説明

血流および血行動態パラメータを検知するための方法および装置

電子モニタリングデバイスは、身体モニタリング用の少なくとも1つの信号入力を有する電子プロセッサ(620)と、この電子プロセッサに結合され、電子プロセッサ用の命令を保持するメモリ(630)とを含み、心臓パルスを含む心臓信号であって他の変形心臓信号が混ざった心臓信号を隔離するように電子プロセッサが動作可能となるようになっており、電子プロセッサがさらに、変化する血流信号をこれらの心臓パルスから分離するフィルタ(730)を実行し、かつ、少なくともこの変化する血流信号に基づく情報(790)を出力するように動作可能である。他のデバイス、センサアセンブリ、電子回路ユニット、およびプロセスも開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人体の生物学的かつ生理学的機能を測定し、モニタリングし、解析するための装置および方法に関し、かつ、これらの装置および方法に関連する生物医学用装置構成および信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
血行動態データは有用であり、こうしたデータをより簡単に、より経済的かつ効率的に取得し、切り離し、決定し、モニタリングするための方法およびデバイスを開発することがこの技術分野に求められている。本明細書で説明する血行動態は、血流に直接または間接的に関連する血流関連データの調査を含む。血流関連データには、例えば、拍出量、心拍出量、前駆出期、収縮性(心臓の収縮能力、筋収縮)、およびこれらに関連した原因となる身体動態またはこれらに関連して引き起こされる身体動態などがあり、この身体動態には、運動や運動後の回復、バルサルバ法(医療上の試験において、息を止めたまま押すか圧迫する、または他のやり方で行う)などがある。血流、血行動態、および心臓血管能力を測定することは、個人の健康を徹底的に検査するために不可欠である。特に、過去に心不全のような心臓病歴のある患者は(心不全は、冠動脈疾患、心臓弁または心筋障害、過去の心筋梗塞、高血圧などの多くの原因の1つまたは複数から潜在的に起こる)、適時、適切な診断処置を受けて個人の生活の質を向上させるために定期的にモニタリングを受けることが必要なことがある。これらの病気の背後にある生理学的機序はかなり解明されているが、これらの生理学的重要因子をモニタリングする技術は大幅な改善を要する状況にある。インピーダンス・カルジオグラフィ、ドップラーエコー・カルジオグラフィ、連続血圧モニタリングなどは、大がかりで高価とみなされており、携帯式モニタリングに応用するには不適切である。
【0003】
一般に、かつ本発明の一形態では、電子モニタリングデバイスは、身体モニタリング用の少なくとも1つの信号入力を有する電子プロセッサを含む。この電子プロセッサにメモリが結合され、電子プロセッサ用の命令が提供され、この命令によって、心臓パルスを含み他の変形心臓信号が混ざった心臓信号が切り離される。電子プロセッサはさらに、変化する血流信号をこれらの心臓パルスから分離するフィルタを実行し、少なくともこの変化する血流信号に基づく情報を出力するように動作可能である。
【0004】
他のデバイス、センサアセンブリ、電子回路ユニット、およびプロセスも開示され特許請求される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】単一の胸部加速度計センサの1つまたは複数の軸を用いて心臓信号および他の信号から血流信号を分離するための本発明の構造およびプロセスの部分ブロック図、部分絵図、部分グラフィック図であり、時間軸を拡大した波形の差込み図は、ECG信号、Z軸センサからのフィルタリングされた心臓信号、および加速度計センサのY軸からのフィルタリングされた血流信号を含む3つの同時波形の電圧対時間のグラフである。
【0006】
【図2】本発明の無線システムの構造およびプロセスのブロック図であり、他の図からの本発明の構造およびプロセスも含む。
【0007】
【図3】Z軸加速度計センサ入力を用いて身体の動きおよびノイズから心臓信号を分離し、Y軸加速度計センサ入力を用いて血流信号を分離し、さらに、心臓信号および血流信号を一緒に電子的に処理して血行動態を求めるための本発明のプロセスの結合フローチャートである。
【0008】
【図4A】図3で用い、また図4Bとともに用いる、Z軸センサ入力を用いて身体の動きおよびノイズから心臓信号を分離するための本発明のプロセスのフローチャートである。
【0009】
【図4B】Y軸センサ入力における心臓信号および血流信号を互いに分離して血行動態および心拍数を求めるための本発明のプロセスのフローチャートである。
【0010】
【図5】複数の軸からの加速度計信号をそれらの割合を変えて可変的に混合するための本発明の構造およびプロセスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
単一の胸部装着センサにより血流および血行動態パラメータを推定するための実装においていくつかの実施形態の例を説明する。以下で説明する実施形態により、血流の傾向(拍出量、心拍出量)および他の血行動態パラメータ(収縮性、前駆出期、等容性収縮間隔)を非侵襲かつ可能な限り大がかりにならずに測定することができる。有利なアプローチでは、単一の小型センサ(データ取得信号処理の実施形態と結合されるMEMS加速度計など)により、頭部から脚部までの上下ラインに平行な面内胸部加速度計のY軸から血行動態パラメータが抽出される。
【0012】
これらの利点は、それぞれ独立に、心臓パルス検出、呼吸検出、動き検出および他の特性で得られる。携帯式血行動態モニタリングを含めて、心臓活動の携帯式モニタリングおよび他のモニタリングは、心臓血管病歴をもつ患者の家庭での健康状態モニタリング、高齢成人のモニタリング、ICUや病院でのモニタリング、担架や車輪付き患者搬送ベッド、スクーターや車椅子のような移動補助器、救急車、事故や障害現場または診療所、共同医療試験施設、空港などでの生命兆候モニタリング、運動施設、店舗および他の場所でのフィットネスモニタリングに広く応用することができる。こういった能力は、心臓血管および心肺の健康の携帯式モニタリングに関連する応用例にまさに適切である。いくつかの実施形態の利点を示すと、a)単一センサおよび単一信号を用いて、拍出量の変化、心拍出量、心拍数、等容性収縮間隔などの変化があるかどうか、あるとしたらそれらの一部または全部など、いくつかの血行動態重要因子が抽出される、b)可能な限り大がかりでなくなる(小型センサを胸部に貼り付ける)、c)連続モニタリング応用における不都合が最小限になる、d)センサを使い捨てのパッチやテープで収容するため、コストが低く便利である。
【0013】
等容性収縮間隔(IVCI)は、心室が容積変化せずに収縮する際の初期収縮期の継続時間である。IVCIの間、心筋繊維は縮むが、大動脈弁および肺弁を開くほどには心室内圧力が充分に高まっていない。IVCIは、僧帽弁および三尖弁が閉じてから半月弁が開くまでの期間である。IVCIは、垂直Y軸加速度計血流信号のS1のピークP1と、最初のピークの開始時間F1との間の時間差として電子的に測定または推定される。IVCIは、時間差F1−P1とよく相関すると推測される(図1の差込み図参照)。
【0014】
拍出量(SV)は、拡張末期容量と収縮末期容量の差であり、一心臓周期当たり心臓から押し出される血液の測定値である。従来のパルス輪郭法では、血圧信号から血流変量(ミリリットル/秒)が計算され、一心臓周期にわたって血流信号を積分することによって拍出量が演算される。本明細書の構造およびプロセスの実施形態では、加速度計センサからのフィルタリングによって得られるフロー信号のピーク振幅PAmpおよびJampを用いて、SVの相対的変化を演算する。SVは、まず血圧信号またはそれに関連する信号を動脈系モデルに適用することによって演算される。1つのこのようなモデルは、ウィンドケッセル(Windkessel)モデルであり、これは、血圧により動脈が拡張するときの動脈のモデル挙動に対して非線形なモデルである。このモデルでは、血圧が、出力に対して直列なインピーダンスとこの出力の両端の抵抗−コンデンサ並列結合とを有する直並列ネットワークに印加される電圧に相似しているとみなす。血流は、この回路の出力の両端の電圧に相似している。心拍数S1−S1の期間にわたって積分される出力電圧は、この期間の拍出量に関連しており、繰り返し演算される。いくつかの他のモデルでは、反射型送電線を動脈系に対比させている。当面の目的に適切な任意のモデルを採用する。
【0015】
心拍出量(CO)は、1分間に心臓が押し出す血液の体積であり、拍出量と心拍数(HR)の積として定義される。
【0016】
前駆出期(PEP)は、ECG QRS群の始まりと心駆出の時間間隔である。PEPは、ECG−QRS群の開始から加速度計信号の第1ピークの始まりまでのR−F1間隔として計算される(図1の差込み図参照)。
【0017】
電子的な測定の一例では、加速度計から得られるY軸(図1)のフィルタリングからのフロー信号と、図2に示すような同時ECGまたは本明細書の他の箇所で説明するIVCIからの推定とを一緒に処理する。
【0018】
心室収縮性(VC)により心臓の固有収縮能力が測定され、心室収縮性は拍出量(SV)から推定することができる。拍出量が増加すると、収縮性が高まる。本明細書では、収縮性(VC)は、前駆出期PEPの傾向を調べることによって、または、本明細書の他の箇所で説明するIVCIから推定することによって測定される。
【0019】
