蛍光物質担持体及びその製造方法、上記蛍光物質担持体を用いた発光ダイオード
【課題】基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体を実現する。
【解決手段】繊維12間に多数の空隙16が形成された不織布で基体14を形成し、上記繊維12の表面に、蛍光体18を担持させると共に、繊維12間の空隙16に、蛍光体18が添加された透光性の結合剤20を充填して成る蛍光物質担持体10であって、上記結合剤20が充填されない空隙16も存在するよう構成した蛍光物質担持体10。また、多数の空孔34を有するスポンジ等の弾性多孔部材で基体32を形成すると共に、上記空孔34内に、蛍光体18が添加された透光性の結合剤20を充填して成る蛍光物質担持体30であって、上記結合剤20が充填されない空孔34も存在するよう構成した蛍光物質担持体30。
【解決手段】繊維12間に多数の空隙16が形成された不織布で基体14を形成し、上記繊維12の表面に、蛍光体18を担持させると共に、繊維12間の空隙16に、蛍光体18が添加された透光性の結合剤20を充填して成る蛍光物質担持体10であって、上記結合剤20が充填されない空隙16も存在するよう構成した蛍光物質担持体10。また、多数の空孔34を有するスポンジ等の弾性多孔部材で基体32を形成すると共に、上記空孔34内に、蛍光体18が添加された透光性の結合剤20を充填して成る蛍光物質担持体30であって、上記結合剤20が充填されない空孔34も存在するよう構成した蛍光物質担持体30。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基体に蛍光体、蛍光ガラス等の蛍光物質を担持させて成る蛍光物質担持体及びその製造方法、上記蛍光物質担持体を用いた発光ダイオードに係り、特に、基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体及びその製造方法と、上記蛍光物質担持体を用いた高輝度な発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
基体に蛍光体、蛍光ガラス等の蛍光物質を担持させて成る蛍光物質担持体として、本出願人は先に、特開2005−105423号を提案した。
図11乃至図13に示すように、この蛍光物質担持体70は、多数の繊維72絡み合ってシート状に形成された不織布より成る基体74と、上記不織布を構成する繊維72の表面に被着・担持された蛍光物質としての蛍光体76とから成る。
【0003】
多数の上記繊維72が絡み合ってシート状に形成された不織布は、繊維72間に多数の空隙78(図13参照)が形成されており、また、多数の繊維72が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維72の表面積が極めて大きいものである。
【0004】
上記蛍光物質担持体70の基体74を形成する不織布の繊維72表面の蛍光体76に、紫外線等の光が照射されると、この光が所定波長の可視光等の光に波長変換されて放射されるのである。
而して、上記蛍光物質担持体70にあっては、多数の繊維72が立体的に絡み合って形成され、単位体積当たりの繊維72の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維72の表面に、蛍光体76を担持せしめたことから、基体74に担持する蛍光体76の量を飛躍的に増大させることができるのである。
【0005】
尚、本出願人は、特開2006−60099号において、上記蛍光物質担持体70を用いた発光ダイオードについても提案を行っている。
【特許文献1】特開2005−105423
【特許文献2】特開2006−60099
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蛍光体76から放射される光の輝度は、蛍光体76の量に略比例することから、蛍光物質担持体70の輝度を向上させるためには、基体74に担持させる蛍光体76の量をできるだけ多くすることが必要である。
【0007】
出願人が提案した上記従来の蛍光物質担持体70は、単位体積当たりの繊維72の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維72の表面に蛍光体76を担持させることにより、基体74に担持する蛍光体76の量を飛躍的に増大させることができるものであるが、より一層、基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体の実現が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記要請に応えるためになされたものであり、その目的とするところは、基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体と、該蛍光物質担持体の製造方法を実現することにある。
また本発明は、上記蛍光物質担持体を用いた高輝度な発光ダイオードの実現を、他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の蛍光物質担持体は、繊維間に多数の空隙が形成された繊維の集合体で基体を形成し、上記繊維の表面に、蛍光物質を担持させると共に、繊維間の空隙に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空隙も存在するよう構成したことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の蛍光物質担持体は、請求項1に記載の蛍光物質担持体における繊維の集合体として、多数の繊維が絡み合って形成された不織布を用いたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の蛍光物質担持体は、多数の空孔を有する弾性多孔部材で基体を形成すると共に、上記空孔内に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空孔も存在するよう構成したことを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の蛍光物質担持体は、請求項3に記載の蛍光物質担持体における弾性多孔部材として、スポンジを用いたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発光ダイオードは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体と、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体に担持された蛍光物質を励起する波長の光を発光する発光ダイオードチップとを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に記載の蛍光物質担持体の製造方法は、請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に蛍光物質が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させることにより、繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換する工程と、
上記液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に記載の蛍光物質担持体の製造方法は、請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に、蛍光物質及び発泡剤が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を所定温度で加熱することにより、発泡剤の発泡作用で繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換すると共に、液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の蛍光物質担持体の製造方法は、請求項6又は7に記載の蛍光物質担持体の製造方法における繊維の集合体として、多数の繊維が絡み合って形成された不織布を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の蛍光物質担持体は、単位体積当たりの繊維の表面積が大きい繊維の集合体で基体を形成し、上記繊維の表面に、蛍光物質を担持させると共に、繊維間の空隙にも、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填したことから、従来の上記蛍光物質担持体70に比べて、基体に担持する蛍光物質の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、繊維間の空隙に充填された結合剤は透光性を有していると共に、結合剤が充填されない空隙も存在するために、蛍光物質で波長変換された光の透過性も良好である。
