説明

血管から沈着物を除去するための装置及び方法

ヒトおよび動物の血管に沿って沈着物を除去する装置を提供する。本装置は、血液を供給血管から抽出し加圧する抽出加圧ユニットと、ろ過され加圧されたソース血液を治療中の血管に送出し注入する下流送出し注入ユニットとを有す。血液循環を誘起し、超音波およびRF加熱などの除去装置を有しているだけでなく、本装置は、近くの部分の血管から沈着物を除去する。選択的除去および自己停止の特性により、本発明の装置は、早期のアテローム性動脈硬化の治療において安全で、効果的である。除去の後の創傷した健常な組織における過剰な表面負荷の生成を中性化し、消毒および消炎を行うため、DC放出装置を含むことができる。血液抽出点の配置を血液注入点のすぐ下流とすることにより、血液を詰らせるプラークおよび石灰沈着の破片の完全な収集および除去を確実にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置に関し、特に、血管内壁から不要な沈着物を取除くための新しい装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化は、通常、コレステロールなどの脂肪性物質の長期にわたる動脈内壁層への沈着または変性蓄積による動脈内径の激しい収縮に関連付けられる。実際には、アテローム性動脈硬化に伴う生物学的プロセスは、医学用語で狭窄と呼ばれる、動脈の圧縮を最小にするよう試みるヒトまたは動物の身体の自然治癒の機序を含んでおり、より複雑である。ここでは、自然治癒の機序は、動脈の外側への拡大、医学用語でいう「リモデリング」によって機能する。アテロームと呼ばれるこれらの長期にわたる沈着の組成物は、アテローム自体の線維組織の被膜だけでなく、小食細胞、死んだ細胞や生きた細胞の細胞残屑も含む。時間が経つにつれ、アテローム層とその下にある血管壁の平滑筋細胞層の間で、石灰沈着が起こることもある。
【0003】
石灰沈着層、アテロームおよび線維組織の覆いの組合せは、合わせて「アテロームプラーク」と呼ばれ、時と共に大きくなり、その発達に動脈壁の外側への拡大がついていくことができなくなると、内径を狭めるようになる。しかし、これが起こる前でも、アテロームの存在により動脈壁が硬くなり、前記石灰沈着が原因で脆くなる。構造上、アテロームは、小嚢が寄せ集まった泡状物質であり、その最終的な物理特性は柔らかく、脆く、弾力性がない。
【0004】
進行期には、アテローム層の線維状の覆いが破裂する傾向がある。その原因は、正常な心拍よりもやや強い心拍によるものに過ぎない。破裂すると、ばらばらになった組織が、内部が糊のようになった細胞のような構造をした血小板を集め、血小板は、コラーゲン(皮膚などにある強力で白い結合組織)と接触すると、血液凝固機序を活性化させ、「血液を濃く」し、動脈血管内部に突き出て一時的な狭窄をもたらす「線維素血餅」を形成する。また、ばらばらになった石灰化沈着物および壊死組織片は、直径が5ミクロン(1ミクロン=10-6m)を超える場合、細静脈が詰って衰弱をもたらし、突然死をもたらすこともある。そのため、これらのアテロームプラークの除去を試みる処置を行う際に、血流からプラークの破片を直ちに除去するか、大きさが5ミクロンを大きく下回る粒子になるまでプラーク組織および石灰沈着の残屑を粉砕することを確実にする必要がある。また、アテロームプラーク粉砕の結果、血餅が形成されやすくならないよう、対策を行う必要がある。
【0005】
現在、動脈内膜のコレステロールおよびその他の脂肪性物質の蓄積であるアテロームプラークによって遮断された冠状動脈から障害物を取り除くための医療機器および技術は、数多くある。主要なものとして、バルーン血管形成術、レーザー血管形成術、ステント、高速回転式アテローム切除術、方向性アテローム切除術、吸引型アテローム切除術がある。通常、その他の技術でプラークが充分に除去されてから実施されるバルーン血管形成術を除き、その他の機器および技術は、本質的に高侵襲的であり、主要な冠状動脈が遮断されたために迅速な再開通が必要とされる状況で使用される。早期のプラーク除去にこうした高侵襲的技術を使用することは、通常、リスクが高すぎる。
【0006】
実際の治療においては、主要動脈内に通し、動脈壁内の患部に先端が到達するよう導く、カテーテルと呼ばれる細い可撓性の管がこれらの各技術で通常使用される。カテーテルの前に、誘導用のガイドワイヤーが通常挿入される。その後、カテーテルがガイドワイヤーを越えて、標的エリアに到達する。
【0007】
従来技術のより詳細な例として、レーザー血管形成術は、レーザーアテローム切除術とも呼ばれ、カテーテルの先端に取り付けられ、短パルスの強烈なレーザー光を放射し、動脈を遮断しているアテロームプラークを切除する、手術用レーザーを利用する。レーザー光による動脈壁の併発的な損傷を防止するため、理論上、レーザーパルスをプラーク分子に誘導することによりプラーク分子を攻撃することができる標識抗体を、事前に患者に注入する。しかし、それでもレーザーによって健常な動脈壁組織に傷をつけるリスクは大きい。レーザーアテローム切除術に関連するリスクの例としては、動脈穿孔、不整脈、UVレーザーからの紫外線(UV)放射に起因する遺伝子突然変異、再狭窄、機器からの有毒ガス漏洩、動脈壁を損傷する可能性のあるレーザー誘起蒸気泡、血管痙攣などがある。レーザー処置に続き、治療詳細部のX線画像によりバルーン血管形成術の必要性を判定するため、X線造影色素が血流に注入される。バルーン血管形成術は、その先端に折り畳まれたバルーンが付けられたカテーテルを利用する。水圧によって膨らむと、バルーンがプラークを押し付け、動脈壁を広げ、拡張させる。また、バルーンが入れられた伸張性の網状のチューブである「ステント」は、バルーンによって広がり、バルーンをしぼませ、除去した後に、留置される。ステントは、新しく広げられた動脈の開いた位置を内側から支持するために機能する。
【0008】
従来技術の2つ目の例である高速回転式アテローム切除術は、冠状動脈の遮断を除去するため、レーザー血管形成術の代わりに使用されることが多い。微細ダイアモンドでコーティングされた、高速(約200,000rpm)回転する楕円形の「バー」を使用し、閉塞物を通常は赤血球よりも小さくなるまで断片化し、血液に害なく流すことができるようにする。ダイアモンドでコーティングされたバーは、中央のガイドワイヤーに沿って動く可撓性の駆動軸に溶接されている。駆動軸は、高圧の空気タービンを備えたアドバンサーに接続された細いさらの中に収められている。また、生理食塩水を継続的に注入することにより、駆動軸の回転により生成される熱の消散に役立ち動脈痙攣を最小限にすることができる。バーの寸法は、直径1.25〜2.5mmである。圧縮空気によって駆動する高速回転式アテローム切除装置は本質的に健常な組織を損なわずにアテロームプラークを選択的に切除することができることを主張した「選別切削」理論にもかかわらず、高速回転とダイアモンドビットの硬度のため、動脈を引き裂き、心臓周辺での出血をもたらすリスクが大きい。このリスクにもかかわらず、ダイアモンドでコーティングされた回転するバーは、傷がついていない組織を傷つけてはならない。それに対し、レーザー血管形成術において、レーザーエネルギーはより遠くまで到達し、組織蒸散を遠くで実施することができる。レーザー血管形成術は本来、より危険であるため、他の侵襲的処置に比べ頻繁に使用されていない。高速回転式アテローム切除術は、石灰化が強く、弾力性がなくなった、または長い病変の治療に特に効果的である。
【0009】
従来技術の3つ目の例である方向性アテローム切除術は、高速回転式アテローム切除術に類似している。方向性アテローム切除術は、片側に開口部があり、反対側にバルーンがある金属ハウジングに入れられ、小さな円柱状の回転する鉄のカッターを先端に備えた特殊なカテーテルを使用する。最先端にある小さなプラスチックの円錐が、そぎ落とされたプラークの破片を収納する。カッターは約2000rpmで回転し、プラークを動脈壁からそぎ落とす。そぎ落とされたプラークの破片は、プラスチックの円錐に直ちに収集される。カテーテルを抜き出した後、プラークの破片は円錐から取り除かれる。方向性アテローム切除術による創傷のリスクは、レーザー血管形成術および高速回転式アテローム切除術に比べて小さい。カッターの開口部の方向が適切に位置決めされていれば、身体の損傷のリスクは小さい。しかし、方向性アテローム切除術は、回転速度が遅く、鉄の硬度が低いため、石灰化が強いプラークの除去にはあまり効果的ではない。
【0010】
吸引型アテローム切除術は、中空チューブと回転する刃が先端についた特殊なカテーテルを用いた、もう1つの従来技術である。吸引型アテローム切除術は、中空チューブによってプラークの破片を体外に吸引する点が、方向性アテローム切除術と異なっている。それ以外は、その長所および関連するリスクは、方向性アテローム切除術に類似している。
【0011】
通常、レーザー血管形成術、高速回転式アテローム切除術などの高侵襲的処置は、重篤な冠状動脈の遮断にのみ使用される。冠状動脈の単なる「狭窄」または「硬化」など、それほど重篤でない症例においては、バルーン血管形成術が通常実施される。その理由は、より侵襲的な処置は、プラークが血管の管腔に突き出ている場合に、最も効果があるためである。動脈壁に平らにもたれかかったプラークは、患部が健常な血管壁の筋組織の近くにあるため、レーザーでも機械的な切除でも、血管自体に重篤な創傷をもたらすリスクなしに除去することはより難しい。
【0012】
バルーン血管形成術の不利な点は、それ自体でプラークを除去しないことである。バルーン血管形成術で行っているのは、プラークを広げて押し付けることにより血管壁の形を変えた後、新しく形成された形を「ステント留置」により維持することだけである。このアプローチの問題点は、プラーク自体が脂肪性物質の沈着をさらに誘引する傾向があるため、処置によって、アテローム性動脈硬化を止めるどころか、減速させることもない。さらに、プラーク組織と内膜の間の界面の石灰沈着は除去されず、すでに存在している石灰化層を増進する可能性もある。この継続した石灰沈着によって、顕著な動脈狭窄が発生しなくても、動脈壁の弾力性がなくなり、脆くなる傾向がある。プラークと石灰化層を除去することによってしか、アテローム性動脈硬化を効果的に減速させ、または逆戻りさせることはできない。
【0013】
レーザーまたは機械的切除によるプラークの除去によって、合併症が起こる。具体的には、引き裂かれた患部組織の破片は負荷を生じ、本来は外部の出血による血液の損失を防止するためのものである血液凝固システムを活性化させる。活性化することにより、血液を凝固させ、または濃くし、炎症を起こす原因となる。血液凝固も引き裂かれた内膜の炎症も、血管のさらなる閉塞と狭窄をもたらし、問題となる。
