説明

血液検査装置

【課題】人目に触れずポケット等の中で片手で操作できる血液検査装置が無かったため、外食時等に恥ずかしい思いをする糖尿病患者もいた。
【解決手段】筺体22と、この筺体22に設けられた表示部23と、筺体22に装着されるセンサと、このセンサを介して皮膚を穿刺するレーザ発射装置と、センサと表示部23に接続された電気回路部とを備え、筺体22の一方の端近傍に指の挿入孔25を設けるとともにこの挿入孔25の壁面にセンサを配置し、筺体22の上面22aを偏平した球面形状にするとともに手のひらに握っての片手操作を可能としたものである。これにより所期の目的を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検査に用いられる血液検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者は、定期的に血糖値を測定し、その血糖値に基づいてインスリンを投与し、血糖値を正常に保つ必要がある。この血糖値を正常に保つため、血糖値を定期的に測定する必要があり、そのために患者は血液検査装置を用いて指先等から、少量の血液を採取し、この採取した血液から血糖値を測定しなければならない。
【0003】
以下、従来の血液検査装置について説明する。従来の血液検査装置1は、図18に示すように、筺体2と、この筺体2の一方が開口した筒体3と、この筒体3内を往復するプランジャ4と、このプランジャ4に一方が連結されたハンドル5と、このハンドル5が筺体2に係止される係止部6と、このハンドル5を筒体3の開口部3a側へ付勢するバネ7と、プランジャ4に一方の端が把持されるとともに他方の端には採血針(以下、針という)8が装着されるランセット9と、開口部3a側に装着された血液センサ(以下、センサという)10と、センサ10に形成された電極が接続される電気回路部11とで構成されていた。
【0004】
以上のように構成された血液検査装置1の使用について以下説明する。糖尿病患者(図19参照)12は、図19に示すように一方の手12aで血液検査装置1を握り、他方の手12bの皮膚13に当接させる。そして、係止部6の係止を解除する。すると、バネ7によって付勢されたハンドル5が矢印16(図18参照)方向に勢い良く発射される。このハンドル5の係止解除により針8も同時に発射される。この針8は、センサ10の貯留部天面を突き破り、患者12の皮膚13を穿刺する。
【0005】
穿刺された皮膚13からは血液(図示せず)14が少量流出する。この血液14はセンサ10の貯留部内に取り込まれる。貯留部内に取り込まれた血液14は、センサ10の検出部内で血糖値に応じた化学変化を起こす。この化学変化により生じた電流は電気回路部11に取り込まれ、血糖値が計算される。そして、この血糖値の結果は表示部15に表示される。このようにして求められた血糖値は、患者12に投与するインスリン量の基礎データとなる。
【0006】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特表2003−524496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらこのような従来の血液検査装置1を用いた血糖値の測定においては、一方の手12aで血液検査装置1を把持し、他方の手12bの皮膚13にセンサ10を当接させる必要がある。そのため、どうしても両手を使う必要があった。従って、例えば外食時等において、このような両手を使う必要のある血液検査装置1を用いて、人前での血糖値を測定する場合には、世間の視線を感じ、恥ずかしい思いをする患者12もいた。特に初期の糖尿病患者12においてはなおさらであると想像される。
【0008】
本発明は、このような問題を解決したもので、外食時等においても人目に触れずポケットの中等においても片手で操作できる血液検査装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明の血液検査装置は、筺体の一方の端近傍に指の挿入孔を設けるとともにこの挿入孔の壁面に血液センサを配置し、前記筺体の上面を偏平した球面形状にするとともに手のひらに握っての片手操作を可能としたものである。これにより、初期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0010】

以上のように本発明による血液検査装置の筺体は、筺体の一方の端近傍に指の挿入孔を設けるとともにこの挿入孔の壁面に血液センサを配置し、前記筺体の上面を偏平した球面形状にするとともに手のひらに握っての片手操作を可能としたものであり、ポケットの中等においてでも片手で操作することができる。従って、外食時等に於いても人目に触れることなく血糖値の測定をすることができる。また、握り易い形状でもあり、操作性に優れる。
【0011】
また、筺体の上面と正面と側面とも略楕円形をしたデザイン性に富んだ卵型形状であり、例え、人目に触れる場所で使用したとしても違和感がなく、血液の測定をしている等と悟られ難い形状であり、恥ずかしさを軽減できると考えられる。
更に、筺体の一方の端近傍に指の挿入孔が設けられているので、穿刺時に指が逃げることは無く、確実な穿刺が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の血液検査装置を説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1A、図1Bは、実施の形態1における血液検査装置21の外観斜視図および平面図である。この血液検査装置21の筺体22は、上面22aと正面22bと側面22c共に表面からの焦点距離が夫々異なる楕円形状の外形をしており、デザイン性に富んだ形状となっている。また、筺体22の表面は滑らかに形成されており、片手で握れることができる握り易い大きさとなっている。そして、この筺体22の上面22aの略中央には表示部23が設けられている。また、この筺体22の一方の側面22c近傍には患者12が指を挿入する挿入孔25が設けられおり、この挿入孔25の表示部23側の壁面にはカートリッジ24が挿入されるカートリッジ装着部34が形成されている。このカートリッジ装着部34には、センサ33(図4,7,8参照)が内蔵されたカートリッジ24が着脱自在に装着される。図1Bに示すように、筐体22のうち側面22cの部分を把持してカートリッジ装着部34を開放することでカートリッジ24の交換作業を行う。
