説明

薄い、難溶性の被覆の製造方法

【課題】公知方法に対して他の材料組成で他の表面層の製造を可能にすることである。その際この方法は、それにもかかわらず生態的および経済的見地から簡単に実施できるべきである。
【解決手段】金属層を製造するために、所望の層厚に依存して循環的に実施すべき以下の処理工程:基板表面に層を形成するために、少なくとも1種の適当な出発物質を被覆する工程、形成された出発物質層を、不活性ガス流中でまたは蒸発により乾燥する工程、金属層を形成するために、乾燥した出発物質層を、湿った、還元作用する反応物質ガスでガス処理する工程、および未反応の出発成分または好ましくない副生成物を除去するために、形成された金属層を熱処理する工程工程を有する、任意の形状の基板上に薄い、難溶性の被覆を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の形状の基板に薄い、難溶性の被覆を製造する方法に関する。その際有利にはセラミック層および酸化物層、および金属層および他のカルコゲニド層が製造されるべきである。
【背景技術】
【0002】
ドイツセラミック協会の定義(Technische Keramik B.Htier 編、Vulkan Verlag Essen 1988、2〜25頁参照)によれば、セラミック材料は無機物であり、非金属であり、水に溶解しにくく、少なくとも30%が結晶質である。しかしながらガラス、ガラスセラミックおよび無機結合剤の群により拡大することができる。セラミック材料は2つの大きな群、機能セラミックおよび構造セラミックに分類される。構造セラミックにおいては主族元素の酸化物および珪酸塩、炭化物、窒化物、ホウ化物および珪化物(MoSi)を基礎とする材料が考慮される。
【0003】
体系的な考察において、酸化物セラミックは、実質的に(90%より多くが)単相で一成分の金属酸化物からなるすべてのセラミック材料であると理解することができる。これに対して、ホウ素、炭素、窒素、珪素および事情により酸素の系からのセラミック製造材料を基礎とするすべての材料を非酸化物セラミックとよぶ。酸化物セラミック材料は純粋な酸化物または酸化物化合物からなる多結晶材料である。これは高い純度を有し、一般にガラス相を含まない。高溶融金属酸化物、例えばアルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物およびベリリウム酸化物、および酸化カリウムのほかに、高い誘電率を有する磁性セラミック材料および物質、圧電セラミックがこれに属する。一般には高溶融酸化物に限定される。しかしながら二酸化珪素(SiO)は酸化物セラミックに分類されない。従っておよび適しているが、セラミック材料に属さない他の酸化物を考慮して、本発明はセラミック層および酸化物層の製造に関する。酸化物セラミック材料の場合は更に単純な酸化物と複雑な酸化物に区別される。これには例えば粗い構造を有するクロマイトおよびペロブスカイト、フェライトおよび微細な構造を有するグラネートが属する。
【0004】
難溶性の層は、従来は、例えばスパッタリングまたは蒸着により、ゾル−ゲル技術、化学的浸漬析出または蒸気相からの析出(金属有機化学蒸着、MOCVD)により表面に被覆することができる。「スプレーCVDにより析出した酸化亜鉛薄膜のレーザーアニーリング(Laser annealing of zinc oxide thin film deposited by spray−CVD)」G.K.Bhaumik等、Elsevier Materials Science and Engineering B52(1988)25−31の論文から、多結晶ZnOフィルムを石英基板およびシリコン基板にスプレーCVD法により被覆することが知られている。被覆したフィルムを、引き続き結晶構造を改良するために、レーザー照射により加熱することができる。硝酸亜鉛水溶液を用いる噴霧熱分解によるドープしていないZnOフィルムの析出は、「硝酸亜鉛溶液の噴霧熱分解により成長したドープしていないZnOの光学的および電気的特性(Optical and electrical properties of undoped ZnO films grown by spray pyrolyse of zinc nitrate solution)」 S.A.Studeniki等、J.of Appl.Phys.Vol83、No4、1998年2月15日,2104−11の論文から知られている。この論文の重要点は熱分解温度とZnOフィルムの構造的、電気的および光学的特性の関係を求めることにある。例えば窒素中400℃での試料基板の加熱により種々の温度が達成された。
【0005】
