血液分析装置およびプログラム
【課題】誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができる血液分析装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理部14は、ビデオカメラ10から画像データを入力する信号入力部15と、画像データを処理するデータ処理部18と、画像データを記憶する記憶部19とを備えている。画像データ処理部18は、血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部18aと、輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と閉曲線との交点の数に基づいて、血液に由来しない像を検知する検知処理部18bとを備えている。
【解決手段】画像処理部14は、ビデオカメラ10から画像データを入力する信号入力部15と、画像データを処理するデータ処理部18と、画像データを記憶する記憶部19とを備えている。画像データ処理部18は、血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部18aと、輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と閉曲線との交点の数に基づいて、血液に由来しない像を検知する検知処理部18bとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置に関する。また、本発明は、本血液分析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにも関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、血液中に含まれる成分と特異的に結びつくことで凝集反応を生じる血球粒子、ラテックス粒子、炭素粒子等の試薬を用いて血液を凝集反応させ、その凝集反応を光学的に測定して得た凝集パターンを判別して、血液成分(赤血球、白血球、血小板、リンパ球等)、血清成分(各種抗体、抗原、特異蛋白、ビールス等)、および異物を検出・分析することが行われている。凝集/非凝集の判定は、少量であるならば、目視によることも行われているが、大量処理には不向きである。そこで、大量処理が必要な場合には、検体の分取から反応・判定までを自動的に行うことができる自動血液分析装置が用いられている。
【0003】
このような凝集/非凝集の判定方法として種々の方法が提案されている。例えば特許文献1には、被検粒子の反応パターンの中心部と周辺部との境界部の測定データを抽出してその変化率を求め、その変化率に基づいて凝集/非凝集を判定する方法が記載されている。この方法は、他のものに比べて感度が高く、凝集力の弱い凝集パターンでも正確に判定できるものである。
【特許文献1】特開2001−133398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の判定方法においては、反応パターンに泡等の異物が混入した際に、それがノイズになり誤判定を生じる可能性があるという問題がある。このため、装置の操作者が目視その他の方法により判定結果をチェックして補正する必要があり、操作者の負担が増大するという問題もある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができる血液分析装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置において、前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部とを有することを特徴とする血液分析装置である。
【0007】
また、本発明の血液分析装置において、前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部と、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラムである。
【0009】
また、本発明のプログラムにおいて、前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、血液に由来しない像を検知することによって、誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による血液分析装置の構成を示している。本実施形態では、血液を収容する反応容器としてマイクロプレート11を用いる。図2に示すようにマイクロプレート11には、円錐状に窪んだ底面を有するウェル11aがマトリクス状に多数形成されている。各ウェル11aに血液が収容され、さらに凝集反応用の試薬が混入される。また、マイクロプレート11は、蛍光灯電源13に接続された蛍光灯12によって底面側から照明される。蛍光灯12によって照明されたマイクロプレート11の各ウェル11aの底面の像は、ビデオカメラ10(撮像装置)によって順次撮像される。ビデオカメラ10は、撮像によって得た画像データを画像処理部14に供給する。
【0012】
画像処理部14は、ビデオカメラ10から画像データを入力する信号入力部15と、画像データを処理するデータ処理部18と、画像データを記憶する記憶部19とを備えている。データ処理部18は、画像データに基づいてウェル11aの底面像の中心部と周辺部との境界部における透過光量の変化率の平均値を求め、その平均値を基準値と比較して凝集/非凝集を判定する。また、データ処理部18は、血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部18aと、正常像と、血液に由来しない泡や異物等を含む異常像とを検知する検知処理部18bとを有している。マイクロプレート11とビデオカメラ10とを水平面内で2次元方向に相対的に移動させながら、各ウェル11aの底面の画像データが順次取り込まれる。表示部16は、データ処理部18によって得られた判定結果等を表示する。入力部17は操作者の入力操作を受け付ける。
【0013】
図8および図9は、上記の構成による血液分析装置が取り込んだ画像の代表例を示している。図8は典型的な非凝集像を示しており、図9は典型的な凝集像を示している。画像処理により、凝集像と非凝集像が区別される。図10に示すように、ウェル11a内に泡100が入った場合には、凝集像であると判定されるべき像が従来の手法では非凝集像であると誤判定されてしまう。また、図11に示すように、非凝集像においても、泡110bが入ることによる影響を装置の使用者に告知することが必要とされる。
【0014】