【0014】
高速粉砕プロセスに伴うもう1つの潜在的な合併症は、生成された一部のプラークの破片は、血流の中を流れるのに充分な小ささをもっていない可能性があり、命にかかわる臨床的に重大な塞栓の原因となる可能性がある。これは、特に高速回転式アテローム切除術などの処置で特に深刻となることがある。このリスクに関し、方向性アテローム切除術および吸引型アテローム切除術は、血流の中を流れる前に、ほとんどのプラークの破片を収集してしまうため、より安全である。しかし、石灰化が強い組織を効果的に粉砕することができないため、比較的大きな石灰沈着の破片が血流の中を流れ、即死の原因となる危険性が増加する。
【0015】
アテロームプラークがゆっくりと徐々に形成される間に、小さなプラークが破裂することがあり、その結果、血液凝固物質の蓄積によりプラークの負荷が突然増加することが近年立証されている。これは、プラークが大量に沈着しているが、管腔狭窄がほとんどない、または全くない場所でも発生する。一般的に、プラークは、急速に発達し、管腔内で血流と隔てる線維状の被膜が薄い場合、脆弱になり、破裂する。プラークの破裂は、線維状のプラークの被膜が引き裂かれたときに発生する。破裂すると、組織の破片が壊死組織片として血流に撒き散らされる。この壊死組織片は、毛細血管を通るには大きすぎることがあるため、血管の小さな下流の分枝を妨げる。破裂によって、管腔からプラークの内部組織に出血し、プラークを急速に拡張させ、動脈管腔に突き出させた結果、管腔狭窄または閉塞が発生することがある。また、線維状のプラークの被膜が引き裂かれたことにより活性化した血液凝固により、動脈の流れが急速に遮断され、動脈から組織に供給される血液の流れが停止することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のように、従来技術のどの医療機器および技術も、前記のリスクおよび問題のすべてを充分解決することができないことは明確である。レーザーも高速回転式アテローム切除術も、リスクはあるが、晩期のプラークによる遮断の除去に効果的であり、早期および中期のプラーク形成の治療にはほとんど効果がない。これは、管腔侵入が最低限である中期の脆弱なプラーク形成が、自然に破裂する傾向があるため、臨床的により危険であり、急性の重篤な心臓発作または即死をもたらすと考えられている事実に鑑み、特に問題である。
【0017】
バルーン血管形成術とステントは、逆に低侵襲であり、中期のプラーク形成の治療にとって安全であると考えることができる。しかし、動脈壁の内膜からプラークを実際に除去せず、管腔狭窄の症状を一時的に減ずるだけである。広範囲なヒトの臨床研究によっても、血管形成術およびステント留置術を受けた患者の死亡率の臨床的に顕著な改善は示されていない。晩期のアテローム性動脈硬化の治療のため機械的なアテローム切除術を受ける患者にとっては、アテローム切除に使用する高速粉砕プロセスにおいてプラーク組織が充分小さな破片になるまで切ることができないことが、塞栓のリスクを考慮した際に、懸念の原因となる。
【0018】
同様に重要なことであるが、前記の従来技術のどの医療機器および技術も、早期のプラーク形成の問題を解決することができない。バルーン血管形成術およびステントは、プラークを除去できないため、早期のプラークの治療には基本的に効果がない。動脈壁に大きな損傷をもたらす可能性があるため、レーザーおよび高速回転式アテローム切除術は除外される傾向にある。比較的安全な方向性および吸引型アテローム切除術による処置では、プロセスにおいて健常な動脈壁組織をそぎ取り、壁を引き裂くことなしに、比較的浅いプラーク層をそぎ取ることができる見込みはない。
【0019】
前記に鑑み、健常な血管組織を傷つけることのない自己停止型の、低侵襲的な方法で実施可能な、アテロームプラークを選択的に細粒粉砕することができる装置が非常に望まれている。この装置は、消毒と治癒促進のため、治療中の、引き裂かれた幹部組織の破片による負荷の構築に起因する望ましくない効果を軽減し、患部組織の除去による創傷が存在する下で、自然な血液凝固の傾向を防止することができなければならない。最後に、装置は、動作中に、プラーク残余物の除去、および血流を安全に通過するには大きすぎるプラーク破片の収集と除去を容易に行うことができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ヒトおよび動物の血管壁の内膜の石灰化沈着物や脂肪性物質などの望ましくない沈着物を取り除く装置を開示する。この装置は、アテローム性動脈硬化およびその他の疾患の進展を減速し、逆戻りさせる効果を有する。そのため、本発明の装置は、内頸動脈、左右総頸動脈、冠状動脈、上腸間膜動脈、外腸骨動脈および様々な末梢動脈など、動脈系の様々な部分の治療に用いることができる。本装置は、内頸静脈、外頸静脈、左腕頭静脈、下大静脈、総腸骨動脈および様々な末梢静脈など、静脈系の様々な部分の治療に用いることもできる。本装置は、供給血管から血液を抽出し、抽出された血液から望ましくない物質を取り除くためろ過し、治療中の受領血管に再注入するためにろ過された血液を加圧することにより、それに伴う血液循環を引き起こし、望ましくない沈着物が流れることを促進する血液抽出加圧ユニットを含む。
【0021】
本発明の装置は、加圧されたソース血液を治療中の血管に送出し、注入するための、血液抽出加圧ユニットに接続した送出しチューブと、第2マニフォールドと、注入ノズルとをさらに含む。
【0022】
血液抽出加圧ユニットは、第1入口と、第1出口と、抽出されたソース血液を受け加圧するための第1入口および第1出口に接続されたポンプ装置とを備えた第1マニフォールドをさらに含む。
【0023】
血液抽出加圧ユニットは、第3出口と、供給血管を刺してそこからソース血液を引き出すための少なくとも1つの吸引針と、抽出されたソース血液を第1マニフォールドに送出すための第3出口および第1入口に接続した吸引チューブとを備えた第3マニフォールドをさらに含む。
【0024】
血液送出し注入ユニットは、注入ノズルを介し注入される前に加圧されたソース血液を緩衝しろ過するための、送出しチューブおよび注入ノズルに接続した少なくとも1つの第2マニフォールドをさらに含む。
【0025】
第1マニフォールドは、供給血管から抽出した血液を一時的に貯蔵しろ過するインラインフィルターを有する第1ストレージをさらに含む。第1ストレージは、1つのチャンバーで低圧の血液を貯蔵し、もう1つのチャンバーで高圧の血液を貯蔵する、ポンプ装置を介して接続された2つのチャンバーを含む。
【0026】
第1マニフォールドは、ポンプ装置用の駆動力、超音波パワー変換器用の駆動信号を1つまたは複数の周波数で生成するための高周波(RF)生成装置と、直流(DC)電源と、抗凝血薬などの補助薬を貯蔵し血流に計量する薬品容器とを備えた電気サブシステムをさらに含むことができる。
【0027】
第2マニフォールドは、治療中の血管内の望ましくない沈着物および患部組織を、粉砕および乳化を介して除去し、血液循環系を安全に通るために充分な小ささの微粒子になるまで前記インラインフィルターによってさらにろ過するために、血流内で伝達する超音波パワー放射に、電気サブシステムから入ってくるRFパワーを変換するための超音波パワー変換器をさらに含む。例えば、白内障の医学的治療および半導体ウェハの洗浄における超音波に誘起された粉砕および乳化プロセスの基本的な物理学および応用が確立されている中で、このような粉砕および乳化プロセスを介して血管沈着物の除去を行う従来技術のシステムは知られていない。
【0028】
望ましくない沈着物の石灰化組織の様々な機械的共振に超音波パワー放射を調整することによって、石灰化組織を粉々に粉砕する能力をさらに強化するため、入ってくるRFパワーの周波数を定期的に所定の範囲で変動するようにされている。
【0029】
対応する超音波パワー放射が、空間的にゆっくりと変動する定在波パターンを示すことにより、沈着したプラークの空間的により均一な粉砕を達成するよう、周波数成分およびそのそれぞれの入ってくるRFパワーのレベルを選択することができる。
【0030】
健常で弾力性のある血管組織に影響を及ぼさないようにするため、弾力性のなさに基づき、硬化した患部を選択的に粉砕する血液内のキャビテーションを生成するよう、超音波パワー放射の波長とパワーをさらに調整することができる。
【0031】
より効果的な除去プロセスを実現するため、硬化した患部の固有共鳴周波数範囲に合わせて、超音波パワー放射の波長とパワーをさらに調節することができる。
【0032】
弾力性のない患部が除去され流された時点で対応する超音波粉砕および乳化の動きが自動的に停止するよう、除去プロセスを自己停止させるため、前記の固有共鳴周波数範囲は、弾力性のない患部の範囲にさらに限定することができる。
【0033】
第2マニフォールドは、除去プロセスにおいて健常な組織または患部組織を引き裂くことにより生成された過剰な逆符号電荷を中性にするために電荷を放出するための、注入ノズルに付着し、電気サブシステムから給電される電極をさらに含む。
【0034】
また、第2マニフォールドは、抗凝血薬を血流に注入し混合するための注入器をさらに含む。若しくは、血流に注入するため第2マニフォールドに送出される前に、第1マニフォールド内で抗凝血薬を血液に事前に混ぜておくこともできる。
【0035】
また、第2マニフォールドは、患部組織を破壊するため局所的な加熱を提供するための加熱装置を含むこともできる。
【0036】
さらに、第2マニフォールドは、放射性造影剤物質を注入し、X線を使用して治療中の血管の検査を行うことができるようにするための注入器メカニズムをさらに含むことができる。この注入器メカニズムは、抗凝血薬注入器と並べて配置することも、第2マニフォールド内または第1マニフォールド内の別々の注入器メカニズムとすることもできる。
【0037】
さらに、第2マニフォールドは、注入ノズルの近くに配置された、治療中の血管内部の照らされた超音波画像を明るく照らし、検査するための超音波画像装置をさらに含むことができる。
【0038】
さらに、第2マニフォールドは、ポンプ装置によって膨んだとき、安全な伸縮限度内で治療中の血管の管腔を実質的に塞ぎ、膨らんだ折りたたみ式バルーンが、治療中の血管に沿って同時に押され、加圧されたソース血液の望ましくない逆流を防止するよう機能する、折りたたみ式バルーンをさらに含むことができる。
【0039】