スパッタリング(ZnOに関しては、Use of a helicon wave excited plasma of aluminium−doped ZnO thin−film sputtering、K.ヤマヤ等、Appl.Phys.Lett.72(2)、1998年1月12日、235−37を参照)の際に金属カソードからガス放出の衝突するイオンにより原子が溶出する(カソード飛散)。飛散した金属は引き続き表面に均一な層として沈積する。マイクロ波領域の存在での酸素含有プラズマを利用した分子線エピタキシーにより、c−平面サファイアに単結晶のZnO薄層を製造することができる(Plasma assisted molecular beam epitaxy of ZnO on c−plane sapphire:Growth and characterisation Y.Chen等、J.of Appl.Phys.Vol84、No7、1998年10月1日、3912−18参照)。良好な品質を有するZnOフィルムを、低い処理温度で水溶液から直接電気的析出により製造することができる(Preparation Of ZnO Films By Electrodeposition From Aqueous Solution S.Peulon等、13th Europ.Photovoltaic Solar Energy Conference 1995年10月23−27日、Nice France1750−52参照)。ゾル−ゲル技術の場合は(Microstructure of TiO and ZnO Films Fabricated by the Sol−Gel−Methode Y.オオヤ等、J.Am.Ceram.Soc.79[4]825−30(1996)参照)、ゾルとして存在するコロイド溶液が水と反応し、溶剤を取り去り、固体の吸着した溶剤残部と一緒に硬化してゲルを形成し、ゲルを表面に堆積し、乾燥することができる。
【0006】
化学的浸漬析出(Chemical Bath Deposition CBD ZnO/CdS/CIS/Mo−Strukturen:Effects of Cd−Free Buffer Layer For CuInSe Thin Solar Cells T.Nii等、First WCPEC:1994年12月5−9日、ハワイ、254−57参照)の場合は、難溶性の金属カルコゲニド層を製造する際に2つの異なる変法、SILAR法(逐次的イオン層吸着および反応)およびカルコゲノ尿素法に区別される。
【0007】
開示文献、「エータ太陽電池のきわめて薄い吸収体としてのCuInS(CuInS as an extremely thin absorber in an eta solar cell)」J.Moeller等(Conference Proceedings of the 2nd World Conference and Exhibition on Photovoltaic Solar Energy Conversion、1998年6月6−10日、209−211頁、XP002110735 Vienna)の対象は、種々の材料の組成が表示されている、前記方法から出発する薄い金属カルコゲニド層の改良された製造方法である。この方法ではまず基板にイオンが堆積するように基板に金属化合物の溶液を被覆する。引き続き基板から乾燥工程で溶剤を除去する。その後カルコゲン水素含有ガスを、金属イオンとの反応を引き起こすために、堆積したイオン層と接触する。この方法により均一な金属カルコゲニド層を同じ品質で簡単に製造することができる。この層は、例えば太陽電池に吸収体層または緩衝体層として使用される。この発明は、ILGAR(Ionic Layer Gas Reaction)法と呼ぶことができる、この論文に記載された方法から自然に思いつく技術水準として出発する。
【非特許文献1】Technische Keramik B.Htier 編、Vulkan Verlag Essen 1988、2〜25頁
【非特許文献2】Laser annealing of zinc oxide thin film deposited by spray−CVD)」G.K.Bhaumik等、Elsevier Materials Science and Engineering B52(1988)25−31
【非特許文献3】Optical and electrical properties of undoped ZnO films grown by spray pyrolyse of zinc nitrate solution)」 S.A.Studeniki等、J.of Appl.Phys.Vol83、No4、1998年2月15日,2104−11
【非特許文献4】Use of a helicon wave excited plasma of aluminium−doped ZnO thin−film sputtering、K.ヤマヤ等、Appl.Phys.Lett.72(2)、1998年1月12日、235−37
【非特許文献5】Plasma assisted molecular beam epitaxy of ZnO on c−plane sapphire:Growth and characterisation Y.Chen等、J.of Appl.Phys.Vol84、No7、1998年10月1日、3912−18
【非特許文献6】Preparation Of ZnO Films By Electrodeposition From Aqueous Solution S.Peulon等、13th Europ.Photovoltaic Solar Energy Conference 1995年10月23−27日、Nice France1750−52
