説明

薄膜の剥離装置

【課題】薄膜と薄膜が粘着剤を介して粘着されている被着体とを備える構造体をリサイクル時に各材料にするため、被着体から薄膜を効率良く、連続して剥離する。
【解決手段】薄膜と薄膜が粘着剤を介して粘着している被着体とを備える構造体から薄膜を剥離する薄膜の剥離装置において、粘着剤を加熱する加熱部と、薄膜を被着体から剥離する剥離部と、剥離部が剥離した薄膜に粘着していた粘着剤を移動させる粘着剤移動部と、を備える薄膜の剥離装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被着体から薄膜を剥離する薄膜の剥離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に対する意識が向上しつつある。
【0003】
その結果、製品に使用される多種多様な部材を再利用するための取り組みが世界で広がっている。
【0004】
特に、国内では、リサイクルに関する法律等が施行されたことにより、以前よりリサイクルが活発に行われている。
【0005】
この状況において、環境問題および省資源の観点から、製品に使用される各部材等をそれぞれ再利用することが、今後さらに求められると予想される。
【0006】
そのため、製品の各種部材、材料を低コストかつ効率的に再利用できる形態にすることが重要な課題となっている。
【0007】
ここで、再利用可能な形態とは、多種多様な部材から成る製品から各部材、各材料を得ることである。
【0008】
さらに、各部材等が、例えば破損せず高品質なリサイクル材としてそのまま回収できるような形態であることが望まれる。
【0009】
個々の部材等を得ることが困難な一例として、保護フィルム等の薄膜が挙げられる。薄膜は通常、粘着剤を介して被着体のほぼ全面に強力に粘着している。
【0010】
例えば、近年普及している薄型のディスプレイパネルの表面にはパネルの保護や高品質な映像のために、保護フィルムが粘着剤を介して貼り付けられている。そのため、被着体である薄型ディスプレイパネルに粘着した保護フィルムのみを剥離することは困難である。従って、フィルムを剥離しようとすると、フィルムの剥離に時間がかかる。また、連続して手作業でフィルムの剥離を行うことは、作業効率が良くない。
【0011】
そこで、特許文献1および特許文献2のような膜の剥離装置で膜を被着体から剥離している。特許文献1は、ローラでフィルムを剥離するフィルムの剥離装置が開示されている。また、特許文献2は、バルブから無反射パネルを分離するために、ワイヤを備えたパネルの分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2005/070573号
【特許文献2】特開昭62−040128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献1のフィルムの剥離装置では、フィルムに塗布されている粘着剤の種類によっては、フィルム又はパネルに粘着剤が付着したまま剥離が進むので、高品質な材料を得ることができない。
【0014】
さらに、特許文献2の剥離装置では、引っ張り線で剥離する際に剥離する部分に接着剤が積層するため、剥離と共に剥離効率が落ちる。
【0015】
そのため、特許文献1および特許文献2では、膜の剥離を連続して効率よく行うことができず、高品質なリサイクル材料を得ることができない。
【0016】
そこで、本発明は、前記課題を解決し、被着体から薄膜を連続的に効率よく剥離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、薄膜の剥離装置は、薄膜と薄膜が粘着剤を介して粘着している被着体とを備える構造体から薄膜を剥離する薄膜の剥離装置であって、粘着剤を加熱する加熱部と、加熱部により粘着剤の粘着力が低下するとともに薄膜を被着体から剥離する剥離部と、剥離部が薄膜を剥離した際に剥離部に付着した粘着剤を移動させる粘着剤移動部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
さらに、上記目的を達成するために、薄膜の剥離方法は、薄膜と薄膜が粘着剤を介して粘着している被着体とを備える構造体から薄膜を剥離する薄膜の剥離方法であって、粘着剤を加熱して粘着剤の粘着力を低下させる加熱ステップと、薄膜を被着体から剥離する剥離ステップと、剥離ステップにより剥離した薄膜に粘着していた粘着剤を別の場所へ移動させる粘着剤移動ステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の薄膜の剥離装置によれば、粘着剤の種類に依らず、高品質な薄膜を高効率に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態における薄膜の剥離装置と薄膜を剥離する様子を示した側面図
