薬剤分包装置
【課題】薬剤払出手段を容易に着脱可能であり、位置ズレ等を起こさないようにしっかりと薬剤払出手段を装着可能な薬剤分包装置の提供を目的とした。
【解決手段】薬剤分包装置10は、カバー20の内周面20aに支持部材50および固定部材60を用いて手撒盤36が装着されている。支持部材50は、カバー20の支軸22側に位置する支持側領域S1に設けられ、フランジ部42を挟み込んで支持している。また、固定部材60は、カバー20の自由端側に位置する固定側領域S2に設けられ、手撒盤36を両脇から挟み込むようにして固定している。
【解決手段】薬剤分包装置10は、カバー20の内周面20aに支持部材50および固定部材60を用いて手撒盤36が装着されている。支持部材50は、カバー20の支軸22側に位置する支持側領域S1に設けられ、フランジ部42を挟み込んで支持している。また、固定部材60は、カバー20の自由端側に位置する固定側領域S2に設けられ、手撒盤36を両脇から挟み込むようにして固定している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出手段の固定構造に特徴を有する薬剤分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているように、格子状の薬剤収容枡を多数有し、これに薬剤師などが投入した薬剤を適宜払出可能とした薬剤払出手段を備えた薬剤分包装置が提供されている。また、この種の薬剤分包装置には、薬剤払出手段の清掃などのために、装置本体をなすカバーに対して薬剤払出手段を着脱可能としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−110386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来技術の薬剤分包装置には、薬剤払出手段を着脱可能としたものがあった。しかし、従来技術の薬剤分包装置は、薬剤払出手段の着脱作業が困難であったり、手間を要するという問題があった。具体的には、薬剤払出手段の着脱作業は、装置本体に対して片持ち状に開くなどして不安定な状態にあるカバーに対して行わねばならなかった。それにもかかわらず、従来技術の薬剤分包装置では、薬剤払出手段の固定構造が複雑であるなどして容易に着脱することができないという問題があった。
【0005】
また、上述した手撒装置は、各薬剤収容枡を開閉するためのシャッターを備えており、これが作動すると一定の振動が発生していた。そのため、薬剤払出手段の固定構造を着脱の容易さだけを考慮したものとすると、シャッターの作動による振動で薬剤払出手段が位置ズレを起こし、薬剤の払出不良が起こる可能性があった。
【0006】
そこで、かかる課題を解決すべく、本発明は、薬剤払出手段を容易に着脱可能であり、位置ズレ等を起こさないようにしっかりと薬剤払出手段を装着可能な薬剤分包装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決すべく提供される本発明の薬剤分包装置は、支軸に対して回動させることで開閉可能なカバーを有し、このカバーの内周面に設けられた支持手段および固定手段によって薬剤払出手段を装着している。また、この薬剤払出手段は、錠剤を収容可能な薬剤収容枡を有しており、この薬剤収容枡に収容された薬剤を払い出しできるようにしている。本発明では、前記支持手段として、前記カバーにおける支軸側に位置する前記薬剤払出手段の支持領域において該薬剤払出手段を支持可能とするものが採用されており、前記固定手段としては、該支持領域よりも支軸から離れた位置にある薬剤払出手段の固定領域において薬剤払出手段を固定可能とするものが採用されている。
【0008】
なお、本発明および以下の説明において、「支持」とは、担体に支持することを指し、「担持」や「挟持」、「握持」などの概念を含むものである。とりわけ本発明において「支持」とは、全方向の移動を拘束する「固定」に対する概念であり、全方向の拘束にまで至らない拘束、すなわち少なくとも1以上の方向の拘束を意味している。
【0009】
上述した本発明の薬剤分包装置は、薬剤払出手段が、薬剤収容枡の底面に沿う方向に作動して前記薬剤収容枡を開閉可能なシャッターを有し、固定手段が、前記薬剤払出手段のシャッターの作動方向への移動を阻止するように固定可能なものであってもよい。
【0010】
上述した本発明の薬剤分包装置は、固定手段が、薬剤払出手段に対してシャッターの作動方向両脇に配置されたものであることが望ましい。また、固定手段は、薬剤払出手段側に向けて付勢されたものであることが望ましい。
【0011】
上述した本発明の薬剤分包装置は、支持手段が、カバーの所定の位置において薬剤払出手段を支持し、前記カバーを開いた状態において前記薬剤払出手段が高さ方向に移動するのを抑制可能なものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の薬剤分包装置は、カバーの内周面、すなわちカバーを閉じた状態において内側を向く面に、薬剤払出手段が支持手段や固定手段を用いて取り付けられている。ここで、本発明の薬剤分包装置は、カバーを支軸に対して回動させることにより開閉可能なものであるため、支軸から離れた領域は比較的薬剤払出手段の着脱作業がしやすい。しかし、支軸に近い領域はカバーの開閉の基端部となる位置であるばかりか、カバーの内部に機器類が存在するなどして薬剤払出手段の着脱作業が困難となる。そこで、本発明の薬剤分包装置では、支軸に近い支持領域においては薬剤払出手段を支持し、支持領域よりも支軸から離れた固定領域において薬剤払出手段を固定することとしている。そのため、本発明の薬剤分包装置では、固定された部分を解除しても支持手段による支持状態が残っているため安全な取り外しが可能となる。その一方、全て固定手段により装着してしまう場合に比して装着手段のうち固定手段の固定状態を解除さえすれば薬剤払出手段を容易に着脱することができる。
【0013】
また、上記したように薬剤払出手段にシャッターを設けた場合は、薬剤払出手段がしっかりと固定されていないと、シャッターの作動に伴う振動等の影響によって薬剤払出手段が位置ズレを起こす懸念がある。そこで、かかる問題点を解消すべく、本発明の薬剤分包装置では、固定手段により薬剤払出手段をシャッターの作動方向への移動を阻止するように固定可能とされている。そのため、本発明の薬剤分包装置は、シャッターが作動しても、薬剤払出手段を位置ズレが起こらないようにしっかりと装着することができる。
【0014】
上述したように、固定手段を薬剤払出手段に対してシャッターの作動方向両脇に配置した場合は、シャッターの作動方向に作用する応力を固定手段によって受けることができ、カバーに装着された薬剤払出手段の位置ズレを確実に防止することができる。
【0015】
上述したように、固定手段を薬剤払出手段側に向けて付勢されたものとする場合は、この付勢力が薬剤払出手段に作用し、しっかりと固定された状態になる。そのため、かかる構成とした場合は、シャッターの作動による振動等が作用しても、カバーに対する薬剤払出手段の位置ズレをより一層確実に防止することができる。
【0016】
また、上述したように、支持手段が、カバーの所定の位置において薬剤払出手段を支持し、前記カバーを開いた状態において前記薬剤払出手段が高さ方向に移動するのを抑制可能なものとした場合、カバーを開いて固定部材による薬剤払出手段の固定を解除した際に薬剤払出手段が落下してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す薬剤分包装置をカバーの裏側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】手撒手段の構成を模式的に示した分解斜視図である。
【図4】(a)は手撒手段において採用されている排出板を示す平面図であり、(b)は分割器と排出板との位置関係を示す断面図、(c)は分割器から散薬を払い出す際の動作状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】散薬供給部の構成を模式的に示した側面図である。
【図6】散薬供給部の構成を示した天面図である。
【図7】手撒盤を裏面側から見た状態を示す斜視図である。
【図8】手撒盤とカバーとの位置関係を示す正面図である。
【図9】(a)は支持部材を示す斜視図、(b)は支持部材を示す側面図である。
【図10】支持部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大側面図である。
【図11】(a)は固定部材を示す斜視図、(b)は固定部材を示す側面図である。
【図12】固定部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大斜視図である。
【図13】固定部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大側面図である。
【図14】(a)は支持部材の変形例を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す支持部材への手撒盤の装着方法を示す斜視図である。
【図15】(a)〜(c)は、それぞれ変形例に係る支持部材を用いて手撒盤を装着した状態を示す要部拡大断面図である。
【図16】(a)は変形例に係る支持部材への手撒盤の装着方法を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す支持部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大断面図である。
【図17】図2のブラシ周辺の構成を示す断面図である。
【図18】変形例に係る固定部材と、係合部材とを示す斜視図である。
【図19】図18に示す固定部材および係合部材を用いて手撒盤を固定した状態を示す斜視図である。
【図20】図18に示す固定部材を備えた手撒盤を示す正面図である。
【図21】図18に示す固定部材を備えた手撒盤を示す背面図である。
【図22】係止部材にシャッター板が係止された状態を示す正面図である。
【図23】吹上防止ガイドを取り付けたホッパーを示す斜視図である。
【図24】図23に示すホッパーの断面図である。
【図25】吹上防止ガイドを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、本発明の一実施形態にかかる薬剤分包装置10について全体構造を説明した後、手撒手段30(薬剤払出手段)を構成する手撒盤36の固定構造について説明する。
【0019】
図1に示すように、薬剤分包装置10は、装置本体12の上方側に、錠剤供給部14と、散薬供給部16とを備えており、これらから供給された薬剤を分包して払出可能とされている。また、装置本体12の上面には、カバー20が装着されている。カバー20は、支軸22により自由端側を上方に跳ね上げて開閉可能なように支持されている。また、薬剤分包装置10は、装置本体12の下方側に形成される収容室24内に、薬剤を分包するための薬剤包装部18(図5参照)などを備えている。
【0020】
図3に示すように、錠剤供給部14は、手撒手段30と、この下方に設けられた分割器32とを有する。また、図2や図7等に示すように、手撒手段30は、手撒盤36と、シャッター板38とを有する。手撒盤36は、扁平でほぼ矩形の外観を有する部材であり、図3に示すように矩形の開口形状を有する分割小枡40が同一平面上に多数、縦横に並べて設けられている。分割小枡40は、数錠程度の錠剤を投入可能な容積を有し、手撒盤36の天面側から底面側に向けて貫通している。
【0021】
図7に示すように、手撒盤36は、天面側において外側に向けて張り出したフランジ部42を有する。手撒盤36は、後に詳述するように、フランジ部42をカバー20の裏面側に設けられた支持部材50や固定部材60を用いて支持したり固定することによりカバー20に装着されている。
【0022】
また、手撒盤36の底面側には、シャッター板38が設けられている。シャッター板38は、分割小枡40の底を開閉するためのものである。シャッター板38は、図示しない動力源から動力を受けて作動し、図7に矢印で示すように手撒盤36の長手方向にスライドする。シャッター板38を作動させると分割小枡40が開状態になり、各分割小枡40に収容されている薬剤を直下に配された分割器32に向けて払い出すことができる。
【0023】
図3や図4に示すように、分割器32は、上述した手撒手段30と同様に多数の分割小枡80を枡目状に形成した分割盤82と、分割盤82の直下に設けられた2枚の排出板86a,86bとを有する。また、図4(b),(c)に示すように、分割盤82の底面には、各分割小枡80の下部をそれぞれ個別に開閉可能な底蓋84が設けられている。
【0024】
図3に示すように、分割器32は、カバー20を閉じた際に、手撒盤36と上下に重なる位置に設けられている。そのため、各分割小枡80は、上述した手撒手段30の手撒盤36に設けられた分割小枡40に対応する位置に到来する。また、カバー20を閉じた状態で、手撒手段30のシャッター板38を開くと、分割盤36の各分割小枡40に収容されていた薬剤を、各分割小枡40の直下に対応して設けられている各分割小枡80に投入することができる。
【0025】
各分割小枡80には、底に設けられた開口を閉塞可能なように底蓋84が片持ち状に軸支されている。分割小枡80の底に設けられた底蓋84は、図4(b)に示すように、常時は排出板86a,86bによって支持され水平な姿勢とされており、分割小枡80の底を閉じている。
【0026】
