血管位置および血管形状の撮像装置および撮像方法
【課題】管腔内用途または血管内用途のためのプロテーゼ定置装置および定置方法を改善することにある。
【解決手段】患者の血管構造内に1つ以上のマーカすなわちセンサを配置して、血管(例えば分枝血管)の位置、形状、方向または或る態様を決定し、プロテーゼ定置前および定置中の血管内器具の位置、形状または方向並びに血管構造と血管内器具との相対位置を決定し、1つ以上の血管(例えば分枝血管)の一部または血管内器具の位置のバーチャルモデルの画像を創出し、かつ管状プロテーゼに現場で1つ以上の開口を形成して、プロテーゼが患者の1つ以上の分枝血管に配置されるときに分枝血管の灌流が行えるようにする。
【解決手段】患者の血管構造内に1つ以上のマーカすなわちセンサを配置して、血管(例えば分枝血管)の位置、形状、方向または或る態様を決定し、プロテーゼ定置前および定置中の血管内器具の位置、形状または方向並びに血管構造と血管内器具との相対位置を決定し、1つ以上の血管(例えば分枝血管)の一部または血管内器具の位置のバーチャルモデルの画像を創出し、かつ管状プロテーゼに現場で1つ以上の開口を形成して、プロテーゼが患者の1つ以上の分枝血管に配置されるときに分枝血管の灌流が行えるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロテーゼ定置(prosthesis deployment)に関し、より詳しくは、プロテーゼ定置前に、分枝動脈のような人体内の分枝通路を探知すること、またはプロテーゼの生体内カニューレ挿入の前に、プロテーゼの通路を探知することに関する。
【背景技術】
【0002】
人体内の通路の異常の治療に、ステント、グラフト、およびステント−グラフト(例えば、グラフト材料からなる内側カバーまたは外側カバーの少なくとも一方を備えかつカバー形ステントと呼ばれているステント)等の管状プロテーゼが広く使用されている。脈管用途では、これらの器具は、しばしば、狭窄血管または動脈瘤血管等の閉鎖血管、病変血管または損傷血管の置換またはバイパスを行うのに使用されている。例えば、動脈瘤の治療または隔離を行うのに、フレームワーク(例えば1つ以上のステントまたはステント状構造)により支持された、生体適合性グラフト材料(例えば、ダクロン(Dacron)(登録商標)または発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE))からなるステント−グラフトを使用することが良く知られている。フレームワークは機械的支持体を形成し、グラフト材料またはライナは血液バリヤを形成する。
【0003】
動脈瘤は、一般に、血管等のダクトまたはキャナル(canal)の異常拡大であり、ダクトまたは血管壁の異常拡大により形成される嚢(sac)の形態で現われる。異常拡大した壁は、一般に弱化されかつ破裂し易い。動脈瘤は、腹部大動脈のような血管に生じ、この場合、動脈瘤は、一般に、腸骨動脈の遠位側すなわち腸骨動脈に向かう腎動脈の下に生じる。
【0004】
ステント−グラフトを用いて動脈瘤を治療する場合、ステント−グラフトは、一般に、ステント−グラフトの一端が血管の病変部の近位側すなわち上流側に位置し、ステント−グラフトの他端が血管の病変部の遠位側すなわち下流側に位置するようにして配置される。このようにして、ステント−グラフトは、拡大した壁を置換しまたはバイパスすべく、動脈瘤の嚢を通って延びかつこの嚢をスパンし、かつ嚢の近位端および遠位端を越えて配置される。グラフト材料は、一般に、動脈瘤の血管内排除(endovascular exclusion)を行うべく、血液不透過ルーメンを形成する。
【0005】
このようなプロテーゼは、切開手術により、または最小侵襲性血管内アプローチにより移植される。最小侵襲性血管内ステント−グラフトの使用は、病変血管を手術により切開しかつ動脈瘤をバイパスする位置にグラフトを縫合する伝統的な切開手術手法よりも、多くの医者に好まれている。ステント、グラフトおよびステント−グラフトを配給(デリバリ)するのに使用されている血管内アプローチは、一般に、皮膚を切開して血管構造の管腔にアクセスする段階を有している。或いは、外傷性の小さい入口位置での連続拡張を介して、管腔アクセスまたは血管アクセスを経皮的に達成することもできる。ひとたびアクセスが達成されたならば、ステント−グラフトは、血管構造を通して目標部位に導くことができる。例えば、ステント−グラフトが装填されたステント−グラフトデリバリカテーテルは、血管構造(例えば大腿動脈)内に経皮的に導入され、ステント−グラフトはこれが定置される動脈瘤を横切って血管内に配給される。
【0006】
バルーンにより拡大できる(バルーン拡大形)ステント−グラフトを使用する場合には、ステント−グラフトが目標部位に配置された後に、一般に、バルーンカテーテルを使用してステント−グラフトを拡大させる。しかしながら、自己拡大形ステント−グラフトを使用する場合には、ステント−グラフトは、一般に、半径方向に圧縮すなわち折畳まれておりかつシースまたはデリバリカテーテルの遠位端に配置され、目標部位でシースを後退させまたは除去すると自己拡大する。より詳しくは、軸線方向に相対移動できる同心状の内側チューブおよび外側チューブを備えたデリバリカテーテルを使用でき、前記デリバリカテーテルには圧縮された自己拡大形ステント−グラフトを装填できる。ステント−グラフトは外側チューブ(シース)の遠位端内でかつ内側チューブの遠位端に固定されたストップの前部に配置される。本明細書で基準とする近位端位置および遠位端位置に関していえば、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)の近位端は、心臓に最も近い端部であり(血液流路の点から)、遠位端は定置時に心臓から最も遠い端部である。これに対し、カテーテルの遠位端は、通常、オペレータ(ハンドル)から最も遠い端部として識別され、カテーテルの近位端は、オペレータに最も近い端部である。カテーテルが、ひとたび、目標部位にステント−グラフトを定置すべく配置されたならば、内側チューブが固定状態に保持されかつ外側チューブ(シース)が引出され、これによりステント−グラフトが徐々に露出されて拡大される。ステント−グラフトデリバリシステムの一例が、下記特許文献1に開示されている。尚、この特許文献1の開示は、その全部を本願に援用する。
【0007】
血管内アプローチは、切開手術に比べて、侵襲性が非常に小さく、通常短い回復時間で済み、かつ合併症の危険も小さいが、分枝血管を含む場合のような比較的複雑な用途では、種々のプロテーゼの非対称的形状の整合に関する問題が存在する。分枝血管技術は、主器具(例えばグラフトまたはステント−グラフト)のデリバリと、この主器具の開窓すなわち側方開口を通しての分枝血管内への二次器具(例えばグラフトまたはステント−グラフト)のデリバリとを有している。
【0008】
1つ以上の分枝血管を治療する場合には、この手術はより複雑なものとなる。その一例は、腹部大動脈瘤を治療すべき場合で、腹部大動脈瘤の近位側ネックが、プロテーゼによる開通連結をサポートできない程度まで病変が進行しまたは損傷を受けている場合である。この場合には、グラフトまたはステント−グラフトの近位側部分の下方の側壁に、開窓(fenestrations)すなわち開口(openings)が設けられる。開窓すなわち開口は腎動脈と整合させるべきであり、近位側部分は腎動脈の上方の大動脈壁に固定される。
【0009】
プロテーゼの開窓と分枝血管との整合を確保するため、現在の技術は、主器具またはプロテーゼを解放する前に、各開窓および分枝血管(例えば動脈)を通してガイドワイヤを配置する段階を有している。この段階は、デリバリシステムおよびステント−グラフトが未だ大動脈内にある間に、複数のワイヤを大動脈内で同時に操作することを含んでいる。また、分枝血管の検出および予備プロテーゼの位置決めを行うのに使用されている血管造影カテーテルは依然として大動脈内にある。これらのコンポーネンツがもつれる危険性があるだけでなく、予形成開窓を備えた規格外れのシェルフプロテーゼ(shelf prosthesis)が、患者毎の解剖学的構造(アナトミー)の相違により分枝血管と適正に整合しないことがある。患者のCATスキャンに基いた予形成開窓または開口を備えたカスタムプロテーゼも、危険がない訳ではない。カスタムプロテーゼは依然としてスキャンについての外科医の判断を受け、所望の解剖学的フィットが得られるものではない。また、グラフトおよびステント−グラフトを配給するのに比較的剛性の大きいカテーテルが使用され、これらのカテーテルは、これらが導入される血管(例えば動脈)の経路または形状を変化させまたは歪めてしまう。剛性の大きいカテーテル等の外力により血管が変形されると、カスタム設計されたプロテーゼでも分枝血管に適正に整合しない。
【0010】
下記特許文献2には、大きい動脈の交差部またはこの周囲にグラフトを介在させる段階と、その後に静脈内超音波血管造影を用いて、動脈交差が生じるグラフト上の位置を視覚化しかつ測定する段階とを備えた方法が開示されている。次に、レーザ器具または焼灼器具がグラフト内に介在され、かつ交差部の位置にグラフト壁の開口を形成するのに使用される。次に、ステントが、交差する動脈の形成された開口を通して、グラフト内に介在される。
【0011】
本件出願人が共有する下記特許文献3には、プロテーゼの側壁に開口を形成する器具を備えた撮像カテーテル(静脈内超音波器具(intravenous ultrasound device、IVUS)を、血管内プロテーゼ内に位置決めする方法が開示されている。撮像カテーテルは、プロテーゼが定置された主通路から分枝している分枝通路(例えば腎動脈)に隣接するプロテーゼの領域を検出する。撮像カテーテルの開口形成器具は、プロテーゼの領域内に開口を形成すべく操作すなわち前進され、分枝通路へのアクセスを行う。撮像カテーテルには、開口を通して前進されるガイドワイヤを設けることができる。
【0012】
概していえば、1つ以上の分枝血管の近傍でのプロテーゼ(例えばステント−グラフト)のデリバリおよび配置における1つの挑戦は、分枝血管(例えば動脈)の位置を識別しかつ探知することである。例えば、この挑戦は、プロテーゼの遠位端を腎動脈の下に位置決めすべきか、上に位置決めすべきかである。腎動脈のような分枝血管を識別してプロテーゼの位置決めを補助するのにX線透視法が使用されているが、このアプローチを用いた挑戦が残っている。より詳しくは、X線透視法は、ステント−グラフト手術時に腎動脈のような心臓血管内の開口のリアルタイムX線画像の観察に使用されている。このアプローチは、一般にコントラスト媒体、コントラスト剤またはコントラスト染料と呼ばれている放射線不透過性物質を患者内に投与して、この放射線不透過性物質が視覚化すべき領域(例えば腎動脈)に到達できるようにする必要がある。カテーテルは患者の鼡径部の大腿動脈を通して前進されかつ腎臓の近傍まで血管内を前進される。血管内での一時的コントラスト剤のX線透視画像(これは静止画像でもリアルタイム動画像でもよい)は、腎臓の位置の2次元視覚化を可能にする。
【0013】
しかしながら、X線の使用は、この手術からの危険性と、患者への手術の利益とが入念にバランスのとれるものであることを必要とする。医者は、X線透視中に低用量を使用することを常に試みているが、手術の長さは、患者への比較的高い吸収用量が生じる長さである。コントラスト増強形撮像を許容できない患者、または放射線曝露を低減しなければならない医者は、血管形状および分枝血管の探知を行う他のアプローチを必要としている。
【0014】
【特許文献1】2004年5月13日付米国特許出願公報第2004/0093063号明細書(Wright等、名称「制御形定置デリバリシステム(Controlled Deployment Delivery System)」)
【特許文献2】米国特許第5,617,878号明細書(Taheri)
【特許文献3】2006年3月3日付米国特許出願第11/276,512号明細書(Marilla、名称「多分枝管状プロテーゼおよびその使用方法(Multiple Branch Tubular Prosthesis and Methods)」)
【特許文献4】米国特許第6,470,207号明細書(Simon)
【特許文献5】米国特許公報第2004021571号明細書
【特許文献6】米国特許第6,6940,941号明細書
【特許文献7】米国特許第7,001,045号明細書
【特許文献8】米国特許公報第2004/013225号明細書
【特許文献9】米国特許公報第2004/0013239号明細書
【特許文献10】米国特許公報第2004/0170254号明細書
【特許文献11】米国特許公報第2004/0179643号明細書
【特許文献12】米国特許第5,592,939号明細書(Martinelli)
【特許文献13】米国特許第5,913,820号明細書(Bladen等)
【特許文献14】米国特許公報第2004/0215071号明細書(Frank等)
【特許文献15】2006年11月7日付米国特許出願第11/557204号明細書(名称「開窓を創成するためのカッティングRFカテーテル(Cutting Radio Frequency Catheter for Creating Fenestrations)」)
【特許文献16】2001年6月8日付出願、2002年12月19日付公開の米国特許出願公報第20020193685号明細書(名称「ガイド形放射線治療システム(Guided Radiation Therapy System)」)
【特許文献17】2002年8月7日付米国特許第6,822,570号明細書(Dimmer等、名称「無線ミニアチュアマーカの空間内調節可能な励振システム(System For Spacially Adjustable Excitation Of Leadless Miniature Marker)」)
【特許文献18】米国特許第6,889,833号明細書(Seiler等、名称「患者にマーカを移植するパッケージ形システムおよびこのようなシステムの製造方法および使用方法(Packaged Systems For Implanting Markers In A Patient And Methods For Manufacturing And Using Such Systems)」)
【特許文献19】米国特許第6,812,842号明細書(Dimmer、名称「無線ミニアチュアマーカの励振システム(Systems For Excitation Of Leadless Miniature Marker)」)
【特許文献20】米国特許第6,838,990号明細書(Dimmer、名称「無線ミニアチュアマーカの励振システム(Systems For Excitation Of Leadless Miniature Marker)」)
【特許文献21】米国特許第6,977,504号明細書(Wright等、名称「コヒーレント検出を使用するマーカ限局検出システムに使用される受信器(Receiver Used In Marker Localization Sensing System Using Coherent Detection)」)
【特許文献22】米国特許第7,026,927号明細書(Wright等、名称「マーカ限局検出システムに使用される、励振のディザリングを有する受信器(Receiver Used In Marker Localization Sensing System And Having Dithering In Excitation)」)
【特許文献23】米国特許第6,363,940号明細書(Krang、名称「組織のブラケッティングおよび除去を行うシステムおよび方法(System and Method For Bracketing And Removing)」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
管腔内用途または血管内用途のためのプロテーゼ定置装置および定置方法を少なくとも開発しまたは改善することが要望されている。
【0016】
本発明は、プロテーゼ定置装置および定置方法の改善に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による一実施形態では、患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法は、第二血管が第一血管から分枝している第一血管および第二血管の一部の多次元データセットを取得する段階と、第二血管が第一血管から分枝する箇所の近傍で第一血管および第二血管の一方に少なくとも1つのマーカを固定する段階と、マーカの位置をリアルタイムで決定する段階と、マーカの位置の変化に基いて、第一血管と第二血管との間の結合部に対する3次元データセットの一部の位置をリアルタイムで更新する段階とを有している。
【0018】
本発明の他の実施形態では、患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法は、患者の第一血管から分枝した第二血管内にトラッキング可能なマーカ(例えば電磁コイル)を配置する段階と、マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する(例えば、電磁コイルの回りに電磁界を発生させる)段階と、非イオン化エネルギに対するマーカの応答または非イオン化エネルギの効果を処理して(例えば、電磁コイルの回りの電磁界の発生に応答して電磁コイルマーカからの信号を処理して)、電磁コイルの位置を決定する段階とを有している。
【0019】
本発明による他の実施形態では、血管のリアルタイムバーチャル3次元モデリング方法は、トラッキング可能な複数のマーカ(例えば電磁コイル)の各々を、血管の内壁に当接して配置する段階と、マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する(例えば、マーカの回りに電磁界を発生させる)段階と、非イオン化エネルギに対するマーカの応答または非イオン化エネルギの効果を処理して(例えば、電磁コイルマーカの回りの電磁界の発生に応答して電磁コイルマーカからの信号を処理して)、血管の内壁の一部のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有している。
【0020】
本発明の他の実施形態では、血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法は、血管内の複数のマーカを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する段階と、非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有している。
【0021】
本発明による他の実施形態では、血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法は、血管内の複数の電磁コイルを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、マーカの回りに電磁界を発生させる段階と、電磁コイルからの信号を処理して、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有している。
【0022】
本発明による他の実施形態では、管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法は、患者の第一血管から分枝している第二血管内に目標を形成する段階と、第二通路内に管状壁を備えたプロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、遠位端部分および近位端部分を備えた穿孔器具をプロテーゼ内に配置する段階と、穿孔器具の遠位端部分を目標と整合させる段階と、穿孔器具の遠位端部分を、管状壁の一部を通して目標に向けて前進させる段階とを有している。
【0023】
本発明による他の実施形態では、管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法は、患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つのマーカを配置する段階と、管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、非イオン化放射線エネルギをマーカに付与する段階と、非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、マーカの位置を決定する段階と、決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階とを有している。
【0024】
本発明による他の実施形態では、管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法は、患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つの電磁コイルを配置する段階と、管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、電磁コイルからの信号を処理して、電磁コイルの位置を決定する段階と、決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階とを有している。
【0025】
本発明による他の実施形態では、分枝血管を探知する血管造影カテーテルは、孔が開いた遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、電磁界に露出されると信号を信号処理装置に送信するための、前記遠位端部分に固定された少なくとも1つのトラッキング可能なマーカ(例えば電磁コイル)とを有している。
【0026】
本発明による他の実施形態では、分枝血管の位置を探知する血管内システムは、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第一細長い部材と、前記遠位端部分に固定された少なくとも1つのトラッキング可能な要素(例えば感応コイル)と、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第二細長い部材と、前記細長い部材の遠位端部分に固定された少なくとも1つのトラッキング可能な要素(例えば感応コイル)とを有している。
【0027】
本発明による他の実施形態では、血管内器具は、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材を有し、前記遠位端部分は記憶形状(memory set configuration)および変形形状を有し、前記遠位端部分の回りで摺動可能に配置されかつ遠位端部分を変形状態に拘束するシースを更に有し、シースは、遠位端部分を露出させるべく移動できかつ遠位端部分を記憶形状に移動させることができる。
【0028】
本発明による他の実施形態では、プロテーゼデリバリシステムは、プロテーゼデリバリカテーテルと、このプロテーゼデリバリカテーテル内に配置される管状プロテーゼと、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、前記遠位端部分に沿って配置された複数のマーカと、近位端部分、遠位端部分、およびグラフト材料を穿刺できる穿刺端部を備えたステアブルな穿孔カテーテルと、このステアブルカテーテルの遠位端部分に取付けられた複数のマーカとを有している。
【0029】
本発明による他の実施形態では、プロテーゼデリバリ装置は、患者の体内で血管内デリバリを行なうことができるガイドワイヤと、ガイドワイヤ(例えばガイドワイヤの遠位端)に固定されたトラッキング可能なマーカ(例えば電磁コイル)とを有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の他の特徴、長所および実施形態は、以下の説明および添付図面から当業者には明らかになるであろう。
【0031】
以下の説明は、種々の図面を参照して行うが、同じ要素には同じ参照番号を使用していることを理解されたい。
【0032】
近位側位置および遠位側位置に関していえば、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)の近位端とは、定置中に、心臓に最も近い端部であり(血液流路の点から)、一方、遠位端とは心臓から最も遠い端部である。これに対し、カテーテルの遠位端は、通常、オペレータから最も遠い端部であり、カテーテルの近位端はオペレータに最も近い端部であると考えられている。従って、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)およびデリバリシステムの近位側および遠位側についての記載は、デリバリ経路およびプロテーゼ(例えばステント−グラフト)の探知に関して、互いに一致するか、逆になる。
【0033】
本発明による実施形態は、血管またはその或る特徴(例えば分枝血管)の位置、形状、または、方向の少なくとも1つを決定し、プロテーゼの定置前または定置中の血管内器具の位置、形状または方向、並びに血管構造と器具との相対位置の少なくとも1つを決定し、1つ以上の血管(例えば分枝血管)の一部の画像モデルの創成、または患者の1つ以上の分枝血管に亘ってプロテーゼが配置されるとき(例えば、腹部大動脈のステント−グラフトが腎動脈の口(ostia)の上方の大動脈に固定されるとき)の現場での管状プロテーゼの1つ以上の開口の形成の少なくとも1つを行う。分枝血管は、血管(例えば大動脈)と、他の付随血管(例えば、腕頭動脈、大動脈に源を発する右総頚動脈奇形、左総頚動脈、左鎖骨下動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈、下腸間膜動脈、および分節)との交差部またはこの周囲に生じる。
【0034】
本明細書に開示する種々のナビゲーションシステムによれば、ナビゲーションシステムに接続される、被トラッキング(被追跡)要素または手術器具の少なくとも一方の表示が、予め取得した解剖学的構造の画像上に重畳される。他のナビゲーションシステムによれば、ナビゲーションシステムは、1つ以上の手術器具、解剖学的ヨウ素または被トラッキング要素の位置に画像表示を与え、患者の特定の医学的画像を使用することなく手術器具または被トラッキング要素の相対位置を表示する。また、他の実施形態では、このような画像表示は、患者の特定の医学的画像を用いて表示されるか、この医学的画像上に重畳される。
【0035】
本明細書で使用する用語「予め取得した(pre-acquired)」は、撮像情報の受信と対応画像の表示との間の全ての所要最小期間を意味するものではない。画像(例えばX線透視画像)を表示している間の対応画像情報(例えばデジタル信号)の瞬間的記憶が、画像の予めの取得を構成する。予め取得した画像は、X線透視法によるX線技術、CT、MRIまたは他の既知の撮像方法を用いて得ることができる。トラッキング追跡システムから得た位置情報に基いた手術器具または医療器具(例えば、カテーテル、プローブまたはプロテーゼ)の表示は、患者の予め取得したイメージ上に重ねられる。この方法により、医者は、患者の解剖学的構造に対する手術器具の位置を確認できる。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの一形態が概略的に示されている。全体を参照番号10で示すこのナビゲーションシステムでは、撮像器具12、トラッキングシステム14およびディスプレイ(表示装置)16がコンピュータまたはプロセッサ18に接続されていて、被トラッキング要素、医療器具(例えばカテーテルまたはプローブ)または患者の解剖学的構造の位置、または2つ以上のこれらの対象物間の相対位置に関する情報を表示する。
【0037】
撮像器具12(これは、手術前撮像器具または術中撮像器具と同じもので構成できる)は、ディスプレイ16上に表示すべく撮像器具が取得するデータを記憶しかつ処理するコンピュータ18に接続されている。手術前データまたは術中データを取得するのに、多くの既知の撮像システムを使用できる。手術前データを取得するのに使用できる撮像システムの一例として、複数の2次元断面画像から3次元(立体)画像すなわちモデルを創成するCTスキャナがある。手術前データの取得に使用できるスキャナの他の例としてMRスキャナがあり、これも3次元(立体)画像を得ることができる。術中データの取得に関しては、上記特許文献4に開示されたバーチャルX線透視システム等の2次元X線透視システムを用いたナビゲーションを使用できる。或いは、Breakaway Imaging Inc.(Littleton、マサチューセッツ州)の製造に係るO−arm(商標)撮像システムのような3次元(立体)X線透視システム並びに他の既知の撮像システムを使用できる。
【0038】
位置および方向を測定するトラッキングシステム14(例えばEMローカライザで構成できる)は、ナビゲーション情報またはトラッキング情報をコンピュータ18に提供し、コンピュータ18は前記情報を処理して、被トラッキング要素、医療器具、機器またはプローブを3次元空間内で位置決めし、これは、次に、腎動脈の口のような患者の解剖学的構造を限局化(localize)するのに使用される。
【0039】
トラッキングシステムは、一般に、トラッカ20と、参照番号22a、22b、22c、22d、22eで示すような1つ以上の被トラッキング要素またはトラッキング可能要素とからなる。これらの要素は、解剖学的構造(例えば大動脈壁)または医療器具(例えばカテーテルまたはプローブ)に接続されて、トラッキング情報をコンピュータ18に提供し、これにより、例えば3次元空間内の器具および被トラッキング要素の位置をディスプレイ16上に表示できる。或いは、2つ以上の被トラッキング要素または医療器具の少なくとも一方の画像表示を予め取得したイメージで表示するか、予め取得したイメージ上に重畳してこれらの相対位置を示し、医者が1つの要素を他の要素に対して案内する補助をすることができる。また、上記のような患者の特定の医療画像を用いないで、画像表示をディスプレイすることができる。
【0040】
被トラッキング要素(これらの要素は、より詳細に後述する)は、1から6の自由度で、位置情報または方向情報の少なくとも一方を提供する。トラッカ20は、被トラッキング要素の位置または方向の少なくとも一方を提供しかつトラッキング情報をコンピュータに送るシステムを形成し、コンピュータは、次に、トラッキング情報を処理して、最終的に表示を使用者に与える。
【0041】
