説明

血小板を個々に、及び凝集塊として検出及び計数するための方法及び装置

血液試料中の血小板を計数するための方法が提供される。この方法は、1)被分析試料を静止状態に保つように構成された分析チャンバに試料を入れるステップであって、チャンバが第1のパネルと第2のパネルとにより画定され、それらのパネルは双方とも透明である、ステップと;2)着色剤を試料と混和するステップであって、この着色剤が、1つ又は複数の所定の第1の光の波長に曝露すると血小板に蛍光を発生させるように機能する、ステップと;3)血小板を含む試料の少なくとも一部分を第1の波長で照明するステップと;4)試料を撮像するステップであって、ある強度を有する血小板からの蛍光発光を示す画像信号の生成を含む、ステップと;5)それらの画像信号を用いて、血小板をそれらの蛍光発光により同定するステップと;6)試料中に同定された個々の血小板についての平均蛍光発光強度値を決定するステップと;7)試料中の血小板凝集塊を、それらの蛍光発光、面積、形状、及び粒状性のうちの1つ又は複数を用いて同定するステップと;8)試料中の個々の血小板について決定された平均蛍光発光強度値を用いて、各血小板凝集塊中の血小板を計数するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年3月21日に出願された米国仮特許出願第61/038,554号明細書(7564−0028)に開示される本質的主題の利益を享受し、それを参照により援用する。
【0002】
本発明は、概して血液試料を分析するための装置及び方法に関し、特に、血小板を検出及び計数し、血小板を巨大血小板と、さらに巨大血小板を血小板凝集塊と識別するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医師、獣医師及び科学者は、構成成分の量を決定し、さらに健常な被験体には見られない異常な粒状物質の存在を同定するため、ヒト及び動物の生体体液、特に血液を調べている。一般に計測、定量及び同定される構成成分としては、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、及び血小板が挙げられる。
【0004】
哺乳類では、血小板(栓球とも称される)は、巨核球の断片化によって生じる小さい不規則な形状の無核細胞断片である。特定の動物(例えば、鳥類、爬虫類及び魚類)における栓球は、機能上は哺乳類の血小板と同様であるものの、約10倍大きく、有核である。血小板分析には、試料中の血小板又は栓球の凝集塊の存在についての決定を含め、試料中の血小板の数、大きさ、形状、構造、及び容積の決定が含まれ得る。自然に発生する特定の条件下では、血小板は、体が被った外傷(例えば、出血、組織外傷等)に対する有益な反応として、対象の体内で凝集して凝集塊となる。他方で、分析用に採取された血液試料中に形成される血小板凝集塊は、典型的には不都合なものであり、血液試料の分析を妨げ得る。抗凝固薬(例えば、EDTA)の使用により試料中の血小板の凝集は防止できるが、抗凝固薬の血液試料との混合が遅れれば、凝集塊はなお形成され得る。凝集塊が形成されてしまうと、典型的には、抗凝固薬にはそれらを個々の血小板に分離する効果はない。血小板凝集塊は、誤って低い血小板数をもたらし得ることから、それが誤診につながり、患者が重篤な転帰に至ることもあるため、被分析試料において問題となることが多い。
【0005】
「Wintrobe’s Clinical Hematology」第12版などの医学テキストに詳細に記載されている公知の血液検査手法では、概して検査方法は、手動、遠心、及びインピーダンスを用いるタイプの方法に分けられる。手動で行う方法には、典型的には、正確に測定された容積の血液又は体液試料を作成し、それを定量的に希釈して、計数チャンバにおいて目視で数をカウントすることが関わる。細胞計数の手動での検査方法には、末梢血スメアを調べることが含まれ、そこでは目視検査により各粒状物質タイプの相対量が決定される。遠心による検査方法には、試料を遠心し、試料を構成成分の相対密度に従う構成成分層に分離させることが関わる。成分層は染色して、可視性又は検出を高めることができる。インピーダンスによる方法には、計測対象の粒状物質に従い処理された血液の正確な容積を調べることが関わる;例えば、有核細胞を計数するためRBCを溶解し、容積測定に基づき試料を導電性流体中に希釈する。この過程には、典型的には、狭小な通路を通る試料に印加される電流又は電圧をモニタすることにより、粒状物質が一列で通過するときの電流/電圧に対する粒状物質の影響を決定することが関わる。他の手法では、光線の中を一列に通過する粒状物質に入射する光の散乱の強度及び角度を分析することが関わる。フローサイトメトリーによる方法もまた用いることができ、これには、各細胞又は粒子タイプに存在する表面エピトープに対する抗体と結合したフルオロフォアにより、懸濁液中の対象の粒状物質を染色し、染色した粒状物質を適切な波長の光で励起して、個々の粒状物質/細胞の発光を分析することが関わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の方法は全て、末梢血スメア又は遠心分離を除き、正確な容積の試料を計量分配する必要がある。試料容積が不正確であると、関連する分析において同じ規模の定量誤差が生じ得る。