説明

蛍光体及びそれを用いたプラズマディスプレイパネル

【課題】 本発明の目的は、高輝度、短残光、且つ、真空紫外線劣化耐性など優れた性能特性をもつ蛍光体を提供することであり、又、それを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することである。
【解決手段】 真空紫外線により励起されて可視光を放出する蛍光体であって、該蛍光体の熱ルミネッセンス曲線の120K以下の温度領域のグローピークの中で最大値を示すグローピーク強度が120Kより高い温度領域のどのグローピーク強度より1.5倍以上高いことを特徴とする蛍光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空紫外線励起発光素子としての蛍光体及びそれを用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光体は、励起線(紫外線、可視光、赤外線、熱線、電子線、X線および放射線等)を照射することにより、当該励起線のエネルギーを光(紫外線、可視光および赤外線等)に変換する材料として一般に使用されている。当該蛍光体を用いたデバイスとしては、蛍光ランプ、電子管、冷陰極ディスプレイ、蛍光表示管、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下において、「PDP」ともいう。)、エレクトロルミネッセンスパネル、シンチレーション検出器、X線イメージインテンシファイア、熱蛍光線量計およびイメージングプレート等が挙げられる(例えば、非特許文献1参照。)。これらのデバイスは、いずれも、電気エネルギーを前記励起線のエネルギーに変換し、さらに、前記励起線のエネルギーを前記光に変換するデバイスである。このようなデバイスと、電子回路または機器部品(照明器具、コンピュータ、キーボード、蛍光体を用いていない電子機器等)とを組み合わせた電子機器は、照明装置や表示装置等として広く用いられている。
【0003】
また、蛍光体を用いた蛍光体使用物品としては、粉末状の蛍光体と、水もしくは有機溶媒等の液体、樹脂、プラスチック、金属またはセラミクス材料等の蛍光体以外の物質とを組み合わせた蛍光体含有物があり、これらは、例えば、蛍光体塗料等の液状物やペースト状物、灰皿などの固形物、案内板や誘導用物品等の表示物、シール、文房具、アウトドア用品、安全標識等として広く用いられている。
【0004】
一方、近年、特にPDPは画面の大型化および薄型化が可能なことから、陰極線管(CRT)に代わり得るフラットパネルディスプレイとして注目されている。PDPは多数の微小放電空間(以下「表示セル」と略すことがある)をマトリックス状に配置して構成した表示素子であり、各表示セル内には放電電極が設けられ、各表示セルの内壁には蛍光体が塗布されている。各表示セル内の空間にはHe−Xe、Ne−Xe、Ar等の希ガスが封入されており、放電電極に電圧を印加することにより、表示セル内で希ガスの放電が起こり、真空紫外線が放射される。この真空紫外線により蛍光体が励起され、可視光を発する。表示素子において信号が入力した位置の表示セルの蛍光体の発光によって画像が表示される。各表示セルに用いられる蛍光体としてそれぞれ、青(B)、緑(G)、赤(R)に発光する蛍光体を用い、これらをマトリクス状に塗り分けることにより、フルカラーの表示を行うことができる。
【0005】
現在PDP用蛍光体として主に使用されているものは、赤色蛍光体として(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mn蛍光体、青色蛍光体としてBaMgAl1017:Eu蛍光体などである。これらのうち、白色輝度を向上させるためには、特に視感度の高い緑色蛍光体の発光強度を高めることが重要である。このような点から、緑色蛍光体の真空紫外線励起による発光強度をさらに向上させることが強く求められている。
【0006】
さらには、Zn2SiO4:Mnをはじめとするマンガン賦活の蛍光体では残光時間が長いことが問題視されている。このような点に対して、Mn量を増加させることで残光時間が短くなることが知られているが、Mn濃度を増加させると輝度が低下してしまう。このように、現状では残光時間と輝度がトレードオフの関係になっている。
【0007】
このようなことから、前記ケイ酸塩系蛍光体の輝度低下を抑制しつつ、残光時間を短くすることが重要な課題となっている。
【0008】
従来、前記蛍光体の一般的な製造方法としては、蛍光体母体を構成する元素を含む化合物と賦活剤元素を含む化合物を所定量混合し、所定の温度で焼成して固相間反応により蛍光体を得る固相法による製造方法(例えば、非特許文献1参照。)が広く採用されていた。
【0009】
しかしながら、固相法では純粋に化学量論的な組成を有する蛍光体を製造することは難しく、固相間反応の結果、反応しない余剰の不純物や反応によって生ずる副塩等が残留し、化学量論的に高純度な蛍光体を得ることが難しい。その結果として、蛍光体の輝度低下等の問題点が指摘されている。
【0010】
なお、組成的に均一で高純度な微粒子蛍光体を得るには、固相法よりも液相法の方が適していることが知られている。従来の液相法による蛍光体の製造方法としては、反応晶析法、ゾルゲル法、共沈法、水熱合成法等により合成し、これらを回収、洗浄、乾燥、焼成等により酸化物とする方法などが知られている。
【0011】
また、蛍光体を構成する一部の元素を含む化合物表面に、その他の元素を有機酸の塩として析出させることにより前駆体を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この特許文献1に開示されている方法は、アルミニウム化合物を用いたアルミン酸塩蛍光体に関するものであり、上記の緑色蛍光体であるケイ酸塩系蛍光体の改良方法及び製造方法に関する記載はない。
【0012】
一方、当該蛍光体は、プラズマディスプレイパネルの一構成要素として組み込まれた場合に、放電セル内で惹起される放電現象に供され、その現象が起こるごとに種々のイオンや電子の衝突を受ける。その結果、当該蛍光体は経時的に劣化して発光輝度が次第に低下し、製造初期の機能を十分に発揮できなくなるという問題が知られている。
【0013】
当該問題に関しては、スパッタリングにより蛍光体膜の表面に金属酸化物の被膜を形成して蛍光体膜の劣化を防止する技術が知られている(特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2に開示された技術では、確かに、金属酸化物の被膜が蛍光体膜の経時的な劣化を防止するのに有効に機能してはいるが、蛍光体膜の表面にスパッタリング処理を施すという表面処理の工程が設けられているためその表面処理の工程に手間・時間がかかり、更に当該表面処理だけでは真空紫外線の吸収により蛍光体の輝度が劣化する可能性があることが知られている。
【特許文献1】特開2001−172621号公報
【特許文献2】特開2001−303036号公報
【非特許文献1】蛍光体同学会編「蛍光体ハンドブック」、オーム社、1987年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、上記のような蛍光体に関する問題、特に、ケイ酸塩系蛍光体の輝度、残光に関する問題、及び真空紫外線照射時のプラズマ等による劣化に関する問題に鑑みて、本発明の目的は、従来の蛍光体に比べて、高輝度、短残光、且つ、真空紫外線劣化耐性など優れた性能特性をもつ蛍光体を提供することであり、又、それを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0016】
