説明

薄膜及びこれに用いられる化合物

【課題】比較的資源量が豊富な重金属元素を用いて、優れた発光特性を示す新たな材料の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物を含む薄膜。


(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスマスを構造骨格中に含む有機化合物を含む薄膜、薄膜形成用塗布液、当該薄膜を備える素子、および当該薄膜に用い得る新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を用いた電子デバイス及び光デバイスの特徴の一つは、溶液状態で成膜する方法にてナノスケールで制御した薄膜を形成し、有機化合物の特徴を活かしたデバイスが作製できる点にある。近年開発が活発化する電子デバイス又は光デバイスである、有機電界エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある。)、有機太陽電池、有機トランジスタ等の素子には、このようなナノスケールで制御された薄膜やその薄膜の積層構造が使用されている。
【0003】
一般的に電流励起において、電子と正孔の再結合によって、スピン統計則により一重項励起子と三重項励起子は1:3の割合で生成される。そのため、有機エレクトロルミネッセンス素子などにおいては、三重項励起状態からの発光(燐光)を利用した発光材料は、原理的に一重項励起状態からの発光(蛍光)を利用した材料よりも発光効率の面において優れている。一般の有機化合物は、基底状態が一重項状態であるので三重項励起状態から基底状態へは禁制遷移であり、通常では室温での燐光発光は観測されない。しかし、重原子金属を用いた金属錯体などではこの禁制が「重原子効果」によって解かれ、許容遷移となり、強い燐光を発するものがある。
【0004】
有機EL素子に用いられる金属錯体としては、金属としてイリジウムを用いた金属錯体が多く利用される(非特許文献1)。しかし、イリジウムは、地殻中に資源として存在する量が極めて少ないことから、資源の枯渇が懸念されており、高価である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Highly Efficient OLEDs with Phosphorescent Materials(Hartmut Yersin編、Wiley−VCH社)31−34頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の状況に鑑み、本発明は、比較的資源量が豊富な重金属元素を用いて、優れた発光特性を示す新たな材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を進めたところ、以下に述べるビスマス化合物を用いることにより発光特性に優れた材料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は下記の〔1〕から〔10〕を提供するものである。
〔1〕下記式(1)で表される化合物を含む薄膜。
【化1】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
〔2〕上記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される化合物である、上記〔1〕に記載の薄膜。
【化2】

(式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。E、L及びcは前記と同じ意味を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。R同士が隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。RおよびRが隣接しているとき、R及びRは一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが、−CR=又は−NR−であるとき、R又はRは、Eと一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが−CR=又は−NR−であり、かつcが1〜3である場合、R又はRは、Lと一緒になって結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。)
〔3〕上記式(1)又は(2)において、A又はAが直接結合であり、かつX、X、及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表し、また、X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す、上記〔2〕に記載の薄膜。
〔4〕ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、下記式(1):
【化3】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位を含む化合物を含有する薄膜。
〔5〕膜厚が0.2nmから1mmの範囲である、上記〔1〕から〔4〕いずれか一項に記載の薄膜。
〔6〕上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の薄膜を有する素子。
〔7〕下記式(1)で表される化合物と有機溶媒とを含む薄膜形成用組成物。
【化4】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
〔8〕下記式(3)で表される化合物。
【化5】

(式中、Rは置換基を表し、dは0〜5の整数を表す。dが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、それらが隣接しているときは、それらのRが一緒になって結合を形成していてもよい。X、X、及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。X10、X11及びX12のうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。複数あるRは互いに異なっていてもよい。Rの置換基は、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、及び置換されていてもよいシリル基からなる群より選ばれる。Rの少なくとも1つは置換基である。複数のRが置換基であるとき、隣接しているR同士が一緒になって結合を形成していてもよい。)
〔9〕下記式(3’)で表される化合物。
【化6】

(式中、R、Rは置換基を表す。a’及びb’はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、a’が2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成してもよい。b’が2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成してもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。n’は1又は2を表す。)
〔10〕ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、下記式(1):
【化7】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位を含む化合物。
〔11〕上記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される化合物である、上記〔10〕に記載の化合物。
【化8】

(式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。E、L及びcは前記と同じ意味を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。R同士が隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。RおよびRが隣接しているとき、R及びRは一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが、−CR=又は−NR−であるとき、R又はRは、Eと一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが−CR=又は−NR−であり、かつcが1〜3である場合、R又はRは、Lと一緒になって結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。)
〔12〕上記式(1)で表される化合物において、計算科学的手法により得られる最低一重項励起エネルギー(S1)と、最低三重項励起エネルギー(T1)とのエネルギー差(S1−T1)が、1.5(eV)以下である上記〔1〕に記載の薄膜。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、周期律表上で安定に存在しうる最も重い同位体を有しているビスマスを含んでいるため、その重原子効果によって燐光発光する発光特性に優れた材料を提供できる。ビスマスは重金属元素であるにもかかわらず、低毒性であるので、環境負荷が少ない材料を提供することができる。本発明により、有機溶剤に対する溶解性が高いビスマス化合物を提供することができ、均一に塗布しやすい薄膜形成用組成物が提供される。本発明の薄膜形成用組成物を用いて、厚みの均一な薄膜を容易に形成することできる。本発明の薄膜は、膜表面の発光むらが少なく、均一な発光を生じるものとすることが可能である。さらに、本発明の薄膜を用いることにより、発光特性に優れた素子を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、説明する。まず本明細書において汎用される用語について説明する。
【0010】
本明細書において「発光性」とは、光を放出する性質を意味し、通常、外場(光、電場、磁場、圧力など)によって発光を生じる性質を意味している。
【0011】
本明細書において、「置換されていてもよい」とは、その直後に記載された化合物又は基を構成する水素原子が無置換の場合および水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の双方を含み、置換基によって置換されている場合には、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ニトロ基、炭素原子数0〜30のアミノ基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜30のヒドロカルビルチオ基等の置換基によって置換されていてもよいことを意味し、これらの中でも、ハロゲン原子、炭素原子数1〜18のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜18のヒドロカルビルチオ基で置換されていることが好ましく、炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜12のヒドロカルビルチオ基で置換されていることがより好ましく、炭素原子数1〜12のヒドロカルビル基で置換されていることがさらに好ましく、炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルチオ基で置換されていることが特に好ましい。ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、およびヒドロカルビルチオ基等の置換基はそれぞれ、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであってもよい。なお、本明細書においては、「置換されていてもよい」との表現に代わりに、「置換基を有していてもよい」と言い換えてもよい。
【0012】
上記のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
【0013】
上記アミノ基としては、例えば、アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられ、好ましくは、ジフェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基であり、より好ましくは、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基である。
【0014】
上記のヒドロカルビル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。上記のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、アンモニウムエチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、フェニル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、2−エチルヘキシル基であり、とりわけ好ましくはメチル基である。
【0015】
上記のヒドロカルビルオキシ基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。上記のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロパノキシ基、2−プロパノキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロパノキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アンモニウムエチトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α-ジメチルベンジロキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、フェノキシ基、アルコキシフェノキシ基、アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロパノキシ基、2−プロパノキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
【0016】
上記のヒドロカルビルチオ基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。上記のヒドロカルビルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、1−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、1−アダマンチルチオ基、2−アダマンチルチオ基、ノルボルニルチオ基、アンモニウムエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ベンジルチオ基、α,α-ジメチルベンジルチオ基、2−フェネチルチオ基、1−フェネチルチオ基、フェニルチオ基、アルコキシフェニルチオ基、アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2―ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられ、好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、1−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基であり、さらに好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基である。
【0017】
1.本発明の薄膜、薄膜形成用塗布液、および薄膜を備える素子
<1.1 本発明の薄膜に用いられる化合物>
本発明の薄膜は、下記式(1)で表されるビスマス化合物を含む薄膜である。本発明の薄膜は、発光性を有する薄膜とすることが可能である。
【0018】
【化9】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合せは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
【0019】
式(1)において、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表し、好ましくは炭素原子数3〜20の芳香環であり、より好ましくは炭素原子数3〜10の芳香環であり、さらに好ましくは炭素原子数4〜6の芳香環である。
【0020】
Ar、Arの具体的な構造としては、例えば、Arの場合、以下の環(式Ar−1から式Ar−41)から水素原子を(2+a)個除いたものであり、Arの場合、以下の環(式Ar−1から式Ar−41)から水素原子を(2+b)個除いたものである。これらの中でも、好ましい環は、式Ar−1、式Ar−2、式Ar−6から式Ar−8、式Ar−14、式Ar−22から式Ar−24であり、より好ましい環は、式Ar−1、式Ar−6から式Ar−8、式Ar−22から式Ar−24であり、さらに好ましい環は、式Ar−1、式Ar−7、式Ar−24である。
【0021】
【化10】

