説明

蝶番装置

【課題】戸板などのパネル体の開閉に関わらず、どのような状況でも遮光性が維持できる上、開閉の際に指などを挟み込むこともない装置を提供する。
【解決手段】パネル体Pを支持部材Sに回転自在に取り付けるため、歯車12a、12b、22a、22bと、一対のアーム15ab、25abと、ケース体18、28などから構成される連結具11、21を用い、この連結具11、21を、パネル体Pと支持部材Sとの境界部の上下両端に対向するように配置して、アーム15ab、25abをパネル体Pや支持部材Sに取り付けるほか、上下の連結具11、21の間に中間材41を挟み込む。さらにケース体18、28および中間材41の外周には、円弧面19、29、42を形成して、対向するパネル体Pおよび支持部材Sの端には、湾曲面Rを形成することで、パネル体Pや支持部材Sは、わずかな隙間を隔てて円弧面19、29、42を周回する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開き戸や衝立などの屈曲部に使用され、パネル体などを回転自在に支持する蝶番装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蝶番は、開き戸を始めとして家具や屏風など様々な分野で使用されており、戸板などのパネル体を回転自在に支持する機能がある。その形状については、二枚の金属板を心棒で一体化した簡単なものを始めとして、下記特許文献のような特殊な構造のものなど、多数存在している。この特許文献1で開示されている技術は、主に折戸のパネル体同士を連結するための蝶番ユニットであり、構成要素として歯車を用いたことが特徴となっている。具体的には文献中の図1などに示されるように、パネル体同士の境界部に一対の歯車を上下に取り付けた上、対になる歯車を連結板によって一体化しており、戸の開閉時に指などの挟み込みを防止できるなど、様々な利点を有している。しかもこの技術は、戸の回転中心が戸板の中心(厚さ方向から見た場合)に一致するため、回転時に戸の端部が突出することがなく、戸の開閉方向に関する制約を受けにくいという利点もある。
【特許文献1】特許第2728642号公報
【特許文献2】特許第3853291号公報
【特許文献3】特開2005−350967号公報
【0003】
特許文献2および3は、特許文献1を改良した技術であり、そのうち特許文献2については、蝶番を介してパネル体に作用する荷重を伝達できることを特徴としている。具体的には、歯車の側面に接触する介挿板(符号:29)などの荷重支持部を設けており、蝶番だけで応分の垂直荷重を負担できるようになり、使用範囲が一段と拡大する。また特許文献3は、特許文献1のような蝶番ユニットにおいて、「平歯車」を「はすば歯車」に置き換えたことなどを特徴としており、騒音の軽減や大型重量扉への用途拡大などが実現している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先に挙げた各特許文献のように、歯車を組み込んだ蝶番を用いた戸の基本的な構造を図13に示す。この図に示される折戸は、二枚のパネル体を回転可能に連結しており、右側のパネル体は、支点軸を中心として自在に回転でき、この回転に応じて左側のパネル体も移動する。またパネル体同士の境界部には、上下に延びるポールが対向して配置されており、それぞれのパネル体と一体化されている。そしてポールの上下両端には、境界部を跨ぐように一対の歯車が配置されており、この対になる歯車を軸棒で支持しており、対になる軸棒は連結板で一体化されている。なお歯車は、軸棒によって回転可能に保持されているが、ポールとは一体化されている。そのためパネル体が開くときは、対になっている歯車が噛み合いながら滑らかに移動していき、蝶番としての機能を果たす。さらに左側のパネル体の上面に突出している円柱状の従動軸は、ガイドレールに沿って移動するため、左側のパネル体の移動も規制される。
【0005】
図14は、図13のパネル体同士の境界部付近の詳細を示しており、図14(A)は平面から見たもので、図14(B)は図13のZ−Z断面で、図14(C)は戸を開く途中段階のZ−Z断面である。図13に示す蝶番は、図14(A)のように、対になる歯車が軸棒で保持されており、この二本の軸棒は連結板で一体化されている。さらに歯車は、ポールに固着しているが、軸棒とは固着しておらず自在に回転可能である。したがって、左右のパネル体が折れ曲がる際、連結板は、両パネル体の移動に柔軟に追従しながら歯車の噛み合いを維持するため、戸の開閉は円滑である。
【0006】
図14(B)のZ−Z断面のように、左右パネル体の境界部では、半円形断面のポールが向かい合っているが、戸を開閉する際、ポール同士が接触していると異音の発生などの問題がある。そこでポール同士の境界には、最低でも1mm程度の隙間を確保する必要があり、遮光性や密閉性という点で問題がある。なお図14(B)のように、ポールの外縁に凹部と凸部を設けることで、戸を閉めた状態では遮光性が確保できるが、その他の状態では確保できない。この点は、プライバシー保護などのため、常時遮光性を要求される屏風などでは、重大な問題になる。なお、召し合わせ部に帯状の起毛布(モヘヤ)やゴムなどの封止部材を設けるといった対策で、遮光性などは常時確保できる。しかし新たに部品を追加することになり、価格の上昇や維持管理に手間が掛かるなどの問題が発生するほか、デザインにも制約が出やすい。
