説明

血液浄化制御装置

【課題】プライミング液を蓄えたパックの着脱することなく、プライミングを自動的に実行することが可能な血液浄化制御装置を提供する。
【解決手段】血液を浄化するろ過器と、前記ろ過器の血液返血口に接続される返血ラインとを有する血液浄化回路内の液の流れを制御する血液浄化制御装置10であって、返血ラインを開閉する返血バルブ34と、返血ラインのろ過器および返血バルブ34の間に、プライミング液を送り込む補液ポンプ26と、返血バルブ34を閉めるとともに、補液ポンプ26を稼働させる制御部49とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血液を浄化するろ過器を有する血液浄化回路が取り付けられ、取り付けられた血液浄化回路内の液体の流れを制御する血液浄化制御装置に関し、特に、血液浄化回路のプライミングを制御する血液浄化制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
疾病などにより腎臓の機能が低下した患者には、血液透析などの血液の浄化が医療関係者により施術される。血液浄化制御装置は、安全かつ効率的に患者の血液を浄化するように、血液浄化回路を流れる液体の流れを制御する。血液浄化回路は、患者の血液が流れる血液回路と、透析液や補液が流れる給液回路と、ろ液が流れるろ液回路とを備え、血液浄化制御装置に取り付けられる。
【0003】
患者の血液を浄化する前の準備として、プライミングが行われる。プライミングとは、血液浄化回路内の洗浄および空気の除去のために、回路内に生理食塩水のようなプライミング液を充填させ、流通させることである。
【0004】
回路は、血液や透析液、補液などが流れる流路であり、ろ過器、チャンバ、針、管などより形成される。ろ過器は、拡散や限外ろ過などの原理による、血液および透析液の間の物質交換により、血液を浄化する器具である。チャンバは、ラインを通る液体中の気泡をトラップする器具である。針は、施術時に回路に取り付けられ、体内から血液を取り出し、また、体内に返血するため、患者のシャントなどの取り出し箇所および返血箇所のそれぞれに穿刺される器具である。管は、これらの器具に設けられた接続口に取り付けられ、器具と器具とを接続する。
【0005】
チャンバは、施術時に血液を流すべき方向(以下、「順方向」という。)に流した際に、血液中の気泡をトラップするのが本来の機能である。そのため、内部をプライミング液で充填するためには、チャンバの天地を血液浄化時とは逆転させた状態でプライミング液を順方向に流すか、チャンバの天地を血液浄化時の状態のままでプライミング液を逆方向に流す必要がある。
【0006】
また、ろ過器は、プライミング液を順方向に流して、その内部をプライミング液で充填させることは、その構造上、困難である。そのため、ろ過器の内部をプライミング液で充填するためには、チャンバと同様に、ろ過器の天地を血液浄化時とは逆転させた状態でプライミング液を順方向に流すか、ろ過器の天地は血液浄化時の状態のままでプライミング液を逆方向に流す必要がある。
【0007】
従来、プライミング時に、プライミング液を蓄えたパックを返血口に接続し、施術時とは逆方向に圧力差が生じるようにポンプを稼働させることによって、回路内のプライミング液を施術時とは逆方向に循環させる血液浄化制御装置およびそのプライミング処理方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、プライミング操作は回路やろ過器(血液浄化器)から気泡や異物を除去するために実施されるので、充分な量のプライミング液で洗浄することが必要であるが、一方経済的な理由や、収容容器の取換え操作を排除するとの理由で、洗浄液量を可能な範囲内で低減することも要求される。そのため、回路内やろ過器を1回しか通過していない洗浄液をそのまま捨てずに、再循環させた後で排液するいわゆるすすぎ方式の洗浄操作も広く行われている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−175103号公報
【特許文献2】実公平5−19076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の再循環方式の洗浄操作で重要になってくるのが、血液回路内に送液する補液ポンプの送液量と血液回路内で送液する血液ポンプの送液量である。プライミング液を血液回路内に送液する補液ポンプの送液量より、血液回路内で(血液やプライミング液等の)液を送液する血液ポンプの送液量の方が多くなると、ろ過器を流れるプライミング液に過剰な陰圧がかかる場合がある。そのため、従来は、外部からろ過器内に空気を取り込み、プライミング後のろ過器内に空気が残ってしまうという問題がある。
【0010】
プライミング後に回路内に空気が残留していると、回路内の血液が凝固し、血液の浄化ができなくなる危険がある。また、残留した空気が回路を通して患者の体内に入り込むと、患者の生命に関わる。
【0011】
逆に、血液ポンプの流量よりも、補液ポンプの流量の方が多くなると、ろ過器に過剰な圧力がかかり、ろ過器を損傷するおそれがある。その結果、安全かつ十分に患者の血液を浄化することができない。
【0012】
ポンプによりかけられる圧力には一定の誤差がある。血液浄化制御装置に一般的に利用されるポンプでは、この誤差により、ろ過器にかける陽圧と陰圧とを一定にバランスするように制御することは、実際には困難である。すなわち、従来の技術では、安全な施術が実現できるようなプライミングができないという問題がある。
【0013】
また、血液浄化回路は、1つの血液浄化回路によって様々な方法での血液浄化を実現するため、複雑な構成となる。そのため、プライミングの手順も複雑になり、マニュアル操作では操作者の負担が大きいという問題もある。
【0014】
さらに、従来の血液浄化制御装置およびそのプライミング時の制御方法は、プライミング時にプライミング液を蓄えたパックを返血口に接続し、プライミング完了時にそれを取り外す必要があり、手間がかかるという問題がある。
【0015】
従来は、プライミング液を、血液回路の返血口から流し込み、採血口から排出する。そのため、操作者は、プライミング時に、プライミング液を蓄えたパックを返血口に接続し、プライミングが完了すると、返血口に返血用の器具を取り付けるため、プライミング液を蓄えたパックを取り外す。このように、プライミング液を蓄えたパックを接続し、後に取り外すことは、操作者に手間である。また、このように、回路を接続したり、外したりする手順はできるだけ少ない方が、衛生上も望ましい。
【0016】
また、上述のように、容器(パック)の取換えの手間を省くためにも、またコスト低減の点からもプライミング操作を完遂するための液量は少ない方が望ましい。
【0017】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、プライミング液を蓄えたパックを施術時に着脱したり、施術中に取替えたりすることなく、プライミング操作を安全に且つ自動的に実行することが可能な血液浄化制御装置の提供を目的とする。
【0018】
「施術時」とは患者の血液浄化を開始してからそれを終了するまでのことをいう。
【0019】
「ろ過器」とは、血液を浄化する器具のことである。一般的なろ過器は、円筒の内部に多数の中空糸の束を貫通させ、その中空糸の内部に血液を導通させ、円筒内を流れる透析液と、中空糸膜を介して間接的に接触させることにより、血液を浄化する。拡散、限外ろ過および浸透圧の原理によって、尿素や尿酸、クレアチン、余剰水分などの血液中の老廃物は透析液中に排出され、また、透析液中の電解質などは血液中に取り込まれる。
【0020】
「チャンバ」とは、内部に流入する液体中に含まれる気泡や異物を取り除き、気泡や異物を取り除いた液体を流出させる気液分離器である。血液浄化回路のチャンバは、一般に、気泡が液体中を上昇する性質を利用して、液体中の気泡をチャンバの流入口側に集めることで、チャンバの内部を流れる液体中の気泡をトラップする。「チャンバ」は、さらに、メッシュを内蔵することにより、異物を分離する機能を有するものもある。
【0021】
「給液」とは、「補液」と、「透析液」との総称である。「給液」には、一般に体液と浸透圧や電解質が等しくなるよう調整された等張液などが用いられる。
【0022】
「プライミング液」とは、血液浄化制御装置のプライミングに利用する液体のことをいう。「補液」とは、ろ過器を通過することにより失われた血液の水分や電解質を補給する薬液のことをいう。「透析液」とは、ろ過器内で血液と物質交換をする薬液のことをいう。
【0023】
「ろ液」とは、血液から濾し取った老廃物及び余剰水分、または血液を浄化した後の透析液のことをいう。
【0024】
「ポンプ」とは、回路内の液体を流動させるための圧力をかける機器である。
「バルブ」とは、その取付位置における、回路内の液体の流量の調整および流路の閉鎖をする機器である。「バルブを閉める」とは、その取付位置における回路内の液体の流路を閉鎖することをいい、「バルブを開ける」とは、その取付位置における回路内の液体を流すことをいう。例えば、回路が一定の弾性のある管である場合には、管を外部から挟み込む器具を取り付けることにより、通常は開けられている管を外部から挟み込むことによって、流路を閉じることが実現できる。
【0025】
「回路」とは、ある特定種類の液体が流れる流路全体のことである。具体的には、回路は、血液やプライミング液、補液、透析液が流れる流路であり、ろ過器、チャンバ、分岐管、管などの組み合わせにより実現される。また、回路は、施術時に内部を流れる液体によって、「血液回路」と「給液回路」とに分かれ、血液回路には血液が流れ、給液回路には補液および透析液が流れる。「ライン」とは、回路の一部或いは分岐部を示す。
【0026】