【0022】
【化11】

【0023】
【化12】

【0024】
及びRは、置換基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルチオ基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいアシルアミノ基、置換されていてもよいイミノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいシロキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシホスホリル基、置換されていてもよいホスフィノ基、置換されていてもよいホスフィンオキシド基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、又はニトロ基であり、好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいシロキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシホスホリル基、置換されていてもよいホスフィノ基、置換されていてもよいホスフィンオキシド基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、又はニトロ基であり、より好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいシロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、又はニトロ基であり、さらに好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいシリル基、又は置換されていてもよいアミノ基であり、特に好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、又は置換されていてもよいシリル基である。
【0025】
及びRにおける上記のヒドロカルビル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のヒドロカルビル基が、炭素原子を含み、かつ芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、ヒドロカルビル基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。R及びRにおける上記のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、アンモニウムエチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ベンジル基、フェニル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基である。
【0026】
及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシ基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシ基が、炭素原子を含み、かつ芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、ヒドロカルビルオキシ基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロパノキシ基、2−プロパノキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロパノキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アンモニウムエチトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α-ジメチルベンジロキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、フェノキシ基、アルコキシフェノキシ基、アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロパノキシ基、2−プロパノキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
【0027】
及びRにおける上記のヒドロカルビルチオ基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のヒドロカルビルチオ基が、炭素原子を含み、かつ芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、ヒドロカルビルチオ基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。R及びRにおける上記のヒドロカルビルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、1−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、1−アダマンチルチオ基、2−アダマンチルチオ基、ノルボルニルチオ基、アンモニウムエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、ベンジルチオ基、α,α-ジメチルベンジルチオ基、2−フェネチルチオ基、1−フェネチルチオ基、フェニルチオ基、アルコキシフェニルチオ基、アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2―ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられ、好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、1−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、ドデシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基であり、さらに好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基である。
【0028】
及びRにおける上記のヘテロシクリル基の炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6である。R及びRにおける上記のヘテロシクリル基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基が挙げられ、好ましくは、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基であり、より好ましくは、チエニル基、チアゾリル基である。
【0029】
及びRにおける上記のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
【0030】
及びRにおける上記のアシルアミノ基は、RCONH−で表され、当該Rは水素原子又はヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のアシルアミノ基が、芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、アシルアミノ基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は4〜30であり、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。R及びRにおける上記のアシルアミノ基としては、例えば、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられ、好ましくは、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基である。
【0031】
及びRにおける上記のイミノ基は、置換されていてもよい。置換されていてもよいイミノ基としては、例えば、イミノ基、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基、ベンソフェノンイミド基が挙げられ、好ましくは、N−フタルイミド基である。
【0032】
及びRにおける上記のシリル基は、置換されていてもよい。置換されていてもよいシリル基としては、例えば、シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピルシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デンシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基であり、さらに好ましくはトリメチルシリル基である。
【0033】
及びRにおける上記のシロキシ基は、置換されていてもよい。置換されていてもよいシロキシ基としては、例えば、シロキシ基、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリプロピルシロキシ基、トリ−i−プロピルシロキシ基、ジメチル−i−プロピルシロキシ基、ジエチル−i−プロピルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基、ペンチルジメチルシロキシ基、ヘキシルジメチルシロキシ基、ヘプチルジメチルシロキシ基、オクチルジメチルシロキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシロキシ基、ノニルジメチルシロキシ基、デンシルジメチルシロキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシロキシ基、ラウリルジメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、トリ−p−キシルシロキシ基、トリベンジルシロキシ基、ジフェニルメチルシロキシ基、ジフェニルメチルシロキシ基、tert−ブチルジフェニルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基が挙げられ、好ましくはトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリプロピルシロキシ基、tert−ブチルメチルシロキシ基であり、さらに好ましくはトリメチルシロキシ基、tert−ブチルジメチルシロキシ基である。
【0034】
及びRにおける上記のアシル基は、RCO−で表され、当該Rは水素原子又はヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のアシル基が、芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、アシル基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は4〜30であり、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜7であり、特に好ましくは7である。R及びRにおける上記のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基が挙げられ、好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基である。
【0035】
及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシカルボニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシカルボニル基が、芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は2〜30であり、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜4であり、ヒドロカルビルオキシカルボニル基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は4〜30であり、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜7であり、特に好ましくは7である。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ベンゾキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、2−エチルヘキソキシカルボニル基が挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基である。
【0036】
及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシスルホニル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシスルホニル基が、芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、ヒドロカルビルオキシスルホニル基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜7であり、特に好ましくは7である。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシスルホニル基としては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロパノキシスルホニル基、イソプロパノキシスルホニル基、ブトキシスルホニル基、イソブトキシスルホニル基、s−ブトキシスルホニルル基、t−ブトキシスルホニル基、ペンチルオキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基、ヘプチルオキシスルホニル基、オクチルオキシスルホニル基、2−エチルヘキシルオキシスルホニル基、ノニルオキシスルホニル基、デシルオキシスルホニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシスルホニル基、ドデシルオキシスルホニル基等が挙げられ、好ましくはメトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロパノキシスルホニル基、イソプロパノキシスルホニル基、ブトキシスルホニル基、イソブトキシスルホニル基であり、より好ましくはメトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基である。
【0037】
及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシホスホリル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシホスホリル基が、芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、ヒドロカルビルオキシホスホリル基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜7であり、特に好ましくは7である。R及びRにおける上記のヒドロカルビルオキシホスホリル基としては、例えば、ジメトキシホスホリル基、ジエトキシホスホリル基、ジプロポキシホスホリル基、ジイソプロポキシホスホリル基、ジブトキシホスホリル基、エチレンジオキシホスホリル基が挙げられ、好ましくはジメトキシホスホリル基である。
【0038】
及びRにおけるホスフィノ基は、置換されていてもよい。R及びRにおける置換されていてもよいホスフィノ基としては、例えば、ホスフィノ基、フェニルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルホスフィノ基、ジメチルホスフィノ基、エチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、プロピルホスフィノ基、ジプロピルホスフィノ基、ブチルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基等が挙げられ、好ましくは、ジフェニルホスフィノ基、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジプロピルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基であり、より好ましくはジフェニルホスフィノ基、ジメチルホスフィノ基であり、特に好ましくはジフェニルホスフィノ基である。
【0039】
及びRにおける上記のホスフィンオキシド基は、置換されていてもよい。R及びRにおける置換されていてもよいホスフィンオキシド基としては、例えば、ホフフィンオキシド基、フェニルホスフィンオキシド基、ジフェニルホスフィンオキシド基、メチルホスフィンオキシド基、ジメチルホスフィンオキシド基、エチルホスフィンオキシド基、ジエチルホスフィンオキシド基、プロピルホスフィンオキシド基、ジプロピルホスフィンオキシド基、ブチルホスフィンオキシド基、ジブチルホスフィンオキシド基等が挙げられ、好ましくは、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジメチルホスフィンオキシド基、ジエチルホスフィンオキシド基、ジプロピルホスフィンオキシド基、ジブチルホスフィンオキシド基であり、より好ましくはジフェニルホスフィンオキシド基、ジメチルホスフィンオキシド基であり、特に好ましくはジフェニルホスフィンオキシド基である。
【0040】
及びRにおける上記のアミノ基は、置換されていてもよい。R及びRにおける置換されていてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基等が挙げられ、好ましくは、ジフェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基であり、より好ましくは、ジフェニルアミノ基である。
【0041】
式(1)中のa及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、化合物の安定性の観点から、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜6の整数であり、さらに好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは1〜2の整数であり、とりわけ好ましくは2である。aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。
【0042】
は直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表し、好ましくは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−NR−、−C(−R−であり、より好ましくは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−であり、さらに好ましくは直接結合である。
【0043】
は水素原子又は置換基を表す。Rとしては例えば、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、及び置換されていてもよいヘテロシクリル基が挙げられ、好ましくは水素原子、又は置換されていてもよいヒドロカルビル基である。Rが、炭素原子を含み、かつ芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4である。Rが、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は2〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。
【0044】
における上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
【0045】
における上記のヒドロカルビル基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Rにおける上記のヒドロカルビル基が、炭素原子を含み、かつ芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4であり、ヒドロカルビル基が、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。Rにおける上記のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、6−クリセニル基、1−ベンゾ[c]フェナントリル基、2−ベンゾ[c]フェナントリル基、3−ベンゾ[c]フェナントリル基、4−ベンゾ[c]フェナントリル基、5−ベンゾ[c]フェナントリル基、6−ベンゾ[c]フェナントリル基、1−ベンゾ[g]クリセニル基、2−ベンゾ[g]クリセニル基、3−ベンゾ[g]クリセニル基、4−ベンゾ[g]クリセニル基、5−ベンゾ[g]クリセニル基、6−ベンゾ[g]クリセニル基、7−ベンゾ[g]クリセニル基、8−ベンゾ[g]クリセニル基、9−ベンゾ[g]クリセニル基、10−ベンゾ[g]クリセニル基、11−ベンゾ[g]クリセニル基、12−ベンゾ[g]クリセニル基、13−ベンゾ[g]クリセニル基、14−ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基が挙げられ、好ましくはフェニル基、2−トリル基、4−トリル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基であり、より好ましくはフェニル基、2−トリル基、4−トリル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、2−トリル基、4−トリル基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0046】
における上記のヘテロシクリル基の炭素原子数は3〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6である。Rにおける上記のヘテロシクリル基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−tert−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−tert−ブチル1−インドリル基、4−tert−ブチル1−インドリル基、2−tert−ブチル3−インドリル基、4−tert−ブチル3−インドリル基が挙げられ、好ましくは、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基であり、より好ましくは、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フリル基、3−フリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基であり、さらに好ましくは、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基である。
【0047】
は水素原子又は置換基を表す。Rとしては、例えば、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、置換されていてもよいアシル基、又は置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基が挙げられ、好ましくは置換されていてもよいヒドロカルビル基である。Rの具体例及び好ましい例に含まれる上記ヒドロカルビル基などの各基の詳細は、R及びRにおける前述の説明において対応する基と同じである。
【0048】
は水素原子又は置換基を表す。Rとしては例えば、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルチオ基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、及び置換されていてもよいシリル基が挙げられ、好ましくは水素原子、又は置換されていてもよいヒドロカルビル基である。2つのRは互いに異なっていてもよい。Rの具体例及び好ましい例に含まれる上記ヒドロカルビル基など各基の詳細は、R及びRにおける前述の説明において対応する基と同じである。
【0049】
は、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Eにおける炭素原子数50以下の1価の基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Eにおける炭素原子数50以下の1価の基としては、例えば、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルチオ基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ニトロ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基、置換されていてもよいジチオカルバメート基が挙げられ、好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、ハロゲン原子であり、より好ましくは置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヘテロシクリル基であり、さらに好ましくは置換されていてもよいヒドロカルビル基である。
【0050】
が、炭素原子を含む場合には、炭素原子数は1〜50であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは2〜20であり、さらに好ましくは2〜10である。
【0051】
における上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0052】
における上記のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、メシチル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、6−クリセニル基、1−ベンゾ[c]フェナントリル基、2−ベンゾ[c]フェナントリル基、3−ベンゾ[c]フェナントリル基、4−ベンゾ[c]フェナントリル基、5−ベンゾ[c]フェナントリル基、6−ベンゾ[c]フェナントリル基、1−ベンゾ[g]クリセニル基、2−ベンゾ[g]クリセニル基、3−ベンゾ[g]クリセニル基、4−ベンゾ[g]クリセニル基、5−ベンゾ[g]クリセニル基、6−ベンゾ[g]クリセニル基、7−ベンゾ[g]クリセニル基、8−ベンゾ[g]クリセニル基、9−ベンゾ[g]クリセニル基、10−ベンゾ[g]クリセニル基、11−ベンゾ[g]クリセニル基、12−ベンゾ[g]クリセニル基、13−ベンゾ[g]クリセニル基、14−ベンゾ[g]クリセニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基が挙げられ、好ましくはフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、メシチル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基であり、より好ましくはフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、メシチル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、2−トリル基、4−トリル基、メシチル基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0053】
における上記のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、2−フェネチルオキシ基、フェノキシ基、2−トリルオキシ基、4−トリルオキシ基、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基、3,5−ジフェニルフェノキシ基、3,4−ジフェニルフェノキシ基、ペンタフェニルフェノキシ基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェノキシ基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、4−フェナントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ナフタセニルオキシ基、2−ナフタセニルオキシ基、9−ナフタセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、2−ピレニルオキシ基、4−ピレニルオキシ基、6−クリセニルオキシ基、1−ベンゾ[c]フェナントリルオキシ基、2−ベンゾ[c]フェナントリルオキシ基、3−ベンゾ[c]フェナントリルオキシ基、4−ベンゾ[c]フェナントリルオキシ基、5−ベンゾ[c]フェナントリルオキシ基、6−ベンゾ[c]フェナントリルオキシ基、1−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、2−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、3−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、4−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、5−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、6−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、7−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、8−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、9−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、10−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、11−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、12−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、13−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基、14−ベンゾ[g]クリセニルオキシ基が挙げられ、好ましくは、フェノキシ基、2−トリルオキシ基、4−トリルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、4−フェナントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ナフタセニルオキシ基、2−ナフタセニルオキシ基、9−ナフタセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、2−ピレニルオキシ基、4−ピレニルオキシ基であり、より好ましくは、フェノキシ基、2−トリルオキシ基、4−トリルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基であり、さらに好ましくは、フェノキシ基、2−トリルオキシ基、4−トリルオキシ基であり、特に好ましくは、フェノキシ基である。
【0054】
における上記のヒドロカルビルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ベンジルチオ基、1−フェネチルチオ基、2−フェネチルチオ基、フェニルチオ基、2−トリルチオ基、4−トリルチオ基、2−ビフェニルチオ基、3−フビフェニルチオ基、4−ビフェニルチオ基、3,5−ジフェニルフェニルチオ基、3,4−ジフェニルフェニルチオ基、ペンタフェニルフェニルチオ基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニルチオ基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントリルチオ基、2−アントリルチオ基、9−アントリルチオ基、1−フェナントリルチオ基、2−フェナントリルチオ基、3−フェナントリルチオ基、4−フェナントリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、1−ナフタセニルチオ基、2−ナフタセニルチオ基、9−ナフタセニルチオ基、1−ピレニルチオ基、2−ピレニルチオ基、4−ピレニルチオ基、6−クリセニルチオ基、1−ベンゾ[c]フェナントリルチオ基、2−ベンゾ[c]フェナントリルチオ基、3−ベンゾ[c]フェナントリルチオ基、4−ベンゾ[c]フェナントリルチオ基、5−ベンゾ[c]フェナントリルチオ基、6−ベンゾ[c]フェナントリルチオ基、1−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、2−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、3−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、4−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、5−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、6−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、7−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、8−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、9−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、10−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、11−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、12−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、13−ベンゾ[g]クリセニルチオ基、14−ベンゾ[g]クリセニルチオ基が挙げられ、好ましくは、フェニルチオ基、2−トリルチオ基、4−トリルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントリルチオ基、2−アントリルチオ基、9−アントリルチオ基、1−フェナントリルチオ基、2−フェナントリルチオ基、3−フェナントリルチオ基、4−フェナントリルチオ基、9−フェナントリルチオ基、1−ナフタセニルチオ基、2−ナフタセニルチオ基、9−ナフタセニルチオ基、1−ピレニルチオ基、2−ピレニルチオ基、4−ピレニルチオ基であり、より好ましくは、フェニルチオ基、2−トリルチオ基、4−トリルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントリルチオ基、2−アントリルチオ基、9−アントリルチオ基、1−フェナントリルチオ基であり、さらに好ましくは、フェニルチオ基、2−トリルチオ基、4−トリルチオ基であり、特に好ましくは、フェニルチオ基である。
【0055】
における上記のヘテロシクリル基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−tert−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−tert−ブチル1−インドリル基、4−tert−ブチル1−インドリル基、2−tert−ブチル3−インドリル基、4−tert−ブチル3−インドリル基が挙げられ、好ましくは、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基であり、より好ましくは、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フリル基、3−フリル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−チエニル基、3−チエニル基であり、さらに好ましくは、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基である。
【0056】
における上記アシル基としては、RCO−で表され、当該Rは水素原子又はヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Eにおける上記アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基が挙げられ、好ましくはアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基である。
【0057】
における上記アシルオキシ基としては、RCO−で表され、当該Rは水素原子又はヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Eにおける上記アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられ、好ましくはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基である。
【0058】
における上記ジチオカルバメート基としては、RN−CS−S−で表され、当該Rは水素原子又はヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Eにおける上記ジチオカルバメート基としては、例えば、ジメチルジチオカルバメート基、ジエチルジチオカルバメート基、メチルエチルジチオカルバメート基、ジn−ブチルジカルバメート基、ジシクロヘキシルジチオカルバメート基、フェニルトリルジチオカルバメート基、ジベンジルジチオカルバメート基が挙げられ、好ましくは、ジメチルジチオカルバメート基、ジエチルジチオカルバメート基、メチルエチルジチオカルバメート基である。
【0059】
は、炭素原子数50以下の配位子を表す。式(1)の点線で表される結合は配位結合を表す。Lにおける炭素原子数50以下の配位子は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Lにおける炭素原子数50以下の配位子としては、例えば、置換されていてもよいヘテロ環式化合物、置換されていてもよいホスフィン、置換されていてもよいホスフィンオキシド、又は置換されていてもよいアミンであり、好ましくは、置換されていてもよいヘテロ環式化合物である。Lが、炭素原子を含む場合には、炭素原子数は1〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは5〜20であり、さらに好ましくは5〜10である。
【0060】
における上記のヘテロ環式化合物としては、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、カルバゾールが挙げられ、好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールであり、より好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、トリアジン、チアゾール、オキサゾール、キノリン、ベンゾイミダゾールであり、さらに好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、チアゾール、オキサゾールであり、特に好ましくは、ピリジンである。
【0061】
における上記のホスフィンとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、プロピルジフェニルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、n−ブチルジフェニルホスフィン、n−ヘキシルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(3−フリル)ホスフィン、トリ(2−ピリジル)ホスフィン、トリ(3−ピリジル)ホスフィン、トリ(4−ピリジル)ホスフィン、2−フリルジフェニルホスフィン、3−フリルジフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、3−ピリジルジフェニルホスフィン、4−ピリジルジフェニルホスフィンが挙げられ、好ましくは、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(3−フリル)ホスフィン、トリ(2−ピリジル)ホスフィン、トリ(3−ピリジル)ホスフィン、トリ(4−ピリジル)ホスフィン、2−フリルジフェニルホスフィン、3−フリルジフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、3−ピリジルジフェニルホスフィン、4−ピリジルジフェニルホスフィンであり、より好ましくは、トリフェニルホスフィンである。
【0062】
における上記のホスフィンオキシドとしては、例えば、トリフェニルホスフィンオキシド、プロピルジフェニルホスフィンオキシド、tert−ブチルジフェニルホスフィンオキシド、n−ブチルジフェニルホスフィンオキシド、n−ヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、シクロヘキシルジフェニルホスフィンオキシド、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリメチルホスフィンオキシド、トリ(2−フリル)ホスフィンオキシド、トリ(3−フリル)ホスフィンオキシド、トリ(2−ピリジル)ホスフィンオキシド、トリ(3−ピリジル)ホスフィンオキシド、トリ(4−ピリジル)ホスフィンオキシド、2−フリルジフェニルホスフィンオキシド、3−フリルジフェニルホスフィンオキシド、2−ピリジルジフェニルホスフィンオキシド、3−ピリジルジフェニルホスフィンオキシド、4−ピリジルジフェニルホスフィンオキシドが挙げられ、好ましくは、トリフェニルホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド、トリメチルホスフィンオキシド、トリ(2−フリル)ホスフィンオキシド、トリ(3−フリル)ホスフィンオキシド、トリ(2−ピリジル)ホスフィンオキシド、トリ(3−ピリジル)ホスフィンオキシド、トリ(4−ピリジル)ホスフィンオキシド、2−フリルジフェニルホスフィンオキシド、3−フリルジフェニルホスフィンオキシド、2−ピリジルジフェニルホスフィンオキシド、3−ピリジルジフェニルホスフィンオキシド、4−ピリジルジフェニルホスフィンオキシドであり、より好ましくは、トリフェニルホスフィンオキシドである。
【0063】
における上記のアミンとしては、例えば、トリフェニルアミン、ジフェニルアミン、プロピルジフェニルアミン、tert−ブチルジフェニルアミン、n−ブチルジフェニルアミン、n−ヘキシルジフェニルアミン、シクロヘキシルジフェニルアミン、ジシクロヘキシルフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミンが挙げられ、好ましくは、トリフェニルアミン、ジフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミンである。
【0064】
式(1)中のcは、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0065】
cが0のとき、EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。cが1のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びLとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。cが2以上の整数のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの間で結合が形成されてもよい。
【0066】
上記式(1)で表される化合物のうち、本発明の薄膜に好適に適用できる化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。式(1)と同じ符合は、式(2)においても式(1)と同じものを表す。
【0067】
【化13】