トラッキングシステムに基いた電磁場(electromagnetic field、EMF)の一実施形態では、トラッカは送信器に対応しかつ被トラッキング要素(例えば磁気コイル)は受信器として機能する。或いは、被トラッキング要素を送信器に対応させ、トラッカを受信器として機能させることもできる。高周波に基いたシステムでは、構成は、電磁気に基いたシステムと同じにすることができる。トラッカは、受信器に相当する被トラッキング要素を備えた送信器に対応させることができる。無線電磁コイルをベースとするシステムでは、トラッカは送信器および受信器に対応し、被トラッキング要素(単一または複数)は電磁エネルギのリフレクタまたはトランスポータに対応する。能動光学システム(発光ダイオード(LED)が使用される光学システム)では、トラッカは受信器(カメラ)に対応し、被トラッキング要素は送信器に対応する。受動光学システム(逆反射マーカが使用される光学システム)では、トラッカは送信器および受信器に対応し、被トラッキング要素(単一または複数)は光学エネルギのリフレクタに対応する。超音波に基いたシステムではいずれの構成をも使用できるが、一般的には、トラッカが受信器に対応し、被トラッキング要素が送信器に対応する。このような要素を組込んだトラッキングシステムは、非電離線を用いて作動できる。
【0042】
図2から図5には、種々のディスプレイモードが示されている。図2には、主血管Vから、分枝血管BV2とは反対側の分枝血管BV1内に延びているカテーテル30またはプローブが概略的に示されている。図3では、2つの2次元X線透視画像が、図2のカテーテルを2つの異なる見方で示している。図4には4つの術中画像が示されており、これらの画像のうち3つの画像は、主血管または分枝血管の位置で3つの異なる平面に沿って撮像した画像を示している。第四の画像は、立体データから創成した3次元画像である。図4に示す画像は、上記O−arm(商標)撮像システムから創成するか、例えばCT、MR、CTAまたはMRAを用いて手術前に取得しておくことができる。
【0043】
2次元または3次元の予処置(pre-procedural)画像または手術前画像に、被トラッキング要素の画像またはグラフィック表示、被トラッキング要素が連結される医療器具(例えばカテーテルまたはプローブ)、または被トラッキング要素が連結される解剖学的構造(例えば大動脈壁)の少なくとも1つを重ねる前に、予処置画像(単一または複数)またはグラフィック表示における対応位置が決定される。この処置は、一般に、予処置画像または手術前画像のレジストレーション(registration)として知られている。
【0044】
一例では、手術前画像は、2次元または3次元のX線透視を用いてレジスタリングされる。例えば、手術前データが取得された後に、2次元画像が術中に撮像されかつ従来技術で知られているように手術前画像にレジスタリングされる(例えば、2次元画像および3次元画像のレジスタリングに関する上記特許文献5参照。尚、この特許文献5は、その全部を本願に援用する)。他の例では、ナビゲートすべきナビゲーション部位のピクチュア・画像を手術前撮像するのにO−arm(商標)撮像システムを使用できる(例えば、上記特許文献6から11参照。尚、これらの特許文献6から11の開示は、その全部を本願に援用する)。画像のレジスタリングを行う他の代表的システムが、上記特許文献4に開示されており、前記特許文献4の開示の全部を本願に援用する。
【0045】
図5には、2つの被トラッキング要素の画像表示が示されている。表示される画像は被トラッキング要素の画像とは一致せず、むしろ、被トラッキング要素の位置または方向の少なくとも一方に一致する情報に基いたグラフィックにいっちする。図5に示す実施形態では、十字線40a、40b、40c、40dの交点は、(1)整合すべき被トラッキング要素、または(2)分枝動脈の一部についてのコンピュータで創成した中心軸線およびより詳細に後述するように、医療器具に連結され、またはより一般的には、解剖学的構造と整合すべき1つ以上の器具の一部との任意の組合せに連結された2つ以上のトラッキング要素により形成された一軸線を表示できる。画像表示は、被トラッキング要素の整合において医者を補助すべく、リアルタイムで連続的に行うことができる。
【0046】
後述する例示実施形態では、1つ以上の被トラッキング要素(例えば、磁気感応形の導電性検出コイルのような信号器具)が1つ以上の脈管(主脈管内または分枝脈管内の少なくとも一方の脈管)内に移植または配置され、脈管または被トラッキング要素または手術器具(単一または複数)の位置、形状または方向の少なくとも1つ、並びに被トラッキング要素と血管構造との相対位置または被トラッキング手術器具(単一または複数)と血管構造との相対位置を決定する。被トラッキング要素(これは、マーカとも呼ばれる)は、目標部位への血管内デリバリに適合した1つ以上の手術器具に取付けられる。
【0047】
磁気感応形導電性感応コイルの場合には、予め特定化した電磁界が、コイルに電圧信号を誘起するのに充分な態様で、対象とする解剖学的構造の部分(例えば、コイルまたは器具(単一または複数)の少なくとも一方の全ての想定部分)に投射される。電圧信号を電気的に測定することにより、感応コイル(単一または複数)の角度方向および位置的座標、従って対象とする血管構造または器具の少なくとも一方の位置、形状または方向の少なくとも1つのを充分に計算できる。予め特定化した電磁界に応答して、手術を受けている患者の選択された体腔内に挿入されたカテーテルまたは内視鏡の位置を決定する感応コイルの一例が、上記特許文献12に開示されている。尚、この特許文献12の開示の全部は本願に援用する。センサで検出された磁界を発生させることにより、感応コイルの3次元位置を探知する方法および装置の一例が、上記特許文献13に開示されている。尚、この特許文献13の開示の全部は本願に援用する。
【0048】
図6Aには、本発明による一システムの全体が、参照番号100で示されている。システム100は、患者の目標部位への脈管内デリバリまたは血管内デリバリに適した血管造影カテーテル102を有している。血管造影カテーテル102は遠位端部分および近位端部分を有し、近位端部分は、従来技術の操作ハンドルまで延長できる。遠位端部分にはピグテール103を設けることができ、ピグテールには、造影剤を目標部位に配給するための複数の開口104が形成されている。カテーテル102の遠位端部分には、参照番号106a、106b、106cで例示された1つ以上の被トラッキング要素すなわちマーカが任意の適当な手段で取付けられている。
【0049】
被トラッキング要素すなわちマーカはセンサで構成でき、例えば前述のような磁気感応形導電性感応コイルで構成できる。この場合、これらのコイルは、アンテナコイルと呼ぶことができる。マーカすなわち感応コイルは、カテーテルの周囲に巻回しかつここに接着される。或いは、コイルは、本明細書に開示する全ての被トラッキング要素について、カテーテル内に埋入できる。この例では、各リード線または導電体108a、108b、108cが、それぞれのマーカ106a、106b、106cからカテーテルのルーメンを通ってまたはカテーテルの外表面に沿って延びており、信号処理回路(その一例をより詳細に後述する)に接続される。リード線は、処理回路まで延びている中間ケーブル束シース112を通って延びている。
【0050】
血管造影カテーテルは、一般に、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)の移植中に、X線透視用造影剤を配給するのに使用される。本発明に従って構成された血管造影カテーテル(例えば血管造影カテーテル102)では、カテーテルは、移植されたプロテーゼにより血管(例えば大動脈)の壁に対して拘束される。カテーテルの遠位端部分に取付けられるマーカは、血管壁の部分(例えば大動脈の部分)についてのリアルタイム解剖学的マーカを形成すべく、血管壁に対して固定される。被トラッキング要素すなわちマーカは、局部的解剖学的構造の基準位置を与える。対象とする血管構造が曲りくねっていて、比較的剛性の大きい分枝血管プロテーゼ定置カテーテルが目標部位に導入されるとき、分枝血管プロテーゼ定置カテーテルの存在およびこのカテーテルが脈管壁を押圧することにより、目標部位の血管構造が変形または変位される。これにより、予処置イメージングまたはマッピング(例えばX線透視)で既に検出されている分枝血管の位置と比較して、分枝血管の位置が変化される。マーカが提供するリアルタイムデータは、リアルタイムトラッキング情報を発生させるべく処理され、このリアルタイム情報は、分枝血管(単一または複数)が分枝する主血管の一部のバーチャル画像を創成するベースとして使用される。この画像は、主血管および分枝血管(単一または複数)の予め取得した情報にレジスタリングされて、分枝血管(単一または複数)と主血管との結合部の画像を創成する。
【0051】
或いは、図6Bに示す装置のような脈管内−血管内マーカまたはセンサ位置決め装置を使用して、分枝血管の位置をマーキングしかつプロテーゼが定置されるときの分枝血管の位置および方向に関するリアルタイムデータを得るべくプロテーゼ(例えばステント−グラフト)を定置する前に、動脈の分枝血管のような分枝血管(腕頭動脈、大動脈に源を発する右総頚動脈奇形、左総頚動脈、左鎖骨下動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈、下腸間膜動脈、および分節分枝を含む)内に、センサのような被トラッキング要素またはマーカを一時的に位置決めすることもできる。これにより、側部に形成された1つ以上の予形成開窓を備えたプロテーゼと、1つ以上の分枝血管とを整合させる補助を行うことができる。他の例では、マーカは、より詳細に後述するように、プロテーゼの現場開窓プロセスの補助に使用することもできる。
【0052】
図6Bには、被トラッキング要素すなわちマーカを多分枝内に位置決めするシステムの全体が、参照番号200で示されている。システム200はマーカ位置決め装置300、400を有し、各マーカ位置決め装置は、患者の目標部位への脈管内デリバリまたは血管内デリバリを行うことができる。
【0053】
装置300は、カテーテル(例えばマイクロカテーテル)またはガイドワイヤの形態に構成できる細長い部材302を有している。細長い部材302は、遠位端部分と、従来技術のオペレータ操作ハンドルまで延長できる近位端部分とを有している。細長い部材302の遠位端部分には、参照番号306a、306b、306cで概略的に例示された1つ以上のマーカ(例えば前述の感応コイルまたは信号デバイス)が、マーカ106a、106b、106cに関して上述した任意の適当な手段により取付けられている。従って、マーカは、磁気感応形導電性感応コイルで構成することもできる。各リード線または導電体308a、308b、308cは、それぞれのマーカ306a、306b、306cから、ケーブル束シースを通って、信号処理回路まで延びている。信号処理回路の一例は、より詳細に後述する。細長い部材302がカテーテルである場合には、リード線は、カテーテルのルーメンを通してまたはカテーテルの外表面に沿って配置することができる。細長い部材302がガイドワイヤである場合には、リード線は、その外表面に沿って配置しかつその周囲にスパイラルに巻回することができる。
【0054】
装置400は、カテーテル(例えばマイクロカテーテル)またはガイドワイヤの形態に構成できる細長い部材402を有している。細長い部材402は、遠位端部分と、従来技術のオペレータ操作ハンドルまで延長できる近位端部分とを有している。細長い部材402の遠位端部分には、参照番号406a、406b、406cで概略的に例示された1つ以上のマーカ(例えば前述の感応コイルまたは信号デバイス)が、マーカ106a、106b、106cに関して上述した任意の適当な手段により取付けられている。従って、マーカは、磁気感応形導電性感応コイルで構成することもできる。各リード線または導電体408a、408b、408cは、それぞれのマーカ406a、406b、406cから、ケーブル束シースを通って、信号処理回路まで延びている。信号処理回路の一例は、より詳細に後述する。細長い部材402がカテーテルである場合には、リード線は、カテーテルのルーメンを通してまたはカテーテルの外表面に沿って配置することができる。細長い部材402がガイドワイヤである場合には、リード線は、その外表面に沿って配置しかつその周囲にスパイラルに巻回することができる。
【0055】
図6Aおよび図6Bに示す実施形態における被トラッキング器具すなわちマーカは、任意の器具102、302、402の長手方向軸線に沿って等間隔または不等間隔に配置できる。間隔は、細長い部材の用途および剛性に基いて定められる。例えば、密の間隔は、ディスプレイ上での細長い部材の表示精度を高めるべく、一般に、細長い部材が、使用時にマーカの領域で大きく曲げられるときに使用される(密の間隔はより高精度の表示ができるのに対し、間隔の大きい等間隔マーカの精度は低い)。カテーテル102に取付けられるマーカの数は変えることができる。一般に、細長い部材またはカテーテルの、マーカが取付けられた部分の位置および方向を得るには、少なくとも3自由度をもつ少なくとも1つのマーカが必要である。細長い部材またはカテーテルの付加位置データおよび方向データは、細長い部材またはカテーテルの予め取得した測定値から創出できる。他方では、細長い部材の遠位端部分が大きい曲げを受けるときには、2つまたは3つのマーカを設けるのが好ましい。例えば、カテーテルまたは細長い部材の曲げ特性すなわち撓み特性を知ることができ、従ってカテーテルまたは細長い部材の2つのマーカが互いに近付く方向に移動されるときに両マーカ間の部分がどれだけ曲げられるかのおよその推測が得られるとき、および両マーカ間の部分が真直形状をなしているときの両マーカ間の距離をも知ることができるときは、曲げられたカテーテルの推定バーチャル画像を創出できる。他の2つのマーカ間の中間に配置された第三マーカは、カテーテルまたは細長い部材の外側マーカ間の部分がその全長に亘って均一に曲る場合には、湾曲部分の頂点を表示できる。
【0056】
腎動脈のような2つの異なる血管内にマーカを配置することを望む場合に特に有利な2つのカテーテルまたはガイドワイヤを備えたシステムについて説明したが、用途に応じて、単一のカテーテルまたはガイドワイヤを備えた単一システムまたは3つ以上のカテーテルまたはガイドワイヤを備えたシステムを使用することができる。
【0057】
マーカが磁気感応形導電性感応コイル(例えばアンテナコイル)である例では、マーカの位置を3次元で探知する任意の適当な電磁界発生・信号処理回路(単一または複数)を使用できる(例えば上記特許文献13参照)。マーカが磁気感応形導電性感応コイルであるときにマーカ106aから106c、306aから306c、406aから406cの位置で磁界を発生しかつこの発生した信号に応答してセンサ形マーカが発生した電圧信号を処理する構成のこのような1つの磁界発生・信号処理回路の全体が図7において参照番号500で示されている。図7に示す例では、9つのコイルが3つずつの3群で示されているが、9つの別々のコイルを使用できることは理解されよう。より詳しくは、受信コイルの個数と送信コイルの個数との積が、少なくとも9でなくてはならない。そうすれば、例えば、3つの送信コイルと3つの受信コイルにより6つの自由度を測定できる。
【0058】
図示の例では、回路500は、概略的に、3つの電磁界発生器502a、502b、502cと、増幅器504と、コントローラ506と、測定ユニット508と、ディスプレイ装置510とを有している。各磁界発生器は、立方体の木製巻枠の回りに巻回された電気的に絶縁された3本のワイヤ(発生コイル)を有している。各磁界発生器の3つのコイルは、コイルの軸線が相互に直交するように巻回される。9つの発生コイルは、コントローラ606の指令の下で各コイルを個々に駆動できる増幅器504に、電気的に別々に接続されている。
【0059】
使用に際し、コントローラ506は、9つの発生コイルの各々を連続的に駆動するように、増幅器504に指令を出す。ひとたび、特定の発生コイルからの準定常磁界が確立されたならば、この磁界により各感応コイル(例えば図1のマーカ22aから22e)に誘起された電圧の値が測定ユニット508により測定され、処理されかつコントローラ506に送られる。コントローラ506はこの値を記憶し、次に、現在の発生コイルの駆動を停止させかつ次の発生コイルの駆動を開始させる指令を増幅器504に出す。全ての発生コイルが駆動すなわち付勢されかつ各感応コイルに誘起された対応する9つの電圧が測定されかつ記憶されたならば、コントローラ506は、磁界発生器に対する各センサの位置および方向を計算しかつこれをディスプレイ装置510上に表示する。この計算は、9つの測定の次の設定がなされる間に行われる。かくして、相互に直交する3つのコイルからなる3つの群に配置された9つの発生コイルの各々を連続的に駆動することにより、各感応コイルの位置および方向を決定できる。
【0060】
センサおよび発生コイルの仕様並びに処理段階は、当業者の技量の範囲内のことである。使用できるコイルの仕様および一般的な処理段階の一例が、上記特許文献13に開示されている。尚、特許文献13の開示は、その全体を本願に援用する。
【0061】
図8には、本発明による1つの装填形プロテーゼデリバリシステムの全体が参照番号600で示されている。配給すべきプロテーゼが自己拡大形グラフトまたはステント−グラフト(例えばステント−グラフト620)である場合には、プロテーゼは、一般に、デリバリカテーテルの遠位端部分内で半径方向に圧縮されるか折畳まれてデリバリカテーテルの遠位端部分内に配置され、より詳細に後述するように、目標部位で定置時にカテーテルから拡大される。
【0062】
プロテーゼデリバリシステム600は、カテーテルチューブすなわちシース(外側チューブ)602と、内側ガイドワイヤチューブ610とを有し、これらの両チューブ602、610は、同心状にかつ軸線方向に相対移動できるように配置される。ガイドワイヤ612は、ガイドワイヤチューブ610内に挿入され、これにより、システム600は、ガイドワイヤ612上で所望部位へとトラッキングされる。外側チューブ602の遠位端内でかつプッシャ部材すなわちストップ614の前方にはプロテーゼ(例えばステント−グラフト620であり、これには、管状グラフト材料を支持する複数の波形ステント要素622a、622b、622cを設けることができる)が配置される。プッシャ部材ストップ614は、内側ガイドワイヤチューブ610と同心状でかつこのガイドワイヤチューブ610に固定されており、また、ガイドワイヤチューブ610へのアクセスを行うための中央アクセスボアを備えたディスク状すなわちリング状の形状を有している。栓塞子604(テーパ状チップ)の近位端またはシース602の内部には、X線透視技術を用いて栓塞子604すなわちシース602の遠位端を撮像する補助するための放射線不透過性リング616が設けられている。ひとたびカテーテルが、プロテーゼを所望部位に定置すべく位置決めされたならば、ストップ614を備えた内側部材またはガイドワイヤルーメン610が静止保持され、かつ外側チューブすなわちシース602が引出される。これにより、栓塞子604が、シース602から変位されかつステント−グラフトが徐々に露出されて拡大できるようになる。従って、ストップ614は、ステント−グラフトが定置されるときにステント−グラフトの遠位端と係合できるサイズを有している。シース602および内側チューブすなわちガイドワイヤルーメン610の近位端は、ハンドル(図示せず)に連結されかつこのハンドルにより操作される。任意であるが、栓塞子604は、ステント−グラフトの近位側部分を受入れるキャビティを備えた構成にでき、これにより、オペレータは、定置の最終フェーズ中にステント−グラフトの近位端を拡大させることができる。この点に関し、ステント−グラフトデリバリシステム600には、上記特許文献1に開示されたステント−グラフト定置システムのいずれかを組込むことができる。尚、特許文献1の開示は、その全体を本願に援用する。
【0063】
プロテーゼデリバリシステム600には、任意であるが、被トラッキング要素すなわちマーカ606a(例えばアンテナコイル形センサ)と、マーカ606aからガイドチューブ610を通して磁界発生・信号処理回路500へと延びていて、マーカ606aまたは栓塞子の遠位端の少なくとも一方の位置の決定を行うワイヤリード線(図示せず)とを設けることができる。或いは、アンテナコイルで形成できる任意のマーカ606bをガイドワイヤ612に設けることができる。この場合には、リード線608が、センサ606bからガイドチューブ610を通って、磁界発生・信号処理回路500へと延びていて、マーカ606bまたはガイドワイヤの遠位端の位置の決定を行う。
【0064】
波形ステント要素622a、622b、622cは、管状グラフト材料(この材料は、例えば、ダクロン(登録商標)または発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で構成できる)の内壁または外壁に固定される。ステント−グラフトにはまた、当業界で知られているように、管状グラフトの近位側部分の内壁または外壁に固定される波形支持ワイヤと、管状グラフトの近位側部分に固定されるベアスプリングとを設けることができる。ベアスプリングの近位端は、一般に、ステント−グラフトの係止能力を向上させるべく外方に拡がっている。グラフト材料へのステント、支持ワイヤおよびベアスプリングの固定には、縫合糸または他の任意の適当な手段を使用できる。
【0065】
以下の例は、例示を目的とするに過ぎない。以下の例を読むことから明らかになろうが、明細書の記載順序は、全ての例において、必ずしも任意の手術段階の順序を示すものではない。
【0066】
(例1)
図9Aから図9Eを参照して、使用される被トラッキング要素すなわちマーカが、感応コイル、より詳しくは電磁界(electromagnetic field、EMF) コイルであるシステム100の作動の一例を説明する。例示を目的として、この処置は、腎動脈の近傍へのAAA分枝ステント−グラフトの血管内デリバリおよび定置を含んでいる。下記の例では、この処置は、ナビゲーション経路の3次元モデルを創出すべく、ナビゲートされるべき血管構造の予処置またはスキャンまたは術中スキャンを用いて行うことができる。先ず、予処置スキャンアプローチの一例を説明し、次に、術中スキャンアプローチを説明する。
【0067】
(予処置スキャンすなわち手術前スキャン)
第一スキャンすなわち予処置スキャンおよび大動脈データ取得:手術の前に、トラッキングすべき血管構造の3次元モデルを創出すべく、患者は、CT、CTA、MRIまたはMRAスキャナのいずれかを用いてスキャンされる。対象とする腹部大動脈および分枝血管(例えば腎動脈)がスキャンされ、この血管構造についての3次元予処置データセットを創出しかつリアルタイムデータが重ねられるバーチャルモデルを創出すべく、対象とする血管に沿って画像が撮られる。
【0068】
磁界発生器の配置:3つの磁界発生器502a、502b、502cが所定位置に固定され、これにより、磁界発生コイルと感応コイルとの空間関係を決定できる。或いは、上述した磁界発生器502a、502b、502c(図7)ではなく、9つの別々の磁界発生コイルを使用することもできる。前述のようにおよび当業者には明らかなように、他の個数の磁界発生コイルを使用することもできる。更に別の態様では、磁界発生コイルは、撮像デバイスに取付けることもできる。
【0069】
所望部位へのマーカ(単一または複数)のデリバリ:患者は、手術の準備がなされ大腿動脈に切開部が形成される。従来のX線透視技術を用いて、血管造影カテーテル102が、腎動脈(図9A)の近傍(例えば腎動脈の上または下)の位置まで血管内で前進される。
【0070】
解剖学的構造へのマーカの固定:図9Bに示すように、オペレータは、血管造影カテーテル102がステント−グラフト600と大動脈壁との間に配置され、ステント−グラフトが血管造影カテーテルおよびそのマーカすなわちセンサ106a、106b、106cを大動脈壁に係止するようにして、ステント−グラフト600を定置する。ステント−グラフトは、従来のX線透視技術を用いて定置される。
【0071】
第二スキャンすなわち術中スキャンおよび大動脈データの取得:2つ以上2次元X線透視法のX線または他の撮像技術を使用して、大動脈の2次元データセットを得る。或いは、大動脈の3次元データセットを取得することもできる。次に、3次元予処置スキャンが、第二2次元データセット(secondary two-dimensional data sets)または第二3次元データセットにレジスタリングされる。このレジストレーションは、データセットを発生させるのに使用される予処置スキャンおよび術中スキャン(第二スキャン)を受けることがある同様な解剖学的特徴すなわち血管構造に基いて行われる。3次元データセットを2次元データセットにレジスタリングする1つのレジストレーションアプローチは、上記特許文献14に開示されている。尚、この特許文献14の開示は、その全体を本願に援用する。
【0072】
動的基準の創出:第二データセットすなわち術中データセットの取得中に、磁界発生器が付勢され、血管造影カテーテルのコイル106a、106b、106cから受けた信号が、解剖学的構造(大動脈)についての「動的基準(dynamic reference)」を与える。第一データセットおよび第二データセットのレジストレーションが計算され、次に、マーカすなわちコイルに取付けられた座標系に基準化される(本明細書の他の箇所の説明参照)。マーカは、マーカと解剖学的構造との間の「強固」な取付けを形成する1つ以上の方法を用いて、大動脈、腎動脈または他の解剖学的部分に固定される。ひとたびこの取付けが行われたならば、今や、解剖学的構造におけるあらゆる運動と一緒に移動するマーカ(従ってマーカの下の解剖学的構造)に対する固定座標系を定めることができる。従って、解剖学的構造と手術前画像または術中画像との間で計算されたあらゆるレジストレーションもまた、この解剖学的構造−基準座標系に基準化される。これにより、レジストレーション変形(registration transformation)があらゆる解剖学的構造の運動を補償することが可能になり、マーカはプロセッサ18またはコントローラ506により遂行されるプロセスを基準化する。すなわち、コイルが座標系を確立する。マーカが大動脈に固定されているので、座標系は解剖学的構造(この場合には大動脈)に対して固定される。これにより、コイル位置がリアルタイムに決定されると、予処置データセットおよび対応画像のリアルタイム更新が可能になる。プロセッサすなわちコンピュータ18またはコントローラ506は、データを操作して、コイル運動に基いて手術前スキャンから取得した画像を移動させ、これにより、医者は、大動脈が移動するときに、腎動脈の口(単一または複数)の運動をモニタリングできる。これは、例えば患者の鼓動、呼吸または他の機能から生じる患者の移動により、腎動脈の予処置位置が変化する場合に有効であり、予処置スキャンを更新して、この変化または移動の少なくとも一方をリアルタイムで反映させることができる。リアルタイムディスプレイは、医者による腎動脈の一方または両方の位置のモニタリングを補助しかつこれに隣接する位置でステント−グラフトに穿孔するのに使用できる。また、動的マーカ(単一または複数)はいずれかのデータセットに関連させることができるが、分枝血管(例えば腎動脈)は第二データセットの取得時にステント−グラフトにより覆われることがあるので、第一データセットはより価値の高いものである。
【0073】
限局化:コイルの位置および方向を得るには、第一電磁界コイルが前述のようにして付勢される。血管造影アンテナコイル106aに誘起される電圧の値が、測定ユニット08により測定され、処理されかつコントローラ506に導かれる。コントローラ506は、この値を記憶し、次に増幅器504に指令して、現在の発生コイルの駆動を停止させかつ次の発生コイルの駆動を開始させる。9つの発生コイルの全てが駆動すなわち付勢されかつコイルに誘起された対応する9つの電圧が測定されかつ記憶されたならば、コントローラ506は、磁界発生器に対するセンサの位置および方向を計算しかつこのグラフィック表示をディスプレイ装置510上に表示する。次に、このプロセスをセンサ106bおよびセンサ106cについても行う。
【0074】
センサ106a、106b、106cの位置データが取得されかつこの位置データが解剖学的構造に取付けられた固定座標系の確立に使用されるならば、腎動脈の口のリアルタイム画像を表示して、この口に隣接するステント−グラフトに穿孔する目標を形成できる。
【0075】
穿孔カテーテルのデリバリ:図9Cに示すように、ステアブル(進路操縦可能な)穿孔カテーテル700が、大動脈を通って一方の腎動脈(例えば分枝血管BV1)に前進される。穿孔カテーテル上のマーカは、ディスプレイ上に画像表示を行いかつ選択された分枝血管に向かう穿孔カテーテルの移動または選択された分枝血管に隣接するステント−グラフトの一部をトラッキングするビーコンを形成する。腎動脈が覆われていない間に取得された画像に基いて更新された大動脈の画像は、穿孔カテーテルのマーカ(単一または複数)が案内される1つ以上の分枝血管(例えば一方または両方の腎動脈)の口の更新画像を形成する。或いは、カテーテルの画像は、第一データセットまたは第二データセットから創出された大動脈の画像上に重ねることができる。
【0076】
一実施形態では、穿孔カテーテル700は、ステアブルな外側チューブすなわちガイドカテーテル702と、外側チューブ702内で摺動可能に配置された内側チューブ704と、外側チューブ702の遠位端部分に取付けられた1つ以上の被トラッキング要素すなわちマーカ706(例えば1つ以上のセンサまたはアンテナコイル)とを有している。マーカ706は、カテーテルの外表面または内表面に接着剤により固定するか、外側チューブ702の遠位端部分内に埋入することができる。内側チューブ704の遠位端部分708は、穿孔カテーテルに形成された開口に挿通されると拡大器すなわち拡張器として機能するように、テーパ状または截頭円錐状をなしている。中空針すなわち穿刺部材710が内側チューブ704内に配置されており、この穿刺部材710は、ガイドワイヤ712(図9E)のようなガイドワイヤが通って、ステント−グラフトのグラフト材料を穿刺する形状を有する遠位側のべべル状穿刺チップから出ることができる寸法を有している。
【0077】
マーカは、この例では外側チューブ702に取付けられているものとして示されているが、マーカ(単一または複数)は、内側チューブ704または針710の遠位端部分内に固定し、取付けまたは埋入できることは理解されよう。
【0078】
例示の実施形態では、マーカ706は感応コイルであり、上記と同じ態様でマーカの回りに電磁界を連続的に発生させる磁界発生器502a、502b、502cに応答して回路500に信号を伝達する。信号が処理され、センサの位置および方向が計算され、この後に、センサの画像がディスプレイ510上の予処置画像にレジスタリングされかつこの予処置画像上に重畳される。ディスプレイは、センサが下方の腎動脈に向かって移動されるときのセンサ画像を示す。ディスプレイは、図9Dに示すように、針710の穿刺遠位側チップを、ステント−グラフト620の側壁を通して分枝血管BV1(分枝血管BV1は、この例では、下方の腎動脈である)内に案内する。針710の穿刺遠位側チップのバーチャル画像は、コンピュータまたはコントローラ506にプログラムできるカテーテル700の寸法データに基いて創出することもできる。
【0079】