「順方向」とは、施術時に回路内を液体が流れる方向のことをいう。また、「逆方向」とは、順方向と逆の方向をいう。施術時に取り付けられていない回路や液体が流れないラインの「順方向」については、個別に定義する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために、血液を浄化するろ過器と、前記ろ過器の血液出口に接続される返血ラインとを有する血液浄化回路内の液の流れを制御する血液浄化制御装置であって、前記返血ラインを開閉する返血用バルブと、前記返血ラインの前記ろ過器および前記返血用バルブの間に、プライミング液を送り込む第1ポンプと、前記返血用バルブを閉めるとともに、前記第1ポンプを稼働させる第1制御手段とを備える。
【0028】
このように、返血用バルブにより、返血ラインの流れを止めた状態で、第1ポンプを稼働させる。これにより、前記返血ラインの前記ろ過器および前記返血バルブの間から送り込まれるプライミング液は、ろ過器の血液出口からろ過器の内部に送り込まれる。すなわち、プライミング液を蓄えたパックを着脱することなく、ろ過器には、施術時の血液の流れとは逆の方向にプライミング液を流すことができる。したがって、プライミング液を蓄えたパックを着脱することなく、プライミングを自動的に実行することが可能になる。
【0029】
好ましくは、前記血液浄化回路は、さらに、前記ろ過器の血液流入口に接続される脱血ラインを有し、前記血液浄化制御装置は、さらに、前記脱血ラインを介して、液体を前記ろ過器に送り出すことと、前記ろ過器から流出させることとが可能な第2ポンプを備え、前記第1制御手段は、前記ろ過器からプライミング液を流出させるように前記第2ポンプを、前記第1ポンプとともに稼働させる。
【0030】
このように、第1ポンプと第2ポンプとによって、ろ過器には、プライミング液が送り込まれる流量よりも、吸い出される流量は少ない。このように、2つのポンプでろ過器に余剰流量を発生させて圧力をかけることにより、ろ過器内のプライミング液の流れを円滑にすることが可能となる。
【0031】
さらに好ましくは、前記第1制御手段は、前記第1ポンプが送り出す流量または圧力を、前記第2ポンプが流出させる流量または圧力より大きくなるように、前記第1ポンプと前記第2ポンプとを制御する。
【0032】
ろ過器中空糸内側に陰圧がかかると、中空糸外側から内側に向かって気泡を吹き込むと、空気が出てくるため、プライミングの目的である血液回路内の空気の除去ができなくなる。プライミング液が送り込まれる圧力の方が、吸い出される圧力より大きくなるように制御されることによって、中空糸内側に陰圧がかかることを防止でき、プライミングによる気泡除去を確実にすることが可能になる。
【0033】
さらに好ましくは、前記血液浄化制御装置は、さらに、プライミング時に、前記返血用バルブを開くとともに、前記第1ポンプを稼働させる第2制御手段を備え、前記第2制御手段は、前記返血ラインのプライミングが完了した後に、上記動作を実行するように制御する。
【0034】
このように、返血ラインのプライミングをろ過器のよりも先に実行する。これにより、返血用バルブを開いた際に、ろ過器などに充填されたプライミング液が返血ラインを介して抜け出ることを防止できる。したがって、新たにバルブを設けるなど血液浄化制御装置やそれによる制御を複雑にすることなく、簡易な制御で返血ラインおよびろ過器のプライミングをすることが可能になる。
【0035】
さらに好ましくは、前記血液浄化回路は、さらに、前記返血ラインおよび前記脱血ラインそれぞれの前記ろ過器に接続されていない端をつなぎ、途中にチャンバを有する補助回路を有し、前記血液浄化制御装置は、さらに、前記血液浄化回路のプライミングが完了した後に、前記返血用バルブを開くとともに、前記第2ポンプを稼働させることによって、前記ろ過器、前記脱血ライン、前記補助回路および前記返血ラインにプライミング液を循環させるリサーキュレーション制御手段を備える。
【0036】
このように、チャンバを有する補助回路を有する血液浄化回路のプライミングが終了した後に、リサーキュレーションを行う。これにより、少ない液量のプライミング液でプライミング操作が完遂でき、従来の操作では除去し切れなかった血液浄化回路内の空気を、補助回路のチャンバにトラップさせることができる。そして、補助回路は、施術には不要であるので、血液浄化の施術中は取り外して廃棄される。そのため、プライミング後に残った空気を、簡易な操作で取り除くことが可能になる。
【0037】
さらに好ましくは、前記血液浄化制御装置は、さらに、前記ろ過器の透析液流入口からプライミング液を送り込む第3ポンプと、プライミング時に、前記第3ポンプを稼働させる第3制御手段とを備える。
【0038】
また、前記血液浄化制御装置は、さらに、前記ろ過器の透析液排出口からプライミング液を吸い出す第4ポンプを備え、前記第3制御手段は、前記第3ポンプにより、前記ろ過器の透析回路部分にプライミング液が充填された後に、さらに、前記第4ポンプを稼働させる。
【0039】
このように、透析液流入口からろ過器にプライミング液を送り込む第3ポンプと、ろ過器の透析液排出口からプライミング液を吸い出す第4ポンプとを、順次稼働させる。これにより、ろ過器の給液回路部分をプライミングすることができる。
【0040】
また、第3ポンプが、施術時に透析液をろ過器に送り込むラインである透析液ラインを介して、透析液流入口からろ過器にプライミング液を送り込む場合には、透析液ラインのプライミングがなされる。
【0041】
さらに、第4ポンプが、血液をろ過した後のろ液をろ過器から流出させるラインであるろ液ラインを介して、透析液排出口からプライミング液を流出させる場合には、ろ液ラインのプライミングがなされる。
【0042】
このように、第3ポンプは透析液ラインを、第4ポンプはろ液ラインを介してプライミング液を流動させる場合には、第3ポンプおよび第4ポンプを順次稼働させることによって、一連の手順で、給液回路のプライミングが可能になる。
【0043】
さらに好ましくは、前記血液浄化回路は、さらに、前記透析液排出口から排出されたプライミング液を蓄える容器と、前記ろ過器の透析液排出口と前記容器とを接続する透析液排出ラインと、前記容器に蓄えられたプライミング液を廃棄する廃棄ラインとを備え、前記第4ポンプは、前記透析液排出ラインを介してプライミング液を吸い出し、前記血液浄化制御装置は、さらに、前記廃棄ラインを開閉する廃棄バルブ(ろ液計量クランプ)と、前記廃棄バルブを閉じるとともに、前記第3のポンプおよび前記第4ポンプを稼働させることにより、前記容器にプライミング液を蓄え、その後に、前記第3のポンプおよび前記第4のポンプを停止させるとともに、前記廃棄バルブを開くことにより、前記容器に蓄えられたプライミング液の一部を廃棄する第4制御手段とを備える。
【0044】
このように、廃棄バルブ(ろ液計量クランプ)を制御することによって、透析液排出口から排出されたプライミング液を蓄える容器に、プライミング液を蓄積し、蓄積されたプライミング液の一部を廃棄する。これにより、施術時に容器に蓄えられるろ過後の透析液(ろ液)の量によって、透析の進行状況を監視し、制御をする場合に、予め容器に蓄えられるプライミング液の量を調整することができる。そのため、予め一定量のプライミング液が蓄積されることになり、容器にプライミング液がない状態から施術を開始する場合に比べて、より正確に施術の進行状況を検知することが可能となる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る血液浄化制御装置によると、回路内の洗浄と空気の除去を確実にするプライミングの自動実行が可能になる。また、プライミングのために操作者に要求される操作を簡単にすることが可能になる。したがって、手軽なプライミング操作によって、確実なプライミングをすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(実施の形態1)
本発明に係る血液浄化制御装置には、血液浄化回路が取り付けられる。血液浄化制御装置は、センサなどから得られる情報に基づき、予め定められた規則に従って、ポンプやバルブを制御する。患者の血液および給液は、血液浄化制御装置の制御に従って、血液浄化回路の中を流れる。これにより、血液は浄化される。
【0047】
まず、血液浄化制御装置の構成について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る血液浄化制御装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
本実施の形態に係る血液浄化制御装置10は、プライミングを自動的に実行するための制御をする装置である。また、血液浄化制御装置10は、複数の動作方法(動作モード)による患者の血液浄化を制御する装置でもある。本実施の形態では、動作モードとして、自動プライミングモードと、CHD(Continuous Hemodialysis)モードと、CHDF(Continuous Hemodiafiltration)モードと、CHF(Continuous Hemofiltration)モード、ECUM(Extra Corporeal Ultrafiltration Method)モードとを備えるとする。
【0049】
血液浄化制御装置10は、入力部12と、表示部14と、モード受付部16と、血液ポンプ20と、透析ポンプ22と、ろ液ポンプ24と、補液ポンプ26と、給液バルブ30と、ろ液バルブ32と、返血バルブ34と、プライミング液排出バルブ36と、ろ液圧センサ40と、脱血圧センサ42と、流入圧センサ44と、排出圧センサ46と、制御方法記憶部48と、制御部49とを備える。
【0050】
入力部12は、血液浄化制御装置10の操作者が、血液浄化制御装置の動作モードを入力する。
【0051】
表示部14は、操作者に情報を提示する部位であり、例えば、モニタ画面などである。
モード受付部16は、入力部12に入力された動作モードを示す情報を受け付ける。
【0052】
血液ポンプ20は、患者から血液を取り出す圧力をかけるポンプである。血液ポンプ20は、施術時に回路内の液体を流動させる方向(以下、このようなポンプの加圧方向を「順方向」という。)だけでなく、それとは逆の方向(以下、このようなポンプの加圧方向を「逆方向」という。)に圧力をかけることもできる。特許請求の範囲に記載の「第2ポンプ」に相当する。
