血圧計及びその製造方法
【課題】空気袋を上腕に対して適切に圧迫する。センサを上腕に密着しやくする。
【解決手段】血圧計10は、腕帯12と本体16とを有する。腕帯12は、筒状のハウジング30と、ハウジング30内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋32と、空気袋32の内周面40aで、上腕が挿入されるX方向に延在し、他の部分よりも薄肉で硬さが異なる4本の折り目52a〜52dとを有する。折り目52a〜52dは、他の部分と比較して薄肉構成である。折り目52a〜52dは、高周波溶着機によって加熱形成されている。本体16は、空気袋32に対して空気を給気する加圧手段18を有する。
【解決手段】血圧計10は、腕帯12と本体16とを有する。腕帯12は、筒状のハウジング30と、ハウジング30内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋32と、空気袋32の内周面40aで、上腕が挿入されるX方向に延在し、他の部分よりも薄肉で硬さが異なる4本の折り目52a〜52dとを有する。折り目52a〜52dは、他の部分と比較して薄肉構成である。折り目52a〜52dは、高周波溶着機によって加熱形成されている。本体16は、空気袋32に対して空気を給気する加圧手段18を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒のハウジングと、ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋と、空気袋に対して空気を給気する加圧手段とを有する血圧計及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康管理のため日常的に血圧を計測することができるように、家庭用の血圧計が普及しつつある。家庭用の血圧計は、血圧を正確に計測するだけではなく、操作方法が簡単で、廉価且つコンパクトであることが望ましい。
【0003】
アームイン式の血圧計(例えば、特許文献1)では、上腕を挿入して所定のボタン操作をするだけで自動的に血圧を計測することができることから家庭用に好適である。
【0004】
アームイン式の血圧計の基本的な構成要素としては、筒状のハウジングと、ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋と、空気袋に対して空気を給気する加圧手段が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4186839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アームイン式の血圧計(すなわち、血圧を測定するために空気袋を上腕に巻き付ける必要のない方式)では、太い上腕に対しても計測可能であるように筒状のハウジングは適度に大径に設定されている。一方、細い上腕に対しても計測が可能であるように内部の空気袋は内径側に向かって十分に膨脹可能な構成となっている。
【0007】
ところが、このように十分な膨脹を可能にするためには、空気袋の容量を大きくする必要があり、ランダムな折れ(皺等を含む)が発生しやすい。加圧手段によって空気袋を加圧すると、初期状態において存在する折れはそのまま残って空気袋は不自然な形状で膨脹する懸念がある。そうすると、内部の上腕を適切に圧迫することができず、例えば上腕の一面だけが押圧されたり、上腕の向きが斜めになったりすることが考えられる。
【0008】
このような状態では、コロトコフ方式及びオシロメトリック方式のいずれの場合にも血圧の計測精度が低下する。
【0009】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、アームイン式の血圧計において、上腕を空気袋で適切に圧迫することのできる血圧計及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る血圧計は、被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段とを有し、前記空気袋は、内周面に前記上腕が挿入される縦方向に延在する複数の折り目を有することを特徴とする。
【0011】
このような折り目を有することにより、空気袋の折れる箇所が特定され、折り目を区分として適当な位置に膨出部が形成されて上腕に対して適切に圧迫することができる。この部分にマイクロホン等のセンサを設けると、上腕に密着しやく計測精度が向上する。折り目は簡便構成であって、ハウジングに対して構造上の影響がない。
【0012】
ここでいう折り目とは、空気袋の製造段階から規定位置に意図的に形成されたものであり、空気袋を腕帯に装着した後に自然と形成されるものとは異なる意味である。ここでいう筒状とは、上腕が挿入可能な孔部を有する形状であればよく、例えばテーブル載置可能な形状も含む。
【0013】
前記折り目は、前記空気袋の内周面に略等間隔の位置に4本設けられていてもよい。これにより、四方(例えば上下左右)から上腕を安定して圧迫することができる。
【0014】
前記折り目は、肉厚が他の部分と比較して薄肉構成であってもよい。薄肉構成では、他の部分と比較して厚肉にするよりも簡便構成になる。
【0015】
前記空気袋は、樹脂シートの周囲を溶着して袋状にしたものであり、前記折り目は、前記樹脂シートを加熱して形成したものであってもよい。加熱によって折り目を簡便に形成することができる。
【0016】
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、コロトコフ音を検出するマイクロホンを有してもよい。これにより、上腕に対してマイクロホンが密着しやすくなり、コロトコフ音の検出を正確に行うことができる。
【0017】
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、前記被測定者の上腕の出口方向に向かって薄くなる傾斜面を備えるクッション材を有してもよい。クッション材に傾斜面を設けることにより、上腕を挿入しやすくなり、又は抜き取りやすくなる。さらに、この位置にマイクロホンを設けると該マイクロホンは上腕に対して一層密着しやすくなる。
【0018】
被測定者の血圧を求める演算部と、前記演算部によって求められた血圧を表示する表示部と、前記ハウジングと前記加圧手段とを接続し、空気が流通するチューブとを有し、前記加圧手段、前記演算部及び前記表示部は、前記チューブを介して前記腕帯とは別体の本体部に設けられていてもよい。これにより被測定者は、本体部の位置に拘束されない自由な姿勢で血圧の計測ができて計測精度が向上する。腕帯は面ファスナー式のように巻き付ける必要がなく、上腕を挿入するだけでよい。また、全体としてコンパクトになる。
【0019】
前記空気袋の外周側に設けられ、前記折り目に対応する箇所に位置し、縦方向に延在する補強材を有してもよい。このような補強材によれば、ハウジングに対して空気袋を固定しやすく、空気袋が安定する。
【0020】
前記空気袋の外周側に設けられ、前記被測定者の上腕の入口側に位置し、周方向に延在する補強材を有してもよい。このような補強材によれば、ハウジングから上腕を抜くときにも空気袋が安定する。
【0021】
本発明に係る血圧計の製造方法は、被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段とを有する血圧計の製造方法であって、樹脂シートを加熱して、挿入される方向となる縦方向に複数の折り目を形成する工程と、前記樹脂シートを横方向の屈曲位置で折り曲げ、周囲を溶着して袋状にすることにより、前記空気袋を形成する工程とを有してもよい。加熱によって簡便、廉価に折り目を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る血圧計及びその製造方法によれば、適切な向きの折り目が予め設けられていることにより、空気袋の折れる箇所が特定され、該折り目を区分として適当な位置に膨出部が形成されて上腕を適切に圧迫することができる。また、空気袋が収納された腕帯のハウジング外径を小さくでき、軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る血圧計の斜視図である。
