説明

虫歯の早期検出システム

虫歯を検出するために画像を処理する方法であって、以下のステップを含む方法を開示する。入射光(16)を歯(20)に向けるステップであって、当該光は歯からの蛍光発光を励起するステップ。蛍光成分(19)から蛍光画像(35)を取得し、歯からの後方散乱光(18)から反射画像(34)を取得するステップ。反射画像にカラーバランス処理を施すステップ。カラーバランス処理された反射画像(82)から鏡面反射成分を除去して後方散乱反射画像(50)を与えるステップ。後方散乱反射画像とともに蛍光画像を登録するステップ。登録された蛍光画像(115)を後方散乱反射画像と組み合わせて診断画像(52)を提供するステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に歯科撮像方法及び歯科撮像装置に関し、特に蛍光発光及び光散乱を用いて虫歯を早期に検出する改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検出、治療、及び、予防技術が改善されているにもかかわらず、虫歯は、依然として、あらゆる年齢層の人々を襲う、流行している病気である。適切に早期に治療しなければ、虫歯は、永久歯の損傷、及び、歯の欠損さえ引き起こすことがある。
【0003】
虫歯検出の従来の方法には、目視検査や鋭利な歯科診査器具での触知などがあり、多くの場合、レントゲン(X線)撮像によって支援される。これらの方法を用いた検出は、やや主観的であり、施術者の専門的技術、感染部位の場所、感染の程度、観察条件、X線装置及び処理の精度や他の要因を含む多くの要因によって、精度が異なる可能性がある。また、X線の放射だけでなく触知法によって、弱体化した歯に損傷を与えたり、感染を広げる恐れがあるなど、従来の検出技術に付随する危険がある。虫歯が目視及び触知検査で明らかになった時には、病気は、一般的に進行した段階であり、詰め物が必要で、折よく治療しなければ、歯を喪失する可能性がある。
【0004】
改善された虫歯検出方法の必要性に応えて、X線を用いない改善された撮像技術に大きな関心が集まってきている。実用化されている方法には、高輝度青色光で歯を照射することによって発光する、蛍光発光を用いたものがある。この技術は、光誘導蛍光定量法(QLF)と呼ばれ、正常で健康な歯のエナメル質は、ある波長からの励起下で、虫歯の感染によって損傷を受けた脱ミネラル化したエナメル質よりも高い強度の蛍光を発するという原理に基づいて作用する。ミネラル損失と青色光の励起に対する蛍光発光の喪失との強い相互関係は、歯の虫歯領域の特定及び評価に用いられる。赤色光の励起に対しては、異なる関係が見られる。すなわち、スペクトル領域に対して、虫歯領域のバクテリア及びバクテリアの副産物は、健康な領域よりも顕著に吸収及び蛍光発光する。
【0005】
虫歯の光学検出に対する提案された解決法を以下に示す。
米国特許第4,515,476号(イングマール)は、レーザを用いて、虫歯領域
の場所を探すための他の波長の蛍光発光を生成する励起エネルギを提供することを
開示している。
米国特許第6,231,338号(デ・ヨセリン・デ・ヨング他)は、蛍光検出を
用いて虫歯を特定する撮像装置を開示している。
米国特許出願公開第2004/0240716号(デ・ヨセリン・デ・ヨング他)
は、蛍光組織から取得した画像に対する改善された画像解析の方法を開示している

米国特許第4,479,499号(アルファノ)は、徹照法を用いて、歯構造の半
透明な特性に基づいて、虫歯を検出する方法を開示している。
【0006】
蛍光挙動を用いた歯科撮像の実用化された製品には、オランダ、アムステルダムのインスペクターリサーチシステム社のQLFクリニカルシステム(QLF Clinical System)がある。異なるアプローチを用いて、イリノイ州チューリッヒ湖のカボデンタル社のダイアグノデントレーザー虫歯検出補助器具(Diagnodent Laser Caries Detection Aid)は、赤色光の照射下でバクテリアの副産物の蛍光発光の強度を測定して、う蝕活動性を検出する。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0202356号(ストーキー他)は、改善された精度で異なる段階の虫歯を検出するための、蛍光発光のスペクトル変化の数理処理を開示している。スペクトル蛍光測定を用いる場合、早期検出が難しいため、’2356号のストーキーの発明は、得られたスペクトル値を高めるアプローチを開示しており、蛍光画像を取得するカメラのスペクトル感度に適したスペクトルデータの変換を行う。