(式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。E、L及びcは前記と同じ意味を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。R同士が隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。R及びRが隣接しているとき、R及びRは一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが、−CR=又は−NR−であるとき、R又はRは、Eと一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが−CR=又は−NR−であり、かつcが1〜3である場合、R又はRは、Lと一緒になって結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。)
【0068】
は直接結合、−O−、−S−、−PR−、−NR−、又は−C(−R−のいずれかを表し、好ましくは直接結合、−O−、又は−S−であり、より好ましくは直接結合である。
【0069】
、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X、X、X、X及びXが−CR=以外である場合、好ましくは少なくとも一方が−S−であり、より好ましくは両方とも−S−である。
【0070】
は、水素原子又は置換基を表す。Rにおける置換基は、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。Rとしては、例えば、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルチオ基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいアシルアミノ基、置換されていてもよいイミノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシホスホリル基、置換されていてもよいホスフィノ基、置換されていてもよいホスフィンオキシド基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、及びニトロ基が挙げられ、化合物の安定性の観点から、好ましくは、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシホスホリル基、置換されていてもよいホスフィノ基、置換されていてもよいホスフィンオキシド基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、又はニトロ基であり、より好ましくは、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ニトロ基であり、さらに好ましくは、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいシリル基、又は置換されていてもよいアミノ基であり、特に好ましくは、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、又は置換されていてもよいシリル基であり、とりわけ好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、又は、置換されていてもよいシリル基である。
【0071】
の具体例及び好ましい例に含まれる上記ヒドロカルビル基などの各基及び原子の詳細は、式(1)のR及びRにおける前述の説明において対応する基及び原子と同じである。
【0072】
は、式(1)のRと定義が同じであり、Rの具体例及び好ましい例もRと同じである。
【0073】
複数のRが水素原子以外の基であり、それらが隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。例えば、X、X及びXのうちの2つの−CR=におけるRが双方共に水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。また、X、X及びXのうちの2つの−CR=におけるRが双方共に水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。2つのRが隣接する形態として好ましくは、X及びXが−CR=である形態、X及びXが−CR=である形態、X及びXが−CR=である形態、X及びXが−CR=である形態が挙げられる。
【0074】
及びRが水素原子以外の基であり、それらが隣接しているとき、R及びRは一緒になって結合を形成していてもよい。例えば、X、X及びXのうちに含まれるRとRが水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。また、X、X及びXのうちに含まれるRとRが水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。RとRが隣接する形態として好ましくは、X及びXのうちいずれか一方が−CR=であり、他方が−NR−である形態、X及びXのうちいずれか一方が−CR=であり、他方が−NR−である形態、X及びXのうちいずれか一方が−CR=であり、他方が−NR−である形態、X及びXのうちいずれか一方が−CR=であり、他方が−NR−である形態が挙げられる。
【0075】
が、−CR=又は−NR−であり、かつそれらのR又はRが水素原子以外の基であるとき、R又はRは、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
が、−CR=又は−NR−であり、かつそれらのR又はRが水素原子以外の基であるとき、R又はRは、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
が、−CR=又は−NR−であり、かつそれらのR又はRが水素原子以外の基であるとき、R又はRは、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
が、−CR=又は−NR−であり、かつそれらのR又はRが水素以外の基であるとき、R又はRは、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
cが1〜3の整数であり、分子中にLが存在する場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。
【0076】
次に前記式(1)で表される化合物の具体例(式1001から式1017)を以下に示す。なお、Buはtert−ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Prはイソプロピル基を表す。
【0077】
【化14】

【0078】
【化15】

【0079】
本発明の薄膜には、前記ビスマス化合物の残基が分子内に組み込まれた化合物も好適に用いることができる。前記ビスマス化合物の残基を組み込む分子としては、例えば、後述の電荷輸送材料として用いられる有機化合物が挙げられ、共役系有機化合物であることが、共役が広がりキャリア(電子又は正孔)移動度が高くなるので好ましい。
【0080】
前記のビスマス化合物が有機化合物内に含まれている場合、有機化合物の構造とビスマス化合物の残基とを同一分子内に有する化合物の例としては、
1.有機化合物の主鎖にビスマス化合物の残基を有する構成単位を含んでいる化合物;
2.有機化合物の主鎖上の置換基(側鎖)にビスマス化合物の残基を有する構成単位を含んでいる化合物;
3.有機化合物の主鎖の末端にビスマス化合物の残基を有する構成単位を含んでいる化合物;
等が挙げられる。主鎖にビスマス化合物の残基を有する構成単位を含んでいる場合は、線形分子の主鎖にビスマス化合物が組み込まれたものの他に、ビスマス化合物の残基から3個以上の分子鎖が結合しているものも含まれる。
【0081】
前記ビスマス化合物の残基が分子内に組み込まれた化合物の好ましい一実施形態としては、上記式(1)で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位を含む化合物が挙げられる。好ましくは、上記式(1)で表される化合物が、上記式(2)で表される化合物である。また、さらに好ましくは、上記式(1)で表される化合物が、上記式(3)で表される化合物である。また、他の好ましい形態としては、上記式(1)で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位として、下記に示す式(4)、式(5)および(6)のいずれかで表される構成単位を含む化合物が挙げられる。前記ビスマス化合物の残基が分子内に組み込まれた化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。高分子化合物は、共重合体であってもよく、さらにブロックコポリマーであってよいし、グラフトコポリマーであってもよい。
【0082】
前記ビスマス化合物の残基が分子内に組み込まれた化合物の例としては、前記のビスマス化合物の残基を含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、その主鎖、主鎖上の置換基、もしくは主鎖の末端に前記ビスマス化合物の残基を有するものが挙げられる。本明細書において、「ビスマス化合物の残基」とは、前記ビスマス化合物から1〜6個の水素原子を取り除いてなる1〜6価の基である。
【0083】
有機化合物の主鎖にビスマス化合物の残基を有する構成単位を含んでいる化合物の一実施形態としては、例えば、下記式(11)で表される構成単位を含む化合物も挙げられる。
【化16】

【0084】
式中、Mはビスマス化合物の残基を表し、Fは構造中のビスマス化合物の残基以外の構成単位を表し、Fは任意の成分であり、構造中に存在していてもしていなくてもよいが、好ましくは少なくとも1単位含まれる。式(11)で表される構成単位は、同一分子内で繰り返し現れる繰り返し単位ともなり得る。繰り返し単位は、一単位が非連続的に含まれていてもよいし、繰り返し単位が連続してブロックを形成していてもよい。Mが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。Fが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。
【0085】
は、例えば、以下の式(4)で表される。
【化17】