【図2】腕帯の分解斜視図である。
【図3】展開した状態の空気袋の斜視図である。
【図4】展開した状態の空気袋の分解斜視図である。
【図5】腕帯における部品の配置を示す一部省略斜視図である。
【図6】腕帯の正面図である。
【図7】本実施の形態に係る血圧計によって血圧を計測する様子を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る血圧計の製造方法のフローチャートである。
【図9】高周波溶着機による折り目の形成工程を示す図である。
【図10】折り目の断面図である。
【図11】樹脂シート屈曲線で折り曲げる工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る血圧計及びその製造方法について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る血圧計10は、いわゆるアームイン式であって、被測定者の上腕が挿入される腕帯(カフ又はマンシェットとも呼ばれる。)12と、チューブ14によって該腕帯12に接続されてテーブル等に載置される本体16とを有する。腕帯12はチューブ14の長さの範囲内で自由に移動可能であり、被測定者はリラックスした任意の姿勢で血圧を計測することができる。血圧計10は商用交流電源又は電池(二次電池を含む。)によって駆動される。
【0026】
本体16は、腕帯12に対して空気を給気及び排気する加圧手段18と、被測定者の血圧を計測する演算部20と、演算部20によって求められた血圧を表示する表示部22と、操作ボタン24とを有する。加圧手段18は、加圧ポンプ18a及び排気バルブ18b及び圧力センサ18c等から構成される。
【0027】
図2に示すように、腕帯12は、筒状で硬質のハウジング30と、ハウジング30内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋(エアバッグ又はブラダーとも呼ばれる。)32と、空気袋32に設けられる2つのマイクロホン34と、ノイズセンサ35と、空気袋32が露呈されないように覆う柔軟な布カバー36とを有する。布カバー36は、軸方向及び周方向に伸縮可能なストレッチ素材で形成されている。マイクロホン34はコロトコフ音(以下、K音という。)を検出してその信号を演算部20に供給する。ノイズセンサ35は、マイクロホン34に対して血流以外のノイズ(例えば、周囲の騒音や本体16に触れたときの振動)が検出される場合に、その検出信号をキャンセルすることができ、正確に上腕の測定箇所からK音を検出することができる。
【0028】
ハウジング30は、持ちやすく且つ上下方向の向きが規定されるように上部にハンドル38が設けられている。ハウジング30は、例えば、重さが350g程度、外径が140mm程度、内径が135mm程度である。ハウジング30は軽量であるため、上腕に装着したときに上腕への巻き付け型の腕帯と比較して違和感が少ない。ハウジング30及びハンドル38は、樹脂によって構成されている。空気袋32は、チューブ14によって加圧手段18に接続されており、給気及び排気がなされ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫するように環状になっている。空気袋32は、製造段階でハウジング30に組み込む前には、図3に示すように展開されている。
【0029】
以下、腕帯12及びその構成要素の説明については、上腕が挿入される縦方向をX方向、ハウジング30の周に沿う方向をY方向とする。腕帯12で、被測定者が上腕を挿入したとき、肘に近い側をX1側、肩に近い側をX2側とする。腕帯12について上腕の挿入方向を理解しやすくするため、例えばX1方向側をやや細くしてもよい。
【0030】
図3及び図4に示すように、空気袋32は、樹脂シート40と、3つのスポンジ(クッション材)42と、4本のXベルポーレン(補強材)44aと、1本のYベルポーレン44bと、2つのポケット46とを有する。樹脂シート40は、例えば幅120mm程度、長さ420mmm程度の透明なウレタンシートである。スポンジ42は、例えば1個の重さが0.8g程度の軟質ウレタンフォームである。Xベルポーレン44a及びYベルポーレン44bは、例えば発泡ポリエチレンの薄板である。Xベルポーレン44aの重さは例えば2g程度、Yベルポーレン44bの重さは例えば10g程度である。
【0031】
樹脂シート40は、中央部でY方向の屈曲線48において2つ折りにして周囲が溶着されて袋状となり、空気袋32のベース体を形成する。樹脂シート40は、端部に設けられたノズル50と、X方向に延在する4つの折り目52a、52b、52c、52dとを有する。ノズル50は、例えばウレタン塩化ビニールであって、チューブ14に接続される。樹脂シート40において、内周側となる部分(図4において屈曲線48よりもX1側)を内周面40aとし、外周側となる部分(図4において屈曲線48よりもX2側)を外周面40bとする。内周面40aの端部には、外周面40bに対して折り返す折り代40cが設けられている。
【0032】
折り目52a〜52dは、内周面40a及び外周面40bにおけるX方向の全長にわたって略等間隔に設けられた薄肉部である。後述するように折り目52a〜52dは、製造段階において高周波溶着機100(図9参照)による高周波誘電作用で加熱されることによって規定位置に形成されている。このような折り目52a〜52dは、ハウジング30に組み付けたときに屈曲しやすい。このことは本願発明者によって実際に確認されており、その原理は、折り目52a〜52dが他の部分と比較して薄肉である分だけ柔らかいためであると考えられている。屈曲を所望の位置及び向きに発生させるためには、その箇所に、折り目52a〜52dとして他の部分と厚さ及び(又は)硬さの異なる構成にすればよい。
【0033】
折り目52a及び52dはY方向に20mm程度、折り目52b及び52cはY方向に10mm程度の幅があり、折れ曲がりやすい。
【0034】
なお、折り目52a及び52dと、折り目52b及び52cの幅は同じでもよいが、本実施の形態では、上腕の重さによる荷重を考慮して、ハウジング30内に設置したときに、下側に位置する折り目52a及び52dの幅が上側に位置する折り目52b及び52cに比べて大きくなっており、より曲がりやすくなっている。
【0035】
ここで、折り目52a〜52dは、空気袋32の製造段階から規定位置に意図的に形成されたものであり、空気袋32を腕帯12に装着した後に自然と形成されるものでないことはもちろんである。
【0036】
空気袋32の内周面40aで、複数の折り目52aと折り目52bの相互間、及び折り目52cと折り目52dの相互間には、それぞれマイクロホン34がポケット46内に設けられている。
【0037】
3つのスポンジ42は折り目52a〜52dの各間部分に設けられており、それぞれY方向(幅)が40mm程度、X方向(長さ)が65mm程度、高さが25mm程度であり、X1方向に向かって薄くなる傾斜面42aを有する。3つのスポンジ42のうち両脇側2つが設けられている箇所には、その内側にポケット46が配置され、マイクロホン34は、スポンジ42の傾斜面42aに配置される。このような配置によれば、スポンジ42によってマイクロホン34が上腕に密着しやすくなり、K音の検出を正確に行うことができる。また、スポンジ42を設けることにより空気袋32内のデッドスペースが確保され、初期状態における形状が適切に保たれるとともに、空気袋32への空気の供給量を少なくできる。
【0038】
傾斜面42aは、X1方向に向かって薄くなるように形成されていることから、空気袋32で上腕を圧迫して血圧を計測した後、空気袋32に多少の残圧があっても腕帯12から上腕を抜き取りやすい。スポンジ42には、腕帯12に上腕を挿入しやすくするためにX2方向に向かって薄くなる傾斜面を設けてもよい。
