応する単電池群の最高電位の電池セル201の負極側、2番目の電位の電池セル201の正極側、負極側、3番目の電位の電池セル201の正極側、負極側、最低電位の電池セル201の正極側が、それぞれ、電圧検出線250を介して電気的に接続されている。
【0129】
複数の第1セルコンIC330aのそれぞれの電圧検出回路370は、電圧検出用端子331,333,334を介して取り込まれた、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの正極側の電圧(電位)と負極側の電圧(電位)とを選択して出力するマルチプレクサ371、マルチプレクサ371から出力された電池セル201の正極側の電圧(電位)と負極側の電圧(電位)との差分をとり、この電圧差を端子間電圧として増幅し、かつその基準電位を、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)にレベルシフトして出力する差動増幅器372、差動増幅器372から出力された端子間電圧を、アナログ信号からデジタル信号に変換してIC制御回路350に出力するアナログ・デジタルコンバータ373、及び対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)を基準電位とした所定の値の参照電圧を出力する参照電圧出力回路374から構成されている。
【0130】
第2セルコンIC330bは、電気的に接続される単電池群が無く、しかも、他のセルコンICに対して、単電池群の複数の電池セルのそれぞれの正極側の電圧(電位)及び負極側の電圧(電位)を出力することが無く、マルチプレクサ371を設ける必要は無い。しかし、第1セルコンIC330aと第2セルコンIC330bとを同じ構成としてセルコンICの共通化を図っていることから、第2セルコンIC330bには、第1セルコンIC330aと同様の電圧検出回路370が構成されている。
【0131】
マルチプレクサ371は複数のスイッチ部を備えている。複数のスイッチ部としては、二つの電圧出力端子335のそれぞれに対応する電圧伝達スイッチ部と、電圧検出用端子331,333,334のそれぞれに対応する電圧検出スイッチ部とを備えている。二つの電圧伝達スイッチ部は、それぞれ、一つの半導体スイッチング素子によって構成されている。電圧検出スイッチ部のうち、電源端子を兼ねる電圧検出用端子331及びグランド端子を兼ねる電圧検出用端子334に対応する電圧検出スイッチ部は一つの半導体スイッチング素子によって構成されている。電圧検出用端子331に対応する電圧検出スイッチ部は二つの半導体スイッチング素子によって構成されている。
【0132】
電圧検出用端子331,333に対応する電圧検出スイッチ部の二つの半導体スイッチング素子のそれぞれの接点のうち、電圧検出用端子331,333側に対応する接点はお互いに電気的に接続されて、対応する電圧検出用端子331,333に電気的に接続されている。その反対側(差動増幅器372側)に対応する接点はお互いに電気的に接続されず、電気的に独立して、別々の経路に電気的に接続されている。
【0133】
参照電圧出力回路374から出力された参照電圧は、複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧の検出の前後に検出され、自系の電圧検出と他系の電圧検出との判別フラグとして用いられると共に、初めに検出された電池セル201の端子間電圧と次に検出された電池セル201の端子間電圧との間を区切る区切り電圧として用いられる。また、参照電圧は、IC制御回路350がマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子の切り替えをするときのトリガとしても用いられている。参照電圧は、電池セル201の電圧よりも低い既知の電圧として設定されている。
【0134】
参照電圧出力回路374は、対応する第1セルコンIC330a或いは第2セルコンIC330bの基準電位(グランド電位)を取り込んで出力する基準電位出力部と、所定の値の参照電圧を発生し、この発生した参照電圧を出力する参照電圧出力部とを備えている。基準電位出力部及び参照電圧出力部は、それぞれ、半導体スイッチング素子を備えており、基準電位(電圧)及び参照電圧のそれぞれの出力が必要なときに、半導体スイッチング素子をオンして基準電位(電圧)及び参照電圧のそれぞれを出力するように構成されている。
【0135】
マルチプレクサ371と差動増幅器372と電圧入力端子336と参照電圧出力回路374との間には第1及び第2経路が設けられている。
【0136】
第1経路は、マルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部の一方側の半導体スイッチング素子と、電圧検出用端子331に対応するマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部の二つの半導体スイッチング素子のうちの一方側と、電圧検出用端子333に対応するマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子と、参照電圧出力回路374の参照電圧出力部の半導体スイッチング素子と、差動増幅器の入力の一方側との間を電気的に接続している。
【0137】
第2経路は、マルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部の他方側の半導体スイッチング素子と、電圧検出用端子331に対応するマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部の二つの半導体スイッチング素子のうちの他方側と、電圧検出用端子334に対応するマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子と、参照電圧出力回路374の基準電位出力部の半導体スイッチング素子と、差動増幅器の入力の他方側との間を電気的に接続している。
【0138】
第1及び第2経路により、差動増幅器372には、マルチプレクサ371によって選択された二つの電圧(電位)の他に、参照電圧出力回路374から出力された参照電圧及び基準電位(電圧)、二つの電圧入力端子335を解して入力された二つの電圧(電位)を入力することができる。また、第1及び第2経路により、第1セルコンIC330aは、マルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部によって選択された二つの電圧(電位)を、マルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部を介して電圧出力端子336に出力することができる。これにより、第1セルコンIC330aは、マルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部によって選択された二つの電圧(電位)を、電圧出力端子336から他の第1セルコンIC330a或いは第2セルコンIC330bに出力することができる。
【0139】
《IC制御回路の構成》
IC制御回路350は、演算機能を有するロジック回路であり、検出された電池セル201の端子間電圧などに関するデータを保持(記憶)するためのデータ保持回路351、電池セル201の端子間電圧の検出や診断回路360による診断を周期的に行わせるためのタイミング制御回路、診断回路360による各診断の結果を示す診断フラグを保持(記憶)するための診断フラグ保持回路などを備えている。
【0140】
データ保持回路351及び診断フラグ保持回路はレジスタによって構成されている。
【0141】
最低電位の第1セルコンIC330aのデータ保持回路351には、アナログ・デジタルコンバータ373から出力された、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧に関するデータ及び対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に関するデータがデジタル信号として入力されている。データ保持回路351には、最低電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧及び最低電位の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に対応させた領域が設けられている。これにより、データ保持回路351に入力された端子間電圧及び参照電圧は、データ保持回路351の対応する領域に書き込まれる。
【0142】
最低電位の第1セルコンIC330aを除く他の複数の第1セルコンIC330aのそれぞれのデータ保持回路351には、対応するアナログ・デジタルコンバータ373から出力された、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧に関するデータ、電位的に一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧に関するデータ、対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に関するデータ、及び電位的に一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に関するデータがデジタル信号として入力されている。データ保持回路351には、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧、電位的に一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧、対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧、及び電位的に一つ下の電位の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に対応させた領域が設けられている。これにより、データ保持回路351に入力された端子間電圧及び参照電圧は、データ保持回路351の対応する領域に書き込まれる。
【0143】
第2セルコンIC330bのデータ保持回路351には、最高電位の第1セルコンIC330aに対応するアナログ・デジタルコンバータ373から出力された、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧に関するデータ及び最高電位の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に関するデータがデジタル信号として入力されている。データ保持回路351には、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧及び最高電位の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374から出力された参照電圧に対応させた領域が設けられている。これにより、データ保持回路351に入力された端子間電圧及び参照電圧は、データ保持回路351の対応する領域に書き込まれる。
【0144】
タイミング制御回路は、参照電圧をトリガとして、マルチプレクサ371の半導体スイッチング素子のオン、オフを切り替え、マルチプレクサ371の選択動作を制御している。また、タイミング制御回路は、電圧検出回路370の電圧検出動作に同期して、診断回路360が電池セル201の過充放電を診断するように、診断回路360の診断動作を制御している。
【0145】
診断フラグ保持回路には、診断回路360から出力された、各診断の結果を示す診断フラグ信号が入力されている。診断フラグ保持回路には、各診断に対応させて領域が設けられている。これにより、診断フラグ保持回路に入力された各診断の結果を示す診断フラグは、診断フラグ保持回路の対応する領域に書き込まれる。
【0146】
マイクロコントローラ410から出力されたデータ要求に関する指令信号がIC制御回路350に入力された場合、IC制御回路350は、データ要求に関する指令信号を受信した時点において、データ保持回路351及び診断フラグ保持回路に保持されている最新のデータ読み出し、それらのデータを書き込んだ信号を、信号伝送回路390に出力する。
【0147】
また、IC制御回路350は、診断回路360から、充放電を禁止する異常、例えば電池セル201の過充電を示す異常の診断フラグが立っている場合には、マイクロコントローラ410から出力されたデータ要求に関する指令信号を待たずにフラグ信号、例えば1ビットのデータ長で構成された1パルスの信号を信号伝送回路390に出力する。
【0148】
《診断回路の動作》
診断回路360は、電圧検出回路370による電池セル201の端子間電圧の検出期間に同期して動作しており、IC制御回路350から伝送された電池セル201の端子間電圧と、予め設定された過充放電の閾値との比較に基づいて、電池セル201に過充放電の異常があるか無いかを診断している。診断の結果は、異常を示す診断フラグ信号として、診断回路360からIC制御回路350に出力され、診断フラグ保持回路に保持(記憶)される。
【0149】
尚、診断回路360はIC制御回路350内に構成されていてもよい。
【0150】
《電源回路の構成》