図10のような画像が得られた場合、物体の中心が抜けているかどうかをチェックするだけで泡の有無を判定することが可能である。しかし、図11のような画像が得られた場合には、本来の像110aと泡110bが同一の物体と認識され、その中心が抜けていないと判定されるため、同様の方法では誤判定してしまう。そこで、本実施形態では、図11のような画像が得られた場合でも泡等の異物の有無を判定することが可能な方法を採っている。
【0015】
以下、本実施形態における異物の有無の判定手順を説明する。図3は判定手順を示している。信号入力部15に入力された画像データは記憶部19に格納される。データ処理部18は記憶部19から画像データを読み出し、以下の処理を実行する。まず、データ処理部18は画像の輝度に基づいて判定対象の処理エリア内の塊を探し(ステップS100)、塊の有無を判定する(ステップS101)。
【0016】
塊がなかった場合には、データ処理部18(検知処理部18b)は、得られた画像が正常像であると判定し(ステップS109)、処理を終了する。また、塊があった場合には、データ処理部18(抽出処理部18a)は、発見された塊の中で最大のものを抽出する(ステップS102)。続いて、データ処理部18(抽出処理部18a)は、塊に外接する四角形(例えば図4の四角形40)を求め(ステップS103)、その四角形内の画像に対して、エッジを検出して強調する処理を行い(ステップS104)、画像を2値化する(ステップS105)。さらに、データ処理部18(抽出処理部18a)は細線化処理を行う(ステップS106)。これにより、反応像のエッジ(輪郭)(例えば図5のエッジ50a,50b)のみが抽出される。
【0017】
続いて、データ処理部18(検知処理部18b)は、エッジを構成する閉曲線内を通る直線と閉曲線との交点の数をカウント(計数)する(ステップS107)。この交点の数は、エッジに外接する四角形内で垂直方向または水平方向に並ぶ一次元の画素群のうち、エッジを含む画素の数としてカウントされる。例えば、図6に示す画像では、直線61と閉曲線60a,60b(エッジ)との交点は2つ(交点62a,62b)である。また、直線63と閉曲線60a,60b(エッジ)との交点は4つ(交点64a,64b,64c,64d)である。
【0018】
カウントする直線の方向は水平または垂直である必要はなく、例えば図7に示すように斜め45°としてもよい。また、判定精度をより高めるため、垂直方向および水平方向のそれぞれ3本以上の直線を用いて交点の数をカウントすることが望ましい。典型的な非凝集像であれば、エッジの形状は円形であり、中心は抜けていないので、交点の数は最大で2となる。これに対し、泡がある場合には、像が中空となるため、エッジ強調の際に形状が二重円となり、交点の数は最大で4となる。また、図10に示すように、凝集像と泡が一緒になった場合の像でも、上記の手順により、交点の数は最大4となる。これによって、正常像と、異物を含む異常像とを区別することが可能となる。
【0019】
ステップS107の結果に基づいて、データ処理部18(検知処理部18b)は交点の数(複数本の直線について交点の数を求めた場合にはそれらの最大値)を判定する(ステップS108)。交点の数が3未満であった場合、データ処理部18(検知処理部18b)は、得られた画像が正常像であると判定し(ステップS109)、処理を終了する。
【0020】
また、交点の数が3以上であった場合、データ処理部18(検知処理部18b)は、得られた画像が異常像であると判定する(ステップS110)。この場合、異常を示すメッセージ等が表示部16によって表示され(ステップS111)、処理が終了する。
【0021】
上述したように、本実施形態によれば、血液に由来しない異物による像を自動で検知することによって、誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができる。
【0022】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、画像処理部14の動作および機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させてもよい。
【0023】
ここで、「コンピュータ」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0024】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能を、コンピュータに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による血液分析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるマイクロプレートの外観図である。
【図3】本発明の一実施形態による血液分析装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図5】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図6】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図7】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図8】典型的な非凝集像を示す参考図である。
【図9】典型的な凝集像を示す参考図である。
【図10】異物を含む凝集像を示す参考図である。
【図11】異物を含む非凝集像を示す参考図である。
【符号の説明】
【0026】
10・・・ビデオカメラ、11・・・マイクロプレート、11a・・・ウェル、12・・・蛍光灯、13・・・蛍光灯電源、14・・・画像処理部、15・・・信号入力部、16・・・表示部、17・・・入力部、18・・・データ処理部、18a・・・抽出処理部、18b・・・検知処理部、19・・・記憶部
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置に関する。また、本発明は、本血液分析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにも関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、血液中に含まれる成分と特異的に結びつくことで凝集反応を生じる血球粒子、ラテックス粒子、炭素粒子等の試薬を用いて血液を凝集反応させ、その凝集反応を光学的に測定して得た凝集パターンを判別して、血液成分(赤血球、白血球、血小板、リンパ球等)、血清成分(各種抗体、抗原、特異蛋白、ビールス等)、および異物を検出・分析することが行われている。凝集/非凝集の判定は、少量であるならば、目視によることも行われているが、大量処理には不向きである。そこで、大量処理が必要な場合には、検体の分取から反応・判定までを自動的に行うことができる自動血液分析装置が用いられている。