図1は、好都合なモニタリングデバイスおよび測定構成を提供するシステムの実施形態を示す。小型(重量が0.08グラムでサイズが5×5×1.6mm)で低電力のアナログ出力3軸MEMS加速度計(例えば、STマイクロエレクトロニクス社の品番LIS3L02AL)を胸部(例えば、第3または第4肋骨に沿う胸骨の左に数インチのところ)に貼り付ける。(加速度計センサを貼り付けるか、または胸部バンドを用いれば、加速度計センサが胸部のむき出しの部分または毛が剃られた部分に押しつけられ、胸部の加速度がセンサに効率よく結合する。)胸部面に直交する背腹方向であるZ軸に沿う、心音に対応する加速度信号が取得される。同時に、胸部面内にあり垂直上向きであるY軸に沿う、血流およびそれに関連する血行動態に対応する加速度信号も同じMEMS(微小電気機械システム)加速度計によって取得される。こうすると、面内垂直軸(Y軸)に沿う加速度信号も取得される。
【0020】
これら両方の軸からの胸部加速度信号は、例えば、同時にAC結合され(ノンクリティカルな3Hzと比較した例では、高域ロールオフは約10倍落ちている)、別々にかつ並列に利得100で増幅され、アンチエイリアス処理を行うために、コーナー周波数が1kHzの3段5極サレンキーバターワース(Sallen-and-Key Butterworth)フィルタにより低域フィルタリングされる。2つの市販のクワッドオペアンプパッケージ(例えば、リニアテクノロジー社の品番LT1014CN)をアナログフロントエンドとして用いる。次いで、これらの加速度信号をそれぞれデータ取得カード(例えば、テキサス州オースチンのナショナルインスツルメンツ社から入手可能)を用いて10,000サンプル/秒でサンプリングし、取得し、MATLABソフトウエア(マサチューセッツ州ナティックのマスワークス社のバージョン2007b)を用いてコンピュータに記憶する。
【0021】
ノンクリティカルなロールオフ周波数である約3kHzをカットオフに用いるAC結合は、例えば、増幅器用に設けられる入力抵抗に結合される直列結合コンデンサCによって実現される。
【0022】
主要心音および心臓活動を検出する例(図3(左側)および図4Aに示す)では、ステップ110で、加速度信号がデジタル的に(例えば、3326個のタップを有し、20Hzにわたって急峻な80dBロールオフを有するデジタルFIRフィルタを用いて)50Hzで低域フィルタリングされ、ステップ120で、係数10でデシメーションする。60Hz未満のロールオフ周波数では、60サイクルの米国電力線と対象の生物医学信号との干渉が弱められるが、50Hzを用いる適用可能な国についてはロールオフを50Hz未満とし得る。ロールオフ周波数はより高くし得るが、この有限インパルス応答(FIR)フィルタは、モニタリング対象信号の周波数範囲よりも高い周波数の白色雑音を減衰させるのが望ましい。また、フェーズ1では、28次の401ポイントフレームを用いる高次Savitzky−Golay(S−G)多項式平滑フィルタ130を用いて、比較的ゆっくり変化する動きのふらつきを取得し、より速く変化する心音信号成分を除外する(このようなフィルタリングのためのMATLABシンタックスは、g=sgolayfilt(X,28,401)であり、ここで、gはフィルタ出力であり、Xはウィンドウ化されるデータの401個のサンプル値の最新入力列ベクトルである)。フェーズ2では、ステップ140で、デシメーションされた低域フィルタ(LPF)出力から平滑フィルタ130の出力を減算して心音S1およびS2を得る。次いで、ステップ160での折り返し相関プロセスにより、動きが取り除かれた加速度信号中の多項式フィルタリングされたS1/S2ピークが強調され強められる。次いで、電子増幅に基づくピーク取出しプロセスを用いるステップ170で、これらのピークの位置を閾値検出し、ステップ180で、選択されたピークを計数して心拍数(HR)を計算する。
【0023】
システム試験用相似信号経路を用いた3電極(単線)ECG増幅器で、基準心電図(ECGまたはEKG)を同時に取得して、加速度計により得られる心臓信号と比較し、例えば、心臓パルス、前駆出期(PEP)、収縮性(VC)を独立に取得する。
【0024】
このシステムでは、胸部に装着する加速度計のZ軸センサを用いて(図3の左側参照)、主要心音(心臓周期の拡張期および収縮期のそれぞれの終わりに閉じる心臓弁対によって生成されるS1およびS2)を抽出する(「心音」という用語は、包括的には、加速度計データまたは他のセンサデータを処理することによって得られる心臓のS1、S2に相似する信号および/または心雑音あるいは他の心臓波形特性を指し、可聴音を指すとは限らない)。心音S1は、三尖弁および僧帽弁の活動と同時に生じ、パルス群として振動性心電図に現れる。心音S2は主に、肺動脈弁および大動脈弁の活動に関連する。
【0025】
Y軸からの血行動態:Y軸(胸部面内)およびZ軸から取り出される信号間には著しい差が現れる。S1およびS2は、形状およびタイミングがこれら両方の軸でよく合致するが、血流関連信号のような付加的な特性(周波数がより低く、S1とS2の間に最大ピークをもつ)は、Y軸に沿って極めて強く生じる一方、Z軸方向にはほとんど存在しない。フロー信号という表現すなわちフロー関連信号または血流信号は、この胸部加速度成分を識別するための有用なラベルであり、加速度計がメートル/平方秒の単位で胸部加速度成分を検知していることを示している。この時間的に変化する加速度成分は、身体の上下軸にほぼ平行な、血流に応答する身体反応加速度または皮膚剪断加速度であるように見え、ニュートンで表す全体的な心臓収縮力および/またはニュートン/平方メートルで表す収縮期血圧および/またはミリメートル/平方秒で表す血流加速度および/またはミリメートル/秒で表す血流速度に関連している。血液の動態は、心臓から発する動脈系の血管の内部で、かつ血管に沿って空間的かつ時間的に変化する。これらには動脈壁の摩擦および弾性が関与しており、動脈硬化が起こると変化する。加速度計信号は、それに従って、例えば、図2のシステムを用いて利点が充分に活かされるように、図3〜図5に示すように処理され、後処理され、解釈される。
【0026】
図2は、血行動態、心臓、呼吸、および動きのモニタリングシステム用の無線システムの実施形態600を注目すべき構成要素の実施形態とともに示す。(いくつかのシステムの実施形態は有線の実施形態とし得る。)加速度計センサ610およびその電子回路は、Bluetoothまたは他の近距離無線モデムも含み、このモデムが別の近距離無線モデム622と無線で結合され、近距離無線モデム622がストリーミングデータ及び制御インターフェース624を介してデータ取得信号処理ユニット620に結合される。さらに、モデム640.2および670により無線送受信が実現され、それによって、データ取得信号処理ユニット620が、そのモデム640.2を介して、1つまたは複数の表示ユニット650.1およびそれらの記憶ユニット660.1と結合される遠隔無線送受信機ユニットまたはモデム670と通信する。こうすると、遠隔医療応用に対応することができる。取得信号処理ユニット620およびそのモデム640.2は、家庭または救急車に、または患者に、あるいは車椅子または担架に適切に設けられる。無線送受信機670および表示ユニット650.1は、診療所、病院、医療モニタリング施設または他の場所に適切に設置される。緊急時に車両内の専門家がデータを至急所見して指示を送らなければならない場合に備えて、この無線システムの一端または両端を移動式の、例えば、モデム640.3および警告/プロセッサ/ディスプレイ680とし得る。
【0027】
図2では、いくつかのデバイスは、自動注意応答、警報、および/または自動監視治療応答を発する。信号処理ユニット620によって検出されるパラメータのうち、1つまたは複数の測定パラメータまたはそれらの間の関係が大きく逸脱した場合、遠隔プロセッサ670は、医療専門家、患者、治療奉仕者、および/または家族構成員のいずれか1人または複数人に、モデム640.3および警告/プロセッサ/ディスプレイユニット680を介して受信確認可能な音声通話またはメッセージおよび/または文書の警告または電子メールを送ることによって警告する。別のモデム640.1は、遠隔医療用の治療または支援デバイス690に結合しており、デバイス690は、薬を投与したり、その投与量を調整したり、または他の方法によって何らかの薬学的、情報的、または物理的な方法で患者を支援する。極めて緊急の医療を要する逸脱の場合、データ取得信号処理ユニット620は、遠隔コマンドが受信されるか、または最初の応答者が到着できるまで、治療または支援デバイス690を一時的にかつ可能な限り安全な方法で局所的に制御することが許可され得る。胸部から加速度計610が単に取り外されたかまたは不注意で外された場合、電子処理ユニット620は、それを真に検出された逸脱と区別する。遠隔通信ケア(テレケア)支援を、センサ620のデータに応答して行うことができる。これは、電動装置690を作動させて、例えば、電動ベッドを調整したり、スクーターを患者が使えるように近くに移動したり、トイレユニットをサーボ機械的に動作させて流したり、水洗槽の栓を開いて水洗槽を空にしたり、または何らかの他の支援を行うことによって成され得る。
【0028】