【0008】
開示された方法及び装置は、虫歯検出の非侵入性、非イオン化撮像方法を提供するものとして期待されているが、まだ改良の余地がある。蛍光撮像を用いる現存の技術において1つの認められる欠点は、画像コントラストに関わる。QLFなどの蛍光生成技術によって提供される画像は、健康な領域と感染領域との対比が比較的小さいため、評価が難しいことがある。’2356号のストーキーの発明に記載されているように、スペクトル及び強度の変化は初期虫歯では、非常にわずかなため、非疾患の歯の表面の凹凸を初期虫歯と区別することは難しい。
【0009】
蛍光発光技術では、得られる画像コントラストは、状態の深刻さに対応していることがよく知られている。これらの技術を用いて虫歯を正確に識別するには、多くの場合、状態が、初期または早期の虫歯の状態を過ぎて、進行した段階である必要がある。早期段階の虫歯においては、虫歯と健康な歯の構造の蛍光発光の違いが、非常に小さいからである。このような場合、蛍光発光技術を用いた検出精度には、従来の方法と比べて著しい改善が見られないことがある。この欠点のため、蛍光発光の効果を用いることには、初期虫歯の正確な診断を妨げるという実質的な制限があるように思われる。この結果、虫歯の状態は、より深刻になるまで検出されない可能性があり、詰め物が必要になる。
【0010】
虫歯の進行を妨げる非侵入性の歯科技術を利用するために、虫歯を発現時に検出する必要がある。多くの場合、’2356号のストーキーの発明で認められているように、このレベルの検出は、QLFなどの現存の蛍光発光撮像技術を用いて達成することが困難であることが分かった。この結果、早期虫歯は、検出されないままであることがあるので、陽性検出が得られる時までに、低コストの予防策を用いて好転させる機会が失われる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,515,476号明細書
【特許文献2】米国特許第6,231,338号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0240716号明細書
【特許文献4】米国特許第4,479,499号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0202356号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、特に早期段階での虫歯の検出に対して精度が改善された、虫歯検出の非侵入性、非イオン化撮像方法の必要性があることがわかるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
簡単に説明すると、本発明の一態様においては、虫歯を検出するために画像を処理する方法であって、
(a)歯に入射光を向けるステップであって、当該入射光は、歯の組織からの蛍光発光を励起するステップと、
(b)蛍光発光から蛍光画像データを取得するステップと、
(c)反射光から、歯の組織の反射画像データを取得するステップと、
(d)反射画像データにカラーバランス処理を適用するステップと、
(e)カラーバランス処理された画像データから鏡面反射を除去するステップと、
(f)鏡面反射補償画像データとともに蛍光画像データを登録するステップと、
(g)登録された蛍光画像データを鏡面反射補償画像データと組み合わせて診断画像を提供するステップと、を含む方法が、提供される。
【0014】
本発明の特徴は、歯科撮像に蛍光画像データと反射画像データとの両方を利用することである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果は、現存の蛍光発光撮像技術よりも強化され、初期段階の虫歯の検出に役立つ技術を提供することである。
【0016】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び効果は、以下の詳細な説明を、本発明の実施形態を示して説明した図面と合わせて読むことによって、当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る虫歯検出用撮像装置の概略ブロック構成図である。
