説明

薬品容器整列装置、薬品識別ICタグ、タグ取付装置、薬品保管庫、及び薬品管理システム

【課題】アンプルやバイアル等の薬品を封入した容器の取り扱う装置及びシステムに関する技術であって、前記アンプルやバイアル等の薬品を封入した容器を整列させた状態で薬品保管庫へ格納し、該薬品保管庫へ格納された薬品の払い出しから廃棄までを包括管理するシステムを提案して、管理制度の向上を支援する。
【解決手段】薬品管理システムに、識別タグ15(ICタグ)を薬品を封入した容器10に取り付けるとともに前記容器10を向きを揃えてトレイ13に整列させる薬品容器整列装置11と、容器に識別タグ15が付帯された薬品が収容された薬品保管庫80と、該薬品保管庫80から取り出されて使用された薬品の容器10やパッケージを廃棄する廃棄物回収容器88と、前記薬品容器整列装置11、前記薬品保管庫80及び廃棄物回収容器88に接続された管理サーバ75とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品を封入した容器を取り扱うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンプルやバイアル等の容器に封入された薬品は、看護師や薬剤師などの作業をする者の手で薬品コンテナに整列されて、薬品保管庫に常温又は冷蔵状態にて格納される。通常、アンプルやバイアル等の容器は、ガラスなどの割れやすい材質で構成されており、丁重に取り扱う必要がある。また、アンプルやバイアル等の容器に封入された薬品は一度に取り扱う数が多いだけでなく、個々の大きさが小さいこともあって、薬品を整列させる作業は、作業をする者の手を煩わせる作業の一つであった。
【0003】
そこで、ランダムに収容されたアンプル等の薬剤を一本ずつ取り出すとともに、その向きを揃える作業を担う装置が、提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術である。
特許文献1では、アンプル等の薬剤をその長手方向に搬送する搬送手段と、薬剤をその搬送経路から所定の整列位置に向けて脱落させる搬送補助手段とを備えて、前記搬送補助手段において薬剤が重心寄りの端部から先に脱落することを利用して、アンプルの頭尾も含めて薬剤の向きを揃える技術が公開されている。
【0004】
しかしながら、前記のようなアンプルを整列させる装置は、精度や汎用性を向上させる余地が残されている。さらに、アンプルを整列させる装置は、高価且つ大型であることが多く、50床クラスの中小病院においては導入することが困難である。
【0005】
また、前記のように薬品保管庫に格納された薬品は、種類や数量を正確に管理をする必要がある。そこで、薬品を電子的に管理する機能を搭載した薬品保管庫が提案されている。例えば、特許文献2に記載の技術である。
特許文献2では、薬品保管庫において、テンキーにてパスワード、利用者情報、薬品名及び薬品数量を入力させ、パスワードと利用者情報とを照合させることにて薬品保管庫の電気錠を解錠し、前記薬品名に該当する薬品が保管されている抽斗の表示灯を点灯し、前記抽斗が引き出されたことを検出して、利用者情報、薬品名及び薬品数量等からなる利用履歴データを記憶部に記憶させることにて、薬品保管の安全性と操作性の向上を図る技術が提案されている。
【0006】
上記のように、保管されている薬品を管理する機能を搭載した薬品保管庫が提案されているが、病院の薬剤部では持ち出した薬品のトレーサビリティ、すなわち、薬品保管庫からの払い出し(持ち出し)から使用、容器の廃棄までを管理するシステムが構築されていないことが通常であり、治療後の薬品代の請求漏れや、薬品の不正持ち出しなど、管理体制の甘さから生じる課題を解決することが困難であった。また、救命救急センターや手術室等、迅速な作業を求められる状況下では、使用した薬品の数量や種類を即時に把握できる管理システムを構築することは困難であり、看護師などの作業者が使用した薬品の数量や種類を確認する作業を行う必要があった。
【特許文献1】特開2000−185816号公報
【特許文献2】特開2003−135565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に鑑み、本発明では、アンプルやバイアル等の薬品を封入した容器の取り扱う装置及びシステムに関する技術であって、前記アンプルやバイアル等の薬品を封入した容器を整列させた状態で薬品保管庫へ格納し、該薬品保管庫へ格納された薬品の払い出しから廃棄までを包括管理するシステムを提案して、管理制度の向上を支援する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、ランダムに収容されたアンプル等の薬品の容器を一本ずつ取り出すとともに、その向きを揃えてトレイに整列させる薬品容器整列装置であって、取り出そうとする容器を撮像する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像データに画像処理を施して前記容器の重心を特定する画像処理手段と、前記容器を所望の姿勢で嵌入できる落とし穴と、前記落とし穴に容器を導く転落面とを有する姿勢調整凹部と、前記容器の重心を吸着保持して前記姿勢調整凹部の転落面まで搬送する搬送手段とを、具備するものである。
【0010】
請求項2においては、ランダムに収容されたアンプル等の薬品の容器を一本ずつ取り出して、トレイに整列させる薬品容器整列装置であって、容器を吸着する吸盤を備えて該容器を吸着保持して移送可能なアームと、前記吸盤を包囲するとともに前記容器の頭部を嵌入できる筒状部材とを、具備するものである。
【0011】
請求項3においては、アンプル等の薬品の容器に取り付けるICタグであって、ICチップおよびアンテナを備えた本体部と、前記容器の縮径部にはめ込む略C字状のクリップ部とを有し、合成樹脂にて板状に形成されて成るものである。
【0012】
請求項4においては、ICチップおよびアンテナを備えた本体部と薬品の容器に取り付けるためのクリップ部とを有する薬品識別ICタグを、薬品の容器に取り付けるためのタグ取付装置であって、前記薬品識別IDタグを積層して収容するタグコンテナと、前記タグコンテナに積層された前記薬品識別IDタグに対して往復動して前記薬品識別IDタグを一枚ずつ押し出すことにより、前記容器に薬品識別IDタグを取り付ける押出部材と、前記押出部材を往復駆動する駆動手段と、前記押出部材の往復動に伴って回動して前記容器を把持又は解放する一対の挟持アームとを、具備するものである。