排出板86a,86bは、それぞれを図4(a)に示すように並べた際に境界となる部分が階段状に切り欠かれており、排出板86bを矢印Aで示すように長手方向に移動させ、両者の相対位置をずらすと、両者の間に空隙86cが形成される構成とされている。空隙86cは、排出板86a,86bの短手方向(図4(a)の上下方向)および長手方向(図4(a)の左右方向)に所定のピッチ間隔だけずれて段状に形成される。空隙86cは、上記した行列状に並ぶ分割小枡80において、各行を構成する分割小枡80の位置にあわせて段状に形成される。また、排出板86a,86bの下方であって、各空隙86cが形成される部分の下方には錠剤案内路34a(図4において不図示)が設けられている。
【0027】
分割盤82は、排出板86a,86b上を移動することができる。そのため、排出板86a,86bの間に空隙86cを形成した状態で分割盤82を図4の矢印A方向に移動させると、分割盤82の裏面側に設けられた底蓋84が空隙86cに到達し、各分割小枡80が順次下方に開く。これにより、各分割小枡80に収容されていた薬剤は、錠剤案内路34aやホッパー34bを介して薬剤分包用に設けられた薬剤包装部18へと払い出される。この払い出しについては後述する。
【0028】
図5に示すように、散薬供給部16は、投入ホッパー90a,90bと、分割供給装置92とを備えている。図1に示すように、投入ホッパー90a,90bは、カバー20の天面に開口しており、これを介して作業者が分包すべき散薬を投入可能とされている。分割供給装置92は、薬剤分包装置10の内側であって、投入ホッパー90a,90bの下方に位置している。分割供給装置92は、いわゆる円形ディスク方式(R円盤方式)を採用した装置であり、平面視が円盤形の分割皿94を有する。分割皿94の外周近傍には、表面側から裏面側に向けて円弧状に窪んだ凹状のR溝94aが分割皿94の全周にわたって周状に設けられており、前記した投入ホッパー90a,90bから散薬を投入可能とされている。また、分割皿94は、裏面側に設けられたモータ(図示せず)の動力を受けて回転可能とされている。そのため、分割皿94を回転させた状態でホッパー90a,90bから分割皿94に散薬を供給すると、散薬がR溝94a内にほぼ均等に分散させることができる。
【0029】
分割供給装置92は、スクリュー96を有する。スクリュー96は、R溝94a内に撒かれた散薬をかき集めるためのものであり、分割皿94の中心から径方向に横断するように設けられたアーム部材98の先端近傍に取り付けられている。アーム部材98は、傾斜を適宜調整することができ、図5において実線で示したようにスクリュー96がR溝94aに入って横切り、R溝94内の領域がスクリュー96を境として分割された状態としたり、図5において一点鎖線で示したようにスクリュー96がR溝94aから出た状態とすることができる。スクリュー96がR溝94aを横切った状態として分割皿94を回転させると、スクリュー96よりも分割皿94の回転方向下流側に撒かれている散薬をスクリュー96によって堰き止め、払い出すことができる。従って、散薬をN包分に分割する場合は、分割皿94のR溝94a内に散薬がほぼ均一に撒かれた状態でR溝94aをスクリュー96が横切った状態とし、分割皿94を(N/360)度だけ回転させることにより、1包分に相当する散薬をスクリュー96の脇に払い出すことができる。
【0030】
スクリュー96は、分割皿94の回転方向下流側を向く面に掻寄部材96aを有する。また、スクリュー96は、アーム部材92の先端において、掻寄部材96aを一体的に回動可能なように取り付けられている。そのため、上述したようにして1包分に相当する散薬をスクリュー96の脇に払い出した後、掻寄部材96aを回転させることにより、スクリュー96によりR溝94aの内側に設けられたホッパー34bに払い出すことができる。
【0031】
ここで再び図5を参照しながら錠剤供給部14の手撒手段30における各分割小枡80内に収容されていた薬剤が薬剤包装部18まで到達する薬剤移動経路について説明する。手撒手段30の各分割小枡80が下方に開放されると各分割小枡80に収容されていた薬剤は、矢印Aに示すように投入ホッパー34cに払い出される。投入ホッパー34cに払い出された錠剤は、筒状の錠剤案内路34aを下方に落下し、錠剤案内路34aの下端において投入ホッパー34b内に開口する錠剤出口34dから投入ホッパー34b内に払い出される。従って、この錠剤出口34dから払い出された薬剤と上述するスクリュー96から払い出される散剤とが混合され、1包分に相当する散剤および薬剤として投入ホッパー34の下方から薬剤包装部18に払い出される。
【0032】
なお、ここでは手撒手段30から薬剤包装部18までの薬剤移動経路について説明したが、図5の2点鎖線で示すように手撒手段30の代替え又は手撒手段30との併用としてカセット式錠剤フィーダ35から払い出された薬剤が順次、矢印B、投入ホッパー34c、錠剤案内路34a、ホッパー34bに払い出される場合も存在する。このカセット式錠剤フィーダ35は、それぞれ同種の薬剤が収容された複数のカセットから所望する薬剤のカセットを設置し、投入ホッパー34cに払い出すように構成されたものである。
【0033】
次に、薬剤包装部18は、上述した錠剤供給部14や散薬供給部16の下方に設けられている。この薬剤包装部18は、包装手段100と搬送手段120とを有している。包装手段100は、印字機構100aと、シール機構100bと、ロール軸100cを有する。ロール軸100cには、シート状で長尺の熱融着性シートからなる分包紙が巻かれている。印字機構100aは、ロール軸100cから繰り出された分包紙に、インクリボンなどを用いて分包する薬剤の種類や患者名などの情報を印字するものである。印字機構100aにおいて印字された分包紙は、シール機構100b側に送られる。シール機構100bは、印字機構100aから送られた分包紙をその短手方向(幅方向)略中央部分で2つに折り曲げると共に、折り曲げられた分包紙を加熱して圧着(シール)し、袋状にするものである。シール機構100bが設けられた部分には、錠剤供給部14や散薬供給部16から払い出された錠剤や散薬の案内路として機能するホッパー34bの末端部分が臨んでおり、ホッパー34bから払い出された薬剤をシール機構100bで分包することができる。
【0034】
また、シール機構100bで圧着された分包紙は、さらに送られる。この送りは搬送機構120により行われる。具体的に分包紙は、分包紙の進行方向前方に配設されたコンベア120aによる張力でロール軸100cが軸回転することで送られる。コンベア120aに分包紙を送る都合上、90°にねじれさせる必要があるが、機器のコンパクト化にともない印字機構100aからコンベア120aまでの距離が短くなり急に90°ねじれる。このときコンベア120aからの引張り力によりシワが生じコンベア120a内で分包紙が詰まることがあった。
【0035】
具体的には、分包紙の進行に沿ってブラシ120bやガイド板120bが配設されている。まず、分包手段100から繰り出された分包紙はその表面に接するブラシ120bを通過させる。このブラシ120bは、複数の樹脂繊維の束を分包紙の幅方向に並列させている。また図17でブラシ120bと分包紙との位置関係を示すようにブラシ120bの樹脂繊維の先端は分包紙の表面に接触するように構成されている。さらに、ブラシ120bと反対側の分包紙表面(図17の上側)には押さえ金具120dが配設されている。従って、繰り出された分包紙は、ブラシ120bによりシワの発生を回避しながら進行していくこととなる。とりわけ分包紙は薬剤が収容され膨れている部分と他の膨れていない部分とで順次進行していく際に、ブラシ120bによりシワの発生を回避させ、さらに、ブラシ120bの弾性と押さえ金具12dとにより分包紙の膨れを十分に吸収できるので分包紙の膨れによって引っ掛かって分包紙が詰まることがない。
【0036】
再び図5を参照すればブラシ120bを通過した後、分包紙はガイド板120cに表面接触する。このガイド板120cは分包紙の急激な捻じれを回避し、緩やかに所望の角度分捻じりながら進行するように案内する役割である。具体的にガイド板120は分包紙の捩じり方向と同方向に捩じった板で形成され、この表面を分包紙表面とを接触させることで分包紙の進行をガイド板120cの捩じりに沿って案内している。
【0037】
続いて、本実施形態の薬剤分包装置10の特徴的構成である手撒盤36の装着構造について説明する。図2や図8に示すように、手撒盤36は、カバー20の裏側(内周面20a)、すなわちカバー20を閉じた状態で内側を向く面に設けられた支持部材50や固定部材60を用いて装着されている。図9に示すように、支持部材50は、断面形状がほぼ「コ」字型の部材であり、ステンレス鋼などの金属によって作成された留め金状の部材である。支持部材50は、対向した2面の挟持面52,54と、これらに対してほぼ垂直な垂直面56とを有し、両者の間に隙間58が形成された部材である。支持部材50は、挟持面52をカバー20の裏面に面接触させると共に、垂直面56をカバー20の支軸22側(基端側)に向けた状態としてネジなどによって固定されている。そのため、支持部材50は、隙間58がカバー20の手前側(自由端側)に向けて開放された状態で取り付けられている。
【0038】
また、支持部材50の挟持面54には、垂直面56側から先端側に向かう中途部分に隙間58の外側から内側に向けて谷状に窪んだ屈曲部54aが存在する。そのため、挟持面52,54の間隔は、屈曲部54aが設けられた位置において小さくなっている。しかし、隙間58全体として上述した手撒盤36の外周に設けられたフランジ部42の板厚よりも十分大きい。そのため、支持部材50は、挟持面52,54の間に手撒盤36のフランジ部42を自由に差し込むことが可能である。一方、後に詳述する固定部材60を用いて手撒盤36をカバー20に対して装着することによりフランジ部42と挟持面52とがほぼ平行な状態になると、図10に示すように挟持面54に設けられた屈曲部54aが当接してフランジ部42に付勢力が作用し、手撒盤36が位置ズレしない程度の強度で支持された状態になる。
【0039】
また、支持部材50は、屈曲部54aよりも先端側において、挟持面54が、対向する挟持面52から離れる方向に傾斜している。そのため、支持部材50は、挟持面52,54の先端側において間隔が広がっている。従って、支持部材50は、挟持面52,54の間に形成された隙間58に手撒盤36のフランジ部42を差し込みやすい。
ここで、図8に示すように、本実施形態では、カバー20に手撒盤36の装着用として装着領域Sが設けられている。この装着領域Sは、手撒盤36と同等の大きさを有し、薬剤分包装置1の幅方向に長い矩形状の領域である。さらに具体的には、装着領域Sは、支軸22側において、支軸22に沿って延びる辺L1と、この辺L1に対して平行な辺L2、辺L1,L2に対して交差する辺L3,L4によって囲まれた、ほぼ矩形の領域であり、この装着領域Sに被さるように手撒盤36が配置され、装着される。上記した支持部材50は、前述した装着領域Sのうち、カバー20を支持する支軸22側に位置する領域(以下、支持側領域S1)に設けられている。また、支持部材50は、支持側領域S1の長手方向両端側の位置に一つずつ設けられている。
【0040】
さらに詳細に説明すると、辺L1,L2の間において辺L1,L2に対して、たとえば平行な仮想線L5を想定した場合、装着領域Sにおいてこの仮想線L5よりも辺L1側の領域が支持側領域S1に相当する。仮想線L5は、装着領域Sに取り付けられる手撒盤36の重心位置を通っている。支持部材50は、垂直面56が辺L1上に位置し、支持領域S1側に向けて隙間58が開放された状態となるように取り付けられている。そのため、辺L2側から辺L1側に向けて支持部材50の隙間58に手撒盤36のフランジ部42を差し込み、垂直面56に当接させると、フランジ部42の外縁が辺L1,L2に相当する位置に到来する。従って、支持部材50は、手撒盤36を装着する際に、手撒盤36を装着領域Sに案内するための案内手段としての機能を発揮することができる。
【0041】
図11に示すように、上述した固定部材60は、断面形状がほぼ「L」字型字型の部材であり、ステンレス鋼などの金属によって作成された部材である。固定部材60は、水平部62と、これに対してほぼ垂直に立ち上がった立設部64とを有する。水平部62の先端側には、山状に盛り上がるように屈曲した裏面当接部62aがある。また、立設部64には、切り起こしによって形成された側方当接部64aがある。側方当接部64aは、裏面当接部62aと同様に山状に盛り上がるように屈曲している。具体的には、側方当接部64aは、水平部62側(基端側)の位置から先端側に向かうにつれて立設部64から離れる面64bと、面64bに連続し先端側に向かうにつれて立設部64側に近づく面64cとを有している。
【0042】
固定部材60は、カバー20の裏面側に水平部62を面接触させた状態で固定されている。そのため、固定部材60の立設部64は、カバー20の裏面に対して立設された状態になっている。固定部材60は、上述した装着領域Sにおいて、支持側領域S1よりも支軸22から離れた領域(以下、固定側領域S2とも称す)、すなわちカバー20において作業者の手前側となる領域に設けられている。また、固定部材60は、装着領域Sの長手方向、すなわち薬剤分包装置10の幅方向両脇の位置に、立設部64をなす面が支軸22に対してほぼ直行する姿勢とされて固定されている。立設部64をなす面は、装着領域Sの外縁をなす辺のうち支軸30に対して交差(本実施形態ではほぼ直交)する辺L3,L4上に存在している。また、固定部材60は、立設部64に設けられた側方当接部64aは、辺L3,L4よりも装着領域Sの内側に向けて突出した状態になるように固定されている。
【0043】
