説明

蛋白質−多糖類複合体を含む脂溶性有効成分の組成物

【課題】 蛋白質−多糖類複合体を含む脂溶性有効成分の組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、1種またはそれ以上の蛋白質、1種またはそれ以上の多糖類、および1種またはそれ以上の脂溶性有効成分を含む組成物と、食品および飲料、動物飼料、ならびに/または化粧料の補強、強化、ならびに/または着色のためのこれらの使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、1種またはそれ以上の蛋白質、1種またはそれ以上の多糖類、および1種またはそれ以上の脂溶性有効成分を含む組成物に関する。この組成物は、食品および飲料、動物飼料、ならびに/または化粧料の補強(enrichment)、強化(fortification)、および/または着色に使用することができる。本発明はまた、この種の組成物の調製も対象とする。さらに本発明は、この組成物を飲料の成分と混合することによる飲料の製造方法も対象とする。本発明はまた、この方法によって得ることができる飲料も対象とする。
【0002】
脂溶性有効成分、例えば、ベータ−カロテンを含む食品、飲料、動物飼料、または化粧料を補強、強化、または着色するための組成物は当該技術分野において周知である。ベータ−カロテンは色が濃く、上述の用途においては非常に綺麗なオレンジ色を呈するため好ましい着色化合物である。通常、最終組成物は飲料等の水性組成物であるから、補強、強化、および/または着色を行うためのさらなる化合物を組成物に添加する際は、生成物から脂肪(油)相が分離しないようにしなければならず、そうならない場合は対応する生成物が許容できないものになる。
【0003】
したがって、脂溶性有効成分は、最終水性組成物の相分離を防ぐためにデンプンや魚膠等の補助化合物と組み合わせて用いられる場合が多い。ところがこのような補助化合物は、最終製品の色特性および栄養特性に悪影響を及ぼす場合が多い。したがって、組成物の呈味、乳化、エマルジョンの安定性、膜形成性、および/または呈色に関する特性が非常に優れた、改良された補助化合物を含む、脂溶性有効成分の新規な組成物を開発することが望まれている。
【0004】
蛋白質は、食品の乳化剤として長く使用されてきた(E・ディキンソン(E.Dickinson)、D・J・マクレメンツ(D.J.McClements)、蛋白質の機能性の分子基盤(Molecular basis of protein functionality):E・ディキンソン、D・J・マクレメンツ(編)、食品コロイドの発展(Advances in Food Colloids)に収録、ブラッキー・アカデミック・アンド・プロフェッショナル(Blackie Academic & Professional)、英国ロンドン(London,UK)、1995年、pp.26〜79)。しかしながら、等電点、すなわち特定の蛋白質の実効電荷および溶解性が最小になる蛋白質に固有の一定のpHまたはその近傍においては、乳化能力が失われてしまうであろう。さらに、高濃度の塩の存在下においては、蛋白質の静電反発力がスクリーニングされるため、エマルジョンの安定性が低下する。ほとんどの蛋白質は等電点がpH7未満にある。食品および飲料のほとんどは酸性であり、したがって、等電点におけるエマルジョンの安定性が劣るため、食品および飲料産業への蛋白質の適用性は限られている。
【0005】
蛋白質を含む水中油型エマルジョンの安定性は、エマルジョン滴の表面に吸着された乳化剤の電荷密度および構造に大きく依存する。蛋白質の吸着層は、エマルジョンの皮膜を安定化させることによって液滴の合一を防止する。しかし、蛋白質で安定化されたエマルジョンはpHやイオン強度等の環境による負荷に非常に敏感である(ラングナファー・ポングサワトナミット(Rungnaphar Pongsawatmanit)、テプクンヤ・ハーンシラワット(Thepkunya Harnsilawat)、デビッド・J・マクレメンツ(David J.McClements)、Colloids and Surfaces A:Physicochem.Eng.Aspects、第287巻、pp.59〜67、2006年)。水性系のpHが蛋白質の等電点に近づき、かつ/または塩の濃度が高い場合は、蛋白質層の静電反発力が低下し、したがって、蛋白質の析出、エマルジョン滴の合一、およびクリーミングが発生する(エリック・ディキンソン(Eric Dickinson)、Soft Matter、2008年、第4巻、pp.932〜942)。
【0006】
乳化剤としての蛋白質は、pH値が等電点近傍にある場合は、析出が起こるため有効に機能しない(N・G・ディフティサ(N.G.Diftisa)、C・G・ビリアデリスブ(C.G.Biliaderisb)、V・D・キオセオグロウ(V.D.Kiosseoglou)、Food Hydrocolloids、第19巻(2005年)pp.1025〜1031)。
【0007】
エマルジョンの安定性は、共有結合を介して蛋白質−多糖類複合体を形成することによって改善される場合がある(エリック・ディキンソン、Soft Matter、2008年、第4巻、pp.932〜942)。蛋白質−多糖類複合体により、特に、蛋白質単独では溶解性が劣る条件下において乳化特性および立体安定性が改善された(エリック・ディキンソン、Soft Matter、2008年、第4巻、pp.932〜942)。
