薬物容器および送達メカニズム
筐体と、封止要素と、実質的に経時的に気体不浸透性である独立した低摩擦プランジャーとを含む、薬物の保管・投薬用装置を提供する。通常、封止要素が破れて薬物が送達できるようになる。この筐体は、患者への投与中に薬物を放出できるようにプランジャーを動かすプッシャーを筐体に入れる開口部とは別の開口部より薬物を充填することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物保管および患者への薬物投与のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において知られている薬物送達装置の一例として、投与前の医療用、治療用、診断用、医薬品用、または化粧品用の化合物(薬物)を収容し、患者の皮膚から中空針を経由してこの化合物を投与するために用いられる注射装置がある。
【0003】
この種の注射装置に、プレフィルドシリンジや自己注射器がある。これらの注射装置は、一端が移動可能なゴムプランジャーによって封止されたガラスまたはプラスチックの筐体に薬物を収容するもので、筐体の内面およびプランジャーは薬物の充填前にシリコーンを塗布して滑らかにされている。ゴムプランジャーは、薬物の患者への投与前に容器の開口部を封止する機能と、薬物を患者に投与する際に容器から薬物を放出するために必要な力を加える機能の2つの機能を果たす。
【0004】
この種のゴムプランジャーは、通常、容器のいずれかの表面が、保管中の大気圧の変化により容器内でプランジャーが移動することにより薬物と容器外の殺菌されていない環境の両方と異なる時間に触れたりしないように、互いに距離をおいて配された複数の連続する封止コンタクトリングを備えている。この複数のリングは、薬物と筐体外部の空気との間のゴムシールの有効厚さを大きくし、気体および水分に対する実質的な障壁となる。こうした複数のリングには、筐体内のプランジャーを動かすために必要とされる力が大きくなるという問題がある。
【0005】
患者に対する薬物の投与中にゴムプランジャーを動かすために必要とされる力に影響を与えるその他の要因として、筐体表面またはプランジャーに存在するシリコーンもしくはその他の潤滑剤の分布や量がある。実際には、これらの力は、製造中の潤滑剤塗布の濃度ばらつき、ならびに潤滑剤ひいてはプランジャーの筐体への接着の経時的なずれによって、大きく異なる。これにより、薬物送達装置の設計要件と信頼性に対応する影響を与えることになる。加えて、シリコーンなどの潤滑剤は、薬物に接触すると当該薬物に有害な作用を与える場合があり、装置内の薬物が使用に適した状態である期間が短くなる。
【0006】
プレフィルドシリンジおよび自己注射器には、筐体に固定された中空の皮下注射針を介して薬物を放出する第2の開口部が筐体に設けられているものがある。薬物投与前の充填された装置の保管中は、筐体の内容物を密閉するためにゴムで針を塞いでいる。このような構成には、保管中に薬物が針の内部や針保持用接着剤などその他の材料に接触してしまうという問題がある。また、この構成では、薬物を投与する前にゴムキャップを取り外す必要があり、装置の使用者は余分な動作をとる必要がある。また、この構成は、通常、ゴムキャップを取り外して薬物が投与された後の薬物送達装置に比較的大きな開口部を残すことになり、この開口部から汚染した針に接触可能となるため、針刺し損傷によって血液感染性の病気が偶発的に感染する危険性を高めることになる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は添付の特許請求の範囲に記載されるものである。
【0008】
ここで、請求項および明細書中の「封止シール」という用語は、保管中に予測し得る外部要因に対して容器内の薬物の劣化またはコンタミネーションを防ぐシールを意味する。封止シールは、公的な要件、規制要件または確立された要件に従って容器内の薬物の安全性、識別性、濃度、品質、および/または純度を維持するものである。
【0009】
本発明の目的は、概ね一般的なゴムプランジャーよりも弱い力で筐体内で移動させることができるプランジャーと、当該プランジャーの気体、水分、および生物学的コンタミネーションに対する一般的なゴムプランジャーに比べて低い封止性能を補う独立した封止要素とを備える薬物送達装置または一次薬物容器を提供することにより、上記の問題のうちのいくつかまたはすべてを解決することにある。
【0010】
本発明の一実施形態において、筐体およびプランジャーのいずれも、薬物投与中のプランジャーの摩擦力を低減する別の潤滑剤で滑らかにされていない。封止シールを備えない低摩擦プランジャーを用いることにより、潤滑剤なしでも薬物投与中に十分に低くかつ一貫した力を与えることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、低摩擦プランジャーは、「カップ」シールなどの薄肉封止構成にポリプロピレン、ポリエチレンまたはFEP(フッ化エチレンプロピレン)などの実質的に非エラストマーの材料を用いることにより実現され、プランジャーと筐体との間の当該シールは投与中のシールに対する薬剤の圧力により補強されている。
【0012】
好ましくは、このプランジャーは、薬物の送達中に薬物によりかかる液圧の成分がプランジャーと筐体との間の封止インターフェースに向かうように形成される。薬物によりかかる液圧は、これによりプランジャーと筐体との間のシールを補強する。このため、上記プランジャーには、薬物がプランジャーの内壁に接触して押圧するよう、薬物に接触する中空部が設けられてもよい。この種のシールは、シールを可能とする(ひいてはシールの移動を制限する摩擦を生じさせる)力と、プランジャーに作用して一次薬物容器から薬物を外に押し出そうとする力との間に強い相関関係があるという利点がある。プランジャーが摩擦により移動を停止すると、薬物が容器から出て患者に入るため薬物の液圧は減少し、摩擦が減少してプランジャーが再び移動可能となり、このようにして自己補償メカニズムが実現する。したがって、この種のシールは、従来のゴムシリンジプランジャーと比較して「詰まり」を起こしにくい。薬物からの圧力に依存してシールを形成するこの種のプランジャーは、反対方向、すなわち薬物から離れる方向への移動に適しておらず、「不可逆」プランジャーと考えることができる。反対方向への移動により、シールの反対側にある空気もしくはその他の気体、液体、またはその他の汚染物質がシールを通過することが可能となり、薬物および/または患者を汚染するおそれがある。
【0013】
また、その他の構成の低摩擦プランジャーを本発明に好適に用いることができる。例えば、TPE(熱可塑性エラストマー)および実質的に非エラストマー系材料の二成分射出成形を取り入れた構成、硬質プランジャー本体とともにエラストマー系Oリングを取り入れた構成、または筐体とプランジャーとの間にポリプロピレンまたはポリエチレンなどの低摩擦材料からなる締まりばめを取り入れた構成である。これらの構成が連続する封止コンタクトリングを一つ備えていればよいということは、独立した封止シールを使用するため、薬物の無菌性や状態を危険にさらすということを意味するものではない。
【0014】
プランジャーは、薬物の投与中に筐体内でプランジャーが軸方向に揃えられた状態に維持されるように、また、プランジャーと筐体との間のシールの完全性を維持するために、筐体と接触するよう構成されるその他の表面を有してもよい。この接触面は、非エラストマー系材料から形成されてもよく、またこの接触面が筐体とともに実質的にシールとなることを防ぐような寸法および/または形状を有してもよい。
【0015】
封止シールの独立した封止要素は、好ましくは、酸素、水分、および生物学的コンタミネーションに対して実質的に不浸透性であり、またプッシャーで穴を開けて薬物を放出することができる材料から形成される。このような材料には、「トリラミネート」フォイルがある。こうしたフォイルには、例えばポリプロピレンなど、薬物との接触に適し、熱またはその他の方法で筐体に封止可能な内部「接着」層がある。また、アルミニウムまたはフッ素重合体など、酸素バリア性能のある中間層を含んでもよい。その他の酸素バリアとしては、エチレンビニルアルコールやポリアミドがある。通常は強度を備えるために追加的な外部層が用いられ、これは紙、ポリアミド、PVCなどからなってよい。また、このような材料には、フッ素重合体など単一材料で構成されるフォイルがある。
【0016】
封止要素は、破裂可能、すなわち圧力下において筐体からはがれたり飛び出したりするのではなく、破れるように構成されており、通常は筐体より薄く、また硬くない。
【0017】
独立した封止要素は、筐体に熱溶接してもよいし、超音波、誘導、もしくはレーザー溶接などのほかの手段、または紫外線硬化接着剤などの別の接着剤を用いて接合してもよい。また、封止要素は、例えば、機械的締結部品を用いて、力によってのみ所定の位置に保持されてもよく、優先的には、シールに対して十分に一貫した力を維持して製造上の公差および経時的な部品の寸法変化に適応するための圧縮ワッシャとともに用いられる。この機械的締結部品は、通常、所定の位置にはさみ留めまたはネジ留めされてもよく、通常は筐体に締結される。
【0018】
投与中にプランジャーを移動して薬物を放出するために、封止要素の反対側にプッシャーが配されている。このプッシャーは、シールを破るように動くことができ、筐体内のプランジャーを移動させて薬物を投薬することができる。本構成の一実施形態において、この動作は装置の使用者が装置に力を加えることによって引き起こされる。別の実施形態では、この力はバネなどの蓄積された動力源より与えられる。
【0019】
製造の際、プレフィルドシリンジおよび自己注射器には、プランジャーが組み立てられる際、ほとんど常に筐体の同一開口部を介して薬物を充填される。通常、このプロセスは無菌環境で発生する。本発明の好適な様態では、薬物が放出される開口部のような第2の開口部を介して薬物を充填することは、これによりプランジャーの組み立て、封止要素の取り付け、その後のシステムの殺菌をすべて、薬物の充填のために装置が無菌環境下におかれる前に行うことができるという利点がある。しかしながら、これには充填後に第2の開口部を封止する必要がある。
【0020】
そのため、本発明の一実施形態では、無菌環境での組み立てに適するよう構成される第2の封止要素を備える。この第2の封止要素は、例えば、機械的締結部品を用いて、力によってのみ所定の位置に保持されてもよく、優先的には、シールに対して十分に一貫した力を維持して製造上の公差および経時的な部品の寸法変化に適応するための圧縮ワッシャとともに用いられる。この機械的締結部品は、所定の位置にはさみ留めまたはネジ留めされてもよく、通常は筐体に締結される。また、第2の封止要素は、筐体に熱溶接してもよいし、超音波、誘導、もしくはレーザー溶接などのほかの手段、または紫外線硬化接着剤などの別の接着剤を用いて接合してもよい。
【0021】
発明のさらに別の様態では、患者への薬物投与中に第2の封止要素を破裂させて薬物が中空の皮下注射針内を通るようにするメカニズムを備える。この方法では、装置の保管中に薬物が針またはその他の関連材料に接触するのを防ぐだけでなく、薬物を投与する前に使用者が別の動作をとる必要があり、また投与後は使用済みの針が露出したままとなる、大型の針保護ゴムキャップの使用を回避する。
【0022】