遠心による方法を除き、前述の方法は全て、試料を1つ又は複数の液体試薬又は希釈剤と混合することも必要で、且つ正確な結果を得るために器具のキャリブレーションも必要となる。末梢血スメアの場合、スメアを正しく検査するには高度な訓練が必要とされる。前述の方法の多くは、処理費用が高額な大量の汚染廃棄物が発生する。加えて、赤血球及び栓球が有核である鳥類、爬虫類及び魚類、並びに赤血球の大きさが極めて小さく、血小板と混同し得る特定の哺乳類では、上述の方法は全血球計算値(CBC)の決定には好適でない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様に従えば、実質的に無希釈の血液試料中の血小板を計数するための方法が提供される。この方法は、1)被分析試料を静止状態に保つように構成された分析チャンバに試料を入れるステップであって、チャンバが第1のパネルと第2のパネルとにより画定され、それらのパネルは双方とも透明である、ステップと;2)着色剤を試料と混和するステップであって、この着色剤が、1つ又は複数の所定の第1の光の波長に曝露すると血小板に蛍光を発生させるように機能する、ステップと;3)血小板を含む試料の少なくとも一部分を第1の波長で照明するステップと;4)試料の少なくとも一部分を撮像するステップであって、ある強度を有する血小板からの蛍光発光を示す画像信号の生成を含む、ステップと;5)それらの画像信号を用いて、血小板をそれらの蛍光発光により同定するステップと;6)試料の少なくとも一部分の中に同定された個々の血小板の平均蛍光発光強度値を決定するステップと;7)試料の少なくとも一部分の中の血小板凝集塊を、それらの蛍光発光、面積、形状、及び粒状性のうちの1つ又は複数を用いて同定するステップと;8)試料中の個々の血小板について決定された平均蛍光発光強度値を用いて、各血小板凝集塊中の血小板を計数するステップとを含む。
【0008】
本発明の利点は、血液試料中の正確な血小板数を提供することである。ほとんどの先行技術の血液分析器は、試料中にある特定の大きさの当該構成成分が事実上血小板であると仮定して、試料中の血小板の数を計数する。従って、巨大血小板及び血小板凝集塊は、その双方とも正常なサイズの血小板より大きく、計数において考慮されなかったり、白血球として計数されたりし得る。結果として血小板数が低くなり、それが血小板減少症と誤って解釈され得る。本発明は、巨大血小板及び血小板凝集塊を同定し、血小板凝集塊中の血小板を計数する。結果として、多くの先行技術の自動化された血液分析器により提供されるものと比べてより正確な血小板数が提供され、これは、巨大血小板及び血小板凝集塊を白血球と計数し、その結果として偽の低い血小板数及び偽の高い白血球数となることを回避するものである。
【0009】
本発明の別の利点は、血液試料中の巨大血小板の同定及び計数が可能となることである。
【0010】
本発明の別の利点は、毛細血管を穿刺することにより患者から直接採取され得るか(これは、ポイント・オブ・ケア用途に一層有用となる)、又は必要に応じて静脈血試料から得ることのできる極めて少量の試料容積を使用した血液試料の特性決定に用い得ることである。
【0011】
本方法の別の利点は、外部及び内部流動体なしに、且つ重力又は向きとは無関係に機能するため、携帯型または手持ち型機器として微小重力条件下での使用に適応可能なことである。
【0012】
本方法及びそれに関連する利点が、添付の図面を含め、以下に提供される詳細な説明を考慮することでさらに容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本方法で使用し得る分析チャンバの図式的な断面図である。
【図2】本方法で使用し得る分析チャンバの図式的な断面図である。
【図3】本方法で使用し得る分析チャンバの図式的な断面図である。
【図4】本方法で使用し得る分析チャンバの図式的な断面図である。
【図5】複数の分析チャンバを有するテープの図式的な平面図である。
【図6】分析チャンバを有する使い捨て容器の図式的な平面図である。
【図7】分析チャンバを有する使い捨て容器の図式的な断面図である。
【図8】本方法で使用し得る分析機器の図式的な略図である。
【図9】アクリジンオレンジ蛍光色素と混和した実質的に無希釈の血液試料を含むチャンバの一部分のカラー画像であり、この試料は、色素を吸収した構成成分(例えば、WBC、血小板等)からの蛍光発光を生じさせる波長で照明したもので、第1の強度増幅で撮像した。
【図10】図9に示されるカラー画像であり、第1の強度増幅より大きい第2の強度増幅で撮像した。
【図11】アクリジンオレンジ蛍光色素と混和した実質的に無希釈の血液試料を含むチャンバの一部分のカラー画像であり、この試料は、構成成分からの蛍光発光を生じさせる波長で照明したもので、WBC、血小板凝集塊、及び血小板の異なる発光プロファイルを示す。
【図12】アクリジンオレンジ蛍光色素と混和した実質的に無希釈の血液試料を含むチャンバの一部分のカラー画像であり、この試料は、構成成分からの蛍光発光を生じさせる波長で照明したもので、血小板、巨大血小板、及び網赤血球の異なる発光プロファイルを示す。
