薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法
【課題】患者に対して処方された薬剤等の薬を確実に配置することができる薬配置部等を提供すること。
【解決手段】患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置し、当該患者の医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部36と、薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部140に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部300と、薬情報取得部から取得した医療処方情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部320を有する薬配置部30。
【解決手段】患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置し、当該患者の医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部36と、薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部140に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部300と、薬情報取得部から取得した医療処方情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部320を有する薬配置部30。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者等の治療に用いる薬剤を配置する薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者等の治療のために用いられる薬剤等は、医師の指示に基づいて処方され、これらは「カルテ」と呼ばれる。
このカルテを紙の状態で保管すると、取り扱いが不便等となるため、コンピュータを用いた電子カルテが提案されている。また、このような電子カルテのデータも通信等で、電子データとして取得し、この電子データを電子カルテに反映させるシステム等が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、病院等では、このような「カルテ」に従い、薬剤師等が患者毎に処方する薬剤等の薬を薬配置部である例えば、薬剤トレー等に配置する。そして、看護師等が、この薬剤トレーと共に、薬剤を患者の元に運ぶ構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―22969公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、薬剤等は、薬剤トレー等に間違いなく配置される必要があり、その確認が薬剤師等にとって大きな負担となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、患者に対して処方された薬剤等を確実に配置することができる薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部であって、当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部を有することを特徴とする薬配置部により達成される。
【0007】
前記構成によれば、薬情報取得部から取得した医療処方情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部を有する。
このため、例えば、薬剤トレー等の薬配置部に薬剤師等が配置した薬が,当該薬剤トレーに記憶された当該患者の処方薬剤等の患者医療処方情報と合致しているか否か、すなわち、薬配置部に載せた薬が間違っているか否かを迅速且つ正確に判断することができる。
したがって、患者に対して処方された薬剤等の薬を確実に配置することができる薬配置部となる。
【0008】
好ましくは、前記薬の重量を計測する薬重量計測部を有し、前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、当該薬の重量に関する薬重量情報を有し、前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の当該薬の重量に関する薬重量情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報の前記薬重量情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、医療処方情報判断処理部が、医療処方情報の当該薬の重量に関する薬重量情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報の薬重量情報とを比較して同一性を判断する。
このため、薬剤トレー等の薬配置部に配置される薬の種類だけでなく、その処方における重量の適否も確認できる。したがって、精度の高い薬の配置を迅速に行うことができる。
【0010】
好ましくは、前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、前記薬の処方時刻情報を有し、前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の前記薬の処方時刻情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報前記薬の処方時刻情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、医療処方情報判断処理部が、医療処方情報の薬の処方時刻情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報前記薬の処方時刻情報とを比較して同一性を判断する。
このため、薬剤トレー等の薬配置部に配置される薬の種類だけでなく、その処方の日等の処方時刻の適否も確認できる。したがって、処方日の間違い等も迅速に判断でき、精度の高い薬の配置を迅速に行うことができる。
【0012】
好ましくは、前記薬情報記憶部が無線IC(半導体集積回路)タグで形成され、前記薬情報取得部が、前記無線ICタグ内のデータを受信するリーダ装置から成ることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記医療処方情報を記憶する医療処方情報装置と、前記薬配置部に前記薬を配置する薬関連従事者が所持する薬関連従事者端末と、前記薬配置部と、を有する薬配置部管理システムであって、前記薬関連従事者端末を所持した薬関連従事者が、前記医療処方情報装置と接触することで、前記医療処方情報装置から前記薬関連従事者端末へ、自動的に前記医療処方情報を取得でき、さらに、前記薬配置部と接触することで、自動的に前記薬関連従事者端末から前記薬配置部へ、自動的に前記医療処方情報を送信することができる構成となっていることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、薬関連従事者端末を所持した薬関連従事者が、医療処方情報装置と接触することで、医療処方情報装置から薬関連従事者端末へ、自動的に医療処方情報を取得でき、さらに、薬配置部と接触することで、自動的に薬関連従事者端末から薬配置部へ、自動的に医療処方情報を送信することができる構成となっている。
このため、薬剤師等の薬関連従事者は、薬関連従業者端末を所持した状態で、電子カルテ等の医療処方情報装置に触れるだけで、医療処方情報を取得することができる。
このため、従来のように薬剤師等がコンピュータ等を操作する必要がないので、薬剤師等の負担が軽減されることとなる。
【0015】
また、薬剤師等は、医療処方情報を自己の薬関連従事者端末に自動的に取得でき、さらに、自動的に医療処方情報を薬配置部に送信することができるので、薬剤師等の薬関連従事者は間違いなく、迅速且つ確実に患者の医療処方情報を、当該患者の薬剤トレー等である薬配置部に記憶させることができる。
したがって、薬剤師等の負担を著しく軽減させることができる。さらに、前記構成は、新たなシステムを構築させる必要がないため、薬剤師等の薬関連従事者の負担を低コストで軽減することもできる。
【0016】
好ましくは、医療従事者が有する医療従事者端末と、前記薬配置部を配置するラック部を有し、前記ラック部及び/又は前記薬配置部は、点灯するランプ部を有し、前記医療従事者端末を所持した医療従事者が、前記ラック部と接触することで、自動的に、前記薬配置部と通信することができると共に、前記医療従事者端末が有する前記医療処方情報に対応する前記患者医療処方情報を有する前記薬配置部及び/又は前記薬配置部の前記ランプ部が点灯する構成となっていることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、医療従事者端末を所持した医療従事者が、ラック部と接触することで、自動的に、薬配置部と通信することができると共に、医療従事者端末が有する医療処方情報に対応する患者医療処方情報を有する薬配置部及び/又は前記薬配置部の前記ランプ部が点灯する構成となっている。
このため、看護師等の医療従事者がラックに触れるだけで、所望の患者の薬剤トレー等である薬配置部を見つけることができるので、極めて迅速に薬配置部を患者の元へ運ぶことができ、看護師等の負担を軽減させることができる。
【0018】
上記目的は、本発明にあっては、患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部を用いる薬管理方法であって、当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、を有し、制御部が、前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断することを特徴とする薬管理方法により達成される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、患者に対して処方された薬剤等の薬を確実に配置することができる薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の薬配置部管理システムである例えば、薬剤トレー管理システムを示す概略図である。
【図2】薬剤トレーを示す概略斜視図である。
【図3】薬剤ケースを示す概略斜視図である。
【図4】ラックと薬剤トレー等を示す概略図である。
【図5】薬剤師端末と電子カルテ装置を例とした人体通信の概略説明図である。
【図6】図1の薬剤師端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図7】薬剤ICタグの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図8】図1の電子カルテ装置及び看護師端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図9】図1の薬剤トレーの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図10】図1の患者端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図11】図1の輸液ポンプの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図12】図1の薬剤師端末が、電子カルテ装置からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
【図13】薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