【図2】本発明の第1実施形態における薄膜の剥離装置1のうち加熱部を除いた薄膜の剥離装置の拡大斜視図
【図3】本発明の第1実施形態における薄膜の剥離方法を示したフローチャート
【図4】本発明の第3実施形態における薄膜の剥離後の粘着剤の移動を詳細に示した図
【図5】本発明の第3実施形態における薄膜の剥離装置と薄膜を剥離する様子を示した側面図
【図6】本発明の第3実施形態における薄膜の剥離装置1のうち加熱部を除いた薄膜の剥離装置の拡大斜視図
【図7】本発明の第3実施形態における薄膜の剥離方法を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
1、薄膜の剥離装置
本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態における薄膜の剥離装置1の側面図であり、薄膜12と、薄膜12が粘着剤13を介して粘着している被着体10と、を備える構造体11から薄膜12を剥離している様子を示している。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態における薄膜の剥離装置1のうち、加熱部2を除いた一部を拡大して示している。
【0024】
図1に示すように、本発明の第1実施形態における薄膜の剥離装置1は、加熱部2と、粘着剤移動部3と、剥離部6とを備える。
【0025】
(1−1、加熱部)
薄膜の剥離装置1において、加熱部2は、被着体10に粘着した薄膜12の上部から加熱する。そのため、加熱部2を薄膜12の上部に配置する。
【0026】
上部に配置した加熱部2による熱は、薄膜12を通って粘着剤13に伝導し、粘着剤13が加熱されると、粘着剤13の粘着力は次第に低下する。粘着力は、粘着剤13の種類によって異なるため、粘着力の低下も粘着剤13の種類によって異なる。つまり、薄膜12の種類によって、粘着力が低下する温度や時間が異なる。
【0027】
従って、加熱部2は、粘着剤13の種類に応じて加熱温度を変更できるように変温プレートを用いてもよい。
【0028】
また、粘着剤13が過加熱されて再粘着するのを防ぐために、加熱部2と薄膜12との距離を適宜変更できる高さに調整できる加熱部2を設けてもよい。
【0029】
(1−2、剥離部)
薄膜の剥離装置1において、剥離部6は薄膜12が粘着剤を介して粘着している被着体10から薄膜12を剥離する。
【0030】
剥離部6は、図1に示すように、剥離部の先端部が被着体10と薄膜12との間に差し込まれて薄膜12を剥離する。
【0031】
そのため、より効率よく薄膜12の剥離が行えるように、剥離部6は、鋭利な刃のような形状を有することが好ましい。
【0032】
また、剥離部6は、のこぎりのような複数の歯を有していてもよく、剥離部の形状は粘着剤13の粘着力もしくは薄膜12の厚さや材質により、適宜変更でき得る。
【0033】
剥離部6は、加熱部2の後方に配置されており、加熱部2の進行方向に対して反対側に剥離部6を備えている。つまり、図1に示すように、加熱部2が矢印方向に移動すると、剥離部6も同じ矢印方向に移動する。
【0034】
より具体的に説明すると、加熱部2により、粘着剤13の粘着力が低下したところに剥離部6が移動してくるので、薄膜12を被着体10から剥離することができる。
【0035】
さらに、剥離部6は移動すると、被着体10からの薄膜12の剥離が進行する。
【0036】
(1−3、粘着剤移動部3)
通常、剥離部6が薄膜12を剥離すると、剥離された薄膜12に塗布されていた粘着剤13が剥離部6に付着する。特に、剥離部6の剥離する先端部分に、剥離された薄膜12に塗布されていた粘着剤13が付着して積層する。
【0037】
粘着剤13が積層したまま、薄膜12の剥離が進行すると、剥離部6に粘着剤13がさらに積層する。すると、剥離部6は積層した粘着剤13で覆われてしまい、薄膜12の剥離効率が次第に悪化する。
【0038】
そこで、第1実施形態の粘着剤移動部3は、剥離部6の周囲を覆っている。そのため、剥離された薄膜12に塗布されていた粘着剤13は、剥離部6の周囲を覆っている粘着剤移動部3に付着する。
【0039】
粘着剤移動部3は、剥離部6が移動すると、同時に剥離部6の進行方向とは反対の方向へ移動する。つまり、粘着剤移動部3に付着した粘着剤13は、剥離部6の粘着剤13が付着した箇所から後方へ移動する。
【0040】
その結果、剥離された薄膜12に塗布されていた粘着剤13が、剥離部6の先端部分に付着して積層するのを防ぐ。
【0041】
2、薄膜の剥離方法
次に、被着体10から薄膜12を剥離する薄膜の剥離方法について図1及び図3を用いて説明する。