本発明のさらに別の様態では、一次薬物容器は、投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部を有する筐体と、前記筐体内に配され、前記薬物と接触するプランジャーと、前記筐体の前記第1の開口部に第1の封止シールを設ける第1の封止要素とを備え、前記プランジャーが前記筐体とともに封止シールを形成せず、薬物が接触して中空部の内壁を押圧するような中空部を含む。この種のプランジャーにより、使用時において、薬物によりかかる液圧は、プランジャーと筐体の間のシールを補強または実質的に作り出すが、プランジャーは筐体に対して予測可能な低摩擦コンタクトを設ける。この種のプランジャーは、自動加圧シールを形成するものとして説明され、その一例がカップシールプランジャーである。このプランジャーは、粘着することがなく、潤滑剤が必要ない。この種の一次薬物容器は、プランジャーが一方向にしか動く必要がない自動薬物送達メカニズムに特に適している。プランジャーによるシール形成は薬物からの圧力に依存するため、反対方向、すなわち薬物から離れる方向への移動に適しておらず、「不可逆」プランジャーと考えることができる。反対方向への移動により、シールの反対側にある空気もしくはその他の気体、液体、またはその他の汚染物質がシールを通過することが可能となり、薬物および/または患者を汚染するおそれがある。
【0023】
本様態において、封止シールは穴開け可能に構成されることが好ましいが、使用時に別の方法によってはがれたり取り除かれたりしてもよい。本発明の様態の、筐体、封止シール、プランジャーの材料の選択や、封止シールを筐体に締結する手段など、その他の特徴は、上記の実施形態を参照して説明するものと同じであってもよいことは言うまでもない。
【0024】
本発明は主として、自己注射器やシリンジなど、針ベースの装置すなわち、薬物を患者に送達するための中空の皮下注射針を含む装置について記載するものであるが、本発明は針のない薬物送達装置にも等しく適用可能である。ここで「針のない」とは、使用時に薬物を送達するための皮下注射針を含まない薬物送達装置を指す。本発明にかかる一次薬物容器を備えうる薬物送達装置としては、非経口(皮内、皮下、筋肉内、静脈内を含む)、局所的、経鼻、経口、経耳、舌下、直腸、膣内、およびその他の用途の液体状、クリーム状、ゲル状、パウダー状、タブレット状、顆粒状、気体状、エアゾール状、スプレー状、懸濁液状の薬物を含む薬物用の吸入器、注入器、点滴器、チューブ、ボトル、小びん、塗布器およびその他のディスペンサーがある。本発明は、薬物を投薬する力を手動で加える必要のある装置、および各種の自動投薬メカニズムにおいて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
【図1】図1は、一次薬物容器の一例の縦断面である。
【図2】図2は、図1の一次薬物容器の分解図である。
【図3】図3は、患者に薬物を投与する前における本発明を備える薬物送達装置の一例の縦断面である。
【図4】図4は、患者に薬物を投与した後における図3に示す本発明である。
【図5】図5は、図3の詳細図であり、Oリングを備える代替的なプランジャー構成を示す。
【図6】図6は、図3の詳細図であり、干渉シールを備える代替的なプランジャー構成を示す。
【図7】図7は、図3の詳細図であり、TPE(熱可塑性エラストマー)および実質的に非エラストマー系材料の二成分射出成形によりなる代替的なプランジャー構成を示す。
【図8】図8は、ネジによる保持である機械的な締結で保持される第1の封止要素を備える本発明の別の例の断面図である。
【図9】図9は、図8の筐体、第1の封止要素、圧縮ワッシャ、および機械的な締結の分解図である。
【図10】図10は、クリップによる筐体への保持である機械的な締結で保持される第1の封止要素を備える本発明の別の例の断面図である。
【図11】図11は、図10の筐体、第1の封止要素、圧縮ワッシャ、および機械的な締結の分解図である。
【図12】図12は、充填前の本発明の別の例の一次容器の図であり、独立した筐体部分組立品と独立した第2の封止部分組立品を示す。
【図13】図13は、充填前の本発明の別の例の一次容器の断面図であり、独立した筐体部分組立品と独立した第2の封止部分組立品を示す。
【図14】図14a、図14b、図14c、図14dは、充填シーケンスにおける図12の一次容器の断面図である。
【図15】図15は、患者に薬物を投与する前における本発明を備える自己注射器の一例の断面図である。
【図16】図16は、患者に薬物を投与した直後における図15の自己注射器の断面図である。
【図17】図17は、使用者が患者から自己注射器を取り除き、針安全メカニズムが展開された後における図15の自己注射器の断面図である。
【図18】図18は、図15の自己注射器の分解図である。
【図19】図19は、図3の断面図であり、筐体に溶接された第2の封止要素の代替的な構成を示す。
【図20】図20は、図3の断面図であり、ネジによる保持である機械的な締結で保持される第2の封止要素を備える代替的な構成を示す。
【図21】図21は、プランジャーを組み込むための筐体の開口部と同じ開口部から薬物が筐体に充填される、本発明の別の実施形態の図である。
【図22】図22は、図21の3次元断面図である。
【図23】図23は、患者に薬物を投与する前における図21の断面図である。
【図24】図24は、患者に薬物を投与した後における図21の断面図である。
【図25】図25は、図21の分解図である。
【図26】図26は、図21に示す本発明の薬物充填シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の説明のために、一次薬物容器を、筐体、プランジャー、および筐体に薬物を収容するために必要とされる封止部品と規定する。
【0028】
図1に、本発明にかかる薬物送達装置に用いられる一次薬物容器1の一例を示す。一次薬物容器1は、筐体2と、第1の封止要素3と、プランジャー4と、第2の封止要素5と、圧縮ワッシャ6と、機械的締結部品7とを備える。筐体2、第1の封止要素3、および第2の封止要素5は、水分、酸素を含む大気気体、および生物学的コンタミネーションに対して実質的に不浸透性の封止容器を形成する。薬物8は、患者への投与に先立って容器に収容される。一次薬物容器は、薬物送達装置の一部を形成しうるが、薬物をコンタミネーションから防ぐために、薬物送達装置のほかの部分の組み立てとは分離した環境で充填および封止することができる。プランジャー4は、筐体2に接した封止リップ10を有する封止機構9を備える。プランジャー4は、第1の封止要素3の近傍に配され、封止リップ10と第1の封止要素3との間の薬物の体積を最小限にするよう構成されている。薬物8の投与中、流体状の薬物の圧力が封止機構9に作用して、封止リップ10と筐体2との間の封止力を高める。第1の封止要素3は、筐体2に溶接されている。第2の封止要素5は、これに作用する機械的締結部品7により圧縮ワッシャ6を介して筐体2に維持される。
【0029】
本実施形態の筐体2は、プラスチックまたはガラスにより形成されてもよい。本実施形態の第1の封止要素はトリラミネートフォイルにより形成され、このトリラミネートフォイルは、ポリプロピレンなどの薬物との接触に適し、熱またはその他の方法で筐体に封止可能な内部「接着」層、アルミニウムまたはフッ素重合体など酸素バリア性能のある中間層、紙、ポリアミド、PVCなどからなる強度を備えるための追加的な外部層を含む。
【0030】
本実施形態のプランジャーは、薄肉「カップ」シールとしてポリプロピレン、ポリエチレンまたはFEP(フッ化エチレンプロピレン)などの実質的に非エラストマーの材料により形成され、プランジャーと筐体との間の当該シールは投与中のシールに対する薬剤の圧力により補強されている。
【0031】
図2は、薬物8のない図1の一次薬物容器1の分解図である。
【0032】
図3に、患者に薬物8を投与する前における本発明にかかる薬物送達装置11の一例を示す。薬物送達装置11は、図1の一次薬物容器1を含む。また、突き刺し機構14を有するプッシャー13を備えるプランジャーロッド12を含む。患者への薬物の投与中、薬物の投与者によりプランジャーロッド12へ力が加えられることによって、突き刺し機構14が封止要素3に穴を開けてプランジャーを筐体2に沿って軸方向に押して薬物8を放出する。
【0033】
また、薬物の投与者によりプランジャーロッド12に力が加えられると、中空の皮下注射針15が延びて患者の皮膚を通り、針の反対側の端部が第2の封止要素5に穴を開けて、薬物8が針15を経由して患者に流れ込むようにする。針15は、投与中の薬物8の漏洩を防ぐための針ハブシール34によって封止された針ハブ16に装着されている。針ハブシール34は、さらに、針15を無菌状態にすると共に薬物8の投与前に破損することを防ぐ取り外し可能な針シールド17を封止する。バネ18は、薬物8の投与者がプランジャーロッド12に加える力を解放したときに、針15の端部を患者から装置に戻るよう付勢する。
【0034】
図4に、薬物8が送達された後、針15を患者から抜く前の使用状態における図3の薬物送達装置を示す。プッシャー13は筐体2を前方に押し、針15の端部を延出して患者を刺し、針の他端19で第2の封止要素5に穴を開けている。プッシャー13が第1の封止要素3に穴を開け、プランジャー4を前方に付勢することで、薬物8が放出される。
【0035】
図5に、代替構成として実質的に硬質材料からなりエラストマー系Oリング21を含むプランジャー20を備える図1の構成の詳細図を示す。
【0036】
図6に、代替構成として上記第1のプランジャー4に比べてより強力な封止機構23を含むプランジャー22を備える図1の構成の詳細図を示す。プランジャー22は、シールが筐体2と封止機構23との間の締まりばめにより依存している点で、上記プランジャー4と異なる。しかしながら、このシールは筐体との摩擦はまだ低く、薬物の状態を維持する封止シールとするには十分ではない。
【0037】
図7に、代替構成としてポリプロピレンまたはポリエチレンなどの実質的に硬質な材料とTPE(熱可塑性エラストマー)などの第2のエラストマー系材料の両方を含むプランジャー25を備える図1の構成の詳細図を示す。プランジャー26の硬質部はエラストマー部27を支持して、筐体2との封止コンタクト領域28においてシールを形成する。本構成の一実施形態において、プランジャーは1つの成形型に2つの別々の材料を用いる「二色」射出成形プロセスで、またはエラストマー部27を実質的な硬質部26にオーバーモールドすることによって製造される。ここでも、プランジャーとコンタクト領域28との間に形成されるシールは、薬物を品質保持期限まで使用可能な状態に維持する封止シールとするには十分ではない。封止シール3は、そのために設けられるものである。
【0038】
図8は、第1の封止要素3が機械的締結部品30とともに圧縮ワッシャ31によって保持される以外は図1と同じ一次容器の別の例の断面図である。圧縮ワッシャは、第1の封止要素に対して十分に一貫した力を維持して製造上の公差および経時的な部品の寸法変化に適応する。機械的締結部品30はネジ32によって保持され、組み立てプロセス中に、対応する筐体38のネジ形状33にネジ留めされる。この組み立てプロセスは、一次容器に薬物8を充填する前または後に行ってよい。
【0039】
図9は、図8の筐体38、第1の封止要素3、圧縮ワッシャ31、および機械的締結部品30の分解図である。
【0040】
図10は、機械的締結部品35が筐体39のラッチ形状37と係合する締結面36によって保持される以外は図8と同じ一次容器の別の例の断面図である。これにより、第1の機械的締結部品35は、ネジ込み作業の必要のない「押し込み式」で直接一次容器39に組み込まれる。
【0041】
図11は、図10の筐体39、第1の封止要素3、圧縮ワッシャ31、および機械的締結部品35の分解図である。
【0042】
図12aおよび図12bは、共に、部分的に組み立てられた一次薬物容器の例を示しており、充填後に組み合わせることが可能となっている。この一次薬物容器は、容器部52と蓋部53とを備える。この一次薬物容器は、図1および図3の一次薬物容器と同じであり、図3に示すものに類似の針メカニズムを有する。本発明のこの例では、上記のような図12aおよび図12bの2つのサブアセンブリが充填プロセスに供給され、ここで薬物が容器部52の開口部40より充填され、蓋部53が容器部52と組み合わせて一次薬物容器を封止する。