【0008】
多糖類と複合化させることにより大豆蛋白質の乳化特性が改善されたことも報告されている(N・ディフティス(N.Diftis)およびV・キオセオグロウ、FoodChemistry、第81巻、p.1、2003年;N・ディフティスおよびV・キオセオグロウ、Food Hydrocolloids、第20巻、p.787、2006年;N・G・ディフティス(N.G.Diftis)ら、Food Hydrocolloids、第19巻、p.1025、2005年;N・ディフティスおよびV・キオセオグロウ、Food Chemistry、第96巻、p.228)。蛋白質−多糖類複合体は、特に、油滴のサイズを小さくしてエマルジョンを安定化させることによって蛋白質の乳化特性を改善することができる。このような複合体は、蛋白質および多糖類のメイラード(Maillard)型反応または他の反応によって生成させることができる。この複合体は、未反応の蛋白質成分と一緒に界面に吸着されて、油滴の立体安定化力(steric stabilization force)を向上させる。しかし、蛋白質−多糖類複合体の等電点近傍におけるエマルジョン安定性は食品および飲料用途に用いるには不十分なままであり、食品および飲料用途における蛋白質乳化剤にはまだ問題が残っている。
【0009】
したがって、食品、飲料、動物飼料、化粧料、または医薬組成物を補強、強化、および/または着色するための上述の問題点がない脂溶性有効成分の組成物が依然として求められている。
【0010】
したがって、本発明の目的は、上に示した所望の特性を有する、例えば、光学的透明性およびエマルジョン安定性に関する特性が非常に優れ、かつ/または色の濃さおよび色の安定性(該当する場合)が改善されている、脂溶性有効成分の組成物を提供することにあった。本発明の目的はまた、脂溶性有効成分の組成物の調製方法を、例えば、異なる乳化技法を用いることによって改善することにもあった。
【0011】
この目的は、
a)1種またはそれ以上の脂溶性有効成分、
b)食品用途に好適な蛋白質の群から選択される1種またはそれ以上の蛋白質、および
c)1種またはそれ以上の多糖類
を含み、蛋白質対多糖類の重量比が、bが5以上であるという条件下で、1:bのように選択される組成物によって達成された。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、大豆蛋白質、大豆蛋白質/デキストラン混合物(WR1:9)、大豆蛋白質/デキストラン複合体(WR1:3およびWR1:9)のゼータ電位を示す。
【0013】
先行技術の組成物がエマルジョン安定性に劣る主な要因の一つは、蛋白質対多糖類の重量比が低すぎることにあると考えられている。報告されている蛋白質対多糖類の重量比で最も高いものが1:4であった(S・ミシュラ(S.Mishra)ら、Food Hydrocolloids、第15巻、p.9、2001年;N・G・ディフティスら、Food Hydrocolloids、第19巻、p.1025、2005年;N・ディフティスおよびV・キオセオグロウ、Food Hydrocolloids、第20巻、pp.787〜792、2006年;N・ディフティス、V・キオセオグロウ、Food Chemistry、第96巻(2006年)pp.228〜233;M・アクタル(M.Akhtar)およびE・ディキンソン、Food Hydrocolloids、第21巻、p.607、2007年)。驚くべきことに、重量比を1:5以上に増大させることにより、等電点のpHにおいても蛋白質が析出せず、高イオン強度下でさえも生成し得る安定なエマルジョンが構築されることが見出された。
【0014】
本明細書において用いられる「脂溶性有効成分」という用語は、ビタミンA、D、E、K、およびこれらの誘導体からなる群から選択されるビタミン類;多価不飽和脂肪酸;親油性健康成分;カロテノイド;および風味または香気物質ならびに、これらの混合物を指す。
【0015】
本発明による好適な多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、好ましくは16〜24個の炭素原子を有し、特に、1〜6個の二重結合、好ましくは4または5または6個の二重結合を有する一−または多価不飽和カルボン酸である。
【0016】
不飽和脂肪酸は、n−6系またはn−3系のどちらに属するものであってもよい。n−3多価不飽和酸の好ましい例は、エイコサペンタ−5,8,11,14,17−エン酸およびドコサヘキサ−4,7,10,13,16,19−エン酸であり、n−6多価不飽和酸の好ましい例は、アラキドン酸およびガンマリノレン酸である。
【0017】
多価不飽和脂肪酸の好ましい誘導体は、これらのエステル、例えば、グリセリド、特にトリグリセリドであり、特に好ましくは、エチルエステルである。n−3およびn−6多価不飽和脂肪酸のトリグリセリドが特に好ましい。
【0018】
トリグリセリドは、3つの同じ不飽和脂肪酸を含むものであってもよいし、または2もしくは3種の異なる不飽和脂肪酸を含むものであってもよい。これらはまた、一部に飽和脂肪酸を含むものであってもよい。
【0019】