【0086】
は、式(1)のEと定義が同じであり、Eの具体例及び好ましい例もEと同じである。Lは、式(1)のLと定義が同じであり、Lの具体例及び好ましい例もLと同じである。Aは、式(1)のAと定義が同じであり、Aの具体例及び好ましい例もAと同じである。
【0087】
10及びR11は、それぞれ独立に置換基を表す。R10及びR11としては、それぞれ独立に、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビルチオ基、置換されていてもよいヘテロシクリル基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいアシルアミノ基、置換されていてもよいイミノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシカルボニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシホスホリル基、置換されていてもよいホスフィノ基、置換されていてもよいホスフィンオキシド基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、及びニトロ基が挙げられ、好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシスルホニル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシホスホリル基、置換されていてもよいホスフィノ基、置換されていてもよいホスフィンオキシド基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、亜リン酸基、又はニトロ基であり、より好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、シアノ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ニトロ基であり、さらに好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、置換されていてもよいシリル基、置換されていてもよいアミノ基であり、特に好ましくは、置換されていてもよいヒドロカルビル基、又は置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基である。R10及びR11の具体例及び好ましい例に含まれる上記ヒドロカルビル基などの各基の詳細は、式(1)のR及びRにおける前述の説明において対応する基及び原子と同じである。
【0088】
式(4)中のgは0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0089】
式(4)中のe及びfはそれぞれ独立に0〜11の整数を表し、化合物の安定性の観点から、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜6の整数であり、さらに好ましくは0〜4の整数であり、特に好ましくは0〜2の整数であり、とりわけ好ましくは1である。eが2以上のときには、それぞれのR10は互いに異なっていてもよく、2つのR10は結合して環構造を形成していてもよい。fが2以上のときには、それぞれのR11は互いに異なっていてもよく、2つのR11は結合して環構造を形成していてもよい。
【0090】
Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表し、好ましくは炭素原子数3〜20の芳香環であり、より好ましくは炭素原子数3〜10の芳香環であり、さらに好ましくは炭素原子数4〜6の芳香環である。
Ar、Arの具体的な構造としては、例えば、Arの場合、以下の環(式Ar−1から式Ar−41)から水素原子を(3+e)個除いたものであり、Arの場合、以下の環から水素原子を(3+f)個除いたものである。これらのうち、好ましい環は、式Ar−1、式Ar−2、式Ar−6から式Ar−8、Ar−14、式Ar−22から式Ar−24であり、より好ましい環は、式Ar−1、式Ar−6から式Ar−8、式Ar−22から式Ar−24であり、さらに好ましい環は、式Ar−1、式Ar−7、式Ar−24である。
【0091】
【化18】

【0092】
【化19】

【0093】
【化20】

【0094】
式(4)中のgが0のとき、EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。gが1のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びLとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。gが2以上の整数のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの間で結合が形成されてもよい。
【0095】
前記式(4)で表される基の好ましい一実施形態としては、下記式(5)で表される基が挙げられる。
【0096】
【化21】

【0097】
は、式(2)のAと定義が同じであり、Aの具体例及び好ましい例もAと同じである。また、E、L及びgは前記と同じ意味を表す。
【0098】
13、X14及びX15のうち2つは−CR15=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR16−を表す。X16、X17及びX18のうち2つは−CR15=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR16−を表す。X13、X14、X15、X16、X17及びX18が−CR15=以外である場合、好ましくはどちらか一方が−S−であり、より好ましくは両方とも−S−である。
【0099】
15は、式(4)のRの定義と同じであり、R15の具体例及び好ましい例もRと同じである。
16は、式(4)のRの定義と同じであり、R16の具体例及び好ましい例もRと同じである。
【0100】
複数のR15が水素原子以外の基であり、それらが隣接しているとき、R15同士は一緒になって結合を形成していてもよい。例えば、X13、X14及びX15のうちの2つの−CR15=におけるR15が双方共に水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。また、X16、X17及びX18のうちの2つの−CR15=におけるR15が双方共に水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。2つのR15が隣接する形態として好ましくは、X13及びX14が−CR15=である形態、X14及びX15が−CR15=である形態、X16及びX17が−CR15=である形態、X17及びX18が−CR15=である形態が挙げられる。
【0101】
15及びR16が水素原子以外の基であり、それらが隣接しているとき、R15及びR16は一緒になって結合を形成していてもよい。例えば、X13、X14及びX15のうちに含まれるR15とR16が水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。また、X16、X17及びX18のうちに含まれるR15とR16が水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。R15とR16が隣接する形態として好ましくは、X13及びX14のうちいずれか一方が−CR15=であり、他方が−NR16−である形態、X14及びX15のうちいずれか一方が−CR15=であり、他方が−NR16−である形態、X16及びX17のうちいずれか一方が−CR15=であり、他方が−NR16−である形態、X17及びX18のうちいずれか一方が−CR15=であり、他方が−NR16−である形態が挙げられる。
【0102】
上記式(5)で表される基は、X13、X14又はX15の構造に含まれる水素原子と、X16、X17又はX18の構造に含まれる水素原子はそれぞれ1個ずつ除かれており、2価の基となっている。
13が、−CR15=又は−NR16−であり、かつそれらのR15又はR16が水素原子以外の基であるとき、R16又はR17は、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
14が、−CR15=又は−NR16−であり、かつそれらのR15又はR16が水素原子以外の基であるとき、R16又はR17は、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
16が、−CR15=又は−NR16−であり、かつそれらのR15又はR16が水素原子以外の基であるとき、R16又はR17は、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
17が、−CR15=又は−NR16−であり、かつそれらのR15又はR16が水素原子以外の基であるとき、R16又はR17は、E又はLと一緒になって結合を形成していてもよい。
cが1〜3の整数であり、分子中にLが存在する場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。
【0103】
次に、Mの構造の具体例(式3001から式3017)を以下に示す。なお、Buはtert−ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Prはイソプロピル基を表す。
【0104】
【化22】

【0105】
【化23】

【0106】
式(11)におけるFは、例えば、置換基を有していてもよい2価のヒドロカルビル基、置換基を有していてもよい2価のヘテロシクリル基などを表し、置換基を有していてもよい2価の芳香族アミン残基であり、これらは芳香環を有していることが好ましい。
【0107】
における2価のヒドロカルビル基としては、例えば、芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団であり得、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合したものも含まれる。
【0108】
における2価のヘテロシクリル基とは、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいう。複素環化式合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選ばれる原子を一種以上有するものをいう。2価のヘテロシクリル基の中では、芳香族ヘテロシクリル基が好ましい。2価のヘテロシクリル基の置換基を除いた部分の炭素数は、通常、3〜60である。2価のヘテロシクリル基の置換基を含めた全炭素数は、通常、3〜100である。
【0109】
2価の芳香族アミン残基とは、芳香族アミンから水素原子2個を除いた残りの原子団をいう。2価の芳香族アミン基の炭素数は、通常、5〜100であり、好ましくは15〜60である。なお、2価の芳香族アミン残基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0110】
有機化合物の主鎖上の置換基としてビスマス化合物の残基を有する構成単位を含んでいる化合物は、例えば、下記式(12)で示される。
【0111】
【化24】

【0112】
式中、Mはビスマス化合物の残基を表し、F及びFは構造中のビスマス化合物の残基以外の構成単位を表し、Fは任意であり、構造中に存在していてもしていなくてもよい。当該構成単位は、同一分子内で繰り返し現れる繰り返し単位ともなり得る。繰り返し単位は、一単位が非連続的に含まれていてもよいし、繰り返し単位が連続してブロックを形成していてもよい。Mが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。Fが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。Fが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。Gが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。m’は1以上の整数であり、n’は0以上の整数である。
【0113】
また、有機化合物の主鎖の末端にビスマス化合物の残基を有する化合物は、例えば、下記式(13)で示される。
【0114】
【化25】

【0115】
式中、Mはビスマス化合物残基を表し、Fは構造中のビスマス化合物残基以外の構成単位を表す。当該構成単位は複数繰り返され、繰り返し単位を形成していてもよい。Mが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。Fが構造中に複数存在しているとき、それぞれは異なっていてもよい。p’は1以上の整数である。
【0116】
及びMはそれぞれ独立に、以下の式(6)又は式(7)で表される構造である。
【0117】
【化26】

【0118】
【化27】

【0119】
Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に炭素原子数2〜30の芳香環を表す。Arは、式(4)のArと定義が同じであり、Arの具体例及び好ましい例もArと同じである。Arは、式(1)のArと定義が同じであり、Arの具体例及び好ましい例もArと同じである。Arは、式(1)のArと定義が同じであり、Arの具体例及び好ましい例もArと同じである。Arは、式(1)のArと定義が同じであり、Arの具体例及び好ましい例もArと同じである。
【0120】
17は、式(4)のR10と定義が同じであり、R17の具体例及び好ましい例もR10と同じである。R19は、式(1)のRと定義が同じであり、R19の具体例及び好ましい例もRと同じである。R18は、式(1)のRと定義が同じであり、R18の具体例及び好ましい例もRと同じである。R20は、式(1)のRと定義が同じであり、R20の具体例及び好ましい例もRと同じである。
【0121】
式(6)中のhは0〜11の整数を表し、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜6の整数であり、さらに好ましくは0〜4の整数であり、特に好ましくは0〜2の整数である。hが2以上のときには、それぞれのR17は互いに異なっていてもよく、2つのR17は結合して環構造を形成していてもよい。i、k及びmはそれぞれ独立に、0〜12の整数を表し、好ましくは0〜8の整数であり、より好ましくは0〜6の整数であり、さらに好ましくは1〜4の整数であり、特に好ましくは1〜2の整数である。iが2以上のときには、それぞれのR18は互いに異なっていてもよく、2つのR18は結合して環構造を形成していてもよい。kが2以上のときには、それぞれのR19は互いに異なっていてもよく、2つのR19は結合して環構造を形成していてもよい。mが2以上のときには、それぞれのR20は互いに異なっていてもよく、2つのR20は結合して環構造を形成していてもよい。
【0122】
は、式(1)のAと定義が同じであり、Aの具体例及び好ましい例もAと同じである。
【0123】
は、式(1)のEと定義が同じであり、Eの具体例及び好ましい例もEと同じである。Lは、式(1)のLと定義が同じであり、Lの具体例及び好ましい例もLと同じである。Lは、式(1)のLと定義が同じであり、Lの具体例及び好ましい例もLと同じである。
【0124】
は、炭素原子数50以下の2価の基を表す。Eは、例えば、置換されていてもよいヒドロカルビレン基、置換されていてもよいヒドロカルビレンオキシ基、置換されていてもよいヒドロカルビレンチオ基、及び置換されていてもよいヘテロシクリレン基が挙げられ、好ましくは置換されていてもよいヒドロカルビレン基、又は置換されていてもよいヘテロシクリレン基であり、より好ましくは置換されていてもよいヒドロカルビレン基である。Eが、芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜50であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10であり、特に好ましくは1〜5である。Eが、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は2〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20であり、さらに好ましくは4〜10であり、特に好ましくは5〜6である。
【0125】
における上記のヒドロカルビレン基(即ち、2価のヒドロカルビル基)としては、例えば、メチレン基、エチレン基、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、フェニレン基、ビフェニリレン基、ターフェニリレン基、フルオレニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ナフタセニレン基、ピレニレン基、クリセニレン基、ベンゾ[c]フェナントリレン基、ベンゾ[g]クリセニレン基、ベンゾフルオレニレン基、及びジベンゾフルオレニレン基が挙げられ、好ましくは、フェニレン基、フルオレニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、ベンゾフルオレニレン基、又はジベンゾフルオレニレン基であり、より好ましくはフェニレン基である。
【0126】
における上記のヒドロカルビレンオキシ基(即ち、2価のヒドロカルビルオキシ基)としては、例えば、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、フェニレンメチレンオキシ基、フェニレンエチレンオキシ基、フェニレンオキシ基、ビフェニリレンオキシ基、ターフェニリレンオキシ基、フルオレニレンオキシ基、ナフチレンオキシ基、アントリレンオキシ基、フェナントリレンオキシ基、ナフタセニレンオキシ基、ピレニレンオキシ基、クリセニレンオキシ基、ベンゾ[c]フェナントリレンオキシ基、ベンゾ[g]クリセニレンオキシ基、ベンゾフルオレニレンオキシ基、及びジベンゾフルオレニレンオキシ基が挙げられ、好ましくは、フェニレンオキシ基、フルオレニレンオキシ基、ナフチレンオキシ基、アントリレンオキシ基、ベンゾフルオレニレンオキシ基、又はジベンゾフルオレニレンオキシ基であり、より好ましくはフェニレンオキシ基である。
【0127】
における上記のヒドロカルビレンチオ基(即ち、2価のヒドロカルビルチオ基)としては、例えば、メチレンチオ基、エチレンチオ基、フェニレンメチレンチオ基、フェニレンエチレンチオ基、フェニレンチオ基、ビフェニリレンチオ基、ターフェニリレンチオ基、フルオレニレンチオ基、ナフチレンチオ基、アントリレンチオ基、フェナントリレンチオ基、ナフタセニレンチオ基、ピレニレンチオ基、クリセニレンチオ基、ベンゾ[c]フェナントリレンチオ基、ベンゾ[g]クリセニレンチオ基、ベンゾフルオレニレンチオ基、及びジベンゾフルオレニレンチオ基が挙げられ、好ましくは、フェニレンチオ基、フルオレニレンチオ基、ナフチレンチオ基、アントリレンチオ基、ベンゾフルオレニレンチオ基、又はジベンゾフルオレニレンチオ基であり、より好ましくはフェニレンチオ基である。
【0128】
における上記のヘテロシクリレン基(即ち、2価のヘテロシクリル基)とは、複素環から2個の水素原子を除去することによって複素環から誘導された二価の基のことであり、例えば以下の複素環から2個の水素を除いた基が挙げられる。該複素環としては、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、及びカルバゾールが挙げられ、好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、又はベンゾチアゾールであり、より好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、トリアジン、チアゾール、オキサゾール、キノリン、又はベンゾイミダゾールであり、さらに好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、チアゾール、又はオキサゾールであり、特に好ましくは、ピリジンである。
【0129】
式(6)中のj及び式(7)中のnは、それぞれ独立に、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
【0130】
jが0のとき、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。jが1のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。jが2以上の整数のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、L同士の組み合わせの間で結合が形成されてもよい。
【0131】
nが0のとき、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。nが1のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせの間で結合が形成されてもよい。nが2以上の整数のとき、EとLとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、EとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、L同士の組み合わせの間で結合が形成されてもよい。
【0132】
次に、M及びMの構造の具体例(式4001から式4017、および式5001から式5017)を以下に示す。なお、Buはtert−ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Prはイソプロピル基を表す。
【0133】
【化28】