【0016】
請求項1に記載の蛍光物質担持体における繊維の集合体として、多数の繊維が絡み合って形成された不織布を用いた場合には、単位体積当たりの繊維の表面積が極めて大きいことから、担持する蛍光物質の表面積を極めて大きく確保することができる。
【0017】
本発明の請求項3に記載の蛍光物質担持体は、多数の空孔を有し、単位体積当たりの表面積が極めて大きい弾性多孔部材で基体を形成し、上記空孔内に蛍光物質を添加した結合剤を充填したことから、基体に担持する蛍光物質の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、空孔内に充填された結合剤は透光性を有していると共に、結合剤が充填されない空孔も存在するために、蛍光物質で波長変換された光の透過性も良好である。
【0018】
本発明の請求項5に記載の発光ダイオードは、基体に担持する蛍光物質の量を増大させた請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体を用いたことから、高輝度な発光ダイオードを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明に係る蛍光物質担持体の実施形態を説明する。
図1及び図2は、本発明に係る第1の蛍光物質担持体10を示すものであり、該第1の蛍光物質担持体10は、多数の繊維12が絡み合ってシート状に形成された繊維の集合体としての不織布より成る基体14を有している。
上記基体14を形成する不織布は、繊維12間に多数の空隙16(図3参照)が形成されており、また、多数の繊維12が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維12の表面積が極めて大きいものである。
尚、上記繊維12の繊維密度や、不織布の厚さ、目付等を適宜調整することにより、不織布を構成する繊維12の総表面積を任意に増減可能である。
【0020】
また、不織布で形成された上記基体14に、蛍光体18を分散・添加した透光性の結合剤20を含浸することにより、不織布を構成する繊維12の表面に、結合剤20を介して蛍光体18を被着・担持させると共に、繊維12間の空隙16に、蛍光体18が添加された結合剤20を充填させて成る。
図3に示すように、繊維12間の全ての空隙16に結合剤20が充填されるものではなく、結合剤20が充填されない空隙16も存在している。
また、図4に示すように、繊維12の表面に被着される蛍光体18の量は、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の量よりも多くなっており、さらに、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の分布状態は、繊維12に近づくに従って蛍光体18の量が多くなっている。
【0021】
上記透光性の結合剤20としては、例えば、シリコン樹脂等の有機材料、ゾルゲルガラス等の無機材料を使用することができる。
【0022】
上記蛍光体18は、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けると、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換するものであり、例えば以下の組成のものを用いることができる。
紫外線を赤色可視光に変換する赤色発光用の蛍光体18として、M2O2S:Eu(Mは、La、Gd、Yの何れか1種)、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn、2MgO・2LiO2・Sb2O3:Mn、Y(P,V)O4:Eu、YVO4:Eu、(Sr,Mg)3(PO4):Sn、Y2O3:Eu、CaSiO3:Pb,Mn等がある。
また、紫外線を緑色可視光に変換する緑色発光用の蛍光体18として、BaMg2Al16O27:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、(Ce,Tb,Mn)MgAl11O19、LaPO4:Ce,Tb、(Ce,Tb)MgAl11O19、Y2SiO5:Ce,Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al、(Zn,Cd)S:Cu,Al、SrAl2O4:Eu、SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、Y3Al5O12:Tb、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、Y3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce等がある。
更に、紫外線を青色可視光に変換する青色発光用の蛍光体18として、(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、(Sr,Mg)2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Sn、Sr5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、CaWO4、CaWO4:Pb、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Ag,Al、(Sr,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu等がある。
また、青色可視光を発光するLEDチップを光源に用いて白色光を得る場合等において、LEDチップから放射される青色可視光を緑色可視光に変換する緑色発光用の蛍光体18として、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、SrGa2S4:Eu、Ca3Sc2Si3O12:Ce、α−SiAlON:Eu、β−SiAlON:Eu等がある。
さらに、青色可視光を発光するLEDチップを光源に用いた場合等において、LEDチップから放射される青色可視光を赤色可視光に変換する赤色発光用の蛍光体18として、(Sr,Ca)S:Eu、(Ca,Sr)2Si5N8:Eu、CaSiN2:Eu、CaAlSiN3:Eu等がある。
上記赤色発光用の蛍光体18、緑色発光用の蛍光体18、青色発光用の蛍光体18を適宜選択・混合して用いることで、種々の色の発色が可能である。
尚、上記蛍光体18は、有機、無機の蛍光染料や、有機、無機の蛍光顔料を含むものである。
【0023】
上記繊維12は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂繊維、
レーヨン等のセルロース系の化学繊維、ガラス繊維、金属繊維等の短繊維から成り、その直径は5〜20μm、長さは0.5〜20mm程度であるが、長さが50〜100mm程度の長繊維から成る繊維12を用いることも勿論可能である。
尚、光の透過性の観点から、透光性材料で繊維12を構成するのが好ましい。
【0024】
上記第1の蛍光物質担持体10の基体14を形成する不織布の繊維12表面の蛍光体18、及び、繊維12間の空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18に、紫外線や青色可視光等の光が照射されると、この光が所定波長の可視光等の光に波長変換されて放射されるのである。
而して、上記第1の蛍光物質担持体10にあっては、多数の繊維12が立体的に絡み合って形成され、単位体積当たりの繊維12の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維12の表面に蛍光体18を担持させると共に、繊維12間の空隙16にも蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことから、従来の上記蛍光物質担持体70に比べて、基体14に担持する蛍光体18の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、繊維12間の空隙16に充填された結合剤20は透光性を有していると共に、結合剤20が充填されない空隙16も存在するために、蛍光体18で波長変換された光の透過性も良好である。
【0025】
以下において、第1の蛍光物質担持体10の基体14に蛍光体18を担持させる方法について説明する。
先ず、所定長さのシート状の不織布を準備すると共に、粒子状の蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を液槽(図示せず)内に満たしておく。
【0026】