【図14】薬剤トレー選択工程を示す他の概略フローチャートである。
【図15】図1の看護師端末が、電子カルテ装置からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
【図16】薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明の薬配置部管理システムである例えば、薬剤トレー管理システム1を示す概略図である。
薬剤トレー管理システム1は、図1に示すように、病院の薬局等で働く薬関連従事者である例えば、薬剤師甲が所持等する薬関連従事者端末である例えば、薬剤師端末110を有する。
また、薬剤トレー管理システム1は、患者のための医療処方情報である例えば、オーダー情報(薬剤等処方データ)を含む電子カルテを蓄積する電子カルテ装置10(医療処方情報装置の一例)を有している。
この電子カルテは、例えば、患者の識別番号毎に電子カルテ装置10内に蓄積され、電子カルテ装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等となっている。
【0023】
また、図1の薬剤トレー管理システム1は、上述のオーダー情報に従い、当該患者に処方すべき薬剤等を配置する薬剤配置部である例えば、薬剤トレー30を有している。
図2は、薬剤トレー30を示す概略斜視図である。図2に示すように、薬剤トレー30は、上側が開放した箱形を成しており、その中に後述する薬剤ケース130に覆われた薬である薬剤を収容するための例えば、4つの薬剤配置領域310a、310b、310c、310dが形成されている。
【0024】
図3は、薬剤ケース130を示す概略斜視図である。図3に示すように、その中に薬剤が収容されている薬剤ケース130の外面には、薬情報記憶部である例えば、薬剤ICタグ140が設けられている。
この薬剤ICタグ140は、無線IC(半導体集積回路)タグであり、図2の薬剤トレー30に形成されている薬情報取得部である例えば、ICタグリーダ300と通信可能な構成となっている。
このICタグリーダ300は、図2に示すように、薬剤トレー30の四方に起立して配置されているトレー壁部311の例えば、2つの長手方向(矢印X1及びX2方向)に沿って、移動可能に形成されている。
このため、図2の薬剤配置領域310a等に図3の薬剤ケース130が配置されると、薬剤トレー30のICタグリーダ300が、薬剤ケース130の表面に配置されている薬剤ICタグ140と通信を行うことができる構成となっている。
【0025】
ところで、図3の薬剤ICタグ140には、薬剤ケース130に収容されている薬剤の薬剤名や薬重量情報である薬剤重量等のデータが格納されている。
したがって、薬剤トレー30は、ICタグリーダ300により、薬剤ICタグ140内の薬剤名等のデータを取得することができる構成となっている。
【0026】
また、図2に示す薬剤トレー30の薬剤配置領域310a等には、薬重量計測部である例えば、重量センサ312が配置され、それぞれ、薬剤配置領域310a等に配置された薬剤ケース130の重量を計測することができる構成となっている。
なお、薬剤トレー30の短手方向のトレー壁部311には、点灯するランプ部である例えば、LED等から成るランプ313が形成されている
そして、図2に示す薬剤トレー30は、図4に示すように、金属製のラック部であるラック400に配置される。図4は、ラック400と薬剤トレー30等を示す概略図である。
【0027】
また、図1の薬剤トレー管理システム1は、病院の患者が所持する患者端末50を有すると共に、患者の治療に用いる医療機器である例えば、輸液ポンプ70を有している。
この輸液ポンプ70は、患者等の側の点滴等に配置され、薬液等の点滴液を患者等へ供給する際、制御することが可能な構成となっている。
具体的には、輸液ポンプ10は、弾力が高く自己拡張性のある輸液チューブを使用し、これを機械に挟み込んでローラーで押すことにより予め設定された薬液を患者に提供する構成となっている。
【0028】
さらに、薬剤トレー管理システム1は、患者の処置等を行う医療従事者である例えば、看護師が所持する医療従事者端末である例えば、看護師端末90も備えている。
このうち、薬剤師端末110、患者端末50及び看護師端末90は、それぞれ、人が所持するため例えば、腕時計型となっており、患者や看護師は、その腕に配置することが可能な構成となっている。
なお、これら薬剤師端末110、患者端末50及び看護師端末90は、腕時計型に限らず、携帯電話型、B5(A4)ノート型、メガネ型、アクセサリー型(ネックレス、ピアス)、ペン型、ベルト型、ベルト装着型(歩数計、活動量計等)等であってもよい。
【0029】
そして、これら薬剤師端末110、電子カルテ装置10、薬剤トレー30、患者端末50、輸液ポンプ70及び看護師端末90は、それぞれ、薬剤師端末111、電子カルテ側通信装置11、薬剤トレー側通信装置31、患者側通信装置51、輸液ポンプ側通信装置71及び看護師側通信装置91を有し、相互に通信可能な構成となり、この通信は、所謂、人体通信方式となっている。
これら各通信装置は、それぞれ、送信機能と受信機能を共に有してもよく、また、それぞれの役割に応じて、いずれか一方のみの機能を有する構成としてもよい。
【0030】
この人体通信方式は、人の体に微弱な電流等を流すことで行われる通信であり、専用の装置を装着した人が他の同様の装置を装着した人等に触れることで通信が可能となる方式である。また、人体通信方式は、通信に際し、電流を流す場合と電界を発生させる場合があり、それぞれ、電流方式、電界方式と呼ばれる。
電流方式の場合は、人体の表面に数百マイクロアンペアの電流を流すことで通信を行う。実施の形態では、電流方式の人体通信方式を例に以下、説明する
【0031】
図5は、薬剤師端末110と電子カルテ装置10を例とした人体通信の概略説明図である。
人体通信は、薬剤師端末110と電子カルテ装置10だけでなく、図1に示すように、薬剤師端末110や看護師端末90と薬剤トレー30、看護師患者端末50及び輸液ポンプ70等との間でも行うことができるが、図5では、薬剤師端末110と電子カルテ装置10を例に、本実施の形態における人体通信を説明する。
【0032】
図5に示すように、薬剤師端末110を有する薬剤師甲が、電子カルテ装置10であるPCの筐体等に接触すると、薬剤師甲の腕に配置されている薬剤師端末110の薬剤師側通信装置111は、薬剤師甲の人体及び電子カルテ装置10の筐体等を介して、電子カルテ装置10の電子カルテ側通信装置11と電気的に通信可能となる。
【0033】
すなわち、図5の電流Eは、薬剤師端末110から薬剤師甲の人体上を流れ、電子カルテ装置10の電子カルテ側通信装置11に到達することになり、この電流の流れにより、通信が可能となる。
また、本実施の形態では、薬剤師側通信装置111は、薬剤師甲が電子カルテ装置10に触れるだけで、電子カルテ側通信装置11と通信可能となり、逆に、薬剤師甲が電子カルテ装置10から手等を離すことで、通信が終了する。
【0034】
この点、従来は、薬剤師が電子カルテ装置であるPCを操作して、患者の薬剤等処方データ(カルテ)を取得していたため、操作が煩雑で、操作間違い等が発生するおそれがあった。
本実施の形態では、図5に示すように、薬剤師甲が電子カルテ装置10に触れるだけで通信をし、例えば、患者のカルテ情報の取得等をすることができるので、薬剤師等に負担がかからず、カルテの取り違い等も生じない構成となっている。
【0035】
図1に示す、薬剤師端末110、電子カルテ装置10、薬剤トレー30、患者端末50、輸液ポンプ70及び看護師端末90等は、それぞれ、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、バスを介して接続されている。
【0036】
図6は、図1の薬剤師端末110の主な構成を示す概略ブロック図である。
図6に示すように、薬剤師端末110は、薬剤師端末制御部112を有し、上述の薬剤師側通信装置111、薬剤師端末表示装置116及び各種データを入力する薬剤師端末入力装置113等を有し、これらは薬剤師端末制御部112で制御されている。なお、図6の薬剤師端末110の記憶部等については、後述する。
【0037】
図7は、薬剤ICタグ140の主な構成を示す概略ブロック図である。
図7に示すように。薬剤ICタグ140は、薬剤ICタグ制御部141を有し、上述の薬剤トレー30のICタグリーダ300と通信する薬剤ICタグ側通信装置142を有している。
【0038】
図8は、図1の電子カルテ装置10及び看護師端末90の主な構成を示す概略ブロック図である。
図8に示すように、電子カルテ装置10は、電子カルテ制御部12を有する。また、電子カルテ装置10は、上述の電子カルテ側通信装置11、情報を入力するための電子カルテ入力装置13及び情報を表示するための電子カルテ表示装置14等を有し、これらは、電子カルテ制御部12で制御されている。
なお、図8の電子カルテ装置10の記憶部や処理部等については、後述する。
【0039】
図8の看護師端末90は、看護師端末制御部92を有する。また、看護師端末90は、上述の看護師側通信装置91、看護師端末入力装置93、看護師端末表示装置94等を有し、これらは、看護師端末制御部92で制御されている。
なお、図8の看護師端末90の記憶部等については、後述する。
【0040】
図9は、図1の薬剤トレー30の主な構成を示す概略ブロック図である。
図9に示すように、薬剤トレー30は、薬剤トレー制御部32を有する。また、薬剤トレー30は、上述の重量センサ312、薬剤トレー側通信装置31、薬剤トレー入力装置33、薬剤トレー側表示装置314、ランプ313及びICタグリーダ300等を有し、これらは、薬剤トレー制御部32で制御されている。
なお、図9の薬剤トレー30の記憶部や処理部等については、後述する。
【0041】
図10は、図1の患者端末50の主な構成を示す概略ブロック図である。
図10に示すように、患者端末50は、患者端末制御部52を有する。また、患者端末50は、上述の患者側通信装置51を有し、これは、患者端末制御部52で制御されている。
【0042】
図11は、図1の輸液ポンプ70の主な構成を示す概略ブロック図である。
図11に示すように、輸液ポンプ70は、輸液ポンプ制御部72を有している。また、輸液ポンプ70は、上述の輸液ポンプ側通信装置71及び輸液ポンプ本来の機能を発揮する部分である輸液ポンプ本体75等を有し、これらは、輸液ポンプ制御部72で制御されている。
【0043】
図12乃至図16は、本実施の形態にかかる薬剤トレー管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、薬剤師甲が、電子カルテ装置10から自己の担当の患者のオーダー情報(医薬処方情報及び患者医療処方情報の一例)を取得し、その後、薬剤師甲が、図2の薬剤トレー30に触れると、このオーダー情報が薬剤トレー30へ送信、記憶される。その後、看護師乙が図1に示す看護師端末90を所持し、電子カルテ装置10から自己の担当の患者のオーダー情報を取得し、その後、薬剤トレー30を、当該患者の元で運び、患者を確認して、輸液ポンプ70を動作させるという一連の動作を例に以下、説明する。
また、この例を説明するにあたり、図12乃至図16のフローチャートに沿って説明すると共に、図1乃至図5の記憶部や処理部等についても説明する。
【0044】
図12は、図1の薬剤師端末110が、電子カルテ装置10からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、薬剤師甲は、図1の薬剤師端末110を腕等に装着して、電子カルテ装置10の筐体等に、その手等を触れる。
すると、図5に示すように、薬剤師側通信端末111と電子カルテ側通信装置11との間に、人体通信が行われ、薬剤師端末110から電子カルテ装置10に、オーダー情報取得要求を送信する。
なお、この際、薬剤師端末110は、図6の薬剤師識別番号記憶部114内に記憶されている自己の薬剤師識別番号を電子カルテ装置10へ送信する。