【0043】
図13aおよび図13bに、図12aおよび図12bの容器部52および蓋部53に対応する断面図を示す。
【0044】
図14a〜図14dに、図12の充填シーケンスを示す。図14aは、充填準備のできた容器部52を示す。第1の封止シール3およびプランジャー4を有する容器は、無菌環境外で組み立てることができる。その後、容器アセンブリは無菌環境で薬物を充填する前に殺菌される。図14bに、薬物充填後の容器部52を示す。図14cに、容器部52上に配されて組み立て準備のできた蓋部53を示す。ここでも、蓋アセンブリ全体が無菌環境外で組み立てられ、その後殺菌された後に、容器アセンブリと組み立てられる。図14dに、薬物を入れて組み合わせた蓋部53と容器部52とを示す。
【0045】
図15に、薬物送達装置が自己注射器である本発明の別の例の断面図を示す。この一次薬物容器は、いずれも上記で詳細に説明した図1の一次薬物容器ならびに図3の一次容器および針メカニズムに著しく類似している。主駆動バネ41は、2つのロッキングローラ43により保持されるプッシャー42に力を加える。薬物を投与するために、自己注射器の使用者は、キャップ44と付属の針シールド45を取り外し、針カバー47の露出した前面46を患者の注射部位に押し付けて針カバー47を自己注射器内に押し込む。これにより、ロッキングローラ43がプッシャー42から離れ、バネ41によりプッシャー42を前方に移動させることができる。次に、これにより、プッシャーの突き刺し要素48は、第1の封止要素3に穴を開け、一次薬物容器を自己注射器内で軸方向に移動させ、次に針15を前方に移動させて患者に刺し込む。また、一次薬物容器の軸方向の移動は、患者から遠い側の針の他端19で第2の封止要素5に穴を開け、プランジャー4を筐体2内で軸方向に移動させて薬物8が中空の皮下注射針15を介して患者に投与されるようにする。
【0046】
図16に、患者に薬物を投与した直後の図15を示す。針15は、患者内に延出している。患者から遠い側の針の他端19は、第2の封止要素5に穴を開けており、プランジャー4はプッシャー42によって筐体2内を軸方向に押されている。第1の封止要素3は、プッシャーの突き刺し要素48により破れている。
【0047】
図17は、患者の皮膚に自己注射器を当てるのをやめた後における図15を示し、針カバーバネ50は針カバー47を押し出して使用済みの針15を保護し、針刺し損傷によって血液感染性の病気が偶発的に感染する危険性を低減している。針カバー47の背後のロッキング形状51は、針カバー47が自己注射器内に戻らないようにしている。
【0048】
図18は、図15の分解図であり、自己注射器の部品を示している。リアカバー62、フロントカバー63、およびキャップ44が自己注射器の外部ケースを形成する。内部筐体83はバネ41を支持する。
【0049】
図19に、代替構成として筐体54および第2の封止要素55を備えた図1の断面図を示す。この構成では、第2の封止要素55が筐体に溶接または接着剤で取り付けられており、そのため図1に示す圧縮ワッシャ6または機械的締結部品7は必要ない。
【0050】
図20に、代替構成として筐体56および第2の封止要素58を備えた図1の断面図を示す。この構成では、第2の封止要素58は機械的締結部品57および圧縮ワッシャ59によって取り付けられており、機械的締結部品57は、筐体の対応するネジ形状60と係合するネジ61によって、筐体56に優先的に保持される。
【0051】
図21に、本発明の別の実施形態を示す。本実施形態では、薬物が充填される筐体の開口部がプランジャーの組み立てに用いられる開口部と同じである。
【0052】
図22に、各部をより詳細に示す図21の3次元断面図を示す。筐体64は、圧縮ワッシャ66および機械的締結部品67により保持されている第1の封止要素65により封止されている。筐体64内において、プランジャー68は第1の封止要素65に隣接して配置されており、溶接または接着剤により封止要素65に取り付けられてもよい。下部本体69は、筐体64に対して軸方向に移動可能であり、下部本体69に対して軸方向に移動可能な針ハブ70を収容する。針ハブ70に設けられたシール71は、薬物72の投与前に針ハブ70が偶発的に移動することを防止する。針ハブ70の突き刺し歯80は、薬物の投与中に第1の封止要素65に穴を開けて、針ハブ70がプランジャー68に接合された部分を含む第1の封止要素65の一部を動かせるようにし、またプランジャー68そのものが筐体64内を軸方向に移動させるようにする。第2の封止要素73は、薬物72の投与前には針74を清潔かつ無菌に維持し、薬物72の投与中は針74によって穴が開けられる。針74は、第2の封止要素73にもっとも近い側の針端部75が患者に入るように、また患者からもっとも遠い側の針他端76が薬物投与中に第1の封止要素65に穴を開けて薬物72が針74中を流れるように針ハブ70内に固定されている。ボタン部品77は、薬物を投与しやすくするために、薬物の投与者が力を加えるための適切な表面78を備える。ロッキングリング79は、装置が偶発的に作動することを防止し、薬物72を投与する前に取り外される。
【0053】
図23に、薬物72を投与する前における図21の断面図を示す。
【0054】
図24は薬物72を投与した後における図21の断面図を示し、薬物72を送達するために、針ハブ70によって穴が開いた後の第1の封止要素65、針74によって穴が開いた後の第2の封止要素73、および針ハブ70によって筐体64内を軸方向に押された後のプランジャー68を示す。
【0055】
図25に、図21の分解図を示す。
【0056】
図26a〜図26dは、図21の充填シーケンスを示す。図26aは、充填準備のできた容器部81を示す。図26bは、薬物72が充填された後の容器部81を示す。図26cは、容器部81上に配されて組み立て準備のできた蓋部82を示す。図26dは、薬物72を入れて組み合わせた蓋部82と容器部81とを示す。
【0057】
図14を参照して説明した実施形態のように、蓋部82は無菌環境外であらかじめ組み立てられ、その後殺菌された後に、押し込み式接続もしくはその他の適切な機械的締結を用いて容器部81に固定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物保管および患者への薬物投与のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野において知られている薬物送達装置の一例として、投与前の医療用、治療用、診断用、医薬品用、または化粧品用の化合物(薬物)を収容し、患者の皮膚から中空針を経由してこの化合物を投与するために用いられる注射装置がある。
【0003】
この種の注射装置に、プレフィルドシリンジや自己注射器がある。これらの注射装置は、一端が移動可能なゴムプランジャーによって封止されたガラスまたはプラスチックの筐体に薬物を収容するもので、筐体の内面およびプランジャーは薬物の充填前にシリコーンを塗布して滑らかにされている。ゴムプランジャーは、薬物の患者への投与前に容器の開口部を封止する機能と、薬物を患者に投与する際に容器から薬物を放出するために必要な力を加える機能の2つの機能を果たす。
【0004】
この種のゴムプランジャーは、通常、容器のいずれかの表面が、保管中の大気圧の変化により容器内でプランジャーが移動することにより薬物と容器外の殺菌されていない環境の両方と異なる時間に触れたりしないように、互いに距離をおいて配された複数の連続する封止コンタクトリングを備えている。この複数のリングは、薬物と筐体外部の空気との間のゴムシールの有効厚さを大きくし、気体および水分に対する実質的な障壁となる。こうした複数のリングには、筐体内のプランジャーを動かすために必要とされる力が大きくなるという問題がある。
【0005】
患者に対する薬物の投与中にゴムプランジャーを動かすために必要とされる力に影響を与えるその他の要因として、筐体表面またはプランジャーに存在するシリコーンもしくはその他の潤滑剤の分布や量がある。実際には、これらの力は、製造中の潤滑剤塗布の濃度ばらつき、ならびに潤滑剤ひいてはプランジャーの筐体への接着の経時的なずれによって、大きく異なる。これにより、薬物送達装置の設計要件と信頼性に対応する影響を与えることになる。加えて、シリコーンなどの潤滑剤は、薬物に接触すると当該薬物に有害な作用を与える場合があり、装置内の薬物が使用に適した状態である期間が短くなる。
【0006】
プレフィルドシリンジおよび自己注射器には、筐体に固定された中空の皮下注射針を介して薬物を放出する第2の開口部が筐体に設けられているものがある。薬物投与前の充填された装置の保管中は、筐体の内容物を密閉するためにゴムで針を塞いでいる。このような構成には、保管中に薬物が針の内部や針保持用接着剤などその他の材料に接触してしまうという問題がある。また、この構成では、薬物を投与する前にゴムキャップを取り外す必要があり、装置の使用者は余分な動作をとる必要がある。また、この構成は、通常、ゴムキャップを取り外して薬物が投与された後の薬物送達装置に比較的大きな開口部を残すことになり、この開口部から汚染した針に接触可能となるため、針刺し損傷によって血液感染性の病気が偶発的に感染する危険性を高めることになる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は添付の特許請求の範囲に記載されるものである。
【0008】
ここで、請求項および明細書中の「封止シール」という用語は、保管中に予測し得る外部要因に対して容器内の薬物の劣化またはコンタミネーションを防ぐシールを意味する。封止シールは、公的な要件、規制要件または確立された要件に従って容器内の薬物の安全性、識別性、濃度、品質、および/または純度を維持するものである。
【0009】
本発明の目的は、概ね一般的なゴムプランジャーよりも弱い力で筐体内で移動させることができるプランジャーと、当該プランジャーの気体、水分、および生物学的コンタミネーションに対する一般的なゴムプランジャーに比べて低い封止性能を補う独立した封止要素とを備える薬物送達装置または一次薬物容器を提供することにより、上記の問題のうちのいくつかまたはすべてを解決することにある。
【0010】
本発明の一実施形態において、筐体およびプランジャーのいずれも、薬物投与中のプランジャーの摩擦力を低減する別の潤滑剤で滑らかにされていない。封止シールを備えない低摩擦プランジャーを用いることにより、潤滑剤なしでも薬物投与中に十分に低くかつ一貫した力を与えることができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、低摩擦プランジャーは、「カップ」シールなどの薄肉封止構成にポリプロピレン、ポリエチレンまたはFEP(フッ化エチレンプロピレン)などの実質的に非エラストマーの材料を用いることにより実現され、プランジャーと筐体との間の当該シールは投与中のシールに対する薬剤の圧力により補強されている。
【0012】
好ましくは、このプランジャーは、薬物の送達中に薬物によりかかる液圧の成分がプランジャーと筐体との間の封止インターフェースに向かうように形成される。薬物によりかかる液圧は、これによりプランジャーと筐体との間のシールを補強する。このため、上記プランジャーには、薬物がプランジャーの内壁に接触して押圧するよう、薬物に接触する中空部が設けられてもよい。この種のシールは、シールを可能とする(ひいてはシールの移動を制限する摩擦を生じさせる)力と、プランジャーに作用して一次薬物容器から薬物を外に押し出そうとする力との間に強い相関関係があるという利点がある。プランジャーが摩擦により移動を停止すると、薬物が容器から出て患者に入るため薬物の液圧は減少し、摩擦が減少してプランジャーが再び移動可能となり、このようにして自己補償メカニズムが実現する。したがって、この種のシールは、従来のゴムシリンジプランジャーと比較して「詰まり」を起こしにくい。薬物からの圧力に依存してシールを形成するこの種のプランジャーは、反対方向、すなわち薬物から離れる方向への移動に適しておらず、「不可逆」プランジャーと考えることができる。反対方向への移動により、シールの反対側にある空気もしくはその他の気体、液体、またはその他の汚染物質がシールを通過することが可能となり、薬物および/または患者を汚染するおそれがある。
