蓄電装置および車両
【課題】 複数の蓄電スタックを上下に並べて配置すると、下段の蓄電スタックの熱が上段の蓄電スタックの一部だけに到達することがある。
【解決手段】 第1方向に並んで配置された複数の蓄電素子(151)を含む第1蓄電スタック(15)と、第1方向とは異なる第2方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含み、第1蓄電スタックの下方に配置された第2蓄電スタック(11〜14)と、冷却媒体を移動させるダクト(51〜54)と、を有する。ダクトは、第1蓄電スタックに沿って配置され、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの間に位置している。
【解決手段】 第1方向に並んで配置された複数の蓄電素子(151)を含む第1蓄電スタック(15)と、第1方向とは異なる第2方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含み、第1蓄電スタックの下方に配置された第2蓄電スタック(11〜14)と、冷却媒体を移動させるダクト(51〜54)と、を有する。ダクトは、第1蓄電スタックに沿って配置され、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの間に位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子で構成された蓄電スタックを複数備えた蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等には、複数の電池スタックが搭載されることがある。電池スタックは、複数の単電池を一方向に並べることによって構成されており、車両の走行に用いられるエネルギを出力する。複数の電池スタックを用いる場合には、複数の電池スタックを同一平面内で並べて配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−019231号公報
【特許文献2】特開2006−100156号公報
【特許文献3】特開2009−181896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電池スタックを用いるときには、複数の電池スタックを上下方向(鉛直方向)に並べて配置することがある。また、上方から見たときに、複数の電池スタックが交差するように配置されることがある。ここで、下段に配置された電池スタックで発生した熱は、上昇することにより、上段に配置された電池スタックに到達することがある。
【0005】
複数の電池スタックが交差するように配置されていると、下段の電池スタックからの熱は、上段の電池スタックの一部だけに到達することになる。すなわち、上段の電池スタックには、下段の電池スタックからの熱の影響を受ける単電池と、下段の電池スタックからの熱の影響を受けない単電池とが含まれている。この場合には、上段の電池スタックの配列方向において、単電池の温度にバラツキが生じてしまう。単電池の温度にバラツキが生じると、単電池の劣化状態にもバラツキが生じてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明である蓄電装置は、第1方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含む第1蓄電スタックと、第1方向とは異なる第2方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含み、第1蓄電スタックの下方に配置された第2蓄電スタックと、冷却媒体を移動させるダクトと、を有する。ダクトは、第1蓄電スタックに沿って配置され、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの間に位置している。
【0007】
複数の第2蓄電スタックを設けることができる。また、複数の第2蓄電スタックは、第1方向に並べて配置することができる。ここで、ダクトは、第2蓄電スタックのそれぞれに接続することができ、第2蓄電スタックに冷却媒体を供給することができる。
【0008】
第2蓄電スタックのそれぞれに接続されたダクトは、冷却媒体の移動経路の上流側において、互いに接続することができる。言い換えれば、ダクトを分岐させて、第2蓄電スタックのそれぞれに接続することができる。これにより、複数のダクトを互いに接続しない場合に比べて、ダクトの構成を簡素化することができる。また、蓄電装置の充放電を制御するために用いられる電子機器を、複数のダクトの下方であって、複数のダクトと対向する位置に配置することができる。さらに、第1方向および第2方向は、互いに直交する方向とすることができる。
【0009】
また、導電性を有する材料で支持部材を形成し、ワイヤーハーネスのシールド線を支持部材に接続することができる。これにより、支持部材や補強フレームに対して、シールド線の機能を持たせることができ、シールド線を接地させることができる。また、支持部材や補強フレームを用いることにより、シールド線を短くすることができる。ワイヤーハーネスは、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの充放電に用いられる。
【0010】
本発明の蓄電装置は、車両に搭載することができる。ここで、蓄電装置の電力をモータ・ジェネレータに供給することにより、車両を走行させるための運動エネルギを生成することができる。また、モータ・ジェネレータは、車両の回生時に発生した運動エネルギを電気エネルギに変換することができ、この電気エネルギは、蓄電装置に蓄えておくことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの間に、ダクトが配置されているため、第2蓄電スタックで発生した熱が第1蓄電スタックに到達するのを阻止することができる。これにより、第2蓄電スタックの熱により、第1蓄電スタックが部分的に温められるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電池パックを備えた車両の側面図である。
【図2】電池パックの外観図である。
【図3】電池パックおよびフロアパネルを車両の前方から見たときの概略図である。
【図4】電池パックの分解図である。
【図5】ロアーケースの分解図である。
【図6】電池スタックの分解図である。
【図7】電池スタックの固定構造を示す外観図である。
【図8】電池パックの内部構造を説明する外観図である。
【図9】電池パックの内部構造を説明する外観図である。
【図10】吸気ダクトおよび分岐ダクトの上面図である。
【図11】吸気ダクトおよび分岐ダクトの側面図である。
【図12】電池パックの内部構造を説明する外観図である。
【図13】上段に配置される電池スタックの断面図である。
【図14】電池パックの回路構成を示す図である。
【図15】電池スタック内の単電池を並列接続する構造を示す概略図である。
【図16】並列接続される単電池を含む電池スタックの一部を示す上面図である。
【図17】並列接続に用いられるバスバーおよびワイヤーハーネスの接続構造を示す図である。
【図18】電池パックの内部構造を示す側面図である。
【図19】電池スタックにおける空気の移動経路を説明する図である。
【図20】電池スタックにおける空気の移動経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置に相当する)について説明する。まず、本実施例の電池パックを備えた車両について、図1を用いて説明する。図1は、車両の側面図であり、電池パックと、電池パックの温度を調節する機構とを主に示している。図1に示す矢印UPは、車両の上方向を示し、矢印FRは、車両の前進方向を示す。
【0015】
本実施例の車両100は、フロアパネル101を有しており、フロアパネル101の下面には、電池パック1が取り付けられている。フロアパネル101の上面は、車室の一部を形成しているため、電池パック1は、車室の外に配置される。車室とは、乗員が乗車するスペースである。フロアパネル101は、車両100のボディの一部である。
【0016】
電池パック1が搭載される車両100としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両100を走行させる動力源として、電池パック1の他に、内燃機関又は燃料電池を備えた車両である。電気自動車は、車両100の動力源として、電池パック1だけを備えた車両である。
【0017】
電池パック1は、モータ・ジェネレータ(図示せず)に接続されており、モータ・ジェネレータは、電池パック1の出力を受けて、車両100を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータの回転力は、動力伝達機構を介して、車輪に伝達される。
【0018】
電池パック1およびモータ・ジェネレータの間に、昇圧回路やインバータを配置することができる。昇圧回路を配置すれば、電池パック1の出力電圧を昇圧することができる。インバータを用いれば、電池パック1から出力された直流電力を交流電力に変換でき、モータ・ジェネレータとして、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータは、車両100の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換し、電池パック1に出力する。電池パック1は、モータ・ジェネレータからの電力を蓄える。
【0019】
電池パック1には、吸気ダクト102が接続されており、吸気ダクト102は、電池パック1よりも車両100の前方に配置されている。吸気ダクト102の一端には、吸気口102aが設けられており、吸気口102aから空気が取り込まれる。吸気ダクト102の他端102bは、電池パック1に接続されている。
【0020】
ブロワ103は、吸気ダクト102に設けられており、ブロワ103を駆動することにより、吸気ダクト102の吸気口102aから電池パック1に向けて空気が移動する。本実施例では、ブロワ103を吸気ダクト102に設けているが、これに限るものではない。吸気ダクト102の吸気口102aから電池パック1に向けて空気が流れればよく、例えば、後述する排気ダクト106にブロワ103を設けることもできる。
【0021】
エアクリーナ104は、吸気ダクト102に設けられており、吸気ダクト102の吸気口102aから取り込まれた空気を浄化する。具体的には、エアクリーナ104は、フィルタを用いて、空気に含まれる異物を除去する。ブロワ103およびエアクリーナ104は、ダッシュボード105よりも車両100の前方に設けられたスペースに配置されている。このスペースは、車両100がエンジンを備えた自動車であれば、エンジンルームに相当する。
【0022】
吸気ダクト102から電池パック1に導かれた空気は、電池パック1の内部を通過した後に、排気ダクト106に進入する。電池パック1の内部を空気が通過することにより、電池パック1の温度を調節することができる。例えば、空気が電池パック1の熱を奪うことにより、電池パック1を冷却することができる。電池パック1の内部における空気の流れについては、後述する。
【0023】
排気ダクト106の一端106aは、電池パック1に接続されている。排気ダクト106の他端には、排気口106bが形成されている。排気ダクト106の他端側は、リアバンパケース107の内側に配置されている。排気口106bから排出された空気は、リアバンパケース107の内側に形成されたスペースに移動する。
【0024】
次に、電池パック1の構成について説明する。図2は、電池パック1の外観図である。図3は、電池パック1およびフロアパネル101を車両100の前方から見たときの概略図である。図4は、電池パック1の分解図である。図2に示す矢印RHは、車両100の前進方向FRを向いたときの右方向を示し、図4に示す矢印LHは、車両100の前進方向FRを向いたときの左方向を示す。
【0025】
電池パック1は、5つの電池スタック(蓄電スタックに相当する)11〜15と、電池スタック11〜15を収容するパックケース20とを有する。パックケース20の外縁には、複数の締結部20aが設けられており、締結部20aは、電池パック1をフロアパネル101に固定するために用いられる。
【0026】
パックケース20の上面には、突起部20bが形成されている。突起部20bは、上方に向かって突出しているとともに、車両100の前後方向に延びている。図3に示すように、パックケース20の上面は、フロアパネル101に沿って配置される。フロアパネル101は、センタートンネル101aを有している。
【0027】
センタートンネル101aは、上方に向かって突出しているとともに、車両100の前後方向に延びている。センタートンネル101aは、車両100の左右方向において、運転席および助手席の間に設けられている。センタートンネル101aの内側には、パックケース20の突起部20bが位置している。パックケース20の上面には、開口部20cが形成されており、開口部20cは、後述する電流遮断器を通すために設けられている。
【0028】
