説明

衛星受信装置および通信方法

【課題】映像、音声およびデータを低コスト、高信頼性で衛星より多数のユーザに配信する。
【解決手段】衛星通信システムとしてはダウンリンクのみの同報通信を行い、誤り訂正の再送信要求と再送信はインターネット経由で行う。また、このような方式で映像と音声同報通信を高信頼性と高品質を保ちながら行うために受信機に大容量記憶装置を設け、受信と出力の間に遅延時間を設けてその間に誤り訂正をインターネット経由で行う。時間的に誤り訂正が間に合わないときには画像と音声の出力を一時停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星受信装置の機能と構成方法に関し、特に、多数のユーザに対して、映像、音声、およびデータを効率的、かつ高い信頼性で配信することを可能とする受信装置および受信方法および送信側への誤り訂正要求の送出方法と誤り訂正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のユーザに、映像、音声およびデータを効率的に配信する方法として、従来から、地上波や、衛星回線、CATV網などの伝送媒体を利用して送信する放送があるが、インターネットのブロードバンド化に伴って、これらの映像および音声およびデータを多数のユーザに、インターネットの同報通信を利用して配信することが拡大している。
【0003】
衛星放送または同報衛星通信を利用して映像、音声およびデータを伝送するシステムを計算機システム、インターネットと統合して実現する場合、経済的に最適なシステム形態がインターネット技術の進歩により過去連続的に変化しており、現在でもその変化が進行中である。すなわち、過去に最適であったシステム構成方法が現在では最適性を失っている。
【0004】
インターネットが今日のようにブロードバンド化していなかった時代には、衛星通信を一般のネットワークの中に均質的なもの、ないし対等なものとして位置付けられた。非特許文献1では、衛星通信をネットワークの要素として双方向のユニキャスト通信要素として検討している。
【0005】
近年のインターネットの性能向上に対応して衛星通信の役割とインターネットの役割を各々の長所を組み合わせてシステム化したものに非特許文献2がある。「近年、地上回線の高速化、低価格化が急速に進み、従来衛星通信の特長であった高速性、低価格性が薄れてきた。一方、衛星通信には、地上回線の弱みである大容量同報配信、地域格差に依存しない配信性能・配信品質の提供といった独特のメリットがあり、衛星通信の用途、効果が明確な業務形態においては今後も有望な市場である。」との認識からシステムを構築しているが、2000年代の初頭における最適化例を示しており、その後インターネットの優位性がさらに高まった結果、インターネットへの役割分担のシフトと衛星通信への低価格化要求が高まっている。
【0006】
非特許文献2の方法は、マルチキャスト衛星通信と衛星ルーターを用いてシステムを構成している。衛星通信自体はダウンリンクのみでアップリンクは衛星ルーターを通してインターネットで行っている点では非特許文献1の方法に比べてインターネットの性能向上に対応した方式であるが、(1)再送方式としてインターネットによるアップリンクが有る場合は衛星からの再送を行い、インターネットによるアップリンクがない場合は一方的に繰り返し送信を行う点で衛星の利用効率が悪くコスト増になること、(2)衛星を含むインターネットシステムを衛星ルーターを用いて構築していて衛星ルーターのコストがかさむこと、(3)一般消費者向けの衛星受信機を用いていないため受信サイドでのコスト増となある点で現在のインターネット環境でコスト的に最適と言えない。
【0007】
特許文献1はダウンリンクのみの同報通信を衛星から行い、アップリンクはインターネットなどの別回線で行う。受信が正常に行われなかったパケット情報を受信局が送信局にインターネット経由で報告し、送信局側で集計し、一定の論理に従い、再送が必要と判断された場合には衛星経由で再送を当該パケットについておこなう。主としてビデオオンデマンドへの対応が主体で、連続的に映像と音声を放送する場合には必ずしも対応していないことと、再送を衛星経由で行うため、衛星の利点が出る大量の受信局に対する同報通信という特徴が活かしきれていないし、インターネットの高性能化を充分に活用していない。
【0008】
特許文献2の方法は出願時期が平成8年と旧いこともあり、衛星による同報通信の誤り訂正方式に関して低速の衛星回線によるアップリンクを用いて誤り訂正の再送を求める方式である。かかる方式は受信側が低速回線とはいえ衛星に対して送信能力を持たなくてはならず、低コストで受信局を構成することは出来ない。
【0009】
特許文献3の方法は、大規模なマルチキャスト配信を行うにはIGMP(InternetGroupManagementProtocol)プロキシーを用いる必要があるが、IGMPプロキシーでは動的な経路切換が出来ないため、この問題を解決するため、RGW(受信側ゲートウェイ)で衛星回線の受信状態を監視し、衛星回線が正常な間はインターネット網との間でのマルチキャストパケットの送受信を禁止し、衛星回線が正常でない場合はインターネット網との間でのマルチキャストパケットの送受信を許可する。特許文献3の方法では、既存のインターネット網でのルーティング方式に変更を加えることなく、大規模、かつ動的に経路切換が行えるマルチキャスト通信システムが実現できる。衛星通信のマルチキャストを衛星回線の異常時に全面的にインターネットのマルチキャストに切り替える方式であり、通信衛星とインターネットの特性を補完させて低コストで信頼性のあるマルチキャスト通信を実現する目的には合わない。
【0010】
特許文献4の方法は衛星によるマルチキャスティングとIPマルチキャスティングを組み合わせてコンテンツをコンテンツ提供者から得て配信するシステムの構成方法である。コンテンツ提供者から衛星送信システムにストリーミングしようとするマルチメディアコンテンツがマルチメディアパケットで伝達され、衛星送信システムは衛星を経由して衛星受信システムにマルチメディアパケットに対応する衛星変調信号を伝送し、衛星受信システムは衛星変調信号をマルチメディアパケットに復調してローカルIPマルチキャスティング網に伝達し、ローカルIPマルチキャスティング網はマルチメディアパケットを終端ルーターまでフォワーディングするシステム構成を有する。マルチキャスト通信のコンテンツ提供者側を衛星通信とし、コンテンツの最終受信者側をIPマルチキャストで構成する方式であり、衛星マルチキャスティングを上流側に使用することにより、IPマルチキャスティングによるインターネットへの負荷削減を図っている。衛星通信を広域のマルチキャスト、インターネットを狭域のマルチキャストと役割分担する考え方であり、両者の補完のあり方として現在ではコスト最適とは言えない。
【0011】
【特許文献1】特開2006−311617
【特許文献2】特開平10−23014
【特許文献3】特願2000−194890
【特許文献4】特願2004−528930
【非特許文献1】WIDEプロジェクト1994年報告「第18部衛星通信によるネットワーク構築実験」
【非特許文献2】三菱電機技報2004年4月25巻:78号:高信頼性を実現した次期衛星配信ソリューション
