説明

薬剤払出装置

【課題】少ないセンサ数で在庫確認を行うことのできる薬剤払出装置を提供する。
【解決手段】この薬剤払出装置は、カセット棚に載置可能な薬剤収納カセット500と、該薬剤収納カセット500のカセット本体520内に収納された薬剤900を外部に払い出す払出ユニット400とを備えたものであって、カセット本体520内にそれぞれ薬剤900を収納可能な区画530を列設しておくとともに、払出ユニット400内でカセット本体520の各区画530に収納された薬剤900の有無を確認するための在庫確認センサ4411を設けておき、カセット本体520をカセット棚600から払出ユニット400内に前記列方向に移動させつつ、在庫確認センサ4411でカセット本体520の各区画530に収納された薬剤900の有無を確認するように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤払出装置に関し、例えばチューブ入りの軟膏や、バイアル、アンプル、ボトルに入れた錠剤、散薬、注射液、点眼薬や、複数枚束ねたPTP(プレス スルー パッケージ)錠剤シート等の薬剤を、薬剤収納カセットに収納して自動的に払い出す薬剤払出装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の薬局における薬剤の払出作業は薬剤師が医師の処方箋に従って行っているが、特に診療分野が広い総合病院等にあっては、常時払い出し可能にしておく薬剤の種類が多くなり、保管場所を必要とするばかりか、処方箋に基づいて薬剤を払い出す作業は非常に精神的、肉体的に負担を強いられるものであった。
【0003】
そこで、予め設定したプログラムに基づいて所定の薬品(薬剤)の所定個数分を、カセット内から自動的に払い出す薬品払出装置が開発された(例えば特許文献1参照)。ところが、事前にカセット内にある薬剤の収納個数が確認されていなければ、実際にその薬剤の払出が行われたか否かが不明となる。
【0004】
従来装置では、カセット内にある薬剤の収納個数を確認するとき、カセット内に設けられた多数の磁気センサに磁石を近づけたり、センサの列に沿って磁石を移動させたりすると、磁気センサが感応することから、薬剤の収納個数を把握している。ここでは、薬剤が1個ずつ前進するごとに、磁石も前進するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来装置では、カセット内に薬剤の収納個数を確認するためのセンサを、カセットに収納できる薬剤と同じ数だけ設けなければならないため、センサの数が多くなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、少ないセンサ数で在庫確認を行うことのできる薬剤払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カセット棚上に載置可能な薬剤収納カセットと、該薬剤収納カセットのカセット本体内に収納された薬剤を外部に払い出す払出ユニットと、該払出ユニットを制御する制御装置とを備えた薬剤払出装置であって、カセット本体内にそれぞれ薬剤を収納可能な区画を列設しておくとともに、払出ユニット内に前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するための在庫確認センサを設けておき、前記制御装置は、カセット本体をカセット棚から払出ユニット内に前記列方向に移動させつつ、前記在庫確認センサで前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御することを特徴とするものである。なお、ここにいう薬剤には、例えばチューブ入りの軟膏や、バイアル、アンプル、ボトルに入れた錠剤、散薬、注射液、点眼薬や、複数枚束ねたPTP錠剤シート等を含む。
【0008】
本発明によれば、カセット本体内にそれぞれ薬剤を収納可能な区画を列設しておくとともに、払出ユニット内に前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するための在庫確認センサを設けておき、前記制御装置は、カセット本体をカセット棚から払出ユニット内に前記列方向に移動させつつ、前記在庫確認センサで前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御するので、少ないセンサ数で在庫確認を確実に行うことができる。
【0009】
ところで、薬剤収納カセットを払出ユニット内に引き込んだ状態で、在庫確認を行うとすると、その払出ユニットの前後方向の寸法は少なくともカセット本体のそれの2倍を必要とすることとなる。又は、在庫確認センサを移動させることが必要となり、装置構成が複雑化する。そこで、請求項2記載の発明のように、在庫確認センサを、払出ユニット内のカセット棚寄りに設けることが好ましい。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、在庫確認センサを、払出ユニット内のカセット棚寄りに設けたので、払出ユニットの前後方向の寸法が小さくなり、装置のより小型化を図ることができる。また、在庫確認センサを移動させずに済むので、装置構成が簡単化される。
【0011】
請求項3記載の発明のように、前記カセット本体の各区画を横断する貫通孔を設けるとともに、前記在庫確認センサは、この貫通孔を介して投光した光を受光することにより、該各区画に収納された薬剤の有無を確認する光センサであることが好ましい。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、前記カセット本体の各区画を横断する貫通孔を設けるとともに、前記在庫確認センサは、この貫通孔を介して投光した光を受光することにより、該各区画に収納された薬剤の有無を確認する光センサであるので、在庫確認をより確実に行えるとともに、装置構成がさらに簡単化する。
【0013】
請求項4記載の発明のように、前記払出ユニット内に前記カセット本体の各区画から払い出される薬剤の有無を確認するための払出確認センサをさらに設けるとともに、前記制御装置は、前記払出確認センサで前記カセット本体の各区画から払い出される薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御することが好ましい。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、前記払出ユニット内に前記カセット本体の各区画から払い出される薬剤の有無を確認するための払出確認センサをさらに設けるとともに、前記制御装置は、前記払出確認センサで前記カセット本体の各区画から払い出される薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御するので、払出確認を確実に行うことができて便利である。