【0014】
この筺体22は樹脂で一体成形されるとともに表面を白色としている。なお、筺体22の表面色は、白色に限ることはなく、他人の血液検査装置21との識別や、患者12の好みに合わせて、緑色、青色、黄色、紫色、茶色、黒等を用いることもできる。また、表示部23は液晶で形成されており、カラーでの表示が可能となっている。従って、血液14の測定結果が予め定められた値を超えた場合は赤色で表示し、血液14の測定結果が予め定められた値以内の場合は緑色で表示することも可能となる。従って、赤色表示のときは注意が必要であり、緑色表示のときは安心して良いなど、状況を一目で把握でき認識しやすい。
【0015】
図2は、その使用状態を示す斜視図である。血液検査装置21の筺体22を片手12bで握り、人差し指12cを挿入孔25に挿入し、この人差し指12cの腹部の皮膚13をカートリッジ24上に当接させて血液14(図示せず)を採取する様子を示したものである。
【0016】
本実施の形態による血液検査装置21は以上のように形成されているので、以下の作用効果を奏するものである。即ち、手のひら内に握られて片手12a或いは12bで操作可能としたものであり、ポケットの中等においても片手12a或いは12bのみで操作することができる。従って、外食時等に於いても人目に触れることなく血糖値の測定をすることができる。
【0017】
また、筺体22の上面22aと正面22bと側面22cとも略楕円形をしたデザイン性に富んだ形状を有する卵型形状であり、例え人目に触れる場所で使用しても、血液14の測定をしていると悟られ難く、恥ずかしさを感ずることはない。また特に手のひらが接触する筐体22の上面22aは偏平した球面形状としているので握り易い形状である。更に、挿入孔25に指を挿入して穿刺するので、穿刺時に指が逃げることは無く、確実に穿刺することができる。
【0018】
また図2では、表示部23を筺体22の上面に形成しているため、手のひらで握ると表示がかくれてしまう。そこで表示部23を筺体22の下面に形成すれば、手のひらで握ったままで表示部23を見ながら片手操作が可能となり、視認性にすぐれることとなる。
また、筺体22の下面を平坦に形成すれば、テーブルなどの上においたときでも、ぐらぐらせず安定することとなる。
【0019】
図3は、血液検査装置21の正面22bから見た正面図である。筺体22の上面22aの略中央には表示部23が設けられている。また、筺体22の略中心にはレーザ発射装置(穿刺手段の一例として用いた)26が設けられており、筺体22の一方の側面22c側にはカートリッジ24が装着される。
【0020】
図4は、血液検査装置21の上面22a側から見た断面図である。図4において、筺体22の略中央にはレーザ発射装置26が載置されており、このレーザ発射装置26と並んで電気回路部27と負圧手段28が設けられている。なお、この負圧手段28は、吸引ポンプ用モータ28aと、この吸引ポンプ用モータ28aに連結された吸引ポンプ28bとから構成されている。
【0021】
また、このレーザ発射装置26の後方には、電気回路部27と吸引ポンプ用モータ28a等に電源を供給する電池30が配置されており、レーザ発射装置26の前方には、ホルダ32にセンサ33が装着されたカートリッジ24が着脱自在に挿抜できるようになっている。ホルダ32の側面には、図7に示すように位置決め凸部32aが形成されており、この位置決め凸部32aはカートリッジ装着部34内に形成された位置決め凹部34aに係合して位置決めされる。カートリッジ24が位置決めされた状態において、カートリッジ24はカートリッジ装着部34の上面から約3mm突出するように設計されている。従って、血液14がカートリッジ装着部34側(血液検査装置21本体側)に付着して汚すことは無く衛生的である。
【0022】
29は、挿入孔25の内側の壁面に対向して設けられた皮膚検知センサであり、発光ダイオード29aと受光トランジスタ29bで構成されている。従って、この挿入孔25に人指し指12c(他の指であっても良い)を挿入すると、この指12cの挿入を検出することができる。31は穿刺ボタンであり、この穿刺ボタン31の押下によりレーサ発射装置26からレーザ光35が発射される。図5は、一方の側面22c側からの側面図である。
ここで、図4を用いてレーザ発射装置26の詳細について説明する。レーザ発射装置26は、発振チューブ26aと、この発振チューブ26aの前方に連結された円筒状の筒体26bとから構成されている。発振チューブ26a内には、Er:YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ結晶26cとフラッシュ光源26dが格納されている。発振チューブ26aの一方の端には透過率約1%の部分透過鏡26eが装着されており、他方の端には全反射鏡26fが装着されている。
【0023】
部分透過鏡26eの前方の筒体26b内には凸レンズ26gが装着されており、レーザ光35で患者12の皮膚下に焦点を結ぶように設定されている。このレーザ光35での穿刺電圧は、約300Vとしている。従って、患者12に与える苦痛は少ない。
【0024】