【非特許文献3】ETSIEN302307V1.2.1(2009-08)DigitalVideoBroadcasting(DVB);Secondgenerationframingstructure,channelcodingandmodulationsystemsforBroadcasting,InteractiveServices,NewsGatheringandotherbroadbandsatelliteapplications(DVB-S2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
インターネットの性能向上に伴い、衛星通信が競争力を持ちうる分野の機能に特化して、低コストで衛星通信の長所を最大限に活用する方法を提供することが本発明の課題である。
例えば、医療分野で電子カルテ、オーダーリングシステム、薬剤情報提供等で利用する薬剤関連の基本データとして、膨大な医薬品情報(データ)を、定期的に全国多数の医療機関に届けるサービスでは衛星通信からインターネットへの移行が起こっている。放送分野でもインターネットによるVOD(VideoonDemand)が拡大している。
【0013】
一方、映像を含む大量の情報を交換する大学のインターネット講座、インターネット放送、WEB会議等が急伸している。インターネットは構造的に参加者の数が大きくなると安定な同報配信が困難になる問題があり、衛星放送が本質的に有利な分野も存続する。受信側がn個あり、送信データの帯域幅がmビット/秒である場合、インターネットの場合、ネットワークへの負荷がnxmビット/秒となり、受信側の数が増大すると比例して増大する。衛星による放送ないし受信側からのアンサバックのない同報衛星通信ではこの問題が発生しない。送信データの帯域幅が大きく、受信側の端末数が多く、受信局を低コストで実現できると、衛星通信のコスト優位性が大きくなる。
【0014】
大陸間あるいは離島との通信を除いて、衛星通信が競争力を持つのはmulticast(同報)通信でダウンリンク(受信機能)の場合のみであり、Unicastあるいは衛星を使った双方向通信は経済的に成り立たないことが既に市場で実証されている。一方、衛星による同報通信では受信側は受動的に情報を受けるだけでインターネットに存在する多様性や双方向性などの特性は失われるので、この欠点を補うことも強く望まれている。
【0015】
インターネットにおける多様性と双方向性とは、映像、音声においては、受信側の操作により好きなときに再生できる機能であり、途中で停止したり、早送りしたり、巻き戻ししたり、再生速度を変更することである。あるいは、映像および音声のプログラムを自由に選択することであり、データ通信においては、受信側の操作により好きなときに好きな情報を、好きなだけ参照できることである。これらの受信側の操作は衛星放送または同報衛星通信では一般に実現が困難である。
【0016】
また、信頼性の点で言うと、衛星放送ないし衛星同報通信において受信局に情報発信能力がないと、伝送誤りが発生した場合、送信元に再送を求める手段が無いため、インターネット等を用いてデータ誤りを送信側に伝え、誤ったデータの再送を求める方法が提案されているが、コスト的に最適な方法は確立されていない。。
【0017】
インターネットと衛星通信の統合方法として、UDLR(uni-directionallinkrouting)方式があり、ユーザーと衛星通信事業者の双方に衛星ルーターと呼ばれる専用ルーターを設置し、両者間に仮想的なIP上のトンネルを設ける方法である。ユーザー側の衛星ルーターは受け取ったパケットの先頭に衛星通信事業者側の衛星ルーターのIPアドレスを付加、これを受け取った衛星ルーターはパケットを元に戻し目的のサーバーに届ける。この方法を用いると、衛星ルータを用いて衛星送信局から受信局向けの回線のみを衛星経由でおこない、受信側から送信局への受信データ誤りの報告と再送要求をインターネット経由で行うことが可能であるが、衛星ルータ-は販売台数が少ないこともあって一般に高価である。特に受信局側に衛星ルータ-の設置を求めるのは低コスト化の目的に反する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明が解決すべき課題を鋭意研究の結果、本発明者は、以下に述べる4つの手段で、解決すべき課題を解決した。
【0019】
以下に述べるのは、一般消費者用衛星受信機HE@DSD8500HDMIにおいて公然実施されている機能である。すなわち、
リモートコントロールユニット又は操作盤から
映像および音声の受信の開始および停止をすることと、
受信チャネルの選定または変更をすることと、
受信した映像および音声を外部へ出力することと、
受信した映像および音声を記憶装置へ記憶することと、
記憶装置へ記憶してある受信した映像および音声を外部へ出力することと、
内部時刻を設定ないし変更することと、
内部時刻に基づいて映像および音声の受信の開始および停止をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信チャネルの選定または変更をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信した映像および音声を記憶装置へ記憶することをプログラムすることと、
内部時刻に基づいて記憶装置へ記憶してある映像および音声を外部へ出力することをプログラムすること
が可能な衛星受信機である。
本発明の第1の手段は、該公然実施されている一般消費者用受信機を衛星による同報通信受信端末として利用できるために、スタンドアロン型の一般消費者用衛星受信機の機能を送信局からの同報通信による指令により実現可能とすることである。特に、受信機に付随する大容量記憶装置を受信情報の記憶媒体として使用することにより、受信側の操作により好きなときに再生でき、途中で停止したり、早送りしたり、巻き戻ししたり、再生速度を変更し、あるいは、映像および音声のプログラムを自由に選択することが可能となり、同報通信の欠点も解消した。
【0020】
本発明の第2の手段は、衛星による同報通信がダウンリンクのみであることによる信頼性の低下を低コストで補償するために、インターネット経由で双方向化(擬似アップリンク)を行う。送信局からの衛星同報通信による情報の誤りを検出するために、受信情報の誤りを一定区切り、たとえばパケットごとに判定する能力を有し、その結果を受信機の外部に送出し、誤りがあったときには受信機ないし接続しているサーバーPCからインターネット経由で送信局に情報再送要求を伝達できる機能を持たせる。
【0021】
受信局は受信局のIPアドレスと誤りが検出されたたとえばパケットIDを送信局に送信し、この情報に従って該受信局に接続されている該IPアドレスのPCに該パケットIDに対応する誤り訂正情報をインターネット経由でユニキャストまたはマルチキャストで再送すればよい。
該受信局に接続されているサーバーPCは、受信機に接続されている記憶装置に格納されている受信データの誤った部分を訂正する。
この方法によれば、衛星経由で誤りの検出されたたとえばパケットを送信局が再度衛星から同報通信する必要は無い。インターネットで送信されるパケット数は伝送誤りが発生した受信機に対して、伝送誤りが発生したパケットに限定されるから、インターネットに対するネットワーク負荷は衛星同報通信により大幅に削減される。
【0022】
インターネット経由で送信局に受信データの誤りを報告するためには、インターネット接続を行っているPCに対して受信機からEthhernet接続等によるデータ送出機能が必要であるが、衛星ルータ機能、UDLR(uni-directionallinkrouting)などは必ずしも必要としない。受信局から送信局への誤りを報告(擬似アップリンク)送出に関しては、送信局のIPアドレスを送信局から同報通信するデータの中で指定することも出来る。受信局からの擬似アップリンクでは誤りを検出したパケットIDと受信局のIPアドレスを付して、該IPアドレスに送出すればよい。