第1及び第2セルコンIC330a,330bには、電源回路に対応して、電源端子を兼ねる電圧検出用端子333及びグランド端子を兼ねる電圧検出用端子334が設けられており、それぞれ、外装パッケージの縁から外部に露出している。
【0151】
第1セルコンIC330aの電圧検出用端子333は、電圧検出線250を介して、対応する単電池群の最高電位の電池セル201の正極側に電気的に接続されている。第1セルコンIC330aの電圧検出用端子334は、電圧検出線250を介して、対応する単電池群の最低電位の電池セル201の負極側に電気的に接続されている。
【0152】
第2セルコンIC330bの電圧検出用端子333は、図示省略したが、電源線を介して、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の最高電位の電池セル201の正極側に電気的に接続されている。第2セルコンIC330bの電圧検出用端子334は、図示省略したが、グランド線を介して、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の最低電位の電池セル201の負極側に電気的に接続されている。
【0153】
第1及び第2セルコンIC330a,330bの内部には、少なくとも2種類の電源電圧VCC,VDDが使用できるように電源回路が構成されている。
【0154】
第1セルコンIC330aの電源電圧VCCを出力する電源回路は、対応する単電池群の複数の電池セル201の総電圧(3.6V×4)を供給する回路であり、その一方側(電源側)端が電圧検出用端子333に電気的に接続され、その他方側(負荷側)端がマルチプレクサ371、定電圧電源341、信号伝送回路390に電気的に接続されている。第1セルコンIC330aの電源電圧VCCを出力する電源回路の基準電位は、電圧検出用端子334の電位、すなわち対応する単電池群の最低電位の電池セル201の負極側の電位である。マルチプレクサ371、定電圧電源341、信号伝送回路390の基準電位も電圧検出用端子334の電位である。
【0155】
第2セルコンIC330bの電源電圧VCCを出力する電源回路は、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201の総電圧(3.6V×4)を供給する回路であり、その一方側(電源側)端が電圧検出用端子333に電気的に接続され、その他方側(負荷側)端がマルチプレクサ371、定電圧電源341、信号伝送回路390に電気的に接続されている。第2セルコンIC330bの電源電圧VCCを出力する電源回路の基準電位は、電圧検出用端子334の電位、すなわち最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の最低電位の電池セル201の負極側の電位である。マルチプレクサ371、定電圧電源341、信号伝送回路390の基準電位も電圧検出用端子334の電位である。
【0156】
定電圧電源341は、電源電圧VCCを入力して、電源電圧VCCよりも低い電源電圧VDD(例えば3V)を生成して出力する、電源電圧VDDの電源回路を構成するレギュレータ回路であり、電気的に接続された、差動増幅器372、アナログ・デジタルコンバータ373、IC制御回路350、診断回路360のそれぞれに対して電源電圧VDDを供給している。電源電圧VDDを出力する電源回路の基準電位は、電圧検出用端子334の電位、すなわち第1セルコンIC330aの電源電圧VCCを出力する電源回路の基準電位は、対応する単電池群の最低電位の電池セル201の負極側の電位、第2セルコンIC330bの電源電圧VCCを出力する電源回路の基準電位は、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の最低電位の電池セル201の負極側の電位である。差動増幅器372、アナログ・デジタルコンバータ373、IC制御回路350、診断回路360の基準電位も電圧検出用端子334の電位である。
【0157】
《起動回路の構成》
第1及び第2セルコンIC330a,330bは、図示省略したが、マイクロコントローラ410から出力された起動信号に基づいて起動するように、起動回路を備えている。
【0158】
起動回路は、マイクロコントローラ410から出力された起動信号に基づいて、定電圧電源341と電源電圧VCCを供給する電源回路とを電気的に接続させる。これにより、電源電圧VCCを供給する電源回路と定電圧電源341とが電気的に接続され、電源電圧VCCが定電圧電源341に供給される。電源電圧VCCが定電圧電源341に供給されると、定電圧電源341は、電源電圧VCCを降圧して電源電圧VDDを生成し、差動増幅器372、アナログ・デジタルコンバータ373、IC制御回路350、診断回路360のそれぞれに対して供給する。これにより、差動増幅器372、アナログ・デジタルコンバータ373、IC制御回路350、診断回路360のそれぞれが動作し、これにより、第1及び第2セルコンIC330a,330bはスリープ状態から起動状態となる。
【0159】
《保護回路の構成》
電圧検出線250のそれぞれの途中には抵抗312が電気的に直列に接続されている。抵抗312は、端子の保護用及びバランシング時に流れる放電電流の制限用として設けられている。電位的に隣接する電圧検出線250の間のそれぞれにはコンデンサ311が設けられている。コンデンサ311はノイズ対策用として設けられている。このように、第1セルコンIC330aと、対応する単電池群との間の電路に抵抗312とコンデンサ311とを設けることにより、第1セルコンIC330aと、対応する単電池群との間の電路にRCフィルタ(ローパスフィルタ)を構成することができる。
【0160】
《電圧検出系の二重化の構成》
次に、図4乃至図6を用いて、電圧検出系の二重化の構成について説明する。
【0161】
尚、図4乃至図6では、図3に示すフォトカプラ310の図示を省略している。
【0162】
図4,図5に示すように、電位的に隣接する第1セルコンIC330aの一方側(本実施形態では高電位側の第1セルコンIC330a)の電圧入力端子335と、他方側(本実施形態では低電位側の第1セルコンIC330a)の電圧出力端子336とは、電圧伝達回路337を介して電気的に直列に接続されている。これにより、他方側の第1セルコンIC330aから、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、一方側の第1セルコンIC330aに出力することができ、一方側の第1セルコンIC330aは、入力された他方側の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を電圧検出回路370によって検出することができる。
【0163】
図6に示すように、最高電位の第1セルコンICの電圧出力端子336と、これと電位的に同電位である第2セルコンIC330bの電圧入力端子335とは、電圧伝達回路337を介して電気的に直列に接続されている。これにより、最高電位の第1セルコンIC330aから、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、第2セルコンIC330bに出力することができ、第2セルコンIC330bは、入力された最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を電圧検出回路370によって検出することができる。
【0164】
尚、電位的に隣接する第1セルコンIC330aの間において、低電位側の第1セルコンIC330aが高電位側の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、第2セルコンIC330bは最低電位の第1セルコンIC330aに対応して設けられ、最低電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0165】
このように、本実施形態では、複数の単電池群のそれぞれの複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、対応する第1セルコンIC330aによって検出すると共に、電位的に隣接する第1セルコンIC330a及び追加した第2セルコンIC330bによって検出することにより、セルコンIC330の単純倍増を行わずに、電圧検出系の二重化を図っている。
【0166】
第1セルコンIC330aにおいて、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、マルチプレクサ371によって、電圧検出用端子331,333,334のうち、複数の電池セル201のいずれか一つの正極及び負極に対応する二つの端子を選択し、この選択した二つの端子から入力された電圧を差動増幅器372に出力する。例えば最高電位の電池セル201の端子間電圧を検出する場合には、電圧検出用端子333に対応する電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子と、最高電位の電池セル201の負極側に対応した電圧検出用端子331に対応する電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子の他方側(第2経路に対応する半導体スイッチング素子)とをオンとし、その他の半導体スイッチング素子はオフとする。
【0167】
第1セルコンIC330aにおいて、対応する参照電圧出力回路374の参照電圧を検出する場合には、マルチプレクサ371の全ての半導体スイッチング素子をオフ、対応する参照電圧出力回路374の全ての半導体スイッチング素子をオンとし、対応する参照電圧出力回路374から差動増幅器372に基準電位(電圧)及び参照電圧を出力する。
【0168】
差動増幅器372は、マルチプレクサ371或いは参照電圧出力回路374から出力された電圧の差分をとり、この電圧差を端子間電圧或いは参照電圧としてアナログ・デジタルコンバータ373に増幅して出力する。差動増幅器372は、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)を基準電位として動作しているので、電圧差を、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)を基準電位とした電圧差として出力する。すなわち差動増幅器372は、増幅して出力する電圧差の基準電位を、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)にレベルシフトして出力するレベルシフト回路ということができる。
【0169】
尚、最低電位の電池セル201の端子間電圧及び参照電圧は、基準電位が初めから、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)になっている電圧差であるので、差動増幅器37からそのまま、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)を基準電位とした電圧差として増幅して出力される。
【0170】
差動増幅器372の出力(端子間電圧或いは参照電圧を示すアナログ信号)は、対応する第1セルコンIC330aの基準電位(グランド電位)を基準電位として動作するアナログ・デジタルコンバータ373によってデジタル値に変換される。デジタル値に変換された端子間電圧或いは参照電圧はアナログ・デジタルコンバータ373からIC制御回路350に出力される。IC制御回路350は、アナログ・デジタルコンバータ373から出力された端子間電圧及び参照電圧を、データ保持回路351の対応する領域に書き込んで保持(記憶)する。
【0171】
尚、本実施形態では、複数の電池セル201の端子間電圧を、最高電位の電池セル201から最低電位の電池セル201に向かって順番に検出するようにしている。
【0172】
最低電位の第1セルコンIC330aを除く第1セルコンIC330a(検出側の第1セルコンIC330a)において、電位的に一つ下の電位の第1セルコンIC330a(非検出側の第1セルコンIC330a)に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、検出側の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の全ての半導体スイッチング素子及び参照電圧出力回路374の全ての半導体スイッチング素子をオフ、非検出側の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部の半導体スイッチング素子をオンとする。この状態において、非検出側の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部によって、非検出側の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のいずれか一つの正極及び負極に対応する二つの端子を選択し、この選択した二つの端子から入力された電圧を、非検出側の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部、非検出側の第1セルコンIC330aの電圧出力端子336、電圧伝達回路337、検出側の第1セルコンIC330aの電圧入力端子335、検出側の第1セルコンIC330aの第1及び第2経路を介して、検出側の第1セルコンIC330aの差動増幅器372に出力する。例えば非検出側の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の最高電位の電池セル201の端子間電圧を検出する場合には、非検出側の第1セルコンIC330aの電圧検出用端子333に対応する電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子と、最高電位の電池セル201の負極側に対応した非検出側の第1セルコンIC330aの電圧検出用端子331に対応する電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子の他方側(第2経路に対応する半導体スイッチング素子)とをオンとし、その他の電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子はオフとする。