【0039】
Xベルポーレン44a及びYベルポーレン44bは補強材であって、空気袋32に融着固定又は接着固定される。4本のXベルポーレン44aは、外周面40bにおける折り目52a〜52dにそってX方向に延在するように固定され、Yベルポーレン44bは、外周面40bにおける最もX1方向側で屈曲線48の近傍でY方向に延在するように固定されている。
【0040】
空気袋32はハウジング30の内周面に対して、これらのXベルポーレン44a及びYベルポーレン44bが設けられている箇所に両面テープ(図示せず)等で固定される。従って、折り目52a〜52dのX2方向側の略半分で外周面40bに設けられている部分は折り目としての作用はないが、空気袋32の製造及び組み立て時において、Xベルポーレン44aの位置決めの目印に用いることができる。
【0041】
4本のXベルポーレン44a及びその部分で固定する両面テープによれば、ハウジング30に対して略等間隔でバランスよく安定して固定することができる。
【0042】
ところで、空気袋32で上腕を圧迫して血圧を計測した後に該上腕を抜き取る際、空気袋32は多少の残圧があって上腕とともにX2方向に引き込む力が発生する。これに対して、Yベルポーレン44b及びその部分で固定する両面テープによれば、ハウジング30の内周面に対してX1方向端の近傍に設けられていることから、空気袋32がX2方向にずれることを防止できる。Yベルポーレン44b及びそれを固定する両面テープは、腕帯12に上腕を挿入するときに空気袋32を安定させるためにX2方向端に設けてもよい。
【0043】
図5に、腕帯12におけるいくつかの部品を示し、これらの部品の位置関係が理解しやすいように、外側のハウジング30は仮想線で示し、空気袋32及び布カバー36は省略している。ここで、2つのマイクロホン34は左右対称位置に配置されている。
【0044】
図6に示すように、腕帯12では、空気袋32の外周面40bはハウジング30の内周面(上記の通り内径135mm程度)に固定されており、それ以上外側に広がることはない。空気袋32の内周面40aは、加圧ポンプ18aから加圧されることによって内側に向かって移動することになり、空気袋32としては縮径することになる。空気袋32は空気が供給されることにより、内径側に向かって適度に加圧膨脹して上腕の周囲を圧迫することができる。この加圧力は圧力センサ18c(図1参照)の信号に基づいて制御される。
【0045】
血圧計10の腕帯12では面ファスナーにより上腕へ腕帯を巻き付ける方式と異なり、上腕に計測帯を巻き付ける必要がなく、該腕帯12に上腕を挿入するだけでよい。一方、上腕の太さは被測定者によって相当に異なることから、上腕を圧迫するための空気袋32の膨脹量は十分に確保されていなければならない。ところが、空気袋32の容量及び膨脹量が大きいと、膨脹前に折れ(皺等を含む)が発生しやすい。
【0046】
特段の対策がない場合には、折れはランダムに発生し、その位置及び向きが特定されない。一度発生した折り目は空気を供給して空気袋32を膨脹させても位置及び向きがそのまま維持されてしまうことから、上腕の圧迫が不適切、不均一になり、さらにはマイクロホン34が上腕にうまく密着しなくなり、血圧の計測が不正確になる。
【0047】
本実施の形態に係る血圧計10では、空気袋32の内周面40aに折り目52a〜52dが設けられていることから、製造段階でハウジング30に組み付けた当初の状態から該折り目52a〜52dで折れ曲がりが生じ、その部分はハウジング30の内周面に略接する。そして、内周面40aにおけるそれ以外の部分が初期状態からバランスよく配置された膨出部56a〜56eとして形成される。
【0048】
空気袋32に空気を供給して膨脹させたときにも、折り目52a〜52dは折れ曲がり状態がそのまま維持されてハウジング30の内周面に略接し、又はその近傍位置にあり、膨出部56a〜56eが内径方向に向かって膨出することになる。
【0049】
従って、その太さに拘わらず上腕は膨出部56a〜56eによって、毎回同じように適切に圧迫されることになる。また、折り目52a〜52dの間にはそれぞれスポンジ42が設けられていることから膨出部56b、56c、56dを形成しやすい。つまり、膨出部56a〜56eは、折り目52a〜52dとスポンジ42の相互効果によって適切な位置に形成されるのである。
【0050】
また、折り目52a〜52dは、空気袋32の内周面40aに形成されており、ハウジング30に対する組み付け上の制約がない。従って、空気袋32だけでなくハウジング30も簡便かつ軽量な構成にすることができ、外径を小さくすることができるとともにレイアウト上及びデザイン上の自由度がある。図6では、空気袋32の形状がわかるように布カバー36は省略している。
【0051】
折り目52a〜52dは、折り目としてではなく内周面40aと外周面40bを該当箇所で接着することによっても膨出部56a〜56eを形成することも可能ではあるが、この場合、空気袋32内の空気の流通が阻害されるとともに、該接着部に過大な力が加わる懸念がある。また、空気袋32の製造が煩雑となる。
【0052】
次に、このように構成される血圧計10の作用について説明する。被測定者は図7に示すように腕帯12に上腕を挿入しておく。血圧計10においては、腕帯12が本体16と別体構造であることから被測定者は前屈みにならずにリラックスした姿勢で計測が可能になり、しかも腕帯12は加圧ポンプ18a等がない軽量構成であることから被測定者の負担にならず、血圧が上がることがなく、正確な血圧を測定することができる。
【0053】
血圧計10においては、演算部20が全体的な制御を行っている。演算部20は、所定の電源スイッチが投入された後、操作ボタン24の操作に基づいて血圧の測定を開始する。血圧の測定では、先ず加圧ポンプ18aの作用下に空気袋32に空気を給気して膨脹させ、上腕の周囲を圧迫する。このとき、上記の通り、空気袋32には折り目52a〜52dが設けられていることから、該折り目52a〜52dを区分とした膨出部56a〜56eが内径方向に向かって膨出して上腕を適切に圧迫することができる。
【0054】
演算部20は、コロトコフ方式によって血圧の測定をする。コロトコフ方式による血圧の測定を概略的に説明すると、圧力センサ18cの圧力信号を監視しながら動脈の血流がなくなるまで空気袋32を加圧しておく。次いで、排気バルブ18bを操作して空気袋32内の圧力を低下させていく。やがて、動脈の血流が再開してK音が発生するのをマイクロホン34によって計測し、この時点の圧力を最高血圧として記憶しておく。マイクロホン34は左右対称位置に設けられていることから計測上腕が右手及び左手のいずれの場合でもK音を計測可能である。2つのマイクロホン34の信号は、例えば加算値として扱うと処理が容易となる。もちろん、個別信号として処理をしてもよい。マイクロホン34の信号はノイズセンサ35によってノイズをキャンセルして計測精度が向上する。
【0055】
空気袋32内の圧力を2mmHg/sec程度でさらに低下させていくと、やがてK音は消滅するので、この時点の圧力を最低血圧として記憶する。計測した最高血圧及び最低血圧は表示部22にmmHg又はPa単位で表示する。表示部22には脈拍、脈圧等の付帯情報を表示させてもよい。
【0056】
最低血圧の計測が終了すると、排気バルブ18bを全開状態として空気袋32の圧力を抜くが、空気袋32内の圧力が0になるまでは多少の時間がかかる。被測定者は、空気袋32内の圧力が完全に0になる前に腕帯12から上腕を抜こうとする場合があり、残圧により空気袋32が上腕によってX2方向に引き込む力が発生する。このとき、血圧計10では、スポンジ42に傾斜面42aが設けられており上腕を抜きやすい。また、Yベルポーレン44bが空気袋32における最もX1側に設けられていることから、上腕に付着したまま該空気袋32がX2方向に巻き込まれることを防止できる。
【0057】
