説明

融合統計データの生成および表示

ある例では、心調律管理システムが埋め込み可能な生理学的データモニタ、プロセッサ、メモリ、およびディスプレイを含む。埋め込み可能な生理学的データモニタは、複数の心臓応答を監視するように構成されうる。プロセッサは、心臓応答をペーシング優位、融合、および偽融合を含む少なくとも3つのクラスの1つに分類するように構成されうる。また、プロセッサは、分類された心臓応答に関する統計情報を計算するように構成されうる。この例では、ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスは、対応する電気刺激から生じる心臓応答に対応する。メモリは、分類された心臓応答と計算された統計情報とをプロセッサによって将来使用するために、あるいは表示のために格納するように構成される。ディスプレイは、診断とデバイスのプログラミングとのためにメモリに格納された統計情報を表示するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2009年5月27日に出願された「融合統計データの生成および表示のためのシステムおよび方法(Systems and Methods for the Generation and Display of Fusion Statistics)」と題する米国仮特許出願第61/217,115号(代理人整理番号279.G94PRV)に対して優先権の利益を主張し、この仮特許出願は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
(関連特許の相互参照)
本特許出願は、米国特許出願第11/116,544号に関連しており、これは2005年4月28日に出願された「波形クラスタリングを用いた心臓信号テンプレートの生成(Cardiac signal template generation using waveform clustering)」と題する米国特許第2006/0247707号として現在公開されている。これによって、米国特許出願第11/116,544号は引用することにより本出願の一部をなすものとする。
【0002】
また、本特許出願は、米国特許出願第11/097,460号に関連しており、これは2005年4月1日に出願された「電位図形態に基づくCRT最適化(Electrogram Morphology−Based CRT Optimization)」と題する米国特許2006/0224198号として公開されている。これによって、米国特許出願第11/097,460号は引用することにより本出願の一部をなすものとする。
(著作権情報)
本特許文献の開示の一部は、著作権保護を受ける資料を含む。著作権の所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記されている通り、特許文献または特許情報公開が個人によってファクシミリ複製されることに異存はないが、それ以外についてのあらゆる著作権を保有する。下記の情報は、以下で説明し本明細書の一部を形成する図面に記載するソフトウェアおよびデータに適用される。著作権2009年、Boston Scientific Corp。著作権所有。
【背景技術】
【0003】
正常に働く心臓は、律動収縮を生成して全身に血液を送り出すことができる。しかしながら、疾患や傷害によって、心調律が不規則になり、ポンプ効率の低下をもたらすことがある。不整脈は、様々な生理的状態および疾患経過から生じる不規則な心調律を表すために使用される一般用語である。埋め込み可能なペースメーカーおよび細動除去器などの心調律管理システムは、重篤な不整脈の患者の有効な治療として採用されうる。これらのシステムは、心臓からの電気信号を感知するための回路と心臓に電気刺激パルスを供給するパルス発生器とを備えうる。患者の心臓の中に延びる導線は、心臓の電気信号を感知し、不整脈を手当てする様々な治療法に従って心臓に刺激パルスを供給するために心筋に接触する電極に接続されうる。
【0004】
心調律管理システムは、心臓組織の収縮を生成するために電極に隣接する心臓組織を刺激する働きをしうる。ペースメーカーは、心臓のポンプ効率を維持する収縮リズムを心臓が生成しやすくするタイミングで一連の低エネルギーのペーシングパルスを供給する心調律管理システムである。ペーシングパルスは、患者の必要性に応じて断続的、連続的のいずれの場合もありうる。1つまたは複数の心腔を感知またはペーシングする様々なモードを有する多くのカテゴリのペースメーカーデバイスが存在する。
【0005】
ペーシングパルスが心臓組織内で収縮を生成するとき、収縮に先立つ電気心臓信号は捕捉応答(CR)として表されうる。捕捉応答は、典型的に、電極−組織界面における残留ポストペーシング分極に関連する重畳信号とともに、心収縮に関連する誘発応答信号を表す電気信号を含む。残留ポストペーシング分極信号の大きさ、またはペーシングアーチファクトは、たとえば、リード分極、ペーシングパルスからの後電位、リードインピーダンス、患者インピーダンス、ペーシングパルス幅、およびペーシングパルス振幅など、様々な要因によって影響されうる。
【0006】
ペーシングパルスは、収縮を生成するための最小エネルギー値、または捕捉閾値を超えるべきである。ペーシングパルスは、捕捉閾値を上回るほどのエネルギーを消費せずに心臓の捕捉を刺激するのに十分なエネルギーを有することが望ましい可能性がある。それゆえ、捕捉閾値の正確な決定は、効率的なペーシングエネルギー管理に有用でありうる。ペーシング・パルス・エネルギーが低すぎると、ペーシングパルスは心臓内で収縮応答を確実に生成しないかもしれず、有効でないペーシングをもたらす可能性がある。ペーシング・パルス・エネルギーが高すぎると、患者は不快感を覚える可能性があり、デバイスのバッテリ寿命が短縮されるであろう。
【0007】
ペーシングパルスが心臓を「捕捉し」収縮を生成しているかどうかを検出すると、心調律管理システムはペーシングパルスのエネルギーレベルを調整して捕捉を確実に生成する適切なエネルギー消費に対応することができる。さらに、捕捉検出によって、心調律管理システムは、ペーシングパルスが収縮を生成しないときはいつでもより高いエネルギーレベルでバックアップパルスを発生することができる。
【0008】
融合収縮は、1つの特定心腔であるが別々の開始部位からの2つの心臓脱分極が結合すると生じる心収縮である。時には、ペーシングパルスによって発生される脱分極が内因性収縮と融合して融合収縮を生成しうる。融合収縮は、心電図の記録で見られるように様々な形態を呈する。融合収縮の融合脱分極は、一般に、全分極に一様に寄与していない。
【0009】
心房ペーシング時の自発性P波または心室ペーシング時の自発性QRS群にペーシング刺激が供給されるときに偽融合が生じる。偽融合では、電極周辺の組織が既に自発的に脱分極していて不応期に入るため、ペーシング刺激が無効になる場合がある。
【0010】
ペーシング治療は心不全の治療にも採用される可能性があり、心不全は、心臓機能の異常が周辺の細胞組織の代謝要求を満たすのに十分なレベル未満に低下する可能性のある標準以下の心拍出量を引き起こす臨床的症候群を指す。非代償性の心不全の場合、通常、付随する静脈性鬱血と肺鬱血とに起因した鬱血性心不全として現れる。心不全は、最も一般的である虚血性心疾患を有する様々な病因に起因する可能性がある。一部の心疾患患者は、患者の心拍出量が電気刺激による心室収縮の同期を改善することによって増加されうるような心室内伝導障害および/または心室間伝導障害(たとえば、脚ブロック)を患っていることが示されている。これらの問題を処理するために、心臓再同期療法(CRT)と称する心房収縮および/または心室収縮の協調を改善するための1つまたは複数の心腔に適切なタイミングの電気刺激を与える埋め込み可能な心臓デバイスが開発されている。心室再同期は、心筋収縮力に直接影響を与えることはないが、再同期はポンプ効率の改善および心拍出量の増加によって心室により協調のとれた収縮をもたらす可能性があるので心不全の治療に有用である。現在、最も一般的な形態のCRTでは、同時に、あるいは指定された両心室オフセット間隔だけ隔てられ、内因性心房収縮および/または心房ペーシングの検出に関して指定された心房−心室遅延間隔の後に刺激パルスを両心室に加える。心臓機能の最適な改善を実現するために、これらのペーシングパラメータの適切な仕様が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