(請求項1)
真空紫外線により励起されて可視光を放出する蛍光体であって、該蛍光体の熱ルミネッセンス曲線の120K以下の温度領域のグローピークの中で最大値を示すグローピーク強度が120Kより高い温度領域のどのグローピーク強度より1.5倍以上高いことを特徴とする蛍光体。
【0017】
(請求項2)
前記蛍光体の母体材料がZnxSiO4であり、賦活剤がMnyであり、及び共賦活剤がM1zである(但し、1.4≦x<2.0、0<y≦0.3、0<z≦0.2であり、M1は希土類元素又はアルカリ土類金属、Be、Mgである。)ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
【0018】
(請求項3)
前記蛍光体が液相法で合成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体。
【0019】
(請求項4)
真空紫外線により励起されて発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、該蛍光体層が、蛍光体として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【発明の効果】
【0020】
本発明の上記構成により、従来の蛍光体に比べて、高輝度、短残光、且つ、真空紫外線劣化耐性など優れた性能特性をもつ蛍光体を提供すること、またそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明では、真空紫外線により励起されて可視光を放出する蛍光体において、該蛍光体の熱ルミネッセンス曲線の120K以下の温度領域のグローピークの中で最大値を示すグローピーク強度が120Kより高い温度領域のどのグローピーク強度より1.5倍以上高いことを特徴とする構成にすることにより、当該蛍光体の輝度を向上し、かつ残光を短縮化し、更にプラズマイオンによる劣化を低減した蛍光体の提供と、それを用いたプラズマディスプレイパネルの提供を達成することができる。
【0022】
以下、本発明の構成要素について順次説明する。
【0023】
(蛍光体)
本発明の蛍光体は、真空紫外線により励起されて可視光を放出する蛍光体であって、該蛍光体の熱ルミネッセンス曲線が120K以下の温度領域のグローピークの中で最大値を示すグローピーク強度が120Kより高い温度領域のどのグローピーク強度より1.5倍以上高いことを特徴とする。なお、真空紫外線とは波長が200nm以下の光をいう。
【0024】
本発明の蛍光体は、種々の化学組成の化合物又は混合物として存在し得るが、下記の具体例と同じ組成、又は、目的に適応させるため具体例に準じて変更した組成を有し得る。
【0025】
本発明に係る蛍光体として使用され得る具体的な化合物例を下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0026】
《青色発光蛍光体化合物》
(BL−1) :Sr227:Sn4+
(BL−2) :Sr4Al1425:Eu2+
(BL−3) :BaMgAl1017:Eu2+
(BL−4) :SrGa24:Ce3+
(BL−5) :CaGa24:Ce3+
(BL−6) :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017:Eu2+
(BL−7) :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu2+
(BL−8) :ZnS:Ag
(BL−9) :CaWO4
(BL−10):Y2SiO5:Ce
(BL−11):ZnS:Ag,Ga,Cl
(BL−12):Ca259Cl:Eu2+
(BL−13):BaMgAl1423:Eu2+
(BL−14):BaMgAl1017:Eu2+,Tb3+,Sm2+
(BL−15):BaMgAl1423:Sm2+
(BL−16):Ba2Mg2Al1222:Eu2+
(BL−17):Ba2Mg4Al818:Eu2+
(BL−18):Ba3Mg5Al1835:Eu2+
(BL−19):(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017:Eu2+
《緑色発光蛍光体化合物》
(GL−1) :(Ba,Mg)Al1627:Eu2+,Mn2+
(GL−2) :Sr4Al1425:Eu2+
(GL−3) :(Sr,Ba)Al2Si28:Eu2+
(GL−4) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
(GL−5) :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+
(GL−6) :Sr227−Sr225:Eu2+
(GL−7) :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu2+
(GL−8) :Sr2Si38−2SrCl2:Eu2+
(GL−9) :Zr2SiO4,MgAl1119:Ce3+,Tb3+
(GL−10):Ba2SiO4:Eu2+
(GL−11):ZnS:Cu,Al
(GL−12):(Zn,Cd)S:Cu,Al
(GL−13):ZnS:Cu,Au,Al
(GL−14):Zn2SiO4:Mn2+
(GL−15):ZnS:Ag,Cu
(GL−16):(Zn,Cd)S:Cu
(GL−17):ZnS:Cu
(GL−18):Gd22S:Tb
(GL−19):La22S:Tb
(GL−20):Y2SiO5:Ce,Tb
(GL−21):Zn2GeO4:Mn
(GL−22):CeMgAl1119:Tb
(GL−23):SrGa24:Eu2+
(GL−24):ZnS:Cu,Co
(GL−25):MgO・nB23:Ce,Tb
(GL−26):LaOBr:Tb,Tm
(GL−27):La22S:Tb
(GL−28):SrGa24:Eu2+,Tb3+,Sm2+
《赤色発光蛍光体化合物》
(RL−1) :Y22S:Eu3+
(RL−2) :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
(RL−3) :Ca28(SiO462:Eu3+
(RL−4) :LiY9(SiO462:Eu3+
(RL−5) :(Ba,Mg)Al1627:Eu3+
(RL−6) :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:Eu3+
(RL−7) :YVO4:Eu3+
(RL−8) :YVO4:Eu3+,Bi3+
(RL−9) :CaS:Eu3+
(RL−10):Y23:Eu3+
(RL−11):3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn
(RL−12):YAlO3:Eu3+
(RL−13):YBO3:Eu3+
(RL−14):(Y,Gd)BO3:Eu3+
上記の中でも、本発明に係る蛍光体としては、特に、ケイ酸塩系蛍光体が好ましく用いられる。なお、当該ケイ酸塩系蛍光体についての説明は、蛍光体の一般的製造方法の説明の後で詳述する。
【0027】