【0023】
本発明の第3の手段は、映像および音声を同報通信する場合に、送信に対して受信側の映像および音声の再生を一定時間、送信局側の指令により遅延して開始する方法である。受信機には受信情報を格納する記憶装置、たとえば固定ディスク装置があり、受信した映像および音声を記録しながら一定時間を遅延させて受信開始後に再生を開始する。該遅延時間は、衛星回線の誤り率に応じて事前に決定しておき、受信側で誤りが検出された場合には受信局からの要求に基づき該受信局にユニキャストまたはマルチキャストでインターネット経由により該誤りパケットを再送し、該受信局は記憶装置内の該誤りパケットに対応する部分の情報を訂正する。ここで再送にマルチキャストを使用するのは、天候等により複数の受信局に同一パケットIDの情報再送が必要な場合への対応である。
【0024】
該誤りパケットの修正が映像おおび音声の受信と再生と遅延時間内に終了した場合には、映像および音声を停止することなく再生を継続する。該誤りパケットの修正が映像おおび音声の受信と再生と遅延時間内に終了しない場合、ないししないと予測される場合には、映像および音声を停止させ、該誤りパケットの修正を完了してから、映像および音声の再生を再開する。なお、この場合には、映像および音声の受信と再生との間の遅延時間が消尽されているので、爾後頻繁に映像および音声の再生の停止が発生する可能性があるので、該遅延時間を充分確保した上で、映像および音声の再生を再開することにより、頻繁な表示停止を防止することが出来る。
映像および音声の同報通信では、特にリアルタイムで視聴している場合には、各々の受信機の受信に失敗に対して衛星経由で同報通信で再送する方法は、正常に受信している受信局に対しても不必要に映像の擾乱を引き起こすため適当でない。
【0025】
本発明の第4の手段は、衛星送信局からのデータ放送を可能とするために、衛星送信局からの同報通信による指令により、
データ受信の開始および停止をすることと、
受信データを記憶装置へ記憶することと、
受信データを外部に送出することと、
受信データの誤りを一定区切り、たとえばパケットごとに判定する能力を有しその結果を外部に送出することと、
内部時刻に基づいてデータ受信の開始および停止をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信データを記憶装置へ記憶することをプログラムすることと、
内部時刻に基づいて記憶装置へ記憶した受信データを外部に送出することと、
内部時刻に基づいて受信した受信データの誤りを一定区切り、たとえばパケットごとに判定する能力を有し、その結果を外部に送出すること
である。
この場合も、受信機に付随する大容量記憶装置を受信情報の記憶媒体として使用することにより、受信側の操作により好きなときに好きな情報を、好きなだけ参照でき、同報衛星通信の欠点を解消した。
【発明の効果】
【0026】
以上、説明したように、本発明の衛星受信装置および通信方法によれば、消費者向けの汎用衛星受信機を用いて、該受信機のソフトウェアを改修することにより低コストで信頼性の高い誤り訂正機能を有する同報通信システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、公然実施されている消費者用汎用衛星受信機を土台に衛星とインターネットにより信頼性の高い同報通信システムを低コストで構築することであるので、本発明の実施形態を説明する前に、該公然実施されている消費者用汎用衛星受信機につき図1、図2、図3、図4、および図5を用いて記述する。図1は公然実施されている衛星放送システムの構成例であり、図2は公然実施されている衛星受信機のハードウェア構成である。図3は同じく公然実施されている衛星受信機の機能モード図であり、図4は同じく公然実施されている衛星受信機の情報フロー図であり、図5は同じく公然実施されている衛星受信機の処理フロー図である。公然実施されている衛星受信機に関する図1、図2、図3、図4、および図5に対する説明に続いて、本発明の新規性を説明する。
【0028】
図1において、送信信号は送信側アップリンク102を介して通信衛星103に送信局100より送信され、ダウンリンク104を介して、放送ないし同報通信により複数の受信局123に送信される。受信局123は受信パラボラアンテナ105、受信機106、およびTV109より構成され、受信局123の操作用にリモコン107があり、受信データの記憶用に記憶装置たとえばHDD(固定ディスク装置)108が接続されている。
【0029】
図2は一般的な公然実施されている衛星受信機のハードウェア構成を示す。受信部115はチューナ部110、ディジタル復調部111、誤り訂正部112、および情報分離部113より構成される。チューナ部110はRFによるアナログ選局を行い、ディジタル復調部111はPSK復調などを行う。誤り訂正部112はFEC処理を行い、トランスポートストリームを生成する。情報分離部113はパケットを分解して映像、音声、データの抽出を行う。AVデコーダ(映像処理部)114はTV109用の映像と音声信号の生成を行う。CPU116およびRAM117は、リモコン107の操作をリモコンインタフェイス122を介して認識し、受信部115およびAVデコーダ(映像処理部)114の動作を制御する。HDDインタフェイス118を介してHDD108に受信した映像、音声、データを記憶し、また読み出してTV109への出力を行う。PCインタフェイス120は、外部のサーバPC121との情報交信を行う。ICカードインタフェイス119は必要に応じて個人認証用などの目的でICカードインターフェイスを行う。
【0030】
図3は図2の公然実施されている衛星受信機の機能モードを示す図である。
操作主体1 131はリモコン107による手動操作であり、
操作対象1 141の時刻に対して設定/変更の操作1 151を行い、
操作対象2 142の映像受信に対して選局等のパラメタ設定/変更、およびON/OFFの操作4 154を行い、
操作対象4 144のHDD108に対してファイル名設定、記憶/読み出し位置指定、記憶/読み出しの操作3 153を行い、
操作対象でもある操作主体2 132のタイマーに対してタイマーの登録/削除、タイマー動作時刻の設定/変更、およびのタイマー動作内容の設定/変更の操作2 152を行う。
操作主体2132はタイマーに設定された操作指令による操作であり、時刻を参照して、指定された時刻に操作主体1131のリモコン107と同様に、
操作対象2142の映像受信に対して選局等のパラメタ設定/変更、およびON/OFFの操作4154を行い、
操作対象4 144のHDD108に対してファイル名設定、記憶/読み出し位置指定、記憶/読み出しの操作3 152を行う。
【0031】
図4は図3の衛星受信機の機能モードに対応して動作する機能と機能間の情報の流れを示す図である。ここで、太線の円は関与している機能示し、点線の円は存在するが動作していない機能を示し、細線の円は実装されていない機能を示す。太線の矢印は情報の流れを示す。
図4(a)は受信部115で映像と音声を受信し、映像処理部114で映像と音声を生成してTV109に表示する場合の関与する機能と情報の流れを太線で示している。
図4(b)はHDDC108に記録してある映像と音声を読み出し、映像処理部114で映像と音声を生成してTV109に表示する場合の関与する機能と情報の流れを太線で示している。