【0015】
請求項5記載の発明のように、前記払出確認センサは、前記カセット本体の各区画から払いだされるべき薬剤の払い出しの経路に投光した光を受光することにより、該各区画から払い出される薬剤の有無を確認する光センサであることが好ましい。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、前記払出確認センサは、前記カセット本体の各区画から払いだされるべき薬剤の払い出しの経路に投光した光を受光することにより、該各区画から払い出される薬剤の有無を確認する光センサであるので、払出確認をより確実に行えるとともに、装置構成がさらに簡単化する。
【0017】
請求項6記載の発明のように、前記制御装置は、前記在庫確認センサによる在庫確認結果と、前記払出確認センサによる払出確認結果とに基づいて、前記カセット本体の各区画から払い出されるべき薬剤の該各区画での詰り状態の有無を判断することが好ましい。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、前記制御装置は、前記在庫確認センサによる在庫確認結果と、前記払出確認センサによる払出確認結果とに基づいて、前記カセット本体の各区画から払い出されるべき薬剤の該各区画での詰り状態の有無を判断するので、薬剤の詰り状態の有無を確実に知ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カセット本体内にそれぞれ薬剤を収納可能な区画を列設しておくとともに、払出ユニット内に前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するための在庫確認センサを設けておき、前記制御装置は、カセット本体をカセット棚から払出ユニット内に前記列方向に移動させつつ、前記在庫確認センサで前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御するので、少ないセンサ数で在庫確認を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態1に係る薬剤払出装置の主たる構成要素を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態1における薬剤収納カセットの構成を示す斜視図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3におけるA−A矢視断面図である。
【図5】本実施形態1における薬剤収納カセットのシャッタの構成を示す斜視図である。
【図6】本実施形態1における払出ユニットの構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態1に係る薬剤払出装置の動作1を説明するための斜視図である。
【図8】本実施形態1に係る薬剤払出装置の動作2を説明するための斜視図である。
【図9】本実施形態1に係る薬剤払出装置の動作3,4を説明するための平面図である。
【図10】本実施形態1に係る薬剤払出装置の動作5,6を説明するための側断面図である。
【図11】本実施形態1に係る薬剤払出装置の制御系を示すブロック図である。
【図12】本実施形態1に係る薬剤払出装置の概略動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態2に係る薬剤払出装置の概略動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る薬剤払出装置1の主たる構成要素を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、この薬剤払出装置1は、箱状の装置本体100の奥側に設けられたYキャリッジ200と、このYキャリッジ200に支持されたXキャリッジ300と、これのXキャリッジ300に支持された払出ユニット400と、前記装置本体100の手前側に設けられ、複数の薬剤収納カセット500,500,・・・を左右方向に並べて搭載可能なカセット棚600と、このカセット棚600の下方に配置された搬送コンベアユニット800とを備えている。
【0023】
Yキャリッジ200は、サーボモータ210と、このサーボモータ210で駆動される縦軸方向(図1中のY方向)のボールネジ220と、ボールネジ220の左右にそれぞれ配置された縦ガイド230,230と、ボールネジ220の回転により上下動するナット240とを備えており、Xキャリッジ300は、縦ガイド230,230に案内されつつ、ボールネジ220の回転によりナット240とともに上下動するキャリッジ本体310と、このキャリッジ本体310上に、サーボモータ410と、このサーボモータ410で駆動される横軸方向(図1中のX方向)のボールネジ415と、図示しないナットとを備えている。以下、複数存在する構成要素については、その代表的なものについて説明する。
【0024】
図2は本実施形態1における薬剤収納カセット500の構成を示す斜視図、図3は図2の正面図、図4は図3におけるA−A矢視断面図である。なお、図2〜図4では、薬剤収納カセット500の払出ユニット400に対向する正面側を前側、その背面側を後側といい、左側と右側とは前側から後側を見たときのものを示している。ここでは、薬剤900,900,・・・の形状は、図2の上段に示すように、上部が円錐台状で中間部から下部にかけて円筒形状をなすものとする。ただし、その他の任意の形状であってもよいのはもちろんである。
【0025】
本実施形態1における薬剤収納カセット500は、収納される薬剤900よりも若干幅広に形成されている。したがって、薬剤収納カセット500としては、収納される薬剤900の直径等に応じて、幅寸法のみが異なるものが複数用意される。それらの具体的な構成は、いずれも図2〜図4に示すように、外箱510と、この外箱510に挿脱可能なカセット本体520と、このカセット本体520の底面を構成するシャッタ550とを備えている。
【0026】
外箱510は、左壁511、右壁512、天井板513及び底板514からなっており、前後には壁を設けていないので、その前後方向にカセット本体520を挿脱可能となっている。外箱510の底板514は、カセット棚600の棚板602への取り付け部(図略)を備えており、これにより、幅寸法の異なる薬剤収納カセット500であっても、その幅方向で任意の位置に配置することができるようになっている。
【0027】
カセット本体520は、左壁521、右壁522、前壁523及び後壁524からなっており、上下は壁を設けず大きく開口している。このカセット本体520は、仕切板525,525,・・・で前後方向(列方向)に等間隔で分割されることにより、複数の区画530,530,・・・が平面視で正方形となるように形成されている。