【図13】アクリジンオレンジ蛍光色素と混和した実質的に無希釈の血液試料を含むチャンバの一部分のカラー画像であり、この試料は、構成成分からの蛍光発光を生じさせる波長で照明したもので、血小板及び網赤血球の異なる発光プロファイルを示す。画像はまた、この画像から編集したWBC、及び背景にかすかに見えるRBCも含む。
【図14】図13に示される画像のモノクロ版であり、これは、画像の光学濃度値を示す波長で試料を照明することにより作成した。この画像は、試料中の網赤血球及びRBCの光学濃度プロファイルを示し、このプロファイルにより網赤血球を同定することが可能である。
【図15】本発明のある態様に係る方法のステップのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本方法は、概して、実質的に無希釈の抗凝固処理された全血の被分析試料を静止状態に保つように機能する分析チャンバを利用する。このチャンバは、典型的には約0.2〜1.0μlの試料を保持するサイズであるが、チャンバはいかなる特定の容積容量にも限定されず、容量は分析用途に合わせて変更することができる。語句「実質的に無希釈の」は、本明細書で使用されるとき、全く希釈されていないか、又は意図的に希釈されたわけではないが、分析のためにそこに何らかの試薬が添加されている血液試料を指す。試薬の添加により試料が希釈される程度では、あったとしても、かかる希釈は実施される分析に対して何ら臨床的に有意な影響をもたない。典型的には、本方法の実施に使用され得る試薬は、抗凝固薬(例えば、EDTA、ヘパリン)及び着色剤のみである。これらの試薬は一般に乾燥形態で添加され、試料の希釈を目的とするものではない。ある状況下では(例えば、超高速分析−患者のフィンガースティック又は新生児のヒールスティックによる血液採取時に発生し得るものなど)、抗凝固剤の添加は必要でないこともあるが、試料が分析に適した形態であることを確実にするため、ほとんどの場合には添加することが好ましい。用語「静止状態」は、試料が分析用チャンバの中に入れられ、分析中、チャンバに対して意図的に動かされることがないことを表すために用いられる。血液試料中に存在する運動の程度では、それは主に血液試料の有形の構成成分のブラウン運動によるもので、そうした運動によってこの発明の機器が使用不能になることはない。
【0015】
血液試料の少なくとも一部分と混和される着色剤(例えば、色素、染色剤等)は、着色剤を吸収する構成成分(例えば、血小板、WBC等)の同定及び定量分析を促進する。着色剤は、特定の波長(例えば、約470nm)に従う光によって励起されると、固有波長(例えば、530nm、585nm、及び660nm)に従う蛍光を発する。構成成分が蛍光を発する具体的な波長は、当該の構成成分及び励起光の1つ又は複数の波長の特性である。いくつかの実施形態において、着色剤はまた、構成成分内の着色剤の濃度に従い1つ又は複数の所定波長の光を吸収する。許容可能な着色剤の例としては、超生体染色色素のアクリジンオレンジ及びアストロゾンオレンジ(astrozone orange)が挙げられる。しかしながら、本発明は超生体染色色素に限定されるものではない。当業者であれば、着色剤の適切な濃度範囲が分かり、又はそれを必要以上に実験を行うことなく決定することができるであろう。
【0016】
ここで図1を参照すると、分析チャンバ10は、内表面14を有する第1のパネル12と、内表面18を有する第2のパネル16とにより画定される。パネル12、16は双方とも十分に透明なため、以下に記載される光学濃度分析の実施に十分な量の所定波長に従う光を、それらのパネルに透過させることが可能である。パネル12、16の少なくとも一部分は互いに平行であり、その部分の範囲内で内表面14、18は高さ20だけ互いに隔たり、この高さは既知であり得るか、又は計測可能であり得る。チャンバ10内に配置されているRBC22が示される。
【0017】
本方法は、前記特徴を有する様々な異なる分析チャンバタイプを利用することができ、従っていかなる特定のタイプの分析チャンバにも限定されることはない。平行なパネル12、16を有する分析チャンバは、それにより分析が簡略化されるため好ましいが、本発明に必須ではない;例えば、一方のパネルが他方のパネルに対して既知の非平行な角度で配置されたチャンバを使用してもよい。
【0018】
ここで図2〜5を参照すると、許容可能なチャンバ10の例が示され、これは、第1のパネル12と、第2のパネル16と、パネル12、16の間に配置された少なくとも3つのセパレータ26とを含む。セパレータ26は、パネル12、16の間に配置可能な、パネル12、16を互いに離間させるように機能する任意の構造であってよい。パネル12、16間に延在するセパレータ26の寸法28は、本明細書ではセパレータ26の高さ28と称される。セパレータ26の高さ28は、典型的には互いに正確に等しいわけではないが(例えば、製造公差)、同様の分析装置に使用される間隔保持手段についての商業的に許容可能な公差の範囲内である。球形ビーズは許容可能なセパレータ26の一例であり、例えば、Bangs Laboratories of Fishers、米国Indianaから市販されている。
【0019】