誘導体がトリグリセリドである場合、通常、3種の異なるn−3多価不飽和脂肪酸がグリセリンによってエステル化されている。本発明の好ましい一実施形態においては、脂肪酸部分の30%がn−3脂肪酸であり、その25%が長鎖多価不飽和脂肪酸であるトリグリセリドが使用される。さらなる好ましい実施形態においては、市販のロプファ(ROPUFA)(登録商標)‘30’n−3食用油(スイス国カイザーアウグスト(Kaiseraugst,Switzerland)のDSM・ニュートリショナル・プロダクツ・リミテッド(DSM Nutritional Products Ltd))が使用される。
【0020】
本発明の他の好ましい実施形態においては、PUFAエステルは、ロプファ(登録商標)’75’n−3EEである。ロプファ’75’n−3EEは、n−3脂肪酸エチルエステルを72%以上含むエチルエステル形態にある精製海産物油(marine oil)である。これは混合トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸で安定化されており、ローズマリー抽出物を含有するものである。
【0021】
本発明の他の好ましい実施形態においては、PUFAエステルはロプファ(登録商標)’10’n−6油であり、これは、DL−アルファ−トコフェロールおよびパルミチン酸アスコルビルで安定化された、ガンマリノレン酸を9%以上含む精製月見草油である。
【0022】
本発明によれば、多価不飽和脂肪酸のトリグリセリドを含む天然油(1種またはそれ以上の成分)、例えば、海産物油(魚油)および/または植物油だけでなく、発酵させたバイオマスまたは遺伝子組み換え植物から抽出した油も有利に使用することができる。
【0023】
多価不飽和脂肪酸のトリグリセリドを含む好ましい油は、オリーブ油、ヒマワリ種子油、月見草種子油、ボラージ油、ブドウ種子油、大豆油、落花生油、コムギ胚芽油、カボチャ種子油、クルミ油、ゴマ種子油、ナタネ油(カノーラ)、ブラックカラント種子油、キウイ種子油、特定の真菌由来の油、および魚油である。
【0024】
多価不飽和脂肪酸の好ましい例は、例えば、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等である。
【0025】
本発明による好ましい親油性健康成分は、レスベラトロール;マルバトウキ属植物(ligusticum);コエンザイムQ10(「CoQ10」とも呼ばれる)、コエンザイムQ9、および/もしくはこれらの還元形態(対応するユビキノール)から選択されるユビキノンおよび/もしくはユビキノール(1種またはそれ以上の成分);ゲニステイン;ならびに/またはアルファ−リポ酸である。
【0026】
本発明の特に好ましい脂溶性有効成分は、カロテノイド、特に、ベータ−カロテン、リコペン、ルテイン、ビキシン、アスタキサンチン、アポカロテナール、ベータ−アポ−8’−カロテナール、ベータ−アポ−12’−カロテナール、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、シトラナキサンチン、およびゼアキサンチンである。ベータ−カロテンが最も好ましい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態においては、組成物は、1種またはそれ以上の脂溶性有効成分を、組成物全体の乾物基準で0.1〜70重量%、さらに好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%、最も好ましくは0.5〜15重量%含む。
【0028】
本発明による好ましい「食品用途に好適な蛋白質」は、植物性蛋白質である。本明細書において用いられる「植物性蛋白質」という用語は、大豆、ルピナス(例えば、シロバナルーピン(L.albus)、アオバナルーピン(L.angustifolius)、またはこれらの変種)、エンドウ、および/またはジャガイモ由来の蛋白質を指す。蛋白質は、この植物の果実(例えば、大豆子実等)や種子(調製(prepared)または加工種子を含む)等の任意の部位から、または全粒粉もしくは脱脂製品(細断片やフレーク等)から単離したものであってもよい。
【0029】
大豆蛋白質が特に好ましい。
【0030】
本明細書において用いられる「多糖類」という用語には、ペクチン、デキストラン、セルロース、セルロース誘導体、マルトデキストリン、デンプン、および/または加工デンプン等の天然および変性多糖類が含まれる。
【0031】
本明細書において用いられる「変性多糖類」という用語は、親油性部分、例えば、直鎖中に好ましくは炭素原子5〜18個の鎖長を有する炭化水素部分を含む多糖類に関連する。好ましくは、変性多糖類は、ヒトが摂取可能なものであるべきであり、すなわち、好ましい変性多糖類は、GRAS(一般に安全と認められる)または世界中の様々な規制当局により食品として認可されたものであるべきである。好ましい変性多糖類は、食用加工デンプンである。
【0032】
本明細書において用いられる「食用加工デンプン」という用語は、周知の化学的方法によりデンプンを疎水性部分で置換することによって作製された加工デンプンに関連する。例えば、アルキルまたはアルケニル炭化水素基で置換された無水コハク酸および/またはグルタル酸等の環状ジカルボン酸無水物でデンプンを処理してもよい。
【0033】