図4に示すように、電池パック1は、5つの電池スタック11〜15を有しており、電池スタック11〜15は、アッパーケース21およびロアーケース22によって覆われている。アッパーケース21は、複数のボルト23によって、ロアーケース22に固定される。アッパーケース21は、例えば、ガラス繊維を含む樹脂を用いて形成することができる。
【0029】
電池スタック11〜14は、車両100の左右方向に延びており、4つの電池スタック11〜14は、車両100の前後方向に並んでいる。4つの電池スタック11〜14(第2蓄電スタックに相当する)の上方には、電池スタック(第1蓄電スタックに相当する)15が配置されており、電池スタック15は、車両100の前後方向に延びている。電池スタック15は、パックケース20の突起部20bに対応した位置に配置される。すなわち、電池スタック15は、センタートンネル101aの内側に位置している。
【0030】
ロアーケース22は、図5に示すように、ロアキャリア221およびフレーム(補強フレームに相当する)222を有する。電池スタック11〜15は、ロアキャリア221に固定される。ロアキャリア221は、複数のボルト24によってフレーム222に固定される。ロアキャリア221は、例えば、ガラス繊維を含む樹脂を用いて形成することができる。フレーム222は、鉄といった金属を用いて形成することができる。フレーム222は、ロアーケース22の強度を確保するために用いられ、車両100の左右方向に延びるリンフォースメント222a,222bを有する。フレーム222は、フロアパネル101に固定される。
【0031】
次に、各電池スタック11〜15の構成について説明する。図6は、電池スタック11の分解図である。電池スタック11は、一方向に並んで配置された複数の単電池(蓄電素子に相当する)111を有する。単電池111としては、いわゆる角型の単電池を用いている。本実施例では、各電池スタック11〜15を構成する単電池の数が互いに異なっている。電池スタック11〜15を構成する単電池の数は、適宜設定することができる。本実施例では、ロアーケース22の形状に基づいて、電池スタック11〜15を構成する単電池の数を設定している。また、隣り合う2つの単電池111の間には、仕切り板が配置されている。仕切り板は、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されており、単電池111の表面に空間を形成するために用いられる。
【0032】
単電池111としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。本実施例の電池スタック11〜15では、複数の単電池を一方向に並べているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池を用いて1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを一方向に並べることもできる。
【0033】
単電池111の内部には、発電要素が収容されている。発電要素は、充放電を行うことができる要素である。発電要素は、例えば、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)とで構成することができる。正極素子は、集電板の表面に正極活物質層を形成したものである。負極素子は、集電板の表面に負極活物質層を形成したものである。
【0034】
単電池111の上面には、正極端子111aおよび負極端子111bが設けられている。正極端子111aは、発電要素の正極素子と電気的に接続されている。負極端子111bは、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。隣り合う2つの単電池111は、バスバーによって電気的に接続される。
【0035】
本実施例では、複数のバスバーが一体的に構成されたバスバーモジュール110を用いている。バスバーモジュール110は、電池スタック11の上面に配置される。バスバーモジュール110は、複数のバスバーと、各バスバーを保持するホルダとを有する。ホルダは、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されている。各バスバーは、絶縁性を有するカバー(例えば、樹脂製のカバー)で覆うことができ、カバーは、ホルダに取り付けることができる。
【0036】
電池スタック11の両端には、一対のエンドプレート112が配置されている。拘束バンド113は、複数の単電池111の配列方向に延びており、拘束バンド113の両端部が一対のエンドプレート112に固定されている。電池スタック11の上面には、2つの拘束バンド113が配置され、電池スタック11の下面にも、2つの拘束バンド113が配置されている。
【0037】
拘束バンド113をエンドプレート112に固定することにより、一対のエンドプレート112は、互いに近づく方向に変位する。これにより、一対のエンドプレート112によって挟まれた複数の単電池111に対して、拘束力を与えることができる。隣り合う2つの単電池111の間には、スペーサが配置されており、隣り合う2つの単電池111の間には、空気が進入することができる。
【0038】
吸気チャンバ114および排気チャンバ115は、電池スタック11の両側面に配置される。具体的には、吸気チャンバ114および排気チャンバ115は、複数の単電池111の配列方向と直交する方向において、複数の単電池111を挟む位置に配置される。吸気チャンバ114は、接続口114aを有しており、接続口114aには、吸気ダクト102からの空気が進入する。吸気チャンバ114の内側に移動した空気は、隣り合う2つの単電池111の間に形成されたスペースに進入する。空気は、吸気チャンバ114から排気チャンバ115に向かって移動する。
【0039】
空気および単電池111の間で熱交換が行われることにより、単電池111の温度を調節することができる。単電池111が充放電によって発熱しているときには、空気が単電池111の熱を奪うことにより、単電池111の温度上昇を抑制することができる。2つの単電池111の間を通過した空気は、排気チャンバ115に移動する。排気チャンバ115の両端には、排気口115aが設けられており、熱交換後の空気は、排気口115aから排出される。排気口115aから排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22の間に形成されたスペースに移動する。
【0040】
電池スタック12〜15の構成は、基本的には、電池スタック11の構成と同様である。ただし、電池スタック11〜15を構成する単電池の数は、互いに異なる。ここで、各電池スタック11〜14を構成する複数の単電池は、車両100の左右方向に並んでおり、電池スタック15を構成する複数の単電池は、車両100の前後方向に並んでいる。
【0041】
図7に示すように、電池スタック11のエンドプレート112には、ボルト117によって、ブラケット116が固定される。ブラケット116は、図8に示すように、ボルト118によってロアーケース22に固定される。これにより、電池スタック11は、ロアーケース22に固定される。
【0042】
ブラケット120は、電池スタック12をロアーケース22に固定するために用いられる。具体的には、ブラケット120は、電池スタック12の一対のエンドプレートに固定されるとともに、ロアーケース22に固定される。ブラケット130は、電池スタック13をロアーケース22に固定するために用いられる。具体的には、ブラケット130は、電池スタック13の一対のエンドプレートに固定されるとともに、ロアーケース22に固定される。ブラケット140は、電池スタック14をロアーケース22に固定するために用いられる。具体的には、ブラケット140は、電池スタック14の一対のエンドプレートに固定されるとともに、ロアーケース22に固定される。
【0043】
ロアーケース22は、2つのリブ22a,22bを有する。リブ22a,22bは、上方に向かって突出しているとともに、車両100の左右方向に延びている。リブ22a,22bは、フレーム222(図5参照)の一部によって構成されている。リブ22aよりも車両100の前方に位置する第1領域S1には、電池スタック12が搭載される。リブ22aおよびリブ22bの間に位置する第2領域S2には、電池スタック11が搭載される。リブ22bよりも車両100の後方に位置する第3領域S3には、電池スタック13,14が搭載される。各電池スタック11〜14は、ブラケット116,120,130,140だけでなく、ブラケット30(図12参照)を用いてロアーケース22に固定されている。
【0044】
図9および図10に示すように、吸気ダクト102には、4つの分岐ダクト51〜54が接続されている。図9は、分岐ダクト51〜54の配置を示す図であり、図10は、分岐ダクト51〜54の上面図である。図11に示すように、分岐ダクト52は、爪部52bを有しており、吸気ダクト102は、爪部52bと係合する凹部102cを有する。爪部52bおよび凹部102cが係合することにより、分岐ダクト52を吸気ダクト102に固定することができる。図11は、図10の矢印D1の方向から見たときの図である。
【0045】
分岐ダクト51,53,54についても、分岐ダクト52の爪部52bに対応する爪部を有しており、吸気ダクト102の凹部102cと係合する。これにより、分岐ダクト51,53,54を吸気ダクト102に接続することができる。吸気ダクト102からの空気は、4つの分岐ダクト51〜54に移動する。図10および図11の点線で示す矢印は、空気の移動方向を示す。
【0046】
分岐ダクト51の接続口51aは、電池スタック11に設けられた吸気チャンバ114の接続口114aと接続している。分岐ダクト51は、電池スタック11のうち、車両100の前方側に位置する側面に接続されている。分岐ダクト51の空気は、電池スタック11の単電池111に供給される。分岐ダクト52の接続口52aは、電池スタック12の吸気チャンバと接続されており、分岐ダクト52の空気は、電池スタック12の単電池に供給される。分岐ダクト52は、電池スタック12のうち、車両100の前方側に位置する側面に接続されている。
【0047】
分岐ダクト53の接続口53aは、電池スタック13の吸気チャンバと接続されており、分岐ダクト53の空気は、電池スタック13の単電池に供給される。分岐ダクト53は、電池スタック13のうち、車両100の前方側に位置する側面に接続されている。分岐ダクト54の接続口54aは、電池スタック14の吸気チャンバと接続されており、分岐ダクト54の空気は、電池スタック14の単電池に供給される。分岐ダクト54は、電池スタック12のうち、車両100の後方側に位置する側面に接続されている。
【0048】
図9に示すように、吸気ダクト102の下方には、電子機器60が配置されている。電子機器60は、ロアーケース22に固定されている。電子機器60は、電池スタック11〜15の充放電を制御するために用いられる機器である。電子機器60としては、例えば、システムメインリレーやレジスタがある。システムメインリレーは、電池スタック11〜15の充放電を許容したり、禁止したりする。システムメインリレーやレジスタは、ジャンクションボックスに取り付けられる。
【0049】
図12に示すように、分岐ダクト51〜54の上面には、台座(支持部材の一部に相当する)80が配置される。台座80は、吸気ダクト102の一部の上面にも位置している。上方から見たときに、台座80および分岐ダクト51〜54は、互いに重なっている。台座80は、下方に延びる脚(不図示)を有しており、脚の先端がロアーケース22に固定される。これにより、分岐ダクト51〜54の上面において、台座80を位置決めすることができる。本実施例では、脚を用いて台座80を固定しているが、これに限るものではない。例えば、隣り合う2つの電池スタック(11〜14)の間に、ブラケットを配置し、ブラケットに台座を固定することができる。
【0050】
台座80の上面には、複数のスタッドボルト81が設けられており、各スタッドボルト81には、ネジ溝が形成されている。台座80の上面には、電池スタック15が配置される。電池スタック15は、複数の単電池151を有し、複数の単電池151は、一方向(車両100の前後方向)に並んでいる。
【0051】
電池スタック15の両端には、一対のエンドプレート152が配置されている。拘束バンド153は、車両100の前後方向に延びており、拘束バンド153の両端は、一対のエンドプレート152に固定される。電池スタック15の上面には、2つの拘束バンド153が配置され、電池スタック15の下面には、2つの拘束バンド153が配置されている。拘束バンド153およびエンドプレート152を用いることにより、複数の単電池151に対して拘束力を与えることができる。
【0052】
2つのブラケット156,158は、ボルト159aによって、各エンドプレート152に固定される。台座80のスタッドボルト81は、ブラケット156,158を貫通して、ナット159bと噛み合う。
【0053】