【0013】
また、その他の構成の低摩擦プランジャーを本発明に好適に用いることができる。例えば、TPE(熱可塑性エラストマー)および実質的に非エラストマー系材料の二成分射出成形を取り入れた構成、硬質プランジャー本体とともにエラストマー系Oリングを取り入れた構成、または筐体とプランジャーとの間にポリプロピレンまたはポリエチレンなどの低摩擦材料からなる締まりばめを取り入れた構成である。これらの構成が連続する封止コンタクトリングを一つ備えていればよいということは、独立した封止シールを使用するため、薬物の無菌性や状態を危険にさらすということを意味するものではない。
【0014】
プランジャーは、薬物の投与中に筐体内でプランジャーが軸方向に揃えられた状態に維持されるように、また、プランジャーと筐体との間のシールの完全性を維持するために、筐体と接触するよう構成されるその他の表面を有してもよい。この接触面は、非エラストマー系材料から形成されてもよく、またこの接触面が筐体とともに実質的にシールとなることを防ぐような寸法および/または形状を有してもよい。
【0015】
封止シールの独立した封止要素は、好ましくは、酸素、水分、および生物学的コンタミネーションに対して実質的に不浸透性であり、またプッシャーで穴を開けて薬物を放出することができる材料から形成される。このような材料には、「トリラミネート」フォイルがある。こうしたフォイルには、例えばポリプロピレンなど、薬物との接触に適し、熱またはその他の方法で筐体に封止可能な内部「接着」層がある。また、アルミニウムまたはフッ素重合体など、酸素バリア性能のある中間層を含んでもよい。その他の酸素バリアとしては、エチレンビニルアルコールやポリアミドがある。通常は強度を備えるために追加的な外部層が用いられ、これは紙、ポリアミド、PVCなどからなってよい。また、このような材料には、フッ素重合体など単一材料で構成されるフォイルがある。
【0016】
封止要素は、破裂可能、すなわち圧力下において筐体からはがれたり飛び出したりするのではなく、破れるように構成されており、通常は筐体より薄く、また硬くない。
【0017】
独立した封止要素は、筐体に熱溶接してもよいし、超音波、誘導、もしくはレーザー溶接などのほかの手段、または紫外線硬化接着剤などの別の接着剤を用いて接合してもよい。また、封止要素は、例えば、機械的締結部品を用いて、力によってのみ所定の位置に保持されてもよく、優先的には、シールに対して十分に一貫した力を維持して製造上の公差および経時的な部品の寸法変化に適応するための圧縮ワッシャとともに用いられる。この機械的締結部品は、通常、所定の位置にはさみ留めまたはネジ留めされてもよく、通常は筐体に締結される。
【0018】
投与中にプランジャーを移動して薬物を放出するために、封止要素の反対側にプッシャーが配されている。このプッシャーは、シールを破るように動くことができ、筐体内のプランジャーを移動させて薬物を投薬することができる。本構成の一実施形態において、この動作は装置の使用者が装置に力を加えることによって引き起こされる。別の実施形態では、この力はバネなどの蓄積された動力源より与えられる。
【0019】
製造の際、プレフィルドシリンジおよび自己注射器には、プランジャーが組み立てられる際、ほとんど常に筐体の同一開口部を介して薬物を充填される。通常、このプロセスは無菌環境で発生する。本発明の好適な様態では、薬物が放出される開口部のような第2の開口部を介して薬物を充填することは、これによりプランジャーの組み立て、封止要素の取り付け、その後のシステムの殺菌をすべて、薬物の充填のために装置が無菌環境下におかれる前に行うことができるという利点がある。しかしながら、これには充填後に第2の開口部を封止する必要がある。
【0020】
そのため、本発明の一実施形態では、無菌環境での組み立てに適するよう構成される第2の封止要素を備える。この第2の封止要素は、例えば、機械的締結部品を用いて、力によってのみ所定の位置に保持されてもよく、優先的には、シールに対して十分に一貫した力を維持して製造上の公差および経時的な部品の寸法変化に適応するための圧縮ワッシャとともに用いられる。この機械的締結部品は、所定の位置にはさみ留めまたはネジ留めされてもよく、通常は筐体に締結される。また、第2の封止要素は、筐体に熱溶接してもよいし、超音波、誘導、もしくはレーザー溶接などのほかの手段、または紫外線硬化接着剤などの別の接着剤を用いて接合してもよい。
【0021】
発明のさらに別の様態では、患者への薬物投与中に第2の封止要素を破裂させて薬物が中空の皮下注射針内を通るようにするメカニズムを備える。この方法では、装置の保管中に薬物が針またはその他の関連材料に接触するのを防ぐだけでなく、薬物を投与する前に使用者が別の動作をとる必要があり、また投与後は使用済みの針が露出したままとなる、大型の針保護ゴムキャップの使用を回避する。
【0022】
本発明のさらに別の様態では、一次薬物容器は、投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部を有する筐体と、前記筐体内に配され、前記薬物と接触するプランジャーと、前記筐体の前記第1の開口部に第1の封止シールを設ける第1の封止要素とを備え、前記プランジャーが前記筐体とともに封止シールを形成せず、薬物が接触して中空部の内壁を押圧するような中空部を含む。この種のプランジャーにより、使用時において、薬物によりかかる液圧は、プランジャーと筐体の間のシールを補強または実質的に作り出すが、プランジャーは筐体に対して予測可能な低摩擦コンタクトを設ける。この種のプランジャーは、自動加圧シールを形成するものとして説明され、その一例がカップシールプランジャーである。このプランジャーは、粘着することがなく、潤滑剤が必要ない。この種の一次薬物容器は、プランジャーが一方向にしか動く必要がない自動薬物送達メカニズムに特に適している。プランジャーによるシール形成は薬物からの圧力に依存するため、反対方向、すなわち薬物から離れる方向への移動に適しておらず、「不可逆」プランジャーと考えることができる。反対方向への移動により、シールの反対側にある空気もしくはその他の気体、液体、またはその他の汚染物質がシールを通過することが可能となり、薬物および/または患者を汚染するおそれがある。
【0023】
本様態において、封止シールは穴開け可能に構成されることが好ましいが、使用時に別の方法によってはがれたり取り除かれたりしてもよい。本発明の様態の、筐体、封止シール、プランジャーの材料の選択や、封止シールを筐体に締結する手段など、その他の特徴は、上記の実施形態を参照して説明するものと同じであってもよいことは言うまでもない。
【0024】
本発明は主として、自己注射器やシリンジなど、針ベースの装置すなわち、薬物を患者に送達するための中空の皮下注射針を含む装置について記載するものであるが、本発明は針のない薬物送達装置にも等しく適用可能である。ここで「針のない」とは、使用時に薬物を送達するための皮下注射針を含まない薬物送達装置を指す。本発明にかかる一次薬物容器を備えうる薬物送達装置としては、非経口(皮内、皮下、筋肉内、静脈内を含む)、局所的、経鼻、経口、経耳、舌下、直腸、膣内、およびその他の用途の液体状、クリーム状、ゲル状、パウダー状、タブレット状、顆粒状、気体状、エアゾール状、スプレー状、懸濁液状の薬物を含む薬物用の吸入器、注入器、点滴器、チューブ、ボトル、小びん、塗布器およびその他のディスペンサーがある。本発明は、薬物を投薬する力を手動で加える必要のある装置、および各種の自動投薬メカニズムにおいて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
【図1】図1は、一次薬物容器の一例の縦断面である。
【図2】図2は、図1の一次薬物容器の分解図である。
【図3】図3は、患者に薬物を投与する前における本発明を備える薬物送達装置の一例の縦断面である。
【図4】図4は、患者に薬物を投与した後における図3に示す本発明である。
【図5】図5は、図3の詳細図であり、Oリングを備える代替的なプランジャー構成を示す。
【図6】図6は、図3の詳細図であり、干渉シールを備える代替的なプランジャー構成を示す。
【図7】図7は、図3の詳細図であり、TPE(熱可塑性エラストマー)および実質的に非エラストマー系材料の二成分射出成形によりなる代替的なプランジャー構成を示す。
【図8】図8は、ネジによる保持である機械的な締結で保持される第1の封止要素を備える本発明の別の例の断面図である。
【図9】図9は、図8の筐体、第1の封止要素、圧縮ワッシャ、および機械的な締結の分解図である。
【図10】図10は、クリップによる筐体への保持である機械的な締結で保持される第1の封止要素を備える本発明の別の例の断面図である。
【図11】図11は、図10の筐体、第1の封止要素、圧縮ワッシャ、および機械的な締結の分解図である。
【図12】図12は、充填前の本発明の別の例の一次容器の図であり、独立した筐体部分組立品と独立した第2の封止部分組立品を示す。
【図13】図13は、充填前の本発明の別の例の一次容器の断面図であり、独立した筐体部分組立品と独立した第2の封止部分組立品を示す。
【図14】図14a、図14b、図14c、図14dは、充填シーケンスにおける図12の一次容器の断面図である。
【図15】図15は、患者に薬物を投与する前における本発明を備える自己注射器の一例の断面図である。
【図16】図16は、患者に薬物を投与した直後における図15の自己注射器の断面図である。
【図17】図17は、使用者が患者から自己注射器を取り除き、針安全メカニズムが展開された後における図15の自己注射器の断面図である。
【図18】図18は、図15の自己注射器の分解図である。
【図19】図19は、図3の断面図であり、筐体に溶接された第2の封止要素の代替的な構成を示す。
【図20】図20は、図3の断面図であり、ネジによる保持である機械的な締結で保持される第2の封止要素を備える代替的な構成を示す。
【図21】図21は、プランジャーを組み込むための筐体の開口部と同じ開口部から薬物が筐体に充填される、本発明の別の実施形態の図である。
【図22】図22は、図21の3次元断面図である。
【図23】図23は、患者に薬物を投与する前における図21の断面図である。
【図24】図24は、患者に薬物を投与した後における図21の断面図である。
【図25】図25は、図21の分解図である。
【図26】図26は、図21に示す本発明の薬物充填シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の説明のために、一次薬物容器を、筐体、プランジャー、および筐体に薬物を収容するために必要とされる封止部品と規定する。
【0028】
図1に、本発明にかかる薬物送達装置に用いられる一次薬物容器1の一例を示す。一次薬物容器1は、筐体2と、第1の封止要素3と、プランジャー4と、第2の封止要素5と、圧縮ワッシャ6と、機械的締結部品7とを備える。筐体2、第1の封止要素3、および第2の封止要素5は、水分、酸素を含む大気気体、および生物学的コンタミネーションに対して実質的に不浸透性の封止容器を形成する。薬物8は、患者への投与に先立って容器に収容される。一次薬物容器は、薬物送達装置の一部を形成しうるが、薬物をコンタミネーションから防ぐために、薬物送達装置のほかの部分の組み立てとは分離した環境で充填および封止することができる。プランジャー4は、筐体2に接した封止リップ10を有する封止機構9を備える。プランジャー4は、第1の封止要素3の近傍に配され、封止リップ10と第1の封止要素3との間の薬物の体積を最小限にするよう構成されている。薬物8の投与中、流体状の薬物の圧力が封止機構9に作用して、封止リップ10と筐体2との間の封止力を高める。第1の封止要素3は、筐体2に溶接されている。第2の封止要素5は、これに作用する機械的締結部品7により圧縮ワッシャ6を介して筐体2に維持される。
