説明

血液適合性を有する非対称ポリウレタン系膜の合成方法、及び該方法によって得られる膜

本発明は、ビソフトセグメントポリウレタン材料の水準の革新的な特性と、一体型非対称膜としての構造体の水準の革新的な特性とを組み合わせた高分子膜及びその合成に関する。高いフラックスのO及びCOの透過性と組み合わせた血液適合性(非溶血性、非血栓形成性及び血小板の非付着性)が、体外血液酸素供給器のような血液との接触を伴う医療機器における膜の使用のために設計され、これはさらに、血液透析器及び免疫分離バリア用に設計することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
Instituto Superior Tecnicoにおいて開発された、化学技術分野及び生物医学技術分野における本発明は、血液を膜と接触させることを必要とする、体外血液酸素供給器及び体外医療機器又は体外医療装置に用いられる血液適合性の非対称ポリウレタン膜に関する。
【背景技術】
【0002】
体外血液酸素供給器は、酸素を血液に与えると共に二酸化炭素を血液から取り除くという通常の気体交換機能を肺が行えない開心術のような外科手術において用いられる医療機器である。1953年には、Gibbon型酸素供給器(人工肺)の使用によって、臨床的に成功した(1)。酸素供給器は、すぐ側を血液が下流方向に循環する一式の垂直金属スクリーンから成っている。酸素を血液に輸送すると共に二酸化炭素を血液から取り除くことを可能にしたこの一式は、チャンバ内に挿入したものである(1)。
【0003】
その後20年の間、この簡単な機器は、2つの主な指針:
1 気泡型酸素供給器(酸素を血液に直接通気し、気泡から酸素を血流中に拡散させると共に、逆方向に、血液から二酸化炭素を気泡中に拡散させることを伴う);
2 膜型酸素供給器(血流と気相との間に挿入させた半透膜を組み込んでいるため、制御速度で酸素を血液中に浸透させると共に、血液から二酸化炭素を酸素流中へ送ることが可能である)
において数多くの開発のきっかけとなった。
【0004】
第1の気泡型酸素供給器では、気泡及びフォームが赤血球を損傷させる危険性を示すことから、それらのその後の分離が必要であった。この欠点に関連して、それらの使用は、数時間という短時間の手術に限定されていた。それにもかかわらず、気泡型酸素供給器の使用は、大半が膜型酸素供給器に取って代わられた1980年まで続いた。
【0005】
膜型酸素供給器は、より長時間の手術時間の間、患者のサポートを可能にした。それらは現在、省略形で「ECMO」(体外膜型酸素供給器)と称されている。
【0006】
ECMOは、血液損傷の危険性を減らすと共に、より長時間の手術のサポートを可能にするという優れた向上を示すものの、1980年では依然として:
気泡型酸素供給器よりも酸素輸送量がかなり低い;
コストが高い;
漏洩による失敗の危険性がより高い;
より多くの血液量が必要である
という幾つかの問題が付随していた。
【0007】
初めに膜モジュールを静脈血のリザーバに結合した後、血液透析の体外機器のような他の体外機器の製造に関してなされた幾つかの改良体を組み込むことによって、漏洩の制御、堅牢性の改善、及びコストの削減という問題を解決することに成功した。
【0008】
しかしながら、膜型血液酸素供給器の開発における課題は、平板モジュール及び中空繊維モジュールの膜の構成レベルにあるだけでなく、主に、血液適合性(hemocompability)とより高い酸素透過率とを関係付ける新たな膜の開発レベルにもある。
【0009】
使用されるECMOの大半の中空繊維モジュールは多くの場合、高い気体透過率を特徴とすることに起因して微孔質膜から成る。
【0010】
しかしながら、微孔質膜の孔は、実質的に小さいサイズを有して赤血球又は血小板のような血液成分の通過を妨げるにもかかわらず、凝固カスケードの活性化、トロンビン(trombin)の形成、血小板の付着、及びトロンビンの形成をもたらす、血漿タンパク質の吸着によって生じる深刻な膜汚れを受けやすい。したがって、これは、これらの膜が血液適合性を有しないことを意味する。極めて一般的な用語において、血液適合性である膜とは、循環中の血液との接触によっていかなる血液の変化ももたらすことなく、特に、凝固カスケードの活性化を介した溶血、血栓形成、及び血小板の付着を誘発しないものである。
【0011】
特許文献1によれば、微孔質膜に関連する別の問題は、ガスコンパートメント(gas compartment)への水の通過、並びに二酸化炭素の溶解、及び続いて起こる、ヒトの肺の平均値よりも低い値への濃度勾配及び気体透過率の減少である。特許文献1の発明者らは、より高い物質輸送量を維持するためにパルス流を使用している。
【0012】