以下のいくつかの図面を介し、同じまたは類似する部品を参照符号により示すことにより、本発明のその他の様々な物、機能および付随する長所をよりよく理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明を完全に理解できることができるようにするため、以下の本発明の詳細な説明において、数多くの具体的な詳細について述べる。しかし、当業者にとっては、これらの具体的な記述なしに本発明を実施できる可能性があることは明確である。本発明を不必要に不明瞭にする側面を避けるため、他の例においては、公知の方法、手順、材料、要素および電気回路について詳細に説明していない。詳細な説明は、主に簡略化された二次元図面との関連で提供されている。これらの説明は、当業者がその研究内容を他の当業者に簡潔かつ最も効果的に知らせるために用いられた手段である。ここでいう「1つの実施例」または「実施例」とは、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性を、本発明の少なくとも1つの実施例に含むことができることを意味する。「1つの実施例において」という言い回しが説明の様々な場所に現れても、必ずしも同じ実施例について参照している訳ではなく、他の実施例を相互に除外した独立した、または二者択一的な実施例でもない。また、本発明の1つまたは複数の実施例で説明されるプロセスの順序は、特定の順序を示したものではなく、本発明を限定するためのものでもない。
【0041】
図1は、治療中の血管420の内膜に沈着したプラークを取り除くためのヒトまたは動物の循環器系に応用される本発明の血液沈着物除去装置1の実施例である。血液沈着物除去装置1は、例えば、血流を詰まされる可能性のある破片を除去するためのろ過、酸素濃度レベルを高くするために酸素添加、若しくは温度またはpHの調整などによって処理しながら、血液を供給する供給血管400からソース血液402を抽出し、抽出された血液を加圧されたソース血液404内に加圧する第1血液抽出加圧ユニット10を含む。血液沈着物除去装置1はまた、第2血液送出し注入ユニット100を含む。血液抽出加圧ユニット10は、第1入口14と、第1出口16と、ポンプ装置18とをさらに含むがその限りでない第1マニフォールド12を含む。また、第1マニフォールド12は、血液沈着物除去装置1で必要とする複数の必要な電源および信号を生成する電気サブシステム32を設けることもできる。例えば、複数のDC電源、複数の高周波(RF)パワー、多周波数RFパワー信号生成装置などを含むことができる。第1マニフォールド12は、ポンプ装置18に連続して接続した後チャンバー28aおよび前チャンバー28bなどの1つまたは複数の第1血液緩衝器をさらに含むことができる。当業者にとって、後チャンバー28aおよび前チャンバー28bは、図に示すように、抽出された血液の望ましくない逆流を阻止するための1つまたは複数の一方向弁をそれぞれさらに含むことができる。後チャンバー28aおよび前チャンバー28bは、ステンレス鋼構造とすることも、薬理学的に不活性であるフルオロカーボンポリマー、ポリウレタンまたはその他のエラストマーポリマーなどの弾性材料製とすることもできる。エラストマーチャンバーを使用することにより、ポンプの動きのパルス周波数に合わせてチャンバー本体の共振周波数を調整することができる場合に、治療中の血管420への血液注入の叩打力を大幅に高めることができ、さらに有利である。
【0042】
追加機能として、第1マニフォールド12は、本実施例の場合、動作中に血液沈着物除去装置1で必要とする補助薬を所定の割合で供給し計量するための後チャンバー28aなど、第1血液緩衝器に接続された薬品容器34を設けることができる。例えば、補助薬は、血液のpH値のバランスをとる溶液、または血餅防止のための抗凝血薬とすることができる。血餅の形成は、新しくできた創傷により、ヒトまたは動物の身体のホメオスタシス反応の結果として活性化される。他の例としては、補助薬は、血流に注入し、X線を使用して治療中の血管420を検査できるようにする放射性造影剤物質とすることができる。3つ目の例は、赤血球の酸素添加である。他の補助薬を同時に投与し、除去プロセスの医療上の効果を増進させることもできる。これらの抗凝血剤、放射性造影剤物質またはその他の追加の薬品は、事前に混合しておくことも、それぞれ計量し、後チャンバー28aおよびポンプ装置18に接続されたベンチュリ管(中央部が絞られた円筒状の管)に注入し、個別に独立して加圧される容器を介して送出すこともできる。ポンプ装置18の吸引の動きと、ベンチュリ管中央部の絞りによって、圧が下がり、様々な薬品をそれぞれの容器から引き入れることができる。さらに、薬品容器34および/またはその他の様々な容器は、中央部の絞りで圧が下がり、圧の不均衡が生成された結果、容器壁の内側への動きが生まれ、薬品を徐々に容器から押し出すことにより、内容物が自動的にベンチュリ管に流れるようにするため、弾性の変形可能なものとすることができる。ここでは他の例として図示されていないが、薬品容器34自体に、専用の供給マイクロポンプと、ソレノイド制御ニードル弁などの計量メカニズムを設けることもできる。薬品計量ニードル弁の部品は、通常、ステンレス鋼製、ポリエステル、フルオロカーボンポリマーなどの薬理学的に不活性なポリマー、またはこれらの材料の組合せとする。さらに、ポリウレタン、フルオロカーボンポリマーまたはその他のエラストマー材料などの様々な材料製のシールおよびOリングを弁内部およびその周辺に使用する。
【0043】
血液抽出加圧ユニット10の下流に液体的に接続されているのは、加圧されたソース血液404を治療中の血管420に送出し、力強く注入する血液送出し注入ユニット100である。血液送出し注入ユニット100は、連続して接続された可撓性送出しチューブ102と、第2マニフォールド104と、および治療中の血管420の必要な場所に配置し、内側表面に沈着した近くのプラークを除去するため、加圧されたソース血液404を治療中の血管420に力強く注入する注入ノズル106とを含む。治療中の血管420に刺し、注入ノズル106、第2マニフォールド104および送出しチューブ102を治療中の血管420に沿って誘導するため、血液送出し注入ユニット100は、送出しチューブ102の中に軸方向に通した折り曲げ可能なガイドワイヤー108と、第2マニフォールド104と、注入ノズル106とをさらに含む。第2マニフォールド104は、一列に接続された送出しカテーテル110の上流部と、加圧されたソース血液404を緩衝する少なくとも1つの第2貯蔵チャンバー112と、注入カテーテル114の下流部とによって構成される。使途を広げるため、複数の第2マニフォールドを、それ自体の注入ノズルに接続した関連する各第2貯蔵チャンバーと共に使用することができる。第2マニフォールド104は、超音波変換器などの追加の機能装置を含むこともでき、これらについては後述する。図面の便宜上、治療中の血管420内の血液の流れの方向は、デカルト座標系のZの方向で示されている。
【0044】
ヒトまたは動物の静脈または動脈からの血液抽出を容易にするため、血液抽出加圧ユニット10は、連続して接続された中空吸引針24と、第3出口22を有する第3マニフォールド20と、抽出された血液を第1入口14経由で送出す吸引チューブ26とをさらに含む。操作の一部として、吸引針24は、供給血管400を刺し、血液を引き出すよう操られる。図2は、吸引チューブ26と鋭い先端を有し皮膚と血管壁を簡単に刺すことができる吸引針24との間に設けられた吸引チャンバー21を有する第3マニフォールド20の拡大図である。同様に、使途を広げるため、複数の吸引針24を第3マニフォールド20に追加することができる。
【0045】
図3は、投薬、電荷信号、RF信号生成の機能を提供するだけでなく、血液の加圧およびろ過用のベーンポンプ18aを使用する第1マニフォールド12の実施例である。インライン血液フィルター30が後チャンバー28aに追加されており、一定の安全限度量を超え血液の流れを妨害する可能性のあるプラーク破片を含む、不要なまたは望ましくない物質をろ過する。前記のとおり、チャンバー28aも28bも、血液が一方向だけに流れることを確実にするため、一方向弁を備えることができる。薬品容器34は、後チャンバー28aの出口をベーンポンプ18aの入口に連結する接続パイプに接続されたチューブを介して投与される補助薬を貯蔵する。ベーンポンプ18aが動作中に吸引圧を生成すると、薬品容器34内の薬品がこの吸引圧によって主要血液循環に自動的に投与される。前述のとおり、潜在的な薬品面の効果には、凝固防止および血液pH値の再均衡などがある。また、薬品容器34には、X線血管造影図またはX線透視検査などにおけるように、血流に注入し、X線を使用して治療中の血管420を検査できるようにするため、X線を吸収する放射性造影剤を入れることもできる。その代わりに、同じ、または個別の薬品容器を、第2マニフォールド104の第2貯蔵チャンバー112内および注入ノズル106の近くに、備えることもできる。
【0046】
電気サブシステム32は、基本的には複数の出力を有する電源装置であり、引き込み線(またはその他の電力源)を、血液沈着物除去装置1に適した電圧または出力および周波数の様々な電源に変換する。先ず、電気サブシステム32は、ベーンポンプ18aを駆動する低出力インピーダンス直流(DC)電源を含む。超音波電源装置と呼ばれるもう1つの電源は、少なくとも100KHz、好ましくは1〜10MHzの範囲の周波数、1ワット〜200ワットの定格電力範囲を有する高周波パワー電気信号である。後述するように、この超音波電源装置は、治療中の血管420内の望ましくない沈着物および患部の血液組織を粉砕し乳化するため、超音波パワー変換器の駆動用に主に用いられる。好ましい実施例では、超音波電源装置は、周波数値が近い2つ以上の周波数成分を含む。適切なパワー信号のルーティングとスイッチングの両用のコンセプトの下で、同じ超音波電源装置を、除去プロセス中に、注入ノズル106の近くの血流でRF放出を生成し、局所的な強烈なRF加熱を与え、重篤なプラークの閉塞を除去したり、患部組織を破壊したりすることにも用いることができる。超音波粉砕および乳化、並びに局所的なRF加熱は、加圧されたソース血液の注入による沈着したプラークの除去に、少なくとも補完的に機能し、沈着したプラークが硬化し、厚くなっている可能性のある中期から晩期のアテローム性動脈硬化では、治療の最も有力な方法として機能する。また、電気サブシステム32は、注入ノズル106の近くのDC放出チップに正電荷を供給し、除去プロセス中に健常な組織または患部組織を引き裂くことにより生成された過剰な負電荷を中性化するために送られる高出力インピーダンスDC電源をさらに含む。当然、除去プロセス中に過剰な正電荷が生成された場合、逆に負電荷をDC放出チップから供給する必要がある。本質的なことは、電気的な中性が、最も安定した生物医学的な状態を表すことである。そのため、電気サブシステム32は、高インピーダンスDC電源を出力として有する放電供給回路を含む。電気サブシステム32から供給されるさらにもう1つの電源は、血管内超音波画像用に、画像周波数10MHz〜100MHzの範囲および定格電力約1ワット未満で治療中の血管内側を超音波的に照らす低パワーRF源である。超音波照射および画像検出は、低パワーRF源によって駆動し、注入ノズル106の近くに設けられた低パワー画像周波数超音波伝達装置によって実施することができる。そのため、電気サブシステム32は、低パワーRF源を出力として有する画像周波数信号生成装置を含む。当業者にとって、電気サブシステム32からの複数の信号およびパワー出力は、相互に隔離され、患者および除去プロセスに関わる要員の安全のため、さらに引き込み線からも隔離されている。不要で不明瞭な説明を避けるためここでは示されていないが、複数の信号およびパワー出力は、DC電流も伝送する多導体微細同軸RF導波管ケーブルを介し、使用の最終目的地である第2マニフォールド104に送られる。当然、RF導波管ケーブルは、第1出口16と、送出しチューブ102と、第2マニフォールド104とに通す必要がある。