【0013】
請求項5においては、ユニークな識別情報が記憶されたICタグが付帯された薬品の容器を格納する薬品保管庫であって、前記容器を載置する棚と、前記棚に備えられて容器に付帯されたICタグの識別情報を読み取るICタグ読取手段と、前記ICタグ読取手段にて読み取られた識別情報を常時又は所定時間毎に取得して、前回と今回とで比較し、前記取得した情報に含まれなくなった識別情報に基づいて、薬品保管庫から取り出された薬品を特定する演算処理を行う管理部とを、具備して成るものである。
【0014】
請求項6においては、ユニークな識別情報が記憶されたICタグと、前記ICタグを付帯した薬品の容器と、前記容器に付帯したICタグが有する識別情報を読み取るICタグ読取手段と、前記容器を撮像する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像データに画像処理を施して、前記容器に記載又は貼付された情報を読み取る画像処理手段と、前記ICタグ読取手段にて得られた識別情報に関連付けて、前期画像処理手段にて得られた容器に記載又は貼付された情報を格納するデータベースを設けた管理サーバと、ICタグの識別情報に基づいて前記内容物データベースを参照して、容器に記載又貼付された情報を取得する情報端末とを、具備して成るものである。
【0015】
請求項7においては、ユニークな識別情報が記憶されたICタグと、前記ICタグを付帯した薬品の容器と、前記容器を載置する棚及び該棚に設けられたICタグ読取手段を備えた薬品保管庫と、前記薬品保管庫に無線又は有線の通信手段を介して接続され、前記ICタグの識別情報に関連づけて該ICタグが付帯された容器に封入された薬品に係る情報を格納する内容物データベースを設けた管理サーバと、前記薬品保管庫のICタグ読取手段にて読み取られたICタグの識別情報に基づいて前記内容物データベースを参照して、容器に封入された薬品に係る情報を取得する情報端末とを、備えるものである。
【0016】
請求項8においては、ユニークな識別情報が記憶されたICタグと、前記ICタグを付帯した薬品の容器と、前記容器を載置する棚及び該棚に設けられたICタグ読取手段を備えた薬品保管庫と、前記薬品保管庫から取り出されて薬品が使用されたあとの容器を回収する回収容器及び該回収容器に設けられたICタグ読取手段を備えた廃棄物回収容器と、前記薬品保管庫及び前記廃棄物回収容器とに無線又は有線の通信手段を介して接続され、前記薬品保管庫のICタグ読取手段にて読み取られたICタグの識別情報を格納する使用薬品データベースと、前記廃棄物回収容器のICタグ読取手段にて読み取られたICタグの識別情報を格納する廃棄物データベースとを設けた管理サーバと、前記使用薬品データベースに格納された情報と前記廃棄物データベースとに格納された情報とを比較して、薬品の管理を行う情報端末とを、備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
本発明によれば、アンプルやバイアル等の薬品を封入した容器を、確実に、一本ずつ取り出すとともに向きを揃えて整列させた状態でトレイに収容することができる。
また、薬品保管庫へ格納された薬品の取り出し(払い出し)から廃棄までを包括的に管理することができ、薬品の管理制度の向上を支援することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る薬品管理システムの全体的な構成を示した図、図2は本実施例に係る容器の各部名称を説明する図、図3は本実施例に係る薬品容器整列装置を示す斜視図である。図4は薬品容器整列装置の構成ブロック図である。図5は薬品容器整列装置での処理の流れ図である。
図6は薬品容器整列装置に具備される姿勢調整機構部を示す図、図7は姿勢調整機構部の一部拡大図、図8は薬品容器整列装置に具備される搬送機構部を示す図、図9は薬品容器整列装置に具備される搬送機構部の一部拡大図、図10はカラーの別形態を示す図である。
図11は識別タグの構成を示す図、図12は識別タグを付帯した容器を示す図、図13は容器に装着した別形態の識別タグを示す図である。
図14はタグ装着機構部の構成を示す側面図、図15は待機時のタグ装着機構部の構成を示す平面図、図16はタグ装着時のタグ装着機構部の構成を示す平面図である。
図17はキャビネット型の薬品保管庫を示す図、図18はワゴン型の薬品保管庫を示す図、図19は薬品保管庫の管理部での処理の流れ図、図20は廃棄物回収容器の構成を示す図である。
【0020】
本発明の実施例に係る薬品管理システムには、図1に示すように、識別タグ15(ICタグ)を薬品を封入した容器10に取り付けるとともに前記容器10を向きを揃えてトレイ13に整列させる薬品容器整列装置11と、容器10に識別タグ15が付帯された薬品が収容された薬品保管庫80と、該薬品保管庫80から取り出されて(払い出されて)使用された薬品の容器10やパッケージを廃棄する廃棄物回収容器88と、前記薬品容器整列装置11、前記薬品保管庫80及び廃棄物回収容器88に接続された管理サーバ75とが具備される。
【0021】
前記管理サーバ75には、内容物データベース76と、保管庫データベース77と、使用薬品データベース78と、廃棄物データベース79とが含まれる。
【0022】
前記『内容物データベース76』には、容器10に付帯される識別タグ15に付与されたユニークな識別情報に関連づけて、前記容器10の内容物に関する情報が格納される。つまり、管理サーバ75では、識別タグ15に付与された識別情報に基づいて、容器10の内容物に関する情報を参照可能に構成される。なお、前記『容器10の内容に関する情報』とは、例えば、品名、容量、製造番号、有効期限等である。
【0023】
前記『保管庫データベース77』には、システムに具備される各薬品保管庫80・80・・・を識別する情報に関連づけて、該薬品保管庫80に保管されている容器10・10・・・に関する情報が格納される。つまり、或薬品保管庫80に保管されている容器10に付帯された識別タグ15の識別情報が、薬品保管庫80を識別する情報に関連づけられて保管庫データベース77に格納される。