【図2】本発明に係る、蛍光画像データと後方散乱画像データとを組み合わせて診断画像を生成する撮像処理の過程を示す図である。
【図3】反射画像データから鏡面反射画像成分を除去する撮像処理ステップを示す概略ブロック図である。
【図4】修正された反射画像データと蛍光画像データのアレイを空間的に登録するステップを示す概略ブロック図である。
【図5】本発明に係る、歯科画像データを組み合わせて診断画像を生成する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、特に、本発明に係る装置の一部を形成する、または、本発明に係る装置とより直接的に連携する要素を対象にしている。具体的に示されていない、または、記載されていない要素は、当該技術の当業者にとって周知の様々な形態をとってもよいことを理解されたい。
【0019】
前項の背景技術に記載したように、蛍光発光は、以下の2つの特徴的な反応のいずれかを用いた虫歯の検出に用いられることが知られている。第1に、青色光源による励起によって、健康な歯の組織は、緑のスペクトル蛍光を発する。第2に、赤色光源による励起によって、虫歯を示すようなバクテリアの副産物は、赤のスペクトル蛍光を発する。
【0020】
本発明においてどのように光が用いられるかを理解してもらうため、生物医学的応用において一般的に用いられる、及び、特に、本発明の方法及び装置において用いられる、「反射」及び「後方散乱」という用語の、より詳細な定義を与えることが重要である。広義の光学的用語では、反射とは、一般的に、鏡面反射と散乱反射との両方を合わせたものを指す。(鏡面反射では、励起光の成分は、入射光と同じ角度で歯の表面に反射される。)しかし、多くの生物医学的応用では、本発明の歯科用途のように、反射のスペクトル成分は、重要ではなく、むしろ、一般的に、サンプルから画像または測定値を取得するのに不利である。本発明にとって重要な反射の成分は、後方散乱光からの成分だけである。鏡面反射は、遮られるか、そうでなければ、撮像経路から除去されなければならない。この区別を頭に入れた上で、本発明では、「後方散乱反射」という用語を、重要な反射成分を示すのに用いている。「後方散乱反射」は、照射された歯の構造によって、広角範囲に渡って弾性的に後方散乱した励起光の成分と定義される。「反射画像」データは、本発明において用いられる場合、後方散乱反射光学成分及び鏡面反射光学成分から得られる画像データを指す。科学文献では、後方散乱反射は、後方反射(back-reflectance)、または、単に、後方散乱(back-scattering)と呼ばれることもある。後方散乱反射は、励起光と同じ波長である。
【0021】
光散乱特性が、健康な歯科領域と虫歯領域とで異なることを示した。特に、照射領域からの光の後方散乱反射は、正常領域と虫歯領域とでは、測定可能なレベルで異なっている。反射のこの変化は、単独では、その効果が、検出可能ではあるが、非常にわずかであるため、単独で検討されると、診断値として十分に明白ではない可能性がある。例えば、虫歯のより進行した段階では、後方散乱反射は、早期段階よりも、より効果の少ない指標になる可能性がある。
【0022】
撮像装置
図1を参照して、一実施形態における方法を用いた虫歯検出用の撮像装置を示す。光源11は、青波長範囲または他の適切な波長範囲で、入射光16を、光学レンズ14または他の光線調整要素を通して、歯20に向ける。例えば歯20の近位面または咬合面が照射されてもよい。そして、光の2つの成分が、レンズ22を通してデジタルカラーカメラ32によって検出される。すなわち、入射光と同じ波長を有し、測定可能な反射率を有する後方散乱光成分18と、入射光によって励起された蛍光成分19である。
【0023】
あるいは、第2光源12が、第2波長範囲で、入射光16を、光学レンズ15または他の光線調整要素を通して、歯20に向ける。この場合、光の2つの成分が、2つの光源のそれぞれへの反応に対応して、レンズ22を通してデジタルカラーカメラ32によって検出される。反射画像成分は、第1光源からの光から生成され、蛍光成分は、第2光源からの光から生成される。
【0024】