【0047】
図4は、血液の加圧とろ過にギアポンプ18bを使用すること以外は図3に示されたものと同じである、第1マニフォールド12のもう1つの実施例である。ローブポンプ、ペリスタルティックポンプ、遠心ポンプなどの他のタイプの液体ポンプ装置も使用することができる。
【0048】
図4Aは、キャビテーション130に誘起された超音波によって、抽出されたソース血液の望ましくない物質を微細な石灰沈着の破片427およびプラークの破片428になるまで粉砕し乳化するために、超音波パワー放射120aおよび120bを血液にそれぞれ放射するインラインフィルター30の上流に設けられたパワー変換器116aおよび116bを使用した第1マニフォールド12の後チャンバー28a内での血液ろ過の改善を示す。超音波キャビテーションプロセスの基本的な物理学と、その血液内の特定の望ましくない物質を粉砕し乳化する力は、図9Aから図10において後述する。本質的に、改善された後チャンバー28aは、超音波乳化チャンバーとして機能する。粉砕および乳化によってこれらの望ましくない物質の大きさが大幅に小さくなるのに伴い、インラインフィルター30における対応する微粒子の負荷が軽減されるため、効率が高くなる。後チャンバー28aは血管の外に設けられているため、後チャンバー28aの寸法と形状は、超音波パワー放射120aおよび120bの強力な共鳴定在波を生成するために適したものにすることができる。また、後チャンバー28aの温度は、強烈な超音波キャビテーションを生成するための伝導性を有するように、所定の範囲内に維持することができる。温度の好ましい実施例は、約60℃から約80℃の範囲であると推定される。この外部超音波乳化チャンバーは、粒度の大きな破片を破壊するよう最適化することができるため、後チャンバー28aは、生体内で行なう場合に比べ、プラークおよび石灰沈着の破片の乳化をより効果的に行うようにすることができる。図4Bは、パワー変換器116aをベーンポンプ18aと組み合わせて使用し、前記血液ろ過の改善を具体化した第1マニフォールド12の概要図である。同様に、図4Cは、パワー変換器116aをギアポンプ18bと組み合わせて使用し、前記血液ろ過の改善を具体化した第1マニフォールド12の概要図である。
【0049】
図5は、ガイドワイヤーのある注入器ヘッドと注入ノズル106を含む本発明の装置の血液送出し注入ユニット100の先端を示す。本実施例では、治療中の血管420を先に刺し、その中に通すよう操られるガイドワイヤー108によって、血液送出し注入ユニット100の先端が制御され、誘導されている。外側の実質的に円筒形の注入カテーテル114は、先端が収束した構造をし、注入ノズル106を形成する。インナーチューブ115は、治療中の血管420内の望ましくない沈着物および患部の血液組織を粉砕し、乳化するための超音波パワー変換器116が先端に取り付けられている。これは、パワー変換器116からの超音波パワー放射によって動作中に血液内でキャビテーションもたらし実施される。
【0050】
インナーチューブ115の先端に取り付けられるもう1つのものは、前記のとおり、除去プロセスにおいて健常な組織または患部組織を引き裂くことにより生成された過剰な逆符号電荷を中性にするために電荷を供給するための、注入ノズル106の近くに設けられたDC放出チップ122である。その意図された機能性を損なわない限り、DC放出チップ122は、注入ノズル106の一部として製造することもできる。不明瞭な説明を避けるためここでは示されていないが、DC放出チップ122は、注入カテーテル114内または電気サブシステム32内に設けられた高出力インピーダンスDC電源から電源を供給することができる。DC放出チップ122は、代表的な直径を.004インチ〜.012インチの範囲とする細い金属線製とするが、それよりも小さい、または大きい直径のものも許容することができる。金属線の材料は、ステンレス鋼または金であることが好ましい。若しくは、DC放出チップ122は、ステンレス鋼または金製の1本の針または針の配列とすることもできる。血液内の逆符号イオンによる公知の物理現象であるデバイ遮蔽を防止するため、中性化電荷の供給と共に脱イオン水を注入することができる。DC放出チップ122を脱イオン水で囲うことにより、デバイ遮蔽効果を中性化させることができ、DC放出チップ122から放射される電荷を治療中の血管420の患部に送ることができる。インナーチューブ115の先端に取り付けられるもう1つのものは、前記の血流内でRF放出を生成するためのRF放出チップ126の形態による加熱装置である。物理的に、RF放出チップ126は単にDC放出チップ122に使用されるものと同じ放出チップとすることができ、RF放出チップ126は、先端が治療部内で位置決めされるまで針の中に収納された曲がった伸縮自在なアンテナ(ステンレス鋼または金製の細い金属線)の束をさらに含む独立した1本の針により製造することもできる。60GHz(109Hz)以上のRF周波数を使用する場合、RF放出チップ126は、直径約4mmのマイクロディッシュアンテナなどの方向を操縦可能なアンテナを代わりに導入することができ、電気的に操縦可能な同寸法のフェーズドアレーアンテナが好ましい。RFエネルギーを必要とされている場所に向けて集中させる操縦可能なアンテナの能力は、ミリ波(波長がミリメートル範囲内にあるRF)技術の重要な利点である。当然、加熱装置は、RF放出チップ126以外に、抵抗ヒーター、熱電気装置、電磁誘導ヒーターなど、多数の導入形態から選択することができる。また、その意図された機能性を損なわない限り、加熱装置は、注入ノズル106の一部として製造することもできる。
【0051】
インナーチューブ115の先端に取り付けられるもう1つのものである、治療中の血管内側の血管内の超音波画像用の低パワー画像周波数超音波伝達装置は、不要で不明瞭な説明を避けるため、ここでは図示されていない。超音波画像装置は、操縦可能なフェーズドアレー超音波トランシーバーを含む。超音波変換器は、1800rpmまたは3600rpmで高速回転し、1秒30または60フレームの時間分解能で治療中の血管内部の360°のリアルタイム映像を提供する指向性の超音波ビームを放射する。若しくは、独立した単一の変換器と約1800rpmで回転する回転受信機によっても、側面および軸上の分解能が約150ミクロン(10-6m)および90ミクロンで、それぞれ30MHzの超音波変換器周波数を有するZ方向に垂直な360°映像を生成することができる。より高い超音波変換器周波数において、対応する空間的画像分解能が向上する。
【0052】
選択的図面として、パワー変換器116駆動用の高周波パワー電気信号118が示されている。材料を血液および電気絶縁から隔離するため、ガイドワイヤー108と多導体微細同軸RF導波管ケーブルが、インナーチューブ115内に入れられている。
【0053】
図6は、導波管構造を介して伝達される駆動高周波パワー電気信号118を有するパワー変換器116ヘッドの実施例の側面図と立体図である。パワー変換器116の正面には、複数の同心円が描かれている。
【0054】
図7は、折りたたみ式隔離バルーン128を有する第2マニフォールド104の実施例である。不要で不明瞭な説明を避けるため、相互接続する電力線および信号線は示されていない。注入ノズル106の上流に設けられた、膨らんだ折りたたみ式隔離バルーン128は、治療中の血管420の管腔を実質的に塞ぎ、局所的に上昇した血圧を隔離するため、圧力差を維持し、注入され加圧された血液が逆方向(−Zの方向)に流れることを防止する。膨らんだ折りたたみ式隔離バルーン128は、第2マニフォールド104を治療中の血管420に固定し、加圧された血液の力強い注入により生成された反動力および超音波パワー放射パルスにより生成された放射力を吸収することにも役立つ。同時に、適切に駆動されたポンプ装置18によって安全伸縮限度内で膨らんだ折りたたみ式隔離バルーン128は、同じポンプの動きによってZ方向に押される。
【0055】
図8は、除去処置を行う治療中の血管420内の、注入ノズル106および折りたたみ式隔離バルーン128を有する第2マニフォールド104の配置図である。この実施例では、治療中の血管420は、動脈とすることができる。最初に、ガイドワイヤー108を治療中の血管420に通す。その後、第2マニフォールド104が動脈内をゆっくりと患部まで進み、折りたたみ式隔離バルーンはたたまれしぼんだままである。第2マニフォールド104が位置決めされ、適切に一直線に並べられた後、第1マニフォールド12内のポンプ装置18が動作し、ろ過され加圧された血液を送出しチューブ102経由で第2マニフォールド104に供給する。継続するポンプの動きにより、加圧された血液が、注入ノズル106を介し、注入ノズル106のすぐ下流の患部に力強く注入される。これによって、注入ノズル106の圧が下がり、逆に折りたたみ式隔離バルーン128が、安全限度内で動脈壁に接し軽く広げるまで膨らむことにより、動脈の流れを塞ぎ、注入され加圧された血液が折りたたみ式隔離バルーン128の周りを上流側に逆流することを防止する。ここで、パワー変換器116およびRF放出チップ126が、それに伴う超音波パワー放射により粉砕することによって、注入ノズル106のすぐ下流にあるプラークを除去するよう動作する。その後、粉砕されたプラーク破片が、超音波によって誘起された乱流による混合の動きによってさらに乳化され、力強い血液注入と強力な超音波自体の放射圧によって下流に押される。同時に、DC放出チップ122が動作し、血液に電荷を放出し、動脈壁の健常な平滑筋組織からプラーク組織を引き裂くことによって生成された過剰な逆符号電荷を中性化する。同時に、パワー変換器116も動作させ、画像周波数によって、より血管内画像用に高い画像周波数超音波を放射することができる。