【0024】
前記『使用薬品データベース78』には、システムに具備される各薬品保管庫80・80・・・から取り出された(払い出された)薬品の容器に係る情報が格納される。つまり、システムに具備される各或薬品保管庫80から取り出された容器10に付帯された識別タグ15の有する識別情報が、使用薬品データベース78に格納される。
【0025】
前記『廃棄物データベース79』には、封入された薬品が使用されて廃棄された容器10に関する情報が格納される。つまり、薬品保管庫80から取り出されて、内容物である薬品が使用されたのち、廃棄される容器に付帯する識別タグ15の識別情報が廃棄物データベース79に格納される。
【0026】
前記管理サーバ75には、情報端末60が接続される。前記情報端末60は、制御手段61と、演算手段62と、記憶手段63と、入力手段64と、出力手段65とが具備され、該情報端末60の外部記憶手段として管理サーバ75が構成される。
前記情報端末60では、情報を入力して管理サーバ75に格納するとともに、該管理サーバ75に格納された情報を読み出して、出力したり演算したりすることができる。
【0027】
前記管理サーバ75には、薬品容器整列装置11、薬品保管庫80、廃棄物回収容器88が有線又は無線の通信手段にて接続されており、情報の送受信可能に構成される。
なお、前記薬品容器整列装置11、薬品保管庫80、廃棄物回収容器88は、一つのシステムに単数又は複数備えることができる。
以下に、薬品容器整列装置11、前記薬品保管庫80、並びに廃棄物回収容器88について詳細に説明する。
【0028】
[A.薬品容器整列装置11]
まず、薬品容器整列装置11について説明する。
前記薬品容器整列装置11は、ランダムに収容されたアンプル等の薬品を封入した容器10を一本ずつ取り出すとともに、その向きを揃えてトレイ13に整列させるものである。
前記容器10は、アンプルやバイアル等の薬品が封入された容器であって、本実施例では容器10としてアンプルを例に採って説明する。図2に示すように、前記容器10は直立姿勢で整列されるものであり、直立した状態の頂を『頂部』、上部を『頭部』、下部を『胴部』と、説明の便宜を図って記載する。前記容器10は、頭部と胴部との間に縮径された部位(くびれ部分)を有する。
【0029】
また、前記トレイ13は、複数の前記容器10を整列させた状態で保持するものであり、薬品保管庫80に挿脱可能なカセット式の浅い箱である。トレイ13は、容器10を一つずつ収容するポケットに区切られている。
但し、前記トレイ13の形状は、本実施例に限定されるものではなく、保持される容器10の形状に応じたものが採用される。
【0030】
図3及び図4に示すように、前記薬品容器整列装置11には、整列させようとする複数の容器10・10・・・を投入するバスケット12と、姿勢調整機構部20と、搬送機構部30と、タグ装着機構部40(タグ取付装置)と、情報取得機構部59と、トレイ13を支持するトレイ位置調整機構部50と、前記各機構部を包括的に制御する制御部70とが具備される。前記薬品容器整列装置11に具備される姿勢調整機構部20、搬送機構部30、情報取得機構部59、及びトレイ位置調整機構部50は、保護ケース14内に併せて配置される。
【0031】
前記制御部70は、電子計算機にて構成される。制御部70は、全体の動作制御を司る制御手段と、プログラムや各種パラメータなどが格納される記憶手段と、前記プログラムを実行する演算手段と、情報を入力するための入力手段と、前記演算手段での演算結果を出力するための出力手段とを備えるものである。
【0032】
制御部70では、トレイ13に容器10を整列して収容するために薬品容器整列装置11に具備される姿勢調整機構部20、搬送機構部30、タグ装着機構部40、トレイ位置調整機構部50、並びに情報取得機構部59の各機構部を連鎖的に動作させるプログラムが設定されており、該プログラムが実行されることにて、姿勢調整機構部20、搬送機構部30、タグ装着機構部40、トレイ位置調整機構部50、並びに情報取得機構部59が動作することにて、薬品容器整列装置11が機能することとなる。
【0033】
図5は、前記薬品容器整列装置11の制御部70で実行される制御の流れを示した物である。
まず、制御部70は、前記姿勢調整機構部20に、前記バスケット12にランダムに投入された複数の容器10・10・・・を、一本ずつ取り出し(S11)、該容器10を所定の姿勢に整えさせる(S12)。
容器10の姿勢は、次ステップの搬送機構部30にて搬送されるために適した状態に整えられ、本実施例においては、容器10は起立した姿勢に整えられて、上下の向きが揃えられる。
【0034】
続いて、制御部70は、前記搬送機構部30に、前記容器10を前記タグ装着機構部40にて、各々にユニークな識別情報が付与された識別タグ15を、容器10に取り付け可能な位置(タグ取付位置D)まで搬送させて(S13)、前記タグ装着機構部40に、容器10に識別タグ15を取り付けさせる(S14)。
【0035】
また、前記制御部70は、前記搬送機構部30に、前記容器10を前記情報取得機構部59にて情報の読み取り可能な位置(情報読取位置D)まで搬送させて(S15)、前記情報取得機構部59に、容器10に記載された内容物に係る情報及び識別タグ15に保持された識別情報を読み取らせる(S16)。なお、前記情報読取位置Dとタグ取付位置Dとを同一の位置として、この間の容器10の搬送を省略することも可能である。
【0036】
そして、前記制御部70は、前記情報取得機構部59にて読み取られた、容器10に付帯した識別タグ15の識別情報と、該容器10の内容物に係る情報とを関連づけて、管理サーバ75の内容物データベース76に格納する(S17)。
【0037】
最後に、前記制御部70は、前記搬送機構部30にて、前記容器10をトレイ13の格納位置Dまで搬送させて(S18)、該容器をトレイ13に収容させる。なお、このとき制御部70は、前記トレイ位置調整機構部50に前記格納位置Dにトレイ13の容器10を収容しようとする位置が来るように、前記トレイ13の位置姿勢を調整させる。