捕捉検出は、融合/偽融合収縮、内因性収縮、雑音、および非捕捉からペーシング捕捉収縮を識別することを伴う場合がある。様々な心臓応答は、心臓信号を様々な応答タイプを代表するテンプレートと比較することで識別されうる。本デバイスおよび方法では、様々な心臓応答を認識または分類するためにテンプレートを使用しうる。
【0012】
本デバイスおよび方法では、患者の心調律管理(CRM)システムまたはデバイスが長期間にわたってどのように働いているかを素早く可視化して解析する能力を医師などのユーザーに提供することを含みうる。これは、心臓波形分類、関連統計データの生成、ある期間にわたって生成された少なくとも統計データの表示を使用しうる様々な心臓デバイスおよび方法を含みうる。これは、患者のCRMデバイスが患者の最近の外来診療以後にどのように働いていたかを示す1つまたは複数の統計データを医師に見せることを含みうる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
例1は心調律管理システムを含みうるし、心調律管理システムは埋め込み可能な生理学的データモニタ、プロセッサ、メモリ、およびディスプレイを含みうる。埋め込み可能な生理学的データモニタは、複数の心臓応答を監視するように構成されうる。プロセッサは、心臓応答を、心臓応答をペーシング優位、融合、および偽融合を含む少なくとも3クラスの1つに分類するように構成されうる。また、プロセッサは、分類された心臓応答に関する統計情報を計算するように構成されうる。この例では、ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスは、対応する電気刺激から生じる心臓応答に対応する。メモリは、分類された心臓応答と計算された統計情報とをプロセッサによって将来使用するために、あるいは表示のために格納するように構成されうる。ディスプレイは、メモリに格納された統計情報を表示するように構成される。
【0014】
例2では、例1の対象は、メモリに格納された心臓応答の少なくとも1つを使用して、埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するようにさらに構成されうるプロセッサを含みうる。
【0015】
例3では、例1〜2のいずれか1つの対象は、メモリに格納された一連の心臓応答を使用して、埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するように構成されうるプロセッサを含みうる。
【0016】
例4では、例1〜3のいずれか1つの対象は、メモリに格納された心臓応答に関する統計情報を使用して、埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するように構成されうるプロセッサを含みうる。
【0017】
例5では、例1〜4のいずれか1つの対象は、メモリに格納された心臓応答に関する統計情報を使用して、プログラミング提案を提供するように構成されうるプロセッサを含みうる。この例では、ディスプレイは、プログラミング提案を表示するように構成されうる。
【0018】
例6では、例1〜5のいずれか1つの対象は、外部プログラミングデバイスを含みうる。この例では、プロセッサは、メモリに格納された心臓応答に関する統計情報を使用して、外部プログラミングデバイスに警告を送信するように構成されうる。
【0019】
例7では、例1〜6のいずれか1つの対象は、第2の生理学的パラメータを監視するように構成されうる埋め込み可能な生理学的データモニタを含みうるし、またメモリは第2の生理学的データパラメータを格納するように構成されうる。この例では、プロセッサは、計算された統計情報を第2の生理学的パラメータと相関させるように構成されうるし、結果はグラフ形式で表示されうる。
【0020】
例8では、例1〜7のいずれか1つの対象は、脱分極を含む電位図を用いて心臓応答を測定することを含みうる。
例9では、例8の対象は、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答脱分極とを監視するように構成されうる埋め込み可能な生理学的データモニタを含みうる。この例では、プロセッサは、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答脱分極とを分類し、複数の分類された脱分極に関する統計情報を計算するように構成されうる。また、メモリは、複数の分類された脱分極に関する少なくとも統計情報を格納するように構成されうる。
【0021】
例10では、例9の対象は、メモリに格納された分類に関する統計情報を自動的に使用して、埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するように構成されうるプロセッサを含みうる。
【0022】
例11では、例9〜10のいずれか1つの対象は、第2の生理学的パラメータを監視するように構成されうる埋め込み可能な生理学的データモニタを含みうる。この例では、メモリは、さらに、第2の生理学的パラメータを格納するように構成されうる。さらに、外部コンピュータデバイスは、統計データを第2の生理学的データと相関させ、結果をグラフ形式で表示するように構成されうる。
【0023】
例12では、例9〜11のいずれか1つの対象は、心腔、右心対左心、または心房対心室の少なくとも1つに従って脱分極を分類するように構成されうるプロセッサを含みうる。
【0024】
例13では、例9〜12のいずれか1つの対象は、脱分極形態をメモリに格納されたテンプレートと比較することによって脱分極を分類するように構成されうるプロセッサを含みうるし、格納されたテンプレートはクラス間を識別しうる。
【0025】
例14は、複数の心臓応答の監視、心臓応答に分類、分類に関する統計情報の計算、および統計情報の表示を含めるために、例1〜13のいずれか1つの対象を含むか、またはこの対象と組み合わせられうる。監視は、埋め込み可能な心調律管理デバイスを用いて達成されうる。分類は、プロセッサを用いて達成されうる。心臓応答は、ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスを含む3つのクラスに分類されうる。ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスは、対応する電気刺激から生じる心臓応答に対応する。分類に関する統計情報は、外部デバイスに表示されうる。
【0026】
例15では、例14の対象は、心臓応答に関する統計情報を用いて埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータをプログラムすることを含みうる。
例16では、例14〜15のいずれか1つの対象は、ある期間にわたる統計情報の傾向を示すことを含みうる。
【0027】
例17では、例16の対象は、慢性状態を表すある期間にわたって監視、分類、および計算しうるほどの十分に長い期間を用いることを含みうる。
例18では、例14〜17のいずれか1つの対象は、数値表示およびグラフ表示を用いることを含みうる。
【0028】
例19では、例14〜18のいずれか1つの対象は、各心臓応答に関連する電位図を収集することを含む複数の心臓応答を監視することを含みうるし、各電器記録図は脱分極を含む。
【0029】
例20では、例19の対象は、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答分極を監視することを備えうる。この例では、分類は、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答脱分極とを分類することも備えうる。統計情報の計算は、すべての分類に関する計算を含みうる。
【0030】
例21では、例19の対象は、心腔、右心と左心、または心房と心室の少なくとも1つに従って分類することを含みうる。
例22では、例19〜21のいずれか1つの対象は、各脱分極形態を格納されたテンプレートと比較することを含みうる脱分極を分類を含み、格納されたテンプレートはクラス間の識別を可能とする。
【0031】
例23では、例19〜21のいずれか1つの対象は、脱分極形態を複数の格納されたテンプレートと比較することを含みうる脱分極を分類することを含みうるし、各格納されたテンプレートは1つまたは複数のクラスの識別を可能とする。
【0032】
例24では、例14〜23のいずれか1つの対象は、分類情報を用いて埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを自動的にプログラムすることを含みうる。