上述したように、本実施の形態に係る血圧計10によれば、空気袋32の内周面40aで、上腕が挿入される縦方向(X方向)に延在し、他の部分と厚さ(又は硬さ)の異なる4つの折り目52a〜52dを有することから、内周面40aの折れる箇所が特定される。折り目52a〜52dを区分として適当な位置に膨出部56a〜56eが形成されて上腕を適切に圧迫することができる。この部分にマイクロホン34等のセンサを設けると、上腕に密着しやく計測精度が向上する。折り目52a〜52dは簡便構成であって、ハウジング30に対して構造上の影響がない。
【0058】
また、空気袋32が収納されたハウジング30の外径を小さくでき、軽量化が可能となる。
【0059】
折り目52a〜52dは、他の部分と比較して薄肉で簡便構成である。ただし、設計条件によっては折り目52a〜52dを他の部分より厚肉にしてもよい。折り目52a〜52dは4本であって、四方(例えば上下左右)から上腕を安定して圧迫することができる。
【0060】
なお、折り目の数は、3つのスポンジ42と対応して4本設けているが、4本に限らず、3本又は5本以上であってもよい。この場合、ハウジング30内に設置したときに、上腕の重さによる荷重が最もかかる真下部分に膨出部が位置するように空気袋32が設置されることが好ましい。
【0061】
空気袋32の内部で、マイクロホン34が設けられている箇所には、スポンジ42が設けられていることから、マイクロホン34が上腕に対して一層密着しやすくなる。スポンジ42にはX方向に沿って外側に向かって薄くなる傾斜面42aが設けられていることから、上腕を抜き取りやすい。傾斜面42aが逆側にも設けられていると、上腕を挿入しやすい。
【0062】
また、加圧手段18、演算部20及び表示部22は、チューブ14を介してハウジング30とは別体に設けられた本体16に設けられている。従って、被測定者は本体16の位置に拘束されない自由な姿勢で血圧の計測ができ、計測精度が向上するとともに、腕帯12は軽量且つコンパクトとなって扱いが容易である。また、面ファスナー式のように上腕に巻き付ける必要がなく、上腕を挿入するだけでよい。腕帯12は本体16が置かれたテーブルとは離れているため、該テーブルの振動の影響がなく計測精度が向上する。
【0063】
従来のテーブル載置型のアームイン式血圧計は、上腕を挿入したときに腕帯部に体重をかけてしまうことを考慮して高強度構成とする必要があるが、血圧計10では腕帯12に対して体重がかかることがなく、該腕帯12を無駄に高強度にする必要はない。
【0064】
上記の血圧計10はコロトコフ方式としたが、マイクロホン34を用いずに脈波振動に基づく血圧測定方式であるオシロメトリック方式であってもよい。
【0065】
次に、血圧計10の製造方法に関し、特に空気袋32の製造方法について説明する。
【0066】
先ず、図8のステップS1において、ウレタンシートから樹脂シート40となる部分を切り出す。
【0067】
ステップS2において、図9に示すように、樹脂シート40に対して、高周波溶着機100によって加熱し、X方向に4つの薄肉となる折り目52a〜52dを形成する。高周波溶着機100では、所定の振動源によって高周波加熱コイル102を振動させて受け台104に載置した樹脂シート40を加圧する。これにより、樹脂シート40は加熱されて熱変形して薄肉になる。高周波加熱コイル102を取り除くと、図10に示すように、樹脂シート40には他の部分と比較してやや薄肉の折り目52aが形成される。折り目52b〜52dについても同様に、高周波溶着機100によって簡便に形成される。
【0068】
ステップS3において、樹脂シート40に対してXベルポーレン44a、Yベルポーレン44b、3つのスポンジ42及びノズル50を所定の位置に貼り付ける(図4参照)。
【0069】
ステップS4において、高周波溶着機100を用いてポケット46を形成する。
【0070】
ステップS5において、図11に示すように、樹脂シート40をY方向の屈曲位置である屈曲線48で折り曲げる。折り代40cの部分も折り返す。
【0071】
ステップS6において、樹脂シート40における周囲で屈曲線48以外の部分に対して、高周波溶着機100を用いて高周波溶着を行い、袋形状を形成する。得られた空気袋32は、Y方向に丸めて、所定の組立工程においてハウジング30に組み付けられる。
【0072】
このように、本実施の形態に係る血圧計10の製造方法によれば、簡便、廉価に空気袋32が得られる。特に、ステップS3における折り目52a〜52dの形成工程及びステップS6における周囲の溶着工程は、それぞれ高周波溶着であることから、単一の工場又は一人の作業者で行うことができる。ステップS3とステップS6を単一の高周波溶着機100で行うと、手順が簡便になるとともに設備費を抑制できる。得られた空気袋32は折り目52a〜52dにより適正な位置で折り曲げ可能である。
【0073】
本発明に係る血圧計及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0074】
10…血圧計 12…腕帯
14…チューブ 16…本体
18…加圧手段 18a…加圧ポンプ
18b…排気バルブ 18c…圧力センサ
30…ハウジング 32…空気袋
34…マイクロホン 40…樹脂シート
40a…内周面 40b…外周面
42…スポンジ 42a…傾斜面
44a…Xベルポーレン 44b…Yベルポーレン
52a〜52d…折り目 56a〜56e…膨出部
100…高周波溶着機
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒のハウジングと、ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋と、空気袋に対して空気を給気する加圧手段とを有する血圧計及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康管理のため日常的に血圧を計測することができるように、家庭用の血圧計が普及しつつある。家庭用の血圧計は、血圧を正確に計測するだけではなく、操作方法が簡単で、廉価且つコンパクトであることが望ましい。
【0003】
アームイン式の血圧計(例えば、特許文献1)では、上腕を挿入して所定のボタン操作をするだけで自動的に血圧を計測することができることから家庭用に好適である。
【0004】
アームイン式の血圧計の基本的な構成要素としては、筒状のハウジングと、ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋と、空気袋に対して空気を給気する加圧手段が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4186839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アームイン式の血圧計(すなわち、血圧を測定するために空気袋を上腕に巻き付ける必要のない方式)では、太い上腕に対しても計測可能であるように筒状のハウジングは適度に大径に設定されている。一方、細い上腕に対しても計測が可能であるように内部の空気袋は内径側に向かって十分に膨脹可能な構成となっている。
【0007】
ところが、このように十分な膨脹を可能にするためには、空気袋の容量を大きくする必要があり、ランダムな折れ(皺等を含む)が発生しやすい。加圧手段によって空気袋を加圧すると、初期状態において存在する折れはそのまま残って空気袋は不自然な形状で膨脹する懸念がある。そうすると、内部の上腕を適切に圧迫することができず、例えば上腕の一面だけが押圧されたり、上腕の向きが斜めになったりすることが考えられる。
【0008】
このような状態では、コロトコフ方式及びオシロメトリック方式のいずれの場合にも血圧の計測精度が低下する。