【0038】
上記のように動作する薬品容器整列装置11では、容器10を確実に整列させるとともに、該容器10を識別する識別タグ15を取り付けることができる。
そして、容器10に付帯した識別タグ15の識別情報と、該容器10の内容物に係る情報とが関連づけられて管理サーバ75に格納されているので、前記識別タグ15に保持される識別情報に基づいて、容器10の内容物に係る情報を得ることができる。これにより、薬品の在庫管理、期限管理、製造番号管理、リスク管理、ロケーション管理、経営管理などを行うことが可能となる。
【0039】
続いて、上記薬品容器整列装置11を構成する各装置について詳細に説明する。
【0040】
[A1.姿勢調整機構部20]
姿勢調整機構部20には、図3、4及び6に示すように、取り出す目標とする容器10を三方向から撮像する三台のCCDカメラ等の撮像手段21・21・21と、画像処理手段21aと、搬送ロボット22と、姿勢調整凹部23とが備えられる。
【0041】
前記撮像手段21・21・21で撮像されて得られた画像データは、前記画像処理手段21aに取り込まれる。画像処理手段21aでは、取り込まれた画像に対して形状抽出、色抽出、縮退化等の画像処理が施されることにて、容器10の重心が抽出される。この容器10の重心点に係る情報は、前記搬送ロボット22に伝達される。
【0042】
前記搬送ロボット22は、水平多関節型ロボットで、略水平方向に移動するアーム22aの端部に、昇降移動する吸盤22bを設けたものである。前記アーム22aには駆動手段22cが備えられ、また、前記吸盤22bには、該吸盤22bに吸引力を発生させる減圧手段22dが備えられる。これら駆動手段22c及び減圧手段22dは、何れも制御手段22eの制御を受けて動作する。
【0043】
前記制御手段22eは、前記画像処理手段21aから容器10の重心点に係る情報(重心点の座標等)を取得し、駆動手段22cにてアーム22aを動作させて当該容器10の重心点に吸盤22bを移動させたのち、減圧手段22dにて吸盤22bに吸引力を発生させて、図7に示すように、目標とする容器10をアーム22aの先端に吸引保持させる。
なお、本実施例における搬送ロボット22では、容器10を吸着することにてアーム22aに保持させるが、この構成に限定されるものではなく、容器10を把持したり、容器10を持ち上げたりして、アーム22aに保持させるように構成することもできる。
【0044】
前記搬送ロボット22は、上述のようにして容器10をバスケット12から取り出すと、姿勢調整凹部23の上方の所定位置まで搬送して、前記容器10を解放する。
図8にも示すように、前記姿勢調整凹部23は、すり鉢状凹部であって、略中央に形成された落とし穴23bと、該落とし穴23bへ容器10を導く転落面23aとを有するものである。前記落とし穴23bは、容器が所望の姿勢で嵌入できる形状を有する。本実施例においては、容器10であるアンプルが、頭部を上にした状態で起立した姿勢に整えるために、アンプルの外径よりも僅かに大きい円柱状の穴が落とし穴23bとして形成される。
【0045】
前記姿勢調整凹部23のすり鉢状の中央側へ容器10の胴部が向くように、転落面23aの周縁部まで搬送ロボット22にて容器10が搬送され、吸盤22bによる吸引が解除されると、容器10は落とし穴23bに転落する。落とし穴23bに転落した容器10は、所望の姿勢となった状態で落とし穴23bに嵌り込む。本実施例では、落とし穴23bに転落した容器10は、頭部を上にして起立した姿勢で、姿勢調整凹部23に嵌り込むこととなる。
【0046】
上記構成の姿勢調整機構部20では、撮像手段21・21・21及び画像処理手段21aにて容器10の重心を捉えて、搬送ロボット22にて該重心で吸着して搬送するので、確実に容器10をバスケット12から取り出すことができる。また、姿勢調整凹部23にて、容器10の自重を利用して落とし穴23bに落下させることにて、確実に所望の姿勢とすることができる。よって、上記姿勢調整機構部20では、アンプルやバイアル等の容器10の大きさや種類に限定されることない程度の汎用性を有し、且つ、精度良く容器10の姿勢を整えることができる。
【0047】
[A2.搬送機構部30]
前記搬送機構部30は、図3、4及び8に示すように、搬送ロボット31にて構成される。
前記搬送ロボット31は水平多関節型ロボットで、略水平方向に移動するアーム31aの端部に、昇降移動する吸盤31bを設けたものである。前記アーム31aには駆動手段31cが備えられ、また、前記吸盤31bには、該吸盤31bに吸引力を発生させる減圧手段31dが備えられる。これら駆動手段31c及び減圧手段31dは何れも制御手段31eの制御を受けて動作する。
【0048】
図9にも示すように、前記搬送ロボット31のアーム31aの端部には、吸盤31bが内挿されるように、筒状のカラー33が着脱可能に設けられる。このカラー33は、取り扱う容器10の外周よりも僅かに大きい内周を有し、容器10の頭部をすっぽり挿入できる形状を有する。
前記カラー33は、搬送機構部30にて搬送する容器10の形状に応じて適したものに取り替えて使用することが望ましく、例えば、図9に示すように、容器10がアンプルである場合には、該アンプルの頭部がすっぽり入るような筒状のカラーが使用され、図10に示すように、容器10がバイアルである場合には、該バイアルの頭部である蓋がすっぽり入るような筒状のカラーが使用される。
【0049】
上記のようにカラー33をアーム31aに備えることで、搬送ロボット31にて搬送される容器10は、頂部が吸盤31bに吸着されるとともに、頭部がカラー33に挿入された状態となる。これにより、容器10は側方からの荷重を受けてもふらつくことなくアーム31aに保持されることとなる。
【0050】
前記搬送ロボット31の制御手段31eには、受取位置D、タグ取付位置D、情報読取位置D、格納位置Dの順番に、容器10を搬送するようにプログラムが設定される。なお、前記受取位置Dとは、前記姿勢調整機構部20に具備される姿勢調整凹部23の落とし穴23bの上方であって、容器10の頂部にあたる位置である。
【0051】