【0032】
図4(c)は受信部115で映像と音声を受信し、その結果をHDDC108に記録し、HDDC108に記録してある映像と音声を読み出し、映像処理部114で映像と音声を生成してTV109に表示する場合の関与する機能と情報の流れを太線で示している。
図4(d)は受信部115で映像と音声を受信し、その結果をHDDC108に記録しつつ、受信部115で受信した映像と音声を映像処理部114で映像と音声を生成してTV109に表示する場合の関与する機能と情報の流れを太線で示している。
図4(e)は受信部115で映像と音声を受信し、受信した映像と音声と、映像処理部114で映像と音声を生成し、同時に、HDDC108に記録してある映像と音声を読み出し、映像処理部114で映像と音声を生成し、TV109の画面を分割して表示する場合の関与する機能と情報の流れを太線で示している。
(図4(f)はこの部分の説明には関係ない。)
【0033】
図5は公然実施されている衛星受信機の処理フローを示す図である。図5の処理は、図2の衛星受信機のハードウェア構成例でCPU116において処理されるプログラムの構造を示す処理フローである。いずれも公然実施されているので、本発明の説明に必要な範囲で構造の概略を以下に説明する。
処理ブロック1 201はリモコン操作による処理のエントリーポイントであり、リモコン107が操作された場合の処理をここから開始する。
処理ブロック2 202はリモコン受付処理であり、リモコン107の操作をリモコンインタフェイス122を介して取り込み、CPU116に伝達する。
処理ブロック3 203はリモコン指令による分岐であり、処理ブロック1により取り込まれたリモコン107の操作により対応する処理に分岐する。
【0034】
処理ブロック4 204は時刻設定・変更処理であり、リモコン107の操作により取り込まれたパラメタにより時刻を設定ないし変更する。
処理ブロック5 205はタイマー設定・変更処理であり、リモコン107の操作により取り込まれたパラメタによりタイマー時刻と処理すべき内容の設定ないし変更を行う。
処理ブロック6 206は映像受信処理であり、選局等の制御を受信部115に対して行う。
処理ブロック7 207は映像記録処理であり、受信部115で得た映像および音声をHDD108
に記憶する処理を行う。
処理ブロック8 208は記録映像表示処理であり、HDD108に記憶された映像および音声を読み出し、映像処理部114で映像および音声に変換して出力する。
【0035】
処理ブロック10 210は受信パラメタ設定変更処理であり、リモコン107の操作により取り込まれたパラメタを受信パラメタとして設定/変更する。
処理ブロック11 211はタイマー受付処理であり、タイマーの設定値により起動された場合のエントリーポイントであり、処理をここから開始する。
処理ブロック12 212はタイマー受付処理であり、タイマーで指定された処理をCPU116に伝達する。
処理ブロック13 213はタイマー処理内容による分岐である。タイマーで指定された処理には処理ブロック4時刻設定・変更処理および処理ブロック5タイマー設定・変更処理を除いてリモコン107の操作に対応した処理と同じ処理が行われる。
【0036】
図6は、本発明になる衛星放送システムの構成例を示す図である。図1の公然実施されている衛星放送システムの構成例と異なる第一の点は、LAN125を介してサーバPC121経由でインターネット124と接続し、該インターネット124経由で送信局100と接続していることであり、第二の点は、LAN125を経由して複数のPC126と接続できる点である。サーバPC121はインターネット124経由で
送信システム302に接続するが、送信システムの構造は図10を用いて後述する。
【0037】
本発明になる衛星放送システムの第1の手段は、該公然実施されているスタンドアロン型の一般消費者用衛星受信機の機能を送信局からの同報通信による指令により実現可能とすることである。この実現のため新たに送信システム302から複数の各受信局123に対してリモコン107からの操作と同一の操作を同報通信により行うようにする。図7に送信システム302からの操作を図3に付加した衛星受信機の機能モード図を示す。図3と図7の相違は、送信システム302による操作である操作主体3 133がリモコン手動である操作主体1 131に並列して実装されることである。リモコン操作(手動)と送信システムの操作の優先度は、同一にして着順に受け付けてもよく、また、どちらか一方、たとえばリモコン操作(手動)を優先させてもよい。
【0038】
図7において図3の衛星受信機の機能モード図に付加された部分は操作主体3 133、操作10 160、操作11 161、操作12 160、および操作13 163であり、操作主体3 133による操作については図7で点線の矢印で示される。以下に説明する。
送信システム302による操作である操作主体3 133は、リモコン107による手動操作と同様に、
操作対象1 141の時刻に対して設定/変更の操作主体2 132を操作1 151と同様に行い、
操作対象2 142の映像受信に対して選局等のパラメタ設定/変更、およびON/OFFの操作12
162を操作4 154と同様に行い、
操作対象4144のHDDに対してファイル名設定、記憶/読み出し位置指定、記憶/読み出しの操作13163を操作3152と同様に行い、
操作対象でもある操作主体2132のタイマーに対してタイマーの登録/削除、タイマー動作時刻の設定/変更、およびのタイマー動作内容の設定/変更の操作11161を操作2152と同様に行う。(ここで“操作対象でもある操作主体2132のタイマー”という意味は、タイマーはリモコン107または送信システム302の指令により設定されるという意味で“操作対象”であると同時に、タイマー自体が指定時刻になるとリモコン107または送信システム302の指令と同等の“操作”を行うということである。)
【0039】
操作主体2 132はタイマーに設定された操作指令による操作であり、時刻を参照して、指定された時刻にリモコン107によって操作2 152により設定された場合と同様に、送信システム302による操作11 161によって設定された内容に対しても同様に動作する。
図7においては操作対象5 145である“LAN送出映像”が図3に対して追加となっている。これは、送信システム302から受信局123を操作する場合には、スタンドアロン型の衛星受信機とは異なり、複数の受信局123を送信システム302の指令のもとに統合的に運用することが必要になるため、受信した映像音声、あるいは、HDD108に蓄積されている映像音声をLANに送出して接続先のサーバPC121経由でLANに接続されている複数のPC126にストリーミング配信する場合があるためである。
【0040】
図4は図7の衛星受信機の機能モードに対応して動作する機能と機能間の情報の流れを示す図としても同様に成り立つ。ここで、図4(f)は図7に対応して追加になった部分であり、図2に即して説明すると受信部115で受信された映像および音声はディジタル形式でHDD108に蓄積される。HDD108に蓄積された映像および音声は直ちに、または一定の遅延時間をおいて映像処理部 114からTV108に出力され、またはあるいは同時にHDD108よりLAN125にストリーミング配信等により送出される。
【0041】
図8は図7の機能モード図を実現するための処理構造を示す図である。図7の操作主体3 133である送信システム302による指令は図8の処理ブロック15 215に対応し、処理ブロック16 216にて