【非特許文献7】Microstructure of TiO2 and ZnO Films Fabricated by the Sol−Gel−Methode Y.オオヤ等、J.Am.Ceram.Soc.79[4]825−30(1996)
【非特許文献8】Chemical Bath Deposition CBD ZnO/CdS/CIS/Mo−Strukturen:Effects of Cd−Free Buffer Layer For CuInSe2 Thin Solar Cells T.Nii等、First WCPEC:1994年12月5−9日、ハワイ、254−57
【非特許文献9】「エータ太陽電池のきわめて薄い吸収体としてのCuInS2(CuInS2 as an extremely thin absorber in an eta solar cell)」J.Moeller等(Conference Proceedings of the 2nd World Conference and Exhibition on Photovoltaic Solar Energy Conversion、1998年6月6−10日、209−211頁、XP002110735 Vienna)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この公知方法に対して、本発明の課題は、他の材料組成で他の表面層の製造を可能にすることである。その際この方法は、それにもかかわらず生態的および経済的見地から簡単に実施できるべきである。更にその場合に使用される材料により拡大された使用範囲を達成すべきである。カルコゲニド構造を有する公知の被覆に比べて使用される物質の利用が改良され、品質が改良された被覆が、この問題領域で副次的な目標として同様に所望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、前記の主要課題の解決手段として、金属層を選択的に製造するために、所望の層厚に依存して循環的に実施すべき以下の処理工程:
I.基板表面に層を形成するために、少なくとも1種の適当な出発物質を被覆する工程、
II.形成された出発物質層を、不活性ガス流中でまたは蒸発により乾燥する工程、
III.相当する水酸化物層または錯体層に変換するために、乾燥した出発物質層を、湿った反応物質ガス(RG)でガス処理する工程、
IV.それぞれの最終層を形成するために、形成された水酸化物層または錯体層(HL)を熱処理する工程、および
引き続き未反応の出発成分または好ましくない副生成物の発生に依存して、
V.これらを除去するために洗浄し、引き続き乾燥する工程
を有する任意の形状の基板上に薄い、難溶性の被覆を製造する方法が提供される。
【0010】
金属層を製造する本発明の方法の有利な構成は、従属請求項に記載されている。その内容は本発明に関する一般的な構成に関連して以下に詳細に説明する。
【0011】
本発明の方法により、難溶性の酸化物のフィルムおよび一般に乾燥した固体の出発化合物を気体の反応成分と反応することにより形成される化合物のフィルムを簡単に製造することができる。このために反応物質ガスとして湿ったアンモニアガスを使用する際に、均一な表面を形成するために乾燥した出発物質層の、水酸化物または錯体、例えばアミン錯体を形成するための湿った反応物質ガスによる最初に行われる加水分解が決定的である。反応物質ガスは、他の、有利には塩基性の反応蒸気または事情により水蒸気だけであってもよい。蒸気の名称は常に湿ったガス、すなわち気体の水、塩基性ガスおよび多くの場合に不活性キャリアガスを表わすべきである。湿ったアンモニアガスは、水性アンモニア溶液を有する洗浄びんに窒素を一回泡立たせて通過することにより生成する。ガス処理による金属層の形成は相当して還元作用するガスでの処理を必要とする。
【0012】
ガス処理の後に続く熱処理の実施により、引き続き水の分離により、および錯体の場合は配位子の分離により、所望のセラミック表面層または酸化物表面層または他の最終層が形成される。水酸化物層または錯体層の熱処理は別の処理工程で反応物質ガスでのガス処理の後に、例えば炉内で層を加熱することにより行うことができる。熱処理は、方法に随伴してガス処理の際に処理温度を高めることにより実施することもできる。高い温度を使用することにより、事情により任意の浄化工程を省くことができ、それというのもこれによりすでに好ましくない物質をフィルムから除去できるからである。更に所定の場合に意図的に引き起こされる温度の上昇を使用せずに、直接酸化物を形成することができる。カルコゲニド層を製造する際に熱処理を2つの必要なガス処理に広げることができる。それぞれの最終層を形成するための熱処理は個々の場合に妨害する成分を除去する意味で理解することができる。金属層を製造する際にこれは、好ましくない副生成物を除去するために利用する。
【0013】
出発物質は一般に金属化合物、例えば金属ハロゲン化物、例えばZnClまたはAlClであり、これらの金属、酸化物、セラミック(例えばZnO、Al)または金属が最終生成物として被覆に所望される。引き続き適当な溶解した金属塩を基板に被覆し、乾燥し(場合により所定の残留湿分にまで)、気体の反応成分と反応させる。
【0014】