次に、上記不織布を、液槽内の結合剤20中に浸漬し、不織布に蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を含浸させる。この状態では、不織布を構成する繊維12の表面及び繊維12間の空隙16に、ほぼ万遍なく結合剤20が含浸されている。尚、結合剤20に分散・添加された蛍光体18は、液状の結合剤20中で移動するが、固体である繊維12に衝突して移動が妨げられる結果、上記の通り、繊維12表面に被着される蛍光体18の量は、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の量よりも多くなり、さらに、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の分布状態は、繊維12に近づくに従って蛍光体18の量が多くなる。
【0027】
次に、図5に示すように、不織布を水平方向に移送しつつ、一対の加圧ロール22で不織布を挟圧することにより、不織布を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させる。而して、上記不織布が圧縮変形する過程で所定量の結合剤20が不織布から絞り出されて除去されると共に、不織布の変形部分が復元する過程で空気が不織布内に流入することにより、繊維12間の空隙16に充填されていた結合剤20が空気と置換され、図3に示すように、結合剤20が充填されない空隙16が形成されるのである。
結合剤20中の蛍光体18の分散量、不織布の加圧力等の条件により、結合剤20が充填されない空隙16の割合(空隙率=不織布の体積に対する結合剤20が充填されない空隙16の体積の割合)が変化し、不織布の蛍光体担持量も変化する。
【0028】
その後、不織布を所定温度で所定時間加熱して、液状の結合剤20を固化させる。
例えば、結合剤20が熱硬化性樹脂であるシリコン樹脂の場合には、80〜150℃で2〜4時間加熱する。
また、結合剤20が液状のゾルゲルガラス材料の場合には、80〜120℃で0.5〜1時間加熱することにより、ゾルゲルガラス材料を加水分解、重合反応させて固体であるゾルゲルガラスを形成する。
上記ゾルゲルガラスは、金属アルコキシドや金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート等の金属有機化合物を出発物質として、その加水分解、重合反応を利用して合成されるものであり、溶液状態から出発するため、任意の形状のガラスに成形容易である。
上記ゾルゲルガラス材料は、一般式M(OR)n(M:金属元素、R:アルキル基、n:金属の酸化数)の金属有機化合物、水(加水分解のため)、溶媒としてメタノール、DMF(ヂメチルフォルムアミド)、加水分解・重合反応の調整剤としてアンモニアで構成することができ、このゾルゲルガラス材料を加水分解、重合反応させることにより、ゲル化し、硬いガラス状の無機質膜形成が生じてゾルゲルガラスが形成されるのである。
結合剤20を固化した後、不織布を所定形状にカットすることにより、上記第1の蛍光物質担持体10が完成するのである。
【0029】
尚、発泡剤を使用することにより、結合剤20が充填されない空隙16を形成することもできる。
この場合、蛍光体18及び発泡剤が添加された液状の結合剤20中に、上記不織布を浸漬して、蛍光体18及び発泡剤が添加された液状の結合剤20を含浸させた後、不織布を所定温度、例えば、100〜150℃で加熱すれば、上記発泡剤の発泡作用で繊維12間の空隙16に充填されていた結合剤20が空気と置換されて結合剤20の充填されない空隙16が形成されると共に、液状の結合剤20が固化される。
結合剤20中に添加する発泡剤の添加量を調整することにより、結合剤20が充填されない空隙16の割合(空隙率=不織布の体積に対する結合剤20が充填されない空隙16の体積の割合)を制御することができる。
上記発泡剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、P−トルエンスルホニルヒドラジト、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤、炭酸水素ナトリウム等の無機発泡剤が好適である。尚、これら発泡剤の分解温度を幅広く調整できる尿素系の助剤、金属酸化物等の併用も可能である。
尚、発泡剤の使用と共に、上記した不織布の圧縮変形・復元工程を併用しても良い。
【0030】
また、トルオール、キシロール、アルコール類等の溶剤を使用することにより、結合剤20が充填されない空隙16を形成することもできる。
この場合、蛍光体18及び溶剤が添加された液状の結合剤20中に、上記不織布を浸漬して、蛍光体18及び溶剤が添加された液状の結合剤20を含浸させた後、不織布を所定温度で加熱すれば、上記溶剤が熱で蒸発する過程で繊維12間の空隙16に充填されていた結合剤20が空気と置換されて結合剤20の充填されない空隙16が形成されると共に、液状の結合剤20が固化されるのである。
【0031】
上記においては、繊維の集合体として、不織布を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、多数の繊維を織り込んで形成した織布を用い、該織布を構成する繊維に蛍光体を担持させても良い。この織布も、不織布には及ばないものの、単位体積当たりの繊維の表面積が大きいものである。
【0032】
図6及び図7は、本発明に係る第2の蛍光物質担持体30を示すものであり、該第2の蛍光物質担持体30は、弾性多孔部材より成るシート状の基体32を有している。上記弾性多孔部材は、発泡ウレタン樹脂等より成るスポンジで構成されている。尚、光の透過性の観点から、透光性材料で弾性多孔部材を構成するのが好ましい。
上基体32を形成する弾性多孔部材は、10〜500μm程度の多数の微細な空孔34を有しており、単位体積当たりの表面積が極めて大きいものである。
【0033】
また、弾性多孔部材で形成された上記基体32に、蛍光体18を分散・添加した透光性の結合剤20を含浸することにより、空孔34内に、蛍光体18が添加された結合剤20を充填させて成る。
図8に示すように、弾性多孔部材の全ての空孔34内に結合剤20が充填されるものではなく、結合剤20が充填されない空孔34も存在している。
また、図9に示すように、空孔34内の蛍光体18の分布状態は、空孔34を形成する壁部36の表面に被着される蛍光体18の量が最も多く、壁部36から遠ざかるに従って蛍光体18の量が少なくなっている。
【0034】
上記第2の蛍光物質担持体30の基体32を形成する空孔34内に充填された結合剤20中の蛍光体18に、紫外線や青色可視光等の光が照射されると、この光が所定波長の可視光等の光に波長変換されて放射されるのである。
而して、上記第2の蛍光物質担持体30にあっては、多数の空孔34を有し、単位体積当たりの表面積が極めて大きい弾性多孔部材を構成する空孔34内に蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことから、基体32に担持する蛍光体18の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、空孔34内に充填された結合剤20は透光性を有していると共に、結合剤20が充填されない空孔34も存在するために、蛍光体18で波長変換された光の透過性も良好である。
【0035】
第2の蛍光物質担持体30の基体32に蛍光体18を担持させる方法は、上記第1の蛍光物質担持体10と略同一である。
すなわち、先ず、所定長さのシート状の弾性多孔部材を準備すると共に、蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を液槽(図示せず)内に満たしておく。
次に、上記弾性多孔部材を、液槽内の結合剤20中に浸漬し、弾性多孔部材に蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を含浸させる。この状態では、弾性多孔部材の空孔34内に、ほぼ万遍なく結合剤20が含浸されている。尚、結合剤20に分散・添加された蛍光体18は、液状の結合剤20中で移動するが、空孔34を形成する壁部36に衝突して移動が妨げられる結果、上記の通り、空孔34を形成する壁部36の表面に被着される蛍光体18の量が最も多く、壁部36から遠ざかるに従って蛍光体18の量が少なくなる。
【0036】
次に、図5に示す加圧ロール22等を用いて、弾性多孔部材を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させる。この結果、上記弾性多孔部材が圧縮変形する過程で所定量の結合剤20が弾性多孔部材から絞り出されて除去されると共に、弾性多孔部材の変形部分が復元する過程で空気が空孔34に流入することにより、空孔34内に充填されていた結合剤20が空気と置換され、図8に示すように、結合剤20が充填されない空孔34が形成されるのである。