【0042】
本発明の第1実施形態における薄膜の剥離方法の一例として、液晶ディスプレイからのフィルムの剥離方法を説明する。
【0043】
つまり、薄膜12であるフィルムと、フィルムが粘着剤13を介して貼り付けられている液晶ディスプレイとを備える構造体からフィルムだけを剥離する薄膜の剥離方法について説明する。
【0044】
図3は、フィルムが貼り付けられた液晶ディスプレイパネルからフィルムを剥離する薄膜の剥離方法を詳細に示したフローチャートである。
【0045】
一重線の四角は、フィルムが液晶ディスプレイから剥離する各段階を示している。二重線の四角は、各ステップでのフィルムの剥離に必要な薄膜の剥離装置1の各部を示す。
【0046】
図3に示すように、フィルムの剥離方法は、粘着剤13を加熱する加熱ステップ(図面では「S1」と略記する。以下、同様とする)、フィルムの剥離装置の剥離部6を剥離方向へ移動する移動ステップ(S2)、フィルムを剥離する剥離ステップ(S3)、粘着剤13が剥離部6の後方へ移動する移動ステップ(S4)と、により構成される。
【0047】
液晶ディスプレイ装置は、液晶ディスプレイパネル、外装体、各種フィルム、拡散板(または導光板)等の各部材に分離することができる。そのうち、液晶ディスプレイパネルは、被着体であるディスプレイパネルと液晶とディスプレイパネルに粘着剤を介して貼り付けられた偏光フィルムと、により構成される。ディスプレイパネルは、ガラスから成り、液晶を中心に両側に配置されている。さらに、ディスプレイパネルの外側の面は、偏向フィルムが貼り付けられている。この偏光フィルムはディスプレイパネルのほぼ全面に貼り付けられている。この偏光フィルムをディスプレイパネルから剥離する。
【0048】
(2−1、加熱ステップ)
薄膜の剥離装置1にディスプレイパネルをセットする。偏光フィルムの種類や粘着剤13の粘着力に応じて、偏光フィルムと加熱部2との距離を調整する。
【0049】
また、偏光フィルムの剥離が可能な最適温度を設定する。
【0050】
その後、加熱部2によって偏光フィルムの上部から粘着剤13を加熱する(S1)。
【0051】
粘着剤13を加熱すると、偏光フィルムの端が変形し始める。
【0052】
(2−2、移動ステップ)
偏光フィルムの端が変形すると、剥離部6が、ディスプレイパネルと偏光フィルムとの間に差し込まれる。
【0053】
そして、加熱部2が進行する方向と同じ方向へ、剥離部6も移動する(S2)。つまり、加熱部2により、粘着剤13の粘着力が低下した後、剥離部6による剥離が始まる。
【0054】
(2−3、剥離ステップ)
剥離部6が進むと、偏光フィルムはディスプレイパネルから剥離される(S3)。
【0055】
剥離後、偏光フィルムに粘着していた粘着剤13は、剥離部6の先端部分に付着する。
【0056】
(2−4、粘着剤移動ステップ)
剥離部6の周囲は粘着剤移動部3に覆われているため、剥離部6が進むと粘着剤移動部3が移動する(S4)。つまり、剥離部6の先端部分に付着した粘着剤13は、粘着剤移動部3によって先端部分から異なる場所へと移動する。
【0057】
本実施形態では、図1に示すように、剥離部6は、剥離部6の周囲を覆うように粘着剤移動部に覆われている。そのため、剥離部6の先端部分に付着した粘着剤13は、粘着剤移動部3によって先端部分から後方へ移動する。
【0058】
その結果、剥離が進行しても、剥離部6の剥離する部分に粘着剤13が付着して、積層するのを防ぐ。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図4を用いて説明する。第2実施形態における薄膜の剥離装置1において、第1実施形態における薄膜の剥離装置1と異なる点についてのみ説明し、その他の説明は省略する。
【0060】
(1−4、回転部)
図4に示す薄膜の剥離装置1は、図1に示す加熱部2と剥離部6と粘着剤移動部3とに加えて、更に回転部4を備える。
【0061】
具体的に説明すると、図4に示すように、第2実施形態の回転部4は剥離部6の後方に備える。さらに、剥離部6と回転部4の周囲を粘着剤移動部3に覆われている。粘着剤移動部3は、剥離部6が進むと回転部4が回転する。
【0062】
剥離部6による剥離が進行すると、粘着剤移動部3が移動する。つまり、剥離部の進行方向と反対の方向へ粘着剤移動部3が移動するため、剥離部6の後方へと移動する。
【0063】
剥離部6の後方に移動した粘着剤移動部3は、回転部4の回転方向と同じ方向に回転し、剥離部6を一周し、再び剥離部6の先端部分へ戻る。
【0064】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について図5、図6、図7を用いて説明する。第3実施形態における薄膜の剥離装置1において、第1実施形態における薄膜の剥離装置1と異なる点についてのみ説明し、その他の説明は省略する。