【0028】
左壁521と右壁522の各区画530,530,・・・に対応する部位には、貫通孔5301,5301,・・・がそれぞれ左右で対をなすようにして設けられている。したがって、ある区画530内に薬剤900が収納されていないときには、その区画に設けられた左右一対の貫通孔5301,5301間で、互いに見通しできるようになっている。また、左壁521と右壁522の下部内側には、それぞれ前後方向に形成された平行溝526,527が設けられており、この平行溝526,527にシャッタ550がスライド自在に嵌め込まれるようになっている。
【0029】
前壁523の前面には、異形の樹脂板5231が取り付けられており、この樹脂板5231の上部には、ICタグ5232が取り付けられるとともに、その中間部には、円形状の吸着部5233が形成されて後述する図6の電磁石4301で吸着可能となっている。この樹脂板5231の下部に形成された案内部5234にシャッタ550をロックするロック部材5235が組み込まれている。
【0030】
ロック部材5235の中間部には突起部5235aが形成されており、この突起部5235aに後述する図6の押圧部材4405aが当接して昇降動作すると、ロック部材5235も案内部5234に案内されて昇降し、これにより、シャッタ550のロックを解除し、あるいはロックすることができるようになっている。後壁524には、小判形の把持部5241が上下2本の支持部材5242,5242を介して取り付けられている。
【0031】
図5はシャッタ550の構成を示す斜視図であるが、前記図2のシャッタ550をその正面側で左右方向に見る向きを入れ変えたものに対応する。
【0032】
シャッタ550は、図5に示すように、断面逆L字状をなす長尺のシャッタ本体5501と、このシャッタ本体5501の前側に、左右2本の螺子5502,5502で取り付けられた係止部材5503とを備えている。この係止部材5503の略中央には、丸孔5504が形成されており、この丸孔5504に前記ロック部材5235の下端部5235bが係脱されることにより、前記したシャッタ550のロックあるいはロック解除をするようになっている。
【0033】
図6は払出ユニット400の構成を示す斜視図である。なお、同図では、手前にある右壁を取り外した状態を示している。また、同図中では、特にことわらない限り、払出ユニット400の薬剤収納カセット500に対向する正面側を前側、その背面側を後側といい、左側と右側とは前側から後側を見たときのものを示している。したがって、それぞれを単体でみたときには、払出ユニット400と薬剤収納カセット500とでは、前後左右がいずれも逆向きとなっているが、図1,図7〜図10に示すように、両者を組み合わせたときには、払出ユニット400での向きを採用することとする。
【0034】
払出ユニット400は、図1及び図6に示すように、キャリッジ本体310から前方(図1中のZ方向)に延びるユニット本体420内の左壁422の上下に設けられたZキャリッジ425,425と、Zキャリッジ425,425間で進退自在に配置された垂直壁状の移動部430と、ユニット本体420の右壁421と左壁422との間に固定された水平板状の固定部440とを備えている。
【0035】
移動部430には、前記薬剤収納カセット500のカセット本体520に対向する側にそれぞれ配置された電磁石4301と、リーダ4302と、押圧部材4405aとを備え、裏面側には、これらを前後方向に移動させるサーボモータ4303と、押圧部材4405aを昇降動作させるソレノイド4405bとを備えている(後述の図7,図8参照)。電磁石4301は、カセット本体520の吸着部5233を吸着することにより、このカセット本体520をカセット棚600上からユニット本体420内へと引き込み、あるいは、カセット本体520をユニット本体420内からカセット棚600側へと押し出すように移動させるものである。リーダ4302は、前記薬剤収納カセット500のICタグ5232に予め記憶しておいた各種情報(カセット情報を含む。)を読み取るものである。
【0036】
ユニット本体420の右壁421には、在庫確認センサ4411が設けられており、左壁422には、この在庫確認センサ4411に対向配置された反射板4412が設けられている。在庫確認センサ4411は、電磁石4301で吸引されることにより、ユニット本体420内に移動中のカセット本体520における各区画530の貫通孔5301に向かって投光したときの、前記反射板4412からの反射光を受光するものである。在庫確認センサ4411と反射板4412とは、図6に示すように、カセット棚600寄りに配置することが好ましい。カセット本体520をユニット本体420内へ引き込むときの移動量をなるべく小さくして、省スペース化を図るためである。
【0037】
固定部440には、その左右方向の略中央において、前後方向に延びる長溝4400と、この長溝4400を介して、シャッタ550の丸孔5504に係止可能な突起部4401と、この突起部4401を上下させるソレノイド4402と、この突起部4401を所定ピッチで前後方向に移動させるステッピングモータ4403とを備えている(後述の図7,図8参照)。
【0038】
固定部440よりも前方の若干下方には、前記薬剤収納カセット500のカセット本体520を、ユニット本体420内に案内するための前後一対のローラ4404,4404がそれぞれ水平軸まわりに回転自在に配置されている。そのうちの前側のローラ手前には、当接部材4405cが設けられており、両ローラ4404,4404間は大きく開口されている。当接部材4405cは、カセット棚600上の外箱510に収納されたカセット本体520をユニット本体420内に引き込む際に、カセット本体520の外箱510へのロックを解除し、カセット本体520をユニット本体420内からカセット棚600上の外箱510内に戻したときに、カセット本体520を外箱510に再びロックするためのものである。
【0039】
固定部440の手前には、払出確認センサ4413が設けられており、前側のローラ直後には、この払出確認センサ4413に対向配置された反射板4414が設けられている。払出確認センサ4413は、カセット本体520の直下にある前記開口(薬剤900の払い出しの経路に相当する。)に向かって投光したときの、前記反射板4414からの反射光を受光するものである。
【0040】
そして、移動部430の進退動作は、サーボモータ4303でボールネジ4304を回転駆動することで行うようになっている。移動部430の下方には、前記開口の下方前後に設けられた2枚の傾斜板4405,4405を介して、シャッタ451付きの一次バケット450が設けられている。この一次バケット450は、払出ユニット400のユニット本体420とともに移動するようになっている。