【0173】
検出側の第1セルコンIC330aにおいて、非検出側の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374の参照電圧を検出する場合には、非検出側の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部の全ての半導体スイッチング素子をオフ、非検出側の第1セルコンIC330aの参照電圧出力回路374の全ての半導体スイッチング素子をオンとし、非検出側の第1セルコンIC330aの参照電圧出力回路374から、非検出側の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部、非検出側の第1セルコンIC330aの電圧出力端子336、電圧伝達回路337、検出側の第1セルコンIC330aの電圧入力端子335、検出側の第1セルコンIC330aの第1及び第2経路を介して、検出側の第1セルコンIC330aの差動増幅器372に出力する。差動増幅器372、アナログ・デジタルコンバータ373及びIC制御回路350の動作は前述と同じである。
【0174】
第2セルコンIC330bにおいて、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、第2セルコンIC330bのマルチプレクサ371の全ての半導体スイッチング素子及び参照電圧出力回路374の全ての半導体スイッチング素子をオフ、最高電位の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部の半導体スイッチング素子をオンとする。この状態において、最高電位の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部によって、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の複数の電池セル201のいずれか一つの正極及び負極に対応する二つの端子を選択し、この選択した二つの端子から入力された電圧を、最高電位の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部、最高電位の第1セルコンIC330aの電圧出力端子336、電圧伝達回路337、第2セルコンIC330bの電圧入力端子335、第2セルコンIC330bの第1及び第2経路を介して、第2セルコンIC330bの差動増幅器372に出力する。例えば最高電位の第1セルコンIC330aに対応する単電池群の最高電位の電池セル201の端子間電圧を検出する場合には、最高電位の第1セルコンIC330aの電圧検出用端子333に対応する電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子と、最高電位の電池セル201の負極側に対応した最高電位の第1セルコンIC330aの電圧検出用端子331に対応する電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子の他方側(第2経路に対応する半導体スイッチング素子)とをオンとし、その他の電圧検出スイッチ部の半導体スイッチング素子はオフとする。
【0175】
第2セルコンIC330bにおいて、最高電位の第1セルコンIC330aに対応する参照電圧出力回路374の参照電圧を検出する場合には、最高電位の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧検出スイッチ部の全ての半導体スイッチング素子をオフ、最高電位の第1セルコンIC330aの参照電圧出力回路374の全ての半導体スイッチング素子をオンとし、最高電位の第1セルコンIC330aの参照電圧出力回路374から、最高電位の第1セルコンIC330aのマルチプレクサ371の電圧伝達スイッチ部、最高電位の第1セルコンIC330aの電圧出力端子336、電圧伝達回路337、第2セルコンIC330aの電圧入力端子335、第2セルコンIC330aの第1及び第2経路を介して、第2セルコンIC330aの差動増幅器372に出力する。差動増幅器372、アナログ・デジタルコンバータ373及びIC制御回路350の動作は前述と同じである。
【0176】
《電圧検出動作》
次に、図7を用いて、前述した電圧検出系の二重化による第1及び第2セルコンIC330a,330bの動作タイミングについて説明する。
【0177】
図7は、図4乃至図6に示す第1及び第2セルコンIC330a,330bのうち、最低電位の第1セルコンIC330aをIC4、中間電位の第1セルコンIC330aをIC3、最高電位の第1セルコンIC330aをIC2、及び第2セルコンIC330bをIC1として、そのIC1乃至IC4を用いてセル制御装置300を構成したときのIC1乃至IC4のそれぞれの電圧検出動作タイミングを示す。
【0178】
本実施形態では、IC1乃至IC4のそれぞれがほぼ同時に起動し、初めに、IC1がIC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、IC2がIC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、IC3がIC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、IC4がIC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を、それぞれ検出するように設定された場合を例に挙げて説明する。このような設定の場合、IC1乃至IC3のそれぞれの電圧検出周期を初期から同じ一定の周期として、電圧検出を繰り返すことができるので、電圧検出の同期が取り易くなる。
【0179】
また、IC4は、他のICに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出することがないので、その電圧検出周期がIC1乃至IC3の電圧検出周期よりも小さい一定の周期となる。
【0180】
IC1乃至IC4のそれぞれにおいて、どの単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出するかは、上記設定に限らず、例えば初めに、IC2乃至IC4では、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出し、IC1では、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出或いは電圧検出を休むように設定するようにしてもよい。このような設定の場合、IC1乃至IC3の電圧検出周期は初期の段階では大きくなるが、電圧検出を繰り返すにつれて、初期の周期から、これよりも小さい一定の周期に向かって小さくなるように変化し、最終的には一定の周期に収束する。
【0181】
また、IC4の電圧検出周期は上記設定の場合と変わらず、IC1乃至IC3の電圧検出周期よりも小さい一定の周期となる。
【0182】
《IC4の電圧検出動作》
IC4は、他のICに対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出することがないので、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する動作を一定の周期で繰り返す。
【0183】
(マルチプレクサの動作)
IC4のマルチプレクサ371は、次のステップにしたがって動作する。
【0184】
尚、三桁のステップ番号のうち、三桁目(百の位)の数値はICの番号を、二桁目(十の位)の数値は、ICに対応して設けられた単電池群の複数の電池セルのそれぞれの端子間電圧を検出するモード(自系の電圧検出モード)であれば1を、他のICに対応して設けられた単電池群の複数の電池セルのそれぞれの端子間電圧を検出するモード(他系の電圧検出モード)であれば2を、一桁目(一の位)の数値は順番を、それぞれ示す。
【0185】
(ステップ411)
IC4の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0186】
この時、IC4の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオンになる。参照電圧を検出する他のステップにおいても、本ステップと同様に、IC4の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオンになる。
【0187】
(ステップ412)
IC4に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#4)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は、IC4に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#4)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0188】
この場合、IC4の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオフになる。IC4に対応する単電池群の電池セル201の端子間電圧を検出する他のステップにおいても、本ステップと同様に、IC4の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオフになる。
【0189】
(ステップ413)
IC4の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0190】
(ステップ414)
IC4に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#3)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は、IC4に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#3)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0191】
(ステップ415)
IC4の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0192】
(ステップ416)
IC4に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#2)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は、IC4に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#2)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0193】
(ステップ417)
IC4の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0194】
(ステップ418)
IC4に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#1)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は、IC4に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#1)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0195】
(ステップ419)
IC4の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC4の差動増幅器372に入力されるように、IC4のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0196】
(アナログ・デジタルコンバータの動作)
IC4のマルチプレクサ371の選択動作に伴って、IC4のアナログ・デジタルコンバータ373(ADC)は、次のステップにしたがって動作する。
【0197】
(ステップ411)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0198】