前記搬送機構部30の搬送ロボット31は、受取位置Dにて、落とし穴23bに嵌り込んでいる容器10の頭部をカラー33に挿入したうえで、該容器10の頂部をアーム31aに備えた吸盤31bにて吸引し、前記落とし穴23bから容器10を引き上げてタグ取付位置Dまで移動させる。
タグ取付位置Dでタグ装着機構部40にて容器10に識別タグ15が取り付けられると、搬送ロボット31は、情報読取位置Dまで容器10を移動させる。
そして、情報読取位置Dにおいて容器10の情報が情報取得機構部59にて読み取られると、搬送ロボット31は、格納位置Dまで容器10を移動させて吸盤31bの吸着を解除し、トレイ13に前記容器10を装填する。
【0052】
[A3.タグ装着機構部40]
前記タグ装着機構部40は、搬送機構部30にてタグ取付位置Dまで搬送された容器10に対して識別タグ15を取り付けるための『タグ取付装置』である。
【0053】
前記識別タグ15は、所謂ICタグであり、ユニークな識別情報が情報として付与されたICチップとアンテナとを具備するものである。
図11に示すように、識別タグ15は合成樹脂製であって、容器10の頭部と胴部の間のくびれ部分に挿入されるC字状のクリップ部15bと、ICチップとアンテナとでなる機能部15aを内蔵する本体部15cとで、板チップ状に形成されたものである。前記識別タグ15の本体部15cの一面(裏面)の周縁には、剛性を向上させるためのリブ15dが形成される。
【0054】
上記構成の識別タグ15では、図12に示すように、該識別タグ15のクリップ部が容器10のくびれ部分に押し当てられると、クリップ部15bが弾性変形してくびれ部分が該クリップ部のC字内に挿入され、同じくクリップ部15bが弾性回復することにて、識別タグ15が容器10より落脱しないように取り付けられる。
【0055】
なお、図11及び図12にて説明する識別タグ15は、クリップ部15bと本体部15cとを一体的に形成したものであるが、クリップ部と本体部とを別体として構成することもできる。
例えば、図13に示すように、剛性樹脂で形成された波型ピンをクリップ部15eとし、該クリップ部15eにICチップとアンテナとでなる機能部15aを内蔵する札状の本体部15fを挿入する構成とすることもできる。この場合も、波型ピンの開放側が容器10の頭部と胴部とのくびれ部分に押し当てられると、クリップ部15eが弾性変形してくびれ部分が該クリップ部15eの波状の挟持部分に挿入され、同じくクリップ部15eが弾性回復することにて、識別タグ15が容器10より落脱しないように取り付けられる。
【0056】
前述の通り、識別タグ15は容器10の頭部と胴部とのくびれ部分に取り付けられる。このことによれば、容器10がアンプルである場合にもバイアルである場合にも、封入された薬品を使用する際に、このくびれ部分が破壊されたり解放されたりするため、使用後に識別タグ15と容器10とを容易に分別することができる。さらに、容器10のくびれ部分に取り付けられた識別タグ15は、頭部と胴部との間に安定して位置保持され扱いが容易となる。
【0057】
前記タグ装着機構部40には、識別タグ15を格納するタグコンテナ41と、該タグコンテナ41に格納された識別タグ15を一つずつタグ取付位置Dへ向かって押し出すタグ押出装置42とが備えられる。
【0058】
本実施例では、図14、図15及び図16に示すように、前記識別タグ15・15・・・を積層して収容するタグコンテナ41と、前記タグコンテナ41に積層された識別タグ15に対して往復動して前記識別タグ15を一枚ずつ押し出すことにより、容器10に識別タグ15を取り付ける押出部材47と、押出部材47を往復駆動する駆動手段43と、前記押出部材47の往復動に伴って回動して前記容器10を把持又は解放する一対の挟持アーム45・45を有する治具48とを、含んで構成される。
【0059】
前記タグコンテナ41はタワー型のものであり、識別タグ15が積層された状態で収容される。そして、前記積層された識別タグ15の最上部には、錘41aが載置され、前記識別タグ15は順次下方へ繰り出されることとなる。
【0060】
前記タグ押出装置42は、前記タグコンテナ41に積層された状態に収容された識別タグ15・15・・・のうち最下層の識別タグ15を略水平方向に押し出す押出部材47と、容器10の胴部を挟持する開閉式の治具48とが備えられる。
前記押出部材47は、電動モータ等の駆動手段43にて伸縮駆動されるスライド軸43aに連結された摺動部材44に固設される。前記摺動部材44には、両側部の上面が切り欠かれてガイド溝44b・44bが形成されており、該ガイド溝44b・44bには、タグ押出装置42の基台49に固設されたガイド部材49a・49aが係合し、このガイド溝44b・44bとガイド部材49a・49aとにより、摺動部材44が振れずに往復動するように構成される。
【0061】
前記摺動部材44に固設された押出部材47は、板状部材であって、その端面にてタグコンテナ41の最下層の識別タグ15の側面を押圧するものである。押出部材47は、駆動手段43により伸縮するスライド軸43aに連結されて摺動移動する摺動部材44に固設されるため、駆動手段43の動作に応じて、識別タグ15を押し出す方向とその反対方向とに往復動することとなる。
【0062】
前記タグ押出装置42に備えられる治具48は、容器10の胴部を挟持する半円筒状の挟持部45aを端部に設けた2本の挟持アーム45・45にて構成される。前記挟持アーム45・45は、基台49に設けた回動軸45c・45cに略水平方向に回動可能に支承されており、挟持アーム45・45を回動させて挟持部45a・45a同士を付き合わせることにより、該挟持部45a・45a間にて容器10の胴部を挟持したり、また、挟持アーム45・45を回動させて挟持部45a・45aにて挟持している容器10を解放したりすることができる。以下、挟持アーム45・45を容器10を挟持できる方向に回転させることを『閉じる』と記載し、容器10を解放する方向に回転させることを『開く』と記載する。
【0063】
前記挟持アーム45の、回動軸45cを介して挟持部45aと反対側は、挟持アーム45・45の開閉を操作する操作部45bとなっている。挟持アーム45・45の操作部45b・45bの間には前記摺動部材44が配設され、前記操作部45b・45bは前記摺動部材44に設けられた操作ローラ44a・44aに当接可能とされる。
【0064】