図12に示すように、手撒盤36のフランジ部42を水平部62の先端部分に設けられた裏面当接部62aに当接した状態とすると共に、フランジ部42を水平部62に対してほぼ水平な姿勢とすると、フランジ部42は立設部64に設けられた側方当接部64aの基端側に位置する面64bに当接した状態になる。これにより、側方当接部64aが邪魔になり、手撒盤36のフランジ部42がカバー20および水平部62側から離反できないように固定された状態になる。
【0044】
固定部材60の立設部64は、可撓性を有する。そのため、図12に矢印で示すように作業者が指で押圧するなどすれば、辺L3,L4上に存在している立設部64を辺L3,L4に交差し、装着領域Sから外れる方向に向けて撓ませることができる。従って、装着領域Sの両脇に相当する辺L3,L4上に存在している固定部材60の立設部64,64の双方を押圧して装着領域Sの外側に向けて撓ませれば、立設部64,64同士の間隔を広げることができる。また、立設部64,64を撓ませ、側方当接部64a,64aが装着領域Sの外側に出た状態とすると、固定盤36がカバー20や水平部62から離反しないようにフランジ部42を押さえ込んでいた側方当接部64a,64aがフランジ部42から離れ、手撒盤36が固定解除された状態になる。
【0045】
上述したように、手撒盤36は、支持部材50や固定部材60を用いてカバー20の裏面側に着脱可能なように装着されている。さらに詳細に説明すると、手撒盤36は、カバー20を開いた状態においてフランジ42を2つの支持部材50,50に設けられた隙間58,58に差し込むことにより、カバー20の支軸22側(支持側領域S1側)の位置で支持された状態になる。ここで、上述したように、支持部材50は、挟持面52,54の先端側、すなわち隙間58の間口に相当する部分において間隔が広がっている。そのため、カバー20の基端側に位置する支持部材50,50に対して手撒盤36を容易に差し込むことができる。
【0046】
一方、カバー20の手前側(固定側領域S2側)においては、固定部材60,60の立設部64,64を押圧などして装着領域Sの外側に向けて撓ませた状態とすると立設部64,64の間隔が広がり、手撒盤36を配置することができる状態になる。この状態で手撒盤36を立設部64,64間に配置した後、立設部64,64に作用させていた押圧力を解除すると、立設部64,64が元の姿勢に戻り、側方当接部64a,64aの面64b,64bによってフランジ部42が押さえ込まれた状態になる。また、手撒盤36に対して両脇に配置された立設部64,64から付勢力が作用する。これらの作用により、手撒盤36がしっかりと固定された状態になる。
【0047】
これに対し、清掃などのメンテナンスのために手撒盤36を取り外す際は、カバー20を開き、先ず固定部材60,60の立設部64,64を押圧などして装着領域Sの外側に向けて撓ませ、立設部64,64同士の間隔を広げる。これにより、側方当接部64a,64aと手撒盤36のフランジ部42との係合が解け、手撒盤36が固定解除された状態になる。
【0048】
ここで、上述したようにして手撒盤36が固定解除状態になると、手撒盤36の自重によりカバー20の手前側(固定側領域S2側)において手撒盤36がカバー20の裏面側から離れて傾いた状態になる可能性がある。しかし、手撒盤36が傾いた状態においても、手撒盤36は、カバー20の基端側(支持側領域S1)にある支持部材50によって支持された状態にあり、高さ方向への移動が抑制されている。そのため、前述したようにして固定解除しても、手撒盤36は落下しない。また、支持部材50は、挟持面54が先端側において挟持面52から離れる方向に傾斜しているため、前述した固定解除によって手撒盤36が多少傾いても、支持部材50に支持されている部分に無理な応力が作用しない。
【0049】
上述したようにして固定部材60,60による固定が解除された後、手撒盤36を作業者の手前側に引くと、手撒盤36のフランジ部42が支持部材50,50の隙間58から抜け、手撒盤36がカバー20から完全に取り外された状態になる。
【0050】
本実施形態の薬剤分包装置10は、カバー20の内周面20aに、手撒手段30を構成する手撒盤36を装着するのにあたり、支軸22に近く作業がしいくい支持側領域S1においては支持部材50を用いて支持している。また、カバー20の手前側で作業がしやすい場所においては、固定部材60を用いてしっかりと固定されている。そのため、本実施形態の薬剤分包装置10は、分割器32の着脱を容易に行え、清掃などのメンテナンスなどを実施しやすい。
【0051】
また、上記したように、カバー20に設けられた装着領域Sに手撒盤36を取り付けた状態において、手撒盤36の重心位置を通る仮想線L5を境として形成される支持側領域S1および固定側領域S2のそれぞれで、支持部材50および固定部材60を用いて手撒盤36が装着されている。そのため、上記した構成によれば、手撒盤36をカバー20に対して着脱する際に、手撒盤36の重量バランスが崩れて予期せず落下するなどの不具合が起こりにくい。
【0052】
なお、上記実施形態では、仮想線L5が手撒盤36の重心位置を通り、辺L1,L2に平行な線である例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、仮想線L5は辺L1,L2に沿う線であればよく、辺L1,L2に対して傾斜した線であってもよい。すなわち、仮想線L5は、カバー20に取り付けられる手撒盤36の重量バランスを支軸22側とカバー20の自由端側(作業者の手前側)とで釣り合いが取れるように分ける線であればよい。
【0053】
また、本実施形態の薬剤分包装置10では、固定部材60により手撒盤36をシャッター板38の移動方向への移動を阻止するように固定可能とされている。具体的には、固定部材60は、手撒盤36のフランジ部42に対してシャッター板38の作動方向両脇、すなわち装着領域Sの外縁をなす辺L3,L4上に配されている。さらに、固定部材60は、立設部64が可撓性を有し、この弾性力が手撒盤36を両脇から挟み込むように作用している。そのため、本実施形態の薬剤分包装置10は、シャッター板38が作動しても、手撒手段30を位置ズレが起こらないようにしっかりと装着することができる。
【0054】
上記実施形態では、手撒盤36の両脇に可撓性を有する立設部64を配して挟み込む構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、立設部64のうち一方の剛性が高く可撓性を有しないものとすることも可能である。かかる構成とした場合は、手撒盤36の着脱に際して、可撓性を有する側の立設部64を上記した例よりもより一層大きく撓ませる必要があるが、上記実施形態で示したのと同様に手撒盤36をしっかりと固定することができる。
【0055】
上記実施形態では、シャッター板38が手撒盤36の長手方向(幅方向)、言い換えれば支軸22に沿う方向に作動するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、手撒盤36の短手方向(奥行き方向)に作動するものであってもよい。かかる構成とされた場合は、固定手段60を上述したように手撒盤36の両脇(辺L3,L4上)に配してもよい。しかし、シャッター板38の作動に伴う衝撃により手撒盤36が位置ズレするのを防止するためには、固定手段60を辺L2上において側方当接部64が装着領域Sの内側を向く姿勢として取り付けることが好ましい。
【0056】
上記した支持部材50は、カバー20を開いた際に隙間58が上方に向けて開口し、その奥側に垂直面56が存在する状態となる。そのため、カバー20を開いた状態において手撒盤36が固定部材60から取り外されても、支持部材50によって手撒盤36が支持され、高さ方向(下方)への移動が抑制された状態にあり、手撒盤36は落下しない。これとは逆に、手撒盤36をカバー20に装着する場合は、先ずフランジ部42を支持部材50の隙間58に差し込んでおけば手撒盤36は落下しないため、固定手段60による固定作業を落ち着いて行うことができる。従って、上記した構成によれば、カバー20に対する手撒盤36の着脱作業を容易に行うことができる。
【0057】
上記した支持部材50や固定部材60は、一実施形態に過ぎず、他の構造のものを採用してもよい。具体的には、上述した支持部材50に代わって、図14(a)に示す支持部材105のようなものを採用してもよい。さらに詳細に説明すると、支持部材105は、外観がほぼ「L」字型の挟持面106,107と、これらに対してほぼ垂直な垂直面108とを有し、挟持面106,107の間に形成された隙間に手撒盤36のフランジ部42を差し込むことができる。この支持部材105を、図14(b)に示すようにカバー20において装着領域Sを区画する辺L1,L3の交差する位置および辺L1,L4の交差する位置に固定しておき、これに対してフランジ部42を差し込めば、手撒盤36を支持部材105によって支持することができる。
【0058】
上述した支持部材50は、挟持面54に屈曲部54aを設けた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、挟持面54は屈曲部54aがなく、平坦な構成であってもよい。また、支持部材50は、屈曲部54aを設けた部分から先端側に向けて隙間58の間口が広がる構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば前述したように挟持面54全体をほぼ平坦な構成としつつ、挟持面54を傾斜させ、先端に向かうにつれて対向する挟持面52との間隔が大きくなり、隙間58の間口が広がる構成としてもよい。
【0059】
また、支持部材50において挟持面54に屈曲部54aを設けない場合は、図15(a)に示すように、隙間58側に向けて突出した凸部54bのように、手撒盤36のフランジ部42に当接する当接手段や、フランジ部42に係合する係合手段として機能するものを設けた構成としてもよい。この場合、図15(a)に示すように、フランジ部42に孔42bを設け、これに凸部54bが係合する構成とすることも可能である。また、図15(b)に示すように、支持部材50は、挟持面54だけでなく、これに対向する挟持面52にも凸部52aを設けた構成としてもよい。このような構成とする場合は、支持部材50とフランジ部42との当接や係合により、手撒盤36を容易かつしっかりと支持することができる。また、図15(b)のように凸部54b,52aを設ける場合についても、図15(a)で示したように、凸部54b,52aが係合可能な孔42bを設けてもよい。かかる構成によれば、より一層しっかりと手撒盤36を支持することができる。
【0060】
また、図15(c)に示すように、手撒盤36のフランジ部42に突起などで構成される突出部42aを設け、支持部材50側に突出部42aが当接したり係合する凹部や孔(図15(c)では孔54d)を設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合は、手撒盤36側に設けられた突出部42aと、支持部材50側に設けられた凹部や孔とが当接したり係合することにより、手撒盤36を容易かつしっかりと支持することができる。
【0061】
また、上述した支持部材50,105に代わって、図16(a)に示すように鈎部111を有する支持部材110を採用し、これを用いて手撒盤36を支持してもよい。支持部材110を採用する場合は、手撒盤36のフランジ部42に鈎部111が係合する係合孔42bを設けることにより、図16(b)に示すように鈎部111と係合孔42bとを係合させ、手撒盤36を支持することができる。
【0062】
上述した固定部材60は、立設部64によってシャッター板38の作動方向への手撒盤36の移動を規制すると共に、立設部64に設けられた側方当接部64aによって手撒盤36のフランジ部42を押さえ込み、カバー20側から離れないように固定できるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、側方当接部64aを設けない構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、立設部64によって手撒盤36を挟み込んで固定することができる。なお、かかる構成とした場合は、側方当接部64aを設けた場合に比べて手撒盤36に作用する固定力が小さくなるため、カバー20側から外れないよう、ピンなどによって手撒盤36を補助的に固定することが望ましい。
【0063】
上記実施形態で示した支持部材50や固定部材60の配置や数量は、一実施形態を示したものに過ぎず、手撒盤36を支持あるいは固定可能な場所であればいかなる場所にどれだけ配置されていてもよい。具体的には、上記実施形態では、支持部材50が装着領域Sの外縁をなす辺L1上に2つ設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば辺L1の中央付近に支持部材50が1つだけ設けられていてもよく、さらに多数設けられていてもよい。
【0064】
また、固定部材60は、辺L3,L4上であって、辺L2と交差する位置の近傍に1つずつ配されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、辺L3,L4上に複数の固定部材60が配されていてもよい。また、固定部材60を設ける位置については、辺L3,L4上であって、辺L1,L2の中間に想定した仮想線L5よりも作業者の手前側となる固定側領域S2側のいかなる位置に設けられていてもよい。
【0065】
固定部材60、あるいは、これと同様に手撒盤36をカバー20から外れないように固定可能な部材を、辺L2上に配することも可能である。この場合、シャッター板38の作動に伴う手撒盤36の位置ズレを防止すべく、上述した固定部材60と同様に辺L3,L4上の適宜の位置にピンなどを装着した構成とすることが望ましい。すなわち、上記実施形態においては、固定部材60が、カバー20に対して手撒盤36を固定する固定機能と、シャッター38の作動による手撒盤36の位置ズレを防止する位置規制機能の双方を有していたが、固定機能を発揮する部材と位置規制機能を発揮する部材とを別々に設け、双方をもって固定手段としてもよい。
