説明

薄膜シート成形用ロール及びシート成形装置

【課題】ラバーロール内蔵タイプの薄膜シート成形用ロールにおいて、構造が簡単で取り扱いやすく、薄膜シートを効率よく容易に成形できるようにすること。
【解決手段】弾性変形可能な金属薄膜からなる金属製弾性外筒102の内部にラバーロール106を収容すると共に、両軸部105に回転可能な状態で装着され弾性変形自在のラバー部材B110を外周部に被覆された小側板109と、金属製弾性外筒102の内周部と嵌め合い状態にあるラバー部材C115を外周部に被覆され半径方向自在に摺動可能な状態で小側板109の外周部に装着された大側板114と、大側板114の外周部と金属製弾性外筒102の内周部との間に環状シール部材C116とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面平滑性が良好な薄膜シートを効率良く成形する薄膜シート成形用ロール及びシート成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10に熱可塑性樹脂によるシートを成形するシート成形機の概略を示す。
図10中、符号11は押出し機、12はダイ、13〜15は内部冷却された金属ロール、16は切断機を各々図示する。同図に示すように、押出し機11の先端に付属するダイ12から押出された溶融樹脂膜17を複数の金属ロール13〜15に導いて、溶融樹脂膜17の両面を金属ロール13〜15の表面で挟圧すると共に、冷却して膜状のシート18に成形して、その後切断機16で所定の長さに切断するか、或いは必要に応じて巻取り装置に(図示せず)により巻き取るようにしている。
【0003】
上記シート成形機に於いて、ダイ12からの溶融樹脂膜17を挟圧してシート18を成形する際に、金属ロール13及び14の間隙部においてバンク(溶融樹脂溜り)が発生しながら成形することはよく知られている。
従来においては、成形されたシート18の厚みが比較的厚い(例えば、0.5mm以上)ものを得る場合では、溶融樹脂膜17も厚く若干のクッション性を有するので、バンク量が幅方向で若干不均一であっても溶融樹脂膜17の全幅にわたって金属ロール13及び14の表面でほぼ均一に押し付ける事ができ、平滑性のあるシート18を成形することが可能であった。
【0004】
しかしながら、上述した剛体性の金属ロール13、14でシート18の厚さが薄い(例えば0.4mm以下)ものを成形する場合においては、溶融樹脂膜17のクッション性が少ないので、バンクのある部分は金属ロール13及び14の表面で押し付けられるものの、バンクのない部分は金属ロール13及び14の表面で押し付けられずに、シート18の幅方向で表面が部分的に平滑でない状態のバンクマークが発生するという問題がある。
【0005】
この為、金属ロールの内一本のロールを、金属製弾性外筒の内部に弾性体(ラバー)ロールを収容した構造の薄膜シート成形用ロールとする事が提案されている。(特許文献1、特許文献2)
【0006】
この様なタイプの薄膜シート成形用ロールでは、金属製弾性外筒の内部に冷却流体を流しながら、弾性体(ラバー)ロールの外周面で金属製弾性外筒を金属ロール(主ロール)に押し付けると共に、溶融樹脂膜を挟圧及び冷却し表面平滑性が良好な薄膜シートを得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3422798号公報
【特許文献2】特許第4326515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
然しながら、特許文献1に示されている薄膜シート成形用ロールでは、金属製弾性外筒内部の冷却流体中に弾性体ロール用の軸受部が配されているので、構造が複雑になると共に取り扱いも難しくなるという問題がある。
ここで、第11図には、金属製弾性外筒と弾性体ロールが同心状態になっている薄膜シート成形用ロールの例が示されているが、該薄膜シート成形用ロールが相手方金属ロールに押し付けられるシート成形時には、環状のシール部材を少なくとも弾性体ロールと金属製弾性外筒との間隙以上に変形させる必要があり、その変形量は大きなものとなり環状のシール部材に負担がかかるので、環状のシール部材の水密性が損なわれ冷却流体の漏れが発生するという問題がある。
【0009】
一方、特許文献2には、両軸部材上に偏心側板が回転可能に装着されているシート成形ロールの例が示されている。該シート成形ロールを相手側主ロールに押し付けるシート成形の運転時には、シート成形ロールと主ロールとの軸心方向の互いの平行度が正確に出ていないと、シート成形ロールの軸線方向の押し付け力分布が均一にならずシート面も均一にならないので、両偏心側板の偏心方向は正確に決める必要がある。所定の方向に正確に偏心方向を定めるのには、回転部以外の外部固定側に取り付けられた回り止めで両偏心側板の向きを正確に決める事が必須となり、構造が複雑になると共に調整も難しくなるという問題がある。