次いで、ST1で、電子カルテ装置10は、薬剤師端末110からオーダー情報取得要求が送信されたか否かを判断する。
【0045】
ST1で、電子カルテ装置10が薬剤師端末110からのオーダー情報取得要求を受信したと判断した場合は、ST2へ進む。
ST2では、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報検索決定処理部(プログラム)15が、オーダー情報記憶部16を参照して、当該薬剤師端末110の薬剤師の薬剤師識別番号と関連付いているオーダー情報が存在するか否かを探す。
ところで、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報記憶部16内では、患者毎の薬剤等処方データであるオーダー情報が、担当薬剤師の薬剤師識別番号と関連付けて記憶されている。
このため、ST2で、電子カルテ装置10は、アクセスしてきた当該薬剤師の薬剤師識別番号から、当該薬剤師が担当する患者のオーダー情報が存在する否かを容易に判断することができる。
【0046】
なお、「オーダー情報」には、処方された薬剤名、処方日(処方時刻情報の一例)、重量情報、医師識別番号、患者識別番号、薬剤師識別番号、看護師識別番号等が含まれている。
また、処方日については、処方する年・月・日、さらには必要に応じて処方する時間の情報が含まれていることが好ましい。
ST2で、図8のオーダー情報記憶部16内に、当該薬剤師識別番号と関連付けられているオーダー情報があった場合は、ST3へ進む。
【0047】
ST3では、電子カルテ装置10が、薬剤師端末110に、当該薬剤師識別番号と関連付けられている患者のオーダー情報を送信する。
したがって、薬剤師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報のみを効率的に、自己の薬剤師端末110に取得することができる。また、このオーダー情報は自動的に且つ間違いなく送信されるので、極めて信頼性の高い情報となる。
【0048】
一方、ST2で、図8のオーダー情報記録部16には、当該薬剤師の薬剤師識別番号と関連付けられているオーダー情報が存在しない場合は、ST4へ進む。
すなわち、電子カルテ装置10は、図8のオーダー情報記憶部16内のオーダー情報のうち、いずれの薬剤師識別番号とも関連付けられていないオーダー情報を選択し、薬剤師端末90へ送信する。
したがって、薬剤師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報に近い情報を、選択的して薬剤師端末110に取得することができることになり、自己の担当の患者のオーダー情報を探し易くなる。これは、薬剤師甲の負担を権限させることができる。
【0049】
次いで、ST5へ進む。ST5では、薬剤師端末110が、電子カルテ装置10から送信されたオーダー情報を図6の薬剤師側オーダー情報記憶部115に記憶すると共に、図6の薬剤師端末表示装置116に表示する。
次いで、ST6へ進む。ST6では、図6の薬剤師端末110の薬剤師側オーダー情報選択処理部(プログラム)117が動作し、薬剤師甲が図6の薬剤師端末入力装置113で、薬剤師端末表示装置116に表示されているオーダー情報から特定の患者のオーダー情報を選択したか否かを判断する。
【0050】
ST6で、薬剤師端末入力装置113で、オーダー情報が選択されると、ST7へ進む。ST7では、薬剤師端末入力装置113で選択された選択オーダー情報(処方された薬剤名、処方日、薬剤重量、医師識別番号、患者識別番号、薬剤師識別番号、看護師識別番号等)が,図3の薬剤師端末110の選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部118に記憶される。
【0051】
以上で、図12の工程が終了するが、この図12の工程では、薬剤師端末110が、電子カルテ装置10から簡易且つ正確に、所望の患者のオーダー情報を迅速に取得することができる。
また、従来は、電子カルテ装置からオーダー情報を取得するには、コンピュータの操作をマスターする必要があり、薬剤師に負担を強いていた。この点、本実施の形態では、薬剤師は、電子カルテ装置10に接触するだけで、必要がオーダー情報を取得することができるので、極めて使い易い薬剤トレー管理システム1となっている。
【0052】
図13は、薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
図12の工程で、自己が担当する所望の患者のオーダー情報を自己の薬剤師端末110に取得した薬剤師甲は、次に、この患者のためのオーダー情報に従い、図2の薬剤トレー30上に、オーダー情報に対応する薬剤の薬剤ケース130を配置することになる。
【0053】
先ず、薬剤師端末110を所持した薬剤師甲が、薬剤トレー30に接触する。すると、ST11で、薬剤トレー30の薬剤トレー側通信装置31と薬剤師側通信装置111は人体通信で、通信状態となる。
そして、ST11では、薬剤トレー30が、薬剤師端末110の看護師識別番号記憶部114内の薬剤師識別番号を受信したか否かを判断する。
【0054】
ST11で、薬剤師識別番号を取得すると、ST12へ進む。ST12では、図9の薬剤トレー30の薬剤師識別番号判定処理部(プログラム)315が動作し、受信した薬剤師識別番号と、図9の薬剤師識別番号一覧情報記憶部316内に記憶されている薬剤師識別番号を比較し、受信した薬剤師識別番号が、薬剤師識別番号一覧情報記憶部316の看護師識別番号に含まれているか否かを判断する。
【0055】
この薬剤師識別番号一覧情報記憶部316には、薬剤トレー30に薬剤ケース130等を配置する権限を有する薬剤師の薬剤師識別番号が登録されている。
したがって、ST12で、受信した薬剤師識別番号が、薬剤師識別番号一覧情報記憶部316の薬剤師識別番号に含まれている場合は、権限を有する者であると判断することができる。
【0056】
このように、本実施の形態では、薬剤トレー30の操作権限がない者による薬剤トレー30の操作を未然に防止し、事故等の発生を未然に防止することができる構成となっている。
【0057】
ST12で、受信した薬剤師識別番号が、薬剤師識別番号一覧情報記憶部316の薬剤師識別番号に含まれている場合は、ST13へ進む。ST13では、薬剤トレー30が薬剤師端末30に、オーダー情報の送信を要求する。
そして、ST14で、薬剤師端末110が、図6の選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部118内のオーダー情報を、薬剤トレー30へ送信する。
【0058】
次いで、ST15へ進む。ST15では、図9の患者識別番号判定処理部(プログラム)317が動作し、ST14で受信したオーダー情報の「患者識別番号」が、図9の薬剤トレー30の薬剤トレー側既登録患者識別番号記憶部318内の「患者識別番号」と一致するか否かを判断する。
【0059】
この薬剤トレー側既登録患者識別番号記憶部318は、当該薬剤トレー30を使用する患者の「患者識別番号」が記憶されている。
したがって、ST15で、「患者識別番号」の比較をし、一致した場合は、正しい患者のオーダー情報と判断する。
【0060】
このように、本実施の形態では、薬剤師甲が薬剤トレー30に接触するだけで、当該薬剤師が当該薬剤トレー30の操作権限があるか否かを判断できる。
さらに、薬剤師甲の薬剤師端末110の有する「オーダー情報」の患者情報が、当該薬剤トレー30を使用する患者情報と一致するか否かも判断できるので、薬剤師甲が間違って、当該患者とは異なる患者用の薬剤トレー30に、オーダー情報を提供するという事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0061】
図13のST15で、「患者識別番号」が一致した場合は、ST16へ進む。ST16では、薬剤トレー30は、図6の薬剤師端末110の選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部118内の選択オーダー情報(処方された薬剤名、処方日、薬剤重量、医師識別番号、患者識別番号、薬剤師識別番号、看護師識別番号等)が、図9の当該薬剤トレー用オーダー情報記憶部36(患者医療処方情報記憶部の一例)に記憶される。
このように、本実施の形態では、薬剤師甲は、薬剤トレー30に接触するだけで、薬剤トレー30に「オーダー情報」を送信できるので、看護師甲等の負担を著しく軽減することができる。
【0062】
次いで、ST17へ進む。ST17では、図2の薬剤トレー30の重量センサ312が薬剤ケース130の重量を検知したか否かが判断される。
これは、薬剤師甲が、当該薬剤トレー30の図2の薬剤配置領域310a等に、当該薬剤トレー30の患者用に薬剤ケース130を配置したことを検知する意味も有する。
【0063】
ST17で、重量センサ312が、薬剤ケース130の重量を検知した場合、ST18へ進む。ST18では、図2の薬剤トレー30のICタグリーダ300が矢印X1及びX2へ移動し、薬剤トレー30の薬剤配置領域310a等に配置された薬剤ケース130に配置されている図3の薬剤ICタグ140と通信し、薬剤ICタグ140内の薬剤データ(薬剤名、薬剤重量等)を取得する。そして、図9の薬剤トレー側薬剤ICタグ情報記憶部319に記憶する・
このような動作は、図9の薬剤判断処理部(プログラム)320が実行する。
【0064】
次いで、ST19へ進む。ST19では、医療処方情報判断処理部である図9の薬剤判断処理部(プログラム)320が動作し、薬剤トレー側薬剤ICタグ情報記憶部319内の薬剤ケース130内の薬剤データと、図9の当該薬剤トレー用オーダー情報記憶部36内の薬剤師端末110から取得した(選択)オーダー情報とを比較して、薬剤ケース130の薬剤データが正しいか否かを判断する。
このとき、オーダー情報には、薬剤名情報だけでなく、その薬剤の重量や処方日情報も有するため、薬剤名が正しいか否かのみならず、薬剤トレー30上の薬剤ケース130の重量の可否や、処方日の可否も判断することができる構成となっている。
【0065】
次いで、ST19で、薬剤ケース130側のデータが,オーダー情報と一致しない場合は、薬剤師甲が薬剤トレー30に配置した薬剤ケース130の薬剤が、オーダー情報と相違し、誤っていることとなる。
このため、薬剤トレー30は、ST20で、その相違するデータを図9の薬剤トレー側表示装置314に表示して、薬剤師甲に注意を促すことができる。
【0066】
一方、ST19で、薬剤ケース130側のデータが,オーダー情報と一致した場合、ST21で、正常に処理した旨の表示が、薬剤トレー側表示装置314に表示される。
このように、本実施の形態では、薬剤師甲が、患者用の薬剤トレー30に薬剤ケース130を配置するだけで、当該薬剤ケース130がオーダー情報と合致した正しい薬剤等か否かを迅速且つ確実に判断することができる。
また、このとき、薬剤名のみならず、その薬剤重量や処方日の適否等も判断することができる。
【0067】
図15は、図1の看護師端末90が、電子カルテ装置10からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、看護師乙は、図1の看護師端末90を腕等に装着して、電子カルテ装置10の筐体等に、その手等を触れる。
すると、看護師側通信端末91と電子カルテ側通信装置11との間に、図5で説明したと同様の人体通信が行われ、看護師端末90から電子カルテ装置10に、オーダー情報取得要求を送信する。
なお、この際、看護師端末90は、図8の看護師識別番号記憶部95内に記憶されている自己の看護師識別番号を電子カルテ装置10へ送信する。
次いで、ST31で、電子カルテ装置10は、看護師端末90からオーダー情報取得要求が送信されたか否かを判断する。
【0068】
ST31で、電子カルテ装置10が看護師端末90からのオーダー情報取得要求を受信したと判断した場合は、ST32へ進む。