これらの問題を克服するための形態は、特許文献2及び特許文献3にそれぞれ記載されているような、膜のコーティングによるもの又は複合膜の使用によるものである。
【0013】
特許文献4は、動作時間に伴い酸素側への血漿の侵入が生じて、これにより酸素供給器が動作不能になることに関する、微孔質膜に関連する別の問題を記載している。特許文献4の発明者は、非常に微細な孔を幾らか被覆しないものの、血漿の侵入によって酸素供給器が動作不能になる可能性がある時間を遅延させるコーティングの使用によって、この問題を最小限に抑えることができると述べている。
【0014】
非特許文献1(3)は、略9μm程度の局所的な粗領域を有する塩化ビニルの膜では、平滑な外面を有する膜に比べて血小板の付着が3倍になったと記述している。
【0015】
平板又は中空繊維のいずれかの形態の均質な緻密膜が、微孔質膜とは異なり、平滑膜/血液境界面を保証する表面モルフォロジを示すことに起因して、このような膜は、血液適合性を改善する上で重要な役割を果たし得る。しかしながら、この緻密膜は通常、必要とされる生理学的レベル未満である可能性のある低い気体透過率を示すため、必要な酸素供給率を満たすには、酸素供給器の膜表面積を増大する必要がある。そして、血液/膜境界面をより大きくすることによって、血液の損傷という危険性がより高まるおそれがある。
【0016】
さらに、特許文献5及び特許文献6で報告されているもののような非血栓形成性ポリマーの開発によって、成膜性を有することが示され、且つ、適切なフラックス透過率、及び血液適合性の適切な特性に関連する表面モルフォロジを有する膜の形成が可能になるのであれば、このような開発しか上記課題の解決に有益でない。
【0017】
目下、体外膜血液酸素供給器及び血液透析器の臨床用途は常に、患者に対するヘパリンの投与と関連付けられるものである。これは、血液と、膜及び機器との接触が、血栓形成効果、血小板の付着及び凝固カスケードの活性化を誘起しないことを保証している。膜及び機器表面のヘパリンによるさらなるコーティングを介してこのような効果を最小限に抑えるという主張も報告されているが、非特許文献1(3)は、反対に、全身のヘパリンとの負の相互作用が誘起されると言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】英国特許第1595058号
【特許文献2】米国特許第4,622,206号
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/002815611号
【特許文献4】欧州公開特許第l043035A1号
【特許文献5】米国特許第5,004,461号
【特許文献6】米国特許第4,521,564号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Janvier, G., Baquey, C., Roth, C. Benillan, N., Belisle, S,, Hardy, J. F., "Extracorporeal circulation, hemocompability, and biomaterials", Ann Thorac Surg (1996), 62, 1926
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、体外血液酸素供給器における使用のための気体透過及び血液適合性という適切な特性を組み合わせた新規な膜に関する。
【0021】
膜は、適切な膜表面積を有して生理学的要件を満たす酸素及び二酸化炭素の透過率を与えるように設計される。
【0022】
新規な高分子材料の開発は、血液と接触する膜表面のモルフォロジ及び非対称断面膜構造の革新的なカスタマイズに有益である。
【0023】
拡散材料特性と膜構造との組合せにより、非溶血性で非血栓形成性であり且つ血小板の付着を示さないことに鑑みて、要求される気体透過率は血液適合性と関連付けられる。
【0024】
膜の材料特徴及び構造特徴は、革新的な単一工程において、均質相重合の触媒反応を、キャスト条件を最適化することによって与えられる物理化学的特徴を有するポリマー溶液の形成、即ち、一体型非対称膜構造体(図1)の作製と組み合わせた結果である。
【0025】
典型的な一体型非対称膜は、Loeb−Sourirajan相(基本的にポリマー溶液の堆積/キャストの物理プロセスである転移技法)に関連するものである。
【0026】
本発明において、均質相中で行われる重合の化学プロセスは、ポリマー構造の決定、ポリマー/溶剤系の相互作用、それゆえキャストされた膜構造体の前駆体として機能するポリマー溶液の最終構造において重要である。
【0027】
重合試薬は2つのプレポリマーであり、これらのうち一方はイソシアネートの3つの末端官能基を有し、他方は2つの末端ヒドロキシル基を有する。2つの末端ヒドロキシル基を有するプレポリマーは、グリコール、ラクトン及び炭化水素から選択することができ、これは、膜の血液適合性に関して重要な役割を果たす。