送信システム302からの指令を受け情報を抽出して、図9に示す処理命令に変換し、指令内容により処理ブロック3 203で分岐し、以下図4と同様に、処理ブロック4 204から処理ブロック10 210の処理に分岐する。
【0042】
送信システム302からの指令の伝達方法は、非特許文献3に記載されているDVB-S.2(DigitalVideoBroadcasting)規格およびDVB-S規格では、映像信号以外のデータをGeneric StreamとしてBBHEADERに続けてDATAFIELDとして送信することが出来る。(DVB-S.2規格ETSIEN302307v1.2.1) この機能を利用して、送信側の送信システム302で、トランスポートストリーム(TS:Transport Stream)のパケットの段階で、図7の操作主体3 133である送信システム302による指令を指定した命令パケットを組み込めばよい。この命令パケットは受信機106の情報分離部113で認識識別される。
【0043】
受信機106における送信システム302からの指令に対応した処理の処理フローを示したのが図9である。図9(a)において、受信信号のTSのパケットごとに処理ブロック18 218の判定処理が行われ、受信機操作指令パケットと判断された場合には当該パケットより処理ブロック19 219にて受信機操作命令パラメタ取得・命令生成がなされ、処理ブロック22 220にて、図8の処理ブロック15 215を起動する。図9(a)の処理は、処理負荷に応じて受信機106の情報分離部113で行ってもよく、CPU116で行ってもよい。
【0044】
処理ブロック19 219にて受信機操作命令パラメタ取得・命令生成は図9(b)の表に示される情報を受信機操作パケットと判断されたTSのパケットより抽出する。図9(b)の表の最左列は送信システム302が各受信局123に同報通信で与えられる命令で、図8の処理ブロック4204から処理ブロック10210に対応する。各命令を以下に説明する。
(1)時刻設定
受信機の内部時刻を設定変更する。指定するパラメタは時刻であり、たとえば年月日時分秒で指定する。
(2)映像受信
衛星より映像音声を受信する。指定するパラメタはトランスポンダNo.周波数、SymbolRate、など受信に必要なパラメタである。開始時刻および終了時刻がある場合にはタイマーに登録され、受信機の内部時刻と一致したときに命令が実行される。
【0045】
(3)映像記録
衛星より受信中の映像音声をfilenameで指定されたファイル名で大容量記憶装置、たとえばHDD108に記憶きさせる。開始時刻および終了時刻がある場合にはタイマーに登録され、受信機の内部時刻と一致したときに命令が実行される。
(4)記録映像表示
filenameで指定されたファイル名で大容量記憶装置、たとえばHDD108に記憶きれている映像音声を表示出力する。開始時刻および終了時刻がある場合にはタイマーに登録され、受信機の内部時刻と一致したときに命令が実行される。
【0046】
(5)記録映像LAN送出
filenameで指定されたファイル名で大容量記憶装置、たとえばHDD108に記憶きれている映像音声をLANにストリーミング出力する。開始時刻および終了時刻がある場合にはタイマーに登録され、受信機の内部時刻と一致したときに命令が実行される。
(6)受信パラメタ変更
衛星より映像音声を受信するパラメタを指定値に変更する。
以上の命令は一例であり、必要に応じて追加し、パラメタを変更する。
【0047】
本発明の第2の方策は、衛星による同報通信に対して、欠損あるいはエラーを修復不能のパケットが受信局123で検出された場合、当該パケットを修復する機能があり、修復する方法に新規性があることである。図6と図10を用いてシステム構成を説明する。図6において受信局123で受信機106とサーバPC121をLAN125で接続する。さらにサーバPC121をインターネット124を介して送信システム302に接続する。
【0048】
図10は複数の受信局123を含む衛星放送システムの誤り訂正システム構成を示す図である。通信衛星103を介して送信側アップリンク102とダウンリンク104により複数の受信局123に同報通信される。受信局123において図2に示す受信機106において、衛星からの伝送信号に誤りがあるときは、誤り訂正部112により訂正され、訂正不能である場合には、エラー情報がCPU116に伝えられる。図11(a)はCPU116内の処理であり、処理ブロック31 231に起動がかかる。欠損または誤りが検出されたパケットIDを取得(処理ブロック32 232)し、処理ブロック33 233で送信局サーバ301のIPアドレスを取得する。送信局サーバ301のIPアドレスはシステム構築時にパラメタとして設定してもよく、またパラメタとしてダウンリンク104に含めて送信してもよい。処理ブロック32 232、処理ブロック33 233の情報に基づき処理ブロック34 234で誤りパケットの再送要求を送信システム302に発することを図6において受信機106からサーバPC121に要求する。
【0049】
サーバPC121は受信機106からの要求を処理ブロック36 236で受けて図11(b)の処理を行う。すなわち、インターネット124を経由して図10における送信システム302内の送信局サーバ301に送信側ルータ304を介して欠損パケットの再送を要求する。(処理ブロック37 237)なお、処理ブロック38 238でその時点での欠損ないし誤りパケットを集計し管理する。
【0050】
図12は図11(b)の要求を受けて送信システム302の送信局サーバ301が行う処理である。該パケット再送要求は各受信局123より着信するので、処理ブロック42 242で受付け、処理ブロック43 243で再送要求のあるパケットを集計管理する。ここで言う集計管理とは、パケットIDごとにどの受信局に再送する必要があるか、受信局ごとにどのパケットIDを再送する必要があるかを集計する。いずれも、次の処理ブロック44 244でのパケット再送戦略の基礎資料とする。
【0051】
処理ブロック44 244では、パケット再送の戦略を決める。すなわち、同一の誤りまたは欠損パケットIDが同一地域の一定数以上の複数の受信局123から要求された場合は、マルチキャストで送信し、欠損パケットIDが単数の受信局123から要求された場合は、ユニキャストを選択する。また、同一の受信局から複数の誤りまたは欠損パケットIDの再送を要求された場合は一括して再送する。処理ブロック45 245〜処理ブロック47 245は再送要求のあるパケットが尽きるまで図10において要求された送信局137のサーバPC121のIPアドレスに該誤りまたは欠損パケットIDに対応した情報を送信側データベース303より取り出して処理ブロック46 246でインターネット124を介して送信する。(図10 再送信情報307)
【0052】
図10において、再送信情報307が指定された受信局123に着信すると、図6においてサーバPC121内で図13の処理が実行される。処理ブロック52 252で受信したパケットは過去に再送を要求した誤りまたは欠損パケットであるか処理ブロック53 253で判定する。再送要求したものでなければ、該受信パケットを破棄し(処理ブロック56 256)、再送要求したものであると判断した場合には、衛星から受信した当該誤りまたは欠損パケットに該当する情報を該再送を受けたパケット内容により訂正する。該訂正対象はHDD108内のファイルであればサーバPC121よりPCインタフェイス120およびHDDインタフェイス118を介して訂正を行う。該訂正後、処理ブロック55 255で再送用宮中の欠損パケット集計リストから、訂正に成功したパケットIDを削除する。