【0010】
また、特許文献1及び2の何れの場合も、無端ベルトにおいて起きる事がある横ズレ(蛇行)と同様に、薄膜シート成形用ロールが回転するときに金属製弾性外筒は軸線方向に横ズレを起こす事があり、金属製弾性外筒が嵌め合い部から脱落して運転不能になる事がある。
【0011】
本発明は、薄膜シート成形用ロールの上記問題に鑑み、ラバーロール内蔵タイプの薄膜シート成形用ロールにおいて、構造が簡単で保守性にすぐれ、冷却流体の漏れの発生がなく、取り扱いが容易で、且つ、効率よく表面平滑性が良好な薄膜シートを成形することができる薄膜シート成形用ロール及びシート成形装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決する本発明の第1の薄膜シート成形用ロールは、少なくとも二以上のロールにより溶融樹脂膜を挟圧しつつ冷却して薄膜シートを成形する薄膜シート成形用ロールにおいて、両端に軸部を有し該軸部に配された軸受で支持され回転及び弾性変形が可能なラバーロールと、該ラバーロールの外周部の外側に間隙を有して前記ラバーロールを収容する弾性変形が可能な金属薄膜からなる金属製弾性外筒とを備えると共に、外周部に弾性変形自在のラバー部材が被覆され前記軸部に回転可能な状態で装着された小側板と、半径方向自在に摺動可能な状態で前記小側板の外周部に装着された大側板と、該大側板の外周部に被覆され前記金属製弾性外筒と嵌め合い状態にある弾性変形が可能なラバー部材と、前記大側板の外周部と前記金属製弾性外筒の内周部との間に弾性変形自在の環状シール部材とを備えてなる事を特徴とするものである。
【0013】
本発明の第2の薄膜シート成形用ロールは、請求項1記載の薄膜シート成形用ロールにおいて、前記小側板より外側の前記軸部に回転可能に装着され外周部に弾性変形自在のラバー部材を被覆された小円板と、半径方向自在に摺動可能な状態で前記小円板の外周部に装着された大円板とを備えてなる事を特徴とするものである。
【0014】
本発明のシート成形装置は、押出機先端に配されたダイから押し出された溶融樹脂膜を、少なくとも二以上の金属ロールに導いて、該溶融樹脂膜の両面を挟圧すると共に、冷却してシートを成形するシート成形装置において、前記金属ロールのうち少なくとも一つのロールが、請求項1又は2に記載の薄膜シート成形用ロールである事を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
上述のように構成された本発明の薄膜シート成形用ロールは、溶融樹脂膜を狭圧する際、金属製弾性外筒及びラバーロールは弾性変形自在であるので、溶融樹脂膜に厚みむらがあってもそれに対応して金属製弾性外筒及びラバーロールの部分はなじんだ形状に変形しつつ溶融樹脂膜を狭圧し、表面平滑性が良好な薄膜シートを成形する事ができる。
【0016】
また、金属製弾性外筒の内部の冷却流体中にはラバーロール用の軸受を配する必要がないので構造が簡単であり、軸受交換等の保守性に優れたものとする事ができ、大側板の外周部と金属製弾性外筒の内周部との間にある環状シール部材は大きな変形はしないので、水密性が損なわれる事が無く冷却流体の漏れの発生を防止する事ができ、大側板は自在に摺動し且つ、軸部に対するその偏心方向は常に自動的に一定方向となるので、偏心方向を決める為の煩わしい調整は不要となり、取り扱いが容易なものとする事ができる。
【0017】
なお、両端軸部に回転可能な小円板と半径方向自在に摺動可能な大円板を配した時は、大円板の側面で金属製弾性外筒の横ズレを防止するので金属製弾性外筒が脱落する事がなく、運転時の取り扱いが容易なものとなる。
【0018】
そして、本発明はこのようなシート成形装置とすることで、ダイから押し出された溶融樹脂膜を、前記薄膜シート成形用ロールと金属ロールとの間に導き、前記溶融樹脂膜を挟圧すると共に冷却するので、表面平滑性の良好な薄膜シートを成形する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールの概略断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態に係るシート成形用ロールの概略断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールの押し付け前の状態を示す図1の線A−A断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールの押し付け前の状態を示す図1の線B−B断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールの押し付け中間状態を示す図1の線A−A断面図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールの押し付け中間状態を示す図1の線B−B断面図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールのシート成形状態を示す図1の線A−A断面図である。