【0029】
本実施形態の筐体2は、プラスチックまたはガラスにより形成されてもよい。本実施形態の第1の封止要素はトリラミネートフォイルにより形成され、このトリラミネートフォイルは、ポリプロピレンなどの薬物との接触に適し、熱またはその他の方法で筐体に封止可能な内部「接着」層、アルミニウムまたはフッ素重合体など酸素バリア性能のある中間層、紙、ポリアミド、PVCなどからなる強度を備えるための追加的な外部層を含む。
【0030】
本実施形態のプランジャーは、薄肉「カップ」シールとしてポリプロピレン、ポリエチレンまたはFEP(フッ化エチレンプロピレン)などの実質的に非エラストマーの材料により形成され、プランジャーと筐体との間の当該シールは投与中のシールに対する薬剤の圧力により補強されている。
【0031】
図2は、薬物8のない図1の一次薬物容器1の分解図である。
【0032】
図3に、患者に薬物8を投与する前における本発明にかかる薬物送達装置11の一例を示す。薬物送達装置11は、図1の一次薬物容器1を含む。また、突き刺し機構14を有するプッシャー13を備えるプランジャーロッド12を含む。患者への薬物の投与中、薬物の投与者によりプランジャーロッド12へ力が加えられることによって、突き刺し機構14が封止要素3に穴を開けてプランジャーを筐体2に沿って軸方向に押して薬物8を放出する。
【0033】
また、薬物の投与者によりプランジャーロッド12に力が加えられると、中空の皮下注射針15が延びて患者の皮膚を通り、針の反対側の端部が第2の封止要素5に穴を開けて、薬物8が針15を経由して患者に流れ込むようにする。針15は、投与中の薬物8の漏洩を防ぐための針ハブシール34によって封止された針ハブ16に装着されている。針ハブシール34は、さらに、針15を無菌状態にすると共に薬物8の投与前に破損することを防ぐ取り外し可能な針シールド17を封止する。バネ18は、薬物8の投与者がプランジャーロッド12に加える力を解放したときに、針15の端部を患者から装置に戻るよう付勢する。
【0034】
図4に、薬物8が送達された後、針15を患者から抜く前の使用状態における図3の薬物送達装置を示す。プッシャー13は筐体2を前方に押し、針15の端部を延出して患者を刺し、針の他端19で第2の封止要素5に穴を開けている。プッシャー13が第1の封止要素3に穴を開け、プランジャー4を前方に付勢することで、薬物8が放出される。
【0035】
図5に、代替構成として実質的に硬質材料からなりエラストマー系Oリング21を含むプランジャー20を備える図1の構成の詳細図を示す。
【0036】
図6に、代替構成として上記第1のプランジャー4に比べてより強力な封止機構23を含むプランジャー22を備える図1の構成の詳細図を示す。プランジャー22は、シールが筐体2と封止機構23との間の締まりばめにより依存している点で、上記プランジャー4と異なる。しかしながら、このシールは筐体との摩擦はまだ低く、薬物の状態を維持する封止シールとするには十分ではない。
【0037】
図7に、代替構成としてポリプロピレンまたはポリエチレンなどの実質的に硬質な材料とTPE(熱可塑性エラストマー)などの第2のエラストマー系材料の両方を含むプランジャー25を備える図1の構成の詳細図を示す。プランジャー26の硬質部はエラストマー部27を支持して、筐体2との封止コンタクト領域28においてシールを形成する。本構成の一実施形態において、プランジャーは1つの成形型に2つの別々の材料を用いる「二色」射出成形プロセスで、またはエラストマー部27を実質的な硬質部26にオーバーモールドすることによって製造される。ここでも、プランジャーとコンタクト領域28との間に形成されるシールは、薬物を品質保持期限まで使用可能な状態に維持する封止シールとするには十分ではない。封止シール3は、そのために設けられるものである。
【0038】
図8は、第1の封止要素3が機械的締結部品30とともに圧縮ワッシャ31によって保持される以外は図1と同じ一次容器の別の例の断面図である。圧縮ワッシャは、第1の封止要素に対して十分に一貫した力を維持して製造上の公差および経時的な部品の寸法変化に適応する。機械的締結部品30はネジ32によって保持され、組み立てプロセス中に、対応する筐体38のネジ形状33にネジ留めされる。この組み立てプロセスは、一次容器に薬物8を充填する前または後に行ってよい。
【0039】
図9は、図8の筐体38、第1の封止要素3、圧縮ワッシャ31、および機械的締結部品30の分解図である。
【0040】
図10は、機械的締結部品35が筐体39のラッチ形状37と係合する締結面36によって保持される以外は図8と同じ一次容器の別の例の断面図である。これにより、第1の機械的締結部品35は、ネジ込み作業の必要のない「押し込み式」で直接一次容器39に組み込まれる。
【0041】
図11は、図10の筐体39、第1の封止要素3、圧縮ワッシャ31、および機械的締結部品35の分解図である。
【0042】
図12aおよび図12bは、共に、部分的に組み立てられた一次薬物容器の例を示しており、充填後に組み合わせることが可能となっている。この一次薬物容器は、容器部52と蓋部53とを備える。この一次薬物容器は、図1および図3の一次薬物容器と同じであり、図3に示すものに類似の針メカニズムを有する。本発明のこの例では、上記のような図12aおよび図12bの2つのサブアセンブリが充填プロセスに供給され、ここで薬物が容器部52の開口部40より充填され、蓋部53が容器部52と組み合わせて一次薬物容器を封止する。
【0043】
図13aおよび図13bに、図12aおよび図12bの容器部52および蓋部53に対応する断面図を示す。
【0044】
図14a〜図14dに、図12の充填シーケンスを示す。図14aは、充填準備のできた容器部52を示す。第1の封止シール3およびプランジャー4を有する容器は、無菌環境外で組み立てることができる。その後、容器アセンブリは無菌環境で薬物を充填する前に殺菌される。図14bに、薬物充填後の容器部52を示す。図14cに、容器部52上に配されて組み立て準備のできた蓋部53を示す。ここでも、蓋アセンブリ全体が無菌環境外で組み立てられ、その後殺菌された後に、容器アセンブリと組み立てられる。図14dに、薬物を入れて組み合わせた蓋部53と容器部52とを示す。
【0045】
図15に、薬物送達装置が自己注射器である本発明の別の例の断面図を示す。この一次薬物容器は、いずれも上記で詳細に説明した図1の一次薬物容器ならびに図3の一次容器および針メカニズムに著しく類似している。主駆動バネ41は、2つのロッキングローラ43により保持されるプッシャー42に力を加える。薬物を投与するために、自己注射器の使用者は、キャップ44と付属の針シールド45を取り外し、針カバー47の露出した前面46を患者の注射部位に押し付けて針カバー47を自己注射器内に押し込む。これにより、ロッキングローラ43がプッシャー42から離れ、バネ41によりプッシャー42を前方に移動させることができる。次に、これにより、プッシャーの突き刺し要素48は、第1の封止要素3に穴を開け、一次薬物容器を自己注射器内で軸方向に移動させ、次に針15を前方に移動させて患者に刺し込む。また、一次薬物容器の軸方向の移動は、患者から遠い側の針の他端19で第2の封止要素5に穴を開け、プランジャー4を筐体2内で軸方向に移動させて薬物8が中空の皮下注射針15を介して患者に投与されるようにする。
【0046】
図16に、患者に薬物を投与した直後の図15を示す。針15は、患者内に延出している。患者から遠い側の針の他端19は、第2の封止要素5に穴を開けており、プランジャー4はプッシャー42によって筐体2内を軸方向に押されている。第1の封止要素3は、プッシャーの突き刺し要素48により破れている。
【0047】
図17は、患者の皮膚に自己注射器を当てるのをやめた後における図15を示し、針カバーバネ50は針カバー47を押し出して使用済みの針15を保護し、針刺し損傷によって血液感染性の病気が偶発的に感染する危険性を低減している。針カバー47の背後のロッキング形状51は、針カバー47が自己注射器内に戻らないようにしている。
【0048】
図18は、図15の分解図であり、自己注射器の部品を示している。リアカバー62、フロントカバー63、およびキャップ44が自己注射器の外部ケースを形成する。内部筐体83はバネ41を支持する。
【0049】
図19に、代替構成として筐体54および第2の封止要素55を備えた図1の断面図を示す。この構成では、第2の封止要素55が筐体に溶接または接着剤で取り付けられており、そのため図1に示す圧縮ワッシャ6または機械的締結部品7は必要ない。
【0050】
図20に、代替構成として筐体56および第2の封止要素58を備えた図1の断面図を示す。この構成では、第2の封止要素58は機械的締結部品57および圧縮ワッシャ59によって取り付けられており、機械的締結部品57は、筐体の対応するネジ形状60と係合するネジ61によって、筐体56に優先的に保持される。
【0051】
図21に、本発明の別の実施形態を示す。本実施形態では、薬物が充填される筐体の開口部がプランジャーの組み立てに用いられる開口部と同じである。
【0052】
図22に、各部をより詳細に示す図21の3次元断面図を示す。筐体64は、圧縮ワッシャ66および機械的締結部品67により保持されている第1の封止要素65により封止されている。筐体64内において、プランジャー68は第1の封止要素65に隣接して配置されており、溶接または接着剤により封止要素65に取り付けられてもよい。下部本体69は、筐体64に対して軸方向に移動可能であり、下部本体69に対して軸方向に移動可能な針ハブ70を収容する。針ハブ70に設けられたシール71は、薬物72の投与前に針ハブ70が偶発的に移動することを防止する。針ハブ70の突き刺し歯80は、薬物の投与中に第1の封止要素65に穴を開けて、針ハブ70がプランジャー68に接合された部分を含む第1の封止要素65の一部を動かせるようにし、またプランジャー68そのものが筐体64内を軸方向に移動させるようにする。第2の封止要素73は、薬物72の投与前には針74を清潔かつ無菌に維持し、薬物72の投与中は針74によって穴が開けられる。針74は、第2の封止要素73にもっとも近い側の針端部75が患者に入るように、また患者からもっとも遠い側の針他端76が薬物投与中に第1の封止要素65に穴を開けて薬物72が針74中を流れるように針ハブ70内に固定されている。ボタン部品77は、薬物を投与しやすくするために、薬物の投与者が力を加えるための適切な表面78を備える。ロッキングリング79は、装置が偶発的に作動することを防止し、薬物72を投与する前に取り外される。
【0053】
図23に、薬物72を投与する前における図21の断面図を示す。
【0054】
図24は薬物72を投与した後における図21の断面図を示し、薬物72を送達するために、針ハブ70によって穴が開いた後の第1の封止要素65、針74によって穴が開いた後の第2の封止要素73、および針ハブ70によって筐体64内を軸方向に押された後のプランジャー68を示す。
【0055】
図25に、図21の分解図を示す。
【0056】
図26a〜図26dは、図21の充填シーケンスを示す。図26aは、充填準備のできた容器部81を示す。図26bは、薬物72が充填された後の容器部81を示す。図26cは、容器部81上に配されて組み立て準備のできた蓋部82を示す。図26dは、薬物72を入れて組み合わせた蓋部82と容器部81とを示す。
【0057】