デジタルカメラによって生成された2つの対応するデジタルカラー画像は、反射画像34及び蛍光画像35である。これらの2つの画像は、ステップ38の画像処理によって組み合わせられる。図5に示す、結果として生じる2つの画像、後方散乱反射画像50及び診断画像52は、コンピュータモニタ40に表示したり、印刷したり、あるいは、説明のために提示することができる。図1では、後方散乱反射画像及び診断画像だけが表示されて示されている。
【0025】
画像処理
図2を参照すると、ステップ38への2セットの入力データは、2セットの画像アレイデータである。鏡面反射を最小化するために、カメラ及び光源の光学素子を選択してもよいが、反射画像34は、後方散乱反射成分と鏡面反射成分との両方を含んでいる。第2画像は、蛍光画像データを含んでいる。
【0026】
反射画像は、最終診断画像の成分、及び、直視用の両方の用途に用いられるので、まず、ステップ80で、歯への露光のいかなる変化も補償するために、カラー画像アレイの色を補正する。このステップの簡単な実施形態では、赤色成分、緑色成分及び青色成分のそれぞれに、色別の定数、例えば、1.05、1.0、0.95などを乗算することが必要である。3つの定数は、結果として生じるカラー画像が、コンピュータモニタに後で表示される時に、自然なカラーバランスになるように選択されてもよい。この場合、例えば、歯の近くの灰色の物体は、色かぶりした状態ではなく、灰色で表示されるだろう。結果として生じる画像アレイは、カラーバランス処理された反射画像82である。
【0027】
上述したように、後方散乱反射イメージの鏡面反射成分を、撮像経路から回避するか、除去する必要がある。反射画像に、観察されたスペクトル成分、または、スペクトル成分らしきものがある場合、画像処理を用いて、それを低減させることができる。オブジェクト90に示される実施形態は、スペクトル除去処理である。図3に詳細を示す。ステップ91は、(n行×mピクセル×3;赤色記録、緑色記録及び青色記録)の大きさを有する、色が補正された反射画像の受信を示す。ステップ92において、色補正反射画像のいくつかの画像(ピクセル)位置が、値が最大画像信号レベルの信号閾値、例えば90%、を越えるものを選択することによって特定される。これは、色補正反射画像アレイ(配列)の各色記録に対して、または、1つの色記録アレイに対して行われてもよい。特定された複数のピクセル位置は、1つのセット、すなわち1つのマスクアレイm1を形成する。このように特定されたピクセル群は、鏡面反射領域と関連付けられたピクセルのグループを形成してもよいし、または、スプリアス信号の結果であってもよい。小さい領域、すなわち、小さい物体は、モルフォロジ演算の収縮に続き、膨張94によって除去される。収縮及び膨張は、モルフォロジ画像処理(E.R.ドゥーティ,『モルフォロジ画像処理概論』、SPIEオプティカルエンジニアリングプレス、ベリンガム、ワシントン、米国、1992年、第1章)の分野の技術である。結果は、いくつかの連続したピクセルのグループ、すなわち、鏡面反射領域が特定されたロジカル画像アレイである。
【0028】
この処理に続いて、上記の各鏡面反射領域のすぐ周囲にある領域が特定される。この処理への入力は、ステップ94からのロジカル画像アレイマスクm1’である。モルフォロジ膨張96及びピクセル毎の論理減算97の処理が施される。これによって、鏡面反射領域の周囲領域だけが特定された、ロジカル画像アレイm2が得られる。
【0029】
m2の各周囲領域の位置に対して、対応する反射画像の平均ピクセル値が、処理98において演算される。この値は、その後、乱数生成器の出力に加算され、鏡面反射領域毎に一連の信号値を生成する。乱数の数は、各領域m1のピクセルの数と同数である。各鏡面反射領域のピクセル値は、各周囲領域の値のセットに置き換えられる。このように、各領域は、当該領域の周囲領域の平均値にランダムテクスチャが加算されたものとなる。この手順98は、擬似コードとして書かれた次のステップを用いて記述することもできる。
{n1,m1}=m1におけるピクセル位置と対応する値のセット
{n2,m2}=m2における周囲位置と対応する値のセット
n=隣接する領域の数
k=定数
% 各領域に対して
For i=1 to n
num=length(n1(i))
% ランダムテクスチャ変動の生成
% randは、乱数生成
tex=k*rand(num,mean=0)
% 周囲(後方散乱データ)の値の演算
mean2=mean(w*m2(n2(i)))