図9Eに示すように、内側チューブ704は外側チューブ702に対して移動され、これにより、内側チューブ704は、その孔拡大器すなわち拡張器の部分により分枝血管のステント−グラフトを配給するための開口を拡大させつつ更に前進される。ガイドワイヤ712は中空針710から図示のように定置され、次に、分枝血管のステント−グラフトをガイドワイヤ上でトラッキングさせるためガイドワイヤを所定位置に置いて、穿孔カテーテルが取出される。
【0080】
分枝ステント−グラフトをガイドワイヤ712上で一方の腎動脈(例えばBV1)に配給するのに、ガイドワイヤを用いないステント−グラフトデリバリシステム600(図8)のようなステント−グラフトデリバリシステムが使用される。
【0081】
第一分枝血管のステント−グラフトの定置前または定置後に、他方の腎動脈に隣接するステント−グラフトに同様な開口(図示せず)が形成される。第二孔が、第一分枝血管のステント−グラフトの定置前に形成される場合には、第二ガイドワイヤが、ガイドワイヤ712と同様にして配置される。第二孔が、第一分枝血管のステント−グラフトの定置後に形成される場合には、ガイドワイヤ712または他のガイドワイヤを使用できる。第二ステント−グラフトが同様に定置された後に、全てのカテーテルが引出される。
【0082】
上記のような動的基準を確立した後は、処置の任意の変更が考えられることを理解すべきである。一例では、アイデアは、「ライブ(live)」の3次元X線透視法ではなく、「術中」の3次元X線透視法を使用することである。画像は手術中にのみ取得され、かつ本明細書で説明する方法を用いるときにナビゲートされる。
【0083】
(術中スキャンアプローチA)
磁界発生器の配置:3つの磁界発生器502a、502b、502cが上記のように所定位置に固定され、これにより磁界発生器と感応コイルとの空間的関係が決定される。上記のように、他の個数の発生器コイルを使用することもできる。
【0084】
マーカデリバリ:上記のように、患者は手術の準備がなされ、大腿動脈まで切開が形成されかつマーカコイル106a、106b、106cを備えた血管造影カテーテル102が、従来のX線透視技術を用いて腎動脈の上方の位置まで血管内で前進される。
【0085】
術中スキャンおよび大動脈データの取得:この時点で、撮像器具12を用いて術中スキャンを行い、例えば腹部大動脈の第一3次元データセットを得て、感応コイル106a、106b、106cからのリアルタイムデータが関連付けられるバーチャルモデルを創出して、上記「動的基準」を得る。上記O−arm(商標)イメージングシステム(O-arm Imaging System)のような任意の適当なスキャナを使用できる。また、上記特許文献4を参照されたい。尚、この特許文献4の開示は、その全部を本願に援用する。画像の解像度を高めるため、造影剤を使用することもできる。
【0086】
解剖学的構造へのマーカの固定:カテーテル102は図示のように配置され、ステント−グラフトがピンに定置されるかカテーテル102に固定され、マーカコイル106a、106b、106cが上記のように大動脈壁に固定される。
【0087】
第二術中スキャンおよび大動脈データの取得:第二スキャンを行って、腹部大動脈を表示する第二3次元データセットを得る。第二スキャンには、第一データの3次元データセットをカテーテル102のコイルにレジスタリングするための、カテーテル102およびカテーテル102上のコイル106a、106b、106cに対するデータを含めることができる。第一データセットおよび第二データセットは、例えば当業界で知られているように互いにレジスタリングされる。すなわち、ひとたびステントが所定位置に置かれかつカテーテルが大動脈壁に固定されたならば、もはや腎動脈のコントラスト画像を得ることができず腎動脈への流れも閉塞される。しかしながら、第一画像の取得には、腎動脈内のコントラストを含めることができる。第二スキャンの目的は、第一スキャンをレジスタリングして、腎動脈を含む画像セット上でのナビゲーションを可能にすることにある。第一スキャンを直接使用できない理由は、最初の取得時に動的基準が所定位置に全く存在しないことにある。2つのスキャンは、インテンシティイメージベース技術(intensity image-based techniques)を用いてレジスタリングされる。メドトロニックサージカルナビゲーション(Medtronic Surgical Navigation)は、この機能を遂行する「オートマージ(AutoMerge)」と呼ばれている製品を有する。ひとたびこれらの2つのデータセットが融合されると、今や、第二データセットに確立された動的基準座標系に基いて、第一データセット上でナビゲートできる。第一データセットまたは第二データセットのいずれかを見ることができるが、第一データセットが腎動脈を含んでいるため、第一データセットを使用する可能性の方が高い。ひとたび大動脈にマーカが固定され、コントラスト画像を得ることができるならば、単一画像を必要とするのみで、「オートマージ」を遂行する必要はない。O−arm(商標)イメージングシステムを用いる場合には、スキャナは、被トラッキング要素すなわちコイルの表示を、第一術中3次元画像に自動的にレジスタすなわち同期させる。これには、トラッキングシステム14の送信器または受信器のいずれかを撮像システムに物理的に取付けること、および製造中、各使用中または各撮像中のいずれかでキャリブレーションプロセスを遂行することを必要とする。このキャリブレーションプロセスは、撮像器具の座標系とトラッカ(例えばトラッカまたは測定ユニット14)との間の変形(transformation)を決定する。
【0088】
動的基準の創出:第二術中データセットの取得時に、磁界発生器が作動され、血管造影カテーテルのコイル106a、106b、106cから受信した信号が第一データセットと組合されて、上記のように解剖学的構造の「動的基準」を作る。或いは、マーカはこの例および前の例において第二データセットと組み合わせることができる。しかしながら、第一データセットは、より多くの情報を有しかつ所望の情報ベースを形成する。例えば、ステント−グラフトが、第一データセットの取得後に腎動脈上に配置される場合には、腎動脈の情報は、表示できるように第一データセット内に捕捉される。
【0089】
穿孔カテーテルのデリバリ:ステアブルな穿孔カテーテル700が、マーカ706を介して、下方の腎動脈の口に隣接するステント−グラフトの部分までトラッキングされ、次に、ステント−グラフトに開窓を形成しかつ上述のように腎動脈内にガイドワイヤを定置するのに使用される。そのマーカは、上述のように、分枝血管の表示された更新位置に向けてガイドワイヤを案内するビーコンとして機能する。或いは、カテーテルの画像は、更新されたデータセットから創出された大動脈の表示されたリアルタイム画像上に重ねることができる。開口は、分枝血管のステント−グラフトが上述のように定置される前に拡大される。他方の腎動脈に隣接するステント−グラフトの部分は開窓が形成され、ガイドワイヤおよび分枝血管のステント−グラフトは、上記と同様にして定置される。
【0090】
(術中スキャンアプローチB)
磁界発生器の配置:3つの磁界発生器502a、502b、502cが、磁界発生器コイルと感応コイルとの間の空間関係が決定されるようにして、上記のように所定位置に固定される。前述のように、他の個数の発生器コイルを使用できる。
【0091】
マーカのデリバリ:上記のように、患者は手術の準備がなされかつ大腿動脈まで切開が形成され、マーカコイル106a、106b、106cを備えた血管造影カテーテルが、従来のX線透視技術を用いて、腎動脈の上方の位置まで血管内で前進される。
【0092】
解剖学的構造へのマーカの固定:カテーテル102が図示のように配置され、ステント−グラフトがピンに定置され、またはカテーテル102が上述のように大動脈壁に固定される。
【0093】
術中スキャンおよび大動脈データの取得:腹部大動脈を表示する3次元データセットが取得されかつ同時にカテーテル102上のコイル106a、106b、106cに関連つけられる。上記のようにO−arm(商標)イメージングシステム等の任意の適当なスキャナを使用できる。また、上記特許文献4を参照されたい。尚、この特許文献4の開示は、その全部を本願に援用する。
【0094】
動的基準の創出:術中データセットの取得時に、磁界発生器が作動され、血管造影カテーテルのコイル106a、106b、106cから受信した信号がデータセットと組合わされて、上記のように解剖学的構造の「動的基準」を形成する。
【0095】
穿孔カテーテルのデリバリ:穿孔カテーテル700は、目標とする口の領域までトラッキングされ、ステント−グラフトの開窓の形成に使用され、かつ上記全ての例で説明したように、関連する腎動脈内にガイドワイヤを定置して、ガイドワイヤ上でステント−グラフトをトラッキングする。
【0096】
(例2)
図10Aおよび図10Bを参照して、使用される被トラッキング要素すなわちマーカが感応コイル、より詳しくは電磁界(EMF)コイルである構成のシステム200を用いて、プロテーゼを定置する血管を探知する処置について説明する。例示の目的から、この処置は、腎動脈の近傍にAAA分枝ステント−グラフトの血管内デリバリおよび定置を含んでいる。
【0097】
前述のように、患者は手術の準備がなされかつ大腿動脈まで切開が形成され、細長い部材302、402が、腎動脈に向かって血管内で前進され、これらの細長い部材の遠位側部分が、従来のX線透視技術を用いて腎動脈内に配置される(図10A)。
【0098】
腎動脈および被トラッキング要素すなわちマーカ306c、406cのX線透視画像を示す図面であるが、マーカすなわち感応コイルは、全体をBV1、BV2で示す腎動脈のそれぞれの口の下方部分と整合している。
【0099】
一変更形態では、感応コイル306c、406cが前述のように腎動脈と整合された後に、被トラッキング要素すなわちマーカ606aを備えたシステム600のようなステント−グラフトデリバリシステムを使用して、システム600のガイドワイヤ612を一方の腎動脈に案内する。前述のようにしてこれから取得したデータに基いたマーカの画像表示がディスプレイ510上に表示され、マーカ606aと、マーカセット306aから306cまたはマーカセット406aから406cのいずれか一方または両方との相対位置をモニタリングして、所望位置でのステント−グラフトの位置決めを補助する。
【0100】
他の変更形態では、ステント−グラフトの寸法がコントローラすなわちコンピュータ506に入力されて、コイル606aに対するステント−グラフトのバーチャル画像を創出し、用途に基いて、図10Bに示すように、ステント−グラフトを動脈瘤の近位側のネックに位置決めするか、ステント−グラフトを腎動脈の一方または両方の上方に位置決めする。或いは、コイルセットは、口のリアルタイムバーチャル画像を創出するのに使用することもできる。次に、ステント−グラフトまたはコイル606aにより発生されたリアルタイムデータを使用して、一方または両方の腎動脈の1つ以上の口とステント−グラフトとの相対位置をモニタリングする。
【0101】
図10Bに示すように、ステント−グラフトが、その近位端が腎動脈の上方に位置するように配置されると、ステアブルな穿孔カテーテル700を使用してステント−グラフトに開窓を形成する。ステアブルな穿孔カテーテル700は、大動脈を通って、一方の腎動脈(例えば分枝血管BV1)まで前進され、この腎動脈BV1で、カテーテル700はステント−グラフトの側壁を通って前進される。穿孔カテーテルのマーカコイル706の位置は、マーカコイル706が前述のように磁界発生器コイルにより発生される磁界に応答して信号を発生するのでモニタリングされ、信号は測定および処理されてマーカコイル706の位置および方向が決定される。コントローラ506はこの情報を処理し、処理した情報をディスプレイ510に送り、ここで、開窓カテーテルの画像表示が表示される。カテーテル306a、306bまたはコイル406a、406b、406cの少なくとも一方の画像表示が同様に表示され、これにより、穿孔カテーテルのマーカと、それぞれのマイクロカテーテル(またはガイドワイヤ)のマーカとの相対位置が医者に表示される。或いは、腎動脈の画像表示を創出することもできる。ここでの理想は、腎動脈内に固定されたカテーテルの位置が開窓カテーテルの「目標」を形成することである。これらの目標が開窓カテーテルの所望位置を正確に表示するようになったならば、目標位置(腎動脈カテーテル)および開窓カテーテルの両方を表示するコンピュータグラフィックを創出できる。外科医は、これらの画像表示を整合させ、次に、カテーテルが正しい位置にあると考えることができる。
【0102】
穿孔カテーテル700は、目標口の領域へとトラッキングされ、かつステント−グラフトの開窓を形成しかつガイドワイヤ上で分枝血管のステント−グラフトをトラッキングすべく、関連腎動脈内にガイドワイヤを定置するのに使用できる。他の分枝血管内にガイドワイヤを定置しかつ分枝血管のステント−グラフトをガイドワイヤ上でトラッキングすべく、他の開窓をステント−グラフトに同様に形成できる。
【0103】
一変更態様では、従来のステント−グラフトを、このそれぞれの遠位側部分が分枝血管内に位置するようにして細長い部材302、402の一方または両方を固定する従来のX線透視技術を用いて、分枝血管の一方または両方の上方に従来のステント−グラフトの近位端定置できる。次に、穿孔カテーテルまたは開窓カテーテル700がステント−グラフトの部分までトラッキングされ、それぞれの分枝血管に隣接する孔をステント−グラフトに穿けて、ガイドワイヤを定置し、ガイドワイヤ上を分枝血管のステント−グラフトが案内されて、上記のようにして定置される。
【0104】
細長い部材302、402はまた、頭蓋内血管構造に使用される流れ指向形マイクロカテーテルと同様な、だらりとしたマイクロカテーテルで構成できる。このようなカテーテルは、全てとはいえないが殆どの腎動脈の口の角度に順応する。
【0105】
図11Aおよび図11Bを参照すると、ここには、前述の被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め器具300の変更形態(その全体を参照番号300′で示す)が示されている。こ実施形態では、カテーテルまたはガイドワイヤの形態をなす器具300′は、カテーテル内で予め曲げられた形状を有している。図示の例では、カテーテルまたはガイドワイヤは、L形の形状を有している。湾曲部分は、この湾曲部分に対して遠位側の部分の長手方向軸線と、湾曲部に対して近位側の部分の長手方向軸線との間で測定された或る角度を有している。この角度は、一般に約70°から約110°の範囲内、より一般的には約80°から100°の範囲内にあり、約90°にすることができる。図示の例では、この角度は90°である。複数の被トラッキング要素すなわちマーカ(例えば要素306′a、306′b、306′c。これらの要素は、センサ306a、306b、306cと同じ要素、または、同類の要素で構成できる)は、湾曲部より遠位側に取付けられる。この構造では、器具300′は、図11Bに示すように分枝血管の結合部で血管構造の壁に順応できる。マーカ306cは、トラッカ(例えば図1の要素20または図7の要素508)への口の位置のレジスタリングに使用できる口の既知の点の位置を識別できる分枝血管の口に沿う点を与える。
【0106】
要素306′a、306′bまたは306′cはまた、分枝血管(センサが、予取得画像を必要としないでこの血管内に配置される)を覆うステント−グラフトに開窓を形成する穿孔カテーテル(例えば穿孔カテーテル700)の目標を与えることができる。この場合には、マーカ306a、306bまたは306cの少なくとも1つのマーカおよび穿孔カテーテルのマーカ706の画像表示がディスプレイ510上に表示され、医者が、穿孔カテーテルをステント−グラフトを通して目標分枝血管内に案内する補助をなす。
【0107】
図12および図13を参照して、本発明による他の実施形態を説明する。図12には、被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め装置の全体が参照番号800で示されている。装置800は、遠位端部分803を備えた細長い部材802を有し、遠位端部分803は、ヘリカルコイルの記憶形状を有している。ヘリカルコイルは等間隔を隔てたマーカを備え、これらのマーカは、血管(例えば分枝血管)の内壁面をマークすべくヘリックスの長さに沿うセンサ(例えばEMFコイル)の形態にすることができる。マーカがEMFコイルである場合には、マーカは電磁界を受けて前述のように電気信号を誘起する。この情報は測定ユニット508およびコントローラ506により処理され、装置が配置される部分血管の3次元バーチャル修復を表示する。
【0108】
細長い部材802は、管状シース805内に摺動可能に配置されており、シース805は、目標部位へのデリバリ中に、遠位端部分803を、シースの形状にほぼ一致する変形形状に拘束する。シースが引出されると、遠位端部分は、その記憶ヘリカル形状に戻る。血管の寸法がその自由状態まで完全に戻ることができない場合、血管は、依然として、ほぼその記憶形状に戻る傾向を有する。遠位端部分には、一般に、約2から8個の被トラッキング要素(例えばコイル)が分布される。図示の例では、遠位端部分803に8つのコイル806a、806b、806c、806d、806d、806e、806f、806hが取付けられている。細長い部材のシャフト802のルーメンを通って、各被トラッキング要素すなわちコイルから導電体またはリード線が延びている。リード線は導体束812として束にされ、回路500に接続される。
【0109】
被トラッキング806aから806hの位置および方向は、血管の位置および方向を首尾良く表示すべく、予処置データに対してマッピングされる。これは、例1で説明したのと同様に行うことができる。外科的処置の前に、対象とする血管構造(例えば腹部大動脈)の詳細な3次元データセットが取得される。患者は、トラッキングすべき血管構造の3次元モデルを創出すべく、T、CTA、MRIまたはMRAスキャナのいずれかを用いてスキャンされる。分枝血管(例えばBV1)内には、従来のX線透視技術を用いて、被要素すなわちマーカ位置決め装置800が配置される。第二撮像段階が遂行され、この段階では、2次元X線透視を行って、コイル800aから800hの2次元データセットを得る。これは、上記特許文献14に開示されているような既知のレジストレーション技術を用いて行うことができる。尚、この特許文献14の開示は、その全部を本願に援用する。これは、分枝血管(単一または複数)の予処置データセットまたは画像のリアルタイム更新(補完)を可能にして、主血管(例えば大動脈)および分枝血管(例えば腎動脈)をリアルタイムで表示することを可能にする。腎動脈内に挿入されたカテーテルの測定された位置に基いて腎動脈の位置を知ることができれば、この情報は早期のスキャン(必ずしも動的基準フレームを用いて取得されたものではない)と組合せて、トラッカ座標系と画像座標系とのレジスタリングを遂行できる。他の方法は、このレジストレーションを遂行すべく早期に注目したように、2つの画像を使用する方法である。第二撮像段階は、レジストレーションに使用できるが、BVの既知の位置は、第二画像を必要とすることなく手術前画像のレジスタリングを行うベースとして使用することもできる。
【0110】
システム800は、腎動脈の下または腎動脈の上にステント−グラフトを定置するのに使用できる。AAA疾患が、腎動脈の一方の口または両方の口の上方での大動脈グラフトのシーリングおよび固定を必要とする場合には、ステント−グラフトに現場で開窓を形成し、図15Aに示すように、システム800および穿孔カテーテル1100のような穿孔カテーテルを用いて腎動脈の灌流を行うことができる。
【0111】
穿孔カテーテル1110は、一般にステアブルガイドワイヤの形態をなす外側チューブ1111と、長手方向に間隔を隔てた少なくとも2つの被トラッキング要素1112a、1112b(例えばEMFコイル)とを有する。被トラッキング要素1112a、1112bは、カテーテルの軸線A2−A2(例えばカテーテルの中心軸線)に沿って、チューブすなわちカテーテル1110の遠位端部すなわちセグメントに取付けられており、穿孔カテーテルの遠位端部すなわちセグメントのバーチャル3次元修復を形成するか、単に、カテーテルの遠位端部の中心軸線のバーチャル画像を形成する。図示の実施形態では、コイルは軸線A2−A2と同軸であり、遠位側セグメントは、バーチャル画像と実際の穿孔カテーテルとの一致性を高めるため実質的な剛性を有している。
【0112】
ステアブル中空ガイドワイヤ1111内には高周波(RF)デリバリ部材すなわちシャフト1114が摺動可能に配置されており、シャフト1114は、一般にガイドワイヤ1111と同心状である。シャフト1114(これは中空チューブの形態に構成できる)は、その遠位側チップにRFプラズマ電極を有している。図示の例では、電極1118は円錐状の形状およびその中心軸線に沿う孔を有し、図15Cに示すように、ガイドワイヤ1119が孔を通ることができる。シャフト1114とRF電極1118との間には、絶縁体1116を設けることができる。当業者には明らかであろうが、RF電極1118とRF電源(図示せず)との間には、RF導体(図示せず)が設けられている。使用に際し、カテーテルは図15Cに示すように配向され、電極は、腎動脈のような目標分枝血管に隣接するステント−グラフトの材料と接触する。電極は付勢されて、ステント−グラフト620のグラフト材料にRFプラズマエネルギを付与して、グラフト材料に開口を形成する(この開口を通してガイドワイヤ1119を定置できる)。電極が円錐状であるため、医者は、電極を前進させて、RFエネルギを更に使用することなく開口を拡張できる。このような電極の前進は、分枝血管のステント−グラフトのデリバリに開口の拡張が望まれるときに開口を拡張すべく、ガイドワイヤの定置前または定置後に行われる。しかしながら、本明細書に開示するいずれの実施形態においても、穿孔カテーテルによる開口の拡大は任意のものである。ガイドワイヤが分枝血管の所望位置に配向されたならば、穿孔カテーテルが引出され、これにより、分枝血管のステント−グラフトがガイドワイヤ119上でトラッキングすなわち案内されて、分枝血管内に定置される。
【0113】
上記特許文献15には、マーカ1112a、1112bのようなマーカが固定される適当なRF穿孔カテーテルの他の例が開示されている。
【0114】
図16Aから図16Cには穿孔カテーテルの他の実施形態が示されており、その全体が参照番号1120で示されている。穿孔カテーテル1120は、一般にステアブルガイドカテーテルの形態をなす外側チューブ1121と、例えばEMFコイルで構成できる、長手方向に間隔を隔てた少なくとも2つの被トラッキング要素1122a、1122bとを有している。これらの被トラッキング要素は、チューブすなわちカテーテル1120の軸線に沿って、カテーテル1120の遠位端部分すなわちセグメントに取付けられており、穿孔カテーテルの遠位側端部のバーチャル3次元修復を形成するか、単に、カテーテルの一軸線(例えば、カテーテルの遠位端部分の中心軸線)のバーチャル画像を形成する。図示の実施形態では、コイルは、カテーテルの遠位端部分すなわちセグメントの中心軸線と同心状であり、遠位側セグメントは、バーチャル画像と実際の穿孔カテーテルとの間の一致性を高めるため実質的な剛性を有している。
【0115】
穿孔カテーテル1120は更に、外側チューブ1121内に摺動可能に取付けられた内側チューブ1124と、内側チューブ1124内に摺動可能に取付けられた中空針すなわち穿刺部材1126とを有している。外側チューブ1121、内側チューブ1124および針1126は、一般に同心状である。内側チューブ1124はテーパ状遠位端部分1124aを有し、図示の例では、遠位端部分1124aは截頭円錐状である。遠位端部分1124aは、針1126が形成する開口の拡大を容易にする。従って、内側チューブ1121は、拡張器と呼ぶことができる。針1126は、グラフト材料を突刺すすなわち穿刺するように構成されている。針は、図16Aから図16Cに示すようにべべル状にすることができる。或いは、針は、砲弾状、円錐状または他の適当な形状にすることができる。
【0116】
使用に際し、穿孔カテーテル1120は、穿孔カテーテル1110と同じ態様で目標部位までトラッキングされる。内側チューブまたは外側チューブの少なくとも一方は、図16Aに示すように、ステント−グラフト620に接触して配置するか、ステント−グラフトから間隔を隔てて配置できる。次に、穿刺部材1128がステント−グラフト620のグラフト材料を通って前進され、グラフト材料に孔を形成する。この孔を通してガイドワイヤ1128を定置できる。拡張器すなわち内側チューブ1124は、分枝血管のステント−グラフトデリバリの場合に拡大が望まれるときに、テーパ状部分1124aにより開口を拡大すべく、ガイドワイヤの定置前または定置後に前進される。しかしながら、本明細書に開示するいずれの実施形態においても、穿孔カテーテルを用いて開口を拡大することは任意である。ガイドワイヤが分枝血管内の所望位置に配向されると穿孔カテーテルが引出され、これにより、分枝血管のステント−グラフトがガイドワイヤ1128上でトラッキングすなわち案内されて、分枝血管内に定置される。
【0117】
(例3)
図15Aから図15Cを参照して、回路500および穿孔カテーテル1110に関連して電磁コイル形被トラッキング要素すなわちマーカが使用される構成のシステム800の例示作動を説明する。例示の目的から、処置は、腎動脈の上方でのAAA分枝ステント−グラフトの血管内デリバリおよび定置を含んでいる。
【0118】
カテーテル802の細長い部材は、従来のX線透視技術を用いて、上記のように大腿動脈から分枝血管BV1(この例では腎動脈)内に血管内前進される。シース805が引出されると、遠位端803は、その記憶形状ヘリカル構造に向かって移動できる。遠位端803がそのヘリカル形状に移動すると、センサコイルは分枝動脈の内壁に向かう移動または内壁に対する押圧の少なくとも一方を行い、軸線A1−A1(この軸線A1−A1は、動脈の一部の中心軸線にほぼ一致する)の回りでヘリカル配列に配置される(図15A)。一般に、センサコイルは全てが分枝血管の内壁に接触するが、必ずそうでなくてはならないものではない。ステント−グラフトが、その近位端が両腎動脈の上方に位置するようにして配置すべき場合には、他の装置800は、そのセンサコイルが第二分枝血管または腎動脈内に位置するようにして配置される。
【0119】
ステント−グラフト620は所望位置に配置され、従来のX線透視技術を用いて、図15Aに示す位置に定置される。ステアブル穿孔カテーテルすなわち開窓器具700は、大動脈を通って操舵され、かつ付勢されたセンサ806aから806h、1112a、1112bの画像表示の補助により分枝血管に向かって案内される。ここで、穿孔カテーテル穿孔1112a、1112bは、センサ806aから806hのヘリカル配列に向かって移動される。
【0120】
穿孔カテーテルの遠位端が、センサの画像表示により表示されときに分枝血管の口の近傍にある場合には、患者の回りに配置されている回路500の磁界発生器が再び連続的に付勢され、前述のように、センサにより、磁界発生コイルに対するセンサの位置を表示する電圧信号を発生させる。このデータは、中心軸線A1−A1およびA2−A2のリアルタイムバーチャル表示を3次元空間に表示するように処理される。このディスプレイは、軸線A1−A1が軸線A2−A2に対して実質的にまたはほぼ一直線をなすように、医者が穿孔カテーテルを配向することを補助する。すなわち、両軸線A1−A1およびA2−A2は表示され、穿孔カテーテルは、RFプラズマ電極1118が、RFプラズマエネルギをステント−グラフト620のグラフト材料に適用しかつグラフトに孔を形成するように付勢されると同時に、両軸線を図15Bおよび図15Cに示すように整合された状態に維持して、開口がこれらの両軸線に整合すなわち実質的に一直線状に配置されるようにする。次に、ガイドワイヤ1119が、電極1118を通して前進されて、分枝血管BV1内に導かれる(図15C)。開窓すなわち開口は、開口を機械的に拡大する円錐状の形状を有する電極1119を前進させることにより拡大される。これは、ガイドワイヤの定置前または定置後に遂行される。或いは、穿孔カテーテルを引出して、別体の拡大システムを上記システム100のように使用できる。分枝血管のステント−グラフトは、ガイドワイヤ1119上でトラッキングされかつ上記のようにして分枝血管内に定置できる。
【0121】
上記アプローチは、分枝血管の環境および寸法的配向を識別する挑戦を扱って、現場での有効なステント−グラフト開窓を可能にすると同時に、大動脈が不意に破裂する危険性を最小にできる。
【0122】
図13には、他の被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め装置の全体が参照番号900で示されている。システム900は、遠位端部分903を備えた細長い部材902を有し、遠位端部分は中心部材と、この回りで周方向に配置された複数の部材を備えている。周方向に配置された部材は、図示のような半径方向に拡大された記憶形状を有し、中心部材は、周期的間隔で配置された被トラッキング要素すなわちマーカ906a、906b、906cを有する。これらのマーカは、例えば中心部材に取付けられた電磁界(EMF)コイルで形成できる。マーカおよび中心部材は同軸状に配置されている。この態様では、被トラッキング要素すなわちマーカは、遠位端部分903の中心線またはこの遠位端部分903が配置される血管(例えば分枝血管)の部分の少なくとも一方にほぼ一致する一軸線をマークできる。マーカが付勢されると、このマーカから受けた信号が処理されて、マーカの画像表示およびディスプレイ510の中心線のバーチャル画像を表示する。
【0123】
細長い部材902は管状シース905内に摺動可能に配置され、シース905は、所望血管へのデリバリ中に、遠位端部分903を、シースの形状にほぼ一致する変形形状に拘束する。シースが引っ込められると、遠位端部分は、その記憶形状に戻る。血管の寸法によって遠位端部分がその自由状態に完全に戻ることができない場合、マーカが血管の内壁に対して押圧されているため、遠位端部分は依然としてその記憶形状に戻る傾向を有する。
【0124】
遠位端部分903は、一般に、この遠位端部分に沿って分散配置された約3つのマーカを有している。各マーカすなわちコイルからは、導電体すなわちリード線が細長い部材のシャフト902を通って延びている。リード線は導電体の束912として束ねられ、回路500に接続されている。上記から明らかなように、システム900は、近位端が腎動脈のような1つ以上の分枝血管の上に配置されたステント−グラフトの開窓を形成する前に両軸線A2−A2およびA3−A3を整合させるべく、回路500に接続して穿孔カテーテル700′を操作することができる。
【0125】
各遠位端部分803、903は形状記憶材料から作り、図12および図13に示すような予形成記憶形状を付与することができる。例えば、遠位端部分803または903をニチノールワイヤで作り、これらを所望形状(例えば図12または図13に示す形状)に置き、約480℃から515℃の温度をもつホットソルト浴またはサンド中で約5分から15分間加熱する。所望特性に基き、遠位端部分は、次に、空気冷却するか、オイル浴中に置くか、水中焼入れすることができる。他の一例では、遠位端部分803または903をステンレス鋼で作り、自由状態すなわち弛緩状態にあるときに図12および図13に示す形状となるように既知の技術で予形成することもできる。