【0009】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、アームイン式の血圧計において、上腕を空気袋で適切に圧迫することのできる血圧計及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る血圧計は、被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段とを有し、前記空気袋は、内周面に前記上腕が挿入される縦方向に延在する複数の折り目を有することを特徴とする。
【0011】
このような折り目を有することにより、空気袋の折れる箇所が特定され、折り目を区分として適当な位置に膨出部が形成されて上腕に対して適切に圧迫することができる。この部分にマイクロホン等のセンサを設けると、上腕に密着しやく計測精度が向上する。折り目は簡便構成であって、ハウジングに対して構造上の影響がない。
【0012】
ここでいう折り目とは、空気袋の製造段階から規定位置に意図的に形成されたものであり、空気袋を腕帯に装着した後に自然と形成されるものとは異なる意味である。ここでいう筒状とは、上腕が挿入可能な孔部を有する形状であればよく、例えばテーブル載置可能な形状も含む。
【0013】
前記折り目は、前記空気袋の内周面に略等間隔の位置に4本設けられていてもよい。これにより、四方(例えば上下左右)から上腕を安定して圧迫することができる。
【0014】
前記折り目は、肉厚が他の部分と比較して薄肉構成であってもよい。薄肉構成では、他の部分と比較して厚肉にするよりも簡便構成になる。
【0015】
前記空気袋は、樹脂シートの周囲を溶着して袋状にしたものであり、前記折り目は、前記樹脂シートを加熱して形成したものであってもよい。加熱によって折り目を簡便に形成することができる。
【0016】
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、コロトコフ音を検出するマイクロホンを有してもよい。これにより、上腕に対してマイクロホンが密着しやすくなり、コロトコフ音の検出を正確に行うことができる。
【0017】
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、前記被測定者の上腕の出口方向に向かって薄くなる傾斜面を備えるクッション材を有してもよい。クッション材に傾斜面を設けることにより、上腕を挿入しやすくなり、又は抜き取りやすくなる。さらに、この位置にマイクロホンを設けると該マイクロホンは上腕に対して一層密着しやすくなる。
【0018】
被測定者の血圧を求める演算部と、前記演算部によって求められた血圧を表示する表示部と、前記ハウジングと前記加圧手段とを接続し、空気が流通するチューブとを有し、前記加圧手段、前記演算部及び前記表示部は、前記チューブを介して前記腕帯とは別体の本体部に設けられていてもよい。これにより被測定者は、本体部の位置に拘束されない自由な姿勢で血圧の計測ができて計測精度が向上する。腕帯は面ファスナー式のように巻き付ける必要がなく、上腕を挿入するだけでよい。また、全体としてコンパクトになる。
【0019】
前記空気袋の外周側に設けられ、前記折り目に対応する箇所に位置し、縦方向に延在する補強材を有してもよい。このような補強材によれば、ハウジングに対して空気袋を固定しやすく、空気袋が安定する。
【0020】
前記空気袋の外周側に設けられ、前記被測定者の上腕の入口側に位置し、周方向に延在する補強材を有してもよい。このような補強材によれば、ハウジングから上腕を抜くときにも空気袋が安定する。
【0021】
本発明に係る血圧計の製造方法は、被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段とを有する血圧計の製造方法であって、樹脂シートを加熱して、挿入される方向となる縦方向に複数の折り目を形成する工程と、前記樹脂シートを横方向の屈曲位置で折り曲げ、周囲を溶着して袋状にすることにより、前記空気袋を形成する工程とを有してもよい。加熱によって簡便、廉価に折り目を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る血圧計及びその製造方法によれば、適切な向きの折り目が予め設けられていることにより、空気袋の折れる箇所が特定され、該折り目を区分として適当な位置に膨出部が形成されて上腕を適切に圧迫することができる。また、空気袋が収納された腕帯のハウジング外径を小さくでき、軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係る血圧計の斜視図である。
【図2】腕帯の分解斜視図である。
【図3】展開した状態の空気袋の斜視図である。
【図4】展開した状態の空気袋の分解斜視図である。
【図5】腕帯における部品の配置を示す一部省略斜視図である。
【図6】腕帯の正面図である。
【図7】本実施の形態に係る血圧計によって血圧を計測する様子を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る血圧計の製造方法のフローチャートである。
【図9】高周波溶着機による折り目の形成工程を示す図である。
【図10】折り目の断面図である。
【図11】樹脂シート屈曲線で折り曲げる工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る血圧計及びその製造方法について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る血圧計10は、いわゆるアームイン式であって、被測定者の上腕が挿入される腕帯(カフ又はマンシェットとも呼ばれる。)12と、チューブ14によって該腕帯12に接続されてテーブル等に載置される本体16とを有する。腕帯12はチューブ14の長さの範囲内で自由に移動可能であり、被測定者はリラックスした任意の姿勢で血圧を計測することができる。血圧計10は商用交流電源又は電池(二次電池を含む。)によって駆動される。
【0026】
本体16は、腕帯12に対して空気を給気及び排気する加圧手段18と、被測定者の血圧を計測する演算部20と、演算部20によって求められた血圧を表示する表示部22と、操作ボタン24とを有する。加圧手段18は、加圧ポンプ18a及び排気バルブ18b及び圧力センサ18c等から構成される。
【0027】
図2に示すように、腕帯12は、筒状で硬質のハウジング30と、ハウジング30内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋(エアバッグ又はブラダーとも呼ばれる。)32と、空気袋32に設けられる2つのマイクロホン34と、ノイズセンサ35と、空気袋32が露呈されないように覆う柔軟な布カバー36とを有する。布カバー36は、軸方向及び周方向に伸縮可能なストレッチ素材で形成されている。マイクロホン34はコロトコフ音(以下、K音という。)を検出してその信号を演算部20に供給する。ノイズセンサ35は、マイクロホン34に対して血流以外のノイズ(例えば、周囲の騒音や本体16に触れたときの振動)が検出される場合に、その検出信号をキャンセルすることができ、正確に上腕の測定箇所からK音を検出することができる。
【0028】
ハウジング30は、持ちやすく且つ上下方向の向きが規定されるように上部にハンドル38が設けられている。ハウジング30は、例えば、重さが350g程度、外径が140mm程度、内径が135mm程度である。ハウジング30は軽量であるため、上腕に装着したときに上腕への巻き付け型の腕帯と比較して違和感が少ない。ハウジング30及びハンドル38は、樹脂によって構成されている。空気袋32は、チューブ14によって加圧手段18に接続されており、給気及び排気がなされ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫するように環状になっている。空気袋32は、製造段階でハウジング30に組み込む前には、図3に示すように展開されている。
【0029】
以下、腕帯12及びその構成要素の説明については、上腕が挿入される縦方向をX方向、ハウジング30の周に沿う方向をY方向とする。腕帯12で、被測定者が上腕を挿入したとき、肘に近い側をX1側、肩に近い側をX2側とする。腕帯12について上腕の挿入方向を理解しやすくするため、例えばX1方向側をやや細くしてもよい。