以上のように構成されたレーザ発射装置26について、以下にその動作を説明する。フラッシュ光源26dから発射された光源は、Er:YAGレーザ結晶26c内に入り、ここで、全反射鏡26fとYAGレーザ結晶26cと部分透過鏡26eの間を反射して共振するとともに増幅される。この増幅されたレーザ光の一部は誘導放出により部分透過鏡26eを通過する。この部分透過鏡26eを通過したレーザ光35はレンズ26gを透過して放射され、センサ33を通過して皮膚13を穿刺(照射)する。
【0025】
次に、図6を用いて、レーザ光35が皮膚13へ照射されたときの穿刺の深さ13dとレーザ光35の焦点との関係について説明する。図6において、13は患者12の皮膚であり、35はこの皮膚13に照射されるレーザ光である。図6(a)は、皮膚13の表面から深さ13dの距離にレーザ光35の焦点を結ぶように設定したものである。この場合、レーザ光35により破壊される皮膚13の容積13aは逆円錐形になる。従って、皮膚13の開口は大きくなり血液14の流出は容易になるので痛みは少ない。また、皮膚13に衝ける傷の大きさも少ない。
【0026】
これに対して図6(b)は、丁度皮膚13の表面にレーザ光35の焦点を結ぶように設定したものである。この場合も皮膚13から深さ13dの距離まで穿刺すると、レーザ光35により破壊される皮膚13の容積13bは円錐形になる。従って、皮膚13の開口は極端に小さくなり血液14の流出は少なく大きな痛みを感じる。また、皮膚13につける傷の大きさは図6(a)の場合と同程度とになる。
【0027】
図6(c)は、皮膚13の上方にレーザ光35の焦点を結ぶように設定したものである。この場合も皮膚13から深さ13dの距離まで穿刺すると、レーザ光35により破壊される皮膚13の容積13cは輪切りにした円錐形の下部形状になる。この場合も、皮膚13の開口は小さくなり血液14の流出は少ないが大きな痛みを感じる。また、皮膚13につける傷の大きさは図6(a)、(b)の場合に比べて大きくなる。
【0028】
従って、本実施の形態においては、レーザ発射装置26の焦点は皮膚13の表面から深さ13dの距離に焦点を結ぶようにしている。このように設定することにより、血液14の流出を容易にするとともに患者12に与える痛みを最小にしている。なお、穿刺の深さ13dは0.1mm〜1.5mmが適しており、本実施の形態では0.5mmとしている。
このように本実施の形態では、患者12の皮膚13へ非接触で穿刺できるレーザ発射装置26を用いているので、従来のように針8の交換作業や滅菌などが不要となり、穿刺前の準備作業が大幅に簡略化される。また、患者12の皮膚13と、レーザ発射装置26とは非接触であり衛生的でもある。さらに、従来のように運動する可動部品は無く、故障は少なくなる。更にまた、部品点数が少なくなるので、部品管理が容易である。また、非接触であり血液検査装置21を容易に防水構造とすることができ、全体を丸洗いすることも可能となる。
【0029】
図7は、カートリッジ24の斜視図である。32は、一方32bが開口した直方体形状のホルダであり、樹脂で形成されている。そして、その底面32cにはセンサ33が装着されてカートリッジ24を形成している。また、両側面32dには位置決め凸部32aが形成されており、この凸部32aは、カートリッジ装着部34に形成された位置決め凹部34aに嵌合して位置決めされる。底面32cの略中央には孔32eが形成されており、この孔32eは負圧室38(図8,12、13参照)を形成している。ホルダ32の内部両側面には、コネクタせり出し機構36を構成する歯36aが設けられている。
【0030】
図8は、コネクタせり出し機構36とその周辺の要部断面図である。36bは、断面「U」字型をするとともに樹脂で形成されたせり出し部材であり、このせり出し部材36bの両側面には、歯36cが形成されている。この歯36cはカートリッジ装着部34(図4参照)に回転自在に固定装着された大歯車36dに歯合する。36eは、大歯車36dと同軸で固定された小歯車であり、この小歯車36eは、カートリッジ装着部34に回転自在に固定装着された小歯車36fに歯合する。また、この小歯車36fはホルダ32に形成された歯36aに歯合する。
【0031】
なお、37はせり出し部材36bの底面に植設されたコネクタであり、センサ33に形成された接触場所54b、55b、56b、57b、56c(図11参照)に接触する位置に設けられている。32fはホルダ32の底面32c近傍の両側面32dに形成されたストッパであり、センサ33を底面32cに固定するものである。
【0032】
以上のように構成されたせり出し機構36について、以下にその動作を説明する。カートリッジ24(ホルダ32)を矢印36g方向に挿入する。すると歯36aに歯合した小歯車36fが矢印36h方向に回転する。小歯車36fが矢印36h方向に回転すると、この小歯車36fに歯合した小歯車36eが矢印36j方向に回転する。小歯車36eが矢印36j方向に回転すると、この小歯車36eに同軸で固定された大歯車36dも矢印36kの方向に回転する。大歯車36dが矢印36kの方向に回転すると、この大歯車36dに歯合した歯36cに伝達され、歯36cが移動する。即ち、歯36cが装着されたせり出し部材36bが矢印36m方向に移動する。このようにして、せり出し部材36bの底面に植設されたコネクタ37がセンサ33の接触場所54b〜57b、56cに接触する。
【0033】
このように、カートリッジ24の動き(矢印36g)とせり出し部材36b(矢印36m)とは互いに逆方向に動作する。このことにより、カートリッジ24をカートリッジ装着部34に挿入すると、奥まっていたコネクタ37がせり出してセンサ33の接触場所54b、55b、56b、57b、56cに当接する。この動作により、カートリッジ24を外した状態におけるコネクタ37は、カートリッジ装着部34の奥まった位置にあり、外部から損傷を受けないという効果を奏する。
【0034】