(ステップ412)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#4)の端子間電圧を検出する。
【0199】
(ステップ413)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0200】
(ステップ414)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#3)の端子間電圧を検出する。
【0201】
(ステップ415)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0202】
(ステップ416)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#2)の端子間電圧を検出する。
【0203】
(ステップ417)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0204】
(ステップ418)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#1)の端子間電圧を検出する。
【0205】
(ステップ419)
IC4のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0206】
このように、IC4では、ステップ411〜ステップ419の動作を一周期として、その動作を周期的に繰り返す。
【0207】
検出されたIC4に対応する単電池群の複数の電池セル201(#4〜#1)のそれぞれの端子間電圧及びIC4に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧はIC4のIC制御回路350に出力され、IC4のデータ保持回路351に書き込まれる。IC4のデータ保持回路351には、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201(#4〜#1)のそれぞれの端子間電圧及びIC4に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧に対応するデータ領域が設定されており、IC4のアナログ・デジタルコンバータ373から出力された端子間電圧及び参照電圧は、対応するデータ領域に、IC4の電圧検出動作周期に同期して書き込まれる。この書き込みは、古い過去のデータに新しいデータが上書きされるようになっている。
【0208】
《IC3の電圧検出動作》
次に、IC3は、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する動作と、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する動作とを交互に繰り返す。
【0209】
ここで、IC3が、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、IC4では、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出している。すなわちIC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧はIC4,IC3によって同時に検出されている。
【0210】
(他系の電圧検出)
まず、IC3は、IC4が、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出しているので、これに同期して、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0211】
(マルチプレクサの動作)
IC3のマルチプレクサ371は、次のステップにしたがって動作する。
【0212】
(ステップ321)
IC4のマルチプレクサ371によって選択された、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201(セル#4〜#1)のそれぞれの正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)と、IC4の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(他系参照電圧)とがIC3の差動増幅器272に交互に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371の全ての半導体スイッチング素子をオフにする。
【0213】
この場合、IC4のマルチプレクサ371は、電圧伝達スイッチ部の半導体スイッチング素子をオンにする。これにより、IC4のマルチプレクサ371は、選択した電圧をIC4の差動増幅器372とIC3の差動増幅器372に出力することができる。
【0214】
(アナログ・デジタルコンバータの動作)
IC4のマルチプレクサ371の選択動作に伴って、IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、次のステップにしたがって動作する。
【0215】
(ステップ321)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0216】
(ステップ322)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#4)の端子間電圧を検出する。
【0217】
(ステップ323)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0218】
(ステップ324)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#3)の端子間電圧を検出する。
【0219】
(ステップ325)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0220】
(ステップ326)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#2)の端子間電圧を検出する。
【0221】
(ステップ327)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0222】
(ステップ328)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4のマルチプレクサ371から出力された、IC4に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#1)の端子間電圧を検出する。
【0223】
(ステップ329)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC4の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0224】
(自系の電圧検出)
この後、IC3は、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0225】
(マルチプレクサの動作)
IC3のマルチプレクサ371は、次のステップにしたがって動作する。
【0226】
(ステップ311)
IC3の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0227】
この時、IC3の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオンになる。参照電圧を検出する他のステップにおいても、本ステップと同様に、IC3の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオンになる。
【0228】
(ステップ312)
IC3に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#8)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は、IC3に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#8)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0229】
この場合、IC3の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオフになる。IC3に対応する単電池群の電池セル201の端子間電圧を検出する他のステップにおいても、本ステップと同様に、IC3の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオフになる。
【0230】
(ステップ313)
IC3の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0231】
(ステップ314)
IC3に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#7)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は、IC3に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#7)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0232】
(ステップ315)
IC3の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0233】
(ステップ316)
IC3に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#6)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は、IC3に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#6)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0234】
(ステップ317)
IC3の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0235】
(ステップ318)
IC3に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#5)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は、IC3に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#5)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0236】
(ステップ319)
IC3の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC3のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0237】
(アナログ・デジタルコンバータの動作)
IC3のマルチプレクサ371の選択動作に伴って、IC3のアナログ・デジタルコンバータ373(ADC)は、次のステップにしたがって動作する。
【0238】
(ステップ311)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0239】
(ステップ312)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#8)の端子間電圧を検出する。
【0240】
(ステップ313)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0241】
(ステップ314)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#7)の端子間電圧を検出する。
【0242】
(ステップ315)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0243】
(ステップ316)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#6)の端子間電圧を検出する。
【0244】
(ステップ317)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0245】
(ステップ318)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#5)の端子間電圧を検出する。
【0246】
(ステップ319)
IC3のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0247】
このように、IC3では、ステップ321〜ステップ329とステップ311〜ステップ319とを交互に、ステップ321〜ステップ329、ステップ311〜ステップ319の動作を一周期として、その動作を周期的に繰り返す。
【0248】