【0037】
その後、弾性多孔部材を所定温度で所定時間加熱して、液状の結合剤20を固化させた後、弾性多孔部材を所定形状にカットすることにより、上記第2の蛍光物質担持体30が完成するのである。
【0038】
図10は、上記第1の蛍光物質担持体10を用いた発光ダイオード(LED)40を示すものである。該LED40は、樹脂等の絶縁材料より成り、孔42が形成された略リング状の枠体44と、第1のリードフレーム46及び第2のリードフレーム48を有している。
第1のリードフレーム46は、上記枠体44の底面44aの略全面を覆う先端部46aと、枠体44を貫通して外方へ向かって水平方向に取り出される後端部46bを有している。第1のリードフレーム46の先端部46aの一部は上記孔42内に露出しており、該孔42内に露出した第1のリードフレーム46の先端部46aに、LEDチップ50をダイボンドすることにより、第1のリードフレーム46とLEDチップ50底面の一方の電極(図示せず)とを電気的に接続している。
【0039】
また、第2のリードフレーム48は、上記枠体44を貫通して孔42内に露出する先端部48aと、枠体44の外方へ向かって水平方向に取り出されている後端部48bを有しており、第2のリードフレーム48の先端部48aと、上記LEDチップ50上面の他方の電極(図示せず)とをボンディングワイヤ52を介して電気的に接続して成る。
上記LEDチップ50は、電圧が印加されると、第1の蛍光物質担持体10及び第2の蛍光物質担持体30に担持された蛍光体18を励起する波長の光を発光し、例えば、窒化ガリウム系半導体結晶で構成されている。
【0040】
上記第1のリードフレーム46の先端部46aと、第2のリードフレーム48の先端部48aは、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置されることにより、相互に絶縁されている。
而して、本発明のLED40にあっては、第1のリードフレーム46の先端部46aと、第2のリードフレーム48の先端部48aを同一平面上に配置せず、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置したことにより、第1のリードフレーム46の先端部46aで枠体44の底面44aの略全面を覆っても、第1のリードフレーム46と第2のリードフレーム48間の絶縁性を確保できるのである。
【0041】
また、上記枠体44の孔42内には、シリコン樹脂等より成る透光性のコーティング材54を充填してLEDチップ50を封止して成る。
さらに、上記枠体44の上端には、段部56が形成されており、該段部56上に上記第1の蛍光物質担持体10が載置されている。この結果、上記LEDチップ50の上方に、第1の蛍光物質担持体10が配置されることとなる。
尚、第1の蛍光物質担持体10とコーティング材54との間には、所定距離の空間58が介在している。
【0042】
而して、上記第1のリードフレーム46及び第2のリードフレーム48を介してLEDチップ50に電圧が印加されると、LEDチップ50が発光して、上記蛍光体18を励起させる波長の紫外線や青色可視光等の光が放射される。この光が、LEDチップ50の上方に配置されている第1の蛍光物質担持体10に担持された蛍光体18に照射され、所定波長の可視光等の光に波長変換された後、外部へ放射されるのである。
【0043】
而して、本発明の発光ダイオード40にあっては、単位体積当たりの繊維12の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維12の表面に蛍光体18を担持させると共に、繊維12間の空隙16にも蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことにより、基体14に担持する蛍光体18の量を増大させた上記第1の蛍光物質担持体10を用いたことから、高輝度な発光ダイオード40を実現できる。
【0044】
尚、上記本発明の発光ダイオード40において、第1の蛍光物質担持体10に代えて、第2の蛍光物質担持体30を用いても良い。
この場合も、多数の空孔34を有し、単位体積当たりの表面積が極めて大きい弾性多孔部材を構成する空孔34内に蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことにより、基体32に担持する蛍光体18の量を増大させた第2の蛍光物質担持体30を用いることから、高輝度な発光ダイオード40を実現できる。
【0045】
尚、図1乃至図10は模式図であり、説明の便宜上、本発明の特徴点を強調して表現している。
【0046】
蛍光物質としては、上記した蛍光体18だけでなく、蛍光ガラスや蛍光樹脂等、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けた場合に、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換する全ての物質を含むものである。
蛍光ガラスは、ガラス材料に蛍光材料を添加して形成される透明体であり、また、蛍光樹脂は、エポキシ樹脂等の樹脂材料に蛍光材料を添加して形成される透明体である。これら蛍光ガラスや蛍光樹脂を粒子状と成し、第1の蛍光物質担持体10及び第2の蛍光物質担持体30の基体14,32に担持させれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す部分拡大図である。
【図3】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す要部拡大図である。
【図4】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す要部断面図である。
【図5】本発明に係る第1の蛍光物質担持体の製造方法を示す説明図である。
【図6】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す部分拡大図である。
【図8】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す要部拡大図である。
【図9】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す要部断面図である。
【図10】本発明に係る発光ダイオードを模式的に示す断面図である。
【図11】従来の蛍光物質担持体を模式的に示す斜視図である。
【図12】従来の蛍光物質担持体を模式的に示す部分拡大図である。
【図13】従来の蛍光物質担持体を構成する繊維を模式的に示す拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
10 第1の蛍光物質担持体
12 繊維
14 基体
16 空隙
18 蛍光体
20 結合剤
22 加圧ロール
30 第2の蛍光物質担持体
32 基体
34 空孔
40 発光ダイオード
42 孔
44 枠体
46 第1のリードフレーム
48 第2のリードフレーム
50 LEDチップ
54 コーティング材
【技術分野】
【0001】
この発明は、基体に蛍光体、蛍光ガラス等の蛍光物質を担持させて成る蛍光物質担持体及びその製造方法、上記蛍光物質担持体を用いた発光ダイオードに係り、特に、基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体及びその製造方法と、上記蛍光物質担持体を用いた高輝度な発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
基体に蛍光体、蛍光ガラス等の蛍光物質を担持させて成る蛍光物質担持体として、本出願人は先に、特開2005−105423号を提案した。
図11乃至図13に示すように、この蛍光物質担持体70は、多数の繊維72絡み合ってシート状に形成された不織布より成る基体74と、上記不織布を構成する繊維72の表面に被着・担持された蛍光物質としての蛍光体76とから成る。
【0003】
多数の上記繊維72が絡み合ってシート状に形成された不織布は、繊維72間に多数の空隙78(図13参照)が形成されており、また、多数の繊維72が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維72の表面積が極めて大きいものである。
【0004】
上記蛍光物質担持体70の基体74を形成する不織布の繊維72表面の蛍光体76に、紫外線等の光が照射されると、この光が所定波長の可視光等の光に波長変換されて放射されるのである。
而して、上記蛍光物質担持体70にあっては、多数の繊維72が立体的に絡み合って形成され、単位体積当たりの繊維72の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維72の表面に、蛍光体76を担持せしめたことから、基体74に担持する蛍光体76の量を飛躍的に増大させることができるのである。