【0053】
衛星同報通信に対する誤り訂正機能を示した本発明になる衛星受信機の機能モード図が図17である。図17において図7の衛星受信機の機能モード図に付加された部分は操作対象6146の“LAN送出受信状況”であり、パケット受信誤りまたは欠損が検出された場合に行われる図11(a)(b)の処理である。操作対象2142と操作対象6 146を結ぶ情報の流れは、誤りの検出されたパケットID,送信局サーバIPアドレスなどの再送要求に必要な情報である。操作主体1 131、操作主体2 132、および操作主体3 133についての変更は無い。図7の操作についての変更も無い。
【0054】
図4は図17の衛星受信機の機能モードに対応して動作する機能と機能間の情報の流れを示す図としても同様に成り立つ。図18(a)が図17における追加部分に対応した図4に対する追加となる。すなわち、図18(a)は衛星同報通信に対する誤り訂正機能を情報のフローとして統括表示したものであり、受信部115で得られた映像と音声データはHDD166に蓄積され、直ちに、または遅延時間後映像処理部114とLAN125へ出力される(LAN送出)。受信部115の誤り訂正部112で受信パケットに誤りが検出され修復が出来なかった場合にはエラー情報が“受信状況”としてLAN125に出力され(”LAN送出”)、図11、図12、図13の一連の処理の結果、“訂正データ”がHDD166に送られデータ訂正が行われる。図16の処理はHDD166に蓄積された映像と音声データを映像処理部114とLAN125へ出力する(LAN送出)の停止/実行に関する制御を規定している。
【0055】
以上により図10に記載の本発明になる衛星通信システムの誤り訂正システムの構成を説明したが、図6において通信衛星103より同報通信で映像と音声を送信し、受信局123で受信しつつTV109で視聴したり、サーバPC121からのストリーミング配信によりPC126で視聴する場合には、通信衛星103より受信したパケットに誤りまたは欠損があった場合に該誤りないし欠損パケットを図10のシステムで訂正する時間が無い。(誤りを訂正するまでに映像音声が出力されてしまう)
本発明になる衛星通信システム第三の方策として、この欠点を解決するために、通信衛星103から同報通信される映像および音声の受信時刻から一定時間遅延させてTV109またはPC126に表示させる。
【0056】
これは、図9(b)の命令で記載すれば、下記の命令をタイマー登録することにより実行することが出来る。
命令/パラメタ( , , , )と記述すれば;
映像受信/(周波数等受信パラメタ,開始時刻=T,終了時刻=T+TL)
映像記録/(finename=MFILE,開始時刻=T,終了時刻=T+TL)
記録映像表示/(finename=MFILE,開始時刻=T+d,終了時刻=T+TL+d)
記録映像LAN送出/(finename=MFILE,開始時刻=T+d,終了時刻=T+TL+d)
【0057】
上記の命令の意味は、映像受信を周波数パラメタ等を指定して時刻TとりT+TLまで行う。同時に、受信した映像音声をファイル名MFILEに記録する。記録開始からdだけ遅延して時刻T+dよりMFILEに記憶したファイルをTV109に出力すると同時に、PC126に対してLAN125にストリーミング出力を行う。なお、記録映像表示と記録映像LAN出力は同時に両方行う必要は無い。
【0058】
衛星からの受信と表示との間を遅延させることにより、該遅延時間間に誤りパケットデータを再送訂正することが出来る。図14は本発明になる衛星通信システムの遅延表示による誤り訂正のタイムチャートを示している。時間軸1 351および時間軸2 352は右方向に時間が進む。時間軸1351上で現在の受信時刻は受信時点1 353であり、遅延再生時間TD 361遅れた再生時点1 355の映像と画像が表示再生されている。受信時点1 353と再生時点1 355はともに実時間の速度で時間軸1 351を右側に進む。受信時点1 353と再生時点1 355の間に受信したパケットに誤りが検出
された場合(誤り存在部分358)、該誤り部分を表示再生が行われるまでに訂正する。
【0059】
誤り訂正処理360は再送要求、再送、誤り訂正から構成され、図11、図12、図13の処理を行う。この間、誤り訂正所要時間357を要し、誤り存在部分358は誤りが修正されて誤り訂正部分359となる。この間、受信時点1 353は誤り訂正所要時間357だけ時間軸上を進んで、受信時点2 354となる。再生時点1 355も誤り訂正所要時間357だけ時間軸上を進み再生時点2 354となる。
再生時点2 356が追いつくまでに誤り訂正部分359の誤りデータは訂正されると、乱れの無い映像音声が表示されることになる。
【0060】
しかし、再生時点2 356が追いつくまでに誤りが訂正される保証は一般にない。図15も本発明の衛星通信システムによる方法であり、再生時点が追いつくまでに誤り補正が出来なかった場合、映像と音声の表示を一時的に停止させ、表示遅延時間を拡大させることにより誤りを訂正する。
以下、図15に沿って説明する。時間軸1 351に沿って受信先頭時刻1 Trv1 362があり、遅延再生時間TD 364遅れて映像音声を再生している再生時刻Tpl1 365が追いかけている。ここで、再生時刻Tpl1 365の直近の直近エラーパケット366が存在して、再生時刻Tpl1 365との時間差が一定閾値以下になると再生時刻Tpl1 365が追いつくまでに誤りパケットの訂正が出来なくなる。この閾値を遅延再生停止時間TDmin-in 367とよび、直近エラー時刻Terr 368と再生時刻Tpl1 365の時間差が遅延再生停止時間TDmin-in 367以下になったとき、映像音声の表示を停止する。表示停止の結果、時間軸2 352で示すように直近エラー時刻Terr 368と再生時刻New Tpl-new 369の間隔が遅延再生開始時間TDmin-out 370を超えた時点で映像と音声の表示を再開する。TDmin-in<TDmin-outとすることにより、ヒステリシス効果をもたせることが出来て、映像と音声の頻繁な停止を防止することが出来る。図15では停止時間は再生停止時間TS 371で示される。
【0061】
図16に示すのが、本発明になる衛星通信システムの誤り訂正のための遅延制御の処理フローを示す図である。図16の処理は1秒から5秒程度の周期的に起動される。処理ブロック62 262で映像と音声の表示を停止状態とするか、表示を行うかの判定条件を計算する。すなわち、現在の再生時点と直近エラ−時刻の差が再生停止時間TDmin-in以下のとき映像と音声の再生を停止し、現在の再生時点と直近エラ−時刻の差が再生停止時間TDmin-out以上のとき再生を開始する。その他の場合、再生中であれば再生継続、再生停止中であれば停止継続とする。この判断に基づき、処理ブロック63 263で分岐する。処理ブロック64 264では映像と音声の出力を停止状態から再開する。処理ブロック66 266では映像と音声の出力を停止する。
【0062】
図19は図17の機能モード図を実現するための処理構造を示す図である。処理ブロック70 270の遅延再生処理は既に述べたよように、図9(b)の下記の命令をタイマー登録することにより実行することが出来る。
命令/パラメタ( , , , )と記述すれば;
映像受信/(周波数等受信パラメタ,開始時刻=T,終了時刻=T+TL)
映像記録/(finename=MFILE,開始時刻=T,終了時刻=T+TL)