【0126】
図14には、被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め装置の他の実施形態の全体が参照番号1000で示されている。装置1000は、ガイドワイヤ1002と、このガイドワイヤと同心状でかつガイドワイヤに固定された截頭円錐状の拡張器1004と、前記マーカと同様に機能しかつ例えばEMF感応コイルで形成できる被トラッキング要素すなわちマーカ1006a、1006b、1006cと、リード線の束1012とを有し、この束1012は、3つの別々の導体の束であり、各導体はそれぞれの被トラッキング要素すなわちマーカを回路500に電気的に接続する。この実施形態は、穿孔カテーテルが拡張器またはガイドワイヤの少なくとも一方を備えていない場合に使用される。マーカ1006a、1006b、1006cは、マーカ706が穿孔カテーテル700を目標部位にトラッキングするのと同様にして、装置1000をステント−グラフト壁の開口にトラッキングするのに使用される。
【0127】
本明細書に開示する被トラッキング要素すなわちマーカが無線の磁気感応形導電性感応コイルである例では、1つまたは複数のマーカを3次元位置に配置するための任意の適当な電磁界発生信号処理回路を使用できる。
【0128】
図17Aから図17Cには、共振形無線被トラッキング要素すなわちマーカ組立体を付勢しかつ被トラッキング要素すなわちマーカを3次元空間内で位置決めする励振信号を発生させる無線被トラッキング要素すなわちマーカシステムおよびそのコンポーネンツの一例が示されている。図17Aは、1つ以上の無線共振マーカ組立体1214を、センサ配列1216に対して3次元空間内で付勢しかつ位置決めするシステム1200を概略的に示すものである(この例では1つのマーカ組立体のみが示されている)。システム1200はソース発生器1218を有し、ソース発生器1218は、各マーカ組立体1214を付勢する選択された励振磁界または励振信号1220を発生する。付勢された各マーカ組立体1214は、励振ソース信号および周囲のノイズ源の両者の存在時に充分に測定できるマーカ信号1222を発生する。マーカ組立体1214は、前述のように、選択された対象物(例えば、プローブ、マイクロカテーテルまたは穿孔カテーテル)内またはこれらの上で既知の相対方向に配置できる。マーカ信号1222は、患者の体外に配置されるセンサ配列1216(図17B参照)の複数のセンサ1226により測定される。センサ1226は信号プロセッサ1228に接続され、この信号プロセッサ1228は、センサ1226からの各マーカ信号1222を利用して、センサ配列1216のような基準の既知のフレームに対する3次元空間内の各マーカ組立体1214の位置を計算し、ディスプレイ16(図1)のようなディスプレイ(これも前述のように撮像器具に接続されている)上に表示する。
【0129】
ソース発生器1218は励振信号1220を発生するように構成されており、これにより、1つ以上のマーカ組立体1214が、マーカ信号1222を発生するのに充分なだけ付勢される。ソース発生器1218は、マーカ組立体が付勢された後にスイッチをオフにすることができる。ひとたびソース発生器1218のスイッチがオフにされると、励振信号1220が停止し、測定不可能になる。従って、センサ配列1216のセンサ1226は、励振信号1220により誘起されるいかなる干渉または磁界歪みもなく、マーカ信号1222のみを受ける。励振信号1220の停止は、マーカ信号1222が測定される測定フェーズの前に生じる。付勢されたマーカ組立体1214がマーカ信号1222を発生しているときに、励振信号がこのように測定フェーズの前に停止すると、高い信号対雑音比のデータを信号プロセッサ1228に供給できる高感度のセンサ配列1216が、センサ配列または他の基準フレームに対するマーカ組立体1214の3次元位置を極めて高い精度で決定できる。
【0130】
システム1200のミニアチュアマーカ組立体1214は、目標部位(これにセンサ配列が配置されている)から遠隔のセンサ配列1216により測定される共振周波数で信号を発生すべく励振される不活性な付勢可能組立体である。ミニアチュアマーカ組立体1214は、一例として、約2mmの直径および約5mmの長さを有するが、他のマーカ組立体には異なる寸法を付することができる。このようなマーカ検出システムの一例が上記特許文献16および17に開示されている。尚、これらの特許文献16、17の開示は、その全部を本願に援用する。
【0131】
図17Cに示すように、例示のマーカ組立体1214は、インダクタ(L)を形成すべく強磁性体コア1232の回りに巻回されたコイル1230を有している。インダクタ(L)は、信号要素1236を形成すべく、キャパシタ1234に接続されている。従って、信号要素1236は、インダクタ(L)キャパシタ(C)共振回路である。信号要素1236は、プラスチック、ガラスまたは他の不活性材料で作られた収容部材1238内に包囲されかつ密封されている。例示のマーカ組立体1214は、上記特許文献17に開示されているように、例えばマーカ組立体が患者の体内に少なくとも固定または移植される医療処置に使用できる完全密封形不活性ユニットである。
【0132】
従って、マーカ組立体1214は、ソース発生器1218により発生される励振磁界すなわち励振信号1220により付勢されかつ作動される。測定可能なマーカ信号1222の強度はマーカ共振周波数において周囲の暗ノイズと比較して高いため、マーカ組立体1214は、センサ配列1216に対して3次元空間内で正確に配置される。
【0133】
ソース発生器1218は、特別にチューニングされたマーカ組立体1214の共振周波数と実質的に一致する選択された周波数のエネルギを含む波形を有する磁界1220を発生するように調節できる。マーカ組立体1214が磁界により励振されると、信号要素1236は、マーカの共振周波数に中心をもつ周波数成分を含む応答マーカ信号1222を発生する。このようにして、マーカ組立体1214が、選択された時間だけ付勢された後、ソース発生器618が「オフ」位置に切換えられ、これにより、励振パルス信号1220が停止され、かつセンサ配列1216により受信されたマーカ信号1222との測定可能な干渉は全く生じなくなる。
【0134】
マーカ組立体1214は、マーカ特性を最適化しかつマーカ組立体を所定周波数に正確にチューニングすることにより、適当な強度を有しかつ区別できる信号が得られるように構成されている。従って、ユニークにチューニングされかつ付勢される多数のマーカ組立体1214は。センサ配列1216により信頼性をもってかつユニークにチューニングされる。ユニークな共振周波数でのユニークなマーカ組立体1214は、同時にまたはユニークな時間中に励振されかつ測定される。チューニングされたミニアチュアマーカ組立体1214からの信号は、周囲の信号ノイズより遥かに大きく、かつ信号プロセッサ1228(図17A)がマーカ組立体の同一性、正確な位置、およびセンサ配列1216または他の選択された基準フレームに対する3次元空間内での配向を決定するのに充分な強度を有している。
【0135】
システム1200に相当するシステムは、上記特許文献17に開示されている。特許文献17によれば、システムは、約1mmの精度内のミニアチュアマーカの正確な3次元位置が、12cm×12cm×12cm以上の体積のような比較的大きいナビゲーション体積すなわち励振体積内でユニークに識別できる多くの異なる用途に使用できる。この用途では、目標部位またはその近くに無線マーカ組立体が移植され、これにより、マーカ組立体はユニットとして目標部位と一緒に移動しかつ身体の外部の基準フレームに対する目標部位の位置的基準があたえられる。特許文献17は更に、他の無線組立体を既知の位置でこれらの器具に位置決めするか、基準フレームに対してこれらの器具を位置決めすることにより、このようなシステムがまた、同じ固定基準フレームに対する治療器具(すなわち、手術器具、組織器具、拡張器具、放射線デリバリ器具または他の医療器具)の相対位置をトラッキングすることに留意している。治療器具に使用される無線マーカのサイズは、より大きいマーカ信号レベルおよびこれらの器具のナビゲーション体積の対応する増大ができるように、増大させることができる。
【0136】
上記特許文献18から23には、磁気励振磁界を発生させおよび目標信号を検出する無線マーカまたは器具の少なくとも一方の他の例が開示されている。尚、これらの特許文献の開示は、その全部を本願に援用する。
【0137】
無線マーカに適合する適当な非イオン化限局化アプローチの他の例としてCalypso(登録商標)4D限局化システムがあり、このシステムは、移植可能器具である、Beacon(登録商標)トランスポンダと呼ばれているAC電磁マーカの検出に基いた目標限局化プラットホームである。これらの限局化システムおよびマーカは、Calypso(登録商標)Medical Technologies社(Seattle、ワシントン州)により開発されたものである。
【0138】
本明細書に開示のいずれか1つの実施形態で説明された全ての特徴は、好ましいものであるか否かに係わらず、他のいずれかの実施形態の他の全ての特徴と組合わせることができる。例えば、無線マーカは、本明細書に開示の任意の実施形態に使用できる。
【0139】
当業者には、本明細書に開示された器具および方法の変更は明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの一形態を示す概略図である。
【図2】一血管から他の血管へと延びている器具を示す概略図である。
【図3】図1のナビゲーションシステムに使用される一ディスプレイモードであって、図2の器具および血管のディスプレイを示す図面である。
【図4】図1のナビゲーションシステムに使用される他のディスプレイモードを示す図面である。
【図5】図1のナビゲーションシステムに使用される更に別のディスプレイモードを示す図面である。
【図6A】本発明によるマーカまたは検出装置の一実施形態を示す概略図である。
【図6B】本発明によるマーカまたは検出装置の一実施形態を示す概略図である。
【図7】本発明によるマーカまたは検出装置に使用する視野発生・信号処理装置を示す概略図である。
【図8】オプションの検出器具を備えた1つのプロテーゼデリバリカテーテルシステムを示す概略断面図である。
【図9A】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、プロテーゼの定置前に配置されたマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図9B】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、プロテーゼの定置後のマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図9C】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、プロテーゼの側壁領域に穿孔器具を配給するところを示す図面である。
【図9D】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、分枝血管に灌流するための、プロテーゼの側壁領域の開窓を示す図面である。
【図9E】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、第二プロテーゼを受入れるための開窓の拡大を示す図面である。
【図10A】図6Bの実施形態の使用方法を示す概略図であり、プロテーゼの定置前に配置されたマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図10B】図6Bの実施形態の使用方法を示す概略図であり、プロテーゼの定置後のマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図11A】本発明によるマーカまたは検出装置の他の実施形態を示す図面である。
【図11B】分枝血管内に配置された図10Aの実施形態を示す図面である。
【図12】本発明によるマーカまたは検出装置の他の実施形態を示すものである。
【図13】本発明によるマーカまたは検出装置の更に別の実施形態を示すものである。
【図14】マーカまたは検出装置を備えたプロテーゼ開・拡器具の更に別の実施形態を示すものである。
【図15A】変更形態の穿孔器具を備えた図12の実施形態の使用方法を示す図面である。
【図15B】図15Aに示した装置の画像を示す図面である。
【図15C】穿孔カテーテルがグラフト材料に穿通された図15Aの装置を示す図面である。
【図16A】他の穿孔カテーテルを示す概略図であり、穿孔すべき材料に隣接するカテーテルを示すものである。
【図16B】他の穿孔カテーテルを示す概略図であり、材料に穿通されたカテーテルニードルを示すものである。
【図16C】他の穿孔カテーテルを示す概略図であり、管状拡張器により拡げられた材料における開口および所望部位に定置するニードルから延びているガイドワイヤを示すものである。
【図17A】無線電磁マーカを付勢しかつ探知する既知のシステムを示す概略図である。
【図17B】図17Aの受信器を示す概略斜視図である。
【図17C】既知の無線電磁マーカを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0141】
10 ナビゲーションシステム
12 撮像器具
14 トラッキングシステム
16 ディスプレイ
18 コンピュータ
20 トラッカ
22aから22e 被トラッキング要素
V 主血管
BV1 分枝血管
BV2 他の分枝血管
【技術分野】
【0001】
本発明はプロテーゼ定置(prosthesis deployment)に関し、より詳しくは、プロテーゼ定置前に、分枝動脈のような人体内の分枝通路を探知すること、またはプロテーゼの生体内カニューレ挿入の前に、プロテーゼの通路を探知することに関する。
【背景技術】
【0002】
人体内の通路の異常の治療に、ステント、グラフト、およびステント−グラフト(例えば、グラフト材料からなる内側カバーまたは外側カバーの少なくとも一方を備えかつカバー形ステントと呼ばれているステント)等の管状プロテーゼが広く使用されている。脈管用途では、これらの器具は、しばしば、狭窄血管または動脈瘤血管等の閉鎖血管、病変血管または損傷血管の置換またはバイパスを行うのに使用されている。例えば、動脈瘤の治療または隔離を行うのに、フレームワーク(例えば1つ以上のステントまたはステント状構造)により支持された、生体適合性グラフト材料(例えば、ダクロン(Dacron)(登録商標)または発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE))からなるステント−グラフトを使用することが良く知られている。フレームワークは機械的支持体を形成し、グラフト材料またはライナは血液バリヤを形成する。
【0003】
動脈瘤は、一般に、血管等のダクトまたはキャナル(canal)の異常拡大であり、ダクトまたは血管壁の異常拡大により形成される嚢(sac)の形態で現われる。異常拡大した壁は、一般に弱化されかつ破裂し易い。動脈瘤は、腹部大動脈のような血管に生じ、この場合、動脈瘤は、一般に、腸骨動脈の遠位側すなわち腸骨動脈に向かう腎動脈の下に生じる。
【0004】
ステント−グラフトを用いて動脈瘤を治療する場合、ステント−グラフトは、一般に、ステント−グラフトの一端が血管の病変部の近位側すなわち上流側に位置し、ステント−グラフトの他端が血管の病変部の遠位側すなわち下流側に位置するようにして配置される。このようにして、ステント−グラフトは、拡大した壁を置換しまたはバイパスすべく、動脈瘤の嚢を通って延びかつこの嚢をスパンし、かつ嚢の近位端および遠位端を越えて配置される。グラフト材料は、一般に、動脈瘤の血管内排除(endovascular exclusion)を行うべく、血液不透過ルーメンを形成する。
【0005】
このようなプロテーゼは、切開手術により、または最小侵襲性血管内アプローチにより移植される。最小侵襲性血管内ステント−グラフトの使用は、病変血管を手術により切開しかつ動脈瘤をバイパスする位置にグラフトを縫合する伝統的な切開手術手法よりも、多くの医者に好まれている。ステント、グラフトおよびステント−グラフトを配給(デリバリ)するのに使用されている血管内アプローチは、一般に、皮膚を切開して血管構造の管腔にアクセスする段階を有している。或いは、外傷性の小さい入口位置での連続拡張を介して、管腔アクセスまたは血管アクセスを経皮的に達成することもできる。ひとたびアクセスが達成されたならば、ステント−グラフトは、血管構造を通して目標部位に導くことができる。例えば、ステント−グラフトが装填されたステント−グラフトデリバリカテーテルは、血管構造(例えば大腿動脈)内に経皮的に導入され、ステント−グラフトはこれが定置される動脈瘤を横切って血管内に配給される。
【0006】
バルーンにより拡大できる(バルーン拡大形)ステント−グラフトを使用する場合には、ステント−グラフトが目標部位に配置された後に、一般に、バルーンカテーテルを使用してステント−グラフトを拡大させる。しかしながら、自己拡大形ステント−グラフトを使用する場合には、ステント−グラフトは、一般に、半径方向に圧縮すなわち折畳まれておりかつシースまたはデリバリカテーテルの遠位端に配置され、目標部位でシースを後退させまたは除去すると自己拡大する。より詳しくは、軸線方向に相対移動できる同心状の内側チューブおよび外側チューブを備えたデリバリカテーテルを使用でき、前記デリバリカテーテルには圧縮された自己拡大形ステント−グラフトを装填できる。ステント−グラフトは外側チューブ(シース)の遠位端内でかつ内側チューブの遠位端に固定されたストップの前部に配置される。本明細書で基準とする近位端位置および遠位端位置に関していえば、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)の近位端は、心臓に最も近い端部であり(血液流路の点から)、遠位端は定置時に心臓から最も遠い端部である。これに対し、カテーテルの遠位端は、通常、オペレータ(ハンドル)から最も遠い端部として識別され、カテーテルの近位端は、オペレータに最も近い端部である。カテーテルが、ひとたび、目標部位にステント−グラフトを定置すべく配置されたならば、内側チューブが固定状態に保持されかつ外側チューブ(シース)が引出され、これによりステント−グラフトが徐々に露出されて拡大される。ステント−グラフトデリバリシステムの一例が、下記特許文献1に開示されている。尚、この特許文献1の開示は、その全部を本願に援用する。
【0007】
血管内アプローチは、切開手術に比べて、侵襲性が非常に小さく、通常短い回復時間で済み、かつ合併症の危険も小さいが、分枝血管を含む場合のような比較的複雑な用途では、種々のプロテーゼの非対称的形状の整合に関する問題が存在する。分枝血管技術は、主器具(例えばグラフトまたはステント−グラフト)のデリバリと、この主器具の開窓すなわち側方開口を通しての分枝血管内への二次器具(例えばグラフトまたはステント−グラフト)のデリバリとを有している。
【0008】
1つ以上の分枝血管を治療する場合には、この手術はより複雑なものとなる。その一例は、腹部大動脈瘤を治療すべき場合で、腹部大動脈瘤の近位側ネックが、プロテーゼによる開通連結をサポートできない程度まで病変が進行しまたは損傷を受けている場合である。この場合には、グラフトまたはステント−グラフトの近位側部分の下方の側壁に、開窓(fenestrations)すなわち開口(openings)が設けられる。開窓すなわち開口は腎動脈と整合させるべきであり、近位側部分は腎動脈の上方の大動脈壁に固定される。
【0009】
プロテーゼの開窓と分枝血管との整合を確保するため、現在の技術は、主器具またはプロテーゼを解放する前に、各開窓および分枝血管(例えば動脈)を通してガイドワイヤを配置する段階を有している。この段階は、デリバリシステムおよびステント−グラフトが未だ大動脈内にある間に、複数のワイヤを大動脈内で同時に操作することを含んでいる。また、分枝血管の検出および予備プロテーゼの位置決めを行うのに使用されている血管造影カテーテルは依然として大動脈内にある。これらのコンポーネンツがもつれる危険性があるだけでなく、予形成開窓を備えた規格外れのシェルフプロテーゼ(shelf prosthesis)が、患者毎の解剖学的構造(アナトミー)の相違により分枝血管と適正に整合しないことがある。患者のCATスキャンに基いた予形成開窓または開口を備えたカスタムプロテーゼも、危険がない訳ではない。カスタムプロテーゼは依然としてスキャンについての外科医の判断を受け、所望の解剖学的フィットが得られるものではない。また、グラフトおよびステント−グラフトを配給するのに比較的剛性の大きいカテーテルが使用され、これらのカテーテルは、これらが導入される血管(例えば動脈)の経路または形状を変化させまたは歪めてしまう。剛性の大きいカテーテル等の外力により血管が変形されると、カスタム設計されたプロテーゼでも分枝血管に適正に整合しない。
【0010】
下記特許文献2には、大きい動脈の交差部またはこの周囲にグラフトを介在させる段階と、その後に静脈内超音波血管造影を用いて、動脈交差が生じるグラフト上の位置を視覚化しかつ測定する段階とを備えた方法が開示されている。次に、レーザ器具または焼灼器具がグラフト内に介在され、かつ交差部の位置にグラフト壁の開口を形成するのに使用される。次に、ステントが、交差する動脈の形成された開口を通して、グラフト内に介在される。
【0011】
本件出願人が共有する下記特許文献3には、プロテーゼの側壁に開口を形成する器具を備えた撮像カテーテル(静脈内超音波器具(intravenous ultrasound device、IVUS)を、血管内プロテーゼ内に位置決めする方法が開示されている。撮像カテーテルは、プロテーゼが定置された主通路から分枝している分枝通路(例えば腎動脈)に隣接するプロテーゼの領域を検出する。撮像カテーテルの開口形成器具は、プロテーゼの領域内に開口を形成すべく操作すなわち前進され、分枝通路へのアクセスを行う。撮像カテーテルには、開口を通して前進されるガイドワイヤを設けることができる。
【0012】
概していえば、1つ以上の分枝血管の近傍でのプロテーゼ(例えばステント−グラフト)のデリバリおよび配置における1つの挑戦は、分枝血管(例えば動脈)の位置を識別しかつ探知することである。例えば、この挑戦は、プロテーゼの遠位端を腎動脈の下に位置決めすべきか、上に位置決めすべきかである。腎動脈のような分枝血管を識別してプロテーゼの位置決めを補助するのにX線透視法が使用されているが、このアプローチを用いた挑戦が残っている。より詳しくは、X線透視法は、ステント−グラフト手術時に腎動脈のような心臓血管内の開口のリアルタイムX線画像の観察に使用されている。このアプローチは、一般にコントラスト媒体、コントラスト剤またはコントラスト染料と呼ばれている放射線不透過性物質を患者内に投与して、この放射線不透過性物質が視覚化すべき領域(例えば腎動脈)に到達できるようにする必要がある。カテーテルは患者の鼡径部の大腿動脈を通して前進されかつ腎臓の近傍まで血管内を前進される。血管内での一時的コントラスト剤のX線透視画像(これは静止画像でもリアルタイム動画像でもよい)は、腎臓の位置の2次元視覚化を可能にする。
【0013】
しかしながら、X線の使用は、この手術からの危険性と、患者への手術の利益とが入念にバランスのとれるものであることを必要とする。医者は、X線透視中に低用量を使用することを常に試みているが、手術の長さは、患者への比較的高い吸収用量が生じる長さである。コントラスト増強形撮像を許容できない患者、または放射線曝露を低減しなければならない医者は、血管形状および分枝血管の探知を行う他のアプローチを必要としている。
【0014】
【特許文献1】2004年5月13日付米国特許出願公報第2004/0093063号明細書(Wright等、名称「制御形定置デリバリシステム(Controlled Deployment Delivery System)」)
【特許文献2】米国特許第5,617,878号明細書(Taheri)
【特許文献3】2006年3月3日付米国特許出願第11/276,512号明細書(Marilla、名称「多分枝管状プロテーゼおよびその使用方法(Multiple Branch Tubular Prosthesis and Methods)」)
【特許文献4】米国特許第6,470,207号明細書(Simon)
【特許文献5】米国特許公報第2004021571号明細書
【特許文献6】米国特許第6,6940,941号明細書
【特許文献7】米国特許第7,001,045号明細書
【特許文献8】米国特許公報第2004/013225号明細書
【特許文献9】米国特許公報第2004/0013239号明細書
【特許文献10】米国特許公報第2004/0170254号明細書
【特許文献11】米国特許公報第2004/0179643号明細書
【特許文献12】米国特許第5,592,939号明細書(Martinelli)
【特許文献13】米国特許第5,913,820号明細書(Bladen等)
【特許文献14】米国特許公報第2004/0215071号明細書(Frank等)
【特許文献15】2006年11月7日付米国特許出願第11/557204号明細書(名称「開窓を創成するためのカッティングRFカテーテル(Cutting Radio Frequency Catheter for Creating Fenestrations)」)
【特許文献16】2001年6月8日付出願、2002年12月19日付公開の米国特許出願公報第20020193685号明細書(名称「ガイド形放射線治療システム(Guided Radiation Therapy System)」)
【特許文献17】2002年8月7日付米国特許第6,822,570号明細書(Dimmer等、名称「無線ミニアチュアマーカの空間内調節可能な励振システム(System For Spacially Adjustable Excitation Of Leadless Miniature Marker)」)
【特許文献18】米国特許第6,889,833号明細書(Seiler等、名称「患者にマーカを移植するパッケージ形システムおよびこのようなシステムの製造方法および使用方法(Packaged Systems For Implanting Markers In A Patient And Methods For Manufacturing And Using Such Systems)」)
【特許文献19】米国特許第6,812,842号明細書(Dimmer、名称「無線ミニアチュアマーカの励振システム(Systems For Excitation Of Leadless Miniature Marker)」)
【特許文献20】米国特許第6,838,990号明細書(Dimmer、名称「無線ミニアチュアマーカの励振システム(Systems For Excitation Of Leadless Miniature Marker)」)
【特許文献21】米国特許第6,977,504号明細書(Wright等、名称「コヒーレント検出を使用するマーカ限局検出システムに使用される受信器(Receiver Used In Marker Localization Sensing System Using Coherent Detection)」)
【特許文献22】米国特許第7,026,927号明細書(Wright等、名称「マーカ限局検出システムに使用される、励振のディザリングを有する受信器(Receiver Used In Marker Localization Sensing System And Having Dithering In Excitation)」)
【特許文献23】米国特許第6,363,940号明細書(Krang、名称「組織のブラケッティングおよび除去を行うシステムおよび方法(System and Method For Bracketing And Removing)」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
管腔内用途または血管内用途のためのプロテーゼ定置装置および定置方法を少なくとも開発しまたは改善することが要望されている。
【0016】
本発明は、プロテーゼ定置装置および定置方法の改善に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による一実施形態では、患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法は、第二血管が第一血管から分枝している第一血管および第二血管の一部の多次元データセットを取得する段階と、第二血管が第一血管から分枝する箇所の近傍で第一血管および第二血管の一方に少なくとも1つのマーカを固定する段階と、マーカの位置をリアルタイムで決定する段階と、マーカの位置の変化に基いて、第一血管と第二血管との間の結合部に対する3次元データセットの一部の位置をリアルタイムで更新する段階とを有している。
【0018】
本発明の他の実施形態では、患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法は、患者の第一血管から分枝した第二血管内にトラッキング可能なマーカ(例えば電磁コイル)を配置する段階と、マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する(例えば、電磁コイルの回りに電磁界を発生させる)段階と、非イオン化エネルギに対するマーカの応答または非イオン化エネルギの効果を処理して(例えば、電磁コイルの回りの電磁界の発生に応答して電磁コイルマーカからの信号を処理して)、電磁コイルの位置を決定する段階とを有している。
【0019】
本発明による他の実施形態では、血管のリアルタイムバーチャル3次元モデリング方法は、トラッキング可能な複数のマーカ(例えば電磁コイル)の各々を、血管の内壁に当接して配置する段階と、マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する(例えば、マーカの回りに電磁界を発生させる)段階と、非イオン化エネルギに対するマーカの応答または非イオン化エネルギの効果を処理して(例えば、電磁コイルマーカの回りの電磁界の発生に応答して電磁コイルマーカからの信号を処理して)、血管の内壁の一部のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有している。
【0020】
本発明の他の実施形態では、血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法は、血管内の複数のマーカを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する段階と、非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有している。