【0066】
上記実施形態で示した薬剤分包装置10は、手撒手段30を備えた錠剤供給部14に加え、散薬供給部16を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば散薬供給部16を備えていないものや、手撒手段30に加えて他の錠剤供給手段を備えたものであってもよい。
【0067】
上記実施形態では、薬剤払出手段の一例として手撒手段30を挙げ、これを支持部材50や固定部材60を用いてカバー20に装着する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、カバー20の内周面20aに装着され、分割小枡40のように薬剤を収容可能な薬剤収容枡と、シャッター板38のようにカバー20に沿ってスライドして開閉するシャッターとを備えたもの(薬剤払出手段)であれば、上述した手撒手段30に限定されず、いかなるものであってもよい。
【0068】
薬剤分包装置10は、上述した固定部材60に代えて、例えば図18に示すような固定部材70によって手撒盤36を固定するものであってもよい。さらに具体的に説明すると、固定部材70は、パチン錠やキャッチクリップなどと称されるファスナーによって構成されている。固定部材70は、レバー70aと、環状の係合部70bとを有し、係合部材72と組み合わせて使用される。固定部材70は、係合部70bを係合部材72に引っかけた状態にしてレバー70aを倒すと、係合部70bに係合部材72を固定部材70側に引っ張るように張力が作用し、両者がしっかりと係合した状態になる。これに対し、レバー70aを持ち上げた状態にすると、前述した係合部材72を固定部材70側に引っ張っていた張力が解除され、係合部70bと係合部材72との係合を解くことが可能な状態になる。
【0069】
図19に示す例では、手撒盤36のフランジ部42に固定部材70が固定されており、装置本体12側に設けられたカバー20の内周面20aに形成された装着領域Sのうち支軸22から離れた位置にある固定側領域S2に係合部材72が取り付けられている。図20に示すように、固定部材70は、フランジ部42の長手方向両端部に1つずつ設けられている。係合部材72は、カバー20に設けられた固定側領域S2の長手方向両端部に1つずつ設けられている。また、図21に示すように、手撒盤36のフランジ部42において固定部材70に隣接する位置には切欠74が設けられている。
【0070】
固定部材70によって手撒盤36を固定する場合に、手撒盤36のフランジ部42をカバー20の支持側領域S1に設けられた2つの支持部材50,50に差し込んで装着領域Sに手撒盤36をセットした状態にすると、カバー20側に取り付けられた係合部材72が手撒盤36のフランジ部42に設けられた切欠74内に露出した状態になる。この状態において、固定部材70の係合部70bを係合部材72に係合させた後、レバー70aを倒すと、図19に示すように手撒盤70がカバー20に対してしっかりと固定された状態になる。これとは逆に、手撒盤36が固定された状態においてレバー70aを起こすと、係合部70bと係合部材72との係合を解除可能な状態になる。
【0071】
上記したように、パチン錠やキャッチクリップなどを固定部材70として用いれば、レバー70aの上げ下げを行うだけで固定側領域S2における手撒盤36を固定したり、固定を解除することが可能となり、より一層容易に手撒盤36を着脱可能となる。
【0072】
上記実施形態やその変形例として示した薬剤分包装置10は、いずれも手撒盤36を備えており、作業者が手撒盤36に形成された分割小桝40に薬剤を投入可能となっている。このような構造とした場合、誤って投入した薬剤を取り出すなどするために作業者が分割小桝40に指等をつっこみ、手撒盤36の底面をなすシャッター板38に押圧力が作用する可能性がある。また、シャッター板38は、手撒盤36の裏面側においてスライド可能とされており、周縁部分がしっかりと固定されている訳ではない。そのため、周縁部分にある分割小桝40に指などがつっこまれ、当該部位においてシャッター板38に押圧力が作用すると、シャッター板38が手撒盤36から浮いて隙間ができる可能性がある。そこで、かかる懸念がある場合は、手撒盤36側に例えば図19や図22に示すように断面形状「コ」字型の係止部材76を設けておき、この係止部剤74にシャッター板38の外縁部分が係止される構成とすることが望ましい。
【0073】
上記実施形態で示した例では、散薬供給部16の近傍に錠剤案内路34aや投入ホッパー34cが設けられており、これらを介して錠剤供給部14から排出された錠剤を包装手段100側に供給可能とされている。そのため、散薬供給部16において散薬を取り扱っている場合は、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cを介して散薬が上方へ舞い上がってしまい、錠剤案内路34aおよび投入ホッパー34cに散薬が堆積する可能性がある。そこで、このような懸念がある場合には、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cの上方にファンを設け、散薬分包動作時にファンを駆動することにより、散薬が舞い上がらない程度のごく微量の風を送るなどしてもよい。これにより、錠剤案内路34a内や投入ホッパー34c内に散薬が舞い込むのを防止し、予期せぬ場所に散薬が飛散したり、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cの内部に散薬が堆積するなどの問題を解消することができる。なお、前述したようにファンを設ける場合において、そのファンの設置位置は、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cに対して適宜の位置とすることが可能であり、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cを介した錠剤供給の妨げにならないよう配慮されることが望ましい。
【0074】
また、前述したようにファンを設ける場合は、散薬分包動作時に加えて、散薬分包動作後の適宜のタイミング、具体的には清掃時などにもファンを作動させ、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cに誤って入り込んだ散薬を排出させることとしてもよい。このような構成とした場合は、散薬分包動作時と、散薬分包動作後に行われる清掃などのタイミングとで、ファンの送風量を異ならせることとしてもよい。さらに具体的には、散薬分包動作後に行われる清掃などのタイミングのように散薬供給部16に分包用に準備した散薬が存在しない状況下に、散薬分包動作時よりも前述したファンの送風量を高めることにより、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cに誤って入り込んだ散薬を一層確実に排出させることが可能となる。
【0075】
また、上記した薬剤分包装置10では、分包動作終了時に、次の分包の際に前回使用した薬剤が混合しないよう、スクリュー96や、分割皿94、ホッパー34bの各部位を清掃する必要がある。そのため、清掃作業を簡便に行えるようにするには、これらの各部位の近傍にそれぞれ吸引装置を設けると共に、スクリュー96や、分割皿94に清掃用のブラシを設置した構成とすることが望ましい。また、清掃中に舞った粉塵が、清掃を完了した他方の部位に付着する等して清掃作業の効率が低下するのを防止するという観点からすると、前述した各部の清掃は、スクリュー96、分割皿94、ホッパー34bの順で行うことが望ましい。
【0076】
また、前述した清掃作業の効率の低下を抑制しつつ、清掃時においても分包動作を開始したい場合は、前述した各部位の清掃順序を、スクリュー96、ホッパー34b、分割皿94の順とすることが好ましい。そこで、かかる知見に基づけば、分割皿94の清掃手段を、ホッパー34bの設置位置から離れた位置に設ける等して、分割皿94の清掃の際に、先に清掃を行ったホッパー34bに落下するのを防止できる構成とすることが望ましい。分割皿94の清掃手段をこのような配置にした場合、ホッパー34bの清掃を行った後、分割皿94の清掃の際に粉塵がホッパー34bに落下するのを確実に防止でき、清掃作業の効率の低下を抑制しつつ、清掃時においても分包動作を開始できることとなる。なお、前述したように分割皿94の清掃手段を設置する場合、この清掃手段の配置については、分割皿94の円周方向のいずれの位置であってもよく、他の機器類との配置を考慮して適宜設定できる。
【0077】
上記実施形態で示した薬剤分包装置10では、平面視が円盤形の分割皿94を有し、この分割皿94からスクリュー96により掻き出された散薬を分包用としてホッパー34bに供給可能とされている。また図24に示すように、ホッパー34bの下端の開口部分には、シャッター34xが設けられている。このシャッター34xは、散薬の分包時において閉状態とされている。そのため、分割皿94から掻き出された散薬は、いったんホッパー34b内に貯留される。また、シャッター34xは、散薬を分包用として分包紙に供給すべきタイミングになると開状態になる。これにより、ホッパー34bに溜め置かれていた散薬が、ホッパー34bよりもさらに下方側に準備された分包紙に投入されることとなる。
【0078】
薬剤分包装置10では、分割皿94から落下した散薬はそのまま分包紙に落下することにより散薬が飛散してしまうのを防止すべく、上記したように分包用の散薬をいったんホッパー34bに溜め置くこととしているが、散薬の飛散をより一層確実に防止するためには、ホッパー34bなどについても散薬の飛散防止可能な構成であることが望ましい。具体的には、シャッター34xが閉状態になっているホッパー34b内に散薬を投入した場合、図24に矢印で示すように、散薬はホッパー34bの内周面に沿って舞い上がる傾向にある。そのため、かかる特性を考慮し、例えば図23〜図25に示すような吹上防止ガイド130をホッパー34b上方の開口部分に取り付けた構成としてもよい。
【0079】
さらに詳細に説明すると、吹上防止ガイド130は、ホッパー34bへの取付状態においてホッパー34bの上縁部から内側に向けて鍔状に延びる鍔部130aを有し、中央に散薬投入用の開口130bを有する構成とされている。また、吹上防止ガイド130は、ホッパー34bから適宜脱着することが可能であり、取り外して別途清掃することが可能である。
【0080】
上記したように、ホッパー34bに対して吹上防止ガイド130を取り付ければ、ホッパー34bへの散薬の投入に伴い、ホッパー34bの内周面に沿って上方に舞い上がってくる散薬が飛散するのを効果的に防止できる。また、吹上防止ガイド130は、中央に開口130bが設けられているため、分割皿94から掻き出された散薬をホッパー34bに投入する上で何ら支障とならない。
【0081】
上記した吹上防止ガイド130は、薬剤分包装置10を構成する他部材との位置関係等の都合により、鍔部130aが開口130bを全周にわたって取り囲むものではなく、周方向に一部欠落した部分があるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、開口130bの全周にわたって取り囲むものであってもよい。また、上記した例では、ホッパー34bがシャッター34xを備えたものである例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シャッター34xを備えていないものであっても吹上防止ガイド130が取り付けられた構成とすることが可能である。シャッター34xがなくホッパー34bに投入された散薬がそのまま分包紙に投入される構成であっても、シャッター34xを有する場合と同様に散薬はホッパー34bの内周面に沿って飛散すると考えられる。そのため、シャッター34xを備えていない場合であっても、吹上防止ガイド130をホッパー34bに取り付けることにより、散薬の飛散を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 薬剤分包装置
14 錠剤供給部
20 カバー
22 支軸
30 手撒手段(薬剤払出手段)
50、105,110 支持部材
60 固定部材
S 装着領域
S1 支持側領域
S2 固定側領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出手段の固定構造に特徴を有する薬剤分包装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下記特許文献1に開示されているように、格子状の薬剤収容枡を多数有し、これに薬剤師などが投入した薬剤を適宜払出可能とした薬剤払出手段を備えた薬剤分包装置が提供されている。また、この種の薬剤分包装置には、薬剤払出手段の清掃などのために、装置本体をなすカバーに対して薬剤払出手段を着脱可能としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−110386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、従来技術の薬剤分包装置には、薬剤払出手段を着脱可能としたものがあった。しかし、従来技術の薬剤分包装置は、薬剤払出手段の着脱作業が困難であったり、手間を要するという問題があった。具体的には、薬剤払出手段の着脱作業は、装置本体に対して片持ち状に開くなどして不安定な状態にあるカバーに対して行わねばならなかった。それにもかかわらず、従来技術の薬剤分包装置では、薬剤払出手段の固定構造が複雑であるなどして容易に着脱することができないという問題があった。