なお、このときカートリッジ24の挿入距離とせり出し部材36bのせり出し距離は、小歯車36fの直径と、大歯車36dの直径の比に比例する。本実施の形態では、小歯車36fと大歯車36dの直径の比を1対2にしている。従って、せり出し部材36bの移動距離は、カートリッジ24の移動距離の2倍移動することになる。なお、カートリッジ24を排出するときは、この逆の動作になる。
【0035】
次に、図9〜11を用いて、センサ33の詳細を説明する。図9は、本実施の形態におけるセンサ33の断面図である。このセンサ33を形成する基体45は、基板46と、この基板46の上面に貼り合わされたスペーサ47と、このスペーサ47の上面に貼り合わされたカバー48とで構成されている。
【0036】
49は、血液の貯留部であり、基板46に設けられた孔46aとスペーサ47に設けられた孔47aに連通して形成されており、下方に向かって開口している。50はこの貯留部49に一方の端が連結された供給路であり、貯留部49に溜められた血液14を毛細管現象で検出部51に導く路である。また、この供給路50の他端は空気孔52に連結している。59は、基体45の上面と下面とを貫通する孔であり、この孔59と空気孔52を介して負圧室38に負圧を加える。ここで貯留部49の容積は、供給路50の容積の5倍以上とすれば、正確な測定をするのに十分な血液14を得ることができる。しかし、多くの血液14を採取すると患者12に負担をかけるので、7倍以下程度にすべきである。
【0037】
53は、検出部51上に載置された試薬であって、この試薬53は、CMC水溶液に、PQQ−GDHやフェリシアン化カリウムなどを溶解させて試薬溶液を調整し、これを基板46に形成された検出電極54,56(図11参照)上に滴下し、乾燥させることで形成したものである。
【0038】
図10は、センサ33の分解平面図である。図10(c)は、センサ33を構成する長方形をした基板46の平面図であり、その寸法は、ホルダ32の底面32cへ丁度挿入される大きさである。この基板46の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、その厚さは0.2mmの物を用いている。
【0039】
そして、この基板46の上面には金、白金、パラジウム等を材料として、スパッタリング法或いは蒸着法により導電層を形成し、これをレーザ加工により検出電極54〜57と、この検出電極54〜57から夫々導出された接続電極54a〜57aを一体的に形成している。また、この接続電極54a〜57aにはコネクタ37が接触する接触場所54b〜57b、56cが設けられている。
【0040】
46aは、基板46の略中央に設けられた孔であり、その直径は2mmとしている。この孔46aの壁面は、供給路50より弱い親水性処理をするか、或いはカバー48の上面48e(図9参照)より弱い撥水性処理をすることが好ましい。
【0041】
図10(b)はスペーサ47の平面図である。このスペーサ47の形状は長方形状をしており、基板46に形成された接続場所54b、55b、56b、57bに対応した四隅の場所に夫々4分の1円形の切欠き47gと、基板46の接触場所56cと対応する両辺に夫々半円形の切欠き47hを形成している。
【0042】
47aは、スペーサ47の略中央に設けられた直径2mmの孔であり、基板46に設けられた孔46aに対応した位置に設けられている。この孔47aの壁面は、供給路50より弱い親水性処理をするか、或いはカバー48の上面48eより弱い撥水性処理をすることが好ましい。
【0043】
また、この孔47aから検出部51方向に向かってスリット47eが形成されている。このスリット47eは血液14の供給路50を形成するものである。このスリット47eの壁面と、それに対応する基板46の上面も親水性処理を行なう。また、このスリット47eの幅47fは0.6mmとし、その長さ47gは2.4mmとして供給路50を形成している。なお、スペーサ47の材質はポリエチレンテレフタレートであり、その厚さは0.1mmの物を用いている。
【0044】
図10(a)はカバー48の平面図である。その形状は、スペーサ47と同様、長方形状をしており、基板46の4角の接触場所54b、55b、56b、57bに対応した四隅に夫々4分の1円形の切欠き48gと、基板46の接触場所56cと対応する両辺に夫々半円形の切欠き48hを形成している。52は空気孔であり、供給路50の先端部に対応して設けられている。その直径は50μmである。
【0045】
このカバー48はレーザ光35が通過するように透明のものを用いており、その厚さは0.1mmの物を用いている。このカバー48は以下の処理を行なっている。即ち、基体45の上面を形成するカバー48の上面48eは撥水性処理を行なっている。また、供給路50の天面を形成するカバー48の下面側は親水性処理を行なっている。また、貯留部49の天面49aは、供給路50より弱い親水性処理をするか、或いはカバー48の上面48eより弱い撥水性処理をすることが好ましい。本実施の形態では、貯留部49の天面49aは供給路50より弱い親水性処理にするとともに、カバー48の上面48eより弱い撥水性処理を行なっている。
【0046】
なお、貯留部49と対応する位置に、貯留部49より小さく、空気孔52より大きい孔49bを設けても良い。この孔49bを設けることにより、レーザ光35の減衰を無くすることができるとともに、負圧路としての機能を持たせることができる。また、穿刺手段に穿刺針を用いた場合には、穿刺針の受ける抵抗を無くすことができ、穿刺深さが安定する。
【0047】
図11は、センサ33の透視平面図である。図11において、54〜57は検出電極であり、貯留部49から空気孔52に向かって順に、検出電極57(Hct測定極)、検出電極56(対極)、検出電極54(作用極)、検出電極56(対極)、検出電極55(検知極)となっている。また、51は検出部である。