図3に示されるチャンバの実施形態では、セパレータ26は、第1のパネル12及び第2のパネル16の一方又は双方と比べて可撓性が高い材料からなる。図3で分かるとおり、より大きいセパレータ26は、ほとんどのセパレータ26がパネル12、16の内表面に接触している点まで圧縮され、そのためチャンバ高さはセパレータ26の平均直径よりほんの僅かに小さくなる。図4に示されるチャンバの実施形態では、セパレータ26は、第1のパネル12及び第2のパネル16の一方又は双方と比べて可撓性が低い材料からなる。図4では、第1のパネル12は球形セパレータ26及び第2のパネル16より可撓性の高い材料によって形成され、テントのような形でセパレータ26に被さる。この実施形態において、チャンバ10の局所的な小さい領域は所望のチャンバ高さ20から逸脱し得るが、チャンバ10の平均高さ20は、セパレータ26の平均直径の高さに極めて近似する。分析では、平均チャンバ高さ20は、この実施形態を使用する4μm未満のチャンバ高さにおいて1パーセント(1%)又はそれ以上まで制御され得ることが示されている。上記の可撓性を有するという特性(並びにセパレータの分布密度などの他の要因)を前提として、セパレータ26及びパネル12、16は様々な材料で作製することができ、但しパネル12、16は十分に透明であるものとする。ポリエチレンテレフタレートからなる透明プラスチックフィルムが、許容可能なパネル12、16の例であり、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーンなどから作製される球形ビーズが、許容可能なセパレータ26である。許容可能なセパレータの具体例は、例えば、Thermo Scientific of Fremont、米国Californiaから、カタログ番号4204A、直径4ミクロン(4μm)で市販されているポリスチレン製の球体である。図5を参照すると、他方の上側に垂直方向に配置されるパネル12が、等間隔に配置された複数のポート30(例えば、通気孔として働く)を含み、パネル12、16は所定箇所で互いに結合される。いくつかの実施形態では、結合材料32がチャンバ外壁を形成し、試料34を分析チャンバ10内に横方向に収容するように機能する。許容可能な分析チャンバのこの例は、米国特許出願公開第2007/0243117号明細書、米国特許出願公開第2007/0087442号明細書、及び2008年4月2日に出願された米国仮特許出願第61/041,783号明細書;及び2008年10月31日に出願された米国仮特許出願第61/110,341号明細書(これらは全て、全体として参照により本明細書に援用される)にさらに詳細に記載されている。
【0020】
許容可能なチャンバ10の別の例は、図6及び図7に示されるとおりの使い捨て容器36に配置される。チャンバ10は、第1のパネル12と第2のパネル16との間に形成される。第1のパネル12及び第2のパネル16の双方とも透明なため、チャンバ10に光を通過させることができる。第1のパネル12及び第2のパネル16の少なくとも一部分は互いに平行であり、その部分の範囲内で内表面14、18は高さ20だけ互いに隔たっている。このチャンバ10の実施形態は、米国特許第6,723,290号明細書にさらに詳細に記載されており、この特許は、全体として参照により本明細書に援用される。図2〜図7に示される分析チャンバは、本方法における使用に適したチャンバに相当する。しかしながら、本方法はそれらの特定の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本開示の目的上、チャンバの正確な高さが既知である必要はない。典型的な細胞の大きさに基づくと、約2〜6ミクロン(2〜6μ)のチャンバ高さがほとんどの動物種に適している。約3〜5ミクロン(3〜5μ)のチャンバ高さ20が、特にヒト血液の分析には非常に好適である。しかしながら、本発明は、本明細書に記載される方法をかかるチャンバ高さで達成することができるならば、いかなる特定のチャンバ高さにも限定されない。
【0022】
チャンバ10内に静止状態で配置された試料の分析は、試料の少なくとも一部分を照明して撮像し、画像に関する分析を実施するように機能する分析機器を使用して実施される。画像は、試料の一部分からの蛍光発光、及びその光学濃度をユニット毎ベースで決定することが可能な形で生成される。用語「ユニット毎ベース」又は「画像ユニット」は、試料の画像を解像することのできる定義された増分単位を意味する。一般に、特定の撮像システムにおいて個々に処理することのできる画像の最小要素として定義される画素は、画像ユニットの一例であり、画像ユニットとしては、集合的な単位としての少数の画素も含まれ得る。撮像機器の拡大率は、線形的な関係(例えば、焦点面におけるマイクロメートル毎画素)として表すこともでき、この場合、線の寸法は、画像に適用される直交格子の特定の軸に従う。そのため、焦点面においてセンサの画素により捕捉される実際の試料面積は、撮像機器が適用する拡大倍率に従い変わる。従って、必須ではないが、撮像機器の拡大率が既知であることは有用である。従って、当該の画素に関連する容積は、画素毎の画像の面積にチャンバ高さを掛けたものである。例えば、拡大率が0.5μm毎画素であったならば、200画素を占有する画像の面積は50平方μmとなり、容積は50平方μm×チャンバ高さとなる。
【0023】