【0030】
図3及び図4に示すように、空気袋32は、樹脂シート40と、3つのスポンジ(クッション材)42と、4本のXベルポーレン(補強材)44aと、1本のYベルポーレン44bと、2つのポケット46とを有する。樹脂シート40は、例えば幅120mm程度、長さ420mmm程度の透明なウレタンシートである。スポンジ42は、例えば1個の重さが0.8g程度の軟質ウレタンフォームである。Xベルポーレン44a及びYベルポーレン44bは、例えば発泡ポリエチレンの薄板である。Xベルポーレン44aの重さは例えば2g程度、Yベルポーレン44bの重さは例えば10g程度である。
【0031】
樹脂シート40は、中央部でY方向の屈曲線48において2つ折りにして周囲が溶着されて袋状となり、空気袋32のベース体を形成する。樹脂シート40は、端部に設けられたノズル50と、X方向に延在する4つの折り目52a、52b、52c、52dとを有する。ノズル50は、例えばウレタン塩化ビニールであって、チューブ14に接続される。樹脂シート40において、内周側となる部分(図4において屈曲線48よりもX1側)を内周面40aとし、外周側となる部分(図4において屈曲線48よりもX2側)を外周面40bとする。内周面40aの端部には、外周面40bに対して折り返す折り代40cが設けられている。
【0032】
折り目52a〜52dは、内周面40a及び外周面40bにおけるX方向の全長にわたって略等間隔に設けられた薄肉部である。後述するように折り目52a〜52dは、製造段階において高周波溶着機100(図9参照)による高周波誘電作用で加熱されることによって規定位置に形成されている。このような折り目52a〜52dは、ハウジング30に組み付けたときに屈曲しやすい。このことは本願発明者によって実際に確認されており、その原理は、折り目52a〜52dが他の部分と比較して薄肉である分だけ柔らかいためであると考えられている。屈曲を所望の位置及び向きに発生させるためには、その箇所に、折り目52a〜52dとして他の部分と厚さ及び(又は)硬さの異なる構成にすればよい。
【0033】
折り目52a及び52dはY方向に20mm程度、折り目52b及び52cはY方向に10mm程度の幅があり、折れ曲がりやすい。
【0034】
なお、折り目52a及び52dと、折り目52b及び52cの幅は同じでもよいが、本実施の形態では、上腕の重さによる荷重を考慮して、ハウジング30内に設置したときに、下側に位置する折り目52a及び52dの幅が上側に位置する折り目52b及び52cに比べて大きくなっており、より曲がりやすくなっている。
【0035】
ここで、折り目52a〜52dは、空気袋32の製造段階から規定位置に意図的に形成されたものであり、空気袋32を腕帯12に装着した後に自然と形成されるものでないことはもちろんである。
【0036】
空気袋32の内周面40aで、複数の折り目52aと折り目52bの相互間、及び折り目52cと折り目52dの相互間には、それぞれマイクロホン34がポケット46内に設けられている。
【0037】
3つのスポンジ42は折り目52a〜52dの各間部分に設けられており、それぞれY方向(幅)が40mm程度、X方向(長さ)が65mm程度、高さが25mm程度であり、X1方向に向かって薄くなる傾斜面42aを有する。3つのスポンジ42のうち両脇側2つが設けられている箇所には、その内側にポケット46が配置され、マイクロホン34は、スポンジ42の傾斜面42aに配置される。このような配置によれば、スポンジ42によってマイクロホン34が上腕に密着しやすくなり、K音の検出を正確に行うことができる。また、スポンジ42を設けることにより空気袋32内のデッドスペースが確保され、初期状態における形状が適切に保たれるとともに、空気袋32への空気の供給量を少なくできる。
【0038】
傾斜面42aは、X1方向に向かって薄くなるように形成されていることから、空気袋32で上腕を圧迫して血圧を計測した後、空気袋32に多少の残圧があっても腕帯12から上腕を抜き取りやすい。スポンジ42には、腕帯12に上腕を挿入しやすくするためにX2方向に向かって薄くなる傾斜面を設けてもよい。
【0039】
Xベルポーレン44a及びYベルポーレン44bは補強材であって、空気袋32に融着固定又は接着固定される。4本のXベルポーレン44aは、外周面40bにおける折り目52a〜52dにそってX方向に延在するように固定され、Yベルポーレン44bは、外周面40bにおける最もX1方向側で屈曲線48の近傍でY方向に延在するように固定されている。
【0040】
空気袋32はハウジング30の内周面に対して、これらのXベルポーレン44a及びYベルポーレン44bが設けられている箇所に両面テープ(図示せず)等で固定される。従って、折り目52a〜52dのX2方向側の略半分で外周面40bに設けられている部分は折り目としての作用はないが、空気袋32の製造及び組み立て時において、Xベルポーレン44aの位置決めの目印に用いることができる。
【0041】
4本のXベルポーレン44a及びその部分で固定する両面テープによれば、ハウジング30に対して略等間隔でバランスよく安定して固定することができる。
【0042】
ところで、空気袋32で上腕を圧迫して血圧を計測した後に該上腕を抜き取る際、空気袋32は多少の残圧があって上腕とともにX2方向に引き込む力が発生する。これに対して、Yベルポーレン44b及びその部分で固定する両面テープによれば、ハウジング30の内周面に対してX1方向端の近傍に設けられていることから、空気袋32がX2方向にずれることを防止できる。Yベルポーレン44b及びそれを固定する両面テープは、腕帯12に上腕を挿入するときに空気袋32を安定させるためにX2方向端に設けてもよい。
【0043】
図5に、腕帯12におけるいくつかの部品を示し、これらの部品の位置関係が理解しやすいように、外側のハウジング30は仮想線で示し、空気袋32及び布カバー36は省略している。ここで、2つのマイクロホン34は左右対称位置に配置されている。
【0044】
図6に示すように、腕帯12では、空気袋32の外周面40bはハウジング30の内周面(上記の通り内径135mm程度)に固定されており、それ以上外側に広がることはない。空気袋32の内周面40aは、加圧ポンプ18aから加圧されることによって内側に向かって移動することになり、空気袋32としては縮径することになる。空気袋32は空気が供給されることにより、内径側に向かって適度に加圧膨脹して上腕の周囲を圧迫することができる。この加圧力は圧力センサ18c(図1参照)の信号に基づいて制御される。
【0045】
血圧計10の腕帯12では面ファスナーにより上腕へ腕帯を巻き付ける方式と異なり、上腕に計測帯を巻き付ける必要がなく、該腕帯12に上腕を挿入するだけでよい。一方、上腕の太さは被測定者によって相当に異なることから、上腕を圧迫するための空気袋32の膨脹量は十分に確保されていなければならない。ところが、空気袋32の容量及び膨脹量が大きいと、膨脹前に折れ(皺等を含む)が発生しやすい。
【0046】
特段の対策がない場合には、折れはランダムに発生し、その位置及び向きが特定されない。一度発生した折り目は空気を供給して空気袋32を膨脹させても位置及び向きがそのまま維持されてしまうことから、上腕の圧迫が不適切、不均一になり、さらにはマイクロホン34が上腕にうまく密着しなくなり、血圧の計測が不正確になる。
【0047】
本実施の形態に係る血圧計10では、空気袋32の内周面40aに折り目52a〜52dが設けられていることから、製造段階でハウジング30に組み付けた当初の状態から該折り目52a〜52dで折れ曲がりが生じ、その部分はハウジング30の内周面に略接する。そして、内周面40aにおけるそれ以外の部分が初期状態からバランスよく配置された膨出部56a〜56eとして形成される。
【0048】
空気袋32に空気を供給して膨脹させたときにも、折り目52a〜52dは折れ曲がり状態がそのまま維持されてハウジング30の内周面に略接し、又はその近傍位置にあり、膨出部56a〜56eが内径方向に向かって膨出することになる。