【0007】
また戸が開く際、左右のポールは歯車と一体で回転する。具体的には、図14(B)のポールに描かれている二つの黒丸は、図14(C)のように戸が開く際、回転に伴い内側に移動する。そのため図14(B)のように、戸を開くためポールの境界部に指を突き立てた場合、指がポールと一体で移動していき、左右のポールに挟み込まれる恐れがある。このような事例は極めて稀であり、従来の汎用蝶番に比べると遙かに安全ではあるが、なお改善の余地は残されている。ただし、この課題を解決する対策は既に実施されており、特許文献3の図10にはT字状のバリケード体(符号:24)が組み込まれている。しかしバリケード体を組み込むことで、構造やデザインに影響を与えるなどの問題がある。
【0008】
そのほか、戸は建物の中で目立つ存在であり、多くの人に深い印象を与える独自性のあるタイプを設置したいという要望も根強い。この要望に応えるには、材質や形状に特徴を持たせるのが一般的な手法だが、費用が増加しやすく、しかも嗜好には個人差があるため、一部の人に違和感を与える恐れもある。そこで戸の開閉機構に特徴があれば、嗜好の違いによる影響を受けにくく、多くの人に深い印象を与えることができる。
【0009】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、どのような状況でも遮光性が維持できる上、開閉の際に指などを挟み込むこともなく、しかも斬新なデザインの戸の創作にも寄与できる、蝶番装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、パネル体の端面を支持部材に回動自在に取り付けるため、双方の端面が向かい合う境界部に組み込まれる蝶番装置であって、二つの隣接する円形部を備え且つ円形部同士の境界にくびれ部を有する同一断面形状の縦長ケース体を境界部に配置して、前記縦長ケース体の上部および下部には、円形部の中に収容される一対の歯車を歯合状態で配置してあり、該一対の歯車は、プレートによって一体化されている二本の主軸によって回転可能に軸支されており、且つ噛み合う一対の歯車には、それぞれと一体で回動する一対のアームを備えており、前記一対のアームのうち、一方はパネル体に取り付けられ他方は支持部材に取り付けられ、更にパネル体および支持部材の各端面に形成された湾曲面と向かい合う縦長ケース体には、主軸を中心として回動するパネル体および支持部材と指先の入らないわずかな隙間を保つ円弧面を有していることを特徴とする蝶番装置である。
【0011】
本発明は、開き戸や折戸の屈曲部分や、屏風の接続部などに使用され、戸板や屏風といった板状のパネル体を、枠組や他のパネル体に取り付けるための蝶番装置であり、パネル体は回転自在に一体化される。なお本発明では、連結される二要素のうち、一方は板状のパネル体に限定しているが、他方は戸を囲む枠組や、隣接するパネル体や、壁面など自在に選択可能であり、以降は枠組などを一括して支持部材と表記する。また本発明によって連結されるパネル体と支持部材は、それぞれの端面同士が一定の距離を隔てて対向するように配置されるものとする。
【0012】
本発明による蝶番装置は、パネル体と支持部材との境界部の全域に介在する縦長ケース体を中心として、この上下両端に、それぞれ一対の歯車を配置している。この一対の歯車はいずれも円盤状で互いの外周面が噛み合っており、それぞれが主軸によって保持される。ただし主軸と歯車とは一体化されておらず、双方は独自に回転可能である。なお歯形については円滑な噛み合いが実現するならば、単純な平歯を始めとして、ハスバや山歯など自在に選択できる。また戸の回転範囲などの関係で、歯の一部区画だけが実際に噛み合う場合、それ以外の区画では歯が不要であり、例えば半周のみ歯を形成しても良い。
【0013】
プレートは、一対の歯車を保持する二本の主軸を一体化するために使用され、歯車間の距離を固定して円滑な噛み合いを実現するもので、両主軸間を結んでいる単純な板である。なおプレートと主軸とは、所定の外力に耐えられるよう強固に一体化する必要があり、打ち込みや溶接などで固定される。このプレートは、主軸を一体化する他にも、パネル体と支持部材との間で荷重を伝達する役割もある。
【0014】
アームは、縦長ケース体をパネル体や支持部材に取り付けるために使用され、それぞれの歯車に一個づつ配置されている。アームは棒状で、その一端は歯車に固定されているため、歯車と一体で回転するほか、他端は歯車の半径方向に突出するように延びている。したがってプレートを固定した状態で片方のアームを強制的に回転させると、歯車が噛み合っているため、対になるアームも逆方向に同じ角度だけ回転することになる。なおアームと歯車は、個別に製作してネジや接着などで接合するのが簡単だが、型などを用いて一体で形成しても良い。
【0015】
対になっている歯車に主軸やアームなどが一体化された部品は、支持部材とパネル体との境界部の上下両端で使用され、境界部を跨ぐように配置される。この際、対になっている歯車の一方をパネル体に隣接させて、他方を支持部材に隣接させた上、個々の歯車から延びる二本のアームのうち、パネル体に隣接するものをパネル体に固定して、他方を支持部材に固定すると、パネル体と支持部材は、これらを介して一体化される。なお当然ながら、上下の歯車は、アーム側同士および支持部材側同士で同心に揃う必要がある。