ここで図8を参照すると、本方法での使用向けに構成することのできる分析機器44の例であり、これは、試料照明器46と、解像装置48と、プログラム可能分析器50とを含む。試料照明器46は、特定の所望の波長に従う光を選択的に発生する光源を含む。例えば、所望の波長(例えば、420nm、440nm、470nm等)を発するLEDを使用することができる。或いは、広い波長範囲(例えば、約400〜670nm)を生じる光源を使用してもよく、しかし場合によっては、かかる光源はフィルタリングが必要となり得る。分析機器44は、光を操作するための光学素子を含み得る。試料照明器46は透過光源と落射光源とを含み、各々、チャンバ10内に存在する試料の一部又は全部を照明するように機能する。許容可能な解像装置48の一例は、試料を通過する光の像を電子データ形式(すなわち、信号)に変換する電荷結合素子(CCD)型画像センサである。相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」)型画像センサは、使用することのできる画像センサの別の例であり、本発明はこれらの例のいずれにも限定されない。プログラム可能分析器50は中央演算処理装置(CPU)を含み、試料照明器46及び解像装置48に接続される。CPUは、本方法の実施に必要な機能を選択的に実行するように構成される(例えば、プログラムされる)。プログラム可能分析器50の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせを用いて実装され得ることに留意しなければならない。当業者であれば、必要以上に実験を行うことなく、本明細書に記載される機能を実行させるように処理装置をプログラムすることができるであろう;全体として参照により本明細書に援用される、「Apparatus for Analyzing Biologic Fluids」と題される2005年3月15日に発行された米国特許第6,866,823号明細書が、かかる分析機器44を開示している。
【0024】
分析機器は、試料の少なくとも一部分を照明することにより作成された画像信号を処理して、試料中の構成成分を同定及び計数するように構成される。画像信号は、画素毎ベースの蛍光発光値と光学濃度値とを含む。画素毎の発光の強度及び色並びに光学濃度は、総体として照明された試料部分の画像を構築する。分析機器は、この総体的な画像のなかから、蛍光発光の蛍光強度、色内容、及び光学濃度、並びに場合によっては構成成分の物理的特性(例えば、面積、エッジの幾何形状等)のうちの1つ又は複数を用いて、特定の構成成分のプロファイルを同定するように構成される。分析機器は、画像プロファイルを用いた特定の構成成分間の識別を、残存する構成成分が目的の構成成分(例えば、血小板)となり、その時点で目的の構成成分を計数することができるまで行う。
【0025】
本方法に従えば、実質的に無希釈の全血の試料は、チャンバ10に導入された後、チャンバ10内に静止状態で存在する。試料のチャンバへの導入前か、又はチャンバへの導入時に、抗凝固剤及び着色剤が試料と混和される。着色剤は、試料中の構成成分(例えば、WBC、血小板、網赤血球)により吸収される。用途によっては、試料中のRBCの一部又は全部が球状の形状をとるように、試料に等積球形化剤が添加される。許容可能な等積球形化剤の一例は両性イオン界面活性剤である。球形化剤の具体例はZwittergent(登録商標)3−16界面活性剤であり、これは、米国New JerseyのEMD Chemicals,Inc.の事業体であるCalibriochemによって製造される両性イオン界面活性剤である。試料に添加される球形化剤の量は、少なくとも本ヘマトクリット分析の実施に必要な数のRBCを球形化するのに十分な量である。具体的な量は特定の作用剤及び検査環境に依存し、当業者は必要以上に実験を行うことなくそれを決定することができる。RBCの自然の両凹形状、及び血小板と比べたRBCの相対的な大きさにより、試料中の血小板が試料中のRBCのなか;例えばRBCの陥凹部内に「隠れる」ことが起こり得る。RBCを球形化すると、試料中の血小板がRBCのなかに隠れる可能性が低下し、かかる血小板を血漿中に個々に見ることのできる可能性が高まるため、試料に対して実施される定量的な血小板分析の精度が増す。
【0026】
チャンバ内に静止状態で存在する試料の少なくとも一部分が分析機器44により照明され、それにより試料に光が透過する。チャンバ内に存在する試料の全体を撮像することは必須ではないが、そうすることで、典型的には試料のより完全な分析が提供され、それに伴い精度が増すため、好ましい。試料は、構成成分により吸収された着色剤に関連して構成成分からの蛍光発光を励起することが分かっている波長によって照明される。アクリジンオレンジで染色された構成成分は、約470nmの波長の紫色光で照明されると、蛍光発光を生じる。図9〜図13に示される写真は、試料中に見られる構成成分(例えば、血小板、巨大血小板、WBC、網赤血球、血小板凝集塊)の蛍光発光を示す。具体的な発光は、使用される着色剤及び照明された細胞の細胞内組成に依存する(例えば、着色剤が細胞又は血小板の内容物と相互作用すると、発光が起こる)。一部の構成成分は、蛍光定量上のシグネチャ(「プロファイル」とも称される)として働く蛍光発光を有し、このシグネチャは、当該の構成成分に比較的固有のもので、従って当該の構成成分の同定に用いることのできる光の組み合わせを発生させる波長に従う蛍光発光の特定の比(例えば、特有の「赤色/緑色」比)を表す。他の構成成分は、互いを容易には識別することのできない蛍光発光シグネチャを有する。これらの構成成分を識別するため、血小板又は血漿により吸収されるであろう量と比べて認め得るほどに多い量でヘモグロビンにより吸収される光の波長で、試料を照明する。この吸収量は光学濃度として計測することができ、次にその光学濃度を用いて、ヘモグロビンを含む構成成分を、それを含まない構成成分と識別することができる。