電池スタック15の両側面には、吸気チャンバ154および排気チャンバ155が配置されている。吸気チャンバ154は、複数の単電池151の配列方向に延びており、吸気チャンバ154の一端には、接続口154aが設けられている。吸気チャンバ154の他端は、塞がれている。排気チャンバ155は、複数の単電池151の配列方向に延びており、排気チャンバ155の一端には、排気口155aが設けられている。排気チャンバ155の他端は、塞がれている。接続口154aは、車両100の前後方向における電池スタック15の一端に設けられ、排気口155aは、車両100の前後方向における電池スタック15の他端に設けられている。接続口154aは、吸気ダクト102と接続され、吸気ダクト102からの空気が吸気チャンバ154に進入する。
【0054】
図13に示すように、吸気チャンバ154は、ワイヤーハーネス70を保持する保持部154bを有する。保持部154bは、吸気チャンバ154の上部に設けられており、単電池151の側にへこんでいる。ワイヤーハーネス70は、保持部154bに収容されており、吸気チャンバ154から突出していない。保持部154bは、複数設けられており、複数の保持部154bは、吸気チャンバ154の長手方向(車両100の前後方向)において、間隔を空けて配置されている。
【0055】
また、排気チャンバ155は、ワイヤーハーネス70を保持する保持部155bを有する。保持部155bは、排気チャンバ155の上部に設けられており、単電池151の側にへこんでいる。ワイヤーハーネス70は、保持部155bに収容されており、排気チャンバ155から突出していない。保持部155bは、複数設けられており、複数の保持部155bは、排気チャンバ155の長手方向(車両100の前後方向)において、間隔を空けて配置されている。
【0056】
保持部154b,155bを用いることにより、ワイヤーハーネス70を電池スタック15に固定することができる。ワイヤーハーネス70を電池スタック15に固定しておくことで、ワイヤーハーネス70および電池スタック15の取り扱いが容易となり、電池パック1を容易に組み立てることができる。また、ワイヤーハーネス70を保持部154b,155bに収容させることにより、図13の左右方向において、電池パック1が大型化するのを防止することができる。
【0057】
本実施例では、電池スタック15の吸気チャンバ154および排気チャンバ155に保持部154b,155bを設けているが、これに限るものではない。電池スタック11〜14の吸気チャンバや排気チャンバに対して、保持部154b,155bに相当する部分を設けることができる。また、吸気チャンバおよび排気チャンバの一方だけに、保持部154b,155bに相当する部分を設けることができる。
【0058】
ブラケット157は、複数の単電池151の配列方向に延びており、排気チャンバ155に固定されている。台座80のスタッドボルト81は、ブラケット157を貫通して、ナット159bと噛み合う。図12には示していないが、吸気チャンバ154にも、ブラケット157が固定されている。3種類のブラケット156〜158を用いることにより、電池スタック15が台座80に固定される。電池スタック15の上面には、図6で説明したように、バスバーモジュールが配置される。
【0059】
電池スタック12〜14は、ブラケット30によって、ロアーケース22に押し付けられている。ブラケット30の形状は、電池スタック12〜14に応じて異なっている。5つの電池スタック11〜15は、ワイヤーハーネス70を介して電気的に接続されている。ロアーケース22の側壁には、開口部22cが形成されており、開口部22cは、電池スタック11〜15および負荷を接続するケーブルを通過させるために設けられている。
【0060】
2つの電池監視ユニット40の一方の付近に、電流遮断器71が配置されている。電流遮断器71は、電池スタック11〜15の電流経路を遮断するために用いられる。電流遮断器71は、プラグと、プラグに差し込まれるグリップとで構成されており、グリップをプラグから抜くことにより、電流経路を遮断することができる。
【0061】
電流遮断器71は、パックケース20の開口部20c(図2参照)を貫通するとともに、フロアパネル101に形成された開口部を貫通している。これにより、電流遮断器71は、車室内に突出しており、作業者は車室内で電流遮断器71を操作することができる。電流遮断器71は、シートクッションの下方に形成されたスペースに位置させることができる。また、パックケース20の開口部20cおよびフロアパネル101の間の密閉性を確保するために、シール部材を用いることができる。
【0062】
次に、電池パック1の回路構成について、図14を用いて説明する。
【0063】
本実施例では、5つの電池スタック11〜15を用いて、2つの組電池91,92を構成しており、組電池91,92は、電気的に並列に接続している。組電池91,92を構成する単電池の数は、互いに等しい。組電池91,92は、負荷に接続されている。負荷としては、例えば、モータ・ジェネレータ、昇圧回路、インバータがある。
【0064】
図12に示す2つの電池監視ユニット40の一方は、組電池91の状態を監視するために用いられ、他方の電池監視ユニット40は、組電池92の状態を監視するために用いられる。組電池91,92の状態には、電流、電圧、温度が含まれる。電圧には、各組電池91,92の電圧、単電池の電圧、組電池91,92を構成する複数の単電池を複数のブロックに分けたときの電圧が含まれる。各ブロックには、2つ以上の単電池が含まれる。温度には、各組電池91,92を1箇所又は複数箇所で測定したときの温度が含まれる。
【0065】
電池監視ユニット40で監視される電流、電圧および温度は、電池スタック11〜15の充放電を制御するために用いられる。例えば、電流等は、電池スタック11〜15のSOCを推定するために用いたり、電池スタック11〜15の劣化状態を推定するために用いたりする。また、電圧等は、電池スタック11〜15の過充電や過放電を抑制するために用いられる。
【0066】
組電池91は、2つの電池スタック11,15と、電池スタック13の一部とで構成されており、電池スタック11,15,13の単電池は電気的に直列に接続されている。組電池92は、2つの電池スタック12,14と、電池スタック13の一部とで構成されており、電池スタック12,14,13の単電池は電気的に直列に接続されている。
【0067】
各電池スタック11〜15には、ヒューズ72が設けられている。電池スタック11および電池スタック15の間には、電流遮断器71が設けられており、電池スタック12および電池スタック14の間には、電流遮断器71が設けられている。2つの電流遮断器71は、一体的に構成されており、電流遮断器71のグリップを引き抜くことにより、各組電池91,92の電流経路を同時に遮断することができる。
【0068】
組電池91のプラス端子には、システムメインリレーSMR_B1が接続されており、組電池92のプラス端子には、システムメインリレーSMR_B2が接続されている。組電池91,92のマイナス端子には、システムメインリレーSMR_Gが接続されている。システムメインリレーSMR_Pおよび抵抗73は、システムメインリレーSMR_Gと並列に接続されている。システムメインリレーSMR_B1,B2,G,Pは、上述した電子機器50に含まれる。
【0069】
組電池91,92および負荷を電気的に接続するためには、まず、システムメインリレーSMR_B1,B2およびシステムメインリレーSMR_Pを、オフからオンに切り替える。次に、システムメインリレーSMR_Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR_Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池91,92の充放電を行うことができる。一方、組電池91,92を、直流電源又は交流電源と接続することにより、組電池91,92の充電を行うことができる。
【0070】
本実施例では、電池スタック13に含まれる2つの単電池を電気的に並列に接続している。この構造について、図15および図16を用いて説明する。図15は、電池スタック13の構成を示す概略図であり、図16は、電池スタック13におけるバスバーの接続構造を示す図である。図15では、電池スタック13の単電池を省略して示している。
【0071】
図15において、電池スタック13の両端に位置する2つの単電池では、各正極端子131aにワイヤーハーネス70が接続されている。図14で説明したように、2つのワイヤーハーネス70のうち、一方のワイヤーハーネス70は、電池スタック12の一端に位置する単電池の負極端子に接続されている。他方のワイヤーハーネス70は、電池スタック11の一端に位置する単電池111の負極端子に接続されている。
【0072】
電池スタック13では、2種類のバスバー132,133が用いられている。本実施例では、バスバー132,133が、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されたホルダに保持されることにより、バスバーモジュールを構成している。図16に示すように、第1バスバー132は、一方の単電池131の正極端子131aと、他方の単電池131の負極端子131bとに接続されている。第1バスバー132と同様のバスバーは、電池スタック11,12,14,15でも用いられている。
【0073】
第2バスバー133は、2つの接続部133a,133bを有しており、2つの負極端子131bに接続されている。具体的には、接続部133aは、隣り合って配置された2つの単電池131のうち、一方の単電池131の負極端子131bに接続されている。接続部133bは、他方の単電池131の負極端子131bに接続されている。また、第2バスバー133には、ワイヤーハーネス70の端子70aが接続されている。
【0074】
図17に示すように、第2バスバー133は、ボルト133cを有している。図17は、図16のC−C断面図である。ボルト133cは、ワイヤーハーネス70の端子70aを貫通した状態において、ナット133dと噛み合っている。これにより、端子70aを第2バスバー133に固定することができる。ホルダ136は、第2バスバー133を保持しており、絶縁性を有する材料で形成されている。ボルト133cおよび端子70aは、カバー137によって覆われており、カバー137は、ホルダ136に取り付けられる。
【0075】
ボルト133cの下方には、仕切り板134が位置している。ボルト133cおよび端子70aを接続するときに、下方向への外力が作用すると、ホルダ136の下面は、仕切り板134の上面に接触する。これにより、ボルト133cおよび端子70aを接続するときの負荷が単電池131に作用するのを防止することができる。
【0076】
仕切り板134は、隣り合う2つの単電池131の間に配置され、単電池131の表面にスペースを形成するために用いられる。このスペースは、後述するように、単電池131の温度を調節するための空気が移動するスペースとなる。仕切り板134は、複数の突起部134aを有しており、各突起部134aの先端が単電池131に接触することにより、単電池131の表面にスペースを形成することができる。
【0077】
本実施例では、各突起部134aが、図17の左右方向に延びており、複数の突起部134aが、図17の上下方向において並んでいる。なお、突起部134aの形状は、図17に示す形状に限るものではない。すなわち、単電池131の表面に、空気を移動させるスペースを形成することができればよい。一方、仕切り板134の上方および下方には、単電池131に対して拘束力を与えるための拘束バンド135が配置されている。
【0078】
第2バスバー133を用いることにより、隣り合って配置された2つの単電池131を電気的に並列に接続することができる。これにより、電池スタック13を構成する複数の単電池131を、並列に接続される2つの組電池91,92に振り分けることができる。また、第2バスバー133の取り付け位置を自由に変更できるため、電池スタック13において、電気的に並列に接続される2つの単電池131を自由に決めることができる。
【0079】
なお、本実施例では、第2バスバー133が2つの負極端子131bに接続されているが、2つの正極端子131aに接続することもできる。この場合には、図14に示す組電池91,92の正極および負極が逆になる。また、第2バスバー133の形状は、図15および図16に示す形状に限るものではない。すなわち、第2バスバー133は、同一極性の端子に接続されているとともに、ワイヤーハーネス70に接続されていればよい。
【0080】
次に、電池パック1に供給される空気の流れについて、図18〜図20を用いて説明する。
【0081】
図18に示すように、吸気ダクト102からの空気は、電池スタック15に導かれるとともに、分岐ダクト41〜44を通過して電池スタック11〜14に導かれる。空気が電池スタック15に移動すると、図19の矢印で示すように、空気は、吸気チャンバ154に沿って移動するとともに、隣り合う2つの単電池151の間に形成されたスペースに進入する。空気および単電池151の間で熱交換が行われることにより、単電池151の温度が調節される。
【0082】