【0016】
縦長ケース体は、パネル体と支持部材との間の境界部に配置される棒状のもので、その両端部に歯車などを収容して、歯車に異物が噛み込むことを防止するほか、歯車などを覆い隠すため美感も向上する。ただし構造上、アームだけは外部に飛び出すことになる。また縦長ケース体の外周は、歯車の直径よりも一回り大きく、主軸と同心の円が二個並んでいる円弧面となっており、中央部分がくびれたヒョウタンのような形状になっている。なお、くびれの深さについては、パネル体の厚さや揺動角度などに応じて変わるもので、場合によってはくびれが極めて浅いこともある。そのほか縦長ケース体の保持については、歯車を連結しているプレートで挟み込む方法や、ボルトなどで上下のプレートと一体化する方法がある。
【0017】
この縦長ケース体に対向するパネル体および支持部材の端面には、縦長ケース体外周の円弧面よりもわずかに直径の大きい湾曲面を形成する必要がある。そして、この湾曲面を縦長ケース体の外周に隣接させた後、アームをパネル体および支持部材に取り付けると、これらは縦長ケース体の円弧面に沿って回転することになる。この際、円弧面から湾曲面までの間隔は、構造上の問題がない程度(概ね1mm以下)に近づけることが好ましく、この際、湾曲面の中心が回転中心に一致するようにする。なお、当然ながら円弧面はヒョウタン形であるため、一方の側にパネル体の湾曲面が対面し、他方の側に支持部材の湾曲面が対面することになり、双方の湾曲面同士が直接対面することはない。
【0018】
このように構成することで、縦長ケース体とパネル体(または支持部材)との境界部は、ごく狭い曲面となるため、光が通過できず、遮光性や密閉性が確保できる。しかもパネル体が回転した場合でも曲面は維持されるため、遮光性や密閉性が変わることはない。さらにパネル体が回転する際、境界部付近に思わず指などを差し入れた場合でも、パネル体によって指がすくい上げられるため、縦長ケース体とパネル体との隙間に引き込まれることもない。
【0019】
請求項2記載の発明は、縦長ケース体の形状を限定するもので、縦長ケース体は、一対の歯車をそれぞれ収容している上下のケース体と、中間材と、に分離されており、パネル体および支持部材にアームを介して取り付ける際、上下のケース体で挟持することで中間材を一体的に結合していることを特徴とする。パネル体と支持部材との境界に配置される縦長ケース体は、一体で形成することも可能だが、本発明のように、上下両端で歯車などを収容する二個のケース体と、この二個のケース体の間に挟み込まれる中間材と、の計三点に分割しても良い。この場合、中間材は上下のケース体で挟み込まれて保持されることになるが、必要に応じてボルトなどで一体化しても良い。
【0020】
請求項3記載の発明は、パネル体の端面を支持部材に回動自在に取り付けるため、双方の端面が向かい合う境界部に組み込まれる蝶番装置であって、二つの隣接する円形部を備え且つ円形部同士の境界にくびれ部を有するケース体を境界部の上下に配置して、該上下のケース体の間に中間材を挟み込み、前記上下のケース体には、円形部の中に収容される一対の歯車を歯合状態で配置してあり、該一対の歯車は、プレートによって一体化されている二本の主軸によって回転可能に軸支されており、且つ噛み合う一対の歯車には、それぞれと一体で回動する一対のアームを備えており、前記一対のアームのうち、一方はパネル体に取り付けられ他方は支持部材に取り付けられ、更にパネル体および支持部材の各端面に形成された湾曲面と向かい合うケース体には、主軸を中心として回動するパネル体および支持部材と指先の入らないわずかな隙間を保つ円弧面を有しており、且つ中間材には、パネル体および支持部材と指先の入らないわずかな隙間を保つ端面を有していることを特徴とする蝶番装置である。
【0021】
本発明は、縦長ケース体を、上下二個のケース体と、これらに挟まれる中間材と、に分割した構造であり、しかも中間材の断面形状は、ケース体の外周形状に依存しないことを特徴としている。このように構成することで、中間材の素材や形状の自由度が高まり、戸全体のデザインの統一など、更なる美感の向上が期待できる。なお中間材は、パネル体や支持部材の回転に支障を与えることがなく、しかもその端面は、パネル体および支持部材との間でわずかな隙間を維持できる必要がある。そのため中間材の両端面は、ケース体の円弧面と一致する曲面とすることが好ましい。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明を限定するもので、中間材は、板材を使用していることを特徴とする。パネル体や支持部材に合板などの板材を使用する場合、中間材も本発明のように板材を使用すると、全体のデザインが統一され美感が向上する。ただし本発明では、パネル体などが所定の範囲で回転した際、中間材の両端面に隙間が生じないよう配慮が必要である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明による蝶番装置によって、パネル体および支持部材の端面に形成された湾曲面は、縦長ケース体外周の円弧面を周回するように移動する。そのため、縦長ケース体の外周から湾曲面までの隙間は、双方が接触しない程度に縮小可能である。