【0021】
本発明による他の実施形態では、血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法は、血管内の複数の電磁コイルを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、マーカの回りに電磁界を発生させる段階と、電磁コイルからの信号を処理して、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有している。
【0022】
本発明による他の実施形態では、管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法は、患者の第一血管から分枝している第二血管内に目標を形成する段階と、第二通路内に管状壁を備えたプロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、遠位端部分および近位端部分を備えた穿孔器具をプロテーゼ内に配置する段階と、穿孔器具の遠位端部分を目標と整合させる段階と、穿孔器具の遠位端部分を、管状壁の一部を通して目標に向けて前進させる段階とを有している。
【0023】
本発明による他の実施形態では、管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法は、患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つのマーカを配置する段階と、管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、非イオン化放射線エネルギをマーカに付与する段階と、非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、マーカの位置を決定する段階と、決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階とを有している。
【0024】
本発明による他の実施形態では、管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法は、患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つの電磁コイルを配置する段階と、管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、電磁コイルからの信号を処理して、電磁コイルの位置を決定する段階と、決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階とを有している。
【0025】
本発明による他の実施形態では、分枝血管を探知する血管造影カテーテルは、孔が開いた遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、電磁界に露出されると信号を信号処理装置に送信するための、前記遠位端部分に固定された少なくとも1つのトラッキング可能なマーカ(例えば電磁コイル)とを有している。
【0026】
本発明による他の実施形態では、分枝血管の位置を探知する血管内システムは、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第一細長い部材と、前記遠位端部分に固定された少なくとも1つのトラッキング可能な要素(例えば感応コイル)と、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第二細長い部材と、前記細長い部材の遠位端部分に固定された少なくとも1つのトラッキング可能な要素(例えば感応コイル)とを有している。
【0027】
本発明による他の実施形態では、血管内器具は、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材を有し、前記遠位端部分は記憶形状(memory set configuration)および変形形状を有し、前記遠位端部分の回りで摺動可能に配置されかつ遠位端部分を変形状態に拘束するシースを更に有し、シースは、遠位端部分を露出させるべく移動できかつ遠位端部分を記憶形状に移動させることができる。
【0028】
本発明による他の実施形態では、プロテーゼデリバリシステムは、プロテーゼデリバリカテーテルと、このプロテーゼデリバリカテーテル内に配置される管状プロテーゼと、遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、前記遠位端部分に沿って配置された複数のマーカと、近位端部分、遠位端部分、およびグラフト材料を穿刺できる穿刺端部を備えたステアブルな穿孔カテーテルと、このステアブルカテーテルの遠位端部分に取付けられた複数のマーカとを有している。
【0029】
本発明による他の実施形態では、プロテーゼデリバリ装置は、患者の体内で血管内デリバリを行なうことができるガイドワイヤと、ガイドワイヤ(例えばガイドワイヤの遠位端)に固定されたトラッキング可能なマーカ(例えば電磁コイル)とを有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の他の特徴、長所および実施形態は、以下の説明および添付図面から当業者には明らかになるであろう。
【0031】
以下の説明は、種々の図面を参照して行うが、同じ要素には同じ参照番号を使用していることを理解されたい。
【0032】
近位側位置および遠位側位置に関していえば、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)の近位端とは、定置中に、心臓に最も近い端部であり(血液流路の点から)、一方、遠位端とは心臓から最も遠い端部である。これに対し、カテーテルの遠位端は、通常、オペレータから最も遠い端部であり、カテーテルの近位端はオペレータに最も近い端部であると考えられている。従って、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)およびデリバリシステムの近位側および遠位側についての記載は、デリバリ経路およびプロテーゼ(例えばステント−グラフト)の探知に関して、互いに一致するか、逆になる。
【0033】
本発明による実施形態は、血管またはその或る特徴(例えば分枝血管)の位置、形状、または、方向の少なくとも1つを決定し、プロテーゼの定置前または定置中の血管内器具の位置、形状または方向、並びに血管構造と器具との相対位置の少なくとも1つを決定し、1つ以上の血管(例えば分枝血管)の一部の画像モデルの創成、または患者の1つ以上の分枝血管に亘ってプロテーゼが配置されるとき(例えば、腹部大動脈のステント−グラフトが腎動脈の口(ostia)の上方の大動脈に固定されるとき)の現場での管状プロテーゼの1つ以上の開口の形成の少なくとも1つを行う。分枝血管は、血管(例えば大動脈)と、他の付随血管(例えば、腕頭動脈、大動脈に源を発する右総頚動脈奇形、左総頚動脈、左鎖骨下動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈、下腸間膜動脈、および分節)との交差部またはこの周囲に生じる。
【0034】
本明細書に開示する種々のナビゲーションシステムによれば、ナビゲーションシステムに接続される、被トラッキング(被追跡)要素または手術器具の少なくとも一方の表示が、予め取得した解剖学的構造の画像上に重畳される。他のナビゲーションシステムによれば、ナビゲーションシステムは、1つ以上の手術器具、解剖学的ヨウ素または被トラッキング要素の位置に画像表示を与え、患者の特定の医学的画像を使用することなく手術器具または被トラッキング要素の相対位置を表示する。また、他の実施形態では、このような画像表示は、患者の特定の医学的画像を用いて表示されるか、この医学的画像上に重畳される。
【0035】
本明細書で使用する用語「予め取得した(pre-acquired)」は、撮像情報の受信と対応画像の表示との間の全ての所要最小期間を意味するものではない。画像(例えばX線透視画像)を表示している間の対応画像情報(例えばデジタル信号)の瞬間的記憶が、画像の予めの取得を構成する。予め取得した画像は、X線透視法によるX線技術、CT、MRIまたは他の既知の撮像方法を用いて得ることができる。トラッキング追跡システムから得た位置情報に基いた手術器具または医療器具(例えば、カテーテル、プローブまたはプロテーゼ)の表示は、患者の予め取得したイメージ上に重ねられる。この方法により、医者は、患者の解剖学的構造に対する手術器具の位置を確認できる。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの一形態が概略的に示されている。全体を参照番号10で示すこのナビゲーションシステムでは、撮像器具12、トラッキングシステム14およびディスプレイ(表示装置)16がコンピュータまたはプロセッサ18に接続されていて、被トラッキング要素、医療器具(例えばカテーテルまたはプローブ)または患者の解剖学的構造の位置、または2つ以上のこれらの対象物間の相対位置に関する情報を表示する。
【0037】
撮像器具12(これは、手術前撮像器具または術中撮像器具と同じもので構成できる)は、ディスプレイ16上に表示すべく撮像器具が取得するデータを記憶しかつ処理するコンピュータ18に接続されている。手術前データまたは術中データを取得するのに、多くの既知の撮像システムを使用できる。手術前データを取得するのに使用できる撮像システムの一例として、複数の2次元断面画像から3次元(立体)画像すなわちモデルを創成するCTスキャナがある。手術前データの取得に使用できるスキャナの他の例としてMRスキャナがあり、これも3次元(立体)画像を得ることができる。術中データの取得に関しては、上記特許文献4に開示されたバーチャルX線透視システム等の2次元X線透視システムを用いたナビゲーションを使用できる。或いは、Breakaway Imaging Inc.(Littleton、マサチューセッツ州)の製造に係るO−arm(商標)撮像システムのような3次元(立体)X線透視システム並びに他の既知の撮像システムを使用できる。
【0038】
位置および方向を測定するトラッキングシステム14(例えばEMローカライザで構成できる)は、ナビゲーション情報またはトラッキング情報をコンピュータ18に提供し、コンピュータ18は前記情報を処理して、被トラッキング要素、医療器具、機器またはプローブを3次元空間内で位置決めし、これは、次に、腎動脈の口のような患者の解剖学的構造を限局化(localize)するのに使用される。
【0039】
トラッキングシステムは、一般に、トラッカ20と、参照番号22a、22b、22c、22d、22eで示すような1つ以上の被トラッキング要素またはトラッキング可能要素とからなる。これらの要素は、解剖学的構造(例えば大動脈壁)または医療器具(例えばカテーテルまたはプローブ)に接続されて、トラッキング情報をコンピュータ18に提供し、これにより、例えば3次元空間内の器具および被トラッキング要素の位置をディスプレイ16上に表示できる。或いは、2つ以上の被トラッキング要素または医療器具の少なくとも一方の画像表示を予め取得したイメージで表示するか、予め取得したイメージ上に重畳してこれらの相対位置を示し、医者が1つの要素を他の要素に対して案内する補助をすることができる。また、上記のような患者の特定の医療画像を用いないで、画像表示をディスプレイすることができる。
【0040】
被トラッキング要素(これらの要素は、より詳細に後述する)は、1から6の自由度で、位置情報または方向情報の少なくとも一方を提供する。トラッカ20は、被トラッキング要素の位置または方向の少なくとも一方を提供しかつトラッキング情報をコンピュータに送るシステムを形成し、コンピュータは、次に、トラッキング情報を処理して、最終的に表示を使用者に与える。
【0041】
トラッキングシステムに基いた電磁場(electromagnetic field、EMF)の一実施形態では、トラッカは送信器に対応しかつ被トラッキング要素(例えば磁気コイル)は受信器として機能する。或いは、被トラッキング要素を送信器に対応させ、トラッカを受信器として機能させることもできる。高周波に基いたシステムでは、構成は、電磁気に基いたシステムと同じにすることができる。トラッカは、受信器に相当する被トラッキング要素を備えた送信器に対応させることができる。無線電磁コイルをベースとするシステムでは、トラッカは送信器および受信器に対応し、被トラッキング要素(単一または複数)は電磁エネルギのリフレクタまたはトランスポータに対応する。能動光学システム(発光ダイオード(LED)が使用される光学システム)では、トラッカは受信器(カメラ)に対応し、被トラッキング要素は送信器に対応する。受動光学システム(逆反射マーカが使用される光学システム)では、トラッカは送信器および受信器に対応し、被トラッキング要素(単一または複数)は光学エネルギのリフレクタに対応する。超音波に基いたシステムではいずれの構成をも使用できるが、一般的には、トラッカが受信器に対応し、被トラッキング要素が送信器に対応する。このような要素を組込んだトラッキングシステムは、非電離線を用いて作動できる。
【0042】
図2から図5には、種々のディスプレイモードが示されている。図2には、主血管Vから、分枝血管BV2とは反対側の分枝血管BV1内に延びているカテーテル30またはプローブが概略的に示されている。図3では、2つの2次元X線透視画像が、図2のカテーテルを2つの異なる見方で示している。図4には4つの術中画像が示されており、これらの画像のうち3つの画像は、主血管または分枝血管の位置で3つの異なる平面に沿って撮像した画像を示している。第四の画像は、立体データから創成した3次元画像である。図4に示す画像は、上記O−arm(商標)撮像システムから創成するか、例えばCT、MR、CTAまたはMRAを用いて手術前に取得しておくことができる。
【0043】
2次元または3次元の予処置(pre-procedural)画像または手術前画像に、被トラッキング要素の画像またはグラフィック表示、被トラッキング要素が連結される医療器具(例えばカテーテルまたはプローブ)、または被トラッキング要素が連結される解剖学的構造(例えば大動脈壁)の少なくとも1つを重ねる前に、予処置画像(単一または複数)またはグラフィック表示における対応位置が決定される。この処置は、一般に、予処置画像または手術前画像のレジストレーション(registration)として知られている。
【0044】
一例では、手術前画像は、2次元または3次元のX線透視を用いてレジスタリングされる。例えば、手術前データが取得された後に、2次元画像が術中に撮像されかつ従来技術で知られているように手術前画像にレジスタリングされる(例えば、2次元画像および3次元画像のレジスタリングに関する上記特許文献5参照。尚、この特許文献5は、その全部を本願に援用する)。他の例では、ナビゲートすべきナビゲーション部位のピクチュア・画像を手術前撮像するのにO−arm(商標)撮像システムを使用できる(例えば、上記特許文献6から11参照。尚、これらの特許文献6から11の開示は、その全部を本願に援用する)。画像のレジスタリングを行う他の代表的システムが、上記特許文献4に開示されており、前記特許文献4の開示の全部を本願に援用する。
【0045】
図5には、2つの被トラッキング要素の画像表示が示されている。表示される画像は被トラッキング要素の画像とは一致せず、むしろ、被トラッキング要素の位置または方向の少なくとも一方に一致する情報に基いたグラフィックにいっちする。図5に示す実施形態では、十字線40a、40b、40c、40dの交点は、(1)整合すべき被トラッキング要素、または(2)分枝動脈の一部についてのコンピュータで創成した中心軸線およびより詳細に後述するように、医療器具に連結され、またはより一般的には、解剖学的構造と整合すべき1つ以上の器具の一部との任意の組合せに連結された2つ以上のトラッキング要素により形成された一軸線を表示できる。画像表示は、被トラッキング要素の整合において医者を補助すべく、リアルタイムで連続的に行うことができる。
【0046】
後述する例示実施形態では、1つ以上の被トラッキング要素(例えば、磁気感応形の導電性検出コイルのような信号器具)が1つ以上の脈管(主脈管内または分枝脈管内の少なくとも一方の脈管)内に移植または配置され、脈管または被トラッキング要素または手術器具(単一または複数)の位置、形状または方向の少なくとも1つ、並びに被トラッキング要素と血管構造との相対位置または被トラッキング手術器具(単一または複数)と血管構造との相対位置を決定する。被トラッキング要素(これは、マーカとも呼ばれる)は、目標部位への血管内デリバリに適合した1つ以上の手術器具に取付けられる。
【0047】
磁気感応形導電性感応コイルの場合には、予め特定化した電磁界が、コイルに電圧信号を誘起するのに充分な態様で、対象とする解剖学的構造の部分(例えば、コイルまたは器具(単一または複数)の少なくとも一方の全ての想定部分)に投射される。電圧信号を電気的に測定することにより、感応コイル(単一または複数)の角度方向および位置的座標、従って対象とする血管構造または器具の少なくとも一方の位置、形状または方向の少なくとも1つのを充分に計算できる。予め特定化した電磁界に応答して、手術を受けている患者の選択された体腔内に挿入されたカテーテルまたは内視鏡の位置を決定する感応コイルの一例が、上記特許文献12に開示されている。尚、この特許文献12の開示の全部は本願に援用する。センサで検出された磁界を発生させることにより、感応コイルの3次元位置を探知する方法および装置の一例が、上記特許文献13に開示されている。尚、この特許文献13の開示の全部は本願に援用する。
【0048】
図6Aには、本発明による一システムの全体が、参照番号100で示されている。システム100は、患者の目標部位への脈管内デリバリまたは血管内デリバリに適した血管造影カテーテル102を有している。血管造影カテーテル102は遠位端部分および近位端部分を有し、近位端部分は、従来技術の操作ハンドルまで延長できる。遠位端部分にはピグテール103を設けることができ、ピグテールには、造影剤を目標部位に配給するための複数の開口104が形成されている。カテーテル102の遠位端部分には、参照番号106a、106b、106cで例示された1つ以上の被トラッキング要素すなわちマーカが任意の適当な手段で取付けられている。
【0049】
被トラッキング要素すなわちマーカはセンサで構成でき、例えば前述のような磁気感応形導電性感応コイルで構成できる。この場合、これらのコイルは、アンテナコイルと呼ぶことができる。マーカすなわち感応コイルは、カテーテルの周囲に巻回しかつここに接着される。或いは、コイルは、本明細書に開示する全ての被トラッキング要素について、カテーテル内に埋入できる。この例では、各リード線または導電体108a、108b、108cが、それぞれのマーカ106a、106b、106cからカテーテルのルーメンを通ってまたはカテーテルの外表面に沿って延びており、信号処理回路(その一例をより詳細に後述する)に接続される。リード線は、処理回路まで延びている中間ケーブル束シース112を通って延びている。
【0050】
血管造影カテーテルは、一般に、プロテーゼ(例えばステント−グラフト)の移植中に、X線透視用造影剤を配給するのに使用される。本発明に従って構成された血管造影カテーテル(例えば血管造影カテーテル102)では、カテーテルは、移植されたプロテーゼにより血管(例えば大動脈)の壁に対して拘束される。カテーテルの遠位端部分に取付けられるマーカは、血管壁の部分(例えば大動脈の部分)についてのリアルタイム解剖学的マーカを形成すべく、血管壁に対して固定される。被トラッキング要素すなわちマーカは、局部的解剖学的構造の基準位置を与える。対象とする血管構造が曲りくねっていて、比較的剛性の大きい分枝血管プロテーゼ定置カテーテルが目標部位に導入されるとき、分枝血管プロテーゼ定置カテーテルの存在およびこのカテーテルが脈管壁を押圧することにより、目標部位の血管構造が変形または変位される。これにより、予処置イメージングまたはマッピング(例えばX線透視)で既に検出されている分枝血管の位置と比較して、分枝血管の位置が変化される。マーカが提供するリアルタイムデータは、リアルタイムトラッキング情報を発生させるべく処理され、このリアルタイム情報は、分枝血管(単一または複数)が分枝する主血管の一部のバーチャル画像を創成するベースとして使用される。この画像は、主血管および分枝血管(単一または複数)の予め取得した情報にレジスタリングされて、分枝血管(単一または複数)と主血管との結合部の画像を創成する。
【0051】
或いは、図6Bに示す装置のような脈管内−血管内マーカまたはセンサ位置決め装置を使用して、分枝血管の位置をマーキングしかつプロテーゼが定置されるときの分枝血管の位置および方向に関するリアルタイムデータを得るべくプロテーゼ(例えばステント−グラフト)を定置する前に、動脈の分枝血管のような分枝血管(腕頭動脈、大動脈に源を発する右総頚動脈奇形、左総頚動脈、左鎖骨下動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈、下腸間膜動脈、および分節分枝を含む)内に、センサのような被トラッキング要素またはマーカを一時的に位置決めすることもできる。これにより、側部に形成された1つ以上の予形成開窓を備えたプロテーゼと、1つ以上の分枝血管とを整合させる補助を行うことができる。他の例では、マーカは、より詳細に後述するように、プロテーゼの現場開窓プロセスの補助に使用することもできる。
【0052】
図6Bには、被トラッキング要素すなわちマーカを多分枝内に位置決めするシステムの全体が、参照番号200で示されている。システム200はマーカ位置決め装置300、400を有し、各マーカ位置決め装置は、患者の目標部位への脈管内デリバリまたは血管内デリバリを行うことができる。
【0053】
装置300は、カテーテル(例えばマイクロカテーテル)またはガイドワイヤの形態に構成できる細長い部材302を有している。細長い部材302は、遠位端部分と、従来技術のオペレータ操作ハンドルまで延長できる近位端部分とを有している。細長い部材302の遠位端部分には、参照番号306a、306b、306cで概略的に例示された1つ以上のマーカ(例えば前述の感応コイルまたは信号デバイス)が、マーカ106a、106b、106cに関して上述した任意の適当な手段により取付けられている。従って、マーカは、磁気感応形導電性感応コイルで構成することもできる。各リード線または導電体308a、308b、308cは、それぞれのマーカ306a、306b、306cから、ケーブル束シースを通って、信号処理回路まで延びている。信号処理回路の一例は、より詳細に後述する。細長い部材302がカテーテルである場合には、リード線は、カテーテルのルーメンを通してまたはカテーテルの外表面に沿って配置することができる。細長い部材302がガイドワイヤである場合には、リード線は、その外表面に沿って配置しかつその周囲にスパイラルに巻回することができる。
【0054】
装置400は、カテーテル(例えばマイクロカテーテル)またはガイドワイヤの形態に構成できる細長い部材402を有している。細長い部材402は、遠位端部分と、従来技術のオペレータ操作ハンドルまで延長できる近位端部分とを有している。細長い部材402の遠位端部分には、参照番号406a、406b、406cで概略的に例示された1つ以上のマーカ(例えば前述の感応コイルまたは信号デバイス)が、マーカ106a、106b、106cに関して上述した任意の適当な手段により取付けられている。従って、マーカは、磁気感応形導電性感応コイルで構成することもできる。各リード線または導電体408a、408b、408cは、それぞれのマーカ406a、406b、406cから、ケーブル束シースを通って、信号処理回路まで延びている。信号処理回路の一例は、より詳細に後述する。細長い部材402がカテーテルである場合には、リード線は、カテーテルのルーメンを通してまたはカテーテルの外表面に沿って配置することができる。細長い部材402がガイドワイヤである場合には、リード線は、その外表面に沿って配置しかつその周囲にスパイラルに巻回することができる。
【0055】
図6Aおよび図6Bに示す実施形態における被トラッキング器具すなわちマーカは、任意の器具102、302、402の長手方向軸線に沿って等間隔または不等間隔に配置できる。間隔は、細長い部材の用途および剛性に基いて定められる。例えば、密の間隔は、ディスプレイ上での細長い部材の表示精度を高めるべく、一般に、細長い部材が、使用時にマーカの領域で大きく曲げられるときに使用される(密の間隔はより高精度の表示ができるのに対し、間隔の大きい等間隔マーカの精度は低い)。カテーテル102に取付けられるマーカの数は変えることができる。一般に、細長い部材またはカテーテルの、マーカが取付けられた部分の位置および方向を得るには、少なくとも3自由度をもつ少なくとも1つのマーカが必要である。細長い部材またはカテーテルの付加位置データおよび方向データは、細長い部材またはカテーテルの予め取得した測定値から創出できる。他方では、細長い部材の遠位端部分が大きい曲げを受けるときには、2つまたは3つのマーカを設けるのが好ましい。例えば、カテーテルまたは細長い部材の曲げ特性すなわち撓み特性を知ることができ、従ってカテーテルまたは細長い部材の2つのマーカが互いに近付く方向に移動されるときに両マーカ間の部分がどれだけ曲げられるかのおよその推測が得られるとき、および両マーカ間の部分が真直形状をなしているときの両マーカ間の距離をも知ることができるときは、曲げられたカテーテルの推定バーチャル画像を創出できる。他の2つのマーカ間の中間に配置された第三マーカは、カテーテルまたは細長い部材の外側マーカ間の部分がその全長に亘って均一に曲る場合には、湾曲部分の頂点を表示できる。
【0056】
腎動脈のような2つの異なる血管内にマーカを配置することを望む場合に特に有利な2つのカテーテルまたはガイドワイヤを備えたシステムについて説明したが、用途に応じて、単一のカテーテルまたはガイドワイヤを備えた単一システムまたは3つ以上のカテーテルまたはガイドワイヤを備えたシステムを使用することができる。
【0057】
マーカが磁気感応形導電性感応コイル(例えばアンテナコイル)である例では、マーカの位置を3次元で探知する任意の適当な電磁界発生・信号処理回路(単一または複数)を使用できる(例えば上記特許文献13参照)。マーカが磁気感応形導電性感応コイルであるときにマーカ106aから106c、306aから306c、406aから406cの位置で磁界を発生しかつこの発生した信号に応答してセンサ形マーカが発生した電圧信号を処理する構成のこのような1つの磁界発生・信号処理回路の全体が図7において参照番号500で示されている。図7に示す例では、9つのコイルが3つずつの3群で示されているが、9つの別々のコイルを使用できることは理解されよう。より詳しくは、受信コイルの個数と送信コイルの個数との積が、少なくとも9でなくてはならない。そうすれば、例えば、3つの送信コイルと3つの受信コイルにより6つの自由度を測定できる。
【0058】
図示の例では、回路500は、概略的に、3つの電磁界発生器502a、502b、502cと、増幅器504と、コントローラ506と、測定ユニット508と、ディスプレイ装置510とを有している。各磁界発生器は、立方体の木製巻枠の回りに巻回された電気的に絶縁された3本のワイヤ(発生コイル)を有している。各磁界発生器の3つのコイルは、コイルの軸線が相互に直交するように巻回される。9つの発生コイルは、コントローラ606の指令の下で各コイルを個々に駆動できる増幅器504に、電気的に別々に接続されている。
【0059】
使用に際し、コントローラ506は、9つの発生コイルの各々を連続的に駆動するように、増幅器504に指令を出す。ひとたび、特定の発生コイルからの準定常磁界が確立されたならば、この磁界により各感応コイル(例えば図1のマーカ22aから22e)に誘起された電圧の値が測定ユニット508により測定され、処理されかつコントローラ506に送られる。コントローラ506はこの値を記憶し、次に、現在の発生コイルの駆動を停止させかつ次の発生コイルの駆動を開始させる指令を増幅器504に出す。全ての発生コイルが駆動すなわち付勢されかつ各感応コイルに誘起された対応する9つの電圧が測定されかつ記憶されたならば、コントローラ506は、磁界発生器に対する各センサの位置および方向を計算しかつこれをディスプレイ装置510上に表示する。この計算は、9つの測定の次の設定がなされる間に行われる。かくして、相互に直交する3つのコイルからなる3つの群に配置された9つの発生コイルの各々を連続的に駆動することにより、各感応コイルの位置および方向を決定できる。
【0060】
センサおよび発生コイルの仕様並びに処理段階は、当業者の技量の範囲内のことである。使用できるコイルの仕様および一般的な処理段階の一例が、上記特許文献13に開示されている。尚、特許文献13の開示は、その全体を本願に援用する。
【0061】
図8には、本発明による1つの装填形プロテーゼデリバリシステムの全体が参照番号600で示されている。配給すべきプロテーゼが自己拡大形グラフトまたはステント−グラフト(例えばステント−グラフト620)である場合には、プロテーゼは、一般に、デリバリカテーテルの遠位端部分内で半径方向に圧縮されるか折畳まれてデリバリカテーテルの遠位端部分内に配置され、より詳細に後述するように、目標部位で定置時にカテーテルから拡大される。
【0062】
プロテーゼデリバリシステム600は、カテーテルチューブすなわちシース(外側チューブ)602と、内側ガイドワイヤチューブ610とを有し、これらの両チューブ602、610は、同心状にかつ軸線方向に相対移動できるように配置される。ガイドワイヤ612は、ガイドワイヤチューブ610内に挿入され、これにより、システム600は、ガイドワイヤ612上で所望部位へとトラッキングされる。外側チューブ602の遠位端内でかつプッシャ部材すなわちストップ614の前方にはプロテーゼ(例えばステント−グラフト620であり、これには、管状グラフト材料を支持する複数の波形ステント要素622a、622b、622cを設けることができる)が配置される。プッシャ部材ストップ614は、内側ガイドワイヤチューブ610と同心状でかつこのガイドワイヤチューブ610に固定されており、また、ガイドワイヤチューブ610へのアクセスを行うための中央アクセスボアを備えたディスク状すなわちリング状の形状を有している。栓塞子604(テーパ状チップ)の近位端またはシース602の内部には、X線透視技術を用いて栓塞子604すなわちシース602の遠位端を撮像する補助するための放射線不透過性リング616が設けられている。ひとたびカテーテルが、プロテーゼを所望部位に定置すべく位置決めされたならば、ストップ614を備えた内側部材またはガイドワイヤルーメン610が静止保持され、かつ外側チューブすなわちシース602が引出される。これにより、栓塞子604が、シース602から変位されかつステント−グラフトが徐々に露出されて拡大できるようになる。従って、ストップ614は、ステント−グラフトが定置されるときにステント−グラフトの遠位端と係合できるサイズを有している。シース602および内側チューブすなわちガイドワイヤルーメン610の近位端は、ハンドル(図示せず)に連結されかつこのハンドルにより操作される。任意であるが、栓塞子604は、ステント−グラフトの近位側部分を受入れるキャビティを備えた構成にでき、これにより、オペレータは、定置の最終フェーズ中にステント−グラフトの近位端を拡大させることができる。この点に関し、ステント−グラフトデリバリシステム600には、上記特許文献1に開示されたステント−グラフト定置システムのいずれかを組込むことができる。尚、特許文献1の開示は、その全体を本願に援用する。