【0048】
54a〜57aは検出電極54〜57に夫々接続された接続電極であり、基板46の外周方向に導出されている。また、夫々の接続電極54a〜57aには夫々接触場所54b〜57bが設けられている。ここで、接続電極56aにのみ接触場所56bと接触場所56cの2つの接触場所が形成されている。そして、接触場所56bと接触場所56cのみが導通しており、その他の接触場所同士は全て絶縁されている。この接触場所56cを基準接触場所即ち、基準電極56dとする。
【0049】
このように構成されているので、隣り合う接触場所の絶縁抵抗を電気回路部27(図13参照)で測定し、絶縁抵抗が零となった接触場所が基準電極56dであると特定することができる。即ち、以下時計周りに接続電極56a、接続電極57a、接続電極54a、接続電極55aと特定することができる。従って、無造作にカートリッジ24を装着しても、直方体形状をしたカートリッジ24の挿入方向に拘わらず、センサ33の基準電極56dを検知することができる。従って、以降この基準電極56dに基づいて自動的に他の接続電極54a〜57aを決定することができる。この配慮により、カートリッジ24の挿入操作が非常に容易となる。なお、本実施の形態では基準電極56dを接続電極56a上に設けたがこれは他の接続電極54a、55a,57aに設けても良い。
【0050】
以上のように構成されたセンサ33を用いた採血について、以下にその動作を説明する。図12に示すように、先ず、センサ33を患者12の皮膚13に当接させる。そして、穿刺ボタン31を押下してレーザ光35を発射させる。そうすると、レーザ光35はカバー48を透過し皮膚13に傷をつける。そうすると、この皮膚13から血液14が流出する。この流出した血液14は貯留部49を満たす。貯留部49を満たした血液14は供給路50に達し、この供給路50の毛細管現象で検出部51へ向かって一気に一定速度で流入する。そして、この血液14は検出部51に達し、試薬53と化学反応して血糖値等の血液14の性質が測定される。
【0051】
なお、32fは、ホルダ32に形成されたストッパであり、このストッパ32fでセンサ33をホルダ32に固定する。また、採血を容易にするため、空気孔52と孔59を介して負圧室38に負圧を加える。
【0052】
図13は、電気回路部27のブロック図である。図13において、54b〜57b、56cはセンサ33に形成された接触場所であり、これらの接触場所54b〜57b、56cはコネクタ37a〜37f(コネクタ37は、挿入方向を意識しないでカートリッジ24を挿入可能にするため、接触場所56cと対向する場所にも必要であり6本となっている)を介して切換回路71に接続される。この切換回路71の出力は電流/電圧変換器72の入力に接続されている。そして、その出力はアナログ/デジタル変換器(以後、A/D変換器という)73を介して演算部74の入力に接続されている。この演算部74の出力は、液晶で形成された表示部23に接続されている。また、切換回路71には基準電圧源78が接続されている。なお、この基準電圧源78はグランド電位であっても良い。
【0053】
76は制御部であり、この制御部76は、切換回路71の制御端子と、演算部74と、穿刺ボタン31と、送信部77と、タイマ79と、レーザ発射装置26と、負圧手段28と、皮膚検知センサ29に接続されている。なお、図示していないが警報手段にも接続されている。また、演算部74の出力は送信部77の入力にも接続されている。また、負圧手段28の出力はホース28cを介して負圧室38に導かれている。
【0054】
次に、電気回路部27の動作を説明する。先ず、血液14の測定に先立って、センサ33の接触場所54b〜57b、56cがコネクタ37a〜37fの何れに接続されているかを検出する必要がある。即ち、制御部76の指令により、コネクタ37a〜37fの内、隣り合う端子間の電気抵抗が零である接触場所56cを識別する。そして、この電気抵抗が零の接触場所56cが検出されたら、その接触場所56cに接続されているものが基準電極56dであると決定する。そして、この接触場所56cに接続されたコネクタ37を基準として、順に接続電極56a、57a,54a、55aに接続するコネクタ37とする。このようにして、接続電極54a〜57aに接続された夫々のコネクタ37を決定し、その後、血液14の測定に移行する。
【0055】
測定動作では、先ず切換回路71を切換えて、血液成分量を測定するための作用極となる検出電極54を(上記決定されたコネクタ37を介して)電流/電圧変換器72に接続する。また、血液14の流入を検知するための検知極となる検出電極55を(上記決定されたコネクタ37を介して)基準電圧源78に接続する。そして、検出電極54及び検出電極55間に一定の電圧を印加する。この状態において、血液14が流入すると、検出電極54,55間に電流が流れる。この電流は、電流/電圧変換器72によって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器73によってデジタル値に変換される。そして、演算部74に向かって出力される。演算部74はそのデジタル値に基づいて血液14が十分に流入したことを検出する。なお、ここで予め定められた時間が経過しても、検出部51で血液14の検出がされない場合や、血液14の量が適正でない場合は警報手段を働かせて警報するとともに処置の内容を表示部23に表示する。
【0056】
次に、血液成分であるグルコースの測定が行なわれる。グルコース成分量の測定は、先ず、制御部76の指令により、切換回路71を切換えて、グルコース成分量の測定のための作用極となる検出電極54を(上記決定されたコネクタ37を介して)電流/電圧変換器72に接続する。また、グルコース成分量の測定のための対極となる検出電極56を(上記決定されたコネクタ37を介して)基準電圧源78に接続する。