さらに、前記挟持アーム45・45は、付勢部材46・46にて開く方向に付勢されており、タグ押出装置42の容器10の治具48の待機状態は、挟持アーム45・45が開いている状態である(図15)。
【0065】
そして、駆動手段43にて摺動部材44が識別タグ15の押し出し方向へ動かされると、前記摺動部材44に設けられた操作ローラ44aにて挟持アーム45の操作部45bが押圧され、該操作部45bが付勢部材46の付勢力に抗して回転し、挟持アーム45が閉じられる(図16)。
つまり、摺動部材44に設けられた押出部材47の識別タグ15の押し出し動作に伴って、挟持アーム45・45が閉じる方向に移動して治具48にて容器10が保持されるのである。よって、押出部材47にて押し出された識別タグ15が容器10に押圧されて取り付けられる際には、該容器10の頭部は搬送ロボット31のアーム31aに設けられたカラー33に支持され、同じく容器10の胴部は治具48にて支持されることとなる。よって、前記タグ押出装置42にて識別タグ15を容器10側へ押し付ける際には、容器10に側面からの荷重が加わることとなるが、搬送機構部30のアーム31aに設けられたカラー33及び治具48により、容器10が振れたり落下したりすることがないのである。
【0066】
そして、容器10に識別タグ15を装着したのち、押出部材47及び摺動部材44が容器10から後退する方向に移動すると、操作ローラ44aによる挟持アーム45の操作部45bへの押圧力が解放されるので、付勢部材46により挟持アーム45は開く方向へ回動し(図15)、容器10が治具48から解放される。
【0067】
なお、前記タグ押出装置42の駆動手段43は制御部70に接続されており、押出部材47による識別タグ15の押し出し及び治具48による容器10の保持・解放の、一連の動作は前記制御部70に制御されることとなる。
【0068】
[A4.情報取得機構部59]
前記情報取得機構部59は、容器10に記載又は貼付された情報を読み取る容器情報読取部56と、識別タグ15のICチップに保持された情報を読み取るタグ情報読取部57と、これらの情報を併せて管理サーバ75に格納する識別情報作成部58とが備えられる。
【0069】
前記容器情報読取部56は、撮像手段等の撮像手段と画像処理手段とで構成され、搬送機構部30にて情報読取位置Dまで搬送された容器10を撮像手段にて撮像し、得られた画像データを画像処理手段にて画像処理することにて、容器10に記載又は貼付された情報を読み取るものである。例えば、前記容器10には、薬品名、容量、製造番号、有効期限などが記載又は貼付されており、つまり、前記『容器10に記載された情報』とは、容器10に封入された薬品に係る情報である。
【0070】
また、前記タグ情報読取部57は、識別タグ15に具備されるICチップが保持する情報(識別タグ15の識別情報)を読み取るものである。つまり、タグ情報読取部57はICチップが保持する情報を読み取るICタグ読取手段である。
【0071】
前記容器情報読取部56とタグ情報読取部57とは、識別情報作成部58に接続される。識別情報作成部58では、容器10に記載又は貼付された情報と識別タグ15が保持する情報とを取得して、管理サーバ75に送信する。つまり、容器10に付帯した識別タグ15の識別情報と、該容器10に封入された薬品に係る情報とが、関連づけられて管理サーバ75に送信される。
前記管理サーバ75では、容器10に付帯した識別タグ15の識別情報と、該容器10に封入された薬品に係る情報とが、内容物データベース76に格納される。
よって、容器10に付帯した識別タグ15に付与された識別情報に基づいて、管理サーバ75の内容物データベース76を参照すれば、前記容器10に封入された薬品に係る情報を得ることができるのである。
【0072】
[A5.トレイ位置調整機構部50]
トレイ位置調整機構部50は、トレイ13を載置する回転テーブル51及びその駆動手段52と、該回転テーブル51を水平方向にスライドさせるレール53aとスライダ53b及びその駆動手段54とで構成される。
前記回転テーブル51の駆動手段52と、前記スライダ53bの駆動手段54とは、何れも制御手段55に接続される。該制御手段55では、回転テーブル51に載置されたトレイ13に設けられたポケットのうち、次の容器10が格納されるポケットを、格納位置Dまで移動させるように、駆動手段52と駆動手段54とを動作させる制御が行われる。
【0073】
[B.薬品保管庫80]
続いて、薬品保管庫80について説明する。
図17に示すように、前記薬品保管庫80は、アンプルやバイアル、輸液などの薬品を封入した容器10・10・・・が、常温又は冷蔵された状態で保管されるものである。前記容器10には、各々ユニークな識別情報を有する識別タグ15が取り付けられている。
なお、アンプルやバイアルなどの薬品を封入した容器に識別タグ15を取り付けるために、上述の薬品容器整列装置11を用いることが望ましいが、容器10に識別タグ15を取り付ける手段として必ずしも前記薬品容器整列装置11を用いることに限定されず、また、識別タグ15の形状も限定されない。
【0074】
前記薬品保管庫80の形態として、図17に示すような、内部に複数の棚を有するキャビネットや、図18に示すような、複数の棚を有し車輪を備えたワゴンを採用することができる。特に、時間との戦いであるICUや救命救急や手術室においては、機動性があり素早く手で薬品を取り出せるワゴンが適しており、また、薬品を自動的に選択して払い出す自動払い出しシステムを備えるのであればキャビネットが適している。
【0075】
図17に示すように、薬品保管庫80には、カセット式のトレイ13を格納できる棚81が設けられる。前記トレイ13には、識別タグ15を付帯した容器10が収容される。
前記棚81には、前記容器10に付帯された識別タグ15が保持する情報を読み取るためのICタグ読取手段82が備えられる。前記ICタグ読取手段82は、シート状のものであって、棚81の上面又は下面に装着される。
【0076】
前記ICタグ読取手段82にて読み取られた情報は、薬品保管庫80に備えつけられた情報管理端末84に取得され、該情報管理端末84から有線又は無線の情報通信手段を介して管理サーバ75に伝達される。