【0053】
透析ポンプ22は、透析液を流動させるための圧力をかけるポンプである。特許請求の範囲に記載の「第3ポンプ」に相当する。
【0054】
ろ液ポンプ24は、ろ液を流動させるための圧力をかけるポンプである。特許請求の範囲に記載の「第4ポンプ」に相当する。
【0055】
補液ポンプ26は、補液を流動させるための圧力をかけるポンプである。特許請求の範囲に記載の「第1ポンプ」に相当する。
【0056】
給液バルブ30は、給液の供給量の調整および供給の停止をするバルブである。
ろ液バルブ32は、ろ液の排出量の調整および排出の停止をするバルブである。特許請求の範囲に記載の「廃棄バルブ」に相当する。
【0057】
返血バルブ34は、ろ過器から導出された血液の患者への返血量の調整および返血の停止をするバルブである。特許請求の範囲に記載の「返血用バルブ」に相当する。
【0058】
プライミング液排出バルブ36は、プライミング液排出経路のバルブであるが、補液を急速に補う必要が生じた場合に利用される急速補液の流量の調整および急速補液の停止をするバルブとしても利用することができる。
【0059】
ろ液圧センサ40は、ろ液が流れるラインの圧力を測定するセンサである。
脱血圧センサ42と流入圧センサ44とは、血液ポンプ20の働きによって患者から取り出された、浄化前の血液が流れる圧力を測定するセンサである。脱血圧センサ42は血液ポンプ20より患者側にあるラインを流れる血液の圧力を測定し、流入圧センサ44は血液ポンプ20よりろ過器側にあるラインを流れる血液の圧力を測定する。
【0060】
排出圧センサ46は、ろ過器56から排出される血液の圧力を測定するセンサである。
制御方法記憶部48は、血液浄化制御装置10が提供する動作モードの制御方法に関する情報を記憶している。本実施の形態の制御方法記憶部48は、自動プライミングモード情報48aと、CHDモード情報48bと、CHDFモード情報48cと、CHFモード情報48dと、ECUMモード情報48eとを記憶している記憶媒体である。
【0061】
自動プライミングモード情報48aは、血液浄化制御装置10が自動的にプライミングする際に、ポンプやバルブを制御する方法を含む情報である。
【0062】
CHDモード情報48bと、CHDFモード48c情報と、CHFモード情報48dとは、各血液浄化方法により血液を浄化するために、ポンプやバルブを制御する方法を含む情報である。ECUMモード情報48eは、透析液を流さずにろ過器を介して、血液中から水分を除去するために、ポンプやバルブを制御する方法を含む情報である。CHDモード情報48bは持続緩除式血液透析(CHD)を施術する場合の制御方法を含む情報であり、CHDFモード48c情報は持続緩除式透析ろ過(CHDF)を施術する場合の制御方法を含む情報であり、CHFモード情報48dは持続緩除式血液ろ過(CHF)を施術する場合の制御方法を含む情報である。ECUMモード情報48eは、限外ろ過(ECUM)を施術する場合の制御方法を含む情報である。
【0063】
制御部49は、モード受付部16が受け付けた動作モードに対応する情報を制御方法記憶部48から読み出し、読み出した情報に基づいて、圧力センサや図示しない各センサから取得した情報を参照し、各ポンプおよび各バルブを制御する。
【0064】
特許請求の範囲に記載の「第1制御手段」、「第2制御手段」、「第3制御手段」、「第4制御手段」および「リサーキュレーション制御手段」は、自動プライミングモード情報48aを読み出し、読み出した自動プライミングモード情報48aに基づいて、各ポンプおよび各バルブを制御する制御部49により、実現される。
【0065】
次に、このような複数の血液浄化方法を実行できる血液浄化制御装置10に取り付けられる回路の構成について、図を参照して説明する。
【0066】
図2は、本発明の一実施の形態に係るプライミング時の血液浄化回路の構成と、血液浄化制御装置のポンプ、バルブおよび圧力センサの位置関係を示す図である。
【0067】
プライミング時の血液浄化回路は、第1給液パック50と、第2給液パック52と、ろ液パック54と、ろ過器56と、返血チャンバ58と、リサーキュレーション・チャンバ60と、給液分岐管62と、急速補液分岐管64と、抗凝固分岐管66と、脱血側継ぎ手68aと、脱血側継ぎ手68bと、返血側継ぎ手70aと、返血側継ぎ手70bと、第1給液ライン72と、第2給液ライン74と、透析液ライン76と、ろ液ライン78と、廃液ライン80と、補液ライン82と、第1脱血ライン84と、プライミング液排出(急速補液)ライン86と、第2脱血ライン88と、第3脱血ライン89と、抗凝固剤(バイパス)ライン90と、第1返血ライン92と、第2返血ライン94と、第1循環ライン96と、第2循環ライン98とを備える。
【0068】
本図では、血液浄化制御装置10が備える各ポンプ、各バルブ、および各センサの血液浄化回路での位置関係を説明するため、血液ポンプ20と、透析ポンプ22と、ろ液ポンプ24と、補液ポンプ26と、給液バルブ30と、ろ液バルブ32と、返血バルブ34と、プライミング液排出バルブ36と、ろ液圧センサ40と、脱血圧センサ42と、流入圧センサ44と、排出圧センサ46とを併せて示している。これら血液浄化制御装置10が備える各部については、図1を参照して説明したため、ここでは説明を省略する。
【0069】
第1給液パック50は、給液が最初に蓄えられている容器である。
第2給液パック52は、第1給液パック50から供給された給液が蓄えられる容器である。
【0070】
ろ液パック54は、血液浄化後の透析液であるろ液が蓄えられる容器である。ろ液パック54は、特許請求の範囲に記載の「容器」に相当する。
【0071】
本実施の形態では、プライミング液と補液と透析液とは同じ液体であるとする。第1給液パック50から供給された給液は、第2給液パック52に一旦蓄えられた後に、他の血液浄化回路に供給される。そして、血液浄化中には、第2給液パック52に蓄えられている給液が補液および透析液として利用され、また、血液浄化後のろ液は、ろ液パック54に蓄えられる。
【0072】
これにより、例えば、施術中の第2給液パック52およびろ液パック54の正確な重量を計測することができる。制御部49がこれらの計測結果を取得することにより、血液浄化の進行状況や補液として患者の体内に取り込まれた量に基づく自動制御を実現することが可能となる。
【0073】
ろ過器56は、血液を浄化する器具である。本図に示すろ過器56では、円筒の上部に設けられている血液流入口から血液が流入し、円筒の下部に設けられている血液返血口から血液が返血される。また、円筒横の下部に設けられている透析液流入口から透析液が流入し、円筒横の上部に設けられている透析液排出口から血液を浄化した後の透析液、すなわち、ろ液が排出される。
【0074】
本図では、ろ過器56中の点線の内部は血液の流路である中空糸の内部を、点線の外側は透析液の流路である中空糸の外部を、それぞれ模式的に示す。ろ過器56の点線の内部は血液回路の一部であり、血液入口から血液出口の方向が順方向となる。また、ろ過器56の点線の外部は給液回路の一部であり、透析液入口から透析液出口の方向が順方向となる。
【0075】
返血チャンバ58は、ろ過器56側から排出される血液中の気泡をトラップするとともに、返血に補液が混入される部位である。
【0076】
リサーキュレーション・チャンバ60は、リサーキュレーション時に、プライミング後に血液回路内やろ過器内に残存している気泡をトラップするチャンバである。ここで、「リサーキュレーション」とは、血液浄化回路へのプライミング液の充填が完了してから、患者に施術するまでの間に、血液回路中にプライミング液を循環させることをいう。
【0077】
これらのチャンバは、構造上、順方向に流れる液体中の気泡はトラップするが、逆方向ではトラップできない。したがって、逆方向に流体を流すことにより、チャンバをプライミングすることができる。
【0078】
給液分岐管62は、給液を、透析液と補液とに分離する分岐管である。
急速補液分岐管64は、患者から取り出した血液に、急速に補液などを混入させる分岐管である。
【0079】
抗凝固分岐管66は、患者から取り出した血液に抗凝固剤を混入させる分岐管である。
脱血側継ぎ手68aと脱血側継ぎ手68bとは、着脱可能な継ぎ手部材である。プライミング時には、本図に示すように、脱血側継ぎ手68aと脱血側継ぎ手68bとが繋がれる。
【0080】
施術時には、脱血側継ぎ手68aと脱血側継ぎ手68bとは取り外される。そして、施術時の脱血側継ぎ手68aには、脱血側継ぎ手68bに代えて、患者から血液を取り出すための器具が取り付けられる。脱血側継ぎ手68aに取り付けられる器具の一例として、患者に穿刺される針がある。患者の血液は、針のような器具を通して、血液浄化回路に取り込まれる。
【0081】
返血側継ぎ手70aと返血側継ぎ手70bとは、着脱可能な継ぎ手部材である。プライミング時には、本図に示すように、返血側継ぎ手70aと返血側継ぎ手70bとが繋がれる。
【0082】
施術時には、返血側継ぎ手70aと返血側継ぎ手70bとは、取り外される。そして、施術時の返血側継ぎ手70aには、返血側継ぎ手70bに代えて、患者の体内に血液を戻すための器具が取り付けられる。返血側継ぎ手70aに取り付けられる器具の一例として、患者に穿刺される針がある。浄化された血液は、その針を通して、患者の体内に戻される。
【0083】
このように、脱血側継ぎ手68aと返血側継ぎ手70aとには、施術時とプライミング時とで取り付けられる器具が異なる。そのため、脱血側継ぎ手68aは、脱血側継ぎ手68bと、患者から血液を取り出すための器具とをともに着脱可能な形状をしている。また、返血側継ぎ手70bは、返血側継ぎ手70aと、患者の体内に血液を戻すための器具とをともに着脱可能な形状をしている。
【0084】