好ましい加工デンプンは、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(「OSAデンプン」)である。OSAデンプンは、デンプン、マルトデキストリン、炭水化物、ガム、コーンシロップ等のさらなる親水コロイドと、場合により、脂肪酸のモノ−およびジグリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、レシチン、ソルビタンモノステアレート等の任意の典型的な乳化剤(コエマルゲーター(co−emulgator)として)、ならびに植物系繊維または糖とを含んでいてもよい。
【0034】
OSAデンプンは、例えば、ナショナル・スターチ(National Starch)からHiCap 100、Capsul、Capsul HS、Purity Gum 2000、UNI−PURE、HYLON VIIの商品名で;ロケット・フレール(Roquette Freres)から;CereStarからCEmCapの商品名で;またはTate & Lyleから市販されている。
【0035】
蛋白質対多糖の重量比は、bが5以上であるという条件下で、1:bのように選択することが好ましく、特に、bは、好ましくは5〜15の範囲、より好ましくは8〜15の範囲、最も好ましくは8〜10の範囲から選択される。
【0036】
本発明の特に好ましい実施形態においては、第1ステップとして、本発明による1種またはそれ以上の蛋白質および1種またはそれ以上の多糖類から蛋白質−多糖類複合体が形成される。
【0037】
したがって、本発明はまた、以下のステップ:
I)蛋白質を水中に懸濁させるステップと、
II)場合により、ステップI)の懸濁液から溶解していない蛋白質を除去するステップと、
III)蛋白質対多糖類の重量比が1:5〜1:15となるよう多糖類を混合するステップと、
IV)場合により、ステップIII)の混合物を乾燥するステップと、
V)(乾燥した)混合物を適切な温度で好適な時間加熱することにより複合体を形成するステップと、
VI)ステップV)の複合体を適切な量の水中に分散させるステップと、
VII)1種またはそれ以上の脂溶性有効成分を含む有機相を複合体に添加するステップと、
VIII)ステップVII)の混合物を当業者に周知の従来の乳化法を用いて乳化するステップと、
IX)場合により、ステップVIII)のエマルジョンを乾燥するステップと
を含む上記組成物の製造方法にも関する(この方法は、本明細書に規定した量の成分を用いて実施してもよい)。
【0038】
乾燥ステップは、当業者に周知の任意の従来の乾燥方法を用いて実施してもよく、噴霧乾燥および/またはパウダー・キャッチ法(powder catch process)(懸濁液を噴霧して液滴をデンプンもしくはケイ酸カルシウムもしくはケイ酸もしくは炭酸カルシウムまたはこれらの混合物等の吸収材の床に捕捉させた後、乾燥させる)が好ましい。
【0039】
加熱ステップおよび/または任意的な乾燥ステップは、蛋白質および多糖類のメイラード型反応を誘発させることができる。
【0040】
ステップV)の複合体は、そのままで使用してもよいし、または後で使用するために乾燥してもよい。
【0041】
よりさらに好ましくは、本発明による組成物は、デキストリンやマルトデキストリン等の1種またはそれ以上のオリゴ糖、特にデキストロース当量(DE)が5〜65の範囲にあるもの、およびブドウ糖液糖、特にDEが20〜95の範囲にあるものをさらに含む。「デキストロース当量」(DE)という用語は加水分解の程度を意味し、乾燥重量を基準としてD−グルコースとして計算される還元糖の量の指標であり、その尺度は、天然デンプンのDEがほぼ0であり、グルコースのDEが100であることに基づいている。好ましくは、本発明による組成物にはマルトデキストリンが使用される。
【0042】
本発明はまた、食品、飲料、動物飼料、および/または化粧料の補強、強化、および/または着色、好ましくは、飲料の補強、強化、および/または着色を行うための上述の組成物の使用も対象とする。
【0043】
本発明の他の面は、上述の組成物を含む食品、飲料、動物飼料、化粧料である。
【0044】
本発明の製品形態を着色剤または添加剤成分として使用することができる飲料は、炭酸飲料、例えば、フレーバー付けされた炭酸水、ソフトドリンク(soft drink)、またはミネラル飲料ならびに非炭酸飲料、例えば、フレーバードウォーター、果汁、フルーツパンチ(fruit punch)、およびこれらの飲料の濃縮形態であってもよい。これらは天然の果汁もしくは野菜汁または人工の風味物質をベースとするものであってもよい。同様に、アルコール飲料および即席粉末飲料も包含される。糖分を含む飲料だけでなく、カロリーゼロおよび人工甘味料を含むダイエット飲料も包含される。
【0045】
さらに、天然由来または合成の乳製品も、本発明の製品形態を着色剤または添加剤成分として使用することができる食品の範囲に含まれる。この種の製品の典型的な例は、乳飲料、アイスクリーム、チーズ、ヨーグルト等である。豆乳飲料や豆腐製品等の乳代用品も本用途の範囲に包含される。
【0046】
本発明の製品形態を着色剤としてまたは添加剤成分として含む、砂糖を多く含む食品(sweets)、例えば、菓子製品(confectionery product)、キャンディー、ガム、デザート類(例えば、アイスクリーム、ゼリー、プディング、プディング用ミックス粉(instant pudding powder)等)も包含される。
【0047】