【0028】
2つのソフトセグメントを有するポリウレタンが得られる2つのプレポリマー間の反応は、血液適合性を改善するソフトセグメント表面への優先的な移行に影響を与え得る溶剤の混合物の均質相中で行われる。
【0029】
これらの溶剤は、プレポリマー適合性に応じて選択されるだけでなく、全く異なる沸点及び揮発性を有するという要件に関しても選択される。これは、より揮発性の溶剤の蒸発速度を制御するのに重要であり、また
1)一体型非対称膜の緻密層の厚み、
2)循環中の血液と接触する緻密層の表面の低表面粗さ、
を確定する。
【0030】
項目1)は、膜を通過する気体の拡散流の増大に関与する、一体型非対称膜の非常に薄い緻密層の作製を可能にする。実際に、この拡散流は対称緻密膜のものと比べて1桁増大し得る。
【0031】
項目2)は、極めて平滑であり、且つ循環中の血液に剪断応力を誘起させることがある粗さを示さないことを特徴とする緻密層の外表面に関する。
【0032】
要約すると、本発明の膜は、血液と接触する表面の照射又は化学作用のいずれかによる活性化を伴わない単純な作製プロセスに関連するものであり、その作製プロセスは、非血栓形成性基をグラフト化して膜を血液適合性とする上で必要とされる。
【0033】
本発明の膜は、O及びCOの高透過率を有する血液適合性に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0034】
このため、本発明の第1の目的は、血液適合性高分子膜を合成する方法であって、
a)異なる揮発性を有する2つの溶剤の混合物中に溶解した2つのプレポリマー間の触媒反応工程、
b)フィルム状に広げた後の上記溶液の制御蒸発工程、
c)非溶剤を用いた交換による低揮発性溶剤の抽出工程、
d)水又は水溶液中にフィルムを浸漬することによる触媒及び残留溶剤の抽出工程、及び
e)乾燥工程、
に従う、新たなポリウレタン系ポリマーと、非対称膜のキャストポリマー溶液前駆体との同時合成を含む、血液適合性高分子膜を合成する方法である。
【0035】
上記プロセスにおいて、好ましくは、ポリウレタン系ポリマーは、3つの末端イソシアネート(NCO)基(PP NCO)を含むプレポリマーと、2つの末端ヒドロキシル(OH)基(PP OH)を含むプレポリマーとの間の反応から、キャスト溶液の同時形成を伴って合成される。
【0036】
通常、プレポリマーPP NCOは、2800ドルトン〜4500ドルトン(Dalton)の範囲の分子量を有し、且つプレポリマーPP OHは、400ドルトン〜2500ドルトンの範囲の分子量を有する。
【0037】
上記プロセスは通常、2つの溶剤、数滴(2滴又は3滴)の触媒、および全濃度が30%(p/p)〜45%(p/p)の範囲である2つのプレポリマーの反応混合物を含む。概して、2つのプレポリマーの相対比(重量%)は、85 PP NCO/15 PP OH〜95 PP NCO/5 PP OHである。
【0038】
好ましいプレポリマー PP OHは、ラクトン、グリコール及び炭化水素の化学群から選択される。
【0039】
通常、本発明の方法において、溶剤の混合物(低揮発性溶剤/高揮発性溶剤)はそれぞれ、75%(p/p)/25%(p/p)〜95%(p/p)/5%(p/p)の範囲である。
【0040】
好ましくは、反応時間は、反応混合物の組成に応じて1時間〜2時間である。
【0041】
最終的な高分子溶液は通常、蒸発時間を30秒〜100秒の範囲で制御しながら、平滑表面にわたってフィルム状にキャストされる。
【0042】
好ましくは、膜に含浸する溶剤及び触媒を、20℃〜25℃の範囲の温度の水浴又は水溶液浴を用いて抽出及び交換する。
【0043】
本発明の方法に従って得られる膜は、血液適合性で非溶血性且つ非血栓形成性の膜であり且つ酸素及び二酸化炭素に透過性である。
【0044】
本発明の第2の目的は、ポリウレタン血液適合性一体型非対称膜であって、
a)血液と接触するものとなる極めて平滑な外側を有する0.1μm〜1μmの範囲の極めて薄い緻密層、及び
b)外側が、前記膜を透過する酸素と接触する、約100μmの厚みを有する下位の多孔質層、
を示す一体型非対称構造体を有する、ポリウレタン血液適合性一体型非対称膜である。
【0045】
好ましくは、上記膜において、緻密層の外側は、1nm(ナノメートル)未満の平均孔径を有し、たんぱく質の吸着を避け、且つトロンビンの形成を阻害する。
【0046】
緻密層を通じた酸素及び二酸化炭素の透過は一般に、拡散機構に関連するものである。
【0047】
緻密層の下位の層は通常、気体透過、即ち酸素及び二酸化炭素の透過に対して有意な抵抗を与えない多孔質構造を有する。
【0048】