このような形状をしている脱血側継ぎ手68aと返血側継ぎ手70aとを備えることにより、血液浄化制御装置および血液浄化回路の操作者は、プライミング後のリサーキュレーションから、施術へ容易に移行することが可能になる。
【0085】
第1給液ライン72は、施術中に、第1給液パック50から第2給液パック52の方向に、給液を流すラインである。また本図に示すように、第1給液ライン72は、その途中に給液バルブ30が取り付けられる。
【0086】
第2給液ライン74は、施術中に、第2給液パック52から給液分岐管62の方向に給液を流すラインである。
【0087】
透析液ライン76は、施術中に、給液分岐管62からろ過器56の透析液入口の方向に、透析液を流すラインである。また、透析液ライン76は、途中に、透析ポンプ22が取り付けられる部位である透析ポンプ取付部を有する。透析ポンプ取付部には、本図に示すように、透析ポンプ22が取り付けられる。
【0088】
ろ液ライン78は、ろ過器56の透析液出口からろ液パック54の方向に、ろ液を流すラインである。また、ろ液ライン78は、途中に、ろ液ポンプ24が取り付けられる部位であるろ液ポンプ取付部を有する。ろ液ポンプ取付部には、本図に示すように、ろ液ポンプ24が取り付けられる。
【0089】
廃液ライン80は、施術によりろ液パック54に蓄えられたろ液を廃棄するラインである。また、廃液ライン80は、途中に、ろ液バルブ32が取り付けられる部位であるろ液バルブ取付部を有する。ろ液バルブ取付部には、本図に示すように、ろ液バルブ32が取り付けられる。
【0090】
ろ液バルブ32は、施術時に、閉められており、廃液ライン80にろ液は流れない。施術後に、ろ液バルブ32が開けられ、ろ液パック54から開放端の方向に、ろ液が流れる。このろ液が流れる方向を、廃液ライン80の「順方向」とする。
【0091】
補液ライン82は、施術中に、給液分岐管62から返血チャンバ58の方向に、補液を流すラインである。また、補液ライン82は、途中に、補液ポンプ26を取り付ける部位である補液ポンプ取付部を有する。本図に示すように、補液ポンプ取付部には補液バルブ26が取り付けられる。
【0092】
第1脱血ライン84は、施術中に、脱血側継ぎ手68aから抗凝固分岐管66の方向に、浄化前の血液が流れるラインである。
【0093】
プライミング液排出(急速補液)ライン86は、開放された排出口を一端に有し、プライミング時に、回路中の空気およびプライミング液を排出口から排出するラインである。プライミング液排出(急速補液)ライン86は、施術中に、浄化中の血液に急速に補液を補う必要があるときに、その補液を流すラインでもある。すなわち、施術時には、急速補充用の補液パック(図示しない)と、急速補液分岐管64とをつなぐラインである。補液パック(図示しない)から急速補液分岐管64の方向に、補液が流れる。プライミング時には、プライミング液の廃棄ラインとなり、一端は急速補液分岐管64に繋がれ、他端は開放されている。
【0094】
また、プライミング液排出(急速補液)ライン86は、途中に、プライミング液排出バルブ36を取り付ける部位であるプライミング液排出バルブ取付部を有する。本図に示すように、プライミング液排出バルブ取付部にはプライミング液排出バルブ36が取り付けられる。
【0095】
第2脱血ライン88は、施術中に、急速補液分岐管64から抗凝固分岐管66の方向に、浄化前の血液を流すラインである。また、第2脱血ライン88は、途中に、血液ポンプ20が取り付けられる部位である血液ポンプ取付部を有する。血液ポンプ取付部には、本図に示すように、血液ポンプ20が取り付けられる。
【0096】
第3脱血ライン89は、施術中に、抗凝固分岐管66からろ過器56の血液入口の方向に、浄化前の血液を流すラインである。
【0097】
抗凝固剤(バイパス)ライン90は、プライミング時に、ろ過器56に過剰な圧力がかかることを防止するように、ろ過器56の血液入口側に接続されるラインとろ過器56の血液返血口側に接続されるラインとを短絡するラインである。
【0098】
ろ過器56に流すプライミング液の流量は、ポンプの稼働により制御される。
【0099】
本実施の形態では、補液ポンプ26がろ過器56にプライミング液を送り込み、血液ポンプ20がろ過器56からプライミング液を吸い出す。ポンプの稼働には、誤差やムラなどがある。そのため、補液ポンプ26がプライミング液を送り込む流量または圧力を、血液ポンプ20がプライミング液を吸い出す流量または圧力より大きくする。このようにポンプを制御することにより、ろ過器56にプライミング液を滞りなく流すことができ、ろ過器56のプライミングが可能になる。
【0100】
また、ポンプの稼働の誤差やムラのため、ろ過器56には過剰な圧力がかかる場合がある。過剰な圧力は、ろ過器56の中空糸にダメージを与え、リーク等が生じる恐れがある。プライミングを阻害する。そこで、プライミング時に、流路抵抗が大きいラインで血液回路を短絡させるバイパスにより、ろ過器56に過剰な圧力がかかることを防止することができ、より確実なプライミングが可能になる。
【0101】
流路抵抗の大きいラインは、他のラインを形成する管よりも、その径が細い管により実現できる。また、施術時の抗凝固剤ラインも、一般に、他のラインを形成する管よりも細い。そのため、プライミング時に、リサーキュレーション・チャンバ60の流出側に取り付けられる抗凝固剤(バイパス)ライン90の一端に、施術時にはシリンジ・ポンプを取り付けるなどにより、バイパスラインを、抗凝固剤を流すラインに転用できる。
【0102】
したがって、血液浄化時に抗凝固剤を投入するための新たなラインを追加するなど、血液浄化回路をさらに複雑にすることなく、ろ過器56のプライミングを効率的にすることが可能になる。なお、シリンジ・ポンプは血液回路に抗凝固剤を注入する装置である抗凝固剤注入装置の一例である。
【0103】
第1返血ライン92は、施術中に、ろ過器56の血液出口から返血チャンバ58の流入口に、血液を流すラインである。
【0104】
第2返血ライン94は、施術中に、返血チャンバ58の返血口から返血側継ぎ手70aの方向に、血液を流すラインである。また、第2返血ライン94は、途中に、返血バルブ34が取り付けられる部位である返血バルブ取付部を有する。返血バルブ取付部には、本図に示すように、返血バルブ34が取り付けられる。
【0105】
第1循環ライン96は、プライミング時に、脱血側継ぎ手68bからリサーキュレーション・チャンバ60の流入口の方向に、プライミング液を流すラインである。血液浄化時には取り付けられていない部位である。第1循環ライン96については、脱血側継ぎ手68bからリサーキュレーション・チャンバ60の流入口の方向を、順方向とする。
【0106】
第2循環ライン98は、プライミング時に、リサーキュレーション・チャンバ60の返血口から返血側継ぎ手70bの方向に、プライミング液を流すラインである。第1循環ライン96は、血液浄化時には取り付けられていない部位である。第2循環ライン98については、リサーキュレーション・チャンバ60の返血口から返血側継ぎ手70bの方向を、順方向とする。
【0107】
これまでに説明した本実施の形態の血液浄化回路では、血液回路は、「脱血ライン」と、ろ過器56の内側と、「返血ライン」と、プライミング液排出(急速補液)ライン86と、抗凝固剤(バイパス)ライン90とから構成される。
【0108】
「脱血ライン」は、脱血側継ぎ手68aと、第1脱血ライン84と、急速補液分岐管64と、第2脱血ライン88と、抗凝固分岐管66と、第3脱血ライン89とから、構成される。
【0109】
「返血ライン」は、第1返血ライン92と、返血チャンバ58と、第2返血ライン94と、返血側継ぎ手70aとから、構成される。
【0110】
また、給液回路は、第1給液パック50と、第1給液ライン72と、第2給液パック52と、第2給液ライン74と、補液ライン82と、透析液ライン76と、ろ過器56の外側と、ろ液ライン78と、ろ液パック54と、廃液ライン80とから、構成される。
【0111】
さらに、循環回路は、脱血側継ぎ手68bと、第1循環ライン96と、リサーキュレーション・チャンバ60と、第2循環ライン98と、返血側継ぎ手70bとから、構成される。このような循環回路は、特許請求の範囲に記載の「補助回路」に相当する。
【0112】
循環回路は、血液浄化時には取り付けられていない回路である。そのため、循環回路を構成する各ラインについては、プライミング液が流れる方向を、順方向とする。
【0113】
また、本図に示す、廃液タンク100と、廃液タンク102とは、プライミング時に、回路の開放端から流出するプライミング液を溜めるタンクである。
【0114】
以上が、本実施の形態に係る血液浄化回路の構成である。
【0115】
このように、複雑な回路をプライミングするには、その手順も複雑になる。そのため、マニュアル操作でプライミングすると、手間がかかるだけでなく、操作ミスの危険がある。自動プライミングモードを備えることによって、操作者の手間や操作ミスの危険を抑えることができ、安全な血液浄化のためのプライミングを確実に実行することが可能になる。
【0116】
このような、自動プライミングの手順について、図3から図15までを参照して、説明する。
【0117】
図3は、本発明の一実施の形態に係るプライミング時の血液浄化回路の構成と、血液浄化制御装置10のポンプ、バルブおよび圧力センサの位置関係を、簡略化して示す図である。本図の矢印は、各ラインの順方向を示す。
【0118】
本図では、図2に示した圧力センサを省略している。また、本図では、図2と対応する各部位について同一の番号を付している。そのため、各部位に関する、ここでの説明は省略する。また、リサーキュレーション・チャンバ60は、本図では図を簡単にするため横向きに置かれているが、実際には、リサーキュレーション・チャンバ60の流入口側(第1循環ライン96に接続されている側)が鉛直上方となるように、血液浄化制御装置10に取り付けられる。
【0119】
図4は、本実施の形態において、自動プライミングモードが選択された場合に、血液浄化制御装置10が実行する自動プライミングの手順を示す図である。