しかもこの隙間は曲面であるため、光が通過しにくく優れた遮光性を有しているほか、その長さもパネル体の厚さにほぼ等しいため、パッキンなどの付属品を使用しなくても、ある程度の密閉性も確保でき、コストの抑制や維持管理に手間が掛からないなどの利点がある。またパネル体の回動には歯車を利用しているため、円滑な回転が実現しているほか、汎用のヒンジのように戸の開閉方向に制限が生じるといった問題もなく、従来の歯車型蝶番の利点を全て引き継いでいる。さらに本発明は、縦長ケース体の円弧面を、パネル体や支持部材が周回する構造であるため、図14のように二個のポールの境界部に異物が引き込まれるような挙動がなく、縦長ケース体に指などを突き立ててパネル体を回転させた場合でも、パネル体の縁部によって指などが押し返されるため、挟み込みなどの事故が根本的に発生しない。
【0024】
そのほか本発明では、縦長ケース体といった比較的大きな部品が明瞭に視認でき、しかも戸の開閉時には、縦長ケース体の外周をパネル体が周回するといった特異な挙動を示すため、多くの人の興味を惹き付けることになる。また縦長ケース体には、パネル体などの荷重が作用しないため、材質に関する制約が少なく、仮に遮光性が不要であれば透明樹脂を使用して、防犯用の窓などとしての利用も可能で、従来にはない優れたデザインの戸を提案できる。さらに本発明では、歯車の直径に依存することなく、パネル体の厚さを自在に決めることが可能で、設計の際の自由度が高く、デザインに対する制約も少ない。加えて本発明では、図14のようなポールも不要である。
【0025】
請求項2記載の発明のように、縦長ケース体を上下二個のケース体と、その間に挟み込まれる中間材とに分割することで、製造工程が簡素化されるため費用が抑制され、しかも中間材の長さだけを変えることで様々な全長に対応でき、自由度が高く汎用性も向上する。
【0026】
請求項3記載の発明のように、中間材の断面形状を、ケース体の形状と異なるようにすることで、中間材の素材や形状の自由度が高まり、多彩なデザインの戸などを提案できるようになり、様々な要望に応えることができる。また請求項4記載の発明のように、中間材を板材とすることで、戸全体のデザインに統一感を与えることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明による蝶番装置を用いた開き戸1の構成例を示している。なお内部形状を示すため、パネル体Pなどの一部を破断して描いている。この開き戸1は、戸板に相当するパネル体Pと、支持部材Sに相当する縦枠S1と、を一体化しており、パネル体Pは、蝶番装置を中心として自在に回転できる構造になっている。蝶番装置は、上側に配置された連結具11と、下側に配置された連結具21と、この間に挟み込まれた中間材41とで構成され、上下の連結具11、21はいずれも同形状だが、表裏を反転して使用している。上側の連結具11は、噛み合う一対の歯車12a,12b、これらを保持する二本の主軸13a,13b、これらを一体化するプレート14、それぞれの歯車12a,12bと一体で回転する二個のアーム15a,15b、歯車12などを収容するケース体18、で構成されている。なおプレート14は、歯車12の下にあるため視認できないが、下側の連結具21のように、主軸13a,13bを一体化している。そのほか、本図では構造上の都合により、支持部材Sを縦枠S1と中枠S2の二物品に分割しており、そのうち縦枠S1はパネル体Pを実際に支えており、中枠S2は蝶番装置との隙間を埋めている。さらにパネル体Pの左端には、開閉の際に使用する持ち手Hが取り付けられている。本図のような開き戸1では、パネル体Pの基端と支持部材Sが接触しないため、戸を開く際は、パネル体Pを押しても引いても良い。なお各図において、符号末尾の「a」「b」は、位置を識別するために使用しており、「a」はパネル体P側、「b」は支持部材S側を意味している。
【0028】
上側の連結具11に組み込まれる一対の歯車12a,12bは、いずれも直径が等しいため、回転速度は同一だが回転方向は反転する。またアーム15a,15bは、パネル体Pと支持部材Sとの間を跨ぐように取り付けられるもので、一方のアーム15aはパネル体P側に延びており、他方のアーム15bは支持部材S側に延びている。なお支持部材S側に延びているアーム15bは、縦枠S1の側面に接触できるよう途中で直角に折れ曲がっている。このようにアーム15の形状については、周辺の構造などに応じて都度決めて良い。
【0029】
主軸13a,13bは、歯車12a,12bおよびアーム15a,15bを保持する役割があり真円断面だが、歯車12a,12bの自在な回転を許容している。また歯車12の下に隠れているプレート14には、二本の主軸13a,13bが打ち込まれており、対になる歯車12a,12bの間隔を保持すると共に、パネル体Pに作用する荷重を支持部材Sに伝達している。そのほかケース体18の外周は、歯車12a,12bを囲むようにして二個の円が並ぶ円弧面19が形成されている。そのため側面からは歯車12a,12bやプレート14が全く視認できず、アーム15a,15bだけが水平に突出した形態になる。
【0030】