【0005】
また、上述した手撒装置は、各薬剤収容枡を開閉するためのシャッターを備えており、これが作動すると一定の振動が発生していた。そのため、薬剤払出手段の固定構造を着脱の容易さだけを考慮したものとすると、シャッターの作動による振動で薬剤払出手段が位置ズレを起こし、薬剤の払出不良が起こる可能性があった。
【0006】
そこで、かかる課題を解決すべく、本発明は、薬剤払出手段を容易に着脱可能であり、位置ズレ等を起こさないようにしっかりと薬剤払出手段を装着可能な薬剤分包装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決すべく提供される本発明の薬剤分包装置は、支軸に対して回動させることで開閉可能なカバーを有し、このカバーの内周面に設けられた支持手段および固定手段によって薬剤払出手段を装着している。また、この薬剤払出手段は、錠剤を収容可能な薬剤収容枡を有しており、この薬剤収容枡に収容された薬剤を払い出しできるようにしている。本発明では、前記支持手段として、前記カバーにおける支軸側に位置する前記薬剤払出手段の支持領域において該薬剤払出手段を支持可能とするものが採用されており、前記固定手段としては、該支持領域よりも支軸から離れた位置にある薬剤払出手段の固定領域において薬剤払出手段を固定可能とするものが採用されている。
【0008】
なお、本発明および以下の説明において、「支持」とは、担体に支持することを指し、「担持」や「挟持」、「握持」などの概念を含むものである。とりわけ本発明において「支持」とは、全方向の移動を拘束する「固定」に対する概念であり、全方向の拘束にまで至らない拘束、すなわち少なくとも1以上の方向の拘束を意味している。
【0009】
上述した本発明の薬剤分包装置は、薬剤払出手段が、薬剤収容枡の底面に沿う方向に作動して前記薬剤収容枡を開閉可能なシャッターを有し、固定手段が、前記薬剤払出手段のシャッターの作動方向への移動を阻止するように固定可能なものであってもよい。
【0010】
上述した本発明の薬剤分包装置は、固定手段が、薬剤払出手段に対してシャッターの作動方向両脇に配置されたものであることが望ましい。また、固定手段は、薬剤払出手段側に向けて付勢されたものであることが望ましい。
【0011】
上述した本発明の薬剤分包装置は、支持手段が、カバーの所定の位置において薬剤払出手段を支持し、前記カバーを開いた状態において前記薬剤払出手段が高さ方向に移動するのを抑制可能なものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の薬剤分包装置は、カバーの内周面、すなわちカバーを閉じた状態において内側を向く面に、薬剤払出手段が支持手段や固定手段を用いて取り付けられている。ここで、本発明の薬剤分包装置は、カバーを支軸に対して回動させることにより開閉可能なものであるため、支軸から離れた領域は比較的薬剤払出手段の着脱作業がしやすい。しかし、支軸に近い領域はカバーの開閉の基端部となる位置であるばかりか、カバーの内部に機器類が存在するなどして薬剤払出手段の着脱作業が困難となる。そこで、本発明の薬剤分包装置では、支軸に近い支持領域においては薬剤払出手段を支持し、支持領域よりも支軸から離れた固定領域において薬剤払出手段を固定することとしている。そのため、本発明の薬剤分包装置では、固定された部分を解除しても支持手段による支持状態が残っているため安全な取り外しが可能となる。その一方、全て固定手段により装着してしまう場合に比して装着手段のうち固定手段の固定状態を解除さえすれば薬剤払出手段を容易に着脱することができる。
【0013】
また、上記したように薬剤払出手段にシャッターを設けた場合は、薬剤払出手段がしっかりと固定されていないと、シャッターの作動に伴う振動等の影響によって薬剤払出手段が位置ズレを起こす懸念がある。そこで、かかる問題点を解消すべく、本発明の薬剤分包装置では、固定手段により薬剤払出手段をシャッターの作動方向への移動を阻止するように固定可能とされている。そのため、本発明の薬剤分包装置は、シャッターが作動しても、薬剤払出手段を位置ズレが起こらないようにしっかりと装着することができる。
【0014】
上述したように、固定手段を薬剤払出手段に対してシャッターの作動方向両脇に配置した場合は、シャッターの作動方向に作用する応力を固定手段によって受けることができ、カバーに装着された薬剤払出手段の位置ズレを確実に防止することができる。
【0015】
上述したように、固定手段を薬剤払出手段側に向けて付勢されたものとする場合は、この付勢力が薬剤払出手段に作用し、しっかりと固定された状態になる。そのため、かかる構成とした場合は、シャッターの作動による振動等が作用しても、カバーに対する薬剤払出手段の位置ズレをより一層確実に防止することができる。
【0016】
また、上述したように、支持手段が、カバーの所定の位置において薬剤払出手段を支持し、前記カバーを開いた状態において前記薬剤払出手段が高さ方向に移動するのを抑制可能なものとした場合、カバーを開いて固定部材による薬剤払出手段の固定を解除した際に薬剤払出手段が落下してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す薬剤分包装置をカバーの裏側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】手撒手段の構成を模式的に示した分解斜視図である。
【図4】(a)は手撒手段において採用されている排出板を示す平面図であり、(b)は分割器と排出板との位置関係を示す断面図、(c)は分割器から散薬を払い出す際の動作状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】散薬供給部の構成を模式的に示した側面図である。
【図6】散薬供給部の構成を示した天面図である。
【図7】手撒盤を裏面側から見た状態を示す斜視図である。
【図8】手撒盤とカバーとの位置関係を示す正面図である。
【図9】(a)は支持部材を示す斜視図、(b)は支持部材を示す側面図である。
【図10】支持部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大側面図である。
【図11】(a)は固定部材を示す斜視図、(b)は固定部材を示す側面図である。
【図12】固定部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大斜視図である。
【図13】固定部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大側面図である。
【図14】(a)は支持部材の変形例を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す支持部材への手撒盤の装着方法を示す斜視図である。
【図15】(a)〜(c)は、それぞれ変形例に係る支持部材を用いて手撒盤を装着した状態を示す要部拡大断面図である。
【図16】(a)は変形例に係る支持部材への手撒盤の装着方法を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す支持部材に手撒盤を装着した状態を示す要部拡大断面図である。
【図17】図2のブラシ周辺の構成を示す断面図である。
【図18】変形例に係る固定部材と、係合部材とを示す斜視図である。
【図19】図18に示す固定部材および係合部材を用いて手撒盤を固定した状態を示す斜視図である。
【図20】図18に示す固定部材を備えた手撒盤を示す正面図である。
【図21】図18に示す固定部材を備えた手撒盤を示す背面図である。
【図22】係止部材にシャッター板が係止された状態を示す正面図である。
【図23】吹上防止ガイドを取り付けたホッパーを示す斜視図である。
【図24】図23に示すホッパーの断面図である。
【図25】吹上防止ガイドを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、本発明の一実施形態にかかる薬剤分包装置10について全体構造を説明した後、手撒手段30(薬剤払出手段)を構成する手撒盤36の固定構造について説明する。
【0019】
図1に示すように、薬剤分包装置10は、装置本体12の上方側に、錠剤供給部14と、散薬供給部16とを備えており、これらから供給された薬剤を分包して払出可能とされている。また、装置本体12の上面には、カバー20が装着されている。カバー20は、支軸22により自由端側を上方に跳ね上げて開閉可能なように支持されている。また、薬剤分包装置10は、装置本体12の下方側に形成される収容室24内に、薬剤を分包するための薬剤包装部18(図5参照)などを備えている。
【0020】
図3に示すように、錠剤供給部14は、手撒手段30と、この下方に設けられた分割器32とを有する。また、図2や図7等に示すように、手撒手段30は、手撒盤36と、シャッター板38とを有する。手撒盤36は、扁平でほぼ矩形の外観を有する部材であり、図3に示すように矩形の開口形状を有する分割小枡40が同一平面上に多数、縦横に並べて設けられている。分割小枡40は、数錠程度の錠剤を投入可能な容積を有し、手撒盤36の天面側から底面側に向けて貫通している。
【0021】
図7に示すように、手撒盤36は、天面側において外側に向けて張り出したフランジ部42を有する。手撒盤36は、後に詳述するように、フランジ部42をカバー20の裏面側に設けられた支持部材50や固定部材60を用いて支持したり固定することによりカバー20に装着されている。
【0022】
また、手撒盤36の底面側には、シャッター板38が設けられている。シャッター板38は、分割小枡40の底を開閉するためのものである。シャッター板38は、図示しない動力源から動力を受けて作動し、図7に矢印で示すように手撒盤36の長手方向にスライドする。シャッター板38を作動させると分割小枡40が開状態になり、各分割小枡40に収容されている薬剤を直下に配された分割器32に向けて払い出すことができる。
【0023】
図3や図4に示すように、分割器32は、上述した手撒手段30と同様に多数の分割小枡80を枡目状に形成した分割盤82と、分割盤82の直下に設けられた2枚の排出板86a,86bとを有する。また、図4(b),(c)に示すように、分割盤82の底面には、各分割小枡80の下部をそれぞれ個別に開閉可能な底蓋84が設けられている。
【0024】
図3に示すように、分割器32は、カバー20を閉じた際に、手撒盤36と上下に重なる位置に設けられている。そのため、各分割小枡80は、上述した手撒手段30の手撒盤36に設けられた分割小枡40に対応する位置に到来する。また、カバー20を閉じた状態で、手撒手段30のシャッター板38を開くと、分割盤36の各分割小枡40に収容されていた薬剤を、各分割小枡40の直下に対応して設けられている各分割小枡80に投入することができる。
【0025】
各分割小枡80には、底に設けられた開口を閉塞可能なように底蓋84が片持ち状に軸支されている。分割小枡80の底に設けられた底蓋84は、図4(b)に示すように、常時は排出板86a,86bによって支持され水平な姿勢とされており、分割小枡80の底を閉じている。
【0026】
排出板86a,86bは、それぞれを図4(a)に示すように並べた際に境界となる部分が階段状に切り欠かれており、排出板86bを矢印Aで示すように長手方向に移動させ、両者の相対位置をずらすと、両者の間に空隙86cが形成される構成とされている。空隙86cは、排出板86a,86bの短手方向(図4(a)の上下方向)および長手方向(図4(a)の左右方向)に所定のピッチ間隔だけずれて段状に形成される。空隙86cは、上記した行列状に並ぶ分割小枡80において、各行を構成する分割小枡80の位置にあわせて段状に形成される。また、排出板86a,86bの下方であって、各空隙86cが形成される部分の下方には錠剤案内路34a(図4において不図示)が設けられている。
【0027】
分割盤82は、排出板86a,86b上を移動することができる。そのため、排出板86a,86bの間に空隙86cを形成した状態で分割盤82を図4の矢印A方向に移動させると、分割盤82の裏面側に設けられた底蓋84が空隙86cに到達し、各分割小枡80が順次下方に開く。これにより、各分割小枡80に収容されていた薬剤は、錠剤案内路34aやホッパー34bを介して薬剤分包用に設けられた薬剤包装部18へと払い出される。この払い出しについては後述する。
【0028】
図5に示すように、散薬供給部16は、投入ホッパー90a,90bと、分割供給装置92とを備えている。図1に示すように、投入ホッパー90a,90bは、カバー20の天面に開口しており、これを介して作業者が分包すべき散薬を投入可能とされている。分割供給装置92は、薬剤分包装置10の内側であって、投入ホッパー90a,90bの下方に位置している。分割供給装置92は、いわゆる円形ディスク方式(R円盤方式)を採用した装置であり、平面視が円盤形の分割皿94を有する。分割皿94の外周近傍には、表面側から裏面側に向けて円弧状に窪んだ凹状のR溝94aが分割皿94の全周にわたって周状に設けられており、前記した投入ホッパー90a,90bから散薬を投入可能とされている。また、分割皿94は、裏面側に設けられたモータ(図示せず)の動力を受けて回転可能とされている。そのため、分割皿94を回転させた状態でホッパー90a,90bから分割皿94に散薬を供給すると、散薬がR溝94a内にほぼ均等に分散させることができる。
【0029】