【0120】
本図は、操作者によって入力部12に入力された自動プライミングモードの選択を、血液浄化制御装置10のモード受付部16が受け付けた場合に、制御方法記憶部48から自動プライミングモード情報48aを読み出し、読み出した自動プライミングモード情報48aを実行する制御部49が、血液浄化制御装置10が備える各ポンプおよび各バルブを制御する手順を示す。
【0121】
また、図5は、本実施の形態のプライミング時の各手順での回路の状態をまとめて示す図である。さらに、図6から図15までは、プライミング時の各手順での回路の状態を示す回路構成図である。
【0122】
以下、図4に示す各手順について説明するとともに、図5から図15までを参照して、各手順での対応する回路の状態を説明する。
【0123】
初期状態において、血液浄化制御装置10には、図2および図3に示すような状態で血液浄化回路が取り付けられており、プライミング液は第1給液パック50のみに蓄えられていることとする。また、図5の初期状態に示すように、血液浄化制御装置10のすべてのポンプの稼働が停止し、すべてのバルブが開放していることとする。
【0124】
制御部49は、給液バルブ30と、返血バルブ34を開く(S1)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態1となり、第1給液ライン72と、第2給液パック52とにプライミング液(以下、プライミングの手順の説明では、単に「液体」という。)が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図6に示す状態になる。
【0125】
ここで、図6は、本実施の形態に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態1を示す図である。図6において、回路構成中にハッチングが施されている部分は、液体が充填されていること、すなわちプライミングされた部分を示す。また、ハッチングが施されていない部分は、液体が未だ充填されていないこと、すなわちプライミングされていない部分を示す。また、図6において、ハッチングが施されちるバルブは閉じた状態であることを示し、ハッチングが施されていないバルブは開いた状態であることを示す。
【0126】
回路およびバルブに施されているハッチングは、図7から図15までについても、同様の状態を示す。そのため、各図でのこれらのハッチングに関する説明は省略する。
【0127】
さらに、図6においては、すべてのポンプにハッチングが施されていない。これは、すべてのポンプが停止していることを示す。図7から図15までについても、同様に、停止しているポンプにはハッチングが施されておらず、稼働しているポンプにはハッチングが施されている。ポンプのハッチングに関してはここで説明したため、各図での説明は省略する。
【0128】
ここから、図4に戻る。
制御部49は、透析ポンプ22を稼働させる(S2)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態2となり、第2給液ライン74と、透析液ライン76と、ろ過器56の外側(給液回路を構成する部分)とに液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図7に示す状態になる。
【0129】
制御部49は、ろ液ポンプ24を稼働させる(S3)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態3となり、ろ液ライン78に液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図8に示す状態になる。
【0130】
このように、透析ポンプ22を稼働させ(S2)、図7に示すように前記ろ過器の透析回路部分にプライミング液が充填された後に、ろ液ポンプ24を稼働させる(S3)制御部49は、特許請求の範囲に記載の「第3制御手段」に相当する。
【0131】
制御部49は、透析ポンプ22とろ液ポンプ24を停止させ、補液ポンプ26を稼働させ、給液バルブ30を閉める(S4)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態4となり、補液ライン82に液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図9に示す状態になる。このように、返血バルブ34が開いた状態で、補液ポンプ26を稼働させる制御部49は、特許請求の範囲に記載の「第2制御手段」に相当する。
【0132】
以上で、ろ液パック54を除く、給液回路にプライミング液が充填される。続けて、血液回路のプライミングが開始される。
【0133】
補液ライン82に液体が充填され、返血チャンバ58の給液の流入口にまで液体が到達すると、制御部49は、プライミング液排出バルブ36を開く(S5)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態5となり、第2返血ライン94と、第2循環ライン98と、リサーキュレーション・チャンバ60と、第1循環ライン96と、第1脱血ライン84と、プライミング液排出(急速補液)ライン86とに液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図10に示す状態になる。ここで、返血チャンバ58には順方向に液体が流れるため、この時点で返血チャンバ58に液体が流れ込むものの、返血チャンバ58には、空気が残っている。
【0134】
制御部49は、血液ポンプ20を血液浄化時とは逆方向に稼働させ、返血チャンバ58から空気が全て除去され、さらに第2脱血ライン88が液で充填された時点で、返血バルブ34を閉める(S6)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態6となり、返血チャンバ58と、第1返血ライン92と、ろ過器56の内側(血液回路を構成する部分)と、第3脱血ライン89と、第2脱血ライン88とに液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図11に示す状態になる。このように、補液ポンプ26が稼働した状態で、返血バルブ34を閉め、血液ポンプ20を稼働させる制御部49は、特許請求の範囲に記載の「第1制御手段」に相当する。
【0135】
図11に示すように、返血チャンバ58の返血口に接続されている返血バルブ34を閉じることにより、補液ライン82から流れ込むプライミング液は返血チャンバ58の鉛直下方から全体に充填される。また、このように設けられている返血バルブ34を閉じることにより、ろ過器56の内側に液体を逆方向に流すことが可能となる。
【0136】
また、血液ポンプ20は第3脱血ライン89の流量を調整し、補液ポンプ26は第1返血ライン92の流量を調整する。このように2つのポンプによってろ過器56の内側(血液回路部分)にかかる圧力を調整するため、ろ過器56の内側にプライミング液を確実に充填することが可能になる。
【0137】
ここから、図4の説明に戻る。
廃液タンク102に液体が廃棄された後に、制御部49は、血液ポンプ20を停止させる(S7)。これにより、血液浄化回路の状態は、図5に示す状態7となり、抗凝固剤(バイパス)ライン90に液体が充填される。すなわち、抗凝固剤(バイパス)ライン90が確実にプライミングされる。具体的な血液浄化回路の状態は、図12に示す状態になる。
【0138】
以上で、血液回路のすべてにプライミング液が充填される。続けて、給液回路の中で、プライミングが未完了であるろ液パック54のプライミングを開始する。
【0139】
制御部49は、補液ポンプ26を停止させ、透析ポンプ22とろ液ポンプ24を稼働させ、返血バルブ34を開き、プライミング液排出バルブ36を閉める(S8)。これにより、血液浄化回路の状態は、図13に示す状態8となり、ろ液パック54に液体が蓄積される。
【0140】
以上で、血液浄化回路のすべてにプライミング液が充填される。
【0141】
制御部49は、透析ポンプ22とろ液ポンプ24を停止させ、ろ液バルブ32を開く(S9)。これにより、血液浄化回路の状態は、図14に示す状態9となり、ろ液パック54に蓄積された液体の一部が廃液タンク100に廃棄される。このように、ろ液バルブ32を開き、ろ液パック54に蓄積された液体の一部を廃棄する制御部49は、「第4制御手段」に相当する。
【0142】
施術時の血液浄化制御装置10は、第2給液パック重量とろ液パック54の重量とにより、浄化された血液の量を測定する。このように、ろ液パック54の液体の一部を廃棄することにより、第2給液パック52の重量とろ液パック54の重量とのバランスが調整されるため、施術中のより正確な血液浄化量の計測が可能となる。
【0143】
このように、本実施の形態の血液浄化回路では、血液回路および循環回路だけでなく、給液回路にも一連の手順において、プライミング液を充填させることができる。さらに、一連の手順において、自動的に、第2給液パック52の重量とろ液パック54の重量とのバランスが調整されるため、施術の準備のために操作者に要求される操作の負担をかけることなく、安全な施術のための準備をすることが可能となる。
【0144】
制御部49は、血液ポンプ20を稼働させる(S10)。これにより、血液回路内をプライミング液を循環させることにより、回路内に残存している空気を除くリサーキュレーションが行われる。
【0145】
図15は、リサーキュレーション時の、本実施の形態に係る血液回路内のプライミング液の流れを示す図である。図15に示すように、本実施の形態に係る血液回路内をプライミング液が循環することにより、回路内に残存している空気は、リサーキュレーション・チャンバ60にトラップされる。このような、リサーキュレーションは施術開始まで継続される。このように、血液ポンプ20を稼働させ、リサーキュレーションを制御する制御部49は、特許請求の範囲に記載の「リサーキュレーション制御手段」に相当する。