【0056】
前記のとおり、超音波パワー放射による沈着したプラークの除去は、キャビテーションの形成に基づく。具体的には、より小さいが血管壁の内径よりも実質的に小さくない波長を有する強烈な超音波によって、液体内にそれぞれが部分的に真空になり、内破によって急速に崩壊する多数の微小空洞が生成される。突発的な「内破」によって放射される機械的なエネルギーによって、患部組織下の硬化した石灰沈着層の粉砕が行われる。これらの微細なキャビテーションは、非常に小さく、崩壊するときに、直径は数ミクロンしかない。内破するキャビテーションは、石灰化組織などの硬く、脆く、弾力性のない物質への攻撃に最もよく機能する。キャビテーションは、プラークの、弾力性がないにも関わらず柔らかい患部組織も破壊する。逆に、崩壊する空洞は、主として高度に局所的な機械的な曲げおよび圧縮しか提供することができず、引き裂く動作は提供しないため、血管壁の大部分を形成する、可撓性があり高度に弾力性のある健常な筋組織には、事実上まったく効果がない。健常な組織は、柔軟性および弾力性を有するため、局所的なゆがみおよび/または圧縮によって、内破圧力を簡単に吸収することができる。しかし、硬化した石灰化組織は硬すぎるため、局所的な内破の曲げおよび圧縮の力に屈服し、粉砕される。
【0057】
また、石灰化組織は、1つまたは複数の機械的な振動の共振を支えるのに充分な硬さがあるため、定期的に超音波パワー放射の周波数を変え、石灰化組織の様々な機械的共振になるよう調整することが可能であり、これによって、超音波の石灰化組織粉砕能力を高めることができる。崩壊する空洞は寸法が小さいため、動脈を事実上塞栓させずに安全に通過することができる、直径数ミクロン未満の対応する小さい破片の粒子になるまで、プラークを粉砕することができる。逆に、キャビテーションの位置は通常、超音波定在波の節点周辺に集中するので、プラークの空間的に均一な粉砕を確実にするため、節点の座標は、時間依存的に行う必要がある。これは、周波数が近い2つ以上の超音波素子を同時に使用し、空間的にゆっくりと変化する定在波パターンを生成することによって達成可能である。
【0058】
キャビテーション生成には高容積エネルギー密度が必要とされるため、超音波パワー放射は、反射を効果的することにより、空間的に管腔(血管の内部空間)に閉じ込めるべきである。血管壁の質量密度は、血液自体に比べそれほど高くないため、超音波を血管壁から反射させる効果的な方法は、血管壁の厚さよりも小さい超音波波長を使用することである。波長が長くなるほど、超音波は、局部的な圧力が高い場所の血管を局部的に引き伸ばし、局部的な圧力が低い場所の血管を収縮させる。波長が壁の厚さよりもかなり大きくなると、血管壁の曲げはほとんど生成されない。しかし、超音波の波長が壁の厚さよりもかなり短くなると、正および負の圧の部分が内壁表面でお互いに近くなり、局部的な壁の変形しか形成されなくなる。また、これらの変形は、波長を超えて壁の厚さまで拡大することはないため、壁は動かずに、超音波の反射が結果として生じる。そのため、超音波エネルギーは、短い波長の超音波の方がよく閉じ込めることができる。逆に、同じパワーレベルの超音波パワー放射の下で、キャビテーションは、通常、超音波の波長と共に増加する。これらの相反する2つのメカニズムのバランスを取るため、超音波の波長λは、ほぼ幾何平均に設定し、血管壁の厚さTと血管管腔の直径Dの積の平方根に定義すべきである。数式で表すと、以下のようになる。
λ=平方根(T×D)・・・・・・(1)
この方法によって、幾何平均が壁の厚さよりも大きい場合でも、過度に大きくなることはないため、結果としての超音波は、この波長で適切に閉じ込めることができる。その一方で、λは管腔直径Dよりも大幅に小さくなることもなく、強力なキャビテーションの形成に有利な条件である、半径方向(Zに垂直の方向)に適切に定義された定在波パターンを確立することができる。量的な例を挙げると、血流内の音の伝達速度は秒速約1400mである。平均的なヒトの動脈の直径は、約3mm〜6mmであるため、計算された超音波の周波数は、0.5MHz〜2MHzの範囲であるはずであり、超音波をしっかりと閉じ込めることができる。小動物では、超音波の周波数は前記の値よりも高くすべきであり、大きな動物では超音波の周波数を前記の値よりも小さくすることができる。石灰沈着物が小さな粒子に粉砕されると、加圧された血液の注入と強力な超音波が組み合わさった効果による血液の乱流が、粉砕された粒子を完全に混ぜ、血液と乳化させた後に、下流に前進させる。
【0059】
図9Aは、この実施例では動脈の、除去プロセスにおける超音波キャビテーションプロセスおよびアテローム性動脈硬化の治療中の血管420の内膜423に沿った患部のプラーク組織425とのその最初の相互作用を示す。図示のとおり、キャビテーション130が、主に平滑筋421による弾力性を有する血管壁からの超音波パワー放射120の複数の反射による部分的な定在波の節点の近くで形成されている。崩壊の際に、各キャビテーション130が激しく内破し、患部のプラーク組織425と共振し、強烈で局所的な圧力をもたらす。これらの表面のキャビテーション130aは、壁周辺で崩壊し、患部のプラーク組織425など、硬化した内側表面の鋭い局所的な曲げおよび圧縮をもたらす。患部のプラーク組織425は、堆積した、ゆるい、泡状の脂肪性沈着物と、内膜423に付着した線維状の被膜(または覆い)とを含む。このプラーク物質は、柔らかく、脆く、ほとんど弾力性がない。動脈が心拍と共に収縮と拡張を繰り返すと、プラークと内膜423との間の癒着がゆるむ。これによって、カルシウム沈着物が、プラークの外側部分と血管壁の筋層との間の隙間に堆積し、石灰化層422が形成される。こうした石灰沈着プロセスは、時と共に徐々に進行し、最終的には弾力性がなくなり、動脈全体が硬くなる。
【0060】
図9Bは、除去プロセスにおける、キャビテーション130と、表面のキャビテーション130aと、患部のプラーク組織425との間の中期の相互作用を示す。この時点で、共振した患部のプラーク組織425およびその下の石灰化層422が、ばらばらのプラーク破片426に粉砕されている。超音波に誘起されたキャビテーション130および130aはさらに共振し、破壊されたプラーク破片426および石灰沈着を曲げ、小さく鋭い微細な石灰化破片427に分解し、石灰化破片427を再利用して、患部のプラーク組織425およびそれを覆う線維組織を移動させ、または穴をあける。
【0061】
図9Cは、除去プロセスにおける、超音波キャビテーションと、患部のプラーク組織425との間の晩期の相互作用を示す。超音波に誘起されたキャビテーション130の手当たり次第の内破による微細な石灰化破片427の激しい動きによって、柔らかい患部のプラーク組織425およびその線維状の被膜は、最終的に破壊され粉砕される。キャビテーション130に伴うそれぞれの内破は、近くの密集した石灰化破片を弾道的に飛ばす。弾丸のような数多くの石灰沈着の破片は、柔らかく、弾力性のなく、脆く、破壊されたプラーク破片426に穴をあけ、微細なプラーク破片428になるまで砕き、プラーク破片428は、血液に完全に混ぜられ乳化し、安全に下流に流される。
【0062】
以上の説明により、適切に使用した場合、超音波パワー放射は、アテローム性動脈硬化のプラークおよびそれに伴う石灰沈着の安全で効果的な除去方法であることが明確である。超音波に誘起されたキャビテーションは、密集した石灰化沈着物を選択的に粉砕し、粉砕された硬い石灰沈着の破片に、激しい弾道的な動きを起こさせることができる。硬い石灰沈着の破片のこうした動きは、血管壁を構成する近くの健常な筋組織を傷つけることなく、柔らかく、泡状であるが弾力性のないプラーク組織およびそれに関連する線維状の覆いを簡単に切り、それらに穴をあけることができる。超音波は弾力性のある健常な組織を傷つけることはないため、患部からの石灰化沈着物の除去が完了すると、超音波除去の動きは自動的に終了する。そのため、管腔内で発達したプラークの突出がない、またはほとんどないプラーク形成の初期であっても、本発明の血液沈着物除去装置1を使用して、患部の沈着物を安全に取り除くことが可能である。さらに、本発明の血液沈着物除去装置1の周波数走査の側面によって、低レベルの超音波パワーを利用し、石灰沈着物質を共鳴させて粉砕させる処置を実施することができる。
【0063】
図10は、粉砕後のプラークおよび石灰沈着の破片を治療中の血管420の患部からどかす掘削を示す。掘削の動きには、注入ノズル106からの加圧された血液の力強い注入と、超音波パワー放射120によって生成される放射圧力が伴う。図示したように、加圧された血液の流れ429は、加圧された血液の力強い注入によるものである。そのため、プラークの破片は下流に力強く押され、患部からどかされる。好ましい実施例では、可能である場合、インラインフィルター30を介して微細な石灰化破片427および微細なプラーク 破片428を収集するため、同じ治療中の血管420の近くの下流の位置に吸引針24を挿入すべきである。さらに、多段階の粉砕および乳化によって、対応する超音波パワー放射を血液内に放射し、治療中の血管420内の望ましくない沈着物を除去するため、吸引針24の先端の近くに装着された1つまたは複数の追加のパワー変換器を有する第3マニフォールド20をさらに提供することができる。以上の説明により、当業者は、除去プロセスにおいて負のZ方向で治療中の血管420内の所定の深さの位置に到達した後、注入カテーテル114をZ方向に沿って押すことも、逆方向に引くこともでき、血液沈着物除去装置1を双方向的に走査することができることが明確なはずである。
【0064】
図11は、例として、注入ノズル106内に設置されたDC放出チップ122からの正電荷放射による新しく形成された組織創傷の上の負の表面電荷440の中性化を示す。DC放出チップ122は、除去プロセスにおいて、電気サブシステム32によって同時に電源供給され、新しく形成された組織創傷上の負の表面電荷440は、DC放出チップ122から放射される正の空間電荷441によって中性化される。過剰な表面負荷形成の中性化によって、血液凝固を減少させることができ、望ましくない沈着物の下の創傷組織の治癒を促進することができる。図8で示すように、折りたたみ式隔離バルーン128の外側表面は、治療中の血管420の内壁に実際に物理的に接触して、環状に壁に非常に近く位置しているが、その代わりにDC放出チップ122を折りたたみ式隔離バルーン128の外側表面の周りに配置し、患部の、または引き裂かれた健常な組織の近くで、またはそれに直接接触して放出を提供し、生成された過剰な負荷の中性化の効果を高めることができる。
【0065】