図14を参照して説明した実施形態のように、蓋部82は無菌環境外であらかじめ組み立てられ、その後殺菌された後に、押し込み式接続もしくはその他の適切な機械的締結を用いて容器部81に固定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部を有する筐体と、
前記筐体内に配され、前記薬物と接触するプランジャーと、
前記筐体の前記第1の開口部に第1の封止シールを設ける第1の封止要素と、
前記第1の封止シールの前記プランジャーとは反対側に当初配置され、前記第1の封止シールを破り前記プランジャーを前記筐体内で移動させて前記薬物を投薬させるように操作可能なプッシャーとを備え、
前記プランジャーが前記筐体とともに封止シールを形成しない薬物投薬装置。
【請求項2】
自己注射器を構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の封止シールは実質的に気体不浸透性である、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の封止シールは前記薬物を無菌状態に維持するに十分である、請求項1、請求項2、または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プランジャーは潤滑剤でコートされていない、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記プランジャーは前記筐体に接触する連続するコンタクトリングを1つだけ備えている、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記プランジャーは前記筐体とともにカップシールを形成する、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記筐体の壁面と接触する前記プランジャーの周辺部が実質的に非エラストマー系材料からなる、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記プランジャーは前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記プランジャーおよび前記筐体のいずれも潤滑剤で滑らかにされていないとき、前記プランジャーが前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
前記第1の封止要素はラミネートフォイルからなる、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
前記ラミネートフォイルはアルミニウム層を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
前記第1の封止要素は前記筐体に溶接されている、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
前記第1の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
使用時において、前記薬物は前記第1の開口部を介して投薬される、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
前記筐体はさらに、第2の開口部を規定する第2の端部と、前記第2の開口部に第2の封止シールを設ける第2の封止要素とを有し、前記プランジャーが前記第1の開口部から離れる方向に移動することにより前記薬物を前記第2の開口部を介して前記筐体から投薬する、請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
前記第2の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の封止要素は押し込み式締結によって前記筐体に取り付けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の封止要素がネジ留めによって前記筐体に取り付けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記第2の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項17から請求項20のいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
使用時において、前記第2の封止シールが破裂させられて前記薬物を前記筐体から投薬できるようにする、請求項17から請求項21のいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
前記第2の封止シールは前記薬物を投薬する針によって破裂させられる、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記筐体は主としてプラスチック材料から形成される、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項25】
針なし薬物投薬装置である、請求項1、または請求項1に従属する場合の請求項3から請求項24のいずれか一つに記載の装置。
【請求項26】
吸入、局所的、経鼻、経口、または経耳薬物送達装置である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部を有する筐体と、
前記筐体内に配され、前記薬物と接触するプランジャーと、
前記筐体の前記第1の開口部に第1の封止シールを設け、破裂可能な第1の封止要素とを備え、
前記プランジャーが前記筐体とともに封止シールを形成しない一次薬物容器。
【請求項28】
前記第1の封止シールは実質的に気体不浸透性である、請求項27に記載の一次薬物容器。
【請求項29】
前記第1の封止シールは前記薬物を無菌状態に維持するに十分である、請求項27または請求項28に記載の一次薬物容器。
【請求項30】
前記プランジャーは潤滑剤でコートされていない、請求項27、請求項28、または請求項29に記載の一次薬物容器。
【請求項31】
前記プランジャーは前記筐体に接触する連続するコンタクトリングを1つだけ備えている、請求項27から請求項30のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項32】
前記プランジャーは前記筐体とともにカップシールを形成する、請求項27から請求項31のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項33】
前記筐体の壁面と接触する前記プランジャーの周辺部が実質的に非エラストマー系材料からなる、請求項27から請求項32のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項34】
前記プランジャーは前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、請求項27から請求項33のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項35】
前記プランジャーおよび前記筐体のいずれも潤滑剤で滑らかにされていないとき、前記プランジャーが前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、請求項27から請求項34のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項36】
前記第1の封止要素はラミネートフォイルからなる、請求項27から請求項35のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項37】
前記ラミネートフォイルはアルミニウム層を含む、請求項36に記載の一次薬物容器。
【請求項38】
前記第1の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項27から請求項37のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項39】
前記第1の封止要素は前記筐体に溶接されている、請求項27から請求項38のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項40】
前記第1の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項27から請求項38のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項41】
前記筐体はさらに、第2の開口部を規定する第2の端部と、前記第2の開口部に第2の封止シールを設ける第2の封止要素とを有し、前記プランジャーが前記第1の開口部から離れる方向に移動することにより前記薬物を前記第2の開口部を介して前記筐体から投薬する、請求項27から請求項40のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項42】
前記第2の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項41に記載の一次薬物容器。
【請求項43】
前記第2の封止要素は押し込み式締結によって前記筐体に取り付けられている、請求項42に記載の一次薬物容器。
【請求項44】
前記第2の封止要素がネジ留めによって前記筐体に取り付けられている、請求項42に記載の一次薬物容器。
【請求項45】
前記第2の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項41から請求項44のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項46】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部と第2の開口部を規定する第2の端部とを有する筐体と、
前記筐体内の前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に配され、前記第1の開口部から離れる方向に移動することにより前記薬物を前記第2の開口部を介して前記筐体から投薬させるプランジャーと、
前記第1の開口部に第1のシールを設ける第1の封止要素と、
前記第1のシールの前記プランジャーとは反対側に当初配置され、使用時において、前記第1のシールを破り前記プランジャーを前記筐体内で移動させて前記薬物を投薬させるように操作可能なプッシャーと、
前記第2の開口部に第2のシールを設け、機械的な締結によって前記筐体に取り付けられた第2の封止要素とを備える薬物投薬装置。
【請求項47】
前記第1のシールおよび前記第2のシールは封止シールである、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記第1のシールは実質的に気体不浸透性である、請求項46、または請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記第1のシールは前記薬物を無菌状態に維持するに十分である、請求項46から請求項48のいずれか一つに記載の装置。
【請求項50】
前記プランジャーは潤滑剤でコートされていない、請求項46から請求項49のいずれか一つに記載の装置。
【請求項51】
前記プランジャーおよび前記筐体のいずれも潤滑剤でコートされていない、請求項46から請求項50のいずれか一つに記載の装置。
【請求項52】
前記プランジャーは前記筐体に接触する連続する封止コンタクトリングを1つだけ備えている、請求項46から請求項51のいずれか一つに記載の装置。
【請求項53】
前記プランジャーは前記筐体とともにカップシールを形成する、請求項46から請求項52のいずれか一つに記載の装置。
【請求項54】
前記筐体の壁面と接触する前記プランジャーの周辺部が実質的に非エラストマー系材料からなる、請求項46から請求項53のいずれか一つに記載の装置。