【0146】
本発明の血液浄化回路は、プライミングする際に血液回路を循環構造とするための循環回路に、リサーキュレーション・チャンバを備える。このような血液浄化回路を取り付けた状態で、リサーキュレーション、すなわち、血液回路内にプライミング液を循環させることにより、プライミング後になお血液回路内に残存している空気をリサーキュレーション・チャンバにおいて捕捉し、収集することができる。そして、リサーキュレーション・チャンバを含む循環回路は、施術時には血液回路から取り外され廃棄されるため、リサーキュレーション・チャンバに収集された空気は、循環回路とともに廃棄される。
【0147】
したがって、循環回路にリサーキュレーション・チャンバを設けるだけで、プライミングおよび施術という血液浄化に関連する一連の作業手順に、新たな手順を追加することなく、血液回路に残存している空気を除去することができる。したがって、操作者に負担をかけることなく、血液回路中の空気の除去をより確実にすることが可能となる。
【0148】
以上、本発明の一実施の形態の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0149】
例えば、実施の形態では、バイパスラインである抗凝固剤(バイパス)ライン90は、ろ過器56にかかる圧力を低減させるため、脱血ラインを流れるプライミング液の圧力および返血ラインを流れるプライミング液の圧力の差を低減させるラインの一例として、ろ過器56の血液入口と血液ポンプ20との間に位置する抗凝固分岐管66と、リサーキュレーション・チャンバ60の排出口とをつなぐこととした。
【0150】
ろ過器56にかかる圧力を低減させるには、バイパスラインの一端が、血液ポンプ20および補液ポンプ26によってろ過器56にかかる圧力を他のラインに逃がせばよい。ただし、バイパスラインは、リサーキュレーション時に空気が逆流しないように取り付けられる。
【0151】
血液回路と循環回路とにより形成される環状の回路は、返血バルブ34と血液ポンプ20とにより、補液ライン82が接続される高圧側のラインと、急速補液ラインが接続される低圧側のラインとに分かれる。バイパスラインは、このような高圧側のラインと低圧側のラインとに接続される。
【0152】
すなわち、脱血ラインを流れるプライミング液の圧力および返血ラインを流れるプライミング液の圧力の差を低減させるラインとは、一端が、血液ポンプ取付部とろ過器56の血液入口との間、ろ過器56の血液出口と返血バルブ取付部との間(返血チャンバ58を含む)、補液ポンプ26と返血チャンバ58との間に接続し、他端が、脱血ラインの血液ポンプ20より上流側のライン、又は返血ラインの返血バルブ34より下流側のラインのいずれかの部位に接続していればよい。
【0153】
より具体的には、第1に、バイパスラインの一端が、血液ポンプ取付部とろ過器56の血液入口との間に接続する場合に、他端が、血液ポンプ取付部と脱血側継ぎ手68aとの間に接続し、他端が、循環ラインに接続し、返血バルブ取付部と返血側継ぎ手70aとの間に接続し、または、プライミング液排出(急速補液)ライン86に接続する場合がある。本発明の実施の形態は、この場合に、他端が、循環ラインに接続する一例である。
【0154】
第2に、バイパスラインの一端が、ろ過器56の血液出口と返血バルブ取付部との間(返血チャンバ58を含む)に接続し、他端が、血液ポンプ取付部と脱血側継ぎ手68aとの間に接続し、他端が、循環ラインに接続し、返血バルブ取付部と返血側継ぎ手70aとの間、または、プライミング液排出(急速補液)ライン86に接続する場合がある。
【0155】
例えば、図16は、本発明の一変形例に係る血液浄化回路の構成を示す図であり、図16に示す抗凝固剤(バイパス)ライン106は、返血チャンバ58の流入口と、第1脱血ライン84とをつなぐ。本変形例は、第2の場合に、他端が、血液ポンプ取付部と脱血側継ぎ手68aとの間に接続する一例である。
【0156】
第3に、バイパスラインの一端が、補液ポンプ26と返血チャンバ58との間に接続し、他端が、血液ポンプ取付部と脱血側継ぎ手68aとの間に接続し、他端が、循環ラインに接続し、返血バルブ取付部と返血側継ぎ手70aとの間に接続し、または、プライミング液排出(急速補液)ライン86に接続する場合がある。
【0157】
このようなバイパスラインは、施術中に抗凝固剤を投入するためのラインとして転用できるため、抗凝固剤の投入にふさわしい箇所を、その一端に選択すればよい。このような回路構成によっても、プライミング液を蓄えたパックを施術時に着脱することなく、一連の制御により、プライミングを自動的に実行することが可能である。
【0158】
バイパスラインの他端が接続するラインは、取り外しが容易な位置またはプライミング液排出(急速補液)ライン86の排出口から離れた位置が好ましい。
【0159】
取り外しが容易な位置の例がチャンバである。バイパスラインの他端は、プライミングとリサーキュレーションの後に抗凝固剤注入装置を取り付けるために、ラインから取り外される。そのため、取り外しが容易な位置に接続することにより、施術までの作業を容易にすることができる。
【0160】
また、プライミング液排出(急速補液)ライン86の開放端から離れた位置の例としては、プライミング液排出(急速補液)ライン86以外の血液回路、すなわち、血液ポンプ取付部と脱血側継ぎ手68aとの間、循環ラインの途中、返血バルブ取付部と返血側継ぎ手70aとの間が挙げられる。
【0161】
プライミング時、バイパスラインを通ったプライミング液は血液回路の一部を通った後にプライミング液排出(急速補液)ライン86を通って回路から排出される。そのため、バイパスラインを通ったプライミング液は、血液回路との接続口からプライミング液排出(急速補液)ライン86の開放端までを形成するラインのプライミングに利用される。したがって、プライミング液排出(急速補液)ライン86の開放端から離れた位置とすることにより、プライミング液をより長いラインのプライミングに利用することができ、プライミング液を有効に利用することができる。
【0162】
(実施の形態2)
本実施の形態の血液浄化制御装置は、図1に示す実施の形態1の血液浄化制御装置10と同じ機能構成を備え、図2および図3に示す実施の形態1と同じ回路構成である血液回路によるプライミングおよび患者の血液浄化を制御する。
【0163】
本実施の形態の血液浄化制御装置と、実施の形態1の血液浄化制御装置10との違いは、制御方法記憶部48が記憶している自動プライミングモード情報48aの内容、すなわち、血液浄化制御装置10が備える制御部49がプライミング時に実行する制御手順である。したがって、本実施の形態では、図17から図26までを参照して、本実施の形態の血液浄化制御装置10が実行するプライミングの手順について説明する。なお、本実施の形態の血液浄化制御装置10は、図19から図26に示すように抗凝固剤(バイパス)ライン90に逆止弁37を備えている。
【0164】
図17は、本実施の形態において、自動プライミングモードが選択された場合に、血液浄化制御装置10が実行する自動プライミングの手順を示す図である。
【0165】
本図は、操作者によって入力部12に入力された自動プライミングモードの選択を、血液浄化制御装置10のモード受付部16が受け付けた場合に、制御方法記憶部48から自動プライミングモード情報48aを読み出し、読み出した自動プライミングモード情報48aを実行する制御部49が、血液浄化制御装置10が備える各ポンプおよび各バルブを制御する手順を示す。
【0166】
また、図18は、本実施の形態のプライミング時の各手順での回路の状態をまとめて示す図である。さらに、図19から図26までは、プライミング時の各手順での回路の状態を示す回路構成図である。
【0167】
以下、図17に示す各手順について説明するとともに、図18から図26までを参照して、各手順での対応する回路の状態を説明する。
【0168】
初期状態において、血液浄化制御装置10には、図2および図3に示すような状態で血液浄化回路が取り付けられており、プライミング液は第1給液パック50のみに蓄えられていることとする。また、図18の初期状態に示すように、血液浄化制御装置10のすべてのポンプの稼働が停止し、給液バルブ30とろ液バルブ32とが閉じ、返血バルブ34とプライミング液排出バルブ36とが開放していることとする。具体的な血液浄化回路の状態は、図19に示す状態である。
【0169】
制御部49は、給液バルブ30を開く(S11)。これにより、血液浄化回路の状態は、図18に示す状態1となり、第1給液ライン72と、第2給液パック52とにプライミング液(以下、プライミングの手順の説明では、単に「液体」という。)が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図20に示す状態になる。
【0170】
ここで、図20は、本実施の形態に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態1を示す図である。図20において、回路構成中にハッチングが施されている部分は、液体が充填されていること、すなわちプライミングされた部分を示す。また、ハッチングが施されていない部分は、液体が未だ充填されていないこと、すなわちプライミングされていない部分を示す。また、図20において、ハッチングが施されちるバルブは閉じた状態であることを示し、ハッチングが施されていないバルブは開いた状態であることを示す。
【0171】
回路およびバルブに施されているハッチングは、図21から図26までについても、同様の状態を示す。そのため、各図でのこれらのハッチングに関する説明は省略する。
【0172】
さらに、図20においては、すべてのポンプにハッチングが施されていない。これは、すべてのポンプが停止していることを示す。図21から図26までについても、同様に、停止しているポンプにはハッチングが施されておらず、稼働しているポンプにはハッチングが施されている。ポンプのハッチングに関してはここで説明したため、各図での説明は省略する。