【0041】
搬送コンベアユニット800は、ローラ群等801と、このローラ群等801で前後左右方向に移動されるトレイ802とを備えている。このトレイ802は、薬剤900,900,・・・を収納するための複数の区画を有している。そして、前記一次バケット450からシャッタ451を介して落下した薬剤900,900,・・・は、トレイ802のいずれかの区画に収納された状態で、ローラ群等801で前後左右方向に移動されて所定場所に移送されるようになっている。
【0042】
図11は本実施形態1に係る薬剤払出装置1の制御系を示すブロック図、図12は本実施形態1に係る薬剤払出装置1の概略動作を示すフローチャートである。
【0043】
本薬剤払出装置1の制御系は、図11に示すように、薬剤払出装置1に付設されるコントローラ10と、このコントローラ10からの各種データ及び別途入力された処方箋データに基づいて各種演算等を行う制御装置(狭義)20とを備えている。これらのコントローラ10と制御装置20とが特許請求の範囲の各請求項に記載した制御装置に相当するものである。
【0044】
コントローラ10は、払出ユニット400のスキャン動作により、リーダ4302でカセット情報を読み込むカセット情報読込部26と、払出ユニット400の在庫確認動作により、在庫確認センサ4411で在庫確認情報を読み込む在庫確認情報読込部27と、払出ユニット400の払出動作により、払出確認センサ4413で払出確認情報を読み込む払出確認情報読込部28と、払出ユニット400のスキャン動作を制御するための指令信号を出力する第一動作指令部31と、払出ユニット400の払出動作を制御するための指令信号を出力する第二動作指令部32とを備えている。
【0045】
制御装置20は、薬剤払出装置1に近接配置された汎用或いは専用コンピュータで構成されており、ROM21と、RAM22と、表示部23と、入力部24と、CPU25と、記憶部30とを備えている。ROM21は薬剤払出装置1の制御プログラムや予め設定された各種データ等を記憶するものであり、RAM22はデータを一時的に保管するものである。表示部23はLCD等からなり、ユーザへの各種メッセージを表示するものであり、入力部24はユーザの各種指示や処方箋データを入力するためのものである。
【0046】
CPU25は、ROM21に予め記憶しておいた制御プログラムに従って、コントローラ10を介して本薬剤払出装置1の全体の動作を制御するものである。
【0047】
記憶部30は、前記カセット情報等を全てCPU25経由で記憶するものである。この記憶部30は、制御装置20の外部やコントローラ10側に設けてもよい。
【0048】
カセット情報には、カセット本体520に対するシャッタ550の相対移動量を設定するための情報が含まれている。
【0049】
CPU25は、前記制御プログラムに従って、払出ユニット400をスキャン時に動作させるための動作データを作成するとともに、前記処方箋データや、前記設定した相対移動量などを用いて、払出ユニット400を払出時に動作させるための動作データを作成する。そして、これらの動作データに基づいて、前記コントローラ10の第一動作指令部31と、第二動作指令部32とがそれぞれ前記指令信号を出力するようになっている。
【0050】
以下、図12を参照して、本実施形態1に係る薬剤払出装置1によるスキャン動作と払出動作とを概略説明する。図7〜図10はそれらの動作の説明図である。なお、カセット棚600の棚板602,602,・・・上には、複数の薬剤収納カセット500,500,・・・のカセット本体520,520,・・・がそれぞれ外箱510,510,・・・に収納されてロックされた状態で配置されている。また、各薬剤収納カセット500のカセット本体520におけるシャッタ550は、全閉状態で該カセット本体520に別途ロックされた状態となっており、その所定区画には薬剤900,900,・・・がそれぞれ1個ずつ縦向きに収納されているものとする。
【0051】
いま、払出ユニット400は、例えば図1中の左下側(ホームポジション)にて、待機状態にあるものとする。このような初期状態で、図12において、例えば朝一番に電源が投入されると、まず、RAM22へのデフォルト値の初期設定がなされる(ステップS1)。そして、ユーザが入力部24でスキャン動作を選択したものとすると(ステップS2でYES)、予め設定されたプログラムに従って、スキャン動作が開始される。
【0052】
すなわち、第一動作指令部31からの出力を受けて移動する払出ユニット400により、前記ホームポジションからカセット棚600の最上段の棚板602上に載置された各薬剤収納カセット500,500,・・・を左から右側にスキャンしていき、その下の段では逆に右側から左側にスキャンしていく。そして、最下段の左側又は右側にいたって、スキャンを終了し、払出ユニット400は前記ホームポジションに戻る。
【0053】
このスキャン動作においては、まず、本薬剤払出装置1のサーボモータ210,410をそれぞれ駆動させることにより、図1のカセット棚600の棚板602上に配置された薬剤収納カセット500,500,・・・のうちの1つに対向する位置に払出ユニット400を移動させる。次いで、図7に示すように、払出ユニット400のサーボモータ4303を駆動させることにより、移動部430をユニット本体420の前方に移動させる(ステップ3)。そして、カセット情報読込部26が、各薬剤収納カセット500のICタグ5232に予め記憶されたカセット情報を、払出ユニット400のリーダ4302で読み込み(ステップS4)、それを記憶部30に記憶していく(ステップS5)。
【0054】
引き続いて、薬剤収納カセット500に収納された薬剤900,900,・・・の場所(区画)と数量とを確認する、いわゆる在庫確認を行う。
【0055】
すなわち、図8に示すように、ユニット本体420の電磁石4301でカセット本体520の吸着部5233を吸着して、サーボモータ4303を前記とは逆方向に駆動させることにより、該カセット本体520をユニット本体420内に引き込む(ステップS6)。
【0056】
このときには、図4のように、シャッタ550は、カセット本体520の底面をその全区画について塞いだままの状態となっている。そして、図9(a)に示すように、カセット本体520は、電磁石4301で吸引されることにより、その最初の区画530がユニット本体420内の在庫確認センサ4411に対向する位置にまで移動し、そこで在庫確認情報読込部27が、在庫確認センサ4411を用いて、当該区画530内での薬剤900の有無を示す在庫確認情報(在庫確認結果に相当する。)を読み込む(ステップS7)。
【0057】