【請求項55】
前記プランジャーは前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、請求項46から請求項54のいずれか一つに記載の装置。
【請求項56】
前記第1の封止要素はラミネートフォイルから形成される、請求項46から請求項55のいずれか一つに記載の装置。
【請求項57】
前記ラミネートフォイルはアルミニウム層を含む、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記第1の封止要素は前記筐体に溶接されている、請求項46から請求項57のいずれか一つに記載の装置。
【請求項59】
前記第1の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項46から請求項58のいずれか一つに記載の装置。
【請求項60】
前記第1の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項46から請求項59のいずれか一つに記載の装置。
【請求項61】
前記第2の封止要素は押し込み式締結によって前記筐体に取り付けられている、請求項46から請求項60のいずれか一つに記載の装置。
【請求項62】
前記第2の封止要素がネジ留めによって前記筐体に取り付けられている、請求項46から請求項60のいずれか一つに記載の装置。
【請求項63】
前記第2の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項46から請求項62のいずれか一つに記載の装置。
【請求項64】
シリンジを構成する、請求項46から請求項63のいずれか一つに記載の装置。
【請求項65】
自己注射器を構成する、請求項46から請求項64のいずれか一つに記載の装置。
【請求項66】
使用時において、前記第2の封止要素が破裂させられて前記薬物を前記筐体から投薬できるようにする、請求項46から請求項65のいずれか一つに記載の装置。
【請求項67】
前記第2の封止要素は前記薬物を投薬する針によって破裂させられる、請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記筐体は主としてプラスチック材料から形成される、請求項46から請求項67のいずれか一つに記載の装置。
【請求項69】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部と第2の開口部を規定する第2の端部とを有する装置筐体を準備するステップと、
前記第1の開口部に第1のシールを設けるステップと、
プランジャーを前記筐体に挿入するステップと、
前記投薬対象の薬物を、前記プランジャーが前記第1のシールと前記薬物の間に位置するように、前記第2の開口部から前記筐体に挿入するステップと、
前記第2の開口部に第2のシールを設けるステップと、
使用時において、前記第1のシールに穴を開け、前記プランジャーを前記筐体内で移動させて前記薬物を前記筐体から前記第2の開口部を介して押し出すように操作可能なプッシャーを設けるステップとを備えるプレフィルド薬物送達装置の製造方法。
【請求項70】
前記第1のシールを設けるステップと前記プランジャーを挿入するステップは、前記薬物を挿入するステップの前に行われる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記第1のシールを設けるステップは、前記第1の開口部に第1の封止要素を設けるステップと、前記第1の封止要素を前記装置筐体に溶接するステップとを含む、請求項69または請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第2のシールを設けるステップは、前記第2の開口部に第2の封止要素を設けるステップと、前記第2の封止要素を機械的な締結を用いて前記筐体に取り付けるステップとを含む、請求項69から請求項71のいずれか一つに記載の方法。
【請求項73】
前記機械的な締結は押し込み式締結である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記機械的な締結はネジ留めである、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記プランジャーを挿入するステップの後かつ前記薬物を挿入するステップの前に、前記筐体の内部を殺菌するステップを備える、請求項69から請求項74のいずれか一つに記載の方法。
【請求項76】
前記薬物を挿入するステップ、および前記第2のシールを設けるステップは、実質的に無菌環境で行われる、請求項69から請求項75のいずれか一つに記載の方法。
【請求項77】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部と第2の開口部を規定する第2の端部とを有する筐体を準備するステップと、
前記第1の開口部に第1のシールを設けるステップと、
プランジャーを前記筐体に挿入するステップと、
薬物を、前記プランジャーが前記第1のシールと前記薬物の間に位置するように、前記第2の開口部から前記筐体に挿入するステップと、
前記第2の開口部に第2のシールを設けるステップとを備えるプレフィルド一次薬物容器の製造方法。
【請求項1】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部を有する筐体と、
前記筐体内に配され、前記薬物と接触するプランジャーと、
前記筐体の前記第1の開口部に第1の封止シールを設ける第1の封止要素と、
前記第1の封止シールの前記プランジャーとは反対側に当初配置され、前記第1の封止シールを破り前記プランジャーを前記筐体内で移動させて前記薬物を投薬させるように操作可能なプッシャーとを備え、
前記プランジャーが前記筐体とともに封止シールを形成しない薬物投薬装置。
【請求項2】
自己注射器を構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の封止シールは実質的に気体不浸透性である、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の封止シールは前記薬物を無菌状態に維持するに十分である、請求項1、請求項2、または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記プランジャーは潤滑剤でコートされていない、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記プランジャーは前記筐体に接触する連続するコンタクトリングを1つだけ備えている、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記プランジャーは前記筐体とともにカップシールを形成する、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記筐体の壁面と接触する前記プランジャーの周辺部が実質的に非エラストマー系材料からなる、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記プランジャーは前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記プランジャーおよび前記筐体のいずれも潤滑剤で滑らかにされていないとき、前記プランジャーが前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
前記第1の封止要素はラミネートフォイルからなる、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
前記ラミネートフォイルはアルミニウム層を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
前記第1の封止要素は前記筐体に溶接されている、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
前記第1の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
使用時において、前記薬物は前記第1の開口部を介して投薬される、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
前記筐体はさらに、第2の開口部を規定する第2の端部と、前記第2の開口部に第2の封止シールを設ける第2の封止要素とを有し、前記プランジャーが前記第1の開口部から離れる方向に移動することにより前記薬物を前記第2の開口部を介して前記筐体から投薬する、請求項1から請求項15のいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
前記第2の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の封止要素は押し込み式締結によって前記筐体に取り付けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の封止要素がネジ留めによって前記筐体に取り付けられている、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記第2の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項17から請求項20のいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
使用時において、前記第2の封止シールが破裂させられて前記薬物を前記筐体から投薬できるようにする、請求項17から請求項21のいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
前記第2の封止シールは前記薬物を投薬する針によって破裂させられる、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記筐体は主としてプラスチック材料から形成される、先行する請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項25】
針なし薬物投薬装置である、請求項1、または請求項1に従属する場合の請求項3から請求項24のいずれか一つに記載の装置。
【請求項26】
吸入、局所的、経鼻、経口、または経耳薬物送達装置である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部を有する筐体と、
前記筐体内に配され、前記薬物と接触するプランジャーと、
前記筐体の前記第1の開口部に第1の封止シールを設け、破裂可能な第1の封止要素とを備え、
前記プランジャーが前記筐体とともに封止シールを形成しない一次薬物容器。
【請求項28】
前記第1の封止シールは実質的に気体不浸透性である、請求項27に記載の一次薬物容器。
【請求項29】
前記第1の封止シールは前記薬物を無菌状態に維持するに十分である、請求項27または請求項28に記載の一次薬物容器。
【請求項30】
前記プランジャーは潤滑剤でコートされていない、請求項27、請求項28、または請求項29に記載の一次薬物容器。
【請求項31】
前記プランジャーは前記筐体に接触する連続するコンタクトリングを1つだけ備えている、請求項27から請求項30のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項32】
前記プランジャーは前記筐体とともにカップシールを形成する、請求項27から請求項31のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項33】