【0134】
【化29】

【0135】
【化30】

【0136】
【化31】

【0137】
式(12)におけるGは、直接結合、−O−、−S−、―CO−、−CO−、−SO−、―SO―、−Si(−R16−、NR17−、−BR18−、−PR19−、−P(=O)(−R20)―、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、置換されていてもよいアルキニレン基、置換されていてもよいアリーレン基、又は置換されていてもよい2価のヘテロシクリル基を表し、該アルキレン基、該アルケニレン基、該アルキニレン基が−CH−基を含む場合、該アルキレン基に含まれる−CH−基の1個以上、該アルケニレン基に含まれる−CH−基の1個以上、該アルキニレン基に含まれる−CH−基の1個以上がそれぞれ、−O−、−S−、―CO−、−CO−、−SO−、―SO―、−Si(−R16−、NR17−、−BR18−、−PR19−、−P(=O)(−R20)―からなる群から選ばれる基と置き換えられていてもよい。R16、R17、R18、R19、及びR20は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヘテロシクリル基及びシアノ基からなる群より選ばれる基を示し、2つのR16は互いに異なっていてもよい。ヒドロカルビル基及びヘテロシクリル基は、それぞれ式(1)のEにおいて対応する基と定義が同じであり、それぞれの具体例及びそれぞれの好ましい例も同じである。
【0138】
式(12)におけるFは、置換基を有していてもよい3価のヒドロカルビル基、置換基を有していてもよい3価のヘテロシクリル基などを表し、置換基を有していてもよい3価の芳香族アミン残基であり、これらは芳香環を有していることが好ましい。
【0139】
における3価のヒドロカルビル基とは、例えば、芳香族化合物から水素原子3個を除いた原子団であり、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合したものも含まれる。
【0140】
における3価のヘテロシクリル基とは、複素環式化合物から水素原子3個を除いた残りの原子団を言う。複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選ばれる原子を一種以上有するものをいう。3価のヘテロシクリル基の中では、芳香族ヘテロシクリル基が好ましい。3価のヘテロシクリル基の置換基を除いた部分の炭素数は、通常、3〜60程度である。3価のヘテロシクリル基の置換基を含めた全炭素数は、通常、3〜100程度である。
【0141】
における3価の芳香族アミン残基とは、芳香族アミンから水素原子3個を除いた残りの原子団を言う。3価の芳香族アミン残基の炭素数は、通常、5〜100程度であり、好ましくは15〜60である。なお、3価の芳香族アミン残基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0142】
式(12)のF及び式(13)のFのそれぞれは、置換基を有していてもよい2価のヒドロカルビル基、置換基を有していてもよい2価のヘテロシクリル基、置換基を有していてもよい2価の芳香族アミン残基が好ましく、これらは芳香環を有していることが好ましい。
【0143】
及びFにおける2価のヒドロカルビル基とは、例えば、芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合したものも含まれる。
【0144】
及びFにおける2価のヘテロシクリル基とは、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいう。複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、セレン原子及びテルル原子からなる群から選ばれる原子を一種以上有するものをいう。2価のヘテロシクリル基の中では、芳香族ヘテロシクリル基が好ましい。2価のヘテロシクリル基の置換基を除いた部分の炭素数は、通常、3〜60程度である。2価のヘテロシクリル基の置換基を含めた全炭素数は、通常、3〜100程度である。
【0145】
及びFにおける2価の芳香族アミン残基とは、芳香族アミンから水素原子2個を除いた残りの原子団を言う。2価の芳香族アミン残基の炭素数は、通常、5〜100程度であり、好ましくは15〜60である。なお、2価の芳香族アミン残基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0146】
前記ビスマス化合物の残基が分子内に組み込まれた化合物の数平均分子量は、ポリスチレン換算で10〜10のものあり、溶解性や塗布性の観点から、好ましくは10〜10であり、より好ましくは10〜10であり、さらに好ましくは2×10〜10である。
【0147】
<1.2 本発明の薄膜>
本発明の薄膜は、前記ビスマス化合物を含有する薄膜である。本発明の薄膜は、所定の条件下におくことにより発光させることができる。本発明の薄膜は、前記ビスマス化合物の他に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分は、薄膜の製造時に添加するものであっても、該化合物及び該化合物の製造時に用いる原料化合物、副生成物として生じる化合物等であってもよい。
【0148】
本発明の薄膜の厚さは、好ましくは0.2nm〜1mmであり、より好ましくは1nm〜50μmであり、さらに好ましくは5nm〜1μmであり、特に好ましくは10nm〜200nmである。このような厚さの薄膜であると、良好な電荷輸送性を有し、強度等も十分な薄膜を形成し易くなる。
【0149】
本発明の薄膜は、ホール輸送性、電子輸送性を向上させるために、前記ビスマス化合物の他に、電荷輸送性材料を含有していてもよい。電荷輸送性材料は、低分子有機化合物、高分子、またはオリゴマーのいずれであってもよい。また、電荷輸送性材料が高分子又はオリゴマーの場合には、これらは共役系のものであることが好ましい。
【0150】
電荷輸送材料に用いられる低分子有機化合物としては、低分子有機EL素子に用いられるホスト化合物(即ち、低分子ホスト化合物)、電荷注入化合物及び電荷輸送化合物等を意味し、具体的には、例えば、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸 共著、オーム社)107頁、月刊ディスプレイ、vol.9、No.9、2003年26−30頁、特開2004−244400号公報、特開2004−277377号公報、特開2008−169192号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
【0151】
電荷輸送材料に用いられる高分子有機化合物としては、例えば、非共役系高分子有機化合物、共役系高分子有機化合物が挙げられ、電荷輸送の観点からは、共役が広がりキャリア(電子又は正孔)移動度が高く有利であるので、共役系高分子有機化合物が好ましい。非共役系高分子有機化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。共役系高分子有機化合物としては、例えば、主鎖に芳香環を含むポリマーが挙げられ、具体的には、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいフルオレン、置換基を有していてもよいジベンゾチオフェン、置換基を有していてもよいジベンゾフラン、置換基を有していてもよいジベンゾシロールなどを繰り返し単位として主鎖に含むものや、それらの繰り返し単位との共重合体が例示される。より具体的には、特開2003−231741号公報、特開2004−059899号公報、特開2004−002654号公報、特開2004−292546号公報、特開2008−169192号公報、US5708130、WO9954385、WO0046321、WO02077060、「有機ELディスプレイ」(時任静士、安達千波矢、村田英幸 共著、オーム社)112頁;月刊ディスプレイ、Vol.9、No.9、2002年47−51頁などに記載の高分子有機化合物が挙げられる。
【0152】
電荷輸送材料のT1(最低三重項励起状態のエネルギーレベル)は、前記ビスマス化合物のT1より大きいことが好ましく、その差が0.2eVよりも大きいことがさらに好ましい。
【0153】
また、本発明の薄膜は、得られる薄膜の機械的特性を高めるために、電荷輸送性を有しない高分子化合物を含有していてもよい。前記電荷輸送性を有しない高分子化合物としては、非共役高分子化合物が挙げられるが、特に、薄膜としたときに、電荷輸送性を極度に阻害しないもの、可視光の吸収が強くないものも好ましい。前記非共役高分子化合物としては、ポリスチレン類(ポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)等)、ポリエチレン類(HDポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル等のほか、これらの非共役高分子化合物を構成している繰り返し単位を有するコポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー)が挙げられる。
【0154】
本発明の薄膜は、薄膜中で吸収した光により電荷を発生することが好ましい場合には、電荷発生材料を含有していてもよい。前記電荷発生材料としては、アゾ化合物及びその誘導体、ジアゾ化合物及びその誘導体、無金属フタロシアニン化合物及びその誘導体、金属フタロシアニン化合物及びその誘導体、ペリレン化合物及びその誘導体、多環キノン系化合物及びその誘導体、スクアリリウム化合物及びその誘導体、アズレニウム化合物及びその誘導体、チアピリリウム化合物及びその誘導体、C60等のフラーレン類及びその誘導体等が挙げられる。
【0155】
<1.3 本発明の薄膜の製造方法および薄膜形成用塗布液>
本発明の薄膜は、如何なる方法により製造されたものであってもよいが、例えば、前記ビスマス化合物を有機溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液等を用いて成膜することにより形成することができる。前記ビスマス化合物と有機溶媒を含む溶液は、薄膜形成用塗布液として用いることができる。
【0156】
本発明の薄膜を製造する際に用いられる有機溶媒としては、薄膜に含有させたい成分を良好に溶解又は分散させることができるもの(必要に応じて、加熱してもよい)が好ましい。
【0157】
前記溶媒としては、前記液状組成物中の溶媒以外の成分を溶解または分散できるものであればよい。溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、及びジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、アニソール、トリメチルベンゼン、及びメシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、及びデカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、及びエチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、及び1,2−ヘキサンジオールなどの多価アルコール及びその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びシクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;並びにN−メチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒が挙げられる。
【0158】
前記溶媒のうち、液状組成物中の溶媒以外の成分の溶解性、成膜時の均一性、粘度特性
の観点から、塩素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、およびケトン系溶媒が好ましく、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、ジメトキシエタンが好ましく、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トルエン、キシレンがより好ましい。
【0159】
前記溶媒は、1種単独で用いてもよいが、成膜性や素子特性の観点から、2種以上を併用することが好ましく、2〜3種類を併用することがより好ましく、2種類を併用することが特に好ましい。
【0160】
本発明の薄膜の形成は、前記溶液等を基板上に塗布し、必要に応じて、塗布と同時又は塗布後に溶媒を除去することにより行えばよい。その塗布は、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、キャピラリーコート法等の塗布法を用いて行うことができる。
【0161】
前記ビスマス化合物の好ましい一実施形態として、有機溶媒に対する溶解性が高いものを容易に調製できる。したがって、溶解性の高いビスマス化合物を含む薄膜形成用塗布液の調製を容易に行うことができる。薄膜形成用塗布液に含まれるビスマス化合物の溶解性が優れるため、ビスマス化合物を均一に塗布することができ、また膜厚を均一に形成しやすい。そのため、本発明の薄膜形成用塗布液を用いて、膜表面からの発光がむらが少なく均一な発光性を示す膜を容易に製造することが可能である。
【0162】
<1.4 本発明の素子>
次に、本発明の素子について説明する。本発明の素子は、前記ビスマス化合物を含む薄膜を有するものである。上記本発明の薄膜を用いることにより、発光特性に優れた素子を得ることが可能である。
【0163】
素子の一実施形態としては、例えば、陽極と、この陽極上に前記ビスマス化合物を含有する薄膜層と、この層上に配置された陰極とを備えるものが挙げられる。より具体的には、陽極と、この陽極上に配置された本発明の薄膜と、この薄膜上に配置された陰極とを備えるものが挙げられる。このような素子は、例えば、発光素子、スイッチング素子、または光電変換素子などとして使用し得る。これらの素子においては前記ビスマス化合物を含有する層が光電層となる。なお、光電層とは光電機能を有する層、すなわち発光性、導電性、光電変換機能を有する薄膜である。
【0164】
また、本発明の素子は、前記陽極と前記陰極との間に電荷輸送層または電荷阻止層をさらに備えていてもよい。前記電荷輸送層とは正孔輸送層または電子輸送層であり、正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する層であり、電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する層である。また、電荷阻止層とは正孔阻止層または電子阻止層であり、正孔阻止層とは電子を輸送し且つ陽極から輸送された正孔を閉じ込める機能を有する層であり、電子阻止層とは正孔を輸送し且つ陰極から輸送された電子を閉じ込める機能を有する層である。
【0165】
本発明の素子としては、陰極と発光層との間に電子輸送層または正孔阻止層を備える素子、陽極と発光層との間に正孔輸送層または電子阻止層を備える素子、陰極と発光層との間に電子輸送層または正孔阻止層を備え、かつ陽極と発光層との間に正孔輸送層または電子阻止層を備える素子などが挙げられる。
【0166】
本発明の素子の具体的な構造の例を、以下に示す。なお、「/」は各層が隣接して積層されていることを示す。以下、同様である。
a)陽極/(電荷注入層)/発光層/(電荷注入層)/陰極
b)陽極/(電荷注入層)/正孔輸送層/発光層/(電荷注入層)/陰極
c)陽極/(電荷注入層)/発光層/電子輸送層/(電荷注入層)/陰極
d)陽極/(電荷注入層)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(電荷注入層)/陰極
【0167】
また、本発明の素子においては、発光層、正孔輸送層、および電子輸送層をそれぞれ独立に2層以上設けてもよい。
【0168】
電極に隣接して設けた電荷輸送層(正孔輸送層および電子輸送層)のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、一般に電荷注入層(正孔注入層および電子注入層)と呼ばれることがある。電荷注入層を備える素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を備える素子、陽極に隣接して電荷注入層を備える素子が挙げられる。
【0169】
本発明の素子では、電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。前記絶縁層に用いる材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などが挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を備える素子としては、陰極に隣接して前記絶縁層を備える素子、陽極に隣接して前記絶縁層を備える素子が挙げられる。
【0170】
本発明の素子では、さらに、界面の密着性向上や混層の防止などのために、電極と発光層との間にこの電極に隣接して、また、電荷輸送層と発光層と界面に、平均膜厚2nm以下のバッファー層を設けてもよい。
【0171】
本発明の素子は上記例示した構造に限定されるものではなく、層の順番、数、および各層の厚さを、発光効率または光電効率や素子寿命を考慮して適宜設定したものも含まれる。