本発明の製品形態を着色剤としてまたは添加剤成分として含むシリアル、スナック、クッキー、パスタ、スープおよびソース、マヨネーズ、サラダドレッシング等も包含される。さらに、乳製品およびシリアルに使用される加工果実(fruit preparation)も包含される。
【0048】
本発明の組成物を介して食品に添加される1種またはそれ以上の脂溶性有効成分、好ましいカロテノイド、特にベータ−カロテンの最終濃度は、好ましくは、食品組成物の総重量を基準として0.1〜50ppm、特に1〜30ppm、より好ましくは3〜20ppm、例えば約6ppmであってもよく、着色または強化される具体的な食品および目的とする着色または強化の程度に依存する。
【0049】
好ましくは、本発明の食品組成物は、脂溶性有効成分を本発明の組成物の形態で食品に添加することにより得られる。食品または医薬品を着色または強化する場合は、本発明の組成物を水分散性固体製品形態の適用に関しそれ自体周知の方法に従い用いることができる。
【0050】
一般に、この組成物は、水性原液として、乾燥ミックス粉として、または具体的な用途に応じた他の好適な食品成分とのプレミックスとしてのいずれかで添加してもよい。混合は、最終用途の配合に応じて、例えば、乾燥粉体混合機、低剪断ミキサー、高圧ホモジナイザー、または高剪断ミキサーを用いて実施してもよい。この種の専門的方法が専門家の技能の範囲内であることは容易に理解されるであろう。
【0051】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、これらに限定することを意図するものではない。
【0052】
[実施例]
[材料]
大豆蛋白質は、蛋白質含有量が88%(乾燥基準)であるJilin Fuji Protein Co.Ltd.からの(ソヤサワー(Soyasour)4000K、酸性可溶大豆蛋白質)を用いた。この等電点はpH4.7前後である。
【0053】
卵白アルブミン(グレードV)は、シグマ−アルドリッチ・コーポレーション(Sigma−Aldrich Corporation)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO))から得た。
【0054】
デキストラン(62kDa)は、GEヘルスケア(GE healthcare)(英国バッキンガムシャー(Buckinghamshire,United Kingdom)の前アメルシャム・ファルマシア・バイオテック(Amersham Pharmacia Biotech))からの多糖類である。
【0055】
Maltrin 040は、グレイン・プロセシング・コーポレーション(Grain Processing Corporation)(アイオワ州マスカティーン(Muscatine,Iowa))から得た。Maltrin 040は、デキストロース当量が4〜7の多糖類である。
【0056】
[蛋白質−多糖類複合体の調製]
蛋白質−多糖類複合体は、固相または溶液状態で調製することができる。
【0057】
[固相法]
蛋白質を適切なpHで水中に懸濁させた。溶解しなかった蛋白質を除去した(遠心分離を10000rpmで15分間)。可溶な蛋白質を適切な重量比(WR)で多糖類と混合し、混合物を(凍結乾燥により)乾燥した。乾燥した混合物を適切な温度および相対湿度(60℃/79%)で好適な時間加熱することにより複合体を形成した。
【0058】
[溶液法]
蛋白質を適切なpH(pH7または8)で水中に懸濁させた。溶解しなかった蛋白質を除去した(遠心分離を10000rpmで15分間)。可溶な蛋白質を適切な重量比(WR)で多糖類と混合し、適切な温度で好適な時間加熱することにより複合体を形成した。この複合体は、そのまま使用してもよいし、または後で使用するために乾燥して使用してもよい。
【0059】
[エマルジョンの調製]
複合体溶液に適切な体積比(VR)でトウモロコシ油を添加した。pHを調整した後、混合物をホモジナイザー(FJ200−S、中国(China)のShanghai Specimen Model Co.)を用いて10000rpmで1分間室温で予備乳化した後、すぐに超音波処理(Scientz−IID、中国寧波(Ningbo,China)のScientz Biotechnology Co.,Ltd.)を用いて出力450Wで6分間(2.5秒間運転/2秒間停止)室温で乳化した。
【0060】
[粒度測定]
動的光散乱(DLS)測定には毎回希釈直後のエマルジョン試料を使用した。測定は、マルチτデジタル時間相関器(マルバーン(Malvern)PCS7132)および固体レーザー(コヒーレント・インコーポレーテッド(Coherent Inc.)のコンパス(Compass)315M−100、出力約100mW、λ=532nm)を備えたマルバーン・オートサイザー(Malvern Autosizer)4700(英国ウスターシャー州(Worcs,UK)のマルバーン・インストゥルメンツ(Malvern Instruments)を用いて実施した。測定は散乱角を90°に固定して25℃で実施した。測定された時間相関関数を、相関器を取り付けたAutomatic Programで解析した。CONTINモード解析により粒度(z平均流体力学的直径)を得た。2つのバッチの試料について測定を行い、データの平均値を報告した。
【0061】
[等電点近傍におけるエマルジョンの析出の抑制]