電池スタック15に導かれた空気は、吸気チャンバ154から排気チャンバ155に向かって移動する。熱交換後の空気は、排気チャンバ155に移動し、排気チャンバ155の排気口155aから排出される。排気口155aから排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペース(電池スタック11〜15の収容スペース)に移動する。
【0083】
分岐ダクト51を通過する空気は、電池スタック11に導かれる。電池スタック11に導かれた空気は、吸気チャンバ114に沿って移動する。ここで、空気は、電池スタック11の両端に向かって移動する。また、空気は、電池スタック11の配列方向に沿って移動するとともに、隣り合う2つの単電池111の間に形成されたスペースに進入する。空気および単電池111の間で熱交換が行われることにより、単電池111の温度が調節される。熱交換後の空気は、排気チャンバ115に移動し、電池スタック11の両端に設けられた排気口115aから排出される。排気口115aから排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0084】
分岐ダクト52から電池スタック12に導かれた空気は、吸気チャンバ内で電池スタック12の両端に向かって移動するとともに、隣り合う2つの単電池の間に形成されたスペースに移動する。ここで、単電池との間で熱交換が行われた空気は、排気チャンバに移動し、電池スタック12の両端に設けられた排気口から排出される。電池スタック12の排気口から排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0085】
分岐ダクト53から電池スタック13に導かれた空気は、吸気チャンバ内で電池スタック13の両端に向かって移動するとともに、隣り合う2つの単電池の間に形成されたスペースに移動する。ここで、単電池との間で熱交換が行われた空気は、排気チャンバに移動し、電池スタック13の両端に設けられた排気口から排出される。電池スタック13の排気口から排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0086】
分岐ダクト54から電池スタック14に導かれた空気は、吸気チャンバ内で電池スタック14の両端に向かって移動するとともに、隣り合う2つの単電池の間に形成されたスペースに移動する。ここで、単電池との間で熱交換が行われた空気は、排気チャンバに移動し、電池スタック14の両端に設けられた排気口から排出される。電池スタック14の排気口から排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0087】
電池スタック13の排気チャンバと、電池スタック14の排気チャンバとは、車両100の前後方向において向かい合っている。ここで、電池スタック13,14は、車両100の前後方向において近づいている。すなわち、電池スタック13,14の間隔は、電池スタック11,12の間隔や、電池スタック11,13の間隔よりも狭くなっている。このように電池スタック13,14を近づけて配置すると、例えば、電池スタック13の排熱が電池スタック14の単電池に到達してしまうおそれがある。
【0088】
本実施例では、電池スタック13,14の排気チャンバが、向かい合っているため、例えば、電池スタック13の排気チャンバの熱は、電池スタック14の排気チャンバに到達するだけである。電池スタック13からの熱は、電池スタック14の排気チャンバに到達しても、電池スタック14の排気チャンバから排出されるだけである。したがって、電池スタック13からの熱が、電池スタック14の単電池に到達するのを防止することができる。
【0089】
パックケース20の内部に存在する空気(熱交換後の空気)は、排気ダクト106に導かれて、パックケース20の外部に移動する。排気ダクト106に進入した空気は、排気ダクト106に沿って移動し、排気口106b(図1参照)から車両100の外部に排出される。
【0090】
図18〜図20に示すように、電池スタック15の下方には、電子機器60が配置されているため、電子機器60で発生した熱が、上昇して電池スタック15に到達しやすい。本実施例では、電池スタック15および吸気ダクト102の接続部分が、電子機器60の上方に位置している。また、鉛直方向において、電子機器60は、すべての分岐ダクト51〜54と向かい合っている。このため、電池スタック15のうち、電子機器60の熱が到達しやすい部分には、吸気ダクト102からの空気が最初に到達する。したがって、電池スタック15の一部分だけが、電子機器60の熱によって温められるのを抑制することができる。そして、複数の単電池151の配列方向において、単電池151の温度にバラツキが発生するのを抑制することができる。
【0091】
また、本実施例では、図19に示すように、上方から見たときに、電池スタック15と、各電池スタック11〜14とが交差するように配置されている。このような構成では、各電池スタック11〜14で発生した熱が、上昇して電池スタック15に向かうことがある。例えば、電池スタック11で発生した熱は、電池スタック15に含まれる一部の単電池151に向かうことになる。一部の単電池151だけに熱が加わると、電池スタック15の配列方向において、単電池151の温度にバラツキが生じてしまう。
【0092】
本実施例では、電池スタック15および各電池スタック11〜14の間に、分岐ダクト51,53,54が配置されている。具体的には、電池スタック11の上方には、電池スタック13,14に接続される分岐ダクト53,54が位置している。電池スタック12の上方には、電池スタック11,13,14に接続される分岐ダクト51,53,54が位置している。電池スタック13の上方には、電池スタック14に接続される分岐ダクト54が位置している。電池スタック14の上方には、電池スタック14に接続される分岐ダクト54が位置している。
【0093】
このように配置された分岐ダクト51,53,54によって、各電池スタック11〜14で発生した熱が、電池スタック15に到達するのを阻止することができる。また、分岐ダクト51,53,54には、冷却用の空気が流動しているため、各電池スタック11〜14の熱が分岐ダクト51,53,54に到達しても、分岐ダクト51,53,54に熱が留まることもない。
【0094】
このように、本実施例では、各電池スタック11〜14の熱によって、電池スタック15が部分的に温まるのを防止でき、電池スタック15の配列方向において、単電池151の温度にバラツキが生じるのを抑制することができる。単電池151の温度のバラツキを抑制すれば、温度に起因した単電池151の劣化のバラツキを抑制することができる。これにより、電池スタック15内のすべての単電池151の寿命を揃えることができ、すべての単電池151を寿命時期まで使用し続けることができる。
【0095】
本実施例では、電池パック1を上方から見たときに、分岐ダクト51〜54が電池スタック15の配置領域内に位置している。すなわち、上方から見たときに、分岐ダクト51〜54は、電池スタック15からはみ出していない。これにより、電池スタック15と、各電池スタック11〜14との間に形成されたスペースに、分岐ダクト51〜54を効率良く配置することができ、電池パック1の大型化を抑制することができる。
【0096】
本実施例のように、センタートンネル101aの内側に電池スタック15を配置することにより、より多くの数の電池スタック11〜15によって電池パック1を構成することができる。センタートンネル101aは、運転席および助手席の間に位置しているため、センタートンネル101aを設けても、車室内の居住性に悪影響を与えることもない。
【0097】
また、電池スタック15をセンタートンネル101a内に配置するとともに、電子機器60および電池スタック11〜14を、同一面内に配置することにより、フロアパネル101に沿って電池パック1を配置することができる。言い換えれば、電池パック1を車両100の外面に沿って効率良く配置でき、電池パック1が車両100の上下方向において大型化するのを防止することができる。
【0098】
本実施例では、フロアパネル101のセンタートンネル101aに、1つの電池スタック15を配置しているが、これに限るものではない。例えば、複数の電池スタックを、センタートンネル101aに配置することができる。センタートンネル101a内に配置される複数の電池スタックは、車両100の前後方向に並んでいてもよいし、車両100の左右方向に並んでいてもよい。一方、電池スタック15の全体が、センタートンネル101aの内側に位置している必要はなく、電池スタック15の一部だけを、センタートンネル101aの内側に位置させることができる。
【0099】
本実施例では、図14で説明したように、2つの組電池91,92を電気的に並列に接続しているが、これに限るものではない。例えば、組電池91,92を直列に接続することができる。また、電池スタック11〜15を用いて3つ以上の組電池を構成し、これらの組電池を電気的に並列に接続することもできる。一方、本実施例では、車両100の外部に存在する空気を電池パック1に供給しているが、車室内の空気を電池パック1に供給することができる。また、空気の代わりに、他の冷却媒体(気体)を用いることもできる。
【0100】
電池スタック15の下方には、電池スタック11〜14および電子機器60が配置されているが、これに限るものではない。例えば、電池スタック15の下方に電子機器60だけを配置することができる。電池スタック15は、複数の単電池151等で構成されており、電子機器60よりも大きい。そこで、電池スタック15をフロアパネル101に沿って配置するとともに、電池スタック15の下方に電子機器60を配置することにより、電池スタック15および電子機器60を、フロアパネル101に対して効率良く配置することができる。電子機器60を電池スタック15の上方に配置すると、電池スタック15および電子機器60の間にデッドスペースが生じやすい。本実施例のように、電子機器60を電池スタック15の下方に配置すれば、デッドスペースを発生しにくくすることができる。
【0101】
本実施例では、電池スタック15の下方に、4つの電池スタック11〜14を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、電池スタック15の下方に配置される電池スタックの数は、1つ以上とすることができる。また、本実施例では、上方から見たときに(図19参照)、電池スタック15と、各電池スタック11〜14とは、互いに直交するように配置しているが、これに限るものではない。電池スタック15と、各電池スタック11〜14とは、互いに交差するように配置されていればよい。
【符号の説明】
【0102】
1:電池パック(蓄電装置)
11〜14:電池スタック(第2蓄電スタック)
15:電池スタック(第1蓄電スタック)
110:バスバーモジュール 111,151:単電池(蓄電素子)
111a,131a:正極端子 111b,131b:負極端子
112,152:エンドプレート 113,153:拘束バンド
114,154:吸気チャンバ 115,155:排気チャンバ
154b,155b:保持部 116:ブラケット
132:第1バスバー 133:第2バスバー
100:車両 101:フロアパネル
102:吸気ダクト 106:排気ダクト
20:パックケース 21:アッパーケース
22:ロアーケース 221:ロアキャリア
222:フレーム(補強フレーム) 30:ブラケット
40:電池監視ユニット 51〜54:分岐ダクト
60:電子機器 70:ワイヤーハーネス
71:電流遮断器 80:台座(支持部材)
91,92:組電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子で構成された蓄電スタックを複数備えた蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等には、複数の電池スタックが搭載されることがある。電池スタックは、複数の単電池を一方向に並べることによって構成されており、車両の走行に用いられるエネルギを出力する。複数の電池スタックを用いる場合には、複数の電池スタックを同一平面内で並べて配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−019231号公報
【特許文献2】特開2006−100156号公報
【特許文献3】特開2009−181896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電池スタックを用いるときには、複数の電池スタックを上下方向(鉛直方向)に並べて配置することがある。また、上方から見たときに、複数の電池スタックが交差するように配置されることがある。ここで、下段に配置された電池スタックで発生した熱は、上昇することにより、上段に配置された電池スタックに到達することがある。
【0005】