ST32では、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報検索決定処理部(プログラム)15が、オーダー情報記憶部16を参照して、当該看護師端末90の看護師の看護師識別番号と関連付いているオーダー情報が存在するか否かを探す。
ところで、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報記憶部16内では、患者毎の薬剤等処方データであるオーダー情報が、担当看護師の看護師識別番号と関連付けて記憶されている。
このため、ST32で、電子カルテ装置10は、アクセスしてきた当該看護師の看護師識別番号から、当該看護師が担当する患者のオーダー情報が存在する否かを容易に判断することができる。
【0069】
ST32で、図8のオーダー情報記憶部16内に、当該看護師識別番号と関連付けられているオーダー情報があった場合は、ST33へ進む。
ST33では、電子カルテ装置10が、看護師端末90に、当該看護師識別番号と関連付けられている患者のオーダー情報を送信する。
したがって、看護師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報のみを効率的に、自己の看護師端末90に取得することができる。また、このオーダー情報は自動的に且つ間違いなく送信されるので、極めて信頼性の高い情報となる。
【0070】
なお、本実施の形態では、当該看護師識別番号と関連付けられている患者のオーダー情報を送信するとしているが、アクセスした日又はその前日のオーダー情報に限り、送信する構成としてもよい。
【0071】
一方、ST32で、図8のオーダー情報記録部16には、当該看護師の看護師識別番号と関連付けられているオーダー情報が存在しない場合は、ST34へ進む。
すなわち、電子カルテ装置10は、図8のオーダー情報記憶部16内のオーダー情報のうち、いずれの看護師識別番号とも関連付けられていないオーダー情報を選択し、看護師端末90へ送信する。
したがって、看護師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報に近い情報を、選択的して看護師端末90に取得することができることになり、自己の担当の患者のオーダー情報を探し易くなる。これは、看護師甲の負担を権限させることができる。
【0072】
次いで、ST35へ進む。ST35では、看護師端末90が、電子カルテ装置10から送信されたオーダー情報を図8のオーダー情報記憶部96に記憶すると共に、図3の看護師端末表示装置94に表示する。
次いで、ST36へ進む。ST36では、図8の看護師端末90のオーダー情報選択処理部(プログラム)97が動作し、看護師甲が図8の看護師端末入力装置93で、看護師端末表示装置94に表示されているオーダー情報から特定の患者のオーダー情報を選択したか否かを判断する。
【0073】
ST36で、看護師端末入力装置93で、オーダー情報が選択されると、ST37へ進む。ST37では、看護師端末入力装置93で選択された選択オーダー情報(処方された薬剤名等)が,図8の看護師端末90の選択済みオーダー情報記憶部98に記憶される。
【0074】
以上で、図15の工程が終了するが、この図15の工程では、看護師端末90が、電子カルテ装置10から簡易且つ正確に、所望の患者のオーダー情報を迅速に取得することができる。
また、従来は、電子カルテ装置からオーダー情報を取得するには、コンピュータの操作をマスターする必要があり、看護師に負担を強いていた。この点、本実施の形態では、看護師は、電子カルテ装置10に接触するだけで、必要がオーダー情報を取得することができるので、極めて使い易い医療システム1となっている。
【0075】
図16は、薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
図16の工程で、自己が担当する所望の患者のオーダー情報を自己の看護師端末90に取得した看護師乙は、次に、この患者のために処方された薬剤等を配置した薬剤トレー30を取りに行く。このときに、看護師乙の看護師端末90と薬剤トレー30との間には、以下の通信等が行われる。
【0076】
先ず、看護師端末90を所持した看護師甲が、図4に示す、薬剤トレー30を配置しているラック313に接触する。すると、ST41で、薬剤トレー30の薬剤トレー側通信装置31と看護師側通信装置91は、ラック313を介して、人体通信で、通信状態となる。
このとき、薬剤トレー30が、図8の看護師端末90の選択済みオーダー情報記憶部98内の選択されたオーター情報を取得し、図9の薬剤トレー30の受信選択済みオーダー情報記憶部34に記憶する。
【0077】
次いで、ST42へ進む。ST42では、図9の薬剤トレー30のオーダー情報判断処理部(プログラム)35が動作し、図9の薬剤トレー30の当該薬剤トレー用オーダー情報記録部36の「オーダー情報」と、受信選択済みオーダー情報記録部34の「オーダー情報」を比較し、一致するか否か判断する。
【0078】
すなわち、図9の薬剤トレー30の当該薬剤トレー用オーダー情報記録部36には、当該薬剤トレー30に載置すべき薬剤ケース130等のオーダー情報が記憶されている。
したがって、薬剤トレー30は、オーダー情報判断処理部(プログラム)35により、看護師端末90の「オーダー情報」と一致するかを精度良く判断することができる。
【0079】
ST42で、看護師端末90の「オーダー情報」と薬剤トレー30の「オーダー情報」が一致する場合、ST43へ進む。ST43では、該当する薬剤トレー30の図3及び図4に示すランプ313が点灯する。
したがって、看護師乙は、ラック400に触れるだけで、自己の担当する患者の薬剤ケース130が配置されている薬剤トレー30を迅速に、且つ間違いなく認識することができる。このため、看護師乙の負担を大幅に軽減することができる。
【0080】
一方、ST42で、「オーダー情報」が一致しない場合は、ST44へ進む。ST44では、図8の看護師端末90の看護師端末表示装置94に、オーダー情報が相違する旨の表示が成される。以上で、本工程は終了する。
【0081】
また、看護師乙は、患者端末50や輸液ポンプ70とも、上述の人体通信で、認証等を行い、必要なデータの送信等を行い輸液ポン70を動作させることとなる。
【0082】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。本実施の形態では、医療機器として輸液ポンプ70を例に説明したが、医療機器には、輸液ポンプ70のみならず、シリンジポンプ等も含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1・・・薬剤トレー管理システム1、10・・・電子カルテ装置、11・・・電子カルテ側通信装置、12・・・電子カルテ制御部、13・・・電子カルテ入力装置、14・・・電子カルテ表示装置、15・・・オーダー情報検索決定処理部(プログラム)、16・・・オーダー情報記憶部、30・・・薬剤トレー、31・・・薬剤トレー側通信装置、32・・・薬剤トレー制御部、33・・・薬剤トレー入力装置、34・・・受信選択済みオーダー情報記憶部、35・・・オーダー情報判断処理部(プログラム)、36・・・当該薬剤トレー用オーダー情報記録部、50・・・患者端末、51・・・患者側通信装置、52・・・患者端末制御部、70・・・輸液ポンプ、71・・・輸液ポンプ側通信装置、72・・・輸液ポンプ制御部、90・・・看護師端末、91・・・看護師側通信端末、92・・・看護師端末制御部、93・・・看護師端末入力装置、94・・・看護師端末表示装置、95・・・看護師識別番号記憶部、96・・・オーダー情報記憶部、97・・・オーダー情報選択処理部(プログラム)、98・・・選択済みオーダー情報記憶部、110・・・薬剤師端末、111・・・薬剤師側通信装置、112・・・薬剤師端末制御部、113・・・薬剤師端末入力装置、114・・・薬剤師識別番号記憶部、115・・・薬剤師側オーダー情報記憶部、116・・・薬剤師端末表示装置、117・・・薬剤師側オーダー情報選択処理部(プログラム)、118・・・選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部、130・・・薬剤ケース、140・・・薬剤ICタグ、141・・・薬剤ICタグ制御部薬剤ICタグ制御部、142・・・薬剤ICタグ側通信装置、300・・・ICタグリーダ、310a、310b、310c、310d・・・薬剤配置領域、311・・・トレー壁部、312・・・重量センサ、313・・・ランプ、314・・・薬剤トレー側表示装置、315・・・薬剤師識別番号判定処理部(プログラム)、316・・・薬剤師識別番号一覧情報記憶部、317・・・患者識別番号判定処理部(プログラム)、318・・・薬剤トレー側既登録患者識別番号記憶部、319・・・薬剤トレー側薬剤ICタグ情報記憶部、320・・・薬剤判断処理部(プログラム)、400・・・ラック
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、患者等の治療に用いる薬剤を配置する薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、患者等の治療のために用いられる薬剤等は、医師の指示に基づいて処方され、これらは「カルテ」と呼ばれる。
このカルテを紙の状態で保管すると、取り扱いが不便等となるため、コンピュータを用いた電子カルテが提案されている。また、このような電子カルテのデータも通信等で、電子データとして取得し、この電子データを電子カルテに反映させるシステム等が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、病院等では、このような「カルテ」に従い、薬剤師等が患者毎に処方する薬剤等の薬を薬配置部である例えば、薬剤トレー等に配置する。そして、看護師等が、この薬剤トレーと共に、薬剤を患者の元に運ぶ構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―22969公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、薬剤等は、薬剤トレー等に間違いなく配置される必要があり、その確認が薬剤師等にとって大きな負担となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、患者に対して処方された薬剤等を確実に配置することができる薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明にあっては、患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部であって、当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部を有することを特徴とする薬配置部により達成される。
【0007】
前記構成によれば、薬情報取得部から取得した医療処方情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部を有する。
このため、例えば、薬剤トレー等の薬配置部に薬剤師等が配置した薬が,当該薬剤トレーに記憶された当該患者の処方薬剤等の患者医療処方情報と合致しているか否か、すなわち、薬配置部に載せた薬が間違っているか否かを迅速且つ正確に判断することができる。
したがって、患者に対して処方された薬剤等の薬を確実に配置することができる薬配置部となる。
【0008】
好ましくは、前記薬の重量を計測する薬重量計測部を有し、前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、当該薬の重量に関する薬重量情報を有し、前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の当該薬の重量に関する薬重量情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報の前記薬重量情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、医療処方情報判断処理部が、医療処方情報の当該薬の重量に関する薬重量情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報の薬重量情報とを比較して同一性を判断する。