本発明の蛍光体は、一般的には、固相法、気相法、及び前駆体を液相で作製し焼成を行う液相法により得ることができるが、本発明の効果を高く実現するものとして液相法が好ましい。液相法を用いることでより高い精度で賦活剤、共賦活剤の濃度を均一にコントロールできることに加え、母体成分を含めた均一製が非常に高いことによるものである。
【0028】
また液相法としては特に限定はないが蛍光体の種類・用途に応じて共沈法を用いでもよくゾルーゲル法、反応晶析法を用いてもよい。好ましくは共沈法、反応晶析法である。
【0029】
次に、蛍光体の一般的製造方法について説明する。
【0030】
蛍光体は、(A)無機蛍光体の構成金属元素を含む溶液を混合して無機蛍光体の前駆体を形成する前駆体形成工程と、(B)前駆体形成工程の後に当該前駆体形成工程により得られた前駆体を乾燥する乾燥工程と、(C)乾燥工程の後に乾燥済みの前駆体を焼成して無機蛍光体を形成する無機蛍光体形成工程と、(D)無機蛍光体形成工程の後に当該無機蛍光体形成工程で得られた無機蛍光体を溶剤(バインダ樹脂を含む。)中に分散させて蛍光体ペーストを調製する蛍光体ペースト調製工程と、を含む製造方法により得られる。
【0031】
下記に、蛍光体の製造方法を構成する各工程について説明する。
【0032】
(A)前駆体形成工程
前駆体形成工程では、液相法(液相合成法)により前駆体を形成する。適用可能な液相法に特に限定はないが、無機蛍光体の種類・用途に応じて共沈法を用いてもよいし、ゾルゲル法や反応晶析法を用いてもよい。その中でも共沈法や反応晶析法を用いることが好ましく、特に反応晶析法を用いるのが好ましい。
【0033】
「共沈法」を適用する場合は、2液以上の蛍光体原料の溶液を溶媒中に添加するという態様が、微小で粒度分布の狭い無機蛍光体を製造するのに適している。この場合、作製しようとする無機蛍光体の種類やその無機蛍光体に発揮させようとする性能に合わせて、蛍光体原料の溶液の添加速度や添加位置、蛍光体原料の溶液と溶媒との攪拌条件(pHを含む。)等の諸物性値を調整するのが好ましい。
【0034】
「反応晶析法」とは、液相中又は固相中で原料溶液又は原料ガスを混合することで無機蛍光体の前駆体を合成する製法である。前駆体形成工程では、液相中で原料溶液を混合させるのがよい。反応晶析法による前駆体形成工程では、冷却、蒸発、pH調節、濃縮等による物理的又は化学的な環境の変化を生じる場合や、化学反応によって混合系の状態に変化を生じる場合等に液相中から固相が析出し(晶析現象)、当該前駆体形成工程は、晶析現象を誘発する物理的・化学的操作による工程となっている。
【0035】
反応晶析法を適用する際の溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から水を当該溶媒として用いるのが好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でもよいし、異なっていてもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てることができる。
【0036】
反応晶析法を用いて前駆体を形成する場合には、いずれの工程においても、反応原料の添加速度、攪拌速度、反応液の温度、pH等を調整してもよいし、反応中に超音波を照射してもよいし、粒径制御のために界面活性剤やポリマー等を添加してもよい。さらに、原料を添加し終えたら、必要に応じて溶液を濃縮又は熟成のうちどちらか一方又は両方の操作を行ってもよい。
【0037】
前駆体形成工程で形成される前駆体は無機蛍光体の中間生成物であり、当該前駆体の結晶を所定温度で焼成することで無機蛍光体が形成されるようになっている。
【0038】
無機蛍光体の特性(焼成後に得られる粒子の径分布や発光特性等)は、前駆体の性状に大きく左右されるため、前駆体形成工程では前駆体を十分小さくする必要があり、また、前駆体形成工程では前駆体同士の凝集を防止する必要もある。そのため、保護コロイドの存在下で当該前駆体形成工程の処理をおこなってもよい。具体的には、原料溶液の1つ以上又は全部に保護コロイドを混合する。この場合、前駆体の粒子径分布の制御や副塩等の不純物の排除に十分に配慮しなければならない。
【0039】
前駆体形成工程で適用可能な保護コロイドとしては、天然、人工を問わず各種高分子化合物を使用することができ、特にタンパク質を使用するのが好ましく、その中でもゼラチンを使用するのが好ましい。その際の保護コロイドとして、平均分子量が10,000以上、好ましくは10,000以上300,000以下、より好ましくは10,000以上30,000以下のものであるのがよい。
【0040】
(B)乾燥工程
乾燥工程では、前駆体形成工程で得られた前駆体を所定の乾燥温度で乾燥させる。乾燥温度としては、20〜300℃の範囲とするのが好ましく、90〜200℃の範囲とするのが更に好ましい。乾燥工程では前駆体を直接的に乾燥させてもよく、そのような乾燥方法としては、エバポレーション又は顆粒化しながら乾燥させるスプレードライ方式の方法を適用することができる。
【0041】
なお、乾燥工程の前に、必要に応じて不要な塩類を濾過・洗浄や膜分離等の既存の方法で除去することが好ましく、更に濾過や遠心分離等の方法で前駆体を液体から分離することが好ましい。
【0042】
(C)無機蛍光体形成工程
無機蛍光体形成工程では、上記乾燥工程で乾燥済みの前駆体を焼成処理することにより無機蛍光体を形成させる。
【0043】
例えば、乾燥済みの前駆体をアルミナポートに充填して所定のガス雰囲気中で当該前駆体を所定の温度で焼成することで、所望の無機蛍光体を形成することができる。無機蛍光体形成工程では、焼成温度を1000〜1700℃の範囲とし、焼成時間を0.5〜40時間とし、焼成回数を1回とするのがよい。焼成時間は無機蛍光体の種類に合わせて適宜調整してもよい。焼成中のガス雰囲気は、必要に応じて不活性ガス雰囲気(窒素雰囲気等)としてもよいし、大気ガス雰囲気としてよいし、酸素ガス雰囲気としてよいし、還元ガス雰囲気としてもよいし、これらガス雰囲気を組み合わせた雰囲気としてもよい。焼成装置については特に限定はしないが、箱型炉、坩堝炉、ロータリーキルン等の装置を当該焼成装置として用いるのが好ましい。
【0044】
なお、焼成処理を終了したら、得られた焼成物に対し分散、水洗、乾燥、篩い分け等の処理を施してもよい。
【0045】
(D)蛍光体ペースト調製工程
蛍光体ペースト調製工程では、バインダ樹脂を溶剤に溶解させてバインダ組成物を作製し、その後無機蛍光体形成工程により得られた焼成物(無機蛍光体)と上記フッ素化合物とを上記バインダ組成物中に分散処理し、蛍光体ペーストを調製する。この際、必要に応じて添加剤を添加してもよい。
【0046】
なお、無機蛍光体の形成方法としての「固相法」は、焼成処理と解砕処理との繰り返しで無機蛍光体の構成成分を拡散させて均一組成へと導く製法であるため、その粒子の表面が粒子間で不均一であり、粒子内であってもその表面が一律に平滑であるとは言えず、当該無機蛍光体は表面が不均一な形態を呈している。そのため、固相法で形成された無機蛍光体は、表面エネルギーが高くてバインダ樹脂に馴染みにくく、バインダ組成物に対し分散させるのが困難となる。当該無機蛍光体をバインダ組成物に分散させた場合には凝集物が生成され易く、その結果、バインダ樹脂の組成選択と無機蛍光体及びバインダ樹脂の調製に時間を要し、安定な分散液を得にくい。
【0047】