実施形態のタイプはとりわけ、以下の形態をとり得る。1)有線で接続されるかまたは無線モデムを有する、患者が装着する医療センサおよび/または治療デバイス、2)このようなセンサに接続されるか無線で結合して構内ゲートウェイに無線で結合するか遠隔地に直接送信を行うベルトチップに搭載される、患者が装着する信号処理およびモデムモジュール、3)胸部に貼り付けられてルータまたは遠隔通信を行うゲートウェイと局所的に通信する超小型デバイスに共に収納される、センサ、信号プロセッサ、メモリ、およびモデム、4)診療所または病院と遠隔通信する患者宅のシステム内などの、センサと通信し、個々に遠隔的に通信するための信号プロセッサ、メモリ、および複数種のモデムを含むローカルルータまたはゲートウェイ、または5)医療診療所システム全体。
【0029】
周辺機器およびインターフェースは、無線回路用のオフチップIEEE802.15(Bluetoothならびに低速および高速ピコネット、Zigbee、およびパーソナルネットワーク通信)用のUART(汎用非同期受信機/送信機)データインターフェースおよびMCSI(マルチチャネルシリアルインターフェース)音声およびデータ無線インターフェースを含み得る。BluetoothまたはZigbee無線インターフェースは、図1の加速度計センサ10(610)およびそれに関連するアナログ回路ならびにアナログ・デジタル変換器ADCから受信し、またそれらを制御するのに有用である。ECG電極および/または胸部マイクロフォンを含む構成では、貼り付けるセンサユニットのアナログ回路は、このようなピックアップ要素から、胸部センサからのBluetoothまたはZigbee近距離送受信機へのカップリングも含む。
【0030】
図3(右側)および図4Bに移ると、ウィンドウサイズが約200ミリ秒の低次(4次)Savitzky−Golay多項式フィルタを用いてY軸信号をフィルタリングまたは平滑化する。異なるウィンドウ長さおよび多項式次数も可能である。また、特定の多項式および次数は例示であり、限定的なものではない。というのは、これらは信号およびサンプリングレートに関連して決まるからである。平滑フィルタは、心音(S1およびS2)の残部から分離される、ゆっくり変化する(低周波数)血流信号を抽出する。平滑フィルタとしてSavitzky−Golay(S−G)フィルタリングを用いるのは、Y軸からフロー信号を抽出するのに考えられる様々な方法の1つである。いくつかの実施形態では、ゆっくり変化する呼吸および身体の動きの基線のふらつき(例えば、約0.5Hz未満)も、血流信号から除去または分離される。これは、ハイパスフィルタをカスケード接続または組み合わせて呼吸のふらつきを減衰させるか、平滑化フィルタを用いて呼吸のふらつきを切り離し、減算して残留信号を生成することによって行われる。さらに、いくつかの実施形態では、S1−S1間隔の変動を検出するか、S1ピークに対する振幅変調をモニタリングすることによって身体の動きから呼吸を分離する。
【0031】
未処理のY軸信号をフィルタリングすることにより抽出される信号を、本明細書では血流成分またはフロー信号と呼ぶ。200ミリ秒のウィンドウサイズは、未処理のY軸信号流がフィルタウィンドウを通過する際に、1周期の振動する血流信号の直線または曲線部分をうまく包含する。加速度計に基づく波形からの(S1とS2の間の)主要な「フロー」ピークは血流信号上で顕著であり、心弾動図(BCG)と全く同じではないもののBCGからの信号と何らかの関係がある。このフロー信号は、左心室から大動脈中に押し出されるサージ血液の加速度に関係しているように見える。このフロー信号には目立つリンギングがあり、心臓および弁の機構ならびにおそらくは他の事柄について何らかの有用な情報をもたらすことができる。これについては、本明細書の他の箇所でさらに説明する。このような情報は、図3および図4Aおよび/または図4Bに示すプロセスにしたがって動作する図2の有線または無線装置内で電子的に適切に生成され通信される。
【0032】
図3では、プロセスの実施形態が図2のシステム記憶ユニットまたはメモリにおいて物理的に示されており、図2の信号処理ユニットまたは図1のデジタル信号プロセッサDSPで実行される。図3(左側)では、Z軸信号処理110〜170は、本明細書の他の箇所で説明するように実行され、さらに図3では、S1パルスのピーク検出170に続き、心臓の各鼓動における第1心音ピークS1の第1ピーク時間位置P1の時間決定780が行われる。図4Aに示すように、S1パルス(およびS2パルスすなわち両方)に応答する計数動作により、心拍数信号が電子的に生成される。
【0033】
図3(右側)では、ステップ710のY軸信号処理で、Y軸入力(フィルタカットオフ50Hz)が低域フィルタリング(LPF)され、次いで、ステップ730で、ステップ710からのLPF信号がS−G多項式フィルタリング(または他の方式で効果的にフィルタリング)されて、ステップ730からのフロー信号出力が生成される。ステップ770で、このフロー信号に対して電子的ピーク(および谷)検出が実施されて、フローピーク振幅PAmpが特定される。後続のステップ785で、図1の差込み図にグラフで示すような、このピークの時間位置F1が特定される。次いで、図3では、心臓の各鼓動毎に、ステップ780からの心拍数信号出力HRおよび第1ピーク時間位置P1の両方が、ステップ785からの第1フロー信号ピーク時間位置F1と混合され、かつ/または比較される。F1−P1の時間差は、等容性収縮間隔IVCIそのものを表すか、またはそれに比例する。図3(および図1)におけるIVCIは、例えば、(Z軸センサに基づく残留信号から得られる)S1波形のピークの時間P1と、Y軸センサから得られるフロー信号の第1ピークの時間F1との時間差として推定される。(図4Bにおいて、いくつかの実施形態では、Z軸処理の代わりにY軸処理に基づいて心音時間P1が決定される。)
【0034】
図3では、ステップ790で拍出量(SV)およびその相対的な変化が、Y軸加速度計センサからのフィルタリングによって得られるフロー信号のピーク振幅PAmpに比例して演算される。いくつかの実施形態ではSVは、フロー信号のピーク振幅PAmpにIVCI推定値を乗算したものに比例して演算される。図3の心拍出量(CO)は、拍出量SVに、加速度センサのフィルタリングからの残部をステップ140でZ軸処理することから得られる心拍数(HR)を乗算することによって電子的に生成され、この結果をディスプレイ650.1および図2に関連して説明した他のデバイスに供給する。図3では、IVCI、SV、CO、PEP、およびVCをすべて含む血行動態パラメータならびに他のパラメータが本明細書で説明するように得られる。
【0035】
図1の差込み図は、加速度計610からのECG、心音信号、およびフロー信号を示す。図1の差込み図におけるS1心音が生じる時間P1およびフロー信号のピーク時間位置F1を用いて、等容性収縮間隔IVCIを電子的に推定するための時間差が得られる。前駆出期PEPは、ECG信号のピークとフロー信号のピークF1の時間差を用いて電子的に導出される。フロー信号のピーク振幅は、図1の差込み図におけるPAmpによって示される。ピーク振幅PAmpは、所与の心臓鼓動の間のフロー信号の最大ピークと、この心臓鼓動に対する中央点線によって示されるフロー信号の基線平均との差として電子的に導出される。後続のピークJampも示されている。電子的プロセスの実施形態では、あらゆる心臓鼓動についてのPEP値およびあらゆる心臓鼓動についてのPAmp値を表す信号が生成される。
【0036】
ECG R波に整合された個々の心臓鼓動について重ね合わされたフロー信号の集合は、軽い運動から被験者が回復している間の信号振幅およびタイミング(ジッタ/伸び)の(最大2倍までの)相対的な変化を示している。いくつかの実施形態では、運動期間中および/または休息期間中のIVCIおよびPEPの一方または両方のジッタの変動ならびにこのような変動値の変化を表す信号も、心臓機能およびその変化の指示値として生成される。前駆出期(PEP)および収縮性(VC)を測定するいくつかの実施形態では、ECG電極の一つが図1の加速度計センサと物理的に組み合わされるか、または関連している。加速度計に加えて小型マイクロフォンを同じ胸部装着型物理的ユニット10内に設けることができ、それによって、並列処理用の心音を得ることができる。単一の胸部加速度計からの同時信号を分離して、生理学的な関連情報、例えば、心拍数、活動/動き、呼吸および胸腔内圧または胸郭内圧の変化、血行動態(タイミングおよび振幅ならびにそれらの変化)、咳、くしゃみ、いびき、話し方、呼吸音、足取り、呼吸、および他の活動を得ることができる。
【0037】
いくつかの加速度計センサの実施形態では、前駆出期(PEP)および収縮性(VC)またはそれらの傾向が推定されることが要求され得るが、例えば家庭にはECG電極がない。IVCIは、図1の差込み図のP1−F1間隔に基づいている。IVCIは、前駆出期(PEP)の直接の代用として、または、前駆出期(PEP)の傾向を得るために、慎重に用いる(かつ、収縮性(VC)を得るために用いる)。ここで、測定は、IVCIが、PEPまたはPEPの傾向に充分に相関すること、或いは、PEPおよびVCの変動をモニタリングすることが診療所に行くことを必要とする予想パラメータ範囲からの逸脱を検出するのに少なくとも充分であることを示す。加速度計およびECGによる以前の臨床測定値により、時間間隔調整値αおよび尺度βが較正されて、数式(15)にしたがってIVCIからPEPが推定される。ここで、測定は、調整値αおよび尺度βは、統計的に有意かつ充分に正確であること、また、α(HRなど)およびβ(HRなど)の値の表として測定されダウンロードされて、心拍数(HRなど)について調整されたIVCIからPEPが推定され得ることを示す。このようなアプローチは、遠隔地で他に代替方法が即座に利用可能でないときにのみ受け入れられよう。
【数1】