複数の電池スタックが交差するように配置されていると、下段の電池スタックからの熱は、上段の電池スタックの一部だけに到達することになる。すなわち、上段の電池スタックには、下段の電池スタックからの熱の影響を受ける単電池と、下段の電池スタックからの熱の影響を受けない単電池とが含まれている。この場合には、上段の電池スタックの配列方向において、単電池の温度にバラツキが生じてしまう。単電池の温度にバラツキが生じると、単電池の劣化状態にもバラツキが生じてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明である蓄電装置は、第1方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含む第1蓄電スタックと、第1方向とは異なる第2方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含み、第1蓄電スタックの下方に配置された第2蓄電スタックと、冷却媒体を移動させるダクトと、を有する。ダクトは、第1蓄電スタックに沿って配置され、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの間に位置している。
【0007】
複数の第2蓄電スタックを設けることができる。また、複数の第2蓄電スタックは、第1方向に並べて配置することができる。ここで、ダクトは、第2蓄電スタックのそれぞれに接続することができ、第2蓄電スタックに冷却媒体を供給することができる。
【0008】
第2蓄電スタックのそれぞれに接続されたダクトは、冷却媒体の移動経路の上流側において、互いに接続することができる。言い換えれば、ダクトを分岐させて、第2蓄電スタックのそれぞれに接続することができる。これにより、複数のダクトを互いに接続しない場合に比べて、ダクトの構成を簡素化することができる。また、蓄電装置の充放電を制御するために用いられる電子機器を、複数のダクトの下方であって、複数のダクトと対向する位置に配置することができる。さらに、第1方向および第2方向は、互いに直交する方向とすることができる。
【0009】
また、導電性を有する材料で支持部材を形成し、ワイヤーハーネスのシールド線を支持部材に接続することができる。これにより、支持部材や補強フレームに対して、シールド線の機能を持たせることができ、シールド線を接地させることができる。また、支持部材や補強フレームを用いることにより、シールド線を短くすることができる。ワイヤーハーネスは、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの充放電に用いられる。
【0010】
本発明の蓄電装置は、車両に搭載することができる。ここで、蓄電装置の電力をモータ・ジェネレータに供給することにより、車両を走行させるための運動エネルギを生成することができる。また、モータ・ジェネレータは、車両の回生時に発生した運動エネルギを電気エネルギに変換することができ、この電気エネルギは、蓄電装置に蓄えておくことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1蓄電スタックおよび第2蓄電スタックの間に、ダクトが配置されているため、第2蓄電スタックで発生した熱が第1蓄電スタックに到達するのを阻止することができる。これにより、第2蓄電スタックの熱により、第1蓄電スタックが部分的に温められるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電池パックを備えた車両の側面図である。
【図2】電池パックの外観図である。
【図3】電池パックおよびフロアパネルを車両の前方から見たときの概略図である。
【図4】電池パックの分解図である。
【図5】ロアーケースの分解図である。
【図6】電池スタックの分解図である。
【図7】電池スタックの固定構造を示す外観図である。
【図8】電池パックの内部構造を説明する外観図である。
【図9】電池パックの内部構造を説明する外観図である。
【図10】吸気ダクトおよび分岐ダクトの上面図である。
【図11】吸気ダクトおよび分岐ダクトの側面図である。
【図12】電池パックの内部構造を説明する外観図である。
【図13】上段に配置される電池スタックの断面図である。
【図14】電池パックの回路構成を示す図である。
【図15】電池スタック内の単電池を並列接続する構造を示す概略図である。
【図16】並列接続される単電池を含む電池スタックの一部を示す上面図である。
【図17】並列接続に用いられるバスバーおよびワイヤーハーネスの接続構造を示す図である。
【図18】電池パックの内部構造を示す側面図である。
【図19】電池スタックにおける空気の移動経路を説明する図である。
【図20】電池スタックにおける空気の移動経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1である電池パック(蓄電装置に相当する)について説明する。まず、本実施例の電池パックを備えた車両について、図1を用いて説明する。図1は、車両の側面図であり、電池パックと、電池パックの温度を調節する機構とを主に示している。図1に示す矢印UPは、車両の上方向を示し、矢印FRは、車両の前進方向を示す。
【0015】
本実施例の車両100は、フロアパネル101を有しており、フロアパネル101の下面には、電池パック1が取り付けられている。フロアパネル101の上面は、車室の一部を形成しているため、電池パック1は、車室の外に配置される。車室とは、乗員が乗車するスペースである。フロアパネル101は、車両100のボディの一部である。
【0016】
電池パック1が搭載される車両100としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両100を走行させる動力源として、電池パック1の他に、内燃機関又は燃料電池を備えた車両である。電気自動車は、車両100の動力源として、電池パック1だけを備えた車両である。
【0017】
電池パック1は、モータ・ジェネレータ(図示せず)に接続されており、モータ・ジェネレータは、電池パック1の出力を受けて、車両100を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータの回転力は、動力伝達機構を介して、車輪に伝達される。
【0018】
電池パック1およびモータ・ジェネレータの間に、昇圧回路やインバータを配置することができる。昇圧回路を配置すれば、電池パック1の出力電圧を昇圧することができる。インバータを用いれば、電池パック1から出力された直流電力を交流電力に変換でき、モータ・ジェネレータとして、三相交流モータを用いることができる。モータ・ジェネレータは、車両100の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換し、電池パック1に出力する。電池パック1は、モータ・ジェネレータからの電力を蓄える。
【0019】
電池パック1には、吸気ダクト102が接続されており、吸気ダクト102は、電池パック1よりも車両100の前方に配置されている。吸気ダクト102の一端には、吸気口102aが設けられており、吸気口102aから空気が取り込まれる。吸気ダクト102の他端102bは、電池パック1に接続されている。
【0020】
ブロワ103は、吸気ダクト102に設けられており、ブロワ103を駆動することにより、吸気ダクト102の吸気口102aから電池パック1に向けて空気が移動する。本実施例では、ブロワ103を吸気ダクト102に設けているが、これに限るものではない。吸気ダクト102の吸気口102aから電池パック1に向けて空気が流れればよく、例えば、後述する排気ダクト106にブロワ103を設けることもできる。
【0021】
エアクリーナ104は、吸気ダクト102に設けられており、吸気ダクト102の吸気口102aから取り込まれた空気を浄化する。具体的には、エアクリーナ104は、フィルタを用いて、空気に含まれる異物を除去する。ブロワ103およびエアクリーナ104は、ダッシュボード105よりも車両100の前方に設けられたスペースに配置されている。このスペースは、車両100がエンジンを備えた自動車であれば、エンジンルームに相当する。
【0022】
吸気ダクト102から電池パック1に導かれた空気は、電池パック1の内部を通過した後に、排気ダクト106に進入する。電池パック1の内部を空気が通過することにより、電池パック1の温度を調節することができる。例えば、空気が電池パック1の熱を奪うことにより、電池パック1を冷却することができる。電池パック1の内部における空気の流れについては、後述する。
【0023】
排気ダクト106の一端106aは、電池パック1に接続されている。排気ダクト106の他端には、排気口106bが形成されている。排気ダクト106の他端側は、リアバンパケース107の内側に配置されている。排気口106bから排出された空気は、リアバンパケース107の内側に形成されたスペースに移動する。
【0024】
次に、電池パック1の構成について説明する。図2は、電池パック1の外観図である。図3は、電池パック1およびフロアパネル101を車両100の前方から見たときの概略図である。図4は、電池パック1の分解図である。図2に示す矢印RHは、車両100の前進方向FRを向いたときの右方向を示し、図4に示す矢印LHは、車両100の前進方向FRを向いたときの左方向を示す。
【0025】
電池パック1は、5つの電池スタック(蓄電スタックに相当する)11〜15と、電池スタック11〜15を収容するパックケース20とを有する。パックケース20の外縁には、複数の締結部20aが設けられており、締結部20aは、電池パック1をフロアパネル101に固定するために用いられる。
【0026】
パックケース20の上面には、突起部20bが形成されている。突起部20bは、上方に向かって突出しているとともに、車両100の前後方向に延びている。図3に示すように、パックケース20の上面は、フロアパネル101に沿って配置される。フロアパネル101は、センタートンネル101aを有している。
【0027】
センタートンネル101aは、上方に向かって突出しているとともに、車両100の前後方向に延びている。センタートンネル101aは、車両100の左右方向において、運転席および助手席の間に設けられている。センタートンネル101aの内側には、パックケース20の突起部20bが位置している。パックケース20の上面には、開口部20cが形成されており、開口部20cは、後述する電流遮断器を通すために設けられている。
【0028】
図4に示すように、電池パック1は、5つの電池スタック11〜15を有しており、電池スタック11〜15は、アッパーケース21およびロアーケース22によって覆われている。アッパーケース21は、複数のボルト23によって、ロアーケース22に固定される。アッパーケース21は、例えば、ガラス繊維を含む樹脂を用いて形成することができる。
【0029】
電池スタック11〜14は、車両100の左右方向に延びており、4つの電池スタック11〜14は、車両100の前後方向に並んでいる。4つの電池スタック11〜14(第2蓄電スタックに相当する)の上方には、電池スタック(第1蓄電スタックに相当する)15が配置されており、電池スタック15は、車両100の前後方向に延びている。電池スタック15は、パックケース20の突起部20bに対応した位置に配置される。すなわち、電池スタック15は、センタートンネル101aの内側に位置している。
【0030】
ロアーケース22は、図5に示すように、ロアキャリア221およびフレーム(補強フレームに相当する)222を有する。電池スタック11〜15は、ロアキャリア221に固定される。ロアキャリア221は、複数のボルト24によってフレーム222に固定される。ロアキャリア221は、例えば、ガラス繊維を含む樹脂を用いて形成することができる。フレーム222は、鉄といった金属を用いて形成することができる。フレーム222は、ロアーケース22の強度を確保するために用いられ、車両100の左右方向に延びるリンフォースメント222a,222bを有する。フレーム222は、フロアパネル101に固定される。
【0031】
次に、各電池スタック11〜15の構成について説明する。図6は、電池スタック11の分解図である。電池スタック11は、一方向に並んで配置された複数の単電池(蓄電素子に相当する)111を有する。単電池111としては、いわゆる角型の単電池を用いている。本実施例では、各電池スタック11〜15を構成する単電池の数が互いに異なっている。電池スタック11〜15を構成する単電池の数は、適宜設定することができる。本実施例では、ロアーケース22の形状に基づいて、電池スタック11〜15を構成する単電池の数を設定している。また、隣り合う2つの単電池111の間には、仕切り板が配置されている。仕切り板は、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されており、単電池111の表面に空間を形成するために用いられる。
【0032】
単電池111としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。本実施例の電池スタック11〜15では、複数の単電池を一方向に並べているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池を用いて1つの電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを一方向に並べることもできる。
【0033】