他方、無機蛍光体(の前駆体)の形成方法として「液相法」を適用した場合には、元々の前駆体が均一な成分で粒子が形成されるため、その前駆体から形成された無機蛍光体は、粒子間及び粒子内のいずれでも表面状態の均一性が固相法で形成された無機蛍光体より優れている。そのため、液相法で形成された無機蛍光体は、表面エネルギーが低くてバインダ樹脂に馴染み易く、バインダ樹脂に対し分散させるのが容易である。以上から、液相法を用いて、本発明に係る蛍光体ペーストの一成分としての無機蛍光体を合成するのがよい。
【0048】
以上の前駆体形成工程から蛍光体ペースト調製工程までの各処理をおこなうことで、本発明に係る蛍光体を製造することができる。
【0049】
次に、好ましい具体例として、当該ケイ酸塩系蛍光体について詳しく説明する。
【0050】
本発明に係るケイ酸塩系蛍光体は、ケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液と、焼成することによりケイ酸塩系蛍光体を構成しうる金属元素を含む溶液とを混合して前駆体を形成し、焼成する方法を用いることにより、従来の製造法では成し得なかった、発光強度に優れ、なおかつ残光時間の短い蛍光体を製造し得る。
【0051】
本発明に係るケイ酸塩系蛍光体の結晶母体の好ましい例としては、例えば、Y2SiO5、Zn2SiO4等が挙げられる。これら結晶母体及び賦活剤または共賦活剤は、同族の元素と一部置き換えたものでも構わないし、とくに元素組成に制限はない。
【0052】
以下に本発明に係るケイ酸塩系蛍光体の化合物例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
[青色発光無機蛍光化合物]
2SiO5:Ce3+[緑色発光無機蛍光体]
(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+
2SiO5:Ce3+,Tb3+
Sr2Si38−2SrCl2:Eu3+
Zr2SiO4,MgAl1119:Ce3+,Tb3+
Ba2SiO4:Eu2+
Zn2SiO4:Mn2+
2SiO5:Ce3+,Tb3+
[赤色発光無機蛍光体]
(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+
Ca28(SiO462:Eu3+
LiY9(SiO462:Eu3+
本発明においてはケイ素単体又はケイ素化合物が用いられるが、ここにケイ素化合物とは、ケイ素を含む固体であって、使用される溶液に対して実質的に不溶であればいかなるものでも良く、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)などが挙げられ、これらのうちシリカを用いることが好ましい。シリカとしては、気相法シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ等があげられる。
【0053】
本発明におけるケイ素又はケイ素化合物のBET比表面積は、50m2/g以上が好ましく、より好ましくは100m2/g以上、更に好ましくは200m2/g以上である。
【0054】
本発明におけるケイ素又はケイ素化合物の1次粒径または2次凝集粒径は、1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.1μm以下である。
【0055】
本発明における金属元素とは、焼成することによりケイ酸塩系蛍光体を構成しうるものであればいかなるものでもよく、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Zr、Al、Ga、La、Ce、EuおよびTbからなる群から選ばれる一種以上の金属元素であることが好ましい。例えば、緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn等)を製造する場合は、Zn、Mnを含むものを用いればよい。前記金属元素は、使用される溶液に対して実質的に不溶な固体でもよいし、塩化物や硝酸塩等で構成され、使用される溶液に溶解するものでもよい。
【0056】
本発明では必要に応じて沈殿剤を使用することが好ましく、その際使用する沈殿剤としては、有機酸または水酸化アルカリが好ましい。有機酸としては、−COOH基を有する有機酸が好ましく、例えば、シュウ酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等が挙げられる。特に、シュウ酸を用いた場合、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Zr、Al、Ga、La、Ce、Eu、Tbの陽イオンと反応しやすく、Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Zr、Al、Ga、La、Ce、Eu、Tbの陽イオンがシュウ酸塩として析出しやすいため、より好ましい。また、沈殿剤として、加水分解等によりシュウ酸を生ずるもの、例えばシュウ酸ジメチル等を使用してもよい。
【0057】
本発明にける水酸化アルカリとしては、−OH基を有するもの、あるいは水と反応して−OH基を生じたり、加水分解により−OH基を生じたりするものであればいかなるものでもよく、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素等が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属を含まないアンモニアがよい。
【0058】
Zn、Mn、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Zr、Al、Ga、La、Ce、Eu、Tbからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素はケイ素化合物の周囲に析出していることが好ましい。更に、沈殿剤として有機酸または水酸化アルカリ等を使用し、それらと反応して有機酸塩または水酸化物としてケイ素化合物の周囲に析出していることがより好ましい。用いる有機酸または水酸化アルカリの量としては、好ましくはケイ素以外の金属元素が有機酸塩または水酸化物として析出するのに必要な化学量論量の1倍以上が好ましい。
【0059】
本発明において、ケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液を構成する溶液とは、上述の通り、ケイ素又はケイ素化合物を実質的に溶解しなければどのようなものでもよく、水またはアルコール類またはそれらの混合物であることが好ましい。アルコール類としては、ケイ素又はケイ素化合物を分散させるものならばいかなるものであっても良く、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらのうち、比較的ケイ素化合物が分散しやすいエタノールが好ましい。
【0060】