これらの膜は、体外膜血液酸素供給器、及び膜/血液接触を伴う他の機器等、並びに細胞治療における免疫分離バリアのような医療機器における、且つ製薬産業及び食品産業等の他産業における用途を有する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】一体型非対称膜の断面図である。
【実施例】
【0050】
実施例1
2つのプレポリマーと、2つの溶剤及び数滴(2滴又は3滴)の触媒(オクタン酸第一スズ)とから成る反応混合物において、重合反応を実施した。
【0051】
2つのプレポリマーの混合物のパーセンテージは40%(p/p)であり、溶剤の一方を60%(p/p)とした。
【0052】
2つのプレポリマー、例えば、ポリ(酸化プロピレン)及びポリ(カプロラクトン)ジオールのそれぞれの割合は90:10とした。
【0053】
2つの溶剤の混合物、例えば、ジメチルホルムアミド及びジエチルエーテルのそれぞれの割合は、55%(p/p)及び5%(p/p)とした。
【0054】
プレポリマー、溶剤及び触媒の混合物を攪拌し、均質にした後、反応を窒素の不活性雰囲気下で2時間実施した。
【0055】
膜形成
上記の高分子溶液を、極めて清潔で且つファットフリーのガラスプレート上に250μmの較正ナイフで広げた。1分間空気に曝した後、プレートを室温で24時間水中に浸漬させた。
【0056】
その後、形成された膜をガラスプレートから剥がし、乾燥させるようにオーブンにかけた。
【0057】
その後、気体に対する透過について膜を試験し、緻密膜のうちの幾つかのものよりも高い、Oに対する17.6バーラー(barrer)の透過率、及びCOに対する183.2バーラーの透過率が示された。
【0058】
溶血に関する標準試験ASTM F−756(4)によって、これらの膜について、溶血指数(HI)(HI<2(膜が非溶血性であることを意味する))を判断した。
【0059】
Imai及びNose(5)の方法によって、トロンビンの形成が観測されない10分間の血液と膜の接触時間中に、血栓形成試験を実施した。
【0060】
10分を超える時間では常に、トロンビンの形成率が既存の結果よりもずっと低かった。
【0061】
実施例2
溶剤の混合物において、45%(p/p)のジメチルホルムアミド及び15%(p/p)のジエチルエーテルとした以外は、実施例1の記載に従った。
【0062】
空気に曝した時間は30秒とした。
【0063】
これらの膜を気体透過について試験し、O及びCOに対する透過率はそれぞれ32.5バーラー及び225.3バーラーであった。
【0064】
血液適合性の結果は、10分において溶血及び血栓形成はなく、同様であった。
【0065】
参考文献
(1)Haworth, W. S., "The development of the modern oxygenator", Ann Thorac Surg (2003), 76, S2216
(2)Leonard, R. J., "The transition from the bubble oxygenator to the microporous membrane oxygenator" ,Perfusion (2003), 18, 179
(3)Janvier, G., Baquey, C., Roth, C. Benillan, N., Belisle, S,, Hardy, J. F., "Extracorporeal circulation, hemocompability, and biomaterials", Ann Thorac Surg (1996), 62, 1926
(4)Standard practices for assessment of hemolytic properties of materials: ASTM F 756-00 (ASTM, West Conshohocken, PA, USA, 2000)
(5)Y. Imai and Y. Nose: Biomed mater. Res. Vol 6 (1972), p.573

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液適合性高分子膜を合成する方法であって、
a)異なる揮発性を有する2つの溶剤の混合物中に溶解した2つのプレポリマー間の触媒反応工程、
b)フィルム状に広げた後の上記溶液の制御蒸発工程、
c)非溶剤を用いた交換による低揮発性溶剤の抽出工程、
d)水又は水溶液中におけるフィルムの浸漬による触媒及び残留溶剤の抽出工程、及び
e)乾燥工程、
に従う、新たなポリウレタン系ポリマーと、非対称膜のキャストポリマー溶液前駆体との同時合成を特徴とする、血液適合性高分子膜を合成する方法。
【請求項2】