【0172】
本発明の素子が備え得る各層の実施形態について説明する。
【0173】
(発光層)
前記発光層は、前記ビスマス化合物を用いてなる層、すなわち、本発明の薄膜であり得る。発光層は、一層であっても、または複数の層から構成されていてもよい。発光層はまた、本発明の薄膜に加えて他の発光材料をさらに含んでいてもよい。発光層に含まれていてもよい他の発光材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、およびシアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンおよびその誘導体、ならびにテトラフェニルブタジエンおよびその誘導体が挙げられる。
【0174】
(正孔輸送層)
前記正孔輸送層に用いる材料としては、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている化合物が挙げられる。具体的には、ポリピニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリアミノフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンピニレン)およびその誘導体、ならびにポリ(2,5−チエニレンピニレン)およびその誘導体などが挙げられる。
【0175】
正孔輸送層の膜厚は、発光効率または光電変換効率と駆動電圧とが適度な値となるように設定され、用いる材料によって最適値が異なるが、ピンホールが発生しない厚さが必要である。膜厚が厚すぎる正孔輸送層は素子の駆動電圧が高くなる傾向がある。従って、正孔輸送層の膜厚は1nm〜1μmであることが好ましく、2〜500nmであることがより好ましく、5〜200nmであることが特に好ましい。
【0176】
(電子輸送層)
電子輸送層に用いる材料としては、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている化合物が挙げられる。具体的には、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ならびにポリフルオレンおよびその誘導体などが挙げられる。
【0177】
電子輸送層の膜厚は、発光効率または光電変換効率と駆動電圧とが適度な値となるように設定され、用いる材料によって最適値が異なるが、ピンホールが発生しない厚さが必要である。膜厚が厚すぎる電子輸送層は素子の駆動電圧が高くなる傾向がある。従って、電子輸送層の膜厚は1nm〜1μmであることが好ましく、2〜500nmであることがより好ましく、5〜200nmであることが特に好ましい。
【0178】
(基板)
本発明の素子は、通常、基板を用いて形成される。基板の一方の面には電極が形成され、他方の面に素子の各層を形成する。本発明に用いる基板は電極および素子の各層を形成する際に化学的に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フイルム、シリコンの基板が挙げられる。この基板が不透明のものである場合には反対の電極として透明または半透明のものを形成することが好ましい。
【0179】
(電極)
通常、陽極および陰極のうちの少なくとも一方は透明または半透明のものであり、陽極が透明または半透明のものであることが好ましい。また、本発明の素子が光電変換素子の場合には、陽極および陰極のうちの少なくとも一方の電極を櫛型に形成してもよい。この場合、電極は不透明のものであってもよいが、透明または半透明のものであることが好ましい。
【0180】
陽極に用いる材料としては、例えば、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体(インジウム・スズ・オキサイド(ITO)およびインジウム・亜鉛・オキサイドなど)、アンチモン・スズ・オキサイド、NESA、金、白金、銀、並びに銅などが挙げられる。これらのうち、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、及び酸化スズが好ましい。また、陽極として、ポリアニリンおよびその誘導体、ならびにポリアミノフェンおよびその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0181】
陽極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、及びメッキ法が挙げられる。
【0182】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して設定することができる。陽極の膜厚は、10nm〜10μmであることが好ましく、20nm〜1μmであることがより好ましく、50〜500nmであることが特に好ましい。
【0183】
陰極に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、およびイッテルビウムなどの金属;それらのうちの2つ以上の金属の合金;それらのうちの1つ以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1つ以上の金属との合金;グラファイト;並びにグラファイトの層間に前記金属の原子が配置された化合物が挙げられる。前記合金として、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。
【0184】
陽極および陰極の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、および金属薄膜を熱圧着するラミネート法などが挙げられる。また、2層以上の積層構造の陰極を形成してもよい。
【0185】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して設定することができる。陰極の膜厚は、10nm〜10μmであることが好ましく、20nm〜1μmであることがより好ましく、50〜500nmであることが特に好ましい。
【0186】
また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、または金属酸化物、金属フッ化物、もしくは有機絶縁材料などからなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0187】
(保護層)
本発明の素子では、素子を外部から保護して長期安定的に使用するために、陰極形成後、素子を保護する保護層および/または保護カバーを形成していてもよい。
【0188】
このような保護層に用いる材料としては、例えば、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、及び金属ホウ化物が挙げられる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などが挙げられる。これらのうち、保護カバーを熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いて素子と貼り合わせて素子を密閉することが好ましい。
【0189】
(電荷注入層)
電荷注入層としては、例えば、導電性高分子を含む層、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層(陽極と正孔輸送層との間に設けられる場合)、及び陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層(陰極と電子輸送層との間に設けられる場合)が挙げられる。
【0190】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係に応じて選択すればよい。電荷注入層に用いる材料としては、例えば、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリアミノフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、並びにカーボンが挙げられる。
【0191】
電荷注入層の膜厚は1nm〜100nmであることが好ましく、1nm〜50nmであることがより好ましく、1nm〜10nmであることがより好ましい。
【0192】
本発明の素子が発光素子の場合、この発光素子は面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト、または照明に使用することができる。
【0193】
前記発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、有機層の一部を極端に厚く形成して実質的に非発光部を形成する方法、陽極または陰極の一方または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメント表示素子が得られる。さらに、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置することによりドットマトリックス表示素子が得られる。
【0194】
このドットマトリックス表示素子において、複数の種類の発光色の異なる発光材料を塗り分けたり、カラーフィルターまたは発光変換フィルターを用いることより、部分カラー表示またはマルチカラー表示が可能となる。また、ドットマトリックス表示素子は、パッシブ駆動も可能でり、TFTなどと組み合わせることによりアクティブ駆動も可能となる。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナピゲーシヨン、ピデオカメラのピューファインダーなどの表示装置に用いることができる。
【0195】
面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いることにより曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0196】
本発明の素子がスイッチング素子の場合、このスイッチング素子はアクティブマトリックス駆動回路を有する液晶表示装置に使用することができる。
【0197】
本発明の素子が光電変換素子の場合、この光電変換素子は太陽電池に使用することができる。
【0198】
なお本発明の素子は、光波長変換スイッチ素子にも用いることができる。
【0199】
また、本発明の薄膜は、導電性材料としても有用であるので、電荷輸送材料、電荷注入材料としても有用である。また、有機トランジスタ素子、有機光電変換素子等の材料や、化合物の合成原料、添加剤、改質剤、薬剤、センサー等の材料としても有用である。
【0200】
2.本発明の新規化合物
本発明は、下記式(3)で表される新規化合物を提供する。
【0201】
【化32】

(式中、Rは、置換基を表し、dは0〜5の整数を表す。dが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、それらが隣接しているときは、それらのRが一緒になって結合を形成していてもよい。X、X、及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。X10、X11及びX12のうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。複数あるRは互いに異なっていてもよい。Rの置換基は、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、及び置換されていてもよいシリル基からなる群より選ばれる。Rの少なくとも1つは置換基である。複数のRが置換基であるとき、隣接しているR同士が一緒になって結合を形成していてもよい。)
【0202】
は、式(1)のRと定義が同じであり、Rの具体例及び好ましい例もRと同じである。式(3)中のdは0〜5の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。dが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、それらが隣接しているときは、それぞれのRが一緒になって結合を形成していてもよい。
【0203】
、X、及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。X10、X11及びX12のうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。ここで、Rの少なくとも1つは水素原子以外の基であり、好ましくは2つ以上が水素原子以外の基である。
【0204】
複数のRが水素原子以外の基であり、それらが隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。例えば、X、X及びXのうちの2つの−CR=におけるRが双方共に水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。また、X10、X11及びX12のうちの2つの−CR=におけるRが双方共に水素原子以外の基であり、隣接しているとき、それらが結合を形成していてもよい。2つのRが隣接する形態として好ましくは、X及びXが−CR=である形態、X及びX10が−CR=である形態、X10及びX11が−CR=である形態、X11及びX12が−CR=である形態が挙げられる。
【0205】
は、水素原子又は置換基を表す。Rとしては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、及び置換されていてもよいシリル基が挙げられ、好ましくは水素原子、置換されていてもよいヒドロカルビル基、又は置換されていてもよいシリル基であり、より好ましくは水素原子、置換されていてもよいシリル基である。
【0206】
が、炭素原子を含み、かつ芳香環を含まない基である場合には、炭素原子数は1〜30であり、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4である。Rが、芳香環を含む基である場合には、炭素原子数は2〜30であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜10であり、さらに好ましくは4〜6であり、特に好ましくは6である。
【0207】
における上記のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、アンモニウムエチル基、ベンジル基、α,α―ジメチルベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、オレイル基、エイコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2,2−トリフェニルビニル基、2−フェニル−2−プロペニル基、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3,5−ジフェニルフェニル基、3,4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1,2,2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、及びコロニル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、フェニル基、2−トリル基、又は4−トリル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、又は2−エチルヘキシル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、tert−ブチル基、又は2−エチルヘキシル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0208】
における上記のヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロパノキシ基、2−プロパノキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、シクロプロパノキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アンモニウムエチトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ベンジロキシ基、α,α-ジメチルベンジロキシ基、2−フェネチルオキシ基、1−フェネチルオキシ基、フェノキシ基、アルコキシフェノキシ基、アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、及びペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロパノキシ基、2−プロパノキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、又は3,7−ジメチルオクチルオキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基である。
【0209】
次に前記式(3)で表される化合物の具体例(式2001から式2013)を以下に示す。なお、Buはtert−ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Prはイソプロピル基を表す。
【0210】
【化33】