本発明におけるケイ素化合物を含む懸濁液と、焼成することによりケイ酸塩系蛍光体を構成しうる金属元素を含む溶液との混合方法は、いかなる方法でもよく、例えば撹拌による混合方法が制御しやすく、低コストであるので好ましい。また、混合方法としては、バッチ式、連続式、外部循環混合等どのような方法でもよく、例えば、ケイ素化合物を含む溶液を母液とし、母液を撹拌しながらその中にもう一方を含む溶液を添加する方法、あるいは母液を外部循環させ、外部循環経路中にもうけた混合器にもう一方の液を添加する方法などがケイ素化合物の分散という観点から好ましい。更に、沈殿剤を添加する場合においても混合方法は、いかなる方法、順序に従ってもよく、例えば、ケイ素化合物を含む溶液を母液とし、母液を撹拌しながらその中に他の液をダブルジェットで同時に添加する方法、あるいは母液を外部循環させ、外部循環経路中にもうけた混合器に他の液をダブルジェットで同時に添加する方法が好ましい。また溶液の添加位置は母液表面でも母液中でもどちらでもよく、より均一な混合という観点から母液中が好ましい。
【0061】
更に、撹拌レイノルズ数は、1×103以上、好ましくは3×103以上、より好ましくは5×103以上で撹拌すること均一混合という観点から好ましい。レイノルズ数が1×103より低いと、混合状態が悪化し、蛍光体粒子の均一性が低下する。
【0062】
また、本発明におけるケイ素化合物を含む溶液と、焼成することによりケイ酸塩系蛍光体を構成しうる金属元素を含む溶液との混合方法は、少なくとも第一の流路から送り込まれるシリカを含む懸濁液と第二の流路から送り込まれる原料溶液及び懸濁液とを連続的に衝突・混合させてから第三の流路に連続的に送り込むとともに、衝突後の混合液をレイノルズ数3×103〜1×106で1×10-3〜3.6×103秒間送液した後に連続的に吐出させるように構成した事を特徴とする蛍光体前駆体製造装置を用いる事がより好ましく、衝突後のレイノルズ数の下限は5×103であることがさらに好ましく、1×104であることが最も好ましい。また、上記送液時間の下限は1×10-3秒が好ましく、1×10-2秒がより好ましく、1×10-1秒が最も好ましい。レイノルズ数とは、流れの中にある物体の代表的な長さをD,速度をU、密度をρ、粘性率をηとしたとき、以下の式により得られる無次元数である。
【0063】
Re=ρDU/η
送液時間が1×10-3秒より短いと、混合が十分でなく、蛍光体粒子の均一性が低下する。
【0064】
本発明においては、ケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液をあらかじめ調整することが好ましい。本発明における調整とは、ケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液中での粒径及び分散状態をあらかじめ調整し、所望の状態を得ることを示す。調整方法の一例として、ケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液に対する撹拌回転数と時間の組み合わせでもよく、より効果的な方法としてケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液を超音波分散することが好ましい。その際、必要に応じて界面活性剤や分散剤を添加してもよい。また調整は溶液温度、50℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは10℃以下で行うことがケイ素又はケイ素化合物の再凝集による粘度上昇を防ぐ上で好ましい。凝集粒径としては、1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下に調整しておくことがより微少な蛍光体を得る上で好ましい。
【0065】
また、本発明においては、懸濁液中での粒径及び分散状態があらかじめ調製されたコロイダルシリカを使用しても良い。コロイダルシリカはアニオン性のものが好ましく、その粒径としては、1μm以下、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下であることがより微少な蛍光体を得る上で好ましい。
【0066】
本発明の方法において、ケイ素又はケイ素化合物を含む懸濁液と、焼成することによりケイ酸塩系蛍光体を構成しうる金属元素を含む溶液とを混合したものを焼成用の前駆体とするには、直接乾燥するか、あるいは必要に応じて不溶な塩類の除去を既存の方法、例えば濾過水洗、膜分離等により行い、更にその後、濾過や遠心分離等の方法により固体を液体から分離した後に乾燥することが好ましい。乾燥温度は20〜300℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは90〜200℃である。直接乾燥させる方法としては、エバポレーションや、顆粒化しながら乾燥させるスプレードライを挙げることができる。
【0067】
次に、ケイ酸塩系蛍光体の前駆体を焼成する方法はいかなる方法によってもよく、例えば、前駆体をアルミナボートに充填し、所定のガス雰囲気中で所定の温度で焼成することで所望の蛍光体を得ることができる。例えば、緑色蛍光体(Zn2SiO4:Mn等)の前駆体を焼成する場合は、不活性雰囲気中で400〜1400℃の温度範囲、0.5〜40時間の範囲で1回以上焼成するのが好ましい。更に必要に応じて、大気雰囲気(もしくは酸素雰囲気)、還元雰囲気を組み合わせてもよい。還元雰囲気を組み合わせる場合には、結晶中からの亜鉛の蒸発を防止するために800℃以下の温度で焼成することが好ましい。還元性雰囲気を得る方法として、前駆体の充填されたボート内に黒鉛の塊を入れる方法、窒素−水素の雰囲気中、あるいは希ガス・水素の雰囲気中で焼成する方法等が挙げられる。これらの雰囲気に水蒸気が含まれていてもよい。焼成後に得られたケイ酸塩系蛍光体に、分散、水洗、乾燥、篩い分け等の処理を行ってもよい。
【0068】
上記反応装置で沈殿を合成する際には、ステンレス製の配管で装置を構成するのが一般的である。しかしながら、ステンレス製の配管を用いた場合、蛍光体の発光効率が減少してしまうという自体がしばしば起こった。
【0069】
本発明者らの鋭意検討の結果、蛍光体前駆体の硬度が高いため攪拌中にベッセルおよび攪拌翼が磨耗して、ステンレス紛が前駆体中に混入することが問題点であることをつきとめた。このようにステンレス粉が混入した前駆体を焼成すると蛍光体結晶の内部にNa、Fe、Cr、Ni、Mo、Ti、Nb等が混入することで蛍光体の性能に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。このため、ステンレス製配管内部をテフロン(登録商標)でコーティングする事が好ましく、或いは配管自体をポリプロピレン等の樹脂で構成する事がより好ましい。
【0070】
蛍光体の平均粒径は1μm以下である事が好ましく、0.8μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることが最も好ましい。
【0071】
変動係数とは、粒子サイズの標準偏差を平均粒径で割ったものである。蛍光体粒子の変動係数は50%以下である事が好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることが最も好ましい。
【0072】
本発明に係る蛍光体の最も好ましい態様は、母体材料がZnxSiO4であり、賦活剤がMnyであり、及び共賦活剤がM1zである(但し、1.4≦x<2.0、0<y≦0.3、0<z≦0.2であり、M1は希土類元素又はアルカリ土類金属、Be、Mgである。)ことを特徴とする蛍光体である。なお、ここで、蛍光体組成のうち、xのより好ましい範囲は1.8≦x<2.0である。1.4未満の場合は蛍光体母体の結晶性が劣り低輝度であり、1.8未満の場合は、本発明に係る前記熱ルミネッセンス曲線のビーク比を顕著に表し、本発明の効果が高い。