[実施例1]
[蛋白質対多糖類の重量比が1:9の場合の様々なpHにおけるエマルジョン安定性]
大豆蛋白質をpH8で水中に分散させ(22mg/mL)、室温で15分間遠心(10000rpm)した。pH8.2における不溶な蛋白質の割合は10%未満であった。上清を、蛋白質対デキストランの重量比が1:9(WR1:9)となるようにデキストランと混合した。溶液のpHを8に調整した後、溶液を凍結乾燥した。乾燥粉末の一部を取り分けて(混合物)他の部分を60℃、相対湿度79%で3日間加熱することにより複合体を形成した。
【0062】
トウモロコシ油(2.5ml)を混合物または複合体の溶液(10ml;15mg蛋白質/ml)に添加した。油対複合体溶液の体積比(VR)を1:4とした。ホモジナイザーを用いて溶液を10000rpmで1分間室温で予備乳化した後、すぐに超音波処理を用いて出力450Wで6分間(運転2.5秒間/停止2秒間)室温で乳化した。エマルジョンのpHを様々な値に調節した後、粒度を測定した。
【0063】
【表1】



【0064】
混合物から調製されたエマルジョンは、pH4、5、および6において蛋白質の析出物が生じたが、複合体から調製されたものには生じなかった。WR1:9の混合物から調製されたエマルジョンの安定性またはエマルジョンの粒度はpH依存性を示したが、その一方で、複合体からのエマルジョンの安定性およびエマルジョンの粒度は有意なpH依存性を示さなかった。
【0065】
[実施例2]
[蛋白質対デキストランの重量比が1:1〜1:3の場合の様々なpH値におけるエマルジョン安定性]
重量比1:1、1:2、および1:3の酸性可溶大豆蛋白質およびデキストランから混合物および複合体を調製した。溶液のpHを7または8に調整した後、溶液を凍結乾燥した。乾燥粉末の一部を取り分けて(混合物)、それ以外の部分を60℃、相対湿度79%で3、9、12時間加熱することによりWR1:1、1:2、および1:3の複合体をそれぞれ形成した。
【0066】
トウモロコシ油(3.333ml)を物理的混合物または複合体の溶液(10ml;20mg蛋白質/ml)に添加した。油対複合体溶液の体積比(VR)を1:3とした。混合物および複合体溶液の蛋白質濃度を20mg/mlとした。溶液をホモジナイザーを用いて予備乳化した後、すぐに超音波処理を施した。エマルジョンのpHを様々な値(pH3、4、5、6、および7)に調節した後、粒度を測定した。
【0067】
【表2】



【0068】
混合物または複合体から調製されたすべてのエマルジョンがpH依存性を示した。複合体(WR1:1〜WR1:3)からのエマルジョンは等電点近傍のpHにおいて不安定であった。大豆蛋白質(pH4.7)の等電点に近いpH4および5においては、混合物および複合体からのエマルジョンに析出物が観察された。
【0069】
[実施例3]
[蛋白質/デキストラン複合体(WR1:12)のエマルジョンの様々なpH値における安定性]
重量比が1:12の蛋白質およびデキストランを一緒に水中に溶解させた。蛋白質の濃度を15mg/mlとした。混合物のpHを8.30に調整した後、凍結乾燥した。凍結乾燥した粉末の一部を取り分けて(混合物)、それ以外の部分を60℃、相対湿度79%で4日間処理することによって複合体を形成した。
【0070】
蛋白質濃度が15mg/mlに到達するように複合体を水中に溶解させた。蛋白質対デキストランの重量比が1:12である蛋白質/デキストランの物理的混合物および複合体から、水溶液の体積を10mlとし、トウモロコシ油を2.5mlとしてエマルジョンを調製した。この溶液をホモジナイザーを用いて予備乳化した後、すぐに超音波処理を施した。
【0071】
【表3】



【0072】
混合物または複合体から調製されたエマルジョンはいずれもpH依存性を示した。しかしながら、複合化の効果を依然として観察することができた。混合物の試料と比較すると、複合体の試料は粒度がより小さく、これは、蛋白質の凝集の程度が低いことを示している。大豆蛋白質の場合、1:9の複合体から調製されたエマルジョンが最も安定性が高かった。
【0073】
[複合体のエマルジョンの高イオン強度に対する耐性]
[実施例4]
[複合体のエマルジョンの安定性に対する様々なイオン強度の影響(乳化前にNaClを添加)]
混合物をそれぞれ50時間および72時間加熱処理することにより複合体試料(WR1:6およびWR1:9)を調製した。
【0074】
混合物または複合体溶液を10mlおよび油(WR1:6には油3.3ml、WR1:9には油2.5ml)を用いて、WR1:6および1:9の物理的混合物または複合体から様々なイオン強度(NaClを0.05M、0.10M、および0.2M)のエマルジョンをpH8.0で調製した。WR1:6については蛋白質の濃度を20mg/mlとし、WR1:9については15mg/mlとした。粒度測定を行うためにpHおよびNaCl濃度の等しい溶液でエマルジョンを希釈した。
【0075】
【表4】



【0076】
WR1:6および1:9の物理的混合物の場合、NaCl濃度が0.05Mでは析出物は生じなかった。さらにNaClを0.1Mに上昇させると析出物が生じた。3種の複合体溶液の場合は、NaCl濃度が0.05、0.10、および0.20Mでも有意な析出は起こらなかった。
【0077】
[実施例5]