前記筐体の壁面と接触する前記プランジャーの周辺部が実質的に非エラストマー系材料からなる、請求項27から請求項32のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項34】
前記プランジャーは前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、請求項27から請求項33のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項35】
前記プランジャーおよび前記筐体のいずれも潤滑剤で滑らかにされていないとき、前記プランジャーが前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、請求項27から請求項34のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項36】
前記第1の封止要素はラミネートフォイルからなる、請求項27から請求項35のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項37】
前記ラミネートフォイルはアルミニウム層を含む、請求項36に記載の一次薬物容器。
【請求項38】
前記第1の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項27から請求項37のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項39】
前記第1の封止要素は前記筐体に溶接されている、請求項27から請求項38のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項40】
前記第1の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項27から請求項38のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項41】
前記筐体はさらに、第2の開口部を規定する第2の端部と、前記第2の開口部に第2の封止シールを設ける第2の封止要素とを有し、前記プランジャーが前記第1の開口部から離れる方向に移動することにより前記薬物を前記第2の開口部を介して前記筐体から投薬する、請求項27から請求項40のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項42】
前記第2の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項41に記載の一次薬物容器。
【請求項43】
前記第2の封止要素は押し込み式締結によって前記筐体に取り付けられている、請求項42に記載の一次薬物容器。
【請求項44】
前記第2の封止要素がネジ留めによって前記筐体に取り付けられている、請求項42に記載の一次薬物容器。
【請求項45】
前記第2の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項41から請求項44のいずれか一つに記載の一次薬物容器。
【請求項46】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部と第2の開口部を規定する第2の端部とを有する筐体と、
前記筐体内の前記第1の開口部と前記第2の開口部の間に配され、前記第1の開口部から離れる方向に移動することにより前記薬物を前記第2の開口部を介して前記筐体から投薬させるプランジャーと、
前記第1の開口部に第1のシールを設ける第1の封止要素と、
前記第1のシールの前記プランジャーとは反対側に当初配置され、使用時において、前記第1のシールを破り前記プランジャーを前記筐体内で移動させて前記薬物を投薬させるように操作可能なプッシャーと、
前記第2の開口部に第2のシールを設け、機械的な締結によって前記筐体に取り付けられた第2の封止要素とを備える薬物投薬装置。
【請求項47】
前記第1のシールおよび前記第2のシールは封止シールである、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記第1のシールは実質的に気体不浸透性である、請求項46、または請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記第1のシールは前記薬物を無菌状態に維持するに十分である、請求項46から請求項48のいずれか一つに記載の装置。
【請求項50】
前記プランジャーは潤滑剤でコートされていない、請求項46から請求項49のいずれか一つに記載の装置。
【請求項51】
前記プランジャーおよび前記筐体のいずれも潤滑剤でコートされていない、請求項46から請求項50のいずれか一つに記載の装置。
【請求項52】
前記プランジャーは前記筐体に接触する連続する封止コンタクトリングを1つだけ備えている、請求項46から請求項51のいずれか一つに記載の装置。
【請求項53】
前記プランジャーは前記筐体とともにカップシールを形成する、請求項46から請求項52のいずれか一つに記載の装置。
【請求項54】
前記筐体の壁面と接触する前記プランジャーの周辺部が実質的に非エラストマー系材料からなる、請求項46から請求項53のいずれか一つに記載の装置。
【請求項55】
前記プランジャーは前記筐体内を移動可能であり、前記筐体に対する摩擦係数が0.3未満である、請求項46から請求項54のいずれか一つに記載の装置。
【請求項56】
前記第1の封止要素はラミネートフォイルから形成される、請求項46から請求項55のいずれか一つに記載の装置。
【請求項57】
前記ラミネートフォイルはアルミニウム層を含む、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記第1の封止要素は前記筐体に溶接されている、請求項46から請求項57のいずれか一つに記載の装置。
【請求項59】
前記第1の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項46から請求項58のいずれか一つに記載の装置。
【請求項60】
前記第1の封止要素は前記筐体に機械的に締結されている、請求項46から請求項59のいずれか一つに記載の装置。
【請求項61】
前記第2の封止要素は押し込み式締結によって前記筐体に取り付けられている、請求項46から請求項60のいずれか一つに記載の装置。
【請求項62】
前記第2の封止要素がネジ留めによって前記筐体に取り付けられている、請求項46から請求項60のいずれか一つに記載の装置。
【請求項63】
前記第2の封止要素はこれに作用する硬質のラッチ部品により弾性圧縮要素を介して保持される、請求項46から請求項62のいずれか一つに記載の装置。
【請求項64】
シリンジを構成する、請求項46から請求項63のいずれか一つに記載の装置。
【請求項65】
自己注射器を構成する、請求項46から請求項64のいずれか一つに記載の装置。
【請求項66】
使用時において、前記第2の封止要素が破裂させられて前記薬物を前記筐体から投薬できるようにする、請求項46から請求項65のいずれか一つに記載の装置。
【請求項67】
前記第2の封止要素は前記薬物を投薬する針によって破裂させられる、請求項66に記載の装置。
【請求項68】
前記筐体は主としてプラスチック材料から形成される、請求項46から請求項67のいずれか一つに記載の装置。
【請求項69】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部と第2の開口部を規定する第2の端部とを有する装置筐体を準備するステップと、
前記第1の開口部に第1のシールを設けるステップと、
プランジャーを前記筐体に挿入するステップと、
前記投薬対象の薬物を、前記プランジャーが前記第1のシールと前記薬物の間に位置するように、前記第2の開口部から前記筐体に挿入するステップと、
前記第2の開口部に第2のシールを設けるステップと、
使用時において、前記第1のシールに穴を開け、前記プランジャーを前記筐体内で移動させて前記薬物を前記筐体から前記第2の開口部を介して押し出すように操作可能なプッシャーを設けるステップとを備えるプレフィルド薬物送達装置の製造方法。
【請求項70】
前記第1のシールを設けるステップと前記プランジャーを挿入するステップは、前記薬物を挿入するステップの前に行われる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記第1のシールを設けるステップは、前記第1の開口部に第1の封止要素を設けるステップと、前記第1の封止要素を前記装置筐体に溶接するステップとを含む、請求項69または請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第2のシールを設けるステップは、前記第2の開口部に第2の封止要素を設けるステップと、前記第2の封止要素を機械的な締結を用いて前記筐体に取り付けるステップとを含む、請求項69から請求項71のいずれか一つに記載の方法。
【請求項73】
前記機械的な締結は押し込み式締結である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記機械的な締結はネジ留めである、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記プランジャーを挿入するステップの後かつ前記薬物を挿入するステップの前に、前記筐体の内部を殺菌するステップを備える、請求項69から請求項74のいずれか一つに記載の方法。
【請求項76】
前記薬物を挿入するステップ、および前記第2のシールを設けるステップは、実質的に無菌環境で行われる、請求項69から請求項75のいずれか一つに記載の方法。
【請求項77】
投薬対象の薬物を収容し、第1の開口部を規定する第1の端部と第2の開口部を規定する第2の端部とを有する筐体を準備するステップと、
前記第1の開口部に第1のシールを設けるステップと、
プランジャーを前記筐体に挿入するステップと、
薬物を、前記プランジャーが前記第1のシールと前記薬物の間に位置するように、前記第2の開口部から前記筐体に挿入するステップと、
前記第2の開口部に第2のシールを設けるステップとを備えるプレフィルド一次薬物容器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図26c】
【図26d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図13a】
【図13b】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26a】
【図26b】
【図26c】
【図26d】
【公表番号】特表2012−517845(P2012−517845A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549659(P2011−549659)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000282
【国際公開番号】WO2010/094916
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511185690)オーバル メディカル テクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000282
【国際公開番号】WO2010/094916
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511185690)オーバル メディカル テクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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