検出されたIC4に対応する単電池群の複数の電池セル201(#4〜#1)のそれぞれの端子間電圧、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧、IC4に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧及びIC3に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧はIC3のIC制御回路350に出力され、IC3のデータ保持回路351に書き込まれる。IC3のデータ保持回路351には、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201(#4〜#1)のそれぞれの端子間電圧、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧、IC4に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧及びIC3に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧に対応してデータ領域が設定されており、IC3のアナログ・デジタルコンバータ373から出力された端子間電圧及び参照電圧は、対応するデータ領域に、IC3の電圧検出動作周期に同期して書き込まれる。
【0249】
《IC2の電圧検出動作》
次に、IC2は、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する動作と、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する動作と、を交互に繰り返す。
【0250】
ここで、IC2が、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、IC3では、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出している。すなわちIC3に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧はIC3,IC2によって同時に検出されている。
【0251】
(自系の電圧検出)
まず、IC2は、IC3が、IC4に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出しており、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出することができないので、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0252】
(マルチプレクサの動作)
IC2のマルチプレクサ371は、次のステップにしたがって動作する。
【0253】
(ステップ211)
IC2の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0254】
この時、IC2の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオンになる。参照電圧を検出する他のステップにおいても、本ステップと同様に、IC2の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオンになる。
【0255】
(ステップ212)
IC2に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#12)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は、IC2に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#12)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0256】
この場合、IC2の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオフになる。IC2に対応する単電池群の電池セル201の端子間電圧を検出する他のステップにおいても、本ステップと同様に、IC2の参照電圧出力回路374の半導体スイッチング素子はオフになる。
【0257】
(ステップ213)
IC2の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0258】
(ステップ214)
IC2に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#11)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は、IC2に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#11)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0259】
(ステップ215)
IC2の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0260】
(ステップ216)
IC2に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#10)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC3の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は、IC2に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#10)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0261】
(ステップ217)
IC2の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0262】
(ステップ218)
IC2に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#9)の正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は、IC2に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#9)に対応する半導体スイッチング素子をオン、その他の半導体スイッチング素子をオフする。
【0263】
(ステップ219)
IC2の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC2の差動増幅器372に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371は全ての半導体スイッチング素子をオフする。
【0264】
(アナログ・デジタルコンバータの動作)
IC2のマルチプレクサ371の選択動作に伴って、IC2のアナログ・デジタルコンバータ373(ADC)は、次のステップにしたがって動作する。
【0265】
(ステップ211)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0266】
(ステップ212)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#12)の端子間電圧を検出する。
【0267】
(ステップ213)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0268】
(ステップ214)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#11)の端子間電圧を検出する。
【0269】
(ステップ215)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0270】
(ステップ216)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#10)の端子間電圧を検出する。
【0271】
(ステップ217)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0272】
(ステップ218)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#9)の端子間電圧を検出する。
【0273】
(ステップ219)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する。
【0274】
(他系の電圧検出)
この後、IC2は、IC3が、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧を検出しているので、これに同期して、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0275】
(マルチプレクサの動作)
IC2のマルチプレクサ371は、次のステップにしたがって動作する。
【0276】
(ステップ221)
IC3のマルチプレクサ371によって選択された、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(セル#8〜#5)のそれぞれの正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)と、IC3の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(他系参照電圧)とがIC2の差動増幅器272に交互に入力されるように、IC2のマルチプレクサ371の全ての半導体スイッチング素子をオフにする。
【0277】
この場合、IC3のマルチプレクサ371は、電圧伝達スイッチ部の半導体スイッチング素子をオンにする。これにより、IC3のマルチプレクサ371は、選択した電圧をIC3の差動増幅器372とIC2の差動増幅器372に出力することができる。
【0278】
(アナログ・デジタルコンバータの動作)
IC3のマルチプレクサ371の選択動作に伴って、IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、次のステップにしたがって動作する。
【0279】
(ステップ221)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0280】
(ステップ222)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#8)の端子間電圧を検出する。
【0281】
(ステップ223)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0282】
(ステップ224)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#7)の端子間電圧を検出する。
【0283】
(ステップ225)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0284】
(ステップ226)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#6)の端子間電圧を検出する。
【0285】
(ステップ227)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0286】
(ステップ228)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3のマルチプレクサ371から出力された、IC3に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#5)の端子間電圧を検出する。
【0287】
(ステップ229)
IC2のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC3の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0288】
このように、IC2では、ステップ211〜ステップ219とステップ221〜ステップ429とを交互に、ステップ211〜ステップ219、ステップ221〜ステップ229の動作を一周期として、その動作を周期的に繰り返す。
【0289】
検出されたIC2に対応する単電池群の複数の電池セル201(#12〜#9)のそれぞれの端子間電圧、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧、IC2に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧及びIC3に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧はIC2のIC制御回路350に出力され、IC2のデータ保持回路351に書き込まれる。IC2のデータ保持回路351には、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201(#12〜#8)のそれぞれの端子間電圧、IC3に対応する単電池群の複数の電池セル201(#8〜#5)のそれぞれの端子間電圧、IC2に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧及びIC3に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧に対応してデータ領域が設定されており、IC2のアナログ・デジタルコンバータ373から出力された端子間電圧及び参照電圧は、対応するデータ領域に、IC2の電圧検出動作周期に同期して書き込まれる。