下側の連結具21は、上側の連結具11を上下対称に使用されているため、プレート24が上を向いている。このプレート24には、二本の主軸23a,23bが打ち込まれており、この主軸23a,23bによって歯車22a,22bを支持している。これら上下の連結具11、21は、パネル体Pと支持部材Sとの間を跨ぐように配置され、一方の歯車12a、22aはパネル体P側に位置しており、他方の歯車12b、22bは支持部材S側に位置している。当然ながら上の歯車12aと下の歯車22aは同軸線上に並んでおり、上の歯車12bと下の歯車22bについても同じである。そして、パネル体P側に位置する上下二個のアーム15a、25aは、ネジ48でパネル体Pの端面に固定してあり、また支持部材S側のアーム15b、25bは、支持部材Sの側面に固定してある。このようにパネル体Pは、上下のアーム15、25によって支持部材Sに取り付けられている。なお図中では支持部材Sとして、棒状の縦枠S1を使用しているが、このような形態に限定される訳ではなく、壁面なども利用可能である。
【0031】
パネル体Pおよび支持部材Sには、上下にアーム15、25が取り付けられているため、パネル体Pは主軸13a、23aを中心として回転するほか、支持部材Sは主軸13b、23bを中心として回転することになる。そのためパネル体Pおよび支持部材Sの端面にも、円弧面19、29よりもわずかに直径の大きい湾曲面Rが形成されている。したがってパネル体Pは、ケース体18、28の外周を回転するほか、ケース体18、28は、中枠S2の湾曲面Rの内側を回転することになる。なお上下のケース体18、28の間には中間材41が挟み込まれており、この中間材41の断面形状は、両ケース体18、28と同様、二個の円が並ぶ円弧面42が形成されている。そのため、上側のケース体18から下側ケース体28までの全域で側面形状が同一の縦長ケース体7を構成しており、その周りをパネル体Pなどが周回することになる。このように、パネル体Sと中枠S2との境界部は全域が塞がれており、ケース体18、28や中間材41との隙間は円弧状の狭い空間になり、遮光性や密閉性が確保される。
【0032】
図2は、図1に示す連結具11、21周辺を拡大したもので、これらの構造の詳細を示している。二個の連結具11、21は、同一のものを上下に反転させて配置している。上側の連結具11のように、アーム15は、歯車12の上面に接触する丸い円盤部16と、半径方向に延びる接続部17とで構成されており、接続部17には前図のようなネジ48を通すため、取付孔33が形成されている。また歯車12とアーム15は、ボルト31によって一体化されている。そのため歯車12の片面は、ボルト31の頭部を収容するため内部が凹んでおり、アーム15の円盤部16にも雌ネジが形成されている。次に主軸13については、一端にツバ32が形成されており、アーム15や歯車12の抜け出しを防止しており、対する他端は歯車12の下に隠れているプレート14に打ち込まれているため、アーム15や歯車12は、主軸13から離脱することがない。なお下側の連結具21に示すように、歯車22a,22bの中心間距離を保つプレート24には、主軸23a,23bが打ち込まれており、双方は摩擦で一体化している。そのほかプレート24の中央付近には、ケース体28などを固定するため、二個のネジ孔34が形成されている。
【0033】
ケース体18については、内部の空洞部36に歯車12全体を収容可能で、アーム15だけが外部に突出する形態になる。またケース体18の底には、プレート14を受け止めるための底溝37が形成されており、双方の移動を規制している。なお底溝37には、プレート14に向けてボルトなどを打ち込むため、抜孔38が形成されている。そのほか上下のケース体18、28と中間材41は、その外周形状が同一で、いずれも二個の円が並ぶ円弧面19、29、42が形成されている。またパネル体Pおよび支持部材Sの端面には、円弧面19、29、42と同心の湾曲面Rが形成されており、円弧面19、29、42と湾曲面Rとの隙間は、狭い曲面であるため光が通過できず、遮光性や密閉性が必然的に確保される。しかもパネル体Pが円弧面19、29、42を周回する際も、円弧面19、29、42と湾曲面Rとの隙間が広がることはなく、遮光性などはそのまま維持される。
【0034】
図3は、図1の蝶番装置の詳細形状を示しており、図3(A)は平面から見たもので、図3(B)は中央部の縦断面で、図3(C)は中間材41などの横断面である。図3(A)のように、歯車12はケース体18の内部に収容されており、アーム15だけが外部に突出している。また図3(B)のように、歯車12およびアーム15は、主軸13との間に微少な隙間が確保されており、これらの円滑な回転が実現しているほか、ツバ32とプレート14によって挟まれており、主軸13から抜け出すこともない。プレート14については、ケース体18の底溝37に嵌め込まれており、ケース体18の移動を防止している。さらに図3(C)のように、中間材41にはケース体18と同様の円弧面42が形成されており、パネル体Pおよび中枠S2の湾曲面Rは、これに沿って移動する。なおケース体18と中間材41との接合方法の具体例については、後の図9に示す。
【0035】