【0027】
画像の蛍光発光部分は、使用される着色剤のタイプ及び試料中の着色剤の濃度などの要因に従い変わるため、必須ではないが、強度について試料のキャリブレーションを行うことが有用である。例えば、着色剤の所与の濃度について、WBCからの蛍光発光は、平均して血小板からの蛍光発光より高い。これは、同じ試料の画像である図9及び図10において、明確に見ることができる。図10における蛍光発光の増幅は、図9において用いられたものより大きい。図9は、WBC40からの蛍光発光を明確に示し、僅かに血小板42からの発光が見られる。図10は、WBC40及び血小板42の双方を明確に示し、また、各々を、その蛍光発光強度によっていかに識別することができるかも示す。キャリブレーションでは、その分析機器に対するWBCに関連した強度レベル及び血小板に関連した強度レベルを特定し、それに従い分析機器を較正する。
【0028】
試料を照明することにより発生した蛍光発光及び透過光は、画素毎ベースで画像信号に変換され、それらが総体として照明された試料部分の画像を構築する。分析機器は、この総体的な画像のなかから、蛍光発光の蛍光強度、色内容、及び光学濃度のうちの1つ又は複数を用いて、特定の選択した構成成分のプロファイルを同定するように構成される。前記特性によって構成成分プロファイルを同定するプロセスは、様々な特性を比較して構成成分を同定するアルゴリズムを用いて実施することができる。構成成分が同定されると、それをさらに分析することができる。例えば、試料中における代表的な数の血小板を、その蛍光発光プロファイルを用いて同定することができ、それらを総体的に分析することにより、血小板についての蛍光発光強度の平均値を決定することができる。場合によっては、構成成分の蛍光プロファイルは、蛍光信号プロファイルを用いて構成成分の内部面積及びエッジ領域を決定するためにも用いられる。個々の構成成分の面積は、平均値を求めて平均面積値を決定することができる。エッジ形状は、滑らかさ及び/又は幾何形状について分析することができる;例えば、構成成分のエッジが円形、非円形、不規則形状等であるかどうかを決定することができる。続いてこれらの特性を用いて試料中の構成成分の識別を、残存する構成成分が目的の構成成分(例えば、血小板)となり、その時点で目的の構成成分を計数することができるまで行う。
【0029】
本発明の例を示すため、試料中の血小板数を決定することを目的として、実質的に無希釈の血液試料を、EDTA、アクリジンオレンジ、及び両性イオン界面活性剤と混和し、2枚の透明パネルを有するチャンバに導入する。RBC、網赤血球、WBC、血小板、巨大血小板、及び血小板凝集塊を含む構成成分が、試料中に静止状態で存在する。試料は、470nmと、413nm及び540nmの少なくとも一方とで照明する。470nmでの照明は、アクリジンオレンジに由来する蛍光発光を生じさせる。他の着色剤は、他の波長で照明することで光を発し得る。413nm及び/又は540nmでの照明を用いると、以下で考察されるとおり、ヘモグロビンの存在がその光学濃度により示される。照明された試料のデジタル画像を取得する。
【0030】
試料の画像を分析して、試料中に含まれる様々な構成成分を同定する。例えば、WBCは、その蛍光シグネチャ(例えば、顕著な細胞質の赤色蛍光と核の緑色蛍光とからなる蛍光発光パターン)、その蛍光発光の相対強度、それが占有する面積、及びその形状のうちの1つ又は複数によって個々に同定される(図9〜図11を参照)。それによりWBCが、試料のその他のものとは識別される;これは例えば、WBCが画像内でそれ以上考慮されないように画像をフィルタリングすることにより行われる。
【0031】
ここで図12を参照すると、巨大血小板44を、その蛍光プロファイル、面積、及び形状のうちの1つ又は複数により試料中に同定することができる。RBC45は、背景にかすかに認めることができる。巨大血小板44の比色分析の比は、正常な血小板42と同様であるものの、粒子の質量が大きいため、その発光は強度がより高い。巨大血小板44はまた、大きさも正常な血小板42と比べて著しく大きく、円形である。正常な血小板42は、典型的には不規則な形状である。最も普通の大きさの血小板は、直径が1.5〜3μmである。対照的に、巨大血小板44は直径が7μmより大きく、通常は10μm〜20μmの範囲である。巨大血小板の存在は、ベルナールスーリエ症候群及び骨髄増殖性疾患(例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、真性赤血球増加症、本態性(原発性)血小板血症、及び原因不明の骨髄様化生)の指標となり得るため、巨大血小板の同定及び計数によって重要な臨床情報が得られる。試料中の巨大血小板44は、それらの蛍光発光(比色及び強度)、面積、及び外周形状のうちの1つ又は複数を、血小板の強度及び面積の平均値を含め、正常な血小板の蛍光発光値、面積、及び外周形状と比較することにより同定される。巨大血小板の同定に用いることのできる基準の例として、分析機器は、正常な血小板に対する1つ又は複数の比較基準により(例えば、正常な血小板の平均面積又は強度の標準偏差に基づく平均血小板面積若しくは強度の倍数、又は所定の面積値若しくは強度値による等)プログラムすることができる。平均血小板面積に関して、任意の所与の試料中における血小板面積の分布は、典型的には対数正規関数として示され、公知の手法を用いて統計的に決定することができる。次に、同定された巨大血小板は識別され、所望の具体的な情報によっては血小板数に含められ、及び/又は独立した構成成分集団と見なされる。