【0290】
《IC1の電圧検出動作》
次に、IC1は、IC1に対応する単電池群がないので、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する動作を一定の周期で繰り返す。
【0291】
ここで、IC1が、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する場合には、IC2では、対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出している。すなわちIC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧はIC2,IC1によって同時に検出されている。
【0292】
(他系の電圧検出)
まず、IC1は、IC2が、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出しているので、これに同期して、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0293】
(マルチプレクサの動作)
IC1のマルチプレクサ371は、次のステップにしたがって動作する。
【0294】
(ステップ121)
IC2のマルチプレクサ371によって選択された、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201(セル#12〜#9)のそれぞれの正極側電圧(電位)及び負極側電圧(電位)と、IC2の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(他系参照電圧)とがIC1の差動増幅器272に交互に入力されるように、IC1のマルチプレクサ371の全ての半導体スイッチング素子をオフにする。
【0295】
この場合、IC2のマルチプレクサ371は、電圧伝達スイッチ部の半導体スイッチング素子をオンにする。これにより、IC2のマルチプレクサ371は、選択した電圧をIC2の差動増幅器372とIC1の差動増幅器372に出力することができる。
【0296】
(アナログ・デジタルコンバータの動作)
IC2のマルチプレクサ371の選択動作に伴って、IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、次のステップにしたがって動作する。
【0297】
(ステップ121)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0298】
(ステップ122)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の最高電位の電池セル201(セル#12)の端子間電圧を検出する。
【0299】
(ステップ123)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0300】
(ステップ124)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の二番目に電位が高い電池セル201(セル#11)の端子間電圧を検出する。
【0301】
(ステップ125)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0302】
(ステップ126)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の三番目に電位が高い電池セル201(セル#10)の端子間電圧を検出する。
【0303】
(ステップ127)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0304】
(ステップ128)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2のマルチプレクサ371から出力された、IC2に対応する単電池群の最低電位の電池セル201(セル#9)の端子間電圧を検出する。
【0305】
(ステップ129)
IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC2の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(他系参照電圧)を検出する。
【0306】
(自系の電圧検出)
この後、IC1は、IC1に対応する単電池群の複数の電池セルのそれぞれの端子間電圧を検出しようとする。このため、IC1のマルチプレクサ371は、IC1の参照電圧出力回路374から出力された基準電位(電圧)及び参照電圧(自系参照電圧)がIC1の差動増幅器372に入力されるように、全ての半導体スイッチング素子をオフ(ステップ111)、IC1の参照電圧出力回路374は半導体スイッチング素子をオンとする。これにより、IC1のアナログ・デジタルコンバータ373は、IC1の参照電圧出力回路374から出力された参照電圧(自系参照電圧)を検出する(ステップ111)。
【0307】
しかし、IC1には単電池群が電気的に接続されていない。このため、IC1は、電圧検出動作を他系の電圧検出動作に切り替える。すなわちステップ121のように、IC1は、マルチプレクサ371を動作させる。この後、IC1は、IC2の、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧の検出開始を待ち、IC2が、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出し始めたら、これに同期して、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201のそれぞれの端子間電圧を検出する。
【0308】
このように、IC1では、ステップ121〜ステップ129とステップ111とを交互に、ステップ121〜ステップ129、ステップ111の動作を一周期として、その動作を周期的に繰り返す。
【0309】
検出されたIC2に対応する単電池群の複数の電池セル201(#12〜#9)のそれぞれの端子間電圧、IC2に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧及びIC1に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧はIC1のIC制御回路350に出力され、IC1のデータ保持回路351に書き込まれる。IC1のデータ保持回路351には、IC2に対応する単電池群の複数の電池セル201(#12〜#9)のそれぞれの端子間電圧、IC2に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧及びIC1に対応する参照電圧出力回路374の参照電圧に対応してデータ領域が設定されており、IC1のアナログ・デジタルコンバータ373から出力された端子間電圧及び参照電圧は、対応するデータ領域に、IC1の電圧検出動作周期に同期して書き込まれる。
【0310】
《電圧検出動作に基づく他の回路の動作》
IC1〜IC4のデータ保持回路351のそれぞれに格納された複数の電池セル201の端子間電圧及び参照電圧は、マイクロコントローラ410から送信された指令信号に基づいて読み出され、IC1〜IC4のそれぞれからマイクロコントローラ410に送信される。
【0311】
マイクロコントローラ410は、電池セル201(#1〜#12)の電圧読出周期(IC1〜IC4の電圧検出周期よりも長い周期)に基づいて、電池セル201(#1〜#12)の端子間電圧及びIC1〜ICの参照電圧の読み出しに関する指令信号を、通信回路307を介して、IC1〜IC4の信号伝送回路390のそれぞれに同時並行的(パラレル)に送信する。
【0312】
IC1〜IC4の信号伝送回路390のそれぞれにおいて、マイクロコントローラ410から送信された指令信号を受信すると、IC1〜IC4のIC制御回路350のそれぞれは、マイクロコントローラ410から送信された指令信号に基づいて、対応するデータ保持回路351から、指令信号を受信した時点での、対応するデータ保持回路351に格納されている最新の複数の電池セル201の端子間電圧及び参照電圧のデータを読み出し、この読み出したデータを、対応する信号伝送回路390に出力する。IC1〜IC4の信号伝送回路390のそれぞれは、対応する複数の電池セル201の端子間電圧のデータに関する信号を、通信回路307を介して、マイクロコントローラ410に送信する。
【0313】
マイクロコントローラ410は、IC1〜IC4の信号伝送回路390のそれぞれから送信された、IC1〜IC4のそれぞれにおいて検出された複数の電池セル201の端子間電圧及びIC1〜IC4の参照電圧に関するデータ信号を受信すると、複数の電池セル201(#1〜#12)のそれぞれの端子間電圧に基づいて、複数の電池セル201(#1〜#12)のそれぞれの充電状態(SOC)を、例えば端子間電圧と充電状態との関係を示すテーブル(マップ)から求める。
【0314】
また、マイクロコントローラ410は、求めた複数の電池セル201(#1〜#12)のそれぞれの充電状態(SOC)と電池パック140の温度に基づいて、電池セル201の内部抵抗を求め、この求めた電池セル201の内部抵抗の変化率を求め、この求めた変化率から、複数の電池セル201(#1〜#12)のそれぞれの劣化状態(SOH)を求める。
【0315】
さらに、マイクロコントローラ410は、求めた複数の電池セル201(#1〜#12)のそれぞれの充電状態(SOC)に基づいて、複数の電池セル201(#1〜#12)のそれぞれについて、充電状態の調整の要否を判断し、充電状態の調整が必要な電池セル201がある場合には、その電池セル201の充電状態調整時間(放電抵抗による放電時間)を求め、この求めた時間を指令値として、充電状態の調整が必要な電池セル201に対応するIC(第1セルコンIC330a)の信号伝送回路390にその指令値に関する信号を、通信回路307を介して送信する。
【0316】
さらにまた、マイクロコントローラ410は、二つのICによって検出された同一の電池セル201の端子間電圧の比較、二つのICによって検出された同一の参照出力電圧回路374の参照電圧の比較、検出側のICによって検出された非検出側のICの参照出力電圧回路374の参照電圧と既知の電圧値との比較に基づいて、IC1〜IC4のそれぞれの電圧検出系に異常があるか否かを診断し、電圧検出系に異常がある場合には、統合制御装置600に通知する。
【0317】
統合制御装置600は、異常を検出した電池パック140を含む電池ユニットを系から電気的に切り離したりする。
【0318】
IC1〜IC4の診断回路360のそれぞれは、対応するデータ保持回路351に格納された複数の電池セル201の端子間電圧のそれぞれと、予め設定された過充放電の閾値との比較に基づいて、電池セル201に過充放電の異常があるか否かを診断する。この診断の結果、過充放電の異常がある場合には、IC1〜IC4の診断回路360のそれぞれは、異常を示す診断フラグ信号を、対応するIC制御回路350に出力する。
【0319】
IC1〜IC4のIC制御回路350のそれぞれは、対応する診断回路360から、異常を示す診断フラグ信号が出力された場合には、その異常を示す診断フラグを保持する。
【0320】
マイクロコントローラ410から異常診断結果の読み出しに関する指令信号が通信回路307を介してIC1〜IC4のそれぞれに出力され、IC1〜IC4の信号伝送回路390のそれぞれにおいて、その指令信号を受信すると、IC1〜IC4のIC制御回路350のそれぞれは、マイクロコントローラ410から送信された指令信号に基づいて、異常を示す診断フラグを読み出し、この読み出した診断フラグを、対応する信号伝送回路390に出力する。IC1〜IC4の信号伝送回路390のそれぞれは、対応する診断フラグに関する信号を、通信回路307を介して、マイクロコントローラ410に送信する。
【0321】
また、IC1〜IC4のIC制御回路350のそれぞれは、過充放電の異常がある場合には、マイクロコントローラ410から送信される異常診断結果の読み出しに関する指令信号を待たずに、異常を示す診断フラグに関する信号(例えば1ビットで構成された1パルス(High,Lowのみを示す)信号)を、対応する信号伝送回路390から、通信回路307を介して、マイクロコントローラ410に送信する。このようにすれば、IC1〜IC4のそれぞれは、マイクロコントローラ410に異常を速やかに通知することができる。これにより、マイクロコントローラ410は統合制御装置600に異常を速やかに通知することができると共に、通知を受けた統合制御装置600は、異常を検出した電池パック140を含む電池ユニットを系から電気的に切り離したりする処置を速やかに講じることができる。