【0211】
【化34】

【0212】
前記式(3)で表される化合物は、有機溶剤に対する溶解性が特に高く、塗布法によりデバイス用途に優れた均一な膜を提供することが可能である。
【0213】
本発明は、下記式(3’)で表される新規化合物を提供する。
【化35】

(式中、R、RおよびEは前記と同じ意味を表す。a’及びb’はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、a’が2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成してもよい。b’が2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成してもよい。n’は1又は2を表す。)
【0214】
a’及びb’は0〜4の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。
【0215】
本発明はさらに、ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、上記式(1)で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位を含む化合物(以下、「本発明の高分子化合物」という場合がある)を提供する。上記式(1)で表される化合物は、好ましくは上記式(2)で表される。当該構成単位は複数繰り返され、繰り返し単位を形成していてもよい。
【0216】
本発明の高分子化合物におけるポリスチレン換算の数平均分子量は10〜10である化合物であり、好ましくは数平均分子量が10〜10であり、より好ましくは数平均分子量が10〜10である。数平均分子量が上記の範囲である化合物は、溶媒に対する溶解性を良好に保ちやすく、均一に塗布しやすい塗布液を容易に作製することが可能である。
【0217】
本発明の高分子化合物の一実施形態としては、例えば、次のような実施形態が挙げられる。
(i)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(4)で表される構成単位を分子中に有する化合物。前記式(4)で表される構成単位は、好ましくは、分子中の主鎖に含まれる。
(ii)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(5)で表される構成単位を分子中に有する化合物。前記式(5)で表される構成単位は、好ましくは、分子中の主鎖に含まれる。
(iii)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(6)で表される構成単位を分子中に有する化合物。前記式(6)で表される構成単位は、好ましくは、分子中の側鎖として、又は、主鎖の末端に、含まれる。
(iv)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(7)で表される構成単位を含む化合物。前記式(7)で表される構成単位は、好ましくは、分子中の側鎖として、又は主鎖の末端に、含まれる。
(v)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(11)で表される構成単位を含む化合物。
(vi)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(12)で表される構成単位を含む化合物。
(vii)ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、前記式(13)で表される構成単位を含む化合物。
【0218】
式(1)、(2)若しくは(3)で表される化合物、又はこれらの化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構造単位を含む化合物のそれぞれは、燐光を最大限利用できるので、最低一重項励起エネルギー(S1)と、最低三重項励起エネルギー(T1)とのエネルギー差(S1−T1)が、小さいことが好ましく、具体的には、1.5eV以下が好ましく、1.3eV以下がより好ましく、1.0eV以下がさらに好ましく、0.5eV以下が特に好ましい。
【実施例】
【0219】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0220】
H及び13C NMR スペクトルは、JEOL Model JNM−EX−270 スペクトルメーター及びJEOL Model JNM−EX−400を用いて測定した。MSスペクトルは、SHIMADZU−GCMS−QP5050Aを用いて測定した。FAB−MSの測定には、日本電子製SX102A型二重収束質量分析計を用いた。リサイクル型分取用GPCは、GL Science LC−908型 MODEL 576で充填剤にShodex Kf001,KF002を用いRIによって検出した。ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略記する場合がある)は、シリコンOV−17(2%−1m)充填剤カラムを備え付けた、島津製作所GC−14Bを用いて測定を行った。薄層クロマトグラフィー(以下、TLCと略記する場合がある)は、シリカゲルを用いた。発光スペクトルは、励起波長を380nmとして、蛍光分光光度計(日本分光株式会社製、商品名:FP−6500)により測定した。励起寿命は、蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製、商品名:Fluorolog−Tau3)により、発光スペクトルの発光ピーク波長における励起寿命を求めた。全ての合成反応は窒素気流下にて行った。合成に用いたジエチルエーテルとテトラヒドロフラン(以下、THFと略記する場合がある)はナトリウム−ベンゾフェノンによって乾燥させ、蒸留したものを用いた。
【0221】
S1及びT1のエネルギー差は、以下の方法で算出した。
量子化学計算プログラムGaussian03を用い、B3LYPレベルの密度汎関数法により、化合物の基底状態における構造最適化した。その際、基底関数としては、ビスマス原子に対してはLANL2DZを、それ以外の原子に対しては6−31G*を用いた。その後、同一の基底を用い、B3LYPレベルの時間依存密度汎関数法により、最低一重項励起エネルギー(S1)及び最低三重項励起エネルギー(T1)を求め、エネルギー差ΔE=S1−T1を算出した。
【0222】
<計算例>
下記化合物のS1とT1を算出し、それらのエネルギー差S1−T1を求めたところ、1.32eVであった。
【化36】

【0223】
この化合物は紫外線励起(365nm)により溶液状態(溶媒:クロロホルム)で室温下にて赤色光を示した。これらの赤色発光は大気下においては観測されず、不活性ガス雰囲気下のみにて観測された。
【0224】
<ビスマス化合物の合成例>
(合成例1)1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールの合成
【化37】

【0225】
上記の合成反応を以下の手順にしたがって行い、1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールを合成した。式中、TMSはトリメチルシリル基を表す。
還流冷却管を備えた30mLの二口フラスコに4,4’−ジブロモ−2,2’−ビス(トリメチルシリル)ビチオフェン、0.446g(0.952mmol)、エーテル10mLを入れ、−80℃に冷却した。そこにn−ブチルリチウム1.25mL(1.59Mヘキサン溶液,1.98mmol)を加えて徐々に室温に戻し、1時間ほど攪拌した。約0.2mLをサンプリングし加水分解後、GC(ガスクロマトグラフィー)によりジリチオ化体の生成を確認した。一方、滴下ロート、還流冷却管を備えた30mLの二口フラスコにTHF10mL、ジヨードフェニルビスマス0.514g(0.952mmol)を入れ、そこに室温で合成したジリチオ化体を加えた。混合物を50℃に加熱し、エーテルを留去した後、70℃に加熱し一晩還流させた。約0.2mLをサンプリングし加水分解後、GCによりジリチオ化体の消失を確認後、溶媒をエバポレーターによって留去し、残渣を加水分解し、トルエンで抽出した。その後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥後、エバポレーターにて溶媒を留去した。残渣を、トルエンを展開溶媒とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で処理し粗生成物を得た。粗生成物をエタノールから再結晶を行い、1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール0.322g(収率57%)を淡黄色の針状結晶として得た。
【0226】
得られた物質のNMRデータを以下に示す。
【数1】

【0227】
得られた化合物のS1とT1を算出し、それらのエネルギー差S1−T1を求めたところ、1.24eVであった。
【0228】
(合成例2)1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールの合成
【化38】

【0229】
上記の合成反応を以下の手順にしたがって行い、1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールを合成した。
10mLの二口フラスコに4,4’−ジブロモ−3,3’−ジメチル−2,2’−ビス(トリメチルシリル)ビチオフェン0.468g(1mmol)、エーテル5mLを入れ−80℃に冷却した。そこにn−ブチルリチウム1.27mL(1.56Mヘキサン溶液, 2mmol)を加え徐々に室温に戻し1時間ほど撹拌し、約0.2mLをサンプリングし加水分解後、GCによりジリチオ化体の生成を確認した。一方、滴下ロートを備えた20mLのシュレンクにTHF 5mL、ジヨードフェニルビスマス0.540g(1mmol)を入れ、0℃に氷冷し、そこにジリチオ体をゆっくりと滴下し、0℃に保ったまま一晩撹拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー)によりジリチオ体の消失を確認後、溶媒をエバポレーターによって留去し、残渣を加水分解し、トルエンで抽出した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥後、エバポレーターにて溶媒を留去した。残渣を、トルエンを展開溶媒とするGPCで処理し、粗生成物を得た。粗生成物をエタノールから再結晶を行ったところ、フェニル−3,3’−ジメチル−2,2’−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール0.1888g(収率30%)が、黄色の菱形結晶として得られた。
【0230】
得られた物質のNMRデータを以下に示す。
【数2】

【0231】
得られた化合物のS1とT1を算出し、それらのエネルギー差S1−T1を求めたところ、1.19eVであった。
【0232】
(合成例3)1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールの合成
【化39】

【0233】
上記の合成反応を以下の手順にしたがって行い、1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールを合成した。
20mLのシュレンク管に3,3’−ジブロモ−2,2’−ビ(ベンゾ[b]チオフェン)0.424g(1.00mmol)、エーテル5mLを加え−80℃に冷却した。そこにn−ブチルリチウム1.27mL(1.56Mヘキサン溶液, 2.00mmol)を加え徐々に室温に戻し、1時間ほど撹拌して、GCによりジリチオ体の生成を確認した。ここに0℃でTHF5mLに溶かしたジヨードフェニルビスマス0.540g(1.00mmol)を滴下し、0℃のまま一晩撹拌した。TLCにより原料の消失を確認してから、溶媒をエバポレーターによって留去し、残渣を加水分解し、トルエンで抽出した。その後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥させ、エバポレーターにて溶媒を留去した。残渣をトルエンで再結晶し、1−フェニル−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールを0.1120g(収率20%)で黄色針状結晶として得た。
【0234】
得られた物質のNMRデータを以下に示す。
【数3】

【0235】
得られた化合物のS1とT1を算出し、それらのエネルギー差S1−T1を求めたところ、1.14eVであった。
【0236】
(合成例4)10−クロロフェノチアビスミン−5,5−ジオキシド誘導体の合成
【化40】

【0237】
上記の合成反応を以下の手順にしたがって行い、下記(a)〜(l)で示される10−クロロフェノチアビスミン−5,5−ジオキシド誘導体をそれぞれ合成した。
【0238】
100mLの二口フラスコにフェニルアリールスルホン(10mmol)とTHF100mLを入れ、−40℃に冷却した。そこにn−ブチリルリチウム(1.6Mヘキサン溶液,20mmol)を加えてジリチオ体懸濁液を調製した。この懸濁液にジクロロ(4−メチルフェニル)ビスムタン(TolBiCl)(10mmol)のエーテル懸濁液50mLを加え、生じた反応液を室温に戻しながら3時間撹拌した。反応液を飽和食塩水50mLに注ぎ、酢酸エチルで抽出後、抽出液をエバポレーターで濃縮した。得られた油状残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて分離精製し、10−(4’−メチルフェニル)フェノチアビスミン−5,5−ジオキシドを粗生成物として得た。この化合物(1mmol)をジクロロメタン5mLに溶かし、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(3mmol)を0℃で加えた。TLCで原料の消失を確認後、飽和食塩水5mLを加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液をエバポレーターで濃縮し、得られた油状残査をメタノールより結晶化させて10−クロロフェノチアビスミン−5,5−ジオキシド誘導体を得た。
【0239】
各誘導体のNMRデータを以下に示す。
【0240】
【数4−1】