図12Aおよび図12Bは、いずれも血液送出し注入ユニットの前部に先端超音波空洞を有するデュアルチューブコンセプトを使用した本発明のさらなる改善を示す。図12Aは、第3マニフォールド20を第2マニフォールド104(図1参照)と組み合わせ、半可撓性相互接続チューブ204で相互接続した注入除去ユニット200および収集閉じ込めユニット202を含む単一のマニフォールドにした、本発明のもう1つの実施例であり、収集閉じ込めユニット202は、注入除去ユニット200から、例えば数ミリメートルなど、わずかに下流に位置している。より明確にするため、本実施例では、注入除去ユニット200は、注入ノズル106と、パワー変換器116と、DC放出チップ122と、RF放出チップ126と、注入カテーテル114と、折りたたみ式隔離バルーン128を有する第2貯蔵チャンバー112とを含む。収集閉じ込めユニット202は、デフレクターヘッド206と、半可撓性相互接続チューブ204と、レセプターチューブ208とを含む。デフレクターヘッド206は、プラークおよび石灰沈着の破片を、吸引によって閉じ込め、能動的に収集するために用いられる。レセプターチューブ208は、破片を多く含む血液を押し出して、第1入口14経由で第1マニフォールド12に戻し、インラインフィルター30によって破片を除去できるようにし、薬品容器34を介して追加の血液調整を行うことができるようにする。この改良型の第2マニフォールド104は、治療中の血管420内を進み、注入除去ユニット200および収集閉じ込めユニット202の両方が、体内をゆっくりと移動しながら血管壁の数多くの湾曲をこなすため両者の間で必要な範囲の可撓性の動きを提供する半可撓性相互接続チューブ204と調和して移動する。この配置によって、血液を詰らせる可能性のある破片は、収集される前に移動することがない。そのため、血液沈着物除去装置1が、5ミクロン(1ミクロン=10-6m)またはほぼ赤血球と同じ大きさを超える破片を偶発的にいくつか生成した場合でも、破片が血液循環系の下流に移動し潜在的な損傷をもたらすことはないため、重要ではない。
【0066】
図12Bは、注入除去ユニット200のパワー変換器116から放射された超音波パワー放射120を、収集閉じ込めユニット202がさらに反射し、閉じ込めることを示す。内膜423からの超音波の反射と共に、収集閉じ込めユニット202は、いくつかの共鳴周波数を有する1種の音波ガイドを形成する。超音波周波数は、電気サブシステム32によって経時的に変動させることができ、超音波周波数が前記共鳴周波数を掃引し、超音波の増幅によって、これらの共鳴周波数が大幅に増大される。これによって、キャビテーション130の強度とその除去力が大幅に増大する。超音波周波数がこれらの共鳴周波数の近くになくても、超音波パワー放射120は音波ガイドに対し反射していることから、超音波のエネルギー漏れは最低限になり、閉じ込められた場所での超音波エネルギーの密度が増加する。また、音響空洞内で集められた超音波の時変音波放射圧も、強力な攪拌力を生成し、血液乳化の乱流をさらに強める。収集閉じ込めユニット202によって超音波漏れを減らすことによって、閉じ込め効果のもう1つの長所は、治療中の患部以外の健常な組織に対する、高パワー超音波の潜在的に有害な生物学的効果を制限することができる。
【0067】
本実施例のもう1つの利点は、患者の身体で1箇所の侵襲しか必要としないため、患者の不快感を軽減できることである。さらに、本発明の実施例では、注入除去ユニット200によって投与された薬品を自動的に回収し、再利用することができる。これは、患部の治療を主に意図しているが、毒性が高く、健常部に漏れると潜在的に危険なある種の薬品にとって有利である。そのためより広範な薬品を、標的をより限定して使用することができる。
【0068】
RF放出チップ126によるRF除去と組み合わせて使用する場合、RFパワーを効率的に集中させることの必要性は、超音波除去の場合と同様である。しかし、RF領域を効果的に反射させるため、デフレクターヘッド206を伝導性にする必要がある。これは、金属構造のデフレクターヘッド206または伝導表面コーティングがなされた非金属デフレクターヘッド206によって、簡単に実現することができる。
【0069】
注入除去ユニット200に接続された送出しチューブ102aと、収集閉じ込めユニット202に接続されたレセプターチューブ208とを有する前記のデュアルチューブ配置は、放出正電荷を、単極ではなく双極にすることをさらに可能にする。単極放出方式は、1つの極の電荷しか目的地に提供されず、他の極は単に接地される。血液などのイオン化された液体内では、こうした単極放出方式は、血液内の逆電荷のイオンによって放出電極が静電的に遮蔽されるデバイ遮蔽と呼ばれる現象によって妨げられ、放出があまり効果的にならないことがある。しかし、双極放出方式では、両極の電荷が目的地に同量提供される。具体的には、意図的に導電性にされた収集閉じ込めユニット202が、プラスイオンの形態で、DC放出チップ122から正電荷を引きつける陰極として機能する。適切な形状の陰極によって、正電荷イオンは、患部表面の過剰な負の表面電荷440と接触し、中性化させることができるため、電荷中性化の効果を高めることができる。
【0070】
数多くの実施例は、ヒトおよび動物の血管壁内膜の望ましくない沈着物を除去する装置を説明するものである。しかし、当業者にとって、これらの実施例は、本発明の主旨および範囲を逸脱することなく、ヒトおよび動物の血管に関連するもの以外の追加の応用のために修正し変更することができる。そのため、本発明の範囲は、開示された実施例に限られるものではない。それとは逆に、同じ動作原則に基づく様々な修正および類似の変更を網羅することが意図されている。そのため、特許請求の範囲は、もっとも広い解釈を許すものとし、すべての修正および類似の変更を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】血管内膜に沈着したプラークを取り除くためのヒトまたは動物の循環器系に応用される本発明の装置の実施例を示す図である。
【図2】血液をヒトまたは動物の静脈または動脈から抽出するために用いられる血液抽出加圧ユニットの第3マニフォールドと呼ばれる部品の図である。
【図3】投薬、電荷信号、RF信号生成の機能を提供するだけでなく、血液の加圧およびろ過用のベーンポンプを使用する第1マニフォールドの実施例を示す図である。
【図4】ギアポンプが設置された第1マニフォールドのもう1つの実施例を示す図である。
【図4A】抽出されたソース血液の望ましくない物質を粉砕し乳化するために超音波パワーを血液に放射するインラインフィルターの上流に設けられたパワー変換器を使用した第1マニフォールド内での血液ろ過の改善の図である。
【図4B】パワー変換器をベーンポンプと組み合わせて使用し前記血液ろ過の改善を具体化した第1マニフォールドの概要図である。
【図4C】パワー変換器をギアポンプと組み合わせて使用し前記血液ろ過の改善を具体化した第1マニフォールドのもう1つの概要図である。
【図5】ガイドワイヤーのある注入器ヘッドと注入ノズルとを含む本発明の装置血液送出し注入ユニットの先端の図である。
【図6】導波管構造を介して伝達される電気駆動信号を有する超音波パワー変換器ヘッドの実施例を示す図である。
【図7】本実施例で血圧隔離バルーンを有する第2マニフォールドと呼ばれる血液送出し注入ユニットの全部の図である。
【図8】除去処置を行う治療中の血管内の注入ノズルおよび血圧隔離バルーンを有する第2マニフォールドの配置図である。
【図9A】除去プロセスにおける超音波キャビテーションプロセスおよび治療中の血管内壁に沿ったプラークとの最初の相互作用の図である。
【図9B】除去プロセスにおける超音波キャビテーションと望ましくない沈着物との間の中期の相互作用の図である。
【図9C】除去プロセスにおける超音波キャビテーションと望ましくない沈着物との間の晩期の相互作用の図である。
【図10】粉砕後のプラークおよび石灰沈着の破片を治療中の血管の患部からどかす掘削の図である。
【図11】注入ノズル内に設置された電荷放射電極からの正電荷放射による新しく形成された組織の創傷表面の負電荷の中性化の図である。
【図12A】血液送出し注入ユニットの前部に先端超音波空洞を有するデュアルチューブコンセプトを使用した本発明のさらなる改善の図である。
【図12B】血液送出し注入ユニットの前部に先端超音波空洞を有するデュアルチューブコンセプトを使用した本発明のさらなる改善の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース血液を供給血管から抽出し、抽出されたソース血液を加圧する血液抽出加圧ユニットと、
該血液抽出加圧ユニットに接続し、加圧されたソース血液を治療中の血管に送出し、力強く注入し、血液の流れの方向はデカルト座標系のZ方向に向けられた血液送出し注入ユニットと、
を含み、該供給血管からの該治療中の血管を経由した付随する血液循環を誘導するだけでなく、該血液送出し注入ユニットに近隣する部分の該治療中の血管から該望ましくない沈着物を除去することを特徴とする、ヒトおよび動物の血管内壁から望ましくない沈着物を除去するための装置。
【請求項2】
該血液送出し注入ユニットは、一列に接続された、該血液抽出加圧ユニットに接続した送出しチューブと、第2マニフォールドと、該治療中の血管の必要な部分に配置することによって加圧されたソース血液を該治療中の血管に力強く排出し該沈着物を除去する注入ノズルとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
該血液抽出加圧ユニットは、第1入口と、第1出口と、両者の間に接続され該ソース血液を該第1入口から受け該ソース血液を加圧して該第1出口を介し該送出しチューブに送出すポンプ手段とを有する第1マニフォールドをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
該血液抽出加圧ユニットは、
第3出口と、該供給血管を刺し、そこから該ソース血液を引き出す少なくとも1つの吸引針とを有する第3マニフォールドと、
該第3出口および該第1入口に接続し、該ソース血液を該第3出口から吸引して該第1マニフォールドに送出す吸引チューブと、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
該血液送出し注入ユニットは、該注入ノズル、該送出しチューブ、および該第2マニフォールドに軸方向に通され、該治療中の血管を刺し、該注入ノズル、該第2マニフォールドおよび該送出しチューブを該治療中の血管に沿って誘導し、対応する該治療中の血管の部分を除去する折り曲げ可能ガイドワイヤーをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
