説明

蝶弁式制御弁

【課題】合成樹脂製ボデーの成形時の内反りを防止して通過空気量の制御性を向上させることができる蝶弁式制御弁を提供する。
【解決手段】ボデー2の長尺辺2aおよび外枠2bの形状を直線ではなく外側に凸状となるようRを付けたので、射出成形後の冷却過程において、外枠2b部分の収縮により内反りが生じてもR形状の剛性が高いので内反りを小さくできるそのため、ボデー2の長尺辺2aがバルブ5に接触することがない。そのため、バルブ5の円滑な作動が確保され、制御弁の流量制御精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蝶弁式制御弁に関し、詳しくは、合成樹脂製ボデーの成形時の内反りを防止して通過空気量の制御精度を向上させることができる蝶弁式制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
円形ではなく長尺辺を有する蝶弁式の制御弁については、特許文献1で公知である。前記特許文献1によれば、この発明はフラップの交差および収縮具合を補償するための手段を含むフラップ構造に係るものである。これらの手段は、第1にインジェクション成形されたフラップが冷やされた後、インジェクション成形により結合されたフラップ端の提供である。それ故フラップとフラップ枠の間の隙間を減少させる。この隙間はフラップの収縮により形成される。さらに、フレームへのシャフトの搭載は少なくとも部分的な円錐形状により実現される。それによりフラップシャフトの収縮はシャフトが円滑に動くよう搭載するために特には軸方向に利用できる。結果として、フラップの搭載部分にシール部材を使用することはもはや必要としない。さらに、フラップは最悪の場合フラップの破壊を招く搭載部の振動から防御される、としている。
【0003】
【特許文献1】ドイツ国出願公開公報DE198 48 440 A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような長尺辺を有する蝶弁式制御弁においては、図2に示すように、合成樹脂製のボデー22の長尺辺22aが射出成形後の冷却過程において、外枠22b部分の収縮が大きいため内側に向かって凸状に反る、いわゆる、内反りが生じてバルブ5と接触しバルブ5の作動を妨げ通過空気量の制御性が損なわれるおそれがある。なお、図2においては、ボデーとバルブの隙間は解り易くするため誇張して描かれている。
【0005】
そこで本発明は、合成樹脂製ボデーの成形時の内反りを防止して通過空気量の制御性を向上させることができる蝶弁式制御弁を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題の解決を目的としてなされた請求項1の発明は、円形ではなく長尺辺を有するバルブにより構成される蝶弁式制御弁において、前記蝶弁式制御弁を構成するボデーの長尺辺および外枠の形状を直線ではなく外側に凸状となるようRを付けたことを特徴とする。また、請求項2の発明は、前記Rの寸法と前記長尺辺長さLとの関係をR≒300000/Lとしたことを特徴とする。
【0007】
上述のように、請求項1の発明においては、蝶弁式制御弁を構成するボデーの長尺辺および外枠の形状を直線ではなく外側に凸状となるようRを付けたので、射出成形後の冷却過程において内反りしようとするが、R形状による剛性が強いため内反りを小さくすることができ長尺辺がバルブに接触することがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。すなわち、ボデーの長尺辺および外枠の形状を直線ではなく外側に凸状となるようRを付けたので、射出成形後の冷却過程において内反りしようとするが、R形状による剛性が強いため内反りを小さくすることができ長尺辺がバルブに接触することがない。そのため、バルブの円滑な作動が確保され、制御弁の流量制御精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の望ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る蝶弁式制御弁のボデーの横断面図である。図1において、蝶弁式制御弁1を構成するボデー2の中央に設けられた吸気通路3を横切ってシャフト4が回動可能に軸支されている。シャフト4にはバルブ5がネジ6により固定されている。シャフト4の一端は周知のアクチュエータに連結され、アクチュエータの駆動によりバルブ5とともに回動し吸気通路3を通過する空気量を制御するよう構成されている。吸気通路3は円形でなく長尺辺2aを有する多角形に形成されている。長尺辺2aおよびボデー2の外枠2bの形状は外側に凸状となるようRが付けられている。R(約2000mm)の寸法と長尺辺の長さL(約150mm)との関係はR≒300000/Lとなっている。なお、R寸法はボデーが成形後冷却された状態においてバルブ形状に対して最適な隙間が確保されるよう実験的に最適値が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る蝶弁式制御弁のボデーの横断面図である。
【図2】従来の蝶弁式制御弁の横断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1 制御弁
2 ボデー
2a 長尺辺
2b 外枠
5 バルブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形ではなく長尺辺を有するバルブにより構成される蝶弁式制御弁において、前記蝶弁式制御弁を構成するボデーの長尺辺および外枠の形状を直線ではなく外側に凸状となるようRを付けたことを特徴とする蝶弁式制御弁。
【請求項2】
前記Rの寸法と前記長尺辺長さLとの関係をR≒300000/Lとしたことを特徴とする請求項1記載の蝶弁式制御弁。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−144768(P2008−144768A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33034(P2008−33034)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【分割の表示】特願2002−259417(P2002−259417)の分割
【原出願日】平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】