【0241】
【数4−2】

【0242】
【数4−3】

【0243】
【数4−4】

【0244】
【数4−5】

【0245】
【数4−6】

【0246】
【数4−7】

【0247】
【数4−8】

【0248】
【数4−9】

【0249】
【数4−10】

【0250】
【数4−11】

【0251】
【数4−12】

【0252】
(合成例5)10−クロロ−2,8−ジヒドロキシフェノチアビスミン−5,5−ジオキシドの合成
【化41】

【0253】
上記の合成反応を以下の手順にしたがって行い、10−クロロ−2,8−ジヒドロキシフェノチアビスミン−5,5−ジオキシドを合成した。
100mLの二口フラスコに4,4’−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ジフェニルスルホン(4.31g,9mmol)とエーテル30mLを入れ、−50℃に冷却した。そこにリチウムイソプロピルアミド(LDA,18.9mmol)のエーテル溶液20mLを加えて温度を室温まで昇温し、ジリチオ体溶液を調製した。この溶液にジクロロ(4−メチルフェニル)ビスムタン(10mmol)のエーテル懸濁液50mLを加え、生じた反応液を室温に戻しながら3時間撹拌した。反応液を飽和食塩水50mLに注ぎ、酢酸エチルで抽出後、抽出液をエバポレーターで濃縮した。得られた油状残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)にて分離精製し、2,8−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−10−(4’−メチルフェニル)フェノチアビスミン−5,5−ジオキシド3.2g(収率48%)を粗生成物として得た。この化合物820mg(1.1mmol)をTHF10mLに溶かし、テトラブチルアンモニウムフルオリド溶液2.1mL(1M,THF,2.1mmol)を0℃で加え、室温で反応させた。TLCで原料の消失を確認した後、飽和食塩水5mLを加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液をエバポレーターで濃縮し、得られた油状残査をメタノールより結晶化させて、10−(4’−メチルフェニル)−2,8−ジヒドロキシフェノチアビスミン−5,5−ジオキシド287mg(収率47%)を得た。この化合物(287mg,0.52mmol)をジクロロメタン5mLに溶かし、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(3mmol)を0℃で加えた。TLCで原料の消失を確認後、飽和食塩水5mLを加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液をエバポレーターで濃縮し、得られた油状残査をメタノールより結晶化させて、10−クロロ−2,8−ジヒドロキシフェノチアビスミン−5,5−ジオキシド222mg(収率87%)を得た。
【0254】
得られた物質のNMRデータを以下に示す。
【数5】

【0255】
(合成例6)10−クロロフェノチアビスミン−5−オキシド誘導体の合成
【化42】

【0256】
100mLの二口フラスコにフェニルアリールスルホキシド(1mmol)とTHF 10mLを入れ、−70℃に冷却した。そこにリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(LTMP,2mmol)のTHF溶液を加えてジリチオ体溶液を調製した。この溶液にジクロロ(4−メチルフェニル)ビスムタン(1mmol)のエーテル懸濁液10mLを加え、生じた反応液を室温に戻しながら3時間撹拌した。反応液を飽和食塩水25mLに注ぎ、酢酸エチルで抽出後、抽出液をエバポレーターで濃縮した。得られた油状残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて分離精製し、10−(4’−メチルフェニル)フェノチアビスミン−5−オキシドを粗生成物として得た。この粗生成物(0.5mmol)をジクロロメタン5mLに溶かし、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(1.5mmol)を0℃で加えた。TLCで原料の消失を確認後、飽和食塩水5mLを加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液をエバポレーターで濃縮し、得られた油状残査をメタノールより結晶化させて、10−クロロフェノチアビスミン−5−オキシド誘導体を得た。
【0257】
各誘導体のNMRデータを以下に示す。
【0258】
【数6−1】

【0259】
【数6−2】

【0260】
【数6−3】

【0261】
【数6−4】

【0262】
【数6−5】

【0263】
<1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールの発光特性>
1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールは、紫外線励起(365nm)により固体粉末状態、及び溶液状態(溶媒:クロロホルム又は2−メチルテトラヒドロフラン)で赤色発光を示した。これら溶液状態の赤色発光は大気下においては観測されず、不活性ガス雰囲気下のみにて観測された。
【0264】
これら赤色発光は、固体粉末状態及び溶液中(溶媒:クロロホルム又は2−メチルテトラヒドロフラン)において共に625nm付近に発光ピークを示した。また、この赤色発光の励起寿命を、クロロホルム溶液中にて測定したところ、5.6μsの寿命成分が観測された。
【0265】
<1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールの発光特性>
1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールは、紫外線励起(365nm)により固体粉末状態、及び溶液状態(クロロホルム)で赤色発光を示した。これらの赤色発光は大気下においては観測されず、不活性ガス雰囲気下のみにて観測された。
【0266】
これら赤色発光は、固体粉末状態及び溶液中(溶媒:クロロホルム)において共に635nm付近に発光ピークを示した。また、この赤色発光の励起寿命を、クロロホルム溶液にて測定したところ、6.3μsの寿命成分が観測された。
【0267】
<1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールの発光特性>
1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールは、紫外線励起(365nm)により溶液状態(溶媒:クロロホルム)で赤色発光を示した。これらの赤色発光は大気下においては観測されず、不活性ガス雰囲気下のみにて観測された。
【0268】
これら赤色発光は、溶液中(溶媒:クロロホルム)において共に600nm付近に発光ピークを示した。また、この赤色発光の励起寿命を、クロロホルム溶液中にて測定したところ、2.1μsの寿命成分が観測された。
【0269】
<薄膜の作製例1>
合成例1で得られた1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールを、クロロホルム/1,2−ジクロロエタン(重量比:2/1)に添加し、1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールを溶解させ、ビスマス化合物の1重量%溶液を調製した。1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールは、クロロホルム/1,2−ジクロロエタン(重量比:2/1)に極めて速やかに溶解した。得られた溶液を用い、ガラス基板上にスピンコート法により1000rpmの速度で成膜した。得られた膜を触針式の膜厚計(ビーコ社製DEKTAK)で測定したところ約80nmの均一な薄膜が得られたことを確認した。この薄膜にアルゴンガスを吹き付けながら紫外光(365nm)を照射してみたところ、薄膜の表面全般にわたり均一に赤色発光することが観測された。
【0270】
<薄膜の作製例2>
合成例2で得られた1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール及びポリ(9−ビニルカルバゾール)(重量比:1/4)を、トルエンに添加し、1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールを溶解させ、ビスマス化合物及びポリ(9−ビニルカルバゾール)が1重量%の溶液を調製した。1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールは、トルエンに極めて速やかに溶解した。得られた溶液を用い、ガラス基板上にスピンコート法により1000rpmの速度で成膜した。得られた膜を触針式の膜厚計(ビーコ社製DEKTAK)で測定したところ約40nmの均一な薄膜が得られたことを確認した。この薄膜にアルゴンガスを吹き付けながら紫外光(365nm)を照射してみたところ、薄膜の表面全般にわたり均一に赤色発光することが観測された。
【0271】
<素子の作製例1>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を形成したガラス基板に、窒素雰囲気下、薄膜の作製例1に従ってビスマス化合物の薄膜を80nmの膜厚で作製し、次いで、フッ化リチウムを約1nm、さらにアルミニウムを約80nm蒸着して陰極とし、素子を作製した。この素子に紫外光(365nm)を照射してみたところ、採光面から均一な赤色発光が観測された。
【0272】
<素子作製例2>
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を形成したガラス基板に、窒素雰囲気下、薄膜の作製例2に従ってビスマス化合物及びポリ(9−ビニルカルバゾール)の薄膜を40nmの膜厚で作製し、次いで、フッ化リチウムを約0.5nm、さらにアルミニウムを約80nm蒸着して陰極とし、素子を作製した。この素子に紫外光(365nm)を照射してみたところ、採光面から均一な赤色発光が観測された。
【0273】
<化合物の安定性>
1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール、1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール及び1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールを、それぞれヘキサンに溶解させ(10−5g/L)、溶液状態で一晩放置した。放置前後において、溶液のUV−VIS吸収スペクトルを測定し、放置前後の形状を比較したところ、1−フェニル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモールでは吸収スペクトルが大きく変化し、分解が確認されたが、1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール及び1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールにおいては、スペクトル変化はほとんど無く分解していないことが確認された。1−フェニル−2,7−ジメチル−3,6−ビス(トリメチルシリル)ジチエノビスモール及び1−フェニル−2,4−ジ(ベンゾ[b]チエノ)ビスモールでは、さらにこの溶液状態で数週間放置したが、分解は観測されず安定に存在した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物を含む薄膜。
【化1】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
【請求項2】
上記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の薄膜。
【化2】

(式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。E、L及びcは前記と同じ意味を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。R同士が隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。RおよびRが隣接しているとき、R及びRは一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが、−CR=又は−NR−であるとき、R又はRは、Eと一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが−CR=又は−NR−であり、かつcが1〜3である場合、R又はRは、Lと一緒になって結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。)
【請求項3】
上記式(1)又は(2)において、A又はAが直接結合であり、かつX、X、及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表し、また、X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す、請求項2に記載の薄膜。
【請求項4】
ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、下記式(1):
【化3】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位を含む化合物を含有する薄膜。
【請求項5】
膜厚が0.2nmから1mmの範囲である、請求項1から4いずれか一項に記載の薄膜。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の薄膜を有する素子。
【請求項7】
下記式(1)で表される化合物と有機溶媒とを含む薄膜形成用組成物。
【化4】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
【請求項8】
下記式(3)で表される化合物。
【化5】

(式中、Rは置換基を表し、dは0〜5の整数を表す。dが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、それらが隣接しているときは、それらのRが一緒になって結合を形成していてもよい。X、X、及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。X10、X11及びX12のうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。複数あるRは互いに異なっていてもよい。Rの置換基は、置換されていてもよいヒドロカルビル基、置換されていてもよいヒドロカルビルオキシ基、及び置換されていてもよいシリル基からなる群より選ばれる。Rの少なくとも1つは置換基である。複数のRが置換基であるとき、隣接しているR同士が一緒になって結合を形成していてもよい。)
【請求項9】
下記式(3’)で表される化合物。
【化6】

(式中、R、Rは置換基を表す。a’及びb’はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、a’が2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成してもよい。b’が2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成してもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。n’は1又は2を表す。)
【請求項10】
ポリスチレン換算の数平均分子量が10〜10であり、下記式(1):
【化7】

(式中、Ar、Arはそれぞれ独立に炭素原子数3〜30の芳香環を表す。R、Rは置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜12の整数を表し、aが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。bが2以上のときには、それぞれのRは互いに異なっていてもよく、2つのRは結合して環構造を形成していてもよい。Aは直接結合、−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、2つのRは互いに異なっていてもよい。Eは、炭素原子数50以下の1価の基を表す。Lは炭素原子数50以下の配位子を表し、cは0〜3の整数である。cが2以上のとき、それぞれのLは互いに異なっていてもよい。EとArとの組み合わせ、及びEとArとの組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、LとEとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、LとArとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは結合を形成していてもよい。)
で表される化合物から水素原子を1又は2個以上除いた構造からなる構成単位を含む化合物。
【請求項11】
上記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表される化合物である、請求項10に記載の化合物。
【化8】

(式中、Aは直接結合、−O−、−S−、−PR−、−NR−、−C(−R−のいずれかを表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。X、X及びXのうち2つは−CR=であり、残る1つは−S−、−O−又は−NR−を表す。E、L及びcは前記と同じ意味を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。R同士が隣接しているとき、R同士は一緒になって結合を形成していてもよい。RおよびRが隣接しているとき、R及びRは一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが、−CR=又は−NR−であるとき、R又はRは、Eと一緒になって結合を形成していてもよい。X又はXが−CR=又は−NR−であり、かつcが1〜3である場合、R又はRは、Lと一緒になって結合を形成していてもよい。cが1〜3である場合、EとLとの組み合わせ、及びL同士の組み合わせの各組み合わせは、一緒になって結合を形成していてもよい。)
【請求項12】
上記式(1)で表される化合物において、計算科学的手法により得られる最低一重項励起エネルギー(S1)と、最低三重項励起エネルギー(T1)とのエネルギー差(S1−T1)が、1.5(eV)以下である請求項1に記載の薄膜。

【公開番号】特開2011−211142(P2011−211142A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122762(P2010−122762)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】