このため、薬剤トレー等の薬配置部に配置される薬の種類だけでなく、その処方における重量の適否も確認できる。したがって、精度の高い薬の配置を迅速に行うことができる。
【0010】
好ましくは、前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、前記薬の処方時刻情報を有し、前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の前記薬の処方時刻情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報前記薬の処方時刻情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする。
【0011】
前記構成によれば、医療処方情報判断処理部が、医療処方情報の薬の処方時刻情報と、患者医療処方情報記憶部の患者医療処方情報前記薬の処方時刻情報とを比較して同一性を判断する。
このため、薬剤トレー等の薬配置部に配置される薬の種類だけでなく、その処方の日等の処方時刻の適否も確認できる。したがって、処方日の間違い等も迅速に判断でき、精度の高い薬の配置を迅速に行うことができる。
【0012】
好ましくは、前記薬情報記憶部が無線IC(半導体集積回路)タグで形成され、前記薬情報取得部が、前記無線ICタグ内のデータを受信するリーダ装置から成ることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、前記医療処方情報を記憶する医療処方情報装置と、前記薬配置部に前記薬を配置する薬関連従事者が所持する薬関連従事者端末と、前記薬配置部と、を有する薬配置部管理システムであって、前記薬関連従事者端末を所持した薬関連従事者が、前記医療処方情報装置と接触することで、前記医療処方情報装置から前記薬関連従事者端末へ、自動的に前記医療処方情報を取得でき、さらに、前記薬配置部と接触することで、自動的に前記薬関連従事者端末から前記薬配置部へ、自動的に前記医療処方情報を送信することができる構成となっていることを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、薬関連従事者端末を所持した薬関連従事者が、医療処方情報装置と接触することで、医療処方情報装置から薬関連従事者端末へ、自動的に医療処方情報を取得でき、さらに、薬配置部と接触することで、自動的に薬関連従事者端末から薬配置部へ、自動的に医療処方情報を送信することができる構成となっている。
このため、薬剤師等の薬関連従事者は、薬関連従業者端末を所持した状態で、電子カルテ等の医療処方情報装置に触れるだけで、医療処方情報を取得することができる。
このため、従来のように薬剤師等がコンピュータ等を操作する必要がないので、薬剤師等の負担が軽減されることとなる。
【0015】
また、薬剤師等は、医療処方情報を自己の薬関連従事者端末に自動的に取得でき、さらに、自動的に医療処方情報を薬配置部に送信することができるので、薬剤師等の薬関連従事者は間違いなく、迅速且つ確実に患者の医療処方情報を、当該患者の薬剤トレー等である薬配置部に記憶させることができる。
したがって、薬剤師等の負担を著しく軽減させることができる。さらに、前記構成は、新たなシステムを構築させる必要がないため、薬剤師等の薬関連従事者の負担を低コストで軽減することもできる。
【0016】
好ましくは、医療従事者が有する医療従事者端末と、前記薬配置部を配置するラック部を有し、前記ラック部及び/又は前記薬配置部は、点灯するランプ部を有し、前記医療従事者端末を所持した医療従事者が、前記ラック部と接触することで、自動的に、前記薬配置部と通信することができると共に、前記医療従事者端末が有する前記医療処方情報に対応する前記患者医療処方情報を有する前記薬配置部及び/又は前記薬配置部の前記ランプ部が点灯する構成となっていることを特徴とする。
【0017】
前記構成によれば、医療従事者端末を所持した医療従事者が、ラック部と接触することで、自動的に、薬配置部と通信することができると共に、医療従事者端末が有する医療処方情報に対応する患者医療処方情報を有する薬配置部及び/又は前記薬配置部の前記ランプ部が点灯する構成となっている。
このため、看護師等の医療従事者がラックに触れるだけで、所望の患者の薬剤トレー等である薬配置部を見つけることができるので、極めて迅速に薬配置部を患者の元へ運ぶことができ、看護師等の負担を軽減させることができる。
【0018】
上記目的は、本発明にあっては、患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部を用いる薬管理方法であって、当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、を有し、制御部が、前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断することを特徴とする薬管理方法により達成される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、患者に対して処方された薬剤等の薬を確実に配置することができる薬配置部、薬配置部管理システム及び薬管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の薬配置部管理システムである例えば、薬剤トレー管理システムを示す概略図である。
【図2】薬剤トレーを示す概略斜視図である。
【図3】薬剤ケースを示す概略斜視図である。
【図4】ラックと薬剤トレー等を示す概略図である。
【図5】薬剤師端末と電子カルテ装置を例とした人体通信の概略説明図である。
【図6】図1の薬剤師端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図7】薬剤ICタグの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図8】図1の電子カルテ装置及び看護師端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図9】図1の薬剤トレーの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図10】図1の患者端末の主な構成を示す概略ブロック図である。
【図11】図1の輸液ポンプの主な構成を示す概略ブロック図である。
【図12】図1の薬剤師端末が、電子カルテ装置からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
【図13】薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
【図14】薬剤トレー選択工程を示す他の概略フローチャートである。
【図15】図1の看護師端末が、電子カルテ装置からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
【図16】薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明の薬配置部管理システムである例えば、薬剤トレー管理システム1を示す概略図である。
薬剤トレー管理システム1は、図1に示すように、病院の薬局等で働く薬関連従事者である例えば、薬剤師甲が所持等する薬関連従事者端末である例えば、薬剤師端末110を有する。
また、薬剤トレー管理システム1は、患者のための医療処方情報である例えば、オーダー情報(薬剤等処方データ)を含む電子カルテを蓄積する電子カルテ装置10(医療処方情報装置の一例)を有している。
この電子カルテは、例えば、患者の識別番号毎に電子カルテ装置10内に蓄積され、電子カルテ装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等となっている。
【0023】
また、図1の薬剤トレー管理システム1は、上述のオーダー情報に従い、当該患者に処方すべき薬剤等を配置する薬剤配置部である例えば、薬剤トレー30を有している。
図2は、薬剤トレー30を示す概略斜視図である。図2に示すように、薬剤トレー30は、上側が開放した箱形を成しており、その中に後述する薬剤ケース130に覆われた薬である薬剤を収容するための例えば、4つの薬剤配置領域310a、310b、310c、310dが形成されている。
【0024】
図3は、薬剤ケース130を示す概略斜視図である。図3に示すように、その中に薬剤が収容されている薬剤ケース130の外面には、薬情報記憶部である例えば、薬剤ICタグ140が設けられている。
この薬剤ICタグ140は、無線IC(半導体集積回路)タグであり、図2の薬剤トレー30に形成されている薬情報取得部である例えば、ICタグリーダ300と通信可能な構成となっている。
このICタグリーダ300は、図2に示すように、薬剤トレー30の四方に起立して配置されているトレー壁部311の例えば、2つの長手方向(矢印X1及びX2方向)に沿って、移動可能に形成されている。
このため、図2の薬剤配置領域310a等に図3の薬剤ケース130が配置されると、薬剤トレー30のICタグリーダ300が、薬剤ケース130の表面に配置されている薬剤ICタグ140と通信を行うことができる構成となっている。
【0025】
ところで、図3の薬剤ICタグ140には、薬剤ケース130に収容されている薬剤の薬剤名や薬重量情報である薬剤重量等のデータが格納されている。
したがって、薬剤トレー30は、ICタグリーダ300により、薬剤ICタグ140内の薬剤名等のデータを取得することができる構成となっている。
【0026】
また、図2に示す薬剤トレー30の薬剤配置領域310a等には、薬重量計測部である例えば、重量センサ312が配置され、それぞれ、薬剤配置領域310a等に配置された薬剤ケース130の重量を計測することができる構成となっている。
なお、薬剤トレー30の短手方向のトレー壁部311には、点灯するランプ部である例えば、LED等から成るランプ313が形成されている
そして、図2に示す薬剤トレー30は、図4に示すように、金属製のラック部であるラック400に配置される。図4は、ラック400と薬剤トレー30等を示す概略図である。
【0027】
また、図1の薬剤トレー管理システム1は、病院の患者が所持する患者端末50を有すると共に、患者の治療に用いる医療機器である例えば、輸液ポンプ70を有している。
この輸液ポンプ70は、患者等の側の点滴等に配置され、薬液等の点滴液を患者等へ供給する際、制御することが可能な構成となっている。
具体的には、輸液ポンプ10は、弾力が高く自己拡張性のある輸液チューブを使用し、これを機械に挟み込んでローラーで押すことにより予め設定された薬液を患者に提供する構成となっている。
【0028】
さらに、薬剤トレー管理システム1は、患者の処置等を行う医療従事者である例えば、看護師が所持する医療従事者端末である例えば、看護師端末90も備えている。
このうち、薬剤師端末110、患者端末50及び看護師端末90は、それぞれ、人が所持するため例えば、腕時計型となっており、患者や看護師は、その腕に配置することが可能な構成となっている。
なお、これら薬剤師端末110、患者端末50及び看護師端末90は、腕時計型に限らず、携帯電話型、B5(A4)ノート型、メガネ型、アクセサリー型(ネックレス、ピアス)、ペン型、ベルト型、ベルト装着型(歩数計、活動量計等)等であってもよい。
【0029】
そして、これら薬剤師端末110、電子カルテ装置10、薬剤トレー30、患者端末50、輸液ポンプ70及び看護師端末90は、それぞれ、薬剤師端末111、電子カルテ側通信装置11、薬剤トレー側通信装置31、患者側通信装置51、輸液ポンプ側通信装置71及び看護師側通信装置91を有し、相互に通信可能な構成となり、この通信は、所謂、人体通信方式となっている。