【0038】
いくつかの実施形態では、Z軸のピーク振幅PAmpまたは(SVおよびCOとよく相関する)他の軸の信号振幅を後処理して、図2で時間的に変化する出力信号および表示が提供または導出される。このような信号および表示は、SVやCOなどの血行動態パラメータの推定値だけでなく、血流信号からの情報とは独立して、または血流信号からの情報と組み合わせて、心音S1パルスの振幅/強度から図3のステップ790で直接導出可能な他の値の推定値を示す。この推定値は、先在する生理学的状態で始まり、後続の変動および/または異常な逸脱が興味の対象であるモニタリング応用例の場合に、SVおよびCO自体から追加の定数および尺度係数だけ異なることがある。SVおよびCOの血行動態パラメータは、ピーク振幅信号PAmp(t)における呼吸変動よりもかなりゆっくりと(例えば、0.2Hz未満または0.1Hz未満などで)時間tとともに変化し、そのため、SVおよびCOならびに呼吸は、ピーク振幅信号PAmp(t)から導出されるか、またはピーク振幅信号PAmp(t)のフィルタリング結果として得られ、表示及び記録され得ることに留意されたい。
【0039】
図4Aおよび図4Bでは、プロセスの実施形態が、図2のシステムストレージユニット630またはメモリにおいて物理的に表され、図2の信号処理ユニット620または図1のデジタル信号プロセッサDSPで実行される。図4Aでは、Z軸信号処理110〜180は概して図3(左側)のZ軸処理に類似しており、ステップ180で心拍数が出力され、さらなる詳細な説明は不要である。図4Bでは、Y軸信号処理910〜940、970、980が独立的にS−Gフィルタリング済み信号が減算されたY軸入力からの残留信号を求めることによっても心拍数を導出し得る。ステップ940での残留信号の電子的なピーク検出に続き、ピーク検出970および計数980が行われる。実施形態によっては、ステップ980から出力される心拍数信号は、図4Aの心拍数出力と混合され、かつ/または比較されるか、あるいは、図4Aの心拍数出力の代わりに、かつ心拍数出力なしで用いられる。
【0040】
さらに、図4Bでは、ステップ930からのS−Gフィルタリング済み信号自体が、血流と解釈されるリンジー(ringy)フロー信号であり、ディスプレイ650.1および任意選択のストレージ660.1用の電子出力950として提供される。また、フロー信号950は、心臓機能を示す電子出力である駆動関数(Forcing Function)F(t)が回復されるようにステップ960で処理される。このフロー信号は、質量m、緩衝ρ(ロー)、スプリングγ(ガンマ)という2次モデルパラメータのトリプレットの1つ、2つ、または全部がさらなる電子出力として推定されるようにステップ965で処理される。図4Bにおける図3のステップ770、785、および790は、ステップ930からのフロー信号を用いる。これらの出力は、さらに後処理されて、胸部と心臓の内部ならびに機能状態を電子的に表した図2に示す解釈および表示となるようにし得る。後処理は、駆動関数F(t)(ニュートン)と2次線形微分方程式(式(16))における質量m、緩衝ρ(ロー)、スプリングγ(ガンマ)の定数係数パラメータとを有する2次システムモデルからのような、図4Bのステップ950における(Y軸加速度計センサから導出される)減衰した振動フロー信号に適用される。変数yは、平均y位置(概念的には、例えば臀部などの身体上の何らかの基準静止点から測定される位置であって、この位置に対して相対的に胸部が変位する)からの胸部センサの物理的な変位を表す。
【数2】