【0049】
従って、その太さに拘わらず上腕は膨出部56a〜56eによって、毎回同じように適切に圧迫されることになる。また、折り目52a〜52dの間にはそれぞれスポンジ42が設けられていることから膨出部56b、56c、56dを形成しやすい。つまり、膨出部56a〜56eは、折り目52a〜52dとスポンジ42の相互効果によって適切な位置に形成されるのである。
【0050】
また、折り目52a〜52dは、空気袋32の内周面40aに形成されており、ハウジング30に対する組み付け上の制約がない。従って、空気袋32だけでなくハウジング30も簡便かつ軽量な構成にすることができ、外径を小さくすることができるとともにレイアウト上及びデザイン上の自由度がある。図6では、空気袋32の形状がわかるように布カバー36は省略している。
【0051】
折り目52a〜52dは、折り目としてではなく内周面40aと外周面40bを該当箇所で接着することによっても膨出部56a〜56eを形成することも可能ではあるが、この場合、空気袋32内の空気の流通が阻害されるとともに、該接着部に過大な力が加わる懸念がある。また、空気袋32の製造が煩雑となる。
【0052】
次に、このように構成される血圧計10の作用について説明する。被測定者は図7に示すように腕帯12に上腕を挿入しておく。血圧計10においては、腕帯12が本体16と別体構造であることから被測定者は前屈みにならずにリラックスした姿勢で計測が可能になり、しかも腕帯12は加圧ポンプ18a等がない軽量構成であることから被測定者の負担にならず、血圧が上がることがなく、正確な血圧を測定することができる。
【0053】
血圧計10においては、演算部20が全体的な制御を行っている。演算部20は、所定の電源スイッチが投入された後、操作ボタン24の操作に基づいて血圧の測定を開始する。血圧の測定では、先ず加圧ポンプ18aの作用下に空気袋32に空気を給気して膨脹させ、上腕の周囲を圧迫する。このとき、上記の通り、空気袋32には折り目52a〜52dが設けられていることから、該折り目52a〜52dを区分とした膨出部56a〜56eが内径方向に向かって膨出して上腕を適切に圧迫することができる。
【0054】
演算部20は、コロトコフ方式によって血圧の測定をする。コロトコフ方式による血圧の測定を概略的に説明すると、圧力センサ18cの圧力信号を監視しながら動脈の血流がなくなるまで空気袋32を加圧しておく。次いで、排気バルブ18bを操作して空気袋32内の圧力を低下させていく。やがて、動脈の血流が再開してK音が発生するのをマイクロホン34によって計測し、この時点の圧力を最高血圧として記憶しておく。マイクロホン34は左右対称位置に設けられていることから計測上腕が右手及び左手のいずれの場合でもK音を計測可能である。2つのマイクロホン34の信号は、例えば加算値として扱うと処理が容易となる。もちろん、個別信号として処理をしてもよい。マイクロホン34の信号はノイズセンサ35によってノイズをキャンセルして計測精度が向上する。
【0055】
空気袋32内の圧力を2mmHg/sec程度でさらに低下させていくと、やがてK音は消滅するので、この時点の圧力を最低血圧として記憶する。計測した最高血圧及び最低血圧は表示部22にmmHg又はPa単位で表示する。表示部22には脈拍、脈圧等の付帯情報を表示させてもよい。
【0056】
最低血圧の計測が終了すると、排気バルブ18bを全開状態として空気袋32の圧力を抜くが、空気袋32内の圧力が0になるまでは多少の時間がかかる。被測定者は、空気袋32内の圧力が完全に0になる前に腕帯12から上腕を抜こうとする場合があり、残圧により空気袋32が上腕によってX2方向に引き込む力が発生する。このとき、血圧計10では、スポンジ42に傾斜面42aが設けられており上腕を抜きやすい。また、Yベルポーレン44bが空気袋32における最もX1側に設けられていることから、上腕に付着したまま該空気袋32がX2方向に巻き込まれることを防止できる。
【0057】
上述したように、本実施の形態に係る血圧計10によれば、空気袋32の内周面40aで、上腕が挿入される縦方向(X方向)に延在し、他の部分と厚さ(又は硬さ)の異なる4つの折り目52a〜52dを有することから、内周面40aの折れる箇所が特定される。折り目52a〜52dを区分として適当な位置に膨出部56a〜56eが形成されて上腕を適切に圧迫することができる。この部分にマイクロホン34等のセンサを設けると、上腕に密着しやく計測精度が向上する。折り目52a〜52dは簡便構成であって、ハウジング30に対して構造上の影響がない。
【0058】
また、空気袋32が収納されたハウジング30の外径を小さくでき、軽量化が可能となる。
【0059】
折り目52a〜52dは、他の部分と比較して薄肉で簡便構成である。ただし、設計条件によっては折り目52a〜52dを他の部分より厚肉にしてもよい。折り目52a〜52dは4本であって、四方(例えば上下左右)から上腕を安定して圧迫することができる。
【0060】
なお、折り目の数は、3つのスポンジ42と対応して4本設けているが、4本に限らず、3本又は5本以上であってもよい。この場合、ハウジング30内に設置したときに、上腕の重さによる荷重が最もかかる真下部分に膨出部が位置するように空気袋32が設置されることが好ましい。
【0061】
空気袋32の内部で、マイクロホン34が設けられている箇所には、スポンジ42が設けられていることから、マイクロホン34が上腕に対して一層密着しやすくなる。スポンジ42にはX方向に沿って外側に向かって薄くなる傾斜面42aが設けられていることから、上腕を抜き取りやすい。傾斜面42aが逆側にも設けられていると、上腕を挿入しやすい。
【0062】
また、加圧手段18、演算部20及び表示部22は、チューブ14を介してハウジング30とは別体に設けられた本体16に設けられている。従って、被測定者は本体16の位置に拘束されない自由な姿勢で血圧の計測ができ、計測精度が向上するとともに、腕帯12は軽量且つコンパクトとなって扱いが容易である。また、面ファスナー式のように上腕に巻き付ける必要がなく、上腕を挿入するだけでよい。腕帯12は本体16が置かれたテーブルとは離れているため、該テーブルの振動の影響がなく計測精度が向上する。
【0063】
従来のテーブル載置型のアームイン式血圧計は、上腕を挿入したときに腕帯部に体重をかけてしまうことを考慮して高強度構成とする必要があるが、血圧計10では腕帯12に対して体重がかかることがなく、該腕帯12を無駄に高強度にする必要はない。
【0064】
上記の血圧計10はコロトコフ方式としたが、マイクロホン34を用いずに脈波振動に基づく血圧測定方式であるオシロメトリック方式であってもよい。
【0065】
次に、血圧計10の製造方法に関し、特に空気袋32の製造方法について説明する。
【0066】
先ず、図8のステップS1において、ウレタンシートから樹脂シート40となる部分を切り出す。
【0067】
ステップS2において、図9に示すように、樹脂シート40に対して、高周波溶着機100によって加熱し、X方向に4つの薄肉となる折り目52a〜52dを形成する。高周波溶着機100では、所定の振動源によって高周波加熱コイル102を振動させて受け台104に載置した樹脂シート40を加圧する。これにより、樹脂シート40は加熱されて熱変形して薄肉になる。高周波加熱コイル102を取り除くと、図10に示すように、樹脂シート40には他の部分と比較してやや薄肉の折り目52aが形成される。折り目52b〜52dについても同様に、高周波溶着機100によって簡便に形成される。
【0068】
ステップS3において、樹脂シート40に対してXベルポーレン44a、Yベルポーレン44b、3つのスポンジ42及びノズル50を所定の位置に貼り付ける(図4参照)。
【0069】
ステップS4において、高周波溶着機100を用いてポケット46を形成する。
【0070】
ステップS5において、図11に示すように、樹脂シート40をY方向の屈曲位置である屈曲線48で折り曲げる。折り代40cの部分も折り返す。