【0073】
また、yについてより好ましい範囲は0.1≦y≦0.2である。0.1未満では輝度が充分に発揮されないばかりか残光も伸びる。0.2以上では輝度が充分に発揮されない。
【0074】
更には、Zの範囲についてより好ましい範囲は0.05≦z≦0.15であり、本発明の効果がより高く発揮される。
【0075】
(熱ルミネッセンスの測定)
熱ルミネッセンスの測定は、例えば図1に示す構造の測定装置が用いられる。すなわち、図1中の1は蛍光体の試料2を保持するための試料ホルダである。前記ホルダ1は、石英ガラス容器3内に前記試料2と共に収納されている。前記容器3内には、前記試料2を冷却するための液体窒素が収容されている。前記ホルダ1の上部には、前記試料2を加熱するためのヒータ4が内蔵されている。前記ヒータ4は、温度コントローラ5に接続されている。前起容器3の上部には、熱電対6が前記ホルダ1の上部側面に接触するように取り付けられている。前記熱電対6は、デジタル温度計7に接続されている。前記温度コントローラ5は、前記デジタル温度計7に接続されている。前記石英ガラス容器3の外部には、光電子増倍管8が前記試料2と対向するように配置されている。なお、前記光電子増倍管8の代わりにフォトダイオードなどの受光素子を用いてもよい。前記光電子増倍管8は、電流計9に接続されている。前記電流計9は、例えばパーソナルコンピュータ10に接続されている。前記デジタル温度計7は、パーソナルコンピュータ10に接続されている。さらに、前記石英ガラス容器3の外部には図示しない紫外線ランプが前記試料2と対向するように配置されている。
【0076】
このような図1に示す構成の測定装置において、前記ホルダ1に保持された蛍光体(シンチレータ)の試料2を液体窒素により冷却した状態で図示しない紫外線ランプから波長254nm、1W/m2の紫外線を20分間照射する。その後、ヒータ4により前記試料2を15±5K/分の速度で昇温し、前記試料2の熱ルミネッセンスを光電子増倍管8で受光し、電流計9で電流値として測定し、さらにパーソナルコンピュータ10で前記電流値に基づいて熱ルミネッセンス曲線(熱グロー曲線、又は、単にグロー曲線ともいう。)として処理する。なお、前記ヒータ4による前記試料2の昇温は前記パーソナルコンピュータ10、前記熱電対6による試料2の温度測定信号が入力されるデジタル温度計7および温度コントローラ5によって制御される。
【0077】
なお、本発明において照射紫外線強度や昇温速度などの熱ルミネッセンス測定条件とピーク温度およびピーク比との関係はある条件での値を測定するためのものであり、測定条件が変動すればピーク温度やピーク比などの値も変動するのは当然である。たとえば、昇温速度が変化すればピーク位置やピーク比は変化し、照射紫外線強度が変化してもピーク比は変化する。したがって、熱ルミネッセンスの測定条件が前述した条件と異なるものであっても、本質的に本発明に係るグロー曲線のピークとそれ以外のピークとの比をとり、その比によって本発明と同一であると見なすことができる。
【0078】
本発明においては120K(絶対温度)以下の温度領域のグローカーブの最大ピーク強度が120Kより高い温度領域でのグローカーブのどのピーク強度より1.5倍以上であるが、好ましくは1.8倍以上であり本発明の効果をより高く発揮できる。
【0079】
本発明に係る熱ルミネッセンス曲線(熱グロー曲線)を得る手段については、種々の手段が考え得るが、例えば、均一性の高い前駆体を液相法で作製し、適性な焼成(温度、時間、昇降温時間)を経ることにより結晶性を向上し、賦活剤がよりひずみの少ない位置と濃度で配置させる手段が挙げられる。本発明を達成するには、均一組成であること、欠陥を発生させるような工程を避けることがポイントであり、その点、液相法で条件をコントロールしより単分散な粒子を作製し、その形状を維持したままで焼成可能とする製造手段を選択することが望ましい。
【0080】
本発明に係る蛍光体粒子の成分含有率の均一性は粒子間分布変動係数で表すことができ、その算出方法としては2次イオン質量分析(SIMS)装置により少なくとも100個の蛍光体粒子の組成含有率を測定した際の組成含有率の標準偏差を平均含有率で除した値に100を乗じて得られる値で求められる。
【0081】
蛍光体粒子内に含有される化学成分の組成の含有率の測定方法としては、サブミクロン〜ナノメートルオーダーの高い分解能を有する2次イオン質量分析(SIMS)装置を用いて、一個一個の粒子の組成を測定することができる。蛍光体粒子を試料台に載せ、カーボンなどを蒸着させて測定することが好ましい。また、特に1μm以下の蛍光体粒子を測定する場合には、粒子の一定の厚さを押しつぶして測定することも可能である。
【0082】
本発明の蛍光体粒子は母体や腑活剤部を構成する成分組成の分布が粒子内で均一であることが好ましい。ここで、組成の分布が粒子内で均一であるとは、1つの粒子内のどこの領域においてある組成の分布率が微視的に一定であることである、より具体的には、後述する微視的な分布の測定方法において、ある組成の各切片における含有率の差が、その組成の含有率の20%以下であることである。
【0083】
当該粒子内の組成の微視的な分布の測定方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、電子線を照射した際に試料から発生する特性X線を解析することにより、一個一個の各粒子の内部組成分布を測定することができる。試料となる蛍光体粒子を、例えば、厚さ50nm程度の切片として連続的に切りだし、その切片を電子顕微鏡観察用のメッシュに乗せてカーボン蒸着を施し、透過法で観察を行うことが可能である。更に組成分布が微視的に均一である粒子の比率を算出方法としては、少なくとも100個の蛍光体粒子について透過型電子顕微鏡によって測定し、その比率を算出すればよい。
【0084】
(プラズマディスプレイパネル)
次に、図2を参照しながら本発明に係るプラズマディスプレイパネルについて説明する。なお、プラズマディスプレイパネルには、電極の構造及び動作モードから大別すると、直流電圧を印加する「DC型」と交流電圧を印加する「AC型」とがあるが、図2にはAC型プラズマディスプレイパネルの概略構成の一例を示した。
【0085】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、表示側に配置される前面板10FPと前面板10FPに対向する背面板20BPとを備えている。前面板10FPは、可視光を透過する性質を具備し、その基板上に各種の情報表示を行うものである。当該前面板10FPはプラズマディスプレイパネルの表示画面として機能するものであり、ソーダライムガラス(青板ガラス)等の可視光を透過する材料で構成されている。前面板10FPの厚さは1〜8mmの範囲であることが好ましく、2mmの範囲であることが更に好ましい。
【0086】
前面板10FPには表示電極11、誘電体層12、保護層13等が設けられている。
【0087】
表示電極11は前面板10FPの背面板20BPと対向する面に複数設けられており、各表示電極11は規則正しく配置されている。表示電極11は、幅広の帯状に形成された透明電極11aと、同じく帯状に形成されたバス電極11bとを備えており、透明電極11a上にバス電極11bが積層された構造を有している。バス電極11bはその幅が透明電極11aよりも狭く形成されている。表示電極11については、2つの表示電極11,11で組が構成されており、各表示電極11は所定の放電ギャップがあけられた状態で対向配置されている。