【0063】
プロテーゼデリバリシステム600には、任意であるが、被トラッキング要素すなわちマーカ606a(例えばアンテナコイル形センサ)と、マーカ606aからガイドチューブ610を通して磁界発生・信号処理回路500へと延びていて、マーカ606aまたは栓塞子の遠位端の少なくとも一方の位置の決定を行うワイヤリード線(図示せず)とを設けることができる。或いは、アンテナコイルで形成できる任意のマーカ606bをガイドワイヤ612に設けることができる。この場合には、リード線608が、センサ606bからガイドチューブ610を通って、磁界発生・信号処理回路500へと延びていて、マーカ606bまたはガイドワイヤの遠位端の位置の決定を行う。
【0064】
波形ステント要素622a、622b、622cは、管状グラフト材料(この材料は、例えば、ダクロン(登録商標)または発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で構成できる)の内壁または外壁に固定される。ステント−グラフトにはまた、当業界で知られているように、管状グラフトの近位側部分の内壁または外壁に固定される波形支持ワイヤと、管状グラフトの近位側部分に固定されるベアスプリングとを設けることができる。ベアスプリングの近位端は、一般に、ステント−グラフトの係止能力を向上させるべく外方に拡がっている。グラフト材料へのステント、支持ワイヤおよびベアスプリングの固定には、縫合糸または他の任意の適当な手段を使用できる。
【0065】
以下の例は、例示を目的とするに過ぎない。以下の例を読むことから明らかになろうが、明細書の記載順序は、全ての例において、必ずしも任意の手術段階の順序を示すものではない。
【0066】
(例1)
図9Aから図9Eを参照して、使用される被トラッキング要素すなわちマーカが、感応コイル、より詳しくは電磁界(electromagnetic field、EMF) コイルであるシステム100の作動の一例を説明する。例示を目的として、この処置は、腎動脈の近傍へのAAA分枝ステント−グラフトの血管内デリバリおよび定置を含んでいる。下記の例では、この処置は、ナビゲーション経路の3次元モデルを創出すべく、ナビゲートされるべき血管構造の予処置またはスキャンまたは術中スキャンを用いて行うことができる。先ず、予処置スキャンアプローチの一例を説明し、次に、術中スキャンアプローチを説明する。
【0067】
(予処置スキャンすなわち手術前スキャン)
第一スキャンすなわち予処置スキャンおよび大動脈データ取得:手術の前に、トラッキングすべき血管構造の3次元モデルを創出すべく、患者は、CT、CTA、MRIまたはMRAスキャナのいずれかを用いてスキャンされる。対象とする腹部大動脈および分枝血管(例えば腎動脈)がスキャンされ、この血管構造についての3次元予処置データセットを創出しかつリアルタイムデータが重ねられるバーチャルモデルを創出すべく、対象とする血管に沿って画像が撮られる。
【0068】
磁界発生器の配置:3つの磁界発生器502a、502b、502cが所定位置に固定され、これにより、磁界発生コイルと感応コイルとの空間関係を決定できる。或いは、上述した磁界発生器502a、502b、502c(図7)ではなく、9つの別々の磁界発生コイルを使用することもできる。前述のようにおよび当業者には明らかなように、他の個数の磁界発生コイルを使用することもできる。更に別の態様では、磁界発生コイルは、撮像デバイスに取付けることもできる。
【0069】
所望部位へのマーカ(単一または複数)のデリバリ:患者は、手術の準備がなされ大腿動脈に切開部が形成される。従来のX線透視技術を用いて、血管造影カテーテル102が、腎動脈(図9A)の近傍(例えば腎動脈の上または下)の位置まで血管内で前進される。
【0070】
解剖学的構造へのマーカの固定:図9Bに示すように、オペレータは、血管造影カテーテル102がステント−グラフト600と大動脈壁との間に配置され、ステント−グラフトが血管造影カテーテルおよびそのマーカすなわちセンサ106a、106b、106cを大動脈壁に係止するようにして、ステント−グラフト600を定置する。ステント−グラフトは、従来のX線透視技術を用いて定置される。
【0071】
第二スキャンすなわち術中スキャンおよび大動脈データの取得:2つ以上2次元X線透視法のX線または他の撮像技術を使用して、大動脈の2次元データセットを得る。或いは、大動脈の3次元データセットを取得することもできる。次に、3次元予処置スキャンが、第二2次元データセット(secondary two-dimensional data sets)または第二3次元データセットにレジスタリングされる。このレジストレーションは、データセットを発生させるのに使用される予処置スキャンおよび術中スキャン(第二スキャン)を受けることがある同様な解剖学的特徴すなわち血管構造に基いて行われる。3次元データセットを2次元データセットにレジスタリングする1つのレジストレーションアプローチは、上記特許文献14に開示されている。尚、この特許文献14の開示は、その全体を本願に援用する。
【0072】
動的基準の創出:第二データセットすなわち術中データセットの取得中に、磁界発生器が付勢され、血管造影カテーテルのコイル106a、106b、106cから受けた信号が、解剖学的構造(大動脈)についての「動的基準(dynamic reference)」を与える。第一データセットおよび第二データセットのレジストレーションが計算され、次に、マーカすなわちコイルに取付けられた座標系に基準化される(本明細書の他の箇所の説明参照)。マーカは、マーカと解剖学的構造との間の「強固」な取付けを形成する1つ以上の方法を用いて、大動脈、腎動脈または他の解剖学的部分に固定される。ひとたびこの取付けが行われたならば、今や、解剖学的構造におけるあらゆる運動と一緒に移動するマーカ(従ってマーカの下の解剖学的構造)に対する固定座標系を定めることができる。従って、解剖学的構造と手術前画像または術中画像との間で計算されたあらゆるレジストレーションもまた、この解剖学的構造−基準座標系に基準化される。これにより、レジストレーション変形(registration transformation)があらゆる解剖学的構造の運動を補償することが可能になり、マーカはプロセッサ18またはコントローラ506により遂行されるプロセスを基準化する。すなわち、コイルが座標系を確立する。マーカが大動脈に固定されているので、座標系は解剖学的構造(この場合には大動脈)に対して固定される。これにより、コイル位置がリアルタイムに決定されると、予処置データセットおよび対応画像のリアルタイム更新が可能になる。プロセッサすなわちコンピュータ18またはコントローラ506は、データを操作して、コイル運動に基いて手術前スキャンから取得した画像を移動させ、これにより、医者は、大動脈が移動するときに、腎動脈の口(単一または複数)の運動をモニタリングできる。これは、例えば患者の鼓動、呼吸または他の機能から生じる患者の移動により、腎動脈の予処置位置が変化する場合に有効であり、予処置スキャンを更新して、この変化または移動の少なくとも一方をリアルタイムで反映させることができる。リアルタイムディスプレイは、医者による腎動脈の一方または両方の位置のモニタリングを補助しかつこれに隣接する位置でステント−グラフトに穿孔するのに使用できる。また、動的マーカ(単一または複数)はいずれかのデータセットに関連させることができるが、分枝血管(例えば腎動脈)は第二データセットの取得時にステント−グラフトにより覆われることがあるので、第一データセットはより価値の高いものである。
【0073】
限局化:コイルの位置および方向を得るには、第一電磁界コイルが前述のようにして付勢される。血管造影アンテナコイル106aに誘起される電圧の値が、測定ユニット08により測定され、処理されかつコントローラ506に導かれる。コントローラ506は、この値を記憶し、次に増幅器504に指令して、現在の発生コイルの駆動を停止させかつ次の発生コイルの駆動を開始させる。9つの発生コイルの全てが駆動すなわち付勢されかつコイルに誘起された対応する9つの電圧が測定されかつ記憶されたならば、コントローラ506は、磁界発生器に対するセンサの位置および方向を計算しかつこのグラフィック表示をディスプレイ装置510上に表示する。次に、このプロセスをセンサ106bおよびセンサ106cについても行う。
【0074】
センサ106a、106b、106cの位置データが取得されかつこの位置データが解剖学的構造に取付けられた固定座標系の確立に使用されるならば、腎動脈の口のリアルタイム画像を表示して、この口に隣接するステント−グラフトに穿孔する目標を形成できる。
【0075】
穿孔カテーテルのデリバリ:図9Cに示すように、ステアブル(進路操縦可能な)穿孔カテーテル700が、大動脈を通って一方の腎動脈(例えば分枝血管BV1)に前進される。穿孔カテーテル上のマーカは、ディスプレイ上に画像表示を行いかつ選択された分枝血管に向かう穿孔カテーテルの移動または選択された分枝血管に隣接するステント−グラフトの一部をトラッキングするビーコンを形成する。腎動脈が覆われていない間に取得された画像に基いて更新された大動脈の画像は、穿孔カテーテルのマーカ(単一または複数)が案内される1つ以上の分枝血管(例えば一方または両方の腎動脈)の口の更新画像を形成する。或いは、カテーテルの画像は、第一データセットまたは第二データセットから創出された大動脈の画像上に重ねることができる。
【0076】
一実施形態では、穿孔カテーテル700は、ステアブルな外側チューブすなわちガイドカテーテル702と、外側チューブ702内で摺動可能に配置された内側チューブ704と、外側チューブ702の遠位端部分に取付けられた1つ以上の被トラッキング要素すなわちマーカ706(例えば1つ以上のセンサまたはアンテナコイル)とを有している。マーカ706は、カテーテルの外表面または内表面に接着剤により固定するか、外側チューブ702の遠位端部分内に埋入することができる。内側チューブ704の遠位端部分708は、穿孔カテーテルに形成された開口に挿通されると拡大器すなわち拡張器として機能するように、テーパ状または截頭円錐状をなしている。中空針すなわち穿刺部材710が内側チューブ704内に配置されており、この穿刺部材710は、ガイドワイヤ712(図9E)のようなガイドワイヤが通って、ステント−グラフトのグラフト材料を穿刺する形状を有する遠位側のべべル状穿刺チップから出ることができる寸法を有している。
【0077】
マーカは、この例では外側チューブ702に取付けられているものとして示されているが、マーカ(単一または複数)は、内側チューブ704または針710の遠位端部分内に固定し、取付けまたは埋入できることは理解されよう。
【0078】
例示の実施形態では、マーカ706は感応コイルであり、上記と同じ態様でマーカの回りに電磁界を連続的に発生させる磁界発生器502a、502b、502cに応答して回路500に信号を伝達する。信号が処理され、センサの位置および方向が計算され、この後に、センサの画像がディスプレイ510上の予処置画像にレジスタリングされかつこの予処置画像上に重畳される。ディスプレイは、センサが下方の腎動脈に向かって移動されるときのセンサ画像を示す。ディスプレイは、図9Dに示すように、針710の穿刺遠位側チップを、ステント−グラフト620の側壁を通して分枝血管BV1(分枝血管BV1は、この例では、下方の腎動脈である)内に案内する。針710の穿刺遠位側チップのバーチャル画像は、コンピュータまたはコントローラ506にプログラムできるカテーテル700の寸法データに基いて創出することもできる。
【0079】
図9Eに示すように、内側チューブ704は外側チューブ702に対して移動され、これにより、内側チューブ704は、その孔拡大器すなわち拡張器の部分により分枝血管のステント−グラフトを配給するための開口を拡大させつつ更に前進される。ガイドワイヤ712は中空針710から図示のように定置され、次に、分枝血管のステント−グラフトをガイドワイヤ上でトラッキングさせるためガイドワイヤを所定位置に置いて、穿孔カテーテルが取出される。
【0080】
分枝ステント−グラフトをガイドワイヤ712上で一方の腎動脈(例えばBV1)に配給するのに、ガイドワイヤを用いないステント−グラフトデリバリシステム600(図8)のようなステント−グラフトデリバリシステムが使用される。
【0081】
第一分枝血管のステント−グラフトの定置前または定置後に、他方の腎動脈に隣接するステント−グラフトに同様な開口(図示せず)が形成される。第二孔が、第一分枝血管のステント−グラフトの定置前に形成される場合には、第二ガイドワイヤが、ガイドワイヤ712と同様にして配置される。第二孔が、第一分枝血管のステント−グラフトの定置後に形成される場合には、ガイドワイヤ712または他のガイドワイヤを使用できる。第二ステント−グラフトが同様に定置された後に、全てのカテーテルが引出される。
【0082】
上記のような動的基準を確立した後は、処置の任意の変更が考えられることを理解すべきである。一例では、アイデアは、「ライブ(live)」の3次元X線透視法ではなく、「術中」の3次元X線透視法を使用することである。画像は手術中にのみ取得され、かつ本明細書で説明する方法を用いるときにナビゲートされる。
【0083】
(術中スキャンアプローチA)
磁界発生器の配置:3つの磁界発生器502a、502b、502cが上記のように所定位置に固定され、これにより磁界発生器と感応コイルとの空間的関係が決定される。上記のように、他の個数の発生器コイルを使用することもできる。
【0084】
マーカデリバリ:上記のように、患者は手術の準備がなされ、大腿動脈まで切開が形成されかつマーカコイル106a、106b、106cを備えた血管造影カテーテル102が、従来のX線透視技術を用いて腎動脈の上方の位置まで血管内で前進される。
【0085】
術中スキャンおよび大動脈データの取得:この時点で、撮像器具12を用いて術中スキャンを行い、例えば腹部大動脈の第一3次元データセットを得て、感応コイル106a、106b、106cからのリアルタイムデータが関連付けられるバーチャルモデルを創出して、上記「動的基準」を得る。上記O−arm(商標)イメージングシステム(O-arm Imaging System)のような任意の適当なスキャナを使用できる。また、上記特許文献4を参照されたい。尚、この特許文献4の開示は、その全部を本願に援用する。画像の解像度を高めるため、造影剤を使用することもできる。
【0086】
解剖学的構造へのマーカの固定:カテーテル102は図示のように配置され、ステント−グラフトがピンに定置されるかカテーテル102に固定され、マーカコイル106a、106b、106cが上記のように大動脈壁に固定される。
【0087】
第二術中スキャンおよび大動脈データの取得:第二スキャンを行って、腹部大動脈を表示する第二3次元データセットを得る。第二スキャンには、第一データの3次元データセットをカテーテル102のコイルにレジスタリングするための、カテーテル102およびカテーテル102上のコイル106a、106b、106cに対するデータを含めることができる。第一データセットおよび第二データセットは、例えば当業界で知られているように互いにレジスタリングされる。すなわち、ひとたびステントが所定位置に置かれかつカテーテルが大動脈壁に固定されたならば、もはや腎動脈のコントラスト画像を得ることができず腎動脈への流れも閉塞される。しかしながら、第一画像の取得には、腎動脈内のコントラストを含めることができる。第二スキャンの目的は、第一スキャンをレジスタリングして、腎動脈を含む画像セット上でのナビゲーションを可能にすることにある。第一スキャンを直接使用できない理由は、最初の取得時に動的基準が所定位置に全く存在しないことにある。2つのスキャンは、インテンシティイメージベース技術(intensity image-based techniques)を用いてレジスタリングされる。メドトロニックサージカルナビゲーション(Medtronic Surgical Navigation)は、この機能を遂行する「オートマージ(AutoMerge)」と呼ばれている製品を有する。ひとたびこれらの2つのデータセットが融合されると、今や、第二データセットに確立された動的基準座標系に基いて、第一データセット上でナビゲートできる。第一データセットまたは第二データセットのいずれかを見ることができるが、第一データセットが腎動脈を含んでいるため、第一データセットを使用する可能性の方が高い。ひとたび大動脈にマーカが固定され、コントラスト画像を得ることができるならば、単一画像を必要とするのみで、「オートマージ」を遂行する必要はない。O−arm(商標)イメージングシステムを用いる場合には、スキャナは、被トラッキング要素すなわちコイルの表示を、第一術中3次元画像に自動的にレジスタすなわち同期させる。これには、トラッキングシステム14の送信器または受信器のいずれかを撮像システムに物理的に取付けること、および製造中、各使用中または各撮像中のいずれかでキャリブレーションプロセスを遂行することを必要とする。このキャリブレーションプロセスは、撮像器具の座標系とトラッカ(例えばトラッカまたは測定ユニット14)との間の変形(transformation)を決定する。
【0088】
動的基準の創出:第二術中データセットの取得時に、磁界発生器が作動され、血管造影カテーテルのコイル106a、106b、106cから受信した信号が第一データセットと組合されて、上記のように解剖学的構造の「動的基準」を作る。或いは、マーカはこの例および前の例において第二データセットと組み合わせることができる。しかしながら、第一データセットは、より多くの情報を有しかつ所望の情報ベースを形成する。例えば、ステント−グラフトが、第一データセットの取得後に腎動脈上に配置される場合には、腎動脈の情報は、表示できるように第一データセット内に捕捉される。
【0089】
穿孔カテーテルのデリバリ:ステアブルな穿孔カテーテル700が、マーカ706を介して、下方の腎動脈の口に隣接するステント−グラフトの部分までトラッキングされ、次に、ステント−グラフトに開窓を形成しかつ上述のように腎動脈内にガイドワイヤを定置するのに使用される。そのマーカは、上述のように、分枝血管の表示された更新位置に向けてガイドワイヤを案内するビーコンとして機能する。或いは、カテーテルの画像は、更新されたデータセットから創出された大動脈の表示されたリアルタイム画像上に重ねることができる。開口は、分枝血管のステント−グラフトが上述のように定置される前に拡大される。他方の腎動脈に隣接するステント−グラフトの部分は開窓が形成され、ガイドワイヤおよび分枝血管のステント−グラフトは、上記と同様にして定置される。
【0090】
(術中スキャンアプローチB)
磁界発生器の配置:3つの磁界発生器502a、502b、502cが、磁界発生器コイルと感応コイルとの間の空間関係が決定されるようにして、上記のように所定位置に固定される。前述のように、他の個数の発生器コイルを使用できる。
【0091】
マーカのデリバリ:上記のように、患者は手術の準備がなされかつ大腿動脈まで切開が形成され、マーカコイル106a、106b、106cを備えた血管造影カテーテルが、従来のX線透視技術を用いて、腎動脈の上方の位置まで血管内で前進される。
【0092】
解剖学的構造へのマーカの固定:カテーテル102が図示のように配置され、ステント−グラフトがピンに定置され、またはカテーテル102が上述のように大動脈壁に固定される。
【0093】
術中スキャンおよび大動脈データの取得:腹部大動脈を表示する3次元データセットが取得されかつ同時にカテーテル102上のコイル106a、106b、106cに関連つけられる。上記のようにO−arm(商標)イメージングシステム等の任意の適当なスキャナを使用できる。また、上記特許文献4を参照されたい。尚、この特許文献4の開示は、その全部を本願に援用する。
【0094】
動的基準の創出:術中データセットの取得時に、磁界発生器が作動され、血管造影カテーテルのコイル106a、106b、106cから受信した信号がデータセットと組合わされて、上記のように解剖学的構造の「動的基準」を形成する。
【0095】
穿孔カテーテルのデリバリ:穿孔カテーテル700は、目標とする口の領域までトラッキングされ、ステント−グラフトの開窓の形成に使用され、かつ上記全ての例で説明したように、関連する腎動脈内にガイドワイヤを定置して、ガイドワイヤ上でステント−グラフトをトラッキングする。
【0096】
(例2)
図10Aおよび図10Bを参照して、使用される被トラッキング要素すなわちマーカが感応コイル、より詳しくは電磁界(EMF)コイルである構成のシステム200を用いて、プロテーゼを定置する血管を探知する処置について説明する。例示の目的から、この処置は、腎動脈の近傍にAAA分枝ステント−グラフトの血管内デリバリおよび定置を含んでいる。
【0097】
前述のように、患者は手術の準備がなされかつ大腿動脈まで切開が形成され、細長い部材302、402が、腎動脈に向かって血管内で前進され、これらの細長い部材の遠位側部分が、従来のX線透視技術を用いて腎動脈内に配置される(図10A)。
【0098】
腎動脈および被トラッキング要素すなわちマーカ306c、406cのX線透視画像を示す図面であるが、マーカすなわち感応コイルは、全体をBV1、BV2で示す腎動脈のそれぞれの口の下方部分と整合している。
【0099】
一変更形態では、感応コイル306c、406cが前述のように腎動脈と整合された後に、被トラッキング要素すなわちマーカ606aを備えたシステム600のようなステント−グラフトデリバリシステムを使用して、システム600のガイドワイヤ612を一方の腎動脈に案内する。前述のようにしてこれから取得したデータに基いたマーカの画像表示がディスプレイ510上に表示され、マーカ606aと、マーカセット306aから306cまたはマーカセット406aから406cのいずれか一方または両方との相対位置をモニタリングして、所望位置でのステント−グラフトの位置決めを補助する。
【0100】
他の変更形態では、ステント−グラフトの寸法がコントローラすなわちコンピュータ506に入力されて、コイル606aに対するステント−グラフトのバーチャル画像を創出し、用途に基いて、図10Bに示すように、ステント−グラフトを動脈瘤の近位側のネックに位置決めするか、ステント−グラフトを腎動脈の一方または両方の上方に位置決めする。或いは、コイルセットは、口のリアルタイムバーチャル画像を創出するのに使用することもできる。次に、ステント−グラフトまたはコイル606aにより発生されたリアルタイムデータを使用して、一方または両方の腎動脈の1つ以上の口とステント−グラフトとの相対位置をモニタリングする。
【0101】
図10Bに示すように、ステント−グラフトが、その近位端が腎動脈の上方に位置するように配置されると、ステアブルな穿孔カテーテル700を使用してステント−グラフトに開窓を形成する。ステアブルな穿孔カテーテル700は、大動脈を通って、一方の腎動脈(例えば分枝血管BV1)まで前進され、この腎動脈BV1で、カテーテル700はステント−グラフトの側壁を通って前進される。穿孔カテーテルのマーカコイル706の位置は、マーカコイル706が前述のように磁界発生器コイルにより発生される磁界に応答して信号を発生するのでモニタリングされ、信号は測定および処理されてマーカコイル706の位置および方向が決定される。コントローラ506はこの情報を処理し、処理した情報をディスプレイ510に送り、ここで、開窓カテーテルの画像表示が表示される。カテーテル306a、306bまたはコイル406a、406b、406cの少なくとも一方の画像表示が同様に表示され、これにより、穿孔カテーテルのマーカと、それぞれのマイクロカテーテル(またはガイドワイヤ)のマーカとの相対位置が医者に表示される。或いは、腎動脈の画像表示を創出することもできる。ここでの理想は、腎動脈内に固定されたカテーテルの位置が開窓カテーテルの「目標」を形成することである。これらの目標が開窓カテーテルの所望位置を正確に表示するようになったならば、目標位置(腎動脈カテーテル)および開窓カテーテルの両方を表示するコンピュータグラフィックを創出できる。外科医は、これらの画像表示を整合させ、次に、カテーテルが正しい位置にあると考えることができる。
【0102】
穿孔カテーテル700は、目標口の領域へとトラッキングされ、かつステント−グラフトの開窓を形成しかつガイドワイヤ上で分枝血管のステント−グラフトをトラッキングすべく、関連腎動脈内にガイドワイヤを定置するのに使用できる。他の分枝血管内にガイドワイヤを定置しかつ分枝血管のステント−グラフトをガイドワイヤ上でトラッキングすべく、他の開窓をステント−グラフトに同様に形成できる。
【0103】
一変更態様では、従来のステント−グラフトを、このそれぞれの遠位側部分が分枝血管内に位置するようにして細長い部材302、402の一方または両方を固定する従来のX線透視技術を用いて、分枝血管の一方または両方の上方に従来のステント−グラフトの近位端定置できる。次に、穿孔カテーテルまたは開窓カテーテル700がステント−グラフトの部分までトラッキングされ、それぞれの分枝血管に隣接する孔をステント−グラフトに穿けて、ガイドワイヤを定置し、ガイドワイヤ上を分枝血管のステント−グラフトが案内されて、上記のようにして定置される。
【0104】
細長い部材302、402はまた、頭蓋内血管構造に使用される流れ指向形マイクロカテーテルと同様な、だらりとしたマイクロカテーテルで構成できる。このようなカテーテルは、全てとはいえないが殆どの腎動脈の口の角度に順応する。
【0105】
図11Aおよび図11Bを参照すると、ここには、前述の被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め器具300の変更形態(その全体を参照番号300′で示す)が示されている。こ実施形態では、カテーテルまたはガイドワイヤの形態をなす器具300′は、カテーテル内で予め曲げられた形状を有している。図示の例では、カテーテルまたはガイドワイヤは、L形の形状を有している。湾曲部分は、この湾曲部分に対して遠位側の部分の長手方向軸線と、湾曲部に対して近位側の部分の長手方向軸線との間で測定された或る角度を有している。この角度は、一般に約70°から約110°の範囲内、より一般的には約80°から100°の範囲内にあり、約90°にすることができる。図示の例では、この角度は90°である。複数の被トラッキング要素すなわちマーカ(例えば要素306′a、306′b、306′c。これらの要素は、センサ306a、306b、306cと同じ要素、または、同類の要素で構成できる)は、湾曲部より遠位側に取付けられる。この構造では、器具300′は、図11Bに示すように分枝血管の結合部で血管構造の壁に順応できる。マーカ306cは、トラッカ(例えば図1の要素20または図7の要素508)への口の位置のレジスタリングに使用できる口の既知の点の位置を識別できる分枝血管の口に沿う点を与える。
【0106】
要素306′a、306′bまたは306′cはまた、分枝血管(センサが、予取得画像を必要としないでこの血管内に配置される)を覆うステント−グラフトに開窓を形成する穿孔カテーテル(例えば穿孔カテーテル700)の目標を与えることができる。この場合には、マーカ306a、306bまたは306cの少なくとも1つのマーカおよび穿孔カテーテルのマーカ706の画像表示がディスプレイ510上に表示され、医者が、穿孔カテーテルをステント−グラフトを通して目標分枝血管内に案内する補助をなす。
【0107】
図12および図13を参照して、本発明による他の実施形態を説明する。図12には、被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め装置の全体が参照番号800で示されている。装置800は、遠位端部分803を備えた細長い部材802を有し、遠位端部分803は、ヘリカルコイルの記憶形状を有している。ヘリカルコイルは等間隔を隔てたマーカを備え、これらのマーカは、血管(例えば分枝血管)の内壁面をマークすべくヘリックスの長さに沿うセンサ(例えばEMFコイル)の形態にすることができる。マーカがEMFコイルである場合には、マーカは電磁界を受けて前述のように電気信号を誘起する。この情報は測定ユニット508およびコントローラ506により処理され、装置が配置される部分血管の3次元バーチャル修復を表示する。
【0108】
細長い部材802は、管状シース805内に摺動可能に配置されており、シース805は、目標部位へのデリバリ中に、遠位端部分803を、シースの形状にほぼ一致する変形形状に拘束する。シースが引出されると、遠位端部分は、その記憶ヘリカル形状に戻る。血管の寸法がその自由状態まで完全に戻ることができない場合、血管は、依然として、ほぼその記憶形状に戻る傾向を有する。遠位端部分には、一般に、約2から8個の被トラッキング要素(例えばコイル)が分布される。図示の例では、遠位端部分803に8つのコイル806a、806b、806c、806d、806d、806e、806f、806hが取付けられている。細長い部材のシャフト802のルーメンを通って、各被トラッキング要素すなわちコイルから導電体またはリード線が延びている。リード線は導体束812として束にされ、回路500に接続される。
【0109】
被トラッキング806aから806hの位置および方向は、血管の位置および方向を首尾良く表示すべく、予処置データに対してマッピングされる。これは、例1で説明したのと同様に行うことができる。外科的処置の前に、対象とする血管構造(例えば腹部大動脈)の詳細な3次元データセットが取得される。患者は、トラッキングすべき血管構造の3次元モデルを創出すべく、T、CTA、MRIまたはMRAスキャナのいずれかを用いてスキャンされる。分枝血管(例えばBV1)内には、従来のX線透視技術を用いて、被要素すなわちマーカ位置決め装置800が配置される。第二撮像段階が遂行され、この段階では、2次元X線透視を行って、コイル800aから800hの2次元データセットを得る。これは、上記特許文献14に開示されているような既知のレジストレーション技術を用いて行うことができる。尚、この特許文献14の開示は、その全部を本願に援用する。これは、分枝血管(単一または複数)の予処置データセットまたは画像のリアルタイム更新(補完)を可能にして、主血管(例えば大動脈)および分枝血管(例えば腎動脈)をリアルタイムで表示することを可能にする。腎動脈内に挿入されたカテーテルの測定された位置に基いて腎動脈の位置を知ることができれば、この情報は早期のスキャン(必ずしも動的基準フレームを用いて取得されたものではない)と組合せて、トラッカ座標系と画像座標系とのレジスタリングを遂行できる。他の方法は、このレジストレーションを遂行すべく早期に注目したように、2つの画像を使用する方法である。第二撮像段階は、レジストレーションに使用できるが、BVの既知の位置は、第二画像を必要とすることなく手術前画像のレジスタリングを行うベースとして使用することもできる。