図4は、図3に示す状態からパネル体Pが回転した後を示しており、図4(A)は図3(A)からパネル体Pが90度回転した状態で、図4(B)は図3(C)からパネル体Pが45度回転した状態である。このようにパネル体Pの湾曲面Rは円弧面19、42に沿って移動するため、回転に際して遮光性や密閉性が変化しないことが明白である。さらに図4(B)のように、中間材41付近に指を差し入れた場合でも、パネル体Pの回転に伴い指がすくい上げられるため、挟み込みなどが発生しにくく極めて安全性が高い。また歯車12を使用しているため、パネル体Pと中間材41との交角は、必ずパネル体Pと中枠S2との交角の半分になり、戸を開く際、ケース体18や中間材41は独特な挙動を示すことになり、人々の関心を集めやすい。
【0036】
図5は、本発明による蝶番装置を用いた二枚折戸2の構成例を示している。この場合、左側板BLがパネル体Pに相当しており、右側板BRが支持部材Sに相当して、その境界部に本発明が使用されている。なお連結具11、21や中間材41などの構成は、図1と全く同じである。戸が開く際は、右側板BRが支点軸Mを中心として回転するほか、これに応じて左側板BLも移動する。ただし左側板BLは、従動軸FがガイドレールGに沿って移動するため、蝶番装置のある部分が突出する形で戸が開くことになる。なお本図では、左側板BLと右側板BRの境界部だけに蝶番装置を使用しているが、これを縦枠S1と右側板BRとの間に使用することもできる。
【0037】
図6は、図5の二枚折戸2が開いた状態を示している。本図の折戸は、右側板BRおよび左側板BLのいずれも厚さが同じであり、しかも互いに噛み合う歯車12aと歯車12bとの中心間距離は、これらの板厚と同一にしている。そのため本図のように戸が開いた状態では、右側板BRと左側板BLが面接触するため、デッドスペースが発生せず所定の開口幅が確保される。このように、従来の歯車を用いた蝶番の利点をそのまま引き継いでいる。
【0038】
図7は、図5の二枚折戸2を発展させた三枚折戸3の構成例を示している。この場合、蝶番装置も左右二箇所に配置されているが、そのうち左側に配置されている蝶番装置を基準とすると、左側板BLがパネル体Pに相当して、中間板BMが支持部材Sに相当する。また右側に配置されている蝶番装置を基準とすると、中間板BMがパネル体Pに相当して、右側板BRが支持部材Sに相当する。なお中間板BMおよび左側板BLの上面には従動軸Fが突出しており、これがガイドレールGに沿って移動するため、中間板BMや左側板BLの移動も一定の範囲に制限され、戸を開く際は、各板が「く」の字状に折り畳まれることになる。
【0039】
図8は、本発明の応用例を示しており、図8(A)は二枚の板材で構成される屏風4で、図8(B)は四枚の板材で構成される間仕切り5である。図8(A)の屏風4は、左側板BLと右側板BRとの境界部に本発明の蝶番装置を使用したもので、左側板BLと右側板BRとの交角がどのように変化した場合でも、図4(B)などに示されるように、両板BL、BRと中間材41との隙間には何らの変化もなく、常に遮光性が維持でき、更衣のため部屋を仕切る際などに極めて有効である。なお転倒防止のため、脚Kなどを備えても良い。また板材の数を増やすことで、図8(B)のように、空間の一角を完全に取り囲むこともできる。この際は、一箇所を開閉板BDとして出入口のように使用できる構造として、ノブNなどを設ける場合もある。そのほか、図8(B)では四枚の板材を使用しているが、五枚、六枚と増やすことも自在である。
【0040】
図9は、中間材41の固定方法の例を示しており、図9(A)はケース体18と同一形状の中間材41を挟み込んだ形態で、図9(B)はケース体28に中間材41の端部を差し込んだ形態で、図9(C)はガラスなどの板材を狭持具46で保持した形態である。図9(A)の中間材41は、その断面形状がケース体18と同じであり、その側面には二個の円が並ぶ円弧面42が形成されている。またケース体18、28との接合のため、両端面の中央部分を削ったキー溝43が形成されており、対する下側のケース体28の底面にはキー39が突出している。このキー39は、上側のケース体18の底面にも突出しており、キー39をキー溝43に嵌め込むことで、中間材41が上下のケース体18、28と一体化され、中間材41が抜け落ちることもない。
【0041】
図9(B)は、下側のケース体28に受け口40を形成して、この受け口40で中間材41の端部を保持する構成であり、ケース体28の裏側の側周面を延長して、受け口40を形成している。当然ながら、上側のケース体18も同様な構造とすると、中間材41を離脱不能に挟み込むことができる。なお中間材41の端部は、受け口40に入り込めるよう、部分的に断面を縮小する必要がある。
【0042】
図9(C)は、中間材41として板材を使用している。この場合、ケース体18、28との接合のため挟持具46を介在させている。挟持具46は、金属板を「コ」の字状に折り曲げたもので、その表面には複数の孔が形成されており、固定ボルト47を差し込んでケース体18、28に取り付けができる。この固定ボルト47を挿通するため、ケース体18、28には抜孔38があり、またプレート14にはネジ孔34が形成されている。なお挟持具46と中間材41との接合には、ピンなどが使用可能だが、本図のように中間材41の両端に段差部44を設けて、この中に挟持具46を嵌め込む構造として、ピンなどを省略することもできる。そのほか中間材41の端面45は、いずれもケース体18、28の円弧面19、29と一体の曲面になっており、隙間が小さくなるよう配慮されている。