すなわち、在庫確認センサ4411は、最初の区画530の貫通孔5301に向かって投光する。この最初の区画530内には、薬剤900が収納されていないので、投光光は貫通孔5301を通って、反射板4412で反射する。この反射光を、同区画530の貫通孔5301を再び通って、在庫確認センサ4411で受光する。
【0058】
次いで、カセット本体520は、電磁石4301で吸引されることにより、2,3番目の区画530,530がユニット本体420内の在庫確認センサ4411に対向する位置にまで順に移動し、これらのときにも、在庫確認センサ4411は、反射板4412からの反射光を受光する。
【0059】
次いで、カセット本体520は、図9(b)に示すように、電磁石4301で吸引されることにより、4番目の区画530がユニット本体420内の在庫確認センサ4411に対向する位置にまで移動する。在庫確認センサ4411は、4番目の区画530の貫通孔5301に向かって投光する。この4番目の区画530内には、薬剤900が収納されているので、投光光は薬剤900で阻止され、在庫確認センサ4411は、反射板4412からの反射光を受光しない。
【0060】
次いで、カセット本体520は、電磁石4301で吸引されることにより、5,6番目の区画530,530がユニット本体420内の在庫確認センサ4411に対向する位置にまで順に移動するが、これらのときにも、在庫確認センサ4411は、反射板4412からの反射光を受光しない。なお、図9(b)中では、参考までに、薬剤900がないときの光路を二点鎖線で示している。
【0061】
このようにして、カセット本体520をユニット本体420内に引き込みながら、そのカセット本体520の全区画530について読み込んだ在庫確認情報が記憶部30に記憶される(ステップS8)。すると、カセット本体520は、電磁石4301で吸引されたままユニット本体420の外に押し出されることにより、カセット棚600上に復帰するまで移動する(ステップS9)。
【0062】
在庫確認が終了すると、ステップS2に戻る。今度はスキャン動作を行わないから(ステップS2でNO)、ステップS10に進む。ここで、ユーザが入力部24で払出動作を選択したとすると(ステップS10でYES)、予め設定されたプログラムと、入力部24で入力された処方箋データ、前記カセット情報、前記在庫確認情報などに従って、払出動作が開始される。なお、払出動作を選択しなければ、すべての動作は終了する(ステップS10でNO)。
【0063】
払出動作では、第二動作指令部32からの出力を受けて、本薬剤払出装置1のサーボモータ210,410をそれぞれ駆動させることにより、図1のカセット棚600の棚板602上に配置された薬剤収納カセット500,500,・・・のうちの1つに対向する位置に払出ユニット400を移動させる。そして、図7に示すように、払出ユニット400のサーボモータ4303を駆動させることにより、移動部430をユニット本体420の前方に移動させる(ステップS11)。
【0064】
このとき、払出ユニット400の当接部材4405cは、薬剤収納カセット500のカセット本体520の外箱510へのロックを解除する。
【0065】
次いで、図8に示すように、ユニット本体420の電磁石4301でカセット本体520の吸着部5233を吸着して、サーボモータ4303を前記とは逆方向に駆動させることにより、該カセット本体520をユニット本体420内に引き込む(ステップS12)。
【0066】
このときには、図4のように、シャッタ550は、カセット本体520の底面をその全区画について塞いだままの状態となっている。そして、シャッタ550の丸孔5504が、固定部440の長溝4400を介して突起部4401の真上にくることとなる。払出ユニット400のソレノイド4405bを励磁することにより、押圧部材4405aで、カセット本体520の前壁523にあるロック部材5235の中間部の突起部5235aを押圧し、該ロック部材5235を引っ掛けて上側に移動させる。すると、ロック部材5235がシャッタ550の丸孔5504から離脱して、該シャッタ550はロック解除される。
【0067】
次いで、ソレノイド4402を励磁させることにより、突起部4401を長溝4400から突出させてシャッタ550の丸孔5504に挿入する。この状態で、突起部4401をステッピングモータ4403で1区画分だけカセット棚600の棚板602と反対側(後方)に引っ張る。この1区画の大きさは、前記スキャン動作で予め読み込まれたカセット情報に含まれている。
【0068】
すると、図10(a)に示すように、シャッタ550が1区画分だけB方向に移動する(ステップS13)。そして、カセット本体520の最前部(棚側)にある区画530の底面だけが開放されるから、そこに収納されていた薬剤900が一次バケット450内に重力で落下する。そこで、払出確認情報読込部28が、払出確認センサ4413を用いて、当該区画530内から重力落下する薬剤900の有無を示す払出確認情報(払出確認結果に相当する。)を読み込む(ステップS14)。
【0069】
すなわち、払出確認センサ4413は、カセット本体520の直下に向かって投光するが、この投光光は、前記重力落下する薬剤900に阻止され、払出確認センサ4413は、反射板4414からの反射光を受光しない。その後、薬剤900は、払出ユニット400の傾斜板4405で横向きに姿勢を変えて重力落下することになる。
【0070】
このとき、CPU25は、記憶部30に記憶されている在庫確認センサ4411による在庫確認情報と、払出確認センサ4413による払出確認情報とに基づいて、前記カセット本体520の当該区画530から払い出されるべき薬剤900の該各区画530での詰り状態の有無などを判断する(ステップS15)。
【0071】
すなわち、当該区画530について、(1)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されているものとされ、かつ払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払出されているものとされたときと、(2)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されてないものとされ、かつ払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払い出されていないものとされたときには、薬剤900の詰りがないものと判断して、次のステップS16に進む(ステップS15でNO)。
【0072】