【0041】
直立した人間のモデルは、これらのパラメータの第1のトリプレットを有し、下付き文字を「1」とし、うつぶせに寝た人間のモデルは、第2のトリプレットを有し、下付き文字を「2」とする。直立およびうつぶせの姿勢では、Y軸センサは、身体対称上下軸に平行に、胸部の同じ位置にある。Y軸センサから(例えば、S−Gフィルタリングによって)ステップ930で導出されるg(i)であるフロー信号950は、各々が式(16)の2次導関数∂x/∂t自体にほぼ比例する一連のサンプルg(t)である。緩衝パラメータρはエネルギー消散を導入するものであり、減衰振動信号の減衰時定数τは質量パラメータm(キログラム)を緩衝パラメータρ(ニュートン/(メートル/秒))で除算したものに関連している。
【数3】

【0042】
減衰信号の周波数fは、(1/2π)√(γ/m)、すなわち、スプリングパラメータγ(ニュートン/メートル)と質量パラメータm(キログラム)の比の平方根に関連している。
【数4】

【0043】
式(19)に書き換えられる式(16)を用いて、y軸からの減衰振動フロー信号波形S(t)=∂y/∂tの数値積分による後処理により、F(T)/mが適切に推定される。この数値積分は、所与の心臓鼓動について図29(第3波形)で紡錘形の各加速度計Y軸波形が開始すると開始される。積分定数は、ゼロ位置、ゼロ速度である。駆動関数F(t)の形状または形態に基づく応用例では、質量mは形状に影響を及ぼさない単なる比例定数であり、質量は、キログラムで表した身体質量の一部(例えば0.6)である、頭部および胴体の質量とみなすことができる。時定数τは、紡錘形の加速度計波形のピークからこの波形の約2/3がなくなる(すなわち、紡錘形の後端でその前のピーク振幅の1/eまで減少し、ここで、eは自然対数の底で2.71828...である)時間までの時間長として数値的に推定される。時定数τは、約1/4秒である。周波数fは、紡錘形加速度計波形の或る部分における繰返し数をその部分が占める秒で表される時間で除算したものとして数値的に推定される。図29では、周期数fは約8Hzである。
【数5】

【0044】
駆動関数のY軸センサに平行な成分F(t)は、1)心室収縮時の心臓の物理的な加速度、および2)左心室から大動脈に吐き出される血液の加速度によってもたらされることがある。スプリング定数としてのパラメータγおよび緩衝としてのパラメータρは、胸部および腹部の内部の機械的特性の或る種の総平均に関連している。質量パラメータmは、おそらくは胴体の質量、中でもおそらくは頭部の質量に関連または比例しているが、おそらくは脚部の質量には関連も比例もしていない。というのは、脚部はY軸方向に加速されないからである。S1−S1波形は、減衰振動の直前に振動の立ち上がり振幅も有する。これについては図1を参照されたい。これは、大静脈から右心房への血液の流入と、右心室収縮により血液が肺動脈に至るものとによるものであり得る。駆動関数F(t)の導出および解析のための実施形態では、心臓機能および肺機能ならびに血行動態データに関する情報が得られる。
【0045】
Y軸およびZ軸と同様に、X軸センサ情報もモニタリングすることができる。X軸センサの向きは、胸部の横方向全体にわたって加速度が検知されるようになっている。式(20−X)で用いる横軸変位変数xは、平均x位置からの(あるいは、概念的には、心臓の質量中心などの基準点(この基準点に対して相対的に胸部が変位する)からの)胸部センサの左右の物理的変位を表す。X軸センサからの信号は、Y軸信号と並列に、かつY軸信号と同様にフィルタリングされる。胸部では心臓が非対称に位置し、かつ斜めになっているため、フィルタリングされたX軸センサからは、ベクトルである駆動関数F(t)の横方向(左右)成分F(t)が得られる。駆動関数の成分F(t)およびF(t)からは、任意の適切なプロセスによって、大動脈、大静脈、ならびに肺動脈および肺静脈に関連する血行動態情報のみならず、心臓機能、肺機能、ならびに胸膜、胸膜腔、および心膜の特性に関するさらなる有用な情報が得られる。このパラメータトリプレットは、直立姿勢(「1」)および関連するY軸またはX軸センサを示すために下付き文字をそれぞれ「1Y」および「1X」とする。うつぶせ姿勢の場合、下付き文字「1」は「2」となる。
【数6】

【0046】
図5に移って、いくつかの実施形態では、軽量の硬貨サイズの加速度計センサ10および送信機、送受信機、またはトランスポンダチップが、薄い弾性プラスチック支持プレート上にしっかりと搭載される。この支持プレートは、丸い滑らかにされたまたはフランジが付けられた周辺部を有し、胸部に貼り付けられる。加速度計センサZ軸は、このプラスチック支持体に対し垂直である。このチップは、問い合わせ信号から電力を取り入れるようにすることもできるし、あるいは、やはりプラスチック支持体上に搭載される小型電池から電力を得るようにすることもできる。テキサス・インスツルメンツ社のMSP430(登録商標)プロセッサまたは他の低電力プロセッサおよび近距離無線送信機を含めることができ、例えば、有線インターフェースおよびUSB(ユニバーサルシリアルバス)コネクタをさらに有していてもよい。
【0047】
図5では、胸部の加速度計センサのX、Y、およびZ軸の向きが変わることがあり、全体的な物理的加速度ベクトルaを、異なるいくつかのセンサ軸に、これらのセンサ軸のベクトル成分に従って単に割り当てている。したがって、これらの加速度計センサ信号の仮想的な方向再設定または最適化を行うための電子処理モジュール990.1により、式(21)に示すように、あたかもこれらの加速度計軸自体が回転されるかのようにX、Y、Z用の信号を混合する回転行列を乗算することによって、これらの軸が回転される。角度θは、Y軸センサが胸部上のその固定位置から仮想的に回転されて身体の脚部−頭部方向に沿うようにするための角度である。角度φは、Z軸センサをその固定位置から胸部にほぼ直交して脚部−頭部方向に向かって仮想的に回転させるための角度である。ベクトルVは、Z軸信号、Y軸信号、およびX軸信号を表し、式(21)で表す回転行列Rを用いて、回転積R×Vに従って図5において電子的に乗算される行列である。
【数7】