【0032】
網赤血球46は、それが含む核の材料に起因して、正常な血小板と同様の蛍光プロファイルを発する。図13の写真は、網赤血球46及び血小板42の蛍光発光を示す。円形の黒く塗りつぶされた部分は、画像のうちWBCが含まれていた部分であるが、この画像ではマスキングにより除かれている。網赤血球46は、その蛍光発光により血小板42とある程度識別することができ、網赤血球46のほうが少し明るく見え、赤さが少し強い。網赤血球46はまた、413nm及び/又は540nmの波長の光で試料を照明することによっても識別することができ、これらの波長は、試料中に存在するいかなる他の材料よりも実質的に多い量がヘモグロビンによって吸収され、従ってヘモグロビンの存在の指標となる。ヘモグロビンの光吸収は、光学濃度として定量化することができる。図14は、網赤血球のODを示す。網赤血球は、蛍光発光パターン及びODの一方又は双方を用いて、試料のその他のものと識別される。
【0033】
ほとんどの血液試料では、WBC、巨大血小板、及び網赤血球を識別した後に残る蛍光発光を有する構成成分は、全てではないにしろ、主に血小板である。試料中の個々の血小板を同定及び計数することができる。しかしながら、一部の血液試料では、試料中の血小板の一部分が凝集して1つ又は複数の凝集塊となることがあり、こうした凝集塊は、サイズが非常に大きく;例えばWBCの1〜4倍のサイズであり得る。図11の写真は、血小板凝集塊48及びWBC40の双方を示す。血小板凝集塊48は、WBC40と識別可能な赤色/緑色の比を有するその蛍光発光プロファイル、その粒状性、及び場合によってはその面積及び/又は形状により同定可能であり、且つ他の構成成分(例えば、WBC40、巨大血小板44)と識別可能である。例えば、血小板凝集塊48は巨大血小板と識別可能であり、これは、血小板凝集塊が不規則的な形状で、巨大血小板が実質的に円形状であるためである。血小板凝集塊及び巨大血小板の双方の相対的な円形度は、分析機器にプロフラムされた画像分析ソフトウェアにより決定することができる。凝集塊がWBCとして計数され(それにより偽の高いWBCカウントとなり)、及び/又は血小板減少症の誤診につながる可能性があるため、試料中の血小板凝集塊の存在を検出することは重要である。こうした潜在的な問題は、既存の自動分析器では特に意味をもつ。血小板凝集塊の存在は、試料のEDTAとの不適切な混合を示すものであり得る。
【0034】
血小板凝集塊が同定されると、凝集塊の蛍光発光強度の積算値及び凝集塊の面積を決定することができる。次に、蛍光発光強度の積算値を平均血小板発光強度によって除算することにより、凝集塊中の血小板数を決定することができる。この商の値が、凝集塊中の実際の血小板数の許容可能な近似値である。凝集塊中の血小板数の近似値はまた、凝集塊の面積を平均血小板面積で除算することにより決定することもできる。
【0035】
本発明は、その詳細な実施形態に関して図示及び説明されているが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な形態及び詳細の変更が行われ得ることを理解するであろう。
【0036】
特許請求の範囲は以下のとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の血小板を有する血液試料中の血小板を計数するための方法であって、
被分析試料を静止状態に保つように構成された分析チャンバに前記試料を入れるステップであって、前記チャンバが第1のパネルと第2のパネルとにより画定され、それらのパネルは双方とも透明である、ステップと、
着色剤を前記試料と混和するステップであって、この着色剤が、1つ又は複数の所定の第1の光の波長に曝露すると血小板に蛍光を発生させるように機能する、ステップと、
血小板を含む前記試料の少なくとも一部分を前記第1の波長で照明するステップと、
前記試料の前記少なくとも一部分を撮像するステップであって、ある強度を有する血小板からの蛍光発光を示す画像信号の生成を含む、ステップと、
前記画像信号を用いて、血小板をそれらの蛍光発光により同定するステップと、
前記試料中に同定された個々の血小板の平均蛍光発光強度値を決定するステップと、
前記試料中の血小板凝集塊を、それらの蛍光発光、面積、形状、及び粒状性のうちの1つ又は複数を用いて同定するステップと、