【0005】
尚、本出願人は、特開2006−60099号において、上記蛍光物質担持体70を用いた発光ダイオードについても提案を行っている。
【特許文献1】特開2005−105423
【特許文献2】特開2006−60099
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蛍光体76から放射される光の輝度は、蛍光体76の量に略比例することから、蛍光物質担持体70の輝度を向上させるためには、基体74に担持させる蛍光体76の量をできるだけ多くすることが必要である。
【0007】
出願人が提案した上記従来の蛍光物質担持体70は、単位体積当たりの繊維72の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維72の表面に蛍光体76を担持させることにより、基体74に担持する蛍光体76の量を飛躍的に増大させることができるものであるが、より一層、基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体の実現が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記要請に応えるためになされたものであり、その目的とするところは、基体に担持させる蛍光物質の量を増大させることができる高輝度な蛍光物質担持体と、該蛍光物質担持体の製造方法を実現することにある。
また本発明は、上記蛍光物質担持体を用いた高輝度な発光ダイオードの実現を、他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の蛍光物質担持体は、繊維間に多数の空隙が形成された繊維の集合体で基体を形成し、上記繊維の表面に、蛍光物質を担持させると共に、繊維間の空隙に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空隙も存在するよう構成したことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の蛍光物質担持体は、請求項1に記載の蛍光物質担持体における繊維の集合体として、多数の繊維が絡み合って形成された不織布を用いたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項3に記載の蛍光物質担持体は、多数の空孔を有する弾性多孔部材で基体を形成すると共に、上記空孔内に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空孔も存在するよう構成したことを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載の蛍光物質担持体は、請求項3に記載の蛍光物質担持体における弾性多孔部材として、スポンジを用いたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項5に記載の発光ダイオードは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体と、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体に担持された蛍光物質を励起する波長の光を発光する発光ダイオードチップとを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6に記載の蛍光物質担持体の製造方法は、請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に蛍光物質が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させることにより、繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換する工程と、
上記液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7に記載の蛍光物質担持体の製造方法は、請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に、蛍光物質及び発泡剤が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を所定温度で加熱することにより、発泡剤の発泡作用で繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換すると共に、液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項8に記載の蛍光物質担持体の製造方法は、請求項6又は7に記載の蛍光物質担持体の製造方法における繊維の集合体として、多数の繊維が絡み合って形成された不織布を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の蛍光物質担持体は、単位体積当たりの繊維の表面積が大きい繊維の集合体で基体を形成し、上記繊維の表面に、蛍光物質を担持させると共に、繊維間の空隙にも、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填したことから、従来の上記蛍光物質担持体70に比べて、基体に担持する蛍光物質の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、繊維間の空隙に充填された結合剤は透光性を有していると共に、結合剤が充填されない空隙も存在するために、蛍光物質で波長変換された光の透過性も良好である。
【0016】
請求項1に記載の蛍光物質担持体における繊維の集合体として、多数の繊維が絡み合って形成された不織布を用いた場合には、単位体積当たりの繊維の表面積が極めて大きいことから、担持する蛍光物質の表面積を極めて大きく確保することができる。
【0017】
本発明の請求項3に記載の蛍光物質担持体は、多数の空孔を有し、単位体積当たりの表面積が極めて大きい弾性多孔部材で基体を形成し、上記空孔内に蛍光物質を添加した結合剤を充填したことから、基体に担持する蛍光物質の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、空孔内に充填された結合剤は透光性を有していると共に、結合剤が充填されない空孔も存在するために、蛍光物質で波長変換された光の透過性も良好である。
【0018】
本発明の請求項5に記載の発光ダイオードは、基体に担持する蛍光物質の量を増大させた請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体を用いたことから、高輝度な発光ダイオードを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明に係る蛍光物質担持体の実施形態を説明する。
図1及び図2は、本発明に係る第1の蛍光物質担持体10を示すものであり、該第1の蛍光物質担持体10は、多数の繊維12が絡み合ってシート状に形成された繊維の集合体としての不織布より成る基体14を有している。
上記基体14を形成する不織布は、繊維12間に多数の空隙16(図3参照)が形成されており、また、多数の繊維12が立体的に絡み合っているため、単位体積当たりの繊維12の表面積が極めて大きいものである。
尚、上記繊維12の繊維密度や、不織布の厚さ、目付等を適宜調整することにより、不織布を構成する繊維12の総表面積を任意に増減可能である。
【0020】
また、不織布で形成された上記基体14に、蛍光体18を分散・添加した透光性の結合剤20を含浸することにより、不織布を構成する繊維12の表面に、結合剤20を介して蛍光体18を被着・担持させると共に、繊維12間の空隙16に、蛍光体18が添加された結合剤20を充填させて成る。
図3に示すように、繊維12間の全ての空隙16に結合剤20が充填されるものではなく、結合剤20が充填されない空隙16も存在している。
また、図4に示すように、繊維12の表面に被着される蛍光体18の量は、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の量よりも多くなっており、さらに、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の分布状態は、繊維12に近づくに従って蛍光体18の量が多くなっている。
【0021】
上記透光性の結合剤20としては、例えば、シリコン樹脂等の有機材料、ゾルゲルガラス等の無機材料を使用することができる。
【0022】
上記蛍光体18は、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けると、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換するものであり、例えば以下の組成のものを用いることができる。