分割供給装置92は、スクリュー96を有する。スクリュー96は、R溝94a内に撒かれた散薬をかき集めるためのものであり、分割皿94の中心から径方向に横断するように設けられたアーム部材98の先端近傍に取り付けられている。アーム部材98は、傾斜を適宜調整することができ、図5において実線で示したようにスクリュー96がR溝94aに入って横切り、R溝94内の領域がスクリュー96を境として分割された状態としたり、図5において一点鎖線で示したようにスクリュー96がR溝94aから出た状態とすることができる。スクリュー96がR溝94aを横切った状態として分割皿94を回転させると、スクリュー96よりも分割皿94の回転方向下流側に撒かれている散薬をスクリュー96によって堰き止め、払い出すことができる。従って、散薬をN包分に分割する場合は、分割皿94のR溝94a内に散薬がほぼ均一に撒かれた状態でR溝94aをスクリュー96が横切った状態とし、分割皿94を(N/360)度だけ回転させることにより、1包分に相当する散薬をスクリュー96の脇に払い出すことができる。
【0030】
スクリュー96は、分割皿94の回転方向下流側を向く面に掻寄部材96aを有する。また、スクリュー96は、アーム部材92の先端において、掻寄部材96aを一体的に回動可能なように取り付けられている。そのため、上述したようにして1包分に相当する散薬をスクリュー96の脇に払い出した後、掻寄部材96aを回転させることにより、スクリュー96によりR溝94aの内側に設けられたホッパー34bに払い出すことができる。
【0031】
ここで再び図5を参照しながら錠剤供給部14の手撒手段30における各分割小枡80内に収容されていた薬剤が薬剤包装部18まで到達する薬剤移動経路について説明する。手撒手段30の各分割小枡80が下方に開放されると各分割小枡80に収容されていた薬剤は、矢印Aに示すように投入ホッパー34cに払い出される。投入ホッパー34cに払い出された錠剤は、筒状の錠剤案内路34aを下方に落下し、錠剤案内路34aの下端において投入ホッパー34b内に開口する錠剤出口34dから投入ホッパー34b内に払い出される。従って、この錠剤出口34dから払い出された薬剤と上述するスクリュー96から払い出される散剤とが混合され、1包分に相当する散剤および薬剤として投入ホッパー34の下方から薬剤包装部18に払い出される。
【0032】
なお、ここでは手撒手段30から薬剤包装部18までの薬剤移動経路について説明したが、図5の2点鎖線で示すように手撒手段30の代替え又は手撒手段30との併用としてカセット式錠剤フィーダ35から払い出された薬剤が順次、矢印B、投入ホッパー34c、錠剤案内路34a、ホッパー34bに払い出される場合も存在する。このカセット式錠剤フィーダ35は、それぞれ同種の薬剤が収容された複数のカセットから所望する薬剤のカセットを設置し、投入ホッパー34cに払い出すように構成されたものである。
【0033】
次に、薬剤包装部18は、上述した錠剤供給部14や散薬供給部16の下方に設けられている。この薬剤包装部18は、包装手段100と搬送手段120とを有している。包装手段100は、印字機構100aと、シール機構100bと、ロール軸100cを有する。ロール軸100cには、シート状で長尺の熱融着性シートからなる分包紙が巻かれている。印字機構100aは、ロール軸100cから繰り出された分包紙に、インクリボンなどを用いて分包する薬剤の種類や患者名などの情報を印字するものである。印字機構100aにおいて印字された分包紙は、シール機構100b側に送られる。シール機構100bは、印字機構100aから送られた分包紙をその短手方向(幅方向)略中央部分で2つに折り曲げると共に、折り曲げられた分包紙を加熱して圧着(シール)し、袋状にするものである。シール機構100bが設けられた部分には、錠剤供給部14や散薬供給部16から払い出された錠剤や散薬の案内路として機能するホッパー34bの末端部分が臨んでおり、ホッパー34bから払い出された薬剤をシール機構100bで分包することができる。
【0034】
また、シール機構100bで圧着された分包紙は、さらに送られる。この送りは搬送機構120により行われる。具体的に分包紙は、分包紙の進行方向前方に配設されたコンベア120aによる張力でロール軸100cが軸回転することで送られる。コンベア120aに分包紙を送る都合上、90°にねじれさせる必要があるが、機器のコンパクト化にともない印字機構100aからコンベア120aまでの距離が短くなり急に90°ねじれる。このときコンベア120aからの引張り力によりシワが生じコンベア120a内で分包紙が詰まることがあった。
【0035】
具体的には、分包紙の進行に沿ってブラシ120bやガイド板120bが配設されている。まず、分包手段100から繰り出された分包紙はその表面に接するブラシ120bを通過させる。このブラシ120bは、複数の樹脂繊維の束を分包紙の幅方向に並列させている。また図17でブラシ120bと分包紙との位置関係を示すようにブラシ120bの樹脂繊維の先端は分包紙の表面に接触するように構成されている。さらに、ブラシ120bと反対側の分包紙表面(図17の上側)には押さえ金具120dが配設されている。従って、繰り出された分包紙は、ブラシ120bによりシワの発生を回避しながら進行していくこととなる。とりわけ分包紙は薬剤が収容され膨れている部分と他の膨れていない部分とで順次進行していく際に、ブラシ120bによりシワの発生を回避させ、さらに、ブラシ120bの弾性と押さえ金具12dとにより分包紙の膨れを十分に吸収できるので分包紙の膨れによって引っ掛かって分包紙が詰まることがない。
【0036】
再び図5を参照すればブラシ120bを通過した後、分包紙はガイド板120cに表面接触する。このガイド板120cは分包紙の急激な捻じれを回避し、緩やかに所望の角度分捻じりながら進行するように案内する役割である。具体的にガイド板120は分包紙の捩じり方向と同方向に捩じった板で形成され、この表面を分包紙表面とを接触させることで分包紙の進行をガイド板120cの捩じりに沿って案内している。
【0037】
続いて、本実施形態の薬剤分包装置10の特徴的構成である手撒盤36の装着構造について説明する。図2や図8に示すように、手撒盤36は、カバー20の裏側(内周面20a)、すなわちカバー20を閉じた状態で内側を向く面に設けられた支持部材50や固定部材60を用いて装着されている。図9に示すように、支持部材50は、断面形状がほぼ「コ」字型の部材であり、ステンレス鋼などの金属によって作成された留め金状の部材である。支持部材50は、対向した2面の挟持面52,54と、これらに対してほぼ垂直な垂直面56とを有し、両者の間に隙間58が形成された部材である。支持部材50は、挟持面52をカバー20の裏面に面接触させると共に、垂直面56をカバー20の支軸22側(基端側)に向けた状態としてネジなどによって固定されている。そのため、支持部材50は、隙間58がカバー20の手前側(自由端側)に向けて開放された状態で取り付けられている。
【0038】
また、支持部材50の挟持面54には、垂直面56側から先端側に向かう中途部分に隙間58の外側から内側に向けて谷状に窪んだ屈曲部54aが存在する。そのため、挟持面52,54の間隔は、屈曲部54aが設けられた位置において小さくなっている。しかし、隙間58全体として上述した手撒盤36の外周に設けられたフランジ部42の板厚よりも十分大きい。そのため、支持部材50は、挟持面52,54の間に手撒盤36のフランジ部42を自由に差し込むことが可能である。一方、後に詳述する固定部材60を用いて手撒盤36をカバー20に対して装着することによりフランジ部42と挟持面52とがほぼ平行な状態になると、図10に示すように挟持面54に設けられた屈曲部54aが当接してフランジ部42に付勢力が作用し、手撒盤36が位置ズレしない程度の強度で支持された状態になる。
【0039】
また、支持部材50は、屈曲部54aよりも先端側において、挟持面54が、対向する挟持面52から離れる方向に傾斜している。そのため、支持部材50は、挟持面52,54の先端側において間隔が広がっている。従って、支持部材50は、挟持面52,54の間に形成された隙間58に手撒盤36のフランジ部42を差し込みやすい。
ここで、図8に示すように、本実施形態では、カバー20に手撒盤36の装着用として装着領域Sが設けられている。この装着領域Sは、手撒盤36と同等の大きさを有し、薬剤分包装置1の幅方向に長い矩形状の領域である。さらに具体的には、装着領域Sは、支軸22側において、支軸22に沿って延びる辺L1と、この辺L1に対して平行な辺L2、辺L1,L2に対して交差する辺L3,L4によって囲まれた、ほぼ矩形の領域であり、この装着領域Sに被さるように手撒盤36が配置され、装着される。上記した支持部材50は、前述した装着領域Sのうち、カバー20を支持する支軸22側に位置する領域(以下、支持側領域S1)に設けられている。また、支持部材50は、支持側領域S1の長手方向両端側の位置に一つずつ設けられている。
【0040】
さらに詳細に説明すると、辺L1,L2の間において辺L1,L2に対して、たとえば平行な仮想線L5を想定した場合、装着領域Sにおいてこの仮想線L5よりも辺L1側の領域が支持側領域S1に相当する。仮想線L5は、装着領域Sに取り付けられる手撒盤36の重心位置を通っている。支持部材50は、垂直面56が辺L1上に位置し、支持領域S1側に向けて隙間58が開放された状態となるように取り付けられている。そのため、辺L2側から辺L1側に向けて支持部材50の隙間58に手撒盤36のフランジ部42を差し込み、垂直面56に当接させると、フランジ部42の外縁が辺L1,L2に相当する位置に到来する。従って、支持部材50は、手撒盤36を装着する際に、手撒盤36を装着領域Sに案内するための案内手段としての機能を発揮することができる。
【0041】
図11に示すように、上述した固定部材60は、断面形状がほぼ「L」字型字型の部材であり、ステンレス鋼などの金属によって作成された部材である。固定部材60は、水平部62と、これに対してほぼ垂直に立ち上がった立設部64とを有する。水平部62の先端側には、山状に盛り上がるように屈曲した裏面当接部62aがある。また、立設部64には、切り起こしによって形成された側方当接部64aがある。側方当接部64aは、裏面当接部62aと同様に山状に盛り上がるように屈曲している。具体的には、側方当接部64aは、水平部62側(基端側)の位置から先端側に向かうにつれて立設部64から離れる面64bと、面64bに連続し先端側に向かうにつれて立設部64側に近づく面64cとを有している。
【0042】
固定部材60は、カバー20の裏面側に水平部62を面接触させた状態で固定されている。そのため、固定部材60の立設部64は、カバー20の裏面に対して立設された状態になっている。固定部材60は、上述した装着領域Sにおいて、支持側領域S1よりも支軸22から離れた領域(以下、固定側領域S2とも称す)、すなわちカバー20において作業者の手前側となる領域に設けられている。また、固定部材60は、装着領域Sの長手方向、すなわち薬剤分包装置10の幅方向両脇の位置に、立設部64をなす面が支軸22に対してほぼ直行する姿勢とされて固定されている。立設部64をなす面は、装着領域Sの外縁をなす辺のうち支軸30に対して交差(本実施形態ではほぼ直交)する辺L3,L4上に存在している。また、固定部材60は、立設部64に設けられた側方当接部64aは、辺L3,L4よりも装着領域Sの内側に向けて突出した状態になるように固定されている。
【0043】
図12に示すように、手撒盤36のフランジ部42を水平部62の先端部分に設けられた裏面当接部62aに当接した状態とすると共に、フランジ部42を水平部62に対してほぼ水平な姿勢とすると、フランジ部42は立設部64に設けられた側方当接部64aの基端側に位置する面64bに当接した状態になる。これにより、側方当接部64aが邪魔になり、手撒盤36のフランジ部42がカバー20および水平部62側から離反できないように固定された状態になる。
【0044】
固定部材60の立設部64は、可撓性を有する。そのため、図12に矢印で示すように作業者が指で押圧するなどすれば、辺L3,L4上に存在している立設部64を辺L3,L4に交差し、装着領域Sから外れる方向に向けて撓ませることができる。従って、装着領域Sの両脇に相当する辺L3,L4上に存在している固定部材60の立設部64,64の双方を押圧して装着領域Sの外側に向けて撓ませれば、立設部64,64同士の間隔を広げることができる。また、立設部64,64を撓ませ、側方当接部64a,64aが装着領域Sの外側に出た状態とすると、固定盤36がカバー20や水平部62から離反しないようにフランジ部42を押さえ込んでいた側方当接部64a,64aがフランジ部42から離れ、手撒盤36が固定解除された状態になる。
【0045】
上述したように、手撒盤36は、支持部材50や固定部材60を用いてカバー20の裏面側に着脱可能なように装着されている。さらに詳細に説明すると、手撒盤36は、カバー20を開いた状態においてフランジ42を2つの支持部材50,50に設けられた隙間58,58に差し込むことにより、カバー20の支軸22側(支持側領域S1側)の位置で支持された状態になる。ここで、上述したように、支持部材50は、挟持面52,54の先端側、すなわち隙間58の間口に相当する部分において間隔が広がっている。そのため、カバー20の基端側に位置する支持部材50,50に対して手撒盤36を容易に差し込むことができる。
【0046】
一方、カバー20の手前側(固定側領域S2側)においては、固定部材60,60の立設部64,64を押圧などして装着領域Sの外側に向けて撓ませた状態とすると立設部64,64の間隔が広がり、手撒盤36を配置することができる状態になる。この状態で手撒盤36を立設部64,64間に配置した後、立設部64,64に作用させていた押圧力を解除すると、立設部64,64が元の姿勢に戻り、側方当接部64a,64aの面64b,64bによってフランジ部42が押さえ込まれた状態になる。また、手撒盤36に対して両脇に配置された立設部64,64から付勢力が作用する。これらの作用により、手撒盤36がしっかりと固定された状態になる。