該第2マニフォールドは、一列に接続された、送出しカテーテルの上流部と、該送出しカテーテルを介し該送出しチューブに接続され加圧されたソース血液を緩衝する少なくとも1つの第2貯蔵チャンバーと、緩衝され加圧されたソース血液を該注入ノズルを介し該治療中の血管に注入する注入カテーテルとをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
該第1マニフォールドは、該供給血管からの該抽出されたソース血液を一時的に貯蔵する第1貯蔵手段をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
該第1貯蔵手段は、上流の事前に加圧された後チャンバーと、下流の後から加圧される前チャンバーとをさらに含み、該ポンプ手段が両者の間に接続され、圧力が低い血液を該後チャンバーに貯蔵し、圧力が高い血液が該前チャンバーに貯蔵されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
該後チャンバーは、抽出されたソース血液から望ましくない物質を取り除くインラインフィルターをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
該後チャンバーは、該インラインフィルターの上流に設けられ、1つまたは複数の周波数の高周波パワー電気信号を対応する血液への超音波パワー放射に変換し、抽出されたソース血液の望ましくない物質を粉砕し、乳化することによって、該インラインフィルターの効率を高める少なくとも1つの追加のパワー変換器をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
該後チャンバーの形状は、超音波パワー放射の強力な共鳴定在波を生成し、望ましくない物質の粉砕および乳化を最大に増強することができるようさらに適切なものにされている請求項10に記載の装置。
【請求項12】
該後チャンバーの温度は、強烈なキャビテーションを生成するための伝導性を有し、望ましくない物質の粉砕および乳化を最大に増強することができるよう、所定の範囲内にさらに制御されている請求項10に記載の装置。
【請求項13】
該所定の温度範囲を、約60℃から約80℃とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの先端近くに装着され、1つまたは複数の周波数の高周波パワー電気信号を対応する血液への超音波パワー放射に変換し、該望ましくない沈着物を除去する除去プロセスにおいて、粉砕および乳化を介し、該治療中の血管内の望ましくない沈着物を除去するパワー変換器をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項15】
供給血管は、除去された望ましくない沈着物が該インラインフィルターによって直ちに収集されることにより血液循環から除去される治療中の血管の下流部である請求項14に記載の装置。
【請求項16】
該第3マニフォールドは、該吸引針の先端の近くに装着され、1つまたは複数の周波数の高周波パワー電気信号を対応する血液への超音波パワー放射に変換し、多段階の粉砕および乳化を介し、該治療中の血管内の望ましくない沈着物を除去する少なくとも1つの追加のパワー変換器をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
該第1マニフォールドは、
該ポンプ手段用に必要な駆動電源を生成し、
該パワー変換器用に1つまたは複数の周波数該高周波パワー電気信号を生成する、
電気サブシステムをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの先端近くに装着され、除去プロセスにおいて健常な組織または患部組織を引き裂いたことによって生成された過剰な逆符号電荷を中性化する電荷を提供する放電手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項19】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの一部として統合され、除去プロセスにおいて健常な組織または患部組織を引き裂いたことによって生成された過剰な逆符号電荷を中性化する電荷を提供する放電手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項20】
該電気サブシステムは、電気信号および該放電手段で必要とする電源を供給する放電供給回路をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項21】
該血液送出し注入ユニットは、該第1出口、該送出しチューブ、および該第2マニフォールドに通され、第2マニフォールドに設けられたすべての電気システムを電気サブシステムにおいて対応するものに相互接続する複数の導体をさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
該複数の導体は、相互接続された電気信号線および電源線を、相互に、および加圧されたソース血液から絶縁し、隔離する導波管構造をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの先端近くに装着され、薬品を該治療中の血管の血流に放出する薬品放出手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項24】
放出される薬品を、除去プロセスにおいて血餅の形成を防止する抗凝血薬とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
治療中の血管への超音波パワー放射と、加圧されたソース血液の力強い注入と、薬品の放出は、混合モードの除去プロセスを効果的に実施するため、時間的に順番に実施される請求項23に記載の装置。
【請求項26】
治療中の血管への超音波パワー放射と、加圧されたソース血液の力強い注入と、薬品の放出は、連続モードの除去プロセスを効果的に実施するため、同時に実施される請求項23に記載の装置。
【請求項27】
該第1マニフォールドは、該第1貯蔵手段に接続され、除去プロセスに必要とされる所定の量で補助薬を供給し、計量する薬品計量手段をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項28】
該補助薬を血餅防止用の抗凝血薬とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの先端近くに装着され、除去プロセスにおいて患部組織を破壊する局所的な加熱を提供する加熱手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項30】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの一部として統合され、除去プロセスにおいて患部組織を破壊する局所的な加熱を提供する加熱手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項31】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの先端近くに装着され、放射性造影剤物質を血流に注入し、X線を使用して該治療中の血管を検査できるようにする放射性造影剤物質注入手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項32】
該第2マニフォールドは、該注入ノズルの先端近くに装着され、照射された治療中の血管の超音波画像を照射し、検査する超音波画像手段をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項33】
血管内部を超音波的に照射するため、該超音波画像手段は、参照用に入力画像周波数信号を有する画像周波数超音波伝達装置をさらに含むことを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
該電気サブシステムは、該画像周波数超音波伝達装置に要求された該画像周波数信号を供給する画像周波数信号生成装置をさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
該少なくとも1つの第2貯蔵チャンバーは、該ポンプ手段からの水圧ポンプの動作によって膨らむことにより、同ポンプの動作によりZ方向に同時に押されながら、安全な伸縮限度内で該治療中の血管の管腔を実質的に遮断する折りたたみ式バルーンをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項36】
該放電手段は、該バルーンの外側表面に装着され、患部の、または引き裂かれた健常な組織の近くで放出を提供し、そこで生成された過剰な電荷をより効果的に中性化する請求項35に記載の装置。
【請求項37】
該ポンプ手段のポンプの動きは、該注入ノズルを介して加圧されたソース血液を同時に送り、該折りたたみ式バルーンを膨らませ、加圧されたソース血液の望ましくない逆流を防止しながら、局所的に上昇した血圧を生成する請求項35に記載の装置。
【請求項38】
該折りたたみ式バルーンは、停止したポンプ手段からのポンプの動きの停止によってしぼみ、該第2マニフォールドがZ軸に沿って簡単に動くことができるようにする請求項35に記載の装置。
【請求項39】
水圧ポンプの動きの強さをさらに調整可能とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
該高周波パワー電気信号の第1周波数成分の周波数は、超音波パワー放射を望ましくない沈着物の石灰化組織の様々な機械的共振に合わせて調整するよう、所定の範囲で定期的に変動するようにすることにより、石灰化組織を粉砕する能力を高める請求項14に記載の装置。
【請求項41】
該高周波パワー電気信号は、該第1周波数成分と異なる周波数を有するが、略同等のパワーを有する少なくとも1つの第2周波数成分をさらに含むことを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
該少なくとも1つの第2周波数成分は、周波数において、該第1周波数成分と異なるよう選択され、空間的にゆっくりと変動する定在波パターンを有する超音波パワー放射を生成することにより、沈着したプラークの空間的により均一な粉砕を達成する請求項41に記載の装置。
【請求項43】
該少なくとも1つの第2周波数成分は、周波数において、該第1周波数成分と10%未満異なるよう選択された請求項42に記載の装置。
【請求項44】
各超音波パワー放射および該加熱手段の仕事率範囲を、少なくとも1ワットとする請求項42に記載の装置。