例25では、例14〜23のいずれか1つの対象は、計算された統計情報を用いて埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを自動的にプログラムすることを含みうる。この例では、プログラムされたパラメータは、パラメータをプログラムするために使用される計算された統計情報に関連して表示されうる。
【0033】
本発明の概要は、本特許出願の対象の概要を提供するものである。本発明の概要は、本発明の排他的または網羅的な説明を提供するものではない。「発明を実施するための形態」は本特許出願に関するさらなる情報を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】様々な心房−心室遅延タイミングにおいて採取された複数の電位図を示す一連の図である。
【図2】個々の誘発応答を分類するために使用することができる誘発応答テンプレートを作成する方法の例を示すフローチャートである。
【図3】外部プログラミングおよび診断デバイスに通信可能に結合される埋め込み可能な心調律管理システムの例を示すブロック図である。
【図4】融合統計データを生成し表示するために使用することができる埋め込み可能な心調律管理システムの例を示すブロック図である。
【図5】融合統計データを生成し表示する方法の例を示すフローチャートである。
【図6】捕捉、融合、および偽融合ペーシング条件を説明する様々な誘発応答を示す図である。
【図7】捕捉検出ウィンドウを用いて誘発応答を分類する方法の例を示すフローチャートである。
【図8A】融合統計データのグラフ表示の例を示す図である。
【図8B】融合統計データのグラフ表示の例を示す図である。
【図8C】融合統計データのグラフ表示の例を示す図である。
【図8D】融合統計データのグラフ表示の例を示す図である。
【図9】埋め込み可能な心調律管理デバイスからデータを受信できる外部プログラミングおよび表示デバイスの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていないが、異なる図では同様の参照番号が同様の構成要素を表すことができる。異なる接尾辞を有する同様の参照番号は同様の構成要素の異なる事例を表すことができる。図面は、本明細書に記載する様々な実施形態を、一般に、例として示すもので、制限として示すものではない。
【0036】
前述のように、心調律管理システムは、心不全状態または伝導遅延を代償する形で1つまたは複数の心腔に加えられるペーシング刺激など、心臓再同期療法を提供できる。心室再同期ペーシングは、心筋収縮力に直接影響を与えることはないが、再同期は心室により協調のとれた収縮をもたらしてポンプ効率を改善し心拍出量を増加させうるので心室間または心室内伝導障害を患う患者の心不全の治療に有用である。心室再同期は、左心室伝導障害を患う患者の右心室の代わりに左心室などの単一の非典型部位におけるペーシングによって一定の患者で実現されうる。また、再同期ペーシングは、VV遅延(VVD)間隔と称される(LVオフセット(LVO)間隔または両心室オフセット(BVO)間隔と称されることもある)ペーシング間の間隔で左右の心室に対して同時または順番にペーシングされる両心室ペーシングを含みうる。VV遅延間隔は、両心室を同時にペーシングするためにはゼロであり、左右の心室を順番にペーシングするためには非ゼロでありうる。負のVVDは右心室の前に左心室をペーシングすることに言及するために使用されうるが、正のVVDは右心室を最初にペーシングすることに言及するために使用されうる。
【0037】
心臓再同期療法は、徐脈ペーシングモードとともに適宜提供されうる。徐脈ペーシングモードは、一定の最小心拍数を実施する形で心房または心室をペーシングするために使用されるペーシング方法を指す。非同期ペーシングでは不整脈を誘導するリスクがあるので、徐脈を治療するペースメーカーは、規定の間隔内で起こる感知された心臓事象がペーシングパルスをトリガーまたは阻止する場合など、いわゆる要求モードで同調して動作するようにプログラムされうる。阻止された要求ペーシングモードでは、感知された内因性活性に従ってペーシングを制御するなどのために補充収縮間隔を採用することができる。阻止された要求モードでは、ペーシングパルスは、規定された補充収縮間隔が満了して初めて心周期中に心腔に供給される可能性があり、規定された補充収縮間隔中は心腔による内因性収縮が検出されない。たとえば、心室をペーシングする心室補充収縮間隔は、その逆数が低速限界またはLRLである心周期(CC)間隔と称される心室事象の間で規定されうる。CC間隔は、各心室感知または心室ペーシングで再開される。心房トラッキングおよびAV順次ペーシングモードでは、別の心室補充収縮間隔がAV遅延(AVD)間隔と称される心房事象と心室事象の間で規定され、この場合、心室感知が先に行われなければ心室ペーシングパルスはAV遅延間隔の満了時に供給される。心房トラッキングモードでは、心房−心室ペーシング遅延間隔は、心房感知によって開始され、心室感知またはペースによって停止される。また、心房補充周期間隔は、心房を単独でペーシングする場合、あるいは心室のペーシングに加えて心房をペーシングする場合に規定される。AV順次ペーシングモードでは、心房−心室遅延間隔は心房ペースによって開始され、心室感知またはペーシングによって停止される。心房トラッキングおよびAV順次ペーシングは、AVD間隔が心房ペーシングまたは感知のいずれかで開始するように組み合わせられうる。両心室ペーシングの場合、AVD間隔は心房事象(たとえば、心房の1つ、通常は右心房のペーシングまたは感知)と心室の1つを早期興奮させる第1の心室ペーシングとの間の間隔を指す。早期興奮されない心室のペーシング時点は、心房事象後の間隔AVD+VVDでペーシングされるようにVVD間隔によって指定されうる。両心室または左心室のみのペーシングでは、AVD間隔は心房感知またはペーシング(たとえば、それぞれ、心房トラッキングモードおよびAV順次ペーシングモード)のいずれによって開始されるかに応じて同じであるか異なる可能性がある。両心室ペーシングまたは左心室のみにペーシングを実施する方法は、心室補充収縮間隔が右心室感知によってリセットまたは停止されるように、右心室活動のみでのタイミングを基準とするものであってもよい。
【0038】
良好な血行動態性能では、再同期ペーシングの場合であれ徐脈ペーシングの場合であれ、心房トラッキングまたはAV順次ペーシングモードにおいて、心室に前負荷をかける際に心房の機能を維持する(心房−心室同調と称されることがある)などのために心室ペーシングを供給することが望ましい可能性がある。CRTは、患者の心臓ポンプ機能を向上させることを目的とし、したがって、通常は、心房トラッキングおよび/またはAV順次モードで供給され、理想的に、心房収縮期中に最適な前負荷をかけられた後で心収縮中に心室が同調されるAVD間隔(そして、両心室ペーシングの場合、VVD間隔)の仕様を含む。このようにして、最適な心室間同調および最適な心房−心室同調のいずれも実現されうる。
【0039】
心臓再同期療法は、左心室機能障害に起因する心不全を患う患者の治療に利用されうるし、左心室機能障害は左脚ブロックなどの左心室伝導異常によって引き起こされうるか、あるいは左心室伝導異常が一因となりうる。(比較的稀であるが、一部の患者は右脚ブロックなどの右心室伝導欠損を有し、それらの心室収縮の同期を実現するなどのために右心室の早期興奮から利益を得る可能性がある。)左心室伝導欠損を患う患者では、左心室または左心室収縮の一部が収縮期中に通常よりも遅れて収縮し、それによって、ポンプ効率を損なう。このような患者の心室収縮を再同期させるために、左心室または左心室の一部が内因性収縮において脱分極されるときと比べて早期興奮されるようにペーシング治療が適用されうる。所与の患者の左心室の最適な早期興奮は、両心室ペーシング、または左心室自由壁を興奮させる左心室に供給されるペーシングによる左心室の早期興奮させることによる左心室のみのペーシングによって得られうる。所望の状況は、左心室自由壁と心室中隔の同時収縮(中隔−自由壁融合)である。心室中隔の興奮は、AV結節からの内因性活性化または右心室に供給されるペーシングのいずれかの結果でありうる。右心室への内因性AV伝導が正常であれば、心室中隔の内因性活性化は心房収縮期中に心室の最適な前負荷かける心房収縮に続く間隔において生じる。したがって、右心室に対する正常な内因性AV伝導を有しながら左心室伝導欠損を有する患者では、左心室を早期興奮する血行動態的に最適なAVD間隔は、心室中隔が内因性活性化によって収縮しているときにペーシングによって収縮する左心室自由壁で得られるものである。この状況は、左心室のみのペーシングまたは両心室ペーシングのいずれかによる最適AVD間隔で左心室を早期興奮させることによってもたらされうる。後者の場合、実施例に応じて、AVD間隔の満了後にVVD間隔で行うことを予定された右心室ペーシングは、内因性右心室活性化によって阻止されうるか、右心室活性化と同時に行われうるか、あるいは不応期中に内因性右心室活性化の後で行われうる。