% 鏡面反射値を後方散乱データに置換
% テクスチャの加算
w(n1(i))=mean2+tex
終了
% 次の行の演算についてのコメントの指示
k=0ならば、テクスチャ信号は加算されないことに留意されたい。ステップ90の出力は、鏡面反射が低減、または、除去された画像である。この画像データは、鏡面反射成分が除去されているので、鏡面反射補償、色補正反射画像、または、単に後方散乱反射画像と呼ばれる。
【0030】
画像処理の次のステップは、反射(w)画像及び蛍光(b)画像の空間的な見当合わせである。この処理は、(回転などではなく)、変換補正のみが必要とされる場合、二次元相関方法(W.K.プラット、『デジタル画像処理』、ジョン・ウィリーアンドサンズ、ニューヨーク、562ページから566ページ、1978年)を用いて行われる。ステップ110は、手順を示す。図4を参照すると、まず、2つの画像データアレイ111に対する相互相関マトリクスが算出される。
【数1】

ここで、wは、後方散乱反射画像アレイであり、bは、蛍光画像アレイである。
【数2】

N及びMは、ピクセルの画像データアレイの寸法、または、対応する切り取った箇所の画像データアレイの寸法のどちらでもよい。各方向について2つの画像データアレイがずれている(オフセットしている)ピクセルの数は、ステップ112において、アレイcが最大になる位置から分かる。アレイbは、ステップ114において、反対方向にシフトされる。結果は、後方散乱反射画像データアレイRに対して見当合わせされた、シフトされた蛍光画像データアレイF、115である。
【0031】
前述したように、修正された画像データの処理では、反射画像データと蛍光画像データとの両方を用いて、歯の虫歯領域の特定に用いることが可能な最終画像を生成する。診断画像52を形成するための反射画像データと蛍光画像データとを組み合わせる方法、すなわちステップ120には、多くの処理方法がある。一実施形態において、この画像処理は、ピクセル毎に診断画像Dを形成するために以下の処理を行う。
【数3】

m及びnは適切な乗数(正の係数)であり、o及びpは定数(正数、負数またはゼロ)であり、Fvalue、Rvalueは、それぞれ、蛍光画像データ、反射画像データから得られたコード値である。o及びpが両方ともゼロである場合、この処理は、同一出願人によるウォングらの、米国特許出願番号第11/262,869の式(1)に記載されたものと同一になる。
【0032】
あるいは、修正画像データは、画像処理で一般的な、一次元ルックアップテーブル(LUT)処理を用いて組み合わせられてもよい。LUT処理では、ベクトルを用いて離散信号マッピングを行う。入力画像の各ピクセル位置に対して、信号値は、LUTベクトルへのインデックスとして用いられる。インデックス値におけるLUTベクトルの値は、その後、入力画像アレイでの現在位置に対応する修正画像に記憶される。従って、式(1)は、以下のようになる。
【数4】

LUTF及びLUTRは、一般的には、長さKのベクトルであり、Kは、Fvalue及びRvalueがとり得る離散レベルの数である。LUTアレイが、値o及びpによる変換を含む場合、式(2)は以下のようになる。
【数5】

【0033】
修正画像データを組み合わせる4番目の方法は、一般化された多変数変換(multivariate transformation)の形式である。式(1)及び(2)は、この方法の特別な場合である。
【数6】

Tは、変換であり、例えば、多項式である。
【数7】

【0034】
修正画像データを組み合わせる5番目の方法は、多次元ルックアップテーブルの形式である。
【0035】
図1を参照すると、診断画像を生成する上記の画像処理に続いて、多くの場合、これらの画像データを印刷、表示及び検査用に修正することが望ましい。診断画像の外観を鮮鋭化する画像処理は、例えば、画像鮮鋭化の適用、または、離散畳み込みを介した高域フィルタリング(high-pass filtering)(G.A.バクセス、デジタル画像処理の原理と応用、ジョン・ウィリー、ニューヨーク、1994年、91ページから95ページ)によって、60において行われることがある。
【0036】
このように、後方散乱反射と蛍光発光とを組み合わせた効果を用いた、早期及び後期段階における虫歯検出の装置及び方法が提供される。
【符号の説明】
【0037】
11 光源
12 光源
14 レンズ
15 レンズ