【図8】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形用ロールのシート成形状態を示す図1の線B−B断面図である。
【図9】 本発明の第1の実施の形態に係るシート成形の狭圧状態を示す概略図である。
【図10】 シート成形機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による薄膜シート成形用ロールの第1の実施形態を、添付の図面を参照してこれを説明する。
【0021】
図1は、図10に示したシート成形機に用いる本発明にかかる薄膜シート成形用ロール(以下「シート成形用ロール」という。)の概略図である。
【0022】
ラバーロール106は両端に軸部105を有した内筒部材104の外周にラバー部材A103を被覆した構成となっていて、軸部105に配された軸受107で回転可能に支持されている。前記軸部105の夫々の端面には冷却水108を送水するロータリージョイント(図示せず)が取り付けられていて、軸心近傍には冷却水108の通路が設けられている。
【0023】
前記ラバーロール106の外径より半径でXだけ大きい内径を有し、弾性変形が可能な金属薄膜からなる金属製弾性外筒102が前記ラバーロール106を収容している。即ち、前記ラバーロール106の外径と前記金属製弾性外筒102の内径との間隙はXである。
【0024】
前記軸部105上には、転がり軸受112及び環状シール部材A111が配されると共に、環状の小側板109が前記転がり軸受112に支持され回転可能な状態で装着されている。前記小側板109は前記軸部105及び前記転がり軸受112と同心であり、外周部には低硬度で弾性変形自在のラバー部材B110が配されている。
【0025】
前記小側板109の外周部には、前記ラバー部材B110を抱え込んだ状態の環状の大側板114が半径方向自在に摺動可能な状態で装着されている。該大側板114の外周部にはラバー部材C115が配されていて、該ラバー部材C115外周部と前記金属製弾性外筒102内周部とは嵌め合い状態になっている。
【0026】
前記小側板109に形成される直径D1の凸部と、前記大側板114に形成される直径D2の内径部との間には半径で前記Xと同じ距離の間隙を有する。
【0027】
前記大側板114の外周部と前記金属製弾性外筒102の内周部との間には弾性変形自在の環状シール部材C116が配されていて、前記小側板109と前記大側板114の摺動面部には弾性変形自在の環状シール部材B117が配されている。
【0028】
図3及び図4に示すように、シート成形用ロール101を金属ロール20へ押し付ける前の自由状態に於いては、金属製弾性外筒102、大側板114、小側板109及びラバーロール106は同心状態にある。
【0029】
図5に示すように、軸部105に配された軸受107をもってシート成形用ロール101を金属ロール20方向(図中左方向)に押していくと、金属製弾性外筒102及びラバー部材C115は金属ロール20に点Pで当接し、金属製弾性外筒102、ラバー部材C115及び大側板114はそれ以上左方向に移動しないで、弾性変形容易なラバー部材B110が潰され始める。
【0030】
ラバー部材B110の漬し距離がXになると、直径D1の凸部が直径D2の内径部に点Tで内接し、小側板109が大側板114を押していき、ラバー部材C115の弾力で金属製弾性外筒102を金属ロール20に押し付け始める。この状態では、金属製弾性外筒102及び大側板114の中心と軸部105の中心とは距離Xだけ離れた状態で偏心している。
【0031】
この時には、図6に示すように、ラバーロール106も金属製弾性外筒102に対して距離X移動するので、ラバー部材A103及び金属製弾性外筒102は金属ロール20に点Sで当接する。この状態では、金属製弾性外筒102の中心と軸部105(ラバーロール106)の中心とは距離X偏心している。
【0032】
更に、シート成形用ロール101を金属ロール20に押し付けていくと、図7及び図8に示すように、ラバー部材C115及びラバー部材A103は金属製弾性外筒102を金属ロール20の外周面に沿った円弧21状に変形させる。
この時、金属製弾性外筒102は繰り返し疲労破壊寿命に大きく影響する軸線方向には変形しないので、金属製弾性外筒102の疲労破壊寿命は長いものとなる。
【0033】
上述したように、シート成形用ロール101を金属ロール20に押し付ける際には、弾性変形容易なラバー部材B110は距離X変形するが、ラバー部材C115は円弧21を形成するだけの変形なのでその変形量は小さい。