紫外線を赤色可視光に変換する赤色発光用の蛍光体18として、M2O2S:Eu(Mは、La、Gd、Yの何れか1種)、0.5MgF2・3.5MgO・GeO2:Mn、2MgO・2LiO2・Sb2O3:Mn、Y(P,V)O4:Eu、YVO4:Eu、(Sr,Mg)3(PO4):Sn、Y2O3:Eu、CaSiO3:Pb,Mn等がある。
また、紫外線を緑色可視光に変換する緑色発光用の蛍光体18として、BaMg2Al16O27:Eu,Mn、Zn2SiO4:Mn、(Ce,Tb,Mn)MgAl11O19、LaPO4:Ce,Tb、(Ce,Tb)MgAl11O19、Y2SiO5:Ce,Tb、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al、(Zn,Cd)S:Cu,Al、SrAl2O4:Eu、SrAl2O4:Eu,Dy、Sr4Al14O25:Eu,Dy、Y3Al5O12:Tb、Y3(Al,Ga)5O12:Tb、Y3Al5O12:Ce、Y3(Al,Ga)5O12:Ce等がある。
更に、紫外線を青色可視光に変換する青色発光用の蛍光体18として、(SrCaBa)5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、(Sr,Mg)2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Eu、Sr2P2O7:Sn、Sr5(PO4)3Cl:Eu、BaMg2Al16O27:Eu、CaWO4、CaWO4:Pb、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Ag,Al、(Sr,Ca,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu等がある。
また、青色可視光を発光するLEDチップを光源に用いて白色光を得る場合等において、LEDチップから放射される青色可視光を緑色可視光に変換する緑色発光用の蛍光体18として、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、SrGa2S4:Eu、Ca3Sc2Si3O12:Ce、α−SiAlON:Eu、β−SiAlON:Eu等がある。
さらに、青色可視光を発光するLEDチップを光源に用いた場合等において、LEDチップから放射される青色可視光を赤色可視光に変換する赤色発光用の蛍光体18として、(Sr,Ca)S:Eu、(Ca,Sr)2Si5N8:Eu、CaSiN2:Eu、CaAlSiN3:Eu等がある。
上記赤色発光用の蛍光体18、緑色発光用の蛍光体18、青色発光用の蛍光体18を適宜選択・混合して用いることで、種々の色の発色が可能である。
尚、上記蛍光体18は、有機、無機の蛍光染料や、有機、無機の蛍光顔料を含むものである。
【0023】
上記繊維12は、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン等の樹脂繊維、
レーヨン等のセルロース系の化学繊維、ガラス繊維、金属繊維等の短繊維から成り、その直径は5〜20μm、長さは0.5〜20mm程度であるが、長さが50〜100mm程度の長繊維から成る繊維12を用いることも勿論可能である。
尚、光の透過性の観点から、透光性材料で繊維12を構成するのが好ましい。
【0024】
上記第1の蛍光物質担持体10の基体14を形成する不織布の繊維12表面の蛍光体18、及び、繊維12間の空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18に、紫外線や青色可視光等の光が照射されると、この光が所定波長の可視光等の光に波長変換されて放射されるのである。
而して、上記第1の蛍光物質担持体10にあっては、多数の繊維12が立体的に絡み合って形成され、単位体積当たりの繊維12の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維12の表面に蛍光体18を担持させると共に、繊維12間の空隙16にも蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことから、従来の上記蛍光物質担持体70に比べて、基体14に担持する蛍光体18の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、繊維12間の空隙16に充填された結合剤20は透光性を有していると共に、結合剤20が充填されない空隙16も存在するために、蛍光体18で波長変換された光の透過性も良好である。
【0025】
以下において、第1の蛍光物質担持体10の基体14に蛍光体18を担持させる方法について説明する。
先ず、所定長さのシート状の不織布を準備すると共に、粒子状の蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を液槽(図示せず)内に満たしておく。
【0026】
次に、上記不織布を、液槽内の結合剤20中に浸漬し、不織布に蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を含浸させる。この状態では、不織布を構成する繊維12の表面及び繊維12間の空隙16に、ほぼ万遍なく結合剤20が含浸されている。尚、結合剤20に分散・添加された蛍光体18は、液状の結合剤20中で移動するが、固体である繊維12に衝突して移動が妨げられる結果、上記の通り、繊維12表面に被着される蛍光体18の量は、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の量よりも多くなり、さらに、空隙16に充填された結合剤20中の蛍光体18の分布状態は、繊維12に近づくに従って蛍光体18の量が多くなる。
【0027】
次に、図5に示すように、不織布を水平方向に移送しつつ、一対の加圧ロール22で不織布を挟圧することにより、不織布を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させる。而して、上記不織布が圧縮変形する過程で所定量の結合剤20が不織布から絞り出されて除去されると共に、不織布の変形部分が復元する過程で空気が不織布内に流入することにより、繊維12間の空隙16に充填されていた結合剤20が空気と置換され、図3に示すように、結合剤20が充填されない空隙16が形成されるのである。
結合剤20中の蛍光体18の分散量、不織布の加圧力等の条件により、結合剤20が充填されない空隙16の割合(空隙率=不織布の体積に対する結合剤20が充填されない空隙16の体積の割合)が変化し、不織布の蛍光体担持量も変化する。
【0028】
その後、不織布を所定温度で所定時間加熱して、液状の結合剤20を固化させる。
例えば、結合剤20が熱硬化性樹脂であるシリコン樹脂の場合には、80〜150℃で2〜4時間加熱する。
また、結合剤20が液状のゾルゲルガラス材料の場合には、80〜120℃で0.5〜1時間加熱することにより、ゾルゲルガラス材料を加水分解、重合反応させて固体であるゾルゲルガラスを形成する。
上記ゾルゲルガラスは、金属アルコキシドや金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート等の金属有機化合物を出発物質として、その加水分解、重合反応を利用して合成されるものであり、溶液状態から出発するため、任意の形状のガラスに成形容易である。
上記ゾルゲルガラス材料は、一般式M(OR)n(M:金属元素、R:アルキル基、n:金属の酸化数)の金属有機化合物、水(加水分解のため)、溶媒としてメタノール、DMF(ヂメチルフォルムアミド)、加水分解・重合反応の調整剤としてアンモニアで構成することができ、このゾルゲルガラス材料を加水分解、重合反応させることにより、ゲル化し、硬いガラス状の無機質膜形成が生じてゾルゲルガラスが形成されるのである。
結合剤20を固化した後、不織布を所定形状にカットすることにより、上記第1の蛍光物質担持体10が完成するのである。
【0029】
尚、発泡剤を使用することにより、結合剤20が充填されない空隙16を形成することもできる。
この場合、蛍光体18及び発泡剤が添加された液状の結合剤20中に、上記不織布を浸漬して、蛍光体18及び発泡剤が添加された液状の結合剤20を含浸させた後、不織布を所定温度、例えば、100〜150℃で加熱すれば、上記発泡剤の発泡作用で繊維12間の空隙16に充填されていた結合剤20が空気と置換されて結合剤20の充填されない空隙16が形成されると共に、液状の結合剤20が固化される。
結合剤20中に添加する発泡剤の添加量を調整することにより、結合剤20が充填されない空隙16の割合(空隙率=不織布の体積に対する結合剤20が充填されない空隙16の体積の割合)を制御することができる。