【0110】
システム800は、腎動脈の下または腎動脈の上にステント−グラフトを定置するのに使用できる。AAA疾患が、腎動脈の一方の口または両方の口の上方での大動脈グラフトのシーリングおよび固定を必要とする場合には、ステント−グラフトに現場で開窓を形成し、図15Aに示すように、システム800および穿孔カテーテル1100のような穿孔カテーテルを用いて腎動脈の灌流を行うことができる。
【0111】
穿孔カテーテル1110は、一般にステアブルガイドワイヤの形態をなす外側チューブ1111と、長手方向に間隔を隔てた少なくとも2つの被トラッキング要素1112a、1112b(例えばEMFコイル)とを有する。被トラッキング要素1112a、1112bは、カテーテルの軸線A2−A2(例えばカテーテルの中心軸線)に沿って、チューブすなわちカテーテル1110の遠位端部すなわちセグメントに取付けられており、穿孔カテーテルの遠位端部すなわちセグメントのバーチャル3次元修復を形成するか、単に、カテーテルの遠位端部の中心軸線のバーチャル画像を形成する。図示の実施形態では、コイルは軸線A2−A2と同軸であり、遠位側セグメントは、バーチャル画像と実際の穿孔カテーテルとの一致性を高めるため実質的な剛性を有している。
【0112】
ステアブル中空ガイドワイヤ1111内には高周波(RF)デリバリ部材すなわちシャフト1114が摺動可能に配置されており、シャフト1114は、一般にガイドワイヤ1111と同心状である。シャフト1114(これは中空チューブの形態に構成できる)は、その遠位側チップにRFプラズマ電極を有している。図示の例では、電極1118は円錐状の形状およびその中心軸線に沿う孔を有し、図15Cに示すように、ガイドワイヤ1119が孔を通ることができる。シャフト1114とRF電極1118との間には、絶縁体1116を設けることができる。当業者には明らかであろうが、RF電極1118とRF電源(図示せず)との間には、RF導体(図示せず)が設けられている。使用に際し、カテーテルは図15Cに示すように配向され、電極は、腎動脈のような目標分枝血管に隣接するステント−グラフトの材料と接触する。電極は付勢されて、ステント−グラフト620のグラフト材料にRFプラズマエネルギを付与して、グラフト材料に開口を形成する(この開口を通してガイドワイヤ1119を定置できる)。電極が円錐状であるため、医者は、電極を前進させて、RFエネルギを更に使用することなく開口を拡張できる。このような電極の前進は、分枝血管のステント−グラフトのデリバリに開口の拡張が望まれるときに開口を拡張すべく、ガイドワイヤの定置前または定置後に行われる。しかしながら、本明細書に開示するいずれの実施形態においても、穿孔カテーテルによる開口の拡大は任意のものである。ガイドワイヤが分枝血管の所望位置に配向されたならば、穿孔カテーテルが引出され、これにより、分枝血管のステント−グラフトがガイドワイヤ119上でトラッキングすなわち案内されて、分枝血管内に定置される。
【0113】
上記特許文献15には、マーカ1112a、1112bのようなマーカが固定される適当なRF穿孔カテーテルの他の例が開示されている。
【0114】
図16Aから図16Cには穿孔カテーテルの他の実施形態が示されており、その全体が参照番号1120で示されている。穿孔カテーテル1120は、一般にステアブルガイドカテーテルの形態をなす外側チューブ1121と、例えばEMFコイルで構成できる、長手方向に間隔を隔てた少なくとも2つの被トラッキング要素1122a、1122bとを有している。これらの被トラッキング要素は、チューブすなわちカテーテル1120の軸線に沿って、カテーテル1120の遠位端部分すなわちセグメントに取付けられており、穿孔カテーテルの遠位側端部のバーチャル3次元修復を形成するか、単に、カテーテルの一軸線(例えば、カテーテルの遠位端部分の中心軸線)のバーチャル画像を形成する。図示の実施形態では、コイルは、カテーテルの遠位端部分すなわちセグメントの中心軸線と同心状であり、遠位側セグメントは、バーチャル画像と実際の穿孔カテーテルとの間の一致性を高めるため実質的な剛性を有している。
【0115】
穿孔カテーテル1120は更に、外側チューブ1121内に摺動可能に取付けられた内側チューブ1124と、内側チューブ1124内に摺動可能に取付けられた中空針すなわち穿刺部材1126とを有している。外側チューブ1121、内側チューブ1124および針1126は、一般に同心状である。内側チューブ1124はテーパ状遠位端部分1124aを有し、図示の例では、遠位端部分1124aは截頭円錐状である。遠位端部分1124aは、針1126が形成する開口の拡大を容易にする。従って、内側チューブ1121は、拡張器と呼ぶことができる。針1126は、グラフト材料を突刺すすなわち穿刺するように構成されている。針は、図16Aから図16Cに示すようにべべル状にすることができる。或いは、針は、砲弾状、円錐状または他の適当な形状にすることができる。
【0116】
使用に際し、穿孔カテーテル1120は、穿孔カテーテル1110と同じ態様で目標部位までトラッキングされる。内側チューブまたは外側チューブの少なくとも一方は、図16Aに示すように、ステント−グラフト620に接触して配置するか、ステント−グラフトから間隔を隔てて配置できる。次に、穿刺部材1128がステント−グラフト620のグラフト材料を通って前進され、グラフト材料に孔を形成する。この孔を通してガイドワイヤ1128を定置できる。拡張器すなわち内側チューブ1124は、分枝血管のステント−グラフトデリバリの場合に拡大が望まれるときに、テーパ状部分1124aにより開口を拡大すべく、ガイドワイヤの定置前または定置後に前進される。しかしながら、本明細書に開示するいずれの実施形態においても、穿孔カテーテルを用いて開口を拡大することは任意である。ガイドワイヤが分枝血管内の所望位置に配向されると穿孔カテーテルが引出され、これにより、分枝血管のステント−グラフトがガイドワイヤ1128上でトラッキングすなわち案内されて、分枝血管内に定置される。
【0117】
(例3)
図15Aから図15Cを参照して、回路500および穿孔カテーテル1110に関連して電磁コイル形被トラッキング要素すなわちマーカが使用される構成のシステム800の例示作動を説明する。例示の目的から、処置は、腎動脈の上方でのAAA分枝ステント−グラフトの血管内デリバリおよび定置を含んでいる。
【0118】
カテーテル802の細長い部材は、従来のX線透視技術を用いて、上記のように大腿動脈から分枝血管BV1(この例では腎動脈)内に血管内前進される。シース805が引出されると、遠位端803は、その記憶形状ヘリカル構造に向かって移動できる。遠位端803がそのヘリカル形状に移動すると、センサコイルは分枝動脈の内壁に向かう移動または内壁に対する押圧の少なくとも一方を行い、軸線A1−A1(この軸線A1−A1は、動脈の一部の中心軸線にほぼ一致する)の回りでヘリカル配列に配置される(図15A)。一般に、センサコイルは全てが分枝血管の内壁に接触するが、必ずそうでなくてはならないものではない。ステント−グラフトが、その近位端が両腎動脈の上方に位置するようにして配置すべき場合には、他の装置800は、そのセンサコイルが第二分枝血管または腎動脈内に位置するようにして配置される。
【0119】
ステント−グラフト620は所望位置に配置され、従来のX線透視技術を用いて、図15Aに示す位置に定置される。ステアブル穿孔カテーテルすなわち開窓器具700は、大動脈を通って操舵され、かつ付勢されたセンサ806aから806h、1112a、1112bの画像表示の補助により分枝血管に向かって案内される。ここで、穿孔カテーテル穿孔1112a、1112bは、センサ806aから806hのヘリカル配列に向かって移動される。
【0120】
穿孔カテーテルの遠位端が、センサの画像表示により表示されときに分枝血管の口の近傍にある場合には、患者の回りに配置されている回路500の磁界発生器が再び連続的に付勢され、前述のように、センサにより、磁界発生コイルに対するセンサの位置を表示する電圧信号を発生させる。このデータは、中心軸線A1−A1およびA2−A2のリアルタイムバーチャル表示を3次元空間に表示するように処理される。このディスプレイは、軸線A1−A1が軸線A2−A2に対して実質的にまたはほぼ一直線をなすように、医者が穿孔カテーテルを配向することを補助する。すなわち、両軸線A1−A1およびA2−A2は表示され、穿孔カテーテルは、RFプラズマ電極1118が、RFプラズマエネルギをステント−グラフト620のグラフト材料に適用しかつグラフトに孔を形成するように付勢されると同時に、両軸線を図15Bおよび図15Cに示すように整合された状態に維持して、開口がこれらの両軸線に整合すなわち実質的に一直線状に配置されるようにする。次に、ガイドワイヤ1119が、電極1118を通して前進されて、分枝血管BV1内に導かれる(図15C)。開窓すなわち開口は、開口を機械的に拡大する円錐状の形状を有する電極1119を前進させることにより拡大される。これは、ガイドワイヤの定置前または定置後に遂行される。或いは、穿孔カテーテルを引出して、別体の拡大システムを上記システム100のように使用できる。分枝血管のステント−グラフトは、ガイドワイヤ1119上でトラッキングされかつ上記のようにして分枝血管内に定置できる。
【0121】
上記アプローチは、分枝血管の環境および寸法的配向を識別する挑戦を扱って、現場での有効なステント−グラフト開窓を可能にすると同時に、大動脈が不意に破裂する危険性を最小にできる。
【0122】
図13には、他の被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め装置の全体が参照番号900で示されている。システム900は、遠位端部分903を備えた細長い部材902を有し、遠位端部分は中心部材と、この回りで周方向に配置された複数の部材を備えている。周方向に配置された部材は、図示のような半径方向に拡大された記憶形状を有し、中心部材は、周期的間隔で配置された被トラッキング要素すなわちマーカ906a、906b、906cを有する。これらのマーカは、例えば中心部材に取付けられた電磁界(EMF)コイルで形成できる。マーカおよび中心部材は同軸状に配置されている。この態様では、被トラッキング要素すなわちマーカは、遠位端部分903の中心線またはこの遠位端部分903が配置される血管(例えば分枝血管)の部分の少なくとも一方にほぼ一致する一軸線をマークできる。マーカが付勢されると、このマーカから受けた信号が処理されて、マーカの画像表示およびディスプレイ510の中心線のバーチャル画像を表示する。
【0123】
細長い部材902は管状シース905内に摺動可能に配置され、シース905は、所望血管へのデリバリ中に、遠位端部分903を、シースの形状にほぼ一致する変形形状に拘束する。シースが引っ込められると、遠位端部分は、その記憶形状に戻る。血管の寸法によって遠位端部分がその自由状態に完全に戻ることができない場合、マーカが血管の内壁に対して押圧されているため、遠位端部分は依然としてその記憶形状に戻る傾向を有する。
【0124】
遠位端部分903は、一般に、この遠位端部分に沿って分散配置された約3つのマーカを有している。各マーカすなわちコイルからは、導電体すなわちリード線が細長い部材のシャフト902を通って延びている。リード線は導電体の束912として束ねられ、回路500に接続されている。上記から明らかなように、システム900は、近位端が腎動脈のような1つ以上の分枝血管の上に配置されたステント−グラフトの開窓を形成する前に両軸線A2−A2およびA3−A3を整合させるべく、回路500に接続して穿孔カテーテル700′を操作することができる。
【0125】
各遠位端部分803、903は形状記憶材料から作り、図12および図13に示すような予形成記憶形状を付与することができる。例えば、遠位端部分803または903をニチノールワイヤで作り、これらを所望形状(例えば図12または図13に示す形状)に置き、約480℃から515℃の温度をもつホットソルト浴またはサンド中で約5分から15分間加熱する。所望特性に基き、遠位端部分は、次に、空気冷却するか、オイル浴中に置くか、水中焼入れすることができる。他の一例では、遠位端部分803または903をステンレス鋼で作り、自由状態すなわち弛緩状態にあるときに図12および図13に示す形状となるように既知の技術で予形成することもできる。
【0126】
図14には、被トラッキング要素すなわちマーカ位置決め装置の他の実施形態の全体が参照番号1000で示されている。装置1000は、ガイドワイヤ1002と、このガイドワイヤと同心状でかつガイドワイヤに固定された截頭円錐状の拡張器1004と、前記マーカと同様に機能しかつ例えばEMF感応コイルで形成できる被トラッキング要素すなわちマーカ1006a、1006b、1006cと、リード線の束1012とを有し、この束1012は、3つの別々の導体の束であり、各導体はそれぞれの被トラッキング要素すなわちマーカを回路500に電気的に接続する。この実施形態は、穿孔カテーテルが拡張器またはガイドワイヤの少なくとも一方を備えていない場合に使用される。マーカ1006a、1006b、1006cは、マーカ706が穿孔カテーテル700を目標部位にトラッキングするのと同様にして、装置1000をステント−グラフト壁の開口にトラッキングするのに使用される。
【0127】
本明細書に開示する被トラッキング要素すなわちマーカが無線の磁気感応形導電性感応コイルである例では、1つまたは複数のマーカを3次元位置に配置するための任意の適当な電磁界発生信号処理回路を使用できる。
【0128】
図17Aから図17Cには、共振形無線被トラッキング要素すなわちマーカ組立体を付勢しかつ被トラッキング要素すなわちマーカを3次元空間内で位置決めする励振信号を発生させる無線被トラッキング要素すなわちマーカシステムおよびそのコンポーネンツの一例が示されている。図17Aは、1つ以上の無線共振マーカ組立体1214を、センサ配列1216に対して3次元空間内で付勢しかつ位置決めするシステム1200を概略的に示すものである(この例では1つのマーカ組立体のみが示されている)。システム1200はソース発生器1218を有し、ソース発生器1218は、各マーカ組立体1214を付勢する選択された励振磁界または励振信号1220を発生する。付勢された各マーカ組立体1214は、励振ソース信号および周囲のノイズ源の両者の存在時に充分に測定できるマーカ信号1222を発生する。マーカ組立体1214は、前述のように、選択された対象物(例えば、プローブ、マイクロカテーテルまたは穿孔カテーテル)内またはこれらの上で既知の相対方向に配置できる。マーカ信号1222は、患者の体外に配置されるセンサ配列1216(図17B参照)の複数のセンサ1226により測定される。センサ1226は信号プロセッサ1228に接続され、この信号プロセッサ1228は、センサ1226からの各マーカ信号1222を利用して、センサ配列1216のような基準の既知のフレームに対する3次元空間内の各マーカ組立体1214の位置を計算し、ディスプレイ16(図1)のようなディスプレイ(これも前述のように撮像器具に接続されている)上に表示する。
【0129】
ソース発生器1218は励振信号1220を発生するように構成されており、これにより、1つ以上のマーカ組立体1214が、マーカ信号1222を発生するのに充分なだけ付勢される。ソース発生器1218は、マーカ組立体が付勢された後にスイッチをオフにすることができる。ひとたびソース発生器1218のスイッチがオフにされると、励振信号1220が停止し、測定不可能になる。従って、センサ配列1216のセンサ1226は、励振信号1220により誘起されるいかなる干渉または磁界歪みもなく、マーカ信号1222のみを受ける。励振信号1220の停止は、マーカ信号1222が測定される測定フェーズの前に生じる。付勢されたマーカ組立体1214がマーカ信号1222を発生しているときに、励振信号がこのように測定フェーズの前に停止すると、高い信号対雑音比のデータを信号プロセッサ1228に供給できる高感度のセンサ配列1216が、センサ配列または他の基準フレームに対するマーカ組立体1214の3次元位置を極めて高い精度で決定できる。
【0130】
システム1200のミニアチュアマーカ組立体1214は、目標部位(これにセンサ配列が配置されている)から遠隔のセンサ配列1216により測定される共振周波数で信号を発生すべく励振される不活性な付勢可能組立体である。ミニアチュアマーカ組立体1214は、一例として、約2mmの直径および約5mmの長さを有するが、他のマーカ組立体には異なる寸法を付することができる。このようなマーカ検出システムの一例が上記特許文献16および17に開示されている。尚、これらの特許文献16、17の開示は、その全部を本願に援用する。
【0131】
図17Cに示すように、例示のマーカ組立体1214は、インダクタ(L)を形成すべく強磁性体コア1232の回りに巻回されたコイル1230を有している。インダクタ(L)は、信号要素1236を形成すべく、キャパシタ1234に接続されている。従って、信号要素1236は、インダクタ(L)キャパシタ(C)共振回路である。信号要素1236は、プラスチック、ガラスまたは他の不活性材料で作られた収容部材1238内に包囲されかつ密封されている。例示のマーカ組立体1214は、上記特許文献17に開示されているように、例えばマーカ組立体が患者の体内に少なくとも固定または移植される医療処置に使用できる完全密封形不活性ユニットである。
【0132】
従って、マーカ組立体1214は、ソース発生器1218により発生される励振磁界すなわち励振信号1220により付勢されかつ作動される。測定可能なマーカ信号1222の強度はマーカ共振周波数において周囲の暗ノイズと比較して高いため、マーカ組立体1214は、センサ配列1216に対して3次元空間内で正確に配置される。
【0133】
ソース発生器1218は、特別にチューニングされたマーカ組立体1214の共振周波数と実質的に一致する選択された周波数のエネルギを含む波形を有する磁界1220を発生するように調節できる。マーカ組立体1214が磁界により励振されると、信号要素1236は、マーカの共振周波数に中心をもつ周波数成分を含む応答マーカ信号1222を発生する。このようにして、マーカ組立体1214が、選択された時間だけ付勢された後、ソース発生器618が「オフ」位置に切換えられ、これにより、励振パルス信号1220が停止され、かつセンサ配列1216により受信されたマーカ信号1222との測定可能な干渉は全く生じなくなる。
【0134】
マーカ組立体1214は、マーカ特性を最適化しかつマーカ組立体を所定周波数に正確にチューニングすることにより、適当な強度を有しかつ区別できる信号が得られるように構成されている。従って、ユニークにチューニングされかつ付勢される多数のマーカ組立体1214は。センサ配列1216により信頼性をもってかつユニークにチューニングされる。ユニークな共振周波数でのユニークなマーカ組立体1214は、同時にまたはユニークな時間中に励振されかつ測定される。チューニングされたミニアチュアマーカ組立体1214からの信号は、周囲の信号ノイズより遥かに大きく、かつ信号プロセッサ1228(図17A)がマーカ組立体の同一性、正確な位置、およびセンサ配列1216または他の選択された基準フレームに対する3次元空間内での配向を決定するのに充分な強度を有している。
【0135】
システム1200に相当するシステムは、上記特許文献17に開示されている。特許文献17によれば、システムは、約1mmの精度内のミニアチュアマーカの正確な3次元位置が、12cm×12cm×12cm以上の体積のような比較的大きいナビゲーション体積すなわち励振体積内でユニークに識別できる多くの異なる用途に使用できる。この用途では、目標部位またはその近くに無線マーカ組立体が移植され、これにより、マーカ組立体はユニットとして目標部位と一緒に移動しかつ身体の外部の基準フレームに対する目標部位の位置的基準があたえられる。特許文献17は更に、他の無線組立体を既知の位置でこれらの器具に位置決めするか、基準フレームに対してこれらの器具を位置決めすることにより、このようなシステムがまた、同じ固定基準フレームに対する治療器具(すなわち、手術器具、組織器具、拡張器具、放射線デリバリ器具または他の医療器具)の相対位置をトラッキングすることに留意している。治療器具に使用される無線マーカのサイズは、より大きいマーカ信号レベルおよびこれらの器具のナビゲーション体積の対応する増大ができるように、増大させることができる。
【0136】
上記特許文献18から23には、磁気励振磁界を発生させおよび目標信号を検出する無線マーカまたは器具の少なくとも一方の他の例が開示されている。尚、これらの特許文献の開示は、その全部を本願に援用する。
【0137】
無線マーカに適合する適当な非イオン化限局化アプローチの他の例としてCalypso(登録商標)4D限局化システムがあり、このシステムは、移植可能器具である、Beacon(登録商標)トランスポンダと呼ばれているAC電磁マーカの検出に基いた目標限局化プラットホームである。これらの限局化システムおよびマーカは、Calypso(登録商標)Medical Technologies社(Seattle、ワシントン州)により開発されたものである。
【0138】
本明細書に開示のいずれか1つの実施形態で説明された全ての特徴は、好ましいものであるか否かに係わらず、他のいずれかの実施形態の他の全ての特徴と組合わせることができる。例えば、無線マーカは、本明細書に開示の任意の実施形態に使用できる。
【0139】
当業者には、本明細書に開示された器具および方法の変更は明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの一形態を示す概略図である。
【図2】一血管から他の血管へと延びている器具を示す概略図である。
【図3】図1のナビゲーションシステムに使用される一ディスプレイモードであって、図2の器具および血管のディスプレイを示す図面である。
【図4】図1のナビゲーションシステムに使用される他のディスプレイモードを示す図面である。
【図5】図1のナビゲーションシステムに使用される更に別のディスプレイモードを示す図面である。
【図6A】本発明によるマーカまたは検出装置の一実施形態を示す概略図である。
【図6B】本発明によるマーカまたは検出装置の一実施形態を示す概略図である。
【図7】本発明によるマーカまたは検出装置に使用する視野発生・信号処理装置を示す概略図である。
【図8】オプションの検出器具を備えた1つのプロテーゼデリバリカテーテルシステムを示す概略断面図である。
【図9A】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、プロテーゼの定置前に配置されたマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図9B】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、プロテーゼの定置後のマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図9C】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、プロテーゼの側壁領域に穿孔器具を配給するところを示す図面である。
【図9D】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、分枝血管に灌流するための、プロテーゼの側壁領域の開窓を示す図面である。
【図9E】図6Aの実施形態の使用方法を示す概略断面図であり、第二プロテーゼを受入れるための開窓の拡大を示す図面である。
【図10A】図6Bの実施形態の使用方法を示す概略図であり、プロテーゼの定置前に配置されたマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図10B】図6Bの実施形態の使用方法を示す概略図であり、プロテーゼの定置後のマーカまたは検出装置を示す図面である。
【図11A】本発明によるマーカまたは検出装置の他の実施形態を示す図面である。
【図11B】分枝血管内に配置された図10Aの実施形態を示す図面である。
【図12】本発明によるマーカまたは検出装置の他の実施形態を示すものである。
【図13】本発明によるマーカまたは検出装置の更に別の実施形態を示すものである。
【図14】マーカまたは検出装置を備えたプロテーゼ開・拡器具の更に別の実施形態を示すものである。
【図15A】変更形態の穿孔器具を備えた図12の実施形態の使用方法を示す図面である。
【図15B】図15Aに示した装置の画像を示す図面である。
【図15C】穿孔カテーテルがグラフト材料に穿通された図15Aの装置を示す図面である。
【図16A】他の穿孔カテーテルを示す概略図であり、穿孔すべき材料に隣接するカテーテルを示すものである。
【図16B】他の穿孔カテーテルを示す概略図であり、材料に穿通されたカテーテルニードルを示すものである。
【図16C】他の穿孔カテーテルを示す概略図であり、管状拡張器により拡げられた材料における開口および所望部位に定置するニードルから延びているガイドワイヤを示すものである。
【図17A】無線電磁マーカを付勢しかつ探知する既知のシステムを示す概略図である。
【図17B】図17Aの受信器を示す概略斜視図である。
【図17C】既知の無線電磁マーカを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0141】
10 ナビゲーションシステム
12 撮像器具
14 トラッキングシステム
16 ディスプレイ
18 コンピュータ
20 トラッカ
22aから22e 被トラッキング要素
V 主血管
BV1 分枝血管
BV2 他の分枝血管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法において、
第二血管が第一血管から分枝している第一血管および第二血管の一部の多次元データセットを取得する段階と、
第二血管が第一血管から分枝する箇所の近傍で第一血管および第二血管の一方に少なくとも1つのマーカを固定する段階と、
マーカの位置をリアルタイムで測定する段階と、
マーカの位置の変化に基いて、第一血管と第二血管との間の結合部に対する3次元データセットの一部の位置をリアルタイムで更新する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記多次元データセットの取得は、3次元データセットの取得を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記3次元データセットの一部の更新位置をリアルタイムで表示する段階を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記3次元データセットの一部の更新位置のディスプレイは、第二血管の口の画像のリアルタイムでのディスプレイを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法において、
患者の第一血管から分枝した第二血管内に電磁コイルを配置する段階と、
電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、電磁コイルの位置を決定する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
複数の電磁コイルが第二血管内に配置され、各電磁コイルからの信号を処理して各電磁コイルの位置を決定することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
決定した位置に基づいて、第二血管内にステント−グラフトを定置する段階を更に有することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
血管のリアルタイムバーチャル3次元モデリング方法において、
複数の電磁コイルの各々を、血管の内壁に当接して配置する段階と、
電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、血管の内壁の一部のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記電磁コイルはヘリカル配列に配向されていることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
約8個から10個の電磁コイルがヘリカル配列に配向されていることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記電磁コイルは、大動脈から分枝している血管内に配置されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記電磁コイルはほぼ円形配列に配向されていることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記電磁コイルは、大動脈から分枝している血管内に配置されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記電磁コイルは腎動脈内に配置されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項15】
血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法において、
血管内の複数のマーカを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、
マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する段階と、
非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法において、
血管内の複数の電磁コイルを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、
マーカの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記電磁コイルは、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている中心軸線を有するヘリカル配列に配置されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記電磁コイルは、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている中心軸線を有するほぼ円形の形態に配置されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