単電池111の内部には、発電要素が収容されている。発電要素は、充放電を行うことができる要素である。発電要素は、例えば、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されるセパレータ(電解液を含む)とで構成することができる。正極素子は、集電板の表面に正極活物質層を形成したものである。負極素子は、集電板の表面に負極活物質層を形成したものである。
【0034】
単電池111の上面には、正極端子111aおよび負極端子111bが設けられている。正極端子111aは、発電要素の正極素子と電気的に接続されている。負極端子111bは、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。隣り合う2つの単電池111は、バスバーによって電気的に接続される。
【0035】
本実施例では、複数のバスバーが一体的に構成されたバスバーモジュール110を用いている。バスバーモジュール110は、電池スタック11の上面に配置される。バスバーモジュール110は、複数のバスバーと、各バスバーを保持するホルダとを有する。ホルダは、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されている。各バスバーは、絶縁性を有するカバー(例えば、樹脂製のカバー)で覆うことができ、カバーは、ホルダに取り付けることができる。
【0036】
電池スタック11の両端には、一対のエンドプレート112が配置されている。拘束バンド113は、複数の単電池111の配列方向に延びており、拘束バンド113の両端部が一対のエンドプレート112に固定されている。電池スタック11の上面には、2つの拘束バンド113が配置され、電池スタック11の下面にも、2つの拘束バンド113が配置されている。
【0037】
拘束バンド113をエンドプレート112に固定することにより、一対のエンドプレート112は、互いに近づく方向に変位する。これにより、一対のエンドプレート112によって挟まれた複数の単電池111に対して、拘束力を与えることができる。隣り合う2つの単電池111の間には、スペーサが配置されており、隣り合う2つの単電池111の間には、空気が進入することができる。
【0038】
吸気チャンバ114および排気チャンバ115は、電池スタック11の両側面に配置される。具体的には、吸気チャンバ114および排気チャンバ115は、複数の単電池111の配列方向と直交する方向において、複数の単電池111を挟む位置に配置される。吸気チャンバ114は、接続口114aを有しており、接続口114aには、吸気ダクト102からの空気が進入する。吸気チャンバ114の内側に移動した空気は、隣り合う2つの単電池111の間に形成されたスペースに進入する。空気は、吸気チャンバ114から排気チャンバ115に向かって移動する。
【0039】
空気および単電池111の間で熱交換が行われることにより、単電池111の温度を調節することができる。単電池111が充放電によって発熱しているときには、空気が単電池111の熱を奪うことにより、単電池111の温度上昇を抑制することができる。2つの単電池111の間を通過した空気は、排気チャンバ115に移動する。排気チャンバ115の両端には、排気口115aが設けられており、熱交換後の空気は、排気口115aから排出される。排気口115aから排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22の間に形成されたスペースに移動する。
【0040】
電池スタック12〜15の構成は、基本的には、電池スタック11の構成と同様である。ただし、電池スタック11〜15を構成する単電池の数は、互いに異なる。ここで、各電池スタック11〜14を構成する複数の単電池は、車両100の左右方向に並んでおり、電池スタック15を構成する複数の単電池は、車両100の前後方向に並んでいる。
【0041】
図7に示すように、電池スタック11のエンドプレート112には、ボルト117によって、ブラケット116が固定される。ブラケット116は、図8に示すように、ボルト118によってロアーケース22に固定される。これにより、電池スタック11は、ロアーケース22に固定される。
【0042】
ブラケット120は、電池スタック12をロアーケース22に固定するために用いられる。具体的には、ブラケット120は、電池スタック12の一対のエンドプレートに固定されるとともに、ロアーケース22に固定される。ブラケット130は、電池スタック13をロアーケース22に固定するために用いられる。具体的には、ブラケット130は、電池スタック13の一対のエンドプレートに固定されるとともに、ロアーケース22に固定される。ブラケット140は、電池スタック14をロアーケース22に固定するために用いられる。具体的には、ブラケット140は、電池スタック14の一対のエンドプレートに固定されるとともに、ロアーケース22に固定される。
【0043】
ロアーケース22は、2つのリブ22a,22bを有する。リブ22a,22bは、上方に向かって突出しているとともに、車両100の左右方向に延びている。リブ22a,22bは、フレーム222(図5参照)の一部によって構成されている。リブ22aよりも車両100の前方に位置する第1領域S1には、電池スタック12が搭載される。リブ22aおよびリブ22bの間に位置する第2領域S2には、電池スタック11が搭載される。リブ22bよりも車両100の後方に位置する第3領域S3には、電池スタック13,14が搭載される。各電池スタック11〜14は、ブラケット116,120,130,140だけでなく、ブラケット30(図12参照)を用いてロアーケース22に固定されている。
【0044】
図9および図10に示すように、吸気ダクト102には、4つの分岐ダクト51〜54が接続されている。図9は、分岐ダクト51〜54の配置を示す図であり、図10は、分岐ダクト51〜54の上面図である。図11に示すように、分岐ダクト52は、爪部52bを有しており、吸気ダクト102は、爪部52bと係合する凹部102cを有する。爪部52bおよび凹部102cが係合することにより、分岐ダクト52を吸気ダクト102に固定することができる。図11は、図10の矢印D1の方向から見たときの図である。
【0045】
分岐ダクト51,53,54についても、分岐ダクト52の爪部52bに対応する爪部を有しており、吸気ダクト102の凹部102cと係合する。これにより、分岐ダクト51,53,54を吸気ダクト102に接続することができる。吸気ダクト102からの空気は、4つの分岐ダクト51〜54に移動する。図10および図11の点線で示す矢印は、空気の移動方向を示す。
【0046】
分岐ダクト51の接続口51aは、電池スタック11に設けられた吸気チャンバ114の接続口114aと接続している。分岐ダクト51は、電池スタック11のうち、車両100の前方側に位置する側面に接続されている。分岐ダクト51の空気は、電池スタック11の単電池111に供給される。分岐ダクト52の接続口52aは、電池スタック12の吸気チャンバと接続されており、分岐ダクト52の空気は、電池スタック12の単電池に供給される。分岐ダクト52は、電池スタック12のうち、車両100の前方側に位置する側面に接続されている。
【0047】
分岐ダクト53の接続口53aは、電池スタック13の吸気チャンバと接続されており、分岐ダクト53の空気は、電池スタック13の単電池に供給される。分岐ダクト53は、電池スタック13のうち、車両100の前方側に位置する側面に接続されている。分岐ダクト54の接続口54aは、電池スタック14の吸気チャンバと接続されており、分岐ダクト54の空気は、電池スタック14の単電池に供給される。分岐ダクト54は、電池スタック12のうち、車両100の後方側に位置する側面に接続されている。
【0048】
図9に示すように、吸気ダクト102の下方には、電子機器60が配置されている。電子機器60は、ロアーケース22に固定されている。電子機器60は、電池スタック11〜15の充放電を制御するために用いられる機器である。電子機器60としては、例えば、システムメインリレーやレジスタがある。システムメインリレーは、電池スタック11〜15の充放電を許容したり、禁止したりする。システムメインリレーやレジスタは、ジャンクションボックスに取り付けられる。
【0049】
図12に示すように、分岐ダクト51〜54の上面には、台座(支持部材の一部に相当する)80が配置される。台座80は、吸気ダクト102の一部の上面にも位置している。上方から見たときに、台座80および分岐ダクト51〜54は、互いに重なっている。台座80は、下方に延びる脚(不図示)を有しており、脚の先端がロアーケース22に固定される。これにより、分岐ダクト51〜54の上面において、台座80を位置決めすることができる。本実施例では、脚を用いて台座80を固定しているが、これに限るものではない。例えば、隣り合う2つの電池スタック(11〜14)の間に、ブラケットを配置し、ブラケットに台座を固定することができる。
【0050】
台座80の上面には、複数のスタッドボルト81が設けられており、各スタッドボルト81には、ネジ溝が形成されている。台座80の上面には、電池スタック15が配置される。電池スタック15は、複数の単電池151を有し、複数の単電池151は、一方向(車両100の前後方向)に並んでいる。
【0051】
電池スタック15の両端には、一対のエンドプレート152が配置されている。拘束バンド153は、車両100の前後方向に延びており、拘束バンド153の両端は、一対のエンドプレート152に固定される。電池スタック15の上面には、2つの拘束バンド153が配置され、電池スタック15の下面には、2つの拘束バンド153が配置されている。拘束バンド153およびエンドプレート152を用いることにより、複数の単電池151に対して拘束力を与えることができる。
【0052】
2つのブラケット156,158は、ボルト159aによって、各エンドプレート152に固定される。台座80のスタッドボルト81は、ブラケット156,158を貫通して、ナット159bと噛み合う。
【0053】
電池スタック15の両側面には、吸気チャンバ154および排気チャンバ155が配置されている。吸気チャンバ154は、複数の単電池151の配列方向に延びており、吸気チャンバ154の一端には、接続口154aが設けられている。吸気チャンバ154の他端は、塞がれている。排気チャンバ155は、複数の単電池151の配列方向に延びており、排気チャンバ155の一端には、排気口155aが設けられている。排気チャンバ155の他端は、塞がれている。接続口154aは、車両100の前後方向における電池スタック15の一端に設けられ、排気口155aは、車両100の前後方向における電池スタック15の他端に設けられている。接続口154aは、吸気ダクト102と接続され、吸気ダクト102からの空気が吸気チャンバ154に進入する。
【0054】
図13に示すように、吸気チャンバ154は、ワイヤーハーネス70を保持する保持部154bを有する。保持部154bは、吸気チャンバ154の上部に設けられており、単電池151の側にへこんでいる。ワイヤーハーネス70は、保持部154bに収容されており、吸気チャンバ154から突出していない。保持部154bは、複数設けられており、複数の保持部154bは、吸気チャンバ154の長手方向(車両100の前後方向)において、間隔を空けて配置されている。
【0055】
また、排気チャンバ155は、ワイヤーハーネス70を保持する保持部155bを有する。保持部155bは、排気チャンバ155の上部に設けられており、単電池151の側にへこんでいる。ワイヤーハーネス70は、保持部155bに収容されており、排気チャンバ155から突出していない。保持部155bは、複数設けられており、複数の保持部155bは、排気チャンバ155の長手方向(車両100の前後方向)において、間隔を空けて配置されている。
【0056】
保持部154b,155bを用いることにより、ワイヤーハーネス70を電池スタック15に固定することができる。ワイヤーハーネス70を電池スタック15に固定しておくことで、ワイヤーハーネス70および電池スタック15の取り扱いが容易となり、電池パック1を容易に組み立てることができる。また、ワイヤーハーネス70を保持部154b,155bに収容させることにより、図13の左右方向において、電池パック1が大型化するのを防止することができる。
【0057】
本実施例では、電池スタック15の吸気チャンバ154および排気チャンバ155に保持部154b,155bを設けているが、これに限るものではない。電池スタック11〜14の吸気チャンバや排気チャンバに対して、保持部154b,155bに相当する部分を設けることができる。また、吸気チャンバおよび排気チャンバの一方だけに、保持部154b,155bに相当する部分を設けることができる。
【0058】
ブラケット157は、複数の単電池151の配列方向に延びており、排気チャンバ155に固定されている。台座80のスタッドボルト81は、ブラケット157を貫通して、ナット159bと噛み合う。図12には示していないが、吸気チャンバ154にも、ブラケット157が固定されている。3種類のブラケット156〜158を用いることにより、電池スタック15が台座80に固定される。電池スタック15の上面には、図6で説明したように、バスバーモジュールが配置される。
【0059】