これら各通信装置は、それぞれ、送信機能と受信機能を共に有してもよく、また、それぞれの役割に応じて、いずれか一方のみの機能を有する構成としてもよい。
【0030】
この人体通信方式は、人の体に微弱な電流等を流すことで行われる通信であり、専用の装置を装着した人が他の同様の装置を装着した人等に触れることで通信が可能となる方式である。また、人体通信方式は、通信に際し、電流を流す場合と電界を発生させる場合があり、それぞれ、電流方式、電界方式と呼ばれる。
電流方式の場合は、人体の表面に数百マイクロアンペアの電流を流すことで通信を行う。実施の形態では、電流方式の人体通信方式を例に以下、説明する
【0031】
図5は、薬剤師端末110と電子カルテ装置10を例とした人体通信の概略説明図である。
人体通信は、薬剤師端末110と電子カルテ装置10だけでなく、図1に示すように、薬剤師端末110や看護師端末90と薬剤トレー30、看護師患者端末50及び輸液ポンプ70等との間でも行うことができるが、図5では、薬剤師端末110と電子カルテ装置10を例に、本実施の形態における人体通信を説明する。
【0032】
図5に示すように、薬剤師端末110を有する薬剤師甲が、電子カルテ装置10であるPCの筐体等に接触すると、薬剤師甲の腕に配置されている薬剤師端末110の薬剤師側通信装置111は、薬剤師甲の人体及び電子カルテ装置10の筐体等を介して、電子カルテ装置10の電子カルテ側通信装置11と電気的に通信可能となる。
【0033】
すなわち、図5の電流Eは、薬剤師端末110から薬剤師甲の人体上を流れ、電子カルテ装置10の電子カルテ側通信装置11に到達することになり、この電流の流れにより、通信が可能となる。
また、本実施の形態では、薬剤師側通信装置111は、薬剤師甲が電子カルテ装置10に触れるだけで、電子カルテ側通信装置11と通信可能となり、逆に、薬剤師甲が電子カルテ装置10から手等を離すことで、通信が終了する。
【0034】
この点、従来は、薬剤師が電子カルテ装置であるPCを操作して、患者の薬剤等処方データ(カルテ)を取得していたため、操作が煩雑で、操作間違い等が発生するおそれがあった。
本実施の形態では、図5に示すように、薬剤師甲が電子カルテ装置10に触れるだけで通信をし、例えば、患者のカルテ情報の取得等をすることができるので、薬剤師等に負担がかからず、カルテの取り違い等も生じない構成となっている。
【0035】
図1に示す、薬剤師端末110、電子カルテ装置10、薬剤トレー30、患者端末50、輸液ポンプ70及び看護師端末90等は、それぞれ、コンピュータを有し、コンピュータは、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を有し、バスを介して接続されている。
【0036】
図6は、図1の薬剤師端末110の主な構成を示す概略ブロック図である。
図6に示すように、薬剤師端末110は、薬剤師端末制御部112を有し、上述の薬剤師側通信装置111、薬剤師端末表示装置116及び各種データを入力する薬剤師端末入力装置113等を有し、これらは薬剤師端末制御部112で制御されている。なお、図6の薬剤師端末110の記憶部等については、後述する。
【0037】
図7は、薬剤ICタグ140の主な構成を示す概略ブロック図である。
図7に示すように。薬剤ICタグ140は、薬剤ICタグ制御部141を有し、上述の薬剤トレー30のICタグリーダ300と通信する薬剤ICタグ側通信装置142を有している。
【0038】
図8は、図1の電子カルテ装置10及び看護師端末90の主な構成を示す概略ブロック図である。
図8に示すように、電子カルテ装置10は、電子カルテ制御部12を有する。また、電子カルテ装置10は、上述の電子カルテ側通信装置11、情報を入力するための電子カルテ入力装置13及び情報を表示するための電子カルテ表示装置14等を有し、これらは、電子カルテ制御部12で制御されている。
なお、図8の電子カルテ装置10の記憶部や処理部等については、後述する。
【0039】
図8の看護師端末90は、看護師端末制御部92を有する。また、看護師端末90は、上述の看護師側通信装置91、看護師端末入力装置93、看護師端末表示装置94等を有し、これらは、看護師端末制御部92で制御されている。
なお、図8の看護師端末90の記憶部等については、後述する。
【0040】
図9は、図1の薬剤トレー30の主な構成を示す概略ブロック図である。
図9に示すように、薬剤トレー30は、薬剤トレー制御部32を有する。また、薬剤トレー30は、上述の重量センサ312、薬剤トレー側通信装置31、薬剤トレー入力装置33、薬剤トレー側表示装置314、ランプ313及びICタグリーダ300等を有し、これらは、薬剤トレー制御部32で制御されている。
なお、図9の薬剤トレー30の記憶部や処理部等については、後述する。
【0041】
図10は、図1の患者端末50の主な構成を示す概略ブロック図である。
図10に示すように、患者端末50は、患者端末制御部52を有する。また、患者端末50は、上述の患者側通信装置51を有し、これは、患者端末制御部52で制御されている。
【0042】
図11は、図1の輸液ポンプ70の主な構成を示す概略ブロック図である。
図11に示すように、輸液ポンプ70は、輸液ポンプ制御部72を有している。また、輸液ポンプ70は、上述の輸液ポンプ側通信装置71及び輸液ポンプ本来の機能を発揮する部分である輸液ポンプ本体75等を有し、これらは、輸液ポンプ制御部72で制御されている。
【0043】
図12乃至図16は、本実施の形態にかかる薬剤トレー管理システム1の主な動作等を示す概略フローチャートである。
本実施の形態では、薬剤師甲が、電子カルテ装置10から自己の担当の患者のオーダー情報(医薬処方情報及び患者医療処方情報の一例)を取得し、その後、薬剤師甲が、図2の薬剤トレー30に触れると、このオーダー情報が薬剤トレー30へ送信、記憶される。その後、看護師乙が図1に示す看護師端末90を所持し、電子カルテ装置10から自己の担当の患者のオーダー情報を取得し、その後、薬剤トレー30を、当該患者の元で運び、患者を確認して、輸液ポンプ70を動作させるという一連の動作を例に以下、説明する。
また、この例を説明するにあたり、図12乃至図16のフローチャートに沿って説明すると共に、図1乃至図5の記憶部や処理部等についても説明する。
【0044】
図12は、図1の薬剤師端末110が、電子カルテ装置10からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、薬剤師甲は、図1の薬剤師端末110を腕等に装着して、電子カルテ装置10の筐体等に、その手等を触れる。
すると、図5に示すように、薬剤師側通信端末111と電子カルテ側通信装置11との間に、人体通信が行われ、薬剤師端末110から電子カルテ装置10に、オーダー情報取得要求を送信する。
なお、この際、薬剤師端末110は、図6の薬剤師識別番号記憶部114内に記憶されている自己の薬剤師識別番号を電子カルテ装置10へ送信する。
次いで、ST1で、電子カルテ装置10は、薬剤師端末110からオーダー情報取得要求が送信されたか否かを判断する。
【0045】
ST1で、電子カルテ装置10が薬剤師端末110からのオーダー情報取得要求を受信したと判断した場合は、ST2へ進む。
ST2では、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報検索決定処理部(プログラム)15が、オーダー情報記憶部16を参照して、当該薬剤師端末110の薬剤師の薬剤師識別番号と関連付いているオーダー情報が存在するか否かを探す。
ところで、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報記憶部16内では、患者毎の薬剤等処方データであるオーダー情報が、担当薬剤師の薬剤師識別番号と関連付けて記憶されている。
このため、ST2で、電子カルテ装置10は、アクセスしてきた当該薬剤師の薬剤師識別番号から、当該薬剤師が担当する患者のオーダー情報が存在する否かを容易に判断することができる。
【0046】
なお、「オーダー情報」には、処方された薬剤名、処方日(処方時刻情報の一例)、重量情報、医師識別番号、患者識別番号、薬剤師識別番号、看護師識別番号等が含まれている。
また、処方日については、処方する年・月・日、さらには必要に応じて処方する時間の情報が含まれていることが好ましい。
ST2で、図8のオーダー情報記憶部16内に、当該薬剤師識別番号と関連付けられているオーダー情報があった場合は、ST3へ進む。
【0047】
ST3では、電子カルテ装置10が、薬剤師端末110に、当該薬剤師識別番号と関連付けられている患者のオーダー情報を送信する。
したがって、薬剤師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報のみを効率的に、自己の薬剤師端末110に取得することができる。また、このオーダー情報は自動的に且つ間違いなく送信されるので、極めて信頼性の高い情報となる。
【0048】
一方、ST2で、図8のオーダー情報記録部16には、当該薬剤師の薬剤師識別番号と関連付けられているオーダー情報が存在しない場合は、ST4へ進む。
すなわち、電子カルテ装置10は、図8のオーダー情報記憶部16内のオーダー情報のうち、いずれの薬剤師識別番号とも関連付けられていないオーダー情報を選択し、薬剤師端末90へ送信する。
したがって、薬剤師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報に近い情報を、選択的して薬剤師端末110に取得することができることになり、自己の担当の患者のオーダー情報を探し易くなる。これは、薬剤師甲の負担を権限させることができる。
【0049】
次いで、ST5へ進む。ST5では、薬剤師端末110が、電子カルテ装置10から送信されたオーダー情報を図6の薬剤師側オーダー情報記憶部115に記憶すると共に、図6の薬剤師端末表示装置116に表示する。
次いで、ST6へ進む。ST6では、図6の薬剤師端末110の薬剤師側オーダー情報選択処理部(プログラム)117が動作し、薬剤師甲が図6の薬剤師端末入力装置113で、薬剤師端末表示装置116に表示されているオーダー情報から特定の患者のオーダー情報を選択したか否かを判断する。
【0050】
ST6で、薬剤師端末入力装置113で、オーダー情報が選択されると、ST7へ進む。ST7では、薬剤師端末入力装置113で選択された選択オーダー情報(処方された薬剤名、処方日、薬剤重量、医師識別番号、患者識別番号、薬剤師識別番号、看護師識別番号等)が,図3の薬剤師端末110の選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部118に記憶される。
【0051】
以上で、図12の工程が終了するが、この図12の工程では、薬剤師端末110が、電子カルテ装置10から簡易且つ正確に、所望の患者のオーダー情報を迅速に取得することができる。
また、従来は、電子カルテ装置からオーダー情報を取得するには、コンピュータの操作をマスターする必要があり、薬剤師に負担を強いていた。この点、本実施の形態では、薬剤師は、電子カルテ装置10に接触するだけで、必要がオーダー情報を取得することができるので、極めて使い易い薬剤トレー管理システム1となっている。
【0052】
図13は、薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
図12の工程で、自己が担当する所望の患者のオーダー情報を自己の薬剤師端末110に取得した薬剤師甲は、次に、この患者のためのオーダー情報に従い、図2の薬剤トレー30上に、オーダー情報に対応する薬剤の薬剤ケース130を配置することになる。
【0053】
先ず、薬剤師端末110を所持した薬剤師甲が、薬剤トレー30に接触する。すると、ST11で、薬剤トレー30の薬剤トレー側通信装置31と薬剤師側通信装置111は人体通信で、通信状態となる。