前記情報管理端末84は、電子計算機であって、制御手段、演算手段、記憶手段、入力手段、出力手段、通信手段が備えられる。前記出力手段として、管理情報を表示出力する表示出力手段85や音声出力手段が備えられる。
【0077】
図19は薬品保管庫80の情報管理端末84での処理の流れを示すものである。
前記情報管理端末84は、ICタグ読取手段82・82・・・が読み取った情報を常時取得し(S31)、前回取得した情報と比較する(S32)。そして、前記情報管理端末84は、取得された情報に含まれなくなった識別情報の有無を判断する(S33)。
含まれなくなった識別情報がある場合は(S33のYES)、前記情報管理端末84は、その識別情報を特定して(S34)管理サーバ75に送信し(S35)、該管理サーバ75の保管庫データベース77及び使用薬品データベース78に格納させる。また、該管理サーバ75の内容物データベース76を前記識別情報に基づいて参照して容器情報を取得し(S36)、当該容器情報を表示出力手段85に出力させる(S37)。このとき、取得された容器情報に内容物の不具合、例えば、期限切れなどがあれば、表示出力手段85にて表示させたり警告音を鳴らしたりするように制御することもできる。
【0078】
つまり、前記薬品保管庫80の情報管理端末84では、薬品保管庫80内に存在する全ての識別タグ15・15・・・を常時把握し、薬品保管庫80から容器10とともに該容器10に付帯された識別タグ15が取り出されると、これを検出して前記薬品保管庫80から取り出された容器10を特定するのである。
このように、薬品保管庫80から払い出される(取り出される)容器10に基づいて、薬品保管庫80内の薬品を管理するので、薬品保管庫80内での薬品の格納場所が限定されず、また、薬品を取り出す者に特別な動作を要しないので迅速な作業を求められる状況下に適用できる。
【0079】
また、上述の構成の薬品保管庫80が、病院などの一施設に複数備えられる場合であっても、一つの管理サーバ75にて、全ての薬品保管庫80に保管される薬品が一元的に管理される。従って、各薬品保管庫80に格納されている薬品の在庫管理及びロケーション管理を一元的に管理することで経営管理を効率的に行うことができる。
【0080】
例えば、管理サーバ75に格納された情報に基づいて、どの薬品保管庫80のどの容器10の内容物が使用期限を過ぎていることを把握することができ、期限管理とともに、期限切れの内容物の使用を防止して危機管理を行うことができる。
さらに、管理サーバ75に格納された情報に基づいて、薬品保管庫80ごとに取り出された容器10及びその数を把握できるので、一元管理された管理サーバ75に格納された情報に基づいて料金を請求することが可能となり、請求忘れや請求漏れを防止することができる。
【0081】
[C.廃棄物回収容器88]
続いて、廃棄物回収容器88について説明する。
前記廃棄物回収容器88は、前記薬品保管庫80から取り出されて使用された薬品の容器を回収するためのものである。
前記廃棄物回収容器88に投入される薬品の容器には、それぞれに識別タグ15が付帯されている。
【0082】
図20に示すように、前記廃棄物回収容器88には、底部開閉式の廃棄トレイ87が具備され、該廃棄トレイ87の底部にICタグ読取手段89が備えられる。前記ICタグ読取手段89は、廃棄トレイ87に投棄された容器10及び該容器10に付帯していた識別タグ15のうち、識別タグ15の保持する識別情報を読み取るものである。
前記ICタグ読取手段89は、廃棄物回収容器88に備えられた情報管理端末90に接続され、ICタグ読取手段89にて読み取られた識別タグ15の識別情報が廃棄物回収容器88を識別する情報とともに、情報管理端末90から管理サーバ75に送信される。
【0083】
そして、廃棄物回収容器88から送信された情報を取得した管理サーバ75では、ICタグ読取手段89にて検出された識別タグ15の識別情報が廃棄物回収容器88を識別する情報とともに、廃棄物データベース79に格納される。
【0084】
上記構成により、管理サーバ75に接続された情報端末60では、廃棄物データベース79に格納された情報を読み出して、使用されて廃棄された薬品と、該薬品が封入されていた容器が廃棄された廃棄物回収容器88を特定することができる。これにより、容器が正しいルートで廃棄されたことを確認することができる。
また、一つの施設に複数備えられる廃棄物回収容器88の全てを管理サーバ75に接続することにて、前記管理サーバ75にて前記施設にて使用される薬品及びその容器の廃棄を包括的に管理することができる。
【0085】
さらに、前記管理サーバ75の情報を読み出し可能である情報端末60では、廃棄物データベース79に格納された情報と使用薬品データベース78に格納された情報とに基づいて、これらを比較することにより、薬品保管庫80から取り出されたものの、未だ廃棄されていない薬品を特定することができる。つまり、薬品保管庫80へ格納された薬品の払い出しから廃棄までを追跡することができるので、薬品の紛失や盗難などの薬品の不正持ち出しを防止し、また、薬品容器の廃棄を管理することができる。
【0086】
なお、廃棄物回収容器88に投入された識別タグ15は、そのまま廃棄することもできるし、回収して再度利用に供することもできる。識別タグ15を再利用することによれば、識別タグ15に係るコストを低減させることができ、システムのランニングコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施例に係る薬品管理システムの全体的な構成を示した図。
【図2】本実施例に係る容器の各部名称を説明する図。
【図3】本実施例に係る薬品容器整列装置を示す斜視図。
【図4】薬品容器整列装置の構成ブロック図。
【図5】薬品容器整列装置での処理の流れ図。
【図6】薬品容器整列装置に具備される姿勢調整機構部を示す図。
【図7】姿勢調整機構部の一部拡大図。
【図8】薬品容器整列装置に具備される搬送機構部を示す図。
【図9】薬品容器整列装置に具備される搬送機構部の一部拡大図。
【図10】カラーの別形態を示す図。
【図11】識別タグの構成を示す図。
【図12】識別タグを付帯した容器を示す図。
【図13】容器に装着した別形態の識別タグを示す図。
【図14】タグ装着機構部の構成を示す側面図。