電池スタック12〜14は、ブラケット30によって、ロアーケース22に押し付けられている。ブラケット30の形状は、電池スタック12〜14に応じて異なっている。5つの電池スタック11〜15は、ワイヤーハーネス70を介して電気的に接続されている。ロアーケース22の側壁には、開口部22cが形成されており、開口部22cは、電池スタック11〜15および負荷を接続するケーブルを通過させるために設けられている。
【0060】
2つの電池監視ユニット40の一方の付近に、電流遮断器71が配置されている。電流遮断器71は、電池スタック11〜15の電流経路を遮断するために用いられる。電流遮断器71は、プラグと、プラグに差し込まれるグリップとで構成されており、グリップをプラグから抜くことにより、電流経路を遮断することができる。
【0061】
電流遮断器71は、パックケース20の開口部20c(図2参照)を貫通するとともに、フロアパネル101に形成された開口部を貫通している。これにより、電流遮断器71は、車室内に突出しており、作業者は車室内で電流遮断器71を操作することができる。電流遮断器71は、シートクッションの下方に形成されたスペースに位置させることができる。また、パックケース20の開口部20cおよびフロアパネル101の間の密閉性を確保するために、シール部材を用いることができる。
【0062】
次に、電池パック1の回路構成について、図14を用いて説明する。
【0063】
本実施例では、5つの電池スタック11〜15を用いて、2つの組電池91,92を構成しており、組電池91,92は、電気的に並列に接続している。組電池91,92を構成する単電池の数は、互いに等しい。組電池91,92は、負荷に接続されている。負荷としては、例えば、モータ・ジェネレータ、昇圧回路、インバータがある。
【0064】
図12に示す2つの電池監視ユニット40の一方は、組電池91の状態を監視するために用いられ、他方の電池監視ユニット40は、組電池92の状態を監視するために用いられる。組電池91,92の状態には、電流、電圧、温度が含まれる。電圧には、各組電池91,92の電圧、単電池の電圧、組電池91,92を構成する複数の単電池を複数のブロックに分けたときの電圧が含まれる。各ブロックには、2つ以上の単電池が含まれる。温度には、各組電池91,92を1箇所又は複数箇所で測定したときの温度が含まれる。
【0065】
電池監視ユニット40で監視される電流、電圧および温度は、電池スタック11〜15の充放電を制御するために用いられる。例えば、電流等は、電池スタック11〜15のSOCを推定するために用いたり、電池スタック11〜15の劣化状態を推定するために用いたりする。また、電圧等は、電池スタック11〜15の過充電や過放電を抑制するために用いられる。
【0066】
組電池91は、2つの電池スタック11,15と、電池スタック13の一部とで構成されており、電池スタック11,15,13の単電池は電気的に直列に接続されている。組電池92は、2つの電池スタック12,14と、電池スタック13の一部とで構成されており、電池スタック12,14,13の単電池は電気的に直列に接続されている。
【0067】
各電池スタック11〜15には、ヒューズ72が設けられている。電池スタック11および電池スタック15の間には、電流遮断器71が設けられており、電池スタック12および電池スタック14の間には、電流遮断器71が設けられている。2つの電流遮断器71は、一体的に構成されており、電流遮断器71のグリップを引き抜くことにより、各組電池91,92の電流経路を同時に遮断することができる。
【0068】
組電池91のプラス端子には、システムメインリレーSMR_B1が接続されており、組電池92のプラス端子には、システムメインリレーSMR_B2が接続されている。組電池91,92のマイナス端子には、システムメインリレーSMR_Gが接続されている。システムメインリレーSMR_Pおよび抵抗73は、システムメインリレーSMR_Gと並列に接続されている。システムメインリレーSMR_B1,B2,G,Pは、上述した電子機器50に含まれる。
【0069】
組電池91,92および負荷を電気的に接続するためには、まず、システムメインリレーSMR_B1,B2およびシステムメインリレーSMR_Pを、オフからオンに切り替える。次に、システムメインリレーSMR_Gをオフからオンに切り替えた後に、システムメインリレーSMR_Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池91,92の充放電を行うことができる。一方、組電池91,92を、直流電源又は交流電源と接続することにより、組電池91,92の充電を行うことができる。
【0070】
本実施例では、電池スタック13に含まれる2つの単電池を電気的に並列に接続している。この構造について、図15および図16を用いて説明する。図15は、電池スタック13の構成を示す概略図であり、図16は、電池スタック13におけるバスバーの接続構造を示す図である。図15では、電池スタック13の単電池を省略して示している。
【0071】
図15において、電池スタック13の両端に位置する2つの単電池では、各正極端子131aにワイヤーハーネス70が接続されている。図14で説明したように、2つのワイヤーハーネス70のうち、一方のワイヤーハーネス70は、電池スタック12の一端に位置する単電池の負極端子に接続されている。他方のワイヤーハーネス70は、電池スタック11の一端に位置する単電池111の負極端子に接続されている。
【0072】
電池スタック13では、2種類のバスバー132,133が用いられている。本実施例では、バスバー132,133が、絶縁性を有する材料(例えば、樹脂)で形成されたホルダに保持されることにより、バスバーモジュールを構成している。図16に示すように、第1バスバー132は、一方の単電池131の正極端子131aと、他方の単電池131の負極端子131bとに接続されている。第1バスバー132と同様のバスバーは、電池スタック11,12,14,15でも用いられている。
【0073】
第2バスバー133は、2つの接続部133a,133bを有しており、2つの負極端子131bに接続されている。具体的には、接続部133aは、隣り合って配置された2つの単電池131のうち、一方の単電池131の負極端子131bに接続されている。接続部133bは、他方の単電池131の負極端子131bに接続されている。また、第2バスバー133には、ワイヤーハーネス70の端子70aが接続されている。
【0074】
図17に示すように、第2バスバー133は、ボルト133cを有している。図17は、図16のC−C断面図である。ボルト133cは、ワイヤーハーネス70の端子70aを貫通した状態において、ナット133dと噛み合っている。これにより、端子70aを第2バスバー133に固定することができる。ホルダ136は、第2バスバー133を保持しており、絶縁性を有する材料で形成されている。ボルト133cおよび端子70aは、カバー137によって覆われており、カバー137は、ホルダ136に取り付けられる。
【0075】
ボルト133cの下方には、仕切り板134が位置している。ボルト133cおよび端子70aを接続するときに、下方向への外力が作用すると、ホルダ136の下面は、仕切り板134の上面に接触する。これにより、ボルト133cおよび端子70aを接続するときの負荷が単電池131に作用するのを防止することができる。
【0076】
仕切り板134は、隣り合う2つの単電池131の間に配置され、単電池131の表面にスペースを形成するために用いられる。このスペースは、後述するように、単電池131の温度を調節するための空気が移動するスペースとなる。仕切り板134は、複数の突起部134aを有しており、各突起部134aの先端が単電池131に接触することにより、単電池131の表面にスペースを形成することができる。
【0077】
本実施例では、各突起部134aが、図17の左右方向に延びており、複数の突起部134aが、図17の上下方向において並んでいる。なお、突起部134aの形状は、図17に示す形状に限るものではない。すなわち、単電池131の表面に、空気を移動させるスペースを形成することができればよい。一方、仕切り板134の上方および下方には、単電池131に対して拘束力を与えるための拘束バンド135が配置されている。
【0078】
第2バスバー133を用いることにより、隣り合って配置された2つの単電池131を電気的に並列に接続することができる。これにより、電池スタック13を構成する複数の単電池131を、並列に接続される2つの組電池91,92に振り分けることができる。また、第2バスバー133の取り付け位置を自由に変更できるため、電池スタック13において、電気的に並列に接続される2つの単電池131を自由に決めることができる。
【0079】
なお、本実施例では、第2バスバー133が2つの負極端子131bに接続されているが、2つの正極端子131aに接続することもできる。この場合には、図14に示す組電池91,92の正極および負極が逆になる。また、第2バスバー133の形状は、図15および図16に示す形状に限るものではない。すなわち、第2バスバー133は、同一極性の端子に接続されているとともに、ワイヤーハーネス70に接続されていればよい。
【0080】
次に、電池パック1に供給される空気の流れについて、図18〜図20を用いて説明する。
【0081】
図18に示すように、吸気ダクト102からの空気は、電池スタック15に導かれるとともに、分岐ダクト41〜44を通過して電池スタック11〜14に導かれる。空気が電池スタック15に移動すると、図19の矢印で示すように、空気は、吸気チャンバ154に沿って移動するとともに、隣り合う2つの単電池151の間に形成されたスペースに進入する。空気および単電池151の間で熱交換が行われることにより、単電池151の温度が調節される。
【0082】
電池スタック15に導かれた空気は、吸気チャンバ154から排気チャンバ155に向かって移動する。熱交換後の空気は、排気チャンバ155に移動し、排気チャンバ155の排気口155aから排出される。排気口155aから排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペース(電池スタック11〜15の収容スペース)に移動する。
【0083】
分岐ダクト51を通過する空気は、電池スタック11に導かれる。電池スタック11に導かれた空気は、吸気チャンバ114に沿って移動する。ここで、空気は、電池スタック11の両端に向かって移動する。また、空気は、電池スタック11の配列方向に沿って移動するとともに、隣り合う2つの単電池111の間に形成されたスペースに進入する。空気および単電池111の間で熱交換が行われることにより、単電池111の温度が調節される。熱交換後の空気は、排気チャンバ115に移動し、電池スタック11の両端に設けられた排気口115aから排出される。排気口115aから排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0084】
分岐ダクト52から電池スタック12に導かれた空気は、吸気チャンバ内で電池スタック12の両端に向かって移動するとともに、隣り合う2つの単電池の間に形成されたスペースに移動する。ここで、単電池との間で熱交換が行われた空気は、排気チャンバに移動し、電池スタック12の両端に設けられた排気口から排出される。電池スタック12の排気口から排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0085】
分岐ダクト53から電池スタック13に導かれた空気は、吸気チャンバ内で電池スタック13の両端に向かって移動するとともに、隣り合う2つの単電池の間に形成されたスペースに移動する。ここで、単電池との間で熱交換が行われた空気は、排気チャンバに移動し、電池スタック13の両端に設けられた排気口から排出される。電池スタック13の排気口から排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0086】
分岐ダクト54から電池スタック14に導かれた空気は、吸気チャンバ内で電池スタック14の両端に向かって移動するとともに、隣り合う2つの単電池の間に形成されたスペースに移動する。ここで、単電池との間で熱交換が行われた空気は、排気チャンバに移動し、電池スタック14の両端に設けられた排気口から排出される。電池スタック14の排気口から排出された空気は、アッパーケース21およびロアーケース22で囲まれたスペースに移動する。
【0087】
電池スタック13の排気チャンバと、電池スタック14の排気チャンバとは、車両100の前後方向において向かい合っている。ここで、電池スタック13,14は、車両100の前後方向において近づいている。すなわち、電池スタック13,14の間隔は、電池スタック11,12の間隔や、電池スタック11,13の間隔よりも狭くなっている。このように電池スタック13,14を近づけて配置すると、例えば、電池スタック13の排熱が電池スタック14の単電池に到達してしまうおそれがある。
【0088】