【0057】
なお、例えば血液中のグルコースとその酸化還元酵素とを一定時間反応させる間は、電流/電圧変換器72及び基準電圧源78をオフにしておく。そして、一定時間(1〜10秒)の経過後に、制御部76の指令により、検出電極54と56間に一定の電圧(0.2〜0.5V)を印加する。そうすると、検出電極54,56間に電流が流れる。この電流は電流/電圧変換器72によって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器73によってデジタル値に変換する。そして、演算部74に向かって出力される。演算部74はそのデジタル値を基にグルコース成分量に換算する。
【0058】
次に、グルコース成分量の測定後、Hct値の測定が行なわれる。Hct値の測定は次のように行なわれる。先ず、制御部76からの指令により切換回路71を切換える。そして、Hct値の測定のための作用極となる検出電極57を(上記決定されたコネクタ37を介して)電流/電圧変換器72に接続する。また、Hct値の測定のための対極となる検出電極54を基準電圧源78に接続する。
【0059】
次に、制御部76の指令により、電流/電圧変換器72及び基準電圧源78から検出電極57と検出電極54間に一定の電圧(2V〜3V)を印加する。検出電極57と54間に流れる電流は、電流/電圧変換器72によって電圧に変換され、その電圧値はA/D変換器73によってデジタル値に変換される。そして演算部74に向かって出力される。演算部74はそのデジタル値に基づいてHct値に換算する。
【0060】
この測定で得られたHct値とグルコース成分量を用い、予め求めておいた検量線または検量線テーブルを参照して、グルコース成分量をHct値で補正し、その補正された結果を表示部23に表示する。また、この補正された結果を送信部77からインスリン(治療薬の一例として用いた)を注射する注射装置に向けて送信する。この送信は電波を用いることもできるが、医療器具への妨害のない光通信で送信することが好ましい。
【0061】
このように補正された測定データを送信部77から送信することにより、インスリンの投与量が注射装置に自動的に設定されるようにすれば、患者12が投与するインスリンの量を注射装置に設定する必要は無く、設定の煩わしさは無い。また、人為手段を介さずにインスリンの量を注射装置に設定することができるので、設定のミスを防止することができる。
【0062】
以上、グルコースの測定を例に説明したが、グルコースの測定の他に乳酸値やコレステロールの血液成分の測定にも有用である。
【0063】
以上のように構成された血液検査装置21の動作について図14を参照しながら説明する。図14において、先ず、カートリッジ24の血液検査装置21への装着ステップ81を説明する。この装着ステップ81では、カートリッジ24を血液センサ装着部34へ挿入する。この挿入により、ホルダ32に形成された位置決め凸部32aがカートリッジ装着部34に形成された位置決め凹部34aに嵌入して係止される。
【0064】
次に、ステップ82で、センサ33の接続電極54a〜57aの特定を行なう。ここでは、検出電極54〜57、接続電極54a〜57a、接触場所54b〜57b、56c、コネクタ37a~37fを介して電気回路部27で隣り合うコネクタ37a〜37f間の抵抗値から基準電極56dを特定する。そして、この基準電極56dから時計回りに接続電極56a、57a、54a,55aを決定する。従って、カートリッジ24が無造作に挿入されてもこのステップ82で接続電極54a〜57aを特定することができる。即ち、検出電極54〜57が決定される。
【0065】
そして、ステップ83に移行する。ステップ83では、患者12の皮膚13をカートリッジ24のセンサ33に押し当て密着する。そうすると皮膚検知センサ29がオンとなる。皮膚検知センサ29がオンとなると、負圧手段28の吸引ポンプ用モータ28aが動作して吸引ポンプ28bで負圧を発生する。この吸引ポンプ用モータ28aに加わる負荷電流を制御部76で検出して、穿刺可能な負圧か否かを判断し表示部23に表示する。なお、負荷電流を検出する代わりに、この負圧が発生してから予め定められた時間をタイマ79で計測して、表示部23に穿刺が可能であるか否かを表示しても良い。
【0066】
ここで、負圧を加える理由を説明する。穿刺時に皮膚13に負圧を加えることにより、例え弛緩した皮膚13であっても緊張状態になるので、例え小さな穿刺穴であっても血液14を効率良く採取することができる。従って、穿刺穴は小さくても良いので、患者に与える苦痛は少ないものになる。次に、ステップ84に移り、穿刺ボタン31を押下する。この穿刺ボタン31の信号は電気回路部27で認識される。電気回路部27ではレーザ発射装置26を駆動する。そうするとレーザ光35は、皮膚検知センサ29の出力と穿刺ボタン31の論理積条件で皮膚13に向けて発射される。なお、穿刺可能な負圧になったら自動的にレーザ発射装置26を駆動して穿刺しても良い。
【0067】
次に、採血動作のステップ85に移る。このステップ85においてレーザ光35での穿刺により、患者12の皮膚13から血液14が流出する。この血液14をセンサ33内の貯留部49に貯留する。貯留部49に貯留された血液14は毛細管現象により、供給路50を介して検出部51に導かれる。検出部51に導かれた血液14は検知極としての検出電極55(図11参照)に達すると、測定に必要な量の血液14が得られたと判断する。そして、この時点で負圧手段28の動作を停止する。なお、負圧手段28の動作は、皮膚検知センサ29のオフにより停止しても良い。
【0068】
また、予め定められた時間が経過しても、検出部51で血液14の検出がされない場合や、血液14の量が適正でない場合(検出電極54と検出電極55間の抵抗で検出)は、警報手段を働かせて警報するとともに処置の内容を表示部23に表示する。