【0040】
正常な内因性AV伝導を有しない患者の場合、左心室のみのペーシングは脱分極が左心室ペーシング部位のみから広がる心室収縮を引き起こすことになる。したがって、血行動態的により有効な収縮を引き起こすためには、両心室ペーシングモードで両心室にペーシングを供給することが望ましいかもしれない。その結果、最小ペーシング頻度は、通常、ペーシング周期のみをもたらす値に設定されることになる。すなわち、心室固有調律による内因性活性化は、ペーシングを阻止するには頻度が遅すぎる。その結果、AV遅延およびVV遅延の間隔は、心房−心室間同調および心室間同調を提供する値に設定される。しかしながら、いずれかの心室の内因性活性化が間欠的に起こるように患者が完全なAVブロックを有しない場合、両心室ペーシングを利用して心室に対する内因性伝導が起こるときに融合収縮を生成する値にAV遅延間隔およびVV遅延間隔を設定することが望ましい可能性がある。たとえば、左心室伝導欠損および右心室に対する間欠AVブロックを有する患者では、心室中隔が内因性活性化によって収縮しているときにペーシングによって収縮する左心室自由壁内で生じる右心室への内因性伝導が起こるとき、最適AV遅延間隔を有する左心室の早期興奮は融合収縮を生じることになる。その結果、この場合の最適VV遅延は、左心室ペーシングの後に右心室ペーシングが内因性右心室活性化によって阻止される(あるいは、右心室が難治性であるときに供給される)ように長いが、右心室に対する内因性AV伝導が起こらないときには血行動態的に有効な収縮を生じるほど短い値になる。
【0041】
前述のように、右心室に対して正常な内因性AV伝導と左心室伝導欠損を有する患者では、CRTの所望の結果は、AV結節からの内因性伝導が左心室中隔の収縮を引き起こすと同時に左心室ペーシングが左心室自由壁の収縮を引き起こすような融合収縮である。このような融合収縮は、誘発応答電位図において認められうる。電位図は、内部電極または外部電極のいずれかによって記録される心臓脱分極および再分極の振幅および時間的経過を示す信号であり、後者は体表面心電図(EKG)と称される。誘発応答電位図は、ペーシング心周期中に記録される図である。心室の脱分極パターンおよび再分極パターンは、ペーシング活性化と内因性活性化に対して異なり、電位図はペーシングされ本質的に活性化される間に記録されるので、融合収縮は形態学的に識別されやすい。一部の例では、内因性活性化は感知されるものとして見なされうる。
【0042】
CRMデバイスの適正なプログラミングは、外来患者の診療間の慢性期間など、ある期間にわたって特定患者体内のCRMデバイスの動作を医師がより深く洞察することによって向上されうる。これは、医師の診察室で実施された緊急の測定または一時的な試験によって提供された限られた情報に基づくCRMデバイスのプログラミングに対するアプローチと比較されうる。AV遅延またはVV遅延などのパラメータを自動的に適合させるある能力を含む高機能のCRMデバイスでは、医師によってプログラムされるパラメータがこのような閉ループ自動適合を制限する可能性がある。したがって、急性患者情報よりもむしろ慢性患者情報を提供するなどしてプログラミング選択肢を作るための質の高い情報を提供することが有益である。
【0043】
The Journal of the American College of Cardiology (The Utility of 12−Lead Holter Monitoring in Patients with Permanent Atrial Fibrillation for the Identification of Nonresponders after Cardiac Resynchronization Therapy,JACC Vol.53,No.12,2009 March 24,2009)で公開された最近の研究には、ペーシング、融合、および偽融合の統計データに関係している詳細情報の潜在的重要性が明記されている。当該研究では、心室機能障害の設定において心房細動(AF)およびHFを有する19人の患者を評価している。当該研究では、心室ペーシングのパーセンテージは融合および偽融合収縮のパーセンテージが比較的高いために適切な両心室ペーシングの不適切な指標であると結論付けている。当該研究によると、高いパーセンテージの偽融合収縮を有するCRT患者は臨床的に反応しない傾向がある。それゆえ、AFおよびHF有する患者におけるペーシング、融合、および偽融合収縮の存在に関する詳細な統計情報を医師に提供することは有益であることが示されている。
【0044】
以下の例は上記の方法を用いて最適化されうる1つのパラメータとして心房心室(AV)遅延タイミングに焦点を合わせているが、記載された融合統計データは、前述のように、他のCRMデバイス機能を可視化し最適化する際にも有用でありうる。たとえば、CRTでは、AV伝導問題のない患者に対する非トラッキングモードでの両心室トリガーの適用は、融合統計データを用いて最適化されうる。医師が利用できる以下に記載する詳細な統計データを作成すると、心拍出量に悪影響を与える同期不全を治療するためにCRTをより適切に適用することができる。
【0045】
図1は、様々な心房心室(AV)遅延タイミングで採取された複数の電位図を示す一連の図である。8つの図の各々は、特定のAV遅延における一連の誘発応答電位図を示す。たとえば、グラフ120は、60msのAV遅延における一連の電位図を示す。グラフ120に示す電位図は、ペーシング優位形態の例を明示している。心拍動は、ペーシング刺激が心臓組織内で収縮を生成するときにペーシング優位形態を示す電位図を生成しうる。グラフ140に示すようにAV遅延を100msまで延長するとき、収集された電位図は融合形態の例を示す。心拍は、特定心腔の2つの心臓脱分極が別々の開始部位からではあるが結合するときに心収縮が起こるときの融合形態を示す電位図を生成しうる。AV遅延をグラフ150に示す120msまでさらに延長すると、電位図は偽融合形態を示す。心拍は、ペーシング刺激が心房ペーシング中に自発性P波に供給されるときに、あるいは心室ペーシング中に自発性QRS群に供給されるときに偽融合形態を示す電位図を生成しうる。これらの種々の電位図形態は、形態テンプレートを作成するために使用することができる。形態テンプレートを作成する方法例を図2に示す。形態テンプレート作成例に関するさらなる詳細は、2005年4月28日に出願されたMeyerらによる「波形クラスタリングを用いた心臓信号テンプレートの生成(CARDIAC SIGNAL TEMPLATE GENERATION USING WAVEFORM CLUSTERING)」と題する米国特許出願第11/116,544号明細書に見られ、引用することにより本出願の一部をなすものとする。
【0046】
図3は、外部プログラミングおよび診断デバイスに通信可能に結合される埋め込み可能な心調律管理システムの例を示すブロック図である。システム300は、埋め込み可能な医療デバイス(IMD)305、生理学的データセンサー310、および外部デバイス320を含むことができる。ある例では、IMD305は、心調律管理療法を患者の心臓(前述のような)に提供するために使用される心調律管理(CRM)デバイスを含みうる。ある例では、生理学的データセンサー310は、誘発応答脱分極情報を含む電位図を検出するために使用される。ある例では、生理学的データセンサー310は、追加的または代替的に、とりわけ、心拍数、心音、呼吸数、または血圧、心臓活性化などの、心臓血管機能の1つまたは複数の他の生理学的パラメータを監視するために使用される。一部の例では、複数の生理学的データモニタが複数の関連生理学的パラメータを監視するために採用される。
【0047】