【0065】
(1−5、粘着剤除去部)
図5に示すように、図1に示す加熱部2と剥離部6と粘着剤移動部3とに加えて、更に回転部4と粘着剤除去部5とを備える。
【0066】
図6は、第3実施形態における薄膜の剥離装置1のうち、加熱部2を除いた一部を拡大して示している。
【0067】
図7は、第3実施形態における薄膜の剥離方法を示している。
【0068】
粘着剤除去部5は、回転部4のさらに後方に配置される。そして、粘着剤除去部5は回転部4と密着するように配置されている。
【0069】
そのため、剥離部6が進むと、回転部4が回転し、粘着剤移動部3が回転するときに、粘着剤除去部5と回転部4とに挟まれる。
【0070】
一方、剥離後の粘着剤13は、粘着剤移動部3とともに粘着剤除去部5と回転部4との間に入り込むことができない。よって、粘着剤13は、粘着剤除去部5で粘着剤移動部3から除去される(S5)。
【0071】
粘着剤移動部3の様子をより具体的に示した図が図4である。
【0072】
図4では、粘着剤13が粘着剤移動部3により移動する様子を簡潔に説明するために、剥離部6に付着した一部の粘着剤(A−A’)を示している。
【0073】
図4(a)に示すように、剥離部6により剥離された薄膜12に粘着していた粘着剤13は、剥離部6の先端部分に付着する(A−A’)。
【0074】
その後、図4(b)に示すように、剥離部6による剥離が進行すると、粘着剤移動部3が移動する。つまり、剥離部6の進行方向と反対の方向へ粘着剤移動部3が移動するため、剥離部6の後方へと移動する。
【0075】
さらに、図4(c)に示すように、回転部4の位置まで移動した粘着剤移動部3は粘着剤除去部5と回転部4とに挟み込まれるように粘着剤除去部5と回転部4との間に入る。
【0076】
しかし、粘着剤移動部3に付着した粘着剤13は、粘着剤除去部5と回転部4との間に入れず、粘着剤除去部5で粘着剤移動部3から粘着剤13が除去される。
【0077】
よって、図4(d)示すように、粘着剤13が除去された粘着剤移動部3だけが、剥離部6の周囲を一周し、再び、剥離部6の先端部分に戻る。
【0078】
つまり、剥離部の先端に粘着剤が積層されるのを常に防ぐことができる。そして、剥離部および粘着剤移動部を取り替える必要もなく、効率的に薄膜を剥離することができる。
【0079】
<他の実施形態>
(ディスプレイパネル)
ディスプレイパネルは、プラズマディスプレイパネルであってもよい。プラズマディスプレイは、液晶ディスプレイパネルより比較的厚いガラスから成っている。そのため、被着体を損傷することなく、薄膜の剥離装置1で粘着膜を容易に剥離することができる。
【0080】
<実施形態のまとめ>
(1)
本発明の薄膜の剥離装置(1)は、薄膜(12)と薄膜が粘着剤(13)を介して粘着している被着体(10)とを備える構造体(11)から薄膜(12)を剥離する。
【0081】
薄膜の剥離装置(1)は、粘着剤(13)を加熱する加熱部(2)と、薄膜(12)を被着体(10)から剥離する剥離部(6)と、剥離部(6)が剥離した薄膜(12)に粘着していた粘着剤(13)を移動させる粘着剤移動部(3)と、を備える。
【0082】
これにより、薄膜(12)を剥離した際、剥離部(6)に粘着剤(13)が付着して積層することを防ぐ。その結果、良好な剥離力を維持しつつ連続して薄膜(12)を剥離することが可能となる。そして、高品質なリサイクル材料を容易に回収することができる。
【0083】
(2)
(1)に記載の薄膜の剥離装置(1)であって、粘着剤移動部(3)は、剥離部(6)の剥離方向と反対の方向へ移動することを特徴とする。
【0084】
これにより、剥離された薄膜(12)に塗布されていた粘着剤(13)の散在を防ぎ、容易に粘着剤(13)を回収することができる。その結果、効率的に薄膜(12)を剥離することができる。そして、剥離後の高品質なリサイクル材料を容易に回収することができる。
【0085】
(3)
(1)に記載の薄膜の剥離装置(1)であって、粘着剤移動部(3)が、剥離部(6)の剥離方向と反対の方向へ回転する回転部(4)をさらに備えることを特徴とする。
【0086】
これにより、剥離作業の最中に、新たな粘着剤移動部(3)に取り替える必要がなく、連続して剥離を行うことが可能となる。
【0087】
その結果、効率的に薄膜(12)を剥離することができる。
【0088】
(4)
(1)に記載の薄膜の剥離装置(1)であって、剥離した薄膜(12)に粘着していた粘着剤(13)を粘着剤移動部(3)から除去する粘着剤除去部(5)をさらに備えることを特徴とする。
【0089】