上記発泡剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、P−トルエンスルホニルヒドラジト、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤、炭酸水素ナトリウム等の無機発泡剤が好適である。尚、これら発泡剤の分解温度を幅広く調整できる尿素系の助剤、金属酸化物等の併用も可能である。
尚、発泡剤の使用と共に、上記した不織布の圧縮変形・復元工程を併用しても良い。
【0030】
また、トルオール、キシロール、アルコール類等の溶剤を使用することにより、結合剤20が充填されない空隙16を形成することもできる。
この場合、蛍光体18及び溶剤が添加された液状の結合剤20中に、上記不織布を浸漬して、蛍光体18及び溶剤が添加された液状の結合剤20を含浸させた後、不織布を所定温度で加熱すれば、上記溶剤が熱で蒸発する過程で繊維12間の空隙16に充填されていた結合剤20が空気と置換されて結合剤20の充填されない空隙16が形成されると共に、液状の結合剤20が固化されるのである。
【0031】
上記においては、繊維の集合体として、不織布を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、多数の繊維を織り込んで形成した織布を用い、該織布を構成する繊維に蛍光体を担持させても良い。この織布も、不織布には及ばないものの、単位体積当たりの繊維の表面積が大きいものである。
【0032】
図6及び図7は、本発明に係る第2の蛍光物質担持体30を示すものであり、該第2の蛍光物質担持体30は、弾性多孔部材より成るシート状の基体32を有している。上記弾性多孔部材は、発泡ウレタン樹脂等より成るスポンジで構成されている。尚、光の透過性の観点から、透光性材料で弾性多孔部材を構成するのが好ましい。
上基体32を形成する弾性多孔部材は、10〜500μm程度の多数の微細な空孔34を有しており、単位体積当たりの表面積が極めて大きいものである。
【0033】
また、弾性多孔部材で形成された上記基体32に、蛍光体18を分散・添加した透光性の結合剤20を含浸することにより、空孔34内に、蛍光体18が添加された結合剤20を充填させて成る。
図8に示すように、弾性多孔部材の全ての空孔34内に結合剤20が充填されるものではなく、結合剤20が充填されない空孔34も存在している。
また、図9に示すように、空孔34内の蛍光体18の分布状態は、空孔34を形成する壁部36の表面に被着される蛍光体18の量が最も多く、壁部36から遠ざかるに従って蛍光体18の量が少なくなっている。
【0034】
上記第2の蛍光物質担持体30の基体32を形成する空孔34内に充填された結合剤20中の蛍光体18に、紫外線や青色可視光等の光が照射されると、この光が所定波長の可視光等の光に波長変換されて放射されるのである。
而して、上記第2の蛍光物質担持体30にあっては、多数の空孔34を有し、単位体積当たりの表面積が極めて大きい弾性多孔部材を構成する空孔34内に蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことから、基体32に担持する蛍光体18の量を増大させることができ、高輝度な蛍光物質担持体を実現できる。
尚、空孔34内に充填された結合剤20は透光性を有していると共に、結合剤20が充填されない空孔34も存在するために、蛍光体18で波長変換された光の透過性も良好である。
【0035】
第2の蛍光物質担持体30の基体32に蛍光体18を担持させる方法は、上記第1の蛍光物質担持体10と略同一である。
すなわち、先ず、所定長さのシート状の弾性多孔部材を準備すると共に、蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を液槽(図示せず)内に満たしておく。
次に、上記弾性多孔部材を、液槽内の結合剤20中に浸漬し、弾性多孔部材に蛍光体18が分散・添加された液状の結合剤20を含浸させる。この状態では、弾性多孔部材の空孔34内に、ほぼ万遍なく結合剤20が含浸されている。尚、結合剤20に分散・添加された蛍光体18は、液状の結合剤20中で移動するが、空孔34を形成する壁部36に衝突して移動が妨げられる結果、上記の通り、空孔34を形成する壁部36の表面に被着される蛍光体18の量が最も多く、壁部36から遠ざかるに従って蛍光体18の量が少なくなる。
【0036】
次に、図5に示す加圧ロール22等を用いて、弾性多孔部材を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させる。この結果、上記弾性多孔部材が圧縮変形する過程で所定量の結合剤20が弾性多孔部材から絞り出されて除去されると共に、弾性多孔部材の変形部分が復元する過程で空気が空孔34に流入することにより、空孔34内に充填されていた結合剤20が空気と置換され、図8に示すように、結合剤20が充填されない空孔34が形成されるのである。
【0037】
その後、弾性多孔部材を所定温度で所定時間加熱して、液状の結合剤20を固化させた後、弾性多孔部材を所定形状にカットすることにより、上記第2の蛍光物質担持体30が完成するのである。
【0038】
図10は、上記第1の蛍光物質担持体10を用いた発光ダイオード(LED)40を示すものである。該LED40は、樹脂等の絶縁材料より成り、孔42が形成された略リング状の枠体44と、第1のリードフレーム46及び第2のリードフレーム48を有している。
第1のリードフレーム46は、上記枠体44の底面44aの略全面を覆う先端部46aと、枠体44を貫通して外方へ向かって水平方向に取り出される後端部46bを有している。第1のリードフレーム46の先端部46aの一部は上記孔42内に露出しており、該孔42内に露出した第1のリードフレーム46の先端部46aに、LEDチップ50をダイボンドすることにより、第1のリードフレーム46とLEDチップ50底面の一方の電極(図示せず)とを電気的に接続している。
【0039】
また、第2のリードフレーム48は、上記枠体44を貫通して孔42内に露出する先端部48aと、枠体44の外方へ向かって水平方向に取り出されている後端部48bを有しており、第2のリードフレーム48の先端部48aと、上記LEDチップ50上面の他方の電極(図示せず)とをボンディングワイヤ52を介して電気的に接続して成る。
上記LEDチップ50は、電圧が印加されると、第1の蛍光物質担持体10及び第2の蛍光物質担持体30に担持された蛍光体18を励起する波長の光を発光し、例えば、窒化ガリウム系半導体結晶で構成されている。
【0040】
上記第1のリードフレーム46の先端部46aと、第2のリードフレーム48の先端部48aは、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置されることにより、相互に絶縁されている。
而して、本発明のLED40にあっては、第1のリードフレーム46の先端部46aと、第2のリードフレーム48の先端部48aを同一平面上に配置せず、上下方向に所定の間隙を設けて対向配置したことにより、第1のリードフレーム46の先端部46aで枠体44の底面44aの略全面を覆っても、第1のリードフレーム46と第2のリードフレーム48間の絶縁性を確保できるのである。
【0041】
また、上記枠体44の孔42内には、シリコン樹脂等より成る透光性のコーティング材54を充填してLEDチップ50を封止して成る。
さらに、上記枠体44の上端には、段部56が形成されており、該段部56上に上記第1の蛍光物質担持体10が載置されている。この結果、上記LEDチップ50の上方に、第1の蛍光物質担持体10が配置されることとなる。
尚、第1の蛍光物質担持体10とコーティング材54との間には、所定距離の空間58が介在している。
【0042】
而して、上記第1のリードフレーム46及び第2のリードフレーム48を介してLEDチップ50に電圧が印加されると、LEDチップ50が発光して、上記蛍光体18を励起させる波長の紫外線や青色可視光等の光が放射される。この光が、LEDチップ50の上方に配置されている第1の蛍光物質担持体10に担持された蛍光体18に照射され、所定波長の可視光等の光に波長変換された後、外部へ放射されるのである。
【0043】
而して、本発明の発光ダイオード40にあっては、単位体積当たりの繊維12の表面積が極めて大きい不織布を構成する繊維12の表面に蛍光体18を担持させると共に、繊維12間の空隙16にも蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことにより、基体14に担持する蛍光体18の量を増大させた上記第1の蛍光物質担持体10を用いたことから、高輝度な発光ダイオード40を実現できる。
【0044】
尚、上記本発明の発光ダイオード40において、第1の蛍光物質担持体10に代えて、第2の蛍光物質担持体30を用いても良い。