本発明の方法により製造される層を、ソーラー技術に、太陽電池の多くの成分を製造する際に使用することができる。材料技術においてすべての可能な滑らかな、粗いおよび多孔質の基板の被覆を行うことができる。更に本発明の方法は出発物質混合物または種々の出発物質の使用およびこれらの交代する使用により、均一なドープした層および混合層の製造および多層の形成を可能にする。薄い、難溶性の被覆は、特に拡大された表面保護が求められる至る所で使用することができる。この場合には純粋に表面の機械的および化学的保護であってもよいが、例えば導電性、反射特性および吸収特性または触媒作用または化学吸着のような物理的および化学的表面特性の作用であってもよい。
【0015】
更に公知方法に比較して優れた点として、以下の特徴が挙げられる。
・ほどよい、問題のない処理パラメータ、真空を使用しないことによる低い費用
・処理パラメータの変動に対する強さ
・進行すべきサイクルの数による簡単な層厚の調節
・製造される層の高い再現可能性
・任意の表面を有する基板の均一な被覆
・陰影のある内部表面の被覆
・出発物質の完全な利用および
・簡単な自動化可能性。
【0016】
出発化合物の結晶構造から出発して、硫化物、セレン化物またはテルル化物を形成するカルコゲン化工程の際に、先願のドイツ特許第1983114.8号に記載されたILGAR法において所定の場合に結晶構造を変動する。
【0017】
これは変換エネルギーを必要とするが、このエネルギーは室温でILGAR法を実施する際に限られた程度でしか存在しない。このことはその場合に出発物質から最終生成物への低い変換率または緩慢な反応速度を生じ、従って出発化合物の残りが製造した金属カルコゲニド薄膜中に沈積し、付加的に用意された洗浄工程によってのみ除去することができる。従ってILGAR法においてフィルム品質の低下および長い析出時間が考慮されなければならない。
【0018】
これに対して本発明の方法においては改良を達成することができる。これに関して他のカルコゲニド被覆を選択的に製造するために、乾燥した出発物質層を相当する水酸化物層または錯体層に変換した後にこの被覆を、付加的にカルコゲン水素化合物を含有する反応物質ガスでガス処理する。金属水酸化物の形成およびホットプレスの組み込みを介したこの反応方法により明らかに高い変換率を達成することができ、これにより最終生成物中の出発物質の少ない残留物が生じる。その際硫黄、セレンまたはテルルを基礎とするカルコゲニドの場合は同様に付加的な反応物質ガスとして湿ったアンモニアガス(NH)を使用することができる。この効果の可能な説明としてこの中間工程による低い活性化エネルギーを考慮することができる。更に多くの金属酸化物は結晶構造を有せず、非晶質である。これにより金属酸化物はあまりコンパクトでなく、反応物質ガスをより良好にカルコゲン化層に導入することができる。
【0019】
結晶変換中の増加したエネルギー需要は、一般的な公知の熱処理の意味で、もちろん直接カルコゲン化工程中の高めた処理温度により提供することができる。この場合に基板をハロゲンランプで照射することですでに十分である。炉内部のカルコゲン化工程の実施が同様に可能である。前記の手段は、同時に使用すべきカルコゲン水素含有反応物質ガス量を少なくして純粋で高い価値の薄膜を生じ、析出時間を減少する、それというのも事情により時間、費用および最終生成物の品質を低下することがある洗浄工程を省くことができるからである。水酸化物反応の導入の際に出発物質残留物をもはや予想することがなく、この場合に生じる副生成物はかなり揮発しやすく、適当に温度を選択して最後の処理工程で除去することできる。これに対して最終生成物の結晶の大きさを、高い変換率を維持して小さく保つべき場合は、この場合に水酸化物工程と少なく高めた処理温度の組み合わせが重要であるほど、温度を必要なだけ小さく上昇しなければならない。ナノ結晶子は、薄膜中に量子−サイズ効果を生じ、材料の光学的および電気的特性に影響を及ぼすので、研究および技術で重要性が高まっている。
【0020】
本発明の実施例を以下に図面により詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
図1は非晶質の基板S上の酸化亜鉛層の製造を示し、該基板は三次元空間内で実施可能な基板支持体SHに張設されている。個々の浴を被覆するために、基板支持体SHは蓋Cを有する。第1処理工程Iで基板Sを、適当な出発物質P(前駆物質)に浸漬する。その際選択された実施態様において溶解した金属化合物、塩化亜鉛ZnClを有する溶剤浴LBを使用する。引き出し後、出発物質層PL、この場合にZnClは基板表面上に存在する。
【0022】
第2処理工程でZnCl層を、容器V中で最初に、例えばガス流GSの導入により乾燥させる。この場合に不活性窒素であってもよい。引き続き第3処理工程で再び容器V中で乾燥した出発物質層PLDを湿った反応物質ガスRG、この場合に湿ったアンモニアガスでガス処理する。湿ったアンモニアガスは、濃縮したアンモニア溶液NHOHおよび水HOが存在する洗浄びんBに窒素Nを一回通過することにより製造する。ガス処理後、基板Sに水酸化物層HL、実施例では水酸化亜鉛Zn(OH)が形成される。乾燥し、ガス処理するために、種々の容器Vを使用することもできる。