外部デバイス320は、IMD305のプログラミングまたはIMDから得られたデータの表示に使用されうる。ある例では、外部デバイスは、IMD305と通信するように構成されたラップトップなどのパーソナルコンピュータを含みうる。ある例では、外部デバイス320は、ハードワイヤード通信リンクを介してIMD305と通信する。ある例では、外部デバイス320は、無線通信リンクを介してIMD305と通信する。ある例では、外部デバイス320は、IMD305からデータを受信し、受信されたデータをコンピュータディスプレイなどに表示する。また、外部データ320は、IMD305の操作パラメータを調整する際に、医師、技能者、または技術者などを支援するなどのために統計データを計算し、あるいは追加解析を実施するように構成される。追加解析の例は、ある期間にわたってIMDによって収集された統計データにIMD305からダウンロードされた様々な生理学的データパラメータを相関させることを含む。たとえば、外部デバイス320は、呼吸数を誘発応答脱分極分類に関する統計データに相関させる。
【0048】
図4は、1つまたは複数の融合統計データの表示を生成するために使用できる埋め込み可能な心調律管理システムの例を示すブロック図である。システム400は、埋め込み可能な医療デバイス305、1つまたは複数の生理学的データセンサー310A、310B、...310N(以後、310と総称する)、および外部デバイス320を含むことができる。システム400では、IMD305は、生理学的データモニタ410、プロセッサ425、通信バス430、およびメモリ440を含みうる。一部の例では、プロセッサ425および通信バス430は、プロセッサ420に統合されて、生理学的データモニタ410およびメモリはプロセッサ420と直接通信する。一部の例では、生理学的データセンサー310の一部は、外部デバイスと通信リンクを介して直接通信する。
【0049】
ある例では、生理学的データモニタ410は、1つまたは複数の生理学的データセンサー310からデータを受信する。一定の例では、生理学的データセンサー310は、患者の体内に埋め込まれた、内部センサーとも称されるセンサーである。他の例では、生理学的データセンサー310は、患者の皮膚に接着または装着されたセンサー、あるいは他の携帯型外部センサーである。一部の例では、生理学的データセンサー310は、外部センサーおよび内部センサーの両方を含む。監視される生理学的データは、この後、プロセッサ425に転送されるか、あるいはメモリ440に直接格納されうる。メモリ440は、通信リンクなどを介して外部デバイス320にアクセス可能でありうる。前述のように、外部デバイス320とIMD305の間の通信リンクは、有線または無線のいずれもありうる。
【0050】
図5は1つまたは複数の融合統計データを生成し表示する方法の例を示すフローチャートである。この例では、方法500は、IMD305によって監視され収集されて分類された心臓応答に関係している統計データを生成し表示する一連の操作を列挙している。方法500は、心臓応答を監視すること510と、心臓応答を分類すること520と、統計情報を計算すること540と、統計情報を表示すること560とを含む。一定の例では、方法500は、さらに、530または550のいずれかにおいてIMD305の1つまたは複数のパラメータをプログラムする操作を含む。一部の例では、IMD305は、530および550で示すように、心調律管理(CRM)デバイスでありうる。以下の例は、心臓応答を測定する方法として電位図を監視し分類することに焦点を合わせている。さらに後述するように、電位図、心臓活性化シーケンス、またはその他の生理学的センサーなど、心臓応答の測定には様々な方法がある。
【0051】
ある例では、方法500は、IMD305内の生理学的データモニタ410を使用するなどして510において1つまたは複数の電位図を監視することによって開始されうる。前述のように、生理学的データモニタ410は、1つまたは複数の内部センサー310あるいは1つまたは複数の外部センサー310(この場合、外部センサーは体表面EKGを提供する)のいずれかから電位図データを受信する。内部構成または外部構成のいずれにおいても、生理学的データセンサーは、脱分極情報を含む電位図データをデータモニタ410に提供する。電位図が監視されている時点で、方法500は、520において脱分極を分類することによって継続する。ある例では、脱分極を分類することは、プロセッサ425によって行われる。520において、プロセッサ425は、脱分極を、ペーシング優位、融合、および偽融合を含む少なくとも3つのクラスの1つのみに分類する。前述のように、ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスは、電気刺激(たとえば、ペーシングパルス)から生じる誘発応答脱分極に対応する。図6および7との関連で分類方法の例を以下で説明する。また、詳細な分類方法の例は、2005年4月28日に出願されたMeyerらによる「波形クラスタリングを用いた心臓信号テンプレートの生成(CARDIAC SIGNAL TEMPLATE GENERATION USING WAVEFORM CLUSTERING)」と題する米国特許出願第11/116,544号明細書に記載されており、これは引用することにより本出願の一部をなすものとする。
【0052】
方法500は、540において、分類された脱分極に関連する統計情報を他の監視された生理学的データとともに一部の例において計算することによって継続する。ある例では、プロセッサ425は、脱分極が分類されるときに1つまたは複数の統計カウンタを更新する。520において脱分極が分類されると、プロセッサ425は各分類に対する現在までの合計を維持することができ、ある例を下の表1に示す。表1は、右心室ペーシングに焦点を合わせた例を示す。現在までの合計から、合計の%などの統計データが計算されて表示されうる。ある例では、現在までの合計は、心拍数など、データモニタ410によって監視される別の生理学的データパラメータに関連して表示されうる。図8Aは、1分当たりの心拍数によるヒストグラムにプロットされた分類済みの脱分極の例を示す。ある例では、同様のデータが、とりわけ、呼吸数または監視された血圧と相関させられうる。多次元統計的相関が、たとえば、分類された脱分極、心拍数、および呼吸数の間で計算されてもよい。他の監視された生理学的パラメータに対する相関は、治療に当たる医師によって再検討されるときなど、統計データの背景を提供する際に特に有用でありうる。
【0053】
【表1】

ある例では、プロセッサ425は、いつも通りに予定された外来患者の医師への訪問など、指定された期間にわたって分類された脱分極に関係しているトレンドデータを計算するように構成される。別の例では、外部デバイス320は、指定された期間にわたってトレンドデータを計算し維持するように構成される。いずれの例でも、期間は、典型的に、1週間または1ヶ月などの長期間を表す。ある例では、期間は外来診療間の期間に及ぶ。期間は、患者のIMDの設定の最適化に関係している具体的な診断必要性を満たすように医師によって設定されうる。
【0054】
ある例では、プロセッサ425は、右心室および左心室または右心房などの心腔だけでなく、感知およびペーシングに関して発生された現在までの合計をより詳しく維持するように設定される。表2は、心室カウンタに対するより詳細な合計の例を示す。この表は、各カテゴリについてペーシングされた心房または感知された心房に対してさらに発生されうる。
【0055】
【表2】

ある例では、540において計算された統計データは、心拍数、呼吸数、血圧、さらには姿勢など、他の監視された生理学的パラメータに関する多変数解析を含みうる。これらの追加的な生理学的パラメータは、様々な誘発および感知された応答ならびに関連形態の出現に影響を与えうる。一部の例では、呼吸および血流量に依存する酸素輸送率を推定するための計算が実施される。この例では、血流量は、心拍数とポンプ効率の大きさとによって表される。ポンプ効率の大きさは、計算された統計データで表される感知および誘発応答形態から導かれる。これらの変数を使用すると、グラフ表示および数値表示はいずれも、患者のCRMデバイスの性能に関係している貴重な情報を医師に提供するために発生される。
【0056】
ある例では、方法500は、540において計算された統計情報を表示することによって560において継続する。統計情報の表示は、外部デバイス320によって行われうる。一定の例では、統計情報は、外部デバイス320のコンピュータ画面にグラフおよび数値の両方によって表示される。他の例では、統計情報は、外部デバイス320から生成されたプリントアウトによって表示される。一部の例では、外部デバイス320は、統計情報を画面に表示し、あるいは要求に応じてハードコピーを提供する。ある例では、外部デバイス320は、電子メッセージまたは同様の電子伝達機構を通じて、IMD305からダウンロードされた未加工データだけでなく統計情報を他のデバイスに伝えるために使用される。
【0057】