そして、ST11では、薬剤トレー30が、薬剤師端末110の看護師識別番号記憶部114内の薬剤師識別番号を受信したか否かを判断する。
【0054】
ST11で、薬剤師識別番号を取得すると、ST12へ進む。ST12では、図9の薬剤トレー30の薬剤師識別番号判定処理部(プログラム)315が動作し、受信した薬剤師識別番号と、図9の薬剤師識別番号一覧情報記憶部316内に記憶されている薬剤師識別番号を比較し、受信した薬剤師識別番号が、薬剤師識別番号一覧情報記憶部316の看護師識別番号に含まれているか否かを判断する。
【0055】
この薬剤師識別番号一覧情報記憶部316には、薬剤トレー30に薬剤ケース130等を配置する権限を有する薬剤師の薬剤師識別番号が登録されている。
したがって、ST12で、受信した薬剤師識別番号が、薬剤師識別番号一覧情報記憶部316の薬剤師識別番号に含まれている場合は、権限を有する者であると判断することができる。
【0056】
このように、本実施の形態では、薬剤トレー30の操作権限がない者による薬剤トレー30の操作を未然に防止し、事故等の発生を未然に防止することができる構成となっている。
【0057】
ST12で、受信した薬剤師識別番号が、薬剤師識別番号一覧情報記憶部316の薬剤師識別番号に含まれている場合は、ST13へ進む。ST13では、薬剤トレー30が薬剤師端末30に、オーダー情報の送信を要求する。
そして、ST14で、薬剤師端末110が、図6の選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部118内のオーダー情報を、薬剤トレー30へ送信する。
【0058】
次いで、ST15へ進む。ST15では、図9の患者識別番号判定処理部(プログラム)317が動作し、ST14で受信したオーダー情報の「患者識別番号」が、図9の薬剤トレー30の薬剤トレー側既登録患者識別番号記憶部318内の「患者識別番号」と一致するか否かを判断する。
【0059】
この薬剤トレー側既登録患者識別番号記憶部318は、当該薬剤トレー30を使用する患者の「患者識別番号」が記憶されている。
したがって、ST15で、「患者識別番号」の比較をし、一致した場合は、正しい患者のオーダー情報と判断する。
【0060】
このように、本実施の形態では、薬剤師甲が薬剤トレー30に接触するだけで、当該薬剤師が当該薬剤トレー30の操作権限があるか否かを判断できる。
さらに、薬剤師甲の薬剤師端末110の有する「オーダー情報」の患者情報が、当該薬剤トレー30を使用する患者情報と一致するか否かも判断できるので、薬剤師甲が間違って、当該患者とは異なる患者用の薬剤トレー30に、オーダー情報を提供するという事態の発生を未然に防ぐことができる。
【0061】
図13のST15で、「患者識別番号」が一致した場合は、ST16へ進む。ST16では、薬剤トレー30は、図6の薬剤師端末110の選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部118内の選択オーダー情報(処方された薬剤名、処方日、薬剤重量、医師識別番号、患者識別番号、薬剤師識別番号、看護師識別番号等)が、図9の当該薬剤トレー用オーダー情報記憶部36(患者医療処方情報記憶部の一例)に記憶される。
このように、本実施の形態では、薬剤師甲は、薬剤トレー30に接触するだけで、薬剤トレー30に「オーダー情報」を送信できるので、看護師甲等の負担を著しく軽減することができる。
【0062】
次いで、ST17へ進む。ST17では、図2の薬剤トレー30の重量センサ312が薬剤ケース130の重量を検知したか否かが判断される。
これは、薬剤師甲が、当該薬剤トレー30の図2の薬剤配置領域310a等に、当該薬剤トレー30の患者用に薬剤ケース130を配置したことを検知する意味も有する。
【0063】
ST17で、重量センサ312が、薬剤ケース130の重量を検知した場合、ST18へ進む。ST18では、図2の薬剤トレー30のICタグリーダ300が矢印X1及びX2へ移動し、薬剤トレー30の薬剤配置領域310a等に配置された薬剤ケース130に配置されている図3の薬剤ICタグ140と通信し、薬剤ICタグ140内の薬剤データ(薬剤名、薬剤重量等)を取得する。そして、図9の薬剤トレー側薬剤ICタグ情報記憶部319に記憶する・
このような動作は、図9の薬剤判断処理部(プログラム)320が実行する。
【0064】
次いで、ST19へ進む。ST19では、医療処方情報判断処理部である図9の薬剤判断処理部(プログラム)320が動作し、薬剤トレー側薬剤ICタグ情報記憶部319内の薬剤ケース130内の薬剤データと、図9の当該薬剤トレー用オーダー情報記憶部36内の薬剤師端末110から取得した(選択)オーダー情報とを比較して、薬剤ケース130の薬剤データが正しいか否かを判断する。
このとき、オーダー情報には、薬剤名情報だけでなく、その薬剤の重量や処方日情報も有するため、薬剤名が正しいか否かのみならず、薬剤トレー30上の薬剤ケース130の重量の可否や、処方日の可否も判断することができる構成となっている。
【0065】
次いで、ST19で、薬剤ケース130側のデータが,オーダー情報と一致しない場合は、薬剤師甲が薬剤トレー30に配置した薬剤ケース130の薬剤が、オーダー情報と相違し、誤っていることとなる。
このため、薬剤トレー30は、ST20で、その相違するデータを図9の薬剤トレー側表示装置314に表示して、薬剤師甲に注意を促すことができる。
【0066】
一方、ST19で、薬剤ケース130側のデータが,オーダー情報と一致した場合、ST21で、正常に処理した旨の表示が、薬剤トレー側表示装置314に表示される。
このように、本実施の形態では、薬剤師甲が、患者用の薬剤トレー30に薬剤ケース130を配置するだけで、当該薬剤ケース130がオーダー情報と合致した正しい薬剤等か否かを迅速且つ確実に判断することができる。
また、このとき、薬剤名のみならず、その薬剤重量や処方日の適否等も判断することができる。
【0067】
図15は、図1の看護師端末90が、電子カルテ装置10からオーダー情報を取得等する工程を示す概略フローチャートである。
先ず、看護師乙は、図1の看護師端末90を腕等に装着して、電子カルテ装置10の筐体等に、その手等を触れる。
すると、看護師側通信端末91と電子カルテ側通信装置11との間に、図5で説明したと同様の人体通信が行われ、看護師端末90から電子カルテ装置10に、オーダー情報取得要求を送信する。
なお、この際、看護師端末90は、図8の看護師識別番号記憶部95内に記憶されている自己の看護師識別番号を電子カルテ装置10へ送信する。
次いで、ST31で、電子カルテ装置10は、看護師端末90からオーダー情報取得要求が送信されたか否かを判断する。
【0068】
ST31で、電子カルテ装置10が看護師端末90からのオーダー情報取得要求を受信したと判断した場合は、ST32へ進む。
ST32では、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報検索決定処理部(プログラム)15が、オーダー情報記憶部16を参照して、当該看護師端末90の看護師の看護師識別番号と関連付いているオーダー情報が存在するか否かを探す。
ところで、図8の電子カルテ装置10のオーダー情報記憶部16内では、患者毎の薬剤等処方データであるオーダー情報が、担当看護師の看護師識別番号と関連付けて記憶されている。
このため、ST32で、電子カルテ装置10は、アクセスしてきた当該看護師の看護師識別番号から、当該看護師が担当する患者のオーダー情報が存在する否かを容易に判断することができる。
【0069】
ST32で、図8のオーダー情報記憶部16内に、当該看護師識別番号と関連付けられているオーダー情報があった場合は、ST33へ進む。
ST33では、電子カルテ装置10が、看護師端末90に、当該看護師識別番号と関連付けられている患者のオーダー情報を送信する。
したがって、看護師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報のみを効率的に、自己の看護師端末90に取得することができる。また、このオーダー情報は自動的に且つ間違いなく送信されるので、極めて信頼性の高い情報となる。
【0070】
なお、本実施の形態では、当該看護師識別番号と関連付けられている患者のオーダー情報を送信するとしているが、アクセスした日又はその前日のオーダー情報に限り、送信する構成としてもよい。
【0071】
一方、ST32で、図8のオーダー情報記録部16には、当該看護師の看護師識別番号と関連付けられているオーダー情報が存在しない場合は、ST34へ進む。
すなわち、電子カルテ装置10は、図8のオーダー情報記憶部16内のオーダー情報のうち、いずれの看護師識別番号とも関連付けられていないオーダー情報を選択し、看護師端末90へ送信する。
したがって、看護師甲は、自己が担当する患者のオーダー情報に近い情報を、選択的して看護師端末90に取得することができることになり、自己の担当の患者のオーダー情報を探し易くなる。これは、看護師甲の負担を権限させることができる。
【0072】
次いで、ST35へ進む。ST35では、看護師端末90が、電子カルテ装置10から送信されたオーダー情報を図8のオーダー情報記憶部96に記憶すると共に、図3の看護師端末表示装置94に表示する。
次いで、ST36へ進む。ST36では、図8の看護師端末90のオーダー情報選択処理部(プログラム)97が動作し、看護師甲が図8の看護師端末入力装置93で、看護師端末表示装置94に表示されているオーダー情報から特定の患者のオーダー情報を選択したか否かを判断する。
【0073】
ST36で、看護師端末入力装置93で、オーダー情報が選択されると、ST37へ進む。ST37では、看護師端末入力装置93で選択された選択オーダー情報(処方された薬剤名等)が,図8の看護師端末90の選択済みオーダー情報記憶部98に記憶される。
【0074】
以上で、図15の工程が終了するが、この図15の工程では、看護師端末90が、電子カルテ装置10から簡易且つ正確に、所望の患者のオーダー情報を迅速に取得することができる。
また、従来は、電子カルテ装置からオーダー情報を取得するには、コンピュータの操作をマスターする必要があり、看護師に負担を強いていた。この点、本実施の形態では、看護師は、電子カルテ装置10に接触するだけで、必要がオーダー情報を取得することができるので、極めて使い易い医療システム1となっている。
【0075】
図16は、薬剤トレー選択工程を示す概略フローチャートである。
図16の工程で、自己が担当する所望の患者のオーダー情報を自己の看護師端末90に取得した看護師乙は、次に、この患者のために処方された薬剤等を配置した薬剤トレー30を取りに行く。このときに、看護師乙の看護師端末90と薬剤トレー30との間には、以下の通信等が行われる。
【0076】
先ず、看護師端末90を所持した看護師甲が、図4に示す、薬剤トレー30を配置しているラック313に接触する。すると、ST41で、薬剤トレー30の薬剤トレー側通信装置31と看護師側通信装置91は、ラック313を介して、人体通信で、通信状態となる。
このとき、薬剤トレー30が、図8の看護師端末90の選択済みオーダー情報記憶部98内の選択されたオーター情報を取得し、図9の薬剤トレー30の受信選択済みオーダー情報記憶部34に記憶する。
【0077】
次いで、ST42へ進む。ST42では、図9の薬剤トレー30のオーダー情報判断処理部(プログラム)35が動作し、図9の薬剤トレー30の当該薬剤トレー用オーダー情報記録部36の「オーダー情報」と、受信選択済みオーダー情報記録部34の「オーダー情報」を比較し、一致するか否か判断する。
【0078】
すなわち、図9の薬剤トレー30の当該薬剤トレー用オーダー情報記録部36には、当該薬剤トレー30に載置すべき薬剤ケース130等のオーダー情報が記憶されている。
したがって、薬剤トレー30は、オーダー情報判断処理部(プログラム)35により、看護師端末90の「オーダー情報」と一致するかを精度良く判断することができる。