[大豆蛋白質/デキストラン複合体のエマルジョンの安定性に対する様々なイオン強度の影響(乳化後にNaClを添加)]
混合物をそれぞれ50時間および72時間加熱処理することにより複合体の試料(WR1:6およびWR1:9)を調製した。
【0078】
混合物または複合体溶液を10mlおよび油(WR1:6には油を3.3ml、WR1:9には油を2.5ml)を用いて、WR1:6および1:9混合物または複合体からエマルジョンをpH8.0で調製した。WR1:6については蛋白質の濃度を20mg/mlとし、WR1:9については15mg/mlとした。DLS試料用として、pH8でエマルジョンを希釈することにより様々なイオン強度(NaCl:0M、0.05M、0.10M、0.20M)にした。
【0079】
【表5】



【0080】
物理的混合物から調製された試料ではNaClが0.05Mという低いイオン強度で析出物が生じた一方で、複合体試料においてはNaClが0.20Mという高いイオン強度でも有意な析出は観察されなかった。実施例5および6は、複合体(WR1:9およびWR1:6)から調製されたエマルジョンが塩に対する耐性が高いことを示している。
【0081】
[実施例6]
[複合体から調製されたエマルジョンのNaClの存在下における長期安定性]
WR1:9の複合体溶液を10mlおよび油を2.5mlを用いてpH8.0でエマルジョンを調製した。複合体溶液中の蛋白質濃度を15mg/mlとした。初期および4℃で4ヵ月貯蔵した後のエマルジョン滴の粒度を測定した。
【0082】
【表6】



【0083】
4ヵ月後の粒度の変化が小さいことは、複合体のエマルジョンの塩に対する耐性が高いことを示している。
【0084】
[実施例7]
[卵白アルブミン/デキストラン複合体の調製およびそのエマルジョンの様々なpH値における安定性]
卵白アルブミン(ova)およびデキストランを重量比1:10で一緒に水中に溶解した。ova濃度を15mg/mlとした。混合物のpHを7.25に調整した後、凍結乾燥した。凍結乾燥した粉末を60℃、相対湿度79%で48時間反応させることにより卵白アルブミン−デキストラン複合体を調製した。ova濃度が15mg/mlに到達するように複合体を水に溶解した。
【0085】
蛋白質濃度を15mg/ml、蛋白質対デキストランの重量比を1:10、水溶液の体積を10ml、トウモロコシ油を2.5mlとして、ova、ova/デキストラン物理的混合物、およびova−デキストラン複合体からエマルジョンを調製した。混合物をホモジナイザーを用いて予備乳化した後、すぐに超音波処理を施した。
【0086】
ovaまたはova/デキストラン物理的混合物から調製されたエマルジョンは不安定であり、貯蔵後にクリームおよび漿液(serum)が生じた。複合体から調製されたエマルジョンは安定であった。エマルジョンを異なるpHに調節した後、粒度を測定した。この結果から、ova/デキストラン複合体からのエマルジョンはpH変化の影響を受けておらず、したがって、ova/デキストラン複合体がエマルジョン調製に好適であることがわかる。
【0087】
【表7】



【0088】
[実施例8]
[大豆蛋白質/Maltrin複合体の調製およびそのエマルジョンの様々なpH値における安定性]
蛋白質およびMaltrin 040を重量比1:9で一緒に水中に溶解した。蛋白質濃度を15mg/mlとした。Maltrin 040はこの濃度では十分に溶解しない。混合物のpHを8.30に調整した後、凍結乾燥した。凍結乾燥した粉末を60℃、相対湿度79%で3日間反応させることにより蛋白質−Maltrin複合体を調製した。複合体を水中に1日間かけて溶解させた。蛋白質濃度が15mg/mlの場合、反応生成物を完全に溶解させることができなかった。
【0089】
蛋白質濃度を15mg/mlとし、蛋白質対Maltrinの重量比を1:9、水溶液の体積を10ml、トウモロコシ油を2.5mlとして、蛋白質/Maltrinの物理的混合物および蛋白質−Maltrin複合体からエマルジョンを調製した。混合物をホモジナイザーを用いて予備乳化した後、すぐに超音波処理を施した。
【0090】
エマルジョンのpHを様々な値に調節した。希釈後に粒度を測定した。
【0091】
【表8】



【0092】
図1に、大豆蛋白質、大豆蛋白質/デキストラン混合物(WR1:9)、大豆蛋白質/デキストラン複合体(WR1:3およびWR1:9)のゼータ電位を示す。
【0093】
上述したように調製したエマルジョンのpHを様々な値に調節した後、5mMのNaClを含むpHの等しい溶液で希釈して、蛋白質濃度が0.0375mg/mLとなるようにした。ゼータサイザーナノ(Zeta Sizer Nano)ZS90(英国ウスターシャー州のマルバーン・インストゥルメント(Malvern Instrument))を用いて試料のゼータ電位を測定した。
【0094】
【表9】



【0095】
ゼータ電位は、巨大分子および粒子の表面の実効電荷と直接関係している。ゼータ電位の結果は、混合物から調製されたエマルジョンの構造が複合体から調製されたエマルジョンの構造とは異なることを示している。この結果は、混合物中のデキストランがエマルジョン構造に影響を与えず、したがって、蛋白質が単独である場合と同様に、正電荷と負電荷がほぼ等しく電荷間の引力が最大になるpH4.7付近でエマルジョン粒子が凝集することを示している。複合体のエマルジョンはpHおよびイオン強度により影響されにくい。これらは主として表面の多糖類の立体障害によって安定化されているようである。