【図15】待機時のタグ装着機構部の構成を示す平面図。
【図16】タグ装着時のタグ装着機構部の構成を示す平面図。
【図17】キャビネット型の薬品保管庫を示す図。
【図18】ワゴン型の薬品保管庫を示す図。
【図19】薬品保管庫の管理部での処理の流れ図。
【図20】廃棄物回収容器の構成を示す図。
【符号の説明】
【0088】
10 容器
11 薬品容器整列装置
12 バスケット
13 トレイ
15 識別タグ(ICタグ)
20 姿勢調整機構部
30 搬送機構部
40 タグ装着機構部
50 トレイ位置調整機構部
59 情報取得機構部
70 制御部
75 管理サーバ
80 薬品保管庫
88 廃棄物回収容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランダムに収容されたアンプル等の薬品の容器を一本ずつ取り出すとともに、その向きを揃えてトレイに整列させる薬品容器整列装置であって、
取り出そうとする容器を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて得られた画像データに画像処理を施して前記容器の重心を特定する画像処理手段と、
前記容器を所望の姿勢で嵌入できる落とし穴と、前記落とし穴に容器を導く転落面とを有する姿勢調整凹部と、
前記容器の重心を吸着保持して前記姿勢調整凹部の転落面まで搬送する搬送手段とを、
具備することを特徴とする薬品容器整列装置。
【請求項2】
ランダムに収容されたアンプル等の薬品の容器を一本ずつ取り出して、トレイに整列させる薬品容器整列装置であって、
容器を吸着する吸盤を備えて該容器を吸着保持して移送可能なアームと、前記吸盤を包囲するとともに前記容器の頭部を嵌入できる筒状部材とを、
具備することを特徴とする薬品容器整列装置。
【請求項3】
アンプル等の薬品の容器に取り付けるICタグであって、
ICチップおよびアンテナを備えた本体部と、
前記容器の縮径部にはめ込む略C字状のクリップ部とを有し、
合成樹脂にて板状に形成されて成ることを特徴とする、薬品識別ICタグ。
【請求項4】
ICチップおよびアンテナを備えた本体部と薬品の容器に取り付けるためのクリップ部とを有する薬品識別ICタグを、薬品の容器に取り付けるためのタグ取付装置であって、
前記薬品識別IDタグを積層して収容するタグコンテナと、
前記タグコンテナに積層された前記薬品識別IDタグに対して往復動して前記薬品識別IDタグを一枚ずつ押し出すことにより、前記容器に薬品識別IDタグを取り付ける押出部材と、
前記押出部材を往復駆動する駆動手段と、
前記押出部材の往復動に伴って回動して前記容器を把持又は解放する一対の挟持アームとを、
具備することを特徴とするタグ取付装置。
【請求項5】
ユニークな識別情報が記憶されたICタグが付帯された薬品の容器を格納する薬品保管庫であって、
前記容器を載置する棚と、
前記棚に備えられて容器に付帯されたICタグの識別情報を読み取るICタグ読取手段と、
前記ICタグ読取手段にて読み取られた識別情報を常時又は所定時間毎に取得して、前回と今回とで比較し、前記取得した情報に含まれなくなった識別情報に基づいて、薬品保管庫から取り出された薬品を特定する演算処理を行う管理部とを、
具備して成ることを特徴とする薬品保管庫。
【請求項6】
ユニークな識別情報が記憶されたICタグと、
前記ICタグを付帯した薬品の容器と、
前記容器に付帯したICタグが有する識別情報を読み取るICタグ読取手段と、
前記容器を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて得られた画像データに画像処理を施して、前記容器に記載又は貼付された情報を読み取る画像処理手段と、
前記ICタグ読取手段にて得られた識別情報に関連付けて、前期画像処理手段にて得られた容器に記載又は貼付された情報を格納するデータベースを設けた管理サーバと、
ICタグの識別情報に基づいて前記内容物データベースを参照して、容器に記載又貼付された情報を取得する情報端末とを、
具備して成ることを特徴とする薬品管理システム。
【請求項7】
ユニークな識別情報が記憶されたICタグと、
前記ICタグを付帯した薬品の容器と、
前記容器を載置する棚及び該棚に設けられたICタグ読取手段を備えた薬品保管庫と、
前記薬品保管庫に無線又は有線の通信手段を介して接続され、前記ICタグの識別情報に関連づけて該ICタグが付帯された容器に封入された薬品に係る情報を格納する内容物データベースを設けた管理サーバと、
前記薬品保管庫のICタグ読取手段にて読み取られたICタグの識別情報に基づいて前記内容物データベースを参照して、容器に封入された薬品に係る情報を取得する情報端末とを、
備えることを特徴とする薬品管理システム。
【請求項8】
ユニークな識別情報が記憶されたICタグと、
前記ICタグを付帯した薬品の容器と、
前記容器を載置する棚及び該棚に設けられたICタグ読取手段を備えた薬品保管庫と、
前記薬品保管庫から取り出されて薬品が使用されたあとの容器を回収する回収容器及び該回収容器に設けられたICタグ読取手段を備えた廃棄物回収容器と、
前記薬品保管庫及び前記廃棄物回収容器とに無線又は有線の通信手段を介して接続され、前記薬品保管庫のICタグ読取手段にて読み取られたICタグの識別情報を格納する使用薬品データベースと、前記廃棄物回収容器のICタグ読取手段にて読み取られたICタグの識別情報を格納する廃棄物データベースとを設けた管理サーバと、
前記使用薬品データベースに格納された情報と前記廃棄物データベースとに格納された情報とを比較して、薬品の管理を行う情報端末とを、
備えることを特徴とする薬品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−206850(P2008−206850A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48058(P2007−48058)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(399119550)関西セイキ工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】