記録映像表示/(finename=MFILE,開始時刻=T+d,終了時刻=T+TL+d)
記録映像LAN送出/(finename=MFILE,開始時刻=T+d,終了時刻=T+TL+d)
ここでは図9(c)のように1命令で定義して、遅延時間を誤りの発生により制御できるように定義した。
【0063】
本発明の第四の側面の送受信装置は、映像と音声の受信に加えてデータ受信が出来ることである。図20の本発明になる衛星受信機のさらにもう一つの機能モード図で示すように、操作主体3 133送信システム302からの命令で操作14 164を行い“テ゛ータ受信”を可能とする。送信システム302からの指令の伝達方法は、非特許文献3に記載されているDVB-S.2(DigitalVideoBroadcasting)規格では、映像信号以外のデータをGenericStreamとしてBBHEADERに続けてDATAFIELDとして送信出来る機能を利用して、送信側の送信システム302で、トランスポートストリーム(TS:TransportStream)のパケットの段階で、“テ゛ータ受信”を指定した命令パケットを組み込めばよい。
【0064】
この命令パケットは受信機106の情報分離部113で認識識別される。受信機106における送信局指令処理の処理フローを示したのが図9であるので、図9(d)のデータ受信に関する命令を追加して、図20における操作14 164に対応して操作対象5 145の“テ゛ータ受信”とHDD108への受信データの記憶、およびHDD108へ記憶したデータのLAN125への送出を行う。(操作対象7 147LAN送出データ)テ゛ータ受信は、DVB-S.2規格に基づき情報分離部113にてパケットを解体してデータを取り出し、CPU116によりHDD108内のfilenameで指定されたファイルに格納する。
【0065】
送信システム302から受信機106への命令に“データ受信記憶”と“データLAN送出”が加わったことに対応して、図21の処理で処理ブロック71 271データ受信記憶処理と処理ブロック72 272データLAN送出処理を図19の処理に追加した。データ受信機能追加に伴い、図19から図21の処理に追加が行われたことに対応する情報フローの追加は図18(b)(c)で示される。
ここで、太線の円は関与している機能示し、点線の円は存在するが動作していない機能を示し、細線の円は実装されていない機能を示す。太線の矢印は情報の流れを示す。
図18(b)は処理ブロック71 271データ受信記憶処理に対応した情報フローであり、図2で受信部115で受信され、情報分離部113でパケットから取り出されたデータがCPU116によりHDD108に記憶される。
【0066】
一方、受信部115の誤り訂正部112で誤り訂正が出来なかったパケット情報によりパケット再送を“再送要求しLAN125に“LAN送出”する(図11の処理)。この結果、送信システム302から誤ったパケットの再送が成されサーバPC121で受信された“訂正データ”によりHDD108の内容が訂正される。(図12、図13の処理)。
図18(c)は処理ブロック72 272データLAN送出処理に対応した情報フローである。訂正が終了した受信データを送出先をパラメタで指定してLAN125に送出する。
図21の処理ブロック71 271と処理ブロック72 272以外の部分については図4および図18(a)の情報フローと同一である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上、本発明を衛星を利用した同報通信に適用した場合について説明したが、このような配信システムは、低コストに映像、音声、とデータ通信を利用した放送システム、広報システム、教育システム、テレビ会議システムなどに適用可能である。とくに、有効な暗号化システムと併用することにより、衛星通信により広域的な組織内システム、会員制システム等の閉鎖システムに使用することが出来る。
【0068】
本発明の通信システムは高信頼性、高品質を確保しながら映像、音声、およびデータを同報通信できるのでマルチメディアコンテンツの配信システムとしても利用することが出来る。さらにインターネットシステムと統合的に運用することにより、低コストな広域マルチメディアシステムの構築に利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】公然実施されている衛星通信システムの構成例を示す図である。
【図2】公然実施されている衛星受信機のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】公然実施されている衛星受信機の機能モード図である。
【図4】公然実施されている衛星受信機の情報フロー図である。
【図5】公然実施されている衛星受信機の処理フローを示す図である。
【図6】本発明になる衛星通信システムの構成例を示す図である。
【図7】本発明になる衛星受信機の機能モード図である。
【図8】本発明になる衛星受信機の処理フローを示す図である。
【図9】本発明になる衛星受信機の送信局指令処理の処理フローを示す図である。
【図10】本発明になる衛星通信システムの誤り訂正システム構成を示す図である。
【図11】本発明になる衛星通信システムの誤り訂正要求の処理フローを示す図である。
【図12】本発明になる衛星通信システムの誤り訂正送信の処理フローを示す図である。
【図13】本発明になる衛星通信システムの誤り訂正の処理フローを示す図である。
【図14】本発明になる衛星通信システムの遅延表示による誤り訂正のタイムチャートを示す図である。
【図15】本発明になる衛星通信システムの遅延表示による誤り訂正のもうひとつの場合のタイムチャートを示す図である。
【図16】本発明になる衛星通信システムの誤り訂正のための遅延制御の処理フローを示す図である。
【図17】本発明になる衛星受信機のもう一つの機能モード図である。
【図18】本発明になる衛星受信機のもうひとつの情報フロー図である。。
【図19】本発明になる衛星受信機のもう一つの処理フローを示す図である。
【図20】本発明になる衛星受信機のさらにもう一つの機能モード図である。
【図21】本発明になる衛星受信機のさらにもう一つの処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0070】
100 送信局,
101 送信アンテナ,
102 送信側アップリンク、
103 通信衛星、
104 ダウンリンク、
105 受信パラボラアンテナ、
106 受信機、
107 リモコン、
108 HDD、
109 TV,
110 チューナ部、
111 ディジタル復調部、
112 誤り訂正部、
113 情報分離部、
114 AVデコーダ(映像処理部)、
115 受信部
116 CPU、
117 ROM/RAM、
118 HDDインタフェイス、
119 ICカードインタフェイス、
120 PCインタフェイス、
121 サーバPC、
122 リモコンインタフェイス、
123 受信局、
124 インターネット、
125 LAN,
126 PC、
131 操作主体1、
132 操作主体2、
133 操作主体3、
141〜150 操作対象1〜10、
151〜180 操作1〜30、
201〜300 処理ブロック1〜100、
301 送信局サーバ
302 送信システム
303 送信側データベース
304 送信側ルータ
305 送信側地上回線
306 再送信要求
307 再送信情報
351 時間軸1
352 時間軸2
353 受信時点1
354 受信時点2