【0096】
[実施例9]
大豆蛋白質をpH8で水(22mg/mL)中に分散させ、室温で15分間遠心(10000rpm)した。pH8.2における不溶な蛋白質の割合は10%未満であった。上清を、蛋白質対デキストランの重量比が1:9(WR1:9)となるようにデキストランと混合した。溶液のpHを8.0に調整した後、溶液を凍結乾燥した。乾燥粉末の一部を取り分けて(混合物)、それ以外の部分を60℃、相対湿度79%で3日間加熱することにより複合体を形成した。
【0097】
ビタミンE油(2.5ml)を蛋白質溶液または混合物もしくは複合体溶液(10ml;15mg蛋白質/ml)に添加した。油対水溶液の体積比(VR)を1:4とした。溶液をホモジナイザーを用いて10000rpmで1分間室温で予備乳化した後、すぐに超音波処理を用いて出力450Wで6分間(運転2.5秒間/停止2秒間)室温で乳化した。エマルジョンを様々なpHに調節した後、粒度を測定した。
【0098】
【表10】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1種またはそれ以上の脂溶性有効成分、
b)食品用途に好適な蛋白質の群から選択される1種またはそれ以上の蛋白質、および
c)1種またはそれ以上の多糖類
を含み、蛋白質対多糖類の重量比が、bが5以上であるという条件下で、1:bのように選択される、組成物。
【請求項2】
前記脂溶性有効成分(1種またはそれ以上の化合物)が、ビタミンA、D、E、K、およびこれらの誘導体;多価不飽和脂肪酸;親油性健康成分;カロテノイド;および風味または香気物質ならびにこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
脂溶性有効成分(1種またはそれ以上の化合物)が、カロテノイド、特に、ベータ−カロテン、リコペン、ルテイン、ビキシン、アスタキサンチン、アポカロテナール、ベータ−アポ−8’−カロテナール、ベータ−アポ−12’−カロテナール、カンタキサンチン、クリプトキサンチン、シトラナキサンチン、および/またはゼアキサンチンであることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記親油性健康成分(1種またはそれ以上の化合物)が、レスベラトロール;マルバトウキ属植物;ユビキノンおよび/またはユビキノール(1種またはそれ以上の化合物)、好ましいコエンザイムQ10、コエンザイムQ9、および/またはこれらの還元形態(対応するユビキノール);ゲニステイン;ならびにアルファ−リポ酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記蛋白質が、大豆蛋白質、ルピナス蛋白質、エンドウ蛋白質、およびジャガイモ蛋白質からなる群から選択される植物性蛋白質(1種またはそれ以上の化合物)であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記植物性蛋白質が、大豆蛋白質であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物の製造方法であって、以下のステップ:
I)前記蛋白質を水中に懸濁させるステップと、
II)場合により、ステップI)の懸濁液から溶解していない蛋白質を除去するステップと、
III)蛋白質対多糖類の重量比が1:5〜1:15となるよう前記多糖類を混合するステップと、
IV)場合により、ステップIII)の混合物を乾燥するステップと、
V)前記(乾燥した)混合物を適切な温度で好適な時間加熱することにより複合体を形成するステップと、
VI)ステップV)の複合体を適切な量の水中に分散させるステップと、
VII)前記1種またはそれ以上の脂溶性有効成分を含む有機相を前記複合体に添加するステップと、
VIII)ステップVII)の混合物を当業者に周知の従来の乳化法を用いて乳化するステップと、
IX)場合により、ステップVIII)のエマルジョンを乾燥するステップと
を含む方法。
【請求項8】
蛋白質−多糖類複合体の製造方法であって、以下のステップ:
I)蛋白質を水中に懸濁させるステップと、
II)場合により、ステップI)の懸濁液から溶解していない蛋白質を除去するステップと、
III)蛋白質対多糖類の重量比が1:5〜1:15となるように多糖類を混合するステップと、
IV)場合により、III)の混合物を乾燥するステップと、
V)前記(乾燥した)混合物を適切な温度で好適な時間加熱することにより複合体を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法によって得ることができる蛋白質−多糖類複合体。

【図1】
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【公開番号】特開2010−193890(P2010−193890A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−41717(P2010−41717)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【出願人】(509025670)フダン ユニバーシティー (5)
【Fターム(参考)】