【0048】
この軸回転は、信号出力(例えば、血流、心音)が最大になるように適切にカスタマイズされる。角度θおよびφはそれぞれ、対応する所与のフィードバック制御回路995.1によって、所望のタイプの信号出力が最大になるように変更される。図5において、例えば、いくつかの実施形態ではフィードバック制御995.1を実行して、それにより心臓モニタリング経路の心音信号と、実行前の構成ルーチンとしてまたは実行時に動的に確立される、フィードバックループ990.1、130、140、...、995.1の回転プロセス990.1用の軸回転パラメータとが最大になるようにする。このフィードバックループは、心音および心拍数をモニタリングするために、図3および図4Aの未処理Z軸信号の代わりの入力としてZ軸とY軸の(およびX軸も有用となり得る)線形結合がZ軸のSavitzky−Golay多項式フィルタ130に供給されるように軸を回転させて、折り返し相関の出力におけるS1ピークの振幅を最大にする。同様に、図5では、いくつかの実施形態ではこれに加えて、またはこの代わりに、図3および図4Bの未処理Y軸信号の代わりの入力としてX軸とY軸の(およびZ軸も有用となり得る)線形結合がY軸のSavitzky−Golay多項式フィルタ930に供給されるように独立に軸を回転させることによってフィードバックループ990.2、930、...、995.2を実行して、図1の血流信号ピーク振幅PAmpを最大にする。1回の回転990および1回のフィードバック制御995は、心音振幅および/または血流信号振幅のようないくつかの信号を合わせて用いることによって行うことができる。動作モードおよび構成モードは、それぞれのビットまたはビット領域を備えた1つまたは複数の制御レジスタによってアクティブまたはイナクティブにすることができる。手動モードは、アクティブになると、フィードバック制御に優先し、臨床医が手動で図2のコンピュータディスプレイ上で信号の仮想回転を最適化できるようにする。
信号平滑化用フィルタリング
【0049】
図3(左側)および図4Aおよび図4Bでは、全体的な動きが追跡され、主要な加速度計に基づく信号と相殺されて、いわゆる残留信号が残る。多項式平滑フィルタ130(例えば、Savitzky−Golayフィルタ)は、特定次数の多項式により特定のデータウィンドウ内で最小二乗近似によって電子的かつデジタル的に所与の加速度計に基づくデータ信号ストリームを平滑化し、変曲点のまわりの、またはピークや谷などの極値における一層高次のモーメントを保持する。これは、デジタル的な移動平均や低域フィルタでは行えない。この残留信号は、主に、心音および他の心臓活動を提供する信号である。約20次から30次の次数が適当であるが、より低次でも、或る種のウィンドウサイズや応用例によっては1次さえ、うまく機能し得る。また、低次多項式フィルタリングの例では、本明細書の血行動態モニタリング用の血流信号が得られる。ポイントの数を多項式の次数の少なくとも約1倍半(1.5倍以上)やそれよりも実質的に高くすると、ノイズを減らす助けとなり得る。
【0050】
図3および図4Aの平滑フィルタ130または図4Bの平滑フィルタ930は、次数Mおよびフレームサイズ(サンプル点数N)に対して構成される。固定ウィンドウ長で点数がNの場合、より高次の多項式によりストリーミングデータの高周波数成分がよりよくフィッティングされる。所与の次数Mでは、時間ウィンドウtを短くすると、高周波数成分がよりよくフィッティングされる。最適化の一方法では、低周波数成分の固有次数を推定し、N>M+1およびNが奇数である(すなわち、N=2N+1)ことを満足する最小ウィンドウを選択する。ウィンドウサイズNを小さくすることは、平滑フィルタリングを行うための乗算累算フィルタプロセスのタップ数が小さくなることを意味する。幾つかの応用例における加速度計信号では、次数Mが1で、ウィンドウサイズNが3(サンプリング周波数が1000Hz)である。本明細書のいくつかの例では、より高次の次数Mおよびウィンドウ幅Nを示している。
【0051】
図3(左側)および図4Aでは、動き、心音、および心拍数が、加速度計10のデータから電子的に分離され確認される。これは、以下のステップを用いて行われる。a)加速度計データを低域フィルタリングし(110)、デシメーションし(120)、b)Savitzky−Golayフィルタリングを行って(130)、比較的低い周波数の動きのデータをフィッティングし、c)(ステップaからの)低域フィルタリングされた加速度計データからSavitzky−Golayフィルタの出力を減算して(140)心音を得、d)折り返し相関を行って(160)、主要な心音(S1およびS2)のピーク位置を強調し、e)ピークを取り出し(170)、あらかじめ決められるか構成されるセグメント(時間間隔)におけるS1ピークを計数し、1分間当たりの鼓動BPMにおける心拍数HRを計数する(180)。
【0052】
デシメーションにより、n個のサンプル毎に1個のサンプルが取り出される(すべてを取り出す必要はなく、厳密に10個から1個のサンプルを取り出す)。そのため、サンプリング/ADCから1秒当たりf個のサンプルが供給される場合、デシメーション周波数はf/nサンプル/秒になる。ウィンドウ期間がt秒の場合、ウィンドウ点数N=2N+1はN=1+f/nになる。取得対象の特定の特性および挙動の時間期間に鑑みて、ウィンドウ期間tを選択する。図1のアンチエイリアスフィルタAAFを0.5fs以下とした場合のコスト、物理的サイズ、および複雑さに鑑みて、サンプリング周波数fを選択し、次いでfでサンプリングを行う。AAF出力をサンプリングするには、サンプリング周波数fをナイキスト周波数よりも大きな値に設定する。サンプリング/ADC後に50HzLPFよりも高いf/nが得られるようにデシメーションパラメータnを選択して効果的なLPFが得られるようにする。ウィンドウ点数Nをフィルタの次数Mよりも相対的に高くしてフィルタノイズを低く保つようにもデシメーションパラメータnを選択する一方で、ウィンドウ点数Nはやはり、フィルタ演算によりウィンドウ内で信号ストリームが満足にフィルタリングされる程度に充分に小さくする。フィルタ演算は、1つのウィンドウ当たりの点数Nと、1秒当たりに処理されるウィンドウのレート数rとの積に関連している。フィルタ演算は、r=N/tの場合、N/tに比例する。そのため、エネルギーを節約しコストを下げるには、ウィンドウ点数を少なくし、ウィンドウ期間を長くすることになる。注目すべきことには、本明細書の例は幾つかの応用例についてこれらの事項を満足するが、他の例も考案し得る。
【0053】
ステップ130、730、930の様々な形態のためのプロセスを分割して、いくつかのオフライン電子処理およびリアルタイム・オンライン電子処理にすることができる。下記の式(1)中の表現‖(x−Ab)‖は、[(2N+1)×M]変換行列Aに変換係数bの[M×1]ベクトルを乗算することにより得られる、[(2N+1)×1]個のそれぞれのデータストリームベクトルサンプル点またはストリーム成分と、これらのストリーム成分の(2N+1)個のそれぞれの推定値との差の二乗和を表す。変換係数bの数はMであり、M個の変換係数bが[M×1]ベクトルbを形成する。勾配∇は、変換係数bに関する[M×1]ベクトルの第1偏導関数である。係数bの数Mを次数と呼び、変換係数bの数がMの場合、このプロセスの次数はMになる。変換係数bに関する[M×M]行列の第2偏導関数を∇∇と表す。このフィルタリング手順は、初期変換係数推定値b=0を更新する(すなわち、係数をすべてゼロに初期化する)ための係数変更係数ベクトル?bを必要とし、このフィルタリング手順で実際に係数変更係数ベクトル?bが形成される。この手順では、この変換係数変更ベクトルを求めるために、第2偏導関数の行列に勾配を負にしたものをあらかじめ乗算する。
【数8】