この場合も、多数の空孔34を有し、単位体積当たりの表面積が極めて大きい弾性多孔部材を構成する空孔34内に蛍光体18を添加した結合剤20を充填したことにより、基体32に担持する蛍光体18の量を増大させた第2の蛍光物質担持体30を用いることから、高輝度な発光ダイオード40を実現できる。
【0045】
尚、図1乃至図10は模式図であり、説明の便宜上、本発明の特徴点を強調して表現している。
【0046】
蛍光物質としては、上記した蛍光体18だけでなく、蛍光ガラスや蛍光樹脂等、紫外線や青色可視光等の光の照射を受けた場合に、この光を所定波長の可視光等の光に波長変換する全ての物質を含むものである。
蛍光ガラスは、ガラス材料に蛍光材料を添加して形成される透明体であり、また、蛍光樹脂は、エポキシ樹脂等の樹脂材料に蛍光材料を添加して形成される透明体である。これら蛍光ガラスや蛍光樹脂を粒子状と成し、第1の蛍光物質担持体10及び第2の蛍光物質担持体30の基体14,32に担持させれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す部分拡大図である。
【図3】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す要部拡大図である。
【図4】本発明に係る第1の蛍光物質担持体を模式的に示す要部断面図である。
【図5】本発明に係る第1の蛍光物質担持体の製造方法を示す説明図である。
【図6】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す部分拡大図である。
【図8】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す要部拡大図である。
【図9】本発明に係る第2の蛍光物質担持体を模式的に示す要部断面図である。
【図10】本発明に係る発光ダイオードを模式的に示す断面図である。
【図11】従来の蛍光物質担持体を模式的に示す斜視図である。
【図12】従来の蛍光物質担持体を模式的に示す部分拡大図である。
【図13】従来の蛍光物質担持体を構成する繊維を模式的に示す拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
10 第1の蛍光物質担持体
12 繊維
14 基体
16 空隙
18 蛍光体
20 結合剤
22 加圧ロール
30 第2の蛍光物質担持体
32 基体
34 空孔
40 発光ダイオード
42 孔
44 枠体
46 第1のリードフレーム
48 第2のリードフレーム
50 LEDチップ
54 コーティング材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維間に多数の空隙が形成された繊維の集合体で基体を形成し、上記繊維の表面に、蛍光物質を担持させると共に、繊維間の空隙に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空隙も存在するよう構成したことを特徴とする蛍光物質担持体。
【請求項2】
上記繊維の集合体が、多数の繊維が絡み合って形成された不織布であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光物質担持体。
【請求項3】
多数の空孔を有する弾性多孔部材で基体を形成すると共に、上記空孔内に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空孔も存在するよう構成したことを特徴とする蛍光物質担持体。
【請求項4】
上記弾性多孔部材がスポンジであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光物質担持体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体と、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体に担持された蛍光物質を励起する波長の光を発光する発光ダイオードチップとを備えたことを特徴とする発光ダイオード。
【請求項6】
請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に蛍光物質が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させることにより、繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換する工程と、
上記液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする蛍光物質担持体の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に、蛍光物質及び発泡剤が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を所定温度で加熱することにより、発泡剤の発泡作用で繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換すると共に、液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする蛍光物質担持体の製造方法。
【請求項8】
上記繊維の集合体が、多数の繊維が絡み合って形成された不織布であることを特徴とする請求項6又は7に記載の蛍光物質担持体の製造方法。
【請求項1】
繊維間に多数の空隙が形成された繊維の集合体で基体を形成し、上記繊維の表面に、蛍光物質を担持させると共に、繊維間の空隙に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空隙も存在するよう構成したことを特徴とする蛍光物質担持体。
【請求項2】
上記繊維の集合体が、多数の繊維が絡み合って形成された不織布であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光物質担持体。
【請求項3】
多数の空孔を有する弾性多孔部材で基体を形成すると共に、上記空孔内に、蛍光物質が添加された透光性の結合剤を充填して成る蛍光物質担持体であって、上記結合剤が充填されない空孔も存在するよう構成したことを特徴とする蛍光物質担持体。
【請求項4】
上記弾性多孔部材がスポンジであることを特徴とする請求項3に記載の蛍光物質担持体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体と、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の蛍光物質担持体に担持された蛍光物質を励起する波長の光を発光する発光ダイオードチップとを備えたことを特徴とする発光ダイオード。
【請求項6】
請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に蛍光物質が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を加圧して圧縮変形させた後、変形部分を復元させることにより、繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換する工程と、
上記液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする蛍光物質担持体の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の蛍光物質担持体の製造方法であって、
繊維の集合体に、蛍光物質及び発泡剤が添加された液状の結合剤を含浸させる工程と、
上記繊維の集合体を所定温度で加熱することにより、発泡剤の発泡作用で繊維間の空隙に充填されていた結合剤と空気とを置換すると共に、液状の結合剤を固化させる工程と、
を備えたことを特徴とする蛍光物質担持体の製造方法。
【請求項8】
上記繊維の集合体が、多数の繊維が絡み合って形成された不織布であることを特徴とする請求項6又は7に記載の蛍光物質担持体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−84742(P2009−84742A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255261(P2007−255261)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000122690)岡谷電機産業株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000122690)岡谷電機産業株式会社 (135)
【Fターム(参考)】
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