一方、当該区画530について、(3)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されているものとされているのに、払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払い出されていないものとされたときには、薬剤900の詰りがあるものと判断する(ステップS15でYES)。また、(4)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されていないものとされているのに、払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払い出されているものとされたとき、あるいは、(5)両センサ4411,4413のいずれかが反応しないときには、そのセンサの故障であると判断する(ステップS15でYES)。これらの場合は、表示部23にエラー表示をして装置1を自動停止させる。
【0073】
薬剤900の1つ目がカセット本体520から取り出されると、その位置にシャッタ550を突起部4401で固定したまま(ステップS16)、払出ユニット400の移動部430が、カセット本体520を吸着した電磁石4301で、図10(b)に示すように、カセット棚600に向けて1区画分だけC方向に移動させる(ステップS17)。
【0074】
すると、カセット本体520の最前部から2つ目の区画530の底面が開放されるから、そこに収納されていた薬剤900が一次バケット450内に重力落下する。そこで、払出確認情報読込部28が、払出確認センサ4413を用いて、当該2つ目の区画530内から重力落下する薬剤900の有無を示す払出確認情報(払出確認結果に相当する。)を読み込む(ステップS18)。すなわち、払出確認センサ4413は、カセット本体520の直下に向かって投光するが、この投光光は、前記重力落下する薬剤900に阻止され、払出確認センサ4413は、反射板4414からの反射光を受光しない。その後、薬剤900は、払出ユニット400の傾斜板4405で横向きに姿勢を変えて重力落下することになる。
【0075】
このときも、CPU25は、記憶部30に記憶されている在庫確認センサ4411による在庫確認情報と、払出確認センサ4413による払出確認情報とに基づいて、前記カセット本体520の2つめの区画530から払い出されるべき薬剤900の該各区画530などでの詰り状態の有無を判断する(ステップS19)。
【0076】
すなわち、当該2つ目の区画530について、(1)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されているものとされ、かつ払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払出されるものとされたときと、(2)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されてないものとされ、かつ払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払い出されていないものとされたときには、詰りがないと判断して、次のステップS20に進む(ステップS19でNO)。
【0077】
一方、当該2つ目の区画530について、(3)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されているものとされているのに、払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払い出されていないものとされたときには、詰りがあると判断する(ステップS19でYES)。また、(4)在庫確認センサ4411による在庫確認情報で薬剤900が収納されていないものとされているのに、払出確認センサ4413による払出確認情報で薬剤900が払い出されているものとされたとき、あるいは、(5)
両センサ4411,4413のいずれかが反応しないときには、そのセンサの故障であると判断する(ステップS19でYES)。これらの場合は、表示部23にエラー表示をして装置1を自動停止させる。
【0078】
このようにして、カセット本体520をユニット本体420内に引き込みながら、そのカセット本体520の全区画530について、払出確認情報を読み込むことにより、払出ユニット400でこの薬剤900を前記処方箋データに基づく数量だけ薬剤収納カセット500から取り出して、一次バケット450内の所定位置に正確に落下させることができる。
【0079】
ついで、Xキャリッジ300と、Yキャリッジ200とを用いて払出ユニット400を移動させることにより、一次バケット450を搬送コンベアユニット800のトレイ802上に移動させる。ここで、一次バケット450の底部シャッタ451を開口して、薬剤900をトレイ802のいずれかの区画内に落下させる。
【0080】
トレイ802のいずれかの区画に落下した薬剤900は、このトレイ802内に収納された状態でローラ群等801により、さらに所定の場所に移動され、そこから外部に払い出される。
【0081】
一方、薬剤収納カセット500から連続して薬剤900,900,・・・を払い出さないときは、一旦シャッタ550をカセット本体520にロックして、カセット棚600の棚板602上に戻しておく(ステップS20)。このために、払出ユニット400のステッピングモータ4403を前記と逆方向に駆動することで、シャッタ550をカセット本体520の元の位置に戻す。しかる後、ソレノイド4402を消磁して、突起部4401を長溝4400内に完全に納まるまで降下させるとともに、ソレノイド4405bを消磁して、シャッタ550をカセット本体520に再度ロックする。
【0082】
すなわち、カセット本体520のロック部材5235が案内部5234に案内されて降下し、その下端部5235bがシャッタ550の丸孔5504に嵌め込まれる。そして、カセット本体520の吸着部5233を電磁石4301で吸着したまま、サーボモータ4303を駆動することにより、そのカセット本体520を外箱510内に戻す。
【0083】
引き続き、別の薬剤収納カセット500から薬剤900,900,・・・を払い出す場合には、その薬剤収納カセット500について、上記とまったく同様の払出動作を繰り返すこととなる。
【0084】
以上説明したように、本実施形態1によれば、カセット本体520内にそれぞれ薬剤900を収納可能な区画530を列設しておくとともに、払出ユニット400内でカセット本体520の各区画530に収納された薬剤900の有無を確認するための在庫確認センサ4411を設けておき、カセット本体520をカセット棚600から払出ユニット400内に前記列方向に移動させつつ、在庫確認センサ4411でカセット本体520の各区画530に収納された薬剤900の有無を確認するように構成したので、少ないセンサ数で在庫確認を確実に行うことができる。
【0085】
(実施形態2)