【0173】
ここから、図17に戻る。
制御部49は、透析ポンプ22を20ミリリットル/分で、ろ液ポンプ24を20ミリリットル/分で、補液ポンプ26を60ミリリットル/分で稼働させ、返血バルブ34を閉じる(S12)。これにより、血液浄化回路の状態は、図18に示す状態2となり、第2給液ライン74と、透析液ライン76と、補液ライン82とに液体が充填される。そして、さらに返血チャンバ58にも液体が充填され始める。具体的な血液浄化回路の状態は、図21に示す状態になる。このように、返血バルブ34を閉め、補液ポンプ26を稼働させる制御部49は、特許請求の範囲に記載の「第1制御手段」に相当する。
【0174】
このステップ以降、給液バルブ30とろ液バルブ32とは、計量センサからの測定結果に基づいて独立に制御される。図18では、状態2から状態7までの給液バルブ30とろ液バルブ32との開閉を「*」としており、それぞれが独立で制御されることを示す。また、図22から図26までの血液浄化回路の状態を示す図では、給液バルブ30とろ液バルブ32とに点を施すことにより、それぞれが独立で制御されることを示す。
【0175】
制御部49は、透析ポンプ22とろ液ポンプ24とを停止させる(S13)。このとき、補液ポンプ26は20ミリリットル/分で稼働しており、状態2以降の稼働を継続しているが、状態2よりその送出力を低下させている。これにより、血液浄化回路の状態は、図18に示す状態3となり、第1返血ライン92と、ろ過器56の内側(血液回路を構成する部分)と、返血チャンバ58とに液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図22に示す状態になる。このように、返血バルブ34を閉め、補液ポンプ26を稼働させる制御部49は、S12における制御を実行する制御部49と同様に、特許請求の範囲に記載の「第1制御手段」に相当する。
【0176】
制御部49は、血液ポンプ20を100ミリリットル/分で稼働させる(S14)。このとき、補液ポンプ26は130ミリリットル/分で稼働しており、状態3以降の稼働を継続し、状態3よりその送出力を増加させている。これにより、血液浄化回路の状態は、図18に示す状態4となり、第3脱血ライン89と、第2脱血ライン88と、プライミング液排出(急速補液)ライン86と、抗凝固剤(バイパス)ライン90とに液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図23に示す状態になる。このように、返血バルブ34を閉め、補液ポンプ26とともに血液ポンプ20血液ポンプ20を稼働させる制御部49は、特許請求の範囲に記載の「第1制御手段」に相当する。
【0177】
また、補液ポンプ26が送り出す流量は、血液ポンプ20が送り出す流量よりも大きい。補液ポンプ26は第1返血ライン92の流量を調整し、血液ポンプ20は第2脱血ライン88の流量を調整する。そして、2つのポンプによってろ過器56の内側(血液回路部分)にかかる圧力は調整されるため、ろ過器56の内側にプライミング液を確実に充填することが可能になる。
【0178】
なお、抗凝固剤(バイパス)ライン90には、液体がろ過器56からリサーキュレーション・チャンバ60の方向のみに流れることのできる逆止弁37が備え付けられている。このため、リサーキュレーション・チャンバ60から抗凝固剤(バイパス)ライン90に空気が流入してくるのを防ぐことができる。
【0179】
制御部49は、透析ポンプ22を140ミリリットル/分で、ろ液ポンプ24を110ミリリットル/分で稼働させ、返血バルブ34を開く(S15)。このとき、血液ポンプ20は110ミリリットル/分で稼働しており、状態4以降の稼働を継続し、状態4よりその送出力を増加させている。また、補液ポンプ26は140ミリリットル/分で稼働しており、状態4以降の稼働を継続し、状態4よりその送出力を増加させている。
【0180】
これにより、血液浄化回路の状態は、図18に示す状態5となり、第2返血ライン94と、第1循環ライン96と、リサーキュレーション・チャンバ60と、第2循環ライン98と、第1脱血ライン84と、ろ過器56の外側(給液回路を構成する部分)と、ろ液ライン78とに液体が充填される。具体的な血液浄化回路の状態は、図24に示す状態になる。
【0181】
このように、返血バルブ34が開いた状態で、補液ポンプ26を稼働させる制御部49は、特許請求の範囲に記載の「第2制御手段」に相当する。
【0182】
またこのように、透析ポンプ22を稼働させる制御部49、および透析ポンプ22とろ液ポンプ24とを稼働させる制御部49は、それぞれ特許請求の範囲に記載の「第3制御手段」に相当する。
【0183】
透析ポンプ22とろ液ポンプ24とが同時に稼働して、ろ過器56の外側をプライミングする場合、透析ポンプ22が送り出す流量は、ろ液ポンプ24が送り出す流量よりも大きい。透析ポンプ22はろ過器56の外側に送り込まれる流量を調整し、ろ液ポンプ24はろ過器56の外側から送り出される流量を調整する。透析ポンプ22の方がろ液ポンプ24よりも多く送り出すことにより、ろ過器56外側に陽圧がかかる状態を維持することができる。したがって、ろ液ライン78を介して空気がろ過器56の外側に取り込まれることがない。また、返血バルブ34を開くことで、液体が返血チャンバ58から第2返血ライン94の方向に流れるため、第1返血ライン92及びろ過器56の内側の圧力が低下する。これにより、ろ過器56の外側の方が内側よりも圧力が高くなるため、ろ過器56の外側の液体が内側に流入する。この際に、ろ過器56の外側と内側の間にある中空糸膜内に液体が流入することで、中空糸膜内の空気を追い出すことができる。このように、ろ過器56内の空気を完全に追い出すことで、ろ過器56を確実にプライミングすることが可能になる。
【0184】
制御部49は、血液ポンプ20と補液ポンプ26とを停止させる(S16)。このとき、透析ポンプ22は130ミリリットル/分で稼働しており、状態5以降の稼働を継続しているが、状態5よりその送出力を低下させている。また、ろ液ポンプ24は100ミリリットル/分で稼働しており、状態5以降の稼働を継続しているが、状態5よりその送出力を低下させている。これにより、血液浄化回路の状態は、図18に示す状態6となり、ろ過器56の外側と、ろ液ライン78とに完全に液体が充填され、ろ液パック54に液体が蓄積される。具体的な血液浄化回路の状態は、図25に示す状態になる。
【0185】
図25に示すように、このときの血液浄化回路では、ろ液バルブ32が開かれ、ろ液パック54に蓄積された液体の一部が廃液タンク100に廃棄される。このように、ろ液バルブ32を開き、ろ液パック54に蓄積された液体の一部を廃棄する制御部49は、「第4制御手段」に相当する。
【0186】
施術時の血液浄化制御装置10は、第2給液パック重量とろ液パック54の重量とにより、浄化された血液の量を測定する。このように、ろ液パック54の液体の一部を廃棄することにより、第2給液パック52の重量とろ液パック54の重量とのバランスが調整されるため、施術中のより正確な血液浄化量の計測が可能となる。以上で、血液浄化回路のすべてにプライミング液が充填される。
【0187】
制御部49は、透析ポンプ22とろ液ポンプ24とを停止させ、血液ポンプ20を100ミリリットル/分で稼働させ、プライミング液排出バルブ36を閉じる(S17)。これにより、血液回路内をプライミング液を循環させることにより、回路内に残存している空気を除くリサーキュレーションが行われる。
【0188】
図26は、実施の形態1における図15と同様に、リサーキュレーション時の、本実施の形態に係る血液回路内のプライミング液の流れを示す図である。図26に示すように、本実施の形態に係る血液回路内をプライミング液が循環することにより、回路内に残存している空気は、リサーキュレーション・チャンバ60にトラップされる。このような、リサーキュレーションは施術開始まで継続される。このように、血液ポンプ20を稼働させ、リサーキュレーションを制御する制御部49は、特許請求の範囲に記載の「リサーキュレーション制御手段」に相当する。
【0189】
本発明の血液浄化回路は、プライミングする際に血液回路を循環構造とするための循環回路に、リサーキュレーション・チャンバを備える。このような血液浄化回路を取り付けた状態で、リサーキュレーション、すなわち、血液回路内にプライミング液を循環させることにより、プライミング後になお血液回路内に残存している空気をリサーキュレーション・チャンバにおいて捕捉し、収集することができる。そして、血液浄化回路の脱血側継ぎ手68a、返血側継ぎ手70aがそれぞれ患者の血管に連絡され、リサーキュレーション・チャンバを含む循環回路は、施術(血液浄化)時には血液回路から取り外され廃棄されるため、リサーキュレーション・チャンバに収集された空気は、循環回路とともに廃棄される。
【0190】
したがって、循環回路にリサーキュレーション・チャンバを設けるだけで、プライミングおよび施術という血液浄化に関連する一連の作業手順に、新たな手順を追加することなく、血液回路に残存している空気を除去することができる。したがって、操作者に負担をかけることなく、血液回路中の空気の除去をより確実にすることが可能となる。
【0191】
なお、血液浄化処理の終了後、血液回路も廃棄することが必要になるが、このリサーキュレーション・チャンバを含む循環回路を元に連結されていた血液回路に接続して廃棄することで、血液回路及び循環回路を廃棄する際の液もれを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明は、患者の血液を浄化するための準備であるプライミングを自動実行する血液浄化制御装置に適用できる。また、プライミングが完了してから患者に施術されるまでの間に、血液回路をプライミング液を循環させるリサーキュレーションを実行する血液浄化制御装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明の一実施の形態に係る血液浄化制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るプライミング時の血液浄化回路の構成と、血液浄化制御装置のポンプ、バルブおよび圧力センサの位置関係を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るプライミング時の血液浄化回路の構成と、血液浄化制御装置のポンプ、バルブおよび圧力センサの位置関係を、簡略化して示す図である。