3つの末端イソシアネート(NCO)基(PP NCO)を含むプレポリマーと、2つの末端ヒドロキシル(OH)基(PP OH)を含むプレポリマーとの間の反応から、キャスト溶液の同時形成を伴って前記ポリウレタン系ポリマーを合成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレポリマーPP NCOが、2800ドルトン〜4500ドルトンの範囲の分子量を有し、且つプレポリマーPP OHが、400ドルトン〜2500ドルトンの範囲の分子量を有することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
2つの溶剤、数滴(2滴又は3滴)の触媒、および全濃度が30%(p/p)〜45%(p/p)の範囲である前記2つのプレポリマーの反応混合物を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記2つのプレポリマーの相対比(重量%)が、85 PP NCO/15 PP OH〜95 PP NCO/5 PP OHであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プレポリマーPP OHが、ラクトン、グリコール及び炭化水素の化学群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶剤の前記混合物(低揮発性溶剤/高揮発性溶剤)が各々、75%(p/p)/25%(p/p)〜95%(p/p)/5%(p/p)の範囲であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応時間が、前記反応混合物の組成に応じて1時間〜2時間であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
最終的な高分子溶液を、蒸発時間を30秒〜100秒の範囲で制御しながら、平滑表面にわたってフィルム状にキャストすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記膜に含浸する前記溶剤及び前記触媒を、20℃〜25℃の範囲の温度の水浴又は水溶液浴を用いて抽出及び交換することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
血液適合性で非溶血性且つ非血栓形成性の膜であり且つ酸素及び二酸化炭素に対して透過性である一体型非対称膜の製造を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ポリウレタン血液適合性一体型非対称膜であって、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって得られ、
a)前記血液と接触するものとなる極めて平滑な外側を有する0.1μm〜1μmの範囲の極めて薄い緻密層、及び
b)外側が、前記膜を透過する前記酸素と接触する、約100μmの厚みを有する下位の多孔質層、
を示す一体型非対称構造体を特徴とする、ポリウレタン血液適合性一体型非対称膜。
【請求項13】
前記緻密層の前記外側が、1nm(ナノメートル)未満の平均孔径を有し、たんぱく質の吸着を避け、且つトロンビンの形成を阻害することを特徴とする、請求項12に記載のポリウレタン血液適合性一体型非対称膜。
【請求項14】
前記緻密層を通じた酸素及び二酸化炭素の透過が、拡散機構に関連することを特徴とする、請求項12又は13に記載のポリウレタン血液適合性一体型非対称膜。
【請求項15】
前記緻密層の下位の前記層が、気体透過、即ち酸素及び二酸化炭素の透過に対して有意な抵抗を与えない多孔質構造を有することを特徴とする、請求項14に記載のポリウレタン血液適合性一体型非対称膜。
【請求項16】
前記ポリウレタン血液適合性一体型非対称膜が、体外膜血液酸素供給器、及び膜/血液接触を伴う他の機器等、並びに細胞治療における免疫分離バリアのような医療機器における、且つ製薬産業及び食品産業等の他産業における用途を有することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一項に記載のポリウレタン血液適合性一体型非対称膜。

【図1】
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【公表番号】特表2011−502808(P2011−502808A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527223(P2009−527223)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003340
【国際公開番号】WO2008/041126
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509063030)
【Fターム(参考)】