従って、金属製弾性外筒102の内周部と大側板114の外周部との間の距離の変化量も小さいので環状シール部材C116に無理な変形をおこす事が無く水密性が損なわれる事が無い。
【0034】
金属製弾性外筒102と大側板114との間にある環状シール部材C116及び小側板109と大側板114との摺動面にある環状シール部材B117並びに軸部105部にある環状シール部材A111によって、金属製弾性外筒102内部の嵌め合い部及び大側板114の摺動部並びに軸部105の水密性が保たれている。
【0035】
図7に示すように、シート成形用ロール101が回転する運転状態では、ラバー部材C115と金属製弾性外筒102とは、軸部105と金属ロール20の中心点を結んだ直線上にある当接点Pで金属ロール20に当接し円弧21状に変形しつつ、大側板114は小側板109との内接点T上を転がりながら自身の中心軸線周りを回転している。従って、大側板114は軸部105に対して自動的に図中水平方向で偏心する事となる。
【0036】
この時、図8に示すように、ラバーロール106は、軸部105と金属ロール20の中心点を結んだ直線上にある当接点Sで金属製弾性外筒102を金属ロール20に押し付け円弧21状に変形させつつ、軸受部107を中心として回転する。
【0037】
ここで、ラバーロール106の軸部105と小側板109の回転数は異なるが両者の間には転がり軸受112があるので両者は単独で無理なく回転する事が出来る。
【0038】
シート成形用ロール101の冷却は、圧力をもった冷却水108が一方のロータリージョイントを介して供給され、金属製弾性外筒102に所定の圧力を付与すると共に金属製弾性外筒102を冷却しながら他方のロータリージョイントを介して排出されている。
尚、冷却は冷却水に限定されるものでなく、他の冷却流体でも構わず、又、その温度も限定されるものではない。
【0039】
そして、本発明によれば、図9に示すように、シート成形用ロール101と回転する金属ロール20との間で、ダイ12からの溶融樹脂膜17を挟圧する際には、溶融樹脂膜17を圧接している金属製弾性外筒102及びラバーロール106は溶融樹脂膜17の形状になじんだ状態に変形しながら溶融樹脂膜17を金属ロール20に面状態で押し付けることとなる。
【0040】
その際、図8に示すように、シート成形用ロール101が円弧21状に変形している部分以外の円周方向においては、金属製弾性外筒102とラバーロール106との間に形成された空間に冷却水108が流れているので、効率良く金属製弾性外筒102が冷却される。
【0041】
よって、薄膜シート成形時にもバンク発生がなく、更に、金属製弾性外筒102の表面は鏡面であると共に、内部から効率よく直接冷却されているので、シートに厚みムラがあっても平滑性が良好な薄膜シート18を容易に効率よく成形できる。
【0042】
ラバーロール106の軸受107は金属製弾性外筒102の外側に配され、環状シール部材111A及び転がり軸受112が小側板109部に配され、環状シール部材C116及び環状シール部材B117が大側板114部に配され、さらに、運転時に傷ついた際に交換の必要性がある金属製弾性外筒102はラバー部材C115に嵌め合わされた状態になっているので、保守点検、部品交換を全体分解する事なく、軸端部で行う事ができ保守性に優れたものとなっている。
【0043】
さらに、大側板114の偏心方向は常に自動的に一定方向になるので、偏心方向を決める為の回り止め等の余計な部材は必要なく、又、面倒な調整作業も必要が無く、非常にシンプルな構造で取り扱いやすいものとなっている。
【0044】
ここで、金属製弾性外筒102の材料として用いる弾性変形可能な金属薄膜の厚さは、0.1mm〜1mm程度が好ましい。これは金属薄膜の厚さが0.1mm以下であると強度不足となり好ましくなく、一方、1mmを超えた場合には弾性変形の自由度が小さく、シート成形時において溶融樹脂膜17の表面形状の凹凸に柔軟に対応できないおそれがあるからである。
【0045】
また、金属製弾性外筒102の材質は特に限定されるものではないが、例えばばね鋼、ステンレス鋼、ニッケル等を用いるのが好適である。さらに、金属製弾性外筒102を溶接継ぎ部のないシームレス構造とすることにより、溶融樹脂膜17を挟圧する際、溶接継ぎ跡の転写のない良好なシートが成形できる。
【0046】
ラバー部材A103及びラバー部材C115の材質は特に限定されるものでないが、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を例示することができると共に、硬度はHs50〜90程度が好ましい。
【0047】