これにより、薄膜(12)を剥離した後、薄膜の剥離装置(1)に残った粘着剤(13)を薄膜の剥離装置(1)から除去することができる。その結果、粘着剤(13)が除去された粘着剤移動部(3)により剥離部(6)は、連続して、薄膜(12)を剥離することができる。
【0090】
(5)
(1)に記載の薄膜の剥離装置(1)であって、被着体(10)は、ディスプレイパネルであることを特徴とする。
【0091】
これにより、ガラス等から成るディスプレイパネルに粘着した薄膜(12)を効率的に剥離することができる。
【0092】
(6)
薄膜の剥離方法は、薄膜(12)と薄膜(12)が粘着剤(13)を介して粘着している被着体(10)とを備える構造体(11)から薄膜(12)を剥離する方法である。
【0093】
薄膜の剥離方法は、粘着剤(13)を加熱して粘着剤(13)の粘着力を低下させる加熱ステップと、薄膜(12)を被着体(10)から剥離する剥離ステップと、剥離ステップにより剥離した薄膜(12)に粘着していた粘着剤(13)を別の場所へ移動させる粘着剤移動ステップと、を備えることを特徴とする。
【0094】
これにより、薄膜(12)を剥離した際、剥離部(6)に粘着剤(13)が付着して積層することを防ぐ。その結果、良好な剥離力を維持しつつ連続して薄膜(12)を剥離することが可能となる。そして、高品質なリサイクル材料を容易に回収することができる。
【0095】
(7)
薄膜の剥離方法において、粘着膜移動ステップで、移動した粘着剤(13)を取り除く除去ステップをさらに備えることを特徴とする。
【0096】
これにより、薄膜(12)を剥離した後、薄膜の剥離装置(1)に残った粘着剤(13)を薄膜の剥離装置(1)から除去することができる。その結果、粘着剤(13)が除去された粘着剤移動部(3)により剥離部(6)は、連続して、薄膜(12)を剥離することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明にかかる薄膜の剥離装置および薄膜の剥離方法は、粘着剤の種類を問わず、効率的に薄膜の剥離作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0098】
1 薄膜の剥離装置
2 加熱部
3 粘着剤移動部
4 回転部
5 粘着剤除去部
6 剥離部
10 被着体
11 構造体
12 薄膜
13 粘着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜と前記薄膜が粘着剤を介して粘着している被着体とを備える構造体から薄膜を剥離する薄膜の剥離装置において、
前記粘着剤を加熱する加熱部と、
前記薄膜を被着体から剥離する剥離部と、
前記剥離部が剥離した前記薄膜に粘着していた粘着剤を移動させる粘着剤移動部と、
を備える薄膜の剥離装置。
【請求項2】
前記粘着剤移動部は、
前記剥離部の剥離方向と反対の方向へ移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜の剥離装置。
【請求項3】
前記粘着剤移動部が、
前記剥離部の剥離方向と反対の方向へ回転する回転部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜の剥離装置。
【請求項4】
剥離した薄膜に粘着していた粘着剤を前記粘着剤移動部から除去する粘着剤除去部をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の薄膜の剥離装置。
【請求項5】
前記被着体は、
ディスプレイパネルである
ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜の剥離装置。
【請求項6】
薄膜と前記薄膜が粘着剤を介して粘着している被着体とを備える構造体から薄膜を剥離する薄膜の剥離方法において、
前記粘着剤を加熱して前記粘着剤の粘着力を低下させる加熱ステップと、
前記薄膜を前記被着体から剥離する剥離ステップと、
前記剥離ステップにより剥離した前記薄膜に粘着していた前記粘着剤を別の場所へ移動させる粘着剤移動ステップと、
を備えることを特徴とする薄膜の剥離方法。
【請求項7】
前記粘着剤移動ステップで、移動した前記粘着剤を除去する除去ステップをさらに備える
請求項6に記載の薄膜の剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−152506(P2011−152506A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14973(P2010−14973)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】