式(1)は2次表現を含み、b=0から始まるので、このプロセスにより、1つの経路で変換係数の値b=Δbが見つかり、さらに繰り返す必要はない。
【0054】
式(2)は、式(1)で表される微積分演算を実行した結果を表す。(いくつかの実施形態では、式(2)で得られる係数bを、記録保存しさらなる解析を行うため遠隔地に送信する。というのは、これらの実施形態では、データウィンドウ内の情報のほとんどが効果的に圧縮されるからである。係数を送信する場合、[M×(2N+1)]行列の(AA)−1があらかじめ演算され、次いで、送信中に局所的に各データウィンドウが乗算される。他の実施形態では、このような圧縮および/または送信が省略されるか、遠隔コマンドを受けた場合にのみ局所的に行われる。これにより、電力および処理の複雑さが幾分緩和される。)
【数9】

式(2)は反転行列(AA)−1が存在することが前提である。反転行列は、行列Aの行が線形独立(最大階数)であり、充分な数のデータ点N=(2N+1)により、この行列の充分な数の対応する列が反転行列を供給するのに充分に供給されるときに存在する。
【0055】
多項式変換プロセスの特殊なケースでは、指数行列がべき乗される。この場合、変換行列Aのn番目の行のj番目の列要素Anjがべき乗されてnになる。言い換えると、データストリームX(i+n)のウィンドウ内の−Nから+Nの(2N+1)個のnの異なる値について、この変換により、すべての値が近似されるようによくフィッティングする、べき級数についての1組の係数bが見つかる。このようなべき級数は一般に、式(3)で表される。
【数10】

【0056】
Savitzky−Golayフィルタリングは、式(2)により推定される値bを、指数iのウィンドウについてのフィルタ出力g(i)として出力する。これは、各データウィンドウについて、そして、後に続く指数g(i)についてウィンドウ毎に引き続き行われる。行列Aの行は、異なる行のどの対についても内積がゼロのときに直交する。下記の表1にこれらの行を示す。行列の行nにおける値がAnjの行は、多項式変換の例では非直交である(「^」はべき乗を表す)。
【表1】

【0057】
次いで、このプロセスにより、下記の推定データストリームが見つかる。
【数11】

【0058】
電子的なプロセスが、式(2)で示すように処理回路内に設定され、この処理回路によって電子的に実行される。Savitzky−Golayフィルタリングの場合、このプロセスは、bの推定値としてg(i)のみが見つかるように、また、オフライン事前演算が可能な限り多く実行されるように最適化される。したがって、式(4)は、式(4)中の行列A全体の代わりに、第1の事前乗算行列Aのn=0の行[1×M]のみが用いられるように、式(5)のように書き換えられる。
【数12】

【0059】
Savitzky−Golayフィルタリングの数学的表現では、ウィンドウを1組の(2N+1)個のフィルタ係数c(n)が乗算加算されたものとみなすことがある。ここで、[1×(2N+1)]個のフィルタ係数ベクトルCを以下のように導入する。
【数13】

ここで、
【数14】

である。
【0060】
式(8)で、式(6)と等価な代替表記CIは、式(7)に[(2N+1)×(2N+1)]恒等行列Iを後ろから乗算したものであり、この恒等行列Iの各列を[(2N+1)×1]単位ベクトルεと呼ぶ。εのための「単位ベクトル」という用語は、n番目の行位置における1を除いてすべてゼロからなる[(2N+1)×1]ベクトルを意味する。さらに、[1×M]の行n=0のベクトル[1 0 0 ...0]を前から乗算していることを考慮すると、反転行列(AA)−1の第1行を形成する行列反転演算のみが関連しており、これが実施される。そのため、これらのフィルタ係数は、式(7)と等価である式(8)の表記においても等価に表現される。
【数15】

【0061】
Savitzky−Golayフィルタは、最小二乗的な局所多項式フィッティングを行う。所与の入力可変データウィンドウx(i+n)で、ウィンドウの長さが2N+1、かつ、選択された多項式の度合いがMの場合、フィルタ出力はg(i)で与えられる。フィルタ係数c(n)は、そのうちの2N+1個が、例えばオフラインで、式(7)または式(8)で表される電子的な演算によって計算され、人に装着されるかまたはその近くに置かれ無線で加速度計センサ10に結合する小型信号処理ユニットのフラッシュメモリにロードされる。この信号処理ユニットは、適切には、フィルタ係数c(n)にアクセスする格納されたプログラムに従って式(6)によって表される乗算累算(MAC)を電子的に実施するプロセッサなどのデジタル信号プロセッサ回路を有する。
【0062】
いくつかの他の実施形態では、出力として用いられる指数n(例えばn=0)での値を中心としないウィンドウが用いられる。多項式変換行列A(表1)の代わりに他のタイプの行列を用いてもよい。当業者なら、所望の変換方式、ウィンドウ(フレーム)サイズ(例えば2N+1)、および次数Mを選択し得る。また、最初のフィルタリング手順のg(i)出力からはデータストリームが生成されるが、それ自体が式(9B)中の列ベクトルg(i)によって表されるようにウィンドウ化され得ることに留意されたい。式(9A)、(9B)では、式(4)の2つの低次フィルタがカスケード接続され、実施される演算の電子的な処理の複雑さが最小限になる。変換行列A1およびA2は同じものとすることもできるし、異なってもよく、ウィンドウサイズ(2N+1)および(2N+1)も同じでも異なってもよく、次数MおよびMも同じでも異なってもよい。これらはそれぞれ独立に設定し得る。
【数16】

【0063】
いくつかの実施形態では、主対角線より下の重みを除き[(2N+1)×(2N+1)]行列のすべてゼロである対角重み行列WもSGプロセスに適用し得る。これらの重みは、例えば、対角線の中央で1とし、この対角線の中央から離れるにしたがって値が対称に減少するようにし得る。式(1)は以下のように書き換えられる。
【数17】

【0064】
次いで、出力のための式(5)で表される電子的なプロセスは、以下のように書き換えられる。
【数18】

【0065】
いくつかの実施形態では、変換のタイプおよび行列Aの選択は、構成によって固定/事前定義されるか、または準静的に決定される。行列Aまたは変換のタイプまたは所与の変換のパラメータを動的に構成または選択することも企図される。
【0066】
いくつかの他の実施形態では、データストリームXの異なるウィンドウ化セグメントからの、式(4)の変換出力から得られる1組の値を記憶し平均を取る。そのため、いくつかのフィルタリングは並列に行われ、オフセット平均される。すべての値は、同じ瞬間(i+n)=tでは再構築された値を表す。このアプローチでは、n=0の行を用いてbを近似するだけでなく、式(3)から利用可能な他の係数についても変換近似値を用いる。電子プロセッサは、式(12)を電子的に実施する。式(12)で、X’(i+n)は式(4)で表したものである。
【数19】