本実施例では、電池スタック13,14の排気チャンバが、向かい合っているため、例えば、電池スタック13の排気チャンバの熱は、電池スタック14の排気チャンバに到達するだけである。電池スタック13からの熱は、電池スタック14の排気チャンバに到達しても、電池スタック14の排気チャンバから排出されるだけである。したがって、電池スタック13からの熱が、電池スタック14の単電池に到達するのを防止することができる。
【0089】
パックケース20の内部に存在する空気(熱交換後の空気)は、排気ダクト106に導かれて、パックケース20の外部に移動する。排気ダクト106に進入した空気は、排気ダクト106に沿って移動し、排気口106b(図1参照)から車両100の外部に排出される。
【0090】
図18〜図20に示すように、電池スタック15の下方には、電子機器60が配置されているため、電子機器60で発生した熱が、上昇して電池スタック15に到達しやすい。本実施例では、電池スタック15および吸気ダクト102の接続部分が、電子機器60の上方に位置している。また、鉛直方向において、電子機器60は、すべての分岐ダクト51〜54と向かい合っている。このため、電池スタック15のうち、電子機器60の熱が到達しやすい部分には、吸気ダクト102からの空気が最初に到達する。したがって、電池スタック15の一部分だけが、電子機器60の熱によって温められるのを抑制することができる。そして、複数の単電池151の配列方向において、単電池151の温度にバラツキが発生するのを抑制することができる。
【0091】
また、本実施例では、図19に示すように、上方から見たときに、電池スタック15と、各電池スタック11〜14とが交差するように配置されている。このような構成では、各電池スタック11〜14で発生した熱が、上昇して電池スタック15に向かうことがある。例えば、電池スタック11で発生した熱は、電池スタック15に含まれる一部の単電池151に向かうことになる。一部の単電池151だけに熱が加わると、電池スタック15の配列方向において、単電池151の温度にバラツキが生じてしまう。
【0092】
本実施例では、電池スタック15および各電池スタック11〜14の間に、分岐ダクト51,53,54が配置されている。具体的には、電池スタック11の上方には、電池スタック13,14に接続される分岐ダクト53,54が位置している。電池スタック12の上方には、電池スタック11,13,14に接続される分岐ダクト51,53,54が位置している。電池スタック13の上方には、電池スタック14に接続される分岐ダクト54が位置している。電池スタック14の上方には、電池スタック14に接続される分岐ダクト54が位置している。
【0093】
このように配置された分岐ダクト51,53,54によって、各電池スタック11〜14で発生した熱が、電池スタック15に到達するのを阻止することができる。また、分岐ダクト51,53,54には、冷却用の空気が流動しているため、各電池スタック11〜14の熱が分岐ダクト51,53,54に到達しても、分岐ダクト51,53,54に熱が留まることもない。
【0094】
このように、本実施例では、各電池スタック11〜14の熱によって、電池スタック15が部分的に温まるのを防止でき、電池スタック15の配列方向において、単電池151の温度にバラツキが生じるのを抑制することができる。単電池151の温度のバラツキを抑制すれば、温度に起因した単電池151の劣化のバラツキを抑制することができる。これにより、電池スタック15内のすべての単電池151の寿命を揃えることができ、すべての単電池151を寿命時期まで使用し続けることができる。
【0095】
本実施例では、電池パック1を上方から見たときに、分岐ダクト51〜54が電池スタック15の配置領域内に位置している。すなわち、上方から見たときに、分岐ダクト51〜54は、電池スタック15からはみ出していない。これにより、電池スタック15と、各電池スタック11〜14との間に形成されたスペースに、分岐ダクト51〜54を効率良く配置することができ、電池パック1の大型化を抑制することができる。
【0096】
本実施例のように、センタートンネル101aの内側に電池スタック15を配置することにより、より多くの数の電池スタック11〜15によって電池パック1を構成することができる。センタートンネル101aは、運転席および助手席の間に位置しているため、センタートンネル101aを設けても、車室内の居住性に悪影響を与えることもない。
【0097】
また、電池スタック15をセンタートンネル101a内に配置するとともに、電子機器60および電池スタック11〜14を、同一面内に配置することにより、フロアパネル101に沿って電池パック1を配置することができる。言い換えれば、電池パック1を車両100の外面に沿って効率良く配置でき、電池パック1が車両100の上下方向において大型化するのを防止することができる。
【0098】
本実施例では、フロアパネル101のセンタートンネル101aに、1つの電池スタック15を配置しているが、これに限るものではない。例えば、複数の電池スタックを、センタートンネル101aに配置することができる。センタートンネル101a内に配置される複数の電池スタックは、車両100の前後方向に並んでいてもよいし、車両100の左右方向に並んでいてもよい。一方、電池スタック15の全体が、センタートンネル101aの内側に位置している必要はなく、電池スタック15の一部だけを、センタートンネル101aの内側に位置させることができる。
【0099】
本実施例では、図14で説明したように、2つの組電池91,92を電気的に並列に接続しているが、これに限るものではない。例えば、組電池91,92を直列に接続することができる。また、電池スタック11〜15を用いて3つ以上の組電池を構成し、これらの組電池を電気的に並列に接続することもできる。一方、本実施例では、車両100の外部に存在する空気を電池パック1に供給しているが、車室内の空気を電池パック1に供給することができる。また、空気の代わりに、他の冷却媒体(気体)を用いることもできる。
【0100】
電池スタック15の下方には、電池スタック11〜14および電子機器60が配置されているが、これに限るものではない。例えば、電池スタック15の下方に電子機器60だけを配置することができる。電池スタック15は、複数の単電池151等で構成されており、電子機器60よりも大きい。そこで、電池スタック15をフロアパネル101に沿って配置するとともに、電池スタック15の下方に電子機器60を配置することにより、電池スタック15および電子機器60を、フロアパネル101に対して効率良く配置することができる。電子機器60を電池スタック15の上方に配置すると、電池スタック15および電子機器60の間にデッドスペースが生じやすい。本実施例のように、電子機器60を電池スタック15の下方に配置すれば、デッドスペースを発生しにくくすることができる。
【0101】
本実施例では、電池スタック15の下方に、4つの電池スタック11〜14を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、電池スタック15の下方に配置される電池スタックの数は、1つ以上とすることができる。また、本実施例では、上方から見たときに(図19参照)、電池スタック15と、各電池スタック11〜14とは、互いに直交するように配置しているが、これに限るものではない。電池スタック15と、各電池スタック11〜14とは、互いに交差するように配置されていればよい。
【符号の説明】
【0102】
1:電池パック(蓄電装置)
11〜14:電池スタック(第2蓄電スタック)
15:電池スタック(第1蓄電スタック)
110:バスバーモジュール 111,151:単電池(蓄電素子)
111a,131a:正極端子 111b,131b:負極端子
112,152:エンドプレート 113,153:拘束バンド
114,154:吸気チャンバ 115,155:排気チャンバ
154b,155b:保持部 116:ブラケット
132:第1バスバー 133:第2バスバー
100:車両 101:フロアパネル
102:吸気ダクト 106:排気ダクト
20:パックケース 21:アッパーケース
22:ロアーケース 221:ロアキャリア
222:フレーム(補強フレーム) 30:ブラケット
40:電池監視ユニット 51〜54:分岐ダクト
60:電子機器 70:ワイヤーハーネス
71:電流遮断器 80:台座(支持部材)
91,92:組電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含む第1蓄電スタックと、
前記第1方向とは異なる第2方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含み、前記第1蓄電スタックの下方に配置された第2蓄電スタックと、
冷却媒体を移動させるダクトと、を有し、
前記ダクトは、前記第1蓄電スタックに沿って配置され、前記第1蓄電スタックおよび前記第2蓄電スタックの間に位置していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記第2蓄電スタックを複数有することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記複数の第2蓄電スタックは、前記第1方向に並んでいることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記ダクトは、前記第2蓄電スタックのそれぞれに接続されており、前記第2蓄電スタックに冷却媒体を供給することを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第2蓄電スタックのそれぞれに接続された前記ダクトは、前記冷却媒体の移動経路の上流側において、互いに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電装置の充放電を制御するために用いられる電子機器を有し、
前記電子機器は、前記複数のダクトの下方であって、前記複数のダクトと対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記第1方向および前記第2方向は、互いに直交する方向であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の蓄電装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の蓄電装置と、
前記蓄電装置からの電力を受けて、車両を走行させる運動エネルギを生成するモータ・ジェネレータと、
を有することを特徴とする車両。
【請求項1】
第1方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含む第1蓄電スタックと、
前記第1方向とは異なる第2方向に並んで配置された複数の蓄電素子を含み、前記第1蓄電スタックの下方に配置された第2蓄電スタックと、
冷却媒体を移動させるダクトと、を有し、
前記ダクトは、前記第1蓄電スタックに沿って配置され、前記第1蓄電スタックおよび前記第2蓄電スタックの間に位置していることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記第2蓄電スタックを複数有することを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記複数の第2蓄電スタックは、前記第1方向に並んでいることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記ダクトは、前記第2蓄電スタックのそれぞれに接続されており、前記第2蓄電スタックに冷却媒体を供給することを特徴とする請求項2又は3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第2蓄電スタックのそれぞれに接続された前記ダクトは、前記冷却媒体の移動経路の上流側において、互いに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電装置の充放電を制御するために用いられる電子機器を有し、
前記電子機器は、前記複数のダクトの下方であって、前記複数のダクトと対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記第1方向および前記第2方向は、互いに直交する方向であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の蓄電装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の蓄電装置と、
前記蓄電装置からの電力を受けて、車両を走行させる運動エネルギを生成するモータ・ジェネレータと、
を有することを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−54052(P2012−54052A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194529(P2010−194529)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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