【0088】
透明電極11aとしてはネサ膜等の透明電極を使用することができ、そのシート抵抗が100Ω以下であることが好ましい。透明電極11aは10〜200μmの範囲の幅を有しているのが好ましい。
【0089】
バス電極11bは抵抗を下げるためのものであり、Cr/Cu/Crのスパッタリング等により形成されている。バス電極11bは5〜50μmの範囲の幅を有しているのが好ましい。
【0090】
誘電体層12は前面板10FPの表示電極11が配された表面全体を覆っている。誘電体層12は低融点ガラス等の誘電物質から形成されている。誘電体層12は20〜30μmの範囲の厚さを有しているのが好ましい。誘電体層12の表面は保護層13により全体的に覆われている。保護層13としてはMgO膜を使用することができる。保護層13は0.5〜50μmの範囲の厚さを有しているのが好ましい。
【0091】
背面板20BPにはアドレス電極21、誘電体層22、隔壁30、蛍光体膜35R,35G,35B等が設けられている。背面板20BPは、前面板10FPと同様に、ソーダライムガラス等で構成されている。背面板20BPの厚さは1〜8mmの範囲であることが好ましく、2mm程度であることが更に好ましい。
【0092】
アドレス電極21は、背面板20BP上で前面板10FPと対向する面上に複数設けられている。アドレス電極21も、透明電極11aやバス電極11bと同様に帯状に形成されている。アドレス電極21は、表示電極11と直交した状態で複数設けられており、各アドレス電極21が互いに平行に等間隔をあけて配置されている。
【0093】
アドレス電極21はAg厚膜電極等の金属電極で構成されている。アドレス電極21の幅は100〜200μmの範囲であることが好ましい。
【0094】
誘電体層22は、背面板20BPのアドレス電極21が配された表面全体を覆っている。誘電体層22は低融点ガラス等の誘電物質から形成されている。誘電体層22は厚さが20〜30μmの範囲であることが好ましい。
【0095】
誘電体層22上のアドレス電極21の両側方には、長尺に形成された隔壁30が配されている。隔壁30は背面板20BP側から前面板10FP側に立設されており、表示電極11と直交している。隔壁30は低融点ガラス等の誘電物質から形成されている。隔壁30の幅は10〜500μmの範囲であることが好ましく、100μm程度であることがより好ましい。隔壁30の高さ(厚み)は、通常、10〜100μmの範囲であり、50μm程度であることが好ましい。
【0096】
上記隔壁30は、背面板20BPと前面板10FPとの間をストライプ状に区画した複数の微少放電空間31(以下「放電セル31」という。)を形成しており、各放電セル31の内側には、Ar、Xe、He、Ne、Xe−Ne等の希ガスを主体とする放電ガスが封入されている。
【0097】
放電セル31には、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかに発光する蛍光体から構成された蛍光体膜35R、35G、35Bのいずれかが規則正しい順序で設けられている。1つの放電セル31内には、平面視において表示電極11とアドレス電極21が交差する点が多数存在するようになっており、これら1つ1つの交点を最小の発光単位として、左右方向に連続するR、G、Bの3つの発光単位により1画素を構成している。各蛍光体膜35R、35G、35Bの厚さは特に限定されないが、5〜50μmの範囲であることが好ましい。
【0098】
蛍光体膜35G、35R、35Bは本発明に係る上記蛍光体ペーストから構成されており、その形成に当たっては、当該蛍光体ペーストを、放電セル31の側面と底面とに塗布するか又は放電セル31の内部に充填してその後乾燥及び焼成することにより、放電セル31の側面と底面とに蛍光体膜35G、35R、,35Bを形成することができる。
【0099】
なお、蛍光体ペーストを放電セル31(31R、31G、31B)に塗布又は充填する際には、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィー法、フォトレジストフィルム法、インクジェット法等種々の方法を適用することができる。例えばスクリーン印刷法によって蛍光体ペーストをガラス基板の表面に所定のパターンに印刷し、形成された塗布膜を乾燥させることにより、本発明の蛍光体ペーストによるパターン層を形成することができる。このスクリーン印刷法は、蛍光体やガラスフリットが無機物質として含有されている組成物において特に有用な塗布法である。また、印刷形成された塗布膜の乾燥条件としては、例えば、加熱温度を60〜100℃とし、加熱時間を5〜30分とするのがよい。また、乾燥後におけるパターン層の厚さは例えば5〜200μmとされる。
【0100】
また、インクジェット法は、隔壁30のピッチが狭く、放電セル31が微細に形成されている場合であっても、隔壁30間に低コストで容易に精度良く均一に蛍光体ペーストを塗布又は充填できるので、特に好ましい。
【0101】
このようにして、所定の形状に成形された蛍光体ペースト又は当該蛍光体ペーストにより形成されたパターン層は、焼成されることによりバインダ樹脂、残留溶剤、有機系添加物等の有機物質が熱分解されて除去される。
【0102】
なお、バインダ樹脂として含有されている乳酸系(共)重合体は400℃〜600℃の温度で完全に熱分解されるため、焼成温度が比較的低い温度であっても得られる蛍光体膜35R、35G、35B中にバインダ樹脂に由来する有機物質が残留することがない。また、焼成時の発熱量を少なくさせることができ、蛍光体膜35R、35G、35Bにバインダ樹脂の発熱による欠陥を生じさせることもない。
【0103】
そして上記構成を具備するプラズマディスプレイパネル(PDP)においては、表示の際に、アドレス電極21と、1組の表示電極11、11のうちいずれか一方の表示電極11との間で、選択的にトリガー放電を行わせることにより、表示を行う放電セル31が選択される。その後、選択された放電セル31内において、1組の表示電極11、11間でサステイン放電を行わせることにより、放電ガスに起因する紫外線が生じ、蛍光体膜35R、35G、35Bから可視光が発生するようになっている。
【実施例】
【0104】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《蛍光体の作製》
<本発明の蛍光体1、2、3(液相法)の作製>
水1000mlをA液とした。水500mlに珪素のイオン濃度が0.50mol/lになるようにメタ珪酸ナトリウムを溶解しB液とした。水500mlに亜鉛のイオン濃度が0.95mol/l、賦活剤(マンガン)のイオン濃度が0.07mol/l、共賦活剤(マグネシウム)のイオン濃度が0.02mol/lになるように塩化亜鉛と塩化マンガン四水和物、塩化マグネシウムを溶解しC液とした。
【0105】
図3に示す蛍光体の製造装置であるダブルジェット反応晶析装置(反応容器)に溶液Aを入れ40℃に保ち、攪拌翼R3を用いて攪拌を行った。その状態で40℃に保った溶液B、Cを溶液Aの入った反応容器下部よりノズルR4及びR5より100ml/minの速度で等速添加を行った。添加後10分間熟成を行い、前駆体Aを得た。その後前駆体を限外濾過装置(限外濾過膜:日東電工製NTU−3150)により電気伝導度が30ms/cmになるまで洗浄した。洗浄後の前駆体Aを濾過乾燥して、乾燥前駆体Aを得た。