一部の例では、分類された脱分極データまたは統計情報のいずれも、IMD305のパラメータをプログラムするために使用される。530において、1つまたは複数の分類された脱分極が、IMDの操作パラメータをプログラムまたは再プログラムするためにプロセッサ425によって使用される。たとえば、CRMデバイス内のプロセッサ425は、1つまたは複数の分類された脱分極に基づいてAV遅延タイミングを修正する。別の例では、CRMデバイス内のプロセッサ425は、550において、計算された統計情報に基づいてAV遅延タイミングを修正する。この例では、プロセッサ425は、一定のパーセンテージを超える脱分極が偽融合として分類されていることを統計情報が示す場合にAV遅延を短縮するように構成される。また、プログラミングパラメータの調整は、一定の生理学的条件下で、リアルタイムで実施されうる。たとえば、一定の心拍数および呼吸数の下で一定のパーセンテージを超える脱分極が観察される場合、特定の心拍数および呼吸数に達するとAV遅延が調整される。
【0058】
図6は、捕捉、融合、および偽融合ペーシング状態を明示する様々な誘発応答を示す図である。図6は、一連の捕捉(ペーシング優位)脱分極630、一連の融合脱分極620、および一連の偽融合脱分極610を含む。脱分極をまとめてプロットすると、種々の分類によって表される種々の形態が明らかになる。また、図6は、種々の分類を識別するために一部の例で使用される検出ウィンドウ640、650を示す。これらの検出ウィンドウ640、650は、分類方法例を示す方法700の中で使用される。また、最後に、図6は偽融合閾値660を含み、偽融合閾値660は融合と偽融合の脱分極を識別するためにある例において使用されうる。
【0059】
前述のように、図7は、捕捉検出ウィンドウを用いて誘発応答を分類する方法の例を示すフローチャートである。図7は、方法500の520において実施されうる操作の詳細な例を示す。方法520は、脱分極の両ピークが捕捉検出ウィンドウ640、650内にあるかどうかを判断することによって710において開始する。両ピークがいずれも間違いなく捕捉検出ウィンドウ内にあれば、脱分極はペーシング優位脱分極として分類されうるし、ペーシング優位統計データが740において更新される。両ピークがいずれも捕捉検出ウィンドウ640、650内になければ、方法520は720において継続する。720において、方法520は、第1の負のピークが偽融合閾値660の前に現れるかどうかを判断する。第1の負のピークが偽融合閾値660の前に間違いなく現れれば、方法520は偽融合統計データを更新する(さらに、脱分極を偽融合として分類する)ことによって750において継続する。第1の負のピークが偽融合閾値660の前に現れなければ、730において、脱分極が負のピークを有するかどうかを判断するために脱分極がチェックされる。負のピークが存在すると、方法520は、脱分極を融合として分類し、760において、融合統計データを更新する。この例では、脱分極が負のピークを有していなければ、脱分極は偽融合として分類されうるし、偽融合統計データは、750において、更新される。
【0060】
ある例では、分類統計データは、メモリ440内のデータテーブル構造に格納される。この例では、維持される個々の統計データは別々の行、たとえば、右心室ペーシングに格納されうるし、左心室感知融合は行内に維持されうる。各行は、プロセッサ425が脱分極を行のプロファイルに適合するものとして分類するたびに更新されうるカウンタを含む。別の例では、分類統計データは、各々の可能な分類に専用のハードウェアカウンタによって維持される。この例では、カウンタは、プロセッサ425が関連脱分極を検出するたびにインクリメントされる。
【0061】
あるデバイス例では、種々の心拍数でのペーシング拍動または感知拍動の数が計数される。表3は、この設定の簡単な例を示す。
【0062】
【表3】

この例では、320などの外部プログラミングデバイスは、この表を設定して全カウンタを計算するために埋め込み可能なデバイス305を調べることができる。その結果、プログラミングデバイス302は、表1に示すものと同様の出力を生成することができる。さらなる例では、呼吸数(BPM)、ペーシング優位、融合、および偽融合などの欄を加えるより多くのカテゴリが設定される。
【0063】
図8A〜8Dは、融合統計データの表示の例を示す図である。前述のように、図8Aは、心拍数と相関されてヒストグラムにプロットされた分類済みの脱分極統計データを示すグラフである。図示されたデータ例では、1分当たり約60〜70拍動の狭帯域の心拍数内の融合脱分極の大きなパーセンテージの存在が非常に素早く明らかになる。このグラフ表示によって、医師は、プロットされた心拍数の範囲で患者のIMDの操作を非常に素早く洞察しうる。別の例では、この同じ分類データによって、呼吸数または血圧に対するプロットが可能になり、IMD操作のさらなるスナップショットが提供される。
【0064】
図8B〜8Dは、患者の心拍数と相関されたデータのさらなる例を示すヒストグラムタイプのグラフである。これらのさらなるグラフは、図8Bにおける一般的な脱分極分類から図8Dにおける心腔固有の脱分極分類までの様々な詳細レベルを示す。ある設定例では、IMD305は、医師によって選択された通りの詳細レベルを維持できる。
【0065】
前述の例は、ペーシング優位、融合、または偽融合を検出するための電位図の利用に焦点を合わせている。さらなる例では、心臓活性化またはその他の生理学的センサーなど、種々の生理学的センサー測定が心臓応答を分類するために採用されうる。心臓活性化シーケンスに関するさらなる詳細は、「心臓活性化のシーケンス情報を用いた心臓再同期療法の最適化(CARDIAC RESYNCHRONIZATION THERAPY OPTIMIZATION USING CARDIAC ACTIVATION SEQUENCE INFORMATION)」と題するArcot−Krishnamurthyらによる米国特許出願第11/601216号明細書に見られ、米国特許第2008/0119903号明細書として公開されており、これは引用することにより本出願の一部をなすものとする。
【0066】
前述の対象のさらなる例は、誘発応答振幅および幅など、心臓の同調レベルを表す心臓の他の電気的特性を含みうる。これらのさらなる特性は、誘発応答および心拍数に関連して前述した方法と同様の方法で追跡されて表示されうる。
外部デバイスおよびマシン可読媒体の実施例
図9は本明細書に記載する方法のいずれか1つまたは複数をマシンに実施させる命令が実行される、コンピュータシステム900の形態例のマシンのブロック図である。一定の例では、マシンはスタンドアロンデバイスとして動作するか、あるいは他のマシンに接続(たとえば、ネットワーク接続)されうる。ネットワーク接続配置では、マシンは、サーバー−クライアントネットワーク環境におけるサーバーまたはクライアントマシンの容量で、あるいはピア・ツー・ピア(または分散型)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作しうる。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型PC、セット・トップ・ボックス(STB)、携帯端末(PDA)、携帯電話、webアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはそのマシンによって行われる操作を指定する命令(順次またはその他の)を実行しうる任意のマシンでありうる。さらに、単一のマシンのみが示されているが、マシンは、本明細書に記載する方法の任意の1つまたは複数を実施するための1組(または複数組)の命令を個別にあるいは一緒に実行するマシンの任意の集合体を含みうる。
【0067】
コンピュータシステムの例900は、プロセッサ902(たとえば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス・プロセシング・ユニット、またはこれら両方)、メインメモリ904、およびスタティックメモリ906を含み、これらはバス908を介して互いに通信する。コンピュータシステム900は、さらに、ビデオ・ディスプレイ・ユニット910(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)またはブラウン管(CRT))を含みうる。また、コンピュータシステム900は、英数字入力デバイス912(たとえば、キーボード)、ユーザーインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス914(たとえば、マウス)、ディスク・ドライブ・ユニット916、埋め込み可能な医療デバイスインターフェース918、およびネットワーク・インターフェース・デバイス920を含む。