ところで、上記実施形態1では、スキャン動作中に薬剤900の在庫確認を行っているが、本実施形態2では、この在庫確認を払出動作中に行うようにしたものである。このためのハードウエア構成は、上記実施形態1と同様であるので、その詳細説明を省略する。
【0086】
図13は、本実施形態2に係る薬剤払出装置1の概略動作を示すフローチャートである。なお、図13における上記実施形態1と共通する工程には、同一のステップ番号を付して、その詳細説明を省略する。以下、この図13を参照して、本実施形態2に係る薬剤払出装置1による薬剤収納カセット500からの薬剤900,900,・・・の払出動作を概略説明する。
【0087】
本実施形態2では、電源が投入されると、まず、初期設定がなされる(ステップS1)。そして、ユーザが入力部24でスキャン動作を選択したものとすると(ステップS2でYES)、第一動作指令部31からの出力を受けて移動する払出ユニット400により、スキャン動作が開始される。
【0088】
このスキャン動作においては、まず、本薬剤払出装置1のサーボモータ210,410をそれぞれ駆動させることにより、図1のカセット棚600の棚板602上に配置された薬剤収納カセット500,500,・・・のうちの1つに対向する位置に払出ユニット400を移動させる。次いで、図7に示すように、払出ユニット400のサーボモータ4303を駆動させることにより、移動部430をユニット本体420の前方に移動させる(ステップ3)。そして、カセット情報読込部26が、各薬剤収納カセット500のICタグ5232に予め記憶されたカセット情報を、払出ユニット400のリーダ4302で読み込み(ステップS4)、それを記憶部30に記憶しておく(ステップS5)。全ての薬剤収納カセット500,500,・・・について、上記ステップS3〜S5を繰り返すと、スキャン動作が終了する。
【0089】
スキャン動作が終了すると、ステップS2に戻る。今度はスキャン動作を行わないから(ステップS2でNO)、ステップS10に進む。ここで、ユーザが入力部24で払出動作を選択したとすると(ステップS10でYES)、予め設定されたプログラムと、入力部24で入力された処方箋データ、前記カセット情報などに従って、払出動作が開始される。なお、払出動作を選択しなければ、すべての動作は終了する(ステップS10でNO)。
【0090】
すなわち、第二動作指令部32からの出力を受けて、本薬剤払出装置1のサーボモータ210,410をそれぞれ駆動させることにより、図1のカセット棚600の棚板602上に配置された薬剤収納カセット500,500,・・・のうちの1つに対向する位置に払出ユニット400を移動させる。そして、図7に示すように、払出ユニット400のサーボモータ4303を駆動させることにより、移動部430をユニット本体420の前方に移動させる(ステップS11)。このとき、払出ユニット400の当接部材4405cは、薬剤収納カセット500のカセット本体520の外箱510へのロックを解除する。
【0091】
引き続いて、薬剤収納カセット500に収納された薬剤900,900,・・・の場所(区画)と数量とを確認する、いわゆる在庫確認を行う。
【0092】
すなわち、図8に示すように、ユニット本体420の電磁石4301でカセット本体520の吸着部5233を吸着して、サーボモータ4303を前記とは逆方向に駆動させることにより、該カセット本体520をユニット本体420内に引き込む(ステップS12)。
【0093】
このときには、図4に示すように、シャッタ550は、カセット本体520の底面をその全区画について塞いだままの状態となっている。そして、図9(a),(b)に示すように、カセット本体520は、電磁石4301で吸引されることにより、その区画530,530,・・・がユニット本体420内の在庫確認センサ4411に対向する位置にまで順次に移動し、そこで在庫確認情報読込部27が、在庫確認センサ4411を用いて、当該区画530内での薬剤900の有無を示す在庫確認情報(在庫確認結果に相当する。)を読み込む(ステップS12a)。
【0094】
このようにして、カセット本体520をユニット本体420内に引き込みながら、そのカセット本体520の全区画530について読み込んだ在庫確認情報が記憶部30に記憶される(ステップS12b)。
【0095】
次いで、図10(a)に示すように、シャッタ550を1区画分だけB方向に移動させると(ステップS13)、カセット本体520の最前部(棚側)にある区画530の底面だけが開放されるから、そこに収納されていた薬剤900が一次バケット450内に重力で落下する。そこで、払出確認情報読込部28が、払出確認センサ4413を用いて、当該区画530内から重力落下する薬剤900の有無を示す払出確認情報(払出確認結果に相当する。)を読み込む(ステップS14)。
【0096】
このとき、CPU25は、記憶部30に記憶されている在庫確認センサ4411による在庫確認情報と、払出確認センサ4413による払出確認情報とに基づいて、前記カセット本体520の当該区画530から払い出されるべき薬剤900の該各区画530での詰り状態の有無などを判断する(ステップS15)。
【0097】
ここで、薬剤900の詰りがないものと判断すると、次のステップS16に進む(ステップS15でNO)が、薬剤900の詰りがあるか、あるいは、センサの故障があると判断すると(ステップS15でYES)、表示部23にエラー表示をして装置1を自動停止させる。
【0098】
薬剤900の1つ目がカセット本体520から取り出されると、その位置にシャッタ550を突起部4401で固定したまま(ステップS16)、払出ユニット400の移動部430が、カセット本体520を吸着した電磁石4301で、図10(b)に示すように、カセット棚600に向けて1区画分だけC方向に移動させる(ステップS17)。
【0099】
すると、カセット本体520の最前部から2つ目の区画530の底面が開放されるから、そこに収納されていた薬剤900が一次バケット450内に重力落下する。そこで、払出確認情報読込部28が、払出確認センサ4413を用いて、当該2つ目の区画530内から重力落下する薬剤900の有無を示す払出確認情報(払出確認結果に相当する。)を読み込む(ステップS18)。
【0100】
このときも、CPU25は、記憶部30に記憶されている在庫確認センサ4411による在庫確認情報と、払出確認センサ4413による払出確認情報とに基づいて、前記カセット本体520の2つめの区画530から払い出されるべき薬剤900の該各区画530などでの詰り状態の有無を判断する(ステップS19)。
【0101】
ここで、薬剤900の詰りがないものと判断すると、次のステップS20に進むが(ステップS19でNO)、薬剤900の詰りがあるか、あるいは、センサの故障があると判断すると(ステップS19でYES)、表示部23にエラー表示をして装置1を自動停止させる。以下、上記実施形態1と同様にして、カセット本体520をカセット棚600の棚板602上に戻しておく(ステップS20)。