【0322】
尚、電池セル201(#1〜#12)の端子間電圧の読み出しに関する指令信号と、異常診断結果の読み出しに関する指令信号は、マイクロコントローラ410から一つの指令信号として同時に送信してもよいし、別々に送信してもよい。
【0323】
以上説明した本実施形態によれば、複数の単電池群のそれぞれの複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を二つのセルコンICによって検出しているので、セル制御装置300の電圧検出系の二重化による冗長化を図ることができる。しかも、それは、電位的に隣接する第1セルコンIC330aの間及び追加した第2セルコンIC330bとの間において、同じ単電池群を構成する複数の電池セル201のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を二重に検出することにより実現できるので、セル制御装置300の電圧検出系の二重化による冗長化に合わせてセルコンIC330の個数や、電圧検出線250の本数を単純に倍増させる必要がなく、必要最小限の部品点数の増加に留めることができ、さらには、電圧検出線250の複雑化、それらに伴う組立コストの増大を抑えることができる。
【0324】
従って、本実施形態によれば、セル制御装置300の電圧検出系の二重化による冗長化を図った信頼性の高いセル制御装置300を低コストで提供することができる。
【0325】
《電圧検出系の異常診断》
次に、図8,図9を用いて、電圧検出結果に基づく、バッテリ制御装置410(マイクロコントローラ410)による電圧検出系の異常診断の具体例について説明する。
【0326】
マイクロコントローラ410では、二つのセルコンICから、同一の電池セル201の端子間電圧及び同一の参照出力電圧回路374の参照電圧を入力している。このため、マイクロコントローラ410では、同一の電池セル201の二つの端子間電圧の比較、同一の参照出力電圧回路374の二つの参照電圧の比較、検出側ICで検出した非検出側ICの参照出力電圧回路374の参照電圧と既知の電圧値との比較などにより、電圧検出系に異常があるか否かを診断している。
【0327】
ここで、電圧検出系とは、電池セル201からセルコンICまでに至る経路(抵抗312及びコンデンサ311から構成されたフィルタ回路、電圧検出線250)、電圧検出回路370、IC制御回路350、信号伝送回路390、電圧伝達回路337を示す。
【0328】
例えば同一の電池セル201の二つの端子間電圧の比較の結果、両者の電圧差が、検出誤差などを考慮して設定した所定の電圧差の範囲に無い場合、同一の参照出力電圧回路374の二つの参照電圧の比較の結果、両者の電圧差が、検出誤差などを考慮して設定した所定の電圧差の範囲に無い場合、検出側ICで検出した非検出側ICの参照出力電圧回路374の参照電圧と既知の電圧値の範囲との比較の結果、参照電圧が既知の電圧値の範囲に無い場合には、電圧検出系に異常があると診断することができる。
【0329】
また、図8,図9に示す電圧検出動作をさせることにより、電圧検出系の特定の構成要素に異常がある否かを診断することができる。
【0330】
図8,図9は、マルチプレクサ371の半導体スイッチング素子がオンに固着した時のアナログ・デジタルコンバータ372の出力を示す。このうち、図8は、電位的に連続する二つの電池セル201のうち、低電位側の電池セル201の正極側に対応するマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子がオンに固着した時のアナログ・デジタルコンバータ373の出力を示す。図9は、電位的に連続する二つの電池セル201のうち、高電位側の電池セル201の負極側に対応するマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子がオンに固着した時のアナログ・デジタルコンバータ373の出力を示す。
【0331】
尚、マルチプレクサ371の半導体スイッチング素子の固着にはオフの場合もあるが、オフの固着の場合には、検出された端子間電圧が零になるので、通常の電圧検出動作において検出された端子間電圧が零であるか否かを診断すればよい。
【0332】
マルチプレクサ371の半導体スイッチング素子のオン固着を検出する場合は、電位的に連続(隣接)する二つの電池セル201の総端子間電圧を検出する。この場合、高電位側の電池セル201の正極側に対応するマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子、及び低電位側の電池セル201の負極側に対応するマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子をオンとして、高電位側の電池セル201の正極側の電圧(電位)と低電位側の電池セル201の負極側の電圧(電位)を差動増幅器372に取り込み、それらの差分をとり、その差分を総端子間電圧として増幅してアナログ・デジタルコンバータ373に出力し、その総端子間電圧を検出する。
【0333】
マルチプレクサ371が正常な場合、アナログ・デジタルコンバータ373の出力は、下記(1)式の通り、低電位側の電池セル201の端子間電圧V1と高電位側の電池セル201の端子間電圧V2との合計電圧(V1+V2)になる。
V1+V2 …(1)
【0334】
しかし、図8に示すように、低電位側の電池セル201の正極側に対応するマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子がオンに固着する異常がある場合には、下記(2)式の通り、アナログ・デジタルコンバータ373によって検出される総端子間電圧は、高電位側の電池セル201の正極側に対応する抵抗312と、高電位側の電池セル201の負極側に対応する抵抗312との抵抗比によって、高電位側の電池セル201の端子間電圧V2が正常時に比べて小さくなる。すなわちアナログ・デジタルコンバータ373によって検出される総端子間電圧は、高電位側の電池セル201の負極側に対応する抵抗312による電圧降下分、正常時に比べて小さくなる。
V1+V2(R2/(R1+R2)) …(2)
【0335】
ここで、R1は、高電位側の電池セル201の正極側に対応する抵抗312を、R2は、高電位側の電池セル201の負極側に対応する抵抗312を、それぞれ示す。
【0336】
また、図9に示すように、高電位側の電池セル201の負極側に対応するマルチプレクサ371の半導体スイッチング素子がオンに固着する異常がある場合には、下記(3)式の通り、アナログ・デジタルコンバータ373によって検出される総端子間電圧は、低電位側の電池セル201の正極側に対応する抵抗312と、低電位側の電池セル201の負極側に対応する抵抗312との抵抗比によって、低電位側の電池セル201の端子間電圧V1が正常時に比べて小さくなる。すなわちアナログ・デジタルコンバータ373によって検出される総端子間電圧は、低電位側の電池セル201の正極側に対応する抵抗312による電圧降下分、正常時に比べて小さくなる。
V1(R2/(R2+R3))+V2 …(3)
【0337】
ここで、R2は、低電位側の電池セル201の正極側に対応する抵抗312を、R3は、低電位側の電池セル201の負極側に対応する抵抗312を、それぞれ示す。
【0338】
従って、マイクロコントローラ410或いはセルコンIC330の診断回路360は、電位的に連続(隣接)する二つの電池セル201のぞれぞれの端子間電圧の検出結果を合計した電圧値と、電位的に連続(隣接)する二つの電池セル201の総端子間電圧の検出結果の電圧値とを比較し、電位的に連続(隣接)する二つの電池セル201のぞれぞれの端子間電圧の検出結果を合計した電圧値(電圧検出誤差分を除く)よりも、電位的に連続(隣接)する二つの電池セル201の総端子間電圧の検出結果の電圧値(電圧検出誤差分を除く)が小さい場合には、マルチプレクサ371の半導体スイッチング素子にオンの固着異常があると判断することができる。
【0339】
尚、本実施形態では、マイクロコントローラ410において、電圧検出系の異常を診断する場合を例に挙げて説明したが、電圧検出系の異常診断の一部は、セルコンIC330の診断回路360においても実施することができる。
【0340】
以上説明した本実施形態によれば、二系統の電圧検出結果に基づいて、第1及び第2セルコンIC330a,330bの電圧検出系に異常があるか否かを診断することができるので、セル制御装置300の信頼性をさらに高めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続された複数の蓄電器と、
前記複数の蓄電器のそれぞれから物理量を取り込み、前記複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出するための複数の状態検出回路と、を有し、
前記複数の状態検出回路は、前記複数の蓄電器を、電気的に直列に接続され、それぞれ、複数の蓄電器を有する複数の蓄電器群に分けたとき、前記複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられ、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極に電気的に接続された複数の第1状態検出回路と、第2状態検出回路と、を含んでおり、
電位的に隣接する蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路同士は、伝達回路を介して、電気的に接続されており、
最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路は、伝達回路を介して、前記第2状態検出回路に電気的に接続されており、
前記伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の一方側は、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出すると共に、前記伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の他方側或いは前記第2状態検出回路に、取り込んだ複数の蓄電器のそれぞれの物理量を伝達しており、
前記伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路の他方側及び前記第2状態検出回路は、前記伝達回路を介して伝達された物理量を取り込んで、前記第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電システムにおいて、
前記第1状態検出回路の一方側が、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているとき、前記第1状態検出回路の他方側は、前記第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、前記第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出し、
前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路が、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているとき、前記第2状態検出回路は、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電システムにおいて、
前記第1状態検出回路の一方側が、他の第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、前記他の第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているときには、前記第1状態検出回路の他方側は、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出し、
前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路に対応して設けられた第1状態検出回路が、前記他の第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、前記他の第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているときには、前記第2状態検出回路は、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路が、前記他の第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、前記他の第1状態検出回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出し終えるまで待機する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の第1状態検出回路は、それぞれ、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のうち、最も電位の低い蓄電器の負極側の電位を基準電位として動作しており、