【0068】
埋め込み可能な医療デバイスインターフェースは、埋め込み可能な医療デバイスとの有線または無線データ接続を含みうる。ある例では、埋め込み可能な医療デバイス(IMD)インターフェースによって、IMDに格納された情報は表示または解析のためにコンピュータシステム900にダウンロードされうる。ある例では、IMDからダウンロードされた情報は、ビデオ・ディスプレイ・ユニット910に表示されうる。別の例では、ダウンロードされた情報は、ビデオ・ディスプレイ・ユニット910に表示される前にプロセッサ902によって処理されうる。ある例では、IMDインターフェースは、さらに、埋め込み可能なCRMデバイスに関するパラメータのプログラミングを含む情報をIMDにアップロードして戻しうる。
マシン可読媒体
ディスク・ドライブ・ユニット916は、本明細書に記載される方法または機能のいずれか1つまたは複数を具体化し、あるいはこれによって利用される1組または複数組の命令およびデータ構造(たとえば、ソフトウェア)924が格納されうるマシン可読媒体922を含む。また、命令924は、完全にあるいは少なくとも部分的に、コンピュータシステム900による命令の実行中にメインメモリ904内またはプロセッサ902内に常駐しうるし、メインメモリ904およびプロセッサ1102はさらにマシン可読媒体を構成する。
【0069】
マシン可読媒体922は実施形態例では単一媒体であるように示されうるが、「マシン可動媒体」という用語は、1つまたは複数の命令またはデータ構造を格納する単一媒体または複数媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、あるいは関連キャッシュおよびサーバー)を含みうる。「マシン可動媒体」という用語は、マシンによって実行される命令を格納、符号化、または伝達することができ、かつ本出願の方法のいずれか1つまたは複数をマシンに実施させ、あるいはこのような命令によって利用されまたはこのような命令に関連するデータ構造を格納、符号化、または伝達することができる任意の有形的表現媒体を含みうる。「マシン可動媒体」という用語は、半導体メモリ、光媒体、および磁気媒体を含みうるが、これらに限定される必要はない。マシン可動媒体の具体例は、例として、半導体メモリデバイス、たとえば、消去可能プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EEPROM)、およびフラッシュ・メモリ・デバイス、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクを含む磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROMおよびDVD−ROMディスクなどの不揮発性メモリを含む。
伝送媒体
命令924は、さらに、伝送媒体を用いて通信ネットワーク926上で送受信されうる。命令924は、ネットワーク・インターフェース・デバイス920と多数の転送プロトコルの1つ(たとえば、HTTP)とを用いて伝送されうる。通信ネットワークの例として、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、インターネット、携帯電話網、アナログ音声電話(POTS)ネットワーク、および無線データネットワーク(たとえば、Wi−FiおよびWi Maxネットワーク)が挙げられる。
【0070】
上記の詳細説明は、詳細説明の一部を形成する添付図面の参照を含む。図面は、例示として、本発明が実施されうる具体的な実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書では「例」とも称される。このような例は、図示され記述される要素以外の要素も含みうる。しかしながら、本発明者らは、図示され記述されるこれらの要素のみが提供される例を検討する。
【0071】
本明細書で言及されるすべての出版物、特許、および特許文献は、あたかも単独で引用されて組み込まれるように、それらが引用することにより全体として本明細書の一部とされる。本明細書と引用されたこれらの文献との間に矛盾した用法がある場合、引用された参考文献は本明細書の用法に対する補足であると考えられるべきである。相容れない矛盾に関しては、本明細書における用法が優位にある。
【0072】
本明細書では、「1つの」という用語は、特許文献でよく見られるように、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の他の事例や用法とは無関係に、1つまたは複数を含めるために使用される。本明細書では、「または」という用語は、非排他性に言及するために、すなわち、「AまたはB」は、特に指定がない限り、「AであるがBでない」、「BであるがAでない」、および「AでありBである」を含むように使用される。添付の特許請求の範囲では、「含む」は、「備える」という用語の平易な語に相当する用語として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲では「含む」および「備える」という用語は開放型表現であり、すなわち、その請求項の範囲において、このような用語の後に列挙される要素以外の要素を含む、システム、デバイス、項目、またはプロセスがさらにその請求の範囲に含まれるものと見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単なるラベルとして使用され、これらの対象に数値要件を課すためのものではない。
【0073】
本明細書に記載される方法の例は、少なくとも一部はマシン、すなわちコンピュータによって実施されうる。一部の例は、上記の例に記載したような方法を実施するために電子デバイスを設定する働きをする命令によって符号化されるコンピュータ可読媒体またはマシン可読媒体を含みうる。このような方法の実施は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含みうる。このようなコードは、様々な方法を実施するコンピュータ可読命令を含みうる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、コードは、実行中などの時間に1つまたは複数の揮発性または不揮発性コンピュータ可読媒体に物理的に格納されてもよい。これらのコンピュータ記憶媒体は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびディジタル・ビデオ・ディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0074】
前述の説明は、例示を意図し、制限を意図するものではない。たとえば、前述の例(あるいはその1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。当業者などは、前述の説明を検討することによって他の実施形態を採用しうる。要約書は、読者が技術的開示の本質を素早く確認しうるように、記載されている。要約書は、特許請求の範囲の範囲および意味を解釈または制限するために利用されないことを考慮して提示されている。また、前述の「発明を実施するための形態」では、開示を簡素化するために様々な特徴がグループ化されてもよい。このことは、請求のない開示された特徴がすべての請求項にとって不可欠であるものと解釈されるべきでない。むしろ、本発明に関する対象の特徴は、開示された具体的な実施形態のすべての特徴よりも少ないかもしれない。それゆえ、以下の特許請求の範囲は、これによって「発明を実施するための形態」に引用され、各請求項は別々の実施形態として自立している。本発明の範囲は、このような特許請求の範囲が適用される均等物の全範囲とともに添付の特許請求の範囲を参照して判断されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心調律管理システムであって、
複数の心臓応答を監視するように構成された埋め込み可能な生理学的データモニタと、
前記複数の心臓応答を、ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスを含む少なくとも3つのクラスの1つに分類し、分類された複数の心臓応答に関する統計情報を計算するように構成されたプロセッサであって、前記ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスは対応する電気刺激から生じる心臓応答に対応している、前記プロセッサと、