【0069】
次に、測定ステップ86に移りグルコースの測定を行う。即ち、血液中のグルコースとグルコース酸化還元酵素とを一定時間反応させた後、検出電極54を作用極、検出電極56を対極として、前記両検出電極54,56間に電圧を印加する。そして、グルコースの測定を行う。
【0070】
次はステップ87に移りHct値の測定をする。検出電極57を作用極、検出電極54を対極として、両検出電極54,57間に電圧を印加する。このことにより、Hct値に依存する電流が検出できる。従って、この電流に基づきHct値を測定する。
【0071】
そして最後に、ステップ88で血液成分の補正を行なう。即ち、ステップ87で検出したHct値を用いて、ステップ86で得られたグルコース量を補正する。以上のステップにより、血糖値測定が終了したら使用済みカートリッジ24を廃棄する。
【0072】
(実施の形態2)
実施の形態2は、穿刺手段として、バネで穿刺針を付勢するバネ穿刺装置103を用いた点で実施の形態1と相違する。従って、実施の形態2ではこの相違点を中心に説明する。実施の形態1と同じものついては同符号を用いて説明を簡略化している。なお、この実施の形態2で説明を簡略化した事項については実施の形態1と同じとする。
【0073】
図15は、血液検査装置101の筺体102(実施の形態1の筺体22に該当する)を正面102b側から見た部分破砕正面図である。筺体102の上面102aの略中央には表示部23が設けられている。また、筺体102の略中心にはバネ付勢穿刺装置(穿刺手段の一例として用いた)103が設けられており、筺体102の一方の側面102c側には、バネ穿刺装置103の前方に対向したカートリッジ24が装着される。
【0074】
図16は、血液検査装置101の上面102a側から見た断面図である。図16において、筺体102の略中央にはバネ穿刺装置103が載置されており、このバネ穿刺装置103の一方側には電気回路部107(実施の形態1の電気回路部27に該当する)と負圧手段28が設けられている。なお、この負圧手段28は、吸引ポンプ用モータ28aと、この吸引ポンプ用モータ28aに連結された吸引ポンプ28bとから構成されている。
【0075】
また、このバネ穿刺装置103の他方側には、電池104が配置されており、この電池104からは電気回路部107と吸引ポンプ用モータ28a等に電源を供給する。バネ穿刺装置103の前方には、指12cが挿入される挿入孔105(実施の形態1の挿入孔25に該当する)が設けられている。この挿入孔105の表示部23側の側壁には、カートリッジ24が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部106が設けられている。カートリッジ24は、カートリッジ装着部106から約3mm突出して装着されるようになっている。従って、穿刺時に流出した血液14で血液検査装置101を汚すことは無い。このカートリッジ24は、位置決め凸部32aとカートリッジ装着部106に形成された位置決め凹部106aとが嵌合して位置決めされる。
【0076】
29は、挿入孔105の内側壁面に対向して設けられた皮膚検知センサであり、発光ダイオード29aと受光トランジスタ29bで構成されている。従って、この挿入孔105に人指し指12c(他の指であっても良い)を挿入すると、この人指し指12cの挿入を検出することができる。
【0077】
ここで、バネ穿刺装置103の詳細を説明する。110は、バネ穿刺装置103を構成する筒体であり、この筒体110内には、筒体110内を自由に滑動するプランジャ112を有し、このプランジャ112の一方には、バネ113で筒体110の開口部110a側に付勢されたハンドル114が装着されている。
【0078】
このハンドル114の他方の端は、筺体102の上面102a側に設けられた長孔115(図15参照)を介して係止部116で係止されるようになっている。このハンドル114はバネ113で開口部110a方向に付勢されている。また、プランジャ112の他方はランセット118が着脱自在に装着されており、このランセット118には穿刺針(以下、針という)119が装着されている。この針119は、カートリッジ24を構成するセンサ33の貯留部49に対向して設けられている。120は、プランジャ112が開口部110aから飛び出さないように停止させるストッパである。従って、針119の筒体110からの突出長はこのストッパ120で規定される。
【0079】
121は、穿刺深さを調整するつまみであり、このつまみ121はウオーム122aに連結している。また、このウオーム122aはウオーム歯122bに歯合しており、このウオーム歯122bは筒体110の他方(開口部110aと反対側)110bに固定されている。この構成により、つまみ121を回すことにより、筒体110を前後方向に移動させることができる。即ち、針119の穿刺深さを調節することができる。
【0080】
なお、このウオーム機構122の代わりにネジ機構を用いても良い。即ち、ネジ機構としてボルトと、このボルトに歯合するナットを用いる。そして、つまみ121側にボルトを固定し、筒体110の他方110b側にナットを装着する。この構成においても同様に、つまみ121を回すことにより、筒体110を前後方向に移動させることができる。即ち、針119の穿刺深さを調節することができる。図17は、血液検査装置101の側面102c側から見た側面図である。
【0081】
次に、本実施の形態では、レーザ発射装置26の代わりにバネ穿刺装置103を用いている関係で、以下の点で変更、或いは読み替えとなる。即ち、電気回路部107においては、図13におけるレーザ発射装置26と穿刺ボタン31が制御部76に接続されていない点で相違する。また、図14においては、穿刺ボタン31を係止部116の解除に、レーザ光35を針119と読み替える必要がある。