16 入射光
18 後方散乱光成分
19 光成分
20 歯
22 レンズ
32 カメラ
34 反射画像
35 蛍光画像
38 画像処理
40 ディスプレイ
50 後方散乱反射画像
52 診断画像
60 画像鮮鋭化処理
80 カラーバランス処理
82 カラーバランス処理された反射画像
90 鏡面除去処理
91 カラーバランス処理された反射画像の受信
92 閾値を用いたピクセルの選択
94 収縮膨張処理
96 膨張
97 論理減算
98 鏡面反射領域の置き換え
110 画像空間登録処理
111 相互相関
112 最大相関の選択
114 アレイシフト
115 登録された蛍光画像
120 反射画像と蛍光画像とを組み合わせる処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
虫歯を検出するための画像を処理する方法であって、
(a)歯に入射光を向けるステップであって、前記入射光は前記歯の組織からの蛍光発光を励起するステップと、
(b)前記蛍光発光から蛍光画像を取得するステップと、
(c)反射光から、前記歯の組織の反射画像を取得するステップと、
(d)前記反射画像にカラーバランス処理を適用するステップと、
(e)前記カラーバランス処理された反射画像から鏡面反射を除去するステップと、
(f)前記鏡面反射が補正された画像に、前記蛍光画像を見当合わせするステップと、
(g)前記見当合わせされた蛍光画像を前記鏡面反射が補正された画像と組み合わせて診断画像を提供するステップと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
(h)前記診断画像を表示するステップ、を含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記診断画像を鮮鋭化するステップ、を含む方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記カラーバランス処理された後方散乱反射画像から鏡面反射を除去するステップは、さらに、
(e1)前記カラーバランス処理された後方散乱反射画像において、ハイライトピクセルを特定するステップと、
(e2)前記ハイライトピクセルから小さい物体を除去するステップと、
(e3)周囲領域を特定するステップと、
(e4)前記領域における前記後方散乱反射画像のデータを平均化するステップと、
(e5)前記小さい物体を、前記領域における前記平均化後方散乱画像に置き換えるステップと、を含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、さらに、
(e6)テクスチャを前記領域に加算するステップ、を含む方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記登録された、鏡面反射補償画像と、前記蛍光画像とを組み合わせるステップは、
(g1)画像の各セットにオフセット値を適用するステップ、を含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記登録された、鏡面反射が補正された画像と、前記蛍光画像とを組み合わせるステップは、
(h1)2つの画像の2セットを入力値とする多項式変換を適用するステップ、を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記登録された、鏡面反射補償画像と、前記蛍光画像とを組み合わせるステップは、
(i1)2つの画像の2セットを入力値とする多次元ルックアップテーブルを適用するステップ、を含む方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公表番号】特表2010−516332(P2010−516332A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546393(P2009−546393)
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/000039
【国際公開番号】WO2008/088672
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(507224587)ケアストリーム ヘルス インク (76)
【Fターム(参考)】