【請求項45】
該超音波画像手段と該超音波パワー放射との間の干渉を防止するため、該画像周波数は、該超音波パワー放射の平均周波数よりも高くなるようにした請求項33に記載の装置。
【請求項46】
該画像周波数は、該超音波パワー放射の平均周波数の少なくとも10倍の高さとなるようにした請求項45に記載の装置。
【請求項47】
両者の間の相互干渉を防止し、該超音波パワー伝達の波形パターンの写像を容易にするために充分な空間的画像分解能を提供するため、該画像周波数は、該低パワー画像周波数超音波伝達装置に対応する画像波長が該超音波パワー伝達装置の平均波長よりも短くなるよう選択された請求項33に記載の装置。
【請求項48】
該画像周波数は、該低パワー画像周波数超音波伝達装置に対応する画像波長が該超音波パワー伝達装置の平均波長の少なくとも10分の1になるよう選択された請求項47に記載の装置。
【請求項49】
該超音波パワー放射の波長およびパワーは、該治療中の血管の血液内で、健常で、弾力性のある血管組織に影響を及ぼさずに、弾力性のなさに基づき、硬化した患部を優先的に粉砕するキャビテーションを生成するよう調整された請求項14に記載の装置。
【請求項50】
該超音波パワー放射の波長およびパワーは、より効果的な除去プロセスを実現するため、硬化した患部の固有共鳴周波数範囲に合うようにさらに調節することができる請求項49に記載の装置。
【請求項51】
該固有共鳴周波数範囲は、弾力性のない患部が除去され流された時点で対応する超音波粉砕および乳化の動きが自動的に停止するよう、除去プロセスを自己停止させるため、弾力性のない患部の範囲にさらに限定する請求項50に記載の装置。
【請求項52】
該超音波パワー放射による放射圧力は、硬化したため弾力性のない壊死組織片をさらに前進させ、患部から取り除く請求項51に記載の装置。
【請求項53】
ソース血液を供給血管から抽出し、抽出されたソース血液を加圧し、
注入点を介し、加圧されたソース血液を治療中の血管に送出し、力強く注入し、血液の流れの方向はデカルト座標系のZ方向に向けられ、
該供給血管からの該治療中の血管を経由した付随する血液循環を誘導するだけでなく、該注入に近隣の該治療中の血管から該望ましくない沈着物を除去することを特徴とするヒトおよび動物の血管内壁から望ましくない沈着物を除去するための方法。
【請求項54】
抽出されたソース血液の加圧は、抽出されたソース血液をポンプで注入することをさらに含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ソース血液の抽出は、該供給血管を刺し、そこから該ソース血液を引き出すことをさらに含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項56】
加圧されたソース血液の治療中の血管への送出しと注入は、該治療中の血管を刺し、加圧されたソース血液を該治療中の血管に沿って該注入点に誘導することをさらに含むことを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項57】
加圧されたソース血液の送出しは、該加圧されたソース血液を注入する前に、該加圧されたソース血液を緩衝することをさらに含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
抽出されたソース血液のポンプでの注入は、ポンプでの注入の前に、該抽出されたソース血液を緩衝することをさらに含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項59】
抽出されたソース血液のポンプでの注入は、ポンプでの注入の後に、該抽出されたソース血液を緩衝することをさらに含むことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項60】
加圧されたソース血液の緩衝は、1つまたは複数の周波数の超音波パワー放射を該注入点の近くで導入し、望ましくない沈着物を除去するプロセスにおいて、粉砕および乳化を介し、該治療中の血管内の患部組織を除去することをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項61】
加圧されたソース血液の緩衝は、電荷の放出を該注入点の近くで導入し、望ましくない沈着物を除去するプロセスにおいて、健常な組織または患部組織を引き裂いたことによって生成された過剰な逆符号電荷を中性化することをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項62】
加圧されたソース血液の緩衝は、除去プロセスにおいて、該注入点の近くで、該治療中の血管の血流に薬品を放出し、血餅の形成を防止することをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項63】
ポンプでの注入の前の抽出されたソース血液の緩衝は、除去プロセスでの必要に応じて、補助薬を所定の量で該抽出されたソース血液に計量することをさらに含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項64】
補助薬を血餅防止用の抗凝血薬とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
加圧されたソース血液の緩衝は、除去プロセスにおいて、該注入点の近くで、患部組織を破壊する局所的な加熱を提供することをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項66】
加圧されたソース血液の緩衝は、放射性造影剤物質を、該注入点の近くで、該治療中の血管の血流に注入し、X線を使用して該治療中の血管を検査できるようにすることをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項67】
加圧されたソース血液の緩衝は、超音波該注入点の近くで、治療中の血管を超音波的に照射し、写像することをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項68】
血管内部の超音波的な照射は、参照用に入力画像周波数信号を有する画像周波数超音波伝達装置を提供することをさらに含むことを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
加圧されたソース血液の緩衝は、ソース血液をポンプで注入することによって膨らむことにより、同ソース血液をポンプで注入する動作によりZ方向に同時に押されながら、安全な伸縮限度内で該治療中の血管の管腔を実質的に遮断することをさらに含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項70】
該注入点を介し、加圧されたソース血液を同時にポンプで注入することは、該折りたたみ式バルーンを膨らませ、該加圧されたソース血液の望ましくない逆流を防止しながら、局所的に上昇した血圧を生成することをさらに含むことを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
該折りたたみ式バルーンは、ソース血液のポンプの動きの停止によってしぼみ、該注入点がZ軸に沿って簡単に動くことができるようにする請求項69に記載の方法。
【請求項72】
該超音波パワー放射は、第1周波数成分と、該第1周波数成分と異なる周波数を有するが、略同等のパワーを有する少なくとも1つの第2周波数成分とをさらに含む請求項60に記載の方法。
【請求項73】
該第2周波数成分を、周波数において、該第1周波数成分と異なるよう選択し、空間的にゆっくりと変動する定在波パターンを有する超音波パワー放射を生成することにより、沈着したプラークの空間的により均一な粉砕を達成することをさらに含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
該第2周波数成分を、周波数において、該第1周波数成分と10%未満異なるよう選択することをさらに含む請求項73に記載の方法。
【請求項75】
該超音波パワー放射と該超音波的に血管内部を照射し写像することとの間の干渉を防止するため、画像周波数が、該超音波パワー放射の平均周波数よりも高くなるようにすることをさらに含む請求項68に記載の方法。
【請求項76】
画像周波数が、該超音波パワー放射の平均周波数の少なくとも10倍の高さとなるようにすることをさらに含む請求項75に記載の方法。
【請求項77】
両者の間の相互干渉を防止し、該超音波パワー伝達の波形パターンの写像を容易にするために充分な空間的画像分解能を提供するため、低パワーの該画像周波数超音波伝達装置に対応する画像波長が該超音波パワー放射の平均波長よりも短くなるよう画像周波数を選択することをさらに含む請求項68に記載の方法。
【請求項78】
低パワーの該画像周波数超音波伝達装置に対応する画像波長が該超音波パワー放射の平均波長の少なくとも10分の1になるよう画像周波数を選択することをさらに含む請求項77に記載の方法。
【請求項79】
該治療中の血管の血液内で、健常で、弾力性のある血管組織に影響を及ぼさずに、弾力性のなさに基づき、硬化した患部を優先的に粉砕するキャビテーションを生成するよう、該超音波パワー放射の波長およびパワーを調整することをさらに含む請求項60に記載の方法。
【請求項80】
より効果的な除去プロセスを実現するため、硬化した患部の固有共鳴周波数範囲に合うよう、該超音波パワー放射の波長およびパワーを調節することをさらに含む請求項79に記載の方法。
【請求項81】
弾力性のない患部が除去され流された時点で対応する超音波粉砕および乳化の動きが自動的に停止するよう、除去プロセスを自己停止させるため、弾力性のない患部の範囲に該固有共鳴周波数範囲を限定することをさらに含む請求項80に記載の方法。
【請求項82】
該超音波パワー放射による放射圧力で、硬化したため弾力性のない壊死組織片をさらに前進させ、患部から取り除くことをさらに含む請求項81に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate


【公表番号】特表2008−532620(P2008−532620A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500707(P2008−500707)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/003141
【国際公開番号】WO2006/098814
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507304502)
【Fターム(参考)】