【0003】
このような凝集/非凝集の判定方法として種々の方法が提案されている。例えば特許文献1には、被検粒子の反応パターンの中心部と周辺部との境界部の測定データを抽出してその変化率を求め、その変化率に基づいて凝集/非凝集を判定する方法が記載されている。この方法は、他のものに比べて感度が高く、凝集力の弱い凝集パターンでも正確に判定できるものである。
【特許文献1】特開2001−133398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の判定方法においては、反応パターンに泡等の異物が混入した際に、それがノイズになり誤判定を生じる可能性があるという問題がある。このため、装置の操作者が目視その他の方法により判定結果をチェックして補正する必要があり、操作者の負担が増大するという問題もある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができる血液分析装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置において、前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部とを有することを特徴とする血液分析装置である。
【0007】
また、本発明の血液分析装置において、前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部と、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラムである。
【0009】
また、本発明のプログラムにおいて、前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、血液に由来しない像を検知することによって、誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態による血液分析装置の構成を示している。本実施形態では、血液を収容する反応容器としてマイクロプレート11を用いる。図2に示すようにマイクロプレート11には、円錐状に窪んだ底面を有するウェル11aがマトリクス状に多数形成されている。各ウェル11aに血液が収容され、さらに凝集反応用の試薬が混入される。また、マイクロプレート11は、蛍光灯電源13に接続された蛍光灯12によって底面側から照明される。蛍光灯12によって照明されたマイクロプレート11の各ウェル11aの底面の像は、ビデオカメラ10(撮像装置)によって順次撮像される。ビデオカメラ10は、撮像によって得た画像データを画像処理部14に供給する。
【0012】
画像処理部14は、ビデオカメラ10から画像データを入力する信号入力部15と、画像データを処理するデータ処理部18と、画像データを記憶する記憶部19とを備えている。データ処理部18は、画像データに基づいてウェル11aの底面像の中心部と周辺部との境界部における透過光量の変化率の平均値を求め、その平均値を基準値と比較して凝集/非凝集を判定する。また、データ処理部18は、血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部18aと、正常像と、血液に由来しない泡や異物等を含む異常像とを検知する検知処理部18bとを有している。マイクロプレート11とビデオカメラ10とを水平面内で2次元方向に相対的に移動させながら、各ウェル11aの底面の画像データが順次取り込まれる。表示部16は、データ処理部18によって得られた判定結果等を表示する。入力部17は操作者の入力操作を受け付ける。
【0013】
図8および図9は、上記の構成による血液分析装置が取り込んだ画像の代表例を示している。図8は典型的な非凝集像を示しており、図9は典型的な凝集像を示している。画像処理により、凝集像と非凝集像が区別される。図10に示すように、ウェル11a内に泡100が入った場合には、凝集像であると判定されるべき像が従来の手法では非凝集像であると誤判定されてしまう。また、図11に示すように、非凝集像においても、泡110bが入ることによる影響を装置の使用者に告知することが必要とされる。
【0014】
図10のような画像が得られた場合、物体の中心が抜けているかどうかをチェックするだけで泡の有無を判定することが可能である。しかし、図11のような画像が得られた場合には、本来の像110aと泡110bが同一の物体と認識され、その中心が抜けていないと判定されるため、同様の方法では誤判定してしまう。そこで、本実施形態では、図11のような画像が得られた場合でも泡等の異物の有無を判定することが可能な方法を採っている。
【0015】
以下、本実施形態における異物の有無の判定手順を説明する。図3は判定手順を示している。信号入力部15に入力された画像データは記憶部19に格納される。データ処理部18は記憶部19から画像データを読み出し、以下の処理を実行する。まず、データ処理部18は画像の輝度に基づいて判定対象の処理エリア内の塊を探し(ステップS100)、塊の有無を判定する(ステップS101)。
【0016】
塊がなかった場合には、データ処理部18(検知処理部18b)は、得られた画像が正常像であると判定し(ステップS109)、処理を終了する。また、塊があった場合には、データ処理部18(抽出処理部18a)は、発見された塊の中で最大のものを抽出する(ステップS102)。続いて、データ処理部18(抽出処理部18a)は、塊に外接する四角形(例えば図4の四角形40)を求め(ステップS103)、その四角形内の画像に対して、エッジを検出して強調する処理を行い(ステップS104)、画像を2値化する(ステップS105)。さらに、データ処理部18(抽出処理部18a)は細線化処理を行う(ステップS106)。これにより、反応像のエッジ(輪郭)(例えば図5のエッジ50a,50b)のみが抽出される。
【0017】
続いて、データ処理部18(検知処理部18b)は、エッジを構成する閉曲線内を通る直線と閉曲線との交点の数をカウント(計数)する(ステップS107)。この交点の数は、エッジに外接する四角形内で垂直方向または水平方向に並ぶ一次元の画素群のうち、エッジを含む画素の数としてカウントされる。例えば、図6に示す画像では、直線61と閉曲線60a,60b(エッジ)との交点は2つ(交点62a,62b)である。また、直線63と閉曲線60a,60b(エッジ)との交点は4つ(交点64a,64b,64c,64d)である。
【0018】