【0079】
ST42で、看護師端末90の「オーダー情報」と薬剤トレー30の「オーダー情報」が一致する場合、ST43へ進む。ST43では、該当する薬剤トレー30の図3及び図4に示すランプ313が点灯する。
したがって、看護師乙は、ラック400に触れるだけで、自己の担当する患者の薬剤ケース130が配置されている薬剤トレー30を迅速に、且つ間違いなく認識することができる。このため、看護師乙の負担を大幅に軽減することができる。
【0080】
一方、ST42で、「オーダー情報」が一致しない場合は、ST44へ進む。ST44では、図8の看護師端末90の看護師端末表示装置94に、オーダー情報が相違する旨の表示が成される。以上で、本工程は終了する。
【0081】
また、看護師乙は、患者端末50や輸液ポンプ70とも、上述の人体通信で、認証等を行い、必要なデータの送信等を行い輸液ポン70を動作させることとなる。
【0082】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。本実施の形態では、医療機器として輸液ポンプ70を例に説明したが、医療機器には、輸液ポンプ70のみならず、シリンジポンプ等も含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1・・・薬剤トレー管理システム1、10・・・電子カルテ装置、11・・・電子カルテ側通信装置、12・・・電子カルテ制御部、13・・・電子カルテ入力装置、14・・・電子カルテ表示装置、15・・・オーダー情報検索決定処理部(プログラム)、16・・・オーダー情報記憶部、30・・・薬剤トレー、31・・・薬剤トレー側通信装置、32・・・薬剤トレー制御部、33・・・薬剤トレー入力装置、34・・・受信選択済みオーダー情報記憶部、35・・・オーダー情報判断処理部(プログラム)、36・・・当該薬剤トレー用オーダー情報記録部、50・・・患者端末、51・・・患者側通信装置、52・・・患者端末制御部、70・・・輸液ポンプ、71・・・輸液ポンプ側通信装置、72・・・輸液ポンプ制御部、90・・・看護師端末、91・・・看護師側通信端末、92・・・看護師端末制御部、93・・・看護師端末入力装置、94・・・看護師端末表示装置、95・・・看護師識別番号記憶部、96・・・オーダー情報記憶部、97・・・オーダー情報選択処理部(プログラム)、98・・・選択済みオーダー情報記憶部、110・・・薬剤師端末、111・・・薬剤師側通信装置、112・・・薬剤師端末制御部、113・・・薬剤師端末入力装置、114・・・薬剤師識別番号記憶部、115・・・薬剤師側オーダー情報記憶部、116・・・薬剤師端末表示装置、117・・・薬剤師側オーダー情報選択処理部(プログラム)、118・・・選択済み薬剤師側オーダー情報記憶部、130・・・薬剤ケース、140・・・薬剤ICタグ、141・・・薬剤ICタグ制御部薬剤ICタグ制御部、142・・・薬剤ICタグ側通信装置、300・・・ICタグリーダ、310a、310b、310c、310d・・・薬剤配置領域、311・・・トレー壁部、312・・・重量センサ、313・・・ランプ、314・・・薬剤トレー側表示装置、315・・・薬剤師識別番号判定処理部(プログラム)、316・・・薬剤師識別番号一覧情報記憶部、317・・・患者識別番号判定処理部(プログラム)、318・・・薬剤トレー側既登録患者識別番号記憶部、319・・・薬剤トレー側薬剤ICタグ情報記憶部、320・・・薬剤判断処理部(プログラム)、400・・・ラック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部であって、
当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、
前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、
前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部を有することを特徴とする薬配置部。
【請求項2】
前記薬の重量を計測する薬重量計測部を有し、
前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、当該薬の重量に関する薬重量情報を有し、
前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の当該薬の重量に関する薬重量情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報の前記薬重量情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする請求項1に記載の薬配置部。
【請求項3】
前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、前記薬の処方時刻情報を有し、
前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の前記薬の処方時刻情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報前記薬の処方時刻情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薬配置部。
【請求項4】
前記薬情報記憶部が無線IC(半導体集積回路)タグで形成され、前記薬情報取得部が、前記無線ICタグ内のデータを受信するリーダ装置から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の薬配置部。
【請求項5】
前記医療処方情報を記憶する医療処方情報装置と、
前記薬配置部に前記薬を配置する薬関連従事者が所持する薬関連従事者端末と、
前記薬配置部と、を有する薬配置部管理システムであって、
前記薬関連従事者端末を所持した薬関連従事者が、前記医療処方情報装置と接触することで、前記医療処方情報装置から前記薬関連従事者端末へ、自動的に前記医療処方情報を取得でき、さらに、前記薬配置部と接触することで、自動的に前記薬関連従事者端末から前記薬配置部へ、自動的に前記医療処方情報を送信することができる構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の薬配置部管理システム。
【請求項6】
医療従事者が有する医療従事者端末と、
前記薬配置部を配置するラック部を有し、
前記ラック部及び/又は前記薬配置部は、点灯するランプ部を有し、
前記医療従事者端末を所持した医療従事者が、前記ラック部と接触することで、自動的に、前記薬配置部と通信することができると共に、前記医療従事者端末が有する前記医療処方情報に対応する前記患者医療処方情報を有する前記薬配置部及び/又は前記薬配置部の前記ランプ部が点灯する構成となっていることを特徴とする請求項5に記載の薬配置部管理システム。
【請求項7】
患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部を用いる薬管理方法であって、
当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、
前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、を有し、
制御部が、前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断することを特徴とする薬管理方法。
【請求項1】
患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部であって、
当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、
前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、
前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断する医療処方情報判断処理部を有することを特徴とする薬配置部。
【請求項2】
前記薬の重量を計測する薬重量計測部を有し、
前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、当該薬の重量に関する薬重量情報を有し、
前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の当該薬の重量に関する薬重量情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報の前記薬重量情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする請求項1に記載の薬配置部。
【請求項3】
前記医療処方情報及び前記患者医療処方情報は、前記薬の処方時刻情報を有し、
前記医療処方情報判断処理部が、前記医療処方情報の前記薬の処方時刻情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報前記薬の処方時刻情報とを比較して同一性を判断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薬配置部。
【請求項4】
前記薬情報記憶部が無線IC(半導体集積回路)タグで形成され、前記薬情報取得部が、前記無線ICタグ内のデータを受信するリーダ装置から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の薬配置部。
【請求項5】
前記医療処方情報を記憶する医療処方情報装置と、
前記薬配置部に前記薬を配置する薬関連従事者が所持する薬関連従事者端末と、
前記薬配置部と、を有する薬配置部管理システムであって、
前記薬関連従事者端末を所持した薬関連従事者が、前記医療処方情報装置と接触することで、前記医療処方情報装置から前記薬関連従事者端末へ、自動的に前記医療処方情報を取得でき、さらに、前記薬配置部と接触することで、自動的に前記薬関連従事者端末から前記薬配置部へ、自動的に前記医療処方情報を送信することができる構成となっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の薬配置部管理システム。
【請求項6】
医療従事者が有する医療従事者端末と、
前記薬配置部を配置するラック部を有し、
前記ラック部及び/又は前記薬配置部は、点灯するランプ部を有し、
前記医療従事者端末を所持した医療従事者が、前記ラック部と接触することで、自動的に、前記薬配置部と通信することができると共に、前記医療従事者端末が有する前記医療処方情報に対応する前記患者医療処方情報を有する前記薬配置部及び/又は前記薬配置部の前記ランプ部が点灯する構成となっていることを特徴とする請求項5に記載の薬配置部管理システム。
【請求項7】
患者に処方する薬に関する医療処方情報に基づいて、当該薬を配置する薬配置部を用いる薬管理方法であって、
当該患者の前記医療処方情報である患者医療処方情報を記憶する患者医療処方情報記憶部と、
前記薬配置部に配置された薬に設けられた当該薬の薬情報記憶部に記憶されている前記医療処方情報を取得する薬情報取得部と、を有し、
制御部が、前記薬情報取得部から取得した前記医療処方情報と、前記患者医療処方情報記憶部の前記患者医療処方情報と比較して同一性を判断することを特徴とする薬管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−203844(P2012−203844A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70548(P2011−70548)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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