【0023】
第4処理工程IVで水酸化亜鉛Zn(OH)を備えた基板Sを炉Hに導入する。エネルギー供給によりこの処理工程IVでZn(OH)は水を分離して酸化亜鉛ZnOに熱的に変換する。この酸化物層もしくはセラミック層OL/CLを基板に、その全部の接近可能な表面に、および内側の表面に確実に被覆し、ここでその機能を及ぼす。洗浄および乾燥の引き続く処理工程は任意であり、ここでは詳しく説明しない。所望の層厚に応じて前記の処理工程は2回以上のサイクルで実施することができる。
【0024】
図2には硫化カドミウムCdSを例とする他のカルコゲニド被覆を製造する本発明の処理工程が示される。ここで更に詳しく説明しない処理工程および参照符号は図1の説明に記載されている。吸着P(CdCl)、乾燥PLD(CdCl)、ガス処理(N+NH)および水酸化物形成HL(Cd(OH))を有する処理工程I〜IIIを実施後、引き続く処理工程IIIaを実施し、形成される水酸化物層HL(CdCl)を、付加的なカルコゲン水素化合物を含有する反応物質ガスCRG(この場合に硫化水素HS)と接触する。この処理工程IIIa、カルコゲン化工程により、基板S上に硫化カドミウム(CdS)の形のカルコゲニド被覆CHLを製造する。処理工程II〜IIIaを実施する間に、物質変換率を改良するために、処理温度TPを、例えばマッフル炉H中で処理工程を実施することにより高める。この場合に処理工程IVでの熱処理を2つのガス処理III、IIIaに拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】適当な装置中でセラミック被覆を製造する場合の本発明による処理工程図である。
【図2】カルコゲニド被覆を製造する場合の本発明による処理工程図である。
【符号の説明】
【0026】
B 洗浄びん、 C 蓋、 CHL カルコゲニド層、 CL セラミック層、 CRG カルコゲン水素化合物を含有する反応物質ガス、 H 炉、 HL 水酸化物層、 LB 溶液浴、 OL 酸化物層、 P 出発物質、 PL 出発物質層、 PLD 乾燥した出発物質層、 RG 湿った反応物質ガス、 S 基板、 SH 基板支持体、 TP 処理温度、 V 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を製造するために、所望の層厚に依存して循環的に実施すべき以下の処理工程:
I.基板表面(S)に層を形成するために、少なくとも1種の適当な出発物質(P)を被覆する工程、
II.形成された出発物質層(PL)を、不活性ガス流(GS)中でまたは蒸発により乾燥する工程、
III. 金属層を形成するために、乾燥した出発物質層(PLD)を、湿った、還元作用する反応物質ガス(RG)でガス処理する工程、および
IV. 未反応の出発成分または好ましくない副生成物を除去するために、形成された金属層を熱処理する工程工程
を有する、任意の形状の基板(S)上に薄い、難溶性の被覆を製造する方法。
【請求項2】
それぞれの層を形成後に、層を別に加熱することによりまたは層を形成する際に処理温度(TP)を高めることにより熱処理(IV)を行う請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の出発物質(P)を、溶液として有利には揮発しやすい溶剤と一緒に予め入れ、基板(S)上の溶液の被覆を浸漬(LB)または噴霧により行う請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
出発物質(P)が塩である請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
湿った反応物質ガス(RG)が、有利には塩基性の反応ガスまたは気体の水である請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
出発物質(P)が種々の化合物の混合物である請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
種々の出発物質(P)を個々の処理サイクルに、特に繰り返しの順序に使用する請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−84153(P2009−84153A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38(P2009−38)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2000−609623(P2000−609623)の分割
【原出願日】平成12年4月6日(2000.4.6)
【出願人】(591157202)ヘルムホルツ−ツェントルム ベルリン フュア マテリアリーエン ウント エネルギー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Helmholtz−Zentrum Berlin fuer Materialien und Energie GmbH
【住所又は居所原語表記】Glienicker Str.100,D−14109 Berlin,Germany
【Fターム(参考)】