前記分類された複数の心臓応答と計算された統計情報とを、前記プロセッサによって将来使用しあるいは表示するために格納するように構成されたメモリと、
前記メモリに格納された前記統計情報を表示するように構成されたディスプレイと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記メモリに格納された前記複数の心臓応答の少なくとも1つを使用して、前記埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するようにさらに構成されている、請求項1に記載の心調律管理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記メモリに格納された一連の複数の心臓応答を使用して、前記埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するように構成されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記メモリに格納された前記複数の心臓応答に関する統計情報を使用して、前記埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを制御するようにさらに構成されている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記メモリに格納された前記複数の心臓応答に関する統計情報を使用して、プログラミング提案を提供するようにさらに構成され、
前記ディスプレイは、前記プログラミング提案を表示するように構成されている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記メモリに格納された前記複数の心臓応答に関する統計情報を使用して、前記ディスプレイに警告を送信するようにさらに構成されている、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項7】
前記埋め込み可能な生理学的データモニタは、第2の生理学的パラメータを監視するように構成され、
前記メモリは、前記第2の生理学的パラメータを格納するように構成され、
前記プロセッサは、前記計算された統計情報を前記第2の生理学的パラメータと相関させるように構成され、結果がグラフ形式で表示される、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項8】
前記複数の心臓応答は複数の電位図を用いて測定され、各電位図は脱分極を含む、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項9】
前記埋め込み可能な生理学的データモニタは、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答脱分極とを監視するように構成され、前記プロセッサは、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答脱分極とを分類し、前記複数の分類された脱分極に関する統計情報を計算するように構成され、前記メモリは、少なくとも前記複数の分類された脱分極に関する統計情報を格納するように構成されている、請求項8に記載の心調律管理システム。
【請求項10】
前記生理学的データモニタは、第2の生理学的パラメータを監視するように構成され、
前記メモリは、前記第2の生理学的パラメータを格納するように構成され、
外部コンピュータデバイスは、統計情報を前記第2の生理学的パラメータと相関させ、結果をグラフ形式で表示するように構成されている、
請求項9に記載の心調律管理システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、心腔、右心対左心、または心房対心室の少なくとも一つに従って前記脱分極を分類するようにさらに構成される、請求項9または10のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記脱分極形態を前記メモリに格納されたテンプレートと比較することによって前記脱分極を分類するようにさらに構成され、前記格納されたテンプレートはクラス間の識別を可能とする、請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の心調律管理システム。
【請求項13】
方法であって、
埋め込み可能な心調律管理デバイスを用いて、複数の心臓応答を監視すること、
プロセッサを用いて、前記複数の心臓応答をペーシング優位、融合、および偽融合のクラスを含む少なくとも3つのクラスに分類することであって、前記ペーシング優位、融合、および偽融合のクラスは対応する電気刺激から生じる心臓応答に対応している、前記分類すること、
分類に関する統計情報を計算すること、
少なくとも、外部デバイスに関する統計情報を表示すること
を備える方法。
【請求項14】
前記心臓応答に関する統計情報を用いて前記埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータをプログラムすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記計算することは、ある期間にわたる統計情報の傾向を示すことを含む、請求項13または14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記期間は、慢性状態を表すある期間にわたって監視すること、分類すること、計算することを可能にする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記表示することは、数値表示およびグラフ表示を含む、請求項13乃至請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
複数の心臓応答を監視することは、各心臓応答に関連する電位図を収集することを含み、各電位図は脱分極を含む、請求項13乃至請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記監視することは、複数の感知された内因性脱分極と複数の誘発応答脱分極とを監視することを含み、前記分類することは、前記複数の感知された内因性脱分極と前記複数の誘発応答脱分極とを分類すること、前記分類に関する統計情報を計算することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
脱分極を分類することは、心腔、右心対左心、または心房対心室の少なくとも1つに従って分類することをさらに含む、請求項13乃至請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
脱分極を分類することは、各脱分極形態を格納されたテンプレートと比較することを含み、前記格納されたテンプレートは、クラス間の識別を可能とする、請求項13乃至請求項16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
脱分極を分類することは、脱分極形態を複数の格納されたテンプレートと比較することを含み、各格納されたテンプレートは、クラスの1つまたは複数の識別を可能とする、請求項13乃至請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記計算された統計情報を用いて前記埋め込み可能な心調律管理デバイスのパラメータを自動的にプログラムすることをさらに含み、プログラムされたパラメータは、前記パラメータをプログラムするために使用された前記計算された統計情報に関連して表示される、請求項13乃至請求項22のいずれか一項に記載の方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−527957(P2012−527957A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513100(P2012−513100)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/035116
【国際公開番号】WO2010/138331
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】