【0067】
そのため、他のタイプのプロセスも、Savitzky−Golayであるか否かにかかわらず、本明細書の教示に従って行うことができる。当業者なら、加速度計に基づくライブラリ波形を用いてテストベンチを設定し、次いで、手作業または自動プロセスで変換行列の選択、点数(2N+1)の選択、および次数Mの選択を行い得る。フィルタリングの選択は、図1のプロセスからの出力の表示を目視検査することにより、または、見逃し、誤検出などの測定基準に従った自動処理により試験される。次いで、このような好適な測定基準を有する1つまたは複数のフィルタプロセスについて、変換行列Aの値および(2N+1)、M、2N+1などの値が、モニタリングデバイスのフラッシュメモリまたはハードドライブにロードされ、プロセッサ上でリアルタイムで実行される。ある実施形態での変換は、身体に装着した加速度計から得られる本明細書のデータストリームXに応答して、実際のデータストリームベクトルx(i+n)に近似し、時間にわたって心音ピークをよく追跡する出力信号ストリームを生成する。いくつかの実施形態では、充分に小さいフレームサイズ(2N+1)、次数Mを用い、かつ/または、効率のよい変換行列Aを用いることによって処理の複雑さを軽減して、モニタリングの所期の目的の所望の性能が実現される。この同じ変換方式が、多数の患者、加速度計、およびその身体上の位置に対して、かつ、診療所、病院、家庭、運動施設などの様々な使用環境で、複雑さが抑えられかつ性能よく実施されることが望ましい。
【0068】
エンベロープに基づくノイズ除去150において、振幅エンベロープが生成される。図3および図4Aの残留信号ストリームr(i)=x(i)−g(i)は、LPFから供給される入力x(i)から平滑化フィルタの出力g(i)を減算する減算ステップ140からのいくらかの残りのノイズを有する。エンベロープをこの残部にフィッティングする。振幅に基づいて処理される出力R(i)は、エンベロープによりフィッティングされた残部r(i)から導出される。水平軸近傍のノイズn(i)はかなり低減される。演算では、エンベロープに関連する可変利得関数を用いることができ、また、エンベロープがピークを通る低閾値より低いときゼロ信号出力が生成される。
【0069】
折り返し相関160では、残部の入力データストリームr(i)=x(i)−g(i)またはエンベロープ処理された残部R(i)が加わり、ここでg(i)は、例えば式(6)による、またはそれ用のバッファメモリからの、平滑フィルタの出力である。R(i)は、長さが2N+1の(指数n=0,1,2...Nによってアクセスされる点を有する)さらなるデータウィンドウ(フレーム)によってウィンドウ化される。
【0070】
折り返し相関の出力f(i)は、式(13)によって与えられる。
【数20】

【0071】
平滑フィルタ減算からの心臓モニタリング残留信号サンプルR(i)についてのデジタルデータストリームは、指数iの重なり合うフレーム内で連続して処理される。2N+1の値は、所望の信号イベント(例えば、S1、S2、またはR波)の幅tに近似される。S1の長さは、おそらくは約100〜150ミリ秒である。デシメーションされたサンプリング周波数fが1000サンプル/秒である場合、2N+1の値は、例えば、101と151の間の奇数として設定され、Nは50以上75以下のいずれかの数である。そのため、
【数21】

となる。
【0072】
の値は、フラッシュメモリ内に構成することができ、現地または遠隔地の操作者が図2のシステムを用いて選択または変更し得る。式(13)で表される電子的な折り返し相関プロセス160では、各フレームの後ろ半分からの心臓モニタリング残部サンプルR(i+N−n)は、そのフレーム内の心臓モニタリング中央サンプルR(i)のまわりに折り込まれ、各フレームの前半分における心臓モニタリング残部サンプルR(i−N+n)とのドット積(式(13)の積和)で乗算される。ドット積の結果は、フレームの中心における入力残部信号ストリームR(i)の瞬間iに対応する折り返し相関出力信号ストリームf(i)である。後続の閾値処理によりS1ピークをパスし、それが計数される。
【0073】
処理回路は、デジタル集積回路、アナログ集積回路、およびミックスドシグナル(デジタル/アナログ)集積回路、ASIC回路、PAL、PLA、復号器、メモリ、プログラマブルプロセッサおよびノンプログラマブルプロセッサ、マイクロコントローラ、ならびに他の回路を含む。結合および接続は、オーミック、容量性、誘導性、フォトニック、直接的または間接的ビア介在回路、または他の望ましいものを包含する。フローチャートおよびブロック図はそれぞれ構造および/またはプロセスを表すと解釈することができる。
【0074】
当業者には、本発明の特許請求の範囲内で他の多くの実施形態および変形も可能であることが理解されよう。例示の実施形態の文脈で説明した特徴またはステップの全部または一部を有する例示の実施例の文脈で説明した一つ又は複数の特徴又はステップの異なる組合せを有する実施形態も本明細書に包含されることを意図している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子モニタリングデバイスであって、
身体モニタリング用の少なくとも1つの信号入力を有する電子プロセッサ、及び、
前記電子プロセッサに結合され、前記電子プロセッサ用の命令を保持するメモリであって、他の変形心臓信号と混ざった、心臓パルスを含む心臓信号を隔離するように前記電子プロセッサが動作可能となるようになっており、前記電子プロセッサがさらに、変化する血流信号を前記心臓パルスから分離するフィルタを実行し、かつ、少なくとも前記変化する血流信号に基づく情報を出力するように動作可能である、前記メモリ、
を含む電子モニタリングデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記心臓信号から心臓パルスを分離し、かつ、選択される心臓パルスと前記選択された心臓パルスの後の前記変化する血流信号のピークとの時間差に基づいて血行動態パラメータの電子的表現を生成するようにも動作可能である、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、いずれも胸部加速度計センサ回路に基づく、血行動態パラメータ、心拍数、および呼吸パラメータを提供するように動作可能である、デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載のデバイスであって、前記血流信号用の前記フィルタがさらに、ウィンドウサイズが約200ミリ秒の低次多項式フィルタを用いて前記心臓信号を平滑化する、デバイス。
【請求項5】
請求項2に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号に対して電子的ピーク検出を実施して、前記ピークのフローピーク振幅および時間位置を特定するように動作可能である、デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号を用いて等容性収縮間隔の電子的表現を出力するように動作可能である、デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記等容性収縮間隔を用いて収縮性の電子的表現を生成するように動作可能である、デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号に対して電子的ピーク検出を実施してフローピーク振幅(PAmp)を特定し、かつ、前記フローピーク振幅(PAmp)の関数として血行動態パラメータを生成するように動作可能である、デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号のフローピーク振幅(PAmp)の鼓動毎の値の変動から、呼吸、胸腔内圧、および胸郭内圧の少なくとも1つに関連する信号を導出するように動作可能である、デバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号から前記心臓パルスおよび心拍数(HR)を得るように動作可能であり、さらに、前記心拍数(HR)を乗算した前記変化する血流信号のフローピーク振幅(PAmp)の関数として血行動態パラメータを生成するように動作可能である、デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスであって、
側面部と、前記側面部に対し平行に加速度感度の直交軸を有する加速度計センサ回路とを有する加速度計センサアセンブリをさらに含み、
前記電子プロセッサが、前記加速度感度軸の少なくとも2つを表す、前記加速度計センサ回路からの信号を混合するように動作可能である、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、選択される心臓パルスと前記選択された心臓パルスの後の前記変化する血流信号のピークとの時間差内の心臓鼓動にわたってジッタの測定値を生成するように動作可能である、デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、いずれも胸部加速度計センサ回路に基づく、血行動態パラメータ、心拍数、および呼吸パラメータを提供するように動作可能である、デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号に対して電子的ピーク検出を実施してフローピーク振幅(PAmp)を特定し、かつ、前記フローピーク振幅(PAmp)の関数として血行動態パラメータを生成するように動作可能である、デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のデバイスであって、前記電子プロセッサがさらに、前記変化する血流信号から心臓パルスおよび心拍数(HR)を得るように動作可能であり、さらに、前記心拍数(HR)を乗算した前記変化する血流信号のフローピーク振幅(PAmp)の関数として血行動態パラメータを生成するように動作可能である、デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−511350(P2013−511350A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540048(P2012−540048)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/057188
【国際公開番号】WO2011/068687
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(390020248)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 (219)
【出願人】(507107291)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (50)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
【Fターム(参考)】