【図4】実施の形態1において、自動プライミングモードが選択された場合に、血液浄化制御装置が実行する自動プライミングの手順を示す図である。
【図5】実施の形態1のプライミング時の各手順での回路の状態をまとめて示す図である。
【図6】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態1を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態2を示す図である。
【図8】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態3を示す図である。
【図9】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態4を示す図である。
【図10】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態5を示す図である。
【図11】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態6を示す図である。
【図12】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態7を示す図である。
【図13】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態8を示す図である。
【図14】実施の形態1に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態9を示す図である。
【図15】リサーキュレーション時の、実施の形態1に係る血液回路内のプライミング液の流れを示す図である。
【図16】本発明の一変形例に係るプライミング時の血液浄化回路の構成と、血液浄化制御装置のポンプ、バルブおよび圧力センサの位置関係を、簡略化して示す図である。
【図17】実施の形態2において、自動プライミングモードが選択された場合に、血液浄化制御装置が実行する自動プライミングの手順を示す図である。
【図18】実施の形態2のプライミング時の各手順での回路の状態をまとめて示す図である。
【図19】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態1を示す図である。
【図20】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態2を示す図である。
【図21】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態2を示す図である。
【図22】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態3を示す図である。
【図23】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態4を示す図である。
【図24】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態5を示す図である。
【図25】実施の形態2に係る血液浄化回路のプライミング時の状態のうち、状態6を示す図である。
【図26】リサーキュレーション時の、実施の形態2に係る血液回路内のプライミング液の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0194】
10 血液浄化制御装置
12 入力部
14 表示部
16 モード受付部
20 血液ポンプ
22 透析ポンプ
24 ろ液ポンプ
26 補液ポンプ
30 給液バルブ
32 ろ液バルブ
34 返血バルブ
36 プライミング液排出バルブ
37 逆止弁
40 ろ液圧センサ
42 脱血圧センサ
44 流入圧センサ
46 排出圧センサ
48 制御方法記憶部
49 制御部
50 第1給液パック
52 第2給液パック
54 ろ液パック
56 ろ過器
58 返血チャンバ
60 リサーキュレーション・チャンバ
62 給液分岐管
64 急速補液分岐管
66 抗凝固分岐管
68a、68b 脱血側継ぎ手
70a、70b 返血側継ぎ手
72 第1給液ライン
74 第2給液ライン
76 透析液ライン
78 ろ液ライン
80 廃液ライン
82 補液ライン
84 第1脱血ライン
86 プライミング液排出(急速補液)ライン
88 第2脱血ライン
89 第3脱血ライン
90 抗凝固剤(バイパス)ライン
92 第1返血ライン
94 第2返血ライン
96 第1循環ライン
98 第2循環ライン
100、102 廃液タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を浄化するろ過器と、前記ろ過器の血液出口に接続される返血ラインとを有する血液浄化回路内の液の流れを制御する血液浄化制御装置であって、
前記返血ラインを開閉する返血用バルブと、
前記返血ラインの前記ろ過器および前記返血用バルブの間に、プライミング液を送り込む第1ポンプと、
前記返血用バルブを閉めるとともに、前記第1ポンプを稼働させる第1制御手段とを備える
ことを特徴とする血液浄化制御装置。
【請求項2】
前記血液浄化回路は、さらに、前記ろ過器の血液入口に接続される脱血ラインを有し、
前記血液浄化制御装置は、さらに、前記脱血ラインを介して、液体を前記ろ過器に送り出すことと、前記ろ過器から流出させることとが可能な第2ポンプを備え、
前記第1制御手段は、前記ろ過器からプライミング液を流出させるように前記第2ポンプを、前記第1ポンプとともに稼働させる
ことを特徴とする請求項1に記載の血液浄化制御装置。
【請求項3】
前記第1制御手段は、前記第1ポンプが送り出す圧力を、前記第2ポンプが流出させる圧力より大きくなるように、前記第1ポンプと前記第2ポンプとを制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の血液浄化制御装置。
【請求項4】
前記血液浄化制御装置は、さらに、プライミング時に、前記返血用バルブを開くとともに、前記第1ポンプを稼働させる第2制御手段を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の血液浄化制御装置。
【請求項5】
前記血液浄化回路は、さらに、前記返血ラインおよび前記脱血ラインそれぞれの前記ろ過器に接続されていない各端部を途中にチャンバを有する補助回路を介して接続し、
前記血液浄化制御装置は、さらに、前記血液浄化回路のプライミングが完了した後に、前記返血用バルブを開くとともに、前記第2ポンプを稼働させることによって、前記ろ過器、前記脱血ライン、前記補助回路および前記返血ラインにプライミング液を循環させるリサーキュレーション制御手段を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の血液浄化制御装置。
【請求項6】
前記血液浄化制御装置は、さらに、前記ろ過器の透析液入口からプライミング液を送り込む第3ポンプと、
プライミング時に、前記第3ポンプを稼働させる第3制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の血液浄化制御装置。
【請求項7】
前記血液浄化制御装置は、さらに、前記ろ過器の透析液出口からプライミング液を流出させる第4ポンプを備え、
前記第3制御手段は、前記第3ポンプにより、前記ろ過器の透析回路部分にプライミング液が充填された後に、さらに、前記第4ポンプを稼働させる
ことを特徴とする請求項6に記載の血液浄化制御装置。
【請求項8】
前記血液浄化回路は、さらに、前記透析液出口から排出されたプライミング液を蓄える容器と、前記ろ過器の透析液出口と前記容器とを接続する透析液排出ラインと、前記容器に蓄えられたプライミング液を廃棄する廃棄ラインとを備え、
前記第4ポンプは、前記透析液排出ラインを介してプライミング液を流通させ、
前記血液浄化制御装置は、さらに、前記廃棄ラインを開閉する廃棄バルブと、
前記廃棄バルブを閉じるとともに、前記第3のポンプおよび前記第4ポンプを稼働させることにより、前記容器にプライミング液を蓄え、その後に、前記廃棄バルブを開くことにより、前記容器に蓄えられたプライミング液の一部を廃棄する第4制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項7に記載の血液浄化制御装置。
【請求項9】
血液を浄化するろ過器と、前記ろ過器の血液出口に接続される返血ラインとを有する血液浄化回路内の液の流れを制御する血液浄化制御プログラムであって、
前記返血ラインを開閉する返血用バルブを開け、前記返血ラインをプライミング液で充填し、前記返血用バルブを閉めるとともに、前記返血ラインの前記ろ過器および前記返血用バルブの間に、プライミング液を送り込む補液用ポンプを稼働させ、血液ポンプを施術時とは逆方向に送液する第1ステップを含むプログラムをコンピュータに実行させる
ことを特徴とする血液浄化制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2008−272440(P2008−272440A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270706(P2007−270706)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】