カウントする直線の方向は水平または垂直である必要はなく、例えば図7に示すように斜め45°としてもよい。また、判定精度をより高めるため、垂直方向および水平方向のそれぞれ3本以上の直線を用いて交点の数をカウントすることが望ましい。典型的な非凝集像であれば、エッジの形状は円形であり、中心は抜けていないので、交点の数は最大で2となる。これに対し、泡がある場合には、像が中空となるため、エッジ強調の際に形状が二重円となり、交点の数は最大で4となる。また、図10に示すように、凝集像と泡が一緒になった場合の像でも、上記の手順により、交点の数は最大4となる。これによって、正常像と、異物を含む異常像とを区別することが可能となる。
【0019】
ステップS107の結果に基づいて、データ処理部18(検知処理部18b)は交点の数(複数本の直線について交点の数を求めた場合にはそれらの最大値)を判定する(ステップS108)。交点の数が3未満であった場合、データ処理部18(検知処理部18b)は、得られた画像が正常像であると判定し(ステップS109)、処理を終了する。
【0020】
また、交点の数が3以上であった場合、データ処理部18(検知処理部18b)は、得られた画像が異常像であると判定する(ステップS110)。この場合、異常を示すメッセージ等が表示部16によって表示され(ステップS111)、処理が終了する。
【0021】
上述したように、本実施形態によれば、血液に由来しない異物による像を自動で検知することによって、誤判定を防止すると共に操作者の負担を軽減することができる。
【0022】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、画像処理部14の動作および機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させてもよい。
【0023】
ここで、「コンピュータ」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0024】
また、上述したプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上述したプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能を、コンピュータに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態による血液分析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるマイクロプレートの外観図である。
【図3】本発明の一実施形態による血液分析装置の動作の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図5】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図6】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図7】本発明の一実施形態における異物の有無の判定手順を説明するための参考図である。
【図8】典型的な非凝集像を示す参考図である。
【図9】典型的な凝集像を示す参考図である。
【図10】異物を含む凝集像を示す参考図である。
【図11】異物を含む非凝集像を示す参考図である。
【符号の説明】
【0026】
10・・・ビデオカメラ、11・・・マイクロプレート、11a・・・ウェル、12・・・蛍光灯、13・・・蛍光灯電源、14・・・画像処理部、15・・・信号入力部、16・・・表示部、17・・・入力部、18・・・データ処理部、18a・・・抽出処理部、18b・・・検知処理部、19・・・記憶部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置において、
前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、
前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部と、
を有することを特徴とする血液分析装置。
【請求項2】
前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置。
【請求項3】
凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、
前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、
前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部と、
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項1】
凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置において、
前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、
前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部と、
を有することを特徴とする血液分析装置。
【請求項2】
前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする請求項1に記載の血液分析装置。
【請求項3】
凝集反応用の試薬が混入した血液を撮像して得た画像データに基づいて前記血液の凝集/非凝集を判定する血液分析装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにおいて、
前記血液の反応像の輪郭を抽出する抽出処理部と、
前記輪郭を構成する閉曲線内を通る直線と前記閉曲線との交点の数に基づいて、前記血液に由来しない像を検知する検知処理部と、
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項4】
前記検知処理部は、前記輪郭に外接する四角形内で所定方向に並ぶ一次元の画素群のうち、前記閉曲線を含む画素の数を計数し、計数値が3以上である場合に、前記血液に由来しない像を検知したと判定することを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−309627(P2008−309627A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157552(P2007−157552)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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