前記試料中の個々の血小板について決定された前記平均蛍光発光強度値を用いて、各血小板凝集塊中の血小板を計数するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記血液試料が実質的に無希釈である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血液試料が全血である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試料中に個々に存在する前記血小板を計数し、各血小板凝集塊中の血小板と前記試料中に個々に存在する血小板との合計として前記試料中の血小板の総数を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試料中の巨大血小板を同定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記試料中の前記巨大血小板が、蛍光発光、面積、及び形状のうちの1つ又は複数によって同定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試料中の前記巨大血小板のうちの少なくとも1つの面積を決定するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記試料中に同定された個々の血小板についての平均面積を決定し、前記少なくとも1つの巨大血小板の面積を前記平均血小板面積と比較するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記試料中に同定された個々の血小板についての平均面積と前記個々の血小板の面積の統計的偏差とを決定し、前記少なくとも1つの巨大血小板の面積を、個々の血小板面積の前記統計的偏差に基づく値と比較することにより、前記少なくとも1つの巨大血小板を同定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの巨大血小板の面積を、所定の値と比較することにより前記少なくとも1つの巨大血小板を同定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記試料中に同定された個々の血小板についての平均面積を決定するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法であって、前記各血小板凝集塊中の血小板を計数するステップが、前記試料中の個々の血小板についての平均面積を用いることをさらに含む、方法。
【請求項12】
前記血小板を含む試料の少なくとも一部分を、1つ又は複数の第2の波長で照明するステップと、
前記試料の少なくとも一部分を撮像するステップであって、前記試料中の1つ又は複数の構成成分の光学濃度を示す画像信号の生成を含む、ステップと、
前記画像信号を用いて、前記試料中の1つ又は複数の構成成分の光学濃度を決定するステップと、
前記光学濃度を用いて、血小板と1つ又は複数の構成成分とを互いに識別するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記試料の少なくとも一部分を、ヘモグロビンにより吸収される1つ又は複数の第2の波長の光で照明することにより、ヘモグロビンを含む前記試料中の構成成分と血小板を識別するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
血液試料中の血小板を計数するための装置であって、
第1のパネルと第2のパネルとにより画定された、それらのパネルが双方とも透明な、被分析試料を静止状態に保つように構成された分析チャンバであって、ある量の着色剤が前記チャンバ内に入れられ、前記着色剤が、1つ又は複数の所定の第1の光の波長に曝露すると血小板に蛍光を発生させるように機能する、チャンバと、
前記血小板を含む試料の少なくとも一部分を前記第1の波長で照明し、
照明器と解像装置とを含む撮像ユニットであって、前記試料の少なくとも一部分を撮像し、且つある強度を有する血小板からの蛍光発光を示す画像信号を生成するように機能するユニットと、
前記画像信号を用いて、血小板をそれらの蛍光発光により同定し、及び前記試料中に同定された個々の血小板についての平均蛍光発光強度値を決定し、及び前記試料中の血小板凝集塊を、それらの蛍光発光、面積、形状、及び粒状性のうちの1つ又は複数を用いて同定し、及び前記試料中の個々の血小板について決定された前記平均蛍光発光強度値を用いて、各血小板凝集塊中の血小板を計数するように構成されたプログラム可能分析器と、
を含む、装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図15】
image rotate

【図5】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2011−515683(P2011−515683A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500991(P2011−500991)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/037844
【国際公開番号】WO2009/117682
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(501354521)アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】