【0047】
これに対し、清掃などのメンテナンスのために手撒盤36を取り外す際は、カバー20を開き、先ず固定部材60,60の立設部64,64を押圧などして装着領域Sの外側に向けて撓ませ、立設部64,64同士の間隔を広げる。これにより、側方当接部64a,64aと手撒盤36のフランジ部42との係合が解け、手撒盤36が固定解除された状態になる。
【0048】
ここで、上述したようにして手撒盤36が固定解除状態になると、手撒盤36の自重によりカバー20の手前側(固定側領域S2側)において手撒盤36がカバー20の裏面側から離れて傾いた状態になる可能性がある。しかし、手撒盤36が傾いた状態においても、手撒盤36は、カバー20の基端側(支持側領域S1)にある支持部材50によって支持された状態にあり、高さ方向への移動が抑制されている。そのため、前述したようにして固定解除しても、手撒盤36は落下しない。また、支持部材50は、挟持面54が先端側において挟持面52から離れる方向に傾斜しているため、前述した固定解除によって手撒盤36が多少傾いても、支持部材50に支持されている部分に無理な応力が作用しない。
【0049】
上述したようにして固定部材60,60による固定が解除された後、手撒盤36を作業者の手前側に引くと、手撒盤36のフランジ部42が支持部材50,50の隙間58から抜け、手撒盤36がカバー20から完全に取り外された状態になる。
【0050】
本実施形態の薬剤分包装置10は、カバー20の内周面20aに、手撒手段30を構成する手撒盤36を装着するのにあたり、支軸22に近く作業がしいくい支持側領域S1においては支持部材50を用いて支持している。また、カバー20の手前側で作業がしやすい場所においては、固定部材60を用いてしっかりと固定されている。そのため、本実施形態の薬剤分包装置10は、分割器32の着脱を容易に行え、清掃などのメンテナンスなどを実施しやすい。
【0051】
また、上記したように、カバー20に設けられた装着領域Sに手撒盤36を取り付けた状態において、手撒盤36の重心位置を通る仮想線L5を境として形成される支持側領域S1および固定側領域S2のそれぞれで、支持部材50および固定部材60を用いて手撒盤36が装着されている。そのため、上記した構成によれば、手撒盤36をカバー20に対して着脱する際に、手撒盤36の重量バランスが崩れて予期せず落下するなどの不具合が起こりにくい。
【0052】
なお、上記実施形態では、仮想線L5が手撒盤36の重心位置を通り、辺L1,L2に平行な線である例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、仮想線L5は辺L1,L2に沿う線であればよく、辺L1,L2に対して傾斜した線であってもよい。すなわち、仮想線L5は、カバー20に取り付けられる手撒盤36の重量バランスを支軸22側とカバー20の自由端側(作業者の手前側)とで釣り合いが取れるように分ける線であればよい。
【0053】
また、本実施形態の薬剤分包装置10では、固定部材60により手撒盤36をシャッター板38の移動方向への移動を阻止するように固定可能とされている。具体的には、固定部材60は、手撒盤36のフランジ部42に対してシャッター板38の作動方向両脇、すなわち装着領域Sの外縁をなす辺L3,L4上に配されている。さらに、固定部材60は、立設部64が可撓性を有し、この弾性力が手撒盤36を両脇から挟み込むように作用している。そのため、本実施形態の薬剤分包装置10は、シャッター板38が作動しても、手撒手段30を位置ズレが起こらないようにしっかりと装着することができる。
【0054】
上記実施形態では、手撒盤36の両脇に可撓性を有する立設部64を配して挟み込む構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、立設部64のうち一方の剛性が高く可撓性を有しないものとすることも可能である。かかる構成とした場合は、手撒盤36の着脱に際して、可撓性を有する側の立設部64を上記した例よりもより一層大きく撓ませる必要があるが、上記実施形態で示したのと同様に手撒盤36をしっかりと固定することができる。
【0055】
上記実施形態では、シャッター板38が手撒盤36の長手方向(幅方向)、言い換えれば支軸22に沿う方向に作動するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、手撒盤36の短手方向(奥行き方向)に作動するものであってもよい。かかる構成とされた場合は、固定手段60を上述したように手撒盤36の両脇(辺L3,L4上)に配してもよい。しかし、シャッター板38の作動に伴う衝撃により手撒盤36が位置ズレするのを防止するためには、固定手段60を辺L2上において側方当接部64が装着領域Sの内側を向く姿勢として取り付けることが好ましい。
【0056】
上記した支持部材50は、カバー20を開いた際に隙間58が上方に向けて開口し、その奥側に垂直面56が存在する状態となる。そのため、カバー20を開いた状態において手撒盤36が固定部材60から取り外されても、支持部材50によって手撒盤36が支持され、高さ方向(下方)への移動が抑制された状態にあり、手撒盤36は落下しない。これとは逆に、手撒盤36をカバー20に装着する場合は、先ずフランジ部42を支持部材50の隙間58に差し込んでおけば手撒盤36は落下しないため、固定手段60による固定作業を落ち着いて行うことができる。従って、上記した構成によれば、カバー20に対する手撒盤36の着脱作業を容易に行うことができる。
【0057】
上記した支持部材50や固定部材60は、一実施形態に過ぎず、他の構造のものを採用してもよい。具体的には、上述した支持部材50に代わって、図14(a)に示す支持部材105のようなものを採用してもよい。さらに詳細に説明すると、支持部材105は、外観がほぼ「L」字型の挟持面106,107と、これらに対してほぼ垂直な垂直面108とを有し、挟持面106,107の間に形成された隙間に手撒盤36のフランジ部42を差し込むことができる。この支持部材105を、図14(b)に示すようにカバー20において装着領域Sを区画する辺L1,L3の交差する位置および辺L1,L4の交差する位置に固定しておき、これに対してフランジ部42を差し込めば、手撒盤36を支持部材105によって支持することができる。
【0058】
上述した支持部材50は、挟持面54に屈曲部54aを設けた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、挟持面54は屈曲部54aがなく、平坦な構成であってもよい。また、支持部材50は、屈曲部54aを設けた部分から先端側に向けて隙間58の間口が広がる構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば前述したように挟持面54全体をほぼ平坦な構成としつつ、挟持面54を傾斜させ、先端に向かうにつれて対向する挟持面52との間隔が大きくなり、隙間58の間口が広がる構成としてもよい。
【0059】
また、支持部材50において挟持面54に屈曲部54aを設けない場合は、図15(a)に示すように、隙間58側に向けて突出した凸部54bのように、手撒盤36のフランジ部42に当接する当接手段や、フランジ部42に係合する係合手段として機能するものを設けた構成としてもよい。この場合、図15(a)に示すように、フランジ部42に孔42bを設け、これに凸部54bが係合する構成とすることも可能である。また、図15(b)に示すように、支持部材50は、挟持面54だけでなく、これに対向する挟持面52にも凸部52aを設けた構成としてもよい。このような構成とする場合は、支持部材50とフランジ部42との当接や係合により、手撒盤36を容易かつしっかりと支持することができる。また、図15(b)のように凸部54b,52aを設ける場合についても、図15(a)で示したように、凸部54b,52aが係合可能な孔42bを設けてもよい。かかる構成によれば、より一層しっかりと手撒盤36を支持することができる。
【0060】
また、図15(c)に示すように、手撒盤36のフランジ部42に突起などで構成される突出部42aを設け、支持部材50側に突出部42aが当接したり係合する凹部や孔(図15(c)では孔54d)を設けた構成としてもよい。かかる構成とした場合は、手撒盤36側に設けられた突出部42aと、支持部材50側に設けられた凹部や孔とが当接したり係合することにより、手撒盤36を容易かつしっかりと支持することができる。
【0061】
また、上述した支持部材50,105に代わって、図16(a)に示すように鈎部111を有する支持部材110を採用し、これを用いて手撒盤36を支持してもよい。支持部材110を採用する場合は、手撒盤36のフランジ部42に鈎部111が係合する係合孔42bを設けることにより、図16(b)に示すように鈎部111と係合孔42bとを係合させ、手撒盤36を支持することができる。
【0062】
上述した固定部材60は、立設部64によってシャッター板38の作動方向への手撒盤36の移動を規制すると共に、立設部64に設けられた側方当接部64aによって手撒盤36のフランジ部42を押さえ込み、カバー20側から離れないように固定できるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、側方当接部64aを設けない構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、立設部64によって手撒盤36を挟み込んで固定することができる。なお、かかる構成とした場合は、側方当接部64aを設けた場合に比べて手撒盤36に作用する固定力が小さくなるため、カバー20側から外れないよう、ピンなどによって手撒盤36を補助的に固定することが望ましい。
【0063】
上記実施形態で示した支持部材50や固定部材60の配置や数量は、一実施形態を示したものに過ぎず、手撒盤36を支持あるいは固定可能な場所であればいかなる場所にどれだけ配置されていてもよい。具体的には、上記実施形態では、支持部材50が装着領域Sの外縁をなす辺L1上に2つ設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば辺L1の中央付近に支持部材50が1つだけ設けられていてもよく、さらに多数設けられていてもよい。
【0064】
また、固定部材60は、辺L3,L4上であって、辺L2と交差する位置の近傍に1つずつ配されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、辺L3,L4上に複数の固定部材60が配されていてもよい。また、固定部材60を設ける位置については、辺L3,L4上であって、辺L1,L2の中間に想定した仮想線L5よりも作業者の手前側となる固定側領域S2側のいかなる位置に設けられていてもよい。
【0065】
固定部材60、あるいは、これと同様に手撒盤36をカバー20から外れないように固定可能な部材を、辺L2上に配することも可能である。この場合、シャッター板38の作動に伴う手撒盤36の位置ズレを防止すべく、上述した固定部材60と同様に辺L3,L4上の適宜の位置にピンなどを装着した構成とすることが望ましい。すなわち、上記実施形態においては、固定部材60が、カバー20に対して手撒盤36を固定する固定機能と、シャッター38の作動による手撒盤36の位置ズレを防止する位置規制機能の双方を有していたが、固定機能を発揮する部材と位置規制機能を発揮する部材とを別々に設け、双方をもって固定手段としてもよい。
【0066】
上記実施形態で示した薬剤分包装置10は、手撒手段30を備えた錠剤供給部14に加え、散薬供給部16を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば散薬供給部16を備えていないものや、手撒手段30に加えて他の錠剤供給手段を備えたものであってもよい。
【0067】
上記実施形態では、薬剤払出手段の一例として手撒手段30を挙げ、これを支持部材50や固定部材60を用いてカバー20に装着する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、カバー20の内周面20aに装着され、分割小枡40のように薬剤を収容可能な薬剤収容枡と、シャッター板38のようにカバー20に沿ってスライドして開閉するシャッターとを備えたもの(薬剤払出手段)であれば、上述した手撒手段30に限定されず、いかなるものであってもよい。
【0068】
薬剤分包装置10は、上述した固定部材60に代えて、例えば図18に示すような固定部材70によって手撒盤36を固定するものであってもよい。さらに具体的に説明すると、固定部材70は、パチン錠やキャッチクリップなどと称されるファスナーによって構成されている。固定部材70は、レバー70aと、環状の係合部70bとを有し、係合部材72と組み合わせて使用される。固定部材70は、係合部70bを係合部材72に引っかけた状態にしてレバー70aを倒すと、係合部70bに係合部材72を固定部材70側に引っ張るように張力が作用し、両者がしっかりと係合した状態になる。これに対し、レバー70aを持ち上げた状態にすると、前述した係合部材72を固定部材70側に引っ張っていた張力が解除され、係合部70bと係合部材72との係合を解くことが可能な状態になる。
【0069】
図19に示す例では、手撒盤36のフランジ部42に固定部材70が固定されており、装置本体12側に設けられたカバー20の内周面20aに形成された装着領域Sのうち支軸22から離れた位置にある固定側領域S2に係合部材72が取り付けられている。図20に示すように、固定部材70は、フランジ部42の長手方向両端部に1つずつ設けられている。係合部材72は、カバー20に設けられた固定側領域S2の長手方向両端部に1つずつ設けられている。また、図21に示すように、手撒盤36のフランジ部42において固定部材70に隣接する位置には切欠74が設けられている。