【0082】
以上のように構成された血液検査装置101において、以下穿刺動作を説明する。先ず、図15に示すように、ハンドル114をバネ113に抗して矢印123方向に移動させ、バネ113にエネルギーをチャージする。そして、ハンドル114を筺体102の上面102aに形成された係止部116に係止させる。これで、穿刺準備が完了する。
【0083】
次に、カートリッジ24を皮膚13に当接させる。そして、係止部116の係止を解除する。そうすると、ハンドル114はバネ113で付勢されて開口部110a方向に発射される。これにより、ハンドル114に連結されたプランジャ112を介して針119がセンサ33目掛けて発射される。そして、針119はセンサ33の貯留部49を通過して皮膚13を穿刺する。
【0084】
このように、本実施の形態では、バネ113の付勢により穿刺を行うので、電池104の消耗は少なくなり、携帯用として有用である。また、針119による皮膚13への穿刺の深さは、つまみ121で安定化させるとともに微少な調整をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明にかかる血液検査装置は、人目を気にしないで血液の検査をすることができるので、医療分野等における血液検査装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1A】本発明の実施の形態1における血液検査装置とカートリッジの外観斜視図
【図1B】本発明の実施の形態1における血液検査装置とカートリッジの平面図
【図2】同、使用状態を示す斜視図
【図3】同、血液検査装置の正面図
【図4】同、上面から見た断面図
【図5】同、側面図
【図6】同、レーザ光の焦点と穿刺容積の断面図、(a)同、焦点が皮膚内にある場合の断面図、(b)同、焦点が皮膚面にある場合の断面図、(c)同、焦点が皮膚外にある場合の断面図
【図7】同、カートリッジの斜視図
【図8】同、カートリッジのせり出し機構とその周辺の要部断面図
【図9】同、血液検査装置に用いるセンサの断面図
【図10】同、センサの分解平面図、(a)は同、カバーの平面図、(b)は同、スペーサの平面図、(c)は同、基板の平面図
【図11】同、透視平面図
【図12】同、センサ近傍の動作説明図
【図13】同、電気回路部のブロック図
【図14】同、血液検査装置の動作説明図
【図15】同、実施の形態2における血液検査装置の部分破砕正面図
【図16】同、上面断面図
【図17】同、側面図
【図18】従来の血液検査装置の断面図
【図19】同、使用状態の斜視図
【符号の説明】
【0087】
13 皮膚
21 血液検査装置
22 筺体
22a 上面
22b 正面
22c 側面
23 表示部
24 カートリッジ
25 挿入孔
26 レーザ発射装置
27 電気回路部
33 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、この筺体に設けられた表示部と、前記筺体に装着される血液センサと、この血液センサを介して皮膚を穿刺する穿刺手段と、前記血液センサと前記表示部に接続された電気回路部とを備え、前記筺体の一方の端近傍に指の挿入孔を設けるとともにこの挿入孔の壁面に前記血液センサを配置し、前記筺体の上面は扁平した球面形状にするとともに手のひらに握っての片手操作を可能とした血液検査装置。
【請求項2】
上面側の略中央に液晶で形成された表示部が設けられた請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項3】
穿刺手段は、電気回路部に接続されたレーザ発射装置を用いるとともに、挿入孔にはレーザ光の吸収材を用いた請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項4】
レーザ光は、皮膚の表面からの深さが0.1〜1.5mmの深さで焦点を結ぶ請求項3に記載の血液検査装置。
【請求項5】
血液センサをホルダ内に装着してカートリッジを形成するとともに、このカートリッジは挿入孔の壁面に形成された血液センサ装着部へ着脱自在に挿抜できる請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項6】
カートリッジは、血液センサ装着部より突出して装着される請求項5に記載の血液検査装置。
【請求項7】
カートリッジの挿入により血液センサの電極と接続されるコネクタがせり出す請求項5に記載の血液検査装置。
【請求項8】
カートリッジの挿入量よりコネクタがせり出す量を大きくした請求項7に記載の血液検査装置。
【請求項9】
穿刺手段には穿刺針がバネで付勢されるバネ穿刺装置を用いた請求項1に記載の血液検査装置。
【請求項10】
穿刺深さを調整する機構を備えた請求項9に記載の血液検査装置。
【請求項11】
血液センサには、血液センサに設けられた複数の電極を判別するための基準電極が設けられた請求項5に記載の血液検査装置。
【請求項12】
電気回路部に接続された負圧手段を設け、この負圧手段によってカートリッジ内を負圧にする請求項5に記載の血液検査装置。
【請求項13】
血液センサに設けられた孔を介して皮膚に負圧を加える請求項12に記載の血液検査装置。
【請求項14】
筺体の略中央に穿刺手段を配置した請求項1に記載の血液検査装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−67743(P2008−67743A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246512(P2006−246512)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】