【0071】
ステップS6において、樹脂シート40における周囲で屈曲線48以外の部分に対して、高周波溶着機100を用いて高周波溶着を行い、袋形状を形成する。得られた空気袋32は、Y方向に丸めて、所定の組立工程においてハウジング30に組み付けられる。
【0072】
このように、本実施の形態に係る血圧計10の製造方法によれば、簡便、廉価に空気袋32が得られる。特に、ステップS3における折り目52a〜52dの形成工程及びステップS6における周囲の溶着工程は、それぞれ高周波溶着であることから、単一の工場又は一人の作業者で行うことができる。ステップS3とステップS6を単一の高周波溶着機100で行うと、手順が簡便になるとともに設備費を抑制できる。得られた空気袋32は折り目52a〜52dにより適正な位置で折り曲げ可能である。
【0073】
本発明に係る血圧計及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0074】
10…血圧計 12…腕帯
14…チューブ 16…本体
18…加圧手段 18a…加圧ポンプ
18b…排気バルブ 18c…圧力センサ
30…ハウジング 32…空気袋
34…マイクロホン 40…樹脂シート
40a…内周面 40b…外周面
42…スポンジ 42a…傾斜面
44a…Xベルポーレン 44b…Yベルポーレン
52a〜52d…折り目 56a〜56e…膨出部
100…高周波溶着機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、
前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段と、
を有し、
前記空気袋は、内周面に前記上腕が挿入される縦方向に延在する複数の折り目を有することを特徴とする血圧計。
【請求項2】
請求項1記載の血圧計において、
前記折り目は、前記空気袋の内周面に略等間隔の位置に4本設けられていることを特徴とする血圧計。
【請求項3】
請求項1又は2記載の血圧計において、
前記折り目は、肉厚が他の部分と比較して薄肉構成であることを特徴とする血圧計。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋は、樹脂シートの周囲を溶着して袋状にしたものであり、
前記折り目は、前記樹脂シートを加熱して形成したものであることを特徴とする血圧計。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、コロトコフ音を検出するマイクロホンを有することを特徴とする血圧計。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、前記被測定者の上腕の出口方向に向かって薄くなる傾斜面を備えるクッション材を有することを特徴とする血圧計。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の血圧計において、
被測定者の血圧を求める演算部と、
前記演算部によって求められた血圧を表示する表示部と、
前記ハウジングと前記加圧手段とを接続し、空気が流通するチューブと、
を有し、
前記加圧手段、前記演算部及び前記表示部は、前記チューブを介して前記腕帯とは別体の本体部に設けられていることを特徴とする血圧計。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の外周側に設けられ、前記折り目に対応する箇所に位置し、縦方向に延在する補強材を有することを特徴とする血圧計。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の外周側に設けられ、前記被測定者の上腕の入口側に位置し、周方向に延在する補強材を有することを特徴とする血圧計。
【請求項10】
被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、
前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段と、
を有する血圧計の製造方法であって、
樹脂シートを加熱して、挿入される方向となる縦方向に複数の折り目を形成する工程と、
前記樹脂シートを横方向の屈曲位置で折り曲げ、周囲を溶着して袋状にすることにより、前記空気袋を形成する工程と、
を有することを特徴とする血圧計の製造方法。
【請求項1】
被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、
前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段と、
を有し、
前記空気袋は、内周面に前記上腕が挿入される縦方向に延在する複数の折り目を有することを特徴とする血圧計。
【請求項2】
請求項1記載の血圧計において、
前記折り目は、前記空気袋の内周面に略等間隔の位置に4本設けられていることを特徴とする血圧計。
【請求項3】
請求項1又は2記載の血圧計において、
前記折り目は、肉厚が他の部分と比較して薄肉構成であることを特徴とする血圧計。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋は、樹脂シートの周囲を溶着して袋状にしたものであり、
前記折り目は、前記樹脂シートを加熱して形成したものであることを特徴とする血圧計。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、コロトコフ音を検出するマイクロホンを有することを特徴とする血圧計。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の内周面に設けられ、複数の前記折り目の相互間に位置し、前記被測定者の上腕の出口方向に向かって薄くなる傾斜面を備えるクッション材を有することを特徴とする血圧計。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の血圧計において、
被測定者の血圧を求める演算部と、
前記演算部によって求められた血圧を表示する表示部と、
前記ハウジングと前記加圧手段とを接続し、空気が流通するチューブと、
を有し、
前記加圧手段、前記演算部及び前記表示部は、前記チューブを介して前記腕帯とは別体の本体部に設けられていることを特徴とする血圧計。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の外周側に設けられ、前記折り目に対応する箇所に位置し、縦方向に延在する補強材を有することを特徴とする血圧計。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の血圧計において、
前記空気袋の外周側に設けられ、前記被測定者の上腕の入口側に位置し、周方向に延在する補強材を有することを特徴とする血圧計。
【請求項10】
被測定者の上腕が挿入される筒状のハウジング、及び前記ハウジング内に設けられ、中に挿入された被測定者の上腕を圧迫する空気袋を備える腕帯と、
前記空気袋に対して空気を給気する加圧手段と、
を有する血圧計の製造方法であって、
樹脂シートを加熱して、挿入される方向となる縦方向に複数の折り目を形成する工程と、
前記樹脂シートを横方向の屈曲位置で折り曲げ、周囲を溶着して袋状にすることにより、前記空気袋を形成する工程と、
を有することを特徴とする血圧計の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−200893(P2010−200893A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48201(P2009−48201)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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