【0070】
固定部材70によって手撒盤36を固定する場合に、手撒盤36のフランジ部42をカバー20の支持側領域S1に設けられた2つの支持部材50,50に差し込んで装着領域Sに手撒盤36をセットした状態にすると、カバー20側に取り付けられた係合部材72が手撒盤36のフランジ部42に設けられた切欠74内に露出した状態になる。この状態において、固定部材70の係合部70bを係合部材72に係合させた後、レバー70aを倒すと、図19に示すように手撒盤70がカバー20に対してしっかりと固定された状態になる。これとは逆に、手撒盤36が固定された状態においてレバー70aを起こすと、係合部70bと係合部材72との係合を解除可能な状態になる。
【0071】
上記したように、パチン錠やキャッチクリップなどを固定部材70として用いれば、レバー70aの上げ下げを行うだけで固定側領域S2における手撒盤36を固定したり、固定を解除することが可能となり、より一層容易に手撒盤36を着脱可能となる。
【0072】
上記実施形態やその変形例として示した薬剤分包装置10は、いずれも手撒盤36を備えており、作業者が手撒盤36に形成された分割小桝40に薬剤を投入可能となっている。このような構造とした場合、誤って投入した薬剤を取り出すなどするために作業者が分割小桝40に指等をつっこみ、手撒盤36の底面をなすシャッター板38に押圧力が作用する可能性がある。また、シャッター板38は、手撒盤36の裏面側においてスライド可能とされており、周縁部分がしっかりと固定されている訳ではない。そのため、周縁部分にある分割小桝40に指などがつっこまれ、当該部位においてシャッター板38に押圧力が作用すると、シャッター板38が手撒盤36から浮いて隙間ができる可能性がある。そこで、かかる懸念がある場合は、手撒盤36側に例えば図19や図22に示すように断面形状「コ」字型の係止部材76を設けておき、この係止部剤74にシャッター板38の外縁部分が係止される構成とすることが望ましい。
【0073】
上記実施形態で示した例では、散薬供給部16の近傍に錠剤案内路34aや投入ホッパー34cが設けられており、これらを介して錠剤供給部14から排出された錠剤を包装手段100側に供給可能とされている。そのため、散薬供給部16において散薬を取り扱っている場合は、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cを介して散薬が上方へ舞い上がってしまい、錠剤案内路34aおよび投入ホッパー34cに散薬が堆積する可能性がある。そこで、このような懸念がある場合には、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cの上方にファンを設け、散薬分包動作時にファンを駆動することにより、散薬が舞い上がらない程度のごく微量の風を送るなどしてもよい。これにより、錠剤案内路34a内や投入ホッパー34c内に散薬が舞い込むのを防止し、予期せぬ場所に散薬が飛散したり、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cの内部に散薬が堆積するなどの問題を解消することができる。なお、前述したようにファンを設ける場合において、そのファンの設置位置は、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cに対して適宜の位置とすることが可能であり、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cを介した錠剤供給の妨げにならないよう配慮されることが望ましい。
【0074】
また、前述したようにファンを設ける場合は、散薬分包動作時に加えて、散薬分包動作後の適宜のタイミング、具体的には清掃時などにもファンを作動させ、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cに誤って入り込んだ散薬を排出させることとしてもよい。このような構成とした場合は、散薬分包動作時と、散薬分包動作後に行われる清掃などのタイミングとで、ファンの送風量を異ならせることとしてもよい。さらに具体的には、散薬分包動作後に行われる清掃などのタイミングのように散薬供給部16に分包用に準備した散薬が存在しない状況下に、散薬分包動作時よりも前述したファンの送風量を高めることにより、錠剤案内路34aや投入ホッパー34cに誤って入り込んだ散薬を一層確実に排出させることが可能となる。
【0075】
また、上記した薬剤分包装置10では、分包動作終了時に、次の分包の際に前回使用した薬剤が混合しないよう、スクリュー96や、分割皿94、ホッパー34bの各部位を清掃する必要がある。そのため、清掃作業を簡便に行えるようにするには、これらの各部位の近傍にそれぞれ吸引装置を設けると共に、スクリュー96や、分割皿94に清掃用のブラシを設置した構成とすることが望ましい。また、清掃中に舞った粉塵が、清掃を完了した他方の部位に付着する等して清掃作業の効率が低下するのを防止するという観点からすると、前述した各部の清掃は、スクリュー96、分割皿94、ホッパー34bの順で行うことが望ましい。
【0076】
また、前述した清掃作業の効率の低下を抑制しつつ、清掃時においても分包動作を開始したい場合は、前述した各部位の清掃順序を、スクリュー96、ホッパー34b、分割皿94の順とすることが好ましい。そこで、かかる知見に基づけば、分割皿94の清掃手段を、ホッパー34bの設置位置から離れた位置に設ける等して、分割皿94の清掃の際に、先に清掃を行ったホッパー34bに落下するのを防止できる構成とすることが望ましい。分割皿94の清掃手段をこのような配置にした場合、ホッパー34bの清掃を行った後、分割皿94の清掃の際に粉塵がホッパー34bに落下するのを確実に防止でき、清掃作業の効率の低下を抑制しつつ、清掃時においても分包動作を開始できることとなる。なお、前述したように分割皿94の清掃手段を設置する場合、この清掃手段の配置については、分割皿94の円周方向のいずれの位置であってもよく、他の機器類との配置を考慮して適宜設定できる。
【0077】
上記実施形態で示した薬剤分包装置10では、平面視が円盤形の分割皿94を有し、この分割皿94からスクリュー96により掻き出された散薬を分包用としてホッパー34bに供給可能とされている。また図24に示すように、ホッパー34bの下端の開口部分には、シャッター34xが設けられている。このシャッター34xは、散薬の分包時において閉状態とされている。そのため、分割皿94から掻き出された散薬は、いったんホッパー34b内に貯留される。また、シャッター34xは、散薬を分包用として分包紙に供給すべきタイミングになると開状態になる。これにより、ホッパー34bに溜め置かれていた散薬が、ホッパー34bよりもさらに下方側に準備された分包紙に投入されることとなる。
【0078】
薬剤分包装置10では、分割皿94から落下した散薬はそのまま分包紙に落下することにより散薬が飛散してしまうのを防止すべく、上記したように分包用の散薬をいったんホッパー34bに溜め置くこととしているが、散薬の飛散をより一層確実に防止するためには、ホッパー34bなどについても散薬の飛散防止可能な構成であることが望ましい。具体的には、シャッター34xが閉状態になっているホッパー34b内に散薬を投入した場合、図24に矢印で示すように、散薬はホッパー34bの内周面に沿って舞い上がる傾向にある。そのため、かかる特性を考慮し、例えば図23〜図25に示すような吹上防止ガイド130をホッパー34b上方の開口部分に取り付けた構成としてもよい。
【0079】
さらに詳細に説明すると、吹上防止ガイド130は、ホッパー34bへの取付状態においてホッパー34bの上縁部から内側に向けて鍔状に延びる鍔部130aを有し、中央に散薬投入用の開口130bを有する構成とされている。また、吹上防止ガイド130は、ホッパー34bから適宜脱着することが可能であり、取り外して別途清掃することが可能である。
【0080】
上記したように、ホッパー34bに対して吹上防止ガイド130を取り付ければ、ホッパー34bへの散薬の投入に伴い、ホッパー34bの内周面に沿って上方に舞い上がってくる散薬が飛散するのを効果的に防止できる。また、吹上防止ガイド130は、中央に開口130bが設けられているため、分割皿94から掻き出された散薬をホッパー34bに投入する上で何ら支障とならない。
【0081】
上記した吹上防止ガイド130は、薬剤分包装置10を構成する他部材との位置関係等の都合により、鍔部130aが開口130bを全周にわたって取り囲むものではなく、周方向に一部欠落した部分があるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、開口130bの全周にわたって取り囲むものであってもよい。また、上記した例では、ホッパー34bがシャッター34xを備えたものである例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シャッター34xを備えていないものであっても吹上防止ガイド130が取り付けられた構成とすることが可能である。シャッター34xがなくホッパー34bに投入された散薬がそのまま分包紙に投入される構成であっても、シャッター34xを有する場合と同様に散薬はホッパー34bの内周面に沿って飛散すると考えられる。そのため、シャッター34xを備えていない場合であっても、吹上防止ガイド130をホッパー34bに取り付けることにより、散薬の飛散を防止することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 薬剤分包装置
14 錠剤供給部
20 カバー
22 支軸
30 手撒手段(薬剤払出手段)
50、105,110 支持部材
60 固定部材
S 装着領域
S1 支持側領域
S2 固定側領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸に対して回動させることで開閉可能なカバーの内周面に設けられた支持手段および固定手段によって装着される薬剤払出手段、を有し、
該薬剤払出手段は、薬剤を収容可能な薬剤収容枡を有し、該薬剤収容枡に収容された薬剤を払い出し可能なものであり、
前記支持手段は、前記カバーにおける支軸側に位置する支持領域において前記薬剤払出手段を支持可能なものであり、
前記固定手段は、当該支持領域よりも支軸から離れた位置にある固定領域において前記薬剤払出手段を固定可能なものである、ことを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項2】
薬剤払出手段が、薬剤収容枡の底面に沿う方向に作動して前記薬剤収容枡を開閉可能なシャッターを有し、
固定手段が、前記薬剤払出手段のシャッターの作動方向への移動を阻止するように固定可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
【請求項3】
固定手段が、薬剤払出手段に対してシャッターの作動方向両脇に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項4】
固定手段が、薬剤払出手段側に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤分包装置。
【請求項5】
支持手段が、カバーの所定の位置において薬剤払出手段を支持し、前記カバーを開いた状態において前記薬剤払出手段が高さ方向に移動するのを抑制可能なものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薬剤分包装置。
【請求項1】
支軸に対して回動させることで開閉可能なカバーの内周面に設けられた支持手段および固定手段によって装着される薬剤払出手段、を有し、
該薬剤払出手段は、薬剤を収容可能な薬剤収容枡を有し、該薬剤収容枡に収容された薬剤を払い出し可能なものであり、
前記支持手段は、前記カバーにおける支軸側に位置する支持領域において前記薬剤払出手段を支持可能なものであり、
前記固定手段は、当該支持領域よりも支軸から離れた位置にある固定領域において前記薬剤払出手段を固定可能なものである、ことを特徴とする薬剤分包装置。
【請求項2】
薬剤払出手段が、薬剤収容枡の底面に沿う方向に作動して前記薬剤収容枡を開閉可能なシャッターを有し、
固定手段が、前記薬剤払出手段のシャッターの作動方向への移動を阻止するように固定可能なものであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
【請求項3】
固定手段が、薬剤払出手段に対してシャッターの作動方向両脇に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤分包装置。
【請求項4】
固定手段が、薬剤払出手段側に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤分包装置。
【請求項5】
支持手段が、カバーの所定の位置において薬剤払出手段を支持し、前記カバーを開いた状態において前記薬剤払出手段が高さ方向に移動するのを抑制可能なものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薬剤分包装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−241499(P2010−241499A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104386(P2009−104386)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]