【0043】
図10は、本発明によって板材同士を連結する場合の構成例を示している。この図では、左側にある左側板BLと、右側にある右側板BRとを回転可能に一体化している。そのため各アーム15の接続部27には、「コ」の字状に折り曲げられた差込口35が形成されており、この中に左側板BLや右側板BRの端面を嵌め込み、図示は省略するがピンなどで双方を一体化する。また中間材41についても板材を使用しており、挟持具46を介して上下のケース体18、28で挟み込まれている。この場合でも、左側板BLと右側板BRの端には、湾曲面Rが形成されており、また対面する中間材41の端面45にも、これに合わせた曲面が両側に形成されており、双方の隙間はわずかである。なお本図では下側の連結具21を省略しているが、実際は上側の連結具11を反転させたものを使用する。そのほか、本図のような構成で遮光性が不要な場合、左側板BLと右側板BRと中間材41の全てに板ガラスを使用して、蝶番装置部分を含む全体を透明にすることで、優れた美感の戸を提案することもできる。
【0044】
図11は、図10に示す構成の横断面を示しており、図11(A)は全体が直線に並んだ状態で、図11(B)は左側板BLが直角に折れ曲がった状態である。図11(A)のように、中間材41と左側板BLとの境界および中間材41と右側板BRとの境界は、微少な曲面状の隙間が形成されるため、遮光性や密閉性が確保される。また図11(B)のように、左側板BLが直角に折れ曲がった際でも、端面45と湾曲面Rとは一定の区間で対向しており、指などが挟み込まれる恐れはなく、安全性や遮光性や密閉性が維持される。
【0045】
図12は、垂直荷重に対して強固な耐久性を持つ構造の蝶番装置を示しており、図12(A)は全体形状で、図12(B)は縦断面である。この図に示されるアーム15、25を構成する円盤部16、26は、パネル体P側と支持部材S側とで直径が異なっており、支持部材S側の円盤部16b、26bの直径が拡大されており、その外縁部は、対向する歯車12a、22aの歯先側面に接触している。一方パネル体P側の円盤部16a、26aは、干渉を防止するため直径が縮小されている。このように歯車12a、22aの側面に円盤部16b、26bを接触させることで、歯車12a、22aに作用する垂直荷重を直接アーム15b、25bで支持できるようになり、プレート14、24に作用する荷重が軽減され、より大きな垂直荷重に耐えられる。
【0046】
図12(B)のように、支持部材S側の円盤部16b、26bの直径を拡大することで、パネル体P側の歯車12a、22aの側面が、円盤部16b、26bに接触している。そのため、パネル体Pに作用する垂直荷重を、下側のアーム25bで直接支持して、プレート24に過大な荷重が作用することを防止できる。また上側のアーム15bによって、パネル体Pの浮き上がりも防止でき、安定してパネル体Pを固定できる。なお本図では、支持部材S側の円盤部16b、26bを大きくしているが、これ以外にも、支持部材S側下方とパネル体P側上方の円盤部16a、26bの直径を拡大するというように、直径の大きい円盤部16、26を対角で配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による蝶番装置を用いた開き戸の構成例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す連結具周辺を拡大した斜視図である。
【図3】図1の蝶番装置の詳細形状を示しており、(A)は平面図で、(B)は中央部の縦断面で、(C)は中間材などの横断面である。
【図4】図3に示す状態からパネル体が回転した後を示しており、(A)は図3(A)からパネル体が90度回転した状態で、(B)は図3(C)からパネル体が45度回転した状態である。
【図5】本発明による蝶番装置を用いた二枚折戸の構成例を示す斜視図である。
【図6】図5の二枚折戸が開いた状態を示している。
【図7】図5の二枚折戸を発展させた三枚折戸の構成例を示す斜視図である。
【図8】本発明の応用例を示す斜視図であり、(A)は二枚の板材で構成される屏風で、(B)は四枚の板材で構成される間仕切りである。
【図9】中間材の固定方法の例を示す斜視図であり、(A)はケース体と同一形状の中間材を挟み込んだ形態で、(B)はケース体に中間材の端部を差し込んだ形態で、(C)はガラスなどの板材を狭持具で保持した形態である。
【図10】本発明によって板材同士を連結する場合の構成例を示す斜視図で、左側板と右側板とを回転可能に一体化している。
【図11】図10に示す構成の横断面図を示しており、(A)は全体が直線に並んだ状態で、(B)は左側板が直角に折れ曲がった状態である。
【図12】垂直荷重に対して強固な耐久性を持つ構造の蝶番装置を示しており、(A)は全体形状の斜視図で、(B)は縦断面図である。
【図13】従来技術の一例で、歯車を組み込んだ蝶番を使用した戸の基本的な構造を示す斜視図である。
【図14】図13のパネル体同士の境界部付近の詳細を示しており、(A)は平面図で、(B)はZ−Z断面図で、(C)は戸を開く途中段階のZ−Z断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 開き戸
2 二枚折戸
3 三枚折戸
4 屏風
5 間仕切り
7 縦長ケース体
11 連結具(上側)