同様に、ラバー部材B110の材質は特に限定されるものでないが、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を例示することができると共に、硬度はHs20〜50程度が好ましい。
【0048】
水密状態をより確実にする為にラバー部材C115は金属製弾性外筒102と適宜接着剤等で接着されてもかまわない。
また、ラバーロール106は軸部105をもって電動機等で駆動しても良い。
【0049】
金属製弾性外筒102の表面を鏡面仕上げに限定されるものではなく、例えばエンボスや梨地にする事もできる。
【0050】
図2を用いて本発明の第2の実施の形態を説明する。
図2は、図10に示したシート成形機に用いる第2の実施の形態にかかる本発明にかかる薄膜シート成形用ロールの概略図である。
なお、図2において、図1に対応する部分の符号及び説明は省略する。
【0051】
本実施の形態にかる薄膜シート成形用ロールは、図2に示すように、図1に示したシート成形用ロール101の小側板109及び大側板114の外側の両軸部105上の転がり軸受204上に小円板201を回転可能状態に装着し、該小円板201の外周部には弾性変形容易なラバー部材D202を被覆し、該ラバー部材D202を抱える状態で半径方向摺動自在な大円板203を前記小円板201の外周部に配したものである。
【0052】
シート成形用ロール101が金属ロール20に押し付けられるシート成形時には、大円板203は金属ロール20に当接するとそれ以上は移動しないが、軸部105はさらに移動し、ラバー部材D202が潰され、大円板203と軸部105とは偏心した状態となる。
【0053】
回転する金属ロール20に当接した大円板203は、金属ロール20と大円板203との径比で回転する。又、小円板201と大円板203とは、ラバー部材D202が潰された後の径と、大円板203の内径との径比で回転する。
【0054】
軸部105と小円板201との間は転がり軸受204があり、小円板201と大円板203の間は摺動自在なので、夫々の間に回転数差があっても互いに干渉する事無く回転出来る。
【0055】
ここで、金属製弾性外筒102の端部は、大円板203の側面の側面に当てられているので横ズレによる金属製弾性外筒102の脱落を防止する事ができる。
【符号の説明】
【0056】
101 薄膜シート成形用ロール
102 金属製弾性外筒
103 ラバー部材A
104 内筒部材
105 軸部
106 ラバーロール
107 軸受
108 冷却水
109 小側板
110 ラバー部材B
111 環状シール部材A
112 転がり軸受
114 大側板
115 ラバー部材C
116 環状シール部材C
117 環状シール部材B
201 小円板
202 ラバー部材D
203 大円板
204 転がり軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二以上のロールにより溶融樹脂膜を挟圧しつつ冷却して薄膜シートを成形する薄膜シート成形用ロールにおいて、
両端に軸部を有し該軸部に配された軸受で支持され回転及び弾性変形が可能なラバーロールと、該ラバーロールの外周部の外側に間隙を有して前記ラバーロールを収容する弾性変形が可能な金属薄膜からなる金属製弾性外筒とを備えると共に、外周部に弾性変形自在のラバー部材が被覆され前記軸部に回転可能な状態で装着された小側板と、半径方向自在に摺動可能な状態で前記小側板の外周部に装着された大側板と、該大側板の外周部に被覆され前記金属製弾性外筒と嵌め合い状態にある弾性変形が可能なラバー部材と、前記大側板の外周部と前記金属製弾性外筒の内周部との間に弾性変形自在の環状シール部材とを備えてなる事を特徴とする薄膜シート成形用ロール。
【請求項2】
請求項1記載の薄膜シート成形用ロールにおいて、
前記小側板より外側の前記軸部に回転可能に装着され外周部に弾性変形自在のラバー部材を被覆された小円板と、半径方向自在に摺動可能な状態で前記小円板の外周部に装着された大円板とを備えてなる事を特徴とする薄膜シート成形用ロール。
【請求項3】
押出機先端に配されたダイから押し出された溶融樹脂膜を、少なくとも二以上の金属ロールに導いて、該溶融樹脂膜の両面を挟圧すると共に、冷却してシートを成形するシート成形装置において、
前記金属ロールのうち少なくとも一つのロールが、請求項1又は2に記載の薄膜シート成形用ロールである事を特徴とするシート成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−40857(P2012−40857A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199331(P2010−199331)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(504173194)
【Fターム(参考)】