【0106】
これを1250℃で弱還元性雰囲気下(N2中)で3時間焼成し蛍光体1を得た。
【0107】
蛍光体1を直径1mmのボール適量と適量の純水とともに短時間(10分〜20分)湿式ボールミル弱解砕を行い濾過乾燥し平均粒径2.0μmの粉末状蛍光体を得た。
【0108】
溶液Bと溶液Cの供給速度及び溶液A内での反応温度と熟成時間を変更した以外は蛍光体1と同様にして調整し、表1記載の組成分布を持つ蛍光体2、3を作製した。蛍光体2の平均粒径は2.3μmで蛍光体3は2.5μmであった。
【0109】
<比較の蛍光体4(固相法)の作製>
母体材料の原料として酸化亜鉛(ZnO)、酸化珪素(SiO2)をモル比2:1に配合する。次に、この混合物に対して酸化珪素に対し1:0.14比の量の酸化マンガン(Mn23)、1:0.04の量の酸化マグネシウム(MgO)を添加し、ボールミルで混合後、1250℃で、弱還元雰囲気下(N2中)で3時間焼成を行った。合成された蛍光体を粉砕後、さらに1250℃で弱還元雰囲気下(N2中)で2時間焼成を行った。これを直径1mmのボールを適量と適量の純水とともに短時間(1hr)湿式ボールミル解砕を行い、濾過乾燥し平均粒径4.0μmの粉末状蛍光体4を得た。
【0110】
<比較蛍光体5(従来固相法)の作製>
蛍光体2に対し均一性を向上した比較蛍光体
原料として酸化亜鉛(ZnO)、酸化珪素(SiO2)をモル比2:1に配合する。次に、この混合物に対して所定量の酸化マンガン(Mn23)、酸化マグネシウム(MgO)を添加し、ボールミルで混合後、1250℃で、弱還元雰囲気下(N2中)で3時間焼成を行い合成された蛍光体を粉砕後、さらに1250℃で弱還元雰囲気下(N2中)で2時間焼成を行った。更に同条件の粉砕、焼成を再度繰り返した。
【0111】
これを直径1mmのボールを適量と適量の純水とともに短時間(1hr)湿式ボールミル解砕を行い、濾過乾燥し平均粒径4.2μmの粉末状蛍光体を得た。蛍光体5を得た。
【0112】
《蛍光体の評価》
<蛍光体中の組成均一性の測定>
蛍光体粒子の成分含有率の均一性は粒子間分布変動係数で表すことができ、その算出方法としては2次イオン質量分析(SIMS)装置により少なくとも100個の蛍光体粒子の組成含有率を測定した際の組成含有率の標準偏差を平均含有率で除した値に100を乗じて得られる値で求められる。
【0113】
粒子内に含有する組成の含有率の測定方法としては、サブミクロン〜ナノメートルオーダーの高い分解能を有する2次イオン質量分析(SIMS)装置を用いて、一個一個の粒子の組成を測定した。粒子間分布変動係数の結果を表1に示す。
【0114】
<熱ルミネッセンス測定>
得られた蛍光体に液体窒素温度で波長254nm、1w/m2の紫外線を20分間照射した後、17k/分の昇温速度で熱ルミネッセンス強度を測定した時の熱ルミネッセンス曲線(グロー曲線)の120K以下の最大ピーク強度と120Kより高い温度での最大ピークとの強度比を表1に示した。
【0115】
<ペーストベーク劣化試験>
上記で得た蛍光体(比率50%)とエチルセルロース樹脂および溶剤からなるペーストを作製した。ペーストには塗布できるように溶剤により粘度を調整した。
【0116】
このペーストを用いてスクリーン印刷方によりPDP用ガラス基板上に厚膜印刷し、500℃で30分間大気中で焼成(ベーク)して蛍光体層を得た。
【0117】
この蛍光体層の真空紫外線蛍光評価を下記に行い、ペーストベークする前の粉体状態で測定した輝度を100%としたときのベーク後の輝度維持率(%)で表1に表した。
【0118】
輝度測定は光源として146nmのエキシマランプ(ウシオ電機)を使用し、真空チャンバー内にサンプルをセットし、真空度1.3×10Paにて一定距離から照射し励起発光を輝度計で測定し結果を表1に示した。
【0119】
尚、ベーク前の初期輝度を比較サンプル100%としたときの相対値で示した。
【0120】
<真空紫外線劣化測定>
ペーストベークして得た蛍光体膜に146nmの真空紫外線(エキシマランプ:ウシオ電機)を200時間照射した後の輝度を測定し結果を表1に示した。維持率は下記の式から求めた。
【0121】
輝度維持率(%)=(200時間後の輝度)/(ベーク後の輝度)×100
<残光評価>
蛍光体の初期粉体状態の残光時間を蛍光寿命測定器を用いて測定した。残光時間は遮断した後の発光強度が、遮断直前の発光強度の1/10になるまでの時間とし、比較例を100とした時の相対残光時間を表1に示した。
【0122】
本発明形態のグロー曲線を示す蛍光体では、その均一性を一因としてペーストベークによる劣化、真空紫外線による劣化が大幅に改善され、残光時間も短縮されることが判明した。これは、液相法による前駆体形成時の組成均一性、粒子分布の単分散性が大きく因子となっていることが表1の粒子間分布変動係数から分かる。
【0123】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】熱ルネッセンスの測定装置を示す概略図である。
【図2】プラズマディスプレイの一例を示した斜視図である。
【図3】ダブルジェット反応装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0125】
1 試料ホルダ
2 シンチレータ試料
3 石英ガラス製容器
4 ヒータ
8 光電子増倍管
10 パーソナルコンピュータ
PDP プラズマディスプレイパネル
10FP 前面板
20BP 背面板
30 隔壁
31(31R,31B,35G) 放電セル
35(35R,35B,35G) 蛍光体膜
1R ダブルジェット式反応装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空紫外線により励起されて可視光を放出する蛍光体であって、該蛍光体の熱ルミネッセンス曲線の120K以下の温度領域のグローピークの中で最大値を示すグローピーク強度が120Kより高い温度領域のどのグローピーク強度より1.5倍以上高いことを特徴とする蛍光体。
【請求項2】
前記蛍光体の母体材料がZnxSiO4であり、賦活剤がMnyであり、及び共賦活剤がM1zである(但し、1.4≦x<2.0、0<y≦0.3、0<z≦0.2であり、M1は希土類元素又はアルカリ土類金属、Be、Mgである。)ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
【請求項3】
前記蛍光体が液相法で合成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光体。
【請求項4】
真空紫外線により励起されて発光する蛍光体層を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、該蛍光体層が、蛍光体として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−299102(P2006−299102A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123356(P2005−123356)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】