12 歯車(12aはパネル体側、12bは支持部材側)
13 主軸(13aはパネル体側、13bは支持部材側)
14 プレート
15 アーム(15aはパネル体側、15bは支持部材側)
16 円盤部(16aはパネル体側、16bは支持部材側)
17 接続部
18 ケース体
19 円弧面
21 連結具(下側)
22 歯車(22aはパネル体側、22bは支持部材側)
23 主軸(23aはパネル体側、23bは支持部材側)
24 プレート
25 アーム(25aはパネル体側、25bは支持部材側)
26 円盤部(26aはパネル体側、26bは支持部材側)
27 接続部
28 ケース体
29 円弧面
31 ボルト
32 ツバ
33 取付孔
34 ネジ孔
35 差込口
36 空洞部
37 底溝
38 抜孔
39 キー
40 受け口
41 中間材
42 円弧面
43 キー溝
44 段差部
45 端面
46 挟持具
47 固定ボルト
48 ネジ
BL 左側板、 BM 中間板、 BR 右側板、 BD 開閉板
F 従動軸
G ガイドレール
H 持ち手
K 脚
M 支点軸
N ノブ
P パネル体
R 湾曲面
S 支持部材、 S1 縦枠(支持部材)、 S2 中枠(支持部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル体(P)の端面を支持部材(S)に回動自在に取り付けるため、双方の端面が向かい合う境界部に組み込まれる蝶番装置であって、
二つの隣接する円形部を備え且つ円形部同士の境界にくびれ部を有する同一断面形状の縦長ケース体(7)を境界部に配置して、
前記縦長ケース体(7)の上部および下部には、円形部の中に収容される一対の歯車(12aと12b、22aと22b)を歯合状態で配置してあり、該一対の歯車(12aと12b、22aと22b)は、プレート(14、24)によって一体化されている二本の主軸(13aと13b、23aと23b)によって回転可能に軸支されており、且つ噛み合う一対の歯車(12aと12b、22aと22b)には、それぞれと一体で回動する一対のアーム(15aと15b、25aと25b)を備えており、
前記一対のアーム(15aと15b、25aと25b)のうち、一方(15aと25a)はパネル体(P)に取り付けられ他方(15bと25b)は支持部材(S)に取り付けられ、更にパネル体(P)および支持部材(S)の各端面に形成された湾曲面(R)と向かい合う縦長ケース体(7)には、主軸(13aと13b、23aと23b)を中心として回動するパネル体(P)および支持部材(S)と指先の入らないわずかな隙間を保つ円弧面(19、29、42)を有していることを特徴とする蝶番装置。
【請求項2】
前記縦長ケース体(7)は、一対の歯車(12aと12b、22aと22b)をそれぞれ収容している上下のケース体(18、28)と、中間材(41)と、に分離されており、パネル体(P)および支持部材(S)にアーム(15aと15b、25aと25b)を介して取り付ける際、上下のケース体(18、28)で挟持することで中間材(41)を一体的に結合していることを特徴とする請求項1記載の蝶番装置。
【請求項3】
パネル体(P)の端面を支持部材(S)に回動自在に取り付けるため、双方の端面が向かい合う境界部に組み込まれる蝶番装置であって、
二つの隣接する円形部を備え且つ円形部同士の境界にくびれ部を有するケース体(18、28)を境界部の上下に配置して、該上下のケース体(18、28)の間に中間材(41)を挟み込み、
前記上下のケース体(18、28)には、円形部の中に収容される一対の歯車(12aと12b、22aと22b)を歯合状態で配置してあり、該一対の歯車(12aと12b、22aと22b)は、プレート(14、24)によって一体化されている二本の主軸(13aと13b、23aと23b)によって回転可能に軸支されており、且つ噛み合う一対の歯車(12aと12b、22aと22b)には、それぞれと一体で回動する一対のアーム(15aと15b、25aと25b)を備えており、
前記一対のアーム(15aと15b、25aと25b)のうち、一方(15aと25a)はパネル体(P)に取り付けられ他方(15bと25b)は支持部材(S)に取り付けられ、更にパネル体(P)および支持部材(S)の各端面に形成された湾曲面(R)と向かい合うケース体(18、28)には、主軸(13aと13b、23aと23b)を中心として回動するパネル体(P)および支持部材(S)と指先の入らないわずかな隙間を保つ円弧面(19、29)を有しており、且つ中間材(41)には、パネル体(P)および支持部材(S)と指先の入らないわずかな隙間を保つ端面(45)を有していることを特徴とする蝶番装置。
【請求項4】
前記中間材(41)は、板材を使用していることを特徴とする請求項3記載の蝶番装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−84863(P2009−84863A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255158(P2007−255158)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(507323123)株式会社ティーアンドティー・タカマツタテグ (2)
【Fターム(参考)】