前記第2状態検出回路は、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群が有する複数の蓄電器のうち、最も電位の低い蓄電器の負極側の電位を基準電位として動作しており、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路の基準電位と同電位である、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
さらに、演算処理装置を有し、
前記演算処理装置は、前記複数の第1状態検出回路のそれぞれ及び前記第2状態検出回路から前記複数の蓄電器の状態量を取得し、前記伝達回路を介して電気的に接続された第1状態検出回路のそれぞれから取得した、同一蓄電器に関する状態量を比較し、さらには、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1状態検出回路及び前記第2状態検出回路から取得した、同一蓄電器に関する状態量を比較し、この比較結果に基づいて、前記複数の第1状態検出回路及び前記第2状態検出回路に異常があるか否かを診断する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の第1状態検出回路は、それぞれ、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を選択して出力する選択回路を備えており、
前記複数の第1状態検出回路のそれぞれ或いは前記演算処理装置は、前記複数の第1状態検出回路のそれぞれにおいて検出された、電位的に隣接する蓄電器のそれぞれから前記選択回路を介して取り込んだ物理量に基づく、前記電位的に隣接する蓄電器のそれぞれの状態量の合計状態量と、前記電位的に隣接する蓄電器から前記選択回路を介して取り込んだ、高電位側の蓄電器と低電位側の蓄電器との合計物理量に基づく、前記電位的に隣接する蓄電器の総状態量と、を比較し、この比較結果に基づいて、前記選択回路に異常があるか否かを診断する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の第1状態検出回路のそれぞれ及び前記第2状態検出回路は、前記蓄電器の物理量とは異なる大きさの参照量を出力する参照回路を備えており、
前記第1状態検出回路の一方側は、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの物理量を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているとき、それぞれの状態量を検出する前後に、対応する参照回路から参照量を取り込んで、この取り込んだ参照量を検出し、
前記第1状態検出回路の他方側及び前記第2状態検出回路は、前記伝達回路を介して伝達された物理量を取り込んで、前記第1状態検出回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの状態量を検出しているとき、それぞれの状態量を検出する前後に、前記第1状態検出回路の一方側に対応する参照回路から、前記伝達回路を介して参照量を取り込んで、この取り込んだ参照量を検出する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項8】
電気的に直列に接続され、それぞれ、電気的に直列に接続された複数の蓄電器を有する複数の蓄電器群と、
前記複数の蓄電器群のそれぞれに対応して設けられて、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれに電気的に接続されていると共に、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込み、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出する第1集積回路と、
最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応して設けられていると共に、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込み、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出する第2集積回路と、
電位的に隣接する蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路を電気的に接続し、第1集積回路の一方側から第1集積回路の他方側に、前記第1集積回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を伝達する電圧伝達回路と、
前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路と前記第2集積回路との間を電気的に接続し、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路から前記第2集積回路に、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を伝達する電圧伝達回路と、
演算処理装置と、
前記複数の第1集積回路のそれぞれ及び前記第2集積回路と前記演算処理装置との間に設けられ、前記複数の第1集積回路のそれぞれ及び前記第2集積回路と前記演算処理装置との間において信号を伝送する通信回路と、を有し、
前記第1集積回路の一方側は、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出すると共に、前記電圧伝達回路を介して前記第1集積回路の他方側或いは前記第2集積回路に、取り込んだ複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を伝達しており、
前記第1集積回路の他方側及び前記第2集積回路は、前記電圧伝達回路を介して伝達された複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記第1集積回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しており、
前記複数の第1集積回路及び前記第2集積回路において検出された、前記複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧は、前記通信回路を介して、前記複数の第1集積回路及び前記第2集積回路から前記演算処理装置に信号伝送される、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項9】
請求項8に記載の蓄電システムにおいて、
前記第1集積回路の一方側が、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているとき、前記第1集積回路の他方側は、前記第1集積回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記第1集積回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出し、
前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路が、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているとき、前記第2集積回路は、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項10】
請求項9に記載の蓄電システムにおいて、
前記第1集積回路の一方側が、他の第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記他の第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているときには、前記第1集積回路の他方側は、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込み、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出し、
前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路が、他の第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記他の第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているときには、前記第2集積回路は、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路が、前記他の第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、前記他の第1集積回路に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出し終えるまで待機する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の第1集積回路は、それぞれ、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のうち、最も電位の低い蓄電器の負極側の電位を基準電位として動作しており、
前記第2集積回路は、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群が有する複数の蓄電器のうち、最も電位の低い蓄電器の負極側の電位を基準電位として動作しており、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路の基準電位と同電位である、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記演算処理装置は、前記複数の第1集積回路のそれぞれ及び前記第2集積回路から、前記通信回路を介して、前記複数の蓄電器の端子間電圧を取得し、前記電圧伝達回路を介して電気的に接続された第1集積回路のそれぞれから取得した、同一の蓄電器に関する端子間電圧を比較し、さらには、前記最高電位或いは最低電位の蓄電器群に対応して設けられた第1集積回路と前記第2集積回路とから取得した、同一の蓄電器に関する端子間電圧を比較し、この比較結果に基づいて、前記複数の第1集積回路及び前記第2集積回路に異常があるか否かを診断する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の第1集積回路は、それぞれ、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を選択して出力する選択回路を備えており、
前記複数の第1集積回路のそれぞれ或いは前記演算処理装置は、前記複数の第1集積回路のそれぞれにおいて検出された、電位的に隣接する蓄電器のそれぞれから前記選択回路を介して取り込んだ正極及び負極の電圧に基づく、前記電位的に隣接する蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧の合計端子間電圧と、電位的に隣接する蓄電器から前記選択回路を介して取り込んだ、高電位側の蓄電器の正極の電圧及び低電位側の蓄電器の負極の電圧に基づく、前記電位的に隣接する蓄電器の総端子間電圧と、を比較し、この比較結果に基づいて、前記選択回路に異常があるか否かを診断する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の第1集積回路のそれぞれ及び前記第2集積回路は、前記蓄電器の端子間電圧とは異なる大きさの参照電圧を出力する参照電圧発生回路を備えており、
前記第1集積回路の一方側は、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極及び負極の電圧を取り込んで、対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているとき、それぞれの端子間電圧を検出する前後に、対応する参照電圧発生回路から参照電圧を取り込んで、この取り込んだ参照電圧を検出し、
前記第1集積回路の他方側及び前記第2集積回路は、前記電圧伝達回路を介して伝達された電圧を取り込んで、前記第1集積回路の一方側に対応する蓄電器群が有する複数の蓄電器のそれぞれの正極と負極との間の端子間電圧を検出しているとき、それぞれの端子間電圧を検出する前後に、前記第1集積回路の一方側に対応する参照電圧発生回路から、前記電圧伝達回路を介して参照電圧を取り込んで、この取り込んだ参照電圧を検出する、
ことを特徴とする蓄電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96770(P2013−96770A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238154(P2011−238154)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】