アンテナコイルが、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びているほぼ直線をなして配置されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法において、
患者の第一血管から分枝している第二血管内に目標を形成する段階と、
第二通路内に管状壁を備えたプロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、
遠位端部分および近位端部分を備えた穿孔器具をプロテーゼ内に配置する段階と、
穿孔器具の遠位端部分を目標と整合させる段階と、
穿孔器具の遠位端部分を、管状壁の一部を通して目標に向けて前進させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法において、
患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つのマーカを配置する段階と、
管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、
非イオン化放射線エネルギをマーカに付与する段階と、
非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、マーカの位置を決定する段階と、
決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法において、
患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つの電磁コイルを配置する段階と、
管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、
電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、電磁コイルの位置を決定する段階と、
決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記複数の電磁コイルが第二血管内に配置されており、各電磁コイルからの信号を処理して各電磁コイルの位置を決定し、第一通路の開口に隣接してプロテーゼに形成された開口の位置は、決定された位置に基いて定められることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記複数の電磁コイルがヘリカル配列に配向されかつ第一血管の内壁に当接して配置され、電磁界が電磁コイルの配列の回りに発生され、電磁コイルからの信号を処理して、第二血管の内壁の一部のバーチャル3次元モデルを創出することを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
約約8個から10個の電磁コイルがヘリカル配列に配向されていることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
第二血管内の複数の電磁コイルを第二血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、第二軸線をもつ遠位端部分およびプロテーゼ内の近位端部分を備えた穿孔器具を導入する段階と、第二血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている軸線と第二軸線とを、これらが実質的に同心状になるように整合させる段階と、両軸線を実質的に同心状に維持すると同時に、プロテーゼの管状壁の一部を通して穿孔器具の遠位端部分を前進させる段階とを有することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記複数の電磁コイルがヘリカル配列に配置されていることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記複数の電磁コイルがほぼ円形配列に配向されていることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項29】
第二血管内の複数の電磁コイルを第二血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、穿孔器具を第一血管内に導入する段階とを有し、穿孔器具は遠位端部分および近位端部分を備え、遠位端部分は、この長手方向軸線と整合した1対のアンテナコイルを備え、第二血管内の電磁コイルおよび穿孔器具のコイルの回りに電磁界を発生させる段階と、穿孔器具のコイルおよび第二血管のコイルからの信号を処理しかつ穿孔器具の長手方向軸線および第一軸線の3次元モデルを発生させる段階と、穿孔器具の遠位端部分の軸線と第一軸線とを整合させる段階と、両軸線を実質的に整合した状態に維持すると同時に、管状壁の一部を通して穿孔器具の遠位端部分を前進させる段階とを更に有することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項30】
前記複数の電磁コイルがヘリカル配列に配置されていることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記複数の電磁コイルがほぼ円形配列に配向されていることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項32】
第一血管は大動脈から分枝していることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項33】
第一分枝通路および第二分枝通路は腎動脈であることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
孔が開いた遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、電磁界に露出されると信号を信号処理装置に送信するための、前記遠位端部分に固定された少なくとも1つの電磁コイルとを有することを特徴とする分枝血管を探知する血管造影カテーテル。
【請求項35】
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第一細長い部材と、
前記遠位端部分に固定された少なくとも1つの感応コイルと、
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第二細長い部材と、
前記細長い部材の遠位端部分に固定された少なくとも1つの感応コイルと、
を有することを特徴とする分枝血管の位置を探知する血管内システム。
【請求項36】
前記細長い部材はステアブルカテーテルであることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項37】
前記細長い部材はマイクロカテーテルであることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項38】
前記細長い部材はガイドワイヤであることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項39】
少なくとも1つの細長い部材が、前記コイルより近位側の前記遠位端部分に形成された約90°の予形成湾曲部を有していることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項40】
少なくとも1つの細長い部材の遠位端部分が、記憶形状を有していることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項41】
前記記憶形状は角度形状であることを特徴とする請求項40記載のシステム。
【請求項42】
前記記憶形状はヘリカル形状であり、前記少なくとも1つの細長い部材は、細長い部材に沿ってヘリカル配列に配置された複数のコイルを有していることを特徴とする請求項40記載のシステム。
【請求項43】
前記遠位端部分は一軸線の回りに配置された複数のアームを有し、これらのアームは、第一変形状態になるように互いに押圧されておりかつ第一変形状態から前記記憶形状に向かって移動する傾向を有していることを特徴とする請求項40記載のシステム。
【請求項44】
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材を有し、前記遠位端部分は記憶形状および変形形状を有し、
前記遠位端部分の回りで摺動可能に配置されかつ遠位端部分を変形状態に拘束するシースを更に有し、シースは、遠位端部分を露出させるべく移動できかつ遠位端部分を記憶形状に移動させることができることを特徴とする血管内器具。
【請求項45】
前記細長い部材の遠位端部分に連結された少なくとも1つのトラッキング可能なマーカを有することを特徴とする請求項44記載の血管内器具。
【請求項46】
前記記憶形状はヘリカル形状であることを特徴とする請求項44記載の血管内器具。
【請求項47】
前記細長い部材の遠位端に連結されかつヘリカル配列に配置された複数のマーカを有することを特徴とする請求項46記載の血管内器具。
【請求項48】
前記マーカは電磁コイルであることを特徴とする請求項47記載の血管内器具。
【請求項49】
前記遠位端部分は一軸線の回りに配置された複数のアームを有し、これらのアームは第一変形状態に向けて互いに押圧されておりかつ第一変形状態から記憶形状に移動する傾向を有していることを特徴とする請求項44記載の血管内器具。
【請求項50】
前記複数のマーカは前記複数のアームに連結されていることを特徴とする請求項49記載の血管内器具。
【請求項51】
前記マーカは電磁コイルであることを特徴とする請求項50記載の血管内器具。
【請求項52】
プロテーゼデリバリカテーテルと、
このプロテーゼデリバリカテーテル内に配置される管状プロテーゼと、
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、
前記遠位端部分に沿って配置された複数のマーカと、
近位端部分、遠位端部分、およびグラフト材料を穿刺できる穿刺端部を備えたステアブルな穿孔カテーテルと、
このステアブルカテーテルの遠位端部分に取付けられた複数のマーカとを有することを特徴とするプロテーゼデリバリシステム。
【請求項53】
前記マーカは電磁コイルであることを特徴とする請求項52記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項54】
前記細長い部材の遠位端部分の回りで摺動可能に配置されたシースを更に有し、細長い部材の遠位端部分は記憶形状および変形形状を有し、前記シースは、前記遠位端部分を変形状態に拘束しかつ遠位端部分を露出させて遠位端部分を記憶形状に移動させるように、引っ込めることができることを特徴とする請求項52記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項55】
前記記憶形状はヘリカル形状であることを特徴とする請求項54記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項56】
前記遠位端部分は一軸線の回りに配置された複数のアームを有し、これらのアームは前記変形状態に向けて互いに押圧されておりかつ前記変形状態から記憶形状に移動する傾向を有していることを特徴とする請求項54記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項57】
患者の体内で血管内デリバリを行なうことができるガイドワイヤと、
ガイドワイヤに固定された電磁コイルとを有することを特徴とするプロテーゼデリバリ装置。
【請求項58】
前記ガイドワイヤは遠位端部分および近位端部分を有し、電磁コイルは遠位端部分に固定されていることを特徴とする請求項57記載のプロテーゼデリバリ装置。
【請求項59】
多次元データセットの取得前に、第一血管および第二血管の一部の3次元データセットを取得する段階と、両データセットをレジスタリングして、データセットの1つとマーカ位置とを関連付ける段階とを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項60】
前記多次元データセットを取得する段階は、2次元データセットの取得を含むことを特徴とする請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記多次元データセットを取得する段階は、3次元データセットの取得を含むことを特徴とする請求項59記載の方法。
【請求項1】
患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法において、
第二血管が第一血管から分枝している第一血管および第二血管の一部の多次元データセットを取得する段階と、
第二血管が第一血管から分枝する箇所の近傍で第一血管および第二血管の一方に少なくとも1つのマーカを固定する段階と、
マーカの位置をリアルタイムで測定する段階と、
マーカの位置の変化に基いて、第一血管と第二血管との間の結合部に対する3次元データセットの一部の位置をリアルタイムで更新する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記多次元データセットの取得は、3次元データセットの取得を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記3次元データセットの一部の更新位置をリアルタイムで表示する段階を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記3次元データセットの一部の更新位置のディスプレイは、第二血管の口の画像のリアルタイムでのディスプレイを含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
患者の第一血管から分枝した第二血管の一部の位置をリアルタイムモニタリングする方法において、
患者の第一血管から分枝した第二血管内に電磁コイルを配置する段階と、
電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、電磁コイルの位置を決定する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
複数の電磁コイルが第二血管内に配置され、各電磁コイルからの信号を処理して各電磁コイルの位置を決定することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
決定した位置に基づいて、第二血管内にステント−グラフトを定置する段階を更に有することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
血管のリアルタイムバーチャル3次元モデリング方法において、
複数の電磁コイルの各々を、血管の内壁に当接して配置する段階と、
電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、血管の内壁の一部のバーチャル3次元モデルを創出する段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記電磁コイルはヘリカル配列に配向されていることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
約8個から10個の電磁コイルがヘリカル配列に配向されていることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記電磁コイルは、大動脈から分枝している血管内に配置されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記電磁コイルはほぼ円形配列に配向されていることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記電磁コイルは、大動脈から分枝している血管内に配置されることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記電磁コイルは腎動脈内に配置されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項15】
血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法において、
血管内の複数のマーカを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、
マーカに非イオン化放射線エネルギを付与する段階と、
非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
血管の一部の中心軸線にほぼ沿う表示を創出する方法において、
血管内の複数の電磁コイルを、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、
マーカの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている形状軸線のバーチャル3次元モデルを創出する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記電磁コイルは、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている中心軸線を有するヘリカル配列に配置されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記電磁コイルは、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている中心軸線を有するほぼ円形の形態に配置されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
アンテナコイルが、血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びているほぼ直線をなして配置されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法において、
患者の第一血管から分枝している第二血管内に目標を形成する段階と、
第二通路内に管状壁を備えたプロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、
遠位端部分および近位端部分を備えた穿孔器具をプロテーゼ内に配置する段階と、
穿孔器具の遠位端部分を目標と整合させる段階と、
穿孔器具の遠位端部分を、管状壁の一部を通して目標に向けて前進させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法において、
患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つのマーカを配置する段階と、
管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、
非イオン化放射線エネルギをマーカに付与する段階と、
非イオン化放射線エネルギに対するマーカの応答または非イオン化放射線エネルギによるマーカの効果に基いて、マーカの位置を決定する段階と、
決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
管状壁を備えたプロテーゼに、生体内で開口を形成する方法において、
患者の第一血管から分枝している第二血管内に少なくとも1つの電磁コイルを配置する段階と、
管状プロテーゼを、このプロテーゼが、第一血管に開口している第二血管の開口にオーバーラップするようにして血管内配置する段階と、
電磁コイルの回りに電磁界を発生させる段階と、
電磁コイルからの信号を処理して、電磁コイルの位置を決定する段階と、
決定した位置に基づいて、第二血管の開口に隣接するプロテーゼに開口を形成する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記複数の電磁コイルが第二血管内に配置されており、各電磁コイルからの信号を処理して各電磁コイルの位置を決定し、第一通路の開口に隣接してプロテーゼに形成された開口の位置は、決定された位置に基いて定められることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記複数の電磁コイルがヘリカル配列に配向されかつ第一血管の内壁に当接して配置され、電磁界が電磁コイルの配列の回りに発生され、電磁コイルからの信号を処理して、第二血管の内壁の一部のバーチャル3次元モデルを創出することを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
約約8個から10個の電磁コイルがヘリカル配列に配向されていることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
第二血管内の複数の電磁コイルを第二血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、第二軸線をもつ遠位端部分およびプロテーゼ内の近位端部分を備えた穿孔器具を導入する段階と、第二血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている軸線と第二軸線とを、これらが実質的に同心状になるように整合させる段階と、両軸線を実質的に同心状に維持すると同時に、プロテーゼの管状壁の一部を通して穿孔器具の遠位端部分を前進させる段階とを有することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記複数の電磁コイルがヘリカル配列に配置されていることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記複数の電磁コイルがほぼ円形配列に配向されていることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項29】
第二血管内の複数の電磁コイルを第二血管の一部の中心軸線にほぼ沿って延びている一軸線を有する形態に配置する段階と、穿孔器具を第一血管内に導入する段階とを有し、穿孔器具は遠位端部分および近位端部分を備え、遠位端部分は、この長手方向軸線と整合した1対のアンテナコイルを備え、第二血管内の電磁コイルおよび穿孔器具のコイルの回りに電磁界を発生させる段階と、穿孔器具のコイルおよび第二血管のコイルからの信号を処理しかつ穿孔器具の長手方向軸線および第一軸線の3次元モデルを発生させる段階と、穿孔器具の遠位端部分の軸線と第一軸線とを整合させる段階と、両軸線を実質的に整合した状態に維持すると同時に、管状壁の一部を通して穿孔器具の遠位端部分を前進させる段階とを更に有することを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項30】
前記複数の電磁コイルがヘリカル配列に配置されていることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記複数の電磁コイルがほぼ円形配列に配向されていることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項32】
第一血管は大動脈から分枝していることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項33】
第一分枝通路および第二分枝通路は腎動脈であることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
孔が開いた遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、電磁界に露出されると信号を信号処理装置に送信するための、前記遠位端部分に固定された少なくとも1つの電磁コイルとを有することを特徴とする分枝血管を探知する血管造影カテーテル。
【請求項35】
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第一細長い部材と、
前記遠位端部分に固定された少なくとも1つの感応コイルと、
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる第二細長い部材と、
前記細長い部材の遠位端部分に固定された少なくとも1つの感応コイルと、
を有することを特徴とする分枝血管の位置を探知する血管内システム。
【請求項36】
前記細長い部材はステアブルカテーテルであることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項37】
前記細長い部材はマイクロカテーテルであることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項38】
前記細長い部材はガイドワイヤであることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項39】
少なくとも1つの細長い部材が、前記コイルより近位側の前記遠位端部分に形成された約90°の予形成湾曲部を有していることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項40】
少なくとも1つの細長い部材の遠位端部分が、記憶形状を有していることを特徴とする請求項35記載のシステム。
【請求項41】
前記記憶形状は角度形状であることを特徴とする請求項40記載のシステム。
【請求項42】
前記記憶形状はヘリカル形状であり、前記少なくとも1つの細長い部材は、細長い部材に沿ってヘリカル配列に配置された複数のコイルを有していることを特徴とする請求項40記載のシステム。
【請求項43】
前記遠位端部分は一軸線の回りに配置された複数のアームを有し、これらのアームは、第一変形状態になるように互いに押圧されておりかつ第一変形状態から前記記憶形状に向かって移動する傾向を有していることを特徴とする請求項40記載のシステム。
【請求項44】
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材を有し、前記遠位端部分は記憶形状および変形形状を有し、
前記遠位端部分の回りで摺動可能に配置されかつ遠位端部分を変形状態に拘束するシースを更に有し、シースは、遠位端部分を露出させるべく移動できかつ遠位端部分を記憶形状に移動させることができることを特徴とする血管内器具。
【請求項45】
前記細長い部材の遠位端部分に連結された少なくとも1つのトラッキング可能なマーカを有することを特徴とする請求項44記載の血管内器具。
【請求項46】
前記記憶形状はヘリカル形状であることを特徴とする請求項44記載の血管内器具。
【請求項47】
前記細長い部材の遠位端に連結されかつヘリカル配列に配置された複数のマーカを有することを特徴とする請求項46記載の血管内器具。
【請求項48】
前記マーカは電磁コイルであることを特徴とする請求項47記載の血管内器具。
【請求項49】
前記遠位端部分は一軸線の回りに配置された複数のアームを有し、これらのアームは第一変形状態に向けて互いに押圧されておりかつ第一変形状態から記憶形状に移動する傾向を有していることを特徴とする請求項44記載の血管内器具。
【請求項50】
前記複数のマーカは前記複数のアームに連結されていることを特徴とする請求項49記載の血管内器具。
【請求項51】
前記マーカは電磁コイルであることを特徴とする請求項50記載の血管内器具。
【請求項52】
プロテーゼデリバリカテーテルと、
このプロテーゼデリバリカテーテル内に配置される管状プロテーゼと、
遠位端部分および近位端部分を備えかつ患者の血管構造の一部を通って血管内前進できる細長い部材と、
前記遠位端部分に沿って配置された複数のマーカと、
近位端部分、遠位端部分、およびグラフト材料を穿刺できる穿刺端部を備えたステアブルな穿孔カテーテルと、
このステアブルカテーテルの遠位端部分に取付けられた複数のマーカとを有することを特徴とするプロテーゼデリバリシステム。
【請求項53】
前記マーカは電磁コイルであることを特徴とする請求項52記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項54】
前記細長い部材の遠位端部分の回りで摺動可能に配置されたシースを更に有し、細長い部材の遠位端部分は記憶形状および変形形状を有し、前記シースは、前記遠位端部分を変形状態に拘束しかつ遠位端部分を露出させて遠位端部分を記憶形状に移動させるように、引っ込めることができることを特徴とする請求項52記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項55】
前記記憶形状はヘリカル形状であることを特徴とする請求項54記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項56】
前記遠位端部分は一軸線の回りに配置された複数のアームを有し、これらのアームは前記変形状態に向けて互いに押圧されておりかつ前記変形状態から記憶形状に移動する傾向を有していることを特徴とする請求項54記載のプロテーゼデリバリシステム。
【請求項57】
患者の体内で血管内デリバリを行なうことができるガイドワイヤと、
ガイドワイヤに固定された電磁コイルとを有することを特徴とするプロテーゼデリバリ装置。
【請求項58】
前記ガイドワイヤは遠位端部分および近位端部分を有し、電磁コイルは遠位端部分に固定されていることを特徴とする請求項57記載のプロテーゼデリバリ装置。
【請求項59】
多次元データセットの取得前に、第一血管および第二血管の一部の3次元データセットを取得する段階と、両データセットをレジスタリングして、データセットの1つとマーカ位置とを関連付ける段階とを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項60】
前記多次元データセットを取得する段階は、2次元データセットの取得を含むことを特徴とする請求項59記載の方法。
【請求項61】
前記多次元データセットを取得する段階は、3次元データセットの取得を含むことを特徴とする請求項59記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【公開番号】特開2008−194475(P2008−194475A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−29643(P2008−29643)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(502129357)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29643(P2008−29643)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(502129357)メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
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