355 再生時点1
356 再生時点2
357 誤り訂正所要時間
358 誤り存在部分
359 誤り訂正部分
360 誤り訂正処理
361 遅延再生時間 TD
362 受信先頭時刻1 Trv1
363 受信先頭時刻2 Trv2
364 遅延再生時間 TD
365 再生時刻 Tpl1
366 直近エラーパケット
367 遅延再生停止時間 TDmin-in
368 直近エラー時刻 Terr
369 再生時刻New Tpl-new
370 遅延再生開始時間 TDmin-out
371 再生停止時間 TS





【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートコントロールユニット又は操作盤から
映像および音声の受信の開始および停止をすることと、
受信チャネルの選定または変更をすることと、
受信した映像および音声を外部へ出力することと、
受信した映像および音声を記憶装置へ記憶することと、
記憶装置へ記憶してある受信した映像および音声を外部へ出力することと、
内部時刻を設定ないし変更することと、
内部時刻に基づいて映像および音声の受信の開始および停止をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信チャネルの選定または変更をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信した映像および音声を記憶装置へ記憶することをプログラムすることと、
内部時刻に基づいて記憶装置へ記憶してある映像および音声を外部へ出力することをプログラムすること
の全部または一部が可能である衛星受信機であって、
さらに、衛星送信局からの同報通信による指令により
映像および音声の受信の開始および停止をすることと、
受信チャネルの選定または変更をすることと、
受信した映像および音声を外部へ出力することと、
受信した映像および音声を記憶装置へ記憶することと、
記憶装置へ記憶してある映像および音声を外部へ出力することと、
内部時刻を設定ないし変更することと、
内部時刻に基づいて映像および音声の受信の開始および停止をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信チャネルの選定または変更をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信した映像および音声を記憶装置へ記憶することをプログラムすることと、
内部時刻に基づいて記憶装置へ記憶してある映像および音声を外部へ出力することをプログラムすることと、
受信した映像および音声の誤りを一定区切り、たとえばパケットごとに判定する能力を有しその結果を外部に送出できること
の全部または一部が可能である衛星受信機であって、
さらに、衛星送信局からの同報通信による指令により
データ受信の開始および停止をすることと、
受信データを記憶装置へ記憶することと、
受信データを外部に送出することと、
受信データの誤りを一定区切り、たとえばパケットごとに判定する能力を有しその結果を外部に送出することと、
内部時刻に基づいてデータ受信の開始および停止をプログラムすることと、
内部時刻に基づいて受信データを記憶装置へ記憶することをプログラムすることと、
内部時刻に基づいて記憶装置へ記憶した受信データを外部に送出することと、
内部時刻に基づいて受信した受信データの誤りを一定区切り、たとえばパケットごとに判定する能力を有し、その結果を外部に送出すること
の全部または一部が可能である衛星受信機であって、
受信した一定区切り、たとえばパケットごとに判定した映像および音声またはデータの誤りが検出された場合、該映像および音声またはデータの送信元を示す予め指定されたIPアドレスに対して、受信した映像および音声またはデータの誤りの検出されたパケット認識番号と受信した衛星受信機の認識番号または該衛星受信機が接続されているサーバのIPアドレスを付して衛星受信回線とは別の回線で送信し、誤りの存在する該受信した映像および音声またはデータの一定区切りの再送を該受信した映像および音声またはデータを送信した送信局にユニキャスト又はマルチキャストで衛星受信回線とは別の回線で送信することを求め、該誤りの存在する該受信した映像および音声またはデータの一定区切りを修復する機能を備え、
映像および音声を受信する場合には、該受信した映像および音声を記憶装置へ記憶しつつ、予め設定された一定時間遅れ(遅延時間と以下称する)で記憶装置へ記憶してある該映像および音声を再生する(遅延再生と以下称する)能力を有し、該遅延再生運用時に、該遅延時間区間で発生した映像および音声の誤りを検出した場合には、該誤りの存在する受信データの一定区切り、たとえばパケットの再送を該映像および音声を送信した送信局に衛星受信回線とは別の回線でユニキャストまたはマルチキャストで再送することを求め、該誤りの存在する受信データの一定区切りを修復する機能を備え、
データを受信する場合には、該受信したデータを記憶装置へ記憶し、該受信データに誤りを検出した場合には、該誤りの存在する受信データの一定区切りの再送を該受信データを送信した送信局に衛星受信回線とは別の回線でユニキャスト又はマルチキャストで送信することを求め、該記憶装置へ記憶した該誤りの存在する受信データの一定区切りを修復する機能をを備えること
を特徴とする衛星受信機。
【請求項2】
請求項1において、衛星より同報通信で受信した一定区切りの映像および音声またはデータの一定区切りに誤りが検出された場合に、
誤りの検出された該一定区切りの認識番号と
受信した衛星受信機の認識番号または該受信機が接続されているサーバのIPアドレスを付して
該映像および音声またはデータの送信局を示す予め指定されたIPアドレスに対して、
誤りの検出された該一定区切りの訂正情報を要求する回線、および、該送信局が行う該訂正情報を送信する回線がインターネット回線であることを特徴とする衛星受信装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2において、映像および音声を衛星からの同報通信で受信する場合に、該受信した映像および音声を記憶装置へ記憶しつつ、該記憶装置へ記憶してある該映像および音声を予め設定された遅延時間で再生せしめ、
該遅延時間の間に、該受信した映像および音声の誤り訂正情報の再送信を該送信局に求め、該再送された訂正情報により該受信した映像および音声の誤りを訂正する
ことを特徴とする衛星受信装置。
【請求項4】
請求項3において、
該記憶装置へ記憶してある該映像および音声の中でデータの誤りまたは欠損が訂正されていない部分のうち、その時点で進行中の再生時点より時間軸の進行方向に沿って最も近いものについて、その時点で進行中の映像および音声再生時点との時間差が一定閾値以下になった場合に、該再生を停止し、該時間差が該再生停止時の該一定閾値より長い別の閾値を越えるまで、該再生を継続して停止することを特徴とする衛星受信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−146942(P2011−146942A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6335(P2010−6335)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(708002816)小平アソシエイツ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】