【0102】
引き続き、別の薬剤収納カセット500から薬剤900,900,・・・を払い出す場合には、その薬剤収納カセット500について、上記とまったく同様の払出動作を繰り返すこととなる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態2によれば、カセット本体520内に収納された薬剤900,900,・・・の有無の確認を行いながら、払い出しを行うことができるので、装置1全体の動作時間が短縮されることとなる。
【0104】
なお、上記各実施形態では、在庫確認センサ4411は、それからの投光光を反射板4412で反射したときの反射光を受光するようにしているが、投光部と受光部とを対向配置してもよい。また、払出確認センサ4413についても同様である。さらに、両センサ4411,4413は、光センサに限定されず、磁気センサ等他の形式のものであってもよいのはもちろんである。ただし、在庫確認センサ4411は非接触式に限定されず、接触式のものであってもよいが、払出確認センサ4413については、薬剤900の払出動作を阻害することのないように非接触式のものに限定されることはいうまでもない。
【0105】
また、上記実施形態2では、カセット本体の全体を一旦ユニット本体内に引き込んでから、在庫確認を行っているが、例えば薬剤収納カセット500のカセット本体520の一部を、払出ユニット400のユニット本体420内に引き込んでから、そこにシャッタ550を固定し、後はカセット本体520だけを後方に移動させることとしてもよい。この場合にも、薬剤900の在庫確認をしながら払い出しが行えるので、時間短縮となる。また、途中で電源が落ちたときなどに、途中位置からカセット本体520が移動を開始するが、その場合でも薬剤900がむやみに落下しなくて済むといったメリットがある。
【0106】
また、上記各実施形態では、1台のカセット棚600を配置しているが、2台以上のカセット棚を配置することとしてもよい。その場合には、各キャリッジ、払出ユニット等の台数もこれに対応したものとするのが作業効率の点から好ましい。
【0107】
また、上記各実施形態では、複数の薬剤収納カセット500に、1台の払出ユニット400を移動させて、当該薬剤収納カセット500から薬剤900を払い出すようにしているが、各薬剤収納カセット500と払出ユニット400とを1対1で対応させて設けてもよい。その場合は、払出ユニット400の構成が簡単化できる。
【0108】
また、上記各実施形態では、薬剤収納カセット500から各薬剤900を、1つずつ払い出しているが、複数個ずつ払い出してもよい。これにより、処方の内容に応じて、最適な数量の薬剤900,900,・・・を薬剤収納カセット500から払い出すことができるようになり、便利である。
【0109】
また、上記各実施形態では、各薬剤収納カセット500,500,・・・は、カセット棚600の棚板602上に、該各薬剤収納カセット500,500,・・・の幅方向に列設されているが、この棚板602は静止した平板状のものに限定されず、例えば所定の軸心まわりに回転する円筒形状のものであってもよい。その場合には、払出ユニット400を、この回転する棚板602上に搭載された各薬剤収納カセット500,500,・・・に対して相対移動させることで足りる。
【符号の説明】
【0110】
1 薬剤払出装置
10 コントローラ
20 制御装置
100 装置本体
400 払出ユニット
420 ユニット本体
430 移動部
4301 電磁石
4302 リーダ
440 固定部
4401 突起部
4402 ソレノイド
4411 在庫確認センサ
4412 反射板
4413 払出確認センサ
4414 反射板
500 薬剤収納カセット
510 外箱
520 カセット本体
525 仕切板
530 区画
550 シャッタ
600 カセット棚
800 搬送コンベアユニット
802 トレイ
900 薬剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特開2010−012279号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット棚上に載置可能な薬剤収納カセットと、該薬剤収納カセットのカセット本体内に収納された薬剤を外部に払い出す払出ユニットと、該払出ユニットを制御する制御装置とを備えた薬剤払出装置であって、
カセット本体内にそれぞれ薬剤を収納可能な区画を列設しておくとともに、払出ユニット内に前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するための在庫確認センサを設けておき、
前記制御装置は、カセット本体をカセット棚から払出ユニット内に前記列方向に移動させつつ、前記在庫確認センサで前記カセット本体の各区画に収納された薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御することを特徴とする薬剤払出装置。
【請求項2】
前記在庫確認センサを払出ユニット内のカセット棚寄りに設けたことを特徴とする請求項1記載の薬剤払出装置。
【請求項3】
前記カセット本体の各区画を横断する貫通孔を設けるとともに、前記在庫確認センサは、この貫通孔を介して投光した光を受光することにより、該各区画に収納された薬剤の有無を確認する光センサであることを特徴とする請求項1又は2記載の薬剤払出装置。
【請求項4】
前記払出ユニット内に前記カセット本体の各区画から払い出される薬剤の有無を確認するための払出確認センサをさらに設けるとともに、
前記制御装置は、前記払出確認センサで前記カセット本体の各区画から払い出される薬剤の有無を確認するように払出ユニットを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤払出装置。
【請求項5】
前記払出確認センサは、前記カセット本体の各区画から払いだされるべき薬剤の払い出しの経路に投光した光を受光することにより、該各区画から払い出される薬剤の有無を確認する光センサであることを特徴とする請求項4記載の薬剤払出装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記在庫確認センサによる在庫確認結果と、前記払出確認センサによる払出確認結果とに基づいて、前記カセット本体の各区画から払い出されるべき薬剤の該各区画での詰り状態の有無